JP2003139176A - 摩擦部材の製造方法 - Google Patents

摩擦部材の製造方法

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JP2003139176A
JP2003139176A JP2001338835A JP2001338835A JP2003139176A JP 2003139176 A JP2003139176 A JP 2003139176A JP 2001338835 A JP2001338835 A JP 2001338835A JP 2001338835 A JP2001338835 A JP 2001338835A JP 2003139176 A JP2003139176 A JP 2003139176A
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Akira Kashida
晃 樫田
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な工程で、鉄系の耐食性、接着性に優れ
た部材を軟窒化法を用いて製造する。 【解決手段】 K+,Na+,Li+,Co3 2-,CNO-
を含有する塩浴を用いて鉄系金属に軟窒化処理を施す。
塩浴のLi+の含有量を0.5〜10質量%とすること
ができる。鉄系金属の表面に付着するプレス油、防錆油
は洗浄除去することなく、軟窒化処理を行なう事ができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車、産業用機械
の制動に用いられるブレーキ、クラッチ等に使用される
ディスクブレーキパッド、或いはクラッチ板等の鉄系金
属からなる裏金を塩浴軟窒化処理し、その表面に磨耗材
を一体に接着される摩擦部材の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ブレーキパッドとブレーキパッド裏金と
の密着性を上げるために、ブレーキパッド裏金をショッ
トブラストして表面を粗くする方法、りん酸亜鉛または
りん酸鉄のような化成皮膜を形成する方法、あるいは軟
窒化処理により表面に窒化鉄を形成する方法、等が採用
されている。特に軟窒化処理により表面に窒化鉄を形成
する方法は、良好な接着性と耐久性が得られる。軟窒化
処理方法を採用した例としては、たとえば特開昭51−
24533号には、ブレーキパッド裏金にガス軟窒化処
理を行い、概表面に接着剤を介して摩擦部材が接着され
たディスクブレーキ用シューが開示されている。また、
特開平05−230438号、特開平07−30126
6号には、軟窒化処理として塩浴軟窒化処理を行ない、
該表面に接着剤を介して摩擦部材を接着する摩擦材の製
造方法が開示されている。
【0003】軟窒化処理方法を採用したものは、良好な
接着性は得られるが、耐食性能には難がある。特開平0
7−301266号に述べられているように、軟窒化処
理工程を含む従来の方法は、ブレーキパッド裏金の表面
に形成されたFe-N-C系の化合物層の耐食性に左右さ
れ、この化合物層の耐食性は、塩水噴霧試験(JIS
Z 237 1)の錆び発生面積5%以下の評価方法
で、12時間以下の性能である。
【0004】こうした耐食性能の不足は、工程上に問題
を与え、塩浴軟窒化処理後の水洗による発錆を引き起こ
す。このために、水洗工程後で特開平5−230438
号では、軟窒化処理後、水洗したブレーキパッドを、p
H8〜9のエタノールアミンアニオン界面活性剤水溶液
中に浸漬して防錆皮膜を形成し、次いでそのままブレー
キパッドと接着し摩擦部材とする方法を提案したり、特
開平7−3011266号では、軟窒化処理後、水洗後
に減圧乾燥工程を行なう方法を提案している。
【0005】また、使用時の問題として、自動車の高速
化による熱負荷の増大、長期間の使用、或いは塩害地走
行等により摩擦部材の使用環境が厳しくなっているた
め、耐食性能の向上が求められようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の軟窒
化処理に係る先行技術による方法を更に改善し、より簡
易な工程で、耐食性、接着性に優れた摩擦部材を得るこ
とができる摩擦部材の製造方法の提供を課題とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は検討を重ね
た結果、塩浴軟窒化処理浴に0.5〜10質量%のLi
+を添加することにより、塩浴軟窒化処理後のブレーキ
パッド裏金の表面に、Fe-N-C系を主体とする化合物
層と、さらにその上層にLiを含有する鉄の複合酸化物
層を有する複層を形成させ、従来の塩浴軟窒化処理より
優れた耐食性が得られることを見いだし、本発明をなす
に至った。すなわち、本発明は、以下の発明よりなる。
【0008】(1)鉄系金属からなる裏金をK+、N
+、Li+、CO3 --、CNO-を含有する塩浴を用いて
軟窒化処理して、前記裏金の表面にFe-N-C系を主体
とする化合物層とその上層のLiを含有する鉄の複合酸
化物層からなる複層を形成させ、前記軟窒化処理後の裏
金の表面に摩擦材を一体に接着させることを特徴とする
摩擦部材の製造方法。
【0009】(2)前記塩浴中のLi+の含有量が0.
5〜10質量%であることを特徴とする(1)の摩擦部
材の製造方法。
【0010】(3)前記軟窒化処理工程において、前記
裏金を、その表面に付着するプレス油、防錆油を洗浄に
よって除去することなく、軟窒化処理をすることを特徴
とする(1)又は(2)に記載の摩擦部材の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】裏金の塩浴軟窒化処理は、概略、
予熱→塩浴軟窒化処理(550〜600℃で30〜180分)→冷
却→水洗→乾燥、の工程で行われる。予熱は、品物に水
分が付着していると塩浴に品物を挿入時に水分が爆発的
に蒸発するため、危険防止のために行なう。そのため、
水分が付着していなければ省くことができる。冷却は、
空冷、水冷、油冷、窒素ガス冷却等あるが、一般的に
は、水冷または油冷である。水洗は、品物に付着した塩
類を洗浄する工程である。乾燥は、品物に残る水分を除
去する工程である。
【0012】軟窒化処理された裏金に接着される摩擦材
としては、繊維基材、この繊維基材を結合保持する樹脂
結合剤、及びこれらの繊維と結合剤とのマトリックス中
に分散して充填される各種の充填剤から構成されたもの
が、一般に使用される。
【0013】軟窒化処理された裏金に摩擦材を接着する
方法としては、予め成型した摩擦材を、接着剤を塗布し
た裏金に加圧加熱することにより行うことができる。
【0014】塩浴軟窒化処理の浴組成は、Li+の含有
量が0.5〜10質量%で、CNO濃度が5%以上であ
ることが望ましい。軟窒化処理では、CNOのFe表面
での分解によるNにより窒化されるので、CNO濃度が
約5質量%以上であれば効率よく窒化が行われ、その他
の組成については規定するものではない。塩浴軟窒化処
理においては、塩浴の融点の関係で多種の塩浴組成が存
在する。塩浴のLi、CNO以外の一般成分は、Naや
Kのアルカリ金属、及びCNOが分解して生じるCO3
である。
【0015】本発明のLiを添加した塩浴では、Liを
添加しないものとで、融点が異なり、例えば、Li添加
しないCNOの15質量%では、約580℃のものが、
Liの添加を0.5質量%添加したものでは、約510
℃になる。このように、Liを添加した塩浴では、融点
が下がり塩浴軟窒化を行なう組成の範囲を広く取れる。
(Li添加しないCNOの20質量%では、約550℃
の融点、CNOの25質量%では、約530℃) 塩浴軟窒化処理浴に添加するLiは、炭酸リチウムで添
加すれば良く、窒化能等の性能に対して悪い影響を与え
ない。しかし、炭酸リチウムの水への溶解性が悪いた
め、炭酸リチウムが多いと処理後の洗浄性が悪くなる。
このため、炭酸リチウムの添加量は、Liの添加量とし
て、10質量%を上限とした。0.5%以下の場合に
は、十分な耐食性能が得られない。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例について説明
する。 (実施例1)ブレーキパッド裏金をLi+を0.5質量
%含むCNO−濃度約15質量%の塩浴軟窒化処理浴
で、580℃×90分処理した。これによって、厚さ約
13μmのFe-N-C系を主体とする化合物層が形成さ
れ、次いで、この軟窒化処理後のブレーキパッド裏金を
水冷後、水洗した後、自然乾燥した。この処理したもの
を耐食性試験と密着性試験に供した。
【0017】(実施例2)ブレーキパッド裏金をLi+
を4質量%含むCNO−濃度約15質量%の塩浴軟窒化
処理浴で、580℃×90分処理した。これによって、
厚さ約13μmのFe-N-C系を主体とする化合物層が
形成され、次いで、この軟窒化処理後のブレーキパッド
裏金を水冷後、水洗した後、自然乾燥した。この処理し
たものを耐食性試験と密着性試験に供した。
【0018】(実施例3)ブレーキパッド裏金をLi+
を10質量%含むCNO-濃度約15質量%の塩浴軟窒
化処理浴で、580℃×90分処理した。これによっ
て、厚さ約13μmのFe-N-C系を主体とする化合物
層が形成され、次いで、この軟窒化処理後のブレーキパ
ッド裏金を水冷後、水洗した後、自然乾燥した。この処
理したものを耐食性試験と密着性試験に供した。
【0019】(比較例)ブレーキパッド裏金を、Li+
を含まないCNO-濃度約35質量%の塩浴軟窒化処理
浴で、580℃×90分処理した。これによって、厚さ
約13μmのFe-N-C系を主体とする化合物層が形成
され、次いで、この軟窒化処理後のブレーキパッド裏金
を水冷後、水洗した後、減圧乾燥によって乾燥した。こ
の処理したものを耐食性試験と密着性試験に供した。耐
食性試験は、JIS Z 2371による塩水噴霧試験
で、錆びの発生具合を試験した。密着性試験は、elecom
eterRによる密着強度測定を行なった。密着性と耐食性
を評価した結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明による摩擦部材の製造方法は、鉄
系金属からなる裏金を、K+、Li+、Na+、CO3 --
CNO-を含有する塩浴で軟窒化処理を行い、その表面
にFe-N-C系を主体とする化合物層とその上層にLi
を含有する鉄の複合酸化物層の複層を形成させ、さらに
表面に摩擦材を接着させるものである。
【0022】本発明により得られる摩擦部材は、化合物
層の最表面にLiを含有する鉄の複合酸化物が形成され
ることにより従来の軟窒化処理に比較して、優れた耐食
性を有する。また、本発明の方法により軟窒化処理され
た裏金の表面硬さは、マイクロビッカース硬さで、HV
500〜600の硬さを有している。
【0023】従来の軟窒化処理よりも耐食性を有する表
面状態を形成するために、軟窒化後の水洗工程および乾
燥工程が簡略化でき、従来の複雑な洗浄工程に比較し
て、はるかに簡単な工程で摩擦部材を製造することがで
きる。
【0024】また、摩擦部材は、一般的には、塗装を行
い、ブレーキパッド裏金とブレーキパッドとの接着部の
反対面の錆び発生を防止しているが、本発明の処理工程
を行なえば、錆び発生の防止のための塗装は行なわなく
ても良い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系金属からなる裏金をK+、Na+、L
    +、CO3 --、CNO-を含有する塩浴を用いて軟窒化
    処理して、前記裏金の表面にFe-N-C系を主体とする
    化合物層とその上層のLiを含有する鉄の複合酸化物層
    からなる複層を形成させ、前記軟窒化処理後の裏金の表
    面に摩擦材を一体に接着させることを特徴とする摩擦部
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記塩浴中のLi+の含有量が0.5〜
    10質量%であることを特徴とする請求項1の摩擦部材
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記軟窒化処理工程において、前記裏金
    を、その表面に付着するプレス油、防錆油を洗浄によっ
    て除去することなく、軟窒化処理をすることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の摩擦部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010053926A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Toyota Motor Corp ディスクブレーキロータ及びその製造方法

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