JP2007084643A - 摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に小型ブレーキライニング(小型BL)用摩擦材において、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止する摩擦材を提供することを課題とする。
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とする摩擦材。
【選択図】 なし
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とする摩擦材。
【選択図】 なし
Description
本発明は、繊維基材と、結合材と、充填材とを含有する摩擦材に関し、特に朝効き(ME)、グー音の発生防止に好適な摩擦材に関する。
従来から、ブレーキを梅雨期や早朝などの高湿環境下放置後に使用すると、摩擦係数が上昇して効きが異常に高くなりブレーキ時の衝撃が大きく、カックンとなる現象がある。これは夜間などに大気中の水分を吸着した結果発生するといわれているもので、翌朝使用する時に顕著に発生するため、朝効き(ME)と呼ばれている。
他方ブレーキペダルを踏んで制動したときの止まり際や揺り戻し時、又はそれから発進するためブレーキペダルの踏力を弱めたときにグー音と称する200〜300Hz付近の異音が発生することがある。このグー音は、高い熱履歴を受けた摩擦材によりブレーキの対面に生成される有機移着被膜が高湿環境下に放置されることにより水分が吸着し、この水分が原因で対面と有機移着被膜間に錆が発生、再運転する際、運転初期時にこの有機移着被膜が剥離することで、静動μ低下比が大きくなる為グー音の音圧が大きくなると考えられている。
他方ブレーキペダルを踏んで制動したときの止まり際や揺り戻し時、又はそれから発進するためブレーキペダルの踏力を弱めたときにグー音と称する200〜300Hz付近の異音が発生することがある。このグー音は、高い熱履歴を受けた摩擦材によりブレーキの対面に生成される有機移着被膜が高湿環境下に放置されることにより水分が吸着し、この水分が原因で対面と有機移着被膜間に錆が発生、再運転する際、運転初期時にこの有機移着被膜が剥離することで、静動μ低下比が大きくなる為グー音の音圧が大きくなると考えられている。
特許文献1には摩擦材のpHを調整することで裏金の耐錆性を向上させる摩擦材が開示されており、消石灰等のアルカリ性物質を使用している。
特許文献2には硫酸バリウムと水酸化カルシウム(消石灰)を一定量含有することで制動時のノイズ(グー音等)の発生頻度を低く抑える摩擦材が開示されており、消石灰は主にpH調整剤としての使用、また静μが低い特性を持つとの記載がある。
特許文献3には亜鉛粉及びアルミニウム粉を含有することで絶対湿度が高いときのグー音の発生及び音圧を低減することが可能な摩擦材の開示がある。
特許文献4には一定範囲の粒径、硬度を持つ無機充填材を含有することでME現象の発生がなくなる摩擦材の開示がある。
これらは夫々の課題に対し効果的な発明と思われるが、客先要求の更なる高度化の下、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止するという観点から改良、改善された摩擦材が求められている現状がある。
特許文献2には硫酸バリウムと水酸化カルシウム(消石灰)を一定量含有することで制動時のノイズ(グー音等)の発生頻度を低く抑える摩擦材が開示されており、消石灰は主にpH調整剤としての使用、また静μが低い特性を持つとの記載がある。
特許文献3には亜鉛粉及びアルミニウム粉を含有することで絶対湿度が高いときのグー音の発生及び音圧を低減することが可能な摩擦材の開示がある。
特許文献4には一定範囲の粒径、硬度を持つ無機充填材を含有することでME現象の発生がなくなる摩擦材の開示がある。
これらは夫々の課題に対し効果的な発明と思われるが、客先要求の更なる高度化の下、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止するという観点から改良、改善された摩擦材が求められている現状がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、摩擦材、特に小型ブレーキライニング(小型BL)用摩擦材において、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止することが出来る摩擦材を提供することを課題とする。
本発明者は上記目的を達成するため、従来はpH調整剤との位置付けであった消石灰(水酸化カルシウム)が、熱履歴を受けると生石灰(酸化カルシウム)に変化し、多湿環境下では水分を吸収してクリーム化する特徴を生かし、効きの上昇抑制(即ちME現象の防止)に使えないかと考え、消石灰を摩擦材に大量に含有させてみたところ、ME現象防止に一定の効果がみられた。
他方、高い熱履歴を受けた摩擦材は対面に過剰な厚さの有機被膜を生成させる傾向にあり、これが一度に剥離すると静動μ低下比が大きくなりグー音の音圧を大きくする原因となる。そこで移着した有機被膜を少しずつマイルドに掻き落としていく(有機被膜厚さを適度に維持する)必要がある。
これにつき充填材を鋭意検討したところ、通常は硬度の高い無機充填材が好ましいと考えられるところ、意外なことに硬度的に柔らかく、またアルカリに強くないと思われるアルミニウム粒子を少量添加する(消石灰と組み合わせる)ことにより、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止することが可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
他方、高い熱履歴を受けた摩擦材は対面に過剰な厚さの有機被膜を生成させる傾向にあり、これが一度に剥離すると静動μ低下比が大きくなりグー音の音圧を大きくする原因となる。そこで移着した有機被膜を少しずつマイルドに掻き落としていく(有機被膜厚さを適度に維持する)必要がある。
これにつき充填材を鋭意検討したところ、通常は硬度の高い無機充填材が好ましいと考えられるところ、意外なことに硬度的に柔らかく、またアルカリに強くないと思われるアルミニウム粒子を少量添加する(消石灰と組み合わせる)ことにより、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止することが可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記の摩擦材を提供する。
(1)繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とする摩擦材。
(2)該消石灰を12〜25体積%、かつ該アルミニウム粒子を2.0〜3.0体積%含有する請求項1記載の摩擦材。
(3)該アルミニウム粒子の粒径は250μm以下である請求項1,2記載の摩擦材。
(1)繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とする摩擦材。
(2)該消石灰を12〜25体積%、かつ該アルミニウム粒子を2.0〜3.0体積%含有する請求項1記載の摩擦材。
(3)該アルミニウム粒子の粒径は250μm以下である請求項1,2記載の摩擦材。
本発明は摩擦材、特に小型ブレーキライニング(小型BL)用摩擦材において、高温熱履歴後の多湿環境下放置後におけるME現象、グー音の発生を同時に防止する良好な結果を与えるものである。
本発明は、繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とするものである。
本発明に使用される消石灰は、通常摩擦材に使用される汎用品であれば使用可能である。
またその摩擦材組成物全量に対する添加量は7体積%〜30体積%、好ましくは12体積%〜25体積%、より好ましくは12体積%〜22体積%である。
これより少ないとME現象防止効果に劣る。又これより多いと摩擦材の強度が低下する。
またその摩擦材組成物全量に対する添加量は7体積%〜30体積%、好ましくは12体積%〜25体積%、より好ましくは12体積%〜22体積%である。
これより少ないとME現象防止効果に劣る。又これより多いと摩擦材の強度が低下する。
また本発明では、アルミ粒子を使用する。アルミ粒子の平均粒径は250μm以下、好ましくは170〜230μmである。平均粒径が大き過ぎると対面攻撃性が強すぎ摩擦対面を傷つける。またその摩擦材組成物全量に対する添加量は2.0体積%〜3.5体積%、好ましくは2.0体積%〜3.0体積%である。これより少ないとグー音防止の効果がなく、またこれより多いと対面攻撃性が強すぎる。
その他充填材としては摩擦材に通常用いられる充填材が使用出来る。充填材は有機充填材と無機充填材に分けられる。有機充填材として、たとえばタイヤリク、アクリルゴムダスト、メラミンダスト等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。一方無機充填材としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、バーミキュライト、黒鉛、四三酸化鉄、硫化鉄、コークス、マイカ等の他、青銅、銅、錫等の金属粉が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
これらの充填材の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは30〜80体積%、より好ましくは40〜80体積%である。
これらの充填材の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは30〜80体積%、より好ましくは40〜80体積%である。
繊維基材としては摩擦材に通常用いられる繊維基材が挙げられる。たとえばスチール、ステンレス、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維;チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維、ロックウール、ウォラストナイト等の無機繊維;アラミド繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維等の有機繊維;等である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。繊維基材全体の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは5〜50体積%、より好ましくは10〜40体積%である。これらは本発明の効果を維持できる範囲で、適宜添加することができる。
結合材としては摩擦材に通常用いられるものを使用することができる。たとえば、フェノール樹脂、アクリルゴム変性フェノール樹脂、NBRゴム変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、NBR、アクリルゴム(未加硫品)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。この結合材の添加量は摩擦材組成物全量に対して好ましくは10〜30体積%、より好ましくは15〜30体積%である。
本発明の摩擦材の製造方法は、上記成分をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合して成形金型内で予備成形し、この予備成形物を成形温度130〜180℃、成形圧力15〜49MPaで、3〜10分成形するものである。
次に、得られた成形品を140〜250℃の温度で2〜12時間熱処理(後硬化)した後、必要に応じて塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が得られる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製プレート上に予備成形物を載せ、この状態で成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより製造することができる。
次に、得られた成形品を140〜250℃の温度で2〜12時間熱処理(後硬化)した後、必要に応じて塗装、焼き付け、研磨処理を施して完成品が得られる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製プレート上に予備成形物を載せ、この状態で成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより製造することができる。
本発明の摩擦材は、特に小型ブレーキライニング(小型BL)用摩擦材において用いられるものであるが、自動車、鉄道車両、各種産業機械等の制動用ブレーキにも用いることが出来る。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例において、アルミニウム粒子として粒径200μmのものを使用した。また消石灰は粒径8μmのものを使用した。なお平均粒径はレーザー回折粒度分布法により測定した50%粒径の数値を用いている。消石灰は通常凝集しているため、事前に超音波をかけ単粒子にしてから測定を実施した。
表1に示す組成の摩擦材組成物をレディゲミキサーにて5分間混合し、加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を成形温度150℃、成形圧力20MPaの条件下で10分間成形した後、180℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、摩擦材を作成した。
得られた摩擦材について、朝効き性能、グー音を評価した。結果を表1に、評価基準を表2、朝効き試験法を表3、グー音試験法を表4に示す。
得られた摩擦材について、朝効き性能、グー音を評価した。結果を表1に、評価基準を表2、朝効き試験法を表3、グー音試験法を表4に示す。
Claims (3)
- 繊維基材、結合材、充填材を含有する摩擦材において、該充填材として少なくとも消石灰を7〜30体積%、かつアルミニウム粒子を2.0〜3.5体積%含有することを特徴とする摩擦材。
- 該消石灰を12〜25体積%、かつ該アルミニウム粒子を2.0〜3.0体積%含有する請求項1記載の摩擦材。
- 該アルミニウム粒子の粒径は250μm以下である請求項1,2記載の摩擦材。
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