JP2002031177A - 防錆性に優れた焼結材料 - Google Patents

防錆性に優れた焼結材料

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JP2002031177A
JP2002031177A JP2000212196A JP2000212196A JP2002031177A JP 2002031177 A JP2002031177 A JP 2002031177A JP 2000212196 A JP2000212196 A JP 2000212196A JP 2000212196 A JP2000212196 A JP 2000212196A JP 2002031177 A JP2002031177 A JP 2002031177A
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nickel
chromium
copper
coating
back plate
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Azuma Iketani
東 池谷
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Tokai Carbon Co Ltd
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Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄製の裏板に、銅被覆を介して、金属金属系
ライニング材を焼結により拡散接合してなる摩擦材にお
いて、塩分を含む水が掛かる環境において使用されて
も、銅被膜の下の裏板の鉄板が錆びたり、ライニング材
の接合強度が低下したりすることがないため、摩擦材と
して好適に使用し得るとともに、摺動材としても好適な
防錆性に優れた焼結材料を提供する。 【解決手段】 裏板の表面と銅被膜との間にニッケル、
クロムまたはニッケル−クロムの被膜を介在させたこと
を特徴とする。銅、ニッケル、クロム、ニッケル−クロ
ムの被膜はメッキにより形成するのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防錆性に優れた焼
結材料、詳しくは、鉄製の裏板に、金属材料をマトリッ
クスとし摩擦調整材、潤滑材などを加えた金属系ライニ
ング材を焼結により拡散接合してなる焼結材料であり、
摩擦材や摺動材として好適に使用し得る防錆性に優れた
焼結材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキ用、クラッチ用などの摩擦材お
よび摺動材、とくに高温高負荷の環境下で使用される摩
擦材、摺動材としては、金属材料をマトリックスとした
金属系ライニング材を、銅メッキを施した鉄製の裏板と
合わせ、所定温度に加熱して金属系ライニング材を焼結
すると同時に、金属系ライニング材と裏板とを拡散接合
により一体化してなるものが使用されている。銅メッキ
は、鉄製の裏板の防錆のため、拡散接合を促進させるた
めに施される。
【0003】しかしながら、上記の摩擦材をディスクブ
レーキ用摩擦パッドとして、二輪車などにおいて実用化
した場合、とくに、道路に凍結防止剤が散布される場合
のように、塩分を含む水が掛かる環境において湿潤状態
で長時間使用されると、銅メッキ被膜の下の裏板の鉄板
が錆び、ライニング材の接合強度が低下するという現象
が経験されている。
【0004】この原因を究明するために調査を行った結
果、以下のメカニズムで裏板の錆、ライニング材の接合
強度の低下が生じることが見出された。すなわち、摩擦
材において、焼結した金属系ライニング材は5〜30%
程度の開気孔を有しており、金属系ライニング材と鉄製
の裏板との間に形成される銅メッキ被膜にもピンホール
などの欠陥の生成が避けられないため、車の走行中に、
摩擦パッドに塩分を含む水が掛かると、塩分を含む水が
開気孔を通じてライニング中に浸透し、ライニング内部
に湿潤状態を生成し、Cl- ・O2 ・H2 Oが共存する
状態となる。
【0005】浸透した水分はさらに銅メッキ被膜のピン
ホールを通じて裏板に達し、塩分を含む水が電解液とな
って、銅よりイオン化傾向の高い裏板の鉄が腐食電池反
応により溶け出してO2 、H2 Oと反応してFe(O
H)2 となり、さらに酸化されてFeOOHとなること
で錆が生じ、銅メッキ被膜下の裏板上に発生した複数個
の錆が、さらに銅メッキ被膜と裏板の鉄との間の電食腐
食で拡大し、互いに繋がって銅メッキ被膜の下から部分
的にライニング材を浮き上がらせる。
【0006】この対策として、焼結ライニング材の気孔
率を小さくしたり、鉄製の裏板に形成する銅メッキ被膜
のピンホールを少なくする方策が考えられるが、焼結ラ
イニング材の気孔率を小さくすると、摩擦係数の低下な
ど、摩擦材の性能低下を招き、また、ピンホールの無い
銅メッキ被膜を得るためには、30μm以上の厚さのメ
ッキ被膜を形成する必要があり、生産性の低下、コスト
上昇の原因となる。電気メッキにおいてメッキ被膜を厚
くすると、同一の被メッキ材中における厚さのバラツキ
が大きくなって寸法精度が悪くなる。
【0007】ディスクブレーキ用摩擦パッドの裏板の錆
を防止するために、フレーク状亜鉛とクロム重合物によ
り形成される保護膜を裏板に被覆する手法(特開昭60
−37431号公報)、裏板に特定の膜厚を有するリン
酸金属塩被膜を形成する手法(特開平5−346129
号公報)も提案されているが、必ずしも満足すべきもの
ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、とくに、銅
鉄製の裏板に、銅被覆を介して、金属材料をマトリック
スとし摩擦調整材、潤滑材などを加えた金属系ライニン
グ材を焼結により拡散接合してなる摩擦材において、銅
被膜の下の裏板の鉄板が錆び、ライニング材の接合強度
が低下するという問題点を解消するためになされたもの
であり、その目的は、塩分を含む水が掛かる環境におい
て使用されても、銅被膜の下の裏板の鉄板が錆びたり、
ライニング材の接合強度が低下したりすることがないた
め、摩擦材として好適に使用し得るとともに、摺動材と
しても好適な防錆性に優れた焼結材料を提供することに
ある。
【0009】本発明においては、焼結ライニング材の気
孔率を小さくしたり、鉄製の裏板に形成する銅メッキ被
膜のピンホールを少なくする必要がなく、銅被膜の厚さ
を薄くすることが可能となり、従って、被膜の寸法精度
が向上して安定したライニング材の接合状態を得ること
ができる焼結材料が提供される。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の請求項1による防錆性に優れた焼結材料
は、鉄製の裏板に銅被膜を介して金属系ライニング材を
焼結により拡散接合してなる焼結材料であって、裏板の
表面と銅被膜との間にニッケル、クロムまたはニッケル
−クロムの被膜を介在させたことを特徴とする。
【0011】請求項2による防錆性に優れた焼結材料
は、請求項1において、前記銅被膜、およびニッケル、
クロムまたはニッケル−クロムの被膜がメッキにより形
成されたものであることを特徴とする。
【0012】また、請求項3による防錆性に優れた焼結
材料は、請求項1または2において、前記銅被膜の厚さ
が3μm以上、ニッケル、クロムまたはニッケル−クロ
ムの被膜の厚さが1〜5μmであることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、鉄製の裏板に銅被膜を
介して金属系ライニング材を焼結により拡散接合した焼
結材料を前提とする。金属系ライニング材として、通
常、銅、鉄、ニッケルなどを主体とする金属材料をマト
リックスとし、セラミックスなどの摩擦調整材、硬質粒
子、黒鉛、MoS2 、雲母などの潤滑材、その他を加え
てなり、銅被膜を形成した鉄製の裏板と合わせて、所定
雰囲気中で所定温度に加熱して、ライニング材を焼結す
ると同時に、ライニング材と裏板とを拡散接合する。
【0014】本発明においては、この焼結材料におい
て、裏板の表面と銅被膜との間にニッケル、クロムまた
はニッケル−クロムの被膜を介在させたことを特徴とす
る。従来の焼結材料においては、銅被膜が直接裏板の鉄
板と接触していたため、例えば、摩擦パッドとして、塩
分を含む水が接触する環境下で使用すると、食塩水から
なる電解質水溶液中での電解電位は、鉄のほうが銅より
卑であるため、鉄が先に腐食し錆の生成が進行すること
となる。
【0015】本発明においては、裏板の表面と銅被膜と
の間にニッケル、クロムまたはニッケル−クロムの被膜
が介在しており、食塩水からなる電解質水溶液中におけ
る銅、ニッケル、クロム、鉄の電解電位を比べると、
鉄、ニッケル、クロム、銅の順に電位が高くなるから、
鉄と銅の間にニッケル、クロムまたはニッケル−クロム
の被膜を介在させることにより、まず、ニッケル、クロ
ムまたはニッケル−クロムが腐食し、つぎに鉄が腐食が
生じるようになるため、鉄の腐食は大幅に遅れることに
なり、優れた防錆性が与えられる。
【0016】ニッケル、クロムまたはニッケル−クロム
の被膜、銅被膜は、公知の方法によるメッキにより形成
するのが好ましいが、溶射、蒸着、その他の方法で形成
することもできる。ニッケル−クロムの被膜は、ニッケ
ルとクロムの合金からなるものでもよく、ニッケル被膜
の上にクロム被膜を設けたもの、クロム被膜の上にニッ
ケル被膜を設けたものでもよい。とくに、メッキによる
被膜形成においては、従来の銅メッキ被膜のみの場合に
比べて、2層メッキでは各層のメッキ厚さを薄くするこ
とができるから、メッキ層の寸法精度向上が得られる。
【0017】被膜の厚さについては、鉄製の裏板の表面
に形成するニッケル、クロムまたはニッケル−クロムの
被膜は1〜5μm、その上に形成する銅被膜は3μm以
上が好ましい。とくに、メッキにより被膜を形成する場
合には、上記の厚さ範囲とすることが望ましい。
【0018】ニッケル、クロムまたはニッケル−クロム
の被膜が1μm未満では、厚みが均一となり難く、裏板
の全面にメッキが形成されず、メッキの施されていない
個所が生じるおそれがある。5μmを越えて被膜を形成
しても耐食性(防錆性)向上の効果は変わらない。銅被
膜が3μm未満では効果が十分ではなく、上限について
は、防錆性の面からはとくに限定しないが、生産性、コ
スト、寸法精度の観点からは、5〜20μmとするのが
好ましい。
【0019】本発明の焼結材料は、裏板の鉄板の表面
に、まずニッケル、クロムまたはニッケル−クロムの被
膜を形成した後、この被膜上にさらに銅被膜を形成し、
形成された2層の被膜上に、金属系ライニング材を焼結
により接合して製造される。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。この実施例は本発明の一実施態様を示すもので
あり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】実施例1 Cu:46%(質量%、以下同じ)、Sn:4%、N
i:15%、Al2 3:5%、SiO2 :5%、雲
母:5%、CaF2 :5%、黒鉛:15%からなる組成
物(摩擦材の組成に相当する)を混合機で混合し、所定
形状に成形してライニング材とした。
【0022】裏板の鉄板の表面に、厚さ2μmのニッケ
ル被膜をメッキにより施し、さらにその上に厚さ5μm
の銅被膜をメッキにより形成した。
【0023】上記のメッキ層を設けた裏板のメッキ面
に、上記成形されたライニング材を載せ、還元性雰囲気
中で800℃に加熱することにより焼結するとともに、
裏板のメッキ面とライニング材を拡散接合して焼結材料
を得た。
【0024】得られた焼結材料(試験材)について、J
IS D4419に準拠する自動車用ディスクブレーキ
パッドの接着面錆発生試験の塩水噴霧条件で、10サイ
クルの試験を行い、裏板の鉄板の接着界面の錆の発生状
況を顕微鏡により観察した結果、錆の発生は認められな
かった。
【0025】実施例2 Cu:79%、Sn:10%、Pb:6%、黒鉛:5%
からなる組成物(摺動材の組成に相当する)を混合機で
混合し、所定形状に成形してライニング材とした。
【0026】裏板の鉄板の表面に、厚さ2μmのクロム
被膜をメッキにより施し、さらにその上に厚さ5μmの
銅被膜をメッキにより形成した。
【0027】上記のメッキ層を設けた裏板のメッキ面
に、上記成形されたライニング材を載せ、還元性雰囲気
中で700℃に加熱することにより焼結するとともに、
裏板のメッキ面とライニング材を拡散接合して焼結材料
を得た。
【0028】得られた焼結材料(試験材)について、実
施例1と同じ錆発生試験を行い、裏板の鉄板の接着界面
の錆の発生状況を顕微鏡により観察した結果、錆の発生
は認められなかった。
【0029】比較例1 実施例1と同じ組成を有する組成物を混合機で混合し、
所定形状に成形してライニング材とした。また、裏板の
鉄板の表面に、厚さ0.2μmのニッケル被膜をメッキ
により施し、さらにその上に厚さ7μmの銅被膜をメッ
キにより形成した。
【0030】上記のメッキ層を設けた裏板のメッキ面
に、上記成形されたライニング材を載せ、還元性雰囲気
中で800℃に加熱することにより焼結するとともに、
裏板のメッキ面とライニング材を拡散接合して焼結材料
を得た。
【0031】得られた焼結材料(試験材)について、実
施例1と同じ錆発生試験を行い、裏板の鉄板の接着界面
の錆の発生状況を顕微鏡により観察した結果、ニッケル
被膜の厚さは小さく、均一なメッキ被膜が形成されてい
ないことに起因して、僅かに錆の発生が認められた。
【0032】比較例2 実施例2と同じ組成を有する組成物を混合機で混合し、
所定形状に成形してライニング材とした。また、裏板の
鉄板の表面に、直接厚さ8μmの銅被膜をメッキにより
形成した。
【0033】上記のメッキ層を設けた裏板のメッキ面
に、上記成形されたライニング材を載せ、還元性雰囲気
中で700℃に加熱することにより焼結するとともに、
裏板のメッキ面とライニング材を拡散接合して焼結材料
を得た。
【0034】得られた焼結材料(試験材)は、直接銅被
膜を形成する従来技術によるものであり、実施例1と同
じ錆発生試験を行い、裏板の鉄板の接着界面の錆の発生
状況を顕微鏡により観察した結果、錆の発生がはっきり
と観察された。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、銅鉄製
の裏板に、銅被覆を介して、金属材料をマトリックスと
し摩擦調整材、潤滑材などを加えた金属系ライニング材
を焼結により拡散接合してなる摩擦材において、塩分を
含む水が掛かる環境において使用されても、銅被膜の下
の裏板の鉄板が錆びたり、ライニング材の接合強度が低
下したりすることがないため、摩擦材として好適に使用
し得るとともに、摺動材としても好適な防錆性に優れた
焼結材料が提供される。
【0036】また、本発明によれば、焼結ライニング材
の気孔率を小さくしたり、鉄製の裏板に形成する銅メッ
キ被膜のピンホールを少なくする必要がなく、銅被膜の
厚さを薄くすることが可能となり、従って、被膜の寸法
精度が向上して安定したライニング材の接合状態を得る
ことができる焼結材料が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 5/26 C25D 5/26 J 4K044 7/00 7/00 Z F16D 13/62 F16D 13/62 A // C22C 9/02 C22C 9/02 32/00 32/00 E Fターム(参考) 3J056 BA01 BE05 CA15 CA17 EA02 EA16 EA21 3J058 BA28 CA45 CA47 EA07 EA09 EA34 GA92 GA93 4E067 AA02 AA14 AB04 AB05 AD09 BA00 DB04 DC04 EB00 4K018 AA04 AA05 AB01 AB07 AB10 AC01 JA29 JA38 KA05 4K024 AA02 AA03 AA09 AA14 AB02 BA03 BB02 BB04 DB01 GA01 GA04 GA16 4K044 AA02 AB05 BA02 BA06 BB03 BC02 BC05 CA15 CA18 CA62

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄製の裏板に銅被膜を介して金属系ライ
    ニング材を焼結により拡散接合してなる焼結材料であっ
    て、裏板の表面と銅被膜との間にニッケル、クロムまた
    はニッケル−クロムの被膜を介在させたことを特徴とす
    る防錆性に優れた焼結材料。
  2. 【請求項2】 前記銅被膜、およびニッケル、クロムま
    たはニッケル−クロムの被膜がメッキにより形成された
    ものであることを特徴とする請求項1記載の防錆性に優
    れた焼結材料。
  3. 【請求項3】 前記銅被膜の厚さが3μm以上、ニッケ
    ル、クロムまたはニッケル−クロムの被膜の厚さが1〜
    5μmであることを特徴とする請求項1または2記載の
    防錆性焼結材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019172450A1 (ja) * 2018-03-09 2019-09-12 住友金属鉱山株式会社 耐腐食ライニング方法
EP3674448A1 (en) 2018-12-28 2020-07-01 Tungaloy Corporation Friction material
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