JP2006342409A - 鉄系部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ニッケルメッキ表面から母材内部までの硬さを好適に調整することにより表層部が硬く内部が靭性に富む性質を兼ね備え、さらに、表面のメッキ層がきわめて硬いことにより、優れた耐摩耗性を発揮する鉄系部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 鉄または鉄基合金の表面に、リン含有量が10.5〜15質量%の無電解ニッケルメッキを施し、次いで、600〜900℃の範囲で加熱した後、冷却することにより、硬さが700HV以上のニッケル層で被覆された鉄系部品を得る。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鉄または鉄基合金からなる各種機械要素や機構部品として用いられる鉄系部品およびその製造方法に係り、特に、鉄系部品の摺動なじみ性と耐食性に加え、表面付近の硬さを好適に調整した表面改質技術に関する。
鉄や鉄基合金から製造される歯車、カム、リンクアームなどの機械要素や、写真機、事務機器、搬送機器、水処理装置などの機構部品は、用途に応じ、純鉄に近いものから炭素などの他の元素を含むものまで各種組成を選択し、溶湯から作られた材料(以下、「溶製材料」と言う)から製造することができる他、金属粉末やその他の添加物粉末の混合物(以下、「焼結材料」と言う)を成形および焼結して製造することもできる。
上記機械要素などを溶製材料から製造する場合には、塑性加工、剪断、切削加工などの各種の加工手段によって目的形状に成形される一方、焼結材料から製造する場合には、金型で粉末成形することにより目的形状に近い形状に成形される。また、上記いずれの材料を使用する場合においても、要求される特性に応じて浸炭、窒化、焼入れ焼戻し、メッキなどの改質処理が施される。
上記のような各成形方法を使用して、特に、耐食性が要求される機械要素などを製造する場合には、ステンレス鋼のような耐食性のある鉄基合金を用いる場合のほか、構造用炭素鋼のような耐食性が比較的不良な表面にニッケルメッキを被覆する場合がある。
このように、合金の表面にニッケルメッキを被覆して、優れた耐食性が要求される機械要素などを製造する技術については、従来から種々の提案がなされている。例えば、合金鋼に無電解ニッケルメッキを施し、メッキされた部材を300〜400℃の範囲の温度で熱処理することで、ニッケルメッキ層に含まれているリンがリン化三ニッケル(NiP)となり、ニッケルメッキの硬さをHV800〜900程度とし、ニッケルメッキ面に他の部材との良好ななじみ性を付与する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、鋼板に電気ニッケルメッキを施した後、600〜850℃の温度で10〜120秒の加熱処理を施すことで、メッキ層の一部をニッケル−鉄合金相とし、耐食性に優れる鋼板を得る技術も提案されている(特許文献2参照)。
これら特許文献に記載の技術では、耐食性やなじみ性には優れているものの、合金鋼からニッケルメッキへの硬さの変化をなだらかにするなどの、メッキ表面から母材(被メッキ部材)の深部に向かう硬さの変化についての特段の処理が施されていないことから、ニッケルメッキが合金鋼から剥離しやすいという問題があった。そこで、特に母材の深さ方向において、メッキ表面から母材までの硬さを好適に調整し、これにより、母材からメッキが剥離し難い鉄系部品として、本発明者らは、特許文献3に記載の技術を提案した。
特開平6−313434号公報(第2,3頁) 特開平11−61484号公報(第4頁) 特開2004−277880号公報
上記特許文献3では、メッキ表面から母材の深部に向かう硬さを、ニッケル拡散層を形成させることで好適に調整し、これによってニッケルメッキを剥離しにくくするとともに、優れた摺動なじみ性と耐食性を得ている。ところが、このような効果を得ながら、さらにメッキ層の硬さをより増大させて耐摩耗性により優れた鉄系合金が要求されてきている。
よって本発明は、優れた摺動なじみ性と耐食性とに加え、特に、メッキ表面から母材内部までの硬さを好適に調整することにより表層部が硬く内部が靭性に富む性質を兼ね備え、さらに、表面のメッキ層がきわめて硬いことにより、優れた耐摩耗性を発揮する鉄系部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の鉄系部品は、鉄または鉄基合金の表面が、リン含有量が10.5〜15質量%で、かつ、硬さが700HV以上のニッケル層で被覆され、鉄または鉄基合金の基地に、その深部に向かってニッケル量が減少するニッケル拡散層が形成されていることを特徴としている。
本発明の鉄系部品は、母材である鉄または鉄基合金の表面がニッケル層によって被覆されていることから、上記特許文献1,2に記載された技術の要求特性、すなわち、優れた摺動なじみ性と耐食性とを実現することができる。
このような要求特性実現の前提として、本発明の鉄系部品は、母材にその深部に向かってニッケル層が減少するニッケル拡散層が形成されているとともに、ニッケル層と母材とが拡散結合されているため、母材からニッケル層の剥離を防止することができる。
また、表面が、リン含有量が10.5〜15質量%で、かつ、硬さが700HV以上のニッケル層で被覆されていることにより、ニッケル層の硬さおよび強度は十分に高く、そのニッケル層によって、上記の摺動なじみ性に加えて優れた耐摩耗性を兼ね備えたものとなる。
本発明の鉄系部品は、ニッケル層が、上記のようにリンを含有していることに加えて、炭素を含有していること、また、母材中のニッケル拡散層がマルテンサイトを含む焼入れ金属組織であることを、好ましい態様とする。
ここで、母材の鉄または鉄基合金は、一般的な溶製材料の他に、焼結材料から製造されたものでもよい。そして、本発明の鉄系部品は、耐摩耗性や耐食性が要求される機械要素または機構部品に好適に適用される。
次に、本発明の鉄系部品の製造方法は、上記本発明の鉄系部品を好適に製造する方法であって、鉄または鉄基合金の表面に、リン含有量が10.5〜15質量%の無電解ニッケルメッキを施し、次いで、600〜900℃の範囲で加熱した後、冷却することを特徴としている。
本発明方法によれば、表面のニッケル層を、リン含有量が10.5〜15質量%の無電解ニッケルメッキで形成し、さらに、600〜900℃の温度範囲で加熱、冷却することにより、700HV以上ときわめて硬い表面のニッケル層が得られるとともに、母材である鉄または鉄基合金に、その深部に向かってニッケル量が減少するようにニッケルが拡散して合金化し、ニッケル拡散層が形成される。ニッケルの拡散によって、ニッケル層は母材の表面と冶金的に強固に接着した状態を形成する。このため、塑性加工、バレル研磨など施してもニッケル層は剥離することがなく、ニッケル層はピットが減少または消滅し、健全な被膜となる。なお、ニッケル層の硬さは、700HV以上であって、高くても850HV〜950HVが実際的である。
本発明においては、上記のようにニッケルメッキした鉄または鉄基合金からなる母材が、大気中、または窒素等の無酸化性ガス、分解アンモニアガス等の還元性ガス、浸炭性ガス(例えば、カーボンポテンシャルが0.1〜1.2%の範囲内の水素、窒素、一酸化炭素の混合ガス)のいずれかのガス雰囲気中で加熱される。加熱温度が600〜900℃の範囲内の比較的高い温度で熱処理する場合、母材が炭素含有鉄系材料では、母材中の炭素がニッケル層に浸入して固溶し、その結果、ニッケル層の硬さが向上する。また、浸炭性のガス雰囲気中で加熱すると、炭素はニッケル層および母材に浸入するとともに、ニッケルと鉄の相互拡散が促進される。母材に達した炭素は、ニッケル層の表面で最も多く、部材の内部に向かって徐々に減少する。
上記のようにして加熱、冷却を施した後、さらに、オーステナイト領域温度で加熱してから冷却する焼入れを行い、次いで焼戻しを施すことは、ニッケル層を被覆した部品について、母材を硬化させるとともに、その組織および機械的性質を安定化させ、また、靭性の回復および残留応力の軽減を図ることができる点で好ましい。ニッケル層の硬さは、焼入れ焼戻しを行った場合にも、700HV以上が確保される。
無電解ニッケルメッキ被膜中に含有するリンは、熱処理によりニッケル層の硬さを高くする。ニッケルメッキのリン含有量が10質量%以下の場合、300〜400℃で熱処理したときニッケル層の硬さが約900HVになる。これは、メッキ膜の非晶質構造が、加熱により、リン化三ニッケル(NiP)の共晶体が析出したものとなるからである。しかしながら、熱処理温度が約500℃を超えると、ニッケル層の硬さが低下してしまう。
ニッケルメッキにおけるリンの含有量が10.5〜15質量%の場合、上記熱処理温度が600℃以上で、母材とニッケルが相互に拡散し、母材とニッケル層の結合が進みやすく、しかも700HV以上の硬さが得られやすい。600℃よりも高い熱処理温度は、ニッケルの拡散がより進んで結合がより強固になるとともに、ニッケル層の硬さが700HV以上を確保することができる。リンの含有量が多いと、比較的高い温度で加熱しても析出した共晶体が維持されているものと考えられる。しかしながら900℃を超えると、ニッケルメッキの表面に肌荒れが認められるようになり、ニッケルが溶融することがあることから、熱処理温度は900℃までとする。
ここで、無電解ニッケルメッキによるニッケルメッキ膜中のリン含有量は、メッキ液中の次亜リン酸ナトリウムの含有量およびpH(水素イオン濃度)によって調整することができる。無電解ニッケルメッキ中のリンの含有量は、メッキ処理技術上、15質量%が最大である。
また、無電解ニッケルメッキ被膜中のリンは、母材への浸炭性および母材からのニッケル層への浸炭性および炭素の透過を抑制する作用があり、無電解ニッケルメッキ膜のリン含有量によって、熱処理された母材の炭素含有量を調整することができる。このように、母材への浸炭性の調整は、ガス雰囲気中のカーボンポテンシャルおよび熱処理温度に加え、リン含有量の調整により行うことができる。また、炭素を含有する鉄基合金を用いてそれよりもカーボンポテンシャルが低いガス雰囲気中で加熱する場合では、ニッケル層中のリンの含有はニッケル層への浸炭性を抑制するので、無電解ニッケルメッキ層中のリン含有量を調整することにより、熱処理された母材の炭素含有量を調整することができる。
なお、以上のような鉄系部品の製造方法に使用する鉄系部品は、溶製材料から得られた母材を用いて製造することができることは勿論、焼結材料から得られた母材を用いて製造することができる。
本発明によれば、鉄系部品の優れた摺動なじみ性と耐食性とを実現することができ、これを前提として、鉄系部品において、特に、母材からのニッケル層の剥離を防止することができるとともに、ニッケル層に優れた摺動なじみ性と耐摩耗性と耐食性とを付与し、しかもニッケル拡散層の硬さおよび強度と、ニッケル層の硬さを一層高めることができるといった効果を奏する。
以下に、本発明のより具体的かつ最良の実施形態を説明する。
(1)鉄または鉄基合金からなる母材
メッキされる鉄や鉄合金の母材は、溶製材料および焼結材料のいずれも使用することができる。溶製材料は炭素含有量が僅かな低炭素鋼や種々の合金、例えば機械あるいは一般構造用炭素鋼に適用することができる。また、溶製材料の母材は、塑性加工、打ち抜き、切削、研削などの通常の方法で形成され、必要に応じてバレル研磨、ショットブラストなどの後処理を施すことができる。
これに対し、焼結材料は、添加元素を含まない純鉄、Fe−Cu系、Fe−Cu−C系のような合金系や、機械的強度が高い用途に使用されるNi,Cr,Mo,Vなどの元素を含む焼結合金を使用することができる。また、密度は6.5Mg/m程度とすることができるが、密度が高く気孔が少ないものの方が気孔中にメッキ液が入り難いので好ましい。この場合、焼結体のまま、切削加工、バレル研磨、ショットブラストなどの後加工を施すことができる。
(2)無電解ニッケルメッキ
無電解ニッケルメッキは従来技術による。メッキ工程は、概して、鉄または鉄合金からなる母材に対するアルカリ浸漬脱脂処理、酸活性処理、無電解ニッケルメッキ処理を順次行うことにより実現される。各工程の処理液や処理時間は以下の通りである。
アルカリ浸漬脱脂処理は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを含む水溶液の温液に約10分間浸漬して行う。また、酸活性処理は、塩酸水溶液に約1分間浸漬して行う。さらに、無電解ニッケルメッキは、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび塩化ニッケルを含む水溶液の温液に約25分間浸漬して行う。なお、この無電解ニッケルメッキは、ニッケル・リンメッキとすることができ、この場合にはメッキ液中の次亜リン酸ナトリウムの含有量およびpHによってリン含有量を調整することができる。
(3)ニッケルメッキ層の厚さ
ニッケルメッキ層は製品の寸法精度、耐食性などによってその厚さを適宜設定することができるが、厚さ2〜30μm程度とされ、通常は15μm程度である。ニッケルメッキ層の厚さは、メッキ液に浸漬する時間によって制御することができる。
(4)熱処理
熱処理は、600〜900℃の範囲で加熱した後、放冷などによって冷却するプロセスが採られる。また、この後に、鉄系材料のオーステナイト領域温度で加熱して焼入れし、さらに焼戻しする形態は好ましい熱処理である。このような熱処理方法は、母材へのニッケル拡散効果を期待してより硬い部品を得るために好適である。
熱処理のガス雰囲気は、大気中でもよいが、酸化しにくいガス雰囲気が望ましく、窒素等の無酸化性ガス、分解アンモニアガス等の還元性ガス、浸炭性ガス(例えば、カーボンポテンシャルが0.1〜1.2%の範囲内の水素、窒素、一酸化炭素の混合ガス)のいずれかのガス雰囲気から選択される。
浸炭性ガスは、母材が炭素を含まないものの場合、または母材の炭素含有量が0.6質量%以下の場合に用いられる。浸炭性ガス雰囲気のカーボンポテンシャルは、母材の炭素量に応じて決定される。例えば、炭素量が約0.2質量%の鉄合金の場合は、カーボンポテンシャルは約0.6〜0.8%程度とされる。この場合には、熱処理温度はA変態点以上の約850〜900℃とされ、また、加熱時間は約90〜180分間程度とされる。また、母材への浸炭深さを少なくする場合などでは、カーボンポテンシャルを1.2%程度まで高くすることができる。このような加熱により、ニッケル層およびその深部に位置する母材に浸炭がなされるとともに、ニッケルと鉄とが相互に拡散する。また、ニッケルおよび炭素の含有量は、表面から深部に向かって徐々に減少する。
また、上記浸炭熱処理後に焼入れする場合では、浸炭させる温度領域は比較的高い温度、例えばA変態点より100℃程度高い温度とし、焼入れ準備段階の保持温度をA変態点温度付近、例えばA変態点より50℃程度高い温度とすることができる。このような2段階の加熱を行うことで、浸炭時間を短くすることができ、しかも焼入れ組織が良好なものとなる。焼戻しは、通常行われている態様にしたがい、180℃前後の温度で1時間程度加熱した後、放冷して行う。
母材に炭素を含有するものに対して、熱処理のガス雰囲気を母材の炭素量と同じカーボンポテンシャルとして行うことができる。このような平衡炭素濃度のガス雰囲気による熱処理によれば、ガス雰囲気および母材中からニッケル被膜中に浸炭され、ニッケル層と鉄系材料の炭素量がほぼ同じ状態になるとともに、ニッケルが母材に拡散する。採用する母材は、炭素量が0.4〜0.6質量%程度のものが好ましい。
炭素含有量が比較的多い母材に対する熱処理は、母材の炭素量より少ないカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で行うことができ、この場合、例えば炭素量0.4〜0.9質量%程度の母材を適用することができる。母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で熱処理を行うと、ガス雰囲気および母材中の炭素がニッケル層に浸炭する。母材の表層部は炭素量が減少するとともにニッケルが拡散する。熱処理のガス雰囲気がカーボンポテンシャルがないと、ニッケル被膜への浸炭が母材だけから行われ、母材の炭素量が減少するとともにニッケル被膜表面の炭素量が低いものとなるので、ガス雰囲気のカーボンポテンシャルは0.1%以上にすることが好ましい。このように、ニッケルと鉄とが相互拡散することによりニッケル層と母材とが強固に結合されるので、剪断や衝撃を与えても剥離が起こり難く、また、焼入れしてもひび割れや剥離を生じ難いものになる。
(5)製品の断面組織
ニッケルメッキされた母材を上記ガス雰囲気中で加熱して徐冷した製品は、表面がニッケル層で覆われ、母材は炭素含有量に応じて鉄のパーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織またはフェライト組織になる。また、焼結材料からなる母材を用いたものでは、ニッケル層によって表面が封孔された状態となる。
一方、ニッケルメッキされた鉄または鉄基合金からなる母材を加熱した後、焼入れおよび焼戻しした製品は、炭素を含みニッケルと鉄が拡散している領域が、焼入れ性の向上が図られているため、特に母材の表層部は急冷によってマルテンサイト組織になりやすい状態である。母材のニッケル含有量は、母材の表層から深部に向かって減少するので、母材の表層部がマルテンサイト組織であっても、その深部がトルースタイト組織やベイナイト組織になることがある。炭素を含まない比較的大きい母材の場合は、母材の中心部はフェライト組織になる。
ニッケルメッキされた炭素を含有する母材を、母材の炭素量と同じカーボンポテンシャルのガス中で加熱し徐冷した製品は、パーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織になる。また、炭素を含有する母材を用い、母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で加熱し徐冷した製品も、パーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織になる。鉄基地にニッケルが拡散した領域は、焼入れ性が向上しているため、冷却速度が比較的速い場合は、ベイナイト組織や微細なパーライト組織になる。
このような製品の断面は、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)で、炭素、ニッケル、リンおよび鉄の濃度(この濃度は検出カウント量を示しており、以下同じことを意味するものとする)を分析することができる。例えば、ニッケルメッキされた母材を浸炭性ガス中で加熱して徐冷した製品の断面をEPMAにより分析した各元素の濃度は概して以下の通りである。
すなわち、炭素濃度はニッケル層表面が最も高く、内部に向かって低下する。ニッケル濃度は、ニッケル層の表面に炭素が多く含有しているため、ニッケル層表面では低くなる。また、ニッケル層の深部に向かって炭素量が減少する結果、ニッケル層の表面から僅かに深部ではニッケル濃度は最大値を示し、さらに深部に向かうにつれて鉄基地への拡散によりニッケル濃度は低下する。一方、炭素を含む母材であって、カーボンポテンシャルが低いガス雰囲気中で加熱し冷却した製品の場合には、炭素濃度は、深部よりもニッケルの拡散層の方が低く、ニッケル層の表面が最も低くなる。これは、母材中の炭素がニッケル層に浸炭しているからである。
また、リン濃度は、ニッケル濃度パターンと類似し、ニッケル層表面で低く、やや深部に向かって炭素濃度が減少することにより最大値を示し、さらに深部の鉄とニッケルとが相互に拡散する部位に向かって低下する。なお、ニッケル・リンメッキ被膜中のリン含有量が多いほど、上記炭素濃度が低くなり、表面から炭素が拡散する深さも小さくなる。これに対し、鉄濃度は、ニッケル、炭素またはリンの拡散によって製品の表面に向かって低下する。
(6)製品の外観
熱処理されたニッケル層表面は、光沢がない白灰色を呈する。カーボンポテンシャルの高い浸炭性ガス雰囲気で熱処理したものでは、ニッケル層表面に煤が付着(sooting)する場合があるが、これはバレル研磨などで除去することができる。ニッケル層は熱処理によりピットなどの欠陥がなくなるとともに、母材に冶金的に結合された状態となり、特に、気孔がある焼結材料の場合では表面が封孔されているため、耐食性に優れたものとなる。ニッケルメッキしたままの製品と、それを熱処理した製品とを塩水噴霧試験すると、その差は明白に現れる。
次に、実施例で行った各試験結果を提示して本発明の優位性を実証する。
(1)試験:1「ニッケル拡散層の厚さの調査」
ほぼ純鉄とされる一般構造用圧延材SS400を母材として適宜な試験片に成形し、その表面に無電解ニッケルメッキを施して、P含有量が10.5質量%、厚さ15μmのニッケルメッキ層を形成した。この試験片を必要数得てから、表1に示すように、500℃〜900℃の範囲で100℃おきを熱処理温度とし、当該処理温度で、ガス雰囲気を大気中として、1時間加熱した後、徐冷して、熱処理温度の異なるサンプルを得た。次に、これらサンプルの母材表面からのニッケルの拡散層の厚さを、上記EPMAを用いて調べた。その結果を、図1に示す。
Figure 2006342409
図1で明らかなように、熱処理温度が500℃ではニッケル拡散層は形成されなかったが、600℃では形成され、熱処理温度が高いほど、ニッケル拡散層の厚さは増大した。この試験結果を鑑みると、ニッケルメッキ層のP含有量が10.5質量%以上で、かつ、600℃以上の熱処理温度で、ニッケルの拡散層が形成されることが判った。なお、熱処理温度が900℃を超えると、ニッケルメッキ層の肌荒れや溶融が生じるおそれがあるので、熱処理温度の上限は900℃とされる。
(2)試験:2「P含有量と熱処理温度による硬さの変化」
上記試験1と同じ母材を用いて、その表面に、P含有量が、表2に示すように2質量%、5質量%、9質量%、10.5質量%、13質量%、15質量%の無電解ニッケルメッキ層を厚さ25μmで形成して、P含有量が異なる試験片を必要数得た。次に、表2に示す200〜900℃の熱処理温度で、各試験片に対して上記試験1と同様の熱処理を施し、P含有量および熱処理温度が異なるサンプルを得た。次に、これらサンプルの表面のHV硬さを求めた、その結果を、表1に併記するとともに、図2にグラフ化した。
Figure 2006342409
表2および図2によれば、上記試験1で判ったように、ニッケル拡散層が形成され得る600℃以上の温度で熱処理が施されたもののうち、Pが低含有量(9質量%以下)では、硬さが700HVの条件を満たすことができていない。P含有量が10.5〜15質量%のものでは700HVが確保され、なおかつ、熱処理温度は600℃であるから、ニッケル拡散層が形成されている。したがって、これらの条件、すなわち、P含有量:10.5〜15質量%で、熱処理温度が600〜900℃の条件を満たすと、表面の硬さが700HVで、ニッケル拡散層が形成された部品を得ることができると言える。
(3)試験3 「曲げ試験」
図3に示すように、試験片を台10に置き、角度90°に形成された押し金具11の先端を押し当てて試験片を90°に折り曲げるという方法の曲げ試験を、本発明による試験片と、本発明品ではない比較例である無電解ニッケルメッキした後350℃で熱処理した試験片、および硬質クロムメッキされた試験片(母材は同じ)とに対して行った。試験片の寸法は、幅:30mm、長さ100mm、厚さ:1.0mmとした。
各試験片の折り曲げられた角部の表面側を観察したところ、本発明による試験片のニッケルメッキの状態に格別変化は認められなかったが、比較例の試験片の350℃熱処理品およびクロムメッキには亀裂が生じており、本発明のニッケルメッキ層の母材に対する結合強度の高さが実証された。
(4)試験4 「摩耗試験」
図4に示すように、油槽20の中のオイル21に浸された摩耗材であるφ31mm、厚さ5mmのリング22を回転させ、このリング22の油面から出た面に対して、リンク23を介して錘24の荷重をかけた試験片を押し付け、試験片の摩耗を調べる摩耗試験を、本発明による試験片と、本発明品ではない比較例に対して行った。試験の条件は、錘による荷重:43kg、リングの回転速度である摩擦速度:1m/秒、摩擦距離7600m、オイル:ギヤオイル(ISO粘度グレードVG220相当)、リングの材料:クロムモリブデン鋼 SCM420(熱処理品)、温度:室温、で行った。
本発明の試験片は、実施例A(P含有量11質量%、熱処理温度600℃)、実施例B(P含有量11質量%、熱処理温度850℃)である。また、比較例は、比較例A(硬質クロムメッキされたもの)、比較例B(本発明におけるニッケルメッキされただけで、熱処理されていないもの)である。なお、いずれの試験片も、母材は上記試験1と同様とした。
図5は、上記摩耗試験の結果を示しており、同図によれば、本発明に基づく実施例A,Bおよび比較例Aは、摩耗量が5μmに至らず耐摩耗性に優れていたが、比較例Bは40μm近く摩耗しており、したがって、熱処理が耐摩耗性に有効であることが判った。なお、硬質クロムメッキされた比較例Aは、上記試験3で述べたように、結合強度に難があることが判っている。
熱処理温度とニッケル拡散層の厚さとの関係を示すグラフである。 P含有量および熱処理温度とHV硬さとの関係を示すグラフである。 曲げ試験の方法を模式的に示す図である。 摩耗試験の方法を模式的に示す図である。 摩耗試験の結果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 鉄または鉄基合金の表面が、リン含有量が10.5〜15質量%で、かつ、硬さが700HV以上のニッケル層で被覆され、前記鉄または鉄基合金の基地に、その深部に向かってニッケル量が減少するニッケル拡散層が形成されていることを特徴とする鉄系部品。
  2. 前記ニッケル層が炭素を含有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄系部品。
  3. 前記ニッケル拡散層がマルテンサイトを含む焼入れ金属組織であることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄系部品。
  4. 前記鉄または鉄基合金が溶製材料または焼結材料から製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄系部品。
  5. 耐摩耗性または耐食性が要求される機械要素または機構部品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄系部品。
  6. 鉄または鉄基合金の表面に、リン含有量が10.5〜15質量%の無電解ニッケルメッキを施し、次いで、600〜900℃の範囲で加熱した後、冷却することを特徴とする鉄系部品の製造方法。
  7. 前記加熱を行う際の雰囲気ガスが、大気、無酸化性ガス、還元性ガス、浸炭性ガスのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の鉄系部品の製造方法。
  8. オーステナイト領域温度で加熱した後、焼入れおよび焼戻しを施すことを特徴とする請求項7に記載の鉄系部品の製造方法。
  9. 前記鉄または鉄基合金が、溶製材料または鉄系焼結材料から製造されたものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の鉄系部品の製造方法。

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