JP2009079253A - シャフト及びその製造方法 - Google Patents

シャフト及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009079253A
JP2009079253A JP2007249028A JP2007249028A JP2009079253A JP 2009079253 A JP2009079253 A JP 2009079253A JP 2007249028 A JP2007249028 A JP 2007249028A JP 2007249028 A JP2007249028 A JP 2007249028A JP 2009079253 A JP2009079253 A JP 2009079253A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
shaft
steel
impact
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007249028A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5077814B2 (ja
Inventor
Koji Koyanagi
貢士 小▲柳▼
Naomi Miura
尚美 三浦
Takao Hayashi
孝雄 林
Yoshio Okada
義夫 岡田
Shinichi Araki
新一 荒木
Takahiro Miyazaki
貴大 宮崎
Hidetoshi Inagaki
英利 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd, Nissan Motor Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2007249028A priority Critical patent/JP5077814B2/ja
Publication of JP2009079253A publication Critical patent/JP2009079253A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5077814B2 publication Critical patent/JP5077814B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】良好な耐衝撃曲げ性を有し、しかも良好な耐摩耗と耐焼付き性を備えた高強度シャフトと、このような高強度シャフトの製造方法を提供すること。
【解決手段】質量比で、0.15〜0.60%のC、0.2%以下のSi、0.10〜0.70%のMn、0.03%以下のP、0.03%以下のS、0.1〜1.6%のCr、0.6〜1.5%のMo、0.05〜0.40%のVを含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成る鋼材に、880℃以上の温度で焼入れ処理を施した後、550〜650℃の温度で塩浴軟窒化あるいはガス軟窒化処理を施し、シャフトの内部硬さを400Hv以上、表面から0.05mmの深さ位置における硬さを600Hv以上とし、シャフト表面に25μm以下の厚さの窒化物層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、自動車のトランスミッション、差動装置など駆動伝達部品を始めとする各種の機械装置に用いられるシャフト部品に係わり、特に高い耐摩耗性、耐焼付き性と共に、繰返し衝撃曲げ強度が要求される部位に好適に用いられるシャフトと、その製造方法に関するものである。
高い耐摩耗性、焼付き性に加えて、衝撃入力を繰返し受ける際の曲げ強度を要求されるシャフト部品としては、従来、JIS G 4052に規定されるSCr420H、SCM420H、SCM440H等を母材として、浸炭焼入れ焼戻し後、550〜650℃にて塩浴軟窒化処理を施したものが使用されている。
また、従来の差動ピニオン及びメートシャフトとしては、例えば上記JIS規格に規定される構造用鋼鋼材を材料としており、互いの摺動接触部分の耐摩耗性等を高めるために、差動ピニオンの内周面に摺動接触するメートシャフトの外径面に、軟窒化処理又はニッケル−リンめっきを施したものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−30338号公報
一方、窒化用鋼としては、Cr、Mo、Vと共に、Alを適量添加することによって、焼入れ焼戻し処理を行うことなくフェライト+ベイナイト組織とし、もって優れた被削性と素材強度を両立させることが開示されている(特許文献2参照)。
特開平8−176732号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、浸炭焼入れ後の焼戻し温度130〜200℃に対して、塩浴軟窒化処理温度が550〜650℃と高いため、浸炭材が本来有している衝撃曲げ強度が低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載の窒化用鋼は、フェライト+べイナイトの金属組織であるため、マルテンサイト金属組織からなる素材よりは強度が劣ることになる。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、その目的とするところは、良好な耐衝撃曲げ性を有し、しかも良好な耐摩耗と耐焼付き性を備えたシャフト部品を実現することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、シャフトに用いる鋼の成分組成や、熱処理条件等について鋭意検討を重ねた。その結果、MoとVを含有させることによって、これらの炭窒化物の析出による二次硬化が生じ、550〜650℃の条件下で軟窒化処理を施してもシャフトの耐衝撃曲げ性が低下せず、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明のシャフトは、質量比で、0.15〜0.60%のC、0.2%以下のSi、0.10〜0.70%のMn、0.03%以下のP、0.03%以下のS、0.1〜1.6%のCr、0.6〜1.5%のMo、0.05〜0.40%のVを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成り、内部のビッカース硬さが400Hv以上、表面から0.05mmの深さ位置におけるビッカース硬さが600Hv以上であると共に、表面に25μm以下の厚さの窒化物層を備えていることを特徴とする。
また、本発明のシャフトの製造方法においては、質量比で、0.15〜0.60%のC、0.2%以下のSi、0.10〜0.70%のMn、0.03%以下のP、0.03%以下のS、0.1〜1.6%のCr、0.6〜1.5%のMo、0.05〜0.40%のVを含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成る鋼材に、880℃以上の温度で焼入れ処理を施した後、550〜650℃の温度で塩浴軟窒化あるいはガス軟窒化処理を施すことを特徴としている。
本発明によれば、質量比で、0.15〜0.60%のC、0.2%以下のSi、0.10〜0.70%のMn、0.03%以下のP、0.03%以下のS、0.1〜1.6%のCr、0.6〜1.5%のMo、0.05〜0.40%のVを含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成るものであり、内部のビッカース硬さが400Hv以上、表面から0.05mmの深さ位置におけるビッカース硬さが600Hv以上、さらに表面に25μm以下の厚さの窒化物層を備えているため、耐衝撃曲げ性、耐摩耗、耐焼付き性に優れたシャフトとすることができる。
また、このようなシャフトは、上記成分の鋼材に、880℃以上の温度で焼入れ処理を施した後、550〜650℃の温度で塩浴軟窒化又はガス軟窒化処理を施すことにより得ることができる。
以下、本発明のシャフトとその製造方法について、各合金成分の作用及びその数値限定理由と共に、さらに詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り、質量百分率を意味するものとする。
本発明は、上記したように、MoとVを含有させると、これら元素の炭窒化物が析出して二次硬化をするため、550〜650℃という高温度の条件下で軟窒化処理を施してもシャフトの耐衝撃曲げ性が低下しないという知見に基づくものである。
そして、本発明によれば、良好な耐衝撃曲げ性と共に、良好な耐摩耗、耐焼付き性を備えたシャフト部品を実現することができ、例えばディファレンシャル機構用ピニオンメートシャフトなどに適用することができる。
本発明においては、上記成分に加えて、後述するような所定量のTi及び/又はNbを添加することができ、これによって高温焼入れによる結晶粒の粗大化を防止して、基地の靭性強化を図ることができる。
また、素材鋼の被削性を向上させる観点からは、Pb、Bi及びCaのうちの少なくとも1種を後述する範囲内で添加することが望ましい。
以下に、本発明における各成分元素の作用と共に、その数値限定理由について説明する。
C:0.15〜0.60%
Cは、熱処理によって所要の強度を得るために有効であるので、そのために含有させる元素である。
しかし、Cの含有量が0.15%未満では効果に乏しい。一方、0.60%を超えると靭性低下による衝撃曲げ強度の低下をもたらすと共に、素材の硬さの上昇を招き、加工コストの増大を招くことがある。したがって、C含有量については、0.15〜0.60%の範囲内とすることが必要となる。
Si:0.2%以下
Siは、オーステナイト化時の高温加熱による粒界酸化を助長する元素であり、粒界強度低下により衝撃曲げ強度を劣化させる。また、PやSなどの不純物元素の粒界への偏析を助長する作用があり、これも衝撃曲げ強度を劣化させる要因となる。さらに、素材の硬さの上昇を招くことがある。
これらのことから、Si含有量は低い方が望ましく、0.2%以下に限定することが必要となる。
Mn:0.10〜0.70%
Mnは、鋼溶製時の脱酸剤として有効であると共に、焼入性の向上に寄与する元素であるが、Siと共に焼入れ時の粒界酸化を助長し、衝撃曲げ強度を劣化させる。また、Siと同様にPやSなどの不純物元素の粒界への偏析を助長し、衝撃曲げ強度を劣化させる要因になる元素である。さらに、素材の硬さの上昇を招くことがある。
したがって、Mn含有量は、脱酸剤としての有効量以上に添加することは望ましくなく、0.10〜0.70%とする必要がある。
P:0.03%以下
Pは、オーステナイト域に加熱するとオーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させて耐衝撃特性を劣化させるので、低い方が望ましく、その含有量を0.03%以下とする必要がある。
S:0.03%以下
Sは、Pと同様にオーステナイト域に加熱するとオーステナイト粒界に偏析し、粒界を脆化させて耐衝撃特性を劣化させるので、低いことが望ましく、その含有量を0.03%以下とすることが必要である。
Cr:0.1〜1.6%
Crは、焼入性を向上させる作用があるので、そのために含有させる元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上含有させる必要があるが、1.6%を超えて過剰に添加すると、SiやMnと同様に粒界酸化を助長して、オーステナイト粒界の脆化を招いて耐衝撃特性を却って低下させることになる。
したがって、Cr含有量は、0.1〜1.6%の範囲内とする。
Mo:0.6〜1.5%
Moは、鋼の焼入れ性を向上させるとともに、結晶粒の微細化及びオーステナイト粒界の強度向上に寄与すると共に、焼戻し時に十分な二次硬化をもたらし、良好な母材強度を得るのに効果的な元素である。すなわち、550℃を超える条件の軟窒化処理温度においても、ビッカース硬さ400Hv以上の高い硬さを得るために添加する元素である。
しかし、含有量が0.6%未満では効果に乏しい一方、多くなると効果が飽和するばかりでなく、巨大な一次炭化物が析出して靭性低下による衝撃曲げ強度の低下をもたらすので、その上限を1.5%とする。
V:0.05〜0.40%
Vは、Moと同様に、焼戻し時にバナジウム炭化物を形成させて、十分な二次硬化及び母材強度を得るために含有させる元素である。
このような効果を得るためには、0.05%以上含有させる必要があるが、過剰に添加すると巨大な一次炭化物が晶出し、焼入れ時に残存して二次硬化に寄与するV固溶量が飽和するばかりでなく、靭性低下による衝撃曲げ強度の低下をもたらすので、その上限を0.40%とする。
Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%
Ti及びNbは、いずれも結晶粒の微細化に寄与し、強靱化に有効な元素であるため、必要に応じて、これらの一方又は両方を上記範囲内で添加することができる。
Tiは、焼戻し時の二次硬化に寄与するMo及びVを焼入れ時に十分溶け込ますためには880℃以上の高温焼入れが必要であるが、一方において結晶粒の粗大化を招くので、これを抑えるために添加する元素である。すなわち、Tiは、微細な炭化物を形成し、結晶粒の微細化に寄与する。このような効果を得るには、0.01%以上含有させる必要があるが、多くなり過ぎても効果が飽和するばかりでなく、素材硬さの上昇を招くので、その上限を0.10%とする。
一方、Nbは、微細な炭・窒化物を形成し、結晶粒の微細化に寄与し、基地の靭性強化に有効な元素であるが、含有量が0.01%未満では効果に乏しい。また、0.20%を超えて添加しても、効果が飽和するので、その上限を0.20%とする。すなわち、Nbは、TiCによる結晶粒微細化効果が不十分な場合、Nb(C,N)を析出させ、その析出物を利用するために含有させる。
Pb:0.3%以下、Bi:0.1%以下、Ca:0.1%以下
Pb、Bi、Caは、いずれも被削性を向上させるのに有効な元素であり、さらに良好な被削性が要求される場合に、必要に応じてこれらのうちから選ばれる1種又は2種以上を適量添加することができる。
すなわち、Pb及びBiは、金属粒として鋼中に分散し、切欠き効果により切削抵抗を減らすと共に、切削熱により溶融することによって工具と切屑の摩擦を減らし、被削性のさらなる改善効果を発揮する。しかし、過剰に添加すると、その鋼の靭性を低下させるため、Pbの上限を0.3%、Biの上限値については0.1%とすることが望ましい。
また、Caは、鋼中でアノールサイト,ゲーレナイトといったCaを含有した酸化物系介在物を形成し、切削時に工具すくい面にベラーグと呼ばれる皮膜を形成することによって、特に旋削工具寿命を改善する機能を有する。しかし、0.1%を超えると鋼の靭性を低下させるため、その含有量を0.1%以下に限定する。
次に、本発明の高強度シャフトの製造方法において、焼入れ温度を880℃以上に、軟窒化処理温度を550〜650℃に限定する理由について説明する。
本発明の高強度シャフトの製造方法においては、MoやV系炭化物の析出による二次硬化を利用するようにしており、この二次硬化を十分に得るためには焼入れ前のMoやV系炭化物を十分に固溶させる必要があるため、焼入れ温度を880℃以上とする。880℃に満たない温度で焼入れを行うと、衝撃曲げ強度の劣化を招く。
一方、軟窒化処理については、この処理の間に、焼入れ組織が焼戻しされるため、これらの炭化物を析出させて十分な二次硬化を得るためには、当該軟窒化処理温度を550℃以上とする必要がある。また、軟窒化処理温度が650℃を超えると焼戻しによる軟化が始まり、鋼母材で400Hv以上のビッカース硬さが得られなくなるので、その上限温度を650℃とする必要がある。
本発明においては、衝撃曲げ強度を確保するために、2つの破損形態に対する強度向上方策を講じている。
すなわち、シャフトの内部硬さを400Hv以上とすることにより耐変形性を確保し、さらに、シャフト外形表面からの深さが0.05mmの位置におけるビッカース硬さを600Hv以上とすることによって、衝撃入力があった際にシャフト表層で破壊が生じる限界を向上させている。
また、軟窒化処理を施すことにより、シャフト外形面に厚さ25μm以下の窒化物層、すなわち鉄と窒素の化合物からなる窒化物層が形成される。
なお、本発明において「窒化物層」とは、鋼母材の表層付近に炭素や窒素などが拡散して強化される層を含まない。すなわち、母材の表面上に形成される化合物層を意味するものとする。
この窒化物層は、ビッカース硬さで約1000〜1200Hv程度であり、良好な耐摩耗性、耐焼き付き性を有している一方、硬くて脆いという性質があるため、窒化物層が厚すぎると、摺動時の振動や衝撃入力によって、割れが発生する恐れがある。このような理由によって、窒化物層の厚さ上限を25μmとする必要がある。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて、さらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔試験片の準備〕
表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、続いて、常法に基づいて圧延、焼きならした後、図1に示すように、径15mm、長さ107mmの棒状をなし、機械加工仕上げにより一端側に5mm径の貫通孔を備えた耐衝撃特性試験片に加工した。そして、各試験片について、表2に示すそれぞれの条件のもとに、熱処理と、軟窒化や被膜処理などの表面処理を行った。これら処理後の試験片の硬さや硬質表面処理膜の厚さの測定結果を表2に併せて示す。
また、焼付き試験に供するために、径5mm、長さ30mmのシャフト状試験片に加工し、同様の熱処理及び表面処理を行ったのち、その表面粗さをRaで0.2μm程度に仕上げた。
なお、鋼を電炉溶製する場合には、Cu、Niが不純物として混入することがあるが、これらの成分量がそれぞれ0.30%以下であれば、何ら問題ないことを確認している。
Figure 2009079253
Figure 2009079253
〔耐衝撃特性試験〕
上記によって得られた耐衝撃特性試験片(図1)を図2に示すように4点で支持し、そのうちの2点に480Nの衝撃入力を繰返し加える試験を行い、破断に到るまでの回数、及び100回の繰返し入力時の変形量を測定した。その結果を表3に示す。
なお、試験結果については、比較例2の結果を「1」とする相対比で表記した。また、破断回数については、比較例2に対する破断回数比が5.0を超えるものを「○」、100回入力時の変形量については、比較例2に対する変形量比が3.0を超えないものを「○」と評価した。
その結果、比較例1〜3、5、7、9に較べて、A鋼、B鋼、C鋼、D鋼を用いた実施例1〜4の破断に到るまでの回数が多く、また、繰返し入力に対する塑性変形量については、実施例1〜4のものが、比較例1、3、5〜7、8よりも少ないことから、耐衝撃性が必要なシャフト部品として、実施例1〜4によるものが有利であることを示している。
また、550〜650℃の温度条件下でガス軟窒化又は塩浴軟窒化処理を施した実施例1〜4、及び比較例4においては、シャフト内部がビッカース硬さ400Hv以上、かつシャフト外形表面からの深さ0.05mm位置でのビッカース硬さが600Hv以上であった。これに対して、同様の温度条件下で塩浴軟窒化を施した比較例1では、Mo,V成分の添加量が不足しており、シャフト内部のビッカース硬さが400Hvに達していないために、耐衝撃性が劣る結果となった。
また、比較例2では、浸炭焼入れ焼戻しの後、95℃で燐酸マンガン皮膜処理を実施しており、シャフト内部硬さ400Hv以上、シャフト外形表面からの深さ0.05mm位置でのビッカース硬さ600Hv以上が得られているものの、炭素濃度の高い浸炭層を有していることから、シャフト表層付近の靭性が不足しており、耐衝撃特性に劣る結果となった。
比較例3では、焼入れ処理の後、550℃以上での焼戻し処理を施すことにより、シャフトの靭性は比較例2によりも向上するものの、シャフト内部及びシャフト外形表面からの深さ0.05mm位置でのビッカース硬さが309Hvと不足しているために、実施例よりも耐衝撃性に劣ることが確認された。
さらに、比較例5、6、7の化学成分組成では、Mo,V成分の添加量が不足しており、熱処理によってシャフト内部硬さ400Hv以上を確保できず、耐衝撃特性に劣る結果であった。また、比較例9では、焼入れ焼戻しの熱処理を行っていないために、シャフト内部の硬さについて400Hv以上を確保することができず、耐衝撃特性に劣る結果となった。
〔焼付き試験〕
図3に示すように、上記によって得られたシャフト状試験片Sを周速0.4m/sで回転させ、これにブロック状試験片B(10×10×30mm)を押し付け、焼付きが発生するときの荷重を測定した。
このとき、両試験片A,Bの摺接面には、潤滑油を毎分3cc滴下し、ブロック状試験片Bのシャフト状試験片Sとの摺接面の表面粗さについては、Raで1.5μm程度とした。
その結果を表3に併せて示す。
なお、試験結果については、比較例2の結果を「1」とする相対比で表記した。また、比較例2に対する焼付き荷重比が1.8以上のものを「○」評価した。
表3に示すように、窒化物層を有する実施例1〜4、及び比較例1、9では、窒化処理無しの比較例2、3、5、6、8に対して、耐焼付き性が向上していることが判明した。 また、比較例4では、窒化処理によって形成される窒化物層の厚さが27μmと厚すぎるために、試験時に割れが発生した。
Figure 2009079253
耐衝撃特性試験に用いる試験片の形状を示す平面図及び側面図である。 耐衝撃特性試験の実施要領を示す説明図である。 焼付き試験の実施要領を示す説明図である。

Claims (6)

  1. 質量比で、C:0.15〜0.60%、Si:0.2%以下、Mn:0.10〜0.70%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1〜1.6%、Mo:0.6〜1.5%、V:0.05〜0.40%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成り、内部のビッカース硬さが400Hv以上、表面から0.05mmの深さ位置におけるビッカース硬さが600Hv以上であると共に、表面に25μm以下の厚さの窒化物層を備えていることを特徴とするシャフト。
  2. 質量比で、C:0.15〜0.60%、Si:0.2%以下、Mn:0.10〜0.70%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1〜1.6%、Mo:0.6〜1.5%、V:0.05〜0.40%に加えて、Ti:0.01〜0.20%及びNb:0.01〜0.20%の少なくとも一方を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成ることを特徴とする請求項1に記載のシャフト。
  3. 質量比で、C:0.15〜0.60%、Si:0.2%以下、Mn:0.10〜0.70%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1〜1.6%、Mo:0.6〜1.5%、V:0.05〜0.40%に加えて、Pb:0.3%以下、Bi:0.1%以下及びCa:0.1%以下から成る群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成ることを特徴とする請求項1に記載のシャフト。
  4. 質量比で、C:0.15〜0.60%、Si:0.2%以下、Mn:0.10〜0.70%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1〜1.6%、Mo:0.6〜1.5%、V:0.05〜0.40%に加えて、Ti:0.01〜0.20%及びNb:0.01〜0.20%の少なくとも一方と、Pb:0.3%以下、Bi:0.1%以下及びCa:0.1%以下から成る群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である鋼から成ることを特徴とする請求項1に記載のシャフト。
  5. ディファレンシャル機構用ピニオンメートシャフトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のシャフト。
  6. 質量比で、C:0.15〜0.60%、Si:0.2%以下、Mn:0.10〜0.70%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:0.1〜1.6%、Mo:0.6〜1.5%、V:0.05〜0.40%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から成る鋼材に、880℃以上の温度で焼入れ処理を施した後、550〜650℃の温度で塩浴軟窒化又はガス軟窒化処理を施すことを特徴とするシャフトの製造方法。
JP2007249028A 2007-09-26 2007-09-26 シャフト及びその製造方法 Active JP5077814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007249028A JP5077814B2 (ja) 2007-09-26 2007-09-26 シャフト及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007249028A JP5077814B2 (ja) 2007-09-26 2007-09-26 シャフト及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009079253A true JP2009079253A (ja) 2009-04-16
JP5077814B2 JP5077814B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=40654230

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007249028A Active JP5077814B2 (ja) 2007-09-26 2007-09-26 シャフト及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5077814B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012163391A1 (en) * 2011-05-27 2012-12-06 Società Bulloneria Europea S.B.E. Spa Process for manufacturing engine starting motor shafts
WO2023203838A1 (ja) * 2022-04-18 2023-10-26 ジヤトコ株式会社 歯車

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077411A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Daido Steel Co Ltd 疲労強度および摩耗特性にすぐれた機械構造部品とその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077411A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Daido Steel Co Ltd 疲労強度および摩耗特性にすぐれた機械構造部品とその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012163391A1 (en) * 2011-05-27 2012-12-06 Società Bulloneria Europea S.B.E. Spa Process for manufacturing engine starting motor shafts
WO2023203838A1 (ja) * 2022-04-18 2023-10-26 ジヤトコ株式会社 歯車

Also Published As

Publication number Publication date
JP5077814B2 (ja) 2012-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4659139B2 (ja) 高周波焼入れ用鋼
JP5432105B2 (ja) 肌焼鋼およびその製造方法
JP5099276B1 (ja) 面疲労強度に優れたガス浸炭鋼部品、ガス浸炭用鋼材およびガス浸炭鋼部品の製造方法
JP6088322B2 (ja) 耐焼付き性に優れた歯車
JP4688727B2 (ja) 浸炭部品およびその製造方法
JP4941252B2 (ja) 動力伝達部品用肌焼鋼
JP7152832B2 (ja) 機械部品
JP2006307273A (ja) 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた軟化焼鈍の省略可能な肌焼用鋼およびその製法
JP5299118B2 (ja) 真空浸炭用鋼および真空浸炭部品
JP5886119B2 (ja) 肌焼鋼鋼材
JP2006307271A (ja) 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた軟化焼鈍の省略可能な肌焼用鋼およびその製法
JP4502929B2 (ja) 転動疲労特性および結晶粒粗大化防止特性に優れた肌焼用鋼
JP2006307272A (ja) 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた肌焼用鋼およびその製法
JP2006161144A (ja) 高温浸炭特性と熱間鍛造性に優れた浸炭用圧延鋼材
JP2006348321A (ja) 窒化処理用鋼
JP2006193827A (ja) 軟窒化用鋼及び軟窒化部品の製造方法
JP4847681B2 (ja) Ti含有肌焼き鋼
JP4488228B2 (ja) 高周波焼入れ用鋼材
JP2006307270A (ja) 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた肌焼用鋼およびその製法
JP6225613B2 (ja) 肌焼鋼鋼材
JP2006265703A (ja) 耐結晶粒粗大化特性と冷間加工性に優れた肌焼用鋼およびその製法
JP5077814B2 (ja) シャフト及びその製造方法
JPH11229032A (ja) 軟窒化用鋼材の製造方法及びその鋼材を用いた軟窒化部品
JP2016102253A (ja) 鋼部品
WO2017146057A1 (ja) 転動疲労寿命の安定性に優れた鋼材および浸炭鋼部品、並びにそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120423

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120618

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20120629

TRDD Decision of grant or rejection written
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120806

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5077814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120819