JP5299118B2 - 真空浸炭用鋼および真空浸炭部品 - Google Patents

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Description

本発明は、真空浸炭あるいは真空浸炭窒化に用いられる鋼と、真空浸炭後に焼入−焼戻しを施された部品(以下、「真空浸炭部品」という。)あるいは真空浸炭窒化後に焼入−焼戻しを施された部品(以下、「真空浸炭窒化部品」という。)とに関する。詳しくは、成分コストが低く、熱間および冷間での圧延、鍛造などの加工の際に良好な加工性を有し、真空浸炭あるいは真空浸炭窒化に好適に用いることができる鋼と、その鋼を素材とし、曲げ疲労強度および耐ピッチング性に優れる真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品とに関する。
自動車部品、なかでもトランスミッションなどに使用される自動車用歯車は、歯元の曲げ疲労強度向上および歯面のピッチング強度向上の観点から、一般に、浸炭焼入などの表面硬化処理を行った後、焼戻しを施して製造されている。
なお、上記の「浸炭焼入」は、一般に、素材鋼(生地の鋼)として低炭素の「肌焼鋼」を使用し、Ac3点以上の高温のオーステナイト域でCを侵入・拡散させた後、焼入する処理であり、従来は「ガス浸炭焼入」が主流であった。
しかしながら、近年では、表層に浸炭異常層が生成することを防止するために、減圧された真空に近い雰囲気下において炭化水素系ガスを用いて浸炭処理し、その後に焼入する「真空浸炭焼入」も普及している。さらに、真空浸炭時にアンモニアガスも同時に流して、CおよびNを同時に侵入・拡散させた後に焼入して、固溶Nや窒化物による強化を同時に利用する「真空浸炭窒化焼入」も行われるようになっている。
これは、近年、自動車に対して、軽量化・高トルク化が要求されており、このため、上記自動車用歯車など浸炭部品に、従来にも増して高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度とが必要になってきたためである。なお、本明細書においては、以下「浸炭部品」および「浸炭窒化部品」を「歯車」で代表させて説明することがある。
肌焼鋼にNi、CrおよびMoなどの合金元素を多量に含有させると、歯車に高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を確保させることができるものの、合金元素増量による成分コストの上昇を招いてしまう。
しかしながら一方で、NiとMoはいずれも、浸炭層の深さおよび芯部(生地)の硬さを大きくする重要な元素であり、浸炭層の焼入性を向上させる効果も有している。
このため、歯車の素材となる「肌焼鋼」には、JIS G 4052(2008)に規定されたSNCM220Hなどの「ニッケルクロムモリブデン鋼」やSCM822Hなどの「クロムモリブデン鋼」が使用されることが多いが、特に近年のNiおよびMoの価格高騰の状況を踏まえて、NiおよびMoの含有量を極力抑えて成分コストが低く、しかも、歯車に高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を具備させることができる肌焼鋼に対する要望が極めて大きくなっている。
さらに、上述の真空浸炭焼入、さらには真空浸炭窒化焼入の普及に伴って、真空浸炭、さらには真空浸炭窒化に適した肌焼鋼に対する要望も大きくなっている。
前記した要望に応えるべく、例えば、特許文献1および特許文献2にそれぞれ、「短時間で浸炭可能な肌焼鋼および浸炭部品」および「浸炭部品およびその製造方法」が提案されている。
具体的には、特許文献1に、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.3〜1.0%、Cr:0.3〜2.0%、Al:0.01〜0.10%およびN:0.001〜0.020%を含有し、必要に応じてさらに、(a)Ni:0.05〜3.00%およびMo:0.05〜1.00%、(b)Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.20%およびB:0.001〜0.010%、の2グループのうちの元素を1または2以上組み合わせて含有し、残部Feおよび不可避な不純物からなる合金組成を有し、〔Q=34140−605[%Si]+183[%Mn]+136[%Cr]+122[%Mo]〕の式により定義される炭素拡散の活性化エネルギーQの値が34000(kcal)以下であることを特徴とする短時間で浸炭可能な肌焼鋼およびこの肌焼鋼を素材とする浸炭部品が開示されている。
また、特許文献2に、母材が、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.35%を超えて2%以下、Mn:3%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:0.03%以下(0%を含まない)を含有し、必要に応じてさらに、(a)Cu:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下(0%を含まない)、(b)Mo:1%以下(0%を含まない)、(c)Ti:0.2%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)およびNb:0.2%以下(0%を含まない)、(d)B:0.003%以下(0%を含まない)、(e)Ca:0.02%以下(0%を含まない)、Mg:0.02%以下(0%を含まない)およびTe:0.05%以下(0%を含まない)、の5グループのうちの元素を1または2以上組み合わせて含有し、P:0.03%以下、S:0.03%以下およびO:0.002%以下を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、浸炭硬化層のC濃度が0.9%以上で、その組織はベイナイトとセメンタイトを含んでおり、かつ最大硬さが650Hv以上であることを特徴とする浸炭部品およびその製造方法が開示されている。
特開2005−36269号公報 特開2007−308772号公報
前述の特許文献1で開示された技術は、浸炭時間を短くするために炭素拡散の活性化エネルギーQの値を低く抑える技術的思想を有するものの、素材鋼を熱間圧延したり所望の製品形状に熱間鍛造あるいは冷間鍛造する際に割れの起点となる粗大なMnSの生成を抑制することについての配慮がなされていない。このため、熱間圧延や熱間鍛造などの熱間加工性および冷間鍛造性が低下して工業的規模での生産において割れが多発して製品歩留りの大きな低下を招いてしまうことがあり、さらに、上記の粗大なMnSそのものが、曲げ疲労強度およびピッチング強度を低下させるので、所望の高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度が確保できるとはいえないものであった。
特許文献2で開示された技術は、高い曲げ疲労強度を確保するために、鋼成分、浸炭硬化層のC濃度、組織および最大硬さを規定することを技術的思想とする。しかしながら、特許許文献1と同様に、粗大なMnSの生成を抑制することについての配慮がなされていない。このため、熱間圧延や熱間鍛造などの熱間加工性および冷間鍛造性が低下して工業的規模での生産において割れが多発して製品歩留りの大きな低下を招いてしまうことがあり、さらに、上記の粗大なMnSそのものが、曲げ疲労強度およびピッチング強度を低下させるので、所望の高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度が確保できるとはいえないものであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、高価な元素であるNiおよびMoを極力含有しない場合であっても、「浸炭部品」および「浸炭窒化部品」に対して、高い曲げ疲労強度とピッチング強度を確保させることができるとともに成分コストが低く、しかも、熱間および冷間での圧延、鍛造などの際の良好な加工性も具備する真空浸炭用鋼あるいは真空浸炭窒化用鋼および、これらの鋼を素材とし、JIS G 4052(2008)に規定された「クロムモリブデン鋼」のSCM822Hを素材とするガス浸炭部品と同じ程度あるいはそれを上回る曲げ疲労強度とピッチング強度を備える真空浸炭部品あるいは真空浸炭窒化部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、種々の検討を行った。その結果、先ず、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)NiおよびMoを極力含有させることなく、高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を確保するためには、鋼の成分組成を、NiおよびMo含有量低減のために生ずる焼入性の低下を抑止することができるものとする必要がある。
(b)粗大なMnSの生成によって、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下が生じるので、高い曲げ疲労強度および高いピッチング強度の確保のためには、粗大なMnSの生成を抑制することが必要である。
(c)粗大なMnSは熱間圧延や熱間鍛造などの熱間加工時の割れおよび冷間鍛造時の割れの起点となる。このため、熱間加工時の割れおよび冷間鍛造時の割れを抑制するためにも粗大なMnSを極力少なくする必要がある。
(d)粗大なMnSを極力少なくするためには、MnとSの個々の含有量の制御だけではなく、MnとSの含有量バランスを適正化することが必要である。具体的には、式中の元素記号を、その元素の質量%での含有量として、〔fn1=Mn/S〕の式で表されるfn1の値を30以上150以下に制御することによって、粗大なMnSの生成を抑制することができる。このため、良好な熱間加工性および冷間鍛造性を確保して熱間加工時および冷間鍛造時の割れを抑制するとともに、高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を確保するためには、MnおよびSの個々の含有量を制御するとともに、それらが前記の関係式を満たすようにする必要がある。
そこでさらに、NiおよびMoの含有量低減に見合う分の焼入性を確保し、しかも、MnとSの含有量とそのバランスを適正化して粗大なMnSの生成を抑制した鋼について、種々の検討を行った。その結果、下記(e)〜(g)の知見を得た。
(e)高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を確保するためには、ASTM−E45−05のA法に準拠して測定したタイプBおよびタイプDの大型の硬質介在物、つまり、主にAl23系介在物であるタイプBの介在物および主にTiN系介在物であるタイプDの介在物のうちで厚さの大きいものを抑制する必要がある。これは、上述したタイプBおよびタイプDの大型の硬質介在物が疲労破壊の起点となるためである。
(f)上記のタイプBおよびタイプDの大型の硬質介在物を抑制するためには、不純物のうちでも特にTiおよびO(酸素)の含有量をそれぞれ、0.005%未満および0.0015%以下に制御する必要がある。また、タイプBおよびタイプDの大型の硬質介在物を抑制するためには、真空溶解炉で溶製して鋳型に鋳込んでインゴットとするか、転炉で溶製する場合には、二次精錬を繰り返すか、連続鋳造の際に電磁攪拌を行うことが望ましい。
(g)真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品に、高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を具備させるためには、生地である芯部の化学組成について、個々の元素の含有量を適正化することはもちろんのこと、さらに、C、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVの含有量を旧オーステナイト結晶粒度番号との関係で制御する必要がある。具体的には、式中の元素記号を、その元素の質量%での含有量、GNを旧オーステナイト結晶粒度番号として、〔fn2=(−0.0285GN+0.5395)×C0.5044×(0.7Si+1)×(−1.2762Mn5+5.5796Mn4−7.9762Mn3+4.5631Mn2+2.3728Mn+1.047)×(0.3636Cu+1)×(0.3636Ni+1)×(2.1611Cr+1)×(3Mo+1)×(1.7278V+1)〕の式で表されるfn2の値を2.0以上7.0以下に制御する必要がある。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(3)に示す真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼、および(4)に示す真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品にある。
(1)質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.2〜0.5%、Mn:0.90〜1.80%、S:0.005〜0.030%、Cr:0.6%以上で1.4%未満、Mo:0.03〜0.10%、Al:0.010〜0.050%およびN:0.0100〜0.0250%を含有するとともに、下記の式(1)で表されるfn1が30〜150の範囲であり、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のP、TiおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.020%以下、Ti:0.005%未満およびO:0.0015%以下であることを特徴とする真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
fn1=Mn/S・・・(1)
ただし、式(1)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.20%以下およびNi:0.20%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、V:0.20%以下およびNb:0.050%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
(4)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼を素材として、真空浸炭後に焼入−焼戻しを施された部品または真空浸炭窒化処理後に焼入−焼戻しを施された部品であって、下記の式(2)で表されるfn2が2.0〜7.0の範囲であることを特徴とする真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品。
fn2=(−0.0285GN+0.5395)×C0.5044×(0.7Si+1)×(−1.2762Mn5+5.5796Mn4−7.9762Mn3+4.5631Mn2+2.3728Mn+1.047)×(0.3636Cu+1)×(0.3636Ni+1)×(2.1611Cr+1)×(3Mo+1)×(1.7278V+1)・・・(2)
ただし、式(2)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表し、GNは、部品の芯部における旧オーステナイト結晶粒度番号を示す。
なお、残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石やスクラップあるいは環境などから混入するものを指す。
部品の芯部とは、浸炭または浸炭窒化による影響を受けていない部分、つまり、表面からの距離が浸炭層または浸炭窒化層よりも大きい部分を指す。
本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼は成分コストが低く、熱間および冷間での圧延、鍛造などの際の良好な加工性を有し、しかも、この鋼を素材とする真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品は、JIS G 4052(2008)に規定された「クロムモリブデン鋼」のSCM822Hを素材とするガス浸炭部品と同じ程度あるいはそれを上回る曲げ疲労強度とピッチング強度を具備している。このため、本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼は、自動車用歯車などのように、軽量化・高トルク化を達成するために高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度とが要求される各種部品の素材として用いるのに好適である。
実施例で用いた切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片の棒鋼から切り出したままの粗形状を示す図である。 実施例で用いたローラーピッチング小ローラー試験片の棒鋼から切り出したままの粗形状を示す図である。 実施例で用いたローラーピッチング大ローラー試験片の棒鋼から切り出したままの粗形状を示す図である。この図3において、(a)は粗形状のローラーピッチング大ローラー試験片を中心線で半割りにした場合の正面図で、また(b)は中心線における断面図である。 実施例において、鋼1〜5、鋼7および鋼9〜12を素材とする図1および図2に示す試験片に施した「真空浸炭焼入−焼戻し」のヒートパターンを示す図である。 実施例において、鋼6を素材とする図1および図2に示す試験片に施した「真空浸炭窒化焼入−焼戻し」のヒートパターンを示す図である。 実施例において、鋼8を素材とする図1および図2に示す試験片に施した「ガス浸炭焼入−焼戻し」のヒートパターンを示す図である。なお、図中のCpはカーボンポテンシャルを表す。 実施例において、鋼13を素材とする図3に示す試験片に施した「真空浸炭焼入−焼戻し」のヒートパターンを示す図である。 実施例で用いた切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片の仕上形状を示す図である。 実施例で用いたローラーピッチング小ローラー試験片の仕上形状を示す図である。 実施例で用いたローラーピッチング大ローラー試験片の仕上形状を示す図である。この図10において、(a)はローラーピッチング大ローラー試験片を中心線で半割りにした場合の正面図で、また(b)は中心線における断面図である。 実施例で行った熱間圧縮試験について説明する図で、図中の(a)および(b)はそれぞれ、熱間での圧縮試験前および圧縮試験後の試験片の寸法と形状を模式的に示す図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成について:
C:0.15〜0.30%
Cは、歯車の強度確保のために必須の元素であり、0.15%以上の含有量が必要である。しかしながら、Cの含有量が多すぎると硬さが大きくなって被削性の低下を招き、特に、その含有量が0.30%を超えると、硬さ上昇に伴う被削性の低下が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.30%とした。
なお、より一層良好な被削性が要求される場合には、C含有量の上限を0.25%とすることが好ましい。
Si:0.2〜0.5%
Siは、焼入性を向上させる作用および脱酸作用を有する。また、Siは焼戻し軟化抵抗を高める作用を有し、高温状況下での鋼の軟化を防ぐ効果がある。これらの効果を得るには、0.2%以上のSiを含有する必要がある。しかしながら一方、Siの含有量が0.5%を超えると、焼戻し軟化抵抗を高める効果が飽和し、被削性も悪化するとともに、浸炭性を阻害することがある。そのため、Siの含有量を0.2〜0.5%とした。
より一層良好な被削性が要求される場合には、Si含有量の上限を0.4%とすることが好ましい。
Mn:0.90〜1.80%
Mnは、焼入性を向上させる作用および脱酸作用を有する。上記の焼入性向上および脱酸の効果を得るには、0.90%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が多くなると、硬さが大きくなって被削性の低下を招き、特に、その含有量が1.80%を超えると、硬さ上昇に伴う被削性の低下が著しくなる。したがって、Mnの含有量を0.90〜1.80%とした。
より一層良好な被削性が要求される場合には、Mn含有量の上限を1.60%とすることが好ましい。
S:0.005〜0.030%
Sには、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用がある。この被削性向上の作用を得るには、Sを0.005%以上含有させる必要がある。しかしながら、Sの含有量が0.030%を超えると、粗大なMnSを形成して、熱間加工性、冷間鍛造性、曲げ疲労強度およびピッチング強度が低下する。したがって、Sの含有量を0.005〜0.030%とした。
前記したSの被削性向上効果を確実に得るためには、S含有量の下限を0.010%とすることが好ましい。
また、より一層良好な熱間加工性、冷間鍛造性、曲げ疲労強度およびピッチング強度が要求される場合には、S含有量の上限を0.020%とすることが好ましい。
Cr:0.6%以上で1.4%未満
Crは、焼入性を向上させる効果がある。この効果を得るには、Crを0.6%以上含有させる必要がある。しかしながら、Crの含有量が多くなると、硬さが大きくなって被削性の低下を招き、特に、その含有量が1.4%以上になると、硬さ上昇に伴う被削性の低下が著しくなる。さらに、真空浸炭時に粗大なCr炭化物が生成するので、曲げ疲労強度およびピッチング疲労強度の低下を招く。同様に、真空浸炭窒化時に結晶粒界に沿って粗大なCrNが生成するので、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下を招く。したがって、Crの含有量を0.6%以上で1.4%未満とした。Cr含有量の下限は0.7%とすることが好ましい。
より一層良好な被削性が要求される場合には、Cr含有量の上限を1.2%とすることが好ましい。
Mo:0.03〜0.10%
Moは、焼入性を高める作用を有し、浸炭焼入後あるいは浸炭窒化焼入後の表面硬さ、硬化層深さおよび芯部硬さを向上させて、浸炭部品あるいは浸炭窒化部品の強度を確保する効果がある。上記の効果を得るためにはMoの含有量を0.03%以上とする必要がある。しかしながら、Moは高価な元素であり、過度の添加は成分コストの上昇につながり、特に、Moの含有量が0.10%を超えると、コスト上昇が大きくなる。したがって、Moの含有量を0.03〜0.10%とした。なお、Mo含有量の下限は0.07%とすることが好ましい。
Al:0.010〜0.050%
Alは、脱酸作用を有する。また、Alには、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化して鋼を強化する作用もある。しかしながら、Alの含有量が0.010%未満では、前記の効果を得難い。一方、Alの含有量が過剰になると、硬質で粗大なAl23形成による被削性の低下をきたす。さらに、ASTM−E45−05のA法に準拠して測定したタイプBの大型の硬質介在物(つまり、主にAl23系介在物であるタイプBの介在物のうちで厚さの大きいもの)は疲労破壊の起点となって、曲げ疲労強度とピッチング強度を低下させてしまう。そして、特に、Alの含有量が0.050%を超えると、タイプBの大型の硬質介在物が多くなって、被削性、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.010〜0.050%とした。なお、Al含有量の好ましい下限は0.020%である。また、Al含有量の好ましい上限は0.040%である。
N:0.0100〜0.0250%
Nは、窒化物を形成することにより結晶粒を微細化させ、曲げ疲労強度を向上させる効果を有する。この効果を得るには、Nを0.0100%以上含有する必要がある。しかしながら、Nの含有量が過剰になると、粗大な窒化物を形成して靱性の低下を招き、特に、その含有量が0.0250%を超えると、靱性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.0100〜0.0250%とした。なお、N含有量の好ましい下限は0.0130%である。また、N含有量の好ましい上限は0.0200%である。
fn1:30〜150
粗大なMnSの生成によって、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下が生じるので、高い曲げ疲労強度および高いピッチング強度を確保するためには、粗大なMnSの生成を抑制することが必要である。しかも、上記の粗大なMnSは、熱間圧延、熱間鍛造などの熱間加工時の割れおよび冷間鍛造時の割れの起点ともなるため、熱間加工時の割れおよび冷間鍛造時の割れを抑制するためには粗大なMnSを極力少なくすることが必要である。
前記の式(1)で表されるfn1、つまり、〔Mn/S〕が30より小さい場合には、Sの含有量が過剰となって粗大なMnSの生成が避けられず、一方、fn1が150より大きい場合には、Mnの含有量が過剰となって中心偏析部において粗大なMnSが生成する。そのため、いずれの場合にも、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下を招き、しかも、熱間加工時の割れおよび冷間鍛造時の割れを避け難い。したがって、fn1が30〜150の範囲にあることが必要である。なお、fn1の好ましい下限は50である。また、fn1の好ましい上限は100である。
本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。
なお、本発明においては、不純物中のP、TiおよびO(酸素)は、その含有量をそれぞれ、P:0.020%以下、Ti:0.005%未満およびO:0.0015%以下に制限する必要がある。
以下、上記不純物中のP、TiおよびOについて説明する。
P:0.020%以下
Pは、鋼に含有される不純物であり、結晶粒界に偏析して鋼を脆化させる。特に、その含有量が0.020%を超えると、脆化の程度が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量を0.020%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
Ti:0.005%未満
Tiは、Nとの親和性が高いので、鋼中のNと結合して硬質で粗大な非金属介在物であるTiNを形成する。そして、ASTM−E45−05のA法に準拠して測定したタイプDの大型の硬質介在物(つまり、主にTiN系介在物であるタイプDの介在物のうちで厚さの大きいもの)は疲労破壊の起点となって、曲げ疲労強度とピッチング強度を低下させてしまう。しかも、TiNは被削性も低下させてしまう。Tiの含有量が多くなって、特に、0.005%以上になると、タイプDの大型の硬質介在物が多くなって、曲げ疲労強度、ピッチング強度および被削性の低下が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のTiの含有量を0.005%未満とした。
O(酸素):0.0015%以下
O(酸素)は、鋼中のSiやAlと結合して、酸化物を生成する。酸化物のうちでも、特に、Al23は硬質であるため、被削性を低下させる。さらに、ASTM−E45−05のA法に準拠して測定したタイプBの大型の硬質介在物(つまり、主にAl23系介在物であるタイプBの介在物のうちで厚さの大きいもの)は疲労破壊の起点となって、曲げ疲労強度とピッチング強度を低下させてしまう。そして、特に、Oの含有量が0.0015%を超えると、タイプBの大型の硬質介在物が多くなって、被削性、曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のOの含有量を0.0015%以下とした。
本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼の他の一つは、Feの一部に代えて、Cu、Ni、VおよびNbのうちから選んだ1種以上の元素を含有するものである。
以下、任意元素である上記Cu、Ni、VおよびNbの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
CuおよびNiは、いずれも、焼入性を高める作用を有する。このため、より大きな焼入性を得たい場合には、これらの元素を含有させてもよい。以下、上記のCuおよびNiについて説明する。
Cu:0.20%以下
Cuは、焼入性を高める作用を有するので、さらなる焼入性向上のために含有してもよい。しかしながら、Cuは高価な元素であるとともに、含有量が多くなると熱間加工性の低下を招き、特に、0.20%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、Cuの含有量を0.20%以下とした。なお、Cu含有量の上限は0.15%とすることが好ましい。
一方、前記したCuの焼入性向上効果を確実に得るためには、Cu含有量の下限を0.05%とすることが好ましく、0.07%とすれば一層好ましい。
Ni:0.20%以下
Niは、焼入性を高める作用を有する。Niには、靱性を向上させる作用があり、非酸化性の元素であるため、浸炭時に粒界酸化層の深さを増大させずに鋼表面を強靱化することができる。このため、これらの効果を得るためにNiを含有してもよい。しかしながら、Niは高価な元素であり、過度の添加は成分コストの上昇につながり、特に、Niの含有量が0.20%を超えると、コスト上昇が大きくなる。したがって、Niの含有量を0.20%以下とした。なお、Ni含有量の上限は0.15%とすることが好ましい。
一方、前記したNiの特性向上効果を確実に得るためには、Ni含有量の下限を0.05%とすることが好ましく、0.07%とすれば一層好ましい。
なお、上記のCuおよびNiは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。なお、これらの元素の合計含有量は0.40%以下であってもよいが、0.30%以下とすることが好ましい。
次に、VおよびNbは、いずれもCおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、曲げ疲労強度およびピッチング強度を向上させる効果を有する。このため、さらなる曲げ疲労強度の向上およびピッチング強度の向上のために、VおよびNbを含有させてもよい。以下、上記のVおよびNbについて説明する。
V:0.20%以下
Vは、CおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、曲げ疲労強度およびピッチング強度を向上させる効果を有する。しかしながら、Vの含有量が過剰になると熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.20%を超えると、熱間延性の低下が著しくなって、熱間圧延、熱間鍛造などの熱間加工時に表面キズが発生しやすくなる。したがって、Vの含有量を0.20%以下とした。なお、V含有量の上限は0.10%とすることが好ましい。
一方、前記したVの特性向上効果を確実に得るためには、V含有量の下限を0.05%とすることが好ましく、0.07%とすれば一層好ましい。
Nb:0.050%以下
Nbは、CおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、曲げ疲労強度およびピッチング強度を向上させる効果を有する。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.050%を超えると、熱間延性の低下が著しくなって、熱間圧延、熱間鍛造などの熱間加工時に表面キズが発生しやすくなる。したがって、Nbの含有量を0.050%以下とした。なお、Nb含有量の上限は0.040%とすることが好ましい。
一方、前記したNbの特性向上効果を確実に得るためには、Nb含有量の下限を0.010%とすることが好ましく、0.020%とすれば一層好ましい。
なお、上記のVおよびNbは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。なお、これらの元素の合計含有量は0.250%以下であってもよいが、0.080%以下とすることが好ましい。
なお、例えば、真空溶解炉で溶製して鋳型に鋳込んでインゴットとするか、転炉で溶製する場合には、二次精錬を繰り返すか、連続鋳造の際に電磁攪拌を行うことによって、Al、Ti、Oの含有量を制御でき、このため、タイプBおよびタイプDの大型の硬質介在物の生成が抑制される。
(B)部品の芯部について:
前記(A)項で述べた化学組成の鋼を素材として、真空浸炭後に焼入−焼戻しを施された部品または真空浸炭窒化処理後に焼入−焼戻しを施された本発明の真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品は、その芯部が、前記の式(2)、つまり、
〔fn2=(−0.0285GN+0.5395)×C0.5044×(0.7Si+1)×(−1.2762Mn5+5.5796Mn4−7.9762Mn3+4.5631Mn2+2.3728Mn+1.047)×(0.3636Cu+1)×(0.3636Ni+1)×(2.1611Cr+1)×(3Mo+1)×(1.7278V+1)〕
で表されるfn2が2.0〜7.0の範囲であるものでなければならない。
fn2は、本発明の真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品の焼入性の指標であって、fn2の値が2.0未満の場合には、高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を具備させることができない。一方、fn2が7.0を超える場合には、被削性の低下を招いてしまう。
高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度を具備させるためには、fn2の下限を3.0とすることが好ましい。また、より一層良好な被削性が要求される場合には、fn2の上限を6.0とすることが好ましい。
なお、(A)項で述べた化学組成の鋼を素材として、例えば、後述する図4の条件で真空浸炭焼入すれば、真空浸炭部品の芯部を、fn2が2.0〜7.0の範囲となるようにすることができる。
また、(A)項で述べた化学組成の鋼を素材として、例えば、後述する図5の条件で真空浸炭窒化焼入すれば、真空浸炭窒化部品の芯部を、fn2が2.0〜7.0の範囲となるようにすることができる。
真空浸炭焼入でのC22量、真空浸炭窒化でのC22量とNH3量は、処理する試験片の総表面積に応じて適時調整しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼1〜12を溶解した。
鋼1〜11については、180kg真空溶解炉によって溶製後、造塊してインゴットを作製した。
鋼12については、180kg大気溶解炉によって溶製後、造塊してインゴットを作製した。
なお、表1中の鋼1〜7は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼であり、一方、鋼8〜12は、本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。
上記の比較例の鋼のうちで鋼8はJIS G 4052(2008)に規定されたSCM822Hに相当する鋼である。
Figure 0005299118
各インゴットは、1250℃に加熱して8時間保持した後、熱間鍛造して直径がそれぞれ、20mm、30mmおよび55mmの棒鋼を作製した。
また、表2に示す鋼13、すなわち、JIS G 4052(2008)に規定された化学組成を有するSCM822Hを180kg真空溶解炉によって溶解し、造塊してインゴットを作製した。この鋼13のインゴットは、1250℃に加熱して5時間保持した後、熱間鍛造して直径が140mmの棒鋼を作製した。
Figure 0005299118
上記のようにして得た直径がそれぞれ、20mm、30mm、55mmおよび140mmの棒鋼から、次の〔1〕〜〔4〕に示す工程によって、各種の試験片を作製した。
〔1〕焼準:
直径が20mmおよび30mmの各棒鋼は、900℃で1時間保持した後に大気中で放冷して焼準した。また、直径が55mmの各棒鋼は900℃で2時間保持した後に大気中で放冷して焼準した。さらに、直径が140mmの棒鋼は900℃で4時間保持した後に大気中で放冷して焼準した。
〔2〕機械加工(粗加工または仕上加工):
前記焼準後の直径が20mmの各棒鋼の中心部から、鍛錬軸に平行に図1に示す粗形状の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片を切り出した。また、前記焼準後の直径が30mmの各棒鋼は、それぞれの一部の中心部から、鍛錬軸に平行に図2に示す粗形状のローラーピッチング小ローラー試験片を切り出した。
さらに、前記焼準後の直径が140mmの棒鋼の中心部から、鍛錬軸に平行に図3に示す粗形状のローラーピッチング大ローラー試験片を切り出した。図3の(a)はローラーピッチング大ローラー試験片を中心線で半割りにした場合の正面図で、また(b)は中心線における断面図である。
図1〜3中に示した上記の各切り出し試験片における寸法の単位は全て「mm」であり、図中の仕上記号「▽」、「▽▽」および「▽▽▽」は、JIS B 0601(1982)の解説表1の表面粗さを示す「三角記号」である。また、「▽▽▽」に付した「G」はJIS B 0122(1978)に規定の「研削」を示す加工方法の略号であることを意味する。
さらに、前記焼準後の直径が55mmの各棒鋼の中心部から、鍛錬軸に平行に直径が50mmで長さが100mmの仕上形状を有する熱間圧縮用の試験片を作製した。
なお、前記焼準後の直径が30mmの各棒鋼のそれぞれの残りの一部は、水焼入した後、非金属介在物調査に供した。なお、調査法の詳細については後述する。
〔3〕浸炭焼入−焼戻しあるいは浸炭窒化焼入−焼戻し:
上記〔2〕で切り出した鋼1〜5、鋼7および鋼9〜12の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片およびローラーピッチング小ローラー試験片に対して、図4に示すヒートパターンによる「真空浸炭焼入−焼戻し」を施した。
鋼6の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片およびローラーピッチング小ローラー試験片に対しては、図5に示す「真空浸炭窒化焼入−焼戻し」を施した。
鋼8の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片およびローラーピッチング小ローラー試験片に対しては、図6に示すヒートパターンによる「ガス浸炭焼入−焼戻し」を施した。なお、図6中の「Cp」はカーボンポテンシャルを表す。
鋼13のローラーピッチング大ローラー試験片に対しては、図7に示すヒートパターンによる「真空浸炭焼入−焼戻し」を施した。なお、図7中の「60℃油焼入」は油温60℃の油中に焼入したことを、さらに「AC」は空冷したことを表す。
なお、切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片およびローラーピッチング小ローラー試験片は、吊り下げ用に加工した孔に針金を通し、吊下げた状態で上記の処理を施した。一方、ローラーピッチング大ローラー試験片は、金網上の治具の上に平置きした状態で上記の処理を施した。
油焼入については、均一に焼入処理されるように、攪拌している焼入油中に試験片を投入して行った。
〔4〕機械加工(浸炭焼入−焼戻し材の仕上加工):
浸炭焼入−焼戻し処理あるいは浸炭窒化焼入−焼戻しを施した上記の各試験片を仕上加工して、図8に示す切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片、図9に示すローラーピッチング小ローラー試験片および図10に示すローラーピッチング大ローラー試験片を作製した。なお、図10の(a)はローラーピッチング大ローラー試験片を中心線で半割りにした場合の正面図で、また(b)は中心線における断面図である。
図8〜10に示した前述の各試験片における寸法の単位は全て「mm」であり、上記各図における仕上記号「▽」および「▽▽▽」は先の図1〜3におけると同様、それぞれ、JIS B 0601(1982)の解説表1の表面粗さを示す「三角記号」である。「▽▽▽」に付した「G」はJIS B 0122(1978)に規定の「研削」を示す加工方法の略号であることを意味する。「〜」は「波形記号」であり、生地であること、すなわち、前記〔3〕の浸炭焼入−焼戻し処理あるいは浸炭窒化焼入−焼戻し処理した表面のままであることを意味する。
鋼1〜12の各々について、熱間圧縮試験による熱間加工性の調査、非金属介在物の調査、表面硬さ調査、芯部硬さ調査、有効硬化層深さの調査、粒界酸化層深さの調査、不完全焼入層深さの調査、旧オーステナイト結晶粒度の調査、小野式回転曲げ疲労試験による疲労特性の調査およびローラーピッチング試験による耐ピッチング特性の調査を行った。
以下、上記各調査の内容について詳しく説明する。
《1》熱間加工性の調査:
前記〔2〕のようにして作製した直径が50mmで長さが100mmの熱間圧縮用の試験片を1200℃で30分保持してから、図11に示すように、長さ方向を高さとしてクランクプレスによって圧縮し、高さ20mmにした。
図11の(a)および(b)はそれぞれ、熱間での圧縮試験前および圧縮試験後の試験片の寸法と形状を模式的に示す図である。
なお、各鋼について上記クランクプレスを用いた圧縮試験を5個ずつ行ない、外周表面における割れを目視で観察し、開口幅2mm以上の割れが5個全ての試験片に1つも認められない場合に、熱間加工性に優れると評価した。
《2》非金属介在物の調査:
前記〔1〕のようにして焼準処理した直径が30mmの棒鋼について、図2に示す粗形状のローラーピッチング小ローラー試験片を切り出した残りを、900℃で30分保持した後、水焼入した。
水焼入後は、棒鋼の鍛錬軸に平行に、その中心線をとおって切断した面(以下、「縦断面」という。)が被検面になるようにして樹脂に埋め込み、前記の面が鏡面仕上げになるように研磨した。
次いで、ASTM−E45−05のA法に準拠して、タイプBおよびタイプDの非金属介在物のうちで厚さが大きいもの、具体的には、厚さがそれぞれ、4μmを超えて12μm以下、および8μmを超えて13μm以下のものを測定し、それぞれの等級判定を行った。
なお、以下の説明においては、上記の厚さが大きいタイプBおよびタイプDの非金属介在物をそれぞれ、「BH」および「DH」という。
《3》表面硬さおよび芯部硬さの調査:
前記〔3〕のようにして浸炭焼入−焼戻し処理あるいは浸炭窒化焼入−焼戻し処理した切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片を用いて、その直径8mmの切欠部を横断し、切断面が被検面になるように樹脂に埋め込んだ後、前記面が鏡面仕上げになるように研磨し、マイクロビッカース硬度計を使用して表面硬さおよび芯部硬さを調査した。
具体的には、JIS Z 2244(2003)に記載の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠して、試験片の表面から0.03mmの深さ位置における任意の10点でのビッカース硬さ(以下、「HV硬さ」という。)を、試験力を0.98Nとしてマイクロビッカース硬度計で測定し、その値を算術平均して表面硬さを評価した。
同様に上記JISの規定に準拠して、浸炭の影響を受けていない生地の部分である芯部における任意の10点でのHV硬さを、試験力を2.94Nとしてマイクロビッカース硬度計で測定し、その値を算術平均して芯部硬さを評価した。
《4》有効硬化層深さの調査:
上記《3》の表面硬さの調査で用いた樹脂埋めした試験片を使用して、有効硬化層深さの調査を行った。
具体的には、上記《3》の表面硬さの調査の場合と同様に、JIS Z 2244(2003)に記載の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠して、鏡面仕上げした試験片の表面から中心に向かう方向について、試験力を2.94Nとしてマイクロビッカース硬度計で測定し、HV硬さが550となる場合の表面からの深さを測定し、任意の10箇所を測った最小値を有効硬化層深さとした。
《5》粒界酸化層深さおよび不完全焼入層深さの調査:
前記《3》および《4》で用いた樹脂埋めした試験片を使用して、粒界酸化層深さおよび不完全焼入層深さの調査を行った。
具体的には、上記の樹脂埋めした試験片を再度研磨し、鏡面仕上げしたままの腐食しない状態で、1000倍の倍率で光学顕微鏡によって試験片の表面部を任意に10視野観察して、表面部において粒界に沿って観察される酸化層を粒界酸化層とし、それらの深さを算術平均して粒界酸化層深さを評価した。
さらに、同じ試験片を、ナイタールで0.2〜2秒腐食し、1000倍の倍率で光学顕微鏡によって試験片の表面部を任意に10視野観察して、表面部において周囲より腐食の程度が顕著な部分を不完全焼入層とし、それらの深さを算術平均して不完全焼入層深さを評価した。
《6》旧オーステナイト結晶粒度の調査:
前記《3》〜《5》で用いた樹脂埋めした試験片を使用して、JIS G 0551(2005)に記載の「鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法」に準拠して、芯部の旧オーステナイト結晶粒度を測定した。
なお、旧オーステナイト結晶粒の現出には、ピクリン酸飽和水溶液を使用した。5分間腐食して結晶粒界が明瞭でない場合は、腐食時間を適宜延長して、結晶粒界が明瞭になるように現出させた。
《7》小野式回転曲げ疲労試験による疲労特性の調査:
前記〔4〕の仕上加工した小野式回転曲げ疲労試験片を用いて、下記の試験条件によって小野式回転曲げ疲労試験を実施し、繰返し数が107回において破断しない最大の強度で曲げ疲労強度を評価した。
・温度:室温、
・雰囲気:大気中、
・回転数:3000rpm。
なお、曲げ疲労強度がJIS G 4052(2008)に規定されたSCM822Hである鋼8のガス浸炭焼入−焼戻し品と同じ程度かそれを上回る場合、曲げ疲労強度に優れるものとした。
《8》ローラーピッチング試験による耐ピッチング特性の調査:
前記〔4〕の仕上加工をしたローラーピッチング小ローラー試験片およびローラーピッチング大ローラー試験片を用いて、下記の試験条件でローラーピッチング試験(二円筒転がり疲労試験)を実施し、小ローラーに長辺が1mm以上の大きさのピッチングが発生した回数を評価した。3回同じ条件で試験を行ない、3回の平均値をピッチング寿命とした。なお、最大繰返し数は2×107回とした。
・すべり率:40%、
・面圧:2500MPa、
・回転数:1000rpm、
・潤滑:油温100℃のマニュアルトランスミッション用潤滑油を2.0リットル/分の割合で、ローラーピッチング小ローラー試験片とローラーピッチング大ローラー試験片の接触部に噴出させて実施。
ただし、上記の「すべり率」は、「V1」をローラーピッチング小ローラー試験片表面の接線速度、「V2」をローラーピッチング大ローラー試験片表面の接線速度として、下記の式で計算される値を指す。
{(V2−V1)/V1}×100。
なお、ピッチング寿命がJIS G 4052(2008)に規定されたSCM822Hである鋼8のガス浸炭焼入−焼戻し品と同じ程度かそれを上回る場合、ピッチング寿命に優れるものとした。
表3に、上記の各調査結果をまとめて示す。なお、表3には前記の式(2)で表されるfn2の値を併せて示した。
Figure 0005299118
表3から、素材として本発明で規定する条件を満たす鋼1〜7を用いた試験番号1〜7の場合、良好な熱間加工性を有し、しかも、鋼1〜7におけるNiおよびMoの含有量が極めて少ないかまたは含まないにも拘わらず、JIS G 4052(2003)に規定された「クロムモリブデン鋼」のSCM822Hに相当する鋼8を用いた試験番号8と同じ程度あるいはそれを上回る曲げ疲労強度とピッチング寿命が得られており、高い曲げ疲労強度と高いピッチング寿命の確保が可能なことが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号9〜12の場合、曲げ疲労強度とピッチング寿命の片方もしくは双方ともが、上記鋼8を用いた試験番号8の場合に比べて劣っている。さらに、試験番号9、10および試験番号12の場合には熱間加工性も低い。
すなわち、試験番号9の場合、鋼9のMn含有量が本発明で規定する範囲を下回り、S含有量が本発明で規定する範囲を上回り、かつfn1が本発明で規定する範囲を下回る。しかも、旧オーステナイト粒度番号である真空浸炭焼入−焼戻し後のオーステナイト粒度番号と関係するfn2の値が0.86と小さいため、曲げ疲労強度とピッチング寿命はそれぞれ、430MPaおよび2.45×106回と低く、前記鋼8を用いた試験番号8の場合に比べて劣っている。
試験番号10の場合、鋼10のS含有量が本発明で規定する範囲を上回り、さらにfn1が本発明で規定する範囲を下回る。そのため、曲げ疲労強度が520MPaと低く、前記鋼8を用いた試験番号8の場合に比べて劣っている。
試験番号11の場合、鋼11のTi含有量が本発明で規定する範囲を上回るため、等級1.5のタイプDの硬質介在物が観察され、曲げ疲労強度が540MPaと低く、前記鋼8を用いた試験番号8の場合に比べて劣っている。
試験番号12の場合、鋼12のMn含有量が本発明で規定する範囲を下回り、Al含有量およびO含有量が本発明で規定する範囲を上回るため、等級2.0のタイプBの硬質介在物が観察され、曲げ疲労強度とピッチング寿命がそれぞれ、530MPaと3.50×106回と低く、前記鋼8を用いた試験番号8の場合に比べて劣っている。
なお、本発明で規定する条件を満たす鋼1〜7は粗大なMnSは生成しておらず、良好な冷間鍛造性を有する。
本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼は成分コストが低く、熱間および冷間での圧延、鍛造などの際の良好な加工性を有し、しかも、この鋼を素材とする真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品は、JIS G 4052(2008)に規定された「クロムモリブデン鋼」のSCM822Hを素材とするガス浸炭部品と同じ程度あるいはそれを上回る曲げ疲労強度とピッチング強度を具備している。このため、本発明の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼は、自動車用歯車などのように、軽量化・高トルク化を達成するために高い曲げ疲労強度と高いピッチング強度とが要求される各種部品の素材として用いるのに好適である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.30%、Si:0.2〜0.5%、Mn:0.90〜1.80%、S:0.005〜0.030%、Cr:0.6%以上で1.4%未満、Mo:0.03〜0.10%、Al:0.010〜0.050%およびN:0.0100〜0.0250%を含有するとともに、下記の式(1)で表されるfn1が30〜150の範囲であり、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のP、TiおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.020%以下、Ti:0.005%未満およびO:0.0015%以下であることを特徴とする真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
    fn1=Mn/S・・・(1)
    ただし、式(1)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.20%以下およびNi:0.20%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、V:0.20%以下およびNb:0.050%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の真空浸炭用鋼または真空浸炭窒化用鋼。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の鋼を素材として、真空浸炭後に焼入−焼戻しを施された部品または真空浸炭窒化処理後に焼入−焼戻しを施された部品であって、下記の式(2)で表されるfn2が2.0〜7.0の範囲であることを特徴とする真空浸炭部品または真空浸炭窒化部品。
    fn2=(−0.0285GN+0.5395)×C0.5044×(0.7Si+1)×(−1.2762Mn5+5.5796Mn4−7.9762Mn3+4.5631Mn2+2.3728Mn+1.047)×(0.3636Cu+1)×(0.3636Ni+1)×(2.1611Cr+1)×(3Mo+1)×(1.7278V+1)・・・(2)
    ただし、式(2)中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表し、GNは、部品の芯部における旧オーステナイト結晶粒度番号を示す。
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