JP4737601B2 - 高温窒化処理用鋼 - Google Patents
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[Si%]+[Mo%]+2×([V%]+[Ti%]+[Al%])≧2.3・・・式1
242×[Ti%]+230×[Al%]+100×[V%]≧150・・・式2
なお、本明細書において“[X%]”とは、Xに表される元素の含有量を表す。
式1を満たす合金元素の組合せによって、窒化時のN侵入に対する鋼の共析温度が上がり、高温(例えば600℃以上750℃以下)での窒化処理が可能となる。これによって、従来の窒化処理用鋼よりも深い硬化深さ(例えば0.3mm以上)を得ることができる。
式2を満たす合金元素の組合せによって、高温(例えば、600℃以上750℃以下)での窒化処理でも硬い拡散層を形成することができる。これによって、高い表面硬さ(例えば650HV以上)を得ることができる。
Cは、強度確保のための内部硬さを得るために必要な元素であり、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後の硬さが増加して加工性を劣化させるため、0.60%以下の添加とする。
Siは、鋼の溶製時における脱酸剤として使用されるとともに、鋼の疲労強度を向上させる効果もある。また、式1に含まれるMo,V,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素でもある。これらの効果を得るには0.03%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鋼の脆化を促進し、表面脱炭を伴って被削性等の加工性を劣化させてしまうので、3.0%以下の添加とする。
Mnは、固溶強化により硬さ向上に寄与する元素であるとともに、靭性向上に効果のある元素である。これらの効果を得るには0.01%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、被削性が低下して機械加工性を劣化させるとともに、窒化処理後の硬化深さが低下する原因となるため、3.5%以下の添加とする。
Crは、式1に含まれるSi,Mo,V,Ti,Alと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、この効果を得るには0.10%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に硬くなりすぎ、被削性を低下させるため、1%以下の添加とする。
Moは、式1に含まれるSi,V,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に硬くなりすぎて被削性を低下させるとともに、コストの増加を招くため、3.0%以下の添加とする。
Vは、式1に含まれるSi,Mo,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、その傾向は他の元素よりも優れる。また、拡散層の硬さを上げる元素でもある。これら効果を得るには、0.1%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に炭化物を析出して、マトリックス中のCを低下させるとともに、窒化時に有効に作用するVが減少してしまうため、3.0%以下の添加とする。
Tiは、式1に含まれるSi,Mo,V,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、その傾向は他の元素よりも優れる。また、拡散層の硬さを上げる元素でもある。しかしながら、上述したように、過度の添加は生産性の困難さを招き、且つ、TiCの析出量が増えて疲労強度の著しい低下を招いてしまう。また、窒化後の化合物層の形状が針状となって機械的性質が損なわれる。このため、0.5%以下の添加とする。
Alは、溶製時の脱酸剤として添加される。また、式1に含まれるSi,Mo,V,TiやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、且つ、高温で拡散層の硬さを上げる元素である。これらの効果を得るには0.001%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、母材がα相となる傾向が強くなって芯部の靭性が低下してしまうため、3.0%以下の添加とする。
Nは、Alと微細な窒化物を生成し、熱間鍛造時における結晶粒径の成長を抑制して鋼の靭性向上に資する成分である。この効果を得るには0.005%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造時にブローホールなどが発生して鋼塊の健全性が損なわれるので、0.025%以下の添加とする。
これらの成分は、鋼の溶製時に溶鋼中に生成するこれらの酸化物によって、鋼中に存在するMnS等の硫化物を微細化して分散させるので、鋼の被削性の向上に寄与する。また、微細化した硫化物は、鋼の鍛造時や焼ならし後の組織を微細化して鋼の疲労強度を向上させる。しかし、過度に添加してもその効果は飽和するので、それぞれ0.5%以下とするのが好ましい。
これらの成分は、鋼の芯部強度を向上させる。しかし、過度に添加しても経済的に得策ではないので、それぞれ1.0%以下とすることが好ましい。
これらの成分は、鋼の被削性を向上させるため、時効処理前に行う機械加工時に高い被削性が要求される場合には、これらの成分の少なくとも1種を添加することが好ましい。しかし、過度に添加すると、鋼の熱間加工性や疲れ限度を劣化させるので、Sは0.2%以下,Caは0.010%以下,Pbは0.3%以下,Biは0.3%以下とすることが好ましい。
試験は、表1に示す鋼成分について、5kg真空誘導溶解炉によって溶解した鋼塊を用い、1200℃以上に加熱して直径22mmの丸棒に鍛伸したものを使用した。その後、切断して所定の大きさに成形後(回転曲げ疲労試験片および摩耗試験片)、全ての鋼材について850〜1200℃で30分保持し、油冷及び空冷した。なお、X鋼については、その後に650℃で2hr時効処理を行い、窒化時に有効に作用する元素のマトリックス中からの低減を図った。
なお、表1中の比較鋼の組成において、本発明で規定する組成範囲を逸脱しているものには、下限を下回る場合は下向矢印(↓)、上限を上回る場合は上向矢印(↑)を付している。
回転曲げ疲労試験は、小野式回転曲げ疲れ試験機を用いて行った。以下に試験条件を示す。
回転数:3500rpm
温度:25℃
摩耗試験は、大越式磨耗試験機を用いて行った。以下に試験条件を示す。
相手材:SUJ2
摩擦距離:400m
摩擦速度:0.94m/s
非潤滑
Claims (4)
- 質量%で、C:0.05%以上0.60%以下,Si:0.03%以上3.0%以下,Mn:0.01%以上3.5%以下,Cr:0.10%以上1%以下,Mo:0.05%以上3.0%以下,V:0.1%以上3.0%以下,Ti:0.5%以下,Al:0.001%以上3.0%以下,N:0.005%以上0.025%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする高温窒化処理用鋼。
[Si%]+[Mo%]+2×([V%]+[Ti%]+[Al%])≧2.3・・・式1
242×[Ti%]+230×[Al%]+100×[V%]≧150・・・式2 - 鋼成分として更に、Nb:0.5%以下,Zr:0.5%以下から選ばれる1種または2種を含有する請求項1に記載の窒化処理用鋼。
- 鋼成分として更に、Cu:1.0%以下,Ni:1.0%以下から選ばれる1種または2種を含有する請求項1または2に記載の窒化処理用鋼。
- 鋼成分として更に、S:0.01%以上0.20%以下,Ca:0.0005%以上0.0030%以下,Pb:0.3%以下,Bi:0.3%以下から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化処理用鋼。
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