JP4737601B2 - 高温窒化処理用鋼 - Google Patents

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本発明は、高温(例えば600℃以上750℃以下)での窒化処理を施すことにより、例えば歯車部品といった高面圧が負荷された状態で長時間使用される自動車等の部品に好適な高温窒化処理用鋼に関する。
自動車用の変速機に使用される歯車部品は、高面圧が負荷された状態で長時間継続して使用されるため、耐摩耗性,耐ピッチング特性,歯元曲げ疲労強度など厳しい特性が要求される。このような要求を満たすため、従来から、JIS規格のSCr420HやSCM420Hのような肌焼き鋼を歯車形状に成形した後、浸炭焼入れ焼戻ししたものが用いられている。浸炭処理を実施するのは、高い表面硬さ(表面硬度Hv700以上)と、高面圧に耐えるに十分な硬化深さ(Hv550以上で0.40mm以上)を容易に得ることができるからである。しかしながら、浸炭処理は、変態点を超えた温度での加熱が必須となるため、処理後に熱歪や変態歪が発生して、部品の接触部の形状が不均一となってノイズの発生原因となる。このため、浸炭処理後の仕上げ加工作業が必要になり、品質や生産性の低下、コストアップを招くという問題が生ずる。
この浸炭処理における歪の問題を解決するための表面硬化方法として、従来から窒化処理が検討されている。窒化処理は、浸炭処理と異なり変態温度以下(500〜600℃程度)の加熱で処理することから、歪については浸炭処理と比較して小さく抑えられるため、歪の問題を重視しなければならない部品に対して従来から積極的に利用されている。窒化処理による硬化原理は、母相フェライト相中にNが侵入拡散して、Nによる固溶強化や、合金元素との窒化物の形成によってひずみを形成し、硬化層が形成されるためと考えられている。そこで、かかる硬化原理を利用するため、窒化処理は、変態点以下の温度で実施され、高温で生成するγ相や、窒化処理後の冷却によって生ずるマルテンサイト相の生成を避けている。変態点を超える温度で窒化処理を行って、表面にγ相が生成したり、窒化処理後の冷却によってマルテンサイト相が生成すると、窒化処理による硬化原理が得られず、適正な表面硬さが得られないうえ、熱処理歪みの増大や機械的特性の低下を招いてしまう。
しかしながら、通常広く行われている窒化処理方法であるガス窒化処理やガス軟窒化処理は、浸炭処理に比較して歪を小さく抑えられるという利点がある一方で、処理温度が低いことから、硬化深さが表面から0.15mm程度(全硬化深さ;ガス軟窒化処理で通常の処理温度である約580℃×4hrで処理した場合)と浸炭処理と比べてかなり浅く、高面圧が継続して負荷される環境には好ましくない。また、高面圧環境での使用を可能とするために、例えば0.3mmを超える深い硬化深さを得ようとすると、処理時間を大幅に長くする必要があり(10時間以上)、浸炭処理に比べて長時間の処理となって、生産性が著しく阻害される。このような問題点があるため、浸炭処理で歪が発生して問題となっている部品に窒化処理用鋼を適用できない現状にある。
特開2004−300472号公報
特許文献1には、窒化処理の迅速化を実現する窒化鋼が提案されている。これは、軟窒化処理の短時間化を図るため、Tiを多量に添加して変態点を高くし、高温で窒化処理中のCおよびNの拡散促進して、高い表面硬さを得ることを特徴とするものである。しかしながら、このような鋼種では高Ti成分であるため、真空溶解法など特殊な溶解方法を必要とし量産鋼としては使用困難である。さらに、このような高Ti鋼を用いるとTiCの析出量が増えるため、疲労強度の著しい低下を招く。
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、多量のTiを添加することなしに、高温による窒化処理が可能で深い硬化深さを得ることができ、高い表面硬さと良好な疲労特性を有する窒化処理用鋼を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するため、本発明の高温窒化処理用鋼は、質量%で、C:0.05%以上0.60%以下,Si:0.03%以上3.0%以下,Mn:0.01%以上3.5%以下,Cr:0.10%以上%以下,Mo:0.05%以上3.0%以下,V:0.1%以上3.0%以下,Ti:0.5%以下,Al:0.001%以上3.0%以下,N:0.005%以上0.025%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする。
[Si%]+[Mo%]+2×([V%]+[Ti%]+[Al%])≧2.3・・・式1
242×[Ti%]+230×[Al%]+100×[V%]≧150・・・式2
なお、本明細書において“[X%]”とは、Xに表される元素の含有量を表す。
本発明者等は、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる効果があり、且つ、特殊な溶解方法等が必要とならない合金元素の添加によって、高温での窒化処理を可能とすることについて鋭意研究を重ねたところ、上記式1および式2を満たす合金元素の組合せによって、高温での窒化処理が可能で従来の窒化処理用鋼よりも深い硬化深さを得ることができ、且つ、高い表面硬さを得ることができる窒化処理用鋼を見出した。また、本発明の窒化処理用鋼では、Tiの添加量が0.5%以下に抑えられているため、特殊な溶解方法を必要とせず量産が可能で、且つ、TiCの析出が抑制されて疲労特性に優れる。
以下、本発明の窒化処理用鋼における数値限定理由について説明する。
(1)[Si%]+[Mo%]+2×([V%]+[Ti%]+[Al%])≧2.3・・・式1
式1を満たす合金元素の組合せによって、窒化時のN侵入に対する鋼の共析温度が上がり、高温(例えば600℃以上750℃以下)での窒化処理が可能となる。これによって、従来の窒化処理用鋼よりも深い硬化深さ(例えば0.3mm以上)を得ることができる。
(2)242×[Ti%]+230×[Al%]+100×[V%]≧150・・・式2
式2を満たす合金元素の組合せによって、高温(例えば、600℃以上750℃以下)での窒化処理でも硬い拡散層を形成することができる。これによって、高い表面硬さ(例えば650HV以上)を得ることができる。
(3)C:0.05%以上0.60%以下
Cは、強度確保のための内部硬さを得るために必要な元素であり、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後の硬さが増加して加工性を劣化させるため、0.60%以下の添加とする。
(4)Si:0.03%以上3.0%以下
Siは、鋼の溶製時における脱酸剤として使用されるとともに、鋼の疲労強度を向上させる効果もある。また、式1に含まれるMo,V,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素でもある。これらの効果を得るには0.03%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鋼の脆化を促進し、表面脱炭を伴って被削性等の加工性を劣化させてしまうので、3.0%以下の添加とする。
(5)Mn:0.01%以上3.5%以下
Mnは、固溶強化により硬さ向上に寄与する元素であるとともに、靭性向上に効果のある元素である。これらの効果を得るには0.01%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、被削性が低下して機械加工性を劣化させるとともに、窒化処理後の硬化深さが低下する原因となるため、3.5%以下の添加とする。
(6)Cr:0.10%以上%以下
Crは、式1に含まれるSi,Mo,V,Ti,Alと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、この効果を得るには0.10%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に硬くなりすぎ、被削性を低下させるため、%以下の添加とする。
(7)Mo:0.05%以上3.0%以下
Moは、式1に含まれるSi,V,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、この効果を得るには0.05%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に硬くなりすぎて被削性を低下させるとともに、コストの増加を招くため、3.0%以下の添加とする。
(8)V:0.1%以上3.0%以下
Vは、式1に含まれるSi,Mo,Ti,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、その傾向は他の元素よりも優れる。また、拡散層の硬さを上げる元素でもある。これら効果を得るには、0.1%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造または圧延,溶体化処理後に炭化物を析出して、マトリックス中のCを低下させるとともに、窒化時に有効に作用するVが減少してしまうため、3.0%以下の添加とする。
(9)Ti:0.5%以下
Tiは、式1に含まれるSi,Mo,V,AlやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、その傾向は他の元素よりも優れる。また、拡散層の硬さを上げる元素でもある。しかしながら、上述したように、過度の添加は生産性の困難さを招き、且つ、TiCの析出量が増えて疲労強度の著しい低下を招いてしまう。また、窒化後の化合物層の形状が針状となって機械的性質が損なわれる。このため、0.5%以下の添加とする。
(10)Al:0.001%以上3.0%以下
Alは、溶製時の脱酸剤として添加される。また、式1に含まれるSi,Mo,V,TiやCrと同様に、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度を上げる元素であり、且つ、高温で拡散層の硬さを上げる元素である。これらの効果を得るには0.001%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、母材がα相となる傾向が強くなって芯部の靭性が低下してしまうため、3.0%以下の添加とする。
(11)N:0.005%以上0.025%以下
Nは、Alと微細な窒化物を生成し、熱間鍛造時における結晶粒径の成長を抑制して鋼の靭性向上に資する成分である。この効果を得るには0.005%以上の添加が必要である。他方、過度の添加は、鍛造時にブローホールなどが発生して鋼塊の健全性が損なわれるので、0.025%以下の添加とする。
次に、本発明の窒化処理用鋼は、鋼成分として更に、以下の任意成分を含有させることができる。
(12)Nb:0.5%以下,Zr:0.5%以下
これらの成分は、鋼の溶製時に溶鋼中に生成するこれらの酸化物によって、鋼中に存在するMnS等の硫化物を微細化して分散させるので、鋼の被削性の向上に寄与する。また、微細化した硫化物は、鋼の鍛造時や焼ならし後の組織を微細化して鋼の疲労強度を向上させる。しかし、過度に添加してもその効果は飽和するので、それぞれ0.5%以下とするのが好ましい。
(13)Cu:1.0%以下,Ni:1.0%以下
これらの成分は、鋼の芯部強度を向上させる。しかし、過度に添加しても経済的に得策ではないので、それぞれ1.0%以下とすることが好ましい。
(14)S:0.01%以上0.20%以下,Ca:0.0005%以上0.0030%以下,Pb:0.3%以下,Bi:0.3%以下
これらの成分は、鋼の被削性を向上させるため、時効処理前に行う機械加工時に高い被削性が要求される場合には、これらの成分の少なくとも1種を添加することが好ましい。しかし、過度に添加すると、鋼の熱間加工性や疲れ限度を劣化させるので、Sは0.2%以下,Caは0.010%以下,Pbは0.3%以下,Biは0.3%以下とすることが好ましい。
次に、本発明の窒化処理用鋼の製造および窒化処理について説明する。
本発明の窒化処理用鋼は、溶解して所定の精錬を行った後に、熱間圧延,鍛造,焼入れ焼戻し等の各種熱処理おいて十分に溶体化処理を行い、窒化時に有効に作用するSi,Cr,Mo,V,Ti,Alなどの元素をマトリクス中に十分に固溶させる。その後の冷却では、これらの元素を炭化物や窒化物として析出させずにマトリックス中に残すように、冷却速度を製品種類や合金成分の組合せに応じて適宜設定する。一例を挙げると、冷却後にフェライトが50%以上生成される成分組成の場合、800℃から500℃までの領域を0.05℃/sec以上10℃/sec以下の冷却速度で行う必要がある。
本発明の窒化処理用鋼が得られた後は、各種製品となるように切断や成型などの加工を行うが、かかる加工は窒化処理前に実施するため、炭窒化物が析出しない温度で実施する。具体的には、500℃以下での実施が好ましい。
窒化処理は600℃以上で行う。通常の鋼では、窒化による窒素侵入に対する鋼の共析温度が600℃未満であり、それ以上の温度で処理するとγ相やマルテンサイト相を生成してしまう。しかし、本発明の窒化処理用鋼は、式1によって窒化時のN侵入に対する鋼の共析温度が600℃以上となっているため、600℃以上の高温で窒化処理が可能である。窒化処理温度の上限は、例えば750℃以下とすることができる。また、硬化深さについては、要求特性に応じて窒化処理時間により適宜調整することができる。ここで、本発明の窒化処理用鋼は、高温での窒化処理が可能であるため処理時間の短縮化を図ることができ、従来の窒化鋼よりも生産性に優れる。なお、窒化処理には、ガス窒化,ガス軟窒化,塩浴窒化,塩浴軟窒化,イオン窒化,プラズマ窒化,ラジカル窒化等の方法があり、いずれを適用してもよい。
次に、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
試験は、表1に示す鋼成分について、5kg真空誘導溶解炉によって溶解した鋼塊を用い、1200℃以上に加熱して直径22mmの丸棒に鍛伸したものを使用した。その後、切断して所定の大きさに成形後(回転曲げ疲労試験片および摩耗試験片)、全ての鋼材について850〜1200℃で30分保持し、油冷及び空冷した。なお、X鋼については、その後に650℃で2hr時効処理を行い、窒化時に有効に作用する元素のマトリックス中からの低減を図った。
表1において、A〜G,I,L,N鋼は本発明の成分範囲内にある発明鋼であり、H,J,K,M,O,P鋼はそれに対する参考鋼であり、R〜X鋼はそれに対する比較鋼である。比較鋼Rは、汎用鋼であるSCM440相当の鋼について通常の窒化条件で軟窒化したものである。比較鋼Xは、製造時の成分が本発明で規定する範囲に含まれているが、時効処理によって窒化時に有効に作用する元素のマトリックス中からの低減を図っているので、ここでは比較鋼として扱う。
なお、表1中の比較鋼の組成において、本発明で規定する組成範囲を逸脱しているものには、下限を下回る場合は下向矢印(↓)、上限を上回る場合は上向矢印(↑)を付している。
Figure 0004737601
以上の発明鋼(A〜G,I,L,N鋼、参考鋼(H,J,K,M,O,P鋼)および比較鋼(R〜X鋼)に対して、表2に示す各条件で窒化処理を実施した。窒化処理は、焼入を行った試験片について、通常の窒化処理温度に比べて高温の620〜750℃の範囲でガス軟窒化処理を行った(但し、R鋼については通常の窒化処理温度である550℃でガス軟窒化処理を行った)。次に、窒化処理後の試験片に対して、回転曲げ疲労試験および摩耗試験を実施した。以下に試験方法について説明する。
・回転曲げ疲労試験
回転曲げ疲労試験は、小野式回転曲げ疲れ試験機を用いて行った。以下に試験条件を示す。
回転数:3500rpm
温度:25℃
・摩耗試験
摩耗試験は、大越式磨耗試験機を用いて行った。以下に試験条件を示す。
相手材:SUJ2
摩擦距離:400m
摩擦速度:0.94m/s
非潤滑
以上の回転曲げ疲労試験および磨耗試験の試験結果を表2に示す。なお、これらの試験結果は、発明鋼1を基準とする相対評価で表している。また、EPMAにより観察したN拡散深さも表2に示す。
Figure 0004737601
表2によると、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)は、高温の窒化処理を施しているため、比較鋼Rのような汎用鋼の通常窒化条件では得られないN拡散深さ(N拡散深さは、一般的に窒化後の硬化深さと対応する。)が得られている。また、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)は式1を満たすため、高温で窒化してもγ相が生成しないことがX線回折から確認されている。さらに、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)は式2を満たすため、高温窒化により優れた疲労特性と耐摩耗性が得られていることが比較鋼Rと比べて明らかである。
比較鋼S,Tは、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)と比べて、疲労強度および摩耗量が劣化していることがわかる。これは、式1を満たすものの式2を満たしていないために、拡散層の硬さが十分に得られなかったことによると考えられる。
比較鋼U,Vは、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)と比べて、疲労強度および摩耗量が劣化していることがわかる。これは、式2を満たすものの式1を満たしていないために、化合物層直下にγ相が生成したことによると考えられる(X線回折により確認)。
比較鋼Wは、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)と比べて、疲労強度および摩耗量ともに低くなっていることがわかる。これは、高Ti鋼であることから、マトリクス中のTiC量が多く、かかる介在物を起点とする疲労破壊が起こることによると考えられる(破面観察により確認)。よって、このような高Ti鋼は、高温窒化処理に適していないものと考えられる。
比較鋼Xは、発明鋼(A〜G,I,L,N鋼)と比べて、疲労特性および耐摩耗特性がともに低下していることがわかる。これは、式1および式2を満たすものの、窒化前に時効処理を実施したため、窒化時に有効に働く元素量がマトリックス中から低減した結果、表面にγ層が生成したことによると考えられる(X線回折および顕微鏡観察により確認)。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.05%以上0.60%以下,Si:0.03%以上3.0%以下,Mn:0.01%以上3.5%以下,Cr:0.10%以上%以下,Mo:0.05%以上3.0%以下,V:0.1%以上3.0%以下,Ti:0.5%以下,Al:0.001%以上3.0%以下,N:0.005%以上0.025%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする高温窒化処理用鋼。
    [Si%]+[Mo%]+2×([V%]+[Ti%]+[Al%])≧2.3・・・式1
    242×[Ti%]+230×[Al%]+100×[V%]≧150・・・式2
  2. 鋼成分として更に、Nb:0.5%以下,Zr:0.5%以下から選ばれる1種または2種を含有する請求項1に記載の窒化処理用鋼。
  3. 鋼成分として更に、Cu:1.0%以下,Ni:1.0%以下から選ばれる1種または2種を含有する請求項1または2に記載の窒化処理用鋼。
  4. 鋼成分として更に、S:0.01%以上0.20%以下,Ca:0.0005%以上0.0030%以下,Pb:0.3%以下,Bi:0.3%以下から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の窒化処理用鋼。
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