JP6447064B2 - 鋼部品 - Google Patents
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Cは、部品の生地の強度(芯部強度)を確保するために必要な元素である。Cの含有量が0.05未満では、前記の効果が不十分である。また、Cの含有量が0.3%を超えると、中サイクルにおける疲労強度が低下する他、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎるため、切削加工性が大きく低下する。したがって、生地の鋼材におけるCの含有量を0.05〜0.3%とした。なお、C含有量の好ましい範囲は0.08〜0.25%である。
Siは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める効果があり、面疲労強度を高めるのに有効な元素である。しかしながら、Siの含有量が0.05%未満では前記の効果が不十分である。一方、Siの含有量が1.5%を超えると、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎるため、切削加工性が大きく低下する。したがって、生地の鋼材におけるSiの含有量を0.05〜1.5%とした。なお、Si含有量の好ましい範囲は0.08〜1.2%である。
Mnは、焼入れ性を高める効果があるため、曲げ疲労強度および面疲労強度を高めるのに有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.2%未満では前記の効果が不十分である。Mnの含有量が0.4%以上になると、面疲労強度の向上が顕著になる。一方、Mnの含有量が1.5%を超えると、面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎるため、切削加工性が大きく低下する。したがって、生地の鋼材におけるMnの含有量を0.2〜1.5%とした。なお、Mn含有量の好ましい範囲は0.4〜1.2%である。
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、切削加工性を向上させる。しかしながら、その含有量が0.003%未満では、前記の効果が得難い。一方、Sの含有量が多くなると、粗大なMnSを生成しやすくなり、面疲労強度を低下させる傾向があり、特に、その含有量が0.05%を超えると、面疲労強度の低下が顕著になる。したがって、生地の鋼材におけるSの含有量を0.003〜0.05%とした。なお、S含有量の好ましい範囲は0.01〜0.03%である。
Crは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果があり、面疲労強度を高めるのに有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.1%未満では上記の効果が不十分である。Crの含有量が0.5%以上になると、面疲労強度の向上が顕著になる。一方、Crの含有量が1.5%を超えると、曲げ疲労強度および面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎるため、切削加工性が著しく低下する。したがって、生地の鋼材におけるCrの含有量を0.1〜1.5%とした。Cr含有量の好ましい範囲は0.5〜1.2%である。
Mn及びCrは、上述のとおり焼入れ性を高めるため、曲げ疲労強度及び面疲労強度の向上に有効な元素である。(Mn+Cr)量が0.6%未満では、上記の効果が不十分である。一方、(Mn+Cr)量が2.5%を超えると、曲げ疲労強度および面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎるため、切削加工性が著しく低下する。したがって、生地の鋼材における(Mn+Cr)の含有量を0.6〜2.5%とした。(Mn+Cr)量の好ましい範囲は0.8〜2.0%である。
Alは、脱酸作用を有すると同時に、Nと結合してAlNを形成しやすく、焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Alの含有量が0.01%未満ではこの効果は得難い。一方で、Alは硬質な酸化物系介在物を形成しやすく、Alの含有量が0.05%を超えると、曲げ疲労強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望の曲げ疲労強度が得られなくなる。したがって、生地の鋼材におけるAlの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Al含有量の好ましい範囲は0.02〜0.04%である。
Nは、Al、Ti、Nb、Vと結合してAlN、TiN、NbN、VNを形成しやすく、このうちAlN、NbN、VNは結晶粒微細化に有効で、曲げ疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Nの含有量が0.003%未満ではこの効果は得難い。一方で、Nの含有量が0.025%を超えると、粗大なTiNが形成されやすくなるため、曲げ疲労強度の低下が著しくなり、他の要件を満たしていても所望の曲げ疲労強度が得られなくなる。したがって、生地の鋼材におけるNの含有量を0.003〜0.025%とした。なお、N含有量の好ましい範囲は0.005〜0.020%である。
Pは、粒界偏析して粒界を脆化させやすい元素のため、その含有量が0.025%を超えると、他の要件を満たしていても、少ない頻度ではあるが、曲げ疲労強度が低下する場合がある。したがって、生地の鋼材におけるPの含有量は0.025%以下とすることが好ましい。P含有量のより好ましい上限は0.018%である。
Moは、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める効果があり、面疲労強度を高めるのに有効な元素である。Moの含有量が0.20%未満であれば、面疲労強度の向上が顕著である。一方、Moの含有量が0.20%以上となると、面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、棒鋼、線材や熱間鍛造後の強度が高くなりすぎることで、切削加工性が著しく低下する他、コストもかさむ。したがって、生地の鋼材におけるMoの含有量を0.20%未満とした。Mo含有量の好ましい範囲は0.18%未満である。
Tiは、Nと結合してTiNを形成しやすく、焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Tiの含有量が0.10%を超えると、曲げ疲労強度および面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、コストもかさむ。したがって、生地の鋼材におけるTiの含有量を0.10%以下とした。Ti含有量の好ましい範囲は0.08%以下である。
Nbは、Nと結合してNbNを形成しやすく、焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Nbの含有量が0.08%を超えると、曲げ疲労強度および面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、コストもかさむ。したがって、生地の鋼材におけるTiの含有量を0.08%以下とした。Nb含有量の好ましい範囲は0.07%以下である。
Vは、Nと結合してVNを形成しやすく、焼入れ部の結晶粒微細化に有効で、曲げ疲労強度及び面疲労強度を高める効果がある。しかしながら、Vの含有量が0.15%を超えると、曲げ疲労強度および面疲労強度を高める効果が飽和するだけでなく、コストもかさむ。したがって、生地の鋼材におけるVの含有量を0.15%以下とした。したがって、生地の鋼材におけるNbの含有量を0.15%以下とした。V含有量の好ましい範囲は0.13%以下である。
平均のC濃度Caveが0.005〜0.30%、
平均のN濃度Naveが0.45〜0.80%、
Cave+Naveが0.60〜1.00%、
であり、表面から深さ0.1mmまでの領域におけるビッカース硬さの最小値が550HV以上でなければならないことが明らかになった。以下、上記の事項について詳しく説明する。
Claims (3)
- 生地が、質量%で、
C:0.05〜0.3%、
Si:0.05〜1.5%、
Mn:0.2〜1.5%、
S:0.003〜0.05%、
Cr:0.1〜1.5%、
Mn+Cr:0.6〜2.5%、
Al:0.01〜0.05%、及び
N:0.003〜0.025%を含有し、
残部はFeおよび不純物からなる鋼材であり、
表面から深さ0.1mmまでの領域において、平均のC濃度Caveが0.005〜0.30%、平均のN濃度Naveが0.45〜0.80%、Cave+Naveが0.60〜1.00%であり、
表面から深さ0.1mmまでの領域における荷重20gで測定した場合のビッカース硬さの最小値が550HV以上である
ことを特徴とする浸炭窒化高周波焼入れ部品、または窒化高周波焼入れ部品。 - 生地の鋼材が、質量%で、Mo:0.20%未満をさらに含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の浸炭窒化高周波焼入れ部品、または窒化高周波焼入れ部品。
- 生地の鋼材が、質量%で、Ti:0.10%以下、Nb:0.08%以下及びV:0.15%以下のうちの1種以上をさらに含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の浸炭窒化高周波焼入れ部品、または窒化高周波焼入れ部品。
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