JP2010530477A - 産油国の管製品用の優れた耐腐食性を持つ低合金鋼 - Google Patents

産油国の管製品用の優れた耐腐食性を持つ低合金鋼 Download PDF

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Abstract

本願は向上された耐腐食性を提供する鋼組成物について記述する。この鋼組成物は1質量%から9質量%のバナジウム、約1質量%から9質量%のチタニウム、または1質量%から約9質量%のバナジウムおよびチタニウムの組み合わせの何れか1つを含有する。さらに、鋼組成物は0.03質量%から約0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガンおよび0.45質量%までのシリコンを含有する。一実施形態では、鋼組成物の鋼微細構造は、フェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含む。さらに、鋼組成物の処理方法および鋼組成物で製造された産油国の管製品などの装置の使用を本願は記述する。
【選択図】図5

Description

(関連出願の相互参照)
本発明は、2007年6月18日に出願された米国特許仮出願第60/936,185号の優先権の利益を主張するものである。
(発明の分野)
本発明は向上された耐腐食性を持つ高強度低合金鋼の分類に関する。この出願に記載されている高強度低合金鋼は産業界で広く使用可能であるが、これらの鋼合金は炭化水素の探査および生産に使用される要素として特に好適である。特に、これらの高強度低合金鋼は高合金鋼または炭化水素用途での腐食制御に使用される抑制技術に対して経済的な代替案を提供する。このように、この出願は高強度低合金鋼の組成物、鋼プロセッシングおよび特定の用途での有用な形状への前駆鋼の製造について記載する。
(背景)
以下に記載されおよび/または特許請求の範囲に記載されている、本発明の技術の例示的な実施形態に関連したさまざまな態様の技術を読者に紹介する意図がこのセクションにある。本発明の技術の特定の態様をさらに理解することを容易にする情報を読者に提供するために、この議論は役に立つと信じている。従ってこれらの記述が、従来技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであるということが理解されなければならない。
石油やガスなどの炭化水素の生産は長年にわたって行われてきた。これらの炭化水素を生産するために、フィールド毎に一つ以上の井戸が、一般的に地下層またはベースンと称される地下位置まで一般に掘られる。地下位置から炭化水素を生産するプロセスには一般に地下層から配送地まで炭化水素を輸送するためにさまざまな装置および設備の使用が含まれる。このように、これらの炭化水素の生産および輸送には、鋼および他の材料から製造された管材、パイプラインおよびさまざまな器具などの「産油国の管製品」(OCTG)が含まれてもよい。
輸送される液体には、生産された地層流体などの炭化水素に加えて、腐食性であって生産装置および輸送装置を腐食させて損傷させる他の液体を含有することがしばしばある。腐食の影響を軽減するために、現在のアプローチには、「耐腐食性合金」(CRA)として知られる高価な高合金金属から製造された装置の使用、または検査、コーティング、抑制、陰極防食、定期修理/交換を含む追加の腐食制御手段を伴う高価な炭素鋼の使用の何れかを一般的に含む。資本コストを削減するために高価なCRAを交換すること、または炭素鋼を交換することの何れかを通じて、このように向上された耐腐食性を持つ低コスト合金は費用節約効果を提供でき、追加の腐食制御手段に関連する操業コストを削減できる。
さらに、上記のような向上された耐腐食性を持つ低コスト合金は、水圧入井で一般に遭遇する酸素を含有する含水液体中で好適な耐腐食性を持てば、さらなる利益を提供することができ、変換井戸および二重目的井戸中のOCTG管材として追加の用途があることに留意すべきである。変換井戸は、炭化水素を生産する井戸として最初は使用され、その後に水圧入井に変換された井戸である。これらの井戸は、一般に、炭化水素を生産する段階では生産液体に対する耐腐食性を持つ合金から製造された管材を使用し、その後の水圧入作業の期間は酸素を含有する液体中で耐腐食性を持つ合金から製造された管材に追加のコストをかけて変更する。二重目的井戸は、例えば生産管材を介した炭化水素の生産と、例えば生産管とケーシングとの間のアニュラスを介した地下層への水の圧入を同時にする井戸である。これらの井戸では、一般に生産液体および酸素を含有する液体の両方に耐腐食性を持つ高価な高合金CRAから製造された管材を使用する。従って、生産液体および酸素を含有する液体の両方に向上された耐腐食性を持つ低コスト合金は、水圧入井へ変換する場合に管材の変更を要求しない変換井戸の場合にOCTG管材として使用され、および高価なCRA管材を置き換えるために二重目的井戸の場合にOCTG管材として使用されると著しくコストを節約することができる。
典型的なCRA組成物の耐腐食性は、約12〜13質量百分率(質量%)を超えるクロム(Cr)などの多量の合金添加に由来する。この量のクロム、例えば13質量%Crは腐食保護のためのナノメートル厚の不動態膜の完全な表面皮膜を形成するために必要とされる最小量である。ASMハンドブック、vol 13A: Corrosion 2003 年版 697頁;Corrosion of Stainless Steels、AJ. Sedriks、1頁、図1.1(ワイリー社、1996年)参照。 実際に、鉄(Fe)に13 質量%のCrを有する組成物は、しばしば13Cr鋼と称される最もコストが安いCRAの塩基性組成物である。鉄(Fe)は安価な金属であるが、どんな追加の合金も一般的には合金のコストを上昇させる。従って、より高い分類のCRAは、それらの不動態膜特性を更に改良するためにより多くのクロムばかりではなく、より多くのモリブデン(Mo)などの他のより高価な合金元素も含有し、その結果としてより材料コストが高くなる。石油およびガス産業では、水腐食に関する懸念が、探査、生産、精製および化学装置および施設用途での材料の選択をしばしば左右する。ASMハンドブック,vol 13A: Corrosion 2003年版 697頁を参照。たとえば、典型的な石油およびガス探査および生産作業では、低コストのために炭素鋼が構造物の合金のバルクを形成しており、一方、よりコストのかかるCRAは厳しい腐食環境の生産分野でのみ使用され、結果として使用されているトン数のほんのわずかな部分しか構成していない。ASMハンドブック,vol 13: Corrosion 1987年版. 1235頁参照。
コストを削減するために、いくつかの研究集団および鋼企業が、公称クロム含有量を3質量%以下に低減することで材料コストを削減するCr含有鋼の開発に重点をおいた、改良された耐腐食性を持つ低合金炭素鋼の開発に最近取り組んだ。バナジウム(V)、チタン(Ti)およびニオビウム(Nb)などの強力な炭化物形成元素の添加によって、固溶体中の耐腐食性を持つわずかなクロムが最大限生かされる。これらの元素は、カーバイド析出物としてマトリックス中の炭素と結合することによって、耐腐食性のためにマトリックス中に残る遊離クロムの量を効果的に増加させる。たとえば、さまざまな3質量%Cr鋼が、NACE(腐食技術者協会)溶液ばかりではなく人工の淡水中でも実験室での試験がされるとともに、3質量%Crを含有する鋼および1質量%Crを含有する鋼が人工の海水および生産水中で実験室での試験がなされた。さらに、1質量%〜5質量%の範囲のCr含有量を持つ炭素鋼が、さまざまな人工の生産液体で試験された。最後に、油田の液体から抽出された塩水に暴露された4質量%Cr鋼の表面特性も調査された。
これらの試験および報告から、3〜5質量%のCr鋼は、スイート(CO2)およびややサワーな(H2S)生産環境中の炭素鋼に対して優れた耐腐食性を示す。しかしながら、10億分の20部(ppb)を超えるレベルの酸素に暴露されると、ピッチングという形で局部的な腐食が全てのサンプルで確認された。Michael John Schofield et al.,「Corrosion Behavior of Carbon Steel, Low alloy Steel and CRa’s in Partially Deaerated Sea Water and Commingled Produced Water」 Corrosion, 2004 Paper No. 04139参照。より低いレベルのCr、つまり1質量%のCrを含有する鋼は、酸化環境中では、ピッチングが無く、腐食速度が小さかった。Chen Changfeng et al., 「The Ion Passing Selectivity of CO2 Corrosion Scale on N80 Tube Steel」 Corrosion, 2003, Paper No. 03342参照。実際、1質量%Cr鋼は水圧入用途向けに市販されている、しかしながら、これらの鋼は、温度60℃でpH(5−6)未満のスイート(CO2)環境では適切な保護を提供しない。Michael John Schofield et al. and C. Andrade et al., Proceedings of OMAE’01 20th International Conference on Offshore Mechanics and Arctic Engineering, June 3〜8, 2001, Rio de Janeiro, Brazil参照。したがって、0〜5質量%のCrを含有する低Cr鋼は、上述の変換井戸および二重目的井戸の用途に不適切である。
従って、石油およびガス生産に関連する環境中で、均一腐食つまり全面腐食に対する耐食性とピッチングつまり局部的な腐食に対する耐食性を兼ね備えた、安価な低合金鋼に対する要求が存在する。
さらに、追加の情報は以下を参照のこと。Materials Performance, July 2002, pp. 4〜8: Fig. 5; ASM Handbook, vol. 13A: Corrosion, 2003 ed. p. 697; Corrosion of Stainless Steels, A.J. Sedriks, p. 1 and Fig. 1.1 (Wiley, 1996); B. Kermani, et al., 「Materials Optimization in Hydrocarbon Production」, Corrosion/2005 Paper No. 05111; M. B. Kermani, et al., 「Development of Low Carbon Cr〜Mo Steels with Exceptional Corrosion Resistance for Oilfield Applications,」 Corrosion/2001, paper No. 01065; H. Takabe et al., 「Corrosion Resistance of Low Cr Bearing Steel in Sweet and Sour Environments,」 Corrosion/2002, Paper No. 02041; K. Nose, et al., 「Corrosion Properties of 3% Cr Steels in Oil and Gas Environments,」 Corrosion/2001, Paper No. 01082; T. Muraki, et al., 「Development of 3% Chromium Linepipe Steel,」 Corrosion/2003, Paper No. 03117; Chen Changfeng et al., 「The Ion Passing Selectivity of CO2 Corrosion Scale on N80 Tube Steel,」 Corrosion/2003, Paper No. 03342; M. J. Schofield, et al., 「Corrosion Behavior of Carbon Steel, Low Alloy Steel and CRA’s in Partially Deaerated Sea Water and Commingled Produced Water,」 Corrosion/2004 Paper No. 04139; C. Andrade, et al., 「Comparison of the Corrosion Behavior of Carbon Steel and 1% Chromium Steels for Seawater Injection Tubings」, Proceedings of OMAE’01 20th International Conference on Offshore Mechanics and Arctic Engineering June 3〜8, 2001, Rio de Janeiro, Brazil; CALPHAD − Calculation of Phase Diagrams, Eds. N. Saunders, A.P. Miodownik (Pergamon, 1998); and 「Thermo−Calc ver M, Users’ Guide,」 by Thermo−Calc Software, Thermo−Calc Software, Inc, McMurray, PA 15317, USA (2000)。
(発明の概要)
一実施形態では、耐腐食性を提供する鋼合金組成物が記載されている。鋼組成物は1質量%から9質量%のバナジウム、1質量%から9質量%のチタニウム、および1質量%から9質量%のバナジウムおよびチタニウムの組み合わせの何れか一つを含有する。さらに、鋼組成物は0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガンおよび0.45質量%未満のシリコンを含有する。
第2実施形態では、耐腐食性炭素鋼(CRCS)を生産する方法が記載されている。この方法には、CRCS組成物を提供すること、好適な温度でCRCS組成物を実質的に均質化しおよび析出物を溶解するのに好適な時間CRCS組成物をアニーリングすること、および主としてフェライト微細構造、主としてマルテンサイト微細構造および主として二相微細構造の一つを生産するためにCRCS組成物を適切に焼き入れすることを含む。CRCS組成物は、1質量%から9質量%のバナジウム、1質量%から9質量%のチタニウム、または約1質量%から約9質量%のバナジウムおよびチタンの組み合わせの何れか一つ、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガンおよび0.45質量%未満のシリコンを含有する。
第3実施形態では、炭化水素の生産に関連する方法が記載されている。この方法には、坑井環境で利用される、少なくとも部分的に耐腐食性炭素鋼(CRCS)組成物から形成される装置の取得、坑井での装置の設置および装置を通じての炭化水素の生産を含む。CRCS組成物には、1質量%から9質量%の添加耐腐食性合金、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、および0.45質量%未満のシリコンを含有する。
第4実施形態では、耐腐食性を提供する別の鋼組成物が記載されている。鋼組成物は1質量%から9質量%のバナジウム、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、および0.45質量%未満のシリコンを含有する。鋼組成物中のバナジウム含有量はさらに1質量%から3.5質量%であってもよい。
第5実施形態では、さらに耐腐食性を提供する別の鋼組成物が記載されている。鋼組成物は1質量%から6質量%のチタニウム、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガンおよび0.45質量%未満のシリコンを含有する。鋼組成物中のチタン含有量はさらに1質量%から3.5質量%であってもよい。
第6実施形態では、その上さらに耐腐食性を提供する別の鋼組成物が記載されている。鋼組成物は1質量%から6質量%のチタンおよびバナジウムの組み合わせ、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、および0.45質量%未満のシリコンを含有する。チタンおよびバナジウムの組み合わせはさらに1質量%から3.5質量%であってもよい。
第7実施形態では、耐腐食性を提供する別の鋼組成物が記載されている。鋼組成物は約1質量%から5質量%のクロムおよびバナジウムの組み合わせ、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、0.45質量%未満のシリコンおよび3質量%未満のニッケルを含有する。
(図面の簡単な説明)
本発明の技術の前述した有利な点および他の有利な点は、以下の詳細な説明を読むことによりおよび図面を参照することにより明白になるであろう。
図1Aは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Bは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Cは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Dは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Eは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Fは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Gは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Hは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Iは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Jは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Kは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Lは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Mは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Nは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Oは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図1Pは本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。 図2は本発明の態様による人工の水圧入含水液体を使用して測定された例示的なピッチング実験の腐食試験実験データである。 図3Aは本発明の態様による腐食試験後のCRCSの腐食表面微細構造の例示的な横断面走査型電子顕微鏡(SEM)写真およびエネルギー分散型スペクトル(EDS)写真である。 図3Bは本発明の態様による腐食試験後のCRCSの腐食表面微細構造の例示的な横断面走査型電子顕微鏡(SEM)写真およびエネルギー分散型スペクトル(EDS)写真である。 図3Cは本発明の態様による腐食試験後のCRCSの腐食表面微細構造の例示的な横断面走査型電子顕微鏡(SEM)写真およびエネルギー分散型スペクトル(EDS)写真である。 図3Dは本発明の態様による腐食試験後のCRCSの腐食表面微細構造の例示的な横断面走査型電子顕微鏡(SEM)写真およびエネルギー分散型スペクトル(EDS)写真である。 図4Aは本発明の態様によるThermo−Calcコンピュータモデルを使用して演算されたCRCS組成物の例示的な状態図である。 図4Bは本発明の態様によるThermo−Calcコンピュータモデルを使用して演算されたCRCS組成物の例示的な状態図である。 図5は本発明の他の態様による例示的な生産システムである。
(詳細な説明)
以下の詳細な説明では、本発明の特定の実施形態が好ましい実施形態に関連して記述される。しかしながら、特定の実施形態または本発明の特定の使用に対して以下の記述は具体的であるが、これは一例であって単に例示的な実施形態の簡潔な説明を提供することを意図している。従って、本発明は以下に記述される特定の実施形態に限定されず、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲の真の範囲の全ての代替手段、変更、および均等物を含む。
本発明の技術は種々の鋼の化学組成、微細構造、および構造物の鋼用途に使用される耐腐食性炭素鋼(CRCs)の耐腐食性を対象にする。本発明の技術では、炭素鋼の向上された耐腐食性は添加合金元素が濃縮された保護表面層の形成によって提供され、別の態様では腐食プロセスの原因となる表面電気化学反応の反応速度を減速させることによって提供される。すなわち、本発明の技術は(a)含水生産環境および水圧入環境中での向上された耐腐食性を提供するCRCS組成物、(b)冶金プロセッシングおよび結果として生じるじょうぶで堅いCRCSの微細構造、および(c)構造物の鋼用途でのCRCSの使用を含む。これらのCRCSは炭化水素の生産および輸送などのさまざまな用途で利用されてもよい。特に、CRCS材料またはCRCS組成物と称されてもよいCRCSは、配管、パイプライン、フローラインおよびケーシングストリングなどの管状装置に利用されてもよい。管状装置はさまざまな用途、たとえば、炭化水素の生産、水圧入、変換および二重目的井戸などの用途で利用されてもよい。このように、本発明の技術は稼働井戸をさらによくする組成物、プロセスおよびシステムをもたらす。
最初に、当然のことながら、配管、パイプラインセグメントおよび坑井管材などのさまざまな産油国の管製品(OCTG)は坑井環境中で広範囲の環境条件を経験する。表1に示すように、特定の例でのスイートおよび水圧入用途での関連する環境条件範囲の概要を以下に示す。
表1
Figure 2010530477
華氏(F)での温度(T)、重量ポンド毎平方インチ絶対圧(psia)での全圧(Ptotal)、psiaでの二酸化炭素分圧(PCO2)、10億分の1部(ppb)での溶存酸素濃度([O2])、質量百分率(質量%)での塩素濃度([Cl])、およびpHレベル(pH)などの変数によって、スイートおよび水圧入用途での環境に対する耐食性を判定する。スイート生産液体は20ppb以下のごく少量の溶存酸素([O2])を一般に含有することに留意すべきである。このように、腐食を抑制する炭素鋼すなわち13Cr鋼は生産チュービングストリング、配管およびパイプラインセグメントなどの油田管材についての典型的な所定の材料解決策である。あるいは、水圧入用途では、100ppbまでの溶存酸素が存在してもよい。結果として、13Cr鋼から形成される生産管材などの装置は局部的な不動態膜破損によってピッチングを経験する。このように、事業コストを増加させる22Cr(22質量%クロム組成物鋼)二相から形成される装置などの、より高いグレードおよびより高価なCRAから製造される装置が選択されなければならない。
上術したように、腐食制御技術は、一般に耐腐食性用のクロム(Cr)添加に依存している。しかしながら、CRCS組成物またはCRCS材料技術は、Crに依存する代わりにバナジウム(V)および/またはチタン(Ti)などの特定の合金添加による耐腐食性特性を利用する。従って、他の合金添加とともにVおよび/またはTiの塩基性鋼への添加によって、石油およびガス生産において一般に遭遇する環境中では炭素鋼に比較して耐腐食性が向上できる。一般的に、耐腐食特性を高めるためではなく、機械的特性を高め、プロセッシングを改良するためにVおよびTiの両方ともより少ない量で鋼に添加されてきた。このように、本発明の技術の特徴的な態様の一つは、VおよびTi合金添加によって提供される耐腐食特性の向上の活用である。
さらに、過酸化水素水環境中では、Vおよび/またはTi組成物はクロム(Cr)に依存する他のCRA鋼組成物よりも最先端の鋼の欠点であるピッチング耐性を向上させることができる。従って、CRCS組成物中のVおよび/またはTi合金添加は、ピッチング腐食に対する耐性による利益(例えば、水圧入井戸装置用途)、または一般的な腐食およびピッチング腐食に対する同時耐性による利益(例えば、二重目的井戸装置用途)、または井戸寿命の異なる期間での一般的な耐腐食性またはピッチング耐腐食性による別々の利益(例えば、変換井戸装置用途)のいずれかの用途に対して特に有利である。
構造的用途では、CRCS材料は、特定の強度および靱性特性を含む有益なバルク機械的特性を持たせるように製造できる。これは特定のCRCS組成物にとっては好適な冶金プロセッシングステップを通じて達成される。このような冶金プロセッシングステップには、これに限定されるものではないが、熱処理および/または熱加工処理を含んでもよい。
一つ以上の実施形態では、CRCSsは以下の有益な属性を持つ。(i)耐腐食性を向上させる組成物、(ii)冶金プロセッシングにおいてじょうぶで堅い微細構造を生産することを可能にする組成物、(iii)少なくとも60キロ重量ポンド毎平方インチ(ksi)の最小降伏強度を持つ組成物、(iv)産業標準APICT5で定義されるL80規格を満足させる靭性(API規格5CT、第8版、2005年、15頁参照)、(v)石油およびガスの探査および生産用途に対して、低コストで、向上された耐腐食性を有する継ぎ目の無いOCTGを製造できる組成物。
機械的特性を提供するために、CRCS組成物および関連するプロセッシングでは約60ksi(413メガパスカル、すなわち413MPa)を超える、一層好ましくは約70ksi(482MPa)を超える、さらに一層好ましくは約80ksi(551MPa)を超える降伏強度およびAPI5CT標準のL80規格に適合する高靭性を持つように形成される。
(鋼組成物)
上述のように、機械的性能ばかりではなく耐腐食性を提供するために、石油およびガス産業で使用されるCRCS装置を形成するためにCRCS材料が選択されてもよい。好都合なことに、ある用途では腐食制御に関連する操業コストを削減するために典型的な炭素鋼装置を交換し、また他の用途ではCRA装置のための高額な初期資本経費を削減するためにCRA装置を交換するCRCS装置を形成するためにCRCS組成物を含む鋼が使用されてもよい。
CRCS組成物は、合金元素、熱処理およびプロセッシングの組み合わせを通じて生産される性能レベルの範囲内での表面特性およびバルク特性の両方を付与し可能にするように設計される鉄ベースの鋼である。一つ以上の実施形態では、CRCS組成物は、鉄、耐腐食性合金元素、および一つ以上の他の合金元素から本質的に構成される。少量の不純物は従来の技術的基準で許容することができる。本発明を制限するものではないが、前記不純物または少量の合金には、S、P、Si、O、Al等を含んでもよい。たとえば、硫黄およびリンの存在については以下に詳述する。このように、CRCS組成物は合計9質量%までの合金添加物を含んでもよい。本発明についてのさまざまな合金元素の役割およびそれらの濃度についての好ましい制限値についてさらに以下に論じる。
耐腐食性合金添加では、CRCS組成物は耐腐食性を向上するためにV、Tiおよび/または両方の組み合わせを含んでもよい。Vおよび/またはTi添加によって、表面腐食反応速度の減少を介してばかりではなく、公称の鋼組成物よりも高濃度にVおよび/またはTiが濃縮されたオキシドヒドロキシドの保護表面層の形成を介して鋼に耐腐食性を付与する。たとえば、非スケーリングスイート環境では、CRCS組成物の耐腐食性合金添加によって、炭素鋼では一般的に提供されない、保護表面スケールの形成および腐食反応速度の減少による保護を提供する。鋼表面上で保護菱鉄鉱スケールを形成するスケーリングスイート環境では、CRCS組成物は上記と同じ方法で菱鉄鉱スケールの耐腐食性による追加の耐腐食性を提供する。従って、他の合金添加とともに塩基性鋼へのVおよび/またはTi耐腐食性合金添加剤の添加によって、石油およびガス生産で一般に遭遇する環境中の炭素鋼に比べて耐腐食性を向上させることができる。さらに、過酸化水素水環境中では、このようなVおよび/またはTi組成物はCrに依存する他のCRA鋼組成物よりも、最先端の鋼の欠点であるピッチング耐性を向上させることができる。
構造的用途では、CRCS材料は、CRCS材料中にじょうぶで堅い微細構造を生産する相変態を促進する好適な冶金プロセッシングステップを介して達成される有益なバルク機械的特性を持たせるために製造することができる。これらの好適な冶金プロセッシングステップおよび結果として生じる微細構造についてさらに以下に論じる。しかしながら、これらのプロセッシングステップの有効性および結果として生じる微細構造は、CRCS組成物に強く影響される。実際、以下に記述されるように、CRCS組成物間、好適なプロセッシングステップ間および結果として生じる微細構造間の関係に関する情報を生成するために、当業者は図4A〜図4Bに示される冶金状態図を使用してもよい。従って、すでに言及した有益な表面耐腐食特性に加えて、有益なバルク機械的特性を生産する目的で、CRCS組成物がさらに設計されてもよい。
たとえば、一つ以上のCRCS組成物の実施形態では、耐腐食性を提供するために特定の範囲のV、Ti、および/または両方の組み合わせを含んでもよい。たとえば、本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物は鋼の耐腐食性を向上させる有効なVを含んでもよく、耐腐食性を向上させためにCRCS組成物に1質量%から9質量%の範囲でVが添加されてもよい。以下に論じられる図4Aに示される相状態図に基づくと、V添加量は好ましくは1質量%から6質量%の範囲であり、ここでVの添加は耐腐食性を付与する下限の1質量%を超え、バルク機械的性能を提供する好適な微細構造を生産するために、加工性に対する上限の6質量%未満である。バルク機械的特性を向上させるために、CRCS組成物微細構造を、約50体積百分率(体積%)を超える丈夫なマルテンサイト相または焼き戻しマルテンサイト相を含有する微細構造にさらに改良するためには、以下に記述されるように、V添加量は一層好ましくは1質量%から4質量%の範囲、さらに一層好ましくは1質量%から2.5質量%の範囲、最も好ましくは1.5質量%から2.5質量%の範囲である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はCRCS組成物の耐腐食性を向上させるために有効なTiをも含んでもよく、耐腐食性を向上させためにCRCS組成物に1質量%から9質量%の範囲でTiが添加されてもよい。以下に論じられる図4Bに示される相状態図に基づくと、バルク機械的性能を提供する好適な微細構造を生産するための加工性に対して、Tiの添加量は好ましくは1質量%から3質量%の範囲である。バルク機械的特性を向上させるために、CRCS組成物微細構造を、約50体積%を超える丈夫なマルテンサイト相または焼き戻しマルテンサイト相を含有する微細構造にさらに改良するためには、Tiの添加量は一層好ましくは1質量%から2.2質量%の範囲、さらに一層好ましくは1質量%から1.8質量%の範囲、最も好ましくは1質量%から1.3質量%の範囲である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、鋼はVおよびTiを含んでもよい。これらの実施形態では、耐腐食性を向上させるためにVおよびTiは総量約1質量%から約9質量%の範囲で同時に添加されてもよい。図4Aおよび図4Bに示される状態図に基づくと、バルク機械的性能を提供する好適なじょうぶで堅い微細構造に対する加工性を改良するためには、添加されてもよいVおよびTiの総量は好ましくは1質量%から以下の式(e1)を満足させる量までの範囲である。
Ti(質量%)=3.0(質量%)−0.5×V(質量%)(e1)
ここでTi(質量%)およびV(質量%)はそれぞれ質量%単位でのTiおよびV添加量である。式(e1)はVとTiの組み合わせを含有するCRCS組成物を設計する場合に使用することができる。一例を挙げると、3質量%のVを含有するCRCS組成物を検討する場合、1.5質量%が改良された加工性に対して許容される好ましいTi添加の上限量に相当するかを判定するために式(e1)を使用することができる。別の例では、6質量%のVを含有するCRCS組成物を検討する場合、0質量%が改良された加工性に対して許容される好ましいTi添加の上限量に相当するかを判定するために(e1)を使用することができる。この後者の結果はVのみを含有してTiを含有しないCRCS組成物の上述の好ましい組成物範囲と一致する。バルク機械的特性を向上させるために、CRCS組成物微細構造を、約50体積%を超える丈夫なマルテンサイト相または焼き戻しマルテンサイト相を含有する微細構造にさらに改良するためには、添加されてもよいVおよびTiの総量は、一層好ましくは約1質量%から以下の式(e2)によって決定される量までの範囲であり、
Ti(質量%)=2.2(質量%)−0.55×V(質量%)(e2)
さらに一層好ましくは1質量%から以下の式(e3)によって決定される量までの範囲である。
Ti(質量%)=1.8(質量%)−0.72×V(質量%)(e3)
耐腐食性合金添加または元素に加えて、CRCS組成物の他の特性を向上させおよび/または可能にするために他の好適な合金元素が含まれてもよい。これらの添加合金元素の非限定的な例には、たとえば炭素、マンガン、シリコン、ニオビウム、クロム、ニッケル、ホウ素、窒素、およびこれらの組み合わせが含まれてもよい。CRCS組成物は、たとえば、より高い強度およびより大きな靭性などの改良されたバルク機械的特性のためにベース鋼を処理可能にする添加合金元素を含んでもよい。このように、60キロ重量ポンド毎平方インチ(ksi)、または好ましくは少なくとも80ksiの最小降伏強度定格を含む用途など特定の構造物の鋼用途に対して適切な機械的特性を提供し、および/または可能にするために、これらの合金元素はCRCS組成物に混合される。
特定の合金元素および好ましい範囲のさらなる詳細は以下に記述される。本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物は炭素(C)を含む。炭素は鋼を強化し、硬化させるために使用される元素の一つである。炭素の添加はある二次的な利益を提供する。たとえば、炭素合金添加は加熱中に、適切な冷却処置を用いることでCRCS組成物中により硬くより丈夫なラスマルテンサイト微細構造を形成できるオーステナイト相を安定させる。低温で靭性を改良するための微細な粒状微細構造を可能にするためにプロセッシング中に粒成長を抑制するばかりではなく析出を強化する微細なカーバイド析出物を形成するために、Ti、ニオビウム(Nb)およびVなどの他の丈夫なカーバイドを形成する元素とともに炭素もCRCS組成物中に混合できる。これらの利益を提供するために、0.03質量%から0.45質量%の範囲、好ましくは0.03質量%から0.25質量%の範囲、一層好ましくは0.05質量%から0.2質量%の範囲、およびさらに一層好ましくは0.05質量%から0.12質量%の範囲の炭素がCRCS組成物に添加される。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はマンガン(Mn)を含んでもよい。マンガンも鋼中の強化元素であり、焼き入れ硬化能に貢献することができる。しかしながら、過剰なマンガンは鋼プレート靭性に有害である。このように、マンガンは2質量%以下の量まで、好ましくは0.5質量%から1.9質量%の範囲、一層好ましくは0.5質量%から1.5質量%の範囲でCRCS組成物に添加されてもよい。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はシリコン(Si)を含んでもよい。シリコンは脱酸目的で鋼プロセッシング中にしばしば添加される。シリコンは丈夫なマトリックス強化剤であるが、それにもかかわらずシリコンは鋼靭性を低下させるという非常に有害な影響がある。したがって、シリコンは0.45質量%未満、好ましくは0.1質量%から0.45質量%の範囲でCRCS組成物に添加される。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はCrを含んでもよい。耐食減量を改善することに加えて、Crの添加は鋼の焼き入れ硬化能を高めることを通じて鋼を強化する。しかしながら、上記のように、Crを添加すると酸素を含有する含水環境ではピッチング腐食を受けやすくなる。VおよびCr、TiおよびCr、またはV、TiおよびCrを含有する開示された鋼はピッチング耐腐食性ばかりではなく耐食減量を同時に提供する。この二重の耐腐食性の利益は、CrとともにVおよび/またはTiを、正味の添加量が約1質量%から9質量%の範囲になるように添加することで提供される。しかしながら、対象用途のバルク機械的特性規格に対して鋼の加工性を改良するためのCrとVおよび/またはTiの添加量は、好ましくは1質量%から3.5質量%の範囲、一層好ましくは1.5質量%から3質量%の範囲、さらに一層好ましくは2質量%から3質量%の範囲である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はニッケル(Ni)を含んでもよい。ニッケルの添加は鋼加工性を向上させることができる。しかしながら、ニッケルの添加は、鋼コストを増加させるばかりではなく耐腐食特性を低下させる。それにもかかわらずNiはオーステナイト安定剤なので、Niの添加はより多くのVを添加することで耐腐食特性の悪影響を相殺することができる。鋼加工性を改良するためには、Niの添加量は3質量%未満、好ましくは2質量%未満である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はホウ素(B)を含んでもよい。ホウ素は比較的安価に鋼焼き入れ硬化能を非常に高め、(16mmを超える)厚い部分であってもベイナイトが低減されたじょうぶで堅い鋼微細構造であるラスマルテンサイトの形成を促進する。しかしながら、約0.002質量%を超えるホウ素はFe23(C,B)6の脆弱な粒子の形成を促進する。したがって、ホウ素が添加される場合には、ホウ素の上限は0.002質量%が好ましい。ホウ素もモリブデンおよびニオビウムの焼き入れ硬化能効果を増加させる。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物は窒素(N)を含んでもよい。チタン含有CRCS組成物では、窒素を添加するとプロセッシング中にオーステナイト粒子が粗大化することを抑制するチタン窒化物(TiN)析出物を形成し、したがってCRCS組成物の低温靭性を向上させる。たとえば、耐腐食性に対するチタンを既に十分含有するベースCRCS組成物の一実施形態では、次に百万分の10部(ppm)から100ppmの範囲のNが添加されてもよい。耐腐食性に対するTiをまだ含有しないベースCRCS組成物の別の実施形態では、次に0.0015質量%から0.015質量%のTiが同時に添加されて混合される場合には10ppmから100ppm範囲のNが添加されてもよい。この実施形態では、CRCS組成物に添加されるTiの量は、好ましくはTi:Nの質量比が約3:4となる量である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、CRCS組成物はニオビウム(Nb)を含んでもよい。熱処置中に粒成長を抑制する微細なニオビウムカーバイド析出物の形成を通じてオーステナイト粒子の微細化を促進するためにNbを添加することができ、それは少なくとも0.005質量%のNbを含む。しかしながら、過剰なNbは鋼靭性を低下させる過剰な析出を強化することになるので、Nbの上限は0.05質量%が好ましい。これらの理由から、CRCSに添加できるNbの量は0.005質量%から0.05質量%の範囲、好ましくは0.01質量%から0.04質量%の範囲である。
さらに、硫黄(S)およびリン(P)は鋼機械的特性を低下させる不純物元素であり、CRCS組成物をさらに向上させるために管理されてもよい。たとえば、S含有量は好ましくは0.03質量%未満、一層好ましくは0.01質量%未満である。同様に、P含有量は好ましくは0.03質量%未満、一層好ましくは0.015質量%未満である。
(鋼微細構造およびプロセッシング)
上述のCRCSの組成物は有益な耐腐食性、強度および靱性特性を提供する。しかしながら、機械的特性の目標を達成するためには、鋼は適切な冶金プロセッシングによってさらに向上される必要があり、適切な冶金プロセッシングには、これに限定されるものではないが、好適なじょうぶで堅い微細構造を生産するための熱および/または熱機械処理が含まれてもよい。これらの好適な微細構造には、これに限定されるものではないが、主としてフェライト相、または主としてマルテンサイト相、または主として焼き戻しマルテンサイト相、または主として二相を含む微細構造を含んでもよく、ここで二相はフェライト相およびマルテンサイト相、またはフェライト相および焼き戻しマルテンサイト相の何れかであってもよい。さらに、上述したフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイトおよび二相の微細構造は、さらに第2相析出物によって強化されてもよい。このような好適な微細構造を含むCRCS材料は、たとえば、60ksiの最小降伏強度、およびAPICT5標準のL80規格に合致する靭性を持っていてもよい。好適な微細構造を生産する適切な冶金プロセッシング手順は、一般に以下でさらに論じられる特定のCRCS組成物に適合するように設計される必要がある。
用語「主に(predominant)」が微細構造相を記述するために本明細書で使用される場合には相、または二相の場合には相混合物が、鋼微細構造中で50体積パーセント(体積%)を超えることを示す。体積%は、光学顕微鏡写真の使用または走査型電子顕微鏡(SEM)写真の使用などの標準的な定量金属組織解析によって得られる領域百分率(領域%)に近似する。領域%を手に入れるには、一例を挙げると、本発明を制限するものではないが、以下の手順が使用されてもよい。鋼中の位置を無作為に選択し、当業者に知られた標準方法によって用意された金属組織サンプルのこの位置に隣接する領域から光学顕微鏡による倍率500倍(×)またはSEMによる倍率2000×で顕微鏡写真を10枚撮影する。これらの顕微鏡写真のモンタージュから、グリッドまたは同様の補助器具を使用して相の領域%を演算し、この領域%が体積%として報告される。領域%を演算するために、グレースケールの設定による自動化方法、およびグレースケール上下の相の領域%を自動的に演算する方法が使用されてもよい。ASMハンドブック,vol9:金属組織学および微細構造、2004年版.428頁参照。
一例を挙げると、上述した有益なCRCSの微細構造は一般的な熱処理プロセスを通じて生産されてもよい。このプロセスでは、CRCS組成物は最初に適切な高温に加熱され、鋼の化学的性質を均質化させ、鋼の組成物によるが、鋼を本質的にオーステナイト相、または本質的にオーステナイト相およびフェライト相の混合物、または本質的にフェライト相の何れかに変換させる相変態を誘起するために、その温度で十分に長い時間アニールされる。相変態は核生成および成長プロセスを介して発生し、それは小さな粒子で形成される新しい相となる。しかしながら、これらの新たに形成された小さな粒子は、鋼がアニーリング温度に保持されると時間の経過とともに成長する。鋼を適切な低温に下げて冷却することによって粒成長を止めることができる。
次に、ほとんどのオーステナイト相をじょうぶで硬いマルテンサイト相へ変換するために、CRCS組成物は適切な高速冷却速度で焼き入れされてもよい。フェライト相は、存在するのであれば、この高速冷却ステップに影響されない。稼働コストがより低いという経済的利益ばかりではなく特定の鋼組成物では十分に高速な冷却速度を提供するので、大気中での冷却が使用されてもよい。焼き入れ後に、CRCS組成物は適切な温度への再加熱および靱性特性を改良するための十分に長い時間その温度を維持して焼き戻しを受けてもよい。これらの熱処理後の、最終的なCRCS微細構造は主としてフェライト(α)、または主としてマルテンサイト(α”)、または主として焼き戻しマルテンサイト(T−α’)、または主としてじょうぶで堅い二相の何れかを含有する微細構造である。
上述の一般的な熱処理プロセスは、さまざまなプロセッシングステップを通じてさらに向上されてもい。一例を挙げると、アニーリング後のCRCS組成物の焼き入れ中の熱機械加工が利用されてもよい。強度および靱性特性の両方をさらに向上させるために、このプロセスでは微細構造中の粒径を小さくできる。このさらなる向上プロセスの例には継ぎ目の無いOCTG管を製造する場合に一般的に使用されるよく知られたマンネスマンプロセスがあり、このプロセスでは熱間用鋼に穴が開けられて冷却中に管状製品が形成される。マンネスマン プロセス:Manufacturing Engineer’s Reference Book、ed. D. Koshal(Butterworth−Heinemann、Oxford、1993)4〜47頁)参照。別の例として、上述の一般的な熱処理プロセスは、アニーリング後であって粒子微細化を達成するためのその後の焼き戻しステップ前に一つ以上の熱サイクリングステップを追加することでさらに向上されてもい。これらの熱サイクリングステップのそれぞれの間に、CRCS組成物は以前のアニーリング温度以下の適切な温度まで加熱され、マルテンサイト相、および存在するのであればフェライト相をオーステナイト相へ転換するが、著しい粒成長を誘起するほどは長くない短時間この温度に保持される。好ましい温度および熱サイクリング回数は実験または当業者に知られたモデリングアプローチを通じて得られてもよい。この相変態プロセスによって結果として生じるオーステナイト粒子がより小さい大きさに微細化される。CRCS組成物は次にオーステナイト相をマルテンサイト相または上述の二相へ戻すために適切に焼き入れされるが、結果として生じる微細構造は強度および靱性特性を向上させたより微細でより小さな粒径を含む微細構造である。それぞれの追加の熱サイクリングステップでは効率は逓減されるが追加的にCRCS粒径を小さくできる。以下に記述されるこれらの向上は主としてマルテンサイトまたは焼き戻しマルテンサイトまたは二相微細構造にとって特に好適である。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、Vを含有するCRCS組成物は上述の有益な微細構造を生成するために処理されてもよい。図4Aで示される相状態図に基づくと、このプロセスには最初の加熱ステップおよび十分に長い期間CRCS組成物をアニーリングするステップ、および次に適切な冷却速度で周囲温度にCRCS組成物を焼き入れするステップを含んでもよい。アニーリング温度は850℃から1450℃の範囲であり、好ましくは1000℃から1350℃の範囲であり、さらに一層好ましくは1000℃から1300℃の範囲である。アニーリングは、温度に依存する当業者に知られた約24時間までの時間であって、析出物を溶解するのに十分な時間おこなわれ、本質的に均質化された構造を達成する。アニーリングステップの次にCRCS組成物を再加熱し、例えば約12時間未満の十分に長い期間の焼き戻しをして、次に焼き入れまたは単純な周囲空気による空冷を介して周囲温度に冷却されてもよい。焼き戻し温度は400℃からAc1として知られるオーステナイト形成温度に相当する温度までの範囲である。好ましくは上限の温度は760℃を超えず、一層好ましくは550℃から670℃の範囲である。このプロセスを使用すると、約2.5質量%未満のVを含有するCRCS組成物は主として焼き入れ状態(as−quenched)または焼き戻しマルテンサイト相の何れかを含む微細構造を含有してもよく、2.5質量%から6質量%のVを含有するCRCS組成物は主として二相、すなわち、フェライトおよび焼き入れ状態または焼き戻しマルテンサイト相の何れかを含む微細構造を含有してもよい。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、上述の有益な微細構造を生成するために、Tiを含有するCRCS組成物が処理されてもよい。図4Bで示される相状態図に基づくと、このプロセスには、最初の加熱ステップおよび十分に長い期間CRCS組成物をアニーリングするステップ、および次に適切な冷却速度で周囲温度にCRCS組成物を焼き入れするステップを含んでもよい。アニーリング温度は850℃から1450℃の範囲であり、好ましくは900℃から1300℃の範囲であり、さらに一層好ましくは1050℃から1250℃の間の範囲である。アニーリングは、温度に依存する当業者に知られた約24時間までの時間であって、本質的に均質化した構造を達成するのに十分な時間おこなわれる。アニーリングステップの次にCRCS組成物を再加熱し、例えば約12時間未満の十分に長い期間の焼き戻しをして、次に焼き入れまたは単純な周囲空気による空冷を介して周囲温度に冷却されてもよい。焼き戻し温度は400℃からAc1として知られるオーステナイト形成温度以下までの範囲である。好ましくは上限の温度は760℃を超えず、一層好ましくは550℃から670℃の範囲である。このプロセスを使用すると、約1.8質量%までのTiを含有するCRCS組成物は主として焼き入れ状態または焼き戻しマルテンサイト相の何れかを含む微細構造を含有してもよく、1.8質量%から3質量%のTiを含有するCRCS組成物は主として二相、すなわち、フェライトおよび焼き入れ状態または焼き戻しマルテンサイト相の何れかを含む微細構造を含有してもよい。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、Tiを含有するCRCS微細構造の上述のプロセッシングは、ラーベス(TiFe2)相の析出物を形成するために、600℃から1300℃の範囲の適切な温度で好適な時間のアニーリングを介した追加の熱プロセッシングにCRCS組成物をさらすことでさらに向上されてもい。これらの析出物は追加の強度を提供できる。この追加の熱プロセッシングは、上述のアニーリングおよび/または焼き戻しプロセスの一部、または独立したプロセスであってもよい。
本明細書の上記または別の箇所の一つ以上の実施形態では、上述の有益な微細構造を生成するために、VおよびTiの両方を含有するCRCS組成物が処理されてもよい。以下に記述される図4Aおよび図4Bで示される状態図に基づくと、このプロセスでは、最初の加熱ステップおよび十分に長い期間CRCS組成物をアニーリングするステップ、および次に適切な冷却速度で周囲温度にCRCS組成物を焼き入れするステップを含んでもよい。VおよびTiを含有するCRCS組成物のアニーリング温度(℃)Tv+Ti Anneal(℃)は以下の式(e4)を使用して決定されてもよい。
Figure 2010530477
以前の段落で上述したように、ここでV(質量%)およびTi(質量%)はそれぞれVの質量%およびTiの質量%であり、Tv Anneal(℃)およびTTi Anneal(℃)はそれぞれCRCS組成物にVだけを含む場合のアニーリング温度(℃)およびCRCS組成物にTiだけを含む場合のアニーリング温度(℃)に対応する。アニーリングは、温度に依存する当業者に知られた約24時間までの時間であって、本質的に均質化した構造を達成するのに十分な時間おこなわれる。アニーリングステップの次に焼き戻しをするために12時間までの十分に長い期間CRCS組成物を再加熱し、次に焼き入れまたは単純な周囲空気による空冷を通じて周囲温度に冷却されてもよい。VおよびTiを含有するCRCS組成物の焼き戻し温度(℃)Tv+Ti Temper(℃)は以下の式(e5)を使用して決定されてもよい。
Figure 2010530477
以前の段落で上述したように、ここでTv Temper(℃)およびTTi Temper(℃)はそれぞれCRCS組成物にVだけを含む場合の焼き戻し温度(℃)およびCRCS組成物にTiだけを含む場合の焼き戻し温度(℃)に対応する。
CRCS熱処理およびプロセッシングの上述の例では、機械的性能のさらなる向上のために追加のプロセッシングステップを使用してもよい。一例を挙げると、これは焼き入れステップ中のアニールされたCRCS組成物に対する前述の熱機械加工を含むことで達成される。あるいは、別の例のように、アニーリング後に、それぞれの熱サイクリングステップでCRCS組成物が最初のアニーリング温度以下の適切な温度に再加熱される一つ以上の前述の熱サイクリングステップを追加することで達成されてもよい。
さらに、鉄鋼業界において通常行われているように、(例えば、加熱温度および継続時間などの)プロセッシングパラメーターの調節が特定のCRCS組成物を提供するために実行されてもよい。たとえば、CRCS組成物は微調整されてもよく、関連する焼き入れおよび焼き戻しパラメーター(すなわち、均熱時間および温度)は、所望の微細構造候補および機械的性能を得るために、それに応じて調整されてもよい。微細構造の候補には以前に記述された微細構造が含まれ、主としてマルテンサイト(焼き入れおよび焼き戻しされた状態)、フェライト相とマルテンサイト相の二相(焼き入れおよび焼き戻しされた状態)を含む微細構造が含まれ、CRCS組成物がTiを含有するの場合にはラーベス(TiFe2)相析出物によって強化されるフェライト相などの追加の微細構造が含まれる。
好都合なことに、CRCS組成物は、水圧入環境中のピッチング腐食つまり局部的な腐食に対する向上された耐性ばかりではなく炭化水素生産環境中の均一腐食つまり全面腐食に対する向上された耐性の組み合わせを提供する。これらのCRCS組成物はコストおよび耐腐食性特性の適切なバランスを提供する。
(実施例)
以下の段落には、本発明の態様によるCRCS組成物のさまざまな態様をさらに説明するために提供される例示的なデータを含む。たとえば、図1A〜図1Pは、本発明の態様による、人工の製品および水圧入含水液体を使用して測定された例示的な腐食試験実験データである。図2は人工の水圧入含水液体に暴露された鋼クーポン材の外観目視検査結果の概要である。図3A〜図3Dは、腐食試験後の鋼クーポン材腐食表面の例示的な横断面SEM顕微鏡写真およびEDS元素マッピングである。図4A〜図4Bは本発明の態様によるThermo−Calcコンピュータモデルを使用して演算されたCRCS組成物の例示的な状態図である。最後に、図5は本発明の態様による例示的な生産システムである。
最初に、図1A〜図1Pは本発明の技術の実施形態による研究室の実験で測定された腐食速度のグラフである。図1A〜図1Pでは、腐食速度を電気化学方法論(例えば、直線分極抵抗法、Principles and Prevention of Corrosion、D.A. Jones、146頁(マクミラン社、1992年)参照)を使用して、広範囲に人工の生産条件で測定された。これらの測定で使用された鋼は五つの組成物を含有し、それらの組成物はそれぞれ1.5原子百分率(原子%)のV(バナジウム)、2.5原子%のV、5原子%のV、5原子%のTi(チタン)および5原子%のCr(クロム)含有し、質量百分率(質量%)ではそれぞれ1.4質量%のV、2.3質量%のV、4.6質量%のV、4.3質量%のTiおよび4.7質量%のCrに対応する。これらの鋼組成物のそれぞれには質量%で0.5Mn−0.1Si−0.07Cが添加される。以下の議論では、これらの鋼組成物はそれぞれ1.5V、2.5V、5V、5Tiおよび5Crと称される。CRCS組成物の耐腐食性の向上をさらに明確にする比較のために、グラフには炭素鋼(CS)および13質量%Cr(13Cr)を含有するステンレス鋼の測定された腐食速度も含む。図1Aから図1L中のグラフではCSおよび13Crとともに5V、5Tiおよび5Cr鋼を含む異なる鋼組成物をスケーリングおよび非スケーリング試験環境で比較する。図1Mから図1P中のグラフではCSおよび13CrとともにさまざまなV含有量の鋼、すなわち1.5V、2.5Vおよび5V鋼をスケーリングおよび非スケーリング試験環境で比較する。
図1Aおよび図1Bでは、約10質量%の塩化ナトリウム(NaCl)を含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約15psiのCO2、pH約5、および温度約150F(華氏)において実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境を提供する。図1Aのグラフ100では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス105〜109のミル毎年(mpy)単位の瞬間腐食速度102が、時間(hours)単位の時間軸104に対して示される。レスポンス105、106、107、108、109はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ100に示すように、レスポンス109によって示される13Cr組成物は約40時間で約5mpyの最も小さい瞬間腐食速度を持つ。レスポンス105によって示されるCS組成物は時間の経過とともに増加して約40時間で約200mpyとなる最も大きい瞬間腐食速度を持つ。レスポンス106によって示される5VCRCS組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約50mpyになり、レスポンス107によって示される5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約98mpyになり、レスポンス108によって示される5Cr組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約86mpyになる。このように、この非スケーリング試験環境中での40時間試験後には、5Vおよび5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度はそれぞれ炭素鋼の瞬間腐食速度の約1/4および1/2になる。
図1Bのグラフ110では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス115〜119のmpy単位の平均腐食速度112がそれぞれ鋼組成物114に対して示される。このグラフ110では、平均腐食速度112は腐食試験の開始から約40時間にわたって瞬間腐食速度を平均化することによって得られる。レスポンス115、116、117、118、119はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ110に示すように、レスポンス115によって示されるCS組成物の平均腐食速度が最も大きく約175mpyであり、レスポンス116によって示される5VCRCS組成物の平均腐食速度は約60mpyであり、レスポンス117によって示される5TiCRCS組成物の平均腐食速度は約110mpyであり、レスポンス118によって示される5Cr組成物の平均腐食速度は約95mpyであり、レスポンス119によって示される13Cr組成物の平均腐食速度は約7mpyである。このように、この非スケーリング試験環境中での40時間試験後には、5Vおよび5TiCRCS組成物の平均腐食速度は、それぞれ炭素鋼の平均腐食速度の約1/3および2/3になる。
同様に、図1Cおよび図1Dでは、約10質量%のNaClを含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約15psiのCO2、pH約5、および温度約180°F(華氏)において実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境を提供する。図1Cのグラフ120では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス125〜129のmpy単位の瞬間腐食速度122が、時間単位の時間軸124に対して示される。レスポンス125、126、127、128、129はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ120に示すように、レスポンス129によって示される13Cr組成物は約40時間で約6mpyの最も小さい瞬間腐食速度を持つ。レスポンス125によって示されるCS組成物は時間の経過とともに増加して約40時間で約225mpyとなる最も大きい瞬間腐食速度を持つ。レスポンス126によって示される5VCRCS組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約20mpyとなり、レスポンス127によって示される5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約66mpyとなり、レスポンス128によって示される5Cr組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに減少して約40時間で約25mpyとなる。このように、この非スケーリング試験環境中での40時間試験後に、5Vおよび5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は、それぞれ炭素鋼の瞬間腐食速度の約1/10および1/3になる。
図1Dのグラフ130では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス135〜139のmpy単位の平均腐食速度132がそれぞれ鋼組成物134に対して示される。このグラフ130では、平均腐食速度132は腐食試験の開始から約40時間にわたって瞬間腐食速度を平均化することによって得られる。レスポンス135、136、137、138、139はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ130に示すように、レスポンス135によって示されるCS組成物の平均腐食速度は最も大きく約195mpyであり、レスポンス136によって示される5VCRCS組成物の平均腐食速度は約50mpyであり、レスポンス137によって示される5TiCRCS組成物の平均腐食速度は約85mpyであり、レスポンス138によって示される5Cr組成物の平均腐食速度は約70mpyであり、レスポンス139によって示される13Cr組成物の平均腐食速度は約7mpyである。このように、この非スケーリング試験環境中での40時間の試験後に5Vおよび5TiCRCS組成物の平均腐食速度はそれぞれ炭素鋼の平均腐食速度の約1/4および1/2になる。
上記の図1Aから図1Dで記述したように、これらの非スケーリング含水生産環境では、CRCS組成物は炭素鋼よりも1/2〜1/10倍小さい腐食速度を達成する利益を提供する。この理由は、これらの非スケーリング環境では炭素鋼は腐食保護のための菱鉄鉱のスケールを形成しないが、一方で有益な腐食保護を提供するためにそれぞれのCRCS合金元素(例えば、Vおよび/またはTi)が濃縮された表面層を、CRCS組成物は形成することができるからである。
図1Eおよび図1Fでは、約10質量%のNaClおよび約1.7グラム毎リットル(g/L)量の重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約15psiのCO2、pH約6.4、および温度約180°F(華氏)において実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に保護菱鉄鉱スケールの形成を促進するスケーリング試験環境を提供する。図1Eのグラフ140では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス145〜149のmpy単位の瞬間腐食速度142が、時間単位の時間軸144に対して示される。レスポンス145、146、147、148、149はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ140に示すように、レスポンス149によって示される13Cr組成物は約70時間で最も小さい瞬間腐食速度である約2mpyになる。レスポンス145によって示されるCS組成物では最初は約20時間で約76mpyに達する大きい瞬間腐食速度になるが、表面を保護する菱鉄鉱のスケールの形成によって次第に減少し始めて約70時間で約4mpyになる。レスポンス146によって示される5VCRCS組成物の瞬間腐食速度は、CRCS元素が濃縮された保護表面層の形成によって、試験の開始から約6時間後に約16mpyに落ちる初期減少がある。次にレスポンスは追加の保護菱鉄鉱最上層の緩やかな形成によって、時間の経過とともに緩やかに減少して約70時間後に約9mpyとなり、CS組成物を保護する菱鉄鉱のスケールのレスポンスとおおよそ同一のレベルになるために少し時間をかけてさらに減少する場合がある。レスポンス148によって示される5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は、CRCS元素が濃縮された保護表面層の形成のために、試験の開始から約4時間後に約27mpyに落ちる初期減少がある。次に、追加の保護菱鉄鉱最上層の緩やかな形成によって、時間の経過とともにゆるやかに減少して約70時間で約18mpyになり、CS組成物を保護する菱鉄鉱のスケールのレスポンスとおおよそ同一のレベルになるために少し時間をかけてさらに減少する場合がある。レスポンス147によって示される5Cr組成物の瞬間腐食速度は試験の開始から約4時間後に約36mpyに落ちる初期減少がある。次に時間の経過とともに緩やかに減少して約70時間で約33mpyになる。このように、グラフ140は、保護菱鉄鉱表面層の形成前に、5Vおよび5TiCRCS組成物が、CSの瞬間腐食速度のそれぞれ約1/3および1/5遅い瞬間腐食速度という利益を提供することを示す。保護菱鉄鉱表面層が形成された後には、5Vおよび5TiCRCS組成物はこのスケーリング試験環境中の70時間試験後のCSを保護する菱鉄鉱のスケールと同程度の瞬間腐食速度である遅い瞬間腐食速度を提供し続けることができる。
図1Fのグラフ150では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス155〜159のmpy単位の平均腐食速度152がそれぞれ鋼組成物154に対して示される。このグラフ150では、平均腐食速度152は腐食試験の開始から約70時間にわたって瞬間腐食速度を平均化することによって得られる。レスポンス155、156、157、158、159はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ150に示すように、レスポンス155で示されるCS組成物の平均腐食速度は約44mpyという最も大きい平均腐食速度であり、レスポンス156で示される5VCRCS組成物の平均腐食速度は約13mpyであり、レスポンス157で示される5TiCRCS組成物の平均腐食速度は約19mpyであり、レスポンス158で示される5Cr組成物の平均腐食速度は約41mpyであり、レスポンス159で示される13Cr組成物の平均腐食速度は約3mpyである。このように、このスケーリング試験環境中の70時間試験後に、5Vおよび5TiCRCS組成物は炭素鋼の平均腐食速度のそれぞれ約1/3および1/2の平均腐食速度を提供する。
上記の図1Eおよび図1Fで記述したように、このスケーリング含水生産環境中では、CRCS組成物は炭素鋼を保護する菱鉄鉱の腐食速度とおおよそ同等から約1/3小さい範囲の低腐食速度達成する利益を提供することができる。この理由は、このスケーリング環境中では、CRCS組成物は、追加の有益な腐食保護を提供するために、それぞれのCRCS合金元素(すなわちVおよび/またはTi)が濃縮されたそれらの表面層の上端に保護菱鉄鉱のスケールを形成することができるからである。
より高い温度と圧力のより厳しい環境で実施された腐食試験では上述と同様のことが観測された。たとえば、図1Gおよび図1Hでは、約10質量%のNaClを含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約100psiのCO2、推定pH約3.75、および温度約180F(華氏)において実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に保護菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境を提供する。図1Eのグラフ160では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス165〜169のmpy単位の瞬間腐食速度162が、時間単位の時間軸164に対して示される。レスポンス165、166、167、168、169はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ160に示すように、レスポンス169で示される13Cr組成物は約140時間で約5mpyという最も小さい瞬間腐食速度になる。レスポンス165で示されるCS組成物では最初に約11時間で約1080mpyに達する速い瞬間腐食速度になる。この結果、試験溶液の化学的性質が変更され、菱鉄鉱のスケールの形成を促進し始める著しい量の溶解鉄が発生し、その後約140時間で約5mpyのレベルの瞬間腐食速度に下降する。レスポンス166で示される5VCRCS組成物の瞬間腐食速度は、CRCS元素が濃縮された保護表面層の形成のために約6時間で約340mpyに落下する初期減少があり、その後、約140時間での試験終了までおおよそこのレベルを維持する。レスポンス167によって示される5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は、上述のレスポンス166の5VCRCS組成物の観測結果と同様の観測結果を提供する。レスポンス168によって示される5Cr組成物の瞬間腐食速度は時間の経過とともに緩やかに減少し約140時間で約174mpyになる。このように、CS上に保護菱鉄鉱表面層を形成しないで、5Vおよび5TiCRCS組成物の両方ともCSの瞬間腐食速度の約1/3の瞬間腐食速度を提供する。
図1Hのグラフ170では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス175〜179のmpy単位の平均腐食速度172がそれぞれ鋼組成物174に対して示される。このグラフ170では、平均腐食速度172は腐食試験の開始から約140時間にわたって瞬間腐食速度を平均化することによって得られる。レスポンス175、176、177、178、179はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。レスポンス176、177、178、179によって示される5VCRCS、5TiCRCS、5Cr、および13Cr組成物の平均腐食速度は、それぞれ約390mpy、380mpy、210mpy、および50mpyである。レスポンス175で示されるCS組成物の平均腐食速度(130mpy)は上記のような菱鉄鉱のスケールの形成を生じる水の化学的性質の変更を含む試験条件の変化による影響を適切に説明していないので、この試験環境の他の組成物に対して測定された平均腐食速度と直接比較できないことに留意すべきである。
図1Gおよび図1Hについて上述したように、この試験では瞬間腐食速度は、平均腐食速度よりも、異なる鋼組成物の腐食の挙動をより明確に示している。この非スケーリング含水生産環境において測定された瞬間腐食速度に基づくと、CRCS組成物は炭素鋼の腐食速度の約1/3の低腐食速度を達成する利益を提供する。
図1Iおよび図1Jでは、約10質量%のNaClおよび約0.5g/L量のNaHCO3を含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約200psiのCO2、推定pH約5、および温度約250F(華氏)において実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に保護菱鉄鉱スケールの形成を促進するスケーリング試験環境を提供する。図1Iのグラフ180では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス185〜189のmpy単位の瞬間腐食速度182が、時間単位の時間軸184に対して示される。レスポンス185、186、187、188、189はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。さらに、ウィンドウ183は、60〜120時間の期間で測定されたレスポンス185〜189を含むグラフ180の拡大部分である。このグラフ180およびウィンドウ183に示すように、レスポンス189によって示される13Crの瞬間腐食速度は、最初の約120mpyという速度から約1時間後には約60mpyに急激に落ちることを示し、次にさらに約120時間で約19mpyまで徐々に低下する。レスポンス185によって示されるCSの瞬間腐食速度は、表面を保護する菱鉄鉱のスケールの形成によって、最初の約880mpy(図示せず)という速い速度から約1時間後には約40mpyに急激に落ちることを示している。次にCS組成物の瞬間腐食速度は一定を維持し、約120時間で約44mpyになる。レスポンス186によって示される5VCRCS組成物の瞬間腐食速度は、最初に徐々に増加し、約12時間で約573mpyになり、その後、菱鉄鉱保護スケールの形成にしたがって徐々に低下し、約120時間で約31mpyという低い値になる。レスポンス187によって示される5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は最初に徐々に増加し、約3時間で約635mpyになり、その後、菱鉄鉱保護スケールの形成にしたがって低下して約120時間で約23mpyという低い値になる。レスポンス188によって示される5Cr組成物の瞬間腐食速度は最初に減少して約8時間で約68mpyになり、その後、菱鉄鉱保護スケールの形成にしたがって徐々に低下して約120時間で約29mpyになる。このように、グラフ180では、保護菱鉄鉱表面スケールの形成前に、5Vおよび5TiCRCS組成物の瞬間腐食速度は、CSの瞬間腐食速度に対してそれぞれ約2/3および3/4という遅い瞬間腐食速度である利益を示す。保護菱鉄鉱表面スケールの形成後は、5Vおよび5TiCRCS組成物は、このスケーリング環境中での120時間試験後にCSを保護する菱鉄鉱のスケールと同程度の瞬間腐食速度である遅い瞬間腐食速度を提供し続けることができる。
図1Jのグラフ190では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス195〜199のmpy単位の平均腐食速度192がそれぞれ鋼組成物194に対して示される。このグラフ190では、平均腐食速度は腐食試験の開始から約120時間にわたって平均化することによって得られる。レスポンス195、196、197、198、199はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物であり、平均腐食速度はそれぞれ52mpy、193mpy、206mpy、60mpy、30mpyであることを示す。5Vおよび5TiCRCS組成物とCS組成物との平均腐食速度の比較では、保護菱鉄鉱のスケールを形成するために要求される異なる時間での影響を正確には説明していないことに留意すべきである。このように、グラフ190で示される平均腐食速度は、異なる鋼組成物に対する相対的な腐食保護の正しい尺度ではない。
図1Kおよび図1Lでは、推定量が約100ppbの溶存酸素(O2)含有し、pH約8、および温度約180Fで、ASTM−D1141規格に準拠して用意された人工の海水の組成物を含む人工の水圧入流体において実施された腐食速度の測定が示される。図1Kのグラフ200では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス205〜209のmpy単位の瞬間腐食速度202が、時間単位の時間軸204に対して示される。レスポンス205、206、207、208、209はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。図1Kのグラフ200に示すように、それぞれレスポンス205、206、207、208、209によって示されるCS、5V、5Ti、5Cr、および13Cr組成物の瞬間腐食速度はそれぞれ約6.2mpy、2.2mpy、9.4mpy、2.2mpy、および1.5mpyである。図1Kのグラフ200と図1A、図1C、図1E、図1G、および図1Iのそれぞれグラフ100、120、140、180とを比較すると、五つの試験された鋼組成物の全てが人工の水圧入流体中での120時間試験後には同様の比較的に小さいレベルの瞬間腐食速度を持つことに留意すべきである。特に、人工の水圧入流体中での120時間試験後には、5VCRCS組成物は炭素鋼の瞬間腐食速度の約1/3の瞬間腐食速度を提供する。
同様に、図1Lのグラフ210では、異なる鋼組成物に対して測定されたレスポンス215〜219のmpy単位の平均腐食速度212がそれぞれ鋼組成物214に対して示される。このグラフ210では、平均腐食速度212は腐食試験の開始から瞬間腐食速度を約120時間にわたって平均化することによって得られる。レスポンス215、216、217、218、219はそれぞれCS、5V、5Ti、5Crおよび13Cr鋼組成物である。このグラフ210に示すように、レスポンス215、216、217、218、219によって示されるCS、5V、5Ti、5Cr、および13Cr組成物の平均腐食速度はそれぞれ約6mpy、2mpy、9.2mpy、2.5mpy、および1.9mpyである。図1Lのグラフ210とそれぞれ図1B、図1D、図1F、図1H、および図1Jのグラフ110、130、150、190とを比較して、試験された五つの鋼組成物の全てが人工の過酸化水素水圧入流体中での120時間試験後には同様の比較的に小さいレベルの平均腐食速度になることに留意すべきである。特に、5VCRCS組成物は人工の水圧入流体中での120時間試験後には炭素鋼の平均腐食速度の約1/3の平均腐食速度を提供する。
図1Kおよび図1Lについて上述したように、水圧入環境では、CRCS組成物は、比較的低い腐食速度という利益を提供し、特に、5VCRCS組成物では炭素鋼の腐食速度の約1/3という低腐食速度を達成する利益を提供する。
図1Mおよび図1Nでは「非スケーリング」試験環境中の1.5V、2.5V、および5VCRCS鋼の平均腐食速度とCSおよび13Crの平均腐食速度とを比較する。約10質量%のNaClを含む人工の含水生産液体中で、約15psiのCO2、pH約5、および温度約180°Fにおいて実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に菱鉄鉱スケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境を提供する。この試験の目的はCSおよび13Crをベースラインとすることを含めたバナジウム含有量に依存する例示的な腐食速度を示すことである。図1Mのグラフ220では、異なる鋼組成物224に対して測定されたレスポンス225〜229のmpy単位の平均腐食速度222が、図示される。このグラフ220では、平均腐食速度222は腐食試験の開始から約150時間にわたって瞬間腐食速度を平均化するによって得られる。レスポンス225、226、227、228、229はそれぞれCS、1.5V、2.5V、5Vおよび13Cr鋼組成物である。グラフ220ではバナジウム含有量が増加するにつれて平均腐食速度222が小さくなることが示される。図1Nは、CS、1.5V、2.5V、および5Vの平均腐食速度を点で表示し、4点に対するフリーハンドで描かれた傾向線236を示すグラフ230を示す。図に示されるように、耐腐食性は1.5Vから2.5Vで劇的に改良されるが、2.5Vから5Vでは改良されない。この例から、より少ない量のバナジウムでは追加のVによる増分の利益を最大限に引き出すことがでず、2.5Vよりもより多くの量のVでは良い性能を果たすことができないので、耐腐食性を目的とする好ましいバナジウムの範囲は約1.5質量%Vから約2.5質量%Vであることが立証される。
図1Oおよび図1Pでは、「スケーリング」試験環境中での1.5V、2.5Vおよび5VCRCS鋼の平均腐食速度とCSおよび13Crの平均腐食速度とが比較される。約10質量%のNaClおよび約1.7グラム毎リットル(g/L)量の重炭酸ナトリウム(NaHCO3)を含む組成物を含有する人工の含水生産液体中で、約15psiのCO2、pH約6.4、および温度約180°Fにおいて実施された腐食速度の測定が示され、これは試験される鋼上に保護菱鉄鉱スケールの形成を促進するスケーリング試験環境を提供する。図1Oでは、異なる鋼組成物244に対して測定されたレスポンス245、246、247、248、および249のmpy単位の平均腐食速度242を図示するグラフ240が示される。このグラフ240では、平均腐食速度242は腐食試験の開始から約160時間にわたる瞬間腐食速度を平均化することによって得られる。レスポンス245、246、247、248、および249はそれぞれCS、1.5V、2.5V、5Vおよび13Cr鋼組成物である。このグラフでは、保護表面菱鉄鉱スケールの形成のために腐食速度が低下し始める前に、約25時間でピーク瞬間腐食速度に達するCSに対するレスポンス250も示される。スケーリング環境では全部の腐食速度がより小さいことに留意すべきである。図1Eおよび図1Fに関連した「スケーリング」試験環境中の前述の腐食速度と同様に、ここではVを含有する鋼は、菱鉄鉱のスケールが形成される前はCSの腐食速度よりも小さい腐食速度を示し、菱鉄鉱のスケールが形成された後はCSの腐食速度と同程度の腐食速度を示すことに留意すべきである。グラフ240ではバナジウム含有量が増加するにつれて平均腐食速度242が小さくなることが示される。図1Pは、CS、1.5V、2.5V、および5Vの平均腐食速度を点で表示し、4点に対するフリーハンドで描かれた傾向線256を示すグラフ260を示す。グラフは約25時間でCSのピーク瞬間腐食速度となるレスポンス267をも示す。耐腐食性の改良は、非スケーリング環境中(グラフ230中の破線236参照)と同様に、1.5Vから2.5Vの間で最も大きくなるように見えることに留意すべきである。この例でも有益なバナジウムの範囲は約1.5質量%から約2.5質量%であることを立証しているように思われる。
図2の表では、推定量が約100ppbの溶存酸素(O2)含有し、pH約8、および温度約180°Fで、ASTM−D1141規格に準拠して用意された人工海水の組成物を含む人工の水圧入流体に約120時間曝露された後の5VCRCSおよび5Cr鋼クーポン材の外観目視検査から得られる結果を要約する。この表に示すように、5Cr鋼クーポン材の表面上には局部的な腐食から生じるいくつかのピッチがはっきりと目視できるのに対して、5VCRCSクーポン材の表面上には目視できるピッチングはほとんど無いか全く無い。このように、これらの結果から過酸化水素水圧入環境中では、Crを含有する鋼およびCRA組成物は局部的な腐食(すなわちピッチング)を生じえるが、Vを含有するCRCS組成物は局部的な腐食を生じないということが示される。
図3Aから図3Dは、腐食試験中に生産されたCRCSクーポン材上の腐食表面の例示的な横断面SEM顕微鏡写真およびEDS元素マッピングを示す。これらの写真は上述の図1Aから図1Lに関連した有益な腐食保護を提供する鋼クーポン材腐食表面上の比較的厚い層(20μmから50μm厚)を示す。これらの層では、下記のように、VまたはTiCRCS合金元素が濃縮されていることが観察された。
図3Aは、試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境である、約15psiのCO2、pH約5、および温度約180°Fで、約10質量%の塩化ナトリウムを含む組成物を含有する人工の含水生産液体に約40時間曝露した後の5VCRCSクーポン材上の腐食表面の横断面SEM顕微鏡写真およびEDS元素マッピングを示す。図3Aでは、300は横断面SEM顕微鏡写真であり、305は同一領域中のVのEDS元素マッピングであり、302は有益な腐食保護を提供する約20μm厚の表面層であり、303は基質5VCRCSであり、301はエポキシサンプルマウントである。EDS元素マッピング305は保護表面層中のVCRCS元素の増加を示す。
図3Bは、試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境である約100psiのCO2、推定pH約3.75、および温度約180°Fで、約10質量%の塩化ナトリウムを含む組成物を含有する人工の含水生産液体に約140時間曝露した後の5VCRCSクーポン材上の腐食表面の横断面SEM顕微鏡写真およびEDS元素マッピングを示す。図3Bでは、310は横断面SEM顕微鏡写真であり、315は同一領域中のVのEDS元素マッピングであり、312は有益な腐食保護を提供する約50μm厚の表面層であり、313は基質5VCRCSであり、311はエポキシサンプルマウントである。EDS元素マッピング315は保護表面層中のVCRCS元素の増加を示す。
図3Cは、試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進しない非スケーリング試験環境である約15psiのCO2、pH約5、および温度約180°Fで、約10質量%の塩化ナトリウムを含む組成物を含有する人工の含水生産液体に約40時間曝露した後の5TiCRCSクーポン材上の腐食表面の横断面SEM顕微鏡写真およびEDS元素マッピングを示す。図3Cでは、320は横断面SEM顕微鏡写真であり、325は同一領域中のTiのEDS元素マッピングであり、322は有益な腐食保護を提供する約20μm厚の表面層であり、323は基質5TiCRCSであり、321はエポキシサンプルマウントである。EDS元素マッピング325は保護表面層中のTiCRCS元素の増加を示す。
図3Dは、試験される鋼上に菱鉄鉱のスケールの形成を促進するスケーリング試験環境である約15psiのCO2、pH約6.4、および温度約180°Fで、約10質量%の塩化ナトリウムを含む組成物を含有する人工の含水生産液体に約70時間曝露した後の5TiCRCSクーポン材上の腐食表面の横断面SEM顕微鏡写真を示す。ここでは、EDS元素マッピングの代わりに、この顕微鏡写真で観察された異なる相の化学的性質の判定をするためにスポットEDS解析が実行された。図3Dでは、330は横断面SEM顕微鏡写真であり、333は有益な腐食保護を提供する約5μm厚の表面層であり、332は約5μmから約15μmの厚さがある菱鉄鉱の最上層であり、333は基質5TiCRCSであり、331はエポキシサンプルマウントである。表面層333上のEDS斑点分析では、そのTi/Feの原子%比が約1/1であることが示され、これは基質5TiCRCSに対するTi/Feの原子%比である約1/19を超えて著しく増加した。
図4Aおよび図4Bは本発明の態様によるThermo−Calcコンピュータモデルを使用して演算されたCRCS組成物の例示的な状態図である。一般に、これらの状態図では、選択された合金元素の量に対する温度のプロットによってさまざまな平衡鋼相の領域を示す。ここで関心のある平衡鋼相には、これに限定されるものではないが、フェライト相(α)、オーステナイト相(γ)、カーバイド相(MC)、ラーベス相(金属間化合物、例えばTiFe2)、および溶融液相(液体)が含まれてもよい。ここで関心がある追加のメタ安定相には、これに限定されるものではないが、マルテンサイト相(α´)および焼き戻しマルテンサイト相(T−α´)が含まれてもよいことに留意すべきである。メタ安定であるこれらの追加の相は一般的に状態図では図示されない。
前述の通り、本発明の技術による1つの利益は、低合金CRCSの化学的性質が市販の構造物の材料に対して特定のバルク特性と向上された表面特性の組み合わせを提供することである。実際、当業者は、CRCS組成物間の関係、好適なプロセッシングおよび結果として生じる微細構造に関する情報を生成するために冶金状態図を使用することができる。従って、この情報は特定のCRCS組成物が強度および靱性特性を提供する有益な微細構造を生産するために好適な熱処理手順を設計するために使用することができる。これらの有益な微細構造には、これに限定されるものではないが、主としてフェライト相、または主としてマルテンサイト相、または主として焼き戻しマルテンサイト相、または主として二相(ここで二相はフェライトおよびマルテンサイト相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイト相のどちらでもよい)を含有する微細構造を含んでもよい。加えて、上述した有益な微細構造は、さらに第2相析出物によって強化されてもよい。
図4AはThermo−Calcコンピュータモデルによって演算されたVを含有するCRCS組成物の相状態図を示し、すなわち質量%で0.5Mn−0.1Si−0.15Cを含有するFe−V系を示す。この図中の相状態図400は、℃での温度401に対する質量%でのV含有量402、および℃での温度401に対するモル%でのV含有量403の形でプロットされている。好適な熱処理手順を設計するための図4Aの相状態図400の使用の一例を挙げると、約1質量%から約2.5質量%の範囲のVを含有するCRCS組成物は、γ相領域中であってMCを含有する領域上の適切な高温に加熱され、γ相領域中であってMCを含有する領域上の適切な高温でアニールされてもよく、これらの温度は図400から決定することができる。このアニーリング処理によってCRCSの化学的性質を均質化するためにすべてのMC析出物が溶解し、鋼微細構造を本質的にγ相である微細構造に変換する相変態を誘起する。次にCRCS組成物は、ほとんどのγ相をじょうぶで硬いα’相に変換するための周囲温度で適切に焼き入れされてもよい。焼き入れ後に、鋼は、α’相の靱性特性を改良するために、適切な温度で十分に長い時間、再加熱されて焼き戻しされてもよい。適切な焼き戻し温度の範囲は約400℃からAc1として知られるγ形成温度まで、またはγ形成温度と等しい温度であり、これらの温度は相状態図400から決定することができる。これらの熱処理後に、約1質量%から約2.5質量%の範囲のVを含有するこれらのCRCS組成物の最終的な微細構造は、じょうぶで堅い主としてα’または主としてT−α’相を含有する微細構造である。
熱処理手順を設計するために図4Aの相状態図400を使用する別の例では、約2.5質量%から約6質量%の範囲のVを含有するCRCS組成物は、γ+α相領域中であってMCを含有する領域上の適切な高温に加熱され、γ+α相領域中であってMCを含有する領域上の適切な高温でアニールされてもよく、これらの温度は図400から決定することができる。このアニーリング処理によってCRCSの化学的性質を均質化するために全てのMC析出物が溶解され、鋼微細構造を本質的にγおよびα相の混合物である微細構造へ変換する。γ相の量対α相の量の比率は当業者に知られた「レベルルール」を使用して推定してもよい。Introducton to Physical Metallurgy、第2版、S.H. Aver(マグロウヒル社、ロンドン、1974年)160頁参照。次にCRCS組成物は、γ相をじょうぶで硬いα’相に変換するがフェライト相は影響を受けない周囲温度で適切に焼き入れされてもよい。焼き入れ後に、鋼は、α’相の靱性特性を改良するために、適切な温度で十分に長い時間、再加熱されて焼き戻しされてもよい。適切な焼き戻し温度は約400℃からAc1温度までの範囲であり、相状態図400から決定することができる。これらの熱処理後に、約2.5質量%から約6質量%の範囲のVを含有するこれらのCRCSの最終的な微細構造は、主としてαおよびα’相の二相、または主としてαおよびT−α’相の二相を含有する微細構造である。
図4Aの相状態図400の使用の第3実施例のように、6質量%を超えるVを含むCRCS組成物は加熱によってγ相を含有する状態にできないので、それらの微細構造は本質的にα相を含有する微細構造であることにに留意すべきである。
図4BはThermo−Calcコンピュータモデルで演算されたTiを含有するCRCS組成物の相状態図を示し、すなわち質量%で0.5Mn−0.1Si−0.15Cを含有するFe−Ti系を示す。この図中の相状態図410は、℃での温度411に対する質量%でのTi含有量412、および℃での温度411に対するモル%でのTi含有量413の形でプロットされている。好適な熱処理手順を設計するための図4Aの相状態図410の使用の一例を挙げると、約1質量%から約1.8質量%の範囲のTiを含有するCRCS組成物は、γ相領域中またはγ+MC相領域中の適切な高温に加熱され、γ相領域中またはγ+MC相領域中の適切な高温でアニールされてもよく、これらの温度は図400から決定することができる。このアニーリング処理によって、鋼微細構造を少量のMC相をも含有する本質的にγ相である微細構造へ変換する相変態を誘起する。CRCS組成物は、ほとんどのγ相をじょうぶで硬いα’相に変換するための周囲温度で適切に焼き入れされてもよい。焼き入れ後に、鋼は、α’相の靱性特性を改良するために、適切な温度で十分に長い時間、再加熱されて焼き戻しされてもよい。適切な焼き戻し温度は約400℃からAc1温度までの範囲であり、相状態図410から決定することができる。これらの熱処理後に、約1質量%から約1.8質量%の範囲のTiを含有するこれらのCRCSの最終的な微細構造は、じょうぶで堅い主としてα’、または主としてT−α’相の何れかを含有する微細構造である。
熱処理手順を設計するために図4Bの相状態図410を使用する別の実施例では、約1.8質量%から約3質量%の範囲のTiを含有するCRCS組成物はγ+α+MC相領域中の適切な高温に加熱され、γ+α+MC相領域中の適切な高温でアニールされてもよく、これらの温度は図410から決定することができる。このアニーリング処理によって鋼微細構造を少量のMC相を含む本質的にγおよびα相の混合物である微細構造へ変換する。γ相の量対α相の量の比率は「レベルルール」を使用して推定することができる。次にCRCS組成物は、γ相をじょうぶで硬いα’相に変換するがα相は影響を受けない周囲温度で適切に焼き入れされてもよい。焼き入れ後に、鋼は、α’相の靱性特性を改良するために、適切な温度で十分に長い時間、再加熱されて焼き戻しされてもよい。適切な焼き戻し温度は約400℃からAc1温度までの範囲またはAc1温度に等しい温度であり、相状態図410から決定することができる。これらの熱処理後に、約1.8質量%から約3質量%の範囲のTiを含有するこれらのCRCSの最終的な微細構造は主として二相であって少量のMC相を含有する微細構造であり、ここで二相はαおよびα’相の二相、またはαおよびT−α’相の二相の何れかである。
図4Bの相状態図410使用の追加の実施例では、3質量%を超えるTiを含有するCRCS組成物は加熱によってγ相を含有する状態にできないので、それらの微細構造は本質的にα相を含有する微細構造であることに留意すべきである。さらに2質量%を超えるTiを有するCRCS組成物では、CRCSは追加の強度を提供するラーベス(TiFe2)相の析出物を形成するために、好適な時間で追加の再加熱およびアニーリングを受けてもよいことに留意すべきである。
(CRCS組成物の最終用途)
上記のように、鋼は石油管状部材およびガス管状部材を製造するには特に有用である。上記で論じたCRCS組成物は、従来の製造プロセス(例えば、マンネスマンプロセス)を使用するOCTGなどの従来の最終部品の製造プロセスを受け入れることができる。すなわち、CRCS組成物に含有される他の合金添加物は耐腐食性以外の目的(例えば、機械的特性)のために添加されるけれども、このCRCS組成物に含有される他の合金添加物は従来の鋼冶金で使用される。このように、CRCS組成物は従来の製造プロセスを用いて鋼工場で生産してもよい。これらのプロセスには、これに限定されるものではないが、溶融、鋳造、圧延、成形、加熱および焼き入れが含まれる。同様に、CRCS組成物から製造される装置および/または構造も従来の生産プロセスを用いた現存する設備を使用して製造できる。このように、CRCS組成物から装置を製造することは当該技術分野において公知である。
たとえば、図5では、本発明の技術のある態様による例示的な生産システム500が図解される。例示的な生産システム500では、製造設備502は地球の表面506に位置するツリー504に連結している。このツリー504を通じて、製造設備502は地下層508などの一つ以上の地下層へアクセスし、これには石油やガスなどの炭化水素を含有する多数の生産区間または区域を含んでもよい。好都合なことに、サンド制御デバイス、シャントチューブ、および流量制御バルブなどの一つ以上のデバイス538は、地下層508の生産区間からの炭化水素を増やすために利用されてもよい。しかしながら、生産システム500は例示的な目的のために図解され、本発明の技術はどのような海底、プラットフォームまたは陸地からの液体の生産または注入にも有用であることに留意されたい。
製造設備502は地下層508の生産区間からの炭化水素をモニタおよび生産するように構成されてもよい。製造設備502では設備は井戸およびプロセッシングからの炭化水素などの液体の生産、プロセッシングおよび他の場所への液体の輸送を管理することができる。これらの液体は製造設備502に貯蔵、貯蔵タンク(図示せず)に供給、および/またはパイプライン512に供給されてもよい。パイプライン512は一緒に結合されるラインパイプのさまざまな部分を含んでもよい。生産区間にアクセスするために、製造設備502は配管510を介してツリー504を介して結合している。配管510はツリー504から製造設備へ炭化水素を供給するための生産管を含んでもよい。
生産区間にアクセスするために、坑井514は地球表面506を坑井514内の生産区間をインターフェースする深さまで貫通している。おわかりのように、生産区間には、炭化水素を含むまたは含まなくともよい区域と称されてもよい、さまざまな岩の層または区間が含まれてもよい。表面506にある坑井514の上に位置する海底ツリー504は、坑井514および製造設備502内のデバイス間のインターフェースを提供する。従って、ツリー504は、流体流路を提供するための生産チュービングストリング528、およびツリー504の配管510とインターフェースをとれる通信路を提供するための制御ケーブル(図示せず)と接続されてもよい。
坑井514内では、生産システム500は生産区間へのアクセスを提供する異なる装置を含んでもよい。たとえば、表面ケーシングストリング524は表面506から表面506下の特定の深さ位置まで取りつけられてもよい。表面ケーシングストリング524内では、生産区間近辺の深さまたはいくつかの生産区間を通って下へ伸びていてもよい中間または生産ケーシングストリング526が、坑井514の壁を支えるために利用されてもよく、またいくつかの生産区間との流体通路を提供する開口部を含んでもよい。表面ケーシングストリング524および生産ケーシングストリング526は坑井514をさらに安定させるために坑井514内の一定の位置まで固定されていてもよい。表面ケーシングストリング524および生産ケーシングストリング526内では、生産チュービングストリング528は炭化水素および他の液体のための坑井514を通る流路を提供するために利用されてもよい。
この流路に沿って、デバイス538はグラベルパック(図示せず)を有する生産チュービングストリング528内への粒子の流れを管理するために利用されてもよい。これらのデバイス538はスロットライナー、スタンドアローンスクリーン(SAS)、プリパックスクリーン、ワイヤラップスクリーン、メンブレンスクリーン、エクスパンダブルスクリーンおよび/またはワイヤメッシュスクリーンを含んでもよい。さらに、パッカー534および536は、坑井アニュラス内でお互いに特定の区域を分離するために利用されてもよい。パッカー534およびパッカー536は異なる区間内のデバイス538間の流体通路を提供し、または遮断するように構成されてもよい。このように、パッカー534並びにパッカー536およびデバイス538はゾーンを分離するために利用されてもよく、それぞれの区間内の実質的に完全なグラベルパックを提供する構造に利用されてもよい。
耐腐食性を提供するために、CRCS材料は坑井514などの変換二重目的井戸での使用のための好適な単一材料を提供するために利用されてもよい。たとえば、変換井戸では、生産作業中に地層流体がデバイス538を介して生産チュービングストリング528へ流れて、製造設備502へ供給されてもよい。また、注入作業中に注入流体は生産チュービングストリング528およびデバイス538を通じて区間へ提供されてもよい。従って、生産チュービングストリング528およびデバイス538などの井戸管は生産作業中は生産液体に暴露され、注入作業中は圧入水に暴露される。13質量%Cr鋼装置が生産チュービングストリング528に使用されれば、水圧入作業のために生産チュービングストリング528を少なくとも22%Cr二相CRA鋼装置へアップグレードさせる改修が実行される必要があるかもしれない。しかしながら、生産チュービングストリング528にCRCS材料が使用されていれば、改修をなくすことができ、それは井戸のための操業コストを削減する。
あるいは、二重目的井戸では、管状部材は地層流体および圧入流体に同時に暴露されてもよい。たとえば、水などの圧入流体は、生産ケーシングストリング526および生産チュービングストリング528間のアニュラスを介して区間へ提供されてもよく、同時に炭化水素などの地層流体は、生産チュービングストリング528を通って区間から生産される。このように、生産チュービングストリング528はそれぞれ外側表面上の生産液体と内側表面上の圧入水に同時に暴露される。一般に、22%Crなどの二相材料で製造された生産チュービングストリング528だけが、この環境に対処することができる。しかしながら、CRCS材料で製造された生産チュービングストリング528は、二相材料で形成された生産チュービングストリング528を上回る材料コストの削減を提供できる(すなわち二相材料のコストはCRCS材料のコストに対して約8倍である)。
本発明の技術はさまざまな変更および代替形態が可能であり、上記で論じた例示的な実施形態は例として示されたものである。しかしながら、本発明は本明細書で開示された特定の実施形態に限定される意図はないことが理解されるべきである。実際、本発明の技術は、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変更、均等物、および代替手段を含むことができる。

Claims (70)

  1. 鋼組成物であって、
    1質量%から9質量%のバナジウム、1質量%から9質量%のチタニウム、約1質量%から9質量%のバナジウムとチタニウムの組み合わせの何れかを含有し、
    0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、0.45質量%までのシリコンを含有し、残りは鉄であり、不純物は少量である鋼組成物。
  2. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに1質量%から6質量%のバナジウムを含有する鋼組成物。
  3. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに1.5質量%から2.5質量%のバナジウムを含有する鋼組成物。
  4. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに1質量%から3質量%のチタニウムを含有する鋼組成物。
  5. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに1質量%から2.2質量%のチタニウムを含有する鋼組成物。
  6. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記VおよびTiの組み合わせは約1質量%から以下の式によって決定される量の範囲であり、
    Ti(質量%)=3.0(質量%)−0.5×V(質量%)
    ここでTi(質量%)およびV(質量%)は、それぞれ、TiおよびVの質量%での添加量である鋼組成物。
  7. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記VおよびTiの組み合わせは約1質量%から以下の式によって決定される量の範囲であり、
    Ti(質量%)=2.2(質量%)−0.55×V(質量%)
    ここでTi(質量%)およびV(質量%)は、それぞれ、TiおよびVの質量%での添加量である鋼組成物。
  8. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記VおよびTiの組み合わせは約1質量%から以下の式によって決定される量の範囲であり、
    Ti(質量%)=1.8(質量%)−0.72×V(質量%)
    ここでTi(質量%)およびV(質量%)は、それぞれ、TiおよびVの質量%での添加量である鋼組成物。
  9. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記炭素は0.03質量%から0.25質量%の範囲である鋼組成物。
  10. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記マンガンは0.5質量%から1.5質量%の範囲である鋼組成物。
  11. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記シリコンは0.1質量%から0.45質量%の範囲である鋼組成物。
  12. 請求項1に記載の鋼組成物において、ニッケルは3質量%未満である鋼組成物。
  13. 請求項1に記載の鋼組成物において、リンは0.03質量%未満である鋼組成物。
  14. 請求項1に記載の鋼組成物において、イオウは0.03質量%未満である鋼組成物。
  15. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに1質量%から約9質量%のクロムおよびバナジウムの組み合わせを含有する鋼組成物。
  16. 請求項15に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約3.5質量%量のクロムおよびバナジウムの組み合わせを含有する鋼組成物。
  17. 請求項1に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約9質量%のクロムおよびチタニウムの組み合わせを含有する鋼組成物。
  18. 請求項1に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物は向上された耐腐食性を有し、約60ksiの最小降伏強度を有する鋼組成物。
  19. 請求項18に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物の鋼微細構造は、主としてフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含有する鋼組成物。
  20. 請求項19に記載の鋼組成物において、鋼微細構造はさらに析出物を含む鋼組成物。
  21. 炭化水素の生産に関連する方法であって、
    坑井環境で利用される装置を取得し、前記装置は、耐腐食性合金の添加量が1質量%から9質量%であり、0.03質量%から0.45質量%までの炭素、2質量%までのマンガン、0.45質量%までのシリコンを含有する耐食性炭素鋼(CRCS)組成物から少なくとも部分的に形成され、
    前記坑井中に前記装置を設置し、
    前記装置を介して炭化水素を生産する方法。
  22. 請求項21に記載の方法において、前記装置は一つ以上のパイプラインセグメント、フローラインおよびケーシングストリングを含む方法。
  23. 耐食性炭素鋼(CRCS)を生産するための方法であって、
    CRCS組成物を提供し、前記CRCS組成物は1質量%から9質量%のバナジウム、1質量%から9質量%のチタニウム、および1質量%から9質量%のバナジウムおよびチタニウムの組み合わせの何れか1つを含有し、0.03質量%から0.45質量%の炭素、2質量%までのマンガン、約0.45質量%までのシリコンを含有し、
    実質的に前記CRCS組成物を均質化し、析出物を溶解させるために前記CRCS組成物を適切な温度および適切な時間アニーリングし、
    主としてフェライト微細構造、主としてマルテンサイト微細構造または主として二相微細構造の何れか一つを生産するために前記CRCS組成物を適切に焼き入れする方法。
  24. 請求項23に記載の方法において、
    前記アニーリング温度は約850℃から1450℃の範囲であり、アニーリング時間は約24時間までの時間である方法。
  25. 請求項23に記載の方法において、
    VおよびTiの両方を含有するCRCS組成物に対する好ましいアニーリング温度は、以下の式から選択され、
    Figure 2010530477
    ここでV(質量%)およびTi(質量%)は、それぞれVの量およびTiの量の質量%であり、Tv Anneal(℃)およびTTi Anneal(℃)はそれぞれ前記Vまたは前記Tiのみを含むCRCS組成物に対応するアニーリング温度(℃)である方法。
  26. 請求項23に記載の方法において、
    前記CRCS組成物はさらに約12時間以下の間、約400℃とオーステナイト形成温度の間の焼き戻し温度にさらされる方法。
  27. 請求項26に記載の方法において、
    VおよびTiの両方を含有する前記CRCS組成物に対する好ましい焼き戻し温度は、以下の式から選択され、
    Figure 2010530477
    ここで、Tv Temper(℃)およびTTi Temper(℃)はそれぞれの焼き戻し温度(℃)に対応する方法。
  28. 請求項23に記載の方法において、
    前記CRCS組成物はさらに、最初のアニーリング処理後に前記アニーリング温度未満の温度及び粒成長を最小限にするために十分に短い時間での前記CRCS組成物の再加熱を含む一回以上の細粒化温度サイクルを受ける方法。
  29. 鋼組成物であって、
    1質量%から9質量%のバナジウム、約0.45質量%未満の炭素、約2質量%未満のマンガン、および約0.45質量%未満のシリコンを含有する鋼組成物。
  30. 請求項29に記載の鋼組成物において、さらに約1.5質量%から約2.5質量%のバナジウムを含有する鋼組成物。
  31. 請求項29に記載の鋼組成物において、さらに以下の式を満足させる量のチタニウムを含有する鋼組成物。
    Ti(質量%)=3.0(質量%)−0.5×V(質量%)
  32. 請求項29に記載の鋼組成物において、前記炭素は約0.03質量%から約0.25質量%の範囲である鋼組成物。
  33. 請求項29に記載の鋼組成物において、前記マンガンは約0.5質量%から約1.5質量%範囲である鋼組成物。
  34. 請求項29に記載の鋼組成物において、さらに約3質量%未満のニッケルを含有する鋼組成物。
  35. 請求項29に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約3.5質量%のクロムを含有し、前記クロムおよびバナジウムが約1質量%から約9質量%混合されている鋼組成物。
  36. 請求項35に記載の鋼組成物において、前記クロムおよびバナジウムは約1質量%から3.5質量%混合されている鋼組成物。
  37. 請求項29に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物は向上された耐腐食性を有し、約60ksiの最小降伏強度を有する鋼組成物。
  38. 請求項29に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物の鋼微細構造は、主としてフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含有する鋼組成物。
  39. 請求項38に記載の鋼組成物において、前記鋼微細構造はさらに析出物を含有する鋼組成物。
  40. 耐腐食性を提供する鋼組成物であって、
    約1質量%から約9質量%のチタニウム、約0.45質量%未満の炭素、約2質量%未満のマンガンおよび約0.45質量%未満のシリコンを含有する鋼組成物。
  41. 請求項40に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約3質量%のチタニウムを含有する鋼組成物。
  42. 請求項41に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約2.2質量%の量のチタニウムを含有する鋼組成物。
  43. 請求項40に記載の鋼組成物において、さらに以下の式を満足させる量のバナジウムを含有する鋼組成物。
    Ti(質量%)=3.0(質量%)−0.5×V(質量%)
  44. 請求項40に記載の鋼組成物において、前記炭素は約0.03質量%から約0.25質量%までの範囲である鋼組成物。
  45. 請求項40に記載の鋼組成物において、前記マンガンは約0.5質量%から約1.5質量%までの範囲である鋼組成物。
  46. 請求項40に記載の鋼組成物において、さらに約3質量%未満のニッケルを含有する鋼組成物。
  47. 請求項40に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約3.5質量%までのクロムを含有し、前記クロムおよびチタニウムが約1質量%から約9質量%混合されている鋼組成物。
  48. 請求項40に記載の鋼組成物において、クロムおよびチタニウムが約1質量%から約3.5質量%混合されている鋼組成物。
  49. 請求項40に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物は向上された耐腐食性を有し、約60ksiの最小降伏強度を有する鋼組成物。
  50. 請求項40に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物の鋼微細構造は、主としてフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含有する鋼組成物。
  51. 請求項50に記載の鋼組成物において、鋼微細構造はさらに析出物を含有する鋼組成物。
  52. 耐腐食性を提供する鋼組成物であって、
    約1質量%から約6.0質量%のチタニウムおよびバナジウムの組み合わせ、
    約0.45質量%未満の炭素、約2質量%未満のマンガン、および約0.45質量%未満のシリコンを含有する鋼組成物。
  53. 請求項52に記載の鋼組成物において、チタニウムおよびバナジウムの組み合わせは約1質量%から約2.5質量%の範囲である鋼組成物。
  54. 請求項52に記載の鋼組成物において、前記炭素は約0.03質量%から約0.25質量%の範囲である鋼組成物。
  55. 請求項52に記載の鋼組成物において、前記マンガンは約0.5質量%から約1.5質量%の範囲である鋼組成物。
  56. 請求項52に記載の鋼組成物において、さらに約3質量%未満のニッケルを含有する鋼組成物。
  57. 請求項52に記載の鋼組成物において、さらに約1質量%から約3.5質量%量のクロムを含有し、前記クロムとチタニウムおよびバナジウムの組み合わせとを約1質量%から約9質量%混合している鋼組成物。
  58. 請求項57に記載の鋼組成物において、前記クロムとチタニウムおよびバナジウムの組み合わせとを約1質量%から約3.5質量%混合している鋼組成物。
  59. 請求項52に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物は向上された耐腐食性を有し、約60ksiの最小降伏強度を有する鋼組成物。
  60. 請求項52に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物の鋼微細構造は、主としてフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含有する鋼組成物。
  61. 請求項60に記載の鋼組成物において、鋼微細構造はさらに析出物を含有する鋼組成物。
  62. 耐腐食性を提供するための鋼組成物であって、
    約1質量%から約5.0質量%のクロムおよびバナジウムの組み合わせ、約0.45質量%未満の炭素、約2質量%未満のマンガン、約0.45質量%未満のシリコンおよび約3質量%未満のニッケルを含有する鋼組成物。
  63. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記のクロムおよびバナジウムの組み合わせは約1質量%から約3.5質量%の範囲である鋼組成物。
  64. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記炭素は約0.03質量%から約0.25質量%の範囲である鋼組成物。
  65. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記マンガンは約0.5質量%から約1.5質量%の範囲である鋼組成物。
  66. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記シリコンは約0.1質量%未満である鋼組成物。
  67. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記ニッケルは約2質量%未満である鋼組成物。
  68. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物は向上された耐腐食性を有し、約60ksiの最小降伏強度を有する鋼組成物。
  69. 請求項62に記載の鋼組成物において、前記鋼組成物の鋼微細構造は、主としてフェライト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、フェライトおよびマルテンサイトの二相、またはフェライトおよび焼き戻しマルテンサイトの二相のいずれか1つを含有する鋼組成物。
  70. 請求項69に記載の鋼組成物において、鋼微細構造はさらに析出物を含有する鋼組成物。
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