JP2002180210A - マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス鋼Info
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Abstract
以下と低い安価な低Cマルテンサイト系ステンレス鋼の
提供。 【解決手段】質量%で、C:0.03%以下、Si:
0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.02
5%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜12
%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、N:
0.05%以下、O:0.01%以下を含有する組織が
焼戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトの混
合組織であってフレッシュマルテンサイトの量が1%〜
80%であるステンレス鋼。
Description
ス腐食性に優れた低降伏比のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼に関し、このステンレス鋼は炭酸ガスを含む原油を
採掘する油井管や原油を輸送するフローライン、ライン
パイプ、油井井戸坑底機器およびバルブ等の用途に好適
である。
だけでなく海底油田の開発が活発となっている。海底油
田を開発する場合、掘削、精製基地となる海上プラット
フォームを建造し、プラットフォーム上から油井管にて
石油、天然ガスを汲み上げる。さらに、腐食性を低下さ
せるために脱水、脱硫等の精製をプラットフォーム上で
実施した後、安価な炭素鋼や合金鋼のパイプラインにて
搬送する方法が一般的である。しかしながらプラットフ
ォームの建造、維持コストが莫大なため、近年新たにプ
ラットフォームの建造を必要としない海底油田採掘技術
が開発されている。
直接地中の油層まで降ろさず、油井管を海底から地中の
油層まで降ろして海底で油井を仕上げ(sub sea comple
tion)て、腐食性の高い原油、ガスをそのままフローラ
インで既存のプラットフォームまで搬送する方法であ
る。この場合、フローラインは搬送する媒体に対して優
れた耐食性を有していることが必要であり、油井管と同
等程度の耐食性を有するステンレス、高合金等の材質が
必要となる。
対して高Cr鋼が有効であることは知られており、炭酸
ガスを多く含む油井管用にはAPI−13Crで規定さ
れる0.2%C−13%Cr鋼が多く使用されている。
しかしながら、この材料はC濃度が高いため溶接性は好
ましくなく、フローラインやラインパイプのように溶接
して使用される用途には不向きであった。そこで、近年
C含有量を低減して、かわりにオーステナイト生成元素
としてNiを添加したスーパー13Cr鋼と呼ばれる新
しい溶接性に優れた鋼種が開発されている。
7%と多量に含有しておりAPI−13Crに比べて大
幅に高価になるという問題がある。また、単純にNi含
有量を低減すると熱間加工性、耐食性および靭性を低下
させるδフェライトが生成するだけでなく、Ni含有量
自体が靭性を支配するため、靭性の確保が難しい。
1752号、特開平11−61267号の各公報には、
2%以下のNiを含有する低Cマルテンサイト系ステン
レス鋼において、靭性を確保する手法が開示されてい
る。いずれも、Cuを添加することにより、Ni低減に
よる靭性低下を抑制することを特徴としている。
を必須元素とした低Cマルテンサイト系ステンレス鋼を
熱処理することにより靭性を向上させるラインパイプ用
高Crマルテンサイト鋼管の製造方法が開示されてい
る。
よびNを添加して靱性を改善した低Cマルテンサイト系
ステンレス鋼が、また特開平11−61267号公報に
はCuを必須元素とした鋼に、焼入れと焼戻し熱処理の
中間で2相域での熱処理を施すことにより靭性を改善す
るマルテンサイト継目無鋼管の製造方法が開示されてい
る。
を低減して靭性が低下した鋼にCuを添加することによ
って靭性を確保するか、さらにCuを添加した鋼を用い
て熱処理等を特定して靭性の改善を図った技術である。
は熱間加工性やクリープ強度を低下させることがあり、
不純物として好ましくない場合が多く、Cuを添加した
鋼はスクラップリサイクル性にも問題がある。そこで、
Cuを添加することなく靭性を確保する方策が必要とさ
れていた。また、上記熱処理により靱性を確保する方法
においては、製造コストの面からは熱処理回数はなるべ
く少ない方がよく、熱間加工後室温に冷却することなく
焼入れする直接焼き入れ方法による製造が望ましいが、
この場合結晶粒が粗大になり、靭性確保がさらに困難に
なる問題があった。
直接焼入れ材の靭性確保のための熱処理方法が開示され
ているが、直接焼入れ後、2相域熱処理と焼戻しによる
2回の熱処理が必要で、直接焼入れによる熱処理軽減効
果が全く得られない問題があった。
含有量が3%以下と低く安価な低Cマルテンサイト系ス
テンレス鋼において、Cuを添加することなく、また熱
処理を多数回施すことなく靱性、耐食性に優れた低降伏
比マルテンサイト系ステンレス鋼を提供することにあ
る。
く、また多数回の熱処理を施さなく、直接焼入れ材であ
っても靭性、耐食性に優れた安価な低Cマルテンサイト
系ステンレス鋼を開発するため鋭意検討した結果、以下
の知見を得ることができた。
するためには、δフェライトを生成させてはならない。
δフェライトの生成を抑制してNiを低減するために
は、Niに代わるオーステナイト生成元素を添加する
か、フェライト生成元素の低減が必要である。
スクラップのリサイクル性に問題があり、また他のオー
ステナイト生成元素であるC、Nも溶接部の強度を上昇
させて靭性、耐食性を低下させるので利用できない。
るCrの含有量を低減する必要がある。油井管のAPI
−13CrのCr含有量は約13%であるが、含有する
CやNによってかなりのCrがCr炭窒化物となって耐
食性に寄与しなくなっているので低C、低Nの材料では
13%のCr量を確保する必要はなく、最低限9.5%
のCr含有量があればAPI−13Crと同等の耐炭酸
ガス腐食性が得られ、また12%を超えるとδフェライ
トが生成して熱間加工性、耐食性および靭性が低下する
ことから、Cr含有量はAPI−13Crより低減した
9.5%〜12%とするのがよい。
すると靭性が低下するが、その対策としては金属組織の
コントロールが有効であり、焼戻しマルテンサイトとフ
レッシュマルテンサイトの混合組織とすれば靭性が改善
でき、特にフレッシュマルテンサイトの靭性を確保する
ためには、少量のMoを添加する必要がある。
〜80%であると溶接構造物として良好な85%以下の
降伏比も得られる。
たもので、その要旨は以下の通りである。
i:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.
025%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜1
2%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、
N:0.05%以下、O:0.01%以下を含有し、残
部がFeおよび不純物からなり、金属組織が焼戻しマル
テンサイトとフレッシュマルテンサイトの混合組織であ
ってフレッシュマルテンサイトの量が1%〜80%であ
るマルテンサイト系ステンレス鋼。
%、Nb:0.001〜0.5%、Ti:0.001〜
0.5%およびZr:0.001〜0.5%のうちから
選ばれた1種又は2種以上を含有する上記(1)に記載
のマルテンサイト系ステンレス鋼。 (3)さらに、Ca:0.0005〜0.05%、M
g:0.0005〜0.05%、REM:0.0005
〜0.05%のうちから選ばれた1種又は2種以上を含
有する上記(1)に記載のマルテンサイト系ステンレス
鋼。
%、Nb:0.001〜0.5%、Ti:0.001〜
0.5%およびZr:0.001〜0.5%のうちから
選ばれた1種又は2種以上と、Ca:0.0005〜
0.05%、Mg:0.0005〜0.05%、RE
M:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた1種
又は2種以上とを含有する上記(1)に記載のマルテン
サイト系ステンレス鋼。
0.1%を含有する上記(1)〜(4)に記載のマルテ
ンサイト系ステンレス鋼。
1%を含有する上記(1)〜(5)に記載のマルテンサ
イト系ステンレス鋼。
ンサイトと焼戻しマルテンサイトとを判別するのが困難
なため、フレッシュマルテンサイト率は下記式により求
めるものとする。 フレッシュマルテンサイト率=(c−b)/(a−b)
×100(%) ここで、 aは、1000℃から水焼き入れしたときのロックウェ
ルC硬度 bは、焼入れ後、Ac1点温度−20℃で焼戻したときの
硬度 cは、最終熱処理後のロックウエル硬度C とする。ただし、上記式が負になった場合は、フレッシ
ュマルテンサイト率を0%とする。また、析出強化が作
用したときには上記計算値が100%を超えることがあ
るが、その場合はフレッシュマルテンサイト率を、それ
ぞれ100%とする。
組成と金属組織を規定した理由を説明する。なお、化学
組成の%表示は全て質量%を示す。
ると、フレッシュマルテンサイトの強度が高くなり、靭
性が低下するのでその上限を0.03%と定めた。C含
有量は低ければ低いほうがよい。C含有量が低いほど焼
き戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトの混
合組織としたときの靭性が良好になるので、好ましくは
0.2%以下、より好ましくは0.009%以下であ
る。
が、フェライト生成元素であるので添加しすぎるとδフ
ェライトが生成して熱間加工性、靭性および耐食性を低
下させる。脱酸のためには0.05%以上含有させる必
要がある。一方、1%を超えるとフェライトが生成しや
すくなるので、その範囲を0.05〜1%とした。
元素である。0.05%未満では脱酸作用が不足して靭
性および耐食性が低下するので、下限を0.05%とし
た。高温でδフェライトを析出させないためには、多量
含有させることが好ましく、1%を超える量が好まし
い。一方、2%を超えるとかえって靭性が低下するので
上限を2%とした。
食性および靭性を低下させる。十分な耐食性と靭性を得
るためには0.025%以下とする必要があるが、その
含有量は低ければ低い程良好であり、厳しい低温靭性が
要求される場合は0.02%以下、さらに厳しい低温靭
性が要求される場合は0.015%以下が好ましい。
間加工性、耐食性および靭性を低下させる。それらの充
分な特性を得るためには、0.01%以下が必要である
が、その含有量は低ければ低い程良好であり、0.00
2%以下が好ましい。
せる成分である。9.5%未満では十分な耐炭酸ガス腐
食性が得られないので下限を9.5%とした。また、多
量に含有させると高価になるためNiの上限を3%とし
た場合において、Cr量が12%を超えると、圧延時の
加熱でδフェライトが生成しやすく熱間加工性、靭性お
よび耐食性が低下するので12%を上限とした。圧延加
熱温度はより高温の方が、変形抵抗が減少して工具寿命
が長くなるので、より高温加熱でもδフェライトが生成
しない成分系が好ましい。したがって、Crの上限は好
ましくは11.5%、より好ましくは10.9%であ
る。また、炭酸ガスに対する十分な耐食性を確保するに
はCrは多いほど良好な結果が得られるので10%以上
がより望ましい。Ni:C含有量を低減した高Cr鋼に
おいて、Niはδフェライトの生成を抑制し、靭性を確
保するための必須の元素である。Ni含有量が1%未満
ではδフェライトの生成を抑止できず、また靭性低下が
著しいので上限を1%とした。靭性の確保の観点からは
Ni含有量は多いほど良好であるので、好ましくは1.
5%以上である。特性の観点からはNiの上限は無いが
Niは高価な元素であり、多量に添加すると油井管のA
PI−13Crとのコスト差が大きくなるので3%を上
限と定めた。なお、コストを油井管に近付けるために
は、Ni添加量はなるべく低減する方が好ましく、さら
に経済性を追求する場合には上限を2.5%、より好ま
しくは2%とするのが望ましい。
素であり、焼き戻されていないフレッシュマルテンサイ
トが存在する組織であっても良好な靭性を確保するため
に含有させる必要がある。この効果を得るためには0.
05%以上含有させる必要がある。さらに、耐硫化物応
力割れ特性を改善する効果も有するため、多量になるほ
ど耐食性が向上するが、Moは高価な元素でありコスト
高とならないように上限を1.5%とした。したがっ
て、最小限の含有量が望ましく、好ましい範囲は0.0
5〜0.5%、より好ましい範囲は0.05〜0.3%
である。
ある。その含有量が0.05%を超えると、フレッシュ
マルテンサイトの強度が高くなり、靭性が大幅に低下す
るので上限を0.05%と定めた。N含有量は低ければ
低いほうがいい。なお、N含有量が低いほど焼戻しマル
テンサイトとフレッシュマルテンサイトの混合組織とし
たときの靭性が良好になるので、N含有量は好ましくは
0.02%以下、より好ましくは0.01%以下に制限
した方がよい。
超えると、靭性、耐食性が低下が著しいので、0.01
%以下とした。
の元素を含有させることができる。 V、Nb、Ti、Zr:これらの元素は、焼戻しマルテ
ンサイトとフレッシュマルテンサイトの混合組織とした
ときに強度を向上させるとともに、Cを固定し、強度の
ばらつきを少なくする作用があり、そのような効果を得
る目的で含有させることができる。それぞれの元素の含
有量が0.001%未満の場合はそれらの効果が期待で
きず、0.5%を超える過剰な含有量ではδフェライト
が生成して熱間加工性が低下するので含有させる場合は
それぞれ0.001〜0.5%とした。
る元素である。添加する場合には、前記効果を得るには
0.001%以上が必要である。一方、Alは強力なフ
ェライト生成元素であるので、含有量が0.1%を超え
るとδフェライトが生成するので、含有させる場合の上
限は0.1%である。
果を有するので、それらの効果を得る場合に含有させ
る。前記効果を得るには0.0003%以上が必要であ
り、一方0.01%を超えると耐食性が低下するので、
含有させる場合は0.0003〜0.01%とした。
熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。また、
鋳造時のノズルつまりを防止する作用も有する。これら
の効果を得たい場合には、1種又は2種以上を選んで含
有させる。しかし、いずれの元素もその含有量が0.0
005%未満では上記効果が得られない。一方、0.0
5を超えて含有させると、粗大な酸化物が生成し、孔食
起点となって耐食性が低下する。したがって、含有させ
る場合、それぞれ0.0005〜0.05%とした。
テンレス鋼の主な金属組織は、焼戻しマルテンサイトと
フレッシュマルテンサイトであるが、さらに極少量のδ
フェライトと析出物を含む場合がある。 フレッシュマ
ルテンサイト量が極少ないと靭性確保は困難であり、靱
性を確保するためには1%以上であることが必要であ
る。また、多く存在し過ぎると、強度が上昇し過ぎてか
えって靭性が低下するので、フレッシュマルテンサイト
率は1〜80%とした。良好な靭性を確保するためには
フレッシュマルテンサイト量は必要最小限が望ましく、
好ましくは1〜60%、より好ましくは1〜40%であ
る。
高Cr鋼において靭性を大幅に向上させるため、焼戻し
マルテンサイトにフレッシュマルテンサイトが一定量存
在する状態とし、さらに少量のMoを含有させることを
特徴としており、熱処理は特に特定されないが、本発明
で規定する金属組織は、例えば熱間加工後に下記のよう
な熱処理を施すことにより得られる。
せるために、最終熱処理が焼戻しであると、フレッシュ
マルテンサイトは全て焼戻しマルテンサイトとなってし
まうため、最終熱処理はAc1点以上の温度とする必要
がある。Ac1点以上の温度に加熱すれば、オーステナ
イトが生成し、本発明で規定された化学組成では冷却に
より残留オーステナイトとはならずマルテンサイト変態
する。したがって、80%以下のオーステナイトと焼戻
しマルテンサイトの2相域に加熱して冷却すると、所望
の組織が得られる。また、オーステナイト単相域まで加
熱しても、その後の冷却速度が遅いと、マルテンサイト
変態後に一部の組織が冷却途中に自動的に焼戻しされる
ので、この場合でもフレッシュマルテンサイトと焼戻し
マルテンサイトとの混合組織が得られる。フレッシュマ
ルテンサイトの定量は組織観察では極めて困難であり、
代わりに前記マルテンサイト率を表す計算式により定量
する。なお、この効果は特に靭性の確保が困難である高
温で圧延終了後、直ちにまたは再加熱した後に空冷また
は急冷した比較的結晶粒の粗大なインライン熱処理材に
おける効果が大きく、熱間加工後直接焼入れしてさらに
Ac1点〜Ac3点の温度域に加熱、冷却しその後の焼戻し
を実施しない熱処理で特に効果が大きい。また、Ac3点
以上に加熱して放冷することによってセルフテンパーさ
れた焼戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイト
が混在する組織としてもよい。
を確保することができず、圧延後焼入れ、焼戻しという
2回の熱処理が必要であったが、本発明により圧延後冷
却した後、1回の2相域熱処理で良好な特性がえられる
ので、インライン熱処理が可能となる利点がある。
を溶製した後熱間鍛造し、さらに熱間圧延にて厚さ12
mm、幅180mm、長さ700mmの鋼板に仕上げ
た。仕上げ温度は全て1000℃とし、仕上げ後直ちに
950℃の炉内に入れて10分間均熱した後水冷を施し
直接焼き入れを実施した。次いで、最終熱処理の温度を
種々変化させてフレッシュマルテンサイト率を変化させ
た。
性を評価するため下記の方法で溶接継ぎ手を製作した。
れ幅70mm、長さ400mmの2枚の溶接継ぎ手用の
鋼板を切り出し、圧延方向の側面に開先加工を施して突
き合わせて、25Cr系のスーパー2相ステンレス鋼の
溶接材料を用いてガス・タングステン・アーク溶接(G
TAW)法にて溶接した。
(以下母材という)および溶接継ぎ手から、下記の試験
片を加工し、機械的特性と耐食性を調査した。
溶接継ぎ手からは、溶接熱影響部から切り出し、ノッチ
位置はボンドから1mmとした。 母材から製作した試験片 引張り試験片:直径4mm、標点間距離20mm 引張り方向が圧延方向となるように製作 耐食性試験片:、厚さ2mm、幅10mm、長さ75m
m 耐食性試験は、分圧30気圧の炭酸ガスを飽和させた8
0℃の25%NaCl溶液に、200時間浸漬して腐食
速度を測定した。これらの試験結果を、表3および表4
に示す。
mm/年未満の場合を”○”、0.1mm/年以上の場
合を”×”と表示した。
で規定した化学組成を有する鋼No.S1〜S34を用
い、フレッシュマルテンサイト率が7〜80%の範囲に
ある。これらの鋼は、引張り強さ80ksiグレード
(降伏強度:550MPa以上)の高強度を有しなが
ら、84%以下と降伏比が低く、母材の靭性および耐食
性、および溶接部の靭性ともに良好である。
S37:API13Cr相当鋼)は従来例で、フレッシ
ュマルテンサイトを析出させたが、フレッシュマルテン
サイトの強度が著しく高いので、いずれも強度が高過
ぎ、靭性が低下しているとともに、耐食性が劣ってお
り、また降伏比も高い。
鋼の化学組成は本発明で規定する範囲内にあり、フレッ
シュマルテンサイト率が規定範囲から外れている例であ
る。比較例の試験の試験No.43〜46は、マルテン
サイト率は本発明の規定を満たしてはいるが、化学組成
が本発明で規定する範囲からはずれた例で、いずれも母
材および、溶接部の靭性が大幅に低下している。
こなったが、継目無鋼管や溶接鋼管においても同様の特
性が得られる。
を低減しても靭性、耐食性が確保でき、溶接構造物とし
ての安全性が高まる低降伏比を有し、安価で溶接性に優
れたマルテンサイト系ステンレス鋼が提供できる。ま
た、本発明鋼は圧延後の冷却の後、1回の熱処理により
得られ、製造コストも抑制できる利点を有する。
Claims (6)
- 【請求項1】質量%で、C:0.03%以下、Si:
0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.02
5%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜12
%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、N:
0.05%以下、O:0.01%以下を含有し、残部が
Feおよび不純物からなり、金属組織が焼戻しマルテン
サイトとフレッシュマルテンサイトの混合組織であって
フレッシュマルテンサイトの量が1〜80%であること
を特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】質量%で、C:0.03%以下、Si:
0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.02
5%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜12
%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、N:
0.05%以下、O:0.01%以下を含有し、さらに
V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5
%、Ti:0.001〜0.5%およびZr:0.00
1〜0.5%のうちから選ばれた1種又は2種以上を含
有し、残部がFe及び不純物からなり、金属組織が焼戻
しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトの混合組
織であってフレッシュマルテンサイトの量が1〜80%
であることを特徴とするマルテンサイト系ステンレス
鋼。 - 【請求項3】質量%で、C:0.03%以下、Si:
0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.02
5%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜12
%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、N:
0.05%以下、O:0.01%以下を含有し、さらに
Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005
〜0.05%、REM:0.0005〜0.05%のう
ちから選ばれた1種又は2種以上を含有し、残部がFe
および不純物からなり、金属組織が焼戻しマルテンサイ
トとフレッシュマルテンサイトの混合組織であってフレ
ッシュマルテンサイトの量が1〜80%であることを特
徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項4】質量%で、C:0.03%以下、Si:
0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.02
5%以下、S:0.01%以下、Cr:9.5〜12
%、Ni:1〜3%、Mo:0.05〜1.5%、N:
0.05%以下、O:0.01%以下を含有し、さらに
V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5
%、Ti:0.001〜0.5%およびZr:0.00
1〜0.5%のうちから選ばれた1種又は2種以上と、
Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005
〜0.05%、REM:0.0005〜0.05%のう
ちから選ばれた1種又は2種以上とを含有し、残部がF
eおよび不純物からなり、金属組織が焼戻しマルテンサ
イトとフレッシュマルテンサイトの混合組織であってフ
レッシュマルテンサイトの量が1〜80%であることを
特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼。 - 【請求項5】Feの一部に代えて、sol.Alを0.00
1〜0.1%を含有する請求項1〜4に記載のマルテン
サイト系ステンレス鋼。 - 【請求項6】Feの一部に代えて、Bを0.0003〜
0.01%を含有する請求項1〜5に記載のマルテンサ
イト系ステンレス鋼。
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JP2000384965A JP3666388B2 (ja) | 2000-12-19 | 2000-12-19 | マルテンサイト系ステンレス継目無鋼管 |
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JP (1) | JP3666388B2 (ja) |
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