JPH0741909A - 油井用ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

油井用ステンレス鋼およびその製造方法

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JPH0741909A
JPH0741909A JP18362493A JP18362493A JPH0741909A JP H0741909 A JPH0741909 A JP H0741909A JP 18362493 A JP18362493 A JP 18362493A JP 18362493 A JP18362493 A JP 18362493A JP H0741909 A JPH0741909 A JP H0741909A
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隆弘 櫛田
Masakatsu Ueda
昌克 植田
Masaaki Igarashi
正晃 五十嵐
Kunio Kondo
邦夫 近藤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】Cr、Mo、Si、Niの含有量の関係を一定条件で満
足し、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.0〜14.0
%、Mo:0.5〜7.0 %、Ni:4.0〜8.0 %、Al:0.001〜0.1
%、さらに下記式を満たすTiまたは下記式を満たす
Zrを含み、不純物中のC、P、S、N、Vがそれぞれ一
定値以下で、組織中の残留オーステナイトが体積分率で
2〜20%、残りは主としてマルテンサイト。 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.
75〕・・・・・ 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・ また上記組成の素材鋼に、焼入れ処理後、Ac1点を超え
700 ℃未満で焼戻し処理を施す上記油井用ステンレス鋼
の製造方法。 【効果】厳しい油井環境下においても良好な耐食性を備
え、かつ油井用材料として十分な強度が安定して得られ
る鋼である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油井あるいはガス井
(以下、本発明ではガス井を含めて、単に「油井」と総
称する)に使用されるステンレス鋼に関し、特に炭酸ガ
ス、硫化水素、塩素イオンなど腐食性不純物を含有して
いる極めて厳しい腐食環境で使用するのに適する、耐食
性と適正な強度レベルを有する油井用ステンレス鋼に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油または天然ガスを採取するた
めの井戸の環境がますます苛酷なものになっており、深
さの増加に加えて炭酸ガス、硫化水素を含む油井が増
え、それにつれて腐食などによる材料の脆化が大きな問
題となっている。
【0003】従来、一般の油井用材料の一つである油井
管には炭素鋼や低合金鋼を使用するのが通常であるが、
使用する油井の環境が苛酷になるにつれて、合金含有量
を増加させた鋼が用いられるようになってきている。例
えば、炭酸ガスを多く含む油井用の材料では、Crを添加
すると耐食性が著しく向上することが知られており、Cr
を9%含有する9%Cr−1%Mo鋼や、Crを13%含有する
SUS420 マルテンサイト系ステンレス鋼が多く用いら
れている。ところが、このような多量のCrを含有する鋼
はステンレス鋼であるにもかかわらず、硫化水素に対す
る耐食性が芳しくなく、前述のような炭酸ガスだけでな
く硫化水素をも同時に含むような環境下では硫化物応力
割れが発生しやすいので、その使用が制限されているの
が実情である。
【0004】このような炭酸ガスと硫化水素とを同時に
含む油井環境では、現状ではさらに合金含有量を高めた
2相ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼を用
いざるを得ないが、合金元素の添加量が多くなるので材
料コストの上昇が著しい。
【0005】特開昭60−174859号公報には、上述のSU
S420 鋼をベースにNi、Moを添加し、さらに0.02%以下
へC含有量の低下を図って、硫化水素を含む腐食性の高
い油井環境下での耐食性を確保させようという試みが開
示されている。
【0006】本出願人による特開平2−243740号公報お
よび特開平3−120337号公報には、SUS420 鋼をベー
スとして低C化する一方、Ni、Mo、Ti、Nb、Zr、Vの適
量添加、もしくは低Mn化、低S化などの手段によって、
良好な硫化物応力腐食割れ性を確保した鋼とその製造方
法が開示されている。
【0007】本発明者は、特願平4−88506 号におい
て、Crを10.0〜14.0%含有する強度安定性と耐硫化物応
力腐食割れ性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレ
ス鋼を示した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−174859号公
報に示される改良SUS420 鋼でも、厳しい腐食性環境
での耐食性は十分とはいえない。
【0009】特開平 2−243740号および特開平 3−1203
37号公報に示される発明は、Ti、Nb、V、Zrを添加して焼
戻し後の強度を安定化するものであるが、さらに詳細に
検討すると、この強度のばらつきが異常に大きい場合が
あり、工業的に安定な強度レベルを有する材料を製造す
る方法としては、やや問題がある。
【0010】特願平4−88506 号に示したマルテンサイ
ト系ステンレス鋼は、当然マルテンサイト単相組織にし
なければその特徴が得られないものであり、特に耐全面
腐食性を向上させる点については全く検討されていな
い。
【0011】このような10数%のCrを含有するマルテン
サイト系ステンレス鋼の耐食性は、従来の13Cr鋼(AISI
420系) と22Cr系2相ステンレス鋼との中間に位置す
る。当然、10数%Crマルテンサイト系ステンレス鋼は、
22Cr系2相ステンレス鋼よりも安価であり、その低コス
トに見合った使用条件における耐食性がメリットである
が、さらに耐食性(耐硫化物応力腐食割れ性と耐全面腐
食性)を向上させ、上級鋼である22Cr系2相ステンレス
鋼に近づければ、このメリットは一層大きいものとな
る。
【0012】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の目的は、、焼戻し処理後の強
度ばらつきが生じにくく、しかも特に耐全面腐食性にも
優れた油井用ステンレス鋼とその製造方法を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)、(3) 、(5) および (7)の油井用ステンレス鋼と、
(2) 、(4) 、(6) および (8)のそれらの製造方法にあ
る。
【0014】(1)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0
%以下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni:
4.0〜8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記
式を満足するTiを含有し、かつ下記式および式を満
足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物からな
り、不純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05
%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下および
0.2 %以下であり、その組織中の残留オーステナイトが
体積分率で2〜20%であり、残りは主としてマルテンサ
イトからなることを特徴とする強度安定性、耐硫化物応
力腐食割れ性および耐全面腐食性に優れた油井用ステン
レス鋼。
【0015】 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (2)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満足するTi
を含有し、かつ下記式および式を満足する組成を有
し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純物中の
C、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以下、0.04%
以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2 %以下であ
る鋼に、焼入れ処理を施し、次いでAc1点を超え700 ℃
未満の温度域で焼戻し処理を施すことを特徴とする上記
(1) の油井用ステンレス鋼の製造方法。
【0016】 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (3)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜0.05%お
よびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さらに下記
式を満足するTiを含有し、かつ下記式および式を
満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物から
なり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.
05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下およ
び0.2 %以下であり、その組織中の残留オーステナイト
が体積分率で2〜20%であり、残りは主としてマルテン
サイトからなることを特徴とする強度安定性、耐硫化物
応力腐食割れ性および耐全面腐食性に優れた油井用ステ
ンレス鋼。
【0017】 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (4)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜0.05%お
よびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さらに下記
式を満足するTiを含有し、かつ下記式および式を
満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物から
なり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.
05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下およ
び0.2 %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、次いでA
c1点を超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を施すこと
を特徴とする上記(3) の油井用ステンレス鋼の製造方
法。
【0018】 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (5)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満足するZr
を含有し、かつ下記式および式を満足する組成を有
し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純物中の
C、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以下、0.04%
以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2 %以下であ
り、その組織中の残留オーステナイトが体積分率で2〜
20%であり、残りは主としてマルテンサイトからなるこ
とを特徴とする強度安定性、耐硫化物応力腐食割れ性お
よび耐全面腐食性に優れた油井用ステンレス鋼。
【0019】 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (6)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満足するZr
を含有し、かつ下記式および式を満足する組成を有
し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純物中の
C、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以下、0.04%
以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2 %以下であ
る鋼に、焼入れ処理を施し、次いでAc1点を超え700 ℃
未満の温度域で焼戻し処理を施すことを特徴とする上記
(5) の油井用ステンレス鋼の製造方法。
【0020】 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (7)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜0.05%お
よびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さらに下記
式を満足するZrを含有し、かつ下記式および式を
満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物から
なり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.
05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下およ
び0.2 %以下であり、その組織中の残留オーステナイト
が体積分率で2〜20%であり、残りは主としてマルテン
サイトからなることを特徴とする強度安定性、耐硫化物
応力腐食割れ性および耐全面腐食性に優れた油井用ステ
ンレス鋼。
【0021】 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ (8)重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、Cr:1
0.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜8.0 %お
よびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜0.05%お
よびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さらに下記
式を満足するZrを含有し、かつ下記式および式を
満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物から
なり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.
05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下およ
び0.2 %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、次いでA
c1点を超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を施すこと
を特徴とする上記(7) の油井用ステンレス鋼の製造方
法。
【0022】 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ 本発明者らは、前記特願平4−88506 号に示したマルテ
ンサイト系ステンレス鋼の耐食性をさらに改善すべく、
低C−Cr−Ni−Mo系のステンレス鋼の耐食性に及ぼす組
織の影響を調べるために、各種の実験、検討を重ねた結
果、今まで知られていない以下の〜のような知見を
得た。
【0023】上記成分系のステンレス鋼について、微
量 H2S−高圧 CO2−塩水環境における腐食挙動を調査し
た結果、旧オーステナイト粒界が比較的選択的に腐食
し、加えて粒界で硫化物応力割れが発生している。
【0024】このような旧オーステナイト粒界の脆弱
なステンレス鋼のミクロ組織および成分偏析を調査した
結果、マルテンサイト単相ではあるが、耐食性元素であ
るCrおよびMoの負偏析部が存在する。同様に、粒界には
それらの欠乏層が存在する場合がある。したがって、こ
のような耐食性元素の負偏析部や欠乏層を解消すれば、
耐食性が著しく向上することが期待される。
【0025】上記解消の方法としては、高温で焼戻す
ことによって各元素を拡散させて偏析を減らすことが考
えられ、Ac1点を超え、望ましくは600 ℃以上での焼戻
し処理により、その効果が得られる。
【0026】耐全面腐食性および耐硫化物応力腐食割
れ性は、残留オーステナイトが一定体積分率で存在する
組織の方が、単相マルテンサイト組織の場合よりも優れ
ている。これに関する従来の知見は、低合金鋼または13
Cr鋼(AISI 420系) では、残留オーステナイトは選択的
腐食によって孔食となり、それが応力集中源として割れ
の起点となったり、また、水素のトラップ源として水素
脆化や硫化物応力腐食割れを加速する、すなわち、残留
オーステナイトは望ましくない因子である、というもの
であった。
【0027】適切な高温焼戻し処理条件を選択すれ
ば、強度の安定性は損なわれないのみならず、油井用と
して必要な強度を確保することができる。
【0028】なお、このような残留オーステナイトの望
ましい効果は、下記(a) 〜(c) の重畳効果によってもた
らされると推定される。
【0029】(a) 残留オーステナイトが生成するほどの
高温で焼戻し処理することによって、成分の均一化が図
れること。
【0030】(b) 残留オーステナイトは拡散の速い粒界
から優先的に形成され、これが粒界近傍の耐食性元素の
欠乏層を解消すること。
【0031】(c) オーステナイト相は水素脆化感受性が
ほとんどなく、粒界に析出した残留オーステナイトが水
素脆化の一種である硫化物応力割れの発生と伝播を抑制
すること。
【0032】
【作用】本発明鋼の化学組成、組織および製造方法を前
記のように限定した理由を説明する。以下、%は重量%
を意味する。
【0033】〔I〕化学組成 Si:通常の精錬過程で脱酸剤として必要である。1.0 %
を超えると靱性が低下するので1.0 %を上限とした。
【0034】Mn:脱酸および熱間加工性の確保のために
添加する。しかし、含有量が多いと残留オーステナイト
が過度に生成しやすくなるので1.0 %以下とした。特に
耐孔食特性を向上させたいときには0.5 %未満に制限し
た方がよく、少なければ少ないほど孔食に対する耐食性
を向上させる効果があるので、好ましいのは0.3 %以下
である。
【0035】Cr:耐食性皮膜を形成させるには、10.0%
以上が必要である。しかし、14.0%を超えると耐食性の
向上の効果以上に材料コストの上昇が著しくなる。さら
にMoとの相乗作用でδフェライトが生成して、かえって
耐食性が低下するので上限を14.0%とした。
【0036】Mo:硫化物応力割れ感受性の低減に著しい
効果を有する元素である。0.5 %未満ではその効果が小
さく、7.0 %を超えるとCrとの相乗作用でδフェライト
が生成し易くなり、耐食性が低下するので、Mo含有量の
範囲は 0.5〜7.0 %とした。
【0037】Ni:マルテンサイト組織を生成させ、必要
な強度と、さらに耐食性を確保するために含有させる元
素である。4.0 %未満ではその効果が十分でなく、一方
8.0%を超えると、焼入れ処理したときに残留オーステ
ナイトが多量に生成し、耐食性が低下する。よって、Ni
含有量の範囲は 4.0〜8.0 %とした。
【0038】Al:脱酸剤として使用する。0.001 %未満
ではその効果がなく、0.1 %を超えると介在物が多くな
って耐食性が損なわれので、Al含有量の範囲は 0.001〜
0.1 %とした。
【0039】Ti:Tiは固溶しているCをTiC として固定
し、異常強化の原因となるCr炭化物、V炭化物が微細析
出するのを抑制するために含有させる。この効果を得る
には、C含有量に見合う含有量が必要であり、その下限
を4(%C)とした。一方、〔{−0.01/(%C+0.01
5)}+0.75〕を超えると、TiNi金属間化合物が析出して
かえって硬度が上昇する。よって、Tiを用いる場合の含
有量の範囲は、4(%C)以上、〔{−0.01/(%C+
0.015)}+0.75〕以下とした。
【0040】Zr:ZrはTiと同様に固溶しているCをZrC
として固定し、異常強化の原因となるCr炭化物、V炭化
物が微細析出するのを抑制するために含有させる。この
効果を得るには、C含有量に見合う含有量が必要であ
り、その下限を10( %C) とした。
【0041】一方、過剰に含有させても析出硬化を起こ
さないので強度の面からの上限はない。しかし、 2.0%
を超えると、靱性と熱間加工性が低下する。よって、Zr
を用いる場合の含有量の範囲は、10( %C) 以上、2.0
%以下とした。
【0042】MgおよびCe:熱間加工性を改善するので、
必要に応じて、それぞれ 0.001〜0.05%のMgおよびCeの
うち1種または2種を含有させてもよい。
【0043】さらに、本発明鋼の化学成分は次の式を満
足しなければならない。
【0044】 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si)−28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・ すなわち、本発明鋼は油井用であるから、安定した強度
と優れた耐食性を確保するために、マルテンサイト組織
の中に一定の残留オーステナイトを含むものであること
が望ましい。このためには、高温でδフェライトが生成
せずに、通常のオーステナイト化温度である 800〜1100
℃でオーステナイト単相となり、冷却すればマルテンサ
イトに変態し、かつ焼戻し後に残留オーステナイトが生
成するような化学組成を選択しなければならない。この
理由で、式および式を満足させる必要がある。な
お、式は加熱時にオーステナイト化させるための、
式は室温に冷却したときに主としてマルテンサイト化さ
せるための、それぞれ必要条件である。
【0045】もちろん、場合によってはCr、Vの炭化物
など他の相が生成することもあるが、本発明のステンレ
ス鋼では、上記のように、TiあるいはZrをCに応じて適
正に含有させた上で、および式を同時に満足させれ
ば、望ましくない炭化物などの影響はなくなる。
【0046】次に、不純物について、その許容上限を定
めた理由を説明する。
【0047】C:含有量が0.05%を超えると、焼戻し後
の硬度が上昇し過ぎ、硫化物応力腐食割れ感受性が高く
なる。同時に炭化物が析出しやすくなり、局部腐食も発
生しやすくなるので、上限を0.05%とした。なお、Tiお
よびZrの添加量を節約すること、および耐食性の確保の
両面から、C含有量は少なければ少ないほどよく、望ま
しいのは0.025 %以下である。
【0048】P:0.04%を超えると硫化物応力割れ感受
性が著しく上昇するので、上限を0.04%とした。
【0049】S:熱間加工性を良好に保つには、少なけ
れば少ないほど望ましい。脱硫コストとのかねあいで、
上限を0.005 %とした。
【0050】N:強度を高める一方、硫化物応力割れ感
受性を大きくする元素である。0.05%を超えると強度が
上昇しすぎるので耐食性が大きく低下する。このため、
0.05%以下としたが、耐食性の面からはN含有量は少な
い方が良好であるから、望ましいのは、0.02%以下であ
る。
【0051】V:Cの含有量が0.01〜0.03%程度のと
き、焼戻し後の硬度を著しく上昇させるので、できるだ
け低い方が望ましい。しかし、Vは溶解原料に混入しや
すく、通常ではその含有量を0.01%以下にするのは困難
な成分である。前述のように、TiまたはZrを適正な範囲
で含有させることで、この異常硬化を回避できるが、V
が 0.2%を超えるとTi、Zrを含有させてもその回避が困
難になる。この理由で0.2 %以下とした。
【0052】〔II〕組織および製造方法 本発明鋼の組織は、残留オーステナイトが体積分率で2
〜20%であり、残りは主としてマルテンサイトからなる
ものである。残留オーステナイトとマルテンサイト以外
の組織としては、炭化物、窒化物あるいはAl2O3 などの
酸化物があり、偏析部には稀にδフェライトが生成する
ことがある。「主として」とは、このような意味であ
る。
【0053】残留オーステナイトが体積分率で2%未満
では、耐食性、特に耐全面腐食性の改善効果が得られな
い。すなわち、2%以上では粒界での残留オーステナイ
トの組織専有率が優先的になり、耐食性が向上する。一
方、20%を超えると耐食性向上効果が飽和する上に、強
度低下が著しくなり、油井用として必要な強度が得られ
ない。
【0054】残留オーステナイトが上記の適正範囲で存
在する場合に耐食性が向上する理由は、次の〜のよ
うに説明される。
【0055】残留オーステナイトを生成させるには、
焼戻し温度を高温にする必要があるが、その高温焼戻し
で成分が均一化される。
【0056】残留オーステナイトは拡散の速い粒界か
ら優先的に形成され、これによって粒界近傍の耐食性元
素の欠乏層が解消される。
【0057】オーステナイト相は水素脆化感受性がほ
とんどなく、粒界に析出した残留オーステナイトが水素
脆化の一種である硫化物応力割れの発生と伝播を抑制す
るという重畳効果により、耐食性が向上する。
【0058】上記の組織を得る熱処理方法として、焼入
れ処理を施し、次いでAc1点を超え700 ℃未満の温度域
で焼戻し処理を施す。
【0059】焼入れ処理は、所望の強度を得るために施
す。焼入れ処理の温度範囲は 850〜1000℃が望ましい。
【0060】次いで、焼戻し処理するが、Ac1点以下で
はオーステナイト変態が開始せず所望の組織が得られな
い。一方、700 ℃以上では多量のオーステナイトが生成
し、強度低下が著しくなって、油井用として必要な強度
( 降伏応力: 80ksi以上、1ksi =6.89MPa)を得るこ
とが困難になる。
【0061】成分の均一化と粒界近傍の耐食性元素の欠
乏層の解消を高水準で得るには、高温側条件を選択する
のがよく、望ましい範囲は 600〜650 ℃、さらに望まし
いのは 615〜650 ℃である。
【0062】焼戻し時間は、製造時の生産能率の低下を
招かない範囲で効果が得られる15分〜2時間とするのが
望ましい。
【0063】
【実施例】表1(1) 、表1(2) 、表1(3) および表1
(4) に示す、鋼種A〜Q(A〜Hが本発明鋼、I〜Kが
従来鋼、L〜Qが比較鋼)をそれぞれ溶製し、熱間鍛
造、熱間圧延で厚さ8mmの板材とした。次いで、表2
(1) 、表2(2) および表2(3) に示す条件で水冷の焼入
れ処理後、焼戻し処理した。これらの板材を用いて、残
留オーステナイトの体積分率の測定、引張試験、耐全面
腐食性試験および硫化物応力割れ性試験を実施した。
【0064】
【表1(1)】
【0065】
【表1(2)】
【0066】
【表1(3)】
【0067】
【表1(4)】
【0068】
【表2(1)】
【0069】
【表2(2)】
【0070】
【表2(3)】
【0071】残留オーステナイトの体積分率の測定は、
X線測定法によった。強度は、引張試験の降伏応力で評
価した。
【0072】硫化物応力割れ性を調査する腐食試験は、
図1の (a)、(b) および(c) に示す厚さ2mm×幅10mm×
長さ75mmで中央に0.25Rのノッチ2を切った4点曲げ試
験片1をそれぞれ2個作製し、次いで、図2(a)に示す
ように試験片1を曲げ治具3によって、同図中の式で
表される応力が、1σy (σy:0.2%耐力) になるよう
に曲げ応力を負荷した状態で行った。このときの試験片
1の曲げ形状は、図2(b) に示すとおりである。
【0073】上記の腐食試験環境は5% NaCl +0.03at
m.H2S +30atm.CO2 とし、硫化物応力腐食割れ性は、25
℃で336 時間の浸漬後、試験片を取り出して脱スケール
した後、ノッチ部の試験片断面の500 倍の光学顕微鏡観
察によって割れの有無を調査する方法で評価した。
【0074】耐全面腐食性は、上記の脱スケールした後
の腐食減量から腐食速度をmm/年に換算して求める方法
で評価した。
【0075】これらの結果を、表2(1) 、表2(2) およ
び表2(3) に併せて示す。
【0076】表2から明らかなように、焼戻し温度が高
くなるほど残留オーステナイト量(体積分率)が増加
し、それにともなって腐食速度が低下している。
【0077】試験No.1、14、21(焼入れまま材)、およ
びNo.2、3、9、15、22(焼戻し温度が本発明の範囲
外)では、残留オーステナイト量が1%以下と低いため
に、腐食速度が高く、硫化物応力腐食割れも発生した。
No.4〜7、10〜13、16〜19、23〜27、29〜33の焼戻し温
度がAc1点を超え700 ℃未満のものでは、残留オーステ
ナイト量が2%以上であるために、腐食速度が低く、応
力腐食割れも発生しなかった。
【0078】850 ℃焼入れ材では、焼戻し時間が2時間
の方が低温側で残留オーステナイトの生成量が多く、耐
食性が良好であった。すなわち、例えば No.11では、同
じ焼戻し温度のNo.4よりも、残留オーステナイトの生成
量が多く、腐食速度も低い。
【0079】これらの腐食速度が低いものでは、硫化物
応力腐食割れも発生していない。
【0080】なお、No.8、20、28の700 ℃以上の焼戻し
温度で処理したものは、油井用材料として通常必要とさ
れる強度(降伏応力:80ksi 以上、1ksi=6.89MPa )
を下回るが、耐食性は良好であるので、このレベルの強
度が要求されない部材として使用できる。
【0081】図3は、試験No.1〜28の鋼について、腐食
速度と硫化物応力割れに及ぼす残留オーステナイト量の
影響を示す図である。図示するように、残留オーステナ
イト量が本発明で定める範囲の鋼では、割れが発生せ
ず、腐食速度も低いことがわかる。
【0082】本発明鋼の強度は表2に示す降伏応力の値
から、80ksi 以上で安定していることがわかる。
【0083】
【発明の効果】本発明鋼は、主としてマルテンサイト組
織からなる低C−Cr−Ni−Mo系ステンレス鋼において、
残留オーステナイトを適正な範囲で存在させることの特
徴として、強度安定性と、耐硫化物応力腐食割れ性およ
び耐全面腐食性で代表される耐食性とに優れたものであ
る。塩素イオン、炭酸ガス、硫化水素ガスが同時に存在
する苛酷な環境下でも十分満足しうる耐食性を備え、か
つ油井用材料として使用するに十分な強度が安定して得
られる鋼である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノッチ付き4点曲げ試験片の形状を示す図であ
る。
【図2】曲げ治具を用いた図1の試験片の応力付与状態
を説明する図である。
【図3】腐食速度と硫化物応力割れに及ぼす残留オース
テナイト量の影響の例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 邦夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満
    足するTiを含有し、かつ下記式および式を満足する
    組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不
    純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以
    下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2
    %以下であり、その組織中の残留オーステナイトが体積
    分率で2〜20%であり、残りは主としてマルテンサイト
    からなることを特徴とする強度安定性、耐硫化物応力腐
    食割れ性および耐全面腐食性に優れた油井用ステンレス
    鋼。 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  2. 【請求項2】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満
    足するTiを含有し、かつ下記式および式を満足する
    組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不
    純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以
    下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2
    %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、次いでAc1点を
    超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を施すことを特徴
    とする請求項1の油井用ステンレス鋼の製造方法。 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  3. 【請求項3】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜
    0.05%およびCe: 0.001〜0.05%の一方または両
    方、さらに下記式を満足するTiを含有し、かつ下記
    式および式を満足する組成を有し、残部はFeおよび不
    可避不純物からなり、不純物中のC、P、S、Nおよび
    Vがそれぞれ0.05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、
    0.05%以下および0.2 %以下であり、その組織中の残留
    オーステナイトが体積分率で2〜20%であり、残りは主
    としてマルテンサイトからなることを特徴とする強度安
    定性、耐硫化物応力腐食割れ性および耐全面腐食性に優
    れた油井用ステンレス鋼。 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  4. 【請求項4】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜
    0.05%およびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さ
    らに下記式を満足するTiを含有し、かつ下記式およ
    び式を満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不
    純物からなり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそ
    れぞれ0.05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%
    以下および0.2 %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、
    次いでAc1点を超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を
    施すことを特徴とする請求項3の油井用ステンレス鋼の
    製造方法。 4 (%C) ≦%Ti≦〔{−0.01/ (%C+0.015)}+0.75〕・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  5. 【請求項5】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満
    足するZrを含有し、かつ下記式および式を満足する
    組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不
    純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以
    下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2
    %以下であり、その組織中の残留オーステナイトが体積
    分率で2〜20%であり、残りは主としてマルテンサイト
    からなることを特徴とする強度安定性、耐硫化物応力腐
    食割れ性および耐全面腐食性に優れた油井用ステンレス
    鋼。 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  6. 【請求項6】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %、さらに下記式を満
    足するZrを含有し、かつ下記式および式を満足する
    組成を有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不
    純物中のC、P、S、NおよびVがそれぞれ0.05%以
    下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%以下および0.2
    %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、次いでAc1点を
    超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を施すことを特徴
    とする請求項5の油井用ステンレス鋼の製造方法。 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  7. 【請求項7】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜
    0.05%およびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さ
    らに下記式を満足するZrを含有し、かつ下記式およ
    び式を満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不
    純物からなり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそ
    れぞれ0.05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%
    以下および0.2 %以下であり、その組織中の残留オース
    テナイトが体積分率で2〜20%であり、残りは主として
    マルテンサイトからなることを特徴とする強度安定性、
    耐硫化物応力腐食割れ性および耐全面腐食性に優れた油
    井用ステンレス鋼。 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
  8. 【請求項8】重量%で、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以
    下、Cr:10.0〜14.0%、Mo: 0.5〜7.0 %、Ni: 4.0〜
    8.0 %およびAl: 0.001〜0.1 %ならびにMg: 0.001〜
    0.05%およびCe: 0.001〜0.05%の一方または両方、さ
    らに下記式を満足するZrを含有し、かつ下記式およ
    び式を満足する組成を有し、残部はFeおよび不可避不
    純物からなり、不純物中のC、P、S、NおよびVがそ
    れぞれ0.05%以下、0.04%以下、0.005 %以下、0.05%
    以下および0.2 %以下である鋼に、焼入れ処理を施し、
    次いでAc1点を超え700 ℃未満の温度域で焼戻し処理を
    施すことを特徴とする請求項7の油井用ステンレス鋼の
    製造方法。 10 (%C) ≦%Zr≦2.0 %・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (%Cr) +36 (%Mo) +14 (%Si) −28 (%Ni) ≦455 ・・・・・・ 21 (%Cr) +25 (%Mo) +17 (%Si) +35 (%Ni) ≦731 ・・・・・・
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