JP5669339B2 - 高強度浸炭部品の製造方法 - Google Patents

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この発明は、はだ焼鋼から浸炭焼入・焼戻し処理して形成する浸炭部品の製造、例えば、自動車、建設機械、工作機械などのギア、CVJやシャフトなどのはだ焼鋼から浸炭処理してなる浸炭部品の製造に関する。
近年、自動車用部品の高出力・小型軽量化に伴い、ギア、等速ジョイント部品やシャフトなどの自動車用部品では、はだ焼鋼にも一層の高強度化、長寿命化が要求されている。そこで、JIS規格のSNCMなどのニッケルクロムモリブデン鋼のように合金元素を添加して高強度化を図っている。しかし、このように合金元素を添加して高強度化を図った場合、素材コストが高くなり、冷間加工性が劣るため冷間鍛造ができず、さらに熱間鍛造後そのままでは切削の際に切削バイト寿命が短くなるため、焼鈍などの熱処理が必要となる問題がある。
一方、結晶粒微細化により鋼の強度が向上することが知られているが、この方法は合金元素の添加なしに高強度化でき、素材の鍛造性や切削性といった加工性を低下させず、延性や靭性を損なわず高強度化できることから極めて有効な方法であると言える。
結晶粒を微細化させる方法として加工熱処理による方法があるが、この場合、成形加工と熱処理を組み合わせるため、成形加工の難しいものには適用できないなど、部品形状が限定され、自動車のギア、CVJやシャフトなどには適用が難しいという問題がある。
これらの問題点を解消するために、浸炭後に繰返し焼入れを行なうことにより、積極的に旧オーステナイト粒を微細化して強度を向上させることができる高強度はだ焼鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法では、浸炭前のはだ焼鋼をJIS G0551で規定されている粒度番号No.11以上まで微細化したマルテンサイト組織とする必要があり、コストが高いという問題があり、さらにTiCのみによって結晶粒を微細化しているため、焼入れを繰り返して結晶粒が微細化し過ぎると混粒を抑制するのが困難になり、強度の低下を招く。
さらに、浸炭硬化層にではオーステナイト層の微細化とその粒界強化を達成し、中心部では基地の強化とオーステナイト粒の微細化により降伏点強度を向上して浸炭部品を高強度化する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、結晶粒界をピン止めする析出物が不足であり、上記同様に混粒の抑制が困難であり、また、浸炭焼入れ後、繰返し焼入れを行なうことによって旧オーステナイト粒径を微細化しているが、これらの方法では強度向上が十分とはいえないという問題がある。さらに、上記のいずれの先行技術も、繰返し焼入れ後の結晶粒径をより微細化するためには、浸炭前のミクロ組織を微細にしておく必要がある。
特開2003−34843号公報 特開平8−92690号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来の技術では結晶粒を微細化するためには、熱処理前組織の粗さを小さくする必要があるが、結晶粒が微細化しすぎると混粒し易く、強度が低下するという問題があった。そこで、本発明は、結晶粒の微細化および粗大化の抑制に不可欠な成分元素の最適量を含有させ、さらに浸炭焼入れ後の結晶粒が微細化されていない場合でも、容易に微細化することを可能とし、さらに結晶粒粗大化抑制効果のあるその他の元素を適正に添加し、加工性や疲労特性を低下することを防止して、衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法を提供し、主として自動車部品の小型軽量化および長寿命化を図ることである。
そこで、上記の課題を解決するための、本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.10〜0.45%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.10%以下、Cr:1.5〜3.0%、Ni:4.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:0.30%以下、Al:0.005〜0.05%、O:0.0030%以下、N:0.010〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することからなる衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法である。
請求項2の発明では、質量%で、C:0.10〜0.45%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.10%以下、Cr:1.5〜3.0%、Ni:4.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:0.30%以下、Al:0.005〜0.05%、O:0.0030%以下、N:0.010〜0.030%を含有し、さらに、V:0.02〜0.50%、Nb:0.02〜0.50%から選択の1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することからなる衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法である。
請求項3の発明では、請求項1または2の手段の鋼成分において、N:0.010〜0.030%に代えてN:0.010%未満を含有し、さら質量%で、Ti:0.050%未満、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することからなる衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法である。
請求項4の発明では、浸炭異常層を除去する部位はギアの歯元やスプライン軸の底部あるいは段付き部品の応力集中部であることからなる請求項1〜3のいずれか1項の手段の衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法である。
上記の方法における鋼材の成分を限定した理由を以下に説明する。なお、%は質量%で示す。
C:0.10〜0.45%、望ましくは0.10〜0.25%
Cは機械構造用部品として鋼材の浸炭処理後の芯部強度を確保するために必要な元素である。しかし、Cが0.10%未満ではその効果は十分に得られず、0.45%を超えると加工性を低下しかつ靱性を低下させる。そこでCは0.10〜0.45%とし、望ましくは0.10〜0.25%とする。
Si:0.05〜2.0%、望ましくは0.05〜1.0%
Siは脱酸に必要な元素である。しかし、Siが0.05%未満では脱酸が十分に得られず、2.00%を超えると加工性を低下させる。そこでSiは0.05〜2.0%とし、望ましくは0.05〜1.0%とする。
Mn:0.1〜2.0%
Mnは焼入性を確保するために必要な元素である。しかし、Mnが0.1%未満では焼入性の効果は十分に得られず、2.0%を超えると加工性を低下させる。そこでMnは0.1〜2.0%とする。
P:≦0.030%
Pはスクラップから含有される不可避な元素である。しかし、Pはオーステナイト粒界に偏析して衝撃強度や曲げ強度などの靱性を低下する。そこでPは0.030%以下とする。
S:≦0.10%
Sは被削性を向上させる元素である。しかし、非金属介在物であるMnSを生成して横方向の靱性および疲労強度を低下する。そこでSは0.10%以下とする。
Cr:1.5〜3.0%、望ましくは、1.8〜2.5%、さらに望ましくは2.0〜2.5%
Crは結晶粒微細化ならびに粗大化抑制に不可欠な元素である。この効果を得るためにはCrは1.5%以上必要である。一方、Crは過剰に添加すると加工性を損ない、また、浸炭性を阻害するので3.0%以下とする。そこで、Crは1.5〜3.0%、望ましくは、1.8〜2.5%、さらに望ましくは、2.0〜2.5%とする。なお、Crを1.5%以上添加した鋼を浸炭後に繰返し焼入れすると、まず、繰返し焼入れの昇温中に、浸炭時に鋼中に過飽和に固溶したCが炭化物形成元素であるCrの添加効果により(Fe、Cr)系炭化物として多量に微細析出する。これらの微細炭化物がオーステナイト核形成サイトの増加とオーステナイト粒成長の抑制効果をもたらして、結晶粒が顕著に微細化する。また、このCr添加の効果により、たとえば熱間鍛造後の組織の粗さに起因して浸炭焼入れ後の結晶粒が微細でない場合にも、1回繰返し焼入れで大幅に結晶粒を微細化することが可能である。
Ni:≦4.0%
Niは焼入性および靱性を向上させる元素である。しかし、Niは4.0%を超えて含有すると圧延あるいは鍛造後にベイナイトやマルテンサイト組織となり加工性を著しく低下させ、かつ、コストアップとなる。そこでNiは4.0%以下とする。
Mo:≦2.0%
Moは焼入性および靱性を向上させる元素である。しかし、Moは2.0%を超えて含有すると加工性を低下させる。そこで、Moは2.0%以下とする。
Cu:≦0.30%
Cuはスクラップから含有される不可避な元素であるが、時効性を有し強度を上昇させる。しかし、Cuは0.30%を超えると熱間加工性を低下する。そこで、Cuは0.30%以下とする。
Al:0.005〜0.050%、望ましくは0.015〜0.050%
Alは脱酸材として使用される元素であり、また後述のようにNと結合してAlNとして析出し、結晶粒粗大化抑制効果をもたらす。この効果を得るため、Alは0.005%以上を添加する。一方、Alは0.050%を超えるとアルミナ系酸化物が増加し、疲労特性および加工性を低下する。そこで、Alは0.005〜0.050%とし、望ましくは0.015〜0.050%とする。
O:≦0.0030%、望ましくは≦0.0020%
Oは不可避的に含有される元素である。しかし、Oが0.0030%以上含有されると酸化物の増加による加工性や疲労強度の低下を招く。そこでOは0.0030%以下とし、望ましくは0.0020%以下とする。
N:0.010〜0.030%、望ましくは0.010〜0.025%、
Nは鋼中でAlNやNb窒化物として微細析出し、結晶粒粗大化防止効果を有する。しかし、Nが0.010%未満ではその効果は小さく、0.030%を超えると窒化物が増加し、疲労強度や加工性が低下する。そこで、請求鋼1および請求鋼2の発明では、Nは0.010〜0.030%、望ましくは0.010〜0.025%とする。
N:0.010%未満、望ましくは0.005%以下
Bを含有する鋼材では、Nが0.010%以上含有されると、化合物のBNが生成して固溶Bが減少し、焼入性の向上効果が阻害される。そこで、Bを含有する請求項3の発明では、Nは0.010%、望ましくは0.005%以下とする。
V:0.02〜0.50%、望ましくは0.05〜0.35%
Vは炭化物を形成しTi同様にオーステナイト結晶粒度の粗大化を抑制する効果を有する。特に鋼中に微細に分散したナノオーダーのVCが結晶粒の成長を抑制する。Vが0.02%未満ではその効果が得られず、0.50%を超えると析出物の量が過剰となり加工性を低下する。そこで、Vは0.02〜0.50%、望ましくは0.05〜0.35%とする。
Nb:0.02〜0.50%、望ましくは0.02〜0.20%
Nbは炭化物あるいは窒化物を形成し、Ti同様にオーステナイト結晶粒度の粗大化を抑制する効果を有する。特に鋼中に微細に分散したナノオーダーのNbCが結晶粒の成長を抑制する。Nbが0.02%未満ではその効果が得られず、0.50%を超えると析出物の量が過剰となり加工性を低下する。そこで、NbはNb:0.02〜0.50%、望ましくは0.02〜0.20%とする。
Ti:0.050%未満
請求項3の発明のようにBを添加する鋼材では、前述した化合物BNの生成にともなう固溶Bの減少によって焼入性が低下することを避けるため、Nを0.010%未満に規制することに加えて、Bよりも優先的にNと化合しやすいTiを添加するとよい。そこで、請求項3の発明では、Tiを0.050%未満添加する。
B:0.0010〜0.0050%
Bは極少量の含有によって鋼の焼入性を著しく向上させる元素で選択的に含有される。しかし、0.0010%未満では焼入性の向上効果が小さく、0.0050%を超えると強度を低下する。そこで、Bは0.0010〜0.0050%とする。
1回以上の繰返し焼入れについて
本願発明の方法における工程で、繰返し焼入れする点について説明する。本発明は結晶粒の微細化の手法として浸炭後に繰返し焼入れする手法を用いる。この手法の繰返し焼入れは1回の繰返し焼入れでも、十分な結晶粒微細化効果が得られる。しかし、2回ないし3回の繰返し焼入れを行うと、さらに結晶粒が微細化する。それ以上の熱処理を行っても結晶粒の微細化効果は小さく、また混粒が発生して強度を低下させる問題がある。なお、浸炭後の繰返し焼入れの方法としては、熱処理炉で加熱後に焼入れする「ズブ焼入れ」で十分な結晶粒微細化効果が得られる。また、高周波加熱装置を用いて短時間加熱後に焼入れする方法を利用しても良い。焼入れ方法としては、芯部まで焼きが入るものであれば良く、油焼入れ、水焼入れ、スプレー冷却、加圧ガス冷却等を利用するものとする。
浸炭異常層の除去について
ガス浸炭処理を行う場合、浸炭雰囲気中の酸素が鋼材表面から侵入し、オーステナイト粒界近傍のSi、Mn、Crと結びついて粒界に沿って、もしくは、近傍に酸化物を形成する。これによって合金元素の不足した部分の焼入性が低下し、焼入れ時にマルテンサイト化せず、トルースタイトやベイナイトが生成する。このような領域を総称して浸炭異常層と呼称する。特に結晶粒界に沿って生成した異常層は粒界酸化層と呼ばれ、表面欠陥として作用する。この粒界酸化層の深さが深いほど強度が低下することが知られている。繰返し焼入れによって結晶粒界を微細化しても、その前の浸炭時に形成した粒界酸化層が、その結晶粒径単位以上に深い場合は、高強度化効果が十分に得られない。そこで、ガス浸炭を行う場合は、浸炭部品の高強度化のために、研削などの手法により浸炭異常層の除去を行うものとする。なお、真空浸炭を適用した場合に、表面に浸炭異常層などの欠陥が形成されない場合は、特に上述の処置を行う必要は無い。
結晶粒の微細化および粗大化の抑制に不可欠な成分元素の最適量を含有させ、さらに繰り返し焼入れにより結晶粒を微細化し、さらに結晶粒の粗大化を抑制し、加工性や疲労特性を低下することを防止して、衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品として自動車、建設機械、工作機械などのギアやシャフトなどの機械部品の小型軽量化および長寿命化を低コストで可能とするなど、本発明は従来にない優れた効果を奏するものである。
本発明を実施するための最良の形態について、表を参照して説明する。先ず、表1に示す本発明の実施例のNo.1〜5、No.7〜10、No.12と比較例のNo.13〜23の化学成分を含有するそれぞれの鋼を、100kg真空誘導溶解炉(VIM)で溶製し、インゴットに鋳造した。なお、表1において網かけで示す比較例のCrの含有量は、本願の発明の範囲を外れるものである。これらの実施例および比較例の鋼材において、Al、Nb、V、Tiなどの元素を鋼中にいったん固溶させるために、1250℃に加熱して5時間保持した後、φ65mmに鍛伸した。
Figure 0005669339
上記のφ65mmに鍛伸した実施例および比較例の鋼材に対し、次のa.とb.の2種の処理をそれぞれ行った。すなわち、a.焼ならし処理として、鋼材を900℃で3時間保持して焼ならした後に空冷した。また、b.熱間鍛造および焼鈍処理を想定した処理として、鋼材を1200℃に加熱して1時間保持した後、700℃まで冷却して1時間保持した後、空冷する焼鈍を行った。次いで、これらのa.とb.で処理した実施例および比較例の鋼材から、それぞれ2mm10RCノッチのシャルピー衝撃試験片および2mmVノッチの静曲げ試験片に粗加工した。これらの各試験片を930℃に加熱して0.5時間保持して予熱し、ガス浸炭を3時間行い、2.5時間の拡散処理後、830℃で0.5時間保持し、次いで60℃の油に焼入れを行った。
次いで、さらに繰り返し焼入れとして、上記の試験片を850℃に加熱して30分保持した後、60℃の油に焼入れする処理を1回行った後、および850℃に加熱して30分保持した後、60℃の油に焼入れする処理を3回繰返して行った後、それぞれの試験片を180℃に加熱して1.5時間保持する焼戻しを行って、繰返し焼入れ処理を行った。さらに、これらをシャルピー試験片および静曲げ試験片の仕上げ加工として浸炭異常層を除去した上で、結晶粒径、シャルピー衝撃値比および静曲げ強度比を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 0005669339
表2の区分における、a.900℃加熱空冷材は上記のa.の処理による焼ならし材であり、b.1200℃加熱後焼鈍材は上記のb.の処理による焼鈍材を示す。表2において、下線部で示したものは結晶粒の微細化効果が小さいものであり、網かけ部で示したものは混粒を有するものである。各実施例および比較例の衝撃値比と静曲げ強度比の値は、それぞれ発明例1の鋼種の浸炭焼入れままの衝撃値と静曲げ強度の値をそれぞれ1.00とし、この値との比較の値で示している。
表2に見られるように、比較例では、a.の900℃加熱空冷材も、b.の1200℃加熱後焼鈍材も、No.13〜15とNo.19〜20では、結晶粒の微細化効果は繰返し焼入れ1回のものも3回のものも、殆ど見られない。一方、No.16〜18とNo.21〜23では、結晶粒の微細化効果は繰返し焼入れ1回のものも3回のものも見られるが、繰返し焼入れ3回のものは混粒が発生している。これに対して、本発明の実施例のものでは、a.の処理材、b.の処理材共に、繰返し焼入れ1回のものも3回のものも結晶粒の微細化効果を有し、かつ混粒は見られなかった。さらに衝撃値比および静曲げ強度比共に、比較例では、繰返し焼入れ1回および3回共に浸炭焼入れままに比して効果が小さい、もしくは効果は殆どみられない。これに対して、本発明の実施例のものでは、衝撃値比は、繰返し焼入れ1回のもので浸炭焼入れままの略1.5倍に向上し、繰返し焼入れ3回で浸炭焼入れままの略2倍以上に向上しており、さらに静曲げ強度比は、繰返し焼入れ1回で浸炭焼入れままの略15%以上に向上し、繰返し焼入れ3回で浸炭焼入れままの略30%以上に向上していることがわかる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.10〜0.45%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.10%以下、Cr:1.5〜3.0%、Ni:4.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:0.30%以下、Al:0.005〜0.05%、O:0.0030%以下、N:0.010〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することを特徴とする衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法。
  2. 質量%で、C:0.10〜0.45%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.10%以下、Cr:1.5〜3.0%、Ni:4.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:0.30%以下、Al:0.005〜0.05%、O:0.0030%以下、N:0.010〜0.030%を含有し、さらに、V:0.02〜0.50%、Nb:0.02〜0.50%から選択の1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することを特徴とする衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の鋼成分において、N:0.010〜0.030%に代えてN:0.010%未満を含有し、質量%で、Ti:0.050%未満、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼材料を用い、機械加工もしくは鍛造によって部品形状に成形した後、浸炭焼入れを行い、その後に1回以上の繰返し焼入れを行って結晶粒径を5.4μm以下でかつ混粒の見られないものとし、その後、これを焼戻し、その後に浸炭異常層を除去することにより浸炭部品を製造することを特徴とする衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法。
  4. 浸炭異常層を除去する部位はギアの歯元やスプライン軸の底部あるいは段付き部品の応力集中部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃強度および曲げ強度に優れた高強度浸炭部品の製造方法。
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