JP2003137652A - 酸化物セラミックス蓄冷材とその製造方法 - Google Patents
酸化物セラミックス蓄冷材とその製造方法Info
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Abstract
Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb及びLuから
選択される1種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X
≦1.5)で表せられ、焼結助剤としてCaやMg等のアルカリ
土類元素を4〜1000重量ppm含有する希土類アルミニウム
酸化物を球状に顆粒化させ、その顆粒を多結晶焼結体と
して、希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材と
する。その蓄冷材の顆粒内ではペロブスカイト相のRAlO
3が主組織で、ペロブスカイト相の組織内にアルミナ、
希土類酸化物あるいは希土類−アルミニウムガーネット
相が均一に分散している。 【効果】 10K以下の極低温度領域で大きな熱容量を有
し、また冷凍機運転中に顆粒が破壊されない。
Description
(RはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb
及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、X
は、0.3≦X≦1.5)で表せられ、焼結助剤としてアルカリ
土類元素を含有する、希土類アルミニウム酸化物セラミ
ックス蓄冷材に関する。
の冷却には、液体ヘリウムが不可欠で、ヘリウムガスを
液化させるのに膨大な圧縮仕事が必要であり、そのため
大型な冷凍機が必要となる。しかしリニアモーターカー
やMRI(磁気共鳴診断装置)などの超伝導現象を利用した
小型装置に上述のような大型冷凍機を使用することは難
しい。そのため液体ヘリウム温度(4.2K)を発生可能とす
る小型で高性能の冷凍機の開発が不可欠となった。
は、蓄冷器を構成する充填物質である蓄冷材に大きく依
存する。そして蓄冷器を通過するヘリウム冷媒に対し
て、十分に大きな熱容量をもち、熱交換効率が高いこと
が、蓄冷材として必要条件とされる。従来から使用され
ているPbなどの金属蓄冷材では、熱容量が10K以下の低
温で急激に低下するため、10K以下での冷却効率が著し
く低下する。そこで、より液体ヘリウム温度(4.2K)に近
い極低温度領域において大きな熱容量を有する蓄冷材が
開発されている。この蓄冷材は例えば、HoCu2やErNiな
どの希土類金属間化合物で形成され20〜7K付近までの極
低温度領域において、大きな熱容量を有するが、7K未満
での熱容量は小さく、4.2K付近の極低温度領域では冷凍
能力が不十分であった。
の極低温度領域で高い熱容量を有するGdAlO3(GAP)蓄冷
材を提案した(特願2000-175128号)。この酸化物セラミ
ックス蓄冷材を蓄冷器に充填することによって、4.2K以
下の極低温度領域で高い冷凍能力が得られる。しかしな
がらGdAlO3は難焼結性であり、緻密で平均粒径が小さく
強度の高い焼結体を作製するとの課題は完全には解決さ
れていない。
小さな希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材
と、その製造方法とを提供することにある。
3(RはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb
及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、
Xは、0.3≦X≦1.5、以下同様)で表せられ、焼結助剤
としてアルカリ土類元素を合計で4〜1000重量ppm、好ま
しくは5〜1000重量ppm含有する、希土類アルミニウム酸
化物セラミックスにある。焼結助剤の添加量は、より好
ましくは50〜300重量ppmとし、最も好ましくは、50〜20
0重量ppmとする。アルカリ土類元素は例えばMg,Ca,Sr,
Baとし、特にMgとCaとが好ましい。希土類元素は、好ま
しくはGdからLuまでの重希土類元素とする。
スは、ペロブスカイト相のRAlO3組織内に、アルミナ、
希土類酸化物あるいは希土類−アルミニウムガーネット
相が分散したものであることが好ましい。希土類アルミ
ニウム酸化物セラミックスは好ましくは顆粒状とし、顆
粒の相対密度は98%以上が好ましい。より好ましくは99
%以上とし、理論密度に近づけることが好ましい。顆粒
の平均結晶粒径は20μm以下が好ましく、より好ましく
は10μm以下で1μm以上とする。また顆粒は、10K以下の
極低温度領域において高い熱容量を有することが好まし
い。
ミックス蓄冷材の製造方法では、一般式RxAl2-xO3の粉
末又はその原料粉末に、アルカリ土類元素を合計量で4
〜1000重量ppm含有させた後に顆粒状に造粒し、1500〜1
700℃で1〜10時間焼成して、相対密度が98%以上、平均
結晶粒径が20μm以下の蓄冷材とする。
としてアルカリ土類元素を合計で4〜1000重量ppm、好ま
しくは5〜1000重量ppm含有した希土類アルミニウム酸化
物セラミックスは、10K以下の極低温度領域に関して、
焼結助剤を添加していないRxAl2-xO3希土類アルミニウ
ム酸化物セラミックスと同等の大きな熱容量を有し、し
かも平均結晶粒径が20μm以下でも充分に緻密化するこ
とができる。そして焼結助剤を添加していないRxAl2-xO
3希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材では、
ヘリウムの液化サイクルを500時間以上経験すると顆粒
の破壊が見られたが、RxAl2 -xO3に焼結助剤としてアル
カリ土類元素を4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重
量ppm含有した希土類アルミニウム酸化物蓄冷材は、ヘ
リウム液化サイクルを連続2000時間継続した時点におい
ても、顆粒の破壊は見られない。
ミックス蓄冷材のXをX>1.5にすると、ペロブスカイト
相(RAlO3相)よりもモノクリニック相(R4Al2O9相)と希土
類酸化物が支配的になるため、ペロブスカイト相(RAlO3
相)による比熱特性が低下し、X<0.3にすると過剰のア
ルミナが形成されRAlO3の比熱特性が低下する。
ミックス蓄冷材の製造方法としては、顆粒を造粒する原
料粉末を製造するために、例えば市販の希土類酸化物等
とαアルミナ等のアルミナを目的組成に調製し、焼結助
剤としてCa,Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類元素を含む化合
物を添加し、ボールミル等の混合粉砕機を用いて混合す
る。アルカリ土類元素は焼結前の成形時に存在すればよ
く、好ましくはないが前記の混合後に加えても良い。ア
ルカリ土類元素を含む化合物は例えばCaを含む化合物を
添加する場合、CaCl2,Ca(OH)2,Ca(CH3COO)2,CaO,CaC
O3、ステアリン酸カルシウム等する。尚、顆粒を製造す
る際には、原料粉末は混合粉のまま利用しても、あるい
は混合粉末を800〜1300℃程度で仮焼した希土類アルミ
ニウム酸化物の粉末を利用してもよい。しかし添加した
アルカリ土類元素の化合物が成形段階で分離するのを防
ぐため、混合粉末をいったん仮焼して使用した方が好ま
しい。顆粒の原料粉末の調製は、均一性の観点から湿式
合成で調製しても良く、例えば、特開平10-101333号記
載の重炭酸アンモニウムを沈殿剤として使用する方法
や、特開平2-92817号記載の尿素法等を用いても良い。
と、種々の方法で顆粒を製造でき、例えば転動造粒法、
押し出し法と転動造粒方との組み合せ、流動造粒法、噴
霧乾燥法、型押し法等を用いればよく、球状に成形する
ことが好ましい。前記で作製した顆粒の焼成雰囲気は、
真空(10-3torr以下)又はアルゴンや窒素などの不活性ガ
ス中でもよいが、大気焼成で十分である。焼成温度は15
00〜1700℃、焼成時間は1〜10時間とする。
度は98%以上が好ましく、より好ましくは99%以上と
し、理論密度に近づけることが好ましい。相対密度が98
%未満では、多数の気孔が存在するため、冷凍機稼動中
に生じるHeガスの往復運動による振動等に対して、耐久
性が著しく低下する。また平均結晶粒径は20μm以下が
好ましく、より好ましくは10μm以下で1μm以上とし、
顆粒の平均結晶粒径が20μmを超えると、冷凍機稼動中
に生じるHeガスの往復運動による振動等に対して耐久性
が低下する。さらに顆粒の平均粒径は例えば0.1〜2mm程
度とする。
剤とし、希土類アルミニウム酸化物セラミックスを、緻
密にかつ結晶の粒成長を抑制しながら焼成できるので、
冷凍機を長時間稼動させても、蓄冷材顆粒の破壊が生じ
ない。このため、冷凍機のシールの損傷などの弊害がな
い。さらに希土類アルミニウム酸化物セラミックスは一
般に10K以下での熱容量が大きく、冷凍機の冷却効率を
向上できる。
に限定されるものではない。尚、蓄冷材の蓄冷器への充
填は充填圧100KPaとした。平均アスペクト比は、焼結前
の顆粒を顕微鏡撮影し、長軸と短軸の長さの比を画像認
識装置で測定して求めた。顆粒の破壊状態は蓄冷器から
回収した蓄冷材を目視で検査し、破壊されている顆粒の
割合から求めた。
2m2/g)72.5gと酸化アルミニウムAl2O3(α−アルミナ)
(比表面積:3.1m2/g)20.4gをボールミルに入れ、エタノ
ールを溶媒として24時間混合した。得られたスラリーを
乾燥させて混合粉末とし、その後アルミナルツボに入れ
て大気雰囲気で1250℃、3時間仮焼した。得られた仮焼
粉をX線回折で測定したところ、GdAlO3のみのピークし
か認められなかった。また比表面積は3.0m2/gであっ
た。
円盤状に成形した。この成形体を200MPa圧力下で静水圧
プレスした後、大気雰囲気下1650℃で6時間常圧焼結を
行なった。尚、昇温速度は300℃/hとする。
ス法により理論密度の99%であり、平均結晶粒径は以下
の式から算出すると約20μmであった。 d=1.56C/(MN) (d:平均粒径、C:SEM等の高分解能画像で任意に引いた
線の長さ、N:任意に引いた線上の結晶粒の数、M:画像
の倍率M)
図1に示した。また図1にはこれ以外にDyAlO3焼結体の
熱容量測定結果を示し、他に参考として従来の蓄冷材で
あるHoCu2の熱容量特性を示す。図1からGdAlO3やDyAlO
3焼結体は、従来の蓄冷材であるHoCu2の熱容量と比較し
て、極低温度領域で高い熱容量を有していることが判
る。
た。その際、焼結助剤としてCaOあるいはMgOを24時間混
合する前に添加した。仮焼条件は1250℃×3時間であ
る。大気雰囲気下1650℃で6時間常圧焼結を行なった場
合の、焼結助剤の添加量と焼結体の平均粒径との関係を
図2に、焼結助剤を一定にした際の焼成温度と焼結体の
相対密度との関係を図3に、焼結助剤を一定にした際の
焼成温度と焼結体の平均粒径との関係を図4に示す。
尚、それぞれの図には参考として、焼結助剤を添加しな
いGdAlO3焼結体の焼成温度に対する相対密度及び結晶体
の平均粒径を示す。これらの結果から、CaまたはMgを添
加することによって、粒成長抑制効果と焼結促進効果を
もたらすことが判る。一般的にセラミックスの強度は気
孔率や結晶粒径に依存するため、緻密で結晶粒径が小さ
いセラミックスほど高強度となる。そのため焼結助剤で
あるCaまたはMgを添加することによって、緻密で結晶粒
径を小さくしたGdAlO3焼結体は、高強度となる。したが
って焼結助剤の添加量は4〜1000重量ppmとし、好ましく
は5〜1000重量ppmとする。
で、焼結助剤を添加した場合と添加していない場合以外
は、試験例と同様の焼結体を作製し、その相対密度と平
均結晶粒径を測定し、その結果を図5及び図6に示す。
図5及び図6から、焼結助剤を添加していないGdxAl2-x
O3は、組成因子Xの値が1を離れるにしたがって、相対
密度が低下し、平均結晶粒径は増加する傾向が見られ
る。また焼結助剤を添加していないGdxAl2-xO3の組成因
子Xの値が、X<0.3あるいはX>1.5では、相対密度はさら
に低下し、平均結晶粒径はさらに大きくなることが判
る。一方、焼結助剤を添加すると、GdxAl2-xO3の組成因
子Xの値が0.3≦X≦1.5の広い範囲で、X=1とほぼ同じ相
対密度と平均結晶粒径であった。CaやMgを添加すること
によって、アルミナ、希土類酸化物あるいは希土類−ア
ルミニウムガーネット相が共存するにもかかわらず、Gd
AlO3を主相とする焼結体は緻密化し、結晶粒径は小さく
なり、高強度となる。この結果から、蓄冷材として有用
なセラミックスとすることができた。尚、焼結助剤の添
加の有無による、GdxAl2-xO3の相対密度や平均粒径のX
値への依存性は、希土類元素GdをDyやHo等の他の希土類
元素に変更した場合でも、同様であった。これは、ペロ
ブスカイトの主組織内に、アルミナや希土類酸化物,ガ
ーネットなどの他の組織が分相した場合の焼結性に関す
ることであり、焼結助剤が同じで、アルミニウムと希土
類の酸化物セラミックスであれば、希土類元素の種類に
は基本的に依存しない現象だからである。
例と同様に空気中1650℃×6時間の焼成条件で焼結体を
作製し、4K付近の熱容量のピーク値を測定し、その結果
を図7に示した。図7からGdxAl2-xO3の組成因子Xの値
が0.3≦X≦1.5の範囲で従来の金属間化合物よりも大き
な熱容量を有しており、また焼結助剤の添加によって熱
容量に大きな変化は見られない。なお焼結助剤が熱容量
に影響しないのは、GdxAl2 -xO3に限ることではなく、Gd
を他の希土類元素に代えても同様であった。
GdAlO3(Ca-doped GdAlO3)粉体(仮焼後で焼成前)を転動
造粒法により、球状に成形し、得られた顆粒を異なる2
種類のナイロンメッシュ(Aメッシュ(目開き597μm)とB
メッシュ(目開き435μm))によって篩い分けを行なう。
篩い分けをした顆粒を約25°に傾けた鉄板(鏡面に研磨
したもの)上に転がし、堆積せずに転がり落ちた顆粒を
回収し、これにより形状分級を行なった。顆粒100個の
平均粒径及び平均アスペクト比は0.5mm、1.1であった。
尚、Ca-doped GdAlO3顆粒の平均粒径及び平均アスペク
ト比は、ビデオハイスコープシステムを用いて撮影した
画像から測定した。
製のルツボの中に充填し、この状態で焼成炉内に設置し
て、大気雰囲気で焼成した。焼成温度を1500℃、焼成時
間を6時間にすることによって、目的とする顆粒の平均
粒径0.4mmのCa-doped GdAlO 3蓄冷材を得た。Ca-doped
GdAlO3蓄冷材顆粒の相対密度は、ピクノメーター法に
より理論密度の99.0%であった。平均結晶粒径は実施例
1と同じである。また真空中焼成により焼結体を作製し
た場合も、顆粒の性状に全く違いは認められなかった。
ナスラリーを加工槽内に装入し、そこにCa-doped GdAl
O3蓄冷材を入れ、回転バレル加工法による表面加工処理
を行って、研磨処理したCa-doped GdAlO3蓄冷材を得
た。加工時間を16時間にすることによって、顆粒の表面
粗さは1μmとなった。尚、表面粗さは走査型トンネル顕
微鏡(STM粗さ計)によって測定した。このようにして得
られたCa-doped GdAlO3蓄冷材を、ヘリウムの液化用の
GM冷凍機(ギフォード・マクマホン型の小型ヘリウム冷
凍機)の畜冷器に最密充填に近い充填率で充填した後、
熱容量25J/KのHeガスを3g/secの質量流量、16atmのガス
圧条件で、GM冷凍運転サイクルを連続500時間、1000時
間及び2000時間継続運転し、各時間における顆粒の破壊
状況を観察した。観察結果からCa-doped GdAlO3蓄冷材
は、2000時間継続して運転しても、全く問題はなかっ
た。研磨処理により、焼結後の顆粒の表面粗さを低下さ
せることが、摩耗粉の発生防止のために好ましい。
ウム酸化物セラミックスの顆粒を、成形・分級・焼成・
研磨し、以下の蓄冷材の試料を調製した。また調製条件
は特に指摘した点以外は、実施例4と同様である。尚、
試料番号は、実施例4を試料1として、続き順に示す。
(表1)、あるいはCa量やMg量を200重量ppmに固定して焼
成温度を変え(表2)、他は実施例4と同様の条件で、セ
ラミックス顆粒を作製した(試料2〜30)。X値は全て1で
ある。結晶粒径あるいは相対密度の違いによる顆粒の破
壊状況を、実施例4で用いたGM冷凍運転サイクル試験で
評価し、その結果を表1、表2に示す。尚、顆粒の破壊
が確認された時点で、GM冷凍運転サイクル試験は終了す
ることにした。以下問題なしは、破壊された顆粒が観察
されなかったことを示す。
含有したセラミックス顆粒の耐久性は、全く問題がな
い。一方、1650℃で焼成した焼結助剤を添加していない
セラミックス顆粒や、焼結助剤の添加量が1000重量ppm
を超えた顆粒は、連続運転1000時間継続した時点では問
題なかったが、連続運転2000時間継続した時点では、細
かく砕けた顆粒が見られた。それ以外の焼結助剤を添加
していないセラミックス顆粒は連続運転500時間継続し
た時点で、すでに細かく砕けた顆粒が見られた。Ca又は
Mgを5〜1000重量ppm含有したセラミックス顆粒が良好な
結果を得られた理由として、その他のセラミックス顆粒
よりも結晶粒径が小さく、かつ緻密だからである。尚、
希土類元素をGdからDyやHo等の他の希土類元素に変更し
た場合でも、同様の傾向が見られた。
させ、焼成条件以外は実施例4と同様の条件で、セラミ
ックス顆粒を作製した(試料31〜78)。GdxAl2-xO3のX値
の違いによる顆粒の破壊状況を、実施例4で用いたGM冷
凍運転サイクル試験で評価し、その結果を表3に示す。
結助剤を添加したセラミックス顆粒の耐久性は全く問題
がない。一方、焼結助剤を添加していないセラミックス
顆粒は、GdxAl2-xO3においてXの値が1を超えると極端
に耐久性が低下し、セラミックス顆粒の耐久性はXの値
に依存している。焼結助剤を添加したセラミックス顆粒
が良好な結果を得られた理由は、焼結助剤無添加のセラ
ミックス顆粒よりも結晶粒径が小さく、かつ緻密なため
である。尚、希土類元素をGdからDyやHo等の他の希土類
元素に変更した場合でも、同様の傾向が見られた。以上
の結果と図5〜図7を考慮すると、焼結助剤を添加した
希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材の組成
は、0.3≦X≦1.5が好ましい。
用いた際の、GdAlO3焼結体の平均結晶粒径や相対密度を
示す。製造条件は上記の実施例と基本的に同一で、市販
の酸化ガドリニウム(比表面積:5.2m2/g)と酸化アルミ
ニウム(α−アルミナ,比表面積:3.1m2/g)とを1:1
のモル比で調合し、これにSrCO3またはBaCO3の形態でSr
やBaを添加し、ボールミルで24時間混合した後に乾燥
し、大気中1250℃で3時間仮焼した。仮焼後のGdAlO3粉
体を平均粒径500μm,アスペクト比1.1程度の顆粒に造
粒し、SrやBaの添加量の範囲をGdAlO3焼結体の200〜600
重量ppmとし、1550〜1650℃で、大気中で6時間焼結し
た。SrやBaの添加量とGdAlO3の平均結晶粒径との関係
(焼結温度1650℃)を図8に示す。SrやBaの焼結体の平均
結晶粒径への影響は、CaやMgと同様で、焼結助剤無添加
の場合に比べて、GdAlO3焼結体での結晶粒子の成長を抑
制している。
の、焼成温度(焼結温度)と焼結体の相対密度との関係を
図9に示す。SrやBaではCa,Mgに比べて焼結体の相対密
度がやや低いが、焼結助剤無添加に比べると、焼結体は
著しく高密度化している。また焼結体の焼結温度と平均
結晶粒径との関係を図10に示すが、SrやBaはCaやMgと
ほぼ同様に、結晶粒子の成長を抑制している。
した顆粒(X値は1.0)を、実施例4と同様に研磨し、ヘリ
ウム液化用のGM冷凍機に充填し、2000時間連続運転後の
顆粒の破壊状況をチェックした。2000時間連続運転後で
も、摩耗粉や破壊された顆粒は見つからなかった。
結助剤として用いることができる。SrやBaを焼結助剤と
する場合、GdxAl2-xO3のX値は0.3以上1.5以下が好まし
く、焼結助剤の添加量は4〜1000重量ppmとし、好ましく
は5〜1000重量ppmとし、特に好ましくは50〜300ppm、最
も好ましくは50〜200重量ppmとする。
が、10K以下で大きな熱容量が得られることは、他の希
土類アルミニウム酸化物セラミックスでも同様である。
また他の希土類アルミニウム酸化物セラミックスでも、
4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重量ppmのアルカリ
土類元素の添加により、1500〜1700℃で1〜10時間の焼
成により、相対密度が98%以上(好ましくは99%以上)と
緻密で、結晶の平均粒子径が20μm以下(好ましくは1〜
10μm)と小さな、蓄冷材顆粒が得られることは同様で
ある。
冷材と従来の蓄冷材の熱容量特性を示す特性図
たGdAlO3焼結体の焼結助剤添加量と平均結晶粒径との関
係を示し特性図
度との関係を示す特性図
晶粒径との関係を示す特性図
と相対密度との関係を示す特性図
と平均結晶粒径との関係を示す特性図
の組成因子Xと4K付近での熱容量のピーク値との関係を
示す特性図
添加効果を示す特性図
効果を示す特性図
添加効果を示す特性図
Claims (6)
- 【請求項1】 一般式RxAl2-xO3(RはYを含むLa,Ce,Pr,N
d,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er, Tm,Yb及びLuから選択される1
種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5)で
表せられ、焼結助剤としてアルカリ土類元素を合計量で
4〜1000重量ppm含有する、希土類アルミニウム酸化物セ
ラミックスからなる酸化物セラミックス蓄冷材。 - 【請求項2】 前記希土類アルミニウム酸化物セラミッ
クスの顆粒からなることを特徴とする、請求項1の酸化
物セラミックス蓄冷材。 - 【請求項3】 前記顆粒が、ペロブスカイト相のRAlO3
組織内に、アルミナ、希土類酸化物あるいは希土類−ア
ルミニウムガーネット相が分散したものであることを特
徴とする、請求項2の酸化物セラミックス蓄冷材 - 【請求項4】 前記顆粒の相対密度が98%以上で、平均
結晶粒径が20μm以下であることを特徴とする、請求項2
または3の酸化物セラミックス蓄冷材。 - 【請求項5】 10K以下の極低温度領域用であることを
特徴とする、請求項1〜4のいずれかの酸化物セラミッ
クス蓄冷材。 - 【請求項6】 一般式RxAl2-xO3の粉末又はその原料粉
末に、アルカリ土類元素を合計量で4〜1000重量ppm含有
させた後に顆粒状に造粒し、1500〜1700℃で1〜10時間
焼成して、相対密度が98%以上、平均結晶粒径が20μm
以下の蓄冷材とする、希土類アルミニウム酸化物セラミ
ックス蓄冷材の製造方法。(ここにRはYを含むLa,Ce,Pr,
Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1
種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5であ
る。)
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