JP3990894B2 - 酸化物セラミックス蓄冷材とその製造方法 - Google Patents

酸化物セラミックス蓄冷材とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般式RxAl2-xO3 (RはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5)で表せられ、焼結助剤としてアルカリ土類元素を含有する、希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
超伝導磁石やセンサーなどの冷却には、液体ヘリウムが不可欠で、ヘリウムガスを液化させるのに膨大な圧縮仕事が必要であり、そのため大型な冷凍機が必要となる。しかしリニアモーターカーやMRI(磁気共鳴診断装置)などの超伝導現象を利用した小型装置に上述のような大型冷凍機を使用することは難しい。そのため液体ヘリウム温度(4.2K)を発生可能とする小型で高性能の冷凍機の開発が不可欠となった。
【0003】
小型冷凍機の冷却効率や最低到達温度などは、蓄冷器を構成する充填物質である蓄冷材に大きく依存する。そして蓄冷器を通過するヘリウム冷媒に対して、十分に大きな熱容量をもち、熱交換効率が高いことが、蓄冷材として必要条件とされる。従来から使用されているPbなどの金属蓄冷材では、熱容量が10K以下の低温で急激に低下するため、10K以下での冷却効率が著しく低下する。そこで、より液体ヘリウム温度(4.2K)に近い極低温度領域において大きな熱容量を有する蓄冷材が開発されている。この蓄冷材は例えば、HoCu2やErNiなどの希土類金属間化合物で形成され20〜7K付近までの極低温度領域において、大きな熱容量を有するが、7K未満での熱容量は小さく、4.2K付近の極低温度領域では冷凍能力が不十分であった。
【0004】
このようなことから発明者らは、4.2K付近の極低温度領域で高い熱容量を有するGdAlO3(GAP)蓄冷材を提案した(特願2000-175128号)。この酸化物セラミックス蓄冷材を蓄冷器に充填することによって、4.2K以下の極低温度領域で高い冷凍能力が得られる。しかしながらGdAlO3は難焼結性であり、緻密で平均粒径が小さく強度の高い焼結体を作製するとの課題は完全には解決されていない。
【0005】
【発明の課題】
本発明の課題は、緻密で平均結晶粒径が小さな希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材と、その製造方法とを提供することにある。
【0006】
【発明の構成】
この発明の蓄冷材は、一般式RxAl2-xO3(RはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5、以下同様)で表せられ、焼結助剤としてアルカリ土類元素を合計で4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重量ppm含有する、希土類アルミニウム酸化物セラミックスにある。焼結助剤の添加量は、より好ましくは50〜300重量ppmとし、最も好ましくは、50〜200重量ppmとする。アルカリ土類元素は例えばMg,Ca,Sr, Baとし、特にMgとCaとが好ましい。希土類元素は、好ましくはGdからLuまでの重希土類元素とする。
【0007】
前記希土類アルミニウム酸化物セラミックスは、ペロブスカイト相のRAlO3組織内に、アルミナ、希土類酸化物あるいは希土類−アルミニウムガーネット相が分散したものであることが好ましい。希土類アルミニウム酸化物セラミックスは顆粒状とし、顆粒の相対密度は98%以上とする。より好ましくは99%以上とし、理論密度に近づけることが好ましい。顆粒の平均結晶粒径は20 μ m 以下とし、より好ましくは10μm以下で1μm以上とする。また顆粒は、10K以下の極低温度領域において高い熱容量を有することが好ましい。
【0008】
この発明の希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材の製造方法では、一般式RxAl2-xO3の粉末又はその原料粉末に、アルカリ土類元素を合計量で4〜1000重量ppm含有させた後に顆粒状に造粒し、1500〜1700℃で1〜10時間焼成して、相対密度が98%以上、平均結晶粒径が20μm以下の蓄冷材とする。
【0009】
【発明の作用と効果】
一般式がRxAl2-xO3で、焼結助剤としてアルカリ土類元素を合計で4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重量ppm含有した希土類アルミニウム酸化物セラミックスは、10K以下の極低温度領域に関して、焼結助剤を添加していないRxAl2-xO3希土類アルミニウム酸化物セラミックスと同等の大きな熱容量を有し、しかも平均結晶粒径が20μm以下でも充分に緻密化することができる。そして焼結助剤を添加していないRxAl2-xO3希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材では、ヘリウムの液化サイクルを500時間以上経験すると顆粒の破壊が見られたが、RxAl2-xO3に焼結助剤としてアルカリ土類元素を4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重量ppm含有した希土類アルミニウム酸化物蓄冷材は、ヘリウム液化サイクルを連続2000時間継続した時点においても、顆粒の破壊は見られない。
【0010】
RxAl2-xO3希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材のXをX>1.5にすると、ペロブスカイト相(RAlO3相)よりもモノクリニック相(R4Al2O9相)と希土類酸化物が支配的になるため、ペロブスカイト相(RAlO3相)による比熱特性が低下し、X<0.3にすると過剰のアルミナが形成されRAlO3の比熱特性が低下する。
【0011】
RxAl2-xO3希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材の製造方法としては、顆粒を造粒する原料粉末を製造するために、例えば市販の希土類酸化物等とαアルミナ等のアルミナを目的組成に調製し、焼結助剤としてCa,Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類元素を含む化合物を添加し、ボールミル等の混合粉砕機を用いて混合する。アルカリ土類元素は焼結前の成形時に存在すればよく、好ましくはないが前記の混合後に加えても良い。アルカリ土類元素を含む化合物は例えばCaを含む化合物を添加する場合、CaCl2,Ca(OH)2,Ca(CH3COO)2,CaO,CaCO3、ステアリン酸カルシウム等する。尚、顆粒を製造する際には、原料粉末は混合粉のまま利用しても、あるいは混合粉末を800〜1300℃程度で仮焼した希土類アルミニウム酸化物の粉末を利用してもよい。しかし添加したアルカリ土類元素の化合物が成形段階で分離するのを防ぐため、混合粉末をいったん仮焼して使用した方が好ましい。顆粒の原料粉末の調製は、均一性の観点から湿式合成で調製しても良く、例えば、特開平10-101333号記載の重炭酸アンモニウムを沈殿剤として使用する方法や、特開平2-92817号記載の尿素法等を用いても良い。
【0012】
前記の方法で得られた原料粉末を用いると、種々の方法で顆粒を製造でき、例えば転動造粒法、押し出し法と転動造粒方との組み合せ、流動造粒法、噴霧乾燥法、型押し法等を用いればよく、球状に成形することが好ましい。前記で作製した顆粒の焼成雰囲気は、真空(10-3torr以下)又はアルゴンや窒素などの不活性ガス中でもよいが、大気焼成で十分である。焼成温度は1500〜1700℃、焼成時間は1〜10時間とする。
【0013】
焼成後の酸化物セラミックス顆粒の相対密度は98 %以上とし、より好ましくは99%以上とし、理論密度に近づけることが好ましい。相対密度が98%未満では、多数の気孔が存在するため、冷凍機稼動中に生じるHeガスの往復運動による振動等に対して、耐久性が著しく低下する。また平均結晶粒径は20 μ m 以下とし、より好ましくは10μm以下で1μm以上とし、顆粒の平均結晶粒径が20μmを超えると、冷凍機稼動中に生じるHeガスの往復運動による振動等に対して耐久性が低下する。さらに顆粒の平均粒径は例えば0.1〜2mm程度とする。
【0014】
この発明では、アルカリ土類元素を焼結助剤とし、希土類アルミニウム酸化物セラミックスを、緻密にかつ結晶の粒成長を抑制しながら焼成できるので、冷凍機を長時間稼動させても、蓄冷材顆粒の破壊が生じない。このため、冷凍機のシールの損傷などの弊害がない。さらに希土類アルミニウム酸化物セラミックスは一般に10K以下での熱容量が大きく、冷凍機の冷却効率を向上できる。
【0015】
【実施例】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、蓄冷材の蓄冷器への充填は充填圧100KPaとした。平均アスペクト比は、焼結前の顆粒を顕微鏡撮影し、長軸と短軸の長さの比を画像認識装置で測定して求めた。顆粒の破壊状態は蓄冷器から回収した蓄冷材を目視で検査し、破壊されている顆粒の割合から求めた。
【0016】
【試験例】
市販の酸化ガドリニウムGd2O3(比表面積:5.2m2/g)72.5gと酸化アルミニウムAl2O3(α−アルミナ)(比表面積:3.1m2/g)20.4gをボールミルに入れ、エタノールを溶媒として24時間混合した。得られたスラリーを乾燥させて混合粉末とし、その後アルミナルツボに入れて大気雰囲気で1250℃、3時間仮焼した。得られた仮焼粉をX線回折で測定したところ、GdAlO3のみのピークしか認められなかった。また比表面積は3.0m2/gであった。
【0017】
得られたGdAlO3粉体を30MPaで12mm直径の円盤状に成形した。この成形体を200MPa圧力下で静水圧プレスした後、大気雰囲気下1650℃で6時間常圧焼結を行なった。尚、昇温速度は300℃/hとする。
【0018】
得られたGdAlO3焼結体の密度はアルキメデス法により理論密度の99%であり、平均結晶粒径は以下の式から算出すると約20μmであった。
d=1.56C/(MN)
(d:平均粒径、C:SEM等の高分解能画像で任意に引いた線の長さ、N:任意に引いた線上の結晶粒の数、M:画像の倍率M)
【0019】
得られたGdAlO3焼結体の熱容量測定結果は図1に示した。また図1にはこれ以外にDyAlO3焼結体の熱容量測定結果を示し、他に参考として従来の蓄冷材であるHoCu2の熱容量特性を示す。図1からGdAlO3やDyAlO3焼結体は、従来の蓄冷材であるHoCu2の熱容量と比較して、極低温度領域で高い熱容量を有していることが判る。
【0020】
【実施例1】
試験例と同様にしてGdAlO3焼結体を作製した。その際、焼結助剤としてCaOあるいはMgOを24時間混合する前に添加した。仮焼条件は1250℃×3時間である。大気雰囲気下1650℃で6時間常圧焼結を行なった場合の、焼結助剤の添加量と焼結体の平均粒径との関係を図2に、焼結助剤を一定にした際の焼成温度と焼結体の相対密度との関係を図3に、焼結助剤を一定にした際の焼成温度と焼結体の平均粒径との関係を図4に示す。尚、それぞれの図には参考として、焼結助剤を添加しないGdAlO3焼結体の焼成温度に対する相対密度及び結晶体の平均粒径を示す。これらの結果から、CaまたはMgを添加することによって、粒成長抑制効果と焼結促進効果をもたらすことが判る。一般的にセラミックスの強度は気孔率や結晶粒径に依存するため、緻密で結晶粒径が小さいセラミックスほど高強度となる。そのため焼結助剤であるCaまたはMgを添加することによって、緻密で結晶粒径を小さくしたGdAlO3焼結体は、高強度となる。したがって焼結助剤の添加量は4〜1000重量ppmとし、好ましくは5〜1000重量ppmとする。
【0021】
【実施例2】
GdxAl2-xO3の組成因子Xを変化させた状態で、焼結助剤を添加した場合と添加していない場合以外は、試験例と同様の焼結体を作製し、その相対密度と平均結晶粒径を測定し、その結果を図5及び図6に示す。図5及び図6から、焼結助剤を添加していないGdxAl2-xO3は、組成因子Xの値が1を離れるにしたがって、相対密度が低下し、平均結晶粒径は増加する傾向が見られる。また焼結助剤を添加していないGdxAl2-xO3の組成因子Xの値が、X<0.3あるいはX>1.5では、相対密度はさらに低下し、平均結晶粒径はさらに大きくなることが判る。一方、焼結助剤を添加すると、GdxAl2-xO3の組成因子Xの値が0.3≦X≦1.5の広い範囲で、X=1とほぼ同じ相対密度と平均結晶粒径であった。CaやMgを添加することによって、アルミナ、希土類酸化物あるいは希土類−アルミニウムガーネット相が共存するにもかかわらず、GdAlO3を主相とする焼結体は緻密化し、結晶粒径は小さくなり、高強度となる。この結果から、蓄冷材として有用なセラミックスとすることができた。尚、焼結助剤の添加の有無による、GdxAl2-xO3の相対密度や平均粒径のX値への依存性は、希土類元素GdをDyやHo等の他の希土類元素に変更した場合でも、同様であった。これは、ペロブスカイトの主組織内に、アルミナや希土類酸化物,ガーネットなどの他の組織が分相した場合の焼結性に関することであり、焼結助剤が同じで、アルミニウムと希土類の酸化物セラミックスであれば、希土類元素の種類には基本的に依存しない現象だからである。
【0022】
【実施例3】
GdxAl2-xO3の組成因子Xを変化させ、試験例と同様に空気中1650℃×6時間の焼成条件で焼結体を作製し、4K付近の熱容量のピーク値を測定し、その結果を図7に示した。図7からGdxAl2-xO3の組成因子Xの値が0.3≦X≦1.5の範囲で従来の金属間化合物よりも大きな熱容量を有しており、また焼結助剤の添加によって熱容量に大きな変化は見られない。なお焼結助剤が熱容量に影響しないのは、GdxAl2-xO3に限ることではなく、Gdを他の希土類元素に代えても同様であった。
【0023】
【実施例4】
実施例1で示したCaを200重量ppm添加したGdAlO3(Ca-doped GdAlO3)粉体(仮焼後で焼成前)を転動造粒法により、球状に成形し、得られた顆粒を異なる2種類のナイロンメッシュ(Aメッシュ(目開き597μm)とBメッシュ(目開き435μm))によって篩い分けを行なう。篩い分けをした顆粒を約25°に傾けた鉄板(鏡面に研磨したもの)上に転がし、堆積せずに転がり落ちた顆粒を回収し、これにより形状分級を行なった。顆粒100個の平均粒径及び平均アスペクト比は0.5mm、1.1であった。尚、Ca-doped GdAlO3顆粒の平均粒径及び平均アスペクト比は、ビデオハイスコープシステムを用いて撮影した画像から測定した。
【0024】
得られたCa-doped GdAlO3顆粒をアルミナ製のルツボの中に充填し、この状態で焼成炉内に設置して、大気雰囲気で焼成した。焼成温度を1500℃、焼成時間を6時間にすることによって、目的とする顆粒の平均粒径0.4mmのCa-doped GdAlO3蓄冷材を得た。Ca-doped GdAlO3蓄冷材顆粒の相対密度は、ピクノメーター法により理論密度の99.0%であった。平均結晶粒径は実施例1と同じである。また真空中焼成により焼結体を作製した場合も、顆粒の性状に全く違いは認められなかった。
【0025】
ナイロン系メディアと10wt%濃度のアルミナスラリーを加工槽内に装入し、そこにCa-doped GdAlO3蓄冷材を入れ、回転バレル加工法による表面加工処理を行って、研磨処理したCa-doped GdAlO3蓄冷材を得た。加工時間を16時間にすることによって、顆粒の表面粗さは1μmとなった。尚、表面粗さは走査型トンネル顕微鏡(STM粗さ計)によって測定した。このようにして得られたCa-doped GdAlO3蓄冷材を、ヘリウムの液化用のGM冷凍機(ギフォード・マクマホン型の小型ヘリウム冷凍機)の畜冷器に最密充填に近い充填率で充填した後、熱容量25J/KのHeガスを3g/secの質量流量、16atmのガス圧条件で、GM冷凍運転サイクルを連続500時間、1000時間及び2000時間継続運転し、各時間における顆粒の破壊状況を観察した。観察結果からCa-doped GdAlO3蓄冷材は、2000時間継続して運転しても、全く問題はなかった。研磨処理により、焼結後の顆粒の表面粗さを低下させることが、摩耗粉の発生防止のために好ましい。
【0026】
【実施例5】
実施例4と同様の条件で、希土類アルミニウム酸化物セラミックスの顆粒を、成形・分級・焼成・研磨し、以下の蓄冷材の試料を調製した。また調製条件は特に指摘した点以外は、実施例4と同様である。尚、試料番号は、実施例4を試料1として、続き順に示す。
【0027】
焼成温度を1650℃固定でCa量やMg量を変え(表1)、あるいはCa量やMg量を200重量ppmに固定して焼成温度を変え(表2)、他は実施例4と同様の条件で、セラミックス顆粒を作製した(試料2〜30)。X値は全て1である。結晶粒径あるいは相対密度の違いによる顆粒の破壊状況を、実施例4で用いたGM冷凍運転サイクル試験で評価し、その結果を表1、表2に示す。尚、顆粒の破壊が確認された時点で、GM冷凍運転サイクル試験は終了することにした。以下問題なしは、破壊された顆粒が観察されなかったことを示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003990894
【0029】
【表2】
Figure 0003990894
【0030】
焼結助剤としてCa又はMgを5〜1000重量ppm含有したセラミックス顆粒の耐久性は、全く問題がない。一方、1650℃で焼成した焼結助剤を添加していないセラミックス顆粒や、焼結助剤の添加量が1000重量ppmを超えた顆粒は、連続運転1000時間継続した時点では問題なかったが、連続運転2000時間継続した時点では、細かく砕けた顆粒が見られた。それ以外の焼結助剤を添加していないセラミックス顆粒は連続運転500時間継続した時点で、すでに細かく砕けた顆粒が見られた。Ca又はMgを5〜1000重量ppm含有したセラミックス顆粒が良好な結果を得られた理由として、その他のセラミックス顆粒よりも結晶粒径が小さく、かつ緻密だからである。尚、希土類元素をGdからDyやHo等の他の希土類元素に変更した場合でも、同様の傾向が見られた。
【0031】
実施例2で示した試料と同様にX値を変化させ、焼成条件以外は実施例4と同様の条件で、セラミックス顆粒を作製した(試料31〜78)。GdxAl2-xO3のX値の違いによる顆粒の破壊状況を、実施例4で用いたGM冷凍運転サイクル試験で評価し、その結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0003990894
Figure 0003990894
【0033】
GdxAl2-xO3(Xは0.2≦X≦1.7)において、焼結助剤を添加したセラミックス顆粒の耐久性は全く問題がない。一方、焼結助剤を添加していないセラミックス顆粒は、GdxAl2-xO3においてXの値が1を超えると極端に耐久性が低下し、セラミックス顆粒の耐久性はXの値に依存している。焼結助剤を添加したセラミックス顆粒が良好な結果を得られた理由は、焼結助剤無添加のセラミックス顆粒よりも結晶粒径が小さく、かつ緻密なためである。尚、希土類元素をGdからDyやHo等の他の希土類元素に変更した場合でも、同様の傾向が見られた。以上の結果と図5〜図7を考慮すると、焼結助剤を添加した希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材の組成は、0.3≦X≦1.5が好ましい。
【0034】
図8〜図10に、SrやBaを焼結助剤として用いた際の、GdAlO3焼結体の平均結晶粒径や相対密度を示す。製造条件は上記の実施例と基本的に同一で、市販の酸化ガドリニウム(比表面積:5.2m2/g)と酸化アルミニウム(α−アルミナ,比表面積:3.1m2/g)とを1:1のモル比で調合し、これにSrCO3またはBaCO3の形態でSrやBaを添加し、ボールミルで24時間混合した後に乾燥し、大気中1250℃で3時間仮焼した。仮焼後のGdAlO3粉体を平均粒径500μm,アスペクト比1.1程度の顆粒に造粒し、SrやBaの添加量の範囲をGdAlO3焼結体の200〜600重量ppmとし、1550〜1650℃で、大気中で6時間焼結した。SrやBaの添加量とGdAlO3の平均結晶粒径との関係(焼結温度1650℃)を図8に示す。SrやBaの焼結体の平均結晶粒径への影響は、CaやMgと同様で、焼結助剤無添加の場合に比べて、GdAlO3焼結体での結晶粒子の成長を抑制している。
【0035】
SrまたはBaの添加量を200重量ppmとした際の、焼成温度(焼結温度)と焼結体の相対密度との関係を図9に示す。SrやBaではCa,Mgに比べて焼結体の相対密度がやや低いが、焼結助剤無添加に比べると、焼結体は著しく高密度化している。また焼結体の焼結温度と平均結晶粒径との関係を図10に示すが、SrやBaはCaやMgとほぼ同様に、結晶粒子の成長を抑制している。
【0036】
1650℃焼成でSrまたはBaを200重量ppm添加した顆粒(X値は1.0)を、実施例4と同様に研磨し、ヘリウム液化用のGM冷凍機に充填し、2000時間連続運転後の顆粒の破壊状況をチェックした。2000時間連続運転後でも、摩耗粉や破壊された顆粒は見つからなかった。
【0037】
以上のように、CaやMgに代えてSrやBaを焼結助剤として用いることができる。SrやBaを焼結助剤とする場合、GdxAl2-xO3のX値は0.3以上1.5以下が好ましく、焼結助剤の添加量は4〜1000重量ppmとし、好ましくは5〜1000重量ppmとし、特に好ましくは50〜300ppm、最も好ましくは50〜200重量ppmとする。
【0038】
実施例では、GdxAl2-xO3を中心に説明したが、10K以下で大きな熱容量が得られることは、他の希土類アルミニウム酸化物セラミックスでも同様である。また他の希土類アルミニウム酸化物セラミックスでも、4〜1000重量ppm、好ましくは5〜1000重量ppmのアルカリ土類元素の添加により、1500〜1700℃で1〜10時間の焼成により、相対密度が98%以上(好ましくは99%以上)と緻密で、結晶の平均粒子径が20μm以下(好ましくは1〜10μm)と小さな、蓄冷材顆粒が得られることは同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材と従来の蓄冷材の熱容量特性を示す特性図
【図2】 実施例の1650℃×6hrの焼成条件で作製したGdAlO3焼結体の焼結助剤添加量と平均結晶粒径との関係を示し特性図
【図3】 実施例のGdAlO3焼結体の焼成温度と相対密度との関係を示す特性図
【図4】 実施例のGdAlO3焼結体の焼成温度と平均結晶粒径との関係を示す特性図
【図5】 実施例のGdxAl2-xO3焼結体での組成因子Xと相対密度との関係を示す特性図
【図6】 実施例のGdxAl2-xO3焼結体での組成因子Xと平均結晶粒径との関係を示す特性図
【図7】 実施例のGdxAl2-xO3セラミックス蓄冷材での組成因子Xと4K付近での熱容量のピーク値との関係を示す特性図
【図8】 GdAlO3焼結体の平均結晶粒径へのSr,Baの添加効果を示す特性図
【図9】 GdAlO3焼結体の相対密度へのSr,Baの添加効果を示す特性図
【図10】 GdAlO3焼結体の平均結晶粒径へのSrやBaの添加効果を示す特性図

Claims (4)

  1. 一般式RxAl2-xO3(RはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er, Tm,Yb及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5)で表せられ、焼結助剤としてアルカリ土類元素を合計量で4〜1000重量ppm含有する、希土類アルミニウム酸化物セラミックスの顆粒からなり、該顆粒の相対密度が 98 %以上で、平均結晶粒径が 20 μ m 以下である酸化物セラミックス蓄冷材。
  2. 前記顆粒が、ペロブスカイト相のRAlO3組織内に、アルミナ、希土類酸化物あるいは希土類−アルミニウムガーネット相が分散したものであることを特徴とする、請求項の酸化物セラミックス蓄冷材
  3. 10K以下の極低温度領域用であることを特徴とする、請求項1または2の酸化物セラミックス蓄冷材。
  4. 一般式RxAl2-xO3の粉末又はその原料粉末に、アルカリ土類元素を合計量で4〜1000重量ppm含有させた後に顆粒状に造粒し、1500〜1700℃で1〜10時間焼成して、相対密度が98%以上、平均結晶粒径が20μm以下の顆粒からなる蓄冷材とする、希土類アルミニウム酸化物セラミックス蓄冷材の製造方法。
    (ここにRはYを含むLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1種類以上の希土類元素を表し、Xは、0.3≦X≦1.5である。)
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