JP2003130259A - 外ケーブル用透明保護管 - Google Patents

外ケーブル用透明保護管

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JP2003130259A JP2001331103A JP2001331103A JP2003130259A JP 2003130259 A JP2003130259 A JP 2003130259A JP 2001331103 A JP2001331103 A JP 2001331103A JP 2001331103 A JP2001331103 A JP 2001331103A JP 2003130259 A JP2003130259 A JP 2003130259A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性が高く内部のモルタルの充填状態を外
部から目視できるとともに、耐圧性の高いケーブル保護
管を提供する。 【解決手段】 ケーブルを収容し、かつ内部にモルタル
を充填するためのケーブル保護管は、透明性などに優れ
るアイオノマー樹脂で構成された内外面が平滑な保護管
1と、この保護管を補強するためのスパイラル状又は網
目状補強材2とで構成されている。補強材2は、前記保
護管1内に埋設してもよい。前記保護管1は、平滑状管
に限らずスパイラル状波形管であってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレストレストコ
ンクリート用緊張材(以下,単に緊張材という場合があ
る)を収容し、かつ充填材を充填して橋梁などに適用さ
れる外ケーブル用透明保護管に関する。
【0002】
【従来の技術】橋梁などに用いられる外ケーブルには、
一般に緊張材を収容する保護管が使用されている。この
外ケーブル保護管では、収容する緊張材の周囲に緊密に
充填材を充填することにより、緊張材の腐蝕を防止して
いる。このように、外ケーブル用保護管には充填材を緊
密に充填する必要があるため、この保護管は充填材の充
填状況を目視可能であることが好ましく、さらに充填材
の充填圧力に耐える必要がある。
【0003】特開2000−320071号公報には、
緊張材を内包させ、かつ、内部に充填材が充填される透
明な合成樹脂管であって、ポリ塩化ビニル樹脂で軟質部
と硬質部とを形成するとともに、軟質部が可塑剤20〜
40部を含むポリ塩化ビニル樹脂からなる緊張材保護用
合成樹脂管が開示されている。この文献には、前記合成
樹脂管は硬質部を芯材として、内部に含む軟質合成樹脂
帯状体を管の長手方向へ螺旋状に巻回して成形されてい
る。さらに、緊張材はPC鋼線またはPC鋼撚り線で構
成され、外ケーブル式ポストテンション用緊張材として
用いることも記載されている。
【0004】しかし、この合成樹脂管では、軟質部に含
有された多量の可塑剤が移行し、時間の経過とともに軟
質度が低下する。しかも、紫外線などにより劣化し易い
ポリ塩化ビニル樹脂を用いるため、耐久性を高めること
が困難であるとともに、ダイオキシンを発生させる可能
性をも懸念される。
【0005】特開平9−144210号公報には、プレ
ストレストコンクリート用として使用するPC鋼線・P
C鋼撚線・PC鋼棒等の緊張材を挿通し、この緊張材を
被覆保護する管であって、内外面がともに螺旋凹凸状に
形成されていて、全体がポリオレフィン系樹脂素材によ
って形成されている緊張材用保護管が開示されている。
この文献には、高密度ポリエチレン樹脂を使用すること
も記載されている。
【0006】しかし、この内外面スパイラル状管では、
充填材を充填する際に径方向に対する耐圧性が弱く、し
かも透明性が低下する。そのため、内部の充填材の充填
状況を目視で精度よく確認することができない。
【0007】特開平6−55636号公報には、アイオ
ノマー樹脂を主体とする樹脂形成物からなる架橋チュー
ブであって、アイオノマー樹脂が、エチレンと(メタ)
アクリル酸との共重合体の分子間がカリウムイオンで架
橋されたアイオノマー樹脂100部に対して、エチレン
と(メタ)アクリル酸との共重合体の分子間がナトリウ
ムイオン又は/及び亜鉛イオンで架橋されたアイオノマ
ー樹脂0〜50重量部を含むことが記載されている。こ
の架橋チューブは、押出機からチューブ状に成形した
後、電子線を照射する方法により得られ、リヒテンベル
グ放電による放電痕がない。この文献には、架橋チュー
ブの内面にエチレン−アクリル酸エチル−一酸化炭素共
重合体で構成された接着剤層又は粘着材層を形成するこ
とも記載されている。しかし、電子線照射により不可逆
的に架橋しているため、アイオノマー樹脂を再利用でき
ない。さらに、耐圧性を向上することも困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、透明性が高く、内部の充填材の充填状況を外部から
目視できるとともに、耐圧性の高いケーブル保護管を提
供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、耐寒性、柔軟性及び
耐久性に優れ、緊張材を収容するとともに充填材を充填
して外ケーブルを得るのに有用なケーブル保護管を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アイオノ
マー樹脂で保護管を構成し、かつ補強することにより、
前記課題を達成できることを見いだした。すなわち、本
発明の外ケーブル用透明保護管(以下、単に保護管とい
う場合がある)は、緊張材を収容し、かつ内部に充填材
を充填するための透明な合成樹脂管であって、アイオノ
マー樹脂で構成された保護管と、この保護管を補強する
ためのスパイラル状又は網目状補強材とで構成されてい
る。この保護管において、前記補強材は保護管内に埋設
してもよい。また、保護管は、スパイラル状波形管、平
滑状管などであってもよい。
【0011】本発明は、外ケーブル用透明保護管に用い
られる樹脂又は樹脂組成物であって、エチレン−不飽和
カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部
が、金属イオン又はアンモニウムイオンで中和されたア
イオノマー樹脂を30重量%以上含む樹脂又は樹脂組成
物も包含する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、必要により添付図面を参照
しつつ本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明による外ケーブル用透明保護管を構
成するアイオノマー樹脂とは、エチレン−不飽和カルボ
ン酸共重合体のカルボキシル基を金属イオンやアンモニ
ウムイオンなどのカチオンで部分中和したイオン架橋性
樹脂として定義される。このようなアイオノマー樹脂の
性状は、分子量やベースポリマーのカルボキシル基濃
度、金属イオン種、中和度などによって変化するが、一
般に透明性が高く、成形加工性、反発弾性、柔軟性、耐
衝撃性および耐寒性に富み、強靭であるという特色を有
している。
【0014】前記アイオノマー樹脂において、ペースポ
リマーとなるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体とし
ては、エチレン成分と不飽和カルボン酸成分との割合
が、前者/後者=80/20〜99/1(モル%)、好
ましくは85/15〜98/2(モル%)、特に好まし
くは90/10〜98/2(モル%)の樹脂が用いられ
る。また、エチレン成分と不飽和カルボン酸成分以外に
その他の不飽和モノマー成分を0〜20モル%、好まし
くは0〜15モル%の割合で共重合させてもよい。さら
に、総和が上記条件を満たす限り、種類の異なる2種以
上の不飽和カルボン酸成分を用いてもよい。また、本発
明ではベースポリマーとして、不飽和カルボン酸成分の
種類の異なる2種以上のエチレン−不飽和カルボン酸共
重合体の混合物を用いてもよい。
【0015】不飽和カルボン酸成分としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、
マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(マレイ
ン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステ
ルなど)、無水マレイン酸などが例示される。これらの
不飽和カルボン酸成分は単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。特にアクリル酸あるいはメタクリル酸が
好ましい。
【0016】他の不飽和モノマー成分としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリ
ル酸n−ブチルなどのアクリル酸エステル類やメタクリ
ル酸エステル類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、
スチレンなどのスチレン系モノマー、ブタジエン、塩化
ビニル、テトラフルオロエチレンなどのハロゲン含有モ
ノマーあるいはシラン化合物などが例示できる。
【0017】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体アイ
オノマーにおける金属イオン種としては、リチウム、ナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、亜
鉛、銅、マンガン、コバルト、アルミニウムなどの遷移
金属が例示される。これらの金属イオン種は、単独で、
あるいは二種類以上組み合せて使用できる。好ましい金
属イオン種は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、
亜鉛などである。充填剤の硬化に伴う発熱および内圧に
対する耐性という観点では、マグネシウムイオンで中和
されたアイオノマー樹脂が最も優れている。そのため、
金属イオン種は少なくともマグネシウムイオンを含むの
が好ましい。
【0018】上記金属イオンによる中和度は、特に限定
されないが、平均中和度が20%以上、好ましくは30
〜95%程度である。
【0019】前記アイオノマー樹脂のメルトフローレー
ト(MFR)は、温度190℃、荷重2160gにおい
て、0.01〜50g/10分、好ましくは0.05〜
15g/10分、特に好ましくは0.1〜5g/10分
である。
【0020】本発明に係る透明保護管用材料としてはま
た、透明性、耐衝撃性、耐寒性、強靭性などの本用途に
おいて重要なアイオノマー樹脂の特性を損なわない限
り、アイオノマー樹脂にそれ以外の合成樹脂等を溶融混
練することもできる。そのような合成樹脂としては、高
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル
酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレ
フィン類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12などのポリアミド類、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)などのポリエステル類、一般用ポリスチレン(G
PPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS
樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹
脂)などのポリスチレン系樹脂の他、ポリカーボネー
ト、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、各種熱可塑
性エラストマーなどが例示される。これらの合成樹脂は
単独であるいは二種類以上でアイオノマー樹脂と溶融混
練して使用される。このような混合物中のアイオノマー
樹脂の重量比は30重量%以上、好ましくは50重量%
以上である。
【0021】アイオノマー樹脂には、必要により慣例の
添加剤、例えば、安定剤(熱安定剤、キレータ、抗酸化
剤及び紫外線吸収剤など)、難燃剤、耐電防止剤、着色
剤、滑剤などを添加してもよい。
【0022】前記補強材(又は補強糸)は、金属線、硬
質樹脂、繊維(無機繊維、有機繊維)などで構成でき
る。硬質樹脂としては、ポリエステル系樹脂などの硬質
熱可塑性樹脂などが挙げられる。繊維のうち有機繊維と
しては、例えば、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエ
ステル繊維などが挙げられる。無機繊維としては、例え
ば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミッ
ク繊維、金属繊維(スチール繊維、ステンレス繊維な
ど)、炭素繊維などが挙げられる。これらの繊維は単独
で又は2種類以上組合わせて使用できる。好ましい繊維
は、ガラス繊維などの無機繊維、アクリル繊維、ナイロ
ン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維である。補強
材(補強糸)は、通常、ポリエステル繊維などの繊維を
撚糸したコードなどの形態(例えば、1000〜500
00デニール、好ましくは2000〜25000デニー
ルのコードなどの形態)で利用できる。
【0023】本発明の外ケーブル保護管は、図1に示さ
れるように、アイオノマー樹脂で構成された内外平滑中
空透明管(内外面平滑中空管)1と、この透明管の管壁
に埋設され、一体化したスパイラル状もしくは網目状補
強材(又は補強糸)2とで構成されている。このような
保護管は、透明性が高いだけでなく、補強糸2により高
い耐圧性も有している。そのため、中空透明管1内に緊
張材を収容して充填材を充填しても、外部から充填材の
充填状態を確実に観察できるとともに、充填材を円滑に
充填できる。
【0024】前記保護管の肉厚dは、例えば、15〜3
5mm、好ましくは20〜30mm、さらに好ましくは
22〜28mm程度であってもよい。さらに平均内径D
1は、例えば、30〜150mm、好ましくは55〜1
25mm、さらに好ましくは75〜105mm程度であ
ってもよい。また、保護管がスパイラル状の形態である
場合は、山部内面における管内径D1と谷部内面におけ
る管内径D2との割合(D1/D2)は、例えば、1.
1〜1.5程度であってもよい。
【0025】前記保護管は、図1に示すように、押出機
からアイオノマー樹脂をテープ状に押出して、隣接する
テープ1a,1aの側縁(重合部)間に補強材又は補強
糸2を挟みつつ、隣接するテープ1a,1aの側縁を重
ねながら、管体成形軸にスパイラル状に巻き付けること
により製造できる。このような方法では、安価な製造設
備で保護管を連続的に成形可能であり、かつ不定長の管
に成形でき、長尺管を効率よく得ることができる。
【0026】なお、テープの幅(スパイラル状樹脂管本
体のピッチp)は、通常10〜200mm、好ましくは
20〜100mm、さらに好ましくは30〜80mm程
度である。また、補強材又は補強糸のピッチは、例え
ば、3〜50mm、好ましくは5〜30mm、さらに好
ましくは5〜20mm程度であってもよい。
【0027】このような構造の保護管は、押出機からア
イオノマー樹脂をテープ状に押出すとともに、補強糸を
埋設したテープを調製して巻回することにより形成して
もよい。なお、補強糸を埋設又は内包したテープは、複
数のテープ状溶融体間に補強糸を挟み込むことにより形
成してもよく、補強部材が硬質樹脂である場合には、補
強樹脂を線状に押し出すとともに、線状に押し出された
樹脂の周囲にアイオノマー樹脂をダイから押し出すこと
により調製してもよい。さらに、透明管に対して金属線
などの補強材を巻回し、必要により接合することにより
調製してもよい。
【0028】なお、保護管は単層構造である必要はな
く、複数の層で構成された積層構造を有していてもよ
く、このような積層構造において補強材は各樹脂層の間
に介在してもよい。
【0029】例えば、図2に示すように、前記アイオノ
マー樹脂で形成した平滑な内層樹脂層1bと、この内層
樹脂層1bの外面に所定のピッチで巻き付けられた補強
材(又は補強糸)2と、アイオノマー樹脂で形成され、
かつ前記内層樹脂層1b及び補強材2に対して融着積層
された平滑な外層樹脂層1cとで保護管を構成してもよ
い。
【0030】さらに、保護管の内壁および外壁のうち少
なくとも一方の壁面には樹脂層を形成してもよい。図3
は本発明の保護管のさらに他の例を示す概略部分断面図
であり、図4は本発明の保護管の別の例を示す概略部分
断面図である。図3に示す保護管は、図1に示す保護管
と同様に、アイオノマー樹脂で構成された内外平滑中空
透明管(内外面平滑中空管)1と、この透明管の管壁に
埋設されたスパイラル状もしくは網目状補強材(又は補
強糸)2とで構成されており、前記透明管1の内壁に
は、アイオノマー樹脂で構成された内壁樹脂層3が形成
されている。なお、前記透明管1は透明性の高いアイオ
ノマー樹脂で構成され、内壁樹脂層3は透明性を有する
とともに耐熱性及び剛性の高いアイオノマー樹脂で構成
されている。
【0031】図4に示す例では、アイオノマー樹脂で構
成された内外平滑中空透明管(内外面平滑中空管)1
と、この透明管の管壁に埋設されたスパイラル状もしく
は網目状補強材(又は補強糸)2とで構成された保護管
のうち内壁及び外壁には、それぞれ、アイオノマー樹脂
で構成された外壁樹脂層3a及び内壁樹脂層3bが積層
されている。なお、前記透明管1は透明性の高いアイオ
ノマー樹脂で構成され、外壁及び内壁樹脂層3a,3b
は透明性を有するとともに耐熱性及び剛性の高いアイオ
ノマー樹脂で構成されている。
【0032】なお、補強材は保護管内に埋設する必要は
なく、保護管を補強すればよく、埋設などにより前記内
壁樹脂層及び/又は外壁樹脂層と一体化してもよい。図
5は本発明の他の保護管の例を示す概略部分断面図であ
る。
【0033】この例では、アイオノマー樹脂で構成され
た内外平滑中空透明管(内外面平滑中空管)1と、この
透明管の内壁及び外壁のうち、少なくとも一方の壁面に
形成又は積層された樹脂層(この例では、外壁樹脂層3
a)と、この樹脂層3a内にスパイラル状もしくは網目
状に埋設された補強材(又は補強糸)2とで構成されて
いる。なお、前記透明管1は透明性の高いアイオノマー
樹脂で構成され、樹脂層(外壁樹脂層3a)は透明性を
有するとともに耐熱性及び剛性の高いアイオノマー樹脂
で構成されている。また、補強材2は、互いに隣接する
複数の細条補強材で構成されている。
【0034】保護管は複数の補強材で補強してもよい。
図6は本発明のさらに他の保護管の例を示す概略部分断
面図である。この例では、アイオノマー樹脂で構成され
た内外平滑中空透明管(内外面平滑中空管)1と、この
透明管内にそれぞれ隣接して螺旋状に埋設された第1の
補強材2及び第2の補強材4とで構成されている。前記
第1の補強材2は、金属線、ガラス繊維などの無機補強
材又は有機繊維などの有機補強材で構成でき、第2の補
強材4は、剛性の高い樹脂(例えば、耐熱性及び剛性の
高いアイオノマー樹脂など)で構成できる。
【0035】なお、前記の例において、内壁及び外壁樹
脂層や第2の補強材を構成する内壁及び外壁樹脂層や第
2の補強材は、アイオノマー樹脂に限らず、オレフィン
系樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、低密度線状ポリ
エチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系
樹脂など)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂な
どで形成してもよい。さらに、補強糸などで構成された
第1の補強材に代えて、第2の補強材(例えば、剛性の
高いアイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂など)で
補強してもよい。
【0036】保護管は、上記の内外平滑管に限らず波形
状管であってもよい。波形状管は、例えば、図7に示す
ように、コールゲーター11により連続ブロー成形で成
形された波付管状内層樹脂層1bの外面に、補強材供給
機12により供給された補強材2を巻き付け、更に内層
樹脂層1bの外面にチューブダイ13により外層樹脂層
1cを被覆又は積層することにより製造してもよい。
【0037】なお、前記コールゲーター11は、ループ
状に循環し、互いに対向して成形領域を形成する2つの
循環路と、押出機から押し出された樹脂パリソンをスパ
イラル波形状に成形可能な鋳型11aを構成する複数対
の成形部材とを備えている。
【0038】このようなコルゲータにおいて、前記各循
環路にそれぞれ循環可能に配設され、かつ複数対の成形
部材を形成する各成形部材は、成形領域の始端部におい
て合流して成形領域において複数の鋳型11aで構成さ
れた成形部を形成し、成形領域の終端部において離反し
て各循環路を循環する。そのため、押出機から押し出さ
れた樹脂パリソンは、成形領域において前進しながら連
続的に波形に成形される。
【0039】前記補強材供給機12は、補強材又は補強
糸を適度の張力で緊張させながら繰り出し供給可能な供
給ユニットを備えており、しかも内層樹脂層1bを中心
軸として回転可能である。そのため、補強材供給機12
の回転に伴って、前進に伴って波形に成形される樹脂パ
リソンの外周にスパイラル状に巻回できる。そして、前
記チューブダイ13は、補強材2が巻き付けられた内層
樹脂層1bが通過可能な波形形成部を有しており、内層
樹脂層1b及び補強材2の外面に外層樹脂層1cを形成
する。
【0040】このような積層構造の保護管において、外
層樹脂層1cと内層樹脂層1bとは、補強材が位置ずれ
しない程度に保持すればよく、互いに接着又は熱融着し
ない異材質であってもよいが、同材質又は同系統樹脂で
形成するのが好ましい。例えば、外層樹脂層及び内層樹
脂層の一方の層をアイオノマー樹脂で形成し、他方の層
を透明性樹脂[エチレン−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエ
チレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系
樹脂など]で形成してもよいが、双方の層を同一又は異
なる種類のアイオノマー樹脂で形成するのが好ましい。
【0041】なお、前記ケーブル保護管は、内外面のい
ずれか一方の面又は両面が平滑または曲線状(又は湾曲
状)であってもよいが、通常、図1に示すような、内面
及び外面が平滑な内外面平滑状管が好ましい。
【0042】前記補強材又は補強糸は、前記保護管を補
強できればよく、保護管の長手方向に対して所定のピッ
チでスパイラル状に形成してもよく、所定のピッチで交
差させてもよい。さらに、前記の例では、前記補強材2
を保護管1や樹脂層3a内に埋設しているが、補強材又
は補強糸は、保護管内に埋設してもよく、保護管や樹脂
層の内面又は外面にスパイラル状に形成され、保護管と
一体化していてもよい。例えば、補強材は保護管の外面
にスパイラル状に巻回し、添着したり、接着又は融着な
どにより一体化してもよい。さらに、保護管内の補強材
又は補強糸は、単一の補強材又は補強糸に限らず、前記
のように、互いに隣接して又は並行に位置させて複数の
補強材又は補強糸を所定のピッチで保護管に形成した補
強材又は補強糸(ダブルピッチ、トリプルピッチ補強材
など)であってもよい。さらに、補強材は前記糸状又は
線状補強材に限らずメッシュ状又は網目状補強材であっ
てもよい。
【0043】本発明では、高い透明性により保護管の外
部から充填材の充填状況を高い精度で確認できるととも
に、高い耐圧性により充填材の充填作業を円滑に行うこ
とができる。そのため、本発明の保護管は、種々のケー
ブルを保護して橋梁などに適用するために有用である。
さらに、本発明では、アイオノマー樹脂を架橋させる必
要がないので、アイオノマー樹脂を再利用することも容
易である。特に、アイオノマー樹脂は加熱により金属イ
オン成分とカルボキシル基との結合力が低下するので、
加熱により保護管と充填材との密着力も低減して剥離性
も改善でき、保護管の再利用性を高めることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明の外ケーブル用透明保護管は、ア
イオノマー樹脂で保護管を構成して補強するので、透明
性が高く内部の充填材の充填状況を外部から目視でき、
かつ耐圧性が高いので、充填材の充填性や充填作業性も
高めることができる。さらに、耐寒性、柔軟性及び耐久
性に優れている。
【0045】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0046】実施例1 エチレン−メタクリル酸共重合ベースアイオノマー樹脂
(三井デュポンポリケミカル社製、「ハイミランAM7
311」金属イオン種Mg、温度190℃及び荷重21
60gでのMFR=0.7g/10分)を押出機からテ
ープ状に押出し、テープを管体成形軸にスパイラル状に
巻き付け、巻き付けたテープの側縁部と、この側縁部に
隣接する押し出されたテープの側縁部との間にポリエス
テル繊維コード(8000デニール)の補強糸を介在さ
せて、前記管体成形軸にスパイラル状に巻き付けること
により、肉厚2.4mmであり、前記コードが樹脂層内
に埋設されたケーブル保護管(内径75mm、外径85
mm)を得た。なお、保護管本体のピッチ及び補強繊維
のピッチは15mmである。得られたケーブル保護管に
ついて耐圧試験を行い、破壊圧力を調べたところ、1.
4MPaであった。
【0047】比較例 前記ポリエステル繊維コードを用いることなく、ケーブ
ル保護管(内径75mm、外径85mm)を得た。得ら
れた保護管について耐圧試験を行い、破壊圧力を調べた
ところ、0.8MPaであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は外ケーブル用透明保護管とその製造方法
の一例を示す部分切欠概略図である。
【図2】図2は外ケーブル用透明保護管の他の例を示す
概略図である。
【図3】図3は外ケーブル用透明保護管のさらに他の例
を示す概略部分断面図である。
【図4】図4は外ケーブル用透明保護管の別の例を示す
概略部分断面図である。
【図5】図5は外ケーブル用透明保護管の例を示す概略
部分断面図である。
【図6】図6は外ケーブル用透明保護管のさらに他の例
を示す概略部分断面図である。
【図7】図7は波形状の外ケーブル用透明保護管の製造
方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1…ケーブル保護管 1a…テープ状アイオノマー樹脂 1b…内層樹脂層 1c…外層樹脂層 2…補強材(第1の補強材) 3a…外壁樹脂層 3b…内壁樹脂層 4…第2の補強材 11…コルゲーター 11a…コルゲーターの鋳型 12…補強材供給機 13…チューブダイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角谷 務 東京都千代田区霞ヶ関3−3−2 日本道 路公団内 (72)発明者 南 敏和 兵庫県尼崎市中浜町10番地1 神鋼鋼線工 業株式会社内 (72)発明者 白▲濱▼ 昭二 兵庫県尼崎市中浜町10番地1 神鋼鋼線工 業株式会社内 (72)発明者 稲掛 哲哉 静岡県掛川市淡陽6番地 タイガースポリ マー株式会社静岡工場内 (72)発明者 鈴木 誠之 静岡県掛川市淡陽6番地 タイガースポリ マー株式会社静岡工場内 Fターム(参考) 2D059 BB39 GG02 GG21 3H111 AA02 BA15 CA03 CB02 CB03 CB04 CB10 CB14 CC02 CC07 DA07 DA26 DB18 DB27 5G357 DA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレストレストコンクリート用緊張材を
    収容し、かつ内部に充填材を充填するための透明な合成
    樹脂管であって、アイオノマー樹脂で構成された保護管
    と、この保護管を補強するためのスパイラル状または網
    目状補強材とで構成されている外ケーブル用透明保護
    管。
  2. 【請求項2】 補強材が保護管内に埋設されている請求
    項1記載の外ケーブル用透明保護管。
  3. 【請求項3】 保護管がスパイラル状波形管または平滑
    状管である請求項1記載の外ケーブル用透明保護管。
  4. 【請求項4】 外ケーブル用透明保護管に用いられる樹
    脂又は樹脂組成物であって、エチレン−不飽和カルボン
    酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が、金属イ
    オン又はアンモニウムイオンで中和されたアイオノマー
    樹脂を30重量%以上含む樹脂又は樹脂組成物。
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