JP2006233437A - 外ケーブル用透明保護管 - Google Patents

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Abstract

【課題】 紫外線劣化防止性、酸化劣化防止性、耐アルカリ環境亀裂性、傷つき後耐アルカリ環境応力亀裂性、耐屈曲変形可撓性に優れた透明な外ケーブル用の樹脂製保護管を提供する。
【解決手段】ポリブタジエンをゴム成分として樹脂重量基準で22.5重量%より大きく36重量%未満含有し、アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数:1〜18)を少なくとも構成モノマー成分とするABS系樹脂にフェノール系及び/又はリン系酸化劣化防止剤1〜5重量%と、紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を0.5〜5重量配合したABS系樹脂樹脂組成物からなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管(3)。
【選択図】 図2

Description

この発明は、主として、プレストレストコンクリート(Prestressed concrete)構造物の構築の際のポストテンション工法やプレテンション工法において緊張線材として用いられるPCケーブルの保護用合成樹脂管に関するものであり、特に外ケーブル式ポストテンション工法に用いられるケーブル保護用合成樹脂管に関するものである。
近年、橋梁、岩の落下事故などの防災用トンネル、高層ビル、大型貯蔵用タンクなど大型の構造物に用いられる鉄筋コンクリートに代わり、プレストレストコンクリート構造物を用いる、より強度の高いポストテンション工法やプレテンション工法が注目されている。
PCはプレストレストコンクリートの略称である。理解しやすい例として、PC桁橋のポストテンション工法に用いられる緊張用外ケーブルを例に挙げて説明する。図1はPC桁橋の一部の縦断面図(PC桁橋の長さ方向に沿った断面図の一部)である。図2は、PC鋼撚線からなるケーブルとグラウトが充填されたケーブル保護用合成樹脂管の長さ方向に対し直角方向の断面図である。
図1に示したように各横桁(1) (1)部分に形成した貫通孔(2) (2)へ、ケーブル保護用合成樹脂管 (3)を、その貫通孔(2) (2)部分で偏向させながら貫通させるとともに、この樹脂製保護管(3)内へ図2で示すように、たとえば7本撚線等のPC鋼撚線からなる複数本のケーブル(4)を挿通して、ケーブル(4)に所定の緊張力を付与することで、コンクリート内部にポストテンションを導入する。そして保護管(3)内には、セメント系モルタルなどのグラウト(6)を充填してケーブル(4)の腐蝕を防止する。(5)は主桁である。例えば、自動車などが走行するPC桁橋の場合には、自動車は通常主桁(5)の上を、図1の左右方向に走行することになる。またPC鋼撚線のほか、PC鋼線、PC鋼棒などのPCケーブルも用いられている。
ここでPCとは、プレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete)の略称であり、プレストレスト・コンクリートは、PC鋼撚線(プレストレスト・コンクリート用の鋼撚線) 、PC鋼線、PC鋼棒などを引っ張って緊張させ、目的とするコンクリートに圧縮力を加えた状態のコンクリートを用いるものであり、通常の鉄筋コンクリートに比べて、コンクリートに圧縮力を加えて強度が大きく、ひび割れが大幅に改善されることで、近年注目されている。また外ケーブルとは、鉄筋コンクリートのように鉄筋が完全にコンクリート内部に埋設されているのではなく、貫通孔(2) (2)以外の部分が、鉄筋コンクリートの外側に設置されているので、かかる構造を外ケーブル構造、この工法を外ケーブル工法と称している。
ケーブル保護用樹脂管(3)として、かって黒色のポリエチレン樹脂管が用いられた。ケーブル保護用樹脂管(3)内に充填されるグラウトは、ケーブル(4)が腐蝕することを防止するものであるが、そのグラウト(6)はケーブル保護用樹脂管(3)内に隙間なく緻密に充填される必要がある。ケーブル保護用樹脂管(3)との間に空気層や気泡が存在すると、この部分に結露を発生して、これがケーブル(4)の錆腐蝕の原因となり、ケーブル寿命を著しく損なうことになる。以下、ケーブル保護用樹脂管を単に保護管、或いは、樹脂管と略称することがある。
そこで、グラウト(6)が隙間なく確実に充填されたかどうかを現場で確認できることが望ましいが、従来の黒色ポリエチレンでは不透明なため、グラウト充填の際に外側からその充填状態を視認することができない問題があった。
この問題の解決策はケーブル保護管(3)を透明にすることであるが、ポリエチレンでは充分な透明性は得られなかった(下記特許文献1参照)。
更にこの課題を解決するために、透明な合成樹脂管としてポリ塩化ビニルを用いる方法が提案された(下記特許文献2参照)。合成樹脂管の管壁が軟質部(軟質のポリ塩化ビニル)と硬質部(硬質のポリ塩化ビニル)とから構成されており、軟質部は可塑剤を20〜40重量部(以下、特に断らない限り、添加量や含有量、混合量などを示す「部」は重量部を意味する)含む透明なポリ塩化ビニル樹脂からなり、樹脂管の管壁が硬質部を芯材として硬質部芯材が軟質部で覆われて硬質部を内部に含む帯状体を管長手方向へ螺旋状に巻回して保護管が形成されている。
しかし、この合成樹脂管では、軟質部に含有された多量の可塑剤が移行し、時間の経過と共に軟質度が低下する。しかも紫外線などにより劣化し易いため、耐久性を保持することが困難であり、更に廃棄焼却時に環境問題としてダイオキシンを発生させる可能性も懸念された。
塩化ビニル樹脂管の課題を解決する策として、アイオノマー樹脂で構成された保護管と、この保護管を補強するためのスパイラル状または、網目状補強材とで構成された外ケーブル用透明保護管が提案された(下記特許文献3参照)。
アイオノマー樹脂管により透明性は確保されたが、酸化劣化しやすいことが判明した。アイオノマーはポリエチレンの分子鎖の側鎖にカルボン酸基を有しこのカルボン酸に金属イオンが結合することによって、分子鎖間が架橋結合される。この架橋結合は加熱されると結合力が弱くなる。アイオノマー樹脂の示差走査熱量分析(DSC)によれば融点85℃よりも低温の60℃近辺に金属イオン凝固体が溶解する現象が認められた。図3に示差走査熱量分析(DSC) のDSCチャートを示した。矢印Aで示したピークが融点(85℃近傍)であるが、それより低温の矢印Bで示した60℃近辺の融解ピークが生じることがわかる。
工事現場では夏季には施工中のアイオノマー樹脂管は40〜45℃の高温にさらされることがある。このような高温下で長時間さらされると紫外線による劣化および酸化反応が急速に進み、金属イオンによる架橋結合が弱くなり、引張強度や曲げ強度等の物理的特性が劣化する。
アイオノマー樹脂管の新品は常温での耐アルカリ性、耐傷付性は良好であるが、前述のように夏期工事現場で40〜45℃の高温の大気中にさらされること、そして樹脂管内に長いPC鋼線を挿入する際に合成樹脂の内壁とPC鋼線との摩擦により、目視では異常が認められないほどの微小な傷付き、潜在的な傷付きを与えることがある。
更に、グラウト材中のセメントによるアルカリ性や、セメント混和剤として使用される陰イオン界面活性剤の化学作用により、微小な、または潜在的な傷付きが拡大しグラウト注入後グラウトが硬化するまでの間にスジ状の微小な亀裂から液体が漏洩することが希ではあるが発見された。
そこで、アイオノマー樹脂管を50℃と70℃で1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(pH13以上)に300時間浸漬し引張強度および伸度の変化を試験した結果、50℃では引張強度が8%減少した。70℃では引張強度が15%減少し、伸度が21%減少した。しかし、微小なスジ状の傷は発見されなかった。
このことは高温のアルカリ水溶液に静置することにより物理特性は劣化するが、これだけでは亀裂は発生せずPC鋼線をアイオノマー樹脂管に挿入した時の微小な、または潜在的な傷付き、および夏季工事現場で高温の大気中にさらされることによる紫外線劣化や酸化劣化が複合された要因となり微小なスジ状の亀裂を発生するに至ると推定された。
また、塩素を含まない2種以上の複数の透明樹脂管を積層して形成されるPC鋼材用透明保護管も提案されている(下記特許文献4参照)。少なくとも1層が硬質樹脂によって形成され、その内側には少なくとも1層の耐アルカリ性および耐摩耗性を有する軟質樹脂層から成り、硬質樹脂層の外側は少なくとも一層の耐候性および接着性を有する軟質樹脂層から成る。そして硬質樹脂としてポリエステル系樹脂を、内側の軟質樹脂としてウレタン系エラストマーを、外層の軟質樹脂にはアクリル系エラストマーが提案されている。
このように少なくとも3種の透明な樹脂を選択し、内層にはセメントに起因するアルカリ性に耐えること、そしてPC鋼を樹脂管に挿入する時に生ずる損傷に耐えるための耐摩耗性を考慮しウレタンエラストマーを選択し、外層には耐候性と接着性が良好なアクリルエラストマーを選択することが提案されている。
しかしウレタンエラストマーは極めて高価でありアクリルエラストマーも高価である。そして三層構造に積層し全体として薄い合成樹脂管を形成するため、コストの高いポリマーの内層および外層は可能な限り薄くして、デリケートな三層構造の成形加工を追求することになり、かなりのコストアップにつながるのである。
課題はコスト高だけではなく耐アルカリ性に問題がある。硬質樹脂層を形成しているポリエステル系樹脂はアルカリによって加水分解し物性が劣化しやすい。これを保護するため内側に耐アルカリ性で且つ耐摩耗性のウレタンエラストマーを配置してあるが前述の如く最内層は極めて薄いため、三層構造の成形加工の際に希に生ずる微小な欠陥およびPC鋼線を樹脂管に挿入する際に生ずる微細な傷付き等の欠陥部から侵入してくるアルカリが中層部を形成するポリエステル樹脂に達すると加水分解を起こし物理特性を劣化してしまうことが懸念された。
透明保護管が提案される以前に用いられた前述した黒色ポリエチレンにくらべて前述のエチレン系エラストマー(アイオノマー樹脂)は樹脂の価格として黒色ポリエチレンの3〜4倍であり、また前述した三層構造の保護管に用いられるポリウレタン・エラストマーは数倍以上と高価である。PC鋼材を用いた外ケーブル工法は通常、大型の構築物に適用されることも多く、コストダウンのためには安価なポリマーであることが望まれた。
特開平9−144210号公報 特許第3519311号公報 特開2003−130259号公報 特許第3585914号公報
本発明は上記従来の外ケーブル用の樹脂製保護管の問題点を解決すべく、
(a)ケーブル保護管内に充填されたグラウトによってケーブルを完全に防蝕するために、グラウトが保護管内に隙間なく緻密に充填されて、保護管との間に空気層や気泡が存在しないことを目視で確認できる透明な合成樹脂管であること。
(b)そして夏季の工事現場で工事が完了するまでに40〜45℃の高温の大気中にさらされた場合、紫外線劣化、酸化劣化に充分耐えられること。
(c)そして長いPC鋼線を樹脂管に挿入する際に内壁に生ずる微小の傷付きがグラウト中のアルカリ成分およびセメント混和剤として添加される陰イオン界面活性剤等の化学作用により微小な亀裂にまで拡大し液状物質が漏洩することのないような耐アルカリ環境亀裂性を有すること。
(d)更に好ましくは、合成樹脂管にPC鋼材等を挿入しグラウトを注入する前に空気層や気泡を消失する目的で樹脂管内を真空にした後、グラウトをポンプで注入する真空グラウト工法を行う場合、合成樹脂管が真空により大きく変形し亀裂の原因となることがある。この真空下での大変形による亀裂を生じない耐屈曲変形性、可撓性を有すること。
(e)グラウトをポンプ圧により注入し充填された合成樹脂管がグラウトの内圧に耐えられるだけの強度を保持できること。
(f)また、ポストテンション工法のPC桁橋に用いられるケーブル保護管(3)は偏向部で屈曲させるが偏向部付近での傷付きを生じやすいので偏向部の屈曲に耐えられる可撓性があること。
(g)大型の構築物に適用されることも多く、コストダウンのために、樹脂管を構成するポリマーが比較的安価なポリマーであること。
以上のような、性質を有する外ケーブル用の樹脂製保護管を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の外ケーブル用の樹脂製保護管は次の構成を有する。
(1)プレストレストコンクリート用緊張材を収容し、かつ充填材を充填した場合に、前記充填材の充填状態を、外側から目視できる透明なABS系樹脂組成物からなる樹脂製保護管であって、前記樹脂製保護管を構成するABS系樹脂が、少なくとも第1成分としてスチレン、第2成分としてアクリロニトリル、第3成分としてポリブタジエン、並びに第4成分として化学式(1)に示すメタクリル酸アルキルエステル化合物、から製造されるABS系樹脂で構成され、
Figure 2006233437
前記第3成分は前記樹脂重量基準で22.5重量%より大きく36重量%未満含有し、第4成分は共重合成分として前記樹脂重量基準で5〜20重量%含有しており、
前記ABS系樹脂は、更に
(a)モノフェノール系、ビスフェノール系、または高分子フェノール系のフェノール系酸化劣化防止剤、(b)リン系酸化劣化防止剤、からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化劣化防止剤を前記樹脂重量基準で1〜5重量%含有し、
更に(c)紫外線吸収剤としてサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤及び/または(d)ヒンダードアミン系光安定剤を前記樹脂重量基準で0.5〜5重量%含有した
ABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
(2)前記(1)項に記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、[スチレン]対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をyとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(1)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂であることが好ましい。
数式(1): −0.045x+3.45>y>1.0
但し、 36>x>22.5
(3)また、前記(1)項または(2)項のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に第5成分として化学式(2)に示すα‐アルキルスチレン、または、
Figure 2006233437
N-フェニルマレイミドを共重合成分として前記樹脂重量基準で7〜20重量%含有し、前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をzとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(2)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂であることが好ましい。
数式(2): −0.045x+3.45>z>1.0
但し、 36>x>22.5
(4)また、前記(1)項または(2)項のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に第6成分として化学式(3)に示すメタクリル酸アルキルエステルを共重合成分として前記樹脂重量基準で7〜20重量%含有し、
Figure 2006233437
前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、[スチレン]対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をwとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(3)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂であることが好ましい。
数式(3): −0.045x+3.45>w>1.0
但し、 36>x>22.5
(5)また、前記(1)項または(2)項のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に前記(3)項に記載の第5成分及び前記(4)項に記載の第6成分を共重合成分として含有し、
前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をtとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(4)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂であることが好ましい。
数式(4): −0.045x+3.45>t>1.0
但し、 36>x>22.5
(6)また、ABS系樹脂組成物よりなる本発明の別の態様の外ケーブル用の透明な樹脂製保護管は、プレストレストコンクリート用緊張材を収容し、かつ充填材を充填した場合に、前記充填材の充填状態を、外側から目視できる透明なABS系樹脂組成物からなる樹脂製保護管であって、前記樹脂製保護管を構成するABS系樹脂が、前記(1)項に記載の第1成分、前記(1)項に記載の第2成分、前記(1)項に記載の第3成分、前記(4)項に記載の第6成分単独又は前記第6成分と前記(1)項に記載の第4成分との併用、前記(3)項に記載の第5成分、から製造され、且つ、更に第7成分としてエチレン・プロピレンゴムまたはアクリルゴムを含有するABS系樹脂で構成され、
前記第6成分単独又は前記第6成分と第4成分との合計が前記樹脂重量基準で7〜20重量%、第5成分を前記樹脂重量基準で7〜20重量%、更に第7成分を前記樹脂重量基準で7〜14重量%含有し、前記第3成分のポリブタジエンと前記第7成分の合計重量が前記樹脂重量基準で22.5重量%より多く36重量%未満であり、
前記ABS系樹脂は、更に前記(1)項に記載の酸化劣化防止剤を前記樹脂重量基準で1〜5重量%含有し、
前記(1)項に記載の紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤を含有しないか、又は、前記樹脂重量基準で3重量%未満含有した
ABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管が好ましい。
尚、上記(6)項において、各成分の配合割合について、「前記樹脂重量基準」とは、前記第7成分も含めた前記ABS系樹脂重量基準を意味している。
(7)また、前記(6)項に記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記樹脂重量基準でポリブタジエンと第7成分の合計重量%をsとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をpとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(5)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂であることが好ましい。
数式(5): −0.045s+3.45>p>1.0
但し、 36>s>22.5
(8)また、前記(1)項〜(7)項のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管においては、前記ABS系樹脂組成物の含有量が、前記樹脂製保護管を構成する樹脂組成物の40重量%以上であることが好ましい。
本発明の外ケーブル用の樹脂製保護管は、次のような効果を有する。
(a)ケーブル保護管内に充填されたグラウトによってケーブルを完全に防蝕するために、グラウトが保護管内に隙間なく緻密に充填されて、保護管との間に空気層や気泡が存在しないことを目視で確認できる透明な合成樹脂管を提供できる。
(b)夏季の工事現場で工事が完了するまでに40〜45℃の高温の大気中にさらされた場合、紫外線劣化、酸化劣化に耐えられる外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
(c)耐アルカリ環境亀裂性の優れた外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
(d)合成樹脂管にPC鋼材等を挿入しグラウトを注入する前に空気層や気泡を消失する目的で樹脂管内を真空にした後、グラウトをポンプで注入する真空グラウト工法を行う場合、この真空下での変形による亀裂を生じない耐屈曲変形性、可撓性を有する外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
(e)グラウトをポンプ圧により注入し充填した場合にグラウトの注入により負荷される内圧に耐えられる強度を有する外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
(f)ポストテンション工法のPC桁橋に用いられるケーブル保護管の偏向部の屈曲に耐えられる可撓性を有する外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
(g)比較的安価な外ケーブル用の樹脂管を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明による外ケーブル用透明保護管を形成する樹脂成分であるABS系樹脂は、よく知られているようにポリブタジエンなどのゴムにアクリロニトリル、スチレン、必要に応じて用いるその他のラジカル重合可能な不飽和モノマーなどをグラフト重合させ、ないしは、かかるグラフト重合体にアクリロニトリル、スチレン、その他のラジカル重合可能な不飽和モノマー(例えば、前述した、第4成分、第5成分、第6成分など)の共重合体をブレンドするなどの通常よく知られたゴム強化樹脂であるいわゆるABS系樹脂を用いるものである。従って、耐衝撃性、アルカリに対する耐薬品性、耐熱性、および剛性にすぐれ、且つアイオノマー樹脂やウレタンエラストマーよりも安価な樹脂である。
本発明に用いる透明性を有し、耐熱性、可撓性、耐候性のすぐれたABS系樹脂は、通常、ポリブタジエンなどのゴム成分の存在化でアクリロニトリルとスチレン、必要に応じて用いるその他のラジカル重合可能な不飽和モノマーなどのモノマーをポリブタジエンの表面にグラフト結合させたグラフト重合ラッテクスと、それとは別にアクリロニトリルとスチレン、その他の不飽和モノマー(例えば、前述した、第4成分、第5成分、第6成分など)を共重合させたいわゆるAS系樹脂ラッテクスをブレンドして製造することが好ましい。このように本発明のABS系樹脂の製造法は、いわゆる従来のABS樹脂の製造法が適用できる。
より具体的に、本発明で用いるABS系樹脂の製造法の好ましい態様について説明する。本発明で用いるABS系樹脂は、次のような乳化グラフト重合・ブレンド法で製造することができる。ブタジエンを乳化重合して、ポリブタジエンラテックスを製造する工程1(ポリブタジエンラテックスはABS樹脂製造用のポリブタジエンラテックスが市販されているので、それを用いると簡便である。)、工程1で準備したポリブタジエンラテックスを用いて、ポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリル、(必要に応じて、更に前述した第4成分、第5成分、第6成分の一部を添加してもよい)の乳化グラフト重合を行う工程2、スチレンとアクリロニトリル、その他の不飽和モノマー(例えば、前述した、第4成分、第5成分、第6成分など)を乳化重合してスチレン−アクリロニトリル系共重合体(AS系樹脂と略称することあり)ラテックスを製造する工程3、工程2で得られたポリブタジエンのグラフト重合ラテックスと工程3で得られたAS系樹脂ラテックスとをブレンドし、更に、必要な前記酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤を混合する工程4、工程4で得たブレンドラテックスに凝固剤を添加して凝固させ、次いで、濾過、脱水、乾燥工程を経て乾燥ABS系樹脂組成物を得る工程5によって製造される。
前記重合させる際に使用される重合開始剤としては、過硫酸塩、または、有機過酸化物と鉄塩等と組み合せたレドックス系重合開始剤などが挙げられる。有機過酸化物(パーオキサイド)の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシド、イソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。また、上記鉄塩としては硫酸第一鉄があげられ、これに糖類、ナトリウム−ホルムアルデヒド−スルホキシレートなどのような補助還元剤や、EDTAなどのようなキレート化剤などを併用することができる。
上記重合の際に使用される乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば不均化ロジン酸カリウム、水添ロジン酸カリウム、高級脂肪酸アルカリ金属塩、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが挙げられる。この両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。これらの他の乳化剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
乳化剤の使用量は、特に限定するものではないが、上記成分100重量部に対し、0.01〜10重量部程度である。
また、必要に応じ、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、テルピノーレン、α−メチルスチレンダイマーなど通常の乳化重合で使用される分子量調節剤が使用できる。さらに、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カリウムなどを通常の乳化重合で使用される電解質が使用できる。これらは1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、凝固剤としては、硫酸、酢酸などの酸、硫酸マグネシウムや塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩の水溶液が適用される。
本発明で用いるABS系樹脂は、通常の典型的なABS樹脂と異なる点は、第4成分〜第7成分などを適宜用いる点である。
本発明のABS系樹脂において、ポリブタジエンの含有量は、後述する第7成分を用いない場合(第7成分を用いる場合は、ポリブタジエンと第7成分の合計量で)、得られるABS系樹脂の重量基準で、22.5重量%より多く、36重量%未満であることが必要である。(本発明においては、添加量、含有量、添加率、含有率などに関する%は、特に断らない限り重量%を意味する。)
ポリブタジエン含有量が10重量%〜22.5重量%の領域では得られるABS系樹脂の衝撃強さは含有量増加と共に直線的に増加し、22.5重量%より多く30重量%の範囲でも増加を続けるが30重量%を超えると衝撃性の上昇はにぶくなり36重量%を超えると飽和点に達する。耐衝撃性を増加するためにはポリブタジエン含有率は、22.5重量%より多く、好ましくは30重量%以上、35重量%まで増加することが望ましい。しかしポリブタジエン含有率を増加しすぎると耐薬品性が低下し耐アルカリ性が悪化するので、ポリブタジエンの含有量は、後述する第7成分を用いない場合(第7成分を用いる場合は、ポリブタジエンと第7成分の合計量で)、得られるABS系樹脂の重量基準で、22.5重量%より多く、36重量%未満であることが必要である。
第4成分は得られるABS系樹脂に透明性を付与するための成分であり、前記化学式(1)に示したメタクリル酸エステル化合物としては、前記化学式(1)においてn=1〜18のR1を有するもので、具体例としてはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イゾブチレメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
第4成分としては、前記化学式(1)のR1のnがn=1〜16のものが好ましく、更に好ましくはn=1〜3の範囲のものが、特に透明性付与効果が大きく好ましい。
第4成分の含有量が得られるABS系樹脂の重量基準で5重量%未満では、透明性向上効果が不十分であり、20重量%より多量の場合には、得られる樹脂管の可撓性が低下し、前述した真空グラウト工法などの真空・加圧変形後の液体の耐漏洩性が不良となる。従って、第4成分の含有量は、目的のABS系樹脂の重量に対し、5〜20重量%が好ましい。
第4成分は、アクリロニトリルとスチレンの共重合体を製造する工程(工程3)で添加し共重合させてからポリブタジエンのグラフトラッテクスとブレンドするが、工程2でポリブタジエンのグラフトラッテクスを製造する際にグラフト重合させるモノマー成分として第4成分の一部を使用してもよい。
第5成分は得られるABS系樹脂に耐熱性を付与するための成分であり、α‐アルキルスチレン、またはN‐フェニルマレイミドを用いる。
α‐アルキルスチレンは前記化学式(2)に示したようにα位に位置し、m=1〜4のアルキル基R2を有する。具体例としてはα‐メチルスチレン、α‐エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α‐ブチルスチレン等がある。α位以外では耐熱性が劣り、またmが5以上では耐熱性向上効果が少ない。
第5成分はアクリロニトリルとスチレンの共重合体を製造する工程(工程3)で添加し共重合させてから、ポリブタエンのグラフトラッテクスとブレンドするが、工程2でポリブタジエンのグラフトラッテクスを製造する際にグラフト重合させるモノマー成分として第5成分の一部を使用してもよい。N‐フェニルマレイミドは上記の方法以外にN‐フェニルマレイミド・スチレン・アクリロニトリルの共重体、またはN‐フェニルマレイミド・スチレンの共重体が市販されているので、これらのポリマーチップと工程5を経た乾燥ABS系樹脂組成物をブレンド後、溶融混練する方法で添加してもよい。
薬品環境応力亀裂の発生原因として、樹脂の表面の近くにあるひび割れに薬液が作用して局部的な可塑化を起こさせ、応力がかかった状態でガラス転移温度が低下し、降伏応力よりもはるかに小さな応力でひび割れが成長すると云われている。第5成分は得られるABS系樹脂のガラス転移温度を上昇させ、可塑化による薬品環境応力亀裂を抑制するのに効果がある。その反面、曲げ強度が減少する傾向がある。第5成分の含有量が7重量%未満では耐熱性向上効果が少なく、20重量%より多すぎると得られる樹脂管の可撓性が減少し、前述した真空グラウト工法などの真空・加圧による変形を与えた後の液体の耐漏洩性は減少する傾向がある。従って、第5成分の含有量は、目的のABS系樹脂の重量に対し、7〜20重量%が好ましい。第5成分は耐熱性を向上させるので酸化劣化防止剤の使用量を減少することができると言う効果もある。酸化劣化防止剤は、高価なので、この効果は有用である。
第6成分は、得られるABS系樹脂の透明性を維持しながら可撓性を付与するための成分であり、第6成分としては化学式(3)においてk=4〜18のアルキル基R3を有するメタクリル酸アルキルエステル化合物である。第6成分は第4成分と同類のメタクリレートエステル化合物であり、透明性向上効果も有する。しかし、上記アルキル基R3の炭素数が1〜3のアルキル基を有するメタクリレートエステルは得られる樹脂を比較的高剛性にしやすく可撓性を低下させる傾向がある。
前述したような真空グラウト工法などを採用して外ケーブル用樹脂管を真空にした時、樹脂管内には緊張材例えばPC鋼線しかなく空隙が大きいのでPC鋼線に密着するまで大きく変形し、割れ、ひび、亀裂を生じやすい。真空グラウトを行わない従来グラウト工法にくらべて真空グラウトを行う場合、大変形しても損傷しない可撓性が必要であり、第6成分の寄与は大きい。
第6成分の具体例としてはn−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等がある。第6成分はアクリロニトリルとスチレンの共重合工程(工程3)で添加し共重合させてから、ポリブタジエンのグラフトラテックスとブレンドすることが好ましいが、工程2でポリブタジエンのグラフトラッテクスを製造する際にグラフト重合させるモノマー成分として第6成分の一部を使用してもよい。
第6成分は、前記化学式(3)で示され、第4成分は、前記化学式(1)で示されるが、第4成分の前記化学式(1)のR1のnが4以上の場合(すなわちR1の炭素数が4以上の場合)は、前記化学式(3)で示される第6成分と同一の化合物を用いることになる場合もあるが、差し支えはない。好ましくは、第6成分としては、第4成分と異なる化合物を用いることが好ましく、更には、用いた第4成分のR1の炭素数より大きい炭素数のR3を有する第6成分を用いること(言い換えれば用いた第4成分の前記化学式(1)のR1のnの数値よりも前記化学式(3)のR3のkの数値が大きい第6成分を用いること)が好ましい。
第6成分の含有量は7重量%未満では真空・加圧変形後の液体の耐漏洩性向上効果が顕著でなく、20重量%より多すぎると得られる樹脂管の耐擦傷性及び耐曲げ疲労性が低下して、真空・加圧変形後の耐漏洩性が劣ってくる傾向がある。従って、第6成分の含有量は、目的のABS系樹脂の重量に対し、7〜20重量%が好ましい。
尚、前記[課題を解決するための手段]の項の、(3)項〜(5)項で記載したように、前記第5成分、第6成分はそれぞれ単独でいずれかの成分が本発明で用いるABS系樹脂の構成モノマー成分として含有されていてもよいが、両成分を併用して用いることはより好ましい。
第7成分であるエチレン‐プロピレンゴム、アクリルゴムは、ポリブタジエンのように二重結合がないので、紫外線劣化、酸化劣化が小さく、耐候性、耐熱性、耐薬品性にすぐれているので、第7成分を添加することにより耐候性、耐紫外線性、耐酸化劣化性を向上でき好ましい。
エチレンプロピレンゴムとしては、例えば、三井化学株式会社製の商品名“三井−EPT”、住友化学株式会社製の“エスプレン”、JSR株式会社製の“JSR EP”等の商品が挙げられる。また、アクリロニトリルとエチレンープロピレン−ジエンとスチレンの共重合物(AES樹脂と略称する)[日本エイアンドエル社の商品名“ユニブライト”]も好適に用いられる。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分として、架橋剤として2−クロロエチルビニルエーテル、又は、グリシジルアクリレートなどを用いて架橋結合して製造する。例えば、日本ゼオン株式会社製の商品名“ニポール”などが挙げられる。
特に限定するものではないが、第7成分は、第7成分を除いた本発明のABS系樹脂乾燥ポリマー(工程5で得られたもの)と、ミキサーを用いて混合し、溶融押出機で混練し、押し出してペレットにして使用することが好ましい。
第7成分は耐紫外線性、耐酸化劣化性を有するので、第7成分の含有量によっては、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の使用量を減少させることができ、さらに、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を無添加にすることもできる。また酸化劣化防止剤の添加率も減少できる。紫外線吸収剤及び/又は光安定剤は極めて高価であり添加率を減少ないし無添加にできることは、コストダウンに寄与する。第7成分の含有量は、7重量%未満では耐紫外線性、耐酸化劣化性の向上効果が不十分であり、14重量%より多く、特に15重量%以上になると、得られる樹脂の透明性が低下する傾向になる。従って、第7成分の含有量は、得られるABS系樹脂の重量基準で、7〜14重量%の範囲が好ましい。
また、第7成分とポリブタジエンの合計量を得られるABS系樹脂の重量基準でs重量%とすると、36重量%>s>22.5重量%の範囲であることが好ましい。
前述したように、ポリブタジエン含有量は、ABS系樹脂の重量基準で22.5重量%より多く、36重量%未満であり、ポリブタジエン含有率を増加すると得られるABS系樹脂の耐薬品性が低下し耐アルカリ性が悪化する傾向がある。
一般的には、耐薬品性、耐アルカリ性を向上させるための改良方法はアクリロニトリル・スチレン共重合物(AS樹脂)の含有率を増加することである。耐衝撃性、真空・加圧・変形後耐漏洩性を確保するためにはポリブタジエンの増加が必要であり、一方耐アルカリ環境応力亀裂性および傷付き後耐アルカリ環境応力亀裂性を確保するためにはアクリロニトリル・スチレン共重合物の増加が必要であり、両者は二律背反する。この好ましい解決策は、第5成分、第6成分若しくは第7成分などを上記第1〜第3成分と併用することによる効果にある。
第5成分と第6成分をアクリロニトリル・スチレン共重合工程(前記工程3)に添加して得られた共重合物は、AS共重合物よりも可撓性、耐薬品性、耐アルカリ性が向上するので、ポリブタジエン含有率の増加のよる耐アルカリ性の低下を補完し向上させる。更に、第7成分の併用により耐酸化劣化性、耐紫外線劣化性の改善により、耐アルカリ亀裂、傷付き後耐アルカリ亀裂性を向上させると共に変形後耐漏洩性も改良できる。
本発明で用いる酸化劣化防止剤の第一次選択はJIS K7212熱可塑性プラスチックの熱安定性試験方法に準じた。一般的にはABS樹脂としてスチレン75重量%とアクリロニトリル25重量%を共重したASポリマーと、スチレン25重量%とアクリロニトリル25重量%及びポリブタジエン50重量%の組成でスチレンとアクリロニトリルを用いてポリブタジエンの表面に乳化グラフト重合したポリブタジエンラテックスを1対1(但し、乾燥ポリマー重量比)でブレンドし、試験したい酸化劣化防止剤をこのABS樹脂にブレンドした。そしてJIS K7212に準じて、温度140℃±4℃に管理されたオーブンに48時間放置したのち常温にもどし、JIS K7161によって引張試験を行った。引張破断強度が初期値に対して40%以上減少したものを不合格として酸化劣化防止剤を第一次選別した。
酸化劣化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子フェノール系を含むフェノール系の酸化劣化防止剤、またはリン系酸化劣化防止剤を単独使用、または各種を併用して使用する。添加率は前記ABS系樹脂重量基準で1〜5重量%が好ましい。1重量%未満では酸化劣化防止効果が少なく、添加率5重量%を超えると樹脂が着色する欠点が生じるので、添加率は1〜5重量%が好ましい。
酸化劣化防止剤の具体例としては、次のものがあげられる。
フェノール系酸化劣化防止剤のうちモノフェノール系酸化劣化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、ステアリル-β(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
フェノール系酸化劣化防止剤のうちビスフェノール系酸化劣化防止剤としては、ビスフェノール系では4,4‐ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどが挙げられる
フェノール系酸化劣化防止剤のうち高分子型フェノール系酸化劣化防止剤としては、1,1,3-トリス(2-メチル-4ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-〔メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)-ブチリックアシッド〕グリコールエステルなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられる。
紫外線吸収剤及び光安定剤の第1次選択については、JIS K7350-2のキセノンアーク光源による暴露試験方法に準じた。酸化劣化防止剤の第一次選択の際に使用したと同じ一般的なABS樹脂をベースにして、当該ABS樹脂に紫外線吸収剤又は光安定剤をブレンドした。この紫外線吸収剤又は光安定剤添加ABS樹脂をJIS K7350-2に準じ日光に近似させたフィルタを着け、間欠的に蒸留水を噴霧し、温度65±3℃の条件下で21日間暴露した。それを常温にもどし、JIS K7161によって引張特性試験を行なった。
引張破断強度が初期値に対して40%以上減少したものを不合格として紫外線吸収剤又は光安定剤を第一次選択した。
紫外線吸収剤としてはサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の各種紫外線吸収剤が挙げられ、また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、これらの紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を単独使用または併用して使用することができる。
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の添加率は前記ABS系樹脂重量基準で0.5重量%未満では紫外線劣化防止効果ないし光安定効果が少なく、添加率が5重量%を超えると樹脂が着色する欠点が生じるので、添加率は0.5〜5重量%が好ましい。
サリチル酸系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5スルホベンゾフェノン、等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
シアノアクリレート系の紫外線吸収剤の具体例としては、2‐エチルヘキシル‐2シアノ‐3,3'‐ジフェニルアクリレート、エチル‐2‐シアノ‐3,3'‐ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。
本発明に係る透明保護管(外ケーブル用の透明な樹脂製保護管)用材料としては、透明性、耐アルカリ環境亀裂性、耐傷付き性、可撓性、酸化劣化防止性、紫外線劣化防止性、耐圧性など本用途において重要な前記ABS系樹脂組成物の特性を損なわない限り、前記ABS系樹脂以外の熱可塑性合成樹脂等を溶融混練して用いることができる。このような合成樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどを例示できる。このような混合物中での前記ABS系樹脂の重量比は40重量%以上が好ましく、より好ましくは、50〜100重量%である。
本発明の外ケーブル用の透明な樹脂管の厚みは、構築物の種類、構築物の規模、プレストレストコンクリートを使用する部位、目的とする強度、樹脂管に挿入するPC鋼撚線などの鋼材並びにグラウトの量などによって、要求される強度に応じて決めればよく、これらによってまちまちなので一概に規定できないが、通常、3〜25mm程度の範囲から選定し、前記要求特性に応じて適宜の厚みとすればよい。
また、樹脂管が外層と内層とからなる複合構造を有する透明な樹脂製保護管としてもよい。その場合、外層は、前記した本発明のABS系樹脂組成物から成り、内層は前記外層に用いたABS系樹脂組成物より酸化劣化防止剤および紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の含有率を減少させたABS系樹脂組成物から成る複合構造を有する外ケーブル用の透明な樹脂製保護管とすることもできる。この場合には、比較的高価な酸化劣化防止剤および紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の使用量を少なくでき、より安価な外ケーブル用の透明な樹脂管を提供できる。
[実施例1〜107、比較例1〜124]
より、本発明の理解を容易にするために、特に本発明におけるABS系樹脂の基本的な代表例(実施例、比較例)をいくつか取り上げて、その重合法を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。理解を容易にするために、代表的ないくつかの例について説明する。
実施例においても、特に断らない限り前述した工程1〜工程5によるABS系樹脂組成物の製造方法を採用した。
工程1では、ブタジエンモノマー100部(「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。以下同様)、乳化剤として不均化ロジン酸カリウム3部、電解質として炭酸カリウム0.7部、イオン交換水100部、重合調節剤(分子量調節剤)としてドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部、重合温度60℃、重合時間40時間、重合率90%でポリブタジエンラテックスを製造した。
工程2では、ポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリル、更に必要に応じて第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部、の乳化グラフト重合を行うが、まず、初期の段階で、ポリブタジエンとスチレンとアクリロニトリルモノマーを重合容器に仕込むが、スチレンとアクリロニトリルのモノマーは、所望の量よりも少ない量で仕込み、残りの量のスチレン、アクリロニトリルモノマー並びに上述した必要に応じて第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部を連続的に重合容器に添加する連続添加乳化グラフト重合法を用いた。(この実施例では工程2の前記初期段階では、第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部は用いていないが、この段階で添加してもよい。)。
以下、すべての実施例、比較例においても同様に工程2の初期の段階ではポリブタジエンは全量使用し、最終的に、各成分の使用量がトータルで、所望の量になるようにすればよい。工程2の初期の段階でのポリブタジエンとその他のモノマーの合計使用量は、実施例67、79、比較例92、107を除き、各実施例と比較例では約55重量部、連続添加工程での第1、第2、第4〜第6モノマー成分の合計使用量は約45重量部の割合とした。なお、実施例67、79、比較例92、107においては、工程2の初期の段階でのポリブタジエンとその他のモノマーの合計使用量は、60重量部、連続添加工程での第1、第2、第4〜第6モノマー成分の合計使用量は40重量部の割合とした。
以下で特定の代表的な実施例、比較例を取り上げて、具体的数値で量的関係を詳細に記載したが、その他の実施例、比較例も、最終的に、各使用成分のトータル量が、所望の量になるように初期の段階の仕込み量と連続添加における仕込量の合計量が所望の量になるように連続添加乳化グラフト重合法を用いた。工程2で用いる実施例、比較例のポリブタジエンとスチレンとアクリロニトリルモノマー及び必要に応じて用いる第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部の使用割合を表1−1〜表1−33(以下これらの表を総称して「表1」と略称することあり)に示した。
このようにモノマーを重合系に連続添加することにより、重合系中のモノマー濃度がほぼ一定に保たれ、重合開始剤がポリブタジエンと接触する機会が多くなるので、グラフト率を高くすることができることと、重合中の発熱制御を容易にするメリットがある。
初期仕込み成分とその量は、ポリブタジエンと各モノマー成分(ここではスチレンとアクリロニトリル)合計55部に対し、イオン交換水100部、乳化剤としてオレイン酸ナトリウム0.5部、重合調節剤(分子量調節剤)としてドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.1部とピロリン酸ナトリウム0.4部とデキストローズ0.5部と硫酸第一鉄0.05部を加え、重合温度60℃、重合時間1時間で、ポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリルの乳化グラフト重合を行った。
続くモノマー連続添加乳化グラフト重合段階では、各モノマー成分合計45部、イオン交換水50部、乳化剤としてオレイン酸ナトリウム1.0部、重合調節剤(分子量調節剤)としてドデシルメルカプタン0.2部、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.2部を重合系のモノマー濃度がほぼ一定になるように添加し、重合温度70℃、重合時間2時間で、ポリブタジエンにスチレンとアクリロニトリル及び必要に応じて用いる第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部の乳化グラフト重合を行った。これにより、ポリブタジエンの外周にスチレンとアクリロニトリル及び必要に応じて用いる第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部をグラフト重合させたポリブタジエン含有率の高い本発明で用いるABS系樹脂成分の一部の原料樹脂(これを「プレABS系樹脂」と称する)のラテックスを製造した。
工程2で製造されたプレABS系樹脂はポリブタジエンの含有率が高すぎるので、工程3で望みの樹脂組成に修正するためのAS系樹脂ラテックスを作製した。
モノマーとして、[スチレンと第5成分の合計量75部、アクリロニトリルと第4成分並びに第6成分の合計量25部]、又は、[スチレンと第5成分の合計量71.4部、アクリロニトリルと第4成分並びに第6成分の合計量28.6部]、或いは、[スチレンと第5成分の合計量80部、アクリロニトリルと第4成分並びに第6成分の合計量20部](各実施例、比較例について表1の使用成分組成の欄参照)、イオン交換水100部、乳化剤としてオレイン酸ナトリウム1.0部、重合調節剤(分子量調節剤)としてドデシルメルカプタン0.2部、重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサイド0.2部を用い、重合温度75℃、重合時間3時間で、AS系樹脂ラテックスを作製した。
ABS樹脂やABS系樹脂は、AS樹脂ないしはAS系樹脂相を海成分とし、ポリブタジエンなどのゴム相を島成分とするいわゆる海島構造となるので、通常は、AS樹脂成分ないしはAS系樹脂成分とポリブタジエンなどのゴム成分を均一に分散するのは難しいが、上記のように、ポリブタジエンの周囲にスチレンとアクリロニトリル及び必要に応じて用いるラジカル重合可能な不飽和モノマーをグラフト重合させたポリブタジエンとAS系樹脂はよく混合できるので、工程2で製造されたプレABS系樹脂ラテックスと工程3で製造されたAS系樹脂ラテックスとの混合割合を調整することにより、望みの組成のABS系樹脂を製造することができる。
第4成分の添加の例としては、例えば、比較例50〜65及び実施例10〜24に記載のように、第3工程ではアクリロニトリルの代わりに、第4成分を用い、第1成分:第4成分の重量比=75:25の割合で乳化重合を行っている。
第4成分と第5成分を工程3に用いる例としては、例えば、比較例67〜79及び実施例35〜45に記載した。〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比=75:25の割合である。
また、第6成分と第5成分を工程3に用いる例としては、例えば、比較例97〜110及び実施例70〜81に記載した。
工程4では、工程2で得られた外周をスチレン、アクリロニトリル及び必要に応じて用いる第4成分の一部、第5成分の一部、第6成分の一部でグラフト重合させたポリブタジエン含有率の高いプレABS系樹脂ラテックスと工程3で製造されたAS系樹脂ラテックスとを均一に混合すると共に、必要な前記酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤を添加しブレンドする。
工程2〜4における組成は、目標とするABS系樹脂の組成によって調整する。代表的な例について、説明するが、表1から明らかである。
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(1)例えば実施例1のスチレン50%、アクリロニトリル15%、第4成分10%、ポリブタジエン25%の場合、工程2では初期組成および連続添加組成を合計して、スチレン25%、アクリロトリル25%、ポリブタジエン50%の組成となるように調整し、工程3では工程2と同重量で、且つスチレン75%、アクリロトリル5%、第4成分20%となるように調整することにより目標とする組成が得られる。
(2)次に実施例16のスチレン45%、アクリロトリル15%、第4成分10%、ポリブタジエン30%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン25%、アクリロトリル25%、ポリブタジエン50%の組成となるように調整し、工程3では工程2の重量60部に対し40部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン75%、第4成分25%となるように調整することにより目標とする組成が得られる。
(3)次に実施例22のスチレン40%、アクリロトリル15%、第4成分10%、ポリブタジエン35%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン28.3%、アクリロトリル20%、ポリブタジエン46.7%、第4成分5%の組成となるように調整し、工程3では工程2の重量75部に対し25部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン75%、第4成分25%となるように調整することにより目標とする組成が得られる。
(4)次に実施例35のスチレン42%、アクリロトリル15%、第4成分10%、第5成分10%、ポリブタジエン23%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン36.7%、アクリロトリル25%、ポリブタジエン38.3%の組成となるように調整し、工程3では工程2の重量60部に対し40部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン50%、第4成分25%、第5成分25%となるように調整することにより目標の組成が得られる。
(5)次に実施例37のスチレン32%、アクリロトリル25%、第4成分10%、第5成分10%、ポリブタジエン23%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン20%、アクリロトリル41.7%、ポリブタジエン38.3%の組成となるように調整し、工程3では工程2の重量60部に対し40部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン50%、第5成分25%、第4成分25%の組成となるよう調整することにより目標とする組成が得られる。
(6)次に実施例43のスチレン26%、アクリロトリル24%、第4成分10%、第5成分10%、ポリブタジエン30%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン23%、アクリロトリル32%、ポリブタジエン40%、第4成分5%となるように調整し、工程3では工程2の重量75部に対し25部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン35%、第5成分40%、第4成分25%の組成となるよう調整することにより目標とする組成が得られる。
(7)次に実施例61のスチレン45%、アクリロトリル15%、ポリブタジエン30%第6成分10%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン25%、アクリロトリル25%、ポリブタジエン50%、となるように調整し、工程3では工程2の重量60部に対し40部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン75%、第6成分25%の組成となるよう調整することにより目標とする組成が得られる。
(8)次に実施例76のスチレン35%、アクリロトリル15%、ポリブタジエン30%、第5成分10%、第6成分10%の場合、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン25%、アクリロトリル25%、ポリブタジエン50%、となるように調整し、工程3では工程2の重量60部に対し40部となる重量(合計して100部)とし、且つスチレン50%、第5成分25%、第6成分25%の組成となるよう調整することにより目標とする組成が得られる。
(9)次に実施例104のスチレン30%、アクリロトリル20%、ポリブタジエン23%、第5成分10%、第6成分10%、第7成分7%の場合、第7成分7%を除き、工程2の重量53部、工程3の重量40部とし、工程2では初期および連続添加組成を合計して、スチレン18.9%、アクリロトリル37.7%、ポリブタジエン43.4%、となるように調整し、工程3ではスチレン50%、第5成分25%、第6成分25%の組成となるよう調整して得られたABS系樹脂組成物を工程5まで製造した後、7重量%第7成分と混合し、溶融混練することにより目標とする組成が得られる。
尚、工程2においては、乳化剤として、オレイン酸ナトリウムを用いた例を挙げたが、その他の好ましい乳化剤としては、水添ロジン酸カリウムや、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩、ラウリン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウムなどを使用してもよい。
また、重合調節剤(分子量調節剤)としてドデシルメルカプタンを用いた例を挙げたが、その他の好ましい重合調節剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類、テルピノーレン、α−メチルスチレンダイマーなどを使用してもよい。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイドを用いた例を挙げたが、その他の好ましい重合開始剤としては、有機ハイドロパーオキサイドとピロリン塩と硫酸第一鉄とデキストローズを用いる処方のほかに、有機ハイドロパーオキサイドとエチレンジアミン誘導体とホルムアルデヒドスルホキシール酸ソーダを使用する処方も好ましい。
工程5では、凝固剤として冨田製薬株式会社製の硫酸マグネシウム10重量%水溶液中で75℃に加熱して凝固させた。
得られたABS系樹脂組成物を濾過し、水洗した後、100℃の熱風乾燥機で乾燥した。尚、凝固剤としては、硫酸マグネシウムのほかに、塩化カルシウムなどの塩や、硫酸、酢酸などの酸の水溶液を用いてもよいことは、前述のとおりである。また、乾燥には、熱風乾燥機のほかに、真空乾燥機などを用いてもよい。
第4成分、第5成分ないしは第6成分については、具体的に各実施例、比較例でいかなる化合物を用いたかは、表2−1〜表2−33(以下、総称して表2と略称することあり)に示した。得られるABS系樹脂組成物の組成、使用した酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤の種類、添加割合、使用した第7成分の種類、添加割合なども表2に示した。
第7成分のうち、エチレン・プロピレンゴムは、三井化学株式会社製の商品名“EPT”を用いた。これはエチレン、プロピレンを主成分とし、少量のジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネンを加えてチーグラー型触媒により共重合させて得られたエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である。
このエチレン・プロピレンゴムと、前記工程5で得られた乾燥ABS系樹脂をミキサーで混合し、溶融押出機で混練し押し出してペレットにして使用した。
尚、第7成分として、アクリロニトリルとエチレン−プロピレン−ジエンとスチレンの共重合物(AES樹脂と略称)が、日本エイアンドエル社から商品名“ユニブライト”で上市されており、これを用いて前記工程5で得られた乾燥ABS系樹脂をミキサーで混合し、溶融押出機で混練し押し出してペレットにして使用することも好ましい。
第7成分でアクリルゴムを使用した例の場合、アクリルゴムはアクリル酸エステルを主成分とし、架橋剤として、2−クロロエチルビニールエーテル、または、グリシジルアクリレートなどを用いて架橋結合して製造される。本実施例では、日本ゼオン株式会社製の商品名“ニポール”を用いた。このアクリルゴムと前記工程5で得られた乾燥ABS系樹脂をミキサーで混合し、溶融押出機で混練し押し出してペレットにして使用した。
外ケーブル用合成樹脂管が夏季の工場現場で工事が完了するまで40-45℃の高温の大気中に長期間さらされた場合、紫外線劣化及び酸化劣化を受けると共に、樹脂管内に長いPC鋼材を挿入する際、内壁に微小な傷付や潜在的な傷付を生じ、これがグラウト中のアルカリ成分およびセメント混和剤として添加された陰イオン界面活性剤等の化学作用により微小な亀裂にまで拡大し液状物質が漏洩することが起る。このようにアルカリ性成分の存在下でグラウトの内圧を受けた状態で起るアルカリ環境応力亀裂を検査するために、各実施例、比較例で得た樹脂管の評価に次の二つの試験方法を適用した。
(アルカリ環境応力亀裂試験)
試験方法はJIS K7108に規定されたプラスチックの薬品環境応力亀裂の試験方法(定引張応力法)に準じた。図5にJIS K7108の図2に記載された天びん形引張破断試験装置を示した。図5中、11は天秤、12は低摩擦軸受又はナイフエッジ、13はワイヤ取付部、14はワイヤ、15は恒温液循環口、16はつかみ具、17は試験片、18は試験液、19はおもり、20はタイマー用スイッチ、21はタイマーである。
試験片17には各実施例及び比較例の組成からなる樹脂組成物を用いて成形したプラスチック試験片を用いた。JIS K7108の第8項に規定されたJIS K7162において、試験片の厚みを5mm、その他の寸法、形状はJIS K7162の規定に従った。
試験液18は濃度1重量%の苛性ソーダ溶液を用い、温度を55℃±0.5℃に保つよう恒温液15を循環させた。おもり19にはプラスチック試験片に引張応力として5kg/cm2がかかる重量をのせた。この状態で100日間保持したのち、目視により割れ、ひび、亀裂等のアルカリ環境応力亀裂を測定した。
[アルカリ環境応力亀裂試験用に供する試験片の調整処理]
JIS K7162の規定に従って作製した試験片に、紫外線劣化、熱劣化を強制的に与えるため、JIS K7350−2 キセノンアーク光源による暴露試験法に準じ、太陽光の分光分布に近似した照射を与えるフィルターを着け、水の噴霧時間18分、水の噴霧停止時間102分のインターバルで間欠的に蒸留水を噴霧し、温度65±3℃の条件下で、21日間暴露した(暴露期間のみJIS K7350−2と異なる)。続いてJIS K7212熱可塑性プラスチックの熱安定性試験法に準じて、温度140±4℃の条件下に48時間放置した後、常温に戻した。このような紫外線劣化、熱劣化処理をした試験片を用いて、上記アルカリ環境応力亀裂試験を行った。
(傷付き後 アルカリ環境応力亀裂試験)
試験方法は樹脂管にPC鋼材を挿入する時に生ずる微小な損傷を一定の条件で傷をつける方法としてJIS K6761付属書1の図3に図示されているノッチ入れ治具を使用し、付属書1図6に示された刃(図示せず)を用いた。試験片は図4に示したが、各実施例及び比較例の組成からなる樹脂組成物を用いて成形した厚さ(C)が5mm、長さ(A)及び幅(B)はJIS K6761付属書1の4項の図7の表に記載の通りのプラスチック試験片を用い、付属書1の図7(本願の添付図4参照)のように、試験片の長さ方向に平行にノッチの深さ0.30mm、ノッチの長さ 19.1±0.1mmのノッチ(D)をつける。このノッチ傷を付けた試験片を用いて、上述したJIS K7108に準じたアルカリ環境応力亀裂試験法に従って、アルカリ環境応力亀裂試験の測定法を行う。試験液、温度、引張応力、測定期間は上記第1の試験方法と同様である。判定はノッチ傷の拡大、ひび、割れ、亀裂等の発生状態を目視で検査した。
[傷付き後 アルカリ環境応力亀裂試験用に供する試験片の調整処理]
JIS K6761付属書1の4項の図7に記載の通りの試験片に紫外線劣化、熱劣化を強制的に与えるため、前記アルカリ環境応力亀裂試験用に供する試験片の調整処理に記載した方法で、紫外線劣化、熱劣化処理をした試験片を用いて、上記の傷付き後アルカリ環境応力亀裂試験を行った。
(真空・加圧変形後耐漏洩試験方法)
厚さ8.4mm、内径80mm、長さ1000mmの樹脂製保護管の両端部に、外径80mm、厚さ35mmで耐アルカリ性に優れたエチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、EPDMと略称する)製の円筒状ゴム栓(中央部にPC鋼撚線を通過する孔を設けている)を装着させ、外径が15.2mmのPC鋼線12本を撚り合わせたPC鋼撚線を保護管内に貫通するように挿入する。PC鋼撚線を除く樹脂製保護管内の空隙率は56.7%である。かかる状態の樹脂製保護管の両端部のPC鋼線とPC鋼線、及び、PC鋼線と前記EPDMゴム栓との間の微小な隙間を塞ぐため、鋼線との接着性、防水性、気密性に優れた建築用の変性シリコーン系シーリング材(セメダイン株式会社製、商品名“POSシール”)を注入し、乾燥して樹脂製保護管の両端部を密封した。尚、前記樹脂製保護管には、前記樹脂製保護管内を真空、常圧、ないしは加圧するために、管の表面(外周面)側に、真空ポンプに連結するための開閉バルブ付きの連結ホース、常圧にするための開閉バルブ付きの連結ホース、及び、圧空用コンプレッサーに連結するための開閉バルブ付きの連結ホースが設けられている。
かかる樹脂管の内圧を−0.8〜−0.9kg/cm2の真空に保ち樹脂管を収縮変形させ1時間経過後管内圧を常圧を経由して圧力2kg/cm2に加圧し膨張変形させて1時間経過させる。常圧にもどしたのちアルカリ溶液(苛性ソーダ濃度1重量%)を常圧にするための前記連結ホースから注入し密閉して2kg/cm2の加圧下で24時間経過したのち、ひび、割れ、亀裂等による液体の漏洩の有無を調べる。
[真空・加圧変形後耐漏洩試験用に供する試験用樹脂管の調整処理]
紫外線劣化、熱劣化を強制的に与えるため、夏期7月と8月の2ヶ月間屋外(本試験では静岡県志太郡岡部町で行った)に試験用樹脂管を地面に対し水平に樹脂管同士が重ならないように放置することによって、紫外線劣化、熱劣化処理を行った後、上記真空・加圧変形後耐漏洩試験に供した。
[透明性評価用サンプルの調整処理]
JIS K−7361の全光線透過率、JIS K−7105のHaze(曇価)を測定するためのサンプルに、紫外線劣化、熱劣化を強制的に与えるため、前記アルカリ環境応力亀裂試験用に供する試験片の調整処理に記載した方法で、紫外線劣化、熱劣化処理をした後、透明性の評価を行った。
第1成分(スチレン)、第2成分(アクリロニトリル)、第3成分(ポリブタジエン)、第4成分、第5成分、第6成分、第7成分の組成、酸化劣化防止剤、および紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の添加率と、性能特性として透明性、耐アルカリ環境応力亀裂性(以後耐アルカリ亀裂と略す)、傷付き後耐アルカリ環境応力亀裂性(以後傷付き後耐アルカリ亀裂と略す)および真空・加圧・変形後の耐漏洩性(以後変形後耐漏洩性と略す)の評価結果を表2(表2−1〜表2−33)に示した。組成比は酸化劣化防止剤と紫外線吸収剤を除いた第1成分(スチレン)、第2成分(アクリロニトリル)、第3成分(ポリブタジエン)、第4成分、第5成分、第6成分および第7成分の重量合計を100重量%とした。酸化劣化防止剤および紫外線吸収剤の添加率は前述の第1〜第7成分合計重量100重量%に対する重量%で表わした。各表中、各実施例、比較例の番号の下に記載の数値は、量比率(11)/(12)の欄を除いて、上述した各成分の添加率の重量%を示す数値である。
評価方法と評価点:
評価点で、×は不合格、△は効果は認められるが合格に達しない、○は合格、◎は特にすぐれていることを示す。
(1)透明性の評価の第1は、JIS K−7361の全光線透過率の値が89.1〜100を◎、89〜80を○、79.9〜75を△、75未満を×と評価した。
透明性の評価の第2は、JIS K−7105のHaze(曇価)の値が3以下を◎、3より大きく12以下を○、12より大を△、但し、Haze(曇価)が12より大でも、全光線透過率が75未満の場合には×と評価した。
この第1と第2の透明性の評価のうちいずれか良好な方の評価を評価点として採用した。
(2)耐アルカリ環境応力亀裂性は、JIS K7108の規定による本来の評価が240時間後評価するのに対し、本発明における評価は、前述したように試験期間100日間後の評価であり、試験期間が長いので、次の基準で評価した。
◎:スジ割れ発生なし。
○:長さ方向に3mm未満の長さで幅0.3mm以下の微小傷発生。
△:長さ方向に3〜6mmの長さで幅0.3mmを超え0.5mm未満の傷発生。
×:長さ方向に6mmを超える長さで幅0.5mm以上の傷発生。
(3)傷つき後耐アルカリ環境応力亀裂性は、JIS K7108による試験期間が100時間後及びJIS K6761の規定による試験期間が240時間後の評価に比べて、本発明における評価は、前述したように試験期間100日間後の評価であり、試験期間が長いので、次の基準で評価した。
試験スタート時の19.1mmの傷長さ(ノッチ(D)の長さ)に対し、試験期間100日間後において、
◎:傷が全く拡大しない。
○:傷の大きさが長さ方向に23mm未満の長さで幅0.5mm以下の場合。
△:傷の大きさが長さ方向に23〜25mmの長さで幅0.5mmを超え0.7mm以下の場合。
×:傷の大きさが、長さ方向に25mmを超えるか、又は、幅0.7mmを超えた場合。
(4)真空・加熱後耐漏洩試験の判定
◎:全く漏洩がなく、膨らみやへこみ部がないもの。
○:全く漏洩がなく膨らみやへこみ部の最大方向の長さが20mm未満で、管直径方向の膨らみやへこみ部の大きさが2mm未満の場合。
△:洩れがにじむ程度で、膨らみやへこみ部の最大方向の長さが20mm以上35mm以下で、管直径方向の膨らみやへこみ部の大きさが2〜3mmの場合。
×:洩れが発生した場合。
第4成分の添加率と透明性の関係を比較例1〜12に示した。添加率が3%で効果が認められ、5%以上で合格、15%以上で特にすぐれるが、20%以上では曲げ疲労性が低下し、真空、加圧変形後の耐漏洩性が不良となるので第4成分の添加率は5〜20重量%が好ましい。しかし、これらの比較例の如く、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤及び/または光安定剤なしでは透明性以外の特性は合格しない。
酸化劣化防止剤の種類と添加率について比較例13〜35に示した。
各表中、「M−4」はモノフェノール系酸化劣化防止剤のステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート、「K−3」は高分子型フェノール系酸化劣化防止剤のテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、「P−3」はリン系酸化劣化防止剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを示している。M−4、K−3、P−3単独では1.5%添加で耐アルカリ亀裂に効果が認められるが、M−4とP−3、K−3とP−3の併用では各0.5%で効果が認められ併用効果がある。耐アルカリ亀裂の合格レベルは単独では各2%であるが併用では「M−4」0.5%+「P−3」0.7%で合格、「K−3」0.5%+「P−3」0.7%で合格となり併用効果がある。また、後述するように、紫外線吸収剤及び/または光安定剤との併用により、酸化劣化防止剤の添加率は1%以上で合格する。酸化劣化防止剤の添加率が1%未満では効果が不十分であり、5%より多い場合は着色するので、酸化劣化防止剤の含有率は、樹脂重量基準で1〜5重量%が好ましい。
紫外線吸収剤ないし光安定剤の種類と添加率および酸化劣化防止剤との併用について、比較例36〜49及び実施例1〜9に示した。
各表中、「BT−1」はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、「CA−1」はシアノアクリレート系紫外線吸収剤:2エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、「BP−3」はベンゾフェノン系紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、「HALS−1」はヒンダードアミン系光安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを示している。
酸化劣化防止剤2種以上の併用、酸化劣化防止剤と紫外線吸収剤ないし光安定剤との併用、紫外線吸収剤ないし光安定剤の2種以上の併用などの組み合わせにより、実施例9では酸化劣化防止剤M−4を0.5%、P−3を0.5%、計1%、紫外線吸収剤BT−1を0.25%、BP−3を0.25%、計0.5%の添加で耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂、真空・加圧・変形後耐漏洩性についていずれも合格した。
紫外線吸収剤ないし光安定剤0.5%未満では、効果が不十分であり、5%より多い場合には酸化劣化防止剤の場合と同様に着色しやすい。よって紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の含有率は、樹脂重量基準で0.5〜5重量%が好ましい。
ポリブタジエンの効果については前述したが、その添加率の影響について比較例50〜65、実施例10〜24に示した。ポリブタジエン含有率22.5%以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不合格、36%以上では耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂で不合格となる。ポリブタジエンの含有率(重量%)をxとし、[スチレン]対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をyとした場合、yが1.0以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不良であり、y>−0.045x+3.45では、耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が劣るので好ましくない。したがって、
数式(1): −0.045x+3.45>y>1.0
但し、 36>x>22.5
を満足する範囲が好ましい。この範囲を図6に示した。尚、図6においてStはスチレンを示し、ANはアクリロニトリルを示す。
第5成分の耐熱性付与効果については前述した。第5成分の種類と添加率の影響について実施例25〜45、比較例66〜79に示した。耐アルカリ環境亀裂は含有率7%未満では効果が顕著でなく、7%以上で特に優れているが、20%を超えると可撓性、耐衝撃性が減少し、真空・加圧・変形後耐漏洩性が悪化するので、第5成分の含有率は樹脂重量基準で7〜20重量%が好ましい。ポリブタジエン含有率が22.5%以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不合格となり、36%以上では耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂で不合格となる。
ポリブタジエンの含有率(重量%)をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をzとした場合に、zが1.0以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不良であり、z>−0.045x+3.45では耐アルカリ環境亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が劣るので好ましくない。したがって、
数式(2): −0.045x+3.45>z>1.0
但し、 36>x>22.5
を満足する範囲が好ましい。この範囲を図7に示した。尚、図7においてStはスチレンを示し、ANはアクリロニトリルを示す。
第6成分の可撓性付与効果については前述した。実施例46〜69、比較例80〜96に示した。第6成分の添加率7%未満では効果が顕著でなく、7%以上では真空・加圧・変形後耐漏洩性が特に優れている。20%を超えると曲げ疲労性が低下し、真空・加圧・変形後耐漏洩性が低下する。したがって第6成分の含有率は、樹脂重量基準で7〜20重量%が好ましい。ポリブタジエン含有率が22.5%以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性で不合格となり、36%以上では耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が不合格となる。
ポリブタジエンの含有率(重量%)をxとし、〔スチレン〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をwとした場合に、wが1.0以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不良であり、w>−0.045x+3.45では耐アルカリ環境亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が劣るので好ましくない。したがって、
数式(3): −0.045x+3.45>w>1.0
但し、 36>x>22.5
を満足する範囲が好ましい。この範囲を図8に示した。尚、図8においてStはスチレンを示し、ANはアクリロニトリルを示す。
尚、第6成分は第4成分と同様の透明性付与の機能も有することは前述したが、これを実施例46〜54に示した。
第5成分と第6成分の併用効果については前述したが、第5成分と第6成分を併用した例を実施例70〜81、比較例97〜110に示した。
実施例73〜76及び79、80において傷つき後耐アルカリ亀裂は、◎の評価であり、第5成分単独、第6成分単独に比べて両者の併用効果が顕著に表れている。
ポリブタジエン含有率が22.5%以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性で不合格となり、36%以上では耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が不合格となる。
ポリブタジエンの含有率(重量%)をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をtとした場合に、tが1.0以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不良であり、t>−0.045x+3.45では耐アルカリ環境亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が劣るので好ましくない。したがって、
数式(4): −0.045x+3.45>t>1.0
但し、 36>x>22.5
を満足する範囲が好ましい。この範囲を図9に示した。尚、図9においてStはスチレンを示し、ANはアクリロニトリルを示す。
第7成分の効果については前述した。第7成分を添加した例として、実施例83〜96、比較例111に示した。
第7成分の含有率が7%未満では効果が顕著でなく、7%以上では真空・加圧・変形後耐漏洩性が特に優れている。しかし15%以上では透明性が不合格となるので、第7成分の含有率は、樹脂重量基準で7〜14重量%が好ましい。
また、第7成分の耐紫外線性、耐酸化劣化性により実施例89では紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を0.25%に減らし、また、実施例90、95では、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が0%でも合格である。
よって、第7成分と酸化劣化防止剤の共存下では、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の含有率を3重量%以下、すなわち3〜0重量%とすることができる。
第5成分、第6成分および第7成分の併用効果については前述した。第5成分、第6成分および第7成分の併用例について、実施例97〜107、比較例112〜124に示した。
第5成分と第6成分の併用の実施例に比べて、比較例115、123、124において、傷つき後耐アルカリ亀裂が×から△に向上している。合格範囲の実施例では、耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂、真空・加圧・変形後耐漏洩性とも◎が多く、第5成分と第6成分の併用効果より以上に向上していても、◎を超える評価基準がないので、評価点の上では差が明確に現れていない。
[ポリブタジエンと第7成分の和]の含有率が22.5%以下では、真空・加圧・変形後耐漏洩性が不合格となり、36%以上では耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が不合格である。
[ポリブタジエンと第7成分の和]の重量%をsとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をpとした場合に、pが1.0以下では真空・加圧・変形後耐漏洩性が不良であり、p>−0.045s+3.45では、耐アルカリ亀裂、傷つき後耐アルカリ亀裂が劣る。
したがって、次の数式(5)を満足する範囲が好ましい。
数式(5): −0.045s+3.45>p>1.0
但し、 36>s>22.5
この範囲を図10に示した。尚、図10においてStはスチレンを示し、ANはアクリロニトリルを示す。
Figure 2006233437
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次に本発明で言うABS系樹脂とそれ以外の熱可塑性合成樹脂とをチップブレンド後溶融混練した樹脂を用いた実施例を実施例108〜110に示した。
[実施例108]
表3及び表4の実施例番号108Aに記載のABS系樹脂組成物75重量%とポリカーボネート(帝人化成株式会社製商品名“バンライト”)25重量%をチップブレンド後溶融混練した樹脂組成物を用いた。表3は、ポリカーボネートをブレンドする前のABS系樹脂組成物の表1に対応する表であり、また表4もポリカーボネートをブレンドする前のABS系樹脂組成物の表2に対応する表(但し評価の部分はない)である。評価結果は、透明性、耐アルカリ環境応力亀裂性、傷付き後耐アルカリ環境応力亀裂性および真空・加圧・変形後の耐漏洩性のいずれも○であった。しかし、ポリカーボネートの含有率を50重量%にまで増加すると、透明性以外の評価結果は不合格であった。
尚、実施例番号108Aに記載のABS系樹脂組成物は第5成分、第6成分を含有している樹脂組成物である。
Figure 2006233437
Figure 2006233437
[実施例109]
実施例62に記載のABS系樹脂組成物70重量%と中密度ポリエチレン(三井化学株式会社製商品名“ネオゼックス”)30重量%をチップブレンド後溶融混練した樹脂組成物を用いた。評価結果は、透明性、耐アルカリ環境応力亀裂性、傷付き後耐アルカリ環境応力亀裂性および真空・加圧・変形後の耐漏洩性のいずれも○であった。しかし、中密度ポリエチレンの含有率を55重量%にまで増加すると、透明性で不合格となった。
尚、実施例62に記載のABS系樹脂組成物は第5成分は含有せず、第6成分を含有している樹脂組成物である。
[実施例110]
実施例62に記載のABS系樹脂組成物75重量%とポリプロピレン(三井化学株式会社製商品名“三井ポリプロ”)25重量%をチップブレンド後溶融混練した樹脂組成物を用いた。評価結果は、透明性、耐アルカリ環境応力亀裂性、傷付き後耐アルカリ環境応力亀裂性および真空・加圧・変形後の耐漏洩性のいずれも○であった。しかし、ポリプロピレンの含有率を55重量%にまで増加すると、透明性で不合格となった。
以上から、本発明で言うABS系樹脂組成物とそれ以外の熱可塑性合成樹脂とをブレンドする場合、ABS系樹脂組成物の含有率は、40重量%以上が好ましく、より好ましくは、50〜100重量%である。
本発明の外ケーブル用の樹脂製保護管は、
(a)ケーブル保護管内部に気泡や空気層が生じていないか監視しつつ、グラウトを充填できる。その結果、PC鋼線などの鋼材の錆腐蝕によるトラブルを防止できる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管を提供できる。
(b)夏季の工事現場で工事が完了するまでに40〜45℃の高温の大気中にさらされた場合、紫外線劣化、酸化劣化に耐えられる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管を提供できる。
(c)アルカリ性であるグラウトを充填したときの内圧に耐え、且つ、アルカリ環境亀裂を防止できる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管を提供できる。
(d)PC鋼線などの鋼材の挿入時に生じる、樹脂管の微小な傷つきが、アルカリ性であるグラウトの存在のもとにPC鋼線などの鋼材を緊張した時の荷重や、グラウトを充填した時の内圧に耐え、損傷が生じにくい外ケーブル用の透明な樹脂製保護管を提供できる。
(e)真空ないしは加圧時の変形、及び、樹脂管を曲げて配管する際などに受ける応力に耐える可撓性を有し、亀裂や漏洩のトラブルが生じにくい外ケーブル用の透明な樹脂製保護管を提供できる。
したがって、本発明の樹脂性保護管は、プレストレストコンクリート構造物の構築の際のポストテンション工法やプレテンション工法において緊張線材として用いられるPCケーブルの保護用合成樹脂管として有用である。
PC桁橋の一部の縦断面図。 PC鋼撚線からなるケーブルとグラウトが充填されたケーブル保護用合成樹脂管の長さ方向に対し直角方向の断面図。 アイオノマー樹脂の示差走査熱量分析(DSC)チャート。 傷付き後アルカリ環境応力亀裂試験の試験片を説明するための斜視図。 JIS K7108の図2に記載された天びん形引張破断試験装置。 本発明の好ましい樹脂組成範囲を示す数式(1)のグラフ。 本発明の別の態様の好ましい樹脂組成範囲を示す数式(2)のグラフ。 本発明の更に別の態様の好ましい樹脂組成範囲を示す数式(3)のグラフ。 本発明の更に別の態様の好ましい樹脂組成範囲を示す数式(4)のグラフ。 本発明の更に別の態様の好ましい樹脂組成範囲を示す数式(5)のグラフ。
符号の説明
1 横桁
2 ケーブル保護用合成樹脂管(3)の貫通孔
3 樹脂管
4 ケーブル
5 主桁
6 グラウト
11 天秤
12 低摩擦軸受又はナイフエッジ
13 ワイヤ取付部
14 ワイヤ
15 恒温液循環口
16 つかみ具
17 試験片
18 試験液
19 おもり
20 タイマー用スイッチ
21 タイマー

Claims (8)

  1. プレストレストコンクリート用緊張材を収容し、かつ充填材を充填した場合に、前記充填材の充填状態を、外側から目視できる透明なABS系樹脂組成物からなる樹脂製保護管であって、前記樹脂製保護管を構成するABS系樹脂が、少なくとも、第1成分としてスチレン、第2成分としてアクリロニトリル、第3成分としてポリブタジエン、並びに第4成分として化学式(1)に示すメタクリル酸アルキルエステル化合物、から製造されるABS系樹脂で構成され、
    Figure 2006233437
    前記第3成分は前記樹脂重量基準で22.5重量%より大きく36重量%未満含有し、第4成分は共重合成分として前記樹脂重量基準で5〜20重量%含有しており、
    前記ABS系樹脂は、更に
    (a)モノフェノール系、ビスフェノール系、または高分子フェノール系のフェノール系酸化劣化防止剤、及び(b)リン系酸化劣化防止剤、からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化劣化防止剤を前記樹脂重量基準で1〜5重量%含有し、
    更に(c)紫外線吸収剤としてサリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤及び/または(d)ヒンダードアミン系光安定剤を前記樹脂重量基準で0.5〜5重量%含有した
    ABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
  2. 前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、[スチレン]対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をyとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(1)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂である請求項1に記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
    数式(1): −0.045x+3.45>y>1.0
    但し、 36>x>22.5
  3. 前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に第5成分として化学式(2)に示すα‐アルキルスチレン、または、
    Figure 2006233437
    N-フェニルマレイミドを共重合成分として前記樹脂重量基準で7〜20重量%含有し、前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分の和〕の重量比をzとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(2)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂である請求項1または2のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
    数式(2): −0.045x+3.45>z>1.0
    但し、 36>x>22.5
  4. 前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に第6成分として化学式(3)に示すメタクリル酸アルキルエステルを共重合成分として前記樹脂重量基準で7〜20重量%含有し、
    Figure 2006233437
    前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、[スチレン]対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をwとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(3)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂である請求項1または2のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
    数式(3): −0.045x+3.45>w>1.0
    但し、 36>x>22.5
  5. 前記ABS系樹脂が、前記第1成分〜第4成分と共に請求項3記載の第5成分及び請求項4記載の第6成分を共重合成分として含有し、
    前記樹脂重量基準でポリブタジエンの重量%をxとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をtとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(4)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂である請求項1または2のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
    数式(4): −0.045x+3.45>t>1.0
    但し、 36>x>22.5
  6. プレストレストコンクリート用緊張材を収容し、かつ充填材を充填した場合に、前記充填材の充填状態を、外側から目視できる透明なABS系樹脂組成物からなる樹脂製保護管であって、前記樹脂製保護管を構成するABS系樹脂が、請求項1に記載の第1成分、請求項1に記載の第2成分、請求項1に記載の第3成分、請求項4に記載の第6成分単独又は前記第6成分と請求項1に記載の第4成分との併用、請求項3に記載の第5成分、から製造され、且つ、更に第7成分としてエチレン・プロピレンゴムまたはアクリルゴムを含有するABS系樹脂で構成され、
    前記第6成分単独又は前記第6成分と第4成分との合計が前記樹脂重量基準で7〜20重量%、第5成分を前記樹脂重量基準で7〜20重量%、更に第7成分を前記樹脂重量基準で7〜14重量%含有し、前記第3成分のポリブタジエンと前記第7成分の合計重量が前記樹脂重量基準で22.5重量%より多く36重量%未満であり、
    前記ABS系樹脂は、更に請求項1に記載の酸化劣化防止剤を前記樹脂重量基準で1〜5重量%含有し、
    請求項1に記載の紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤を含有しないか、又は、前記樹脂重量基準で3重量%未満含有した
    ABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
  7. 前記樹脂重量基準でポリブタジエンと第7成分の合計重量%をsとし、〔スチレンと第5成分の和〕対〔アクリロニトリルと第4成分と第6成分の和〕の重量比をpとした場合に、前記ABS系樹脂が次の数式(5)を満足する範囲内の組成のABS系樹脂である請求項6に記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
    数式(5): −0.045s+3.45>p>1.0
    但し、 36>s>22.5
  8. 前記ABS系樹脂組成物の含有量が、前記樹脂製保護管を構成する樹脂組成物の40重量%以上である請求項1〜7のいずれかに記載のABS系樹脂組成物よりなる外ケーブル用の透明な樹脂製保護管。
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