JP2016203517A - コンクリート積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】はく落防止性能と耐久性を有するコンクリート積層体の提供。【解決手段】下記工程により形成するコンクリート積層体。第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。繊維シート積層体は、B層の一方の面にA層を積層し、B層の他方の面に繊維シートを貼り付けた繊維シート積層体であり、A層、B層、繊維シートの順に積層する積層体であることが好ましい。【選択図】図2
Description
本発明は、コンクリート積層体に関する。例えば、鉄道及び道路等の橋梁、高架道路、トンネル、建築物等のコンクリート構造物からコンクリート片のはく落を防止するコンクリート積層体に関する。
コンクリート構造物は、塩害や中性化等により鋼材が腐食し、その際の膨張圧によりコンクリート構造物に亀裂が生じ、その表層部からコンクリート片がはく落することが問題となっており、このような問題を解決するために種々のはく落防止工法が提案されている。その多くは、補修を必要とする対象となるコンクリート構造物表面に接着剤を用いて繊維シートを接着してコンクリート構造物からコンクリート片がはく落しないようにする工法である。通常、コンクリート表面を洗浄・目粗し後、プライマーを塗布しネット状の繊維シートを貼り付け、接着剤を硬化させ、更に、紫外線劣化が懸念される屋外においては耐候性を有する塗料を塗る方法が行われている。コンクリート表面に不陸や気泡が多いときは、表面を平滑にするために繊維シートを貼る前に調整材を施工する場合もある。はく落防止工法の工程としては、(1)洗浄・目粗し工程、(2)プライマー工程、(3)下塗り工程、(4)繊維シート接着工程、(5)上塗り工程、(6)耐候性塗料塗布工程(1〜2回)の6〜7工程(不陸調整工があれば7〜8工程)が挙げられる。この工程は、多くの作業からなる工事となり、下記に示す課題があった。
1)使用する材料の種類が多く、工程数も多いため施工費が高くなる。
2)繊維シートへの接着剤の含浸作業に熟練を要し、含浸が不十分であると繊維シートと接着剤との間に気泡が残り、コンクリート構造物の表面と繊維シートとの接着力が低下し、はく落防止効果が十分に発揮されなくなる。
3)接着樹脂の含浸作業時に接着樹脂が垂れたり、飛散したりして周囲を汚すおそれがある。
4)屋外構造物の補修の場合、太陽光等からの紫外線による劣化防止用の保護塗装が必要となり、施工手間が増える。
1)使用する材料の種類が多く、工程数も多いため施工費が高くなる。
2)繊維シートへの接着剤の含浸作業に熟練を要し、含浸が不十分であると繊維シートと接着剤との間に気泡が残り、コンクリート構造物の表面と繊維シートとの接着力が低下し、はく落防止効果が十分に発揮されなくなる。
3)接着樹脂の含浸作業時に接着樹脂が垂れたり、飛散したりして周囲を汚すおそれがある。
4)屋外構造物の補修の場合、太陽光等からの紫外線による劣化防止用の保護塗装が必要となり、施工手間が増える。
このような課題を解決する工法が提案されている。
例えば、繊維糸ネットと不織布が貼り合わされて一体化されていることを特徴とするコンクリート剥落防止シート(特許文献1)、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した、常温で可撓性を有するFRPシートからなる繊維シートをコンクリート構造物に貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂を塗り付けて、この接着樹脂が塗られたシートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける繊維シートの接着工法(特許文献2)、保護層と接着剤塗布層とを接着するとともに接着剤塗布層のコンクリート構造物への接着面に接着剤層を形成したことを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止用シート(特許文献3)が提案されている。セメント成形物に補強用基材層及びフッ化ビニリデンのホモポリマー及び共重合体から選ばれたフッ素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積層体を積層してなることを特徴とするフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物(特許文献4)が記載されている。
フッ素樹脂系耐候フィルムとして、フッ化ビニリデン系樹脂95〜50重量部及びメタクリル酸エステル系樹脂5〜50重量部を主成分とする組成物(A)を表面層とし、メタクリル酸エステル系樹脂95〜5重量部、フッ化ビニリデン系樹脂5〜95重量部及び紫外線吸収剤0.1〜15重量部を主成分とする組成物(B)を裏面層とすることを特徴とするフッ素樹脂系耐候フィルム(特許文献5)が記載されている。
例えば、繊維糸ネットと不織布が貼り合わされて一体化されていることを特徴とするコンクリート剥落防止シート(特許文献1)、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した、常温で可撓性を有するFRPシートからなる繊維シートをコンクリート構造物に貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂を塗り付けて、この接着樹脂が塗られたシートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける繊維シートの接着工法(特許文献2)、保護層と接着剤塗布層とを接着するとともに接着剤塗布層のコンクリート構造物への接着面に接着剤層を形成したことを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強・劣化防止用シート(特許文献3)が提案されている。セメント成形物に補強用基材層及びフッ化ビニリデンのホモポリマー及び共重合体から選ばれたフッ素系樹脂を主成分とするフィルムからなる積層体を積層してなることを特徴とするフッ素樹脂系フィルム被覆セメント成形物(特許文献4)が記載されている。
フッ素樹脂系耐候フィルムとして、フッ化ビニリデン系樹脂95〜50重量部及びメタクリル酸エステル系樹脂5〜50重量部を主成分とする組成物(A)を表面層とし、メタクリル酸エステル系樹脂95〜5重量部、フッ化ビニリデン系樹脂5〜95重量部及び紫外線吸収剤0.1〜15重量部を主成分とする組成物(B)を裏面層とすることを特徴とするフッ素樹脂系耐候フィルム(特許文献5)が記載されている。
特許文献1は、繊維糸ネットを不織布に貼り合せ積層させたものであり、耐候性のある積層体と貼り合せたものではなく、屋外使用時には、耐候性のある塗料を別途塗布する必要があり工程数が増加する課題があった。
特許文献2は、補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付けることについて記載がない。
特許文献3は、耐候性、防汚性、防水性や遮塩性等の機能を付与する外層に、フッ素系樹脂を使用することが記載されている。しかし、積層方法はラミネート用の接着剤を使用して外層と補強層(繊維シート)を接着する方法であり、更に、コンクリート面との接着側に不織布からなる貼付け層が積層された構造である。この工法は、フッ素系樹脂を外層に使用しているがラップするときの方法が明記されていない。フッ素系樹脂層を外層に持つ場合、積層体どうしを貼り合わせることは特性上難しく、一次的に貼り付けられてもはく離する現象が生じる場合があった。
特許文献4は、コンクリート片のはく落対策としての用途に関する記述がない。
特許文献5は、コンクリート積層体に関する記述がない。
特許文献2は、補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付けることについて記載がない。
特許文献3は、耐候性、防汚性、防水性や遮塩性等の機能を付与する外層に、フッ素系樹脂を使用することが記載されている。しかし、積層方法はラミネート用の接着剤を使用して外層と補強層(繊維シート)を接着する方法であり、更に、コンクリート面との接着側に不織布からなる貼付け層が積層された構造である。この工法は、フッ素系樹脂を外層に使用しているがラップするときの方法が明記されていない。フッ素系樹脂層を外層に持つ場合、積層体どうしを貼り合わせることは特性上難しく、一次的に貼り付けられてもはく離する現象が生じる場合があった。
特許文献4は、コンクリート片のはく落対策としての用途に関する記述がない。
特許文献5は、コンクリート積層体に関する記述がない。
本発明は、上記課題を解決するため、十分なはく落防止性能と耐久性を有するコンクリート積層体を提供する。
本発明は、下記工程により形成するコンクリート積層体であり、
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。
互いの繊維シート積層体が重ならないように貼り合わせる該コンクリート積層体であり、
補強用繊維シートがネット状である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体の繊維シートがネット状である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体が下記である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体は、B層の一方の面にA層を積層し、B層の他方の面に繊維シートを貼り付けた繊維シート積層体であり、A層、B層、繊維シートの順に積層する積層体である。繊維シート積層体の繊維シート側を、補強用繊維シートの上に貼り付ける。A層はポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有する樹脂組成物であり、B層はポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有し、更に紫外線吸収剤をB層に含有する樹脂組成物である。
接着剤が常温硬化型アクリル系樹脂組成物である該コンクリート積層体であり、
該コンクリート積層体を用いるコンクリート片のはく落防止構造であり、
下記順序の工程により行う繊維シート積層体の施工方法であり。
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。
該繊維シート積層体の施工方法を用いるコンクリート片のはく落防止工法である。
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。
互いの繊維シート積層体が重ならないように貼り合わせる該コンクリート積層体であり、
補強用繊維シートがネット状である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体の繊維シートがネット状である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体が下記である該コンクリート積層体であり、
繊維シート積層体は、B層の一方の面にA層を積層し、B層の他方の面に繊維シートを貼り付けた繊維シート積層体であり、A層、B層、繊維シートの順に積層する積層体である。繊維シート積層体の繊維シート側を、補強用繊維シートの上に貼り付ける。A層はポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有する樹脂組成物であり、B層はポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有し、更に紫外線吸収剤をB層に含有する樹脂組成物である。
接着剤が常温硬化型アクリル系樹脂組成物である該コンクリート積層体であり、
該コンクリート積層体を用いるコンクリート片のはく落防止構造であり、
下記順序の工程により行う繊維シート積層体の施工方法であり。
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。
該繊維シート積層体の施工方法を用いるコンクリート片のはく落防止工法である。
本発明のコンクリート積層体により、品質が安定するので、現場施工を行った際の各種特性のばらつきが小さく、高品質な施工を行うことができる。
本発明でいうアクリル系とは、例えば、(メタ)アクリル系をいうこともある。(メタ)アクリル系とは、例えば、アクリル基やメタクリル基を有する化合物をいう。
本発明のコンクリート積層体としては、以下の工程から形成することが挙げられる(側面図は図1、図2参照)。第1工程として、コンクリート構造物表面に第1層となる接着剤を塗布する。ここで接着剤としては、低粘度であるタイプや高粘度であるタイプ等が挙げられる。これらを併用することも可能である。低粘度であるタイプはコンクリート躯体に含浸しやすい。高粘度であるタイプは含浸性が期待できないが、1回塗布後の塗り厚を確保できる。
この工程の前に、必要であればコンクリート表面を洗浄したり、亀裂を塞ぐために、不陸、段差を修正し平滑にしたりする等といった、洗浄・目粗しの対処をしておくことが好ましい。第1層となる接着剤としては、市販されているものが使用できる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリマーセメント系材料からなる群のうちの1種以上を用いることができる。接着剤には、性能に影響がでない範囲で、揺変剤、顔料、消泡剤、希釈剤、硬化速度調整剤等を加えることもできる。これらの中では、施工性、繊維シート積層体との接着強度等の物性の点で、アクリル系接着剤が好ましい。第1層の接着剤の好ましい塗布量の範囲は0.1〜1.0kg/m2が好ましく、0.2〜0.5kg/m2がより好ましい。第1層の接着剤の塗布方法は特に限定されるものではないが、例えば、ローラー、刷毛、コテ、ヘラ等を用いることができる。
第2工程として、第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。繊維シート積層体が重なる部分に補強用繊維シートを貼り付けることが好ましい。補強用繊維シートは繊維シートのみからなることが好ましい。繊維シートの詳細は、前述と同様である。補強用繊維シートの幅は、ラップが確保できる幅であればよく、2〜50cmの幅であれば良い。2cm未満だと、ラップしても補強効果が得られない可能性があり、50cmを超えると、重なる幅が多くなるので使用する補強用繊維シートや繊維シート積層体の使用量が増えコスト高になる可能性がある。ラップ部分とは、例えば、互いの繊維シート積層体の端部同士が、補強用繊維シートの上に貼り合わせられるが、互いの繊維シート積層体が重ならないように貼り合わせる部分をいう。補強用繊維シートを貼る際は、ローラー、刷毛、コテ、ヘラ等を用いて、補強用繊維シートにしわやねじれ等が発生しないように、更に、均一に接着剤が補強用繊維シートに行き渡るように注意して貼り付ける。
第3工程として、補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。繊維シート積層体を補強用繊維シートのみ貼り付けた部分に両方向から重ねて貼り付けることが好ましい。重ねる幅は等分幅が好ましいが、施工部位によっては等分幅が確保できない場合があるので特に限定しなくても良い。重ねる部分に接着剤を再度塗布して貼り付けても良い。繊維シート積層体を、補強用繊維シートやコンクリート構造物の表面に貼る際は、ローラー、刷毛、コテ、ヘラ等を用いて、繊維シート積層体にしわやねじれ等が発生しないように、更に、均一に接着剤が繊維シート積層体に行き渡るように注意して貼り付ける。
第4工程として、よりはく落時の安全性を考慮して、コンクリート構造物表面に接着した繊維シート積層体を通常市販されているアンカーピンで固定しても良い。
本発明のアクリル系接着剤としては、常温硬化型アクリル系樹脂組成物が特に好ましい。常温硬化型アクリル系樹脂組成物としては、(メタ)アクリレート、重合開始剤及び分解促進剤を含有する樹脂組成物が好ましい。例えば、特開平9−302053号公報に開示された1分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレート、熱ラジカル重合開始剤、及び、熱ラジカル重合開始剤の分解を促進する分解促進剤を含有する接着剤が使用できる。
本発明の繊維シート積層体は、A層、B層、繊維シートから構成することが好ましい。本発明の繊維シート積層体は、B層の一方の面にA層を積層し、B層の他方の面に繊維シートを貼り付けた繊維シート積層体であり、A層、B層、繊維シートの順に積層する積層体であることが好ましい。繊維シート積層体の繊維シート側を、補強用繊維シートの上に貼り付けることが好ましい。A層はポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有する樹脂組成物であり、B層はポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有し、更に紫外線吸収剤をB層に含有する樹脂組成物であることが好ましい。
以下、ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体は、A層とB層の積層体であり、繊維シートを除く積層体である。
以下、ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体は、A層とB層の積層体であり、繊維シートを除く積層体である。
本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)とは、フッ化ビニリデンのホモポリマー、又は、フッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体をいう。共重合可能な単量体としては、例えば、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル等が挙げられる。これらの中では、耐久性の点で、フッ化ビニリデンのホモポリマーが、好ましい。
本発明のポリメタクリル酸エステル系樹脂(PMMA)とは、メタクリル酸メチルのホモポリマー、又は、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチルとアクリル系ゴムとのブレンド物等をいう。共重合可能な単量体としては、炭素数2〜4のメタクリル酸エステル、アクリル酸ブチルをはじめとする炭素数1〜8のアクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、他のエチレン性不飽和モノマー等が挙げられる。これらの中では、繊維シートとの接着性の点で、メタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
本発明のA層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の混合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計を100質量%とした場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜75質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜25質量%がより好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂が50質量%未満だと耐候性や耐汚染性等ポリフッ化ビニリデン系樹脂の持つ特性が落ちる可能性がある。
本発明のB層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の混合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計を100質量%とした場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂50〜100質量%が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜25質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂75〜100質量%がより好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂が50質量%を超えると繊維シートとの接着性が阻害される可能性がある。
本発明のA層の厚さは5〜100μmであり、B層の厚さは5〜100μmであることが好ましく、A層の厚さは10〜60μmであり、B層の厚さは10〜60μmであることがより好ましい。A層及びB層の厚さが5μm未満だと耐候性に支障をきたす可能性があり、A層及びB層の厚さが100μmを超えても各種性能が頭打ちとなる可能性がある。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性や使用する接着剤との相溶性等を考慮して選択することができる。本発明のB層を構成する樹脂組成物に練り込む紫外線吸収剤としては、相溶性があるものであればよく、揮散を防ぐためには、高分子量の紫外線吸収剤が好ましい。例えば、ハイドロキノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、べンゾトリアゾール系、オキザリックアシッド系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系及びその他多くの種類の公知のものが便用できる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いても良い。
本発明の紫外線吸収剤の使用量は、B層の樹脂組成物(ポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%の合計)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が最も好ましい。0.1質量部未満だと紫外線吸収量が少ないので紫外線保護としての性能が不十分となる可能性がある。15質量部を超えても効果が変わらず、しかもコストが高くなる可能性がある。
本発明で接着する繊維シートは、ネット状の繊維シートが好ましい。ネット状の繊維シートは、例えば、タテ糸とヨコ糸で構成され、タテ糸が交互にヨコ糸と直交している。
繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、炭素繊維、バサルト繊維等が挙げられる。これらの中では、コストと接着性能の点で、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維からなる群のうちの1種以上が好ましい。
本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体の製造方法は、2層で構成され、その製造方法については特に制限はないが、一般的には溶融押出成形にて実施する方法が用いられる。溶融押出成形には一般的に使用されている単軸押出機の他、2軸押出機も使用されるが、2層の構成の場合には複数の層を一体に結合する共押出成形法を使用するのが好ましい。複数の押出成形機を利用して樹脂を溶融状態で接着せしめて複層とするT−ダイ使用の共押出成形法には、マルチマニホールドダイと称し、複数の樹脂層をフィルムの状態にした後、接蝕させて接着する方法と、複数の樹脂を接着後、フィルム状に拡げる方法等がある。又、インフレーション成形法と称し、丸型ダイを使用する方法でも複層フィルムが成形できる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体中に紫外線吸収剤等を混入する方法としては特に制限はないが、例えば、樹脂と紫外線吸収剤等を予め樹脂組成物に混合しておき、一般に使用される押出機を使用して溶融混練する方法で良い。
繊維シートとポリフッ化ビニリデン系積樹脂層体を貼り付けて繊維シート積層体を製造する方法としては、繊維シートをB層側に熱圧着により一体化する方法や、粘着剤を用いて繊維シートをB層側に固定する方法等が挙げられる。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
A層及びB層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の割合を表1に示すように変え、A層及びB層共に厚さ15μmのフィルムとなるように積層させた。B層のフィルムには、B層の樹脂組成物100質量部に対して5質量部の紫外線吸収剤を加えた。なお、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂、これらの樹脂と紫外線吸収剤は予めブレンドし30mmφ異方向回転2軸押出機で溶融、ペレット化して積層フィルム(ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体)を作成した。得られた積層フィルムについて耐候性を評価した。更に、得られた積層フィルムのB層側の表面に、160℃の熱を加えながら繊維シートを接着させ、コンクリート片のはく落防止工法用の繊維シート積層体とした。
NEXCO試験方法「第4編 構造関係試験方法」の試験法424−2011に従って作製したコンクリート供試体の押し抜き部に、幅10cmの補強用繊維シートのみを貼付けた。その後、繊維シート積層体を、重なり幅5cmとして両方向から繊維シート積層体を重なるように貼り付けた(図3参照、白線は、繊維シート積層体とコンクリート構造物との間に配置されたネット状の補強用繊維シートに該当する)。貼り付けの際、接着剤を0.3kg/m2となるように塗布し貼り付けて押抜き抵抗性を評価した。繊維シート積層体は、繊維シート側を、接着剤側に貼り付けた。比較のために、補強用繊維シートを使用せず、繊維シート積層体のみ貼り付けた場合(図4参照)、補強用繊維シートを使用せず、両方向から密着するように繊維シート積層体を貼り付けた場合(図5参照)、補強用繊維シートを使用せず、繊維シート積層体同士を押し抜き部において10cm幅で重なるように貼り付けた場合(図6参照)についても評価した。結果を表1に示す。
A層及びB層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の割合を表1に示すように変え、A層及びB層共に厚さ15μmのフィルムとなるように積層させた。B層のフィルムには、B層の樹脂組成物100質量部に対して5質量部の紫外線吸収剤を加えた。なお、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂、これらの樹脂と紫外線吸収剤は予めブレンドし30mmφ異方向回転2軸押出機で溶融、ペレット化して積層フィルム(ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体)を作成した。得られた積層フィルムについて耐候性を評価した。更に、得られた積層フィルムのB層側の表面に、160℃の熱を加えながら繊維シートを接着させ、コンクリート片のはく落防止工法用の繊維シート積層体とした。
NEXCO試験方法「第4編 構造関係試験方法」の試験法424−2011に従って作製したコンクリート供試体の押し抜き部に、幅10cmの補強用繊維シートのみを貼付けた。その後、繊維シート積層体を、重なり幅5cmとして両方向から繊維シート積層体を重なるように貼り付けた(図3参照、白線は、繊維シート積層体とコンクリート構造物との間に配置されたネット状の補強用繊維シートに該当する)。貼り付けの際、接着剤を0.3kg/m2となるように塗布し貼り付けて押抜き抵抗性を評価した。繊維シート積層体は、繊維シート側を、接着剤側に貼り付けた。比較のために、補強用繊維シートを使用せず、繊維シート積層体のみ貼り付けた場合(図4参照)、補強用繊維シートを使用せず、両方向から密着するように繊維シート積層体を貼り付けた場合(図5参照)、補強用繊維シートを使用せず、繊維シート積層体同士を押し抜き部において10cm幅で重なるように貼り付けた場合(図6参照)についても評価した。結果を表1に示す。
(使用材料)
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF):アルケマ社製、商品名カイナ−720(フッ化ビニリデンのホモポリマー、以下K−720と略称する)。
ポリメタクリル酸エステル系樹脂(PMMA):三菱レイヨン社製、商品名ハイペットHBS(アクリル系ゴムを含むポリメタクリル酸メチル系樹脂、以下HBSと略称する)
紫外線吸収剤:市販品、トリアジン系
補強用繊維シート:VKシート、電気化学工業社製、二軸ビニロン繊維シート、ネット状、目付量91g/m2
繊維シート:VKシート、電気化学工業社製、二軸ビニロン繊維シート、ネット状、目付量91g/m2
接着剤:電気化学工業社製、アクリル系、常温硬化型アクリル系樹脂組成物
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF):アルケマ社製、商品名カイナ−720(フッ化ビニリデンのホモポリマー、以下K−720と略称する)。
ポリメタクリル酸エステル系樹脂(PMMA):三菱レイヨン社製、商品名ハイペットHBS(アクリル系ゴムを含むポリメタクリル酸メチル系樹脂、以下HBSと略称する)
紫外線吸収剤:市販品、トリアジン系
補強用繊維シート:VKシート、電気化学工業社製、二軸ビニロン繊維シート、ネット状、目付量91g/m2
繊維シート:VKシート、電気化学工業社製、二軸ビニロン繊維シート、ネット状、目付量91g/m2
接着剤:電気化学工業社製、アクリル系、常温硬化型アクリル系樹脂組成物
(試験方法)
耐候性:黄変指数(△b)を測定した。耐候促進試験JIS A 1415、黄色度測定 JIS K 7103に準拠し、黄変指数(Δb)は下記のように算出した。黄変指数は、2.0以上では目視で明確に黄変していると判定した。
黄変指数(△b)=暴露後の黄色度/初期黄色度
押抜抵抗性:NEXCO試験方法「第4編 構造関係試験方法」の試験法424−2011に従ってコンクリート供試体を作製した。測定は変位制御できるオートグラフを用いて荷重と変位の関係を記録し、最大荷重とそのときの変位を求めた。図3〜6の点線で示す丸印が押抜き部である。コア抜き部は、コアドリルによる削孔溝で示した。NEXCO基準では、変位が10mm以上で最大荷重が1.5KN以上を示せば、はく落防止性能があることの指標としている。図7にオートグラフによる荷重と変位曲線の例を示す。
耐候性:黄変指数(△b)を測定した。耐候促進試験JIS A 1415、黄色度測定 JIS K 7103に準拠し、黄変指数(Δb)は下記のように算出した。黄変指数は、2.0以上では目視で明確に黄変していると判定した。
黄変指数(△b)=暴露後の黄色度/初期黄色度
押抜抵抗性:NEXCO試験方法「第4編 構造関係試験方法」の試験法424−2011に従ってコンクリート供試体を作製した。測定は変位制御できるオートグラフを用いて荷重と変位の関係を記録し、最大荷重とそのときの変位を求めた。図3〜6の点線で示す丸印が押抜き部である。コア抜き部は、コアドリルによる削孔溝で示した。NEXCO基準では、変位が10mm以上で最大荷重が1.5KN以上を示せば、はく落防止性能があることの指標としている。図7にオートグラフによる荷重と変位曲線の例を示す。
表1から以下のことが認められる。本発明は、黄変指数が小さく、はく落防止性能を有する。実験No.1−1〜1−3は、小さい最大荷重でも変位が小さく、はく落防止性能を有しない。実験No.1−4〜1−6は、黄変指数が大きく、耐久性を有しない。
(実施例2)
実験No.1−11の繊維シート積層体を用いて施工性及び仕上がり性を確認した。試験は、貼付け工事経験を有する作業員によって、1m2の面積を施工するのに要する時間、取り扱い易さ、仕上がり状態について確認した。試験は20℃で行った。尚、従来の工法とも比較として実施した。結果を表2に示す。
実験No.1−11の繊維シート積層体を用いて施工性及び仕上がり性を確認した。試験は、貼付け工事経験を有する作業員によって、1m2の面積を施工するのに要する時間、取り扱い易さ、仕上がり状態について確認した。試験は20℃で行った。尚、従来の工法とも比較として実施した。結果を表2に示す。
(従来工法1の手順)
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、接着剤(商品名:DK−550−003、粘度330mPa・s、常温硬化型アクリル系樹脂組成物、電気化学工業社製)をローラーで0.2kg/m2塗布する。
(3)塗布後すぐに、下塗り材(商品名:アクリアル、電気化学工業社製)をローラーで0.6kg/m2塗布する。
(4)塗布後すぐに、縦1m×横1mのビニロン繊維シート(商品名:VKシート、電気化学工業社製)を貼り付ける。
(5)貼り付け後、上塗り材(商品名:アクリアル、電気化学工業社製)をローラーで0.3kg/m2塗布する。
(6)1日後、耐候性塗料(商品名:CFコートU、電気化学工業社製)をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(7)6時間後、更に同じ耐候性塗料をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、接着剤(商品名:DK−550−003、粘度330mPa・s、常温硬化型アクリル系樹脂組成物、電気化学工業社製)をローラーで0.2kg/m2塗布する。
(3)塗布後すぐに、下塗り材(商品名:アクリアル、電気化学工業社製)をローラーで0.6kg/m2塗布する。
(4)塗布後すぐに、縦1m×横1mのビニロン繊維シート(商品名:VKシート、電気化学工業社製)を貼り付ける。
(5)貼り付け後、上塗り材(商品名:アクリアル、電気化学工業社製)をローラーで0.3kg/m2塗布する。
(6)1日後、耐候性塗料(商品名:CFコートU、電気化学工業社製)をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(7)6時間後、更に同じ耐候性塗料をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(従来工法2の手順)
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、エポキシ樹脂プライマー(商品名:タフガードE−VM用、日本ペイント社製)をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(3)1日後、中塗り材(商品名:タフガードBD中塗#100、日本ペイント社製)をローラーで0.5kg/m2塗布する。
(4)塗布後すぐに、縦1m×横1mのビニロン繊維シート(商品名:トリネオTSS−1810−Yソフト、ユニチカ社製)を貼り付ける。
(5)貼り付け後、(3)の中塗り材をローラーで0.5kg/m2塗布する。
(6)1日後、上塗り材(商品名:タフガードUD、日本ペイント社製)をローラーで0.12kg/m2塗布する。
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、エポキシ樹脂プライマー(商品名:タフガードE−VM用、日本ペイント社製)をローラーで0.15kg/m2塗布する。
(3)1日後、中塗り材(商品名:タフガードBD中塗#100、日本ペイント社製)をローラーで0.5kg/m2塗布する。
(4)塗布後すぐに、縦1m×横1mのビニロン繊維シート(商品名:トリネオTSS−1810−Yソフト、ユニチカ社製)を貼り付ける。
(5)貼り付け後、(3)の中塗り材をローラーで0.5kg/m2塗布する。
(6)1日後、上塗り材(商品名:タフガードUD、日本ペイント社製)をローラーで0.12kg/m2塗布する。
(本発明の手順)
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、接着剤(商品名:DK−550−003、粘度330mPa・s、常温硬化型アクリル系樹脂組成物、電気化学工業社製)をローラーで0.2kg/m2塗布する。
(3)幅10cm×長さ1mの補強用繊維シートを貼り付ける。補強用繊維シートを除く、ボックスカルバート内側天井面の表面にも接着剤が行き渡るようにローラーで接着剤を均す。
(4)実験No.1−11の繊維シート積層体を予め貼り付けた補強用繊維シートの表面に、重なり幅5cmとして両方向から繊維シート積層体が重なるように両側から貼り付ける(図2参照)。
(1)1m2の面積を確保できるボックスカルバート内側天井面をウォータージェットで目粗しする。
(2)乾燥後、接着剤(商品名:DK−550−003、粘度330mPa・s、常温硬化型アクリル系樹脂組成物、電気化学工業社製)をローラーで0.2kg/m2塗布する。
(3)幅10cm×長さ1mの補強用繊維シートを貼り付ける。補強用繊維シートを除く、ボックスカルバート内側天井面の表面にも接着剤が行き渡るようにローラーで接着剤を均す。
(4)実験No.1−11の繊維シート積層体を予め貼り付けた補強用繊維シートの表面に、重なり幅5cmとして両方向から繊維シート積層体が重なるように両側から貼り付ける(図2参照)。
(試験方法)
作業時間:下地コンクリートをウォータージェットで目粗し後、接着剤(従来工法2ではエポキシ樹脂プライマー)を塗布する作業から、耐候性塗料(最終仕上げとなる上塗り)が完了するまでの時間を計測した。本発明の場合、繊維シート積層体の貼り付けが完了するまでの時間を計測した。取り扱い易さ(作業員の作業のし易さ)と仕上がり状態(最終的に仕上がった状態の外観)について、評価した。
作業時間:下地コンクリートをウォータージェットで目粗し後、接着剤(従来工法2ではエポキシ樹脂プライマー)を塗布する作業から、耐候性塗料(最終仕上げとなる上塗り)が完了するまでの時間を計測した。本発明の場合、繊維シート積層体の貼り付けが完了するまでの時間を計測した。取り扱い易さ(作業員の作業のし易さ)と仕上がり状態(最終的に仕上がった状態の外観)について、評価した。
本発明(実験No.2−3)は、耐久性を有するので、上塗り材、中塗り材、耐候性塗料は不要である。従来工法(実験No.2−1、実験No.2−2)は、作業時間に時間を要した。
本発明のコンクリート積層体により、従来工法に比べ、施工の短縮化を図れ、高速道路に適用する場合の仕様が満足できる。
高速道路を管理するNEXCOのはく落防止工法の仕様では、繊維シートを貼り付ける際、繊維シートをラップさせながら貼り付けることが条件となっている。本発明のコンクリート積層体は、NEXCOのはく落防止工法の仕様を満たすはく落防止工法を提供できる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体を使用した場合、補強材である繊維シートと耐久性の高いポリフッ化ビニリデンを含むポリフッ化ビニリデン系樹脂積層体が一体化されるので、従来工法に比べ大幅に工程を短縮でき、施工コストを安価にできる。
1 補強用繊維シート
2 繊維シート積層体
2a 繊維シート積層体のA層
2b 繊維シート積層体のB層
2c 繊維シート積層体の繊維シート
3 押抜き抵抗性試験用コンクリート試験体
4 押抜き部
5 繊維シート積層体
6 コアドリルによる削孔溝
7 補強用繊維シート
2 繊維シート積層体
2a 繊維シート積層体のA層
2b 繊維シート積層体のB層
2c 繊維シート積層体の繊維シート
3 押抜き抵抗性試験用コンクリート試験体
4 押抜き部
5 繊維シート積層体
6 コアドリルによる削孔溝
7 補強用繊維シート
Claims (9)
- 下記工程により形成するコンクリート積層体。
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。 - 互いの繊維シート積層体が重ならないように貼り合わせる請求項1記載のコンクリート積層体。
- 補強用繊維シートがネット状である請求項1又は2記載のコンクリート積層体。
- 繊維シート積層体の繊維シートがネット状である請求項1〜3記載のうちの1項記載のコンクリート積層体。
- 繊維シート積層体が下記である請求項1〜4記載のうちの1項記載のコンクリート積層体。
繊維シート積層体は、B層の一方の面にA層を積層し、B層の他方の面に繊維シートを貼り付けた繊維シート積層体であり、A層、B層、繊維シートの順に積層する積層体である。繊維シート積層体の繊維シート側を、補強用繊維シートの上に貼り付ける。A層はポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有する樹脂組成物であり、B層はポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%(両者の合計を100質量%とする)を含有し、更に紫外線吸収剤をB層に含有する樹脂組成物である。 - 接着剤が常温硬化型アクリル系樹脂組成物である請求項1〜5記載のうちの1項記載のコンクリート積層体。
- 請求項1〜6記載のうちの1項記載のコンクリート積層体を用いるコンクリート片のはく落防止構造。
- 下記順序の工程により行う繊維シート積層体の施工方法。
第1工程 コンクリート表面に第1層となる接着剤を塗布する。
第2工程 第1層の上に第2層となる補強用繊維シートを貼り付ける。
第3工程 補強用繊維シートの上に繊維シート積層体を貼り付ける。 - 請求項7記載の繊維シート積層体の施工方法を用いるコンクリート片のはく落防止工法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019178508A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 積水化学工業株式会社 | コンクリート剥落防止工法 |
JP2019181791A (ja) * | 2018-04-09 | 2019-10-24 | デンカ株式会社 | 積層体、積層体の製造方法、積層体の施工方法及びコンクリート片のはく落防止工法 |
JP2020012360A (ja) * | 2018-10-24 | 2020-01-23 | 有限会社 コスモテクニカル | 貯水槽塗装修繕方法 |
WO2022244811A1 (ja) * | 2021-05-21 | 2022-11-24 | デンカ株式会社 | 複合体シート、積層体及び構造物の表面剥落を防止する方法 |
-
2015
- 2015-04-24 JP JP2015088870A patent/JP2016203517A/ja active Pending
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JP7007228B2 (ja) | 2018-04-09 | 2022-01-24 | デンカ株式会社 | 積層体、積層体の製造方法、積層体の施工方法及びコンクリート片のはく落防止工法 |
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