JP2015003415A - 樹脂積層体、建築部材、および樹脂積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防汚性、耐擦傷性を有して透明性に優れた樹脂積層体でありながら、安価でかつ通常的に用いられる簡易な設備で製造することができる樹脂積層体を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする樹脂積層体。
【選択図】なし
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする樹脂積層体。
【選択図】なし
Description
本発明は樹脂積層体、建築部材、および樹脂積層体の製造方法に関する。詳細には、カーポート、テラスの屋根材、道路用透光遮音壁板等、その他建築物の壁材に使用される、防汚性、耐擦傷性を有する透明性に優れた樹脂積層体等に関する。
ポリカーボネート樹脂は透明性、耐衝撃性に優れる反面、傷付き易く、使用中にしばしば外観が損なわれる。そのため耐擦傷性向上のためのコーティング処理を行い、それらの欠点をカバーしている。
耐擦傷性向上の目的でコーティング処理を行う方法として、例えば特許文献1には、紫外線硬化樹脂などで表面をコーティングする方法や、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂とを共押出した基材にハードコートを施す方法が提案されている。
硬化被膜を形成した樹脂プレートを製造する場合、採用しうる方法としてはディップコート法が挙げられる。
しかし、ディップコート法では、製造される樹脂プレートの再現性を維持するために、温度および湿度管理、雰囲気管理、振動対策等の複雑な管理を行う必要があるため、複合的で高度な設備が要求され、ランニングコストがかかるという問題があった。
そこで本発明は、防汚性、耐擦傷性を有して透明性に優れた樹脂積層体でありながら、安価でかつ通常的に用いられる簡易な設備で製造することができる樹脂積層体を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
請求項1に記載の発明は、ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする樹脂積層体である。
請求項1に記載の発明は、ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする樹脂積層体である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移点が90〜120℃である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の樹脂積層体において、熱可塑性樹脂組成物bが、ポリカーボネート樹脂b1を20〜40質量%と、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂が60〜80質量%と、を含んでなる樹脂混合物である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂積層体において、熱可塑性組成物bに含まれるポリカーボネート樹脂b1のメルトボリュームレイトが20〜30cm3/10minである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂積層体を有する建築部材である。
請求項6に記載の発明は、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層Bを形成する第1工程と、樹脂層Bに、光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cを積層する第2工程と、ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層Aを形成する第3工程と、樹脂層Bの樹脂層Cが積層されていない側の面が樹脂層Aに接するように、樹脂層Aに樹脂層Bを積層し熱接着する第4工程と、を上記順に有し、熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする、樹脂積層体の製造方法である。
本発明によれば、B層と該B層に積層されたC層とを、B層を介してA層に容易に熱接着することができるので、防汚性、耐擦傷性を有して透明性に優れた樹脂積層体でありながら、安価でかつ通常的に用いられる簡易な設備で製造することができる樹脂積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての樹脂積層体について説明する。但し、本発明は、この樹脂積層体に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、数値AおよびBについて「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
本発明における樹脂積層体は、ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなるものである。
以下に、樹脂積層体を構成する樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cについて順に説明する。
<樹脂層A>
本発明における樹脂層Aは、樹脂積層体に優れた耐衝撃性を付与する役割を果たす。
本発明における樹脂層Aは、樹脂積層体に優れた耐衝撃性を付与する役割を果たす。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層Aにおいて、ポリカーボネート系樹脂a1は、ビスフェノールAと、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートとがカーボネート結合されている芳香族系ポリカーボネート樹脂であり、一般に、界面重縮合やエステル交換反応などで合成される。その作製法は特に限定されないが、ポリカーボネート系樹脂a1としては、例えば三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、ユーピロンE−2000FNを用いることができる。
樹脂層Aに含まれるポリカーボネート系樹脂a1の含有量は、樹脂層Aに含まれる全成分の合計を100質量%として、60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。ポリカーボネート系樹脂a1の含有量が上記範囲にあることにより、樹脂層Aに十分な耐衝撃性を付与することができる。
また、樹脂層Aには、ポリカーボネート系樹脂a1に加えて、例えば、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
また、樹脂層Aには、ポリカーボネート系樹脂a1に加えて、例えば、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
樹脂層Aの厚みは、樹脂積層体に十分な耐衝撃性を付与する観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。樹脂層Aの厚みに特に上限はなく、カーポート、テラスの屋根材、道路用透光遮音壁板等、本発明の樹脂積層を用いる建築部材の用途に応じて適宜設定することができるが、厚み方向の熱抵抗を低くして熱接着性を向上させる観点、および、経済性の観点からは5mm以下であることが好ましい。
<樹脂層B>
本発明における樹脂層Bにより、樹脂層Aと樹脂層Cとの接着性が良好となる。
本発明における樹脂層Bにより、樹脂層Aと樹脂層Cとの接着性が良好となる。
樹脂層Bにおいて、熱可塑性樹脂組成物bは140〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜100000Pa・sであることが好ましい。また、150℃〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることがより好ましく、30000〜60000Pa・sであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂組成物bの動的複素粘度が上記範囲内にあることにより、樹脂層Bに適正な熱接着性を付与することができる。
熱可塑性樹脂組成物bの動的複素粘度は粘弾性測定装置(例えば、英弘精機株式会社製、MARSなど)により測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物bの動的複素粘度は粘弾性測定装置(例えば、英弘精機株式会社製、MARSなど)により測定することができる。
また、熱可塑性組成物bについて、ガラス転移点が90〜120℃であることが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内にあることにより、樹脂層Bに適正な熱接着性を付与することができる。ガラス転移点はJIS K7121−1987に基づき、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物bは、ポリカーボネート樹脂b1、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂、または、これらの混合物からなるものである。ポリカーボネート樹脂b1と、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂と、を混合して用いる場合には、その混合比は質量比(ポリカーボネート樹脂b1/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)で、40/60〜20/80の範囲とすることが好ましい。
樹脂層Bに含まれる熱可塑性樹脂組成物bの含有量は、樹脂層Bに含まれる全成分の合計を100質量%として、樹脂層Bに十分な接着性を付与する観点から、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
また、樹脂層Bには、本発明の目的を阻害しない範囲で、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
また、樹脂層Bには、本発明の目的を阻害しない範囲で、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
ポリカーボネート樹脂b1としては、ISO 1133に規定されているレオロジー特性であるメルトボリュームレイトが20〜30cm3/10minであることが好ましい。メルトボリュームレイトが低すぎると熱接着性が低下し、高すぎると製膜が困難となる。
ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂については、エチレングリコールの1,4−シクロヘキサンジメタノールへの置換率が50モル%以上75モル%未満である。このようなポリエステル樹脂としては、SKChemicals社製、SKYGREEN J2003が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
樹脂層Bの厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましく、30μm以上80μm以下であることがより好ましい。樹脂層Bにある程度の厚みを持たせることによって、積層時の作業性が良好になり、熱接着後に十分な接着強度を付与することが可能となる。また、樹脂層Bをある程度薄くすることにより、厚み方向の熱抵抗を低くすることができるので、熱接着性を向上させることができ、コストを抑えることもできる。
<樹脂層C>
本発明における樹脂層Cは、樹脂積層体に優れた耐擦傷性を付与する役割を果たす。樹脂層Cの耐擦傷性について、番手#0000のスチールウールを用いて荷重1000gで擦ったときに、傷が発生するまでの往復回数が50回以上であることが好ましく、100回以上であることがより好ましい。
本発明における樹脂層Cは、樹脂積層体に優れた耐擦傷性を付与する役割を果たす。樹脂層Cの耐擦傷性について、番手#0000のスチールウールを用いて荷重1000gで擦ったときに、傷が発生するまでの往復回数が50回以上であることが好ましく、100回以上であることがより好ましい。
樹脂層Cは光硬化性樹脂組成物cから形成されるものであり、本発明に用いることのできる光硬化性樹脂組成物cは、例えば、電子線、放射線、紫外線などのエネルギー線を照射することにより硬化する。
光硬化性樹脂組成物cを構成する光硬化性樹脂の好ましい例として、アクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基変性エポキシアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物、共重合系アクリレート、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられ、これらの硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。
樹脂層Cに含まれる光硬化性樹脂組成物cの含有量は、樹脂層Cに含まれる全成分の合計を100質量%として、70質量%以上98質量%以下であることが好ましく、85質量%以上95質量%以下であることが耐候性の観点より好ましい。光硬化性樹脂組成物cの含有量が上記範囲にあることにより、樹脂層Cに十分な耐擦傷性を付与することができる。
このような光硬化性樹脂組成物cは、紫外線硬化型ハードコート剤として市販されているものを使用してもよい。また、これらの光硬化性樹脂組成物cに、例えば、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
このような光硬化性樹脂組成物cは、紫外線硬化型ハードコート剤として市販されているものを使用してもよい。また、これらの光硬化性樹脂組成物cに、例えば、有機溶剤、防汚添加剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐衝撃性改質剤、増粘剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
光硬化性樹脂組成物cを紫外線で硬化させる場合は、光重合開始剤を使用する。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂組成物c100重量部に対し、0.1〜6重量部の範囲が一般的である。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いることができるほか、多くは2種以上混合して用いることもできる。また、これらの各種光重合開始剤は市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の光重合開始剤としては、例えば、“IRGACURE651”、“IRGACURE184”、“IRGACURE500”、“IRGACURE1000”、“IRGACURE2959”、“DAROCUR1173”、“IRGACURE907”、“IRGACURE369”、“IRGACURE1700”、“IRGACURE1800”、“IRGACURE819”、“IRGACURE784”(以上のIRGACURE(イルガキュア)シリーズおよびDAROCUR(ダロキュア)シリーズは、BASF社で販売)、“KAYACUREITX”、“KAYACUREDETX−S”、“KAYACUREBP−100”、“KAYACUREBMS”、“KAYACURE2−EAQ”(以上のKAYACURE(カヤキュア)シリーズは、日本化薬社で販売)などを挙げることができる。
樹脂層Cの厚みは、5μm以上であることが好ましい。厚みが10μm以上であれば、樹脂層C表面に十分な耐擦傷性を付与することができるので、さらに好ましい。また、経済性の観点から、30μm以下であることが好ましい。
<樹脂積層体の製造方法>
上記した樹脂積層体を製造する方法について、以下説明する。
本発明の樹脂積層体の製造方法においては、まず樹脂層Bを形成する(第1工程)。樹脂層Bの形成方法は特に限定されず、例えば押出機を用いて樹脂材料をTダイから溶融押出することにより形成することができる。
上記した樹脂積層体を製造する方法について、以下説明する。
本発明の樹脂積層体の製造方法においては、まず樹脂層Bを形成する(第1工程)。樹脂層Bの形成方法は特に限定されず、例えば押出機を用いて樹脂材料をTダイから溶融押出することにより形成することができる。
次に、樹脂層Bに樹脂層Cを形成・積層する(第2工程)。樹脂層Cの形成方法としては、例えば、光硬化性樹脂組成物cを塗料として樹脂層Bの表面に塗工した後、硬化膜とすることにより、樹脂層Bの表面に形成・積層する方法があるが、この方法に限定されるものではない。
樹脂層Bとの積層方法としては、公知の方法が使用される。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法等が挙げられる。樹脂層Bの厚みや、樹脂層Cの厚みなどに応じて適当なものを選択することができる。
樹脂層Bとの積層方法としては、公知の方法が使用される。例えば、カバーフィルムを使用するラミネート方式、ナチュラルコート法、リバースコート法、カンマコーター法、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法、グラビアコート法等が挙げられる。樹脂層Bの厚みや、樹脂層Cの厚みなどに応じて適当なものを選択することができる。
次に、上記樹脂層Bとは別に、樹脂層Aを形成する(第3工程)。樹脂層Aの形成方法は特に限定されず、例えば、押出機を用いて、樹脂材料をTダイから溶融押出することにより形成することができる。
そして、樹脂層Aとなる溶融樹脂を押出して、冷却ロールにより板状にする際に、上記した樹脂層Cが積層された樹脂層Bの樹脂層B側(樹脂層Cが積層されていない側)の面が樹脂層Aに接するようにして積層することにより、これらを熱接着させることができる(第4工程)。
そして、樹脂層Aとなる溶融樹脂を押出して、冷却ロールにより板状にする際に、上記した樹脂層Cが積層された樹脂層Bの樹脂層B側(樹脂層Cが積層されていない側)の面が樹脂層Aに接するようにして積層することにより、これらを熱接着させることができる(第4工程)。
樹脂層Aと、樹脂層Cが積層された樹脂層Bとを積層する際に、熱接着を容易にする観点から、樹脂層Aの温度は140〜160℃であることが好ましく、150〜160℃であることが好ましい。
また、接着層Aの温度が上記範囲内にある場合、樹脂層Aと樹脂層Bとは、樹脂層Aに、樹脂層Cが積層された樹脂層Bを載置することによって接着することが可能であるが、接着を容易にし、接着強度を高める観点からは、熱プレス機等により熱圧着することが好ましい。圧着条件は、1〜10MPaで10秒間程度行えばよい。
また、接着層Aの温度が上記範囲内にある場合、樹脂層Aと樹脂層Bとは、樹脂層Aに、樹脂層Cが積層された樹脂層Bを載置することによって接着することが可能であるが、接着を容易にし、接着強度を高める観点からは、熱プレス機等により熱圧着することが好ましい。圧着条件は、1〜10MPaで10秒間程度行えばよい。
以上のように、本発明の樹脂積層体は、B層と該B層に積層されたC層とを、B層を介してA層に容易に熱接着することができるので、防汚性、耐擦傷性を有して透明性に優れた樹脂積層体でありながら、安価でかつ通常的に用いられる簡易な設備で製造することができる。
本発明の樹脂積層体は、耐擦傷性が必要で、かつ、透明性が必要とされる用途において広く用いることができ、例えば、カーポート、テラス等の屋根材、道路用透光遮音材その他壁材等の建築部材として用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例によりその範囲が限定されるものではない。
<実施例1>
熱可塑性樹脂組成物bとして、ポリカーボネート樹脂b1(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンH3000」)と、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂(SK Chemicals社製「SKYGREEN J2003」)とを、質量比40/60(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)で混合し、その混合物を押出機に供給し、押出機において、240℃で溶融混練した後、200℃で加熱されたTダイに押出し、冷却固化して、厚み50μmの樹脂層Bを得た。
また、熱可塑性樹脂組成物bの動的複素粘度およびガラス転移点、並びに、ポリカーボネート樹脂b1のメルトボリュームレイトを測定した。結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂組成物bとして、ポリカーボネート樹脂b1(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンH3000」)と、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂(SK Chemicals社製「SKYGREEN J2003」)とを、質量比40/60(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)で混合し、その混合物を押出機に供給し、押出機において、240℃で溶融混練した後、200℃で加熱されたTダイに押出し、冷却固化して、厚み50μmの樹脂層Bを得た。
また、熱可塑性樹脂組成物bの動的複素粘度およびガラス転移点、並びに、ポリカーボネート樹脂b1のメルトボリュームレイトを測定した。結果を表1に示す。
上記により得られた樹脂層Bに積層する光硬化性樹脂組成物cからなる樹脂層Cとして、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型ハードコート剤(亜細亜工業社製「RUA−064S−7」)を41.98質量%、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型ハードコート剤(大成ファインケミカル「8BR−500」)を13.51質量%、光開始剤(BASF社製、「IRGACURE184」)を2.52質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルを40.74質量%混合した塗工液を、バーコーターを用いて樹脂層Bに塗布し、90℃で8分間乾燥後、積算露光量が1200mJ/cm2になるように露光し、樹脂層Bに厚み5μmの樹脂層Cを積層させた。
ポリカーボネート系樹脂a1として、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンE−2000FN」)を押出機のホッパーに投入し、温度(280℃)で溶融し、次いでギアポンプを通してシーティングダイ用いて押出した後、鏡面金属ロールとポリシング装置を通過させシート状に賦形させ、樹脂層Aを作製した。その後、上記で作製した樹脂層Cを積層した樹脂層Bと、樹脂層Aとを熱ラミネートして、樹脂積層体を作製した。なお、樹脂層Cを積層した樹脂層Bについて、樹脂層B側を、樹脂層Aに積層させて、樹脂層Cを積層した樹脂層Bと樹脂層Aとを熱ラミネートした。
<実施例2>
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、30/70(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得た。
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、30/70(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得た。
<実施例3>
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、20/80(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得た。
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、20/80(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を得た。
<比較例1>
樹脂層Bとして、ポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製「カリバー301−4」)とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂(SK Chemicals社製「SKYGREEN J2003」)とを質量比30/70(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)で混合し、その混合物を押出機に供給し、押出機において、260℃で溶融混練した後、220℃で加熱されたTダイに押出し、冷却固化することにより、厚み50μmの樹脂層Bを得た。
得られた樹脂層Bを用いて実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物cからなる樹脂層Cを積層した。作製した樹脂層Cを積層した樹脂層Bを用いて実施例1と同様の方法で、樹脂層Aに積層し、樹脂積層体を得た。
樹脂層Bとして、ポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製「カリバー301−4」)とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂(SK Chemicals社製「SKYGREEN J2003」)とを質量比30/70(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)で混合し、その混合物を押出機に供給し、押出機において、260℃で溶融混練した後、220℃で加熱されたTダイに押出し、冷却固化することにより、厚み50μmの樹脂層Bを得た。
得られた樹脂層Bを用いて実施例1と同様の方法で、光硬化性樹脂組成物cからなる樹脂層Cを積層した。作製した樹脂層Cを積層した樹脂層Bを用いて実施例1と同様の方法で、樹脂層Aに積層し、樹脂積層体を得た。
<比較例2>
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、20/80(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を得た。
樹脂層Bにおいて、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂との質量比を、20/80(ポリカーボネート樹脂/1,4−シクロヘキサンジメタノール置換ポリエステル系樹脂)とした以外は、比較例1と同様にして樹脂積層体を得た。
<熱ラミネート性>
実施例等において試験片作製時に使用した製造設備において、樹脂層Aの温度を160℃とし、1MPaで、5秒間加圧して樹脂層Aと樹脂層Bとを熱ラミネートし、冷却後にJIS K 5600−5−6規定の方法により熱ラミネート性を評価した。樹脂層Bが剥離しない場合を「○」、密着したとしても剥離した場合を「×」とした。
結果を表1に示す。
実施例等において試験片作製時に使用した製造設備において、樹脂層Aの温度を160℃とし、1MPaで、5秒間加圧して樹脂層Aと樹脂層Bとを熱ラミネートし、冷却後にJIS K 5600−5−6規定の方法により熱ラミネート性を評価した。樹脂層Bが剥離しない場合を「○」、密着したとしても剥離した場合を「×」とした。
結果を表1に示す。
表1より、実施例の樹脂積層体は、良好な熱ラミネート性を示した。一方、熱可塑性樹脂組成物bの150℃、160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度、並びに、ポリカーボネート樹脂b1のメルトボリュームレイトが所定の範囲外にある比較例1および2の樹脂積層体は、熱ラミネート性に劣っていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、樹脂積層体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の樹脂積層体は防汚性、耐擦傷性、を有し透明性に優れるため、カーポート、テラスの屋根材、道路用透光遮音壁板等、その他建築物の壁材に使用される。
Claims (6)
- ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層A、熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層B、および光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cの少なくとも三層をこの順に積層してなる樹脂積層体において、前記熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする樹脂積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物bのガラス転移点が90〜120℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物bが、ポリカーボネート樹脂b1を20〜40質量%と、
ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなるポリエステル系樹脂が60〜80質量%と、
を含んでなる樹脂混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂積層体。 - 前記熱可塑性組成物bに含まれるポリカーボネート樹脂b1のメルトボリュームレイトが20〜30cm3/10minであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂積層体を有する建築部材。
- 熱可塑性樹脂組成物bを主成分とする樹脂層Bを形成する第1工程と、
前記樹脂層Bに、光硬化性樹脂組成物cから形成される樹脂層Cを積層する第2工程と、
ポリカーボネート系樹脂a1を主成分とする樹脂層Aを形成する第3工程と、
前記樹脂層Bの前記樹脂層Cが積層されていない側の面が前記樹脂層Aに接するように、前記樹脂層Aに前記樹脂層Bを積層し熱接着する第4工程と、
を上記順に有し、
前記熱可塑性樹脂組成物bの150〜160℃および周波数1Hzにおける動的複素粘度が20000〜70000Pa・sであることを特徴とする、樹脂積層体の製造方法。
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JP2013128846A JP2015003415A (ja) | 2013-06-19 | 2013-06-19 | 樹脂積層体、建築部材、および樹脂積層体の製造方法 |
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CN114072286A (zh) * | 2019-07-08 | 2022-02-18 | 株式会社丰田自动织机 | 树脂窗面板和树脂窗面板的车身粘合构造 |
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2013
- 2013-06-19 JP JP2013128846A patent/JP2015003415A/ja active Pending
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CN114072286A (zh) * | 2019-07-08 | 2022-02-18 | 株式会社丰田自动织机 | 树脂窗面板和树脂窗面板的车身粘合构造 |
CN114072286B (zh) * | 2019-07-08 | 2024-01-16 | 株式会社丰田自动织机 | 树脂窗面板和树脂窗面板的车身粘合构造 |
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