JP2002371669A - シース内pc鋼線の防錆構造及び防錆グラウトケーブルの製作方法 - Google Patents

シース内pc鋼線の防錆構造及び防錆グラウトケーブルの製作方法

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JP2002371669A
JP2002371669A JP2001180547A JP2001180547A JP2002371669A JP 2002371669 A JP2002371669 A JP 2002371669A JP 2001180547 A JP2001180547 A JP 2001180547A JP 2001180547 A JP2001180547 A JP 2001180547A JP 2002371669 A JP2002371669 A JP 2002371669A
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Tsutomu Sumiya
務 角谷
Hideji Mochizuki
秀次 望月
Yoshifumi Maeda
良文 前田
Nobuyuki Hayashi
宣行 林
Yoshitaka Nishida
吉孝 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポストテンション工法において、シース内にグ
ラウトを注入するまでの間、容易かつ確実にPC鋼線を
防錆し、腐食のないPCケーブルを製作する。 【解決手段】PC鋼材が挿通されているシース内に、同
PC鋼材に沿って長尺の気化性防錆剤含有成形体(例え
ばポリエチレンにジシクロヘキシルアミンの亜硝酸塩を
分散混入させてなるチューブ(細管)状のもの)を挿入
し、暫時経過後、同長尺の気化性防錆剤含有成形体を取
り出し、しかる後同シース内にグラウトを注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ポストテンショ
ン工法におけるシース内のPC鋼線の防錆構造及び防錆
グラウトケーブルの製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プレストレストコンクリート部
材の製作工法は、プレテンション方式とポストテンショ
ン方式とに大別される。プレテンション方式とは、コン
クリートを打ち込む前に緊張したPC鋼線を用いてプレ
ストレスを導入する方法であり、緊張したPC鋼線を反
力装置で固定した後、コンクリートを打設してPC鋼線
を埋設し、コンクリートが固まった後、前記反力装置を
緩めることによってプレストレスを導入する方法であ
る。一方、ポストテンション方式とは、付着のない状態
でPC鋼材をコンクリート部材に埋設し、コンクリート
が固まった後部材の端面でPC鋼材を緊張して止めるこ
とによりコンクリートにプレストレスを導入する方法で
ある。その方法として、PC鋼材を挿通するためのシー
スがコンクリート内に配置されるようにコンクリートを
打設し、前記コンクリートの硬化後、前記シース内にP
C鋼材を挿入し、その後前記PC鋼材に緊張力を与えた
後に、前記PC鋼材の端部を定着具でコンクリートに定
着させる方法などが、採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 前記、ポストテンシ
ョン方式では、コンクリート内にシースを配置し、PC
鋼材を挿入して緊張力を与えた後、シース内にグラウト
材を充填して構成される。しかし、作業現場における諸
事情により、グラウト材の充填が、PC鋼材の緊張後、
長期間経た後に行われることが少なくない。ところが、
グラウト材の充填までの期間が長いと、シース内のPC
鋼材が結露により湿気を帯びたり、緊張時のPC鋼材同
士の接触等により、錆が発生してしまうという問題があ
った。また、永年の実績ではシース内に錆が発生してい
たとしてもグラウトの充填が正常になされていれば錆の
進行は長期耐久性に問題を引き起こすことはないと認識
されている。しかし、最近使用頻度が高まっている外ケ
ーブル用透明シースの場合には、前記錆が目視で確認さ
れ始めたこともあり、このような初期の悪条件を最小限
に抑える観点から、シース内にグラウト注入を行うまで
の間、PC鋼材を一時的に防錆する必要性が高まってき
た。そこで、シース挿入前にPC鋼材に、防錆油類等を
塗布するなどの方法が採られているが、防錆油類等は、
グラウト材の注入前に完全に除去することができず、グ
ラウト材の充填後、PC鋼材とグラウト材の付着が不完
全なものとなってしまうという問題があった。また、鉄
筋などの防錆に用いられる防錆塗料を、シース挿入前の
PC鋼材に塗布するという方法もあるが、PC鋼材への
塗料の塗布作業は膨大な作業となり、非効率的である。
さらに、PC鋼材へ防錆塗料を塗布すると、防錆塗料が
塗布され乾燥したPC鋼材は、その表面の潤滑性が喪失
してしまうため、シース内に挿入する際に、挿入しにく
くなり、作業が困難になるという問題があった。そし
て、シース内に前記防錆剤が塗布されたPC鋼材を挿入
した後の緊張時には、同PC鋼材の外面部とシース内面
部又はPC鋼材相互の接触摺動摩擦が大きくなり、最悪
の場合シースを破損してしまったり、緊張力の摩擦によ
る損失が大きくなるという問題があった。その他、散布
型の粉末状気化性防錆剤などを採用することもできる
が、粉末状気化性防錆剤は、発ガン性物質が混入されて
いたり、毒性を有するものが多く、実用化は困難であっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明は、上記課題を
解決するものであり、下記構成のシース内PC鋼線の防
錆構造及び防錆グラウトケーブルの製作方法である。 (1)PC鋼材が挿通されているシース内に、同PC鋼
材に沿って長尺の気化性防錆剤含有成形体が挿入されて
なることを特徴とするシース内PC鋼材の防錆構造。 (2)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、細紐状の成形
体であることを特徴とする前項1記載のシース内PC鋼
材の防錆構造。 (3)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、チューブ(中
空細管)状の成形体であることを特徴とする前項1記載
のシース内PC鋼材の防錆構造。 (4)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、チューブ(中
空細管)状の成形体の中に剛性ワイヤが挿通されてなる
ものであることを特徴とする前項1記載のシース内PC
鋼材の防錆構造。 (5)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、テープ状の成
形体であることを特徴とする前項1記載のシース内PC
鋼材の防錆構造。 (6)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、熱可塑性樹脂
製基体の表面に気化性防錆剤が着設(例えば塗布、融着
等により着設)されてなるものであることを特徴とする
前項1〜5のいずれか1項に記載のシース内PC鋼材の
防錆構造。 (7)長尺の気化性防錆剤含有成形体が、気化性防錆剤
が熱可塑性樹脂中に分散混有されてなるものであること
を特徴とする前項1〜5のいずれか1項に記載のシース
内PC鋼材の防錆構造。
【0005】(8)熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合
体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エ
チレン−ヘキセン共重合体等のエチレンとC3−C18
のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メチルメタ
クリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル
−メチルメタクリレート共重合体等のエチレン性不飽和
結合を有する有機カルボン酸誘導体とエチレンとの共重
合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニ
ルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメタクリ
ル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体、又はポリ塩化ビニルから選択されるいずれか
1種又は2種以上であることを特徴とする前項6又は7
に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。 (9)気化性防錆剤の防錆有効成分が、有機アミンと無
機酸又は有機酸との塩であること(例えばジシクロヘキ
シルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモ
ニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムカ
ーボネート等であること)を特徴とする前項1〜8のい
ずれか1項に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。 (10)気化性防錆剤の防錆有効成分の有機アミンが、
脂肪族、脂環族、芳香族、又は複素環式のモノアミンか
ら選択されるいずれか1種又は2種以上であることを特
徴とする前項9に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。 (11)有機アミンが、アミルアミン、オクチルアミ
ン、ジブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロ
ピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシル
アミン、アニリン、ジフェニルアミン、ベンジルアミ
ン、ナフチルアミン、モルホリン、ベンゾトリアゾー
ル、又はアルキルベンゾトリアゾールから選択されるい
ずれか1種又は2種以上であることを特徴とする前項9
又は10に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。
【0006】(12)気化性防錆剤の防錆有効成分の有
機アミンと塩を形成する酸が、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、無水マレイ
ン酸、無水フタル酸、安息香酸、ナフトエ酸、亜硝酸、
りん酸、亜りん酸、又は炭酸から選択される1種又は2
種以上であることを特徴とする前項9〜11のいずれか
1項に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。 (13)気化性防錆剤含有成形体が、前項1〜12のい
ずれか1項に記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体であ
ることを特徴とするシース内PC鋼材の防錆用気化性防
錆剤含有成形体。 (14)PC鋼材が挿通されたシース内に、前項13に
記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体(すなわち、特に
前項(2)〜(12)に記載の長尺の気化性防錆剤含有
成形体)をPC鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、シー
ス内にグラウトを注入することを特徴とする防錆グラウ
トケーブルの製作方法。 (15)PC鋼材が挿通されたシース内に、前記前項1
3に記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体(すなわち、
特に前項(2)〜(12)に記載の長尺の気化性防錆剤
含有成形体)をPC鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、
前記長尺の気化性防錆剤含有成形体をシース内から取り
出し、しかる後シース内にグラウトを注入することを特
徴とする防錆グラウトケーブルの製作方法。 (16)シース内に挿通されたPC鋼材を緊張した後、
定着部のグラウト注入口から、前記13項に記載の長尺
の気化性防錆剤含有成形体(すなわち、特に前項(2)
〜(12)に記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体)を
PC鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、前記長尺の気化
性防錆剤含有成形体をシース内から取り出し、しかる後
シース内にグラウトを注入することを特徴とする防錆グ
ラウトケーブルの製作方法。 (17)シース内に挿通されたPC鋼材を緊張した後、
ケーブルの偏向部やその他適宜箇所に設けられた空気抜
き管から、前記13項に記載の長尺の気化性防錆剤含有
成形体(すなわち、特に前項(2)〜(12)に記載の
長尺の気化性防錆剤含有成形体)をPC鋼材に沿って挿
入し、暫時経過後、前記長尺の気化性防錆剤含有成形体
をシース内から取り出し、しかる後シース内にグラウト
を注入することを特徴とする防錆グラウトケーブルの製
作方法。 (18)前記13項に記載の長尺の気化性防錆剤含有成
形体(すなわち、特に前項(2)〜(12)に記載の長
尺の気化性防錆剤含有成形体)をシース内に挿入するに
先だって、定着部のグラウト注入口又はケーブルの偏向
部やその他適宜箇所に設けられた空気抜き管からPC鋼
材3が挿通されたシース2内に、乾燥空気又は不活性ガ
スを圧入して湿気をパージしておくことを特徴とする前
項14〜17のいずれか1項に記載の防錆グラウトケー
ブルの製作方法。 (19)ケーブルが橋梁桁の内ケーブルであることを特
徴とする前項14〜18のいずれか1項記載に防錆グラ
ウトケーブルの製作方法。 (20)ケーブルが橋梁の外ケーブルであることを特徴
とする前項14〜18のいずれか1項記載に防錆グラウ
トケーブルの製作方法。 なお、上記気化性防錆剤含有成形体を製造するに当た
り、弾性を付与する成分としてイソプレンゴム、ブタジ
エンゴム等公知のエラストマを加配してもよく、また、
気化性防錆剤の防錆有効成分の溶剤としてケロシン、ヘ
キサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類等の各種溶剤を使用してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態を図面に基
づいて説明する。図1は本発明のシース内PC鋼線の防
錆構造の実施例の断面図である。図2は、本発明のシー
ス内PC鋼線の防錆構造のその他の実施例の断面図であ
る。図3は、本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の一
部拡大断面図であり、図4は、本発明のシース内PC鋼
線の防錆構造の一部拡大断面図である。また、図5〜図
9は本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜視図
であり、図5は長尺の気化性防錆剤含有成形体が、細紐
状の成形体の場合の説明斜視図、図6は長尺の気化性防
錆剤含有成形体がチューブ(中空細管)状の成形体の場
合の説明斜視図、図7は、長尺の気化性防錆剤含有成形
体が、テープ状の成形体の場合の説明斜視図、図8は長
尺の気化性防錆剤含有成形体が、チューブ(中空細管)
状の成形体の中に剛性ワイヤが挿通された場合の説明斜
視図、図9は長尺の気化性防錆剤含有成形体が、気化性
防錆剤が熱可塑性樹脂中に分散混有された場合の説明斜
視図である。また、図10〜16は本願発明に係る防錆
ケーブルの製作方法の工程説明図である。図中、1はケ
ーブル、2はシース、3はPC鋼材、4は長尺の気化性
防錆剤含有成形体、5はPC鋼材の定着部、6はグラウ
ト注入口、7はテーピング部、8は空気抜き管、9はコ
ンクリートである。
【0008】図1に基づいて説明すると、箱桁橋におい
て、コンクリート部9、9・・を介してケーブル(外ケ
ーブル)1が配設されている。ケーブルは、PC鋼材3
が挿通されたシース2からなり、シース2内にPC鋼材
3に沿って長尺の気化性防錆剤含有成形体4が挿入され
ている。長尺の気化性防錆剤含有成形体4としては、ポ
リエチレンにジシクロヘキシルアミンの亜硝酸塩(ジシ
クロヘキシルアンモニウムナイトライト)を分散混入さ
せてなるチューブ(細管)状のものを使用した。長尺の
気化性防錆剤含有成形体4は、PC鋼材の定着部5のグ
ラウト注入口6からシース2内に押入されるか、又は空
気抜き管8の開口部からシース2内に押入される。前記
押入作業に先立って、PC鋼材3が挿通されたシース2
内に、グラウト注入口6又は空気抜き管8から乾燥空
気、不活性ガス(例えば窒素ガス、ヘリウムガス等)を
圧入して、湿気をパージしておくことが好ましく、ある
いはグラウト注入口6又は空気抜き管8に吸引装置を取
着し、シース2内を減圧して湿気を除去すること、さら
に減圧により湿気を除去したシース2内に前記乾燥空気
又は不活性ガスを注入することも好ましい。あるいは、
長尺の気化性防錆剤含有成形体4をシース2内に押入し
た後、前記乾燥空気又は不活性ガスの圧入することも好
ましい。その後、暫時経過させて、長尺の気化性防錆剤
含有成形体4の表面から防錆剤を気化させてシース2内
に防錆剤ガスを充満させ、PC鋼材3の表面も防錆剤ガ
スで覆って、その後のグラウト充填までの間、防錆効果
を作用させる。なお、長尺の気化性防錆剤含有成形体4
の押入後、グラウト注入口6又は空気抜き管8の開口端
部はテーピング部7により密封しておくことが好まし
い。最後に、テーピング部7を剥がし、長尺の気化性防
錆剤4をシース2内から抜き出した後、グラウト注入口
6からシース2内にグラウトを注入・充填する。図2に
示すものは、箱桁橋において内ケーブル1が配設されて
いる場合を示している。
【0009】長尺の気化性防錆剤含有成形体4は、紐状
4a、チューブ(中空細管)状4d(図6)、剛性があ
る細長いテープ状4c(図7)の成形体であってもよ
い。表面積を高めるべく長溝・突条を設けてもよい。特
に、チューブ(中空細管)状4bの成形体は、そのまま
で又はその中に剛性ワイヤ41を貫挿して剛性を保持さ
せ、シース2内の奥部まで充分に挿通できるようにされ
てなるものであることも好ましい。(図8参照)
【0010】図3は、本発明のシース内PC鋼線の防錆
構造の一部拡大断面図であり、コンクリート9の表面部
付近に一部埋設されたアンカープレート10と、その表
面に隣接して設けられたアンカーヘッド11と、シース
2とその中に挿通されたPC鋼材3と長尺の気化性防錆
剤含有成形体4とからなる。なお、5は定着部、6はグ
ラウト注入口、7はテーピング部、9はコンクリートで
あり、コンクリート9表面に近いシース2の部分が内ト
ランペット部21と外トランペット部22とからなる。
図4は、本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の一部拡
大断面図であり、空気抜き管8から長尺の気化性防錆剤
含有成形体4をシース2内に挿通した状態を示してい
る。図5は紐状の長尺の気化性防錆剤含有成形体4aが
シース2内にPC鋼材3(PCより線)に沿って、挿通
されているものである。図6はチューブ(中空細管)状
の長尺の気化性防錆剤含有成形体4bで、それがシース
2内にPC鋼材3(PCより線)に沿って、挿通されて
いる。図7はテープ状の長尺の気化性防錆剤含有成形体
4cで、それがシース2内にPC鋼材3(PCより線)
に沿って、挿通されている。
【0011】図8はチューブ(細管)状の長尺の気化性
防錆剤含有成形体(4b)の中に剛性ワイヤ41が挿通
されてなるもの4dで、それがシース2内にPC鋼材3
(PCより線)に沿って、挿入されている。なお、チュ
ーブ(細管)状の長尺の気化性防錆剤含有成形体(4
b)の中に剛性ワイヤ41を挿通するには、チューブ
(細管)の内径とほぼ同じか少し大きめの外径の剛性ワ
イヤ41を挿通せしめておくか、又はチューブ状気化性
防錆剤含有成形体の先端を剛性ワイヤの先端が突出しな
いように溶封しておくかして、剛性ワイヤがチューブ状
気化性防錆剤含有成形体から抜け出さないようにしてお
くことが好ましい。これ(4d)を使用した場合、例え
ば細いピアノ線からなる剛性ワイヤ41が内装されてい
るので、PC鋼材2が挿通されたシース2内に奥部まで
容易に押入させることができる。図9は気化性防錆剤含
有成形体が分散混有された、熱可塑性樹脂で形成された
長尺の太線状のチューブ4eが、シース2内にPC鋼材
3(PCより線)に沿って、挿通されているものであ
る。
【0012】次ぎに本願発明の防錆ケーブルの製作方法
について、図10〜16にしたがって説明する。まず、
図10においてコンクリート9内のシース2中に、PC
鋼材3が緊張されて配設されている。次ぎに図11にお
いて、コンクリート9内のシース2中に、グラウト注入
口6から長尺の気化性防錆剤含有成形体4を押入する。
図12において、長尺の気化性防錆剤含有成形体4の端
部をテーピング(7)する。図13において、さらに空
気抜き管8から長尺の気化性防錆剤含有成形体4を挿入
する。図14において、グラウト注入口6及び空気抜き
管8の端部をテーピング(7)する。図15において、
長尺の気化性防錆剤含有成形体4を外へ取り出す。図1
6において、グラウト注入口6からグラウトGを注入す
る。以上の工程により、防錆された状態の本願発明に係
るPC鋼材が挿入されたケーブルが製作される。
【0013】
【実施例】外ケーブル方式で透明シース(外径115m
m)を橋梁の箱桁内に設置後、外形15.2mmの裸P
C鋼材19本を挿通した。次いで、チューブ(細管)状
の気化性防錆剤含有成形体(「ゼラストチューブS」:
商品名、太洋液化ガス(株)製の気化性防錆剤含有成形
体)をグラウト注入口から同透明シース内に、PC鋼材
に沿って挿入した。その後、PC鋼材を緊張して約1年
間放置した。その結果、同時期に施工した該気化性防錆
剤含有成形体を挿入していない比較例では目視により発
錆が認められたが、本実施例では発錆が全く認められな
かった。なお、透明シースには所々にグラウト注入時の
空気抜き管が立設されている。本実施例における気化性
防錆剤は気化した防錆成分が空気よりも比重が大きいた
め、これらの空気抜き管の上端開口部から漏出すること
は殆どないが、外気の浸入を防止し、かつ透明シース内
を気化ガスで充満して防錆効果を高めるためにこれら開
口部をテーピング等によって封止しておくことが好まし
い。
【0014】
【発明の効果】上記のとおり、本願発明に係る長尺の気
化性防錆剤含有成形体をシース内に挿通することによ
り、シース内の緊張されたPC鋼材をグラウト注入時ま
での間、容易かつ確実に防錆することができる。本願発
明に係る長尺の気化性防錆剤含有成形体は、グラウト注
入口や空気抜き管からシース内へ容易に挿入・取り出し
することができるのでその作業も熟練を要せずに行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の実施例
の断面図
【図2】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造のその他
の実施例の断面図
【図3】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の一部拡
大断面図
【図4】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の一部拡
大断面図
【図5】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜
視図
【図6】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜
視図
【図7】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜
視図
【図8】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜
視図
【図9】本発明のシース内PC鋼線の防錆構造の説明斜
視図
【図10】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図11】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図12】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図13】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図14】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図15】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【図16】本願発明に係る防錆ケーブルの製作方法の工
程説明図
【符号の説明】
1 ケーブル 2 シース 3 PC鋼材 4 長尺の気化性防錆剤含有成形体 4a 紐状の長尺の気化性防錆剤含有成形体 4b チューブ(中空細管)状の長尺の気化性防錆剤含
有成形体 4c テープ状の長尺の気化性防錆剤含有成形体 4d ワイヤを挿通したチューブ状の長尺の気化性防錆
剤含有成形体 4e 気化性防錆剤を分散混有した、熱可塑性樹脂で形
成された太線状の長尺の気化性防錆剤含有成形体 5 PC鋼材の定着部 6 グラウト注入口 7 テーピング部 8 空気抜き管 9 コンクリート 10 アンカープレート 11 アンカーヘッド 21 内トランペット部 22 外トランペット部 41 剛性ワイヤ G グラウト
フロントページの続き (72)発明者 林 宣行 東京都渋谷区桜丘町22−11 (72)発明者 西田 吉孝 兵庫県神戸市灘区高羽町4−4−12 Fターム(参考) 2D059 AA08 BB39 GG02 GG23 GG37 2E164 AA02 AA31 BA06 BA25

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PC鋼材が挿通されているシース内に、同
    PC鋼材に沿って長尺の気化性防錆剤含有成形体が挿入
    されてなることを特徴とするシース内PC鋼材の防錆構
    造。
  2. 【請求項2】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、細紐状
    の成形体であることを特徴とする請求項1記載のシース
    内PC鋼材の防錆構造。
  3. 【請求項3】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、チュー
    ブ(中空細管)状の成形体であることを特徴とする請求
    項1記載のシース内PC鋼材の防錆構造。
  4. 【請求項4】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、チュー
    ブ(中空細管)状の成形体の中に剛性ワイヤが挿通され
    てなるものであることを特徴とする請求項1記載のシー
    ス内PC鋼材の防錆構造。
  5. 【請求項5】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、テープ
    状の成形体であることを特徴とする請求項1記載のシー
    ス内PC鋼材の防錆構造。
  6. 【請求項6】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、熱可塑
    性樹脂製基体の表面に気化性防錆剤が着設されてなるも
    のであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
    に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。
  7. 【請求項7】長尺の気化性防錆剤含有成形体が、気化性
    防錆剤が熱可塑性樹脂中に分散混有されてなるものであ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載
    のシース内PC鋼材の防錆構造。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロ
    ピレン等のα−オレフィンの単独重合体、エチレン−プ
    ロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エ
    チレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン
    −ヘキセン共重合体等のエチレンとC3−C18のα−
    オレフィンとの共重合体、エチレン−メチルメタクリレ
    ート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
    ン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチ
    ルメタクリレート共重合体等のエチレン性不飽和結合を
    有する有機カルボン酸誘導体とエチレンとの共重合体、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアル
    コール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリエス
    テル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メ
    チル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
    体、又はポリ塩化ビニルから選択されるいずれか1種又
    は2種以上であることを特徴とする請求項6又は7に記
    載のシース内PC鋼材の防錆構造。
  9. 【請求項9】気化性防錆剤の防錆有効成分が、有機アミ
    ンと無機酸又は有機酸との塩であることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれか1項に記載のシース内PC鋼材の
    防錆構造。
  10. 【請求項10】気化性防錆剤の防錆有効成分の有機アミ
    ンが、脂肪族、脂環族、芳香族、又は複素環式のモノア
    ミンから選択されるいずれか1種又は2種以上であるこ
    とを特徴とする請求項9に記載のシース内PC鋼材の防
    錆構造。
  11. 【請求項11】有機アミンが、アミルアミン、オクチル
    アミン、ジブチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソ
    プロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキ
    シルアミン、アニリン、ジフェニルアミン、ベンジルア
    ミン、ナフチルアミン、モルホリン、ベンゾトリアゾー
    ル、又はアルキルベンゾトリアゾールから選択されるい
    ずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項
    9又は10に記載のシース内PC鋼材の防錆構造。
  12. 【請求項12】気化性防錆剤の防錆有効成分の有機アミ
    ンと塩を形成する酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウ
    リン酸、ステアリン酸、コハク酸、無水マレイン酸、無
    水フタル酸、安息香酸、ナフトエ酸、亜硝酸、りん酸、
    亜りん酸、又は炭酸から選択される1種又は2種以上で
    あることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に
    記載のシース内PC鋼材の防錆構造。
  13. 【請求項13】気化性防錆剤含有成形体が、請求項1〜
    12のいずれか1項に記載の長尺の気化性防錆剤含有成
    形体であることを特徴とするシース内PC鋼材の防錆用
    気化性防錆剤含有成形体。
  14. 【請求項14】PC鋼材が挿通されたシース内に、前記
    請求項13に記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体をP
    C鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、シース内にグラウ
    トを注入することを特徴とする防錆グラウトケーブルの
    製作方法。
  15. 【請求項15】PC鋼材が挿通されたシース内に、前記
    請求項13に記載の長尺の気化性防錆剤含有成形体をP
    C鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、前記長尺の気化性
    防錆剤含有成形体をシース内から取り出し、しかる後シ
    ース内にグラウトを注入することを特徴とする防錆グラ
    ウトケーブルの製作方法。
  16. 【請求項16】シース内に挿通されたPC鋼材を緊張し
    た後、定着部のグラウト注入口から、前記13項に記載
    の長尺の気化性防錆剤含有成形体をPC鋼材に沿って挿
    入し、暫時経過後、前記長尺の気化性防錆剤含有成形体
    をシース内から取り出し、しかる後シース内にグラウト
    を注入することを特徴とする防錆グラウトケーブルの製
    作方法。
  17. 【請求項17】シース内に挿通されたPC鋼材を緊張し
    た後、ケーブルの偏向部やその他適宜箇所に設けられた
    空気抜き管から、前記13項に記載の長尺の気化性防錆
    剤含有成形体をPC鋼材に沿って挿入し、暫時経過後、
    前記長尺の気化性防錆剤含有成形体をシース内から取り
    出し、しかる後シース内にグラウトを注入することを特
    徴とする防錆グラウトケーブルの製作方法。
  18. 【請求項18】前記13項に記載の長尺の気化性防錆剤
    含有成形体をシース内に挿入するに先だって、定着部の
    グラウト注入口又はケーブルの偏向部やその他適宜箇所
    に設けられた空気抜き管から、PC鋼材3が挿通された
    シース2内に、乾燥空気又は不活性ガスを圧入して湿気
    をパージしておくことを特徴とする請求項14〜17の
    いずれか1項に記載の防錆グラウトケーブルの製作方
    法。
  19. 【請求項19】ケーブルが橋梁桁の内ケーブルであるこ
    とを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項記載に
    防錆グラウトケーブルの製作方法。
  20. 【請求項20】ケーブルが橋梁の外ケーブルであること
    を特徴とする請求項14〜18のいずれか1項記載に防
    錆グラウトケーブルの製作方法。
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