JP2003112975A - 構造物およびその製造方法、構造物形成用粒子並びにその製造方法 - Google Patents

構造物およびその製造方法、構造物形成用粒子並びにその製造方法

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JP2003112975A
JP2003112975A JP2001303352A JP2001303352A JP2003112975A JP 2003112975 A JP2003112975 A JP 2003112975A JP 2001303352 A JP2001303352 A JP 2001303352A JP 2001303352 A JP2001303352 A JP 2001303352A JP 2003112975 A JP2003112975 A JP 2003112975A
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Hironori Hatono
広典 鳩野
Motoi Yasuda
基 安田
Tomokazu Ito
朋和 伊藤
Tatsuro Yokoyama
達郎 横山
Atsushi Yoshida
篤史 吉田
Kaori Yamaguchi
香緒里 山口
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Kazuya Tsujimichi
万也 辻道
Yuji Aso
雄二 麻生
Jun Aketo
純 明渡
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突或いは機械的衝撃力により脆性材料粒子
同士を結合せしめて構造物を作製する。 【解決手段】 構造物形成装置1は成形用型11内に充
填された硬質の粒状体12と、成形用型11を保持する
基板保持部13と、成形用型11に充填された硬質の粒
状体12を介して対向して設置された硬質材料からなる
シリンダー14とこれを爆発等のエネルギーを介して上
下運動させるピストン機関15からなる。硬質の粒状体
12は、例えば数十〜数百μmのセラミックスの粉体な
どであり、成形用型11に充填された硬質の粒状体12
は、爆発等のエネルギーにて上下運動させるピストン機
関15から発生する衝撃力を硬質材料からなるシリンダ
ー14を介して硬質の粒状体12の微粒子を変形させ、
新生面を形成して、微粒子同士を接合し構造物を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体積抵抗率が特異
的に小さくなる金属酸化物の構造物及びその製造方法、
並びに体積抵抗率が特異的に小さくなる金属酸化物の構
造物を作製するための粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物材料は、一般的に、ヤング率
が高い、化学的安定性が高い、耐薬品性が高い、熱膨張
率が低い等の優れた特性を有するために、種々の用途の
構造物に利用されている。このような金属酸化物材料
は、その多くが絶縁体であり、基本的にはその性質は物
質により一義的に決定されてしまう。しかし、この性質
を種々に制御できればその用途はさらに拡大することが
予想される。従来はこのような制御を行う、すなわち体
積抵抗率をより低めるには、不純物金属を添加する方法
が採られていた。
【0003】
【発明を解決するための課題】しかしながら、このよう
な不純物金属を添加する方法では、特に半導体製造装置
等においては、添加金属が汚染源として問題になる場合
がある。また、なかなか均一に不純物金属の固溶反応が
生じず均一な性能を有する製造物を作製しにくいといっ
た問題もあった。本発明では、上記問題の生じない全く
新規な体積抵抗率が特異的に小さな金属酸化物の構造物
及びその製造方法、並びに体積抵抗率の特異的に小さな
金属酸化物の構造物を作製するための粒子及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、その一実施
態様においては、MOxの量論組成よりもO/M比が大きい
金属酸化物材料からなる脆性材料粒子を成形型に充填
後、この脆性材料粒子に脆性材料粒子の破壊強度よりも
大きな機械的衝撃力を付加し、その衝撃により脆性材料
粒子同士を結合せしめることを特徴とする構造物の製造
方法を提供する。ここでMは金属元素を、Oは酸素を表
す。
【0005】本発明の他の実施態様においては、粒径
0.1〜5μmであり、かつMOxの量論組成よりもO/
M比が大きい脆性材料粒子を高速で基板に衝突させ、こ
の衝突による衝撃の印加により脆性材料粒子に変形を起
こさしめて、あるいはその一部に新生面を形成させ、こ
の衝撃が印加された粒子同士を接合させるとともに衝撃
が印加された粒子を前記基板に接合させることにより、
基板上に脆性材料被膜を形成させることを特徴とする構
造物の製造方法を提供する。
【0006】本発明の好ましい実施態様においては、前
記脆性材料粒子を高速で基板に衝突させる方法は、脆性
材料粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基
板材料に向けて噴射する方法であるようにする。
【0007】本発明では、上記構造物を形成するための
脆性材料粒子であって、平均粒径0.1〜5μmであ
り、かつMOxの量論組成よりもO/M比が大きい脆性材
料粒子からなることを特徴とする構造物形成用粒子を提
供する。
【0008】本発明では、上記構造物形成用粒子の製造
方法であって、酸素を含有する雰囲気における脆性材料
の粒子又は結晶への機械的衝撃力の付与により、MOxの
量論組成よりも過剰の酸素原子を吸着させることを特徴
とする構造物形成用粒子の製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明につき、より詳述
する。まず、本発明の製造方法で得られた構造物が、体
積抵抗率の特異的に小さな金属酸化物の構造物になる理
由は、MOxの量論組成よりもO/M比が大きい、すなわ
ち酸素を過剰に保有することに起因し、この酸素が伝導
体の役割を果たすことに起因していると考えられる。こ
のようなMOxの量論組成よりもO/M比が大きい組成の
金属酸化物の構造物は、従来の高温焼成によりMOx構造
物を形成する方法では有り得ない構造である。というの
は、酸素が過剰になるということは、結晶界面に酸素や
酸素を含有する化合物例えば水や水酸基が物理吸着ある
いは化学吸着している状態を意味し、従来の高温焼成に
よる方法ではそれらの吸着物は気化してしまうからであ
る。本発明において、MOxの量論組成よりもO/M比が
大きい構造物が得られた理由は、後述するような、メカ
ノケミカル的な方法で原料粒子の結晶界面に酸素や酸素
を含有する化合物例えば水や水酸基を吸着させてMOxの
量論組成よりもO/M比が大きい粒子を作製し、その粒
子を用いて焼成を伴わない方法で、成形またはコーティ
ングすることで相対密度80%以上、ビッカース硬度5
00以上の緻密な硬質膜を得たことによるのである。
【0010】次に、以下に本発明の請求項に使用されて
いる語につき説明する。本発明において、「金属酸化
物」とは、脆性材料の金属酸化物であり、例えば、酸化
アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
鉄、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化クロ
ム、酸化ハフニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、酸化珪素等の単一金属の酸化物や、チタン酸バリウ
ム、チタン酸鉛、チタン酸リチウム、チタン酸ストロン
チウム、チタン酸アルミニウム、PZT、PLZT、ニ
ッケルフェライト、マンガンフェライト、マンガンジン
クフェライト、超伝導材料等の複合金属酸化物などの金
属酸化物の1種又は2種以上からなる混合物や多元系の
固溶体などが利用できる。
【0011】また体積抵抗率は、アルミナ構造物上にφ
13mmの円形の電極とその外側に幅1mmの電極を1mmのギャ
ップをかいして円周上設けた外部電極を設けた試料を作
製し、円形電極と導電性の基板すなわち下部電極との間
で10,25,50,100Vの電圧を印加し、印加後約
30sec間放置し安定したの電流値をマイクロ電流計で
読みとり、各試料の体積抵抗率をオームの法則にて求め
た。また、「MOxの量論組成よりもO/M比が大き
い」状態であることは、相対密度80%以上になる条件
下で焼成した各種MOxの化学量論組成物を、蛍光X線
装置を用いて、測定元素:O、測定元素:MのX線強度
を十分比較できる条件で測定して、そのカウント数比か
ら、MOxの量論組成のO/M比を算出した。同様の測
定方法によって、本発明が記載するところの構造物の試
料についてもO/M比を算出し、焼成で得られたMOx
の量論組成物と比較して、判定した。
【0012】また、「構造物の相対密度」は、本発明が
記載の構造物についての嵩密度は、アルキメデス法(構
造物の乾燥重量:W1、水中での重量:W2、飽水の重
量:W3から算出)にて測定算出した。その値をMOx
の真比重にて割り、%にて表示した。また、脆性材料被
膜からなる構造物については、構造物を液体窒素中に浸
積し、基材から剥離した脆性材料被膜の嵩密度を測定し
た。
【0013】また、「構造物のビッカース硬度」は、膜
の硬度は、島津製作所製ダイナミック超微小硬度計DU
H−W201を用いてビッカース圧子を50gの荷重で
15秒間印加し求めた結果を,5点測定行い平均値を求
めた。構造物が脆性材料からなる場合は、基材の硬度を
拾わないように10μm以上の形成高さで構造物を形成
し、その表面から圧子を押しつけて測定した。
【0014】また、「平均粒径0.1〜5μm」である
ことは、島津製作所製のレーザー式沈降型粒度分布測定
器による測定で確認した。
【0015】次に、本発明の目的物である体積抵抗率の
特異的に小さな金属酸化物の構造物の具体的な製造方法
につき、説明する。まず、構造体がバルク体である場合
につき説明する。その方法は、MOxの量論組成よりも
O/M比が大きい金属酸化物の脆性材料粒子を成形型に
充填後、この脆性材料粒子に脆性材料粒子の破壊強度よ
りも大きな機械的衝撃力を付加し、その衝撃により前記
脆性材料粒子を変形または破砕し、この変形または破砕
にて生じた活性な新生面を介して脆性材料粒子同士を結
合せしめることによる。ここで、脆性材料粒子の破壊強
度は、ビッカース硬度で代用できる。
【0016】脆性材料粒子の破壊強度よりも大きな機械
的衝撃力を付加する方法は、高速回転する高硬度のブラ
シやローラーあるいは高速に上下運動するピストンなど
を用いるか、爆発の際に発生する衝撃波による圧縮力を
利用したり、または、超音波を作用させることによる
か、あるいは、これらの組み合わせが考えられる。
【0017】次に、構造物が被膜である場合につき説明
する。その1つの方法は、粒径0.1〜5μmであり、
かつMOxの量論組成よりもO/M比が大きい脆性材料
粒子を高速で基板に衝突させ、この衝突により脆性材料
粒子を破砕してより微細な断片粒子を生成し、前記微細
な断片粒子同士を接合させるとともに前記微細な断片粒
子を前記基板に接合させることにより、基板上に脆性材
料被膜を形成させる。その別の方法は、粒径0.1〜5
μmであり、かつMOxの量論組成よりもO/M比が大
きい脆性材料粒子を高速で基板に衝突させ、この衝突に
よる衝撃の印加により脆性材料粒子に変形を起こさしめ
て、あるいはその一部に新生面を形成させ、この衝撃が
印加された粒子同士を接合させるとともに衝撃が印加さ
れた粒子を前記基板に接合させることにより、基板上に
脆性材料被膜を形成させる。ここで、脆性材料粒子を高
速で基板に衝突させる方法は、脆性材料粒子をガス中に
分散させたエアロゾルを、高速で基板材料に向けて噴射
する方法を用いるのが好ましい。
【0018】ここで言う基板に脆性材料粒子を衝突させ
る速度とは、実施例5に記載する方法にて測定を行っ
た。速度としては、ノズル開口から5mm離れた場所か
ら24mm離れた場所までの平均速度を微粒子の速度と
言い、50〜500m/s、好ましくは100〜450
m/s、より好ましくは150〜400m/sである。
50m/s以下では、圧粉体が構造物中に混在する現象
が観察されており、500m/s以上では、衝突する微
粒子が形成された構造物を削るというエッチング効果が
目立つようになり、構造物形成効率が低下する。
【0019】また、アルミナ粒子をガス中に分散させた
エアロゾルを、高速で基板材料に向けて噴射する方法と
しては、エアロゾルデポジション法やガスデポジション
法に代表される搬送ガスを用いる方法や、静電気力を用
いて微粒子を加速する方法、溶射法、クラスターイオン
ビーム法、コールドスプレー法等、あるいは、これらの
組み合わせが考えられる。
【0020】次に、本発明の構造物を形成するための粒
子の好ましい具体的な製造方法につき、説明する。その
方法は、酸素を含有する雰囲気における粒子又は結晶の
破砕により、MOxの量論組成よりも過剰の酸素原子を
吸着させる方法である。ここで、「酸素を含有する雰囲
気」とは、酸素を10vol%以上含む酸素雰囲気、ある
いは大気雰囲気が好適に用いられる。また、粒子又は結
晶に機械的衝撃力を付与する方法としては、MOxに酸
素をメカノケミカル的に過剰に吸着させるために、気体
酸素や水分が存在する環境中で高速でボールにて粉砕さ
せる方法が望ましい。たとえば、ボールミル、振動ミル
あるいは遊星ミル等が有効な手段としてあげられる。特
に、乾式にて粉砕する方がより効率よくメカノケミカル
的に酸素過剰に吸着させることができる。
【0021】本発明の構造物は、以下に限定されない
が、体積抵抗率が制御でき、高硬度の構造物を形成でき
ることから、静電チャック、磁気ヘッドの表面コートな
ど帯電防止(埃付着防止)用耐摩耗コート摺動部材や構
造部材等に好適に利用できる。帯電防止には表面固有抵
抗が1011Ω以下で良好な効果を示すが、固体の体積抵
抗は表面抵抗より2〜3桁高いため、1013Ω・cm以
下で効果を示し、また1012Ω・cm以下では極めて良
好となる。また静電チャックなどで利用されるジョンセ
ン・ラーベック効果も室温環境下で1013Ω・cmほど
あればチャックの実用に耐えられる体積抵抗率となる。
さらには、IC基板や各種センサー等にも利用できる。
【0022】次に本発明における構造物の製造方法に関
する実施の一態様を説明する。図1は、前記した構造物
形成を実施するための構造物形成装置1を示しており、
構造物形成装置1は成形用型11内に充填された硬質の
粒状体12と、成形用型11を保持する基板保持部13
と、成形用型11に充填された硬質の粒状体12を介し
て対向して設置された硬質材料からなるシリンダー14
とこれを爆発等のエネルギーを介して上下運動させるピ
ストン機関15からなる。またこれらは真空チャンバー
16内に収められ、真空ポンプ17により、真空チャン
バー内は1Pa以下の減圧状態に保持されている。
【0023】硬質の粒状体12は、例えば数十〜数百μ
mのセラミックスの粉体などであり、成形用型11に充
填された硬質の粒状体12は、爆発等のエネルギーにて
上下運動させるピストン機関15から発生する衝撃力を
硬質材料からなるシリンダー14を介して硬質の粒状体
12の微粒子を変形させ、新生面を形成させて、微粒子
同士を接合させ、構造物を形成させる。この手法は特に
厚膜及び塊状の構造物形成に都合が良い。
【0024】図2は、構造物が容易に離形できるように
成形用型11及びシリンダー14と充填された硬質の粒
状体12の間に有機製物質等の柔らかい物質18を介し
たものである。これにより、形成構造物は、成形用型1
1及びシリンダー14から容易に脱形ができ良質の厚膜
体や塊状構造物を得ることができる。
【0025】図3は、構造物形成装置10は、より緻密
な厚膜及び塊状の構造物を得るために爆発等のエネルギ
ーにて発生した衝撃力を微粒子に等方的に印加できるよ
うにした装置である。構成としては、成形用型11に充
填された硬質の粒状体12は、爆発等のエネルギーにて
上下運動させるピストン機関15を四方八方に配置し、
これらは真空チャンバー16内に収められ、真空ポンプ
17により、真空チャンバー内は1Pa以下の減圧状態
に保持されている。また、爆発等のエネルギーにて発生
した衝撃力を硬質材料からなるシリンダー14を介して
硬質の粒状体12の微粒子を四方八方から与え、より緻
密な厚膜及び塊状の構造物が得られるものである。
【0026】次に本発明における構造物の製造方法の別
の一態様を説明する。図4は、前記した構造物形成を実
施するための構造物形成装置2を示しており、構造物形
成装置2は基板21上に展開された微粒子の堆積物22
と、基板21を保持する基板保持部23と、基板21に
微粒子の堆積物22を介して対向して設置された粒状体
噴射装置24からなり、粒状体噴射装置24には、硬質
の粒状体25が収められている。またこれらは真空チャ
ンバー26内に収められ、真空ポンプ27により、真空
チャンバー内は1Pa以下の減圧状態に保持されてい
る。
【0027】硬質の粒状体25は、例えば数十〜数百μ
mのセラミックスの粉体などであり、粒状体噴射装置2
4より亜音速から超音速の高速で微粒子の堆積物22に
向けて噴射され、粒状体25の衝突による衝撃力が微粒
子の堆積物22を構成する微粒子を変形させ、新生面を
形成させて、微粒子同士を接合させ、構造物を形成させ
る。この手法は特に薄膜形成に都合が良い。粒状体25
の加速には、高速搬送ガスを使用してもよいし、静電引
力によってもよい。ガスを使用する場合でも、粒状体噴
射装置24と基板21との距離を離すことにより、軽量
のガスは真空ポンプ27により流れをチャンバー外へと
向けて排出され、これより重量のある粒状体25は慣性
力が比較的大きい為、基板21へ向けてほとんど直線的
に飛行する。従って、ガスによる微粒子の堆積物22の
飛散は少なく、その近傍の真空度も比較的高く維持でき
る。また、数十〜数百μmの粒状体25を使用すること
により、微粒子の堆積物22への衝撃力を局部に集中さ
せることが可能であり、微粒子の変形、新生面の形成の
効率を上げることができる。
【0028】次に前記した構造物を形成するためのアル
ミナ粒子を作製するための1方法として考えられる、酸
素を含有する雰囲気における粒子又は結晶の機械的衝撃
の付与により、Al23の量論組成よりも過剰の酸素原
子を吸着させるための粉体製造装置3を図5に示す。構
成としては、粒子又は結晶を粉砕するための容器31と
破砕のために用いるボール32、破砕される原料33、
さらには、容器31内の雰囲気を過剰な酸素を含有する
雰囲気に置換するための装置34及び過剰な酸素原子を
粉体粒子及び結晶に吸着させるためにメカノケミカル反
応を起こさせるための駆動部35からなることを特徴と
する。なお、容器31内の雰囲気を予め酸素を含有する
雰囲気に置換しておけば、必須な装置ではない。これに
よって、酸素を含有する雰囲気で、メカノケミカル的反
応によりより効率的に過剰の酸素を吸着した粉体粒子を
作製することが出来る。
【0029】
【実施例】(実施例1)本発明において製造された構造
物につき、その特性を評価した。まず大気中で種種の粉
砕条件で乾式遊星ミルを用いて、平均粒径0.6μm、
純度99.8%のアルミナ原料微粒子を粉砕して前処理
を行い、4種類の処理微粒子を用意し、これらを用いて
エアロゾルデポジション法により金属基材上におおよそ
10μmの形成高さの脆性材料被膜であるアルミナ構造
物をそれぞれ形成させた。図6に形成されたアルミナ構
造物のO/Alの組成比とアルミナ構造物を100V印
加状態で測定した時の室温での体積抵抗率(体積固有抵
抗値)をプロットした結果を示す。O/Alの組成比及
び体積固有抵抗値は上記に記載の測定方法にて測定し
た。なお、比較のために1700℃で焼成したアルミナ
焼結体のO/Alの組成比及び体積固有抵抗値もプロッ
トした。前記した構造物形成法で形成されたアルミナ構
造物は、O/Alの組成比が大きくなるに従い体積固有
抵抗値は小さくなる傾向が認められた。例えば、O/A
lの組成比が0.049のアルミナ構造物においては、
アルミナ焼成体の0.044に比べて体積固有抵抗値が
1014Ω・cmから108Ω・cmと下がり、電気を流し
やすくなったことを示唆した。また、図7はアルミナ構
造物のO/Alの組成比とアルミナ構造物の硬度測定を
行った結果を示す。硬度測定は、上記に記載の測定方法
にて測定した。なお、比較のために1700℃で焼成し
たアルミナ焼結体のO/Alの組成比及び硬度測定値も
プロットした。O/Alの組成比が大きくなるに従って
硬度は小さくなる傾向があるが,体積固有抵抗値が10
8Ω・cmと小さい値を示したO/Alの組成比が0.0
49のアルミナ構造物においてもビッカース硬度500
以上の高い値を示した。
【0030】(実施例2)実施例1に示したエアロゾル
デポジション法を用いて脆性材料被膜であるアルミナ構
造物を形成させる際の微粒子の速度の測定には次の方法
を用いた。図8に微粒子速度測定装置を示す。図示しな
いチャンバー内にエアロゾルを噴射するノズル41が開
口を上に向けて設置され、その先にモーターによって回
転運動する回転羽根42の先に設置された基板43およ
びその基板表面から19mm下に離れて固定された幅
0.5mmの切りかきをもつスリット44を有する微粒
子速度測定装置4を配置する。ノズル41の開口から基
板表面までの距離は24mmである。次に微粒子速度測
定方法を記す。エアロゾルの噴射は、上述の構造物形成
装置2に示したような実際の構造物作製方法に準じて行
う。構造物形成装置内で構造物を形成する基板の代わり
に、図の微粒子速度測定装置4を設置して行うことが好
適である。図示しないチャンバーを減圧下におき、数To
rr以下の圧力としたのちにノズル41から微粒子を含む
エアロゾルが噴射させ、この状態で微粒子速度測定装置
4を一定回転速度で運転させる。ノズル41の開口から
飛び出した微粒子は、基板43がノズル41の上部に来
た際にその一部がスリット44の切りかきの隙間を通過
して基板表面に衝突し、基板43上に構造物(衝突痕)
を形成する。微粒子がスリットから19mm離れた基板
表面に到達する間に基板43は回転羽根42の回転によ
って位置を変化させているため、基板43上におけるス
リット44の切りかきからの垂線交差位置よりその変位
量分ずれた位置に衝突する。この垂線交差位置から衝突
して形成された構造物までの距離を表面凹凸測定により
計測し、この距離およびスリット44と基板表面からの
距離、回転羽根42の回転速度の値を用いて、ノズル4
1から噴射された微粒子の速度としては、ノズル41の
開口から5mm離れた場所から24mm離れた場所まで
の平均速度を算出し、これを本件における微粒子の速度
とした。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、不純物金属を添加する
こと及び焼成することなく体積抵抗率を下げた高硬度の
緻密質な塊状の構造物及び脆性材料被膜を形成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様としての構造物形成装置の装
置図。
【図2】 本発明の一態様としての構造物形成装置の装
置図。
【図3】 本発明の一態様としての構造物形成装置の装
置図。
【図4】 本発明の一態様としての構造物形成装置の装
置図。
【図5】 本発明の一態様としての過剰な酸素原子を吸
着した粉体を製造するための装置図。
【図6】 実施例1にかかるアルミナ構造物におけるO
/Alの組成比と体積固有抵抗値の関係。
【図7】 実施例1にかかるアルミナ構造物におけるO
/Alの組成比とビッカース硬度の関係。
【図8】 実施例2にかかる微粒子速度測定装置図。
【符号の説明】
1 構造物形成装置 11 成形用型 12 粒状体 13 基板保持部 14 シリンダー 15 ピストン機関 16 真空チャンバー 17 真空ポンプ 18 有機製物質 10 構造物形成装置 2 構造物形成装置 21 基板 22 堆積物 23 基板保持部 24 粒状体噴射装置 25 粒状体 26 真空チャンバー 27 真空ポンプ 3 粉体製造装置 31 容器 32 ボール 33 原料 34 雰囲気置換装置 35 駆動部 4 微粒子速度測定装置 41 ノズル 42 回転羽根 43 基板 44 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 基 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 伊藤 朋和 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 横山 達郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 吉田 篤史 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 山口 香緒里 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 清原 正勝 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 辻道 万也 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 麻生 雄二 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 明渡 純 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人 産業技術総合研究所 つくばセンター 内 Fターム(参考) 4G030 AA36 CA08 GA23 GA25 4K044 AA01 AB10 BA12 BA13 BA14 BA15 BB01 BB13 BC01 BC06 BC14 CA23 CA27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MOxの量論組成よりもO/M比が大きい金
    属酸化物材料からなる脆性材料粒子を成形型に充填後、
    この脆性材料粒子に脆性材料粒子の破壊強度よりも大き
    な機械的衝撃力を付加し、その衝撃により脆性材料粒子
    同士を結合せしめることを特徴とする構造物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 粒径0.1〜5μmであり、かつMOxの
    量論組成よりもO/M比が大きい脆性材料粒子を高速で
    基板に衝突させ、この衝突により基板上に脆性材料被膜
    を形成させることを特徴とする構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脆性材料粒子を高速で基板に衝突さ
    せる方法は、脆性材料粒子をガス中に分散させたエアロ
    ゾルを、高速で基板材料に向けて噴射する方法であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の製造方法によって作製
    されることを特徴とする構造物。
  5. 【請求項5】 前記構造物の相対密度が80%以上であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の構造物。
  6. 【請求項6】 前記構造物のビッカース硬度が500以
    上であることを特徴とする請求項4又は5に記載の構造
    物。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至6に記載の構造物を形成す
    るための脆性材料粒子であって、平均粒径0.1〜5μ
    mであり、かつMOxの量論組成よりもO/M比が大きい
    脆性材料粒子からなることを特徴とする構造物形成用粒
    子。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の構造物形成用粒子の製
    造方法であって、酸素を含有する雰囲気における脆性材
    料の粒子又は結晶への機械的衝撃力の付与により、MOx
    の量論組成よりも過剰の酸素原子を吸着させることを特
    徴とする構造物形成用粒子の製造方法。
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