JP2003277949A - 複合構造物およびその作製方法並びに作製装置 - Google Patents

複合構造物およびその作製方法並びに作製装置

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JP2003277949A
JP2003277949A JP2002206505A JP2002206505A JP2003277949A JP 2003277949 A JP2003277949 A JP 2003277949A JP 2002206505 A JP2002206505 A JP 2002206505A JP 2002206505 A JP2002206505 A JP 2002206505A JP 2003277949 A JP2003277949 A JP 2003277949A
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fine particles
brittle material
composite
aerosol
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Hironori Hatono
広典 鳩野
Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Tatsuro Yokoyama
達郎 横山
Atsushi Yoshida
篤史 吉田
Tomokazu Ito
朋和 伊藤
Jun Aketo
純 明渡
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱・焼成工程を伴わないで新規の特性を有
する2種以上の脆性材料からなる構造物を得る。 【解決手段】 構造物は、2種以上のセラミックスや半
金属などの脆性材料の結晶が分散し、前記脆性材料から
なる部分は多結晶であり、この多結晶の部分を構成する
結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の
界面にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在しない
構成となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種以上のセラミ
ックスや半導体などの脆性材料を複合化した構造物、こ
の構造物を基板表面に形成した複合構造物およびその作
製方法並びに作製装置に関する。
【0002】本発明に係る構造物および複合構造物は、
例えば、ナノコンポジット磁石、磁気冷凍素子、耐摩耗
表面コート、周波数応答性の異なる圧電材料を混在させ
た高次構造圧電体、発熱体、広温度領域で特性を発揮す
る高次構造誘電体、光触媒材料とその誘発物質、保水性
・親水性・撥水性などの諸特性を持つ材料を混在させた
機能性表面コート、微細な機械部品、磁気ヘッドの耐磨
耗コート、静電チャック、摺動部材、金型などの耐摩耗
コートおよび摩耗部、欠損部の補修、静電モータの絶縁
コート、人工骨、人工歯根、コンデンサ、電子回路部
品、酸素センサ、酸素ポンプ、バルブの摺動部、歪ゲー
ジ、感圧センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、
圧電ブザー、圧電フィルタ、光シャッター、自動車のノ
ックセンサ、超音波センサ、赤外線センサ、防振板、切
削加工用工具、複写機ドラムの表面コート、多結晶太陽
電池、色素増感型太陽電池、包丁・ナイフの表面コー
ト、ボールペンのボール、温度センサ、ディスプレイの
絶縁コート、超伝導体薄膜、ジョセフソン素子、超塑性
構造体、セラミックス発熱体、マイクロ波誘電体、撥水
コート、反射防止膜、熱線反射膜、UV吸収膜、層間絶
縁膜(IMD)、シャロートレンチアイソレーション
(STI)などに利用することが可能である。
【0003】
【従来の技術とその課題】一般に複合材料といわれるも
ののうち、セラミックスなどの脆性材料からなる複合材
料は、構造材あるいは機能材料として発展してきてお
り、マトリックス中に粒子や繊維を分散した旧来のやや
マクロ的な材料から、近年では結晶レベルで複合化を目
指したメゾスコピック複合材料やナノ複合材料が脚光を
浴びつつある。このナノ複合材料には結晶粒内や結晶粒
界に異種材質のナノサイズ結晶を導入した粒内ナノ複合
型とナノサイズの異種の結晶同士を混在させたナノナノ
複合型がある。ナノ複合材料には今までにない特性を発
揮するものが期待され、研究論文も発表されている。
【0004】NEW CERAMICS(1997:N
o.2)には、共沈反応によってアルミナ原料紛の周囲
をジルコニア系超微粒子で囲むようにした原料作製し、
この原料を焼結することでナノ複合体を得ることが記載
されている。
【0005】ニューセラミックス(1998 Vol.
11 No.5)には、セラミックス微粒子表面に無電
解めっき法などのケミカルプロセスを行って、PZT原
料分の表面にAgまたはPt粒子を析出させた複合粉末
を作製し、この複合粉末を焼結してナノ複合体を得るこ
とが記載されている。
【0006】同じく、ニューセラミックス(1998
Vol.11 No.5)には、ナノ複合体用の材料と
して、Al/Ni、Al/Co、Zr
/Ni、ZrO/SiC、BaTiO/SiC、B
aTiO/Ni、ZnO/NiO、PZT/Agなど
が挙げられ、これらを焼結することでナノ複合体を得る
ことが記載されている。
【0007】これら論文に開示されたナノ複合体はいず
れも焼結によって得られるため、粒成長が起こり粒子サ
イズが粗大化しやすく、焼成時に酸化しないものである
ことなどの制限を受ける。また、加熱工程を含む為、低
融点材料へのナノ複合材料の直接コーティングは不可能
である。また結晶粒界に偏析層を形成することも多々あ
り、異種の粉末の混合比率が大きく違う場合では、結晶
粒径の制御がかなわなくなり、結晶粒の粗大化を招くこ
ととなるという自由度の低さがあった。
【0008】上記のナノ複合体が焼結によって得られる
のに対し、Materals Integration(2000 Vol.
13 No.4)には、反応性低電圧マグネトロンスパ
ッタ法にて、Crターゲットを用い、O分圧を変化さ
せることで、種々のCr/CrOxナノ複合薄膜を得る
ことが記載されている。しかしながら、この方法では異
種の混合微粒子を層状積層ではなく、粒子分散型として
ナノレベル結晶を堆積させることはできない。
【0009】一方、最近では新たな被膜形成方法とし
て、ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989
年1月号)や静電微粒子コーティング法(井川 他:昭
和52年度精密機械学会秋季大会学術講演会前刷)が知
られている。前者は金属やセラミックス等の超微粒子を
ガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加
速せしめ、基材に衝突した際に運動エネルギーの一部が
熱エネルギーに変換され、微粒子間あるいは微粒子と基
材間を焼結することを基本原理としており、後者は微粒
子を帯電させ電場勾配を用いて加速せしめ、この後はガ
スデポジションと同様に衝突の際に発生する熱エネルギ
ーを利用して焼結することを基本原理としている。
【0010】そして、上記のガスデポジション法を異種
の混合微粒子に応用した先行技術として、特公平3−1
4512号公報(特開昭59−80361号公報)、特
開昭59−87077号公報、特公昭64−11328
号公報(特開昭61−209032号公報)および特開
平6−116743号公報に開示される技術が知られて
いる。
【0011】上記の各公報に提案されている内容は、異
種の微粒子がAg、Ni或いはFeなどの金属(延性材
料)であり、異なる2種以上のセラミックス(脆性材
料)の複合化についての具体的な示唆はない。
【0012】また、上記の技術は原料の超微粒子を溶融
または半溶融状態にすることで接着剤を用いることなく
混合微粒子からなく膜を形成するのを基本原理としてい
るため、赤外線加熱装置などのアシスト的な加熱装置を
備えている。
【0013】一方、ナノ複合体ではないが、加熱手段に
よる加熱なくして超微粒子の膜を形成する方法を本発明
者らは特開2000−212766号公報に提案してい
る。この特開2000−212766号公報に開示され
る技術は、粒径が10nm〜5μmの超微粒子に、イオ
ンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマ
などを照射することにより、超微粒子を溶融せしめるこ
となく活性化し、この状態のまま基板に3m/sec〜
300m/secの速度で吹き付けることで、超微粒子
相互の結合を促進して構造物を形成するようにしたもの
である。
【0014】以上従来技術をまとめると、従来のナノ複
合体といわれるものは殆どが焼成によって得られてお
り、結晶粒の成長を伴ってしまい、原料微粒子の平均粒
径よりも複合体の平均粒径が大きくなってしまい、強度
・緻密性の面で優れたものを得ることが困難である。ま
た、結晶粒の成長を抑える提案もあるが使用できる原料
が限定されてしまう。更に、焼結を伴わない微粒子から
の被膜形成法についても何らかの表面活性化手段を必要
とし、且つセラミックスについての考察は殆どなされて
おらず、セラミックスなどの脆性材料を2種以上複合し
たナノ複合体についての言及は皆無である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記特開2
000−212766号公報に開示される技術について
引き続き追試を行ってきた。その結果、金属(延展性材
料)とセラミックスや半導体などの脆性材料とでは全く
異なる挙動を示すことを突き止めた。即ち、脆性材料に
関しては、同公報に記載された条件である微粒子の粒径
を10nm〜5μm、衝突速度を3m/sec〜300
m/secとしただけでは構造物の剥離強度が不足して
いたり、或いは部分的に剥離しやすかったり、密度も不
均一となるなどの問題はあるものの、イオンビーム、原
子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを照射す
ることなく、つまり特別な活性化手段を用いることなく
構造物を形成することができた。
【0016】上記から、本発明者らは以下の結論に到達
した。セラミックスは、自由電子をほとんど持たない共
有結合性あるいはイオン結合性が強い原子結合状態にあ
る。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱い。シリコンやゲル
マニウムのような半導体も延展性を持たない脆性材料で
ある。従って脆性材料に機械的衝撃力を付加した場合、
例えば結晶子同士の界面などの壁開面に沿って結晶格子
のずれを生じたり、あるいは破砕されたりなどする。こ
れらの現象が起こると、ずれ面や破面にはもともと内部
に存在し、別の原子と結合していた原子が剥き出しの状
態となり、すなわち新生面が形成される。この新生面の
原子一層の部分は、もともと安定した原子結合状態から
外力により強制的に不安定な表面状態に晒される。すな
わち表面エネルギーが高い状態となる。この活性面が隣
接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面
あるいは基板表面と接合して安定状態に移行する。外部
からの連続した機械的衝撃力の付加は、この現象を継続
的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しによ
り接合の進展、それによって形成された構造物の緻密化
が行われる。このようにして、脆性材料の構造物が形成
される。
【0017】本発明は上記のように脆性材料に新生面を
形成させることで構造物が形成されるのであれば、この
脆性材料を構成物兼バインダーとして考えれば、2種以
上の脆性材料からなる複合構造物を形成することが可能
で、この複合構造物は今までに存在しない特性を有する
ものとすることができるとの考えに基づき成したもので
ある。
【0018】上記の知見に基づいて作製された本発明に
係る複合構造物の微視的な構造は従来の製法で得られた
ものと明らかに異なっている。即ち、本発明に係る構造
物は、セラミックスや半導体などの脆性材料の結晶と、
前記脆性材料とは異なる脆性材料の結晶および/または
微細組織(原料微粒子構造に起因するアモルファス粒あ
るいは明らかに偏析層ではない片状組織)が分散し、前
記脆性材料の結晶からなる部分(微細組織を除いた部
分)は多結晶であり、この多結晶部分を構成する結晶は
実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面に
はガラス質からなる粒界層が実質的に存在しない構成と
なっている。
【0019】そして、上記構造物を基材表面に形成する
ことで複合構造物となり、この場合、構造物の一部は基
材表面に食い込むアンカー部となる。
【0020】ここで、本発明を理解する上で重要となる
語句の解釈を以下に行う。 (多結晶)本件では結晶子が接合・集積してなる構造体
を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しそ
の径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕さ
れずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じ
るが、実質的には多結晶である。 (結晶配向性)本件では多結晶である構造物中での結晶
軸の配向具合を指し、配向性があるかないかは、一般に
は実質的に配向性のないと考えられる粉末X線回折など
によって標準データとされたJCPDS(ASTM)デ
ータを指標として判断する。構造物中の脆性材料結晶を
構成する物質を挙げたこの指標における主要な回折3ピ
ークのピーク強度を100%として、構造物の同物質測
定データ中、最も主要なピークのピーク強度をこれに揃
えた場合に、他の2ピークのピーク強度が指標の値と比
較して30%以内にそのずれが収まっている状体を、本
件では実質的に配向性がないと称する。 (界面)本件では結晶子同士の境界を構成する領域を指
す。 (粒界層)界面あるいは焼結体でいう粒界に位置するあ
る厚み(通常数nm〜数μm)を持つ層で、通常結晶粒
内の結晶構造とは異なるアモルファス構造をとり、また
場合によっては不純物の偏析を伴う。 (アンカー部)本件の場合には、基材と構造物の界面に
形成された凹凸を指し、特に、予め基材に凹凸を形成さ
せるのではなく、構造物形成時に、元の基材の表面精度
を変化させて形成される凹凸のことを指す。 (平均結晶子径)X線回折法におけるScherrerの方法に
よって算出される結晶子のサイズであり、例えばマック
サイエンス社製MXP−18を使用して測定・算出す
る。 (内部歪)微粒子に含まれる格子歪のことで、X線回折
測定におけるHall法を用いて算出される値であり、
微粒子を十分にアニールした標準物質を基準として、そ
のずれを百分率表示する。(脆性材料微粒子、複合微粒
子、複合材料微粒子の速度)実施例4に示す微粒子の測
定方法に従って算出した平均速度を意味する。
【0021】従来の焼結によって形成されるナノ複合体
は、結晶が熱による粒成長を伴っており、特に焼結助剤
を用いた場合には粒界層としてガラス層が生じる。一
方、本発明に係る構造物は、原料微粒子のうちの脆性材
料微粒子が変形または破砕を伴うため、原料微粒子より
も構造物の構成粒子の方が小さくなっている。例えば、
レーザ回折法やレーザ散乱法で計測される微粒子の平均
粒径を0.1〜5μmとすることで、形成される構造物
の平均結晶子径は100nm以下となるような場合が多
く、このような微細結晶子からなる多結晶体をその組織
として持つ。その結果、平均結晶子径が500nm以下
で緻密度が70%以上、または平均結晶子径が100n
m以下で緻密度が95%以上、または平均結晶子径が5
0nm以下で緻密度が99%以上の緻密な構造物とする
ことができる。
【0022】ここで、緻密度(%)は、文献値、理論計
算値による真比重と、構造物の重量および体積値から求
めた嵩比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式
から算出される。
【0023】また、本発明に係る構造物の特徴は、衝突
などの機械的衝撃による変形または破砕を伴うため、結
晶の形状として扁平なもの或いは細長いものは存在しに
くく、その結晶子形状はおおよそ粒状と見て良く、アス
ペクト比はおおよそ2.0以下となる。また微粒子が破
砕した断片粒子の再接合部であるため、結晶配向を持つ
ことはなく、ほとんど緻密質であるため、硬さ、耐摩耗
性、耐食性などの機械的・化学的特性に優れる。
【0024】また本発明にあっては、脆性材料微粒子の
破砕から再接合までが瞬時に行われるため、接合時に微
細断片粒子の表面付近で原子の拡散はほとんど行われな
い。従って、構造物の結晶子同士の界面の原子配列に乱
れがなく溶解層である粒界層(ガラス層)は殆ど形成さ
れず、形成されても1nm以下である。そのため、耐食
性などの化学的特性に優れる特徴を示す。
【0025】また、本発明に係る構造物には、前記構造
物を構成する結晶界面近傍に、非化学量論的組成部すな
わち欠損部や過剰部(例えば酸素が欠損していたり、水
が物理吸着していたり、水酸基が化合している)を有す
るものを含む。この非化学量論的欠損部としては複合構
造物を構成する金属酸化物中の酸素欠損に基づくものが
挙げられる。非化学量論的組成部の存在は電気抵抗率な
どの代用特性やTEM・EDXによる組成分析などを用
いて知ることができる。
【0026】また、本発明に係る構造物をその表面に形
成する基材としては、ガラス、金属、セラミックス、半
導体あるいは有機化合物などが挙げられ、脆性材料とし
ては酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸
化クロム、酸化ハフニウム、酸化ベリリウム、酸化マグ
ネシウム、酸化珪素などの酸化物、ダイヤモンド、炭化
硼素、炭化珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化
バナジウム、炭化ニオブ、炭化クロム、炭化タングステ
ン、炭化モリブデン、炭化タンタルなどの炭化物、窒化
硼素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化
ニオブ、窒化タンタルなどの窒化物、硼素、硼化アルミ
ニウム、硼化珪素、硼化チタン、硼化ジルコニウム、硼
化バナジウム、硼化ニオブ、硼化タンタル、硼化クロ
ム、硼化モリブデン、硼化タングステンなどの硼化物、
あるいはこれらの混合物や多元系の固溶体、チタン酸バ
リウム、チタン酸鉛、チタン酸リチウム、チタン酸スト
ロンチウム、チタン酸アルミニウム、PZT、PLZT
などの圧電性・焦電性セラミックス、サイアロン、サー
メットなどの高靭性セラミックス、水酸アパタイト、燐
酸カルシウムなどの生体適合性セラミックス、シリコ
ン、ゲルマニウム、あるいはこれらに燐などの各種ドー
プ物質を添加した半金属物質、ガリウム砒素、インジウ
ム砒素、硫化カドミウムなどの半導体化合物などが挙げ
られる。またこれら無機材料にとどまらず、硬質塩化ビ
ニル、ポリカーボネート、アクリル、不飽和ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、シリ
コーン、フッ素樹脂などの脆性的有機材料も挙げられ
る。
【0027】また、本発明の構造物の厚み(基材の厚み
を除いた厚み)は50μm以上とすることができる。前
記構造物の表面は微視的には平滑ではない。たとえば金
属の表面に高硬度の複合構造物(ナノ複合体)を被覆し
た耐摩耗性の摺動部材を作成する場合などには、平滑表
面が要求されるため、後工程において表面の切削あるい
は研磨を必要とする。このような用途においては複合構
造物の堆積高さは50μm程度以上とするのが望まし
い。平面研削を行う場合においては、研削機の機械的制
約のため、堆積高さ50μm以上が望ましく、この場合
は数十μmの研削が行われるため、50μm以下の表面
が平滑な薄膜を形成することになる。
【0028】また場合によっては、構造物の厚みは、5
00μm以上であることが望ましい。本発明では、高硬
度、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、耐薬品性、電気的絶縁
性などの機能を持ち、金属材料などの基板上に形成され
る複合構造物の膜を作成することのみならず、それ単体
で利用できる複合構造物の作製も目的としている。セラ
ミック材質の機械的強度は様々であるが、500μm以
上の厚みの構造物であれば、例えば、セラミック基板等
の用途においては、材質を選べば、十分利用可能な強度
が得られる。
【0029】たとえば、基板ホルダ上に設置された金属
箔の表面に複合材料超微粒子を堆積させて一部あるいは
全部が500μm以上の厚みを持つ緻密質の構造物を形
成させた後、金属箔の部分を除去するなどすれば、室温
にて複合材質の機械構成部品を作成することが可能であ
る。
【0030】一方、本願の複合構造物の作製方法は、2
種以上の脆性材料微粒子を基材表面に同時あるいは別々
に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によって前記脆性材
料微粒子を変形または破砕させ、この変形または破砕に
て生じた活性な新生面を介して前記微粒子同士を再結合
せしめ、さらに前記基材の表面に食い込むアンカー部を
形成して接合させ、脆性材料の結晶の結晶および/また
は微細組織が分散した組織からなる構造物を形成する。
【0031】2種以上の脆性材料微粒子を高速で衝突さ
せる手法には、搬送ガスを用いる方法や、静電力を用い
て微粒子を加速する方法、溶射法、クラスターイオンビ
ーム法、コールドスプレー法などが挙げられる。このう
ち搬送ガスを用いる方法は従来ガスデポジション法と呼
ばれており、金属や半導体、セラミックの微粒子を含む
エアロゾルをノズルより噴出させて高速で基板に吹き付
け、微粒子を基材上に堆積させることによって、微粒子
の組成を持つ圧粉体などの堆積層を形成させる構造物形
成法である。そのうちここでは特に構造物を基板上にダ
イレクトで形成する方法を超微粒子ビーム堆積法(Ultr
a−Fine particles beam deposition method)あるい
はエアロゾルデポジション法と呼び、この明細書では本
発明に係る作製方法を以下この名称で呼ぶ。
【0032】超微粒子ビーム堆積法を用いて材料微粒子
のエアロゾルを衝突させる場合には、混合粉体のエアロ
ゾルを予め作製しても良いし、別々にエアロゾルを発生
させて別々に衝突させるか、あるいはエアロゾルの混合
比を変えつつ混合させ同時に衝突させてもよい。この場
合は傾斜組成を持つ構造物を容易に形成でき好適であ
る。
【0033】本発明の別態様に係る複合構造物の作製方
法は、脆性材料微粒子表面に別の脆性材料をコーティン
グさせる工程を経て複合微粒子を形成した後、該複合微
粒子を基材表面に高速で衝突させる方法を含む。別の脆
性材料を微粒子表面にコーティングする方法としては、
PVDやCVD、メカニカルアロイングを模した処理に
よっても良く、微粒子表面にさらに粒径の小さな超微粒
子を混練などにて付着させるだけでもよい。
【0034】また、本発明の別態様に係る複合構造物の
作製方法は、2種以上の脆性材料微粒子を基材表面に盛
り付け、この脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付加し、
その衝撃により前記脆性材料微粒子を変形または破砕さ
せ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
て前記微粒子同士を再結合せしめ、さらに前記基材およ
び/または前記延性材料微粒子との境界部に一部がその
表面に食い込むアンカー部を形成して接合させ、このア
ンカー部の上に脆性材料の結晶および/または微細組織
が分散した組織からなる構造物を形成する。この場合も
前記同様、別の脆性材料を脆性材料微粒子表面にコーテ
ィングした複合微粒子を用いることができる。
【0035】前記したように本発明は脆性材料微粒子に
衝撃を与えた際の変形或いは破砕によって生じる活性な
新生面に着目したものである。そして、脆性材料微粒子
に内部歪が少ないと、脆性材料微粒子を衝突させた際に
変形或いは破砕しにくく、逆に内部歪が大きくなると内
部歪をキャンセルするために大きなクラックが生じ、衝
突させる前に脆性材料微粒子が破砕・凝集し、この凝集
物を基材に衝突させても新生面は形成されにくい。した
がって、本発明に係る複合構造物を得るには、脆性材料
微粒子の粒径および衝突速度は重要であるが、それ以上
に原料の脆性材料微粒子に予め所定範囲の内部歪を与え
ておくことが重要である。 最も好ましい内部歪として
は、クラックが形成される直前まで大きくなった歪とい
うことになるが、多少クラックが形成されていても内部
歪が残っている微粒子であれば構わない。
【0036】本発明に係る複合構造物の作製方法(超微
粒子ビーム堆積法)にあっては、前記脆性材料微粒子は
平均粒径が0.1〜5μmで、予め内部歪の大きなもの
を用いることが好ましい。またその速度は50〜450
m/sの範囲内が好ましく、さらに好ましくは150〜
400m/sである。これらの条件は基材に衝突させた
際などに新生面が形成されるかに密接に関係しており、
粒径0.1μm未満では、粒径が小さすぎて破砕や変形
が生じにくい。5μmを超えると一部破砕は起こるもの
の、実質的にはエッチングによる膜の削り取り効果が現
れるようになり、また破砕が生じないで微粒子の圧粉体
の堆積に止まる場合が生じる。同じく、この平均粒径で
構造物形成を行なう場合、50m/s以下では、圧粉体
が構造物中へ混在する現象が観察されており、450m
/s以上では、エッチング効果が目立つようになり、構
造物形成効率が低下することがわかっている。これら速
度の測定方法は実施例4に基づく。
【0037】本発明に係る複合構造物の作製方法の特徴
の1つは、室温あるいは比較的低温で行える点であり、
基材として樹脂などの融点の低い材料を選定することが
できる。
【0038】ただし、本発明方法においては加熱工程を
付加してもよい。本発明の構造物形成時には微粒子の変
形・破砕時にはほとんど発熱は起こらず緻密質構造物が
形成されるところに特徴があり、室温環境で十分に形成
できる。従って構造物形成時に熱の関与が必ずしも要る
わけではないが、微粒子の乾燥や表面吸着物の除去、活
性化のための加熱や、アンカー部形成の補助、複合構造
物の使用環境などを考えた構造物と基材との熱応力の緩
和、基材表面吸着物の除去、構造物形成効率の向上など
を狙った基材あるいは構造物形成環境の加熱を行なうこ
とは十分考えられる。この場合でも、微粒子や基材が溶
解や焼結、極端な軟化を起こすような高温は必要ない。
また前記多結晶脆性材料からなる構造物を形成した後
に、当該脆性材料の融点以下の温度で加熱処理して結晶
の組織制御を行うことが可能である。
【0039】また、本発明に係る複合構造物の作製方法
においては、原料微粒子に形成された新生面の活性をあ
る程度の時間持続させるために、減圧下で行なうことが
好ましい。
【0040】また、超微粒子ビーム堆積法により本発明
に係る複合構造物の作製方法を実施する場合には、酸素
ガスなど搬送ガスの種類および/または分圧を制御し
て、前記脆性材料からなる構造物を構成する化合物の元
素量を制御したり、構造物中の酸素の量を制御すること
で、構造物の電気的特性・機械的特性・化学的特性・光
学的特性・磁気的特性を制御するということも考えられ
る。
【0041】即ち、酸化アルミニウムなどの酸化物を超
微粒子ビーム堆積法の原料微粒子として用い、これに使
用するガスの酸素分圧を抑えて構造物形成を行なうと、
微粒子が破砕し、微細断片粒子を形成した際に、微細断
片粒子の表面から酸素が気相中に抜け出して、表面相で
酸素の欠損が起こるなどのことが考えられる。このあと
微細断片粒子同士が再接合するため、結晶粒同士の界面
近傍に酸素欠損層が形成される。また、欠損させる元素
は酸素に限らず、窒素、硼素、炭素などもでもよく、こ
れらも特定のガス種のガス分圧を制御して、気相・固相
間の元素量の非平衡状態による分配あるいは反応による
元素の脱落によって達成されると考えられる。
【0042】また、本発明に係る複合構造物作製装置の
特徴は、二種類以上の脆性材料微粒子をガス中に分散さ
せて発生させたエアロゾルを発生させるエアロゾル発生
器と、エアロゾルを基材に向けて噴射するノズルと、エ
アロゾル中の脆性材料微粒子を分級する分級器とを備え
ている。
【0043】また、本発明に係る他の態様に係る複合構
造物作製装置の特徴は、上記分級器の代わりに或いは分
級器とともにエアロゾル中の脆性材料微粒子の凝集を解
砕する解砕器を備えている。
【0044】更に他の態様に係る複合構造物作製装置の
特徴は、脆性材料微粒子の表面に該脆性材料微粒子とは
異なる一種類以上の脆性材料をコーティングさせて前記
複合微粒子を形成するコーティング装置と、エアロゾル
発生器と、エアロゾルを噴射するノズルとを備えてい
る。
【0045】前記エアロゾル発生器と前記ノズルとの間
に、エアロゾル中の前記複合微粒子の凝集を解砕する解
砕器および/または前記エアロゾル中の前記複合微粒子
を分級する分級器を設けることが可能である。また、脆
性材料微粒子または複合微粒子に内部歪を印加する歪付
与装置を備えることも可能である。
【0046】
【発明の実施の態様】次に本発明に基づく構造物の作製
方法、作製装置についての態様を述べる。図1は複合構
造物作製装置の一態様を示したもので、複合構造物作製
装置10は、窒素ガスボンベ101が、搬送管102を
介してエアロゾル発生器103に接続され、その下流側
に解砕器104が、さらに下流側に分級器105が設置
されている。これらを通じている搬送管102の先に構
造物形成室106内に設置されたノズル107が配置さ
れる。ノズル107の開口の先には鉄製の基板108が
XYステージ109に取り付けられて設置されている。
構造物形成室106は真空ポンプ110に接続されてい
る。エアロゾル発生器103は酸化アルミニウム微粒子
と酸化珪素微粒子の混合粉末103aを内蔵している。
【0047】以上の構成からなる複合構造物作製装置1
0の作用を次に述べる。予め図示しない歪付与装置であ
る遊星ミルにて粉砕することにより、内部ひずみを与え
られた酸化アルミニウム微粒子および酸化珪素微粒子を
混合して混合粉末103aを準備し、これをエアロゾル
発生器103内に充填する。窒素ガスボンベ101より
搬送管102を通じて混合粉末103aを装填したエア
ロゾル発生器103内に窒素ガスを導入し、エアロゾル
発生器103を作動させて酸化アルミニウム微粒子と酸
化珪素微粒子を含むエアロゾルを発生させる。エアロゾ
ル中の微粒子は凝集しており、おおよそ100μmの二
次粒子を形成しているが、これを搬送管102を通じて
解砕器104に導入して一次粒子を多く含むエアロゾル
に変換する。その後分級器105に導入して、解砕器1
04では解砕しきれずにエアロゾル中にまだ存在してい
る粗大な二次粒子を除去してさらに一次粒子リッチなエ
アロゾルに変換し、導出する。その後構造物形成室10
6内に設置されたノズル107から高速で基板105に
向けて噴射させる。ノズル107の先に設置された基板
108にエアロゾルを衝突させつつ、基板108をXY
ステージ109により揺動させて、基板108上の一定
面積の上に薄膜構造物を形成させた。構造物形成室10
6は真空ポンプ110により約10kPaの減圧環境下
に置かれる。
【0048】なお、上述する構造物形成工程のうち、エ
アロゾル発生器103、解砕器104、分級器105は
別体でもよいし、一体でもよい。解砕器の性能が十分で
あれば分級器は必要ない。また二種類の微粒子のミル粉
砕は、予め粉体を混合させてから行っても良いし、別に
粉砕を行って後に混合しても良い。それぞれの微粒子の
硬度が極端に違う場合は、混合させてからのミル粉砕に
より、内部歪を印加させるとともに、柔らかい微粒子を
破砕して硬い微粒子の表面をコーティングさせる複合微
粒子が作製しても良い。すなわちこの場合は複合微粒子
による構造物形成となる。勿論別の方法で作製した複合
微粒子をこの複合構造物作製装置に当てはめることは可
能であり、複合微粒子はミル粉砕に限らず、PVD、C
VD、めっき、ゾルゲル法などの様々な手法を用いて予
め作製しておくことができる。
【0049】脆性材料微粒子の種類は二種類に限らず、
いくつも混合させることは容易であるし、その混合比も
任意に設定できるため、構造物の組成を自由に制御でき
好適である。これは複合微粒子についても同じ事がいえ
る。使用するガスも窒素ガスに限らず、アルゴン、ヘリ
ウムなど任意であるし、これに酸素を混合させることに
より、構造物中の酸素濃度を変化させることも考えられ
る。
【0050】図4は、本発明における別態様の複合構造
物作製装置を示す図であり、複合構造物作製装置20で
は、アルゴンガスボンベ201a、201bが、搬送管
202a、202bを介してエアロゾル発生器203
a、203bにそれぞれ接続され、さらに下流側に解砕
器204a、204bが設置され、さらに下流に分級器
205a、205bが設置され、さらに下流にエアロゾ
ル濃度測定器206a、206bが設置されている。こ
れらを通じている搬送管202a、202bはエアロゾ
ル濃度測定器206a、206bの下流にて合流し、構
造物形成室207内に設置されたノズル208に通じて
いる。
【0051】ノズル208の開口の先には金属製の基板
209がXYステージ210に取り付けられて設置され
ている。構造物形成室207は真空ポンプ211に接続
されている。またエアロゾル発生器203a、203b
およびエアロゾル濃度測定器206a、206bは制御
装置212に配線されている。エアロゾル発生器203
a、203bには平均粒径が0.5μm程度の異種の脆
性材料微粒子213a、213bをそれぞれ内蔵してい
る。
【0052】以上の構成からなる複合構造物作製装置2
0の作用を次に述べる。予め図示しない歪付与装置であ
る遊星ミルにて粉砕することにより、内部歪を与えられ
た脆性材料微粒子213a、213bをそれぞれエアロ
ゾル発生器203a、203b内に装填する。次にアル
ゴンガスボンベ201a、201bを開栓し、アルゴン
ガスを搬送管202a、202bを通じてエアロゾル発
生器203a、203b内へそれぞれ導入する。制御装
置212の制御を受けてエアロゾル発生器203a、2
03bが作動し、微粒子のエアロゾルをそれぞれ発生さ
せる。これらのエアロゾル中の微粒子は凝集しており、
おおよそ100μmの二次粒子を形成しているが、解砕
器204a、204bに導入して、一次粒子を多く含む
エアロゾルに変換する。その後分級器205a、205
bに導入して、解砕器204a、204bでは解砕しき
れずにエアロゾル中にまだ存在している粗大な二次粒子
を除去されてさらに一次粒子リッチなエアロゾルに変換
し導出する。その後これらのエアロゾルはエアロゾル濃
度測定器206a、206b内を通り、エアロゾル中の
微粒子の濃度をモニタリングした後、合流させ、構造物
形成室209内にてノズル207より高速で基板209
に向けて噴射する。
【0053】基板209はXYステージ210により揺
動されており、エアロゾルの基板209への衝突位置を
刻々と変化させることにより、微粒子を基板209上の
広面積に衝突させる。この衝突の際に脆性材料微粒子2
13a、213bが破砕あるいは変形し、これらが接合
して異種の脆性材料の結晶が一次粒子の平均粒径以下の
結晶サイズ、すなわちナノメートルサイズで独立に分散
して存在する緻密質の構造物が形成される。また、構造
物形成室211内は真空ポンプ211により排気され、
内部の気圧を約10kPaの一定値に制御されている。
【0054】このようにして基板209上に異種の脆性
材料が分散した構造物を形成させるが、この際エアロゾ
ル濃度測定器206a、206bのモニター結果を制御
装置212により解析し、エアロゾル発生器203a、
203bにフィードバックしてエアロゾル発生量、濃度
を制御することにより、構造物中の異種の脆性材料の存
在比率を一定あるいは傾斜的に制御することができる。
このような傾斜材料を作製する場合は、XYステージと
の連動により、堆積高さ方向で存在比率を変えたり、基
板209の面方向で存在分布を変えたりすることが容易
である。また複数のエアロゾルを合流させずに別々のノ
ズルを用いて噴射させて構造物を形成させることもでき
る。この場合は薄い堆積層からなる構造物が得られ、そ
の厚みの制御による傾斜化も容易である。またエアロゾ
ル発生器に内蔵させる微粒子は複合微粒子であっても良
いし複数の脆性材料の混合微粒子であっても良く、目的
とする構造物の構造を達成するに都合の良い内蔵方法を
選択すればよい。ガスの組成も任意である。
【0055】
【実施例】(実施例1)遊星ミルにより歪付与を行なっ
た平均粒径0.4μmの酸化アルミニウム微粒子粉体と
同じく遊星ミルにより歪付与を行なった平均粒径0.5
μmの酸化珪素微粒子粉体との混合粉末を予め準備し
て、これを用いて超微粒子ビーム堆積法(Ultra−Fine
particles beam deposition method)により鉄基板上
にアルミニウムと珪素の元素比が75%対25%となる
ような緻密質の複合構造物を形成させた。装置は図1に
相当するものを用いた。図3に形成直後の構造物の表面
SEM写真を示す。図4にこの位置におけるアルミニウ
ムと珪素および酸素の元素分布をEPMAで測定した結
果を示す。これらはそれぞれ100nm以下の結晶子が
無配向の状態で、独立分散した形で存在しており、界面
付近で酸化アルミニウムと酸化珪素の固溶体層は確認さ
れていない。また複合構造物と基板の界面にはアンカー
層が形成されていた。
【0056】(実施例2)本発明における超微粒子ビー
ム堆積法を用いて、酸化アルミニウム:50wt%とチ
タン酸ジルコン酸鉛(PZT):50wt%の混合粉末
を用いてSUS304基板上に室温で複合構造物を形成
した。図5にこの構造物のD−Eヒステリシス測定結果
をしめす。測定用に試料としては、D−E特性が測定で
きるように、厚み18μmまで構造物表面を粒径1μm
のダイヤモンドペーストを用いてガラス盤上で研磨し、
表面を洗浄乾燥後、構造物上面にφ5mmの大きさでA
u電極を真空蒸着法にて形成し、大気雰囲気中で600
℃の温度で,1時間の熱処理を行い測定用試料とした。
なお、今回作製した酸化アルミニウム/PZT複合構造
物の物性を比較考察するためにPZT:100wt%原
料を用いて作製した構造物も同様の方法にて準備した。
D−E特性の評価方法としては、図6に示すソーヤ・タ
ーワ回路を用いて行った。ソーヤ・ターワによる測定で
は、試料をセット後10Hzの周波数で約±700Vの
電圧を印加し、その時の電荷量をエレクトロ・メータ
(Advantest製:TR8652)で読みとり、
X−Yレコーダ(横河電機製:アナライジングレコーダ
MODEL3655E)に記録させD−Eヒステリシス
曲線を描いた。このD−Eヒステリシス曲線から電荷量
(D)が0となる電圧(V+,V−)、すなわち、強誘
電体相の分極が反転する電圧の値をそれぞれ読みとり、
その値を測定に用いた構造物の厚みで割り抗電界値(E
+、E−)を算出し、外部電界に対する硬さを比較し
た。さらに、印加電圧(V)が0の際の電荷量(D+、
D−)をそれぞれ読みとり、その値を電極面積(φ5m
m)で割り残留分極量(Pr+,Pr−)を求め、その
試料の電界に対する配向度合いを求めた。
【0057】本発明によって作製した複合構造物は、酸
化アルミニウムを50wt%含むにも係わらずD−E曲
線はヒステリシスを示すことが明らかになった。但し、
PZT:100%のものに対して、残留分極量(Pr)
は小さくヒステリシスは小さいものの、抗電界値は約2
倍と高い値が得られた。さらに、図7には、本発明で作
製した複合構造物のマイクロビッカース硬度測定結果を
示す。酸化アルミニウム量が多くなるに従い複合構造物
のビッカース硬度が高くなる結果が得られた。参考まで
に、1300℃―2時間の焼成で作製したPZTバルク
品の硬度測定結果を図7に示しているが、本発明にて作
製した複合構造物は、バルク品より約1.5倍程度高い
値を示すといった興味深い結果も得られた。なお、構造
物の硬度は、島津製作所製ダイナミック超微小硬度計D
UH−W201を用いてビッカース圧子を50gfの荷
重で15秒間印加し求めた結果を,5点測定行い平均値
を求めた。
【0058】(実施例3)実施例2と同様にして酸化ア
ルミニウム:80wt%とPZT:20wt%の混合粉
体を用いてSUS304基板上に室温にて複合構造物を
作製した。図8に得られた複合構造物の透過型電子顕微
鏡(TEM)観察像を示す。写真中の白色粒子は酸化ア
ルミニウム、黒色粒子はPZTを示すことが、EDXに
よる元素分析の結果わかった。この結果から、本発明で
あるエアロゾルデポジション法にて作製した複合構造物
は酸化アルミニウムとPZTが反応することなく2相共
存の形で形成されていることが明らかとなった。なお,
TEM観察の結果、酸化アルミニウム微粒子、PZT微
粒子は、いずれも出発時点での原料粒子サイズでは0.
6〜0.8μmであったのに対して複合構造物中の粒子
の大きさは約0.2μmサイズまで小さくなっているこ
と、さらに、粒子の衝突方向に対して垂直方向に層状に
変形配向した膜であることも明らかになった。さらに、
構造物中の酸化アルミニウムとPZTの量比は、出発時
点での混合粉体の量比とほぼ同じであることも明らかに
なった。
【0059】観察結果から、酸化アルミニウム相とPZ
T相が固溶することなく互いに独立に存在していること
が明らかになった。また、このことは、実施例2に示し
たように本発明により作製した複合構造物が、D−E特
性でPZT単組成物よりも小さなヒステリシス曲線を示
したこと、さらに、構造物の膜硬度もPZT単組成物よ
りも大きく、酸化アルミニウム比率の増加に伴い大きく
なることを示唆する結果である。
【0060】(実施例4)実施例4では、構造物形成に
際する微粒子の速度の測定について述べる。前記した微
粒子の速度の測定には次の方法を用いた。図9に微粒子
速度測定装置を示す。図示しないチャンバー内にエアロ
ゾルを噴射するノズル31が開口を上に向けて設置さ
れ、その先にモーターによって回転運動する回転羽根3
2の先に設置された基板33およびその基板表面から1
9mm下に離れて固定された幅0.5mmの切りかきを
もつスリット34を有する微粒子速度測定装置3を配置
する。ノズル31の開口から基板表面までの距離は24
mmである。次に微粒子速度測定方法を記す。エアロゾ
ルの噴射は、実際の複合構造物作製方法に準じて行う。
構造物形成室内で構造物を形成する基板の代わりに、図
の微粒子速度測定装置3を設置して行うことが好適であ
る。図示しないチャンバーを減圧下におき、数kPa以
下の圧力としたのちにノズル31から微粒子を含むエア
ロゾルが噴射させ、この状態で微粒子速度測定装置3を
一定回転速度で運転させる。ノズル31の開口から飛び
出した微粒子は、基板33がノズル31の上部に来た際
にその一部がスリット34の切りかきの隙間を通過して
基板表面に衝突し、基板33上に構造物(衝突痕)を形
成する。微粒子がスリットから19mm離れた基板表面
に到達する間に基板33は回転羽根32の回転によって
位置を変化させているため、基板33上におけるスリッ
ト34の切りかきからの垂線交差位置よりその変位量分
ずれた位置に衝突する。この垂線交差位置から衝突して
形成された構造物までの距離を表面凹凸測定により計測
し、この距離およびスリット34と基板表面からの距
離、回転羽根32の回転速度の値を用いて、ノズル31
から噴射された微粒子の速度としては、ノズル31の開
口から5mm離れた場所から24mm離れた場所までの
平均速度を算出し、これを本件における微粒子の速度と
した。
【0061】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る複合構造物
は、2種以上の脆性材料をナノレベルの大きさで複合化
させているので、従来には存在しない特性を有する新規
の物質を提供することができる。また、本発明に係る複
合構造物の作製方法によれば、膜状に限らず任意の3次
元形状の複合構造物を作成できるので、その用途をあら
ゆる分野に拡大することができる。更に、基材上に複合
構造物を形成する場合にも、低温(室温程度)で、加熱
焼成などの工程を経ないので、任意の基材を選定するこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様としての構造物作製装置を示す
図。
【図2】本発明の一態様としての構造物作製装置を示す
図。
【図3】酸化アルミニウムと酸化珪素からなる構造物の
SEMイメージ。
【図4】アルミニウムと珪素および酸素の元素分布をE
PMAで測定した結果の写真。
【図5】実施例2に係る複合構造物並びにPZT単一相
のD−Eヒステリシス特性結果。
【図6】実施例2に係るソーヤ・ターワ回路図。
【図7】実施例2に係る複合構造物のAl量比に
伴うビッカース硬度測定結果。
【図8】実施例3に係るところのPZT/Al
複合構造物の透過型電子顕微鏡写真。
【図9】微粒子速度測定装置図.
【符号の説明】
10…複合構造物作製装置、 101…ガスボンベ、
102…搬送管、 103…エアロゾル発生器、 10
3a…混合粉末、 104…解砕器、 105…分級
器、 106…構造物形成室、 107…ノズル、 1
08…基板、 109…XYステージ、 110…真空
ポンプ、 20…複合構造物作製装置、201a、20
1b…ガスボンベ、 202a、202b…搬送管、
203a、203b…エアロゾル発生器、 204a、
204b…解砕器、 205a、205b…分級器、
206a、206b…エアロゾル濃度測定器、 207
…構造物形成室、 208…ノズル、 209…基板、
210…XYステージ、211…真空ポンプ、 21
3a、213b…脆性材料微粒子。
フロントページの続き (72)発明者 清原 正勝 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 横山 達郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 吉田 篤史 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 伊藤 朋和 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 明渡 純 茨城県つくば市東一丁目1番1号 独立行 政法人産業技術総合研究所 つくばセンタ ー内 Fターム(参考) 4K044 AA01 AA11 AA16 AB02 BA11 BA12 BA13 BA14 BB01 BB11 CA29 CA51 CA62

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスや半導体などの脆性材料の
    結晶と、前記脆性材料とは異なる脆性材料の結晶および
    /または微細組織が分散した構造物であって、前記脆性
    材料の結晶からなる部分は多結晶であり、この多結晶部
    分は実質的に結晶配向性がなく、また結晶界面にはガラ
    ス質からなる粒界層が実質的に存在しないことを特徴と
    する複合構造物。
  2. 【請求項2】 基材表面に、セラミックスや半導体など
    の脆性材料の結晶と、前記脆性材料と異なる脆性材料の
    結晶および/または微細組織が分散した構造物が形成さ
    れた複合構造物であって、前記構造物の一部は基材表面
    に食い込むアンカー部となっており、前記脆性材料の結
    晶からなる部分は多結晶であり、この多結晶部分は実質
    的に結晶配向性がなく、また結晶界面にはガラス質から
    なる粒界層が実質的に存在しないことを特徴とする複合
    構造物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分を構成する結晶は熱による粒成長を伴っ
    ていないことを特徴とする複合構造物。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分は、平均結晶子径が500nm以下で複
    合構造物の緻密度が70%以上であることを特徴とする
    複合構造物。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分は、平均結晶子径が100nm以下で複
    合構造物の緻密度が95%以上であることを特徴とする
    複合構造物。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分は、平均結晶子径が50nm以下で複合
    構造物の緻密度が99%以上であることを特徴とする複
    合構造物。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分を構成する結晶は、アスペクト比が2.
    0以下であることを特徴とする複合構造物。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記多結晶部分を構成する結晶同士の界面に、結晶を構
    成する主要な金属元素以外の元素が偏析していないこと
    を特徴とする複合構造物。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載の複合構造物において、
    前記構造物を構成する結晶の界面近傍には非化学量論的
    組成部を有していることを特徴とする複合構造物。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の複合構造物におい
    て、前記結晶の少なくとも一種類は金属酸化物であり、
    かつ前記非化学量論的組成部は前記金属酸化物中の酸素
    の欠損あるいは過剰に基づいて非化学量論性を呈するこ
    とを特徴とする複合構造物。
  11. 【請求項11】 請求項2乃至請求項10のいずれか1
    項に記載の複合構造物において、前記基材はガラス、金
    属、半金属、半導体、セラミックスあるいは有機化合物
    であることを特徴とする複合構造物。
  12. 【請求項12】 2種以上の脆性材料微粒子を基材表面
    に同時あるいは別々に高速で衝突させて前記基材表面に
    食い込むアンカー部を形成し、同時に衝突の衝撃によっ
    て前記2種以上の脆性材料微粒子を変形または破砕さ
    せ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
    て脆性材料微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    の上に2種以上の脆性材料の結晶および/または微細組
    織が分散した組織を形成することを特徴とする複合構造
    物の作製方法。
  13. 【請求項13】 脆性材料微粒子表面にこれとは異なる
    脆性材料をコーティングさせる工程を経て複合微粒子を
    形成した後、該複合微粒子を基材表面に高速で衝突させ
    て前記基材表面に食い込むアンカー部を形成し、同時に
    衝突の衝撃によって前記複合微粒子を変形または破砕さ
    せ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
    て前記複合微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    の上に2種以上の脆性材料の結晶および/または微細組
    織が分散した構造物を形成することを特徴とする複合構
    造物の作製方法。
  14. 【請求項14】 2種以上の脆性材料微粒子を基材表面
    に盛り付け、この脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付加
    して前記基材表面に食い込むアンカー部を形成し、同時
    に機械的衝撃により前記脆性材料微粒子を変形または破
    砕させ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を
    介して前記微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    の上に2種以上の脆性材料の結晶および/または微細組
    織が分散した組織からなる構造物を形成することを特徴
    とする複合構造物の作製方法。
  15. 【請求項15】 脆性材料微粒子表面にこれとは異なる
    脆性材料をコーティングさせる工程を経て複合微粒子を
    形成した後、該複合微粒子を基材表面に盛り付け、この
    複合微粒子に機械的衝撃力を付加して前記基材表面に食
    い込むアンカー部を形成し、同時に機械的衝撃により前
    記複合微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕
    にて生じた活性な新生面を介して前記複合微粒子同士を
    再結合せしめ、前記アンカー部の上に脆性材料の結晶お
    よび/または微細組織が分散した組織からなる構造物を
    形成することを特徴とする複合構造物の作製方法。
  16. 【請求項16】 請求項12乃至請求項15のいずれか
    1項に記載の複合構造物の作製方法において、前記複合
    構造物を形成させる工程の前処理として、前記脆性材料
    微粒子または複合微粒子に内部歪を印加させる工程を設
    けたことを特徴とする複合構造物の作製方法。
  17. 【請求項17】 請求項12乃至請求項15のいずれか
    1項に記載の複合構造物の作製方法において、この作製
    方法は室温で行なうことを特徴とする複合構造物の作製
    方法。
  18. 【請求項18】 請求項12乃至請求項15のいずれか
    1項に記載の複合構造物の作製方法において、前記複合
    構造物を形成した後に、当該複合構造物の融点以下の温
    度で加熱処理して組織制御を行うことを特徴とする複合
    構造物の作製方法。
  19. 【請求項19】 請求項12乃至請求項15のいずれか
    1項に記載の複合構造物の作製方法において、この作製
    方法は減圧下で行なうことを特徴とする複合構造物の作
    製方法。
  20. 【請求項20】 請求項12または請求項13に記載の
    複合構造物の作製方法において、前記基材表面に前記脆
    性材料微粒子あるいは前記複合微粒子を高速で衝突させ
    る手段は、前記微粒子をガス中に分散させたエアロゾル
    を、高速で前記基板材料に向けて噴射することとしたこ
    とを特徴とする複合構造物の作製方法。
  21. 【請求項21】 請求項12または請求項13または請
    求項20に記載の複合構造物の作製方法において、前記
    脆性材料微粒子または前記複合材料微粒子の平均粒径が
    0.1〜5μmであり、前記基材に衝突する際の前記脆
    性材料微粒子または前記複合材料微粒子の速度が50〜
    450m/sであることを特徴とする複合構造物の作製
    方法。
  22. 【請求項22】 請求項12または請求項13または請
    求項20に記載の複合構造物の作製方法において、前記
    脆性材料微粒子または前記複合材料微粒子の平均粒径が
    0.1〜5μmであり、前記基材に衝突する際の前記脆
    性材料微粒子または前記複合材料微粒子の速度が150
    〜400m/sであることを特徴とする複合構造物の作
    製方法。
  23. 【請求項23】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガスの種類および/または分圧を制
    御して、前記脆性材料からなる構造物を構成する化合物
    の元素量を制御することを特徴とする複合構造物の作製
    方法。
  24. 【請求項24】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記
    脆性材料からなる構造物中の酸素の量を制御することを
    特徴とする複合構造物の作製方法。
  25. 【請求項25】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガスの種類および/または分圧を制
    御して、前記複合構造物の電気的特性・機械的特性・化
    学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御することを特
    徴とする複合構造物の作製方法。
  26. 【請求項26】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記
    複合構造物の電気的特性・機械的特性・化学的特性・光
    学的特性・磁気的特性を制御することを特徴とする複合
    構造物の作製方法。
  27. 【請求項27】 2種以上の脆性材料微粒子を基材表面
    に同時あるいは別々に高速で衝突させて前記基材表面に
    食い込むアンカー部を形成し、同時に衝突の衝撃によっ
    て前記2種以上の脆性材料微粒子を変形または破砕さ
    せ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
    て脆性材料微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    を形成して接合させ、脆性材料の結晶および/または微
    細組織が分散した組織を形成することで得られたことを
    特徴とする複合構造物。
  28. 【請求項28】 脆性材料微粒子表面にこれとは異なる
    脆性材料をコーティングさせる工程を経て複合微粒子を
    形成した後、該複合微粒子を基材表面に高速で衝突させ
    て前記基材表面に食い込むアンカー部を形成し、同時に
    衝突の衝撃によって前記複合微粒子を変形または破砕さ
    せ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
    て前記複合微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    の上に2種以上の脆性材料の結晶および/または微細組
    織が分散した構造物を形成することで得られたことを特
    徴とする複合構造物。
  29. 【請求項29】 2種以上の脆性材料微粒子を基材表面
    に盛り付け、この脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付加
    して前記基材表面に食い込むアンカー部を形成し、同時
    に機械的衝撃により前記脆性材料微粒子を変形または破
    砕させ、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を
    介して前記微粒子同士を再結合せしめ、前記アンカー部
    の上に2種以上の脆性材料の結晶および/または微細組
    織が分散した組織からなる構造物を形成することで得ら
    れたことを特徴とする複合構造物。
  30. 【請求項30】 脆性材料微粒子表面にこれとは異なる
    脆性材料をコーティングさせる工程を経て複合微粒子を
    形成した後、該複合微粒子を基材表面に盛り付け、この
    複合微粒子に機械的衝撃力を付加して前記基材表面に食
    い込むアンカー部を形成し、同時に機械的衝撃により前
    記複合微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕
    にて生じた活性な新生面を介して前記複合微粒子同士を
    再結合せしめ、前記アンカー部の上に脆性材料の結晶お
    よび/または微細組織が分散した組織からなる構造物を
    形成することで得られたことを特徴とする複合構造物。
  31. 【請求項31】 請求項27乃至請求項30のいずれか
    1項に記載の複合構造物において、前記構造物を形成さ
    せる工程の前処理として、前記脆性材料微粒子に内部歪
    を印加させる工程を設けてなることを特徴とする複合構
    造物。
  32. 【請求項32】 請求項27乃至請求項30のいずれか
    1項に記載の複合構造物において、前記脆性材料微粒子
    は、平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする
    複合構造物。
  33. 【請求項33】 請求項27乃至請求項30のいずれか
    1項に記載の複合構造物において、この複合構造物は室
    温で作製されることを特徴とする複合構造物。
  34. 【請求項34】 請求項27乃至請求項30のいずれか
    1項に記載の複合構造物において、前記複合構造物を形
    成した後に、前記複合構造物の融点以下の温度で加熱処
    理して組織制御を行うことを特徴とする複合構造物。
  35. 【請求項35】 請求項27乃至請求項30のいずれか
    1項に記載の複合構造物において、この複合構造物は減
    圧下で作製されることを特徴とする複合構造物。
  36. 【請求項36】 請求項27または請求項28に記載の
    複合構造物において、前記基材表面に微粒子を高速で衝
    突させる手段は、この微粒子をガス中に分散させたエア
    ロゾルを、高速で前記基板に向けて噴射することとした
    ことを特徴とする複合構造物。
  37. 【請求項37】 請求項36に記載の複合構造物におい
    て、前記ガスの種類および/または分圧を制御して、前
    記脆性材料からなる構造物を構成する化合物の元素量を
    制御して得られることを特徴とする複合構造物。
  38. 【請求項38】 請求項36に記載の複合構造物におい
    て、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料か
    らなる構造物中の酸素の量を制御して得られることを特
    徴とする複合構造物。
  39. 【請求項39】 請求項36に記載の複合構造物におい
    て、前記ガスの種類および/または分圧を制御して、前
    記複合構造物の電気的特性・機械的特性・化学的特性・
    光学的特性・磁気的特性を制御して得られることを特徴
    とする複合構造物。
  40. 【請求項40】 請求項36に記載の複合構造物におい
    て、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記複合構造物
    の電気的特性・機械的特性・化学的特性・光学的特性・
    磁気的特性を制御して得られることを特徴とする複合構
    造物。
  41. 【請求項41】 2種類以上の脆性材料微粒子をガス中
    に分散させて発生させたエアロゾルを基材に高速で噴射
    ・衝突させて脆性材料の結晶および/または微細組織が
    分散した構造物を作製する複合構造物作製装置におい
    て、前記エアロゾルを発生させる一つ以上のエアロゾル
    発生器と、エアロゾルを噴射する一つ以上のノズルと、
    エアロゾル中の脆性材料微粒子を分級する一つ以上の分
    級器とを備えたことを特徴とする複合構造物作製装置。
  42. 【請求項42】 2種類以上の脆性材料微粒子をガス中
    に分散させて発生させたエアロゾルを基材に高速で噴射
    ・衝突させて該脆性材料の結晶および/または微細組織
    が分散した構造物を作製する複合構造物作製装置におい
    て、前記エアロゾルを発生させる一つ以上のエアロゾル
    発生器と、エアロゾルを噴射する一つ以上のノズルと、
    エアロゾル中の脆性材料微粒子の凝集を解砕する一つ以
    上の解砕器とを備えたことを特徴とする複合構造物作製
    装置。
  43. 【請求項43】 2種類以上の脆性材料微粒子をガス中
    に分散させて発生させたエアロゾルを基材に高速で噴射
    ・衝突させて該脆性材料の結晶および/または微細組織
    が分散した構造物を作製する複合構造物作製装置におい
    て、前記エアロゾルを発生させる一つ以上のエアロゾル
    発生器と、エアロゾルを噴射する一つ以上のノズルと、
    エアロゾル中の脆性材料微粒子の凝集を解砕する一つ以
    上の解砕器と、エアロゾル中の脆性材料微粒子を分級す
    る一つ以上の分級器とを備えたことを特徴とする複合構
    造物作製装置。
  44. 【請求項44】 脆性材料微粒子の表面に、該脆性材料
    微粒子とは異なる脆性材料をコーティングさせた複合微
    粒子を、ガス中に分散させて発生させたエアロゾルを基
    材に高速で噴射・衝突させて脆性材料の結晶および/ま
    たは微細組織が分散した構造物を作製する複合構造物作
    製装置において、前記脆性材料微粒子の表面に該脆性材
    料微粒子とは異なる一種類以上の脆性材料をコーティン
    グさせて前記複合微粒子を形成するコーティング装置
    と、前記エアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、
    前記エアロゾルを噴射するノズルとを備えたことを特徴
    とする複合構造物作製装置。
  45. 【請求項45】 請求項44に記載の複合構造物作製装
    置において、前記エアロゾル発生器と前記ノズルとの間
    に、前記エアロゾル中の前記複合微粒子の凝集を解砕す
    る解砕器および/または前記エアロゾル中の前記複合微
    粒子を分級する分級器を備えたことを特徴とする複合構
    造物作製装置。
  46. 【請求項46】 請求項41乃至請求項45のいずれか
    1項に記載の複合構造物作製装置において、前記脆性材
    料微粒子または前記複合微粒子に内部歪を印加する歪付
    与装置を備えたことを特徴とする複合構造物作製装置。
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