JP2002312910A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP2002312910A
JP2002312910A JP2001113953A JP2001113953A JP2002312910A JP 2002312910 A JP2002312910 A JP 2002312910A JP 2001113953 A JP2001113953 A JP 2001113953A JP 2001113953 A JP2001113953 A JP 2001113953A JP 2002312910 A JP2002312910 A JP 2002312910A
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brittle material
magnetic
sliding portion
fine particles
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JP2001113953A
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English (en)
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Jun Aketo
純 明渡
Hironori Hatono
広典 鳩野
Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Tatsuro Yokoyama
達郎 横山
Tomokazu Ito
朋和 伊藤
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Atsushi Yoshida
篤史 吉田
Jitsuo Uda
実雄 右田
Takaaki Kusuki
孝章 楠木
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Minerva KK
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Minerva KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動面(読み取り面)の耐摩耗性を向上させ
るとともに、表面の帯電を除去し、静電気による埃など
の付着を低減できる磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 磁性材料が露出する磁気ヘッドの摺動部
表面に、脆性材料からなる薄膜が形成され、この薄膜は
ビッカース硬度がパーマロイまたはセンダストよりも大
きく、例えばビッカース硬度でHv=500以上、好ま
しくはHv=1000以上で、多結晶で、結晶同士の界
面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、且
つ薄膜の一部は前記摺動部表面に食い込むアンカー層と
なっており、前記脆性材料からなる薄膜の体積固有抵抗
値は、例えば酸化物の場合には10 9〜1011Ω・c
m、窒化物の場合には10-5〜10-3Ω・cmである

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば紙幣の自動
支払機やカードリーダ等に組み込まれる磁気ヘッドとそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟磁性材料として優れた性質を持つ金属
にパーマロイがあるが、耐磨耗性に問題がある。そこ
で、磁気ヘッドの読み取り部のコア材には高価ではある
が耐摩耗性に優れたセンダストなどの磁性材料を用いて
おり、一定の効果を上げている。
【0003】しかしながら自動支払機やカードリーダ等
に用いる磁気ヘッドは、対象が紙幣やプラスチックカー
ドではあっても、読み取り回数が数十万から数百万回に
及ぶと、コア材の摩耗により読み取り精度が劣化し、ヘ
ッドそのものの交換を余儀なくされていた。
【0004】そこで、磁気ヘッド表面に高硬度のセラミ
ック膜を形成することも考えられる。具体的な手法とし
ては、数十〜数百nmの薄膜についてはCVDやゾルゲ
ル法が一般的に用いられ、数μm以上の厚膜になると、
溶射法が一般に用いられている。また、溶射法の他に、
最近ではガスデポジション法(加集誠一郎:金属 19
89年1月号)や静電微粒子コーティング法(井川
他:昭和52年度精密機械学会秋季大会学術講演会前
刷)も被膜形成法として提案されている。
【0005】ガスデポジション法は金属やセラミックス
等の超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノ
ズルを通して加速せしめ、基材表面に超微粒子の圧粉体
層を形成させ、これを加熱して焼成させることにより被
膜を形成する。静電微粒子コーティング法は微粒子を帯
電させ電場勾配を用いて加速せしめ、この後はガスデポ
ジション法と同様の基本原理で被膜形成を行う。
【0006】また、上記のガスデポジション法あるいは
静電微粒子コーティング法を改良した先行技術として、
特開平8−81774号公報、特開平10−20217
1号公報、特開平11−21677号公報、特開平11
−330577号公報或いは特開2000−21276
6号公報に開示されるものが知られている。
【0007】特開平8−81774号公報に開示される
技術は、融点の異なる2種類の金属または有機物を、抵
抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタ
リング、アークプラズマ等で加熱蒸発させ、この加熱蒸
発により粒子径が0.1μm以下の表面が非常に活性な
超微粒子とし、この超微粒子を融点の異なる金属ごとに
ノズルを用い、3次元立体形状の断面CADデータに基
づいて基板に吹き付け、これを繰り返すことで融点の異
なる2種類の金属からなる3次元立体形状物を形成し、
この後、2種類の金属の融点の中間温度で3次元立体形
状物を加熱することで低融点金属部分を溶融除去し、高
融点金属部分のみを残すようにしている。
【0008】特開平10−202171号公報に開示さ
れる技術は、前記した抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高
周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等で加
熱蒸発することで得た超微粒子を基板に向けて噴射する
にあたり、マスクの開口を通して行うことで、肩だれの
ない3次元立体形状物を得るようにしている。
【0009】特開平11−21677号公報に開示され
る技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送す
る際あるいは金属やセラミックスを加熱蒸発させる際
に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止
するために、中間の経路に分級装置を配置するようにし
ている。
【0010】特開平11−330577号公報に開示さ
れる技術は、PZT粉末をキャリヤガスとともにノズル
から金属基板に向けて噴出し、ノズルから噴出した粒子
のうち活性な細かな粒子を基板上に堆積するようにして
いる。
【0011】2000−212766号公報は、本発明
者らが提案したものであり、この公報には加熱手段によ
る加熱なくして超微粒子の膜を形成する方法が開示され
ている。具体的には、粒径が10nm〜5μmの超微粒
子(前記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものでは
ない)に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或い
は低温プラズマなどを照射することにより、超微粒子を
溶融せしめることなく活性化し、この状態のまま基板に
3m/sec〜300m/secの速度で吹き付けることで、
超微粒子相互の結合を促進するようにしたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】PVDやCVDなどの
高温プロセスを必要とする手法では、磁気ヘッドの摺動
部表面にセラミックスをコートするのに不適当であり、
また溶射法では読み取り精度を劣化させない程度の膜
(数ミクロン)を形成することが困難である。
【0013】また、ガスデポジション法あるいは静電微
粒子コーティング法、特開平8−81774号公報、特
開平10−202171号公報、特開平11−2167
7号公報、特開平11−330577号公報或いは特開
2000−212766号公報には、磁気ヘッドの摺動
部表面への適用は示唆されておらず、磁気ヘッドの摺動
部表面に要求される高硬度で耐摩耗性に優れ、剥離しに
くく、且つ所定の電気的特性(体積固有抵抗値)を有す
る膜を得ることはできない。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の知見に基
づいてなされた。即ち、延展性を持たない脆性材料(セ
ラミックス)に機械的衝撃力を付加すると、結晶子同士
の界面などの壁開面に沿って結晶格子のずれを生じた
り、あるいは破砕される。そして、これらの現象が起こ
ると、ずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原
子と結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面
が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もとも
と安定した原子結合状態から外力により強制的に不安定
な表面状態に晒され、表面エネルギーが高い状態とな
る。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接し
た脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状
態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加
は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕
などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆
性材料構造物が形成される。
【0015】そして、更に上記機械的衝撃を搬送ガスに
て脆性材料を基材に衝突させるようにした本発明の一態
様を以後、微粒子ビーム堆積法と称する。この微粒子ビ
ーム堆積法は、ガスデポジション法より発展してきた手
法であり、金属などの基材上に脆性材料の多結晶構造物
をダイレクトに形成させる方法である。この手法は、脆
性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを搬送
し、高速で基材表面に噴射して衝突させ、微粒子を破砕
・変形せしめ、基板との界面にアンカー層を形成して接
合させるとともに、破砕した断片粒子同士を接合させる
ことにより、基材との密着性が良好で強度の大きい構造
物を得ることができる。
【0016】上記の知見から発展した本発明に係る磁気
ヘッドは、磁性材料が露出する磁気ヘッドの摺動部表面
に、脆性材料からなる構造物が形成され、この構造物は
ビッカース硬度がパーマロイまたはセンダストよりも大
きく(ビッカース硬度Hv=500以上、好ましくはH
v=1000以上)、多結晶で、結晶同士の界面にはガ
ラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、且つ構造物
の一部は前記摺動部表面に食い込むアンカー層となって
いる。
【0017】ここで、本発明を理解する上で重要となる
語句の解釈を以下に行う。 (多結晶)本件では結晶子が接合・集積してなる構造体
を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しそ
の径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕さ
れずに脆性材料構造物中に取り込まれるなどの場合がま
れに生じるが、実質的には多結晶である。 (結晶配向性)本件では多結晶である脆性材料構造物中
での結晶軸の配向具合を指し、配向性があるかないか
は、一般には実質的に配向性のないと考えられる粉末X
線回折などによって標準データとされたJCPDS(ASTM)
データを指標として判断する。脆性材料構造物中の結晶
を構成する物質をあげたこの指標における主要な回折3
ピークのピーク強度を100%として、脆性材料構造物
の同物質測定データ中、最も主要なピークのピーク強度
をこれに揃えた場合に、他の2ピークのピーク強度が指
標の値と比較して30%以内にそのずれが収まっている
状態を、本件では実質的に配向性がないとする。 (界面)本件では結晶子同士の境界を構成する領域を指
す。 (粒界層)界面あるいは焼結体でいう粒界に位置するあ
る厚み(通常数nm〜数μm)を持つ層で、通常結晶粒
内の結晶構造とは異なるアモルファス構造をとり、また
場合によっては不純物の偏析を伴う。 (アンカー部)本件の場合には、基材と脆性材料構造物
の界面に形成された凹凸を指し、特に、予め基材に凹凸
を形成させるのではなく、脆性材料構造物形成時に、元
の基材の表面精度を変化させて形成される凹凸のことを
指す。 (内部歪)原料微粒子に含まれる格子歪のことで、X線
回折測定におけるHall法を用いて算出される値であり、
微粒子を十分にアニールした標準物質を基準として、そ
のずれを百分率表示する。
【0018】脆性材料としては酸化アルミニウム、酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウ
ム、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化ハフニウム、
酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、チタン
酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸リチウム、チタン酸
ストロンチウム、チタン酸アルミニウム、PZT、PL
ZTなどの酸化物、ダイヤモンド、炭化硼素、炭化珪
素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、
炭化ニオブ、炭化クロム、炭化タングステン、炭化モリ
ブデン、炭化タンタルなどの炭化物、窒化硼素、窒化チ
タン、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ニオブ、窒化
タンタルなどの窒化物、硼素、硼化アルミニウム、硼化
珪素、硼化チタン、硼化ジルコニウム、硼化バナジウ
ム、硼化ニオブ、硼化タンタル、硼化クロム、硼化モリ
ブデン、硼化タングステンなどの硼化物、あるいはこれ
らの混合物や多元系の固溶体などが挙げられる。
【0019】また、本発明に係る磁気ヘッドにあって
は、脆性材料からなる薄膜を異なる脆性材料からなる多
層構造をなすようにしてもよい。斯かる構成とすること
で耐摩耗性と電気的特性の両方を容易に満足することが
できる。
【0020】また、本発明に係る磁気ヘッドにあって
は、脆性材料からなる構造物を磁性材料の他に樹脂も露
出している摺動面にも形成することが可能になる。
【0021】また、本発明に係る磁気ヘッドにあって
は、脆性材料からなる薄膜を非化学量論組成にすること
で体積固有抵抗値がコントロールされたものを含む。斯
かる構成とすることで、磁気ヘッドに要求される特有の
電気的特性を得ることができる。具体的には、脆性材料
からなる構造物が酸化物の場合には、体積固有抵抗値は
109〜1011Ω・cmであることが好ましく、窒化物
の場合には、体積固有抵抗値は10-5〜10-3Ω・cm
であることが好ましい。
【0022】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、
磁気ヘッドの摺動部表面に脆性材料微粒子を高速で衝突
させ、この衝撃によって前記脆性材料微粒子と前記摺動
部とを接合せしめるとともに脆性材料微粒子を変形また
は破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面
を介して微粒子同士を再結合せしめ、脆性材料からなる
薄膜を摺動部表面に形成する。なお、脆性材料微粒子を
高速で衝突させる雰囲気を非酸化性雰囲気若しくは還元
性雰囲気とすることで、形成される構造物の組成を非化
学量論組成とすることができる。
【0023】
【発明の実施の態様】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。 (実施例1)図1に磁気ヘッドの製膜に用いた作製装置
1の装置図を示す。作製装置1は窒素ガスボンベ101
がガス搬送管102を介してエアロゾル発生器103に
接続され、その下流側にエアロゾル搬送管104を介し
て製膜室105内に設置されたノズル106に連結され
ている。ノズル106の開口の先には磁気ヘッド107
が多数固定されたホルダー108がXYステージ109
に設置されて配置される。製膜室105は真空ポンプ1
10に接続されている。エアロゾル発生器103には、
酸化アルミニウム粉体を内蔵している。
【0024】以上の構成からなる作製装置1の作用を次
に述べる。窒素ガスボンベ101より搬送管102を通
じて酸化アルミニウム粉体を充填したエアロゾル発生器
103内に窒素ガスを導入し、エアロゾル発生器103
を作動させて酸化アルミニウム微粒子を含むエアロゾル
を発生させる。エアロゾル発生器は微粒子の凝集を解砕
する機能と、製膜に寄与しない粗大な粒径の凝集粒を除
外する分級機能を持っている。エアロゾルはガス圧力お
よび真空ポンプ110を稼働させる引圧により加速され
つつ搬送管104を通じて搬送され、ノズル106より
一定速度で微粒子ビームが噴出される。ノズル106の
先には被製膜物である磁気ヘッド107が設置され、X
Yステージ109によって揺動されつつ、必要部位に膜
厚1μmの酸化アルミニウム膜が製膜される。
【0025】ひとつの磁気ヘッドへの製膜が終了したな
らば、すみやかにXYステージ109の稼動により次の
磁気ヘッドを製膜位置へ移動させ、順次製膜が行われ
る。以上のような工程を踏むことにより、ホルダー10
6に設置された磁気ヘッド群のすべてに酸化アルミニウ
ムの膜が製膜される。
【0026】この操作で得られた酸化アルミニウムの体
積固有抵抗値は1010〜1011Ω・cmの値を示した。
このようにして作製された酸化アルミニウムコート磁気
ヘッド20の断面拡大模式図を図2に示す。磁気ヘッド
200は、パーマロイ201とエポキシ樹脂202、セ
ンダスト203の接着された構成物からなる表面を持っ
ている。この表面上に酸化アルミニウム構造物(厚膜)
204が全面を覆うように被覆されている。この酸化ア
ルミニウム構造物204と磁気ヘッド200との境界部
には酸化アルミニウムが磁気ヘッド表面に食い込んで形
成されるアンカー層205が観察された。
【0027】酸化アルミニウムは通常1014Ω・cm程
度以上の体積固有抵抗値を示すから、上記の値は純粋な
酸化アルミニウムとしては著しく低い値であるといえ
る。これはこの形成方法において、窒素ガスやヘリウム
ガスなどを使用して形成環境を非酸化性あるいは還元性
条件下にし、製膜室105内の圧力をこの雰囲気で大気
圧以下に保つことにより達成されている。この特異な電
気的特性は、このような環境下での酸化アルミニウム膜
の形成において、形成途中に酸化アルミニウム中の酸素
原子が脱落した非化学量論組成の構造物として得られる
ことによる電子伝導性の変化のためと思われる。従って
この方法による表面コートは比較的絶縁性の低下した酸
化アルミニウムコートが達成できるため、摺動時の摩擦
によって電荷が表面コート層に発生しても、これをより
はやく拡散させて、静電気が帯びることを防ぐことがで
き、好適である。
【0028】このようにして酸化アルミニウム膜を形成
した磁気ヘッド(コート有り)となにも表面コートして
いない磁気ヘッド(コート無し)に対して、実際に紙送
り試験を施し、摺動部に紙を擦過させて表面の摩耗具合
を調べた結果を図8に示す。コート無しでは、600万
回の擦過により15μmの摩耗が起こった一方、コート
有りでは、全く摩耗は測定されず、読みとり精度も初期
値を維持していた。従って、この耐摩耗コートに著しい
効果があることが明確となった。
【0029】また例えばこの製膜操作の後、装置を一時
停止後、エアロゾル発生器103内の粉体を、体積固有
抵抗値が10―5Ω・cm程度である窒化チタンに変更
し、再び同様の工程を行い、磁気ヘッド群のすべてに酸
化アルミニウム膜を覆うようにして窒化チタン膜を膜厚
1μmで被覆させるようなことができる。この工程を踏
むことにより、磁気ヘッド107の読みとり部の表面
に、酸化アルミニウム膜と窒化チタン膜を計2μmの厚
みで形成させた耐摩耗性磁気ヘッドを作製する。
【0030】このようにして作製された酸化アルミニウ
ム窒化チタンコート磁気ヘッド21の断面拡大模式図を
図3に示す。磁気ヘッド200は、パーマロイ201と
エポキシ樹脂202、センダスト203の接着された構
成物からなる表面を持っている。この表面上に酸化アル
ミニウム構造物(厚膜)204が全面を覆うように被覆
され、この酸化アルミニウム構造物204と磁気ヘッド
200との境界部にはアンカー層205が観察され、さ
らに酸化アルミニウム構造物204を覆うように窒化チ
タン構造物(厚膜)211が被覆されている。
【0031】この耐摩耗性磁気ヘッドは、ビッカース硬
度でHv=1500程度を示す素材である酸化アルミニ
ウムの膜と、同じくHv=1900程度を示す素材であ
る窒化チタンの膜に覆われているために、耐摩耗性は非
常に優れており、また良好な導電性を持つ窒化チタンが
再表面にコートされているため、摩擦によって表面が帯
電することがなく、従って表面に埃などが付着すること
のよる弊害がない。
【0032】セラミック膜の導電性の程度が、磁気ヘッ
ドの読み取り精度に影響を与えないものであるならば、
セラミック膜はその物質を用いた一層でも良い。またこ
の方法は、図2、図3に示すように、金属と樹脂が接し
てなる複合構成物の表面を横断的に脆性材料であるセラ
ミックスを直接被覆することができる点で優位点があ
る。これは、この手法が常温で操作できるためであり、
基板の材質をあまり選ばない特徴を持つためでもある。
しかしながら、材質の違いにより最適な製膜条件が異な
る場合がある。磁気ヘッドでは通常センダスト、パーマ
ロイ、真鍮、フェライト、エポキシ樹脂などの多種の材
質の複合からなる。従って、これら材質へ製膜する時に
ガス流量を変化させ、微粒子の速度をそれぞれの材質へ
の製膜性における最適値に制御して、XYステージと連
動させることにより、良好な膜を形成させることが好適
である。
【0033】また、本発明者らは同じ粒径の脆性材料を
用いた場合でも、形成される構造物の形成速度、達成膜
厚に相違があり、これは粒子の内部歪に起因するとの結
論を得た。そこで、内部歪と同一の形成時間で達成され
た構造物の膜厚の関係について実験した結果を図4に示
す。実験は、純度99.6%の酸化アルミニウム微粒子
に遊星ミルを用いて粉砕処理を行い、微粒子のキャラク
タリゼーションを変化させた後、超微粒子ビーム堆積法
によりアルミニウム基板上に構造物を形成した。微粒子
の内部歪はX線回折により測定し、歪量は同微粒子に熱
エージングを施して内部歪を除去したものを0%として
基準にした。また、図4中のポイントA,B,Cにおけ
る微粒子のSEM写真(日立製インレンズSEM S−
5000)を図5、図6及び図7に示す。
【0034】図4から内部歪は、膜厚1μmレベルの製
膜を実現するためには、0.01〜2.5%であればよ
く、さらに、安定した膜厚及び製膜速度で製膜するため
には、0.25%〜2.0%の内部歪が好ましいことが分
かる。クラックと内部歪との関係は、内部歪がない場合
には図5に示すようにクラックは発生しないが、内部歪
が一定値以上、本件の場合には2.0%以上となると完
全にクラックが形成されてしまい、さらには脱落した断
片が表面に付着して図7に示すような再凝集状態となっ
てしまう。このように微粒子に歪を与える粉砕処理は、
微粒子にかかる粉砕のための衝撃を大きく与えることの
できる粉砕手段を用いるのが好ましい。微粒子に比較的
一様に大きな歪を付与することができるからである。こ
のような粉砕手段としては、セラミックスの粉砕処理に
よく用いられるボールミルに比べて大きな重力加速度を
与えることの出来る振動ミルやアトライタ、遊星ミルを
用いるのが好ましく、とりわけボールミルに比べて格段
に大きな重力加速度を与えることの出来る遊星ミルを用
いることが最も好ましい。微粒子の状態に着目すれば、
クラックは内部歪をキャンセルするものであるので、最
も好ましいのは、クラックが生じる直前まで内部歪が高
まっている微粒子ということになる。図6に示す状態は
若干のクラックが生じているが、十分に内部歪が残され
ている。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように本発明の磁気ヘッ
ドは、摺動部表面にパーマロイまたはセンダストよりも
硬度が大きく、耐摩耗性に優れ、且つ剥離しにくい膜を
得ることができ、更に摺動面表面の帯電が除去され埃な
どの付着を低減できる磁気ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気ヘッドの表面に脆性材料微粒子を噴出する
装置の概略構成を示す図
【図2】本発明に係る脆性材料からなる薄膜が形成され
た磁気ヘッドの読み取り部の拡大断面図
【図3】別実施例を示す図2と同様の図
【図4】脆性材料微粒子の内部歪と膜厚との関係を示す
グラフ
【図5】図4のポイントAにおける微粒子のSEM写真
【図6】図4のポイントBにおける微粒子のSEM写真
【図7】図4のポイントCにおける微粒子のSEM写真
【図8】パス回数と磨耗量との関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 明渡 純 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人 産業技術総合研究所 つくばセンター 内 (72)発明者 鳩野 広典 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 清原 正勝 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 横山 達郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 伊藤 朋和 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 吉田 篤史 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 右田 実雄 高知県香美郡香我美町下分684番地1 株 式会社ミネルバ内 (72)発明者 楠木 孝章 高知県香美郡香我美町下分684番地1 株 式会社ミネルバ内 Fターム(参考) 5D111 AA13 FF15 FF23 GG09 GG14 JJ03 KK06 KK07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料が露出する磁気ヘッドの摺動部
    表面に、脆性材料からなる構造物が形成され、この構造
    物は酸化物からなり、その体積固有抵抗値は109〜1
    11Ω・cmであり、パーマロイまたはセンダストより
    も硬度が大きく、多結晶で、結晶同士の界面にはガラス
    層からなる粒界層が実質的に存在せず、且つ構造物の一
    部は前記摺動部表面に食い込むアンカー層となっている
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 磁性材料が露出する磁気ヘッドの摺動部
    表面に、脆性材料からなる構造物が形成され、この構造
    物は窒化物、炭化物、硼化物の群から選ばれる少なくと
    も1種からなり、その体積固有抵抗値は10-6〜10-3
    Ω・cmであり、パーマロイまたはセンダストよりも硬
    度が大きく、多結晶で、結晶同士の界面にはガラス層か
    らなる粒界層が実質的に存在せず、且つ構造物の一部は
    前記摺動部表面に食い込むアンカー層となっていること
    を特徴とする磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の磁気ヘッドにお
    いて、前記脆性材料からなる構造物は、非化学量論組成
    にすることで体積固有抵抗値がコントロールされたもの
    であることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の磁気ヘッドにおい
    て、前記磁性材料が露出する磁気ヘッドの摺動部表面に
    は、前記構造物を形成する脆性材料とは異なる脆性材料
    からなる層が形成されており、その上に上記構造物が形
    成されている多層構造になっていることを特徴とする磁
    気ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の磁気ヘッドにおい
    て、前記磁気ヘッドの摺動部表面には磁性材料の他に樹
    脂も露出していることを特徴とする磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 非酸化性雰囲気若しくは還元性雰囲気に
    て、磁気ヘッドの摺動部表面に脆性材料微粒子を高速で
    衝突させ、この衝撃によって前記脆性材料微粒子と前記
    摺動部とを接合せしめるとともに脆性材料微粒子を変形
    または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新
    生面を介して微粒子同士を再結合せしめ、脆性材料から
    なる構造物を摺動部表面に形成することを特徴とする磁
    気ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の磁気ヘッドの製造方法
    において、前記脆性材料微粒子はあらかじめ内部歪が印
    加されていることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
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WO2006090571A1 (ja) * 2005-02-22 2006-08-31 Konica Minolta Opto, Inc. 発光ダイオードとその製造方法
WO2011128143A1 (en) * 2010-04-16 2011-10-20 International Business Machines Corporation Magnetic head comprising a crystalline alumina layer

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