JP2002235181A - 複合構造物及びその製造方法並びに作製装置 - Google Patents

複合構造物及びその製造方法並びに作製装置

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JP2002235181A
JP2002235181A JP2002002663A JP2002002663A JP2002235181A JP 2002235181 A JP2002235181 A JP 2002235181A JP 2002002663 A JP2002002663 A JP 2002002663A JP 2002002663 A JP2002002663 A JP 2002002663A JP 2002235181 A JP2002235181 A JP 2002235181A
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brittle material
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aerosol
particles
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JP2002002663A
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Jun Aketo
純 明渡
Tomokazu Ito
朋和 伊藤
Tatsuro Yokoyama
達郎 横山
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Hironori Hatono
広典 鳩野
Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Yuji Aso
雄二 麻生
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Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Toto Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、耐薬品
性、電気的絶縁性などの機能を持ち、しかも結晶配向を
持つことがなく緻密質である複合構造物及びその製造方
法並びに作製装置を提供する。 【解決手段】 予め内部歪を有するセラミックスや半金
属などの脆性材料の微粒子を、基材に向けて高速で噴射
し衝突させることで、脆性材料微粒子を変形または破砕
せしめる。この変形または破砕により極めて活性に富む
新生面が新たに形成され、この新生面を介して結晶が互
いに再結合し、緻密で剥離強度に優れた複合構造物が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面にセラミ
ックスや半金属などの脆性材料からなる構造物を形成し
た複合構造物および複合構造物の作製方法並びに複合構
造物の作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にセラミックス焼結体を形成させ
る場合は、セラミックス粒子同士の接合を容易にする為
に焼結助剤を添加して粒子同士の界面付近で液相を形成
させる液相焼結が行われる。
【0003】一般的な焼結助剤を用いた液相焼結では、
粒界付近に焼結助剤を含むガラス相が形成され、得られ
るセラミックスの純度が上がらず、緻密体を形成するこ
とも難しい。
【0004】また、焼結助剤を用いて焼成させる場合
は、粒子同士の界面に特定の元素が偏析を起こし、所望
の特性の達成を阻害する原因ともなっていた。
【0005】一方、焼結助剤を用いないで高密度の焼結
体を形成する方法としてホットプレス法が知られ、ま
た、基材表面に金属やセラミックスなどの被膜を形成す
る方法として、PVDやCVDなどの蒸着法或いは溶射
法若しくはゾルゲル法が知られている。
【0006】セラミックス粒子の微粒化、焼結温度の高
温化、ホットプレス法などのような加圧環境下での焼
成、焼結助剤の排除などの工夫で高純度かつ緻密質のセ
ラミックスの形成が可能となっている。しかしながら、
これらを含めて、焼成をさせることはすなわち原子の拡
散によって粒子同士の接合を行なうということであり、
原料粉が微粒であっても加熱中に粒成長を起こし、形成
物を微細な結晶のまま止めておくことは不可能である。
すなわち焼成では、ナノメートルレベルの結晶粒からな
る多結晶体を形成させることは困難である。
【0007】また、PVDやCVDなどの蒸着法では、
原子の堆積によって構造物を形成させるというその手法
の特徴から、結晶成長エネルギーの低い結晶面から優先
的に成長する為、配向性を持ったり、基板から柱状に結
晶が形成されるなどの特徴的な構造を持ち、無秩序な結
晶配向の粒状多結晶体を形成させることは困難である。
【0008】また、溶射法においては、原料粉体の微粒
化、プロセスの高温化、減圧環境などの工夫で形成物の
緻密化などが達成されつつあるが、原料粉体の表面層を
溶融させて基板に衝突させ粉体の粒子同士を接合させる
という特徴から、形成物の結晶の形は偏平粒子の層状堆
積であり、あるいは形成物中に未溶融粒子が混在すると
いう問題がある。またナノメートルレベルの結晶粒から
なる多結晶体の形成は困難である。更に、プロセスとい
う観点からは、上記いずれの手法も数百から1万℃の高
温環境を必要とし、エネルギー投入量が大きいという問
題もある。
【0009】更に、ゾルゲル法によるセラミックス膜の
作製においては、比較的結晶子の小さな膜が低温で作製
できる技術が開発されている。しかしながら、一般的に
一回の製膜工程で達成される膜厚は数nmから数百nm
レベルであり、厚膜を形成させようとする場合はこの工
程を繰り返す必要がある。この際実質的には下地膜を強
固にする為に加熱処理を施す必要があり下地層の粒成長
が起こる。粒成長を起こさない低温での製膜では緻密度
が大きくならない問題がある。また多数回の製膜工程を
経ると膜にクラックが発生するという問題が解決できて
いない。更にこのゾルゲル法あるいは溶液中析出法など
の微細組織のセラミックス膜作製方法は湿式が多く、膜
中に溶液中の他の溶質や溶媒が混入して膜特性の劣化や
組成のずれなどが生じる問題が避けられない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題を解決する
ために、最近では新たな被膜形成方法として、ガスデポ
ジション法(加集誠一郎:金属 1989年1月号)や
静電微粒子コーティング法(井川 他:昭和52年度精
密機械学会秋季大会学術講演会前刷)が開発されてい
る。
【0011】前者は金属やセラミックス等の超微粒子を
ガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加
速せしめ、基材に衝突した際に運動エネルギーの一部が
熱エネルギーに変換され、微粒子間あるいは微粒子と基
材との間を焼結することを基本原理としており、後者は
微粒子を帯電させ電場勾配を用いて加速せしめ、この後
はガスデポジション法と同様に衝突の際に発生する熱エ
ネルギーを利用して焼結することを基本原理としてい
る。
【0012】上記のガスデポジション法あるいは静電微
粒子コーティング法を改良した先行技術として、特開平
8−081774号公報、特開平10−202171号
公報、特開平11−21677号公報及び特開2000
−212766号公報に開示されるものが知られてい
る。
【0013】特開平8−081774号公報に開示され
ている技術は、融点の異なる2種類の金属または有機物
を、抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、ス
パッタリング、アークプラズマ等で加熱蒸発させ、この
加熱蒸発により粒子径が0.1μm以下の表面が非常に
活性な超微粒子とし、この超微粒子を融点の異なる金属
ごとにノズルを用い、3次元立体形状の断面CADデー
タに基づいて基板に吹き付け、これを繰り返すことで融
点の異なる2種類の金属からなる3次元立体形状物を形
成し、この後、2種類の金属の融点の中間温度で3次元
立体形状物を加熱することで低融点金属部分を溶融除去
し、高融点金属部分のみを残すようにしている。
【0014】特開平10−202171号公報に開示さ
れている技術は、前記した抵抗線加熱、電子ビーム加
熱、高周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ
等で加熱蒸発することで得た超微粒子を基板に向けて噴
射するにあたり、マスクの開口を通して行うことで、肩
だれのない3次元立体形状物を得るようにしている。
【0015】特開平11−21677号公報に開示され
る技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送す
る際あるいは金属やセラミックスを加熱蒸発させる際
に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止
するために、中間の経路に分級装置を配置するようにし
ている。
【0016】特開2000−212766号公報に開示
されている技術は、粒径が10nm〜5μmの超微粒子
(前記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものではな
い)に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは
低温プラズマなどを照射することにより、超微粒子を溶
融せしめることなく活性化し、この状態のまま基板に3
m/sec〜300m/secの速度で吹き付けることで、超
微粒子相互の結合を促進して構造物を形成するようにし
たものである。
【0017】しかしながら、特開平8−81774号公
報、特開平10−202171号公報および特開平11
−21677号公報に開示される方法にあっては、超微
粒子を得るための加熱手段(抵抗線加熱、電子ビーム加
熱、高周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ
等)が必要となる。また基本原理が衝突の際に運動エネ
ルギーを熱エネルギーに変換して焼結させるというもの
であり、基板上に形成される構造物の粒子径は粒成長に
より、原料の超微粒子よりも大きくなってしまうという
問題がある。
【0018】本発明者らは特開2000−212766
号公報に開示される技術について引き続き追試を行って
きた。その結果、金属(延展性材料)とセラミックスや
半金属などの脆性材料とでは異なる挙動を示すことが判
明した。
【0019】即ち、脆性材料にあっては、イオンビー
ム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを
照射することなく、つまり特別な活性化手段を用いるこ
となく構造物を形成できることができた。しかしなが
ら、同公報に記載された条件である微粒子の粒径を10
nm〜5μm、衝突速度を3m/sec〜300m/secと
しただけでは構造物の剥離強度が不足していたり、或い
は部分的に剥離しやすかったり、密度も不均一となるな
ど新たな問題が生じた。
【0020】本発明は、上記の問題を背景になされたも
のであり、高硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐食性、耐薬品
性、電気的絶縁性などの機能を持ち、金属材料などの基
板上に形成されるセラミックスの膜を作成することのみ
ならず、それ単体でも利用でき、しかも結晶配向を持つ
ことがなく緻密質である複合構造物及びその製造方法並
びに作製装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における請求項1では、基材表面にセラミッ
クスや半金属などの脆性材料からなる構造物が形成され
た複合構造物であって、前記構造物は多結晶であり、前
記構造物を構成する結晶は実質的に結晶配向性がなく、
また前記結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が
実質的に存在せず、さらに前記構造物の一部は基材表面
に食い込むアンカー部となっているとする構成とした。
【0022】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物を構成する結晶は熱による粒成長を伴
っていない。
【0023】請求項3の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物は、平均結晶子径が500nm以下で
緻密度が70%以上である。
【0024】請求項4の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物は、平均結晶子径が100nm以下で
緻密度が95%以上である。
【0025】請求項5の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物は、平均結晶子径が50nm以下で緻
密度が99%以上である。
【0026】請求項6の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物を構成する結晶は、アスペクト比が
2.0以下である。
【0027】請求項7の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物を構成する結晶の界面に、結晶を構成
する主要な元素以外の元素が偏析していない。
【0028】請求項8の発明では、請求項1の発明にお
いて、前記構造物を構成する結晶界面近傍には、非化学
量論的欠損部を有する。
【0029】請求項9の発明では、請求項8の発明にお
いて、前記結晶は金属酸化物であり、かつ前記非化学量
論的欠損部は酸素欠損に基づいて非化学量論性を呈す
る。
【0030】請求項10の発明では、請求項1乃至請求
項9のいずれか1項の発明において、前記基材はガラ
ス、金属、セラミックスあるいは有機化合物である。
【0031】請求項11の発明では、脆性材料微粒子に
内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与
された脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させ、こ
の衝突の衝撃によって前記脆性材料微粒子を変形または
破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を
介して微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境
界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料か
らなるアンカー部を形成し、引き続いてこのアンカー部
の上に多結晶脆性材料からなる構造物を形成する構成と
した。
【0032】請求項12の発明では、脆性材料微粒子に
内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与
された脆性材料微粒子を基材表面に盛り付け、この脆性
材料微粒子に機械的衝撃力を付加し、その衝撃により前
記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または
破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結
合せしめることで、基材との境界部にその一部が基材表
面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部と、こ
のアンカー部の上に同じく多結晶脆性材料からなる構造
物とを同時に形成する構成とした。
【0033】請求項13の発明では、請求項11又は請
求項12の発明において、前記脆性材料微粒子に内部歪
を印加する工程は、再凝集を生じない程度に前記微粒子
に衝撃を与える工程とした。
【0034】請求項14の発明では、請求項11又は請
求項12の発明において、前記内部歪を印加する工程に
よって付与される内部歪を0.25%〜2.0%の範囲と
した。
【0035】請求項15の発明では、請求項11の発明
において、前記内部歪を印加する工程を行った後の脆性
材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基材
に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50〜45
0m/sである。
【0036】請求項16の発明では、請求項11の発明
において、前記内部歪を印加する工程を行った後の脆性
材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基材
に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が150〜4
00m/sである。
【0037】請求項17の発明では、請求項11乃至請
求項16のいずれか1項の発明において、この作製方法
は室温で行なう。
【0038】請求項18の発明では、請求項11又は請
求項12の発明において、前記多結晶脆性材料からなる
構造物を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の温度
で加熱処理して結晶の組織制御を行う。
【0039】請求項19の発明では、請求項11又は請
求項12の発明において、この作製方法は減圧下で行な
う。
【0040】請求項20の発明では、請求項11、請求
項15又は請求項16の発明において、前記基材表面に
脆性材料微粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材料微
粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基板材
料に向けて噴射することとした。
【0041】請求項21の発明では、請求項20の発明
において、前記ガスの種類および/または分圧を制御し
て、前記脆性材料からなる構造物を構成する化合物の元
素の欠損量を制御する。
【0042】請求項22の発明では、請求項20の発明
において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性
材料からなる構造物中の酸素濃度を制御する。
【0043】請求項23の発明では、請求項20の発明
において、前記脆性材料微粒子に酸化物を用い、前記ガ
ス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる構造
物中の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層を形成さ
せる。
【0044】請求項24の発明では、請求項20の発明
において、前記ガスの種類および/または分圧を制御し
て、前記脆性材料からなる構造物の電気的特性・機械的
特性・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御す
る。
【0045】請求項25の発明では、請求項20の発明
において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性
材料からなる構造物の電気的特性・機械的特性・化学的
特性・光学的特性・磁気的特性を制御する。
【0046】請求項26の発明では、基材表面に構造物
を形成するための脆性材料微粒子であって、この微粒子
は基材との衝突若しくは機械的な衝撃が付与されること
で変形若しくは破砕して活性な新生面を生成するに必要
な内部歪が付与されている。
【0047】請求項27の発明では、請求項26の発明
において、この微粒子の内部歪は0.25%〜2.0%で
ある。
【0048】請求項28の発明では、請求項26の発明
において、この微粒子の平均粒径は0.1〜5μmであ
る。
【0049】請求項29の発明では、脆性材料微粒子に
内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与
された脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させ、こ
の衝突の衝撃によって前記脆性材料微粒子を変形または
破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を
介して微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境
界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料か
らなるアンカー部を形成し、引き続いてこのアンカー部
の上に多結晶脆性材料からなる構造物を形成することで
得られた。
【0050】請求項30の発明では、脆性材料微粒子に
内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与
された脆性材料微粒子を基材表面に盛り付け、この脆性
材料微粒子に機械的衝撃力を付加し、その衝撃により前
記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または
破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結
合せしめることで、基材との境界部にその一部が基材表
面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部と、こ
のアンカー部の上に同じく多結晶脆性材料からなる構造
物とを同時に形成することで得られた。
【0051】請求項31の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、前記脆性材料微粒子に内部歪
を印加する工程は、再凝集を生じない程度に前記微粒子
に衝撃を与える工程である。
【0052】請求項32の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、前記内部歪を印加する工程に
よって付与される内部歪を0.25%〜2.0%の範囲と
することで得られた。
【0053】請求項33の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、前記内部歪を印加する工程を
行った後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μ
mであり、前記基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子
の速度が50〜450m/sである。
【0054】請求項34の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、前記内部歪を印加する工程を
行った後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μ
mであり、前記基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子
の速度が150〜400m/sである。
【0055】請求項35の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、この複合構造物は室温で作製
される。
【0056】請求項36の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、前記多結晶脆性材料からなる
構造物を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の温度
で加熱処理して結晶の組織制御を行う。
【0057】請求項37の発明では、請求項29又は請
求項30の発明において、この複合構造物は減圧下で作
製される。
【0058】請求項38の発明では、請求項29、請求
項33又は請求項34の発明において、前記基材表面に
脆性材料微粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材料微
粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基板材
料に向けて噴射することとした。
【0059】請求項39の発明では、請求項38の発明
において、前記ガスの種類および/または分圧を制御し
て、前記脆性材料からなる構造物を構成する化合物の元
素の欠損量を制御して得られる。
【0060】請求項40の発明では、請求項38の発明
において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性
材料からなる構造物中の酸素濃度を制御して得られる。
【0061】請求項41の発明では、請求項38の発明
において、前記脆性材料微粒子に酸化物を用い、前記ガ
ス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる構造
物中の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層を形成さ
せて得られる。
【0062】請求項42の発明では、請求項38の発明
において、前記ガスの種類および/または分圧を制御し
て、前記脆性材料からなる構造物の電気的特性・機械的
特性・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御して
得られる。
【0063】請求項43の発明では、請求項38の発明
において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性
材料からなる構造物の電気的特性・機械的特性・化学的
特性・光学的特性・磁気的特性を制御して得られる。
【0064】請求項44の発明では、脆性材料微粒子を
ガス中に分散させて発生させたエアロゾルを基板に高速
で噴射・衝突させて脆性材料の構造物を作製する複合構
造物作製装置において、前記エアロゾルを発生させるエ
アロゾル発生器と、エアロゾルを噴射するノズルと、エ
アロゾル中の脆性材料微粒子を分級する分級器とを備え
た。
【0065】請求項45の発明では、脆性材料微粒子を
ガス中に分散させて発生させたエアロゾルを基板に高速
で噴射・衝突させて脆性材料微粒子の構造物を作製する
複合構造物作製装置において、前記エアロゾルを発生さ
せるエアロゾル発生器と、エアロゾルを噴射するノズル
と、エアロゾル中の脆性材料微粒子の凝集を解砕する解
砕器とを備えた。
【0066】請求項46の発明では、脆性材料微粒子を
ガス中に分散させて発生させたエアロゾルを基板に高速
で噴射・衝突させて脆性材料微粒子の構造物を作製する
複合構造物作製装置において、前記エアロゾルを発生さ
せるエアロゾル発生器と、エアロゾルを噴射するノズル
と、エアロゾル中の脆性材料微粒子の凝集を解砕する解
砕器と、エアロゾル中の脆性材料微粒子を分級する分級
器とを備えた。
【0067】請求項47の発明では、請求項44乃至4
6のいずれか1項の発明において、この複合構造物作製
装置には、脆性材料微粒子に内部歪を付与する前処理装
置が付設される。
【0068】請求項48の発明では、請求項44乃至4
7のいずれか1項の発明において、この複合構造物作製
装置は、脆性材料微粒子に内部歪を印加するための衝撃
付与手段を備えている。
【0069】請求項49の発明では、請求項44乃至4
8のいずれか1項の発明において、前記基板と前記ノズ
ルとの相対位置を制御する位置制御手段を備えた。
【0070】請求項50の発明では、請求項49の発明
において、前記位置制御手段が、前記ノズルを先端に備
えた屈曲自在な可動アームである。
【0071】請求項51の発明では、請求項44乃至5
0のいずれか1項の発明において、前記エアロゾル発生
器が、前記脆性材料微粒子を収容する容器及び、この容
器に機械的振動作用を与える振動装置、電界を付与する
電界発生装置の少なくとも何れかを備え、前記容器は前
記ガスを導入する導入部と、前記エアロゾルを導出する
導出部とを有する。
【0072】請求項52の発明では、請求項51の発明
において、前記分級器が前記エアロゾル発生器の前記導
出部である。
【0073】請求項53の発明では、請求項51の発明
において、前記器に篩を設けると共に、容器に機械的振
動作用を与える振動装置を備えた。
【0074】請求項54の発明では、請求項49乃至5
1のいずれか1項、又は請求項53の発明において、前
記解砕器が、前記エアロゾルを夫々導入、導出する導入
部及び導出部と、前記エアロゾルを衝突させる衝撃板と
を備え、前記脆性材料微粒子の構造物を作成する速度よ
りも低速でエアロゾルを衝撃板に衝突させて、粗大な凝
集状態にある超微粒子を解砕する。
【0075】請求項55の発明では、請求項50の発明
において、前記解砕器が複数の導入部を備え、この導入
部から噴射される複数のエアロゾル流を互いに衝突させ
て解砕する。
【0076】請求項56の発明では、請求項46乃至5
0のいずれか1項、又は請求項54、若しくは請求項5
5の発明において、前記解砕器は、前記エアロゾルに超
音波及び/又はマイクロ波を照射するものである。
【0077】上記の発明は以下の知見に基づいてなされ
たものである。セラミックスは自由電子をほとんど持た
ない共有結合性あるいはイオン結合性が強い原子結合状
態にある。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱い。シリコン
やゲルマニウムのような半金属も、延展性を持たない脆
性材料である。
【0078】従って、これらの脆性材料に機械的衝撃力
を付加した場合、例えば結晶子同士の界面などの壁開面
に沿って結晶格子のずれを生じたり、あるいは破砕され
たりなどする。これらの現象が起こると、ずれ面や破面
にはもともと内部に存在し、別の原子と結合していた原
子が剥き出しの状態となり、すなわち新生面が形成され
る。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定した
原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状態
に晒される。すなわち表面エネルギーが高い状態とな
る。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接し
た脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状
態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加
は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕
などの繰り返しにより接合の進展、それによって形成さ
れた構造物の緻密化が行われる。このようにして、脆性
材料の構造物が形成される。
【0079】上記の知見に基づいて作製された本発明に
係る脆性材料の構造物の微視的な構造は従来の製法で得
られたものと明らかに異なっている。即ち、本発明に係
る複合構造物は、基材表面にセラミックスや半金属など
の脆性材料からなる構造物が形成されたものであって、
前記構造物は多結晶であり、前記構造物を構成する結晶
は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面
にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在せず、更に
前記構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー部とな
っている。
【0080】ここで、本発明を理解する上で重要となる
語句の解釈を以下に行う。 (多結晶)本件では結晶子が接合・集積してなる構造体
を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しそ
の径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕さ
れずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じ
るが、実質的には多結晶である。
【0081】(結晶配向性)本件では多結晶である構造
物中での結晶軸の配向具合を指し、配向性があるかない
かは、一般には実質的に配向性のないと考えられる粉末
X線回折などによって標準データとされたJCPDS
(ASTM)データを指標として判断する。本件では後
述する実施例12に示すような見方において、主要なピ
ークのずれが30%以内に収まっている場合を実質的に
配向性がないと称する。
【0082】(界面)本件では結晶子同士の境界を構成
する領域を指す。
【0083】(粒界層)界面あるいは焼結体でいう粒界
に位置するある厚み(通常数nm〜数μm)を持つ層
で、通常結晶粒内の結晶構造とは異なるアモルファス構
造をとり、また場合によっては不純物の偏析を伴う。
【0084】(アンカー部)本件の場合には、基材と構
造物の界面に形成された凹凸を指し、特に、予め基材に
凹凸を形成させるのではなく、構造物形成時に、元の基
材の表面精度を変化させて形成される凹凸のことを指
す。
【0085】(平均結晶子径)X線回折法におけるSche
rrerの方法によって算出される結晶子のサイズであり、
本件ではマックサイエンス社製MXP−18を使用して
測定・算出した。
【0086】(非化学量論的欠損)構造物を構成する結
晶の化合物組成に対して、一種類あるいは複数種の元素
が欠損することによりこの組成比にずれが生じた状態を
いう。本件では、この非化学量論的欠損部の存在は電気
抵抗率などの代用特性を用いて知ることができる。
【0087】(内部歪)微粒子に含まれる格子歪のこと
で、X線回折測定におけるHall法を用いて算出される値
であり、微粒子を十分にアニールした標準物質を基準と
して、そのずれを百分率表示する。
【0088】(再凝集)微粒子の粉砕中に微粒子の一次
粒子の表面から破砕・脱落した微細な断片が(必ずしも
同一でない)一次粒子表面に付着・結合して表面層を形
成した状態を指す。
【0089】従来の焼結によって形成される脆性材料か
らなる構造物は、結晶が熱による粒成長を伴っており、
特に焼結助剤を用いた場合には粒界層としてガラス層が
生じる。
【0090】また、本発明に係る複合構造物は、原料微
粒子の変形または破砕を伴うため、原料微粒子よりも構
造物の構成粒子の方が小さくなっている。例えば、レー
ザ回折法やレーザ散乱法で計測される微粒子の平均粒径
を0.1〜5μmとすることで、形成される構造物の平
均結晶子径は100nm以下となるような場合が多く、
このような微細結晶子からなる多結晶体をその組織とし
て持つ。その結果、平均結晶子径が500nm以下で緻
密度が70%以上、または平均結晶子径が100nm以
下で緻密度が95%以上、または平均結晶子径が50n
m以下で緻密度が99%以上の緻密な複合構造物とする
ことができる。
【0091】ここで、緻密度(%)は、文献値、理論計
算値による真比重と、構造物の重量および体積値から求
めた嵩比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式
から算出される。
【0092】また、本発明に係る複合構造物の特徴は、
衝突などの機械的衝撃による変形または破砕を伴うた
め、結晶の形状として扁平なもの或いは細長いものは存
在しにくく、その結晶子形状はおおよそ粒状と見て良
く、アスペクト比はおおよそ2.0以下となる。また微
粒子が破砕した断片粒子の再接合部であるため、結晶配
向を持つことはなく、ほとんど緻密質であるため、硬
さ、耐摩耗性、耐食性などの機械的・化学的特性に優れ
る。
【0093】また本発明にあっては、原料微粒子の破砕
から再接合までが瞬時に行われるため、接合時に微細断
片粒子の表面付近で原子の拡散はほとんど行われない。
従って、構造物の結晶子同士の界面の原子配列に乱れが
なく溶解層である粒界層(ガラス層)は殆ど形成され
ず、形成されても1nm以下である。そのため、耐食性
などの化学的特性に優れる特徴を示す。
【0094】また、本発明に係る複合構造物には、前記
構造物を構成する結晶界面近傍に、非化学量論的欠損部
(例えば酸素が欠損)を有するものを含む。
【0095】また、本発明に係る複合構造物を構成する
基材としては、ガラス、金属、セラミックス、半金属あ
るいは有機化合物などが挙げられ、脆性材料としては酸
化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
鉄、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化クロ
ム、酸化ハフニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウ
ム、酸化珪素などの酸化物、ダイヤモンド、炭化硼素、
炭化珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジ
ウム、炭化ニオブ、炭化クロム、炭化タングステン、炭
化モリブデン、炭化タンタルなどの炭化物、窒化硼素、
窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ニオ
ブ、窒化タンタルなどの窒化物、硼素、硼化アルミニウ
ム、硼化珪素、硼化チタン、硼化ジルコニウム、硼化バ
ナジウム、硼化ニオブ、硼化タンタル、硼化クロム、硼
化モリブデン、硼化タングステンなどの硼化物、あるい
はこれらの混合物や多元系の固溶体、チタン酸バリウ
ム、チタン酸鉛、チタン酸リチウム、チタン酸ストロン
チウム、チタン酸アルミニウム、PZT、PLZTなど
の圧電性・焦電性セラミックス、サイアロン、サーメッ
トなどの高靭性セラミックス、水酸アパタイト、燐酸カ
ルシウムなどの生体適合性セラミックス、シリコン、ゲ
ルマニウム、あるいはこれらに燐などの各種ドープ物質
を添加した半金属物質、ガリウム砒素、インジウム砒
素、硫化カドミウムなどの半導体化合物などが挙げられ
る。
【0096】また、本発明の複合構造物の構造物の部分
の厚みは50μm以上とすることができる。前記構造物
の表面は微視的には平滑ではない。たとえば金属の表面
に高硬度のセラミックスを被覆した耐摩耗性の摺動部材
を作成する場合などには、平滑表面が要求されるため、
後工程において表面の切削あるいは研磨を必要とする。
このような用途においてはセラミックス構造物の堆積高
さは50μm程度以上とするのが望ましい。平面研削を
行う場合においては、研削機の機械的制約のため、堆積
高さ50μm以上が望ましく、この場合は数十μmの研
削が行われるため、50μm以下の表面が平滑な薄膜を
形成させることになる。また場合によっては、構造物の
厚みは、500μm以上であることが望ましい。
【0097】セラミックス材質の機械的強度は様々であ
るが、500μm以上の厚みの構造物であれば、例え
ば、セラミックス基板等の用途においては、材質を選べ
ば、十分利用可能な強度が得られる。
【0098】たとえば、基板ホルダ上に設置された金属
箔の表面にセラミックス超微粒子を堆積させて一部ある
いは全部が500μm以上の厚みを持つ緻密質のセラミ
ックス構造物を形成させた後、金属箔の部分を除去する
などすれば、室温にてセラミックス材質の機械構成部品
を作成することが可能である。
【0099】一方、本願の複合構造物の作製方法は、先
ず脆性材料微粒子に前処理を施して脆性材料微粒子に内
部歪を付与し、次いでこの内部歪を蓄えた脆性材料微粒
子を基材表面に高速で衝突させるか、基材表面に盛り付
けた内部歪を蓄えた脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付
加することで、前記脆性材料微粒子を変形または破砕
し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
て微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境界部
にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料からな
るアンカー部を形成し、更にこのアンカー部の上に多結
晶脆性材料からなる構造物を形成する。
【0100】内部歪が少ないと、脆性材料微粒子を衝突
させた際に変形或いは破砕しにくく、逆に内部歪が大き
くなると内部歪をキャンセルするために大きなクラック
が生じ、衝突させる前に脆性材料微粒子が破砕・凝集
し、この凝集物を基材に衝突させても新生面は形成され
にくい。したがって、本発明に係る複合構造物を得るに
は、脆性材料微粒子の粒径および衝突速度は重要である
が、それ以上に原料の脆性材料微粒子に予め所定範囲の
内部歪を与えておくことが重要である。 最も好ましい
内部歪としては、クラックが形成される直前まで大きく
なった歪ということになるが、多少クラックが形成され
ていても内部歪が残っている微粒子であれば構わない。
【0101】脆性材料微粒子を高速で衝突させる手法に
は、搬送ガスを用いる方法や、静電力を用いて微粒子を
加速する方法、溶射法、クラスターイオンビーム法、コ
ールドスプレー法などが挙げられる。このうち搬送ガス
を用いる方法は従来ガスデポジション法と呼ばれてお
り、金属や半金属、セラミックスの微粒子を含むエアロ
ゾルをノズルより噴出させて高速で基板に吹き付け、微
粒子を基材上に堆積させることによって、微粒子の組成
を持つ圧粉体などの堆積層を形成させる構造物形成法で
ある。そのうちここでは特に構造物を基板上にダイレク
トで形成する方法を超微粒子ビーム堆積法(Ultra−Fin
e particles beam deposition method)と呼び、この
明細書では本発明に係る作製方法を以下この名称で呼
ぶ。
【0102】本発明に係る複合構造物の作製方法(超微
粒子ビーム堆積法)にあっては、前記脆性材料微粒子は
平均粒径が0.1〜5μmで、予め内部歪の大きなもの
を用いることが好ましい。またその速度は50〜450
m/sの範囲内が好ましく、さらに好ましくは150〜
400m/sである。これらの条件は基材に衝突させた
際などに新生面が形成されるかに密接に関係しており、
粒径0.1μm未満では、粒径が小さすぎて破砕や変形
が生じにくい。5μmを超えると一部破砕は起こるもの
の、実質的にはエッチングによる膜の削り取り効果が現
れるようになり、また破砕が生じないで微粒子の圧粉体
の堆積に止まる場合が生じる。同じく、この平均粒径で
構造物形成を行なう場合、50m/s以下では、圧粉体
が構造物中へ混在する現象が観察されており、450m
/s以上では、エッチング効果が目立つようになり、構
造物形成効率が低下することがわかっている。
【0103】また、原料粒子にクラックが生じると内部
歪はキャンセルされるためクラックはない方が好ましい
が、クラックがあっても所定の内部歪が存在すればよ
い。換言すれば、クラックが入る直前まで内部歪が蓄積
されている原料微粒子が最も好ましい。
【0104】特開2000−212766号公報に開示
した内容を追試してきた際に、セラミックスなどの脆性
材料については必ずしもよい結果が得られなかったの
は、上記の条件が整っていなかった可能性がある。
【0105】本発明に係る複合構造物の作製方法の特徴
の1つは、室温あるいは比較的低温で行える点であり、
基材として樹脂などの融点の低い材料を選定することが
できる。
【0106】ただし、本発明方法においては加熱工程を
付加してもよい。本発明の構造物形成時には微粒子の変
形・破砕時にはほとんど発熱は起こらず緻密質構造物が
形成されるところに特徴があり、室温環境で十分に形成
できる。従って構造物形成時に熱の関与が必ずしも要る
わけではないが、微粒子の乾燥や表面吸着物の除去、活
性化のための加熱や、アンカー部形成の補助、複合構造
物の使用環境などを考えた構造物と基材との熱応力の緩
和、基材表面吸着物の除去、構造物形成効率の向上など
を狙った基材あるいは構造物形成環境の加熱を行なうこ
とは十分考えられる。この場合でも、微粒子や基材が溶
解や焼結、極端な軟化を起こすような高温は必要ない。
また前記多結晶脆性材料からなる構造物を形成した後
に、当該脆性材料の融点以下の温度で加熱処理して結晶
の組織制御を行うことが可能である。
【0107】また、本発明に係る複合構造物の作製方法
においては、原料微粒子に形成された新生面の活性をあ
る程度の時間持続させるために、減圧下で行なうことが
好ましい。
【0108】また、超微粒子ビーム堆積法により本発明
に係る複合構造物の作製方法を実施する場合には、搬送
ガスの種類および/または分圧を制御して、前記脆性材
料からなる構造物を構成する化合物の元素の欠損量を制
御したり、構造物中の酸素濃度を制御したり、構造物中
の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層を形成するこ
とで、構造物の電気的特性・機械的特性・化学的特性・
光学的特性・磁気的特性を制御することが可能である。
【0109】即ち、酸化アルミニウムなどの酸化物を超
微粒子ビーム堆積法の原料微粒子として用い、これに使
用するガスの酸素分圧を抑えて構造物形成を行なうと、
微粒子が破砕し、微細断片粒子を形成した際に、微細断
片粒子の表面から酸素が気相中に抜け出して、表面相で
酸素の欠損が起こると考えられる。このあと微細断片粒
子同士が再接合するため、結晶粒同士の界面近傍に酸素
欠損層が形成される。また、欠損させる元素は酸素に限
らず、窒素、硼素、炭素などもでもよく、これらも特定
のガス種のガス分圧を制御して、気相・固相間の元素量
の非平衡状態による分配あるいは反応による元素の脱落
によって達成される。
【0110】このようなガス種・ガス分圧を変化させる
超微粒子ビーム堆積法により、セラミックス構造物の体
積固有抵抗値や、硬度、耐食性、透光性などを制御する
ことができる。例えば酸化アルミニウムの場合、酸素ガ
ス分圧を減少させると光学的に白濁した構造物が得ら
れ、酸素ガス分圧を増加させると透明な構造物が得られ
る。
【0111】本発明にかかる複合構造物作製装置の一態
様では、脆性材料超微粒子をガス中に分散させて発生さ
せたエアロゾルを基板に高速で噴射・衝突させてセラミ
ックス超微粒子の構造物を作成するセラミックス構造物
作製装置において、前記エアロゾルを発生させるエアロ
ゾル発生器と、エアロゾルを噴射するノズルと、エアロ
ゾル中のセラミックス超微粒子を分級する分級器とを備
える。
【0112】なお、本発明にあっては、内部歪を有する
原料微粒子を用いることが重要であるので、内部歪を付
与するためのミル、例えば遊星ミルなどの高い衝撃を微
粒子に付与する手段である前処理装置を別体として、あ
るいは作製装置の一部として配置することが好ましい。
【0113】脆性材料超微粒子は、エアロゾル発生器内
でガス中に分散されてエアロゾルとなる。エアロゾルは
搬送管を通じて分級器へ輸送され、分級器内で分級され
て堆積にあずかる粒子のみが選抜される。この微粒子は
搬送管を通じてノズルから高速で基板に向かって噴射さ
れ、微粒子は基板に衝突して堆積し、セラミックスの構
造物を形成する。ガスの流速は毎秒百数十〜数百mの亜
音速〜超音速の領域である。ガス流を作成するには、ガ
スボンベやエアコンプレッサーを装置の前段に設置した
加圧によっても可能であるし、真空ポンプを装置の後段
に設置した引圧によってもよく、これらの組み合わせで
もよい。また、搬送管の内径や長さを調節することによ
り、エアロゾル発生室内と基板近傍の絶対圧および差圧
を自在に設定できる。
【0114】前述のように、エアロゾル中の凝集した二
次粒子は、基板に衝突しても緻密質のセラミックス構造
物を形成できず、圧粉体となるだけである。本発明で用
いられる分級器によって、あらかじめセラミックス構造
物の形成に障害となる粗大な二次粒子を排除して一次粒
子のみを選抜し、十分な運動エネルギーを与えることが
できるこれらの粒子のみをノズルより噴射させることに
よって、焼成を行うことなく構造物を形成できるように
なった。
【0115】また、本発明にかかる複合構造物作製装置
の別の一態様では、脆性材料超微粒子をガス中に分散さ
せて発生させたエアロゾルを基板に高速で噴射・衝突さ
せて脆性材料超微粒子の構造物を作成する複合構造物作
製装置において、前記エアロゾルを発生させるエアロゾ
ル発生器と、エアロゾルを噴射するノズルと、エアロゾ
ル中の脆性材料超微粒子の凝集を解砕する解砕器とを備
える。
【0116】脆性材料超微粒子は、エアロゾル発生器内
でガス中に分散されてエアロゾルとなるが、そのほとん
どが粗大な二次粒子を形成している。分級器を設けて
も、エアロゾル中の二次粒子の存在割合が一次粒子に比
較して著しく大きな場合には、エアロゾル発生器によっ
て発生させたエアロゾル中のセラミックス超微粒子の量
に対して、ノズルから噴射されるエアロゾル中の脆性材
料超微粒子の量が非常に少なくなり、このためセラミッ
クス構造物を形成させる時間が長くなったり、あるいは
ガスの使用量が膨大になるなど、実用化に際しての懸念
がある。
【0117】この粉体利用効率の低さを解消するため
に、エアロゾル発生器で発生させたエアロゾルを搬送管
にて輸送し、解砕器に導入して、二次粒子を一次粒子に
解砕する。この一次粒子のエアロゾルが搬送管を通じて
十分に加速されてノズルから噴射し、基板に衝突して緻
密質のセラミックス構造物を形成する。
【0118】本発明にかかる別の一態様では、脆性材料
超微粒子をガス中に分散させて発生させたエアロゾルを
基板に高速で噴射・衝突させて脆性材料超微粒子の構造
物を作成する複合構造物作製装置において、前記エアロ
ゾルを発生させるエアロゾル発生器と、エアロゾルを噴
射するノズルと、エアロゾル中のセラミックス超微粒子
の凝集を解砕する解砕器と、エアロゾル中の脆性材料超
微粒子を分級する分級器とを備える。
【0119】脆性材料超微粒子は、エアロゾル発生器内
でガス中に分散され二次粒子を多く含むエアロゾルとな
り、解砕器に導入されて一次粒子に解砕されるが、この
場合でもすべての二次粒子を一次粒子に変換することは
現実的に困難であり、多少の二次粒子を混在させたまま
搬送管へ導出することになる。粗大な二次粒子が存在す
ると、セラミックス構造物の形成時に、一部が緻密質と
ならないまま内部に取り込まれたり、構造物表面に付着
して、それ以降の構造物形成を妨げたり、あるいは、形
成された構造物を削り取ったりするなどの弊害を及ぼ
す。
【0120】そこで、解砕器の後段に分級器を設置する
ことにより、混在している二次粒子を排除し、セラミッ
クス構造物の形成にあずかる微細な一次粒子のみをノズ
ルから噴射させることができる。
【0121】本発明にかかる複合構造物作製装置の一態
様では、基板とノズルの相対位置を制御する位置制御手
段を備える。基板は、例えば上下(Z)、前後左右(X
Y)、角度(θ)方向の位置を制御できるステージに設
置され、構造物作製中に、基板位置を前後左右に移動さ
せればノズルの開口部より大きな構造物面積の構造物を
作成することができる。堆積厚さについては、ノズルか
らのセラミックス超微粒子の噴射量と、基板の固定時間
あるいは移動速度を調節することにより自在に設定でき
る。堆積厚さに追随して上下方向の位置を制御すれば、
ノズルとセラミックス構造物との距離を常に一定にする
ことができる。
【0122】また、ノズルをコンピュータ制御などによ
る屈曲自在な可動アームの先に取り付け、上下(Z)、
前後左右(XY)、角度(θ)方向の位置を制御しつ
つ、曲面や角を持つ複雑形状物の表面をなぞりながら堆
積操作を行えば、複雑形状物にセラミックス構造物の被
覆を行うことができる。
【0123】本発明にかかるエアロゾル発生器の一態様
では、脆性材料超微粒子を収容する容器及び、この容器
に機械的振動作用を与える振動装置、電界を付与する電
界発生装置の少なくとも何れかを備え、前記容器は前記
ガスを導入する導入部と、前記エアロゾルを導出する導
出部とを有する。
【0124】脆性材料超微粒子は、粉体として容器内に
充填される。導入部から導入されたガスは、脆性材料超
微粒子を巻き上げ、容器内にエアロゾルを発生させる。
エアロゾルは、導出部から導出される。導入部は、たと
えば管状となっており、脆性材料超微粒子粉体内部に挿
入埋没され、粉体内部からガスを放出する。容器に与え
られる機械的振動作用は、セラミックス超微粒子を巻き
上げるための運動エネルギーの付与に使われるのみなら
ず、導入部が脆性材料超微粒子粉体内部に埋没される場
合は、導入部の開口近傍に周囲の粉体を新たに供給し、
安定的にエアロゾルを発生させる作用を持つ。また、振
動装置の振幅、振動速度を自在に設定して舞い上がる超
微粒子の量を調節することができ、好適である。
【0125】一方、誘電体材質の容器内に充填され接触
帯電している脆性材料超微粒子粉体周囲に、交流電圧を
印加する電界発生装置あるいは摩擦によって静電気を発
生する電界発生装置を用いて電界を形成すると、脆性材
料超微粒子は、クーロン力を受けて容器壁面から浮上
し、これが導入部より導入されたガス流に取り込まれて
エアロゾルとなり、導出部より導出される。電界発生装
置の出力を調整して与える電界の強度を調節することに
より、エアロゾル中に含まれる脆性材料超微粒子の量を
制御でき好適である。また脆性材料超微粒子の帯電電荷
を、一方の電荷に強制的に揃えておくことも有効な手段
である。これには、あらかじめ帯電処理を行なっておく
ことも考えられるし、帯電処理と並行して電界付与を行
なうことも考えられる。例えば脆性材料超微粒子粉体に
コロナ放電あるいはγ線などの放射線を照射して電子を
付加あるいは剥奪し、一次粒子を帯電させつつ直流電圧
を印加すれば、脆性材料超微粒子を次々と浮上させてエ
アロゾルとすることができるとともに、静電気力によっ
て凝集していた二次粒子の解砕をも期待できる。
【0126】本発明にかかる分級器の一態様では、エア
ロゾル発生器の導出部である。すなわち、エアロゾル発
生器内に分級器が設置される。たとえば容器内の粉体内
部に管状の導入部を埋没させ、容器の上方に管状の導出
部を設置した上述の構成のエアロゾル発生器を用いて、
容器内に巻き上げられた脆性材料超微粒子は、容器内の
空間に分散するとき、その重量により高さ方向で存在割
合を異にする。二次粒子のような比較的重量の大きい粒
子は高く舞い上がることができないのに対し、一次粒子
のような比較的重量の小さい粒子は重力の影響が小さ
く、またガスによる抵抗を受けやすいため、比較的高く
巻き上げられる。そのため、導出部の位置を高さ方向で
適切に設定することにより、セラミックス構造物の形成
にあずかる一次粒子のみを選抜することができる。選抜
され、量を調節された一次粒子を含むエアロゾルは、搬
送管を通じてノズルより噴射されて基板に堆積し、緻密
質のセラミックス構造物を形成する。
【0127】本発明にかかるエアロゾル発生器の別の一
態様では、前記容器に篩を設けると共に、容器に機械的
振動作用を与える振動装置を備える。たとえばこのエア
ロゾル発生器では、容器の上方に篩が設置され、ここに
脆性材料超微粒子粉体が充填される。振動装置により機
械的振動を与えられた脆性材料超微粒子は、設定された
篩の開口径以下に篩分けされたもののみが、重力により
落下し、容器の下方に設置された導入部と導出部の間を
流れるガス流中に取り込まれてエアロゾルとなり導出部
から導出される。篩の開口径および開口面積を調節し、
振動装置の振幅、振動速度を調節することにより、落下
する脆性材料超微粒子の最大粒径や量を調節し、安定し
たエアロゾルを発生し供給することができるという利便
性があり、このようなエアロゾル発生器を備えたセラミ
ックス構造物作製装置は、エアロゾルをノズルより基板
に向けて噴射堆積させる際、基板を一定速度で前後左右
に移動させて一定堆積厚さのセラミックス構造物を得る
のに好適である。
【0128】本発明にかかる解砕器の一態様では、前記
エアロゾルを夫々導入、導出する導入部及び導出部と、
前記エアロゾルを衝突させる衝撃板とを備え、前記セラ
ミックス超微粒子の構造物を作成する速度よりも低速で
エアロゾルを衝撃板に衝突させて、粗大な凝集状態にあ
る超微粒子を解砕することを特徴とする。上述のよう
に、脆性材料超微粒子はほとんど凝集粒の二次粒子とし
て存在するが、エアロゾル発生器により発生させた二次
粒子を含むエアロゾルを、解砕器の導入部より加速され
たジェット状のエアロゾル流として導入し、下流に設け
た衝撃板に衝突させる。このときのエアロゾル流中の脆
性材料超微粒子の速度は、毎秒200m以下が適当であ
る。衝突した二次粒子は、その衝撃により解砕されて微
細な粒子(一次粒子)となり、反射してガス流中に再び
取り込まれ、結果として一次粒子を多く含むエアロゾル
へと変換される。この一次粒子を多く含むエアロゾル
は、緻密質のセラミックス構造物を形成するのに好適で
ある。
【0129】なお、導入されるエアロゾル流の進行方向
に対して、衝撃板の角度を30から60度とすると粒子
の反射方向を揃えやすく、好適である。特に、反射方向
を重力ベクトルの逆方向に設定した場合などは、衝突す
る脆性材料超微粒子の速度と、解砕器内の圧力を適当に
設定することにより、脆性材料超微粒子の反射後の空間
中への舞い上がりを制御することができ、例えば衝撃板
より高い位置に導出部を設ければ、この舞い上がり高さ
を利用して解砕器に分級作用を付与することが容易であ
る。
【0130】本発明の複合構造物作製装置は、前段側の
ガスボンベあるいはエアコンプレッサー、後段側の真空
ポンプにより、装置内の圧力を真空から大気圧以上の範
囲まで自在に制御できるが、例えば解砕器内の圧力を1
00Paから大気圧まで制御すれば、脆性材料超微粒子
の反射方向を精度良くそろえることが可能で、微粒子の
利用効率向上や解砕器のコンパクト化が期待でき、大気
圧以上で制御すれば、脆性材料超微粒子はガスの抵抗を
受けやすく、分級効果の向上が期待できる。
【0131】本発明にかかる解砕器の別の一態様では、
解砕器が複数の導入部を備え、この導入部から噴射され
る複数のエアロゾル流を互いに衝突させて解砕すること
を特徴とする。
【0132】エアロゾル発生器により発生させた二次粒
子を含むエアロゾルを、解砕器の複数の導入部より加速
されたジェット状のエアロゾル流として導入し、この複
数のエアロゾル流同士を互いに衝突させて、含まれる二
次粒子に衝撃を与えて解砕する。これにより一次粒子を
多く含むエアロゾルへと変換される。この一次粒子を多
く含むエアロゾルは、緻密質のセラミックス構造物を形
成するのに好適である。
【0133】本発明にかかる解砕器の別の一態様では、
前記エアロゾルに超音波及び/又はマイクロ波を照射す
るものであることを特徴とする。たとえば、エアロゾル
発生器からノズルへと通ずる管状の搬送管の途中に超音
波照射部を設置し、二次粒子を多く含むエアロゾルに超
音波を照射する。超音波は、圧電振動子により電気的に
発生させ、共振体である超音波ホーンを用いて増幅する
などして、超音波照射部へ伝達してエアロゾルへ照射さ
せる。エアロゾル中の二次粒子は、超音波の機械的微振
動により解砕されて、一次粒子へと変換される。この一
次粒子を多く含むエアロゾルは、緻密質のセラミックス
構造物を形成するのに好適である。
【0134】一方、脆性材料超微粒子が凝集し、粗大な
二次粒子を形成する一つの要因として、水分による粒子
同士の付着があげられる。そのため、搬送管の途中にマ
イクロ波発生器を設置し、エアロゾルに水の高周波誘電
加熱で用いられる振動数2450MHzかその近傍のマ
イクロ波を照射することにより、二次粒子中の水分を加
熱して瞬時に蒸発させ、凝集の要因を排除することがで
き、一次粒子へと解砕が可能となる。この一次粒子を多
く含むエアロゾルは、緻密質のセラミックス構造物を形
成するのに好適である。
【0135】上述した各種解砕器は、これらを組み合わ
せることによりさらに効果を増大させることができる。
【0136】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、複合構造物
作製装置の実施例1を示す図であり、ヘリウムを内蔵す
るガスボンベ11は、搬送管12を介してエアロゾル発
生器13に連結され、さらに搬送管を通じて構造物形成
室14内に5mm×0.5mmの長方形の開口を持つノ
ズル15が設置される。コンピュータにより上下
(Z)、前後左右(XY)に制動できる基板ホルダ17
に金属アルミニウム(Al)の平板状の基板16がノズ
ルに対向して10mmの間隔をあけて配置される。構造
物形成室14は排気ポンプ18に接続している。
【0137】尚、本発明にあっては原料微粒子として内
部歪を有するものを用いるため、原料微粒子に内部歪を
付与するための前処理装置として、遊星グラインダーや
ミルをエアロゾル発生器13などに隣接して配置する。
ただし、異なる場所で前処理したものを搬送してきて使
用することも可能である。
【0138】図2は実施例1で使用されるエアロゾル発
生器13の断面模式図である。エアロゾル発生器13
は、容器131内にあらかじめ真空乾燥により十分に吸
着水分を除去した平均一次粒子径として0.5μmの酸
化アルミニウム(Al23)のセラミックス超微粒子粉
体132を内蔵し、図2では図示しない搬送管12に接
続された導入部133がセラミックス超微粒子粉体13
2に埋没するように設置される。容器131の上方には
上下にスライドできる導出部134が配置され、図2で
は図示しない搬送管12に接続される。容器131に
は、機械的振動作用を与える振動器135が接続され
る。なお、図中の矢印は、ガスおよびエアロゾル136
の流れる向きを示す。
【0139】以上の構成からなるセラミックス構造物作
製装置の作用を次に述べる。ガスボンベ11を開き、ヘ
リウムガスを流量2.5リットル/分で搬送管12を通
じてエアロゾル発生器13の導入部133から導入し、
内部歪を有するセラミックス超微粒子粉体132を容器
131内に巻き上げ、エアロゾル136を発生させる。
このとき振動器135の機械的振動作用によりセラミッ
クス超微粒子粉体132は、次々と導入部133の開口
近傍に供給されるため、安定的にエアロゾル136が発
生可能である。エアロゾル136中のセラミックス超微
粒子のうち、凝集して二次粒子を形成しているものは、
その重量が比較的大きいため高く舞い上がることができ
ない。これに対して、重量の小さい一次粒子あるいはそ
れに準じた比較的小さい粒子は、容器内の上方まで舞い
上がることができる。そのため導出部134は高さ方向
の位置をスライドさせて適当に設定すれば分級器として
働き、所望の粒径のセラミックス超微粒子を選抜して導
出させることができる。導出したエアロゾル136は、
搬送管12を通じてノズル15より基板16に向けて高
速で噴射される。エアロゾル136の噴射速度は、ノズ
ル15の形状、搬送管12の長さ、内径、ガスボンベ1
1のガス圧、排気ポンプ18の排気量などにより制御さ
れる。これらの制御によりたとえばエアロゾル発生器1
3の内圧を数万Pa、構造物形成室14の内圧を数百P
aにしてこれらの間に差圧をつけることにより、噴射速
度は亜音速から超音速の領域まで加速できる。十分に加
速されて運動エネルギーを得たエアロゾル136中のセ
ラミックス超微粒子は、基板16に衝突し、その衝撃の
エネルギーで細かく破砕され、これら微細断片粒子が基
板に接着したり、また互いが接着接合して緻密質のセラ
ミックス構造物を形成する。基板16は10分間の構造
物形成操作中に基板ホルダ17により前後5mmの往復
運動をさせる。この制御により酸化アルミニウムのセラ
ミックス構造物の堆積厚さは約50μmが達成される。
さらに構造物形成時間を延長させれば、それに比例して
堆積厚さを増加させることができる。このセラミックス
構造物は、すでに焼成体と同程度の硬度を保有している
ため、その後の加熱操作などによる焼き締めは必要な
い。
【0140】(実施例2)図3は、複合構造物作製装置
の実施例2を示す図であり、複合構造物作製装置20で
は、圧縮空気を発生させるエアコンプレッサー21が、
搬送管22を介してエアロゾル発生器23へと接続さ
れ、さらに下流側に解砕器24が設置され、10mm×
0.5mmの長方形の開口を持つノズル25へ接続され
ている。大気圧開放雰囲気下において、上下(Z)、前
後左右(XY)に移動できる基板ホルダ26に金属アル
ミニウム(Al)の基板27がノズルに対向して、その
先端から2mmの間隔をあけて配置される。
【0141】図4は、実施例2で使用されるエアロゾル
発生器23の断面模式図で、容器231に、図4では図
示しない搬送管22に接続された導入部232と、同じ
く図示しない搬送管22に接続された導出部233が水
平に配置される。導入部232および導出部233の上
部にはあらかじめ真空乾燥により吸着水分を十分に除去
した、平均一次粒子径が0.5μmの酸化アルミニウム
(Al23)のセラミックス超微粒子粉体234を収容
した開口径100μmの篩235が配置される。また容
器231は機械的振動作用を与える振動器236に接続
されている。
【0142】図5は、実施例2で使用される解砕器24
の断面模式図で、容器241の下方に図5では図示しな
い搬送管22に連結する円管状の導入部242が設置さ
れ、その下流側にエアロゾルの導入方向に対して45度
の角度で衝撃板243が配置される。衝撃板243の上
方には図5では図示しない搬送管22に連結する、上下
にスライド可能な導出部244が設置される。なお、図
中の矢印は、エアロゾル245の流れる向きを示す。
【0143】以上の構成からなるセラミックス構造物作
製装置20の作用を次に述べる。エアコンプレッサー2
1を作動させ、圧縮された空気を流量15リットル/分
で搬送管22を通じてエアロゾル発生器23の導入部2
32から導入する。下流側に平行に配置された導出部2
33との間にはガス流が形成されている。振動器236
によりエアロゾル容器23を振動させ、セラミックス超
微粒子粉体234の収容された篩235から、粒径10
0μm以下に篩い分けされたセラミックス超微粒子を落
下させる。セラミックス超微粒子はガス粒中に取り込ま
れ、二次粒子を多く含むエアロゾル237となり搬送管
22を通じて解砕器24に導入される。解砕器24の導
入部242は、開口が絞られており、エアロゾル237
はジェット状で衝撃板243に衝突し、含有される二次
粒子が一次粒子あるいはそれに準じる粒径まで解砕さ
れ、エアロゾル245として反射して容器241の上方
へ巻き上げられる。導出部244はスライドさせて高さ
方向の位置を適当に設定すれば分級器として働き、所望
の粒径のセラミックス超微粒子を選抜して導出させるこ
とができる。
【0144】解砕器24から導出された一次粒子を多く
含むエアロゾル245は、ノズル25から基板27に向
けて高速で噴射される。エアロゾルの噴射速度は、エア
コンプレッサー21からのガス流量により亜音速から超
音速の領域で制御される。十分に加速されて運動エネル
ギーを得たエアロゾル中のセラミックス超微粒子は、基
板16に衝突し、その衝撃のエネルギーで細かく破砕さ
れ、これら微細断片粒子が基板に接着したり、また互い
が接着接合して緻密質の酸化アルミニウムセラミックス
構造物を形成する。上述の操作で、形成されるセラミッ
クス構造物の堆積厚さは1分あたり約0.5μmであ
り、時間に伴い堆積厚さは増加する。また、基板ホルダ
26を適宜作動させて基板27を移動させれば、所望の
形状のセラミックス構造物が作製できる。
【0145】(実施例3)図6は、複合構造物作製装置
の実施例3を示す図であり、複合構造物作製装置30の
ノズル31は可撓な材質でできた搬送管32を通じて図
示しないエアロゾル発生器に連結されている。また、ノ
ズル31はコンピュータ33により制動される屈曲自在
な可動アーム34の先端にて保持され、基板である複雑
形状物35に対向している。
【0146】以上の構成からなるセラミックス構造物作
製装置30の作用を次に述べる。図示しないエアロゾル
発生器からセラミックス超微粒子が搬送管32を通じて
搬送され、ノズル31より高速で複雑形状物35の表面
に噴射され堆積する。可動アーム34は複雑形状物35
のセラミックス構造物被覆対象表面から一定の距離を隔
てて、その表面をなぞるように移動するようコンピュー
タ33により制動される。従って、複雑形状物35表面
にセラミックス構造物が一定堆積厚みで被覆される。
【0147】(実施例4)図7は、複合構造物作製装置
に使用される実施例4としてのエアロゾル発生器40の
断面模式図であり、テフロン(登録商標)材質の容器4
1に図示しない搬送管に連結する導入部42と導出部4
3が設置され、周囲に電界発生装置である円管状の電極
44が複数離間して配置される。電極は、導線45によ
り交流電源46と連結されている。容器41内には、酸
化アルミニウム(Al23)のセラミックス超微粒子粉
体47が収容されている。なお、図中の矢印は、ガスお
よびエアロゾルの流れる方向を示す。
【0148】以上の構成からなるエアロゾル発生器40
の作用を次に述べる。電気抵抗の高い酸化アルミニウム
などの場合、自然状態において粒子相互の接触帯電など
により超微粒子が両極性に帯電していることが多い。交
流電源46をオンにして、電極44間に交流電圧を印加
して粉体周囲に強力な電界を発生させると、セラミック
ス超微粒子粉体47が、その帯電電荷に応じてクーロン
力を受けて容器41内に浮遊する。この状態で、図示し
ない搬送管を通じて導入部42からガスを導入すること
によってエアロゾル48となり導出部43より導出させ
る。容器41内に発生する電界の強度を適当に設定する
ことにより、セラミックス超微粒子の浮遊量を制御で
き、従って所望のエアロゾル48の濃度に設定すること
が容易である。
【0149】(実施例5)図8は、複合構造物作製装置
に使用される実施例5としての解砕器50の断面模式図
であり、容器51の下部には図示しない搬送管に連結す
る導入部52と、導入部53がお互いのエアロゾル導入
方向の延長線が接するように設置され、上部には図示し
ない搬送管に連結し、上下にスライド可能な導出部54
が設置される。なお、図中の矢印はエアロゾルの流れる
方向を示す。
【0150】以上の構成からなる解砕器50の作用を次
に述べる。搬送管より搬送されたエアロゾル55は、導
入部52および導入部53より一度分割されて容器51
内にジェット状となって導入され、衝突する。このとき
エアロゾル55中のセラミックス超微粒子の二次粒子同
士が衝突により解砕され、一次粒子あるいはそれに準じ
る粒径の粒子に変換される。その後エアロゾル55は容
器51内に巻き上げられる。導出部54はスライドさせ
て高さ方向の位置を適当に設定すれば分級器として働
き、所望の粒径のセラミックス超微粒子を選抜して導出
させることができる。
【0151】(実施例6)図9は、複合構造物作製装置
に使用される実施例6としての解砕器60の断面模式図
であり、円管状の超音波照射部61が搬送管62の途中
に配置され、超音波ホーン63を介して圧電振動子64
に接続されている。圧電振動子64は、導線65により
超音波発振器66に接続されている。超音波発振器66
は図示しない電源と接続されている。なお、図中の矢印
はエアロゾルの流れる方向を示す。
【0152】以上の構成からなる解砕器60の作用を次
に述べる。超音波発振器66により圧電振動子64が振
動し、高周波数超音波を発生する。高周波数超音波は、
超音波ホーン63により増幅されて超音波照射部61へ
と伝播され、円管の中心に向かって高周波数超音波が収
束して大きな音圧で照射される。一方、搬送管62より
エアロゾル67が超音波照射部61へと導入され、含有
される二次粒子は、高周波数超音波の微細振動を与えら
れて、一次粒子あるいはそれに準じる粒径の粒子に解砕
される。空気中の超音波は、ガス圧力が高いほうがより
音圧レベルを減衰させずに伝播しやすいため、エアロゾ
ル67のガス圧力を大気圧以上に設定して、解砕効率を
上げることが望ましい。
【0153】(実施例7)図10は、複合構造物作製装
置に使用される実施例7としての解砕器70の断面模式
図であり、円管状のマイクロ波照射部71が搬送管72
の途中に配置され、これを囲んでマイクロ波発振器73
が配置され、導線74を介して電源75に接続されてい
る。
【0154】以上の構成からなる解砕器70の作用を次
に述べる。電源75によりマイクロ波発振器73が振動
数2450MHzのマイクロ波を発振する。一方、搬送
管72よりエアロゾル76がマイクロ波照射部71へと
導入されて、マイクロ波が照射される。含有される二次
粒子に含まれ、凝集の要因となっている極性分子である
水分は、マイクロ波照射の誘電損失により発熱し瞬時に
蒸発する。そのため、一次粒子同士が離脱して解砕され
る。
【0155】(実施例8)図11に本発明に係る複合構
造物の作製方法のうち、超微粒子ビーム堆積法を利用し
て酸化珪素基板上に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)構造物のTEMイメージ、図12は超微粒子
ビーム堆積法で使用したPZTの原料粒子のTEMイメ
ージ、図13はTEMイメージよりカウントした構造物
中の結晶子のサイズの分布図である。
【0156】原料粒子の内部歪は約1%、原料粒子の粒
径は数百nmサイズであった。一方、図から得られた構
造物は結晶子径が40nm以下のものがほとんどで、こ
れらが空隙を隔てず接合していることが観察され、結晶
方位に配向性は認められず、更に結晶の粒界にガラス層
は存在しない。
【0157】また、図14はチタン酸ジルコン酸鉛(P
ZT)構造物を形成する前の酸化珪素基板の表面粗さを
観察したSEMイメージ、図15はチタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)構造物形成後の酸化珪素基板との境界部の
TEMイメージであり、これらの図を比較することで、
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構造物の一部が酸化珪
素基板に食い込んでアンカー部となっていることが認め
られる。
【0158】この構造物の硬度はビッカース硬さで30
0から500kgf/mm2を得ており、焼成体と同程
度の機械的特性を備えている。
【0159】(実施例9)図16に同じく超微粒子ビー
ム堆積法を利用して、ガラス上に形成された体積2×1
-93の酸化アルミニウム構造物のTEMイメージを
を示す。
【0160】原料粒子の内部歪は約1%、原料粒子の粒
径は約400nmであり、X線回折測定法(測定機器は
マックサイエンス社製MXP−18)のScherrer&Hall
Methodにより原料粒子を構成する結晶子のサイズは
24nmであることが判明している。一方構造物の結晶
子径はX線回折測定法により9.8nmの値を得てお
り、原料粒子より微細な結晶子からなる多結晶体である
ことがわかる。
【0161】図16から、結晶子同士の界面には、原子
配列がランダムとなっているような粒界層(ガラス層)
が観察されず、結晶子同士がダイレクトに接着している
ことがわかる。これらの結晶子はいずれもアスペクト比
が2を大きく越えないような粒状で、結晶方位の配向性
はランダムであり、かつ緻密質であることが観察され
る。
【0162】この構造物の硬度はビッカース硬さで10
00kgf/mm2以上の値を得ており、焼成体と同程
度の機械的性質を保有している。
【0163】(実施例10)実施例8及び9で用いた原
料微粒子には予め前処理を施して内部歪を形成しておい
た。一方、内部歪のない原料微粒子を用いた場合には好
ましい結果が得られなかった。
【0164】そこで、、原料微粒子の内部歪と膜厚の関
係について実験した結果を図17に示す。実験は、純度
99.6%の酸化アルミニウム微粒子に遊星ミルを用い
て粉砕処理を行い、微粒子のキャラクタリゼーションを
変化させた後、超微粒子ビーム堆積法によりアルミニウ
ム基板上に構造物を形成した。微粒子の内部歪はX線回
折により測定し、歪量は同微粒子に熱エージングを施し
て内部歪を除去したものを0%として基準にした。
【0165】また、図17中のポイントA,B,Cにお
ける微粒子のSEM写真(日立製インレンズSEM S
−5000)を図18、図19及び図20に示す。
【0166】図17から内部歪は0.25%〜2.0%の
内部歪が好ましいことが分かる。クラックと内部歪との
関係は、内部歪がない場合には図18に示すようにクラ
ックは発生しないが、内部歪が一定値以上、本件の場合
には2.0%以上となると完全にクラックが形成されて
しまい、さらには脱落した断片が表面に付着して図20
に示すような再凝集状態となってしまう。
【0167】このように微粒子に歪を与える粉砕処理
は、微粒子にかかる粉砕のための衝撃を大きく与えるこ
とのできる粉砕手段を用いるのが好ましい。微粒子に比
較的一様に大きな歪を付与することができるからであ
る。このような粉砕手段としては、セラミックスの粉砕
処理によく用いられるボールミルに比べて大きな重力加
速度を与えることの出来る振動ミルやアトライタ、遊星
ミルを用いるのが好ましく、とりわけボールミルに比べ
て格段に大きな重力加速度を与えることの出来る遊星ミ
ルを用いることが最も好ましい。微粒子の状態に着目す
れば、クラックは内部歪をキャンセルするものであるの
で、最も好ましいのは、クラックが生じる直前まで内部
歪が高まっている微粒子ということになる。図19に示
す状態は若干のクラックが生じているが、十分に内部歪
が残されている。
【0168】以上に説明したように、本発明に係る複合
構造物は、基材表面にセラミックスや半金属などの脆性
材料からなる構造物が形成された複合構造物であって、
前記構造物は多結晶であり、前記構造物を構成する結晶
は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面
にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在せず、更に
前記構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー部とな
っているので、基材との接合強度に優れ、構造物自体の
密度が高く、構成粒子の粒径が均一で極めて小さい。し
たがって、従来にない機械的、電気的、化学的特性が期
待できる。
【0169】また、本発明に係る複合構造物の作製方法
を用いれば、焼成することなく高密度の緻密質の複合構
造物を形成することができる。
【0170】また、本発明によるセラミックス構造物作
製装置を用いて、セラミックス超微粒子のエアロゾルを
安定的に発生させ、エアロゾル中の二次粒子を解砕させ
てのち堆積させることによって、緻密質のセラミックス
構造物を形成するに好適となり、基板あるいはノズルを
一定速度で移動させても、一定堆積厚みを保持させるこ
とができる。
【0171】(実施例11)この実施例は非化学量論的
欠損について行ったものである。先ず、純度99.8%
の酸化アルミニウム微粒子を用いて、エアロゾル中のガ
ス種、ガス分圧を変化させた本発明の超微粒子ビーム堆
積法により、黄銅基材上に膜厚8μmの酸化アルミニウ
ム薄膜セラミックス構造物を形成した。この構造物の電
気抵抗率(体積固有抵抗値)の測定値を以下に示す。 A:窒素100%の場合:体積固有抵抗値=4.2×1
10Ω・cm B:窒素50%、酸素50%の場合:体積固有抵抗値=
2.0×1014Ω・cm また文献による酸化アルミニウムの体積固有抵抗値は1
1415Ω・cmであり、酸化アルミニウム中の酸素の
欠損により電子伝導性、イオン伝導性が発生し、抵抗値
が低下する固体電解質となることが一般に知られてお
り、純酸化アルミニウムの体積固有抵抗値が酸素欠損量
の代用特性として利用できる。
【0172】(実施例12)この実施例は結晶配向性に
ついて行ったものである。平均粒径0.4μmの酸化ア
ルミニウム微粒子を用いて本発明の超微粒子ビーム堆積
法によりステンレス基板上に厚さ20μmの酸化アルミ
ニウム構造物を形成した。この構造物の結晶配向性をX
線回折法(マックサイエンス社製MXP−18)により
測定した。この結果を表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】表1では代表的な面形のピーク4点の積分
強度計算結果を[hkl]=[113]を100とした強度
比で示す。左から原料微粒子を薄膜光学系で測定した結
果、構造物を薄膜光学系で測定した結果、JCPDSカ
ード74−1081コランダム酸化アルミニウムデー
タ、原料微粒子を集中光学系で測定した結果を記載す
る。
【0175】原料微粒子の集中光学系と薄膜光学系の結
果がほぼ等しい為、原料粉体の薄膜光学系の結果を無配
向状態と基準し、このときの構造物の強度比のずれを百
分率表示したものを表2に示す。[113]を基準とし
て、他の3ピークのずれは11%以内に収まっており、
実質上構造物は結晶配向性がないと言える。
【0176】
【表2】
【0177】
【発明の効果】本発明に係る複合構造物は各種基材上
に、任意の厚さのセラミックス構造物を一体的に形成で
きるので、微細な機械部品、磁気ヘッドの耐磨耗コー
ト、静電チャック、摺動部材、金型などの耐摩耗コート
および摩耗部、欠損部の補修、静電モータの絶縁コー
ト、人工骨、人工歯根、コンデンサ、電子回路部品、酸
素センサ、酸素ポンプ、バルブの摺動部、歪ゲージ、感
圧センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、圧電ブ
ザー、圧電フィルタ、光シャッター、自動車のノックセ
ンサ、超音波センサ、赤外線センサ、防振板、切削加工
用工具、複写機ドラムの表面コート、多結晶太陽電池、
色素増感型太陽電池、包丁・ナイフの表面コート、ボー
ルペンのボール、温度センサ、ディスプレイの絶縁コー
ト、超伝導体薄膜、ジョセフソン素子、超塑性構造体、
セラミックス発熱体、マイクロ波誘電体、撥水コート、
反射防止膜、熱線反射膜、UV吸収膜、層間絶縁膜(I
MD)、シャロートレンチアイソレーション(STI)
などに利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合構造物作製装置の実施例1を
説明する図。
【図2】図1における複合構造物作製装置のエアロゾル
発生器の断面模式図。
【図3】本発明に係る複合構造物作製装置の実施例2を
説明する図。
【図4】図2における複合構造物作製装置のエアロゾル
発生器の断面模式図。
【図5】図2における複合構造物作製装置の解砕器の断
面模式図。
【図6】本発明に係る複合構造物作製装置の実施例3を
説明する図。
【図7】実施例4にかかるエアロゾル発生器の断面模式
図。
【図8】実施例5にかかる解砕器の断面模式図。
【図9】実施例6にかかる解砕器の断面模式図。
【図10】実施例7にかかる解砕器の断面模式図。
【図11】チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構造物のT
EMイメージ。
【図12】PZTの原料粒子のTEMイメージ。
【図13】TEMイメージよりカウントした構造物中の
結晶子のサイズの分布図。
【図14】チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構造物を形
成する前の酸化珪素基板のSEMイメージ。
【図15】チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構造物形成
後の酸化珪素基板との境界部のTEMイメージ。
【図16】ガラス上に形成された酸化アルミニウム構造
物のTEMイメージ。
【図17】原料微粒子の内部歪と膜厚との関係を示すグ
ラフ。
【図18】図17のポイントAに相当する微粒子のSE
Mイメージ。
【図19】図17のポイントBに相当する微粒子のSE
Mイメージ。
【図20】図17のポイントCに相当する微粒子のSE
Mイメージ。
【符号の説明】
11…ガスボンベ、 12、22、32、62、72…
搬送管、 13、23、40…エアロゾル発生器、 1
4…構造物形成室、 15、25、31…ノズル、 1
6、27…基板、 17、26…基板ホルダ、 18…
排気ポンプ、131、231、241、41、51…容
器、 132、234、47…超微粒子粉体、 13
3、232、242、42、52、53…導入部、 1
34、233、244、43、54…導出部、 13
5、236…振動器、 136、237、245、4
8、55、67、76…エアロゾル、 20、30…複
合構造物作製装置、 21…エアコンプレッサー、 2
4、50、60、70…解砕器、 235…篩、243
…衝撃板、 33…コンピュータ、 34…可動アー
ム、 35…複雑形状物、 44…電極、 45、6
5、74…導線、 46…交流電源、 61…超音波照
射部、 63…超音波ホーン、 64…圧電振動子、6
6…超音波発信器、 71…マイクロ波照射部、 73
…マイクロ波発信器、 75…電源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 朋和 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 横山 達郎 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 鳩野 広典 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 清原 正勝 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 麻生 雄二 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面にセラミックスや半金属などの
    脆性材料からなる構造物が形成された複合構造物であっ
    て、前記構造物は多結晶であり、前記構造物を構成する
    結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の
    界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、
    さらに前記構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー
    部となっていることを特徴とする複合構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物を構成する結晶は熱による粒成長を伴ってい
    ないことを特徴とする複合構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物は、平均結晶子径が500nm以下で緻密度
    が70%以上であることを特徴とする複合構造物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物は、平均結晶子径が100nm以下で緻密度
    が95%以上であることを特徴とする複合構造物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物は、平均結晶子径が50nm以下で緻密度が
    99%以上であることを特徴とする複合構造物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物を構成する結晶は、アスペクト比が2.0以
    下であることを特徴とする複合構造物。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物を構成する結晶の界面に、結晶を構成する主
    要な元素以外の元素が偏析していないことを特徴とする
    複合構造物。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の複合構造物において、
    前記構造物を構成する結晶界面近傍には、非化学量論的
    欠損部を有することを特徴とする複合構造物。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の複合構造物において、
    前記結晶は金属酸化物であり、かつ前記非化学量論的欠
    損部は酸素欠損に基づいて非化学量論性を呈することを
    特徴とする複合構造物。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれか1項
    に記載の複合構造物において、前記基材はガラス、金
    属、セラミックスあるいは有機化合物であることを特徴
    とする複合構造物。
  11. 【請求項11】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
    程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
    子を基材表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によっ
    て前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形ま
    たは破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を
    再結合せしめることで、基材との境界部にその一部が基
    材表面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部を
    形成し、引き続いてこのアンカー部の上に多結晶脆性材
    料からなる構造物を形成することを特徴とする複合構造
    物の作製方法。
  12. 【請求項12】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
    程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
    子を基材表面に盛り付け、この脆性材料微粒子に機械的
    衝撃力を付加し、その衝撃により前記脆性材料微粒子を
    変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性
    な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、
    基材との境界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶
    脆性材料からなるアンカー部と、このアンカー部の上に
    同じく多結晶脆性材料からなる構造物とを同時に形成す
    ることを特徴とする複合構造物の作製方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は請求項12に記載の複
    合構造物の作製方法において、前記脆性材料微粒子に内
    部歪を印加する工程は、再凝集を生じない程度に前記微
    粒子に衝撃を与える工程としたことを特徴とする複合構
    造物の作製方法。
  14. 【請求項14】 請求項11又は請求項12に記載の複
    合構造物の作製方法において、前記内部歪を印加する工
    程によって付与される内部歪を0.25%〜2.0%の範
    囲としたことを特徴とする複合構造物の作製方法。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後の
    脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記
    基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50〜
    450m/sであることを特徴とする複合構造物の作製
    方法。
  16. 【請求項16】 請求項11に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後の
    脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記
    基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が150
    〜400m/sであることを特徴とする複合構造物の作
    製方法。
  17. 【請求項17】 請求項11乃至請求項16のいずれか
    1項に記載の複合構造物の作製方法において、この作製
    方法は室温で行なうことを特徴とする複合構造物の作製
    方法。
  18. 【請求項18】 請求項11又は請求項12に記載の複
    合構造物の作製方法において、前記多結晶脆性材料から
    なる構造物を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の
    温度で加熱処理して結晶の組織制御を行うことを特徴と
    する複合構造物の作製方法。
  19. 【請求項19】 請求項11又は請求項12に記載の複
    合構造物の作製方法において、この作製方法は減圧下で
    行なうことを特徴とする複合構造物の作製方法。
  20. 【請求項20】 請求項11、請求項15又は請求項1
    6に記載の複合構造物の作製方法において、前記基材表
    面に脆性材料微粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材
    料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基
    板材料に向けて噴射することとしたことを特徴とする複
    合構造物の作製方法。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガスの種類および/または分圧を制
    御して、前記脆性材料からなる構造物を構成する化合物
    の元素の欠損量を制御することを特徴とする複合構造物
    の作製方法。
  22. 【請求項22】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記
    脆性材料からなる構造物中の酸素濃度を制御することを
    特徴とする複合構造物の作製方法。
  23. 【請求項23】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記脆性材料微粒子に酸化物を用い、前
    記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる
    構造物中の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層を形
    成させることを特徴とする複合構造物の作製方法。
  24. 【請求項24】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガスの種類および/または分圧を制
    御して、前記脆性材料からなる構造物の電気的特性・機
    械的特性・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御
    することを特徴とする複合構造物の作製方法。
  25. 【請求項25】 請求項20に記載の複合構造物の作製
    方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記
    脆性材料からなる構造物の電気的特性・機械的特性・化
    学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御することを特
    徴とする複合構造物の作製方法。
  26. 【請求項26】 基材表面に構造物を形成するための脆
    性材料微粒子であって、この微粒子は基材との衝突若し
    くは機械的な衝撃が付与されることで変形若しくは破砕
    して活性な新生面を生成するに必要な内部歪が付与され
    ていることを特徴とする脆性材料微粒子。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の脆性材料微粒子に
    おいて、この微粒子の内部歪は0.25%〜2.0%であ
    ることを特徴とする脆性材料微粒子。
  28. 【請求項28】 請求項26に記載の脆性材料微粒子に
    おいて、この微粒子の平均粒径は0.1〜5μmである
    ことを特徴とする脆性材料微粒子。
  29. 【請求項29】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
    程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
    子を基材表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によっ
    て前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形ま
    たは破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を
    再結合せしめることで、基材との境界部にその一部が基
    材表面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部を
    形成し、引き続いてこのアンカー部の上に多結晶脆性材
    料からなる構造物を形成することで得られたことを特徴
    とする複合構造物。
  30. 【請求項30】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
    程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
    子を基材表面に盛り付け、この脆性材料微粒子に機械的
    衝撃力を付加し、その衝撃により前記脆性材料微粒子を
    変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性
    な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、
    基材との境界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶
    脆性材料からなるアンカー部と、このアンカー部の上に
    同じく多結晶脆性材料からなる構造物とを同時に形成す
    ることで得られたことを特徴とする複合構造物。
  31. 【請求項31】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、前記脆性材料微粒子に内部歪を印加
    する工程は、再凝集を生じない程度に前記微粒子に衝撃
    を与える工程であることを特徴とする複合構造物。
  32. 【請求項32】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、前記内部歪を印加する工程によって
    付与される内部歪を0.25%〜2.0%の範囲とするこ
    とで得られたことを特徴とする複合構造物。
  33. 【請求項33】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、前記内部歪を印加する工程を行った
    後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmであ
    り、前記基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度
    が50〜450m/sであることを特徴とする複合構造
    物。
  34. 【請求項34】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、前記内部歪を印加する工程を行った
    後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmであ
    り、前記基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度
    が150〜400m/sであることを特徴とする複合構
    造物。
  35. 【請求項35】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、この複合構造物は室温で作製される
    ことを特徴とする複合構造物。
  36. 【請求項36】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、前記多結晶脆性材料からなる構造物
    を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の温度で加熱
    処理して結晶の組織制御を行うことを特徴とする複合構
    造物。
  37. 【請求項37】 請求項29又は請求項30に記載の複
    合構造物において、この複合構造物は減圧下で作製され
    ることを特徴とする複合構造物。
  38. 【請求項38】 請求項29、請求項33又は請求項3
    4に記載の複合構造物において、前記基材表面に脆性材
    料微粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材料微粒子を
    ガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基板材料に向
    けて噴射することとしたことを特徴とする複合構造物。
  39. 【請求項39】 請求項38に記載の複合構造物におい
    て、前記ガスの種類および/または分圧を制御して、前
    記脆性材料からなる構造物を構成する化合物の元素の欠
    損量を制御して得られることを特徴とする複合構造物。
  40. 【請求項40】 請求項38に記載の複合構造物におい
    て、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料か
    らなる構造物中の酸素濃度を制御して得られることを特
    徴とする複合構造物。
  41. 【請求項41】 請求項38に記載の複合構造物におい
    て、前記脆性材料微粒子に酸化物を用い、前記ガス中の
    酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる構造物中の
    結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層を形成させて得
    られることを特徴とする複合構造物。
  42. 【請求項42】 請求項38に記載の複合構造物におい
    て、前記ガスの種類および/または分圧を制御して、前
    記脆性材料からなる構造物の電気的特性・機械的特性・
    化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御して得られ
    ることを特徴とする複合構造物。
  43. 【請求項43】 請求項38に記載の複合構造物におい
    て、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料か
    らなる構造物の電気的特性・機械的特性・化学的特性・
    光学的特性・磁気的特性を制御して得られることを特徴
    とする複合構造物。
  44. 【請求項44】 脆性材料微粒子をガス中に分散させて
    発生させたエアロゾルを基板に高速で噴射・衝突させて
    脆性材料の構造物を作製する複合構造物作製装置におい
    て、前記エアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、
    エアロゾルを噴射するノズルと、エアロゾル中の脆性材
    料微粒子を分級する分級器とを備えたことを特徴とする
    複合構造物作製装置。
  45. 【請求項45】 脆性材料微粒子をガス中に分散させて
    発生させたエアロゾルを基板に高速で噴射・衝突させて
    脆性材料微粒子の構造物を作製する複合構造物作製装置
    において、前記エアロゾルを発生させるエアロゾル発生
    器と、エアロゾルを噴射するノズルと、エアロゾル中の
    脆性材料微粒子の凝集を解砕する解砕器とを備えたこと
    を特徴とする複合構造物作製装置。
  46. 【請求項46】 脆性材料微粒子をガス中に分散させて
    発生させたエアロゾルを基板に高速で噴射・衝突させて
    脆性材料微粒子の構造物を作製する複合構造物作製装置
    において、前記エアロゾルを発生させるエアロゾル発生
    器と、エアロゾルを噴射するノズルと、エアロゾル中の
    脆性材料微粒子の凝集を解砕する解砕器と、エアロゾル
    中の脆性材料微粒子を分級する分級器とを備えたことを
    特徴とする複合構造物作製装置。
  47. 【請求項47】 請求項44乃至46のいずれか1項に
    記載の複合構造物作製装置において、この複合構造物作
    製装置には、脆性材料微粒子に内部歪を付与する前処理
    装置が付設されることを特徴とする複合構造物作製装
    置。
  48. 【請求項48】 請求項44乃至47のいずれか1項に
    記載の複合構造物作製装置において、この複合構造物作
    製装置は、脆性材料微粒子に内部歪を印加するための衝
    撃付与手段を備えていることを特徴とする複合構造物作
    製装置。
  49. 【請求項49】 請求項44乃至48のいずれか1項に
    記載の複合構造物作製装置において、前記基板と前記ノ
    ズルとの相対位置を制御する位置制御手段を備えたこと
    を特徴とする複合構造物作製装置。
  50. 【請求項50】 請求項49に記載の複合構造物作製装
    置において、前記位置制御手段が、前記ノズルを先端に
    備えた屈曲自在な可動アームであることを特徴とする複
    合構造物作製装置。
  51. 【請求項51】 請求項44乃至50のいずれか1項に
    記載の複合構造物作製装置において、前記エアロゾル発
    生器が、前記脆性材料微粒子を収容する容器及び、この
    容器に機械的振動作用を与える振動装置、電界を付与す
    る電界発生装置の少なくとも何れかを備え、前記容器は
    前記ガスを導入する導入部と、前記エアロゾルを導出す
    る導出部とを有することを特徴とする複合構造物作製装
    置。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載の複合構造物作製装
    置において、前記分級器が前記エアロゾル発生器の前記
    導出部であることを特徴とする複合構造物作製装置。
  53. 【請求項53】 請求項51に記載の複合構造物作製装
    置において、前記器に篩を設けると共に、容器に機械的
    振動作用を与える振動装置を備えたことを特徴とする複
    合構造物作製装置。
  54. 【請求項54】 請求項49乃至51のいずれか1項、
    又は請求項53に記載の複合構造物作製装置において、
    前記解砕器が、前記エアロゾルを夫々導入、導出する導
    入部及び導出部と、前記エアロゾルを衝突させる衝撃板
    とを備え、前記脆性材料微粒子の構造物を作成する速度
    よりも低速でエアロゾルを衝撃板に衝突させて、粗大な
    凝集状態にある超微粒子を解砕することを特徴とする複
    合構造物作製装置。
  55. 【請求項55】 請求項50に記載の複合構造物作製装
    置において、前記解砕器が複数の導入部を備え、この導
    入部から噴射される複数のエアロゾル流を互いに衝突さ
    せて解砕することを特徴とする複合構造物作製装置。
  56. 【請求項56】 請求項46乃至50のいずれか1項、
    又は請求項54、若しくは請求項55に記載の複合構造
    物作製装置において、前記解砕器は、前記エアロゾルに
    超音波及び/又はマイクロ波を照射するものであること
    を特徴とする複合構造物作製装置。
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