JP2002190512A - 静電チャックおよびその製造方法 - Google Patents
静電チャックおよびその製造方法Info
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Abstract
膜厚が従来に比べ薄く、緻密で、熱伝導性、耐摩耗性、
耐食性、汚染性などの諸特性に優れた静電チャックを提
供する。 【解決手段】予め内部歪を有する脆性材料微粒子を高速
で基板表面に吹付ける。すると、基板との衝突により脆
性材料微粒子は変形或いは破砕される。この変形或いは
破砕によって活性な新生面が現れ、この新生面を介して
結晶子同士が強硬に再結合する。
Description
ラス基板等の被処理物を吸着する静電チャックとその製
造方法に関する。
ドライエッチングやスパッタリング、CVDなどの手法
で処理する半導体製造装置に、半導体ウェハの平坦度を
維持しつつ強力に固定する部材として広く用いられてお
り、ウェハと接触して保持する誘電体層と、固定保持す
るための静電力を発生させる電極からなり、冷却機能を
持つジャケットと呼ばれる冷却プレート上に接着固定さ
れて使用される。誘電体層はセラミックスや高分子材料
が用いられている。
などのセラミックスを誘電体層として使用する場合は、
使用温度環境で最適な吸着力を発揮する様、酸化チタン
などを添加した二元系以上の組成のものが使用されてお
り、純粋な静電力であるクーロン力のほか極微小な電流
が流れる状態で発生するジョンセン・ラーベック力を利
用して強力な吸着力を得ている。あるいは高分子材料の
誘電体層としてポリイミドなどが使用された静電チャッ
クも使用されている。
特開昭62−264638号公報にあるように、セラミ
ックスのグリーンシート上に電極となる導体層を形成
し、この上にセラミックスのグリーンシートを積層させ
て焼成し、表面から研削・研磨を行う手法が代表的であ
る。
−69554号公報にあるように、金属基板をブラスト
して表面に凹凸を形成させた後、金属溶射皮膜をアンダ
ーコート層として形成し、この上に酸化アルミニウム・
酸化チタン二元系のセラミック溶射材料をプラズマ溶射
法により被覆してトップコート層を形成し、表面を研磨
仕上げして、さらにケイ素化合物を塗布して表面に生成
している孔を封孔する手法がある。この方法は生産性に
優れ、また従来の溶射法よりも電気抵抗率の安定や密着
性などの面で向上が期待される。
載はないが、基板表面にセラミックスの層を形成する新
たな被膜形成方法として、ガスデポジション法(加集誠
一郎:金属 1989年1月号)や静電微粒子コーティ
ング法(井川 他:昭和52年度精密機械学会秋季大会
学術講演会前刷)が知られている。前者は金属やセラミ
ックス等の超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微
小なノズルを通して加速せしめ、基板に衝突した際に運
動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、微粒子
間あるいは微粒子と基板間を焼結することを基本原理と
しており、後者は微粒子を帯電させ電場勾配を用いて加
速せしめ、この後はガスデポジション法と同様に衝突の
際に発生する熱エネルギーを利用して焼結することを基
本原理としている。
静電微粒子コーティング法を改良した先行技術として、
特開平8−81774号公報、特開平10−20217
1号公報、特開平11−21677号公報或いは特開2
000−212760号公報に開示されるものが知られ
ている。これらの先行技術も静電チャックへの適用につ
いての記載はない。
技術は、融点の異なる2種類の金属または有機物を、抵
抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタ
リング、アークプラズマ等で加熱蒸発させ、この加熱蒸
発により粒子径が0.1μm以下の表面が非常に活性な
超微粒子とし、この超微粒子を融点の異なる金属ごとに
ノズルを用い、3次元立体形状の断面CADデータに基
づいて基板に吹き付け、これを繰り返すことで融点の異
なる2種類の金属からなる3次元立体形状物を形成し、
この後、2種類の金属の融点の中間温度で3次元立体形
状物を加熱することで低融点金属部分を溶融除去し、高
融点金属部分のみを残すようにしている。
れる技術は、前記した抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高
周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等で加
熱蒸発することで得た超微粒子を基板に向けて噴射する
にあたり、マスクの開口を通して行うことで、肩だれの
ない3次元立体形状物を得るようにしている。
る技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送す
る際あるいは金属やセラミックスを加熱蒸発させる際
に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止
するために、中間の経路に分級装置を配置するようにし
ている。
される技術は、粒径が10nm〜5μmの超微粒子(前
記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものではない)
に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温
プラズマなどを照射することにより、超微粒子を溶融せ
しめることなく活性化し、この状態のまま基板に3m/
sec〜300m/secの速度で吹き付けることで、超微粒
子相互の結合を促進して誘電体層を形成するようにした
ものである。
ち、グリーンシート法では、可塑変形体の積層物の焼成
を行なうため、必然的に焼成後に反りが発生する。焼成
後、表面から平面研削を行なって最上部の誘電体層をな
るべく薄くなるよう加工を施すわけであるが、内部電極
が反っているため、誘電体層の研削に限度が有り電極か
ら表面までの距離は数百μmまでで抑えることが一般的
である。しかも反りのある内部電極から表面までの距離
は一個体内でもまちまちであり、個体差も発生する。こ
のことは静電チャックの吸着性能の個体差を生む原因と
なっている。また、誘電体層が厚いため、十分な吸着力
を発生させるべく、酸化アルミニウムなどの比較的高電
気抵抗率を持ち機械的特性に優れたセラミックスに、酸
化チタンなどの比較的低電気抵抗率の物質をまぜて、ジ
ョンセン・ラーベック効果を発現させる工夫を持たせて
いたが、チタンなどの金属成分が静電チャック使用時に
ウェハとの摩擦摩耗により付着し、ウェハを汚染すると
いう問題を抱えていた。
チャックは、金属製の冷却プレートに例えばインジウム
などのボンディング材により熱融着させて使用される
が、熱伝導率に劣るセラミックス誘電体の厚み、すなわ
ち静電チャック自体の厚みが数mmあることから冷却効
率が悪く、従ってドライエッチング工程でウェハに導入
される熱量を抑える必要があったり、あるいはウェハ面
内で温度の不均一分布を生じさせる原因となるなどの問
題点があった。
ルレベルの結晶粒からなる多結晶体を形成させることは
困難で、焼結助剤を用いて焼成するため、粒子同士の界
面に特定の元素が偏析を起こし、所望の特性の達成を阻
害する原因になる。
積によって誘電体層を形成させるというその手法の特徴
から、結晶成長エネルギーの低い結晶面から優先的に成
長する為、配向性を持ったり、基板から柱状に結晶が形
成されるなどの特徴的な構造を持ち、無秩序な結晶配向
の粒状多結晶体を形成させることは困難である。
一般に多孔体となり、この膜中の孔の存在が膜の絶縁破
壊電圧を低下させるために、あるいは使用するセラミッ
ク溶射材料の制限を受けるなどして、その被覆厚さを5
0〜500μmの比較的厚膜で形成させる必要がある。
さらに表面研磨した場合に、表面が多孔性となるため、
比表面積が大きくなり、使用環境によっては、誘電体層
の腐食などによる劣化を早める原因となっていた。この
ため表面にあらためてケイ素化合物を塗布する必要もあ
る。
ば主原料に酸化アルミニウムを使用する場合には、これ
に酸化チタンを添加して電気抵抗率を下げる必要が有
り、やはり酸化チタンがウェハの汚染源として問題とな
る。特に表面が多孔性の場合では、耐摩耗性も緻密質に
比べて劣るため、ウェハの汚染を進める原因ともなって
いる。汚染源という観点からは、溶射ノズルに使用され
るアノード、カソードが僅かに溶出し、誘電体層に混ざ
り込むことも上げられる。これは電気抵抗率や耐電圧値
にも影響を与える。
用いる場合には、耐摩耗性に劣るため、ウェハや製造装
置内の汚染を助長するとともに、静電チャックの交換頻
度も高くなるという不具合があった。また有機材料ゆえ
に耐熱性にも劣る。
製においては比較的結晶子の小さな膜が低温で作製でき
る技術が開発されてきている。しかしながら一般的に一
回の製膜工程で達成される膜厚は数nmから数百nmレベ
ルであり、厚膜を形成させようとする場合はこの工程を
繰り返す必要がある。この際実質的には下地膜を強固に
する為に加熱処理を施す必要があり下地層の粒成長が起
こる。粒成長を起こさない低温での製膜では緻密度が大
きくならない問題がある。また多数回の製膜工程を経る
と膜にクラックが発生するという問題が解決できていな
い。またこのゾルゲル法あるいは溶液中析出法などの微
細組織のセラミック膜作製方法は湿式が多く、膜中に溶
液中の他の溶質や溶媒が混入して膜特性の劣化や組成の
ずれなどが生じる場合がある。
平10−202171号公報および特開平11−216
77号公報に開示される方法にあっては、超微粒子を得
るための加熱手段(抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周
波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等)が必
要となり。また基本原理が衝突の際に運動エネルギーを
熱エネルギーに変換して焼結させるというものであり、
これを静電チャックの製造に応用した場合、基板上に形
成される誘電体層の粒子径は粒成長により、原料の超微
粒子よりも大きくなってしまう。
760号公報に開示される技術について引き続き追試を
行ってきた。その結果、金属(延展性材料)とセラミッ
クスや半金属などの脆性材料とでは異なる挙動を示すこ
とが判明した。即ち、脆性材料にあっては、イオンビー
ム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを
照射することなく、つまり特別な活性化手段を用いるこ
となく誘電体層を形成することができた。しかしなが
ら、同公報に記載された条件である微粒子の粒径を10
nm〜5μm、衝突速度を3m/sec〜300m/secと
しただけでは誘電体層の剥離強度が不足していたり、或
いは部分的に剥離しやすかったり、密度も不均一となる
など新たな問題が生じた。
た静電チャックの提案とその製造方法であり、静電吸着
力に大きく関係するセラミック誘電体部分の膜厚が従来
に比べ比較的薄く、緻密質で、重金属を含まないため、
熱伝導性、耐摩耗性、耐食性、汚染性などの静電チャッ
クに要求される諸特性に優れた静電チャックを提供する
ことにある。
づいてなされたものである。セラミックスは自由電子を
ほとんど持たない共有結合性あるいはイオン結合性が強
い原子結合状態にある。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱
い。シリコンやゲルマニウムのような半金属も、延展性
を持たない脆性材料である。従ってこれらの脆性材料に
機械的衝撃力を付加した場合、例えば結晶子同士の界面
などの壁開面に沿って結晶格子のずれを生じたり、ある
いは破砕されたりなどする。これらの現象が起こると、
ずれ面や破面にはもともと内部に存在し、別の原子と結
合していた原子が剥き出しの状態となり、すなわち新生
面が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もと
もと安定した原子結合状態から外力により強制的に不安
定な表面状態に晒される。すなわち表面エネルギーが高
い状態となる。この活性面が隣接した脆性材料表面や同
じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合
して安定状態に移行する。外部からの連続した機械的衝
撃力の付加は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の
変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、それによ
って形成された堆積物の緻密化が行われる。このように
して、脆性材料の堆積物が形成される。
係る静電チャックの誘電体層の微視的な構造は従来の製
法で得られたものと明らかに異なっている。即ち、本発
明に係る静電チャックの誘電体層は、電極である基板あ
るいは電極を複数配置した基板に直接接合され、多結晶
であり、前記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配
向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガラス質から
なる粒界層が実質的に存在せず、更に前記誘電体層の一
部は基板表面に食い込むアンカー部となっている。
語句の解釈を以下に行う。 (多結晶)本件では結晶子が接合・集積してなる構造体
を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しそ
の径は通常5nm以上である。本願の製法においては、そ
の平均径は、一般的にナノメートルレベルと非常に微細
となる。ただし、微粒子が破砕されずに誘電体層中に取
り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多
結晶である。 (結晶配向性)本件では多結晶である誘電体層中での結
晶軸の配向具合を指し、配向性があるかないかは、一般
には実質的に配向性のないと考えられる粉末X線回折な
どによって標準データとされたJCPDS(ASTM)データを
指標として判断する。本件では後述する実施例4に示す
ような見方において、主要なピークのずれが30%以内
に収まっている場合を実質的に配向性がないと称する。 (界面)本件では結晶子同士の境界を構成する領域を指
す。 (粒界層)界面あるいは焼結体でいう粒界に位置するあ
る厚み(通常数nm〜数μm)を持つ層で、通常結晶粒
内の結晶構造とは異なるアモルファス構造をとり、また
場合によっては不純物の偏析を伴う。 (アンカー部)本件の場合には、基板と誘電体層の界面
に形成された凹凸を指し、特に、予め基板に凹凸を形成
させるのではなく、誘電体層形成時に、元の基板の表面
精度を変化させて形成される凹凸のことを指す。 (平均結晶子径)X線回折法におけるScherrerの方法に
よって算出される結晶子のサイズであり、本件ではマッ
クサイエンス社製MXP-18を使用して測定・算出した。 (内部歪)微粒子に含まれる格子歪のことで、X線回折
測定におけるHall法を用いて算出される値であり、微粒
子を十分にアニールした標準物質を基準として、そのず
れを百分率表示する。 (再凝集)微粒子の粉砕中に微粒子の一次粒子の表面か
ら破砕・脱落した微細な断片が(必ずしも同一でない)
一次粒子表面に付着・結合して表面層を形成した状態を
指す。 (基板に衝突する際の脆性材料微粒子の速度)脆性材料
微粒子の速度に関しては、実施例3に記載の方法に従っ
て測定した平均速度のことを意味する。
結晶が熱による粒成長を伴っており、特に焼結助剤を用
いた場合には粒界層としてガラス層が生じる。一方、本
発明に係る静電チャックの誘電体層は、原料微粒子の変
形または破砕を伴うため、原料微粒子よりも誘電体層の
構成粒子の方が小さくなっている。例えば、レーザ回折
法やレーザ散乱法で計測される微粒子の平均粒径を0.
1〜5μmとすることで形成される誘電体層の平均結晶
子径は100nm以下となるような場合が多く、このよ
うな微細結晶子からなる多結晶体をその組織として持
つ。その結果、平均結晶子径が500nm以下で緻密度
が70%以上、または平均結晶子径が100nm以下で
緻密度が95%以上、または平均結晶子径が50nm以
下で緻密度が99%以上の緻密な誘電体層とすることが
できる。ここで、緻密度(%)は、文献値、理論計算値
による真比重と、誘電体層の重量および体積値から求め
た嵩比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式か
ら算出される。
ハを数万回に亘ってチャックさせる機能を持ち、エッチ
ングなどの加熱操作によって数万回の昇温、冷却サイク
ルにさらされる。このとき熱膨張率の違いなどによって
ウェハと静電チャックの間で摩擦摩耗が生じ、摩耗粉の
ウェハへの付着による汚染が問題になっているが、本発
明の静電チャックの誘電体層は微細な多結晶であるため
耐摩耗性に優れ、汚染を低減させることができる。
突などの機械的衝撃による変形または破砕を伴うため、
結晶の形状として扁平なもの或いは細長いものは存在し
にくく、その結晶子形状はおおよそ粒状と見て良く、ア
スペクト比はおおよそ2.0以下となる。また微粒子が
破砕した断片粒子の再接合部であるため、結晶配向を持
つことはなく、ほとんど緻密質であるため、硬さ、耐摩
耗性、耐食性などの機械的・化学的特性に優れる。
から再接合までが瞬時に行われるため、接合時に微細断
片粒子の表面付近で原子の拡散はほとんど行われない。
従って、誘電体層の結晶子同士の界面の原子配列に乱れ
がなく溶解層である粒界層(ガラス層)は殆ど形成され
ず、形成されても1nm以下である。そのため、耐食性
などの化学的特性に優れる特徴を示す。
ガスを用いて製造装置を洗浄する場合があり、静電チャ
ックがこの腐食性ガスに暴露されるが、多結晶のセラミ
ックスからなる誘電体層のうち、結晶子同士の界面すな
わち粒界のガラス層が最も腐食され易く、従ってガラス
層がエッチングされて誘電体層表面の精度を劣化させ
る。これは静電チャックの耐摩耗性を劣化させることに
なり、チャックの寿命を短くする原因となる。本発明で
は結晶子同士の界面のガラス層を全くなくす、あるいは
ガラス層の厚みを1nm以下に抑えることにより、耐食
性を向上させ、静電チャックの特性の劣化を遅らせるこ
とが可能となる。
の別の一態様では、上述の静電チャックにおいて、基板
が冷却機能を有することを特徴とする。チャックされた
ウェハにエッチング操作を行なう場合、ウェハ表面は加
熱されるため、ウェハを冷却しつつ一定のプロセス温度
に制御する必要がある。通常アルミニウム合金素材など
で作られた液冷冷却プレートに静電チャックをインジウ
ムボンディングなどの手法により張り付け、あるいはボ
ルト固定して接触させ、冷却プレートを低温にすること
により静電チャックを介してウェハの温度制御を行なう
が、本発明では、冷却プレート上に上述の特性を有する
セラミック誘電体層を形成させて、冷却プレートそのも
のにチャック特性を持たせるため、その冷却効率が著し
く良好になる。この場合は冷却プレートを電極として用
いることができる。
の別の一態様では、上述のセラミック誘電体層におい
て、結晶子同士の界面に、結晶子を構成する主要な元素
以外の金属元素あるいは半金属元素が偏析していないこ
とを特徴とする。セラミック焼結体などでは、結晶子同
士の界面に焼結助剤などが偏析し、これが耐食性の劣
化、あるいは耐摩耗性の劣化の原因となる。偏析した金
属元素などがウェハに付着して汚染の原因ともなる。本
発明ではこれらの懸念がない。
の別の一態様では、上述のセラミック誘電体層が、酸化
アルミニウムが主成分であり、その純度が99%以上が
望ましい。酸化アルミニウムは静電チャックの用途とし
てみて良好な機械的特性、電気的特性、化学的特性を保
有しており、従来の静電チャックにも多く使用されてい
る素材である。従来は製造プロセスの制約のため、酸化
アルミニウムを主成分としていても、これに焼結助剤が
混在していたり、多孔体であったりするなどで十分な素
材の特性を活かすことができなかった。この素材を用い
て上述のような微細多結晶の緻密質誘電体層を形成させ
ることにより、さらに耐摩耗性、表面平滑性、絶縁性、
耐食性を向上させることができる。
り、これらの特性をさらに向上させることができる。不
純物が存在しなければ、それらによるウェハの汚染の心
配もない。
ウムと酸化チタンの固溶体であってもよい。酸化アルミ
ニウムに比べて若干電気抵抗率が低いこの元素を添加す
ることにより、ジョンセン・ラーベック力を発現させる
ことが容易となり、すなわち静電チャックの吸着力を向
上させることが可能となる。
素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マ
グネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、窒化
硼素を構成する成分のいずれかあるいはこれらの組み合
わせを含む。これらは、耐摩耗性の向上、電気抵抗率の
制御、耐食性の向上などの目的に合わせて選択し、添加
される。
の別の一態様では、誘電体層における酸素量が制御さ
れ、誘電体層の組成が酸素の欠損あるいは過剰に基づく
非化学量論組成であることを特徴とする。
構成成分とした場合、酸化アルミニウムは電気抵抗率が
高いためにほとんど電流が流れない。このことはチャッ
ク力にほとんどクーロン力を利用するしかないという意
味であり、低電圧で十分な吸着力を発生させることが困
難である。誘電体層の組成内の元素例えば酸素の量を制
御し、特に粒界における酸素を欠損させたり過剰に存在
させて化学量論組成からのずれを生じさせたり、あるい
は酸素を含む化合物である水を誘電体層の組織内特に粒
界などに吸着させたり水酸基として化学結合させるなど
の修飾を行うことによってこれがために電子が移動し易
い状態になることが考えられる。従って電圧印加をした
場合、粒界付近に沿って極微小電流が流れる。これはす
なわちジョンセン・ラーベック効果を発現させることで
あり、低電気抵抗率の元素を添加する必要なく、高純度
酸化アルミニウムにて吸着力の大きなセラミック誘電体
層を形成させることができる。これにより添加物による
耐摩耗性、耐食性の劣化、ウェハの汚染の心配がなくな
り、また低電圧でも大きな吸着力が得られる。また結晶
子が微細であるがゆえに界面総面積が大きく、すなわち
電流の流れるルートを多く採ることができる点は、微細
多結晶体の優位点である。
は、セラミック誘電体層の厚さが50μm以下、望まし
くは30μm以下である。例えば純度の高い酸化アルミ
ニウムをセラミック誘電体層として使用する場合におい
ては、電気抵抗値が高いため、層厚さが比較的厚いとク
ーロン力が効果的に発現できず、この分吸着力が稼げな
い。また層厚さが厚いと熱伝導性にも劣り、ウェハの冷
却効率の低下や温度分布の乱れを起こす原因となる。例
えば酸化アルミニウムからなる誘電体層の厚さを50μ
m以下、望ましくは30μm以下にすることにより、低
電圧下でも吸着力が大きく、熱伝導特性の優れた、ウェ
ハ汚染性の少ない静電チャックが得られる。
様では、セラミック誘電体層の表面が研削あるいは/お
よび研磨処理を行なったものである。ウェハの各種処理
では、工程中のウェハの平面度の維持が重要であり、従
ってこれを保持する静電チャックの誘電体層の平面度が
要求される。静電チャック表面を超精密研削あるいは研
磨処理を行なうことにより、十分な平面度を達成でき
る。
るゆえに、面積の大きなウェハを吸着させた場合に、吸
着力が強すぎ、各種処理後のウェハ取り外しの際に大き
な力を要することがあり、ウェハの破壊を招く恐れすら
ある。このような場合には、誘電体層に凹凸を形成させ
て吸着実効面積を制御し、吸着力の制御を行なうように
するとよい。
先ず脆性材料微粒子に前処理を施して脆性材料微粒子に
内部歪を付与し、次いでこの内部歪を蓄えた脆性材料微
粒子を基材表面に高速で衝突させるか、基材表面に盛り
付けた内部歪を蓄えた脆性材料微粒子に機械的衝撃力を
付加することで、前記脆性材料微粒子を変形または破砕
し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介し
て微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境界部
にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料からな
るアンカー部を形成し、更にこのアンカー部の上に多結
晶脆性材料からなる誘電体を形成する。
させた際に変形或いは破砕しにくく、逆に内部歪が大き
くなると内部歪をキャンセルするために大きなクラック
が生じ、衝突させる前に脆性材料微粒子が破砕・凝集
し、この凝集物を基材に衝突させても新生面は形成され
にくい。したがって、本発明に係る静電チャックを得る
には、脆性材料微粒子の粒径および衝突速度は重要であ
るが、それ以上に原料の脆性材料微粒子に予め所定範囲
の内部歪を与えておくことが重要である。 最も好まし
い内部歪としては、クラックが形成される直前まで大き
くなった歪ということになるが、多少クラックが形成さ
れていても内部歪が残っている微粒子であれば構わな
い。微粒子に歪を与える粉砕処理は、微粒子にかかる粉
砕のための衝撃を大きく与えることのできる粉砕手段を
用いるのが好ましい。微粒子に比較的一様に大きな歪を
付与することができるからである。このような粉砕手段
としては、セラミックスの粉砕処理によく用いられるボ
ールミルに比べて大きな重力加速度を与えることの出来
る振動ミルやアトライタ、遊星ミルを用いるのが好まし
く、とりわけボールミルに比べて格段に大きな重力加速
度を与えることの出来る遊星ミルを用いることが最も好
ましい。
は、搬送ガスを用いる方法や、静電力を用いて微粒子を
加速する方法、溶射法、クラスターイオンビーム法、コ
ールドスプレー法などが挙げられる。このうち搬送ガス
を用いる方法は従来ガスデポジション法と呼ばれてお
り、金属や半金属、セラミックの微粒子を含むエアロゾ
ルをノズルより噴出させて高速で基板に吹き付け、微粒
子を基材上に堆積させて誘電体層を形成することによっ
て、微粒子の組成を持つ圧粉体などの堆積層を形成させ
る構造物形成法である。
ダイレクトで形成する方法を超微粒子ビーム堆積法(Ul
tra−Fine particles beam deposition method)ある
いはエアロゾルデポジション法と呼び、この明細書では
本発明に係る作製方法を以下この名称で呼ぶ。
微粒子ビーム堆積法)にあっては、前記脆性材料微粒子
は平均粒径が0.1〜5μmで、予め内部歪の大きなも
のを用いることが好ましい。これらの条件は基材に衝突
させた際などに新生面が形成されるかに密接に関係して
おり、粒径0.1μm未満では、粒径が小さすぎて破砕
や変形が生じにくい。5μmを超えると一部破砕は起こ
るものの、実質的にはエッチングによる膜の削り取り効
果が現れるようになり、また破砕が生じないで微粒子の
圧粉体の堆積に止まる場合が生じる。同じく、この平均
粒径で構造物形成を行なう場合、50m/s以下では、
圧粉体が構造物中へ混在する現象が観察されており、4
50m/s以上では、エッチング効果が目立つようにな
り、構造物形成効率が低下することがわかっている。さ
らには、150〜400m/s以下の範囲内であると、
これらの不具合がより良く解消される。ここで微粒子の
速度については、下記の実施例3に挙げた速度測定方法
により算出したものである。
歪はキャンセルされるためクラックはない方が好ましい
が、クラックがあっても所定の内部歪が存在すればよ
い。換言すれば、クラックが入る直前まで内部歪が蓄積
されている原料微粒子が最も好ましい。
した内容を追試してきた際に、セラミックスなどの脆性
材料については必ずしもよい結果が得られなかったの
は、上記の条件が整っていなかった可能性がある。
別の一態様では、脆性材料微粒子に含まれる酸素の量を
制御した工程を経た後に、次いでこの酸素の量を制御さ
れた脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させるか、
基材表面に盛り付けた、酸素の量を制御された脆性材料
微粒子に機械的衝撃力を付加することで、前記脆性材料
微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生
じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめる
ことで、基材との境界部にその一部が基材表面に食い込
む多結晶脆性材料からなるアンカー部を形成し、更にこ
のアンカー部の上に多結晶脆性材料からなる誘電体を形
成する。
子あるいは酸素を含む化合物例えば水や水酸基のことで
あり、これらが微粒子の表面などに吸着や結合をした状
態の脆性材料微粒子を用意する。この方法は例えば水蒸
気の存在する環境中でメカノケミカル的な作用、ボール
ミルや振動ミル、遊星ミルなどの装置によった処理を行
うことが有効な手段として挙げられる。特に乾式にて処
理することがより効率よく酸素の吸着を行うことができ
る。これら酸素量を制御された脆性材料微粒子を原料と
して誘電体層を形成することにより、誘電体層中の酸素
量を過剰にすることができ、このため体積固有抵抗値な
どの電気的特性を変化させることができると考えられ
る。
徴の1つは、室温あるいは比較的低温で行える点であ
り、基材として樹脂などの融点の低い材料を選定するこ
とができる。ただし、本発明方法においては加熱工程を
付加してもよい。例えば、静電チャックの実使用条件が
数百度の高温である場合では、セラミック誘電体層の形
成時の温度を同じとすることにより、基板とセラミック
誘電体層の熱膨張の違いによる熱応力がこの温度でキャ
ンセルされることとなり好適である。また前記多結晶脆
性材料からなる誘電体層を形成した後に、当該脆性材料
の融点以下の温度で加熱処理して結晶の組織制御を行う
ことが可能である。
法においては、原料微粒子に形成された新生面の活性を
ある程度の時間持続させるために、減圧下で行なうこと
が好ましい。
に係る静電チャックの製造方法を実施する場合には、搬
送ガスの種類および/または分圧を制御して、前記脆性
材料からなる誘電体層を構成する化合物の元素量を制御
したり、誘電体層中の酸素濃度を制御したり、誘電体層
中の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層や過剰層を
形成することで、誘電体層の電気的特性・機械的特性・
化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御するなどの
ことが考えられる。
物を超微粒子ビーム堆積法の原料微粒子として用い、こ
れに使用するガスの酸素分圧を抑えて誘電体層形成を行
なうと、微粒子が破砕し、微細断片粒子を形成した際
に、微細断片粒子の表面から酸素が気相中に抜け出し
て、表面相で酸素の欠損が起こるということが考えられ
る。こういったことが起こるとするならばこのあと微細
断片粒子同士が再接合するため、結晶粒同士の界面近傍
に酸素欠損層が形成される。また、欠損させる元素は酸
素に限らず、窒素、硼素、炭素などもでもよく、これら
も特定のガス種のガス分圧を制御して、気相・固相間の
元素量の非平衡状態による分配あるいは反応による元素
の脱落が起こることが考えられる。
別の一態様では、基板のチャック層被覆位置に、絶縁層
を介して一極以上の電極を形成し、次いで電極層上に、
超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電体層を厚さ
1μmから50μmで形成し、次いでセラミック誘電体
層を表面から研削および/あるいは研磨して厚さ0.5
μmから30μmのチャック層を形成する。
は、予め基板上に導電性の電極を印刷や蒸着、めっきな
どの手段で形成しておき、この上に超微粒子ビーム堆積
法によってセラミック誘電体層を形成させることができ
る。この手法は、2極以上の電極を必要とする場合に好
適である。
別の一態様では、基板のチャック層被覆位置に、絶縁層
を介して一極以上の電極を形成し、次いでチャック層被
覆位置を覆うように絶縁体層を厚さ5μm以下で形成
し、次いで超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電
体層を厚さ1μmから50μmで形成し、次いでセラミ
ック誘電体層を表面から研削および/あるいは研磨して
厚さ0.5μmから30μmのチャック層を形成する。
いたい場合においては、導電性であるがゆえに基板を複
数の電極として用いることが困難である。従って金属基
板に予め絶縁体の皮膜を形成させた後、必要数の電極を
形成させ、超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電
体層を形成する。絶縁体の皮膜形成には、超微粒子ビー
ム堆積法を用いても良いし、あるいはゾルゲル法、PV
D、CVD法などを用いても良い。これらの絶縁体皮膜
は薄い方が熱伝導に優れるため好適である。
るノズルと基板との相対位置を変化させながら誘電体層
を形成させるが、ノズルと基板の相対速度など、製膜速
度を制御することにより基板上のセラミック誘電体層の
堆積厚さを制御することが容易である。上述したよう
に、場合によってはセラミック誘電体層に凹凸をつける
ことが有効であり、必要に応じて厚みを制御すると良
い。例えば、吸着に利用される領域には必要な吸着力が
得られる程度の厚みで形成し、吸着に関与しない領域で
は、基板の耐食性を向上させる意味での薄膜コーティン
グとしてセラミック被覆をするという方法が採用でき
る。
一態様では、上述のような静電チャックの製造方法にて
製造された静電チャックについて、その基板およびセラ
ミック誘電体層の融点以下の温度で熱処理を行ない、セ
ラミック誘電体層の結晶子の粒成長を生じせしめる。
セラミック誘電体層は、その結晶子径が著しく小さいこ
とに特徴が有るが、硬度、耐摩耗性、内部歪量、耐食
性、誘電率、絶縁破壊電圧、電気抵抗値などの諸特性を
所望の値にするために、誘電体層の熱処理を行なうとよ
い。
一態様では、上述のような製造方法にて製造された静電
チャックの表面にマスクを配置し、ブラスト処理を行な
い、セラミック誘電体層に任意形状の凹凸を形成する。
電体層形成時にその表面に凹凸やスポットを形成させる
手法のほかにも、セラミック誘電体層を形成後に、あら
ためて表面を凹凸にするブラスト処理やエッチング処理
も有効な手法である。これにより吸着力の最適化が可能
となる。
一態様では、基板に冷却機能を有する冷却プレートを使
用する。特に銅あるいはアルミニウムを主成分とする金
属を使用する。
製造装置の冷却器に使用することは、その性能を向上さ
せるに都合が良い。現状でもアルミニウム合金などが使
用されている。超微粒子ビーム堆積法でセラミック誘電
体層を形成させる基板にこの冷却器の表面を用いること
により、構造が簡潔にして、冷却器と静電チャックとの
接着層などの不安定要素の介在を無くし、熱伝導性にも
優れた冷却機能付き静電チャックを製造することができ
る。
一態様では、超微粒子ビーム堆積法で使用されるセラミ
ック微粒子が純度99%以上の酸化アルミニウムである
ことを特徴とする。純度については湿式質量分析法に
て、アルミニウムの他に含まれる場合があるマグネシウ
ム、ケイ素、鉄などを含んだ総量の酸化物換算量に対す
る酸化アルミニウムの換算量として重量%で表すもので
あり、すなわち陽イオン中のアルミニウムの存在割合を
意味する。さらに場合によっては、使用されるセラミッ
ク微粒子からなる粉体に、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化
ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリ
ウム、窒化硼素の2種類以上の混合粉体あるいは2種類
以上の固溶体からなる粉体を使用する。
の酸化アルミニウムを適用したい場合には、その原料粉
体に純度99%以上の酸化アルミニウムを用い、超微粒
子ビーム堆積法で形成させることにより、この純度を厳
密に保つことができる。超微粒子ビーム堆積法は、焼成
などの様に加熱による元素の蒸発からくる元素比のずれ
などが生じない。PVDやCVDのようにガス種や圧力
などの環境を微妙に制御してはじめて、所望の組成の形
成物が得られるという煩雑さもない。粉体の組成を予め
制御していれば、それに従った組成の形成物が得られる
ため、簡便にして正確である。
態様として、冷却プレート一体型静電チャック1の構成
図を図1に示す。冷却プレート一体型静電チャック1
は、黄銅材質の上面が円形で平坦である冷却プレート1
1に純度99.8%の酸化アルミニウムからなる最大膜
厚10μmのセラミック誘電体層であるアルミナチャッ
ク層12を有する。このアルミナチャック層12は膜厚
3μmの薄膜層の上に、縦横10mmのスポット状のチ
ャック部が7μmの厚さで多数点在している構造となっ
ている。また、このアルミナチャック層12の気孔率は
1%以下であり、平均の結晶子径はX線回折法のSch
error & Hall Method計算式による
算出で9.8nmであることがわかっている。図2に示
すこの組織のTEM観察では、10nm程度の粒状の結
晶子が、無秩序な配向で分布してお互い接合しているの
が確認されており、これらの界面には界面層(粒界層)
が見られていない。スポット状のチャック部の上面はフ
ラットで、十分な平面度を有している。冷却プレート1
1内は空洞となっており、この内部に冷却媒13例えば
フロリナートが流れる仕組みとなっている。図中の矢印
は冷却媒13の流れを示している。アルミナチャック層
12上には、ウェハ14が載せられる。冷却プレート1
1は電極の一端を構成しており、電源15と接続され、
ウェハ14に導電線が接触するよう電気配線が取られて
いる。
図示しないウェハ移動アームによりウェハ14は、同じ
く図示しない半導体製造装置内に設置された冷却プレー
ト一体型静電チャック1上に搬送される。ウェハ14に
導電線を設置し、これにつながる電源のスイッチを入れ
ることにより、ウェハ14と電極である冷却プレート1
1との間にアルミナチャック層12を介して準静電的引
力が働き、ウェハ14が良好な平面度を保持して冷却プ
レート一体型静電チャック1に強固に固定される。この
ときの吸着力は図3に示すように、真空中において例え
ば200Vの電圧印加時で2000gf/cm2程度を
示し、電圧オンに際した吸着力応答性も数秒以内で定値
に達するなど、その特性は非常に良好である。冷却プレ
ート11内に25℃に維持された冷却媒13を流しつ
つ、ウェハ14上面よりエッチング操作などの半導体製
造プロセスを経る。このとき、ウェハ14は数kWの熱
量が加えられるが、10μmと極端に薄膜であるアルミ
ナチャック層12は良好な熱伝導特性を示し、またアル
ミナチャック層12と冷却プレート11の間には熱伝導
を妨げる空隙や接着層が存在しない為、冷却媒13の冷
却効果を十分に受けてウェハ14の冷却が効率よく行わ
れ、プロセス温度を低下させることとともに、ウェハ1
4面内での不均一温度分布も抑制される。このプロセス
温度の低下は、ウェハ14の熱膨張を抑制させる為、ア
ルミナチャック層12とウェハ14との界面での熱膨張
を受けての摩擦摩耗が減って、アルミナチャック層12
の寿命を向上させる。また高純度の酸化アルミニウムを
用いたアルミナチャック層12ゆえに、耐摩耗性も良好
で、さらに摩擦摩耗によるウェハ14の不純物汚染がな
い。
オフにしてウェハ14を取り外すことによって一連のプ
ロセスが終了するが、本実施例の静電チャックは、高純
度の酸化アルミニウムを用いているがため吸着力発現に
おいてジョンセン・ラーベック効果への依存性が少な
く、電源オフ時の吸着開放までの時間が1秒以内と極端
に短く、プロセス時間を短縮できる利点を持つ。
材質がむき出しの状態にあるが、半導体製造装置の腐食
ガスなどを使用した洗浄の際の材質の劣化が懸念される
場合には、黄銅の表面部を耐食性部材で被覆すると好適
である。
1の製造装置2の構成を示したものである。製造装置2
は真空ポンプ201に接続された真空チャンバー202
内にプログラム操作が可能なXYステージ203が設置
され、そのステージに冷却プレート204(図1の11
に等しい)が設置される。冷却プレート204のアルミ
ナチャック層被覆位置に対向して、ノズルマスク205
を有する製膜ノズル206が配置され、これがエアロゾ
ル搬送管207を介して、真空チャンバー202の外に
配置され、酸化アルミニウム微粒子を含むエアロゾルを
発生させるエアロゾル発生器208に接続される。エア
ロゾル発生器208はガス搬送管209を介して窒素ガ
スボンベ210と接続している。
を示す。製膜ノズル206の先端は長軸10mm短軸
0.4mmの開口を有しており、開口の先の空間部に幅
9.5mmのズリット開口を有するノズルマスク205
が配される。
ト一体型静電チャックの製造プロセスを述べる。真空ポ
ンプ201を稼動させて真空チャンバー202内を数k
Pa程度に保った状態で、窒素ガスボンベ210を開栓
し、所定流量で窒素ガスをエアロゾル発生器208内に
送り込んで内圧350kPa程度とする。エアロゾル発
生器208により酸化アルミニウム粒子を窒素ガスと混
合させてエアロゾルを発生させ、これをエアロゾル搬送
管207で加速させて、製膜ノズル206の先端の開口
より、エアロゾル中の酸化アルミニウム粒子の速度が亜
音速程度で、冷却プレート204のアルミナチャック層
被覆位置に向けて噴射する。酸化アルミニウム粒子は上
述のような速度でアルミナチャック層被覆位置に衝突
し、微細断片粒子に破砕されるなどして後、瞬時に再結
合し、微細な結晶子の接合物として、この位置に堆積し
製膜される。これが単なる粉体の堆積物である圧粉体で
はないことは、このアルミナチャック層の硬さがビッカ
ース硬さで1000kgf/mm2以上、冷却プレート
204との間の密着力で約700kgf/cm2の値が
確認されていることより明白である。
下においては、上述のような微細断片粒子の生成および
その後の瞬時の接合のほか、酸化アルミニウム粒子の膜
面への衝突によるエッチング(膜の削れ)、一部凝集し
ている酸化アルミニウム粒子の膜面への付着と離脱のよ
うな現象が同時に起こっている。すなわち膜の形成を阻
害する要因が並在しており、これらの悪要因を排除する
ことは、製膜速度の向上、製膜面の清浄化の重要な要素
となる。本発明ではエアロゾルの噴射方向はアルミナチ
ャック層被覆位置の鉛直方向に対して角度30°の傾斜
がなされている。これは、酸化アルミニウム粒子の膜面
への付着を低減させる手段として好適で、角度0°の場
合に付着によって膜面にクレータ状凹部の形成が見られ
るのに対し、角度15°から45°で、このクレータ状
凹部の形成が著しく低減されることが実験にて確認され
ている。
ル中の酸化アルミニウム粒子の速度は、ノズルの開口面
内である速度分布を持ち、開口の中央部が製膜に適した
速度で制御されている場合、壁面近傍ではこれより速度
が遅くなる。従って、ノズル周囲部、すなわち縦10m
m横0.4mmである製膜部のうちの周辺部位に当たる
場所では製膜性が良くない。製膜操作中、XYステージ
204はプログラム運転され、製膜ノズル206との相
対位置を変化させつつ必要面積にアルミナチャック層を
製膜する。縦10mm横0.4mmの製膜部位を徐々に
ずらしながら大面積を確保していくわけであるが、した
がって、製膜性に劣る製膜部の周辺部位の上に膜を重ね
ていく状態となり、このようにして得られたアルミナチ
ャック層は冷却プレート204との密着性が劣り、アル
ミナチャック層との界面での剥離を生じる場合がある。
これを解決する為に、製膜ノズル206の先にノズルマ
スク205を配置して速度の遅いノズル周囲部の酸化ア
ルミニウム粒子を除外する機構を設けている。本発明の
場合、ノズル周囲部の横すなわち短辺につきマスクがさ
れているが、ノズルマスクを長方形として、長辺と短辺
ともマスクし、速度の遅い粒子をすべて除外するとなお
効果は向上する。すなわち、密着性に優れたアルミナチ
ャック層を得ることが可能となる。
る為には、まず膜厚3μmとなるようなプログラム運転
にてチャック層被覆位置に一面に製膜する。その後、ス
ポット形成位置に製膜ノズル206を移動させ、この位
置でプログラム運転を行ない縦横10mm、高さ7μm
以上の製膜を行なってスポットを形成させる。もちろん
スポットの形状はこれに限らず、円形でも良い。スポッ
ト面積も任意である。
を使用しているが、ガス種類はこれに限らず、酸素、ヘ
リウム、アルゴン、水素、空気などを使用することがで
きる。
する冷却プレートは、製造装置2から取り外され、図示
しない研削研磨機により表面から研削研磨され、スポッ
ト表面が十分な平面度を持って分布する冷却プレート一
体型静電チャック1として達成される。スポット形成
は、製膜量を低減させることによる時間、コストの削減
に好適であるばかりでなく、ウェハとの接触面積を任意
に制御することによる吸着力や熱伝導特性のコントロー
ルにも好適となる。またスポット形成は、例えば厚さ1
0μmのアルミナチャック層を形成させた後、表面にマ
スクを配置させて、サンドブラストなどにより、スポッ
ト部を残してブラスト処理することによって行なっても
良い。
ているが、空冷の場合も考えられる。この場合冷却プレ
ートは例えば円盤状であり、この上にアルミナチャック
層が実施例1のようなスポット状で配置され、スポット
のない部分に冷却プレートを貫通させる通気口を設け
る。この通気口を利用してヘリウムガスなどの冷却ガス
を流し、ウェハとアルミナチャック層との隙間にこの冷
却ガスを充満させることにより、ウェハの冷却を行なう
ことができる。
レート一体型静電チャック3の構成図を示す。冷却プレ
ート一体型静電チャック3は、黄銅材質の上面が円形で
平坦である冷却プレート31に酸化珪素からなる絶縁層
32が配置され、この上に2極の電極33a、33bが
配置され、これらを被覆するように純度99.8%の酸
化アルミニウムからなる膜厚10μmで十分な平面度を
有する、セラミック誘電体層であるアルミナチャック層
34が配置される。冷却プレート31内は空洞となって
おり、この内部に冷却媒35例えばフロリナートが流れ
る仕組みとなっている。図中の矢印は冷却媒35の流れ
を示している。電極33a、33bは導電線を介して電
源36に接続されている。アルミナチャック層34上に
は、ウェハ37が載せられる。
は、前述の冷却プレート一体型静電チャック1に準じ
る。この場合は、電極33a、33bによって発生する
電場を吸着力発現の原動力としており、静電チャックの
一般的な形態のひとつである。アルミナチャック層34
をスポット状にしてもよいし、膜厚も任意である。電極
33a、33bは、PVD、CVD、印刷、メッキなど
の様々な手法により、様々な導電性物質を利用して形成
することが容易である。電極厚さも任意であるが、アル
ミナチャック層34の形成に大きな影響を与えないよ
う、10μm以下が適当である。絶縁層32は、ゾルゲ
ル法やポリシラザン法(東燃株式会社製)などにより容易
に形成できる。また特に酸化珪素に限ることもなく、絶
縁性が確保できれば材質は問わない。もちろん冷却プレ
ート31の材質も黄銅に限ることはなく、熱伝導性に優
れた比較的硬質のものであればなんでも良い。絶縁性の
材質であれば、絶縁層32を設ける必要もない。
チャック1および2で用いた原料微粒子には、予め前処
理を施して内部歪を形成しておく方が好ましいと考えら
れる。その理由を以下に示す。原料微粒子の内部歪とそ
れを用いて超微粒子ビーム堆積法にて形成した誘電体層
となる構造物の膜厚の関係について実験した結果を図7
に示す。実験は、純度99.6%の酸化アルミニウム微
粒子に遊星ミルを用いて粉砕処理を行い、微粒子のキャ
ラクタリゼーションを変化させた後、超微粒子ビーム堆
積法によりアルミニウム基板上に構造物を形成した。微
粒子の内部歪はX線回折により測定し、歪量は同微粒子
に熱エージングを施して内部歪を除去したものを0%と
して基準にした。
る微粒子のSEM写真(日立製インレンズSEM S−
5000)を図8、図9及び図10に示す。図7から内
部歪は0.25%〜2.0%の内部歪が好ましいことが分
かる。クラックと内部歪との関係は、内部歪がない場合
には図8に示すようにクラックは発生しないが、内部歪
が一定値以上、本件の場合には2.0%以上となると完
全にクラックが形成されてしまい、さらには脱落した断
片が表面に付着して図10に示すような再凝集状態とな
ってしまう。
いて行ったものである。平均粒径0.4μmの酸化アル
ミニウム微粒子を用いて本発明の超微粒子ビーム堆積法
によりステンレス基板上に厚さ20μmの酸化アルミニ
ウム構造物を形成した。この構造物の結晶配向性をX線
回折法(マックサイエンス社製MXP−18)により測
定した。この結果を表1に示す。
強度計算結果を[hkl]=[113]を100とした強度
比で示す。左から原料微粒子を薄膜光学系で測定した結
果、構造物を薄膜光学系で測定した結果、JCPDSカード
74−1081コランダム酸化アルミニウムデータ、原
料微粒子を集中光学系で測定した結果を記載する。
果がほぼ等しい為、原料粉体の薄膜光学系の結果を無配
向状態と基準し、このときの構造物の強度比のずれを百
分率表示したものを表2に示す。[113]を基準とし
て、他の3ピークのずれは11%以内に収まっており、
実質上構造物は結晶配向性がないと言える。
ム堆積法で構造物が形成される際の、ノズルから噴出さ
れる微粒子の速度を測定した結果である。図11に微粒
子速度測定装置を示す。図示しないチャンバー内にエア
ロゾルを噴射するノズル41が開口を上に向けて設置さ
れ、その先にモーターによって回転運動する回転羽根4
2の先に設置された基板43およびその基板表面から1
9mm下に離れて固定された幅0.5mmの切りかきを
もつスリット44を有する微粒子速度測定装置4を配置
する。ノズル41の開口から基板表面までの距離は24
mmである。
ルの噴射は、実際の構造物作製方法に準じて行う。構造
物形成装置内で構造物を形成する基板の代わりに、図の
微粒子速度測定装置4を設置して行うことが好適であ
る。図示しないチャンバーを減圧下におき、数Torr以下
の圧力としたのちにノズル41から微粒子を含むエアロ
ゾルが噴射させ、この状態で微粒子速度測定装置4を一
定回転速度で運転させる。ノズル41の開口から飛び出
した微粒子は、基板43がノズル41の上部に来た際に
その一部がスリット44の切りかきの隙間を通過して基
板表面に衝突し、基板43上に構造物(衝突痕)を形成
する。微粒子がスリットから19mm離れた基板表面に
到達する間に基板43は回転羽根42の回転によって位
置を変化させているため、基板43上におけるスリット
44の切りかきからの垂線交差位置よりその変位量分ず
れた位置に衝突する。この垂線交差位置から衝突して形
成された構造物までの距離を表面凹凸測定により計測
し、この距離およびスリット44と基板表面からの距
離、回転羽根42の回転速度の値を用いて、ノズル41
から噴射された微粒子の速度としては、ノズル41の開
口から5mm離れた場所から24mm離れた場所までの
平均速度を算出し、これを本件における微粒子の速度と
した。
ックの誘電体層に相当する構造物につき、その特性を評
価した。まず大気中で種種の粉砕条件で乾式遊星ミルを
用いて、平均粒径0.6μm、純度99.8%の酸化ア
ルミニウム微粒子を粉砕して前処理を行い、4種類の処
理微粒子を用意し、これらを用いて超微粒子ビーム堆積
法により金属基材上におおよそ10μmの形成高さの酸
化アルミニウム構造物をそれぞれ形成させた。図12に
形成された酸化アルミニウム構造物の酸素とアルミニウ
ムの比であるO/Alの組成比と酸化アルミニウム構造
物を電圧100V印加状態で測定した時の室温での体積
抵抗率(体積固有抵抗値)をプロットした結果を示す。
O/Alの組成比及び体積固有抵抗値は、酸化アルミニ
ウム構造物上にφ13mmの円形の電極とその外側に幅1mm
の電極を1mmのギャップをかいして円周上設けた外部電
極を設けた試料を作製し、円形電極と導電性の基材すな
わち下部電極との間で100Vの電圧を印加し、印加後
約30sec間放置し安定したの電流値をマイクロ電流計
で読みとり、各試料の値をオームの法則にて求めた。な
お、比較のために1700℃で焼成した酸化アルミニウ
ム焼結体のO/Alの組成比及び体積固有抵抗値もプロ
ットした。
ルミニウム構造物は、O/Alの組成比が大きくなるに
従い体積固有抵抗値は小さくなる傾向が認められた。例
えば、O/Alの組成比が0.049の酸化アルミニウ
ム構造物においては、酸化アルミニウム焼成体の0.0
44に比べて体積固有抵抗値が1014Ω・cmから10
8Ω・cmと下がり、電気を流しやすくなったことを示唆
した。
クは、基板上に形成される誘電体層が多結晶であり、前
記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がな
く、また前記結晶同士の界面にはガラス質からなる粒界
層が実質的に存在せず、更に前記誘電体層の一部は基板
表面に食い込むアンカー部となっているので、剥離強度
などの機械的特性、機械的及び電気的化学的特性に優れ
る。
法によれば、内部歪をもった原料脆性材料微粒子を高速
で基板表面に噴出することで誘電体層を形成するため、
簡単に且つ短時間のうちに静電チャックを製造すること
ができる。
全体図
ックの構成図
すグラフ
メージ
メージ
イメージ
おけるO/Alの組成比と体積固有抵抗値の関係
ート、12…アルミナチャック層(誘電体層)、13…
冷却媒、14…ウェハ、15…電源。2…製造装置、2
01…真空ポンプ、202…真空チャンバー、203…
XYステージ、204…冷却プレート、205…ノズル
マスク、206…製膜ノズル、207…エアロゾル搬送
管、208…エアロゾル発生器、209…ガス搬送管、
210…窒素ガスボンベ。3…冷却プレート一体型静電
チャック、31…冷却プレート、32…絶縁層、33
a、33b…電極、34…アルミナチャック(誘電体
層)、35…冷却媒、 36…電源、37…ウェハ。
Claims (37)
- 【請求項1】 導電性基板の表面に誘電体層が形成さ
れ、前記基板に電圧を印加することにより前記誘電体層
を介して前記基板と被吸着物間に吸着作用を生じさせる
静電チャックにおいて、前記誘電体層は多結晶の脆性材
料からなるとともに前記基板の表面に直接接合され、前
記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がな
く、また前記結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界
層が実質的に存在せず、さらに前記誘電体層の一部は基
板表面に食い込むアンカー部となっていることを特徴と
する静電チャック。 - 【請求項2】 絶縁体上に複数の電極を設けた基板の表
面に誘電体層が形成され、前記電極に電圧を印加するこ
とにより前記誘電体層を介して前記基板と被吸着物間に
吸着作用を生じさせる静電チャックにおいて、前記誘電
体層は多結晶の脆性材料からなるとともに前記基板の表
面に直接接合され、前記誘電体層を構成する結晶は実質
的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガ
ラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、さらに前記
誘電体層の一部は基板表面に食い込むアンカー部となっ
ていることを特徴とする静電チャック。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶は熱によ
る粒成長を伴っていないことを特徴とする静電チャッ
ク。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層は、平均結晶子径が50
0nm以下で緻密度が70%以上であることを特徴とす
る静電チャック。 - 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層は、平均結晶子径が10
0nm以下で緻密度が95%以上であることを特徴とす
る静電チャック。 - 【請求項6】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層は、平均結晶子径が50
nm以下で緻密度が99%以上であることを特徴とする
静電チャック。 - 【請求項7】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶は、アス
ペクト比が2.0以下であることを特徴とする静電チャ
ック。 - 【請求項8】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶の界面
に、結晶を構成する主要な元素以外の元素が偏析してい
ないことを特徴とする静電チャック。 - 【請求項9】 請求項1または請求項2に記載の静電チ
ャックにおいて、前記誘電体層の組成における酸素の量
を制御したことを特徴とする静電チャック。 - 【請求項10】 請求項1または請求項2に記載の静電
チャックにおいて、前記結晶は金属酸化物であり、かつ
前記誘電体層の組成が酸素の欠損あるいは過剰に基づく
非化学量論的組成であることを特徴とする静電チャッ
ク。 - 【請求項11】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記基板が冷却機能を有
することを特徴とする静電チャック。 - 【請求項12】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、酸化ア
ルミニウムを主成分とすることを特徴とする静電チャッ
ク。 - 【請求項13】 請求項12に記載の静電チャックにお
いて、前記酸化アルミニウムの純度が、99%以上であ
ることを特徴とする静電チャック。 - 【請求項14】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、酸化ア
ルミニウムと酸化チタンの固溶体であることを特徴とす
る静電チャック。 - 【請求項15】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マ
グネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、窒化
硼素を構成する成分のいずれかあるいはこれらの組み合
わせを含むことを特徴とする静電チャック。 - 【請求項16】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層の厚さが5
0μm以下であることを特徴とする静電チャック。 - 【請求項17】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層の表面が研
削あるいは/および研磨処理を行なったものであること
を特徴とする静電チャック。 - 【請求項18】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
子を導電性基板の表面または複数の電極を設けた絶縁性
基板の表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によって
前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形また
は破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再
結合せしめることで、基板との境界部にその一部が基板
表面に食い込むアンカー部を形成し、引き続いてこのア
ンカー部の上に脆性材料からなる誘電体層を形成するこ
とを特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項19】 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工
程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒
子を導電性基板の表面または複数の電極を設けた絶縁性
基板の表面に盛り付け、この脆性材料微粒子に機械的衝
撃力を付加し、その衝撃によって前記脆性材料微粒子を
変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性
な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、
基板との境界部にその一部が基板表面に食い込むアンカ
ー部と、このアンカー部の上に脆性材料からなる誘電体
層とを同時に形成することを特徴とする静電チャックの
製造方法。 - 【請求項20】 請求項18または請求項19に記載の
静電チャックの製造方法において、前記脆性材料微粒子
に内部歪を印加する工程は、再凝集を生じない程度に前
記微粒子に衝撃を与える工程としたことを特徴とする静
電チャックの製造方法。 - 【請求項21】 請求項18または請求項19に記載の
静電チャックの製造方法において、前記内部歪を印加す
る工程によって付与される内部歪を0.25%〜2.0%
の範囲としたことを特徴とする静電チャックの製造方
法。 - 【請求項22】 請求項18に記載の静電チャックの製
造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後
の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前
記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50
〜450m/Sであることを特徴とする静電チャックの
製造方法。 - 【請求項23】 請求項18に記載の静電チャックの製
造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後
の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前
記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が15
0〜400m/Sであることを特徴とする静電チャック
の製造方法。 - 【請求項24】 脆性材料微粒子に含まれる酸素の量を
制御した工程を経た後に、この酸素量が制御された脆性
材料微粒子を導電性基板の表面または複数の電極を設け
た絶縁性基板の表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃
によって前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この
変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子
同士を再結合せしめることで、基板との境界部にその一
部が基板表面に食い込むアンカー部を形成し、引き続い
てこのアンカー部の上に脆性材料からなる誘電体層を形
成することを特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項25】 脆性材料微粒子に含まれる酸素の量を
制御した工程を経た後に、この酸素量が制御された脆性
材料微粒子を導電性基板の表面または複数の電極を設け
た絶縁性基板の表面に盛り付け、この脆性材料微粒子に
機械的衝撃力を付加し、その衝撃によって前記脆性材料
微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生
じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめる
ことで、基板との境界部にその一部が基板表面に食い込
むアンカー部と、このアンカー部の上に脆性材料からな
る誘電体層とを同時に形成することを特徴とする静電チ
ャックの製造方法。 - 【請求項26】 請求項24に記載の静電チャックの製
造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後
の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前
記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50
〜450m/Sであることを特徴とする静電チャックの
製造方法。 - 【請求項27】 請求項24に記載の静電チャックの製
造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後
の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前
記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が15
0〜400m/Sであることを特徴とする静電チャック
の製造方法。 - 【請求項28】 請求項18乃至請求項27に記載の静
電チャックの製造方法において、この製造方法は室温で
行なうことを特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項29】 請求項18、19、24、25、28
のいずれかに記載の静電チャックの製造方法において、
前記多結晶脆性材料からなる誘電体層を形成した後に、
当該脆性材料の融点以下の温度で加熱処理して結晶の組
織制御を行うことを特徴とする静電チャックの製造方
法。 - 【請求項30】 請求項18、19、24、25のいず
れかに記載の静電チャックの製造方法において、この製
造方法は減圧下で行なうことを特徴とする静電チャック
の製造方法。 - 【請求項31】 請求項18または24に記載の静電チ
ャックの製造方法において、前記基板表面に脆性材料微
粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材料微粒子をガス
中に分散させたエアロゾルを、高速で基板材料に向けて
噴射することとした静電チャックの製造方法。 - 【請求項32】 請求項31に記載の静電チャックの製
造方法において、前記ガスの種類および/または分圧を
制御して、前記脆性材料からなる誘電体層を構成する化
合物の元素量を制御することを特徴とする静電チャック
の製造方法。 - 【請求項33】 請求項31に記載の静電チャックの製
造方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前
記脆性材料からなる誘電体層中の酸素の量を制御するこ
とを特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項34】 請求項31に記載の静電チャックの製
造方法において、前記ガスの種類および/または分圧を
制御して、前記脆性材料からなる誘電体層の電気的特性
・機械的特性・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を
制御することを特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項35】 請求項31に記載の静電チャックの製
造方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前
記脆性材料からなる誘電体層の電気的特性・機械的特性
・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御すること
を特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項36】 請求項18、19、24、25のいず
れかに記載の静電チャックの製造方法において、前記誘
電体層を厚さ1μmから50μmで形成し、次いでこの
誘電体層を表面から研削および/あるいは研磨して厚さ
0.5μmから30μmのチャック層を形成することを
特徴とする静電チャックの製造方法。 - 【請求項37】 請求項18乃至36のいずれかに記載
の静電チャックの製造方法において、前記セラミック誘
電体層表面にマスクを介してブラスト処理を行なうこと
で、誘電体層に任意形状の凹凸を形成することを特徴と
する静電チャックの製造方法。
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