JP4201502B2 - 静電チャックおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハやガラス基板等の被処理物を吸着する静電チャックとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電チャックは、例えば半導体ウェハをドライエッチングやスパッタリング、CVDなどの手法で処理する半導体製造装置に、半導体ウェハの平坦度を維持しつつ強力に固定する部材として広く用いられており、ウェハと接触して保持する誘電体層と、固定保持するための静電力を発生させる電極からなり、冷却機能を持つジャケットと呼ばれる冷却プレート上に接着固定されて使用される。誘電体層はセラミックスや高分子材料が用いられている。
【0003】
従来の静電チャックは、酸化アルミニウムなどのセラミックスを誘電体層として使用する場合は、使用温度環境で最適な吸着力を発揮する様、酸化チタンなどを添加した二元系以上の組成のものが使用されており、純粋な静電力であるクーロン力のほか極微小な電流が流れる状態で発生するジョンセン・ラーベック力を利用して強力な吸着力を得ている。あるいは高分子材料の誘電体層としてポリイミドなどが使用された静電チャックも使用されている。
【0004】
静電チャックの従来の製法としては例えば特開昭62−264638号公報にあるように、セラミックスのグリーンシート上に電極となる導体層を形成し、この上にセラミックスのグリーンシートを積層させて焼成し、表面から研削・研磨を行う手法が代表的である。
【0005】
また別の従来製法として、例えば特開平9−69554号公報にあるように、金属基板をブラストして表面に凹凸を形成させた後、金属溶射皮膜をアンダーコート層として形成し、この上に酸化アルミニウム・酸化チタン二元系のセラミック溶射材料をプラズマ溶射法により被覆してトップコート層を形成し、表面を研磨仕上げして、さらにケイ素化合物を塗布して表面に生成している孔を封孔する手法がある。この方法は生産性に優れ、また従来の溶射法よりも電気抵抗率の安定や密着性などの面で向上が期待される。
【0006】
また、静電チャックへの適用についての記載はないが、基板表面にセラミックスの層を形成する新たな被膜形成方法として、ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989年1月号)や静電微粒子コーティング法(井川 他:昭和52年度精密機械学会秋季大会学術講演会前刷)が知られている。前者は金属やセラミックス等の超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加速せしめ、基板に衝突した際に運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、微粒子間あるいは微粒子と基板間を焼結することを基本原理としており、後者は微粒子を帯電させ電場勾配を用いて加速せしめ、この後はガスデポジション法と同様に衝突の際に発生する熱エネルギーを利用して焼結することを基本原理としている。
【0007】
また、上記のガスデポジション法あるいは静電微粒子コーティング法を改良した先行技術として、特開平8−81774号公報、特開平10−202171号公報、特開平11−21677号公報或いは特開2000−21276号公報に開示されるものが知られている。これらの先行技術も静電チャックへの適用についての記載はない。
【0008】
特開平8−81774号公報に開示される技術は、融点の異なる2種類の金属または有機物を、抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等で加熱蒸発させ、この加熱蒸発により粒子径が0.1μm以下の表面が非常に活性な超微粒子とし、この超微粒子を融点の異なる金属ごとにノズルを用い、3次元立体形状の断面CADデータに基づいて基板に吹き付け、これを繰り返すことで融点の異なる2種類の金属からなる3次元立体形状物を形成し、この後、2種類の金属の融点の中間温度で3次元立体形状物を加熱することで低融点金属部分を溶融除去し、高融点金属部分のみを残すようにしている。
【0009】
特開平10−202171号公報に開示される技術は、前記した抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等で加熱蒸発することで得た超微粒子を基板に向けて噴射するにあたり、マスクの開口を通して行うことで、肩だれのない3次元立体形状物を得るようにしている。
【0010】
特開平11−21677号公報に開示される技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送する際あるいは金属やセラミックスを加熱蒸発させる際に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止するために、中間の経路に分級装置を配置するようにしている。
【0011】
特開2000−21276号公報に開示される技術は、粒径が10nm〜5μmの超微粒子(前記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものではない)に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを照射することにより、超微粒子を溶融せしめることなく活性化し、この状態のまま基板に3m/sec〜300m/secの速度で吹き付けることで、超微粒子相互の結合を促進して誘電体層を形成するようにしたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来法のうち、グリーンシート法では、可塑変形体の積層物の焼成を行なうため、必然的に焼成後に反りが発生する。焼成後、表面から平面研削を行なって最上部の誘電体層をなるべく薄くなるよう加工を施すわけであるが、内部電極が反っているため、誘電体層の研削に限度が有り電極から表面までの距離は数百μmまでで抑えることが一般的である。しかも反りのある内部電極から表面までの距離は一個体内でもまちまちであり、個体差も発生する。このことは静電チャックの吸着性能の個体差を生む原因となっている。また、誘電体層が厚いため、十分な吸着力を発生させるべく、酸化アルミニウムなどの比較的高電気抵抗率を持ち機械的特性に優れたセラミックスに、酸化チタンなどの比較的低電気抵抗率の物質をまぜて、ジョンセン・ラーベック効果を発現させる工夫を持たせていたが、チタンなどの金属成分が静電チャック使用時にウェハとの摩擦摩耗により付着し、ウェハを汚染するという問題を抱えていた。
【0013】
さらにグリーンシート法で作製される静電チャックは、金属製の冷却プレートに例えばインジウムなどのボンディング材により熱融着させて使用されるが、熱伝導率に劣るセラミックス誘電体の厚み、すなわち静電チャック自体の厚みが数mmあることから冷却効率が悪く、従ってドライエッチング工程でウェハに導入される熱量を抑える必要があったり、あるいはウェハ面内で温度の不均一分布を生じさせる原因となるなどの問題点があった。
【0014】
また、グリーンシート法では、ナノメートルレベルの結晶粒からなる多結晶体を形成させることは困難で、焼結助剤を用いて焼成するため、粒子同士の界面に特定の元素が偏析を起こし、所望の特性の達成を阻害する原因になる。
【0015】
一方、PVDやCVDなどでは、原子の堆積によって誘電体層を形成させるというその手法の特徴から、結晶成長エネルギーの低い結晶面から優先的に成長する為、配向性を持ったり、基板から柱状に結晶が形成されるなどの特徴的な構造を持ち、無秩序な結晶配向の粒状多結晶体を形成させることは困難である。
【0016】
また溶射法を用いた場合では、誘電体層は一般に多孔体となり、この膜中の孔の存在が膜の絶縁破壊電圧を低下させるために、あるいは使用するセラミック溶射材料の制限を受けるなどして、その被覆厚さを50〜500μmの比較的厚膜で形成させる必要がある。さらに表面研磨した場合に、表面が多孔性となるため、比表面積が大きくなり、使用環境によっては、誘電体層の腐食などによる劣化を早める原因となっていた。このため表面にあらためてケイ素化合物を塗布する必要もある。
【0017】
また十分な吸着力を発生させるには、例えば主原料に酸化アルミニウムを使用する場合には、これに酸化チタンを添加して電気抵抗率を下げる必要が有り、やはり酸化チタンがウェハの汚染源として問題となる。特に表面が多孔性の場合では、耐摩耗性も緻密質に比べて劣るため、ウェハの汚染を進める原因ともなっている。汚染源という観点からは、溶射ノズルに使用されるアノード、カソードが僅かに溶出し、誘電体層に混ざり込むことも上げられる。これは電気抵抗率や耐電圧値にも影響を与える。
【0018】
誘電体層にポリイミドなどの高分子材料を用いる場合には、耐摩耗性に劣るため、ウェハや製造装置内の汚染を助長するとともに、静電チャックの交換頻度も高くなるという不具合があった。また有機材料ゆえに耐熱性にも劣る。
【0019】
また、ゾルゲル法によるセラミック膜の作製においては比較的結晶子の小さな膜が低温で作製できる技術が開発されてきている。しかしながら一般的に一回の製膜工程で達成される膜厚は数nmから数百nmレベルであり、厚膜を形成させようとする場合はこの工程を繰り返す必要がある。この際実質的には下地膜を強固にする為に加熱処理を施す必要があり下地層の粒成長が起こる。粒成長を起こさない低温での製膜では緻密度が大きくならない問題がある。また多数回の製膜工程を経ると膜にクラックが発生するという問題が解決できていない。またこのゾルゲル法あるいは溶液中析出法などの微細組織のセラミック膜作製方法は湿式が多く、膜中に溶液中の他の溶質や溶媒が混入して膜特性の劣化や組成のずれなどが生じる場合がある。
【0020】
一方、特開平8−81774号公報、特開平10−202171号公報および特開平11−21677号公報に開示される方法にあっては、超微粒子を得るための加熱手段(抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等)が必要となり。また基本原理が衝突の際に運動エネルギーを熱エネルギーに変換して焼結させるというものであり、これを静電チャックの製造に応用した場合、基板上に形成される誘電体層の粒子径は粒成長により、原料の超微粒子よりも大きくなってしまう。
【0021】
一方、本発明者らは特開2000−21276号公報に開示される技術について引き続き追試を行ってきた。その結果、金属(延展性材料)とセラミックスや半金属などの脆性材料とでは異なる挙動を示すことが判明した。即ち、脆性材料にあっては、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを照射することなく、つまり特別な活性化手段を用いることなく誘電体層を形成することができた。しかしながら、同公報に記載された条件である微粒子の粒径を10nm〜5μm、衝突速度を3m/sec〜300m/secとしただけでは誘電体層の剥離強度が不足していたり、或いは部分的に剥離しやすかったり、密度も不均一となるなど新たな問題が生じた。
【0022】
本発明は、これらの問題点を鑑みてなされた静電チャックの提案とその製造方法であり、静電吸着力に大きく関係するセラミック誘電体部分の膜厚が従来に比べ比較的薄く、緻密質で、重金属を含まないため、熱伝導性、耐摩耗性、耐食性、汚染性などの静電チャックに要求される諸特性に優れた静電チャックを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の知見に基づいてなされたものである。
セラミックスは自由電子をほとんど持たない共有結合性あるいはイオン結合性が強い原子結合状態にある。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱い。シリコンやゲルマニウムのような半金属も、延展性を持たない脆性材料である。
従ってこれらの脆性材料に機械的衝撃力を付加した場合、例えば結晶子同士の界面などの壁開面に沿って結晶格子のずれを生じたり、あるいは破砕されたりなどする。これらの現象が起こると、ずれ面や破面にはもともと内部に存在し、別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となり、すなわち新生面が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定した原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状態に晒される。すなわち表面エネルギーが高い状態となる。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、それによって形成された堆積物の緻密化が行われる。このようにして、脆性材料の堆積物が形成される。
【0024】
上記の知見に基づいて製造された本発明に係る静電チャックの誘電体層の微視的な構造は従来の製法で得られたものと明らかに異なっている。
即ち、本発明に係る静電チャックの誘電体層は、電極である基板あるいは電極を複数配置した基板に直接接合され、多結晶であり、前記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在せず、更に前記誘電体層の一部は基板表面に食い込むアンカー部となっている。
【0025】
ここで、本発明を理解する上で重要となる語句の解釈を以下に行う。
(多結晶)
本件では結晶子が接合・集積してなる構造体を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しその径は通常5nm以上である。
本願の製法においては、その平均径は、一般的にナノメートルレベルと非常に微細となる。ただし、微粒子が破砕されずに誘電体層中に取り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多結晶である。
(結晶配向性)
本件では多結晶である誘電体層中での結晶軸の配向具合を指し、配向性があるかないかは、一般には実質的に配向性のないと考えられる粉末X線回折などによって標準データとされたJCPDS(ASTM)データを指標として判断する。本件では後述する実施例4に示すような見方において、主要なピークのずれが30%以内に収まっている場合を実質的に配向性がないと称する。
(界面)
本件では結晶子同士の境界を構成する領域を指す。
(粒界層)
界面あるいは焼結体でいう粒界に位置するある厚み(通常数nm〜数μm)を持つ層で、通常結晶粒内の結晶構造とは異なるアモルファス構造をとり、また場合によっては不純物の偏析を伴う。
(アンカー部)
本件の場合には、基板と誘電体層の界面に形成された凹凸を指し、特に、予め基板に凹凸を形成させるのではなく、誘電体層形成時に、元の基板の表面精度を変化させて形成される凹凸のことを指す。
(平均結晶子径)
X線回折法におけるScherrerの方法によって算出される結晶子のサイズであり、本件ではマックサイエンス社製MXP-18を使用して測定・算出した。
(内部歪)
微粒子に含まれる格子歪のことで、X線回折測定におけるHall法を用いて算出される値であり、微粒子を十分にアニールした標準物質を基準として、そのずれを百分率表示する。
(再凝集)
微粒子の粉砕中に微粒子の一次粒子の表面から破砕・脱落した微細な断片が(必ずしも同一でない)一次粒子表面に付着・結合して表面層を形成した状態を指す。
(基板に衝突する際の脆性材料微粒子の速度)
脆性材料微粒子の速度に関しては、実施例3に記載の方法に従って測定した平均速度のことを意味する。
【0026】
従来の焼結によって形成した誘電体層は、結晶が熱による粒成長を伴っており、特に焼結助剤を用いた場合には粒界層としてガラス層が生じる。
一方、本発明に係る静電チャックの誘電体層は、原料微粒子の変形または破砕を伴うため、原料微粒子よりも誘電体層の構成粒子の方が小さくなっている。例えば、レーザ回折法やレーザ散乱法で計測される微粒子の平均粒径を0.1〜5μmとすることで形成される誘電体層の平均結晶子径は100nm以下となるような場合が多く、このような微細結晶子からなる多結晶体をその組織として持つ。その結果、平均結晶子径が500nm以下で緻密度が70%以上、または平均結晶子径が100nm以下で緻密度が95%以上、または平均結晶子径が50nm以下で緻密度が99%以上の緻密な誘電体層とすることができる。
ここで、緻密度(%)は、文献値、理論計算値による真比重と、誘電体層の重量および体積値から求めた嵩比重を用い、嵩比重÷真比重×100(%)の式から算出される。
【0027】
静電チャックはシリコンなどの半導体ウェハを数万回に亘ってチャックさせる機能を持ち、エッチングなどの加熱操作によって数万回の昇温、冷却サイクルにさらされる。このとき熱膨張率の違いなどによってウェハと静電チャックの間で摩擦摩耗が生じ、摩耗粉のウェハへの付着による汚染が問題になっているが、本発明の静電チャックの誘電体層は微細な多結晶であるため耐摩耗性に優れ、汚染を低減させることができる。
【0028】
また、本発明に係る誘電体層の特徴は、衝突などの機械的衝撃による変形または破砕を伴うため、結晶の形状として扁平なもの或いは細長いものは存在しにくく、その結晶子形状はおおよそ粒状と見て良く、アスペクト比はおおよそ2.0以下となる。また微粒子が破砕した断片粒子の再接合部であるため、結晶配向を持つことはなく、ほとんど緻密質であるため、硬さ、耐摩耗性、耐食性などの機械的・化学的特性に優れる。
【0029】
また本発明にあっては、原料微粒子の破砕から再接合までが瞬時に行われるため、接合時に微細断片粒子の表面付近で原子の拡散はほとんど行われない。従って、誘電体層の結晶子同士の界面の原子配列に乱れがなく溶解層である粒界層(ガラス層)は殆ど形成されず、形成されても1nm以下である。そのため、耐食性などの化学的特性に優れる特徴を示す。
【0030】
即ち、半導体製造工程において、腐食性のガスを用いて製造装置を洗浄する場合があり、静電チャックがこの腐食性ガスに暴露されるが、多結晶のセラミックスからなる誘電体層のうち、結晶子同士の界面すなわち粒界のガラス層が最も腐食され易く、従ってガラス層がエッチングされて誘電体層表面の精度を劣化させる。これは静電チャックの耐摩耗性を劣化させることになり、チャックの寿命を短くする原因となる。本発明では結晶子同士の界面のガラス層を全くなくす、あるいはガラス層の厚みを1nm以下に抑えることにより、耐食性を向上させ、静電チャックの特性の劣化を遅らせることが可能となる。
【0031】
また、本発明にかかる静電チャックの構造の別の一態様では、上述の静電チャックにおいて、基板が冷却機能を有することを特徴とする。
チャックされたウェハにエッチング操作を行なう場合、ウェハ表面は加熱されるため、ウェハを冷却しつつ一定のプロセス温度に制御する必要がある。通常アルミニウム合金素材などで作られた液冷冷却プレートに静電チャックをインジウムボンディングなどの手法により張り付け、あるいはボルト固定して接触させ、冷却プレートを低温にすることにより静電チャックを介してウェハの温度制御を行なうが、本発明では、冷却プレート上に上述の特性を有するセラミック誘電体層を形成させて、冷却プレートそのものにチャック特性を持たせるため、その冷却効率が著しく良好になる。この場合は冷却プレートを電極として用いることができる。
【0032】
また、本発明にかかる静電チャックの構造の別の一態様では、上述のセラミック誘電体層において、結晶子同士の界面に、結晶子を構成する主要な元素以外の金属元素あるいは半金属元素が偏析していないことを特徴とする。
セラミック焼結体などでは、結晶子同士の界面に焼結助剤などが偏析し、これが耐食性の劣化、あるいは耐摩耗性の劣化の原因となる。偏析した金属元素などがウェハに付着して汚染の原因ともなる。本発明ではこれらの懸念がない。
【0033】
また、本発明にかかる静電チャックの構造の別の一態様では、上述のセラミック誘電体層が、酸化アルミニウムが主成分であり、その純度が99%以上が望ましい。酸化アルミニウムは静電チャックの用途としてみて良好な機械的特性、電気的特性、化学的特性を保有しており、従来の静電チャックにも多く使用されている素材である。従来は製造プロセスの制約のため、酸化アルミニウムを主成分としていても、これに焼結助剤が混在していたり、多孔体であったりするなどで十分な素材の特性を活かすことができなかった。この素材を用いて上述のような微細多結晶の緻密質誘電体層を形成させることにより、さらに耐摩耗性、表面平滑性、絶縁性、耐食性を向上させることができる。
【0034】
酸化アルミニウムの純度を上げることにより、これらの特性をさらに向上させることができる。不純物が存在しなければ、それらによるウェハの汚染の心配もない。
【0035】
場合によっては誘電体層が、酸化アルミニウムと酸化チタンの固溶体であってもよい。酸化アルミニウムに比べて若干電気抵抗率が低いこの元素を添加することにより、ジョンセン・ラーベック力を発現させることが容易となり、すなわち静電チャックの吸着力を向上させることが可能となる。
【0036】
また場合によっては誘電体層が、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、窒化硼素を構成する成分のいずれかあるいはこれらの組み合わせを含む。これらは、耐摩耗性の向上、電気抵抗率の制御、耐食性の向上などの目的に合わせて選択し、添加される。
【0037】
また、本発明にかかる静電チャックの構造の別の一態様では、誘電体層における酸素量が制御され、誘電体層の組成が酸素の欠損あるいは過剰に基づく非化学量論組成であることを特徴とする。
【0038】
例えば酸化アルミニウムを静電チャックの構成成分とした場合、酸化アルミニウムは電気抵抗率が高いためにほとんど電流が流れない。このことはチャック力にほとんどクーロン力を利用するしかないという意味であり、低電圧で十分な吸着力を発生させることが困難である。誘電体層の組成内の元素例えば酸素の量を制御し、特に粒界における酸素を欠損させたり過剰に存在させて化学量論組成からのずれを生じさせたり、あるいは酸素を含む化合物である水を誘電体層の組織内特に粒界などに吸着させたり水酸基として化学結合させるなどの修飾を行うことによってこれがために電子が移動し易い状態になることが考えられる。従って電圧印加をした場合、粒界付近に沿って極微小電流が流れる。これはすなわちジョンセン・ラーベック効果を発現させることであり、低電気抵抗率の元素を添加する必要なく、高純度酸化アルミニウムにて吸着力の大きなセラミック誘電体層を形成させることができる。これにより添加物による耐摩耗性、耐食性の劣化、ウェハの汚染の心配がなくなり、また低電圧でも大きな吸着力が得られる。また結晶子が微細であるがゆえに界面総面積が大きく、すなわち電流の流れるルートを多く採ることができる点は、微細多結晶体の優位点である。
【0039】
本発明にかかる静電チャックの一態様では、セラミック誘電体層の厚さが50μm以下、望ましくは30μm以下である。
例えば純度の高い酸化アルミニウムをセラミック誘電体層として使用する場合においては、電気抵抗値が高いため、層厚さが比較的厚いとクーロン力が効果的に発現できず、この分吸着力が稼げない。また層厚さが厚いと熱伝導性にも劣り、ウェハの冷却効率の低下や温度分布の乱れを起こす原因となる。例えば酸化アルミニウムからなる誘電体層の厚さを50μm以下、望ましくは30μm以下にすることにより、低電圧下でも吸着力が大きく、熱伝導特性の優れた、ウェハ汚染性の少ない静電チャックが得られる。
【0040】
また、本発明にかかる静電チャックの一態様では、セラミック誘電体層の表面が研削あるいは/および研磨処理を行なったものである。
ウェハの各種処理では、工程中のウェハの平面度の維持が重要であり、従ってこれを保持する静電チャックの誘電体層の平面度が要求される。静電チャック表面を超精密研削あるいは研磨処理を行なうことにより、十分な平面度を達成できる。
【0041】
場合によっては、誘電体層の平面度が優れるゆえに、面積の大きなウェハを吸着させた場合に、吸着力が強すぎ、各種処理後のウェハ取り外しの際に大きな力を要することがあり、ウェハの破壊を招く恐れすらある。このような場合には、誘電体層に凹凸を形成させて吸着実効面積を制御し、吸着力の制御を行なうようにするとよい。
【0042】
一方、本願の静電チャックの製造方法は、先ず脆性材料微粒子に前処理を施して脆性材料微粒子に内部歪を付与し、次いでこの内部歪を蓄えた脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させるか、基材表面に盛り付けた内部歪を蓄えた脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付加することで、前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部を形成し、更にこのアンカー部の上に多結晶脆性材料からなる誘電体を形成する。
【0043】
内部歪が少ないと、脆性材料微粒子を衝突させた際に変形或いは破砕しにくく、逆に内部歪が大きくなると内部歪をキャンセルするために大きなクラックが生じ、衝突させる前に脆性材料微粒子が破砕・凝集し、この凝集物を基材に衝突させても新生面は形成されにくい。したがって、本発明に係る静電チャックを得るには、脆性材料微粒子の粒径および衝突速度は重要であるが、それ以上に原料の脆性材料微粒子に予め所定範囲の内部歪を与えておくことが重要である。 最も好ましい内部歪としては、クラックが形成される直前まで大きくなった歪ということになるが、多少クラックが形成されていても内部歪が残っている微粒子であれば構わない。微粒子に歪を与える粉砕処理は、微粒子にかかる粉砕のための衝撃を大きく与えることのできる粉砕手段を用いるのが好ましい。微粒子に比較的一様に大きな歪を付与することができるからである。このような粉砕手段としては、セラミックスの粉砕処理によく用いられるボールミルに比べて大きな重力加速度を与えることの出来る振動ミルやアトライタ、遊星ミルを用いるのが好ましく、とりわけボールミルに比べて格段に大きな重力加速度を与えることの出来る遊星ミルを用いることが最も好ましい。
【0044】
脆性材料微粒子を高速で衝突させる手法には、搬送ガスを用いる方法や、静電力を用いて微粒子を加速する方法、溶射法、クラスターイオンビーム法、コールドスプレー法などが挙げられる。このうち搬送ガスを用いる方法は従来ガスデポジション法と呼ばれており、金属や半金属、セラミックの微粒子を含むエアロゾルをノズルより噴出させて高速で基板に吹き付け、微粒子を基材上に堆積させて誘電体層を形成することによって、微粒子の組成を持つ圧粉体などの堆積層を形成させる構造物形成法である。
【0045】
そのうち、ここでは特に構造物を基板上にダイレクトで形成する方法を超微粒子ビーム堆積法(Ultra−Fine particles beam deposition method)あるいはエアロゾルデポジション法と呼び、この明細書では本発明に係る作製方法を以下この名称で呼ぶ。
【0046】
本発明に係る静電チャックの製造方法(超微粒子ビーム堆積法)にあっては、前記脆性材料微粒子は平均粒径が0.1〜5μmで、予め内部歪の大きなものを用いることが好ましい。これらの条件は基材に衝突させた際などに新生面が形成されるかに密接に関係しており、粒径0.1μm未満では、粒径が小さすぎて破砕や変形が生じにくい。5μmを超えると一部破砕は起こるものの、実質的にはエッチングによる膜の削り取り効果が現れるようになり、また破砕が生じないで微粒子の圧粉体の堆積に止まる場合が生じる。同じく、この平均粒径で構造物形成を行なう場合、50m/s以下では、圧粉体が構造物中へ混在する現象が観察されており、450m/s以上では、エッチング効果が目立つようになり、構造物形成効率が低下することがわかっている。さらには、150〜400m/s以下の範囲内であると、これらの不具合がより良く解消される。ここで微粒子の速度については、下記の実施例3に挙げた速度測定方法により算出したものである。
【0047】
また、原料粒子にクラックが生じると内部歪はキャンセルされるためクラックはない方が好ましいが、クラックがあっても所定の内部歪が存在すればよい。換言すれば、クラックが入る直前まで内部歪が蓄積されている原料微粒子が最も好ましい。
【0048】
特開2000−212766号公報に開示した内容を追試してきた際に、セラミックスなどの脆性材料については必ずしもよい結果が得られなかったのは、上記の条件が整っていなかった可能性がある。
【0049】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の別の一態様では、脆性材料微粒子に含まれる酸素の量を制御した工程を経た後に、次いでこの酸素の量を制御された脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させるか、基材表面に盛り付けた、酸素の量を制御された脆性材料微粒子に機械的衝撃力を付加することで、前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部を形成し、更にこのアンカー部の上に多結晶脆性材料からなる誘電体を形成する。
【0050】
脆性材料微粒子含まれる酸素とは、酸素原子あるいは酸素を含む化合物例えば水や水酸基のことであり、これらが微粒子の表面などに吸着や結合をした状態の脆性材料微粒子を用意する。この方法は例えば水蒸気の存在する環境中でメカノケミカル的な作用、ボールミルや振動ミル、遊星ミルなどの装置によった処理を行うことが有効な手段として挙げられる。特に乾式にて処理することがより効率よく酸素の吸着を行うことができる。これら酸素量を制御された脆性材料微粒子を原料として誘電体層を形成することにより、誘電体層中の酸素量を過剰にすることができ、このため体積固有抵抗値などの電気的特性を変化させることができると考えられる。
【0051】
本発明に係る静電チャックの製造方法の特徴の1つは、室温あるいは比較的低温で行える点であり、基材として樹脂などの融点の低い材料を選定することができる。
ただし、本発明方法においては加熱工程を付加してもよい。例えば、静電チャックの実使用条件が数百度の高温である場合では、セラミック誘電体層の形成時の温度を同じとすることにより、基板とセラミック誘電体層の熱膨張の違いによる熱応力がこの温度でキャンセルされることとなり好適である。また前記多結晶脆性材料からなる誘電体層を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の温度で加熱処理して結晶の組織制御を行うことが可能である。
【0052】
また、本発明に係る静電チャックの製造方法においては、原料微粒子に形成された新生面の活性をある程度の時間持続させるために、減圧下で行なうことが好ましい。
【0053】
また、超微粒子ビーム堆積法により本発明に係る静電チャックの製造方法を実施する場合には、搬送ガスの種類および/または分圧を制御して、前記脆性材料からなる誘電体層を構成する化合物の元素量を制御したり、誘電体層中の酸素濃度を制御したり、誘電体層中の結晶界面近傍に前記酸化物の酸素欠損層や過剰層を形成することで、誘電体層の電気的特性・機械的特性・化学的特性・光学的特性・磁気的特性を制御するなどのことが考えられる。
【0054】
即ち、例えば酸化アルミニウムなどの酸化物を超微粒子ビーム堆積法の原料微粒子として用い、これに使用するガスの酸素分圧を抑えて誘電体層形成を行なうと、微粒子が破砕し、微細断片粒子を形成した際に、微細断片粒子の表面から酸素が気相中に抜け出して、表面相で酸素の欠損が起こるということが考えられる。こういったことが起こるとするならばこのあと微細断片粒子同士が再接合するため、結晶粒同士の界面近傍に酸素欠損層が形成される。また、欠損させる元素は酸素に限らず、窒素、硼素、炭素などもでもよく、これらも特定のガス種のガス分圧を制御して、気相・固相間の元素量の非平衡状態による分配あるいは反応による元素の脱落が起こることが考えられる。
【0055】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の別の一態様では、基板のチャック層被覆位置に、絶縁層を介して一極以上の電極を形成し、次いで電極層上に、超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電体層を厚さ1μmから50μmで形成し、次いでセラミック誘電体層を表面から研削および/あるいは研磨して厚さ0.5μmから30μmのチャック層を形成する。
【0056】
基板として絶縁体を用いる場合においては、予め基板上に導電性の電極を印刷や蒸着、めっきなどの手段で形成しておき、この上に超微粒子ビーム堆積法によってセラミック誘電体層を形成させることができる。この手法は、2極以上の電極を必要とする場合に好適である。
【0057】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の別の一態様では、基板のチャック層被覆位置に、絶縁層を介して一極以上の電極を形成し、次いでチャック層被覆位置を覆うように絶縁体層を厚さ5μm以下で形成し、次いで超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電体層を厚さ1μmから50μmで形成し、次いでセラミック誘電体層を表面から研削および/あるいは研磨して厚さ0.5μmから30μmのチャック層を形成する。
【0058】
基板として熱伝導性に優れる金属材質を用いたい場合においては、導電性であるがゆえに基板を複数の電極として用いることが困難である。従って金属基板に予め絶縁体の皮膜を形成させた後、必要数の電極を形成させ、超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電体層を形成する。絶縁体の皮膜形成には、超微粒子ビーム堆積法を用いても良いし、あるいはゾルゲル法、PVD、CVD法などを用いても良い。これらの絶縁体皮膜は薄い方が熱伝導に優れるため好適である。
【0059】
超微粒子ビーム堆積法は、粉体が噴射されるノズルと基板との相対位置を変化させながら誘電体層を形成させるが、ノズルと基板の相対速度など、製膜速度を制御することにより基板上のセラミック誘電体層の堆積厚さを制御することが容易である。上述したように、場合によってはセラミック誘電体層に凹凸をつけることが有効であり、必要に応じて厚みを制御すると良い。例えば、吸着に利用される領域には必要な吸着力が得られる程度の厚みで形成し、吸着に関与しない領域では、基板の耐食性を向上させる意味での薄膜コーティングとしてセラミック被覆をするという方法が採用できる。
【0060】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の一態様では、上述のような静電チャックの製造方法にて製造された静電チャックについて、その基板およびセラミック誘電体層の融点以下の温度で熱処理を行ない、セラミック誘電体層の結晶子の粒成長を生じせしめる。
【0061】
超微粒子ビーム堆積法によって形成されるセラミック誘電体層は、その結晶子径が著しく小さいことに特徴が有るが、硬度、耐摩耗性、内部歪量、耐食性、誘電率、絶縁破壊電圧、電気抵抗値などの諸特性を所望の値にするために、誘電体層の熱処理を行なうとよい。
【0062】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の一態様では、上述のような製造方法にて製造された静電チャックの表面にマスクを配置し、ブラスト処理を行ない、セラミック誘電体層に任意形状の凹凸を形成する。
【0063】
超微粒子ビーム堆積法によりセラミック誘電体層形成時にその表面に凹凸やスポットを形成させる手法のほかにも、セラミック誘電体層を形成後に、あらためて表面を凹凸にするブラスト処理やエッチング処理も有効な手法である。これにより吸着力の最適化が可能となる。
【0064】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の一態様では、基板に冷却機能を有する冷却プレートを使用する。特に銅あるいはアルミニウムを主成分とする金属を使用する。
【0065】
熱伝導性の良い銅やアルミニウムを半導体製造装置の冷却器に使用することは、その性能を向上させるに都合が良い。現状でもアルミニウム合金などが使用されている。超微粒子ビーム堆積法でセラミック誘電体層を形成させる基板にこの冷却器の表面を用いることにより、構造が簡潔にして、冷却器と静電チャックとの接着層などの不安定要素の介在を無くし、熱伝導性にも優れた冷却機能付き静電チャックを製造することができる。
【0066】
本発明にかかる静電チャックの製造方法の一態様では、超微粒子ビーム堆積法で使用されるセラミック微粒子が純度99%以上の酸化アルミニウムであることを特徴とする。純度については湿式質量分析法にて、アルミニウムの他に含まれる場合があるマグネシウム、ケイ素、鉄などを含んだ総量の酸化物換算量に対する酸化アルミニウムの換算量として重量%で表すものであり、すなわち陽イオン中のアルミニウムの存在割合を意味する。さらに場合によっては、使用されるセラミック微粒子からなる粉体に、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、窒化硼素の2種類以上の混合粉体あるいは2種類以上の固溶体からなる粉体を使用する。
【0067】
セラミック誘電体層に99%以上の高純度の酸化アルミニウムを適用したい場合には、その原料粉体に純度99%以上の酸化アルミニウムを用い、超微粒子ビーム堆積法で形成させることにより、この純度を厳密に保つことができる。超微粒子ビーム堆積法は、焼成などの様に加熱による元素の蒸発からくる元素比のずれなどが生じない。PVDやCVDのようにガス種や圧力などの環境を微妙に制御してはじめて、所望の組成の形成物が得られるという煩雑さもない。粉体の組成を予め制御していれば、それに従った組成の形成物が得られるため、簡便にして正確である。
【0068】
【発明の実施の態様】
本発明に基づく静電チャックの一態様として、冷却プレート一体型静電チャック1の構成図を図1に示す。冷却プレート一体型静電チャック1は、黄銅材質の上面が円形で平坦である冷却プレート11に純度99.8%の酸化アルミニウムからなる最大膜厚10μmのセラミック誘電体層であるアルミナチャック層12を有する。このアルミナチャック層12は膜厚3μmの薄膜層の上に、縦横10mmのスポット状のチャック部が7μmの厚さで多数点在している構造となっている。また、このアルミナチャック層12の気孔率は1%以下であり、平均の結晶子径はX線回折法のScherror & Hall Method計算式による算出で9.8nmであることがわかっている。図2に示すこの組織のTEM観察では、10nm程度の粒状の結晶子が、無秩序な配向で分布してお互い接合しているのが確認されており、これらの界面には界面層(粒界層)が見られていない。スポット状のチャック部の上面はフラットで、十分な平面度を有している。冷却プレート11内は空洞となっており、この内部に冷却媒13例えばフロリナートが流れる仕組みとなっている。図中の矢印は冷却媒13の流れを示している。アルミナチャック層12上には、ウェハ14が載せられる。冷却プレート11は電極の一端を構成しており、電源15と接続され、ウェハ14に導電線が接触するよう電気配線が取られている。
【0069】
この静電チャックの作用と効果を述べる。図示しないウェハ移動アームによりウェハ14は、同じく図示しない半導体製造装置内に設置された冷却プレート一体型静電チャック1上に搬送される。ウェハ14に導電線を設置し、これにつながる電源のスイッチを入れることにより、ウェハ14と電極である冷却プレート11との間にアルミナチャック層12を介して準静電的引力が働き、ウェハ14が良好な平面度を保持して冷却プレート一体型静電チャック1に強固に固定される。このときの吸着力は図3に示すように、真空中において例えば200Vの電圧印加時で2000gf/cm2程度を示し、電圧オンに際した吸着力応答性も数秒以内で定値に達するなど、その特性は非常に良好である。冷却プレート11内に25℃に維持された冷却媒13を流しつつ、ウェハ14上面よりエッチング操作などの半導体製造プロセスを経る。このとき、ウェハ14は数kWの熱量が加えられるが、10μmと極端に薄膜であるアルミナチャック層12は良好な熱伝導特性を示し、またアルミナチャック層12と冷却プレート11の間には熱伝導を妨げる空隙や接着層が存在しない為、冷却媒13の冷却効果を十分に受けてウェハ14の冷却が効率よく行われ、プロセス温度を低下させることとともに、ウェハ14面内での不均一温度分布も抑制される。このプロセス温度の低下は、ウェハ14の熱膨張を抑制させる為、アルミナチャック層12とウェハ14との界面での熱膨張を受けての摩擦摩耗が減って、アルミナチャック層12の寿命を向上させる。また高純度の酸化アルミニウムを用いたアルミナチャック層12ゆえに、耐摩耗性も良好で、さらに摩擦摩耗によるウェハ14の不純物汚染がない。
【0070】
エッチングなどの操作を終えた後、電源をオフにしてウェハ14を取り外すことによって一連のプロセスが終了するが、本実施例の静電チャックは、高純度の酸化アルミニウムを用いているがため吸着力発現においてジョンセン・ラーベック効果への依存性が少なく、電源オフ時の吸着開放までの時間が1秒以内と極端に短く、プロセス時間を短縮できる利点を持つ。
【0071】
図1においては、冷却プレート11は黄銅材質がむき出しの状態にあるが、半導体製造装置の腐食ガスなどを使用した洗浄の際の材質の劣化が懸念される場合には、黄銅の表面部を耐食性部材で被覆すると好適である。
【0072】
図4は、冷却プレート一体型静電チャック1の製造装置2の構成を示したものである。製造装置2は真空ポンプ201に接続された真空チャンバー202内にプログラム操作が可能なXYステージ203が設置され、そのステージに冷却プレート204(図1の11に等しい)が設置される。冷却プレート204のアルミナチャック層被覆位置に対向して、ノズルマスク205を有する製膜ノズル206が配置され、これがエアロゾル搬送管207を介して、真空チャンバー202の外に配置され、酸化アルミニウム微粒子を含むエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器208に接続される。エアロゾル発生器208はガス搬送管209を介して窒素ガスボンベ210と接続している。
【0073】
図5に製膜ノズル206の先端部の斜視図を示す。製膜ノズル206の先端は長軸10mm短軸0.4mmの開口を有しており、開口の先の空間部に幅9.5mmのズリット開口を有するノズルマスク205が配される。
【0074】
次に、上述の製造装置2による冷却プレート一体型静電チャックの製造プロセスを述べる。真空ポンプ201を稼動させて真空チャンバー202内を数kPa程度に保った状態で、窒素ガスボンベ210を開栓し、所定流量で窒素ガスをエアロゾル発生器208内に送り込んで内圧350kPa程度とする。エアロゾル発生器208により酸化アルミニウム粒子を窒素ガスと混合させてエアロゾルを発生させ、これをエアロゾル搬送管207で加速させて、製膜ノズル206の先端の開口より、エアロゾル中の酸化アルミニウム粒子の速度が亜音速程度で、冷却プレート204のアルミナチャック層被覆位置に向けて噴射する。酸化アルミニウム粒子は上述のような速度でアルミナチャック層被覆位置に衝突し、微細断片粒子に破砕されるなどして後、瞬時に再結合し、微細な結晶子の接合物として、この位置に堆積し製膜される。これが単なる粉体の堆積物である圧粉体ではないことは、このアルミナチャック層の硬さがビッカース硬さで1000kgf/mm2以上、冷却プレート204との間の密着力で約700kgf/cm2の値が確認されていることより明白である。
【0075】
エアロゾルが衝突し、製膜が行われる状況下においては、上述のような微細断片粒子の生成およびその後の瞬時の接合のほか、酸化アルミニウム粒子の膜面への衝突によるエッチング(膜の削れ)、一部凝集している酸化アルミニウム粒子の膜面への付着と離脱のような現象が同時に起こっている。すなわち膜の形成を阻害する要因が並在しており、これらの悪要因を排除することは、製膜速度の向上、製膜面の清浄化の重要な要素となる。本発明ではエアロゾルの噴射方向はアルミナチャック層被覆位置の鉛直方向に対して角度30°の傾斜がなされている。これは、酸化アルミニウム粒子の膜面への付着を低減させる手段として好適で、角度0°の場合に付着によって膜面にクレータ状凹部の形成が見られるのに対し、角度15°から45°で、このクレータ状凹部の形成が著しく低減されることが実験にて確認されている。
【0076】
製膜ノズル206から噴射されたエアロゾル中の酸化アルミニウム粒子の速度は、ノズルの開口面内である速度分布を持ち、開口の中央部が製膜に適した速度で制御されている場合、壁面近傍ではこれより速度が遅くなる。従って、ノズル周囲部、すなわち縦10mm横0.4mmである製膜部のうちの周辺部位に当たる場所では製膜性が良くない。製膜操作中、XYステージ204はプログラム運転され、製膜ノズル206との相対位置を変化させつつ必要面積にアルミナチャック層を製膜する。縦10mm横0.4mmの製膜部位を徐々にずらしながら大面積を確保していくわけであるが、したがって、製膜性に劣る製膜部の周辺部位の上に膜を重ねていく状態となり、このようにして得られたアルミナチャック層は冷却プレート204との密着性が劣り、アルミナチャック層との界面での剥離を生じる場合がある。これを解決する為に、製膜ノズル206の先にノズルマスク205を配置して速度の遅いノズル周囲部の酸化アルミニウム粒子を除外する機構を設けている。本発明の場合、ノズル周囲部の横すなわち短辺につきマスクがされているが、ノズルマスクを長方形として、長辺と短辺ともマスクし、速度の遅い粒子をすべて除外するとなお効果は向上する。すなわち、密着性に優れたアルミナチャック層を得ることが可能となる。
【0077】
アルミナチャック層をスポット状に形成する為には、まず膜厚3μmとなるようなプログラム運転にてチャック層被覆位置に一面に製膜する。その後、スポット形成位置に製膜ノズル206を移動させ、この位置でプログラム運転を行ない縦横10mm、高さ7μm以上の製膜を行なってスポットを形成させる。もちろんスポットの形状はこれに限らず、円形でも良い。スポット面積も任意である。
【0078】
本実施態様では、使用するガスに窒素ガスを使用しているが、ガス種類はこれに限らず、酸素、ヘリウム、アルゴン、水素、空気などを使用することができる。
【0079】
こうして得られたアルミナチャック層を有する冷却プレートは、製造装置2から取り外され、図示しない研削研磨機により表面から研削研磨され、スポット表面が十分な平面度を持って分布する冷却プレート一体型静電チャック1として達成される。スポット形成は、製膜量を低減させることによる時間、コストの削減に好適であるばかりでなく、ウェハとの接触面積を任意に制御することによる吸着力や熱伝導特性のコントロールにも好適となる。またスポット形成は、例えば厚さ10μmのアルミナチャック層を形成させた後、表面にマスクを配置させて、サンドブラストなどにより、スポット部を残してブラスト処理することによって行なっても良い。
【0080】
またここでは、液冷の冷却プレートを用いているが、空冷の場合も考えられる。この場合冷却プレートは例えば円盤状であり、この上にアルミナチャック層が実施例1のようなスポット状で配置され、スポットのない部分に冷却プレートを貫通させる通気口を設ける。この通気口を利用してヘリウムガスなどの冷却ガスを流し、ウェハとアルミナチャック層との隙間にこの冷却ガスを充満させることにより、ウェハの冷却を行なうことができる。
【0081】
図6に本発明の別の一態様としての冷却プレート一体型静電チャック3の構成図を示す。冷却プレート一体型静電チャック3は、黄銅材質の上面が円形で平坦である冷却プレート31に酸化珪素からなる絶縁層32が配置され、この上に2極の電極33a、33bが配置され、これらを被覆するように純度99.8%の酸化アルミニウムからなる膜厚10μmで十分な平面度を有する、セラミック誘電体層であるアルミナチャック層34が配置される。冷却プレート31内は空洞となっており、この内部に冷却媒35例えばフロリナートが流れる仕組みとなっている。図中の矢印は冷却媒35の流れを示している。電極33a、33bは導電線を介して電源36に接続されている。アルミナチャック層34上には、ウェハ37が載せられる。
【0082】
この静電チャックの作用と効果については、前述の冷却プレート一体型静電チャック1に準じる。この場合は、電極33a、33bによって発生する電場を吸着力発現の原動力としており、静電チャックの一般的な形態のひとつである。アルミナチャック層34をスポット状にしてもよいし、膜厚も任意である。電極33a、33bは、PVD、CVD、印刷、メッキなどの様々な手法により、様々な導電性物質を利用して形成することが容易である。電極厚さも任意であるが、アルミナチャック層34の形成に大きな影響を与えないよう、10μm以下が適当である。絶縁層32は、ゾルゲル法やポリシラザン法(東燃株式会社製)などにより容易に形成できる。また特に酸化珪素に限ることもなく、絶縁性が確保できれば材質は問わない。もちろん冷却プレート31の材質も黄銅に限ることはなく、熱伝導性に優れた比較的硬質のものであればなんでも良い。絶縁性の材質であれば、絶縁層32を設ける必要もない。
【0083】
【実施例】
(実施例1)
前述の冷却プレート一体型静電チャック1および2で用いた原料微粒子には、予め前処理を施して内部歪を形成しておく方が好ましいと考えられる。その理由を以下に示す。
原料微粒子の内部歪とそれを用いて超微粒子ビーム堆積法にて形成した誘電体層となる構造物の膜厚の関係について実験した結果を図7に示す。実験は、純度99.6%の酸化アルミニウム微粒子に遊星ミルを用いて粉砕処理を行い、微粒子のキャラクタリゼーションを変化させた後、超微粒子ビーム堆積法によりアルミニウム基板上に構造物を形成した。微粒子の内部歪はX線回折により測定し、歪量は同微粒子に熱エージングを施して内部歪を除去したものを0%として基準にした。
【0084】
また、図7中のポイントA,B,Cにおける微粒子のSEM写真(日立製インレンズSEM S−5000)を図8、図9及び図10に示す。
図7から内部歪は0.25%〜2.0%の内部歪が好ましいことが分かる。クラックと内部歪との関係は、内部歪がない場合には図8に示すようにクラックは発生しないが、内部歪が一定値以上、本件の場合には2.0%以上となると完全にクラックが形成されてしまい、さらには脱落した断片が表面に付着して図10に示すような再凝集状態となってしまう。
【0085】
(実施例2)
この実施例は結晶配向性について行ったものである。
平均粒径0.4μmの酸化アルミニウム微粒子を用いて本発明の超微粒子ビーム堆積法によりステンレス基板上に厚さ20μmの酸化アルミニウム構造物を形成した。この構造物の結晶配向性をX線回折法(マックサイエンス社製MXP−18)により測定した。この結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0004201502
【0087】
表1では代表的な面形のピーク4点の積分強度計算結果を[hkl]=[113]を100とした強度比で示す。左から原料微粒子を薄膜光学系で測定した結果、構造物を薄膜光学系で測定した結果、JCPDSカード74−1081コランダム酸化アルミニウムデータ、原料微粒子を集中光学系で測定した結果を記載する。
【0088】
原料微粒子の集中光学系と薄膜光学系の結果がほぼ等しい為、原料粉体の薄膜光学系の結果を無配向状態と基準し、このときの構造物の強度比のずれを百分率表示したものを表2に示す。[113]を基準として、他の3ピークのずれは11%以内に収まっており、実質上構造物は結晶配向性がないと言える。
【0089】
【表2】
Figure 0004201502
【0090】
(実施例3)
この実施例は、超微粒子ビーム堆積法で構造物が形成される際の、ノズルから噴出される微粒子の速度を測定した結果である。図11に微粒子速度測定装置を示す。図示しないチャンバー内にエアロゾルを噴射するノズル41が開口を上に向けて設置され、その先にモーターによって回転運動する回転羽根42の先に設置された基板43およびその基板表面から19mm下に離れて固定された幅0.5mmの切りかきをもつスリット44を有する微粒子速度測定装置4を配置する。ノズル41の開口から基板表面までの距離は24mmである。
【0091】
次に微粒子速度測定方法を記す。エアロゾルの噴射は、実際の構造物作製方法に準じて行う。構造物形成装置内で構造物を形成する基板の代わりに、図の微粒子速度測定装置4を設置して行うことが好適である。図示しないチャンバーを減圧下におき、数Torr以下の圧力としたのちにノズル41から微粒子を含むエアロゾルが噴射させ、この状態で微粒子速度測定装置4を一定回転速度で運転させる。ノズル41の開口から飛び出した微粒子は、基板43がノズル41の上部に来た際にその一部がスリット44の切りかきの隙間を通過して基板表面に衝突し、基板43上に構造物(衝突痕)を形成する。微粒子がスリットから19mm離れた基板表面に到達する間に基板43は回転羽根42の回転によって位置を変化させているため、基板43上におけるスリット44の切りかきからの垂線交差位置よりその変位量分ずれた位置に衝突する。この垂線交差位置から衝突して形成された構造物までの距離を表面凹凸測定により計測し、この距離およびスリット44と基板表面からの距離、回転羽根42の回転速度の値を用いて、ノズル41から噴射された微粒子の速度としては、ノズル41の開口から5mm離れた場所から24mm離れた場所までの平均速度を算出し、これを本件における微粒子の速度とした。
【0092】
(実施例4)
本発明に関連して、静電チャックの誘電体層に相当する構造物につき、その特性を評価した。まず大気中で種種の粉砕条件で乾式遊星ミルを用いて、平均粒径0.6μm、純度99.8%の酸化アルミニウム微粒子を粉砕して前処理を行い、4種類の処理微粒子を用意し、これらを用いて超微粒子ビーム堆積法により金属基材上におおよそ10μmの形成高さの酸化アルミニウム構造物をそれぞれ形成させた。図12に形成された酸化アルミニウム構造物の酸素とアルミニウムの比であるO/Alの組成比と酸化アルミニウム構造物を電圧100V印加状態で測定した時の室温での体積抵抗率(体積固有抵抗値)をプロットした結果を示す。O/Alの組成比及び体積固有抵抗値は、酸化アルミニウム構造物上にφ13mmの円形の電極とその外側に幅1mmの電極を1mmのギャップをかいして円周上設けた外部電極を設けた試料を作製し、円形電極と導電性の基材すなわち下部電極との間で100Vの電圧を印加し、印加後約30sec間放置し安定したの電流値をマイクロ電流計で読みとり、各試料の値をオームの法則にて求めた。なお、比較のために1700℃で焼成した酸化アルミニウム焼結体のO/Alの組成比及び体積固有抵抗値もプロットした。
【0093】
前記した構造物形成法で形成された酸化アルミニウム構造物は、O/Alの組成比が大きくなるに従い体積固有抵抗値は小さくなる傾向が認められた。例えば、O/Alの組成比が0.049の酸化アルミニウム構造物においては、酸化アルミニウム焼成体の0.044に比べて体積固有抵抗値が1014Ω・cmから108Ω・cmと下がり、電気を流しやすくなったことを示唆した。
【0094】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る静電チャックは、基板上に形成される誘電体層が多結晶であり、前記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在せず、更に前記誘電体層の一部は基板表面に食い込むアンカー部となっているので、剥離強度などの機械的特性、機械的及び電気的化学的特性に優れる。
【0095】
また、本発明に係る静電チャックの製造方法によれば、内部歪をもった原料脆性材料微粒子を高速で基板表面に噴出することで誘電体層を形成するため、簡単に且つ短時間のうちに静電チャックを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却プレート一体型静電チャックの構成図
【図2】誘電体層の組織のTEMイメージ
【図3】印加電圧と吸着力との関係を示すグラフ
【図4】冷却プレート一体型静電チャックの製造装置の全体図
【図5】ノズル先端部の斜視図
【図6】別の実施例に係る冷却プレート一体型静電チャックの構成図
【図7】使用した原料微粒子の内部歪と膜厚の関係を示すグラフ
【図8】図7のポイントAに相当する微粒子のSEMイメージ
【図9】図7のポイントBに相当する微粒子のSEMイメージ
【図10】図7のポイントCに相当する微粒子のSEMイメージ
【図11】微粒子の速度測定装置
【図12】実施例4にかかる酸化アルミニウム構造物におけるO/Alの組成比と体積固有抵抗値の関係
【符号の説明】
1…冷却プレート一体型静電チャック、11…冷却プレート、12…アルミナチャック層(誘電体層)、13…冷却媒、14…ウェハ、15…電源。
2…製造装置、201…真空ポンプ、202…真空チャンバー、203…XYステージ、204…冷却プレート、205…ノズルマスク、206…製膜ノズル、207…エアロゾル搬送管、208…エアロゾル発生器、209…ガス搬送管、210…窒素ガスボンベ。
3…冷却プレート一体型静電チャック、31…冷却プレート、32…絶縁層、33a、33b…電極、34…アルミナチャック(誘電体層)、35…冷却媒、36…電源、37…ウェハ。

Claims (32)

  1. 導電性基板の表面に誘電体層が形成され、前記基板に電圧を印加することにより前記誘電体層を介して前記基板と被吸着物間に吸着作用を生じさせる静電チャックにおいて、前記誘電体層は多結晶の脆性材料からなるとともに前記基板の表面に直接接合され、前記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、さらに前記誘電体層の一部は基板表面に食い込むアンカー部となっていることを特徴とする静電チャック。
  2. 絶縁体上に複数の電極を設けた基板の表面に誘電体層が形成され、前記電極に電圧を印加することにより前記誘電体層を介して前記基板と被吸着物間に吸着作用を生じさせる静電チャックにおいて、前記誘電体層は多結晶の脆性材料からなるとともに前記基板の表面に直接接合され、前記誘電体層を構成する結晶は実質的に結晶配向性がなく、また前記結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在せず、さらに前記誘電体層の一部は基板表面に食い込むアンカー部となっていることを特徴とする静電チャック。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶は熱による粒成長を伴っていないことを特徴とする静電チャック。
  4. 請求項1または請求項2に記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶は、アスペクト比が2.0以下であることを特徴とする静電チャック。
  5. 請求項1または請求項2に記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層を構成する結晶の界面に、結晶を構成する主要な元素以外の元素が偏析していないことを特徴とする静電チャック。
  6. 請求項1または請求項2に記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層の組成における酸素の量を制御したことを特徴とする静電チャック。
  7. 請求項1または請求項2に記載の静電チャックにおいて、前記結晶は金属酸化物であり、かつ前記誘電体層の組成が酸素の欠損あるいは過剰に基づく非化学量論的組成であることを特徴とする静電チャック。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記基板が冷却機能を有することを特徴とする静電チャック。
  9. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、酸化アルミニウムを主成分とすることを特徴とする静電チャック。
  10. 請求項に記載の静電チャックにおいて、前記酸化アルミニウムの純度が、99%以上であることを特徴とする静電チャック。
  11. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、酸化アルミニウムと酸化チタンの固溶体であることを特徴とする静電チャック。
  12. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層が、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、窒化硼素を構成する成分のいずれかあるいはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする静電チャック。
  13. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層の厚さが50μm以下であることを特徴とする静電チャック。
  14. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記誘電体層の表面が研削研磨処理のうち少なくとも一つを行なったものであることを特徴とする静電チャック。
  15. 脆性材料微粒子に内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒子を導電性基板の表面または複数の電極を設けた絶縁性基板の表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によって前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、基板との境界部にその一部が基板表面に食い込むアンカー部を形成し、引き続いてこのアンカー部の上に脆性材料からなる誘電体層を形成することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  16. 請求項15に記載の静電チャックの製造方法において、前記脆性材料微粒子に内部歪を印加する工程は、再凝集を生じない程度に前記微粒子に衝撃を与える工程としたことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  17. 請求項15に記載の静電チャックの製造方法において、前記内部歪を印加する工程によって付与される内部歪を0.25%〜2.0%の範囲としたことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  18. 請求項15に記載の静電チャックの製造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50〜450m/Sであることを特徴とする静電チャックの製造方法。
  19. 請求項15に記載の静電チャックの製造方法において、前記内部歪を印加する工程を行った後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が150〜400m/Sであることを特徴とする静電チャックの製造方法。
  20. 脆性材料微粒子に含まれる酸素の量を制御した工程を経た後に、この酸素量が制御された脆性材料微粒子を導電性基板の表面または複数の電極を設けた絶縁性基板の表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によって前記脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、基板との境界部にその一部が基板表面に食い込むアンカー部を形成し、引き続いてこのアンカー部の上に脆性材料からなる誘電体層を形成することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  21. 請求項20に記載の静電チャックの製造方法において、前記酸素の量を制御した工程を経た後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50〜450m/Sであることを特徴とする静電チャックの製造方法。
  22. 請求項20に記載の静電チャックの製造方法において、前記酸素の量を制御した工程を経た後の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前記基板に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が150〜400m/Sであることを特徴とする静電チャックの製造方法。
  23. 請求項15乃至請求項22に記載の静電チャックの製造方法において、この製造方法は室温で行なうことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  24. 請求項15、20、23のいずれかに記載の静電チャックの製造方法において、前記脆性材料からなる誘電体層を形成した後に、当該脆性材料の融点以下の温度で加熱処理して結晶の組織制御を行うことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  25. 請求項15、20のいずれかに記載の静電チャックの製造方法において、この製造方法は減圧下で行なうことを特徴とする静電チャックの製造方法。
  26. 請求項15または20に記載の静電チャックの製造方法において、前記基板表面に脆性材料微粒子を高速で衝突させる手段は、脆性材料微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、高速で基板材料に向けて噴射することとした静電チャックの製造方法。
  27. 請求項26に記載の静電チャックの製造方法において、前記ガスの種類分圧のうち少なくとも一つを制御して、前記脆性材料からなる誘電体層を構成する化合物の元素量を制御することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  28. 請求項26に記載の静電チャックの製造方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる誘電体層中の酸素の量を制御することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  29. 請求項26に記載の静電チャックの製造方法において、前記ガスの種類分圧のうち少なくとも一つを制御して、前記脆性材料からなる誘電体層の電気的特性機械的特性化学的特性光学的特性または磁気的特性を制御することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  30. 請求項26に記載の静電チャックの製造方法において、前記ガス中の酸素分圧を制御して、前記脆性材料からなる誘電体層の電気的特性機械的特性化学的特性光学的特性または磁気的特性を制御することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  31. 請求項15、20のいずれかに記載の静電チャックの製造方法において、前記誘電体層を厚さ1μmから50μmで形成し、次いでこの誘電体層を表面から研削研磨のうち少なくとも一つにより厚さ0.5μmから30μmのチャック層を形成することを特徴とする静電チャックの製造方法。
  32. 請求項15乃至31のいずれかに記載の静電チャックの製造方法において、前記誘電体層表面にマスクを介してブラスト処理を行なうことで、前記誘電体層に任意形状の凹凸を形成することを特徴とする静電チャックの製造方法。
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