JP2002194560A - 脆性材料構造物の低温形成法 - Google Patents
脆性材料構造物の低温形成法Info
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Abstract
脆性材料構造物を得る低温形成法を提供する。 【解決手段】 脆性材料の微粒子を基板上に供給し、こ
れにローラや圧針やピストンなどにより機械的衝撃を付
加し、この微粒子を変形あるいは一部破砕させるなどし
て、新生面を形成させ、これらの微粒子同士の活性面を
利用して接合させることにより、脆性材料構造物を形成
する。また、大気圧未満の環境でこれを行なうことによ
り、構造物形成を容易にする。
Description
導体などの脆性材料からなる膜状(2次元)または3次
元形状の構造物を形成する方法に関する。
造物を形成するには、セラミック粒子同士の接合を容易
にする為に焼結助剤を添加して粒子同士の界面付近で液
相を形成させる液相焼結が行われる。
成する方法としてホットプレス法が知られ、また、基材
表面に金属やセラミックスなどの被膜を形成する方法と
して、PVDやCVDなどの蒸着法あるいは溶射法が知
られ、また比較的低温のプロセスとしてはゾルゲル法な
ども知られている。
て、ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989
年1月号)や静電微粒子コーティング法(井川 他:昭
和52年度精密機械学会秋季大会学術講演会前刷)が知
られている。前者は金属やセラミックス等の超微粒子を
ガス攪拌にてエアロゾル化し、微小なノズルを通して加
速せしめ、基材に衝突した際に運動エネルギーの一部が
熱エネルギーに変換され、微粒子間あるいは微粒子と基
材間を焼結することを基本原理としており、後者は微粒
子を帯電させ電場勾配を用いて加速せしめ、この後はガ
スデポジション法と同様に衝突の際に発生する熱エネル
ギーを利用して焼結することを基本原理としている。
静電微粒子コーティング法を改良した先行技術として、
特開平8−81774号公報、特開平10−20217
1号公報、特開平11−21677号公報或いは特開2
000−212766号公報に開示されるものが知られ
ている。
技術は、融点の異なる2種類の金属または有機物を、抵
抗線加熱、電子ビーム加熱、高周波誘導加熱、スパッタ
リング、アークプラズマ等で加熱蒸発させ、この加熱蒸
発により粒子径が0.1μm以下の表面が非常に活性な
超微粒子とし、この超微粒子を融点の異なる金属ごとに
ノズルを用い、3次元立体形状の断面CADデータに基
づいて基板に吹き付け、これを繰り返すことで融点の異
なる2種類の金属からなる3次元立体形状物を形成し、
この後、2種類の金属の融点の中間温度で3次元立体形
状物を加熱することで低融点金属部分を溶融除去し、高
融点金属部分のみを残すようにしている。
れる技術は、前記した抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高
周波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等で加
熱蒸発することで得た超微粒子を基板に向けて噴射する
にあたり、マスクの開口を通して行うことで、肩だれの
ない3次元立体形状物を得るようにしている。
る技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを搬送す
る際あるいは金属やセラミックスを加熱蒸発させる際
に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止
するために、中間の経路に分級装置を配置するようにし
ている。
される技術は、粒径が10nm〜5μmの超微粒子(前
記先行技術と異なり加熱蒸発させて得たものではない)
に、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温
プラズマなどを照射することにより、超微粒子を溶融せ
しめることなく活性化し、この状態のまま基板に3m/
sec〜300m/secの速度で吹き付けることで、超微粒
子相互の結合を促進して構造物を形成するようにしたも
のである。
いた液相焼結では、粒界付近に焼結助剤を含むガラス相
が形成され、得られるセラミックスの純度が上がらず、
緻密体を形成することも難しい。
高温化、ホットプレス法などのような加圧環境下での焼
成、焼結助剤の排除などの工夫で高純度かつ緻密質のセ
ラミックスの形成が可能となっている。しかしながら、
これらを含めて、焼成することはすなわち原子の拡散に
よって粒子同士の接合を行なうということであり、原料
粉が微粒であっても加熱中に粒成長を起こし、形成物を
微細な結晶のまま止めておくことは不可能である。すな
わち焼成では、ナノメートルレベルの結晶粒からなる多
結晶体を形成させることは困難である。また、焼結助剤
を用いて焼成させる場合は、粒子同士の界面に特定の元
素が偏析を起こし、所望の特性の達成を阻害する原因と
もなっている。
合は、いずれも数百から1万℃の高温環境を必要とし、
エネルギー投入量が大きく、またゾルゲル法は比較的低
温のプロセスであるが、一回の製膜工程で達成される膜
厚は数nmから数百nmレベルであり、厚膜を形成する
にはこの工程を繰り返す必要がある。この際実質的には
下地膜を強固にする為に加熱処理を施す必要があり下地
層の粒成長が起こる。粒成長を起こさない低温での製膜
では緻密度が大きくならない問題がある。また多数回の
製膜工程を経ると膜にクラックが発生するという問題が
解決できていない。またこのゾルゲル法あるいは溶液中
析出法などの微細組織のセラミック膜作製方法は湿式が
多く、膜中に溶液中の他の溶質や溶媒が混入して膜特性
の劣化や組成のずれなどが生じる場合がある。
平10−202171号公報および特開平11−216
77号公報に開示される方法にあっては、超微粒子を得
るための加熱手段(抵抗線加熱、電子ビーム加熱、高周
波誘導加熱、スパッタリング、アークプラズマ等)が必
要となり。また基本原理が衝突の際に運動エネルギーを
熱エネルギーに変換して焼結させるというものであり、
基板上に形成される構造物の粒子径は粒成長により、原
料の超微粒子よりも大きくなってしまう。
に開示される技術も焼結によって金属やセラミックスの
堆積物を形成するものであるが、本発明者らが引き続き
追試を行ってきた結果、金属(延展性材料)とセラミッ
クスや半導体などの脆性材料とでは異なる挙動を示すこ
とが判明した。即ち、脆性材料にあっては、イオンビー
ム、原子ビーム、分子ビーム或いは低温プラズマなどを
照射することなく、しかも焼結によらない結合にて構造
物を形成することができた。しかしながら、同公報に記
載された条件である微粒子の粒径を10nm〜5μm、
衝突速度を3m/sec〜300m/secとしただけでは構
造物の剥離強度が不足していたり、或いは部分的に剥離
しやすかったり、密度も不均一となるなど新たな問題が
生じた。
づいてなされたものである。セラミックスは自由電子を
ほとんど持たない共有結合性あるいはイオン結合性が強
い原子結合状態にある。それゆえ硬度は高いが衝撃に弱
い。シリコンやゲルマニウムのような半導体も、延展性
を持たない脆性材料である。従ってこれらの脆性材料に
機械的衝撃力を付加した場合、例えば結晶子同士の界面
などの壁開面に沿って結晶格子のずれを生じたり、ある
いは破砕される。これらの現象が起こると、ずれ面や破
面にはもともと内部に存在し、別の原子と結合していた
原子が剥き出しの状態となり、すなわち新生面が形成さ
れる。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定し
た原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状
態に晒される。すなわち表面エネルギーが高い状態とな
る。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接し
た脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合して安定状
態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加
は、この現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕
などの繰り返しにより接合の進展、それによって形成さ
れた構造物の緻密化が行われる。このようにして、脆性
材料の構造物が形成される。従って上述の構造物とは、
粒子間に化学結合を有さず圧力によって押し固められた
状態の密度が低い圧粉体とは明らかに異なる。
材料にあっては、活性な新生面が形成される条件を整え
ることで、室温でも脆性材料構造物を形成できるとの知
見に基づき本発明をなしたものである。即ち、本発明に
係る脆性材料構造物の低温形成法は、脆性材料微粒子に
室温且つ1torr以下の条件下で衝撃を与え、この衝撃に
より前記微粒子を変形若しくは破砕し、この変形若しく
は破砕によって生じた活性な新生面を介して前記微粒子
同士を再結合させて膜状物あるいは3次元形状物を得る
ようにした。このように本発明は加熱・焼成工程を伴わ
ないで緻密で高強度の脆性材料構造物を得ることを目的
としている。
分や気体粒子などさまざまな付着物が存在しており、表
面状態を安定にさせている。従って、微粒子同士をいく
ら接近させてもこれらの介在物によりお互いが接合する
ことはない。これと同様に、微粒子に機械的衝撃力を付
加し、新生面を形成しても、大気中であれば、瞬時に大
気中の気体分子が新生面に付着し、微粒子同士の再結合
を阻害する。
下の雰囲気にして、その真空状態を上げることにより、
新生面形成後の表面付着物の付着までの時間および付着
量を低減させることができ、微粒子に形成された新生面
が近接の別の微粒子の表面あるいは新生面に接触するま
で、面を活性のまま保持することができる。即ち、表面
エネルギーが高い状態のままで接合が生じることにな
り、これは接合強度の強化にもつながる。
空チャンバーなどの容器を用い、これに真空ポンプを接
続して真空チャンバー内の空気を系外へ排気することに
よる。構造物の形成環境の気圧は、この真空チャンバー
の壁面付近に設置した真空計により測定された値とす
る。
るには、脆性材料微粒子にも前処理を施すことで新生面
を形成しやすくすることが重要である。このための手法
として前処理によって予め脆性材料微粒子に内部歪を与
えておくことが挙げられる。ここでいう内部歪とは、微
粒子に含まれる格子歪のことで、X線回折測定におけるH
all法を用いて算出される値であり、微粒子を十分にア
ニールした標準物質を基準として、そのずれを百分率表
示する。内部歪としては0.25%〜2.0%の範囲が適
当である。また内部歪を与える前処理装置としては、遊
星グラインダーやミルが挙げられる。
生じると内部歪はキャンセルされるためクラックはない
方が好ましいが、クラックがあっても所定の内部歪が存
在すればよい。換言すれば、クラックが入る直前まで内
部歪が蓄積されている原料微粒子が最も好ましい。
面を介して脆性材料微粒子を再結合することが基本とな
っており、このためには脆性材料微粒子の粒径も重要な
要素となる。脆性材料微粒子の平均粒径としては0.1
〜5μmが適当である。平均粒径0.1μm未満では、
粒径が小さすぎて破砕や変形が生じにくい。一方、5μ
mを超えると一部破砕は起こるものの、一部大きな破砕
片が残存し、形成される新生面同士の接触の効率を低下
させて、十分に接合が起こらない不具合を生じさせる。
また破砕が生じないで微粒子の圧粉体の堆積に止まる場
合が生じる。
としては、基材に高速で脆性材料微粒子を衝突させる
か、基材上に盛り付けた脆性材料微粒子に機械的な衝撃
力を付与することが考えられる。
は、搬送ガスを用いる方法や、静電力を用いて微粒子を
加速する方法、溶射法、クラスターイオンビーム法、コ
ールドスプレー法などが挙げられる。このうち搬送ガス
を用いる方法は従来ガスデポジション法と呼ばれてお
り、金属や半導体、セラミックの微粒子を含むエアロゾ
ルをノズルより噴出させて高速で基板に吹き付け、微粒
子を基材上に堆積させることによって、微粒子の組成を
持つ圧粉体などの堆積層を形成させる構造物形成法であ
る。そのうちここでは特に構造物を基板上にダイレクト
で形成する方法を超微粒子ビーム堆積法(Ultra−Fine
particles beam deposition method)あるいはエアロ
ゾルデポジション法と呼び、この明細書では本発明に係
る作製方法を以下この名称で呼ぶ。
しており、超微粒子ビーム堆積法における基材に脆性材
料微粒子を衝突させる場合の速度は、50m/s〜45
0m/s、好ましくは150m/s〜400m/sとす
る。50m/s以下では、圧粉体が構造物中へ混在する
現象が観察されており、450m/s以上では、エッチ
ング効果が目立つようになり、構造物形成効率が低下す
る。ここで微粒子の速度の測定方法は実施例4に記載の
方法で行う。
付与する手段としては、高速回転する高強度のブラシや
ローラーあるいは高速に上下運動する圧針や、爆発の圧
縮力を利用した高速に移動するピストンなどを用いて行
なうか、または硬質の粒状物体を高速で吹き付ける処理
によるか、または超音波を作用させることによるか、あ
るいはこれらの組み合わせが考えられる。
ックス、半金属、半導体あるいは有機化合物などが挙げ
られ、脆性材料としては酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸
化イットリウム、酸化クロム、酸化ハフニウム、酸化ベ
リリウム、酸化マグネシウム、酸化珪素などの酸化物、
ダイヤモンド、炭化硼素、炭化珪素、炭化チタン、炭化
ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化クロ
ム、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化タンタル
などの炭化物、窒化硼素、窒化チタン、窒化アルミニウ
ム、窒化珪素、窒化ニオブ、窒化タンタルなどの窒化
物、硼素、硼化アルミニウム、硼化珪素、硼化チタン、
硼化ジルコニウム、硼化バナジウム、硼化ニオブ、硼化
タンタル、硼化クロム、硼化モリブデン、硼化タングス
テンなどの硼化物、あるいはこれらの混合物や多元系の
固溶体、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸リチ
ウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸アルミニウ
ム、PZT、PLZTなどの圧電性・焦電性セラミック
ス、サイアロン、サーメットなどの高靭性セラミック
ス、水酸アパタイト、燐酸カルシウムなどの生体適合性
セラミックス、シリコン、ゲルマニウム、あるいはこれ
らに燐などの各種ドープ物質を添加した半導体物質、ガ
リウム砒素、インジウム砒素、硫化カドミウムなどの半
導体化合物などが挙げられる。
材が延性材料などの場合においては、特に微粒子の変形
や新生面の形成が必要というわけではなく、微粒子の基
板への食い込みによるアンカー効果が接着の要因となっ
てもよい。これを下地層と考えれば、これ以降の構造物
形成が上述のメカニズムによって形成される。
の一態様について述べる。図1は、真空ポンプなどの減
圧装置につながる構造物形成装置1を示しており、構造
物形成装置1は基板11上に展開された微粒子の堆積物
12と、基板11を保持する基板保持部13と、基板1
1に微粒子の堆積物12を介して対向して設置された硬
質材料からなるシリンダー14とこれを上下運動させる
ピストン機関15からなる。
撃力を微粒子の堆積物12に上面から付加する。図中の
矢印はシリンダー14の運動の状態を示している。この
衝撃力により脆性材料である微粒子の堆積物12中の微
粒子の一部が変形し、新生面を形成し、次いで微粒子同
士が接合し、このことが微粒子群のあらゆる箇所で起こ
ることにより、最終的に基板11上に脆性材料の緻密質
構造体(膜体)が形成される。尚、緻密質構造体(膜
体)の形成雰囲気は減圧下とするのが好ましいので、図
示は省略したが、構造物形成装置1を真空チャンバー内
に配置する。
針から形成されても良いし、強力超音波装置と組み合わ
せて構造体の形成効率を向上させても良い。また得られ
る膜は、緻密体ばかりでなく、原料微粒子の調整や、衝
撃力の調節を行なえば、接合部分を限定した多孔質膜を
形成させることも可能となる。
るが、基板の部分をくぼみをもった硬質のダイスなどに
変更し、このくぼみに脆性材料の原料微粒子を充填して
シリンダー部14を打ち付け、バルク状の構造体を作製
するということも考えられる。
いて述べる。図2は、前記した構造物形成装置2を示し
ており、構造物形成装置2は基板21上に展開された微
粒子の堆積物22と、基板21を保持する基板保持部2
3と、基板21に微粒子の堆積物22を介して対向して
設置された粒状体噴射装置24からなり、粒状体噴射装
置24には、硬質の粒状体25が収められている。また
これらは真空チャンバー26内に収められ、真空ポンプ
27により、真空チャンバー内は1torr以下の減圧状態
に保持されている。
mのセラミックスの粉体などであり、粒状体噴射装置2
4より亜音速から超音速の高速で微粒子の堆積物22に
向けて噴射され、粒状体25の衝突による衝撃力が微粒
子の堆積物22を構成する微粒子を変形させ、新生面を
形成させて、微粒子同士を接合させ、構造物を形成させ
る。この手法は特に薄膜形成に都合が良い。粒状体25
の加速には、高速搬送ガスを使用してもよいし、静電引
力によってもよい。ガスを使用する場合でも、粒状体噴
射装置24と基板21との距離を離すことにより、軽量
のガスは真空ポンプ27により流れをチャンバー外へと
向けて排出され、これより重量のある粒状体25は慣性
力が比較的大きい為、基板21へ向けてほとんど直線的
に飛行する。従って、ガスによる微粒子の堆積物22の
飛散は少なく、その近傍の真空度も比較的高く維持でき
る。また、数十〜数百μmの粒状体25を使用すること
により、微粒子の堆積物22への衝撃力を局部に集中さ
せることが可能であり、微粒子の変形、新生面の形成の
効率を上げることができる。
り、超微粒子ビーム堆積法による構造物の形成を行う際
に使用する典型的な構造物形成装置について述べる。図
3は構造物形成装置3を示したものであり、窒素ガスボ
ンベ301の先にガス搬送管302を介してエアロゾル
発生器303が設置され、その下流側にエアロゾル搬送
管304を介して構造物形成室305内にノズル306
が設置されている。エアロゾル発生器303内には脆性
材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填さ
れている。ノズル306の開口の先には基板307が配
置され、基板307はXYステージ308に固定されて
いる。構造物形成室305は真空ポンプ309と接続さ
れている。また真空計310が構造物形成室305の壁
面から設置されている。
窒素ガスボンベ301を開栓し、ガスをエアロゾル発生
器303内に送り込み、同時にエアロゾル発生器303
を運転させて脆性材料微粒子と窒素ガスが適当比で混合
されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ309
を稼動させ、エアロゾル発生器303と構造物形成室3
05の間に差圧を生じさせる。このエアロゾルをエアロ
ゾル搬送管304を通して加速させ、ノズル306より
基板307に向けて噴射する。基板307はXYステー
ジ308により揺動され、エアロゾル衝突位置を変化さ
せつつ、微粒子の衝突により基板307上に膜状の脆性
材料構造物が形成されていく。ノズル306と基板30
7を相対的に移動させることにより必要面積に脆性材料
構造物を形成させる。
粒子ビーム堆積法を利用して酸化珪素基板上に形成され
たチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構造物のTEMイメ
ージ、図5は超微粒子ビーム堆積法で使用したPZTの
原料粒子のTEMイメージ、図6はTEMイメージより
カウントした構造物中の結晶子のサイズの分布図であ
る。原料粒子の内部歪は約1%、原料粒子の粒径は数百
nmサイズであった。一方、図から得られた構造物は結
晶子径が40nm以下のものがほとんどで、これらが空
隙を隔てず接合していることが観察され、結晶方位に配
向性は認められず、更に結晶の粒界にガラス層は存在し
ない。また、図7はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)構
造物を形成する前の酸化珪素基板の表面粗さを観察した
SEMイメージ、図8はチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)構造物形成後の酸化珪素基板との境界部のTEMイ
メージであり、これらの図を比較することで、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)構造物の一部が酸化珪素基板に
食い込んでアンカー部となっていることが認められる。
この構造物の硬度はビッカース硬さで300から500
を得ており、焼成体と同程度の機械的特性を備えてい
る。
を実施する構造物形成装置3とほぼ同構成の超微粒子ビ
ーム堆積法を利用して真鍮基板上に酸化アルミニウム構
造物を形成させた。まず平均粒径0.6μmの酸化アル
ミニウム微粒子を遊星ミルにて粉砕して歪みを印加し
た。ついでエアロゾル発生器にこの酸化アルミニウム微
粒子を充填して窒素ガスを毎分5リットルのガス流量で
通気することにより構造物形成を試みた。このときの真
空計の値が1torrであった場合、形成された構造物の形
成高さは10μm、そのビッカース硬さは793であっ
た。また真空計の値が0.5torrであった場合、形成さ
れた構造物の形成高さは13μm、そのビッカース硬さ
は939であった。
実験した結果を図9に示す。実験は、純度99.6%の
酸化アルミニウム微粒子に遊星ミルを用いて粉砕処理を
行い、微粒子のキャラクタリゼーションを変化させた
後、前述の構造物形成装置3に準じた装置を用いて超微
粒子ビーム堆積法によりアルミニウム基板上に構造物を
形成した。微粒子の内部歪はX線回折により測定し、歪
量は同微粒子に熱エージングを施して内部歪を除去した
ものを0%として基準にした。また、図9中のポイント
A,B,Cにおける微粒子のSEM写真(日立製インレ
ンズSEM S−5000)を図10、図11及び図1
2に示す。図9から内部歪は0.25%〜2.0%の内部
歪が好ましいことが分かる。クラックと内部歪との関係
は、内部歪がない場合には図10に示すようにクラック
は発生しないが、図11に示す状態では若干のクラック
が生じているが、十分に内部歪が残されている。そし
て、内部歪が一定値以上、本件の場合には2.0%以上
となると完全にクラックが形成されてしまい、さらには
脱落した断片が表面に付着して図12に示すような再凝
集状態となってしまう。
際する微粒子の速度の測定について述べる。前記した微
粒子の速度の測定には次の方法を用いた。図13に微粒
子速度測定装置を示す。図示しないチャンバー内にエア
ロゾルを噴射するノズル41が開口を上に向けて設置さ
れ、その先にモーターによって回転運動する回転羽根4
2の先に設置された基板43およびその基板表面から1
9mm下に離れて固定された幅0.5mmの切りかきを
もつスリット44を有する微粒子速度測定装置4を配置
する。ノズル41の開口から基板表面までの距離は24
mmである。次に微粒子速度測定方法を記す。エアロゾ
ルの噴射は、実際の複合構造物作製方法に準じて行う。
構造物形成室内で構造物を形成する基板の代わりに、図
の微粒子速度測定装置4を設置して行うことが好適であ
る。図示しないチャンバーを減圧下におき、ノズル41
から微粒子を含むエアロゾルが噴射させ、この状態で微
粒子速度測定装置4を一定回転速度で運転させる。ノズ
ル41の開口から飛び出した微粒子は、基板43がノズ
ル41の上部に来た際にその一部がスリット44の切り
かきの隙間を通過して基板表面に衝突し、基板43上に
構造物(衝突痕)を形成する。微粒子がスリットから1
9mm離れた基板表面に到達する間に基板43は回転羽
根42の回転によって位置を変化させているため、基板
43上におけるスリット44の切りかきからの垂線交差
位置よりその変位量分ずれた位置に衝突する。この垂線
交差位置から衝突して形成された構造物までの距離を表
面凹凸測定により計測し、この距離およびスリット44
と基板表面からの距離、回転羽根42の回転速度の値を
用いて、ノズル41から噴射された微粒子の速度として
は、ノズル41の開口から5mm離れた場所から24m
m離れた場所までの平均速度を算出し、これを本件にお
ける微粒子の速度とした。
低温製膜法を用いれば、焼成することなく脆性材料の構
造物を形成させることができる。従って構造物を基板上
に形成させる際には、融点が低い金属やプラスチック材
料を使用することができる。
装置の装置図。
装置の装置図。
ム堆積法を利用した構造物形成装置の装置図。
Mイメージ。
晶子のサイズの分布図。
する前の酸化珪素基板のSEMイメージ。
の酸化珪素基板との境界部のTEMイメージ。
フ。
イメージ。
イメージ。
イメージ。
Claims (6)
- 【請求項1】 脆性材料微粒子に室温且つ1torr以下の
条件下で衝撃を与え、この衝撃により前記微粒子を変形
若しくは破砕し、この変形若しくは破砕によって生じた
活性な新生面を介して前記微粒子同士を再結合させて膜
状物あるいは3次元形状物とすることを特徴とする脆性
材料構造物の低温形成法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の脆性材料構造物の低温
形成法において、前記構造物の形成は加熱・焼成工程を
経ないことを特徴とする脆性材料構造物の低温形成法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の脆性材
料構造物の低温形成法において、前記衝撃は基材に高速
で脆性材料微粒子を衝突させるか、基材上に盛り付けた
脆性材料微粒子に機械的な衝撃力を付与することで得る
ことを特徴とする脆性材料構造物の低温形成法。 - 【請求項4】 請求項1乃至請求項3に記載の脆性材料
構造物の低温形成法において、前記脆性材料微粒子は前
処理によって予め転位や内部歪が印加されていることを
特徴とする脆性材料構造物の低温形成法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の脆性材料構造物の低温
形成法において、前記脆性材料微粒子の内部歪を0.2
5%〜2.0%の範囲としたことを特徴とする脆性材料
構造物の低温形成法。 - 【請求項6】 請求項4に記載の脆性材料構造物の低温
形成法において、前記内部歪を印加する工程を行った後
の脆性材料微粒子は、平均粒径が0.1〜5μmで、前
記基材に衝突する際の前記脆性材料微粒子の速度が50
〜450m/Sであることを特徴とする脆性材料構造物
の低温形成法。
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