JP2003105198A - ポリアミド樹脂組成物およびこれを用いた成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびこれを用いた成形品

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JP2003105198A JP2001299246A JP2001299246A JP2003105198A JP 2003105198 A JP2003105198 A JP 2003105198A JP 2001299246 A JP2001299246 A JP 2001299246A JP 2001299246 A JP2001299246 A JP 2001299246A JP 2003105198 A JP2003105198 A JP 2003105198A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミド樹脂が本来有する機械的強度、剛
性などの物性を犠牲にせず、成形品の形状が制限される
ことがなく、長期間屋外で使用しても酸化劣化や外観劣
化を起こし難い成形品が得られるポリアミド樹脂組成
物、および成形品を提供すること。 【解決手段】 第1発明は、芳香族ポリアミド樹脂(A1)
にポリアミド6(B)を含んでいてもよいポリアミド樹脂
(A)100重量部に対して、カーボンブラック(C)を0.
1〜20重量部、ポリスチレン系樹脂(D1)またはポリエ
チレン系樹脂(D2)を(C)100重量部に対して50〜2
00重量部、それぞれ配合してなるポリアミド樹脂組成
物を要旨とし、第2発明は、第1発明に係るポリアミド
樹脂組成物から得られる成形品を要旨とする。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂組
成物およびこれを用いた成形品に関するものである。さ
らに詳しくは、機械的強度、剛性などの物性が優れた成
形品が得られ、かつ、優れた外観と耐候性が要求される
自動車外装部品、建材・住宅設備部品など屋外で使用さ
れる製品製造用のポリアミド樹脂組成物、および、この
ポリアミド樹脂組成物より得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、機械的特性、成形加
工性、耐薬品性などが良好であるので、自動車部品、機
械部品、建材・住宅設備部品の成形材料として広く使用
されている。しかし、ポリアミド樹脂は極めて酸化劣化
を受けやすく、長期間の屋外での使用中に分子鎖の切断
による分子量の低下、これに伴う機械的強度の低下、部
品(製品)表面への亀裂発生、変色などによる外観劣化
などの好ましくない現象が起こる。これら酸化劣化や外
観劣化は、熱や光によって促進され易く、屋外で使用さ
れる用途ではその使用が制約される。
【0003】これらの劣化現象を防止する目的で、ポリ
アミド樹脂に種々の安定剤を添加する手法が、特開昭4
8−93652号公報、特公昭63−29823号公報
などに開示されている。しかしながら、これらの種々の
安定剤を添加したことによる耐候性改良効果はなお不十
分であり、さらに改良が望まれている。さらに、特開2
000−154316号公報、特開2001−9814
9号公報などには、強度・剛性、耐候性などに優れた無
機強化ポリアミド樹脂組成物が提案されている。しかし
ながら、得られる材料の剛性が低いために、成形品の形
状が制限されるなど問題があり、なお改良が望まれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術に存在した課題を解決し、ポリアミド樹脂自
体が本来有している機械的強度、剛性などの優れた物性
を犠牲にせず、成形品の形状が制限されることがなく、
長期間屋外で使用しても酸化劣化や外観劣化が起こり難
く、耐候性に優れた成形品が得られるポリアミド樹脂組
成物、および成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1発明では、芳香族混合ジアミンと脂肪族ジカル
ボン酸との重縮合反応より得られる芳香族ポリアミド
{(A1)成分}を含むポリアミド樹脂{(A)成分}100
重量部に対して、カーボンブラック{(C)成分}が0.1
〜20重量部、およびポリスチレン系樹脂{(D1)成分}
またはポリエチレン系樹脂{(D2)成分}が(C)成分10
0重量部に対して50〜200重量部、それぞれ配合さ
れてなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物を提供
する。
【0006】また、第2発明では、上記第1発明に係る
ポリアミド樹脂組成物を原料とし、製造されたものであ
ることを特徴とする成形品を提供する。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明に係るポリアミド樹脂組成物において、基体となるポ
リアミド樹脂{以下、(A)成分と略称する}は、芳香族
混合ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応より
得られる芳香族ポリアミド{以下、(A1)成分と略称す
る}を含むポリアミド樹脂である。(A1)成分を含む(A)
成分(ポリアミド樹脂)は、(A1)成分のほかにポリアミ
ド6{以下、(B)成分と略称する}を配合されていても
よい。(A1)成分に対し(B)成分を配合すると、(A1)成分
のみの場合に比較して、得られる成形品の耐光性、耐候
性などを向上させることができる効果がある。
【0008】本発明において(A1)成分とは、主として、
芳香族混合ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重縮合反
応より得られる芳香族ポリアミドをいう。芳香族混合ジ
アミンは、パラキシリレンジアミン10〜50モル%
と、メタキシリレンジアミン50〜90モル%よりな
り、少量の他のジアミンを含んでいてもよい。パラキシ
リレンジアミンの割合が50モル%を超えると、得られ
る芳香族ポリアミドの融点が高くなりすぎ、成形時の加
熱により熱劣化を起こしやすく、好ましくない。芳香族
混合ジアミンは、中でも、パラキシリレンジアミン20
〜45モル%とメタキシリレンジアミン55〜80モル
%よりなる混合物が好ましく、さらに好ましくは、パラ
キシリレンジアミン20〜40モル%と、メタキシリレ
ンジアミン60〜80モル%とからなる混合ジアミンで
ある。他のジアミンは、全ジアミンの10モル%以下の
量、好ましくは5モル%以下の量である。
【0009】他のジアミンとしては、パラキシリレンジ
アミン、メタキシリレンジアミン以外の芳香族ジアミ
ン、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミンなどが挙げられ
る。芳香族ジアミンとしては、例えば、メタフェニレン
ジアミン、パラフェニレンジアミンなどが挙げられ、脂
肪族ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミンなどが挙げられ、脂環族ジア
ミンとしては、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙
げられる。
【0010】脂肪族ジカルボン酸は、少量の芳香族ジカ
ルボン酸を含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸は、
好ましくはα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、中
でより好ましいのは炭素数が6〜12のものである。脂
肪族ジカルボン酸類の具体例としては、アジピン酸、コ
ハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸な
どが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、1,5
−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、全ジカルボ
ン酸の10モル%以下の量、好ましくは5モル%以下の
量を使用することができる。
【0011】(A)成分の相対粘度は、96%硫酸中での
濃度を1g/100mlとし、温度25℃の条件下の測
定値が1.6〜3.0の範囲が好ましい。相対粘度が高
すぎると樹脂組成物の成形性が低下し、かつ、成形品の
表面光沢が向上させることができず、相対粘度が低すぎ
ると得られる成形品の機械的強度が不十分であり、いず
れも好ましくない。(A)成分の相対粘度のより好ましい
範囲は1.7〜2.9であり、中でも好ましいのは1.
8〜2.8である。
【0012】上記(A)成分に(B)成分を配合して混合ポリ
アミドとする際には、(A1)成分を50重量%以上、(B)
成分を50重量%以下とするのが好ましい。(B)成分が
50重量%を超えると、成形品の剛性低下や吸湿に基づ
く寸法安定性が低下する場合があり、いずれも好ましく
ない。
【0013】(B)成分の相対粘度は、98%硫酸中濃度
1g/100ml、温度25℃の条件下の測定値で、
1.8〜3.5が好ましい。相対粘度が高すぎると樹脂
組成物の成形性が低下し、相対粘度が低すぎると得られ
る成形品の機械的強度が不十分であり、いずれも好まし
くない。(B)成分の相対粘度のより好ましい範囲は2.
0〜3.2であり、中でも好ましいのは2.1〜3.0
である。
【0014】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、上
記(A)成分にカーボンブラック{以下、(C)成分と略称す
る}を配合する。(C)成分は、本発明に係るポリアミド
樹脂組成物の耐候性を向上させるように機能する。本発
明において(C)成分は、特に限定されるものではない
が、例えばサーマルブラック、チャンネルブラック、ア
セチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブ
ラックなどが挙げられる。(C)成分は、平均粒子径が1
0μm〜40μmの範囲、BET吸着法による比表面積
が50〜300m2/gの範囲、ジブチルフタレートを
用いた吸油量の測定値が50cc/100g〜150cc/
100gの範囲であるものが好適である。
【0015】上記(A)成分に対する(C)成分の配合量は、
(A)成分100重量部に対して、カーボンブラック{(C)
成分}を0.1〜20重量部の範囲とする。(C)成分の
配合量が0.1重量部未満であると、本発明に係るポリ
アミド樹脂組成物の耐候性向上効果が小さく、(C)成分
の配合量が20重量部を越えると、ポリアミド樹脂組成
物の強度・剛性を損なうこととなり、いずれも好ましく
ない。
【0016】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、ポ
リスチレン系樹脂{以下、(D1)成分と略称する}または
ポリエチレン系樹脂{以下、(D2)成分と略称する}を含
むことも特徴である。具体的には、(C)成分100重量
部に対して、(D1)成分または(D2)成分を50〜200重
量部とする。(D1)成分または(D2)成分が50重量部未満
であると、耐候性向上効果が小さく、200重量部を超
えると強度・剛性を損なうことになり、いずれも好まし
くない。(C)成分100重量部に対する(D1)成分または
(D2)成分の好ましい範囲は、75〜150重量部であ
る。
【0017】(D1)成分は、スチレンの含有率が10重量
%以上のスチレン系重合体、共重合体、グラフト共重合
体を意味する。具体的には、ポリスチレン、ポリ(α−
メチルスチレン)、ポリ(p−メチルスチレン)などの
単独重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(A
S樹脂)、スチレン単量体とマレイミド、N−フェニル
マレイミドなどのマレイミド系単量体、またはアクリル
アミドなどのアクリルアミド系単量体との共重合体など
が挙げられる。さらに、スチレン系重合体のスチレンの
一部を、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビ
ニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレ
ン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、p−t−
ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンな
どの単量体に置換した共重合体であってもよい。上記(D
1)成分の中では、耐候性の観点で好ましいのはポリスチ
レンとAS樹脂であり、中でもAS樹脂が特に好まし
い。
【0018】(D2)成分は、分子鎖中にエチレン鎖を有す
るエチレン系重合体、共重合体を意味する。具体的に
は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチ
レン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW
PE)などに代表される各種ポリエチレンのほか、エチ
レン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共
重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブ
ロック共重合体などのエチレンとα−オレフィンとの共
重合体、エチレン−メタクリレート、エチレン−ブチル
アクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステ
ルとの共重合体、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレン
と脂肪族ビニルとの共重合体などが挙げられる。上記(D
2)成分の中では、加工性の観点から低密度ポリエチレン
(LDPE)が最も好ましい。
【0019】本発明に係るポリアミド樹脂組成物では、
上記(C)成分を、使用する(D1)成分または(D2)成分の一
部または全部でマスターバッチ{以下、(C-MB)と略称す
る}を製造し、配合するのが、(C)成分の分散性を向上
させる目的からも好ましい。(C)成分の(C-MB)を製造す
るには、溶融させた(D1)成分または(D2)成分に、(C)成
分を混練する方法によることができる。(C)成分を(D1)
成分または(D2)成分に混練するには、押出機、加熱ロー
ル、バンバリーミキサー、スーパーミキサーなどの溶融
混練機を使用することができる。
【0020】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、上
記(A)成分、(B)成分、(C-MB)のほかに、無機充填材{以
下、(E)成分と略称する}、銅化合物{以下、(F1)成分
と略称する}および/またはハロゲン化合物{以下、(F
2)成分と略称する}、他の各種添加剤{以下、(G)成分
と略称する}を配合することができる。(E)成分を配合
すると、本発明に係るポリアミド樹脂組成物の機械的強
度・剛性を大幅に改善できる。(F1)成分および/または
(F2)成分を配合すると、本発明に係るポリアミド樹脂組
成物の耐候性を一層向上させることができる。
【0021】(E)成分(無機充填材)は、その種類に制
限がなく、従来から知られている無機充填材であってよ
く、形状も特に制限がなく、繊維状、板状、針状、球
状、粉末などいずれであってもよい。(E)成分の具体例
としては、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、ガ
ラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウ
ィスカー、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライ
ト、ホウ酸アルミニウムウィスカー、ガラスビーズ、バ
ルーン、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、
酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシ
ウムなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいの
は、ガラス繊維、マイカ、針状ウォラストナイトおよび
ホウ酸アルミニウムウィスカーである。これら(E)成分
は、1種でもまたは2種以上の混合物であってもよい。
【0022】(E)成分の配合量は、混合ポリアミド樹脂
100重量部に対して、50〜300重量部の範囲とす
る。(E)成分の配合量が50重量部未満であると、得ら
れる樹脂組成物の弾性率が十分でなく、300重量部を
越えると、得られる樹脂組成物の加工性が低下し、いず
れも好ましくない。
【0023】(F1)成分(銅化合物)としては、種々の無
機または有機酸の銅塩であって、第1銅、第2銅のいず
れであってもよく、具体的には、塩化銅、臭化銅、ヨウ
化銅、リン化銅、ステアリン酸化銅などが挙げられる。
(F1)成分の配合量は、混合ポリアミド樹脂100重量部
に対して、0.01〜2重量部の範囲が好ましい。
【0024】(F2)成分(ハロゲン化合物)としては、有
機または無機のハロゲン化物が挙げられる。具体的に
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化
合物、ハロゲン化アンモニウム、有機化合物の第4級ア
ンモニウムのハロゲン化物、またはハロゲン化アルキ
ル、ハロゲン化アリルなどが挙げられ、ヨウ化アンモニ
ウム、ステアリルトリエチルアンモニウムブロマイド、
ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイドなどが挙
げられる。特に好ましいのは、ハロゲン化アルカリ金属
塩であり、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウ
ム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどである。(F
2)成分の配合量は、混合ポリアミド樹脂100重量部に
対して、0.05〜3重量部の範囲が好ましい。
【0025】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、(F
1)成分を単独で配合した樹脂組成物では、得られる成形
品は(F1)成分の銅により赤褐色に着色してしまうことが
あるが、本発明では(C)成分によって黒に着色するの
で、特に問題とならない。しかし、(F1)成分と(F2)成分
とを併用配合すると、耐候性の観点からさらに優れた効
果を発揮するのでより好ましく、特に好ましいのは銅化
合物とハロゲン化アルカリ金属塩との併用である。
【0026】(F1)成分および/または(F2)成分の配合量
は、混合ポリアミド樹脂100重量部に対して、合計で
0.01〜5重量部の範囲で選ぶのが好ましい。配合量
が0.01重量部未満であると、耐候性の改良効果が顕
著でなく、配合量が5重量部を越えると、機械的物性の
低下が著しく、いずれも好ましくない。(F1)成分および
/または(F2)成分の特に好ましい配合量は、混合ポリア
ミド樹脂100重量部に対して0.03〜2重量部であ
り、中でも特に好ましいのは0.05〜1重量部であ
る。
【0027】(G)成分(他の各種添加剤)としては、高
分子材料に一般に用いられている各種添加剤、例えば、
染顔料(ただし、カーボンブラックを除く)、離型剤、
滑剤、核剤、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤
などが挙げられる。これら(G)成分の配合量は、本発明
の目的・効果を阻害しない範囲で適宜選ぶことができ
る。
【0028】本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製造
方法は、特に制限はなく、この種樹脂組成物を製造する
際に採用されている方法によることができる。例えば、
(i)(A)成分(ポリアミド樹脂)、(B)成分(ポリアミド
6)、(C-MB){(C)成分と(D1)成分(ポリスチレン系樹
脂)または(D2)成分(ポリエチレン系樹脂)を含む}、
さらに要すれば、(E)成分、(F1)成分、(F2)成分、(G)成
分などから選ばれる成分を各所定量秤量し、ドライブレ
ンドした後、溶融・混練する方法、(ii)(A)成分、(B)成
分、(C)成分、(D1)成分または(D2)成分、さらに要すれ
ば、(E)成分、(F1)成分、(F2)成分、(G)成分などから選
ばれる成分を各所定量秤量し、任意の順序で、例えば、
ベント式押出機またはこれに類似した装置を用いて、溶
融混練して粒状化する方法、などによることができる。
【0029】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、各
種の製品、部品などの成形品製造用として好適である。
成形品を製造するには、熱可塑性樹脂から成形品を製造
する際に採用されている成形方法によることができる。
具体的には、射出成形法、押出成形法、回転成形法、圧
縮成形法などが挙げられる。
【0030】本発明に係るポリアミド樹脂組成物から製
造できる成形品は、上記の成形方法によって製造できる
ものであれば特に制限がない。本発明に係るポリアミド
樹脂組成物は、耐候性に優れ、表面光沢の優れた成形品
が得られるので、表面光沢が要求される成形品製造用の
材料、屋外で長期間使用される成形品製造用の材料とし
て好適である。これら成形品としては、ドアミラーステ
ィー、ルーフレール、ドアハンドル、フェンダー、バン
パー、ホイールキャップ、エアロパーツなどの自動車外
装部品のほか、クレセント、フランス落とし、マンホー
ルステップ、手摺などの建材・住宅設備部品、鉄道用外
装部品などが挙げられる。成形品は、これら例示された
ものに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の記
載例に限定されるものではない。
【0032】実施例および比較例において用いた原料の
略称、特性は次のとおりである。 (A1)成分:下記の参考例に記載した方法で得られた芳香
族ポリアミドである。 (B)成分:相対粘度が2.2のポリアミド6{三菱エン
ジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッド
(登録商標)1007J}である。
【0033】(C)成分:カーボンブラック(三菱化学社
製、商品名:#CB45)である。 (C-MB)a:ベースレジンをAS樹脂、カーボンブラック
の濃度50重量%で、200℃、荷重5kgの条件下での
MFR(Melt Flow Rate)値が、12g/10minのカーボンブラックマスタ
ーバッチ(日本ピグメント社製、商品名:BSA825
7)である。 (C-MB)b:ベースレジンをポリスチレン、カーボンブラ
ックの濃度を50重量%としたカーボンブラックマスタ
ーバッチ(レジノカラー社製、商品名:1683DK)
である。
【0034】(E)成分a:長さ3mmのガラス繊維チョッ
プドストランド(旭ファイバーグラス社製、商品名:C
S03−JAFT2)である。 (E)成分b:マイカ(クラレ社製、商品名:スゾライト
マイカ325HK)である。 (E)成分c:針状ウォラストナイト(NYCO社製、商
品名:ナイグロス8)である。 (E)成分d:ホウ酸アルミニウムウィスカー(四国化成
社製、商品名:アルボレックスY3A)である。 (E)成分e:タルク(富士タルク工業社製、商品名:T
M−2)である。
【0035】(F1)成分:ヨウ化銅(日本化学産業社製)
である。 (F2)成分:ヨウ化カリウム(日本化学産業社製)であ
る。
【0036】[参考例]撹拌装置、加熱装置、還流冷却
器、温度計、原料滴下装置および窒素ガス導入管を装備
した容量が3リットルのフラスコに、730gのアジピ
ン酸を仕込み、フラスコ内を窒素で置換し、フラスコの
内温を160℃に昇温してアジピン酸を溶融させた。こ
のフラスコ内容物を撹拌しつつ、パラキシリレンジアミ
ンを30モル%、メタキシリレンジアミンを70モル%
よりなる混合ジアミン680gを、約2.5時間かけて
フラスコに逐次滴下した。この間、フラスコの内温を反
応生成物の融点を常に上回る温度となるように維持しつ
つ、約270℃まで昇温した。また、反応によって発生
する水は、還流冷却器を介して反応系外に排出させた。
混合ジアミンの滴下終了後、フラスコ内温を275℃ま
で昇温し、この温度でさらに1時間反応を継続した。こ
の後、反応生成物をフラスコから取り出し、ペレット化
した。反応生成物である芳香族ポリアミド{(A1)成分}
の融点は258℃、結晶化温度は216℃、相対粘度
(96%硫酸中、濃度1g/100mlの測定条件下で
測定)は2.08であった。
【0037】[実施例1〜実施例7、比較例1〜比較例
3] <樹脂組成物の調製>上記の各成分を、表−1〜表−2
に示す量(単位は重量部である)で秤量し、各成分をタ
ンブラ−で混合した。得られた混合物を、ベント式押出
機(東芝機械社製、型式:TEM−35B)を使用し、
シリンダー温度を270℃として溶融混練した後、スト
ランド状に押出し、水槽を通過させて冷却し、切断、乾
燥して樹脂組成物のペレットとした。
【0038】<各種評価試験>得られたペレットから試
験片を製造し、この試験片について、以下に記載した方
法で、曲げ特性と耐候性の評価試験を行なった。評価結
果を、表−1〜表−2に示す。 (1)曲げ特性の評価試験:射出成形機(ファナック社
製、型式:ロボショットα100iA)を使用し、シリ
ンダー設定温度275℃、金型設定温度130℃、射出
圧力700kgf/cm2、射出速度50mm/sec、保圧50
0kgf/cm2、射出保圧時間20秒、冷却時間15秒とい
う条件下で、試験片を製造した。得られた試験片につ
き、ISO−178に準拠して、曲げ強度(MPa)および
曲げ弾性率(GPa)を測定した。
【0039】(2)色差(ΔE):射出成形機(ファナッ
ク社製、型式:ロボショットα100iA)を使用し、
樹脂温度275℃、金型温度130℃、射出圧力700
kgf/cm2、射出速度50mm/sec、保圧400kgf/c
m2、射出保圧時間12秒、冷却時間15秒という条件下
で、70mm×70mm、厚さ3mmの鏡面状平板を成形し
た。鏡面状平板につき、以下に記載の試験条件で促進劣
化試験を行ない、試験前後の色差変化(ΔE)と表面光
沢度を以下に記載の方法で測定した。
【0040】(促進劣化試験での試験条件)上記鏡面状
平板につき、サンシャインウエザオ試験機(スガ試験機
社製、型式:WEL−SUN−DC)を使用して、ブラ
ックパネル温度83℃、120分間に18分間継続して
雨を降らせることを1サイクルとし、250サイクル
(500時間)繰り返す方法である。
【0041】(色差変化(ΔE)の測定方法)多光源分
光測色計(日本電色工業社製、型式:SE−2000)
を使用し、JIS Z8722の準拠した反射法により
測定した。光学系はC光源2度視野、光束はφ30mmと
した。色差変化は、促進劣化試験前と後にそれぞれ色差
を測定し、促進劣化試験後の色差から試験前の色差を減
じた値を示した。測定値が小さいほど、色差が小さく変
色が少ないことを意味する。
【0042】(3)表面外観:上記(2)の促進劣化試験を行
なった試験片(平板)につき、その表面外観を顕微鏡で
観察し、観察結果を次の4段階で判定して表に示した。 ◎:表面荒れおよびカーボンブラックの浮きが殆ど認め
られない。 ○:表面荒れおよびカーボンブラックの浮きがわずかに
認められる。 △:表面荒れおよびカーボンブラックの浮きが認められ
る。 ×:表面荒れおよびカーボンブラックの浮きが著しく認
められる。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表−1および表−2より、次のことが明ら
かとなる。 (1)本発明に係るポリアミド樹脂組成物から得られる成
形品は、(A1)成分、(C)成分、および(D1)成分または(D
2)成分が特定の範囲で配合されているので、ポリアミド
樹脂自体が本来有する曲げ特性を犠牲にせず、促進劣化
試験での色差変化が少なく、成形品の表面の劣化も少な
い(実施例1〜実施例7参照)。 (2)本発明に係るポリアミド樹脂組成物に、さらに(E)成
分(無機充填材)を配合した場合は、これを配合しない
ものに比べて曲げ特性を大幅に向上させることができる
(実施例3〜実施例7参照)。 (3)これに対して、ポリアミド6のみよりなり、(C)成分
(カーボンブラック)を含まない比較例1の樹脂組成物
は、機械的強度も不十分であり、促進劣化試験前後の色
差変化が大きく、促進劣化試験後の表面外観に劣る。 (4)さらに、(C)成分(カーボンブラック)および(E)成
分、(F1)成分、(F2)成分を含むが(D1)成分(ポリスチレ
ン系樹脂)、(D2)成分(ポリエチレン系樹脂)のいずれ
も配合されていない比較例2、比較例3の樹脂組成物
は、促進劣化試験前後の色差変化が大きく、促進劣化試
験後の表面外観に劣る。
【0046】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、混合ジアミ
ンを用いた芳香族ポリアミド{(A1)成分}、カーボンブ
ラック{(C)成分}、およびポリスチレン系樹脂{(D1)成
分}またはポリエチレン系樹脂{(D2)成分}が特定の範
囲で配合されており、ポリアミド樹脂自体が本来有する
機械的強度、剛性などを犠牲にすることがないので、成
形材料として有用である。 2.本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、(A1)成分、
(C)成分、および(D1)成分または(D2)成分を各々特定の
範囲とし、さらに(E)成分を配合したときは、剛性が向
上し、金属代替の成形材料として有用である。 3.本発明に係るポリアミド樹脂組成物から得られる成
形品は、(A1)成分、(C)成分、および(D1)成分または(D
2)成分が特定の範囲で配合されているので、成形品は表
面光沢に優れ、屋外で長期間使用されても成形品は変色
し難く、耐候性に優れている。 4.本発明に係るポリアミド樹脂組成物から得られる成
形品は、耐候性などに優れているので、自動車外装部
品、建材・住設部品に利用でき、極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:04) (72)発明者 山宮 和夫 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4F071 AA55 AA56 AB03 AB15 AB27 AB28 AB30 AD01 AF17 AF20 AF34 BA01 BB05 BC03 4J002 BB022 BB032 BB042 BB062 BB072 BB152 BC022 BC032 BC062 BC092 BC112 BG132 BP022 CL011 CL031 DA017 DA036 DD028 DD058 DD078 DD088 DE077 DE107 DE137 DE187 DE237 DG047 DH038 DJ017 DJ037 DJ047 DJ057 DK007 DL007 EB008 EG048 FA017 FA047 FA067 FA077 FA087 FA107 FD017 FD050 FD090 FD130 FD160 FD170 FD320 GL00 GN00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族混合ジアミンと脂肪族ジカルボン
    酸との重縮合反応より得られる芳香族ポリアミド{(A1)
    成分}を含むポリアミド樹脂{(A)成分}100重量部
    に対して、カーボンブラック{(C)成分}が0.1〜20
    重量部、およびポリスチレン系樹脂{(D1)成分}または
    ポリエチレン系樹脂{(D2)成分}が(C)成分100重量
    部に対して50〜200重量部、それぞれ配合されてな
    ることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族混合ジアミンが、パラキシリレン
    ジアミン10〜50モル%とメタキシリレンジアミン5
    0〜90モル%とよりなる、請求項1に記載のポリアミ
    ド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族混合ジアミンが、パラキシリレン
    ジアミン20〜45モル%とメタキシリレンジアミン5
    5〜80モル%とよりなる、請求項1または請求項2に
    記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 脂肪族ジカルボン酸が、α、ω−直鎖脂
    肪族ジカルボン酸である、請求項1ないし請求項3のい
    ずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 脂肪族ジカルボン酸が、炭素数6〜12
    の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1ないし請求項4
    のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 芳香族ポリアミド樹脂{(A1)成分}の相
    対粘度が、1.6〜3.0である、請求項1ないし請求
    項5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物
  7. 【請求項7】 ポリアミド樹脂{(A)成分}が、芳香族
    ポリアミド{(A1)成分}50重量%以上、ポリアミド6
    {(B)成分}50重量%以下よりなる混合ポリアミドで
    ある、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の
    ポリアミド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれか一項
    に記載のポリアミド樹脂組成物に、さらに無機充填材
    {(E)成分}が配合されてなるポリアミド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 無機充填材{(E)成分}の配合量が、ポ
    リアミド樹脂{(A)成分}100重量部に対して50〜
    300重量部とされてなる、請求項8に記載のポリアミ
    ド樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 無機充填材{(E)成分}が、マイカ、
    針状ウォラストナイトおよびホウ酸アルミニウムよりな
    る群より選ばれた1種以上である、請求項8または請求
    項9に記載のポリアミド樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれか
    一項に記載のポリアミド樹脂組成物に、さらに銅化合物
    {(F1)成分}および/またはハロゲン化合物{(F2)成
    分}が配合されてなるポリアミド樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 銅化合物{(F1)成分}および/または
    ハロゲン化合物{(F2)成分}の配合量が、混合ポリアミ
    ド樹脂100重量部に対して、銅化合物{(F1)成分}
    0.01〜2重量部、ハロゲン化合物{(F2)成分}0.
    05〜3重量部とされてなる、請求項11に記載のポリ
    アミド樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    一項に記載のポリアミド樹脂組成物を原料とし、製造さ
    れたものであることを特徴とする成形品。
  14. 【請求項14】 成形品が、屋外で使用されるものであ
    る、請求項13に記載の成形品。
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