JP2007269930A - ポリアミド樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド66樹脂、特定共重合比率のポリアミド三元共重合体、無機充填材および着色剤を特定の割合で配合することで、高温時の剛性低下が少なく、機械物性に優れ、特に表面外観および耐候性に優れたポリアミド樹脂組成物およびその成形品を得ることができる。
【解決手段】(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、(A)ポリアミド66樹脂10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体10〜35重量部、(C)無機充填材30〜70重量部、(D)着色剤0.1〜1.5重量部を配合してなり、かつ特定の条件を満たすことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、(A)ポリアミド66樹脂10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体10〜35重量部、(C)無機充填材30〜70重量部、(D)着色剤0.1〜1.5重量部を配合してなり、かつ特定の条件を満たすことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は高温時の剛性低下が少なく、機械物性に優れ、特に表面外観および耐候性に優れたポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂の中で特に共重合ポリアミド樹脂は、良外観性及び良流動性に優れており、特許文献1及び特許文献2に記載のとおり共重合ポリアミド樹脂にガラス繊維等の無機充填材を高充填化することで強度及び剛性が増し、かつポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂に比べ良外観、良流動であるため、高強度・高剛性及び良外観の両立を可能とし、その用途を広げている。しかし共重合ポリアミド樹脂は、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂に比べ高温環境下では剛性が顕著に低下するという欠点を有しているため、高温環境下で使用する用途には適していなかった。
また着色剤においても、有機染料は良外観であるが耐光(候)性に劣り、無機顔料は耐光(候)性に優れるが外観を損なうという欠点を有しているため、耐光(候)性を有しつつ良外観が必要である用途には適していなかった。
本発明は共重合ポリアミド樹脂の特性を有しつつ、高温環境下での剛性を改良し、かつ耐光(候)性を兼ね備えた樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供するものである。
特開平6−73288
特開平7−97514
本発明は高温環境下での剛性低下が少なく、機械物性に優れ、特に表面外観および耐候性に優れたポリアミド樹脂組成物、およびその成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド66樹脂、ポリアミド三元共重合体、無機充填剤、着色剤を特定の割合で配合することにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、(A)ポリアミド66樹脂10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体10〜35重量部、(C)無機充填材30〜70重量部、(D)着色剤0.1〜1.5重量部を配合してなり、かつ以下の(i)、(ii)の条件を満たすことを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(i)(A)ポリアミド66樹脂の、25℃における98%濃硫酸の0.01g/ml溶液での相対粘度が、2.0〜3.0。
(ii)(B)ポリアミド三元共重合体が、(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位70〜85重量%、(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位5〜20重量%、(B3)カプロアミド単位1〜10重量%のポリアミド三元共重合体であり、かつ(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位と(B3)カプロアミド単位との重量比(B2)/(B3)が1.0以上。
(2)(D)着色剤が、(D1)有機染料、および(D2)無機顔料を含有することを特徴とする上記(1)に記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)(D1)有機染料がニグロシン、アジン系ブラック、ペリノンレッド、ペリノンオレンジ、アンスラキノンブルー、およびアンスラキノンレッドから選ばれる少なくとも1種であり、(D2)無機顔料が硫化カドミウム、フタロシアニン、およびカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(2)に記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品を提供するものである。
(1)(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、(A)ポリアミド66樹脂10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体10〜35重量部、(C)無機充填材30〜70重量部、(D)着色剤0.1〜1.5重量部を配合してなり、かつ以下の(i)、(ii)の条件を満たすことを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(i)(A)ポリアミド66樹脂の、25℃における98%濃硫酸の0.01g/ml溶液での相対粘度が、2.0〜3.0。
(ii)(B)ポリアミド三元共重合体が、(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位70〜85重量%、(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位5〜20重量%、(B3)カプロアミド単位1〜10重量%のポリアミド三元共重合体であり、かつ(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位と(B3)カプロアミド単位との重量比(B2)/(B3)が1.0以上。
(2)(D)着色剤が、(D1)有機染料、および(D2)無機顔料を含有することを特徴とする上記(1)に記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)(D1)有機染料がニグロシン、アジン系ブラック、ペリノンレッド、ペリノンオレンジ、アンスラキノンブルー、およびアンスラキノンレッドから選ばれる少なくとも1種であり、(D2)無機顔料が硫化カドミウム、フタロシアニン、およびカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(2)に記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品を提供するものである。
本発明によれば、高温環境下での剛性低下が少なく、機械物性に優れ、特に表面外観および耐候性に優れたポリアミド樹脂組成物、およびその成形品を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で用いる(A)ポリアミド66樹脂はポリアミド樹脂組成物の高温時剛性を向上させるために用いる。その分子量としてはサンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、2.0〜3.0の範囲のものを使用する。また(A)ポリアミド66樹脂は、(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、10〜35重量部である。(A)ポリアミド66樹脂が35重量部を越えると表面平滑性が失われ外観性が悪くなり、10重量部未満では高温時剛性が劣る。
また、本発明で用いられる(A)ポリアミド66樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられる。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第一銅、ヨウ化第一銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は通常、ポリアミド66樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が2重量部よりも多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになり、0.01重量部より少ないと、長期耐熱性を向上が十分ではない。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリ化合物を添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
本発明における(B)ポリアミド三元共重合体は、各繰返し構造単位の共重合割合が、(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位70〜85重量%、(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位5〜20重量%、(B3)カプロアミド単位1〜10重量%であり、また(B2)/(B3)の重量比が1.0以上であることを特徴とする。これらの重量比は共重合体を製造する際の原料の割合を調整することにより、達成される。(B1)のヘキサメチレンアジパミド単位の重量比が70重量%未満では機械特性が損なわれ、85重量%を超えると成形品の外観が優れない。また(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位が5重量%未満では成形品の外観が優れず、20重量%を超えると機械特性が損なわれる。また(B3)カプロアミド単位が1重量%未満では成形品外観の改善が見られず、10重量%を超える場合や(B2)/(B3)の重量比が1.0未満の場合は機械特性が損なわれる。(B3)カプロアミド単位が1重量%未満では固化速度が早すぎ、ガラス繊維浮きが発生し、10重量%を超える場合や(B2)/(B3)の重量比が1.0未満の場合では到達結晶化度が低いためである。なお、(B2)/(B3)の重量比の上限については特に制限はないが、本発明においては靭性の観点から4以下が好ましい。また、(B3)単位を持たず、(B1)単位と(B2)単位の2元共重合ポリアミド樹脂では固化速度が早すぎ、成形品表面のガラス繊維浮きを十分抑制することができない。
また本発明の(B)ポリアミド三元共重合体は、(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、10〜35重量部である。(B)ポリアミド三元共重合体が35重量部より多いと結晶化速度が遅くなることから、成形時に長時間冷却する工程が必要となり成形性が悪くなる。また、高温時の剛性低下も発生し、本発明の目的にそぐわない。一方(B)ポリアミド三元共重合体が10重量部より少ないと、高濃度に無機充填材を配合すると表面平滑性が失われ外観性が必要な用途に用いることができない。本発明で用いられる(B)ポリアミド三元共重合体の分子量は、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として0.5〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.5〜2.9である。相対粘度が0.5以上であれば機械物性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られ、また相対粘度が3.0以下であればポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が成形に適した範囲となり、ポリアミド樹脂組成物を金型内に充填することが容易となる。
本発明で用いる(C)無機充填材としては、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。なお、本発明に使用する上記の充填材はその表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカップリング剤その他の表面処理剤および膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
また(C)無機充填材としてはガラス繊維以外の無機充填材を用いてもよい。ガラス繊維以外の無機充填材としては、板状、棒状、球状などの形状を持った長径と短径の比率であるアスペクト比が5以下の充填材が挙げられ、このような無機充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などが挙げられる。こられは中空であってもよく、さらにはこれら無機充填材を2種類以上用いることも可能である。また、これら無機充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。
これらガラス繊維以外の無機充填材の中でも、剛性、表面外観、寸法安定性に優れる点でガラスビーズ、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリンが好ましい。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満では凝集が起こりやすく剛性に劣る場合がある。また平均粒径が10μmを超えると剛性、表面外観に劣る場合がある。なお、平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒径の50%積算値として求めることができる。
また(C)無機充填材の配合量としては(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として30〜70重量部が好ましい。70重量部を越えると外観性が悪くなり、30重量部未満では剛性が劣る。
本発明で用いる(D)着色剤は、(D1)有機染料および(D2)無機顔料を併用することが好ましい。(D1)有機染料としては、ニグロシン、アジン系ブラック、ペリノンレッド、ペリノンオレンジ、アンスラキノンブルー、およびアンスラキノンレッドから選ばれる少なくとも1種が好ましく、また(D2)無機顔料としては、硫化カドミウム、フタロシアニン、およびカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種が好ましい。さらに(D1)/(D2)の重量比が4以上であることが好ましい。また(D)着色剤の配合量としては(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として0.1〜1.5重量部が好ましい。配合量が1.5重量部を越えると機械特性が劣り、0.1重量部未満では外観及び耐候性が劣る。
本発明のポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド66樹脂と(B)ポリアミド三元共重合体と(C)無機充填材と(D)着色剤の組成比は、(A)〜(C)成分の合計量を100重量部として(A)ポリアミド66樹脂が10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体が10〜35重量部、(C)無機充填材が30〜70重量部、(D)着色剤が0.1〜1.5重量部であり、好ましくは(A)ポリアミド樹脂が25〜30重量部、(B)ポリアミド三元共重合体が15〜20重量部、(C)無機充填材が45〜60重量部、(D)着色剤が1.00〜1.25重量部である。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、特に制限はないが、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混練する場合に(A)ポリアミド66樹脂と(B)ポリアミド三元共重合体と(C)無機充填剤と(D)着色剤をあらかじめブレンダーを用いてブレンドし、メインフィーダーから供給する方法、(A)ポリアミド66樹脂と(B)ポリアミド樹脂三元共重合体と(D)着色剤とをあらかじめブレンダーを用いてブレンドし、メインフィーダーから供給し、(C)無機充填材を押出機の先端部分のサイドフィーダーから供給する方法が挙げられ、サイドフィールする際のサイドフィード位置としては、元込め位置から吐出口までの長さを1として、元込め位置から1/5〜4/5の位置で行うことが好ましい。また事前に(A)ポリアミド66樹脂と(B)ポリアミド三元共重合体を溶融混練した後、(C)無機充填材と(D)着色剤とを溶融混練する方法なども挙げられる。
本発明の成形品は公知の方法で成形でき、その成形方法に関しても制限はなく射出成形、押出成形、吹込成形、プレス成形等を利用することができる。中でも射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形から選ばれる一方法を採用することが生産性に優れ工業的に本発明を実施する上で好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は高温時の剛性低下が小さいことから、この特性を活かしてシフトレバーベースやその他シフトレバーを構成する部品、ウィンドレギュレータードアノブスイッチ類、レバーコントローラー、ドアミラーやルームミラー、バックミラー等を車体に保持する車両用鏡体保持部品、ドアーハンドル、サンバイザーアーム、アシストグリップ、レバースイッチ類、シフトノブ、シリンダーヘッドカバー、エンジン遮音カバー、タイミングベルトカバーなどのカバー類、各種スイッチやセンサーのケース類、ホイールキャップ、フューエルフィラーキャップ、チャイルドシート部品などの自動車関連部品や、自転車部品、車椅子およびベビーカー部品、椅子脚、肘掛け、手摺り、窓枠、ドアノブ、床材およびその支柱、ボルトやねじ等の生活関連部品や家具建材関連部品、パソコンの筐体など電気・電子機器関連における用途などに好適に用いることができる。特に自動車のシフトレバーベースやシフトレバーを構成している部品に用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)材料強度
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度(23℃、絶乾):ISO 527−1、ISO 527−2
引張強度(80℃、平衡吸水):ISO 527−1、ISO 527−2
曲げ強度、曲げ弾性率(23℃、絶乾):ISO 178
曲げ強度、曲げ弾性率(80℃、平衡吸水):ISO 178
シャルピー衝撃強度:ISO 175
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度(23℃、絶乾):ISO 527−1、ISO 527−2
引張強度(80℃、平衡吸水):ISO 527−1、ISO 527−2
曲げ強度、曲げ弾性率(23℃、絶乾):ISO 178
曲げ強度、曲げ弾性率(80℃、平衡吸水):ISO 178
シャルピー衝撃強度:ISO 175
(2)吸水特性
ISO 62標準方法に従って測定した。
ISO 62標準方法に従って測定した。
(3)成形品の表面外観
115×115×2(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
115×115×2(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
(4)耐光(候)性
80×80×3(mm)の角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板をJIS K7350−4法に準拠した処理を400hr行った後、蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
80×80×3(mm)の角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板をJIS K7350−4法に準拠した処理を400hr行った後、蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
(5)硫酸相対粘度
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
参考例1 (A)ポリアミド66樹脂の製造
実施例および比較例で用いた(A)ポリアミド66樹脂は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸1500g、イオン交換水375gを秤量し、重合缶に仕込み、常圧、窒素フロー下で攪拌しながら最終到達温度260℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.7であった。
実施例および比較例で用いた(A)ポリアミド66樹脂は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸1500g、イオン交換水375gを秤量し、重合缶に仕込み、常圧、窒素フロー下で攪拌しながら最終到達温度260℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.7であった。
参考例2 (B)ポリアミド三元共重合体の製造
実施例および比較例で用いたポリアミド三元共重合体は以下の方法で重合した。
(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位81重量%、(B−2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位15重量%および(B−3)ε−カプロアミド単位4重量%と、6.1×10−5mol/gの安息香酸((株)伏見製作所製)を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を270℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.3であった。
実施例および比較例で用いたポリアミド三元共重合体は以下の方法で重合した。
(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位81重量%、(B−2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位15重量%および(B−3)ε−カプロアミド単位4重量%と、6.1×10−5mol/gの安息香酸((株)伏見製作所製)を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を270℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥した。得られたペレットの硫酸相対粘度を測定した結果、その値は2.3であった。
参考例3 成形品の作成
実施例および比較例で使用した引張強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度の試験用成形品は次の方法で作成した。ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度300℃、金型表面温度100℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件でISO Type−A規格の試験片を成形した。
実施例および比較例で使用した引張強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度の試験用成形品は次の方法で作成した。ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度300℃、金型表面温度100℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件でISO Type−A規格の試験片を成形した。
また、成形品の表面外観及び耐光(候)性評価用の試験片は、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度280℃、金型表面温度80℃、スクリュー回転数100rpm、平行部流速50mm/秒、射出/冷却=12/12秒の条件で、115mm×115mm×2(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)及び80×80×3(mm)の角板を射出成形した。
[実施例1]
参考例1に示した重合方法で製造された(A)ポリアミド66樹脂を35重量部、 参考例2に示した重合方法で製造された(B)ポリアミド三元共重合体を10重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部、(D)着色剤として染料ナイロンマスターバッチ「東レ(株)製:商品名M100B1」を1.0重量部、無機顔料ナイロンマスターバッチ「東レ(株)製:商品名F100B2」を0.25重量部の割合で2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練を行った。その際、(A)、(B)、(D)は元込めで、(C)ガラス繊維はサイドフィードした。サイドフィード位置としては元込め位置から吐出口までの長さを1として、元込め位置から3/5の位置から行った。溶融混錬した後、ストランド状のガットを冷却バスで冷却し、カッターを用いてペレットを得た。得られたペレットを参考例3に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
参考例1に示した重合方法で製造された(A)ポリアミド66樹脂を35重量部、 参考例2に示した重合方法で製造された(B)ポリアミド三元共重合体を10重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部、(D)着色剤として染料ナイロンマスターバッチ「東レ(株)製:商品名M100B1」を1.0重量部、無機顔料ナイロンマスターバッチ「東レ(株)製:商品名F100B2」を0.25重量部の割合で2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練を行った。その際、(A)、(B)、(D)は元込めで、(C)ガラス繊維はサイドフィードした。サイドフィード位置としては元込め位置から吐出口までの長さを1として、元込め位置から3/5の位置から行った。溶融混錬した後、ストランド状のガットを冷却バスで冷却し、カッターを用いてペレットを得た。得られたペレットを参考例3に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
[実施例2]
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)30重量部、(B)15重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)30重量部、(B)15重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
[実施例3]
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)22.5重量部、(B)22.5重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)22.5重量部、(B)22.5重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
[実施例4]
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)10重量部、(B)35重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
参考例1に示した(A)と(B)の配合比が(A)10重量部、(B)35重量部であること以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表1に示す。
[実施例5〜8]
実施例1〜4に示した(D)着色剤が表2に示した配合量であること以外はそれぞれ実施例1〜4と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。配合比及びその結果を表2に示す。
実施例1〜4に示した(D)着色剤が表2に示した配合量であること以外はそれぞれ実施例1〜4と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。配合比及びその結果を表2に示す。
[比較例1]
参考例2に示した重合方法で製造された(B)ポリアミド三元共重合体を45重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部とし、(A)ポリアミド66樹脂を除いたこと以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
参考例2に示した重合方法で製造された(B)ポリアミド三元共重合体を45重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部とし、(A)ポリアミド66樹脂を除いたこと以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
[比較例2]
参考例1に示した重合方法で製造された(A)ポリアミド66樹脂を45重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部とし、(B)ポリアミド三元共重合体を除いたこと以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
参考例1に示した重合方法で製造された(A)ポリアミド66樹脂を45重量部、(C)ガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289]を55重量部とし、(B)ポリアミド三元共重合体を除いたこと以外は実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
実施例1〜8および比較例1、2より特定共重合比率の(A)ポリアミド66樹脂、(B)ポリアミド三元共重合体、(C)無機強化剤を配合し、さらに(D)着色剤を配合して得られたポリアミド樹脂組成物は、優れた成形品の表面外観及び耐光(候)性を有し、同時に高い引張強さ、曲げ弾性率に優れ、更に平衡吸水時高温環境においても高い剛性を示す材料を得られることが確認された。
Claims (4)
- (A)〜(C)成分の合計量を100重量部として、(A)ポリアミド66樹脂10〜35重量部、(B)ポリアミド三元共重合体10〜35重量部、(C)無機充填材30〜70重量部、(D)着色剤0.1〜1.5重量部を配合してなり、かつ以下の(i)、(ii)の条件を満たすことを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(i)(A)ポリアミド66樹脂の、25℃における98%濃硫酸の0.01g/ml溶液での相対粘度が、2.0〜3.0。
(ii)(B)ポリアミド三元共重合体が、(B1)ヘキサメチレンアジパミド単位70〜85重量%、(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位5〜20重量%、(B3)カプロアミド単位1〜10重量%のポリアミド三元共重合体であり、かつ(B2)ヘキサメチレンイソフタルアミド単位と(B3)カプロアミド単位との重量比(B2)/(B3)が1.0以上。 - (D)着色剤が、(D1)有機染料、および(D2)無機顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- (D1)有機染料がニグロシン、アジン系ブラック、ペリノンレッド、ペリノンオレンジ、アンスラキノンブルー、およびアンスラキノンレッドから選ばれる少なくとも1種であり、(D2)無機顔料が硫化カドミウム、フタロシアニン、およびカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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JP2006095905A JP2007269930A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | ポリアミド樹脂組成物及びそれからなる成形品 |
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JP2014028889A (ja) * | 2012-07-31 | 2014-02-13 | Nippon Pigment Co Ltd | 自動車アンダーフード部品 |
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2006
- 2006-03-30 JP JP2006095905A patent/JP2007269930A/ja active Pending
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