JP2006137815A - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形品外観に優れ、屋外における使用条件下において表面の平滑性に優れ、白化が少ない成形品を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)、平均一次粒子径が10〜20nmからなるカーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、
(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程により製造せしめてなるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)、平均一次粒子径が10〜20nmからなるカーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、
(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程により製造せしめてなるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は機械特性成形品および外観に優れ、屋外における使用条件下において表面の平滑性に優れ、白化が少ない成形品を得ることができるポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、その優れた成形性、機械特性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などを利用して、自動車、機械関連の部品の他、建材等の構造部材などに成形品として広範囲に利用されている。これらの分野でのポリアミド樹脂の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であり、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が進んできた。最近では成形加工技術の進展なども伴い、ポリアミド樹脂の高性能化、良外観化をはかり、より高い外観性を求められる部品にまで積極的に実用化されている。
しかし、強化ポリアミド樹脂から得られた成形品を屋外で使用する場合、紫外線による酸化劣化の影響で成形品表面にクラックが発生したり、成形品表面に強化材が浮き出て白化現象を起こしてしまうため、屋外での使用は制限を受けている。
これらの良外観性、耐候性を満足する手法として、半芳香族ポリアミド樹脂/高級脂肪族ポリアミド樹脂に無機充填材、カーボンブラック、銅化合物を添加する方法がみられる(例えば、特許文献1,特許文献2など)。
しかしながら、耐候性の向上を目的に配合するカーボンブラックには凝集性があり、ポリアミド中で十分に分散しないと、物性低下を起こすだけでなく、耐候性を著しく低下させてしまう。
特許第2993545号公報
特開2002−97363号公報
本発明の課題は、機械特性および外観に優れ、屋外における使用条件下において表面の平滑性に優れ、白化が少ない成形品を得ることができるポリアミド樹脂組成物およびその成形品を提供することである。
上記の課題を解決すべく検討した結果、特定のカーボンブラックをマスターバッチ化する工程、カーボンブラックのマスターバッチに特定のポリアミド樹脂、無機充填材、銅化合物、紫外線吸収剤、光安定剤を特定の比率で配合する工程を経ることによって達成されることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、
無機充填材(B)20〜200重量部、
銅化合物(C)0.01〜3重量部、
平均一次粒子径が10〜20nmであるカーボンブラック(D)0.5〜10重量部、
高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)0.01〜2重量部を含有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であり、
(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程
により製造せしめてなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(2)(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程を有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(3)(1)記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品、
を提供するものである。
(1)ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、
無機充填材(B)20〜200重量部、
銅化合物(C)0.01〜3重量部、
平均一次粒子径が10〜20nmであるカーボンブラック(D)0.5〜10重量部、
高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)0.01〜2重量部を含有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であり、
(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程
により製造せしめてなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(2)(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程を有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(3)(1)記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品、
を提供するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、成形体の機械特性バランスに優れ、屋外での使用において成形品の表面の平滑性に優れ、白化、退色が少ないため、ルーフレール、ドアミラーステイ、ホイールキャップ、机、椅子の脚部分、ドアハンドル等幅広い分野に利用できる。
以下に本発明の実施形態を説明する。文中の「重量」とは「質量」を意味する。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)は、64〜90重量%のヘキサメチレンアジパミド(PA66)と9〜35重量%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)および1〜10重量%のカプロアミド単位(PA6)とからなる3元共重合体であり、PA6IとPA6の配合重合比(:PA6I/PA6)が1.0以上である。より好ましい構成としては、ポリアミド樹脂組成物(A)中のPA6成分が2〜7重量%である。
PA66成分が64重量%未満では本来ポリアミド樹脂が持つ優れた機械特性や耐熱性などが満足できないものになり、90重量%を超えると外観性に満足できないものとなる。また、PA6成分が1重量%未満では外観性が改善されず、10重量%を越えた組成および10重量%以下でもPA6Iとの配合重量比(:PA6I/PA6)が1.0未満では吸湿時の機械特性が優れない。また、成形時の流動性が製品外観性に比例することから、本発明におけるポリアミドの相対粘度(98%硫酸法)は、良好な成形品外観を得るために2.0〜3.2が好ましく、さらに好ましくは2.1〜2.9である。2.0未満では、製品の耐久性において好ましくなく、3.2を越えると流動性が優れないため良好な外観が得られ難い。
また、本発明における無機充填材、一般に強化ポリアミドに使用されるガラス繊維の他、様々な繊維状および非繊維状無機充填材が挙げられ、さらに成形品の表面平滑性などの改善を図ることも可能である。その配合量はポリアミド100重量部に対して、20〜200重量部、好ましくは25〜150重量部である。20重量部未満では強化樹脂としての効果が期待できず、200重量部を越えると外観性が優れない。
本発明における無機充填材の例としては、炭素繊維、チタン酸ウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、ホウ酸アルミウイスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ミルドガラスファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状無機充填材などが挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれらは複数種類併用することも可能である。また、これら無機充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤を同時にもしくは予備処理して使用することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
本発明では銅化合物(C)を用いることが必要である。銅化合物(C)を用いることによって優れた耐候性を得ることができるからである。本発明における銅化合物(C)の例としては、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅のハロゲン化銅、酸化銅、硫酸銅、硝酸銅などの無機酸銅化合物、酢酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、カプリン酸銅等の有機酸銅化合物が挙げられるが、本発明ではヨウ化銅が特に好ましい。
これらの配合量はポリアミド100重量部に対して、0.01〜0.3重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。配合量が0.01重量部未満であると、十分な耐候性を得ることができず、0.3重量部を越える場合は、耐候性が飽和して増量による効果がなくなってしまい、逆に、押出機、成形機の銅による腐食を早めてしまう。
また、本発明における銅化合物(C)にはハロゲン化アルカリと併用して用いることが好ましい。ハロゲン化アルカリとしては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム等を挙げることができ、好ましくはヨウ化カリウムである。より好ましい配合量としては、上記銅化合物(C)中の銅1原子に対し、該ハロゲン化アルカリ中のハロゲン原子が0.3〜4原子の割合である。0.3原子未満であると、十分な耐候性を得ることができず、4原子を越える場合は、耐候性が飽和して増量による効果がなくなってしまい、逆に、押出機、成形機のハロゲン化アルカリによる腐食を早めてしまう。
本発明ではカーボンブラック(D)を用いることが必要である。カーボンブラック(D)を用いることにより優れた耐候性を得ることができるからである。
本発明において、カーボンブラックをポリアミド樹脂に配合することにより耐候性が大きく向上されるが、カーボンブラックは凝集を起こしやすく、樹脂中に均一に分散しないため、物性が著しく低下したり耐候性向上効果が少ない。このため、本発明においてはカーボンブラックの分散を上げるため、あらかじめポリアミド樹脂(A)に練り込んでカーボンブラックのマスターバッチを作製し、ついで他の成分と溶融混練することが必要である。このとき、マスターバッチ作製時にカーボンブラックの分散性を更に上げるため高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を加えることが必要である。カーボンブラックのマスターバッチを作製しないと、また、マスターバッチ作製時に高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を配合しないと、カーボンブラックが凝集を起こし、物性、耐候性の低下を起こすため、好ましくない。
本発明において、カーボンブラック(D)は、実質的に炭素から成るものであれば良く、種々の公知のものを用いることができる。カーボンブラック(D)は一般に、ファーネス法、コンタクト法、衝撃法によって作られ、原料としては主に、クレオソート油、重質油、エチレンボトム油、天然ガス、アセチレンガス、ナフタリン、アントラセン、石油、石炭ガス、ピッチ油等を挙げることができる。本発明に使用されるカーボンブラック(D)の平均一次粒子径は、10nm〜20nm、好ましくは15nm〜20nmであり、又、吸油量(ジブチルフタレートを用いた測定値)は50cc/100g〜150cc/100g、好ましくは50cc/100g〜120cc/100gである。一般に、粒子径、吸油量ともに上記数値未満であったり、又超える数値であってもカーボンブラック(D)の分散性が低下したり十分な耐候性を満足しないおそれがある。本発明におけるカーボンブラック(D)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。配合量が上記0.5重量部未満であると耐候性の改良効果が充分発揮されず、また配合量が上記10重量部を越えると機械強度、剛性等を損ねるおそれがあり好ましくない。また、本発明のカーボンブラックマスタにおけるカーボンブラック(D)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、50重量部以下、好ましくは25重量部以下である。配合量が上記50重量部を越えるとカーボンブラック(D)の分散性が悪くなり、耐候性、機械強度、剛性等を損ねるおそれがあり好ましくない。
本発明において、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩(E)は、炭素数12〜25の脂肪酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩のことを示しており、上記炭素数12〜25の脂肪酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸ののナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩が挙げられる。
本発明における高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩(E)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜2重量部、好ましくは、0.05〜1重量部である。配合量が上記0.01重量部未満であるとカーボンブラック(D)の分散性が悪くなり、耐候性、機械強度、剛性等を損ねるおそれがあり、また配合量が上記2重量部を越えると機械強度、剛性等を損ねるだけでなく、発生ガスによる成形品外観の悪化を招くおそれがあり好ましくない。
本発明におけるカーボンブラックマスターバッチの調製方法は特定の方法に限定されず、単軸あるいは2軸押出機など公知の機器に供給して溶融混練する方法などを挙げることができる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物の目的を損なわない範囲で、要求される特性に応じて(A)以外の他のポリアミド樹脂他のポリマー類、添加剤、耐候剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、カップリング剤などを添加することも可能である。
(A)以外の他のポリアミド樹脂は、ポリアミド6,ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド66,ポリアミド610、ポリアミド612,ポリアミド6/66共重合体等の脂肪族ポリアミド、もしくはこれらのブレンド物が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されない。効率的な例として、原料樹脂、ガラス繊維などを単軸あるいは2軸押出機など公知の機器に供給して溶融混練する方法などを挙げることができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程により製造せしめられることが必要である。このような工程により製造することによって、カーボンブラックの凝集を効果的に抑制することができ、また、上記高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)の効果と伴って、物性耐候性の優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程により製造せしめられることが必要である。このような工程により製造することによって、カーボンブラックの凝集を効果的に抑制することができ、また、上記高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)の効果と伴って、物性耐候性の優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明のカーボンブラックマスターバッチ、ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、各原料を一括して押出機に供給する方法が挙げられる。さらに、供給口を2つ以上有する押出機を使用する場合には、第一の(上流側の)供給口から任意の1ないし複数の成分を供給し、第二以降の(下流側の)供給口から残りの任意の1ないし複数の成分を供給する方法をとることもできる。本発明におけるカーボンブラックマスターバッチは、カーボンブラックの分散状態を良好にするため、各原料を一括して押出機に供給する方法が好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、第一の(上流側の)供給口からポリアミド樹脂(A)とカーボンブラックマスターバッチ、銅化合物(C)を供給して(A)、(C)、(D)、(E)成分を溶融混練した後、さらに下流側の供給口から無機充填材(B)成分を配合することが好ましい。
このようにして得られた本発明の組成物は、ルーフレール、ドアミラーステイ、ホイールキャップ等の自動車外装部品、机、椅子の脚部分、ドアハンドル等の一般用途部品に好ましく使用できる。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
(1)一般機械特性
以下の標準方法に従って測定した。
引張強さ、引張伸び
ASTM D638に準拠して行った。1号ダンベル型試験片(試験片厚み:1/8インチ(3.2mm))を用い、試験速度10mm/minで23℃にて試験を行った。
曲げ強さ、曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して行った。曲げ試験片(試験片厚み:1/4インチ(6.4mm))を用い、試験速度3mm/minで23℃にて試験を行った。
Izod衝撃強さ
ASTM D256に準拠して行った。衝撃試験片(試験片厚み:1/8インチ(3.2mm)、カットノッチ)を用いて23℃にて試験を行った。
以下の標準方法に従って測定した。
引張強さ、引張伸び
ASTM D638に準拠して行った。1号ダンベル型試験片(試験片厚み:1/8インチ(3.2mm))を用い、試験速度10mm/minで23℃にて試験を行った。
曲げ強さ、曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して行った。曲げ試験片(試験片厚み:1/4インチ(6.4mm))を用い、試験速度3mm/minで23℃にて試験を行った。
Izod衝撃強さ
ASTM D256に準拠して行った。衝撃試験片(試験片厚み:1/8インチ(3.2mm)、カットノッチ)を用いて23℃にて試験を行った。
(2)色調
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の試験片の色調変化を色差計(スガ試験機(株)製 SM−5−1S−2B)で測定し、ΔEを求めた。また、5回の平均値を測定値とした。
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の試験片の色調変化を色差計(スガ試験機(株)製 SM−5−1S−2B)で測定し、ΔEを求めた。また、5回の平均値を測定値とした。
(3)表面粗さ
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の表面粗さを表面粗さ測定機((株)ミツトヨ製 SURFTEST SV−500)で測定し、表面粗さ(Ry)を求めた。また、5回の平均値を測定値とした。
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の表面粗さを表面粗さ測定機((株)ミツトヨ製 SURFTEST SV−500)で測定し、表面粗さ(Ry)を求めた。また、5回の平均値を測定値とした。
(4)表面光沢
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の表面光沢をデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製 USV−5D)で測定し、5回の平均値を測定値とした(入射角60°)。
80×80×3mm厚の角板を作製し、サンシャインウエザオメーター処理前後の表面光沢をデジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製 USV−5D)で測定し、5回の平均値を測定値とした(入射角60°)。
[参考例1]ポリアミド樹脂A
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩、ε−カプロラクタムをそれぞれ80:15:5の重量比で投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を十分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大20kg/cm2(G)に調整しながら最終到達温度は270℃とし、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。(:PA6I/PA6=3)
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩、ε−カプロラクタムをそれぞれ80:15:5の重量比で投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を十分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は最大20kg/cm2(G)に調整しながら最終到達温度は270℃とし、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。(:PA6I/PA6=3)
[参考例2]ポリアミド樹脂B
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩、ε−カプロラクタムをそれぞれ85:5:10の重量比で投入する以外は、実施例1と同様の方法でペレット作製を行った。(:PA6I/PA6=0.5)
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩、ε−カプロラクタムをそれぞれ85:5:10の重量比で投入する以外は、実施例1と同様の方法でペレット作製を行った。(:PA6I/PA6=0.5)
[実施例1〜11]、[比較例1〜10]
下記原料を表1、2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で290℃にて溶融混練後ペレット化した。混練方法は、あらかじめポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪酸金属塩(E)を表1に示す割合で溶融混練してマスターバッチを作製し、残りの原料と溶融混練してペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で除湿乾燥した。次にこのペレットを東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度95℃、射出−冷却時間15−15秒、射出速度70%、充填下限圧力+10Kg/cm2(G)とした。80×80×3mm厚角板はサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製 WEL−SUN−HCH−B)で400時間処理し(ブラックパネル温度63℃で、1時間に12分間水がスプレーされる)、処理後の色差、表面粗さ、表面光沢を測定した。
下記原料を表1、2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で290℃にて溶融混練後ペレット化した。混練方法は、あらかじめポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪酸金属塩(E)を表1に示す割合で溶融混練してマスターバッチを作製し、残りの原料と溶融混練してペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で除湿乾燥した。次にこのペレットを東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度95℃、射出−冷却時間15−15秒、射出速度70%、充填下限圧力+10Kg/cm2(G)とした。80×80×3mm厚角板はサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製 WEL−SUN−HCH−B)で400時間処理し(ブラックパネル温度63℃で、1時間に12分間水がスプレーされる)、処理後の色差、表面粗さ、表面光沢を測定した。
[比較例11]
下記原料を表2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で290℃にて溶融混練後ペレット化した。混練は、カーボンブラックマスターバッチを作製せずに行い、原料を一括で溶融混練してペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で除湿乾燥した。次にこのペレットを東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度95℃、射出−冷却時間15−15秒、射出速度70%、充填下限圧力+10Kg/cm2(G)とした。80×80×3mm厚角板はサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製 WEL−SUN−HCH−B)で400時間処理し(ブラックパネル温度63℃で、1時間に12分間水がスプレーされる)、処理後の色差、表面粗さ、表面光沢を測定した。
ガラス繊維:日本電気硝子製 T−275H
ヨウ化銅:シグマアルドリッチジャパン製97%1級
ヨウ化カリウム:シグマアルドリッチジャパン製99.5%1級
カーボンブラックA:三菱化成(株)製#850(平均一次粒子径18nm)
カーボンブラックB:三菱化成(株)製#2300(平均一次粒子径15nm)
カーボンブラックC:三菱化成(株)製#52(平均一次粒子径27nm)
ステアリン酸ナトリウム:シグマアルドリッチジャパン製1級
ステアリン酸カルシウム:シグマアルドリッチジャパン製1級
下記原料を表2に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で290℃にて溶融混練後ペレット化した。混練は、カーボンブラックマスターバッチを作製せずに行い、原料を一括で溶融混練してペレタイズした。得られたペレットを80℃、12時間の条件で除湿乾燥した。次にこのペレットを東芝機械IS80型射出成形機を用いて成形した。成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度95℃、射出−冷却時間15−15秒、射出速度70%、充填下限圧力+10Kg/cm2(G)とした。80×80×3mm厚角板はサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製 WEL−SUN−HCH−B)で400時間処理し(ブラックパネル温度63℃で、1時間に12分間水がスプレーされる)、処理後の色差、表面粗さ、表面光沢を測定した。
ガラス繊維:日本電気硝子製 T−275H
ヨウ化銅:シグマアルドリッチジャパン製97%1級
ヨウ化カリウム:シグマアルドリッチジャパン製99.5%1級
カーボンブラックA:三菱化成(株)製#850(平均一次粒子径18nm)
カーボンブラックB:三菱化成(株)製#2300(平均一次粒子径15nm)
カーボンブラックC:三菱化成(株)製#52(平均一次粒子径27nm)
ステアリン酸ナトリウム:シグマアルドリッチジャパン製1級
ステアリン酸カルシウム:シグマアルドリッチジャパン製1級
実施例1〜11により得られたポリアミド樹脂組成物は、一般機械特性、成形品外観、耐候性のバランスに優れる。なかでも、実施例7により得られたポリアミド樹脂組成物は、一般機械特性、成形品外観、耐候性が最も優れている。
比較例1により得られたポリアミド樹脂組成物は、ポリアミドのPA6I成分が少ないため、成形品外観に劣る。
比較例2により得られたポリアミド樹脂組成物は、ガラス繊維配合量が少なすぎるため、成形品外観に優れるものの機械特性に劣る。
比較例3により得られたポリアミド樹脂組成物は、ガラス繊維配合量が多すぎるため、機械特性に優れるものの成形品外観に劣る。
比較例4により得られたポリアミド樹脂組成物は、銅化合物が配合されていないため、耐候性に劣る。
比較例5により得られたポリアミド樹脂組成物は、カーボンブラック配合量が少ないため、紫外線遮蔽効果が少なく、耐候性に劣る。
比較例6により得られたポリアミド樹脂組成物は、カーボンブラック配合量が多いため、成形品外観に劣る。
比較例7により得られたポリアミド樹脂組成物は、カーボンブラックの平均一次粒子径が大きいため、紫外線遮蔽効果が少なく、耐候性に劣る。
比較例8により得られたポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩が配合されていないため、カーボンブラックが十分に分散しておらず、耐候性に劣る。
比較例9により得られたポリアミド樹脂組成物は、高級脂肪酸金属塩配合量が多いため、発生ガスが多く、成形品外観に劣る。
比較例10により得られたポリアミド樹脂組成物は、カーボンブラックが十分に分散しておらず、耐候性に劣る。
比較例11により得られたポリアミド樹脂組成物は、カーボンブラックが十分に分散しておらず、耐候性に劣る。
Claims (3)
- ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、
無機充填材(B)20〜200重量部、
銅化合物(C)0.01〜3重量部、
平均一次粒子径が10〜20nmであるカーボンブラック(D)0.5〜10重量部、
高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)0.01〜2重量部を含有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であり、
(a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作製する工程、
(b)作製したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程
により製造せしめてなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。 - (a)ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(D)、高級脂肪族カルボン酸のナトリウム、カルシウム、アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(E)を溶融混練してマスターバッチを作成する工程、
(b)作成したマスターバッチに残りのポリアミド樹脂(A)、無機充填材(B)、銅化合物(C)を配合、溶融混練する工程を有し、
前記ポリアミド樹脂(A)が、繰り返し構造単位全体を100重量%としてヘキサメチレンアジパミド単位64〜90重量%、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位(PA6I)9〜35重量%、および、カプロアミド単位(PA6)1〜10重量%からなる3元共重合体であり、ヘキサメチレンイソフタルアミド単位とカプロアミド単位の配合重合比PA6I/PA6が1.0以上であることを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。 - 請求項1記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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