JP2003091891A - 光情報記録媒体の製造方法および製造装置 - Google Patents

光情報記録媒体の製造方法および製造装置

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JP2003091891A
JP2003091891A JP2001285723A JP2001285723A JP2003091891A JP 2003091891 A JP2003091891 A JP 2003091891A JP 2001285723 A JP2001285723 A JP 2001285723A JP 2001285723 A JP2001285723 A JP 2001285723A JP 2003091891 A JP2003091891 A JP 2003091891A
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Masaru Magai
勝 真貝
Kiyoto Shibata
清人 柴田
Yuji Miura
裕司 三浦
Katsunari Hanaoka
克成 花岡
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー光を照射することで加熱して記録層
の物性(結晶状態と非結晶状態)を変え記録マークを作
り、状態の違いによる読み出しレーザーの反射率の違い
を利用する相変化光ディスクにおいて、初期化プロセス
・タイムを軽減するかなくす方法を提供し、また、初期
化プロセスを行なう以前の成膜プロセス後において、結
晶化した高い反射率の記録媒体を得る方法及び装置につ
いて提供すること。 【解決手段】 レーザー光の照射により結晶状態とアモ
ルファス状態との間で可逆的に結晶状態が変化する相変
化型光情報記録媒体の製造において、記録層形成と同時
に、かつ、同一真空槽内で基板および記録層材料が吸収
する波長の光を照射し、基板および記録層材料を加熱す
る工程を設けることを特徴とする光情報記録媒体の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体のアド
レス信号が認識可能な程度に成膜後の反射率が高く、レ
ーザーを用いた初期化を必要としないかレーザーを用い
た初期化を軽微とすることができる光情報記録媒体に関
し、詳しくは、相変化記録材料成膜前に基板温度を上
げ、結晶化度の高い記録膜を形成するための結晶転移促
進層を設ける光情報記録媒体の構成に於いて、基板温度
を上昇させる具体的な製造方法に関し、また、特定の材
料を集中的に加熱するような技術分野に応用される。
【0002】
【従来の技術】記録型光ディスクのうち、相変化型記録
ディスクは、一般にプラスチック基板/誘電体材料/カ
ルコゲン系相変化記録媒体/誘電体材料/AlまたはA
g系合金の冷却反射層のような機能的には4層構成の膜
構成を持っている。ここで用いられているカルコゲン系
相変化記録媒体は熱履歴により結晶と非結晶の構造をと
る。通常は、記録前に反射率の高い結晶状態となってい
て、情報記録後は反射率の低い非結晶のマークを形成し
て記録している。生産工程上は各層の成膜プロセスが終
了した時点では非結晶の状態であり、反射率が低く情報
を書き込むためのアドレス情報が読み取れないので、レ
ーザー光を照射することにより加熱し結晶状態に変化さ
せて出荷される。この結晶化状態に変化させるプロセス
は初期化プロセスと呼ばれている。初期化の方法には、
半導体レーザーによる方法(特許第2892818号公
報記載)が最も多用されている。ただし、この初期化プ
ロセスは光情報媒体作製プロセス上、他の工程と比べ時
間が長くかかるので、初期化装置を数多く設置しなけれ
ばならないなどの問題を抱えている。そこで、時間を短
縮する方法として半導体レーザー・アレイによる方法
(特開平10−112065号公報記載)、フラッシュ
ランプによる方法(特許第2846129号公報記載)
などが考案されている。この中で、ランプによる方法は
基板を加熱してしまい、基板自体に変形を起こさせてし
まう可能性があるので、基板の吸収波長領域を減衰させ
るフィルターを介して光照射を行なう(特開平10−1
88363号公報記載)という方法が取られている。
【0003】また、WO98/47142国際公開明細
書では、結晶化促進層としてBiおよびBi化合物を含
む材料を用いてGeSbTe主成分の相変化記録層を結
晶化させる技術を開示している。請求項6に基板温度を
45℃以上基板変形温度以下とする項目がある。具体的
な加熱方法として、基板または結晶化促進層に熱線を含
む光を照射する方法が開示されている。ただ、加熱だけ
ではPCなどのプラスチック基板は信号読み取りに障害
となる変形を生ずる可能性がある。
【0004】また、特願平11−266970号明細書
では、記録層が空間群Fm3mに属する準安定Sb3
e相を有し、かつ該記録層の少なくとも一部分に接して
Bi又はその化合物からなる結晶化促進層を設けたこと
を特徴とする光情報記録媒体が記載されており、更にま
た、特願平13−7352号明細書では、記録層成膜上
流の工程でランプ加熱を行なうことを特徴とする光情報
記録媒体の製造方法及び装置が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、レーザー光を照射することで加熱して記録層の物性
(結晶状態と非結晶状態)を変え記録マークを作り、状
態の違いによる読み出しレーザーの反射率の違いを利用
する相変化光ディスクにおいて、初期化プロセス・タイ
ムを軽減するかなくす方法を提供し、また、初期化プロ
セスを行なう以前の成膜プロセス後において、結晶化し
た高い反射率の記録媒体を得る方法及び装置について提
供することにある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記課題は、本発明の
(1)「レーザー光の照射により結晶状態とアモルファ
ス状態との間で可逆的に結晶状態が変化する相変化型光
情報記録媒体の製造方法において、記録層形成と同時
に、かつ、同一真空槽内で基板および記録層材料が吸収
する波長の光を照射し、基板および記録層材料を加熱す
る工程を設けることを特徴とする光情報記録媒体の製造
方法」、(2)「記録層形成と同時に、かつ、同一真空
槽内で基板および記録層材料が吸収する波長の光を照射
し基板を加熱する工程に加え、記録層に接触して結晶転
移促進効果がある層を成膜する工程を記録層成膜工程の
上流に設けることを特徴とする前記第(1)項に記載の
光情報記録媒体の製造方法」、(3)「加熱方法が、少
なくとも波長1500〜4000nmの中赤外域波長の
光線を含むランプ照射による加熱であることを特徴とす
る前記第(1)項または第(2)項に記載の光記録媒体
の製造方法」、(5)「第一誘電体層成膜後記録層に接
触して、少なくともBiを含む材料により構成される結
晶転移促進層を形成することを特徴とする前記第(1)
乃至第(3)項の何れか1に記載の光情報記録媒体の製
造方法」、(5)「相変化記録層成膜時の基板温度が3
5℃以上、基板材料の過重たわみ温度(ポリカーボネー
トでは125℃)未満であることを特徴とする前記第
(2)項乃至第(4)項の何れか1に記載の光情報記録
媒体の製造方法」により達成される。
【0007】また、上記課題は、本発明の(6)「光を
照射する光源として、形状が円状であるランプ光源とラ
ンプ光源に対し基板と対向する位置にある反射鏡により
基板に光照射をすることを特徴とする前記第(1)項乃
至第(5)項の何れか1に記載の光情報記録媒体の製造
方法に関わる加熱装置」により達成される。
【0008】また、上記課題は、本発明の(7)「光照
射時に基板を回転することを特徴とする前記第(1)項
乃至第(5)項の何れか1に記載の光情報記録媒体の製
造方法」により達成される。
【0009】また、上記課題は、本発明の(8)「基板
への成膜において、該ディスク基板を接触保持する部材
の材質の熱伝導率が0.12〜1.2W/mKの範囲の
ものを用いることを特徴とする前記第(5)項乃至第
(7)項の何れか1に記載の光情報記録媒体の製造方法
に用いられる製造装置」により達成される。
【0010】また、上記課題は、本発明の(9)「記録
層として、Sb及びTeを有する相変化記録材料を光情
報記録媒体であって、該記録層が空間群Fm3mに属す
る準安定Sb3Te相を有することを特徴とする前記第
(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載の製造方法、
又は前記第(8)項に記載の製造装置による光情報記録
媒体」、(10)「記録層形成槽内で加熱のみをおこな
った後に、記録層形成と同時に、かつ、同一真空槽内で
基板および記録層材料が吸収する波長の光を照射し、基
板および記録層材料を加熱する工程を設けることを特徴
とする前記第(1)項乃至第(7)項、第(9)項の何
れか1に記載の製造方法、又は第(8)項に記載の製造
装置による光情報記録媒体」により達成される。
【0011】初期化プロセスをなくすまたは初期化プロ
セス装置の比重を小さくするためには、成膜終了後に完
成した光情報記録媒体の反射率が高い必要がある。反射
率が高いということは、完成した光情報記録媒体の記録
層の結晶化状態にあるかまたは結晶状態に近い構造を持
っているということである。このように結晶化状態に近
いかたちを得るためには、記録層の結晶化を容易にする
ためのいくつかのプロセスを用いる必要がある。
【0012】最も効果的な方法の一つとして、相変化型
記録層の膜形成時に、結晶化転移が容易となるように熱
を加えておくこと、具体的には記録層形成工程終了まで
の間に、基板が吸収する波長の光を照射し基板および記
録層材料を加熱する工程を設けることが効果的である。
特に、相変化記録材料は熱を吸収し易い材料であるため
吸収しやすい波長の光を相変化材料に照射するのが望ま
しいことが、本発明の第(1)に記載されている。ここ
で、基板を加熱することは、次に示す二つの技術的効果
がある。一つは記録層成膜時に記録層材料が熱により結
晶化がより容易になる。さらに、もう一つは、基板の脱
ガスが進み、吸着ガスおよび水分による反射率の低下を
防ぐことができる。特に、記録層形成と同時に、かつ、
同一真空槽内とした場合は、加熱温度を低くしても高い
反射率を得ることができる。
【0013】さらに、基板が吸収する波長の光を照射し
基板を加熱する工程に加え、同じく記録層形成より上流
の工程で記録層に接触して結晶化促進効果がある層を成
膜する工程を設けることにより、さらに低い温度で結晶
化を行なうことが可能になることが、本発明の第(2)
に記載されている。
【0014】ここで、加熱方法としては、少なくとも波
長1500〜4000nmの中赤外域波長の光線を含む
ランプ照射によれば、光ディスクの基板として通常よく
用いられる透明プラスチック基板を効果的に加熱するこ
とができることが、本発明の第(3)に記載されてい
る。ランプ光線を用いる利点としては、ランプの立上が
りが数秒と速いこと、真空中では熱を伝える媒体がない
ので伝熱タイプのヒーターより光のほうが有利であるこ
と、伝熱タイプのヒーターを熱源とするより光のほうが
温調時の応答が速く温調制御が容易であることなどを挙
げることができる。
【0015】また、結晶化を低い温度で可能にする材料
としては、第一誘電体層成膜後記録層成膜前に記録層に
接触して、少なくともBiを含む材料により構成される
結晶転移促進層を形成する。Biを含む材料として具体
的にはBi単体、Biと他の金属あるいは半金属との合
金を挙げることができる。例えば、結晶化促進効果、融
点調整、記録層と溶融混合時の結晶化速度調整等のた
め、3元以上としても良い。構成元素として使用可能な
材料は、Ag,Ca,Cd,Ce,Co,Cr,Cu,
Fe、Ga,Ge,H,Hg,In,Ir,K,La,
Li,Mg,Mn,Mo,N,Na,Ni,O,P,P
b,Pd,Po,Pr,Pt,Pu,Rb,Rh,R
u,S,Sb,Se,Si,Sn,Sr,Te,Th,
Ti,Tl,U,ClおよびBr等が考えられる。中で
も、Bi単体あるいはBi−Ge(Geの組成比は、原
子数濃度で25%以上)が結晶転移促進層材料として望
ましいことが、本発明の第(4)に記載されている。加
熱の温度範囲は、結晶化転移促進層を形成しない場合
は、相変化記録層成膜時の基板温度として65℃以上、
結晶化転移促進層を形成する場合は相変化記録層成膜前
の基板温度として35℃以上、基板の過重たわみ温度
(ポリカーボネートでは125℃)未満とすることが、
本発明の第(5)に記載されている。
【0016】ここで、基板を加熱するとなると、徐々に
装置全体が温度上昇していき経時的に特性が変化してし
まう可能性が出てくる。それを防ぐためには必要な部分
のみを加熱する構成として、装置全体の温度上昇を低減
する必要がある。そのためには、記録層が成膜される部
分のみを加熱することが望ましい。そのためには、光デ
ィスクの記録膜成膜領域がドーナツ状であるため円状の
形状を持つランプとする。さらに、光の拡散を避けるた
めランプの基板と対向する位置に反射ミラーを設け成膜
部に選択的にかつ均一に照射する構成とすることが、本
発明の第(6)に記載されている。
【0017】さらに、望ましくは基板回転を併用すると
照射領域の照度ムラを照射領域内で均等化できるため温
度分布の均一性を高めることが可能となることが、本発
明の第(7)に記載されている。通常用いられる透明プ
ラスチック基板を基準に考えると、加熱する温度と基板
に生ずる熱歪みとの関係はトレードーオフの関係になっ
ている。加熱温度を高くすると結晶化は進みやすいが基
板としては成膜時の膜ストレス等で変形しやすくなる。
加熱をしても基板の変形を少なくする構成として、基板
と直接接触する部分での熱エネルギーの移動を抑制する
のが効果的である。すなわち、基板と直接接触する部材
として低熱伝導の材料を用いるのがよい。熱伝導率が
0.12〜1.2W/mKの範囲のものを用いることに
より基板保持効果に加え、冷却過程での温度差が小さく
なることによる複屈折低減効果が生ずる。このような熱
伝導率範囲の材料の中で、さらに、機能上耐熱性も要求
されるため、具体的には、ポリアミドイミド(連続使用
温度250℃)、ポリイミド(連続使用温度250℃以
上)、ピーク(連続使用温度240℃以上)などを用い
ると良いことが、本発明の第(8)に記載されている。
【0018】また、反射率の点では、記録媒体の反射率
が成膜直後において溶融結晶化後反射率の90%以上で
あれば、全くその後の工程としてレーザー初期化する必
要もなく、光ディスクをオーバーライトしたときもオー
バーライトした信号と初回記録との差が信号読み取りド
ライバーにて無視できる範囲となる。さらに、記録媒体
の反射率が成膜直後において溶融結晶化後反射率の50
%以上であれば、短時間または低パワーのレーザー照射
にて100%の初期化が可能であり、レーザー初期化プ
ロセスを簡素化できる。
【0019】記録材料に関しては、具体的にはAgIn
SbTe、GeSbTe、GeInSbTeなどが挙げ
られる。本発明者らは、これまでに上記相変化型光情報
記録媒体のうち、記録層を空間群Fm3mに属する準安
定SbTe相を有することを特徴とする記録層により
構成したものについて研究、開発を進めてきた(特開平
10−217069号公報等)。この準安定相は、Sb
−Te共晶構造の記録層とは異なっており、SbとSb
Teとに分離せず、結晶粒界に起因する記録マーク
の乱れも生じないものであり、そのため、空間群Fm3
mに属する準安定SbTe相を有することを特徴とす
る記録層を用いたものは、高密度記録が可能となるとい
う長所を持っている。
【0020】さらに、この準安定SbTe相を有する
ことを特徴とする記録層は、繰り返し記録時の熱衝撃に
強いため、優れた繰り返し記録特性を有しているもので
ある。例えば、記録層を空間群Fm3mに属する準安定
SbTe相を有したものを記録材料として用いれば、
上記効果に加えて高密度記録および多回数の記録が可能
となることが、本発明の第(9)に記載されている。
【0021】また、結晶化転移点が高く、成膜後の反射
率が高くなり難い材料に関しては、記録層形成槽内で加
熱のみを行なった後に、記録層形成と同時に、かつ、同
一真空槽内で基板および記録層材料が吸収する波長の光
を照射し、基板および記録層材料を加熱する工程を設け
ても良いことが、本発明の第(10)に記載されてい
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)基板として厚さが0.6mmのガラス基板
を用いて、成膜室または成膜用ターゲットを多数持つ多
層成膜用のマグネトロンスパッタ装置により、まず、第
一誘電体層を成膜した。材料はZnS・SiO、組成
はZnS80%、SiO20%(比率はモル比)であ
る。膜厚は約70nmである。次に、図1に示した加熱
装置を持つチャンバーにより相変化記録層はGe5−S
b68−Te27(比率はモル比、結晶化温度は170
℃)を16nmの膜厚で記録層形成と同時に、かつ、同
一真空槽内で成膜した。成膜と同時に、加熱ランプによ
り基板を加熱した。このときのガラス基板の温度は、基
板裏面で平面測定用熱電対(安立計器製熱電対SE46
99)で測定した値で147℃となっていた。次に、第
二誘電体層を第一誘電体層と同組成のZnS・SiO
の混合膜として、11nmの膜厚で成膜した。さらに、
SiCを反射層の腐食バリア層として成膜した。最後
に、反射放熱層のAgを140nmの膜厚で成膜した。
このように作製した光情報記録媒体の反射率を下記の方
法で測定した。ここでガラス基板の加熱温度は記録層と
した相変化材料の結晶化温度170℃よりも約20℃低
い値となっている。これは、材料自体の結晶化温度に比
べ、成膜中に温度を上げるほうが結晶化転移のうえでは
低温化にシフトし、プロセス形成上有利に働くものと考
えることができる。この光情報記録媒体の反射率を特性
評価装置(パルステック工業株式会社製−RW自動評価
システム DDU−1000)により波長650nmの
半導体レーザーを使って測定した。膜厚140nmとし
てガラスに成膜したAgスパッタ膜を87.7%基準の
反射率比較対象として用いた場合の換算値として19%
の反射率となった。この反射率の値は大出力レーザーを
使用して初期結晶化を行なった場合と比べると、ほぼ同
等の95%の相対反射率となり、レーザー初期化と同等
レベルの達成反射率といえる。
【0023】(実施例2)次に、基板として光情報記録
媒体の溝情報を形成したNiスタンパを用い、成形した
厚み0.6mmのポリカーボネートによるプラスチック
基板を用いて光情報記録媒体の作製を試みた。実施例1
と同様に、成膜室または成膜用ターゲットを多数持つ多
層成膜用のマグネトロンスパッタ装置により、まず、第
一誘電体層はZnS・SiOとして実施例1と同一組
成・同一膜厚とした。次に、Biを1nm成膜後、図1
に示した加熱装置により、記録層形成と同時に、かつ、
同一真空槽内で、今回は約46℃まで加熱しながら記録
層を成膜した。その後、第二誘電体層以降は実施例1と
同一組成・同一膜厚として光情報記録媒体を製作した。
成膜直後で反射率を同様に評価したところ、実施例1と
同じ評価尺度での反射率は18.5%であった。この反
射率の値は大出力レーザーを使用して初期結晶化を行な
った場合と比べると、ほぼ同等の92.5%の相対反射
率である。基板温度は実施例1よりも約100℃低いに
もかかわらず反射率が同等レベルとなった。さらに、こ
の光情報記録媒体の記録特性および保存特性を調べた。
評価条件としては、 650nm NA0.6の光ピッ
クアップを持つドライブで、線記録密度0.267μm
/bit、トラックピッチ 0.74μm、記録線速度
8.5m/s、信号は8/16変調し評価した。このデ
ィスクの初期ジッターは、6%台であった。1000回
の書換え後でも8%台を維持し繰り返し記録消去の特性
変化が比較的小さく良好であった。保存試験として、8
0℃の条件下で100Hの保存試験をし、1%を超える
ジッタ変化を寿命判定としてみたが、ジッタ変化は1%
以下であった。
【0024】(実施例3−1)結晶化温度が160〜1
80℃の範囲の相変化記録層材料に対し、基板温度を3
5℃として実施例2と同一構成・同一条件で光情報記録
媒体を作製した。このときの反射率は10〜16%であ
った。レーザー初期化に対する相対的な比率は50〜8
0%となる。このレベルの反射率では、一部の相変化材
料が結晶転移し一部が非結晶という状態と考えられる。
この場合は、レーザー初期化する際に初期化時間が1/
3〜1/2短縮できた。
【0025】(実施例3−2)次に、相変化記録層材料
Sb78−Te22(比率はモル比、結晶化温度は約1
20℃)16nmに対し、Bi−Ge(Geの含有量はモ
ル比で56%)2.4nmを結晶転移促進層として用
い、基板温度を45℃として実施例2と同一構成・同一
条件で光情報記録媒体を作製した。このときの as dep
o. 反射率は20%であった。レーザー初期化に対する
相対的な比率は95%となる。このレベルの反射率で
は、レーザー初期化が不要であった。
【0026】(実施例4)次に、基板ホルダーとして図
4に示すような密着型基板ホルダーを用いた場合につい
て記述する。構成としては基板と接する部分が熱伝導性
0.29W/m・Kのポリイミド(連続使用温度250
℃以上)で形成し、真空装置からの取り出すときの真空
吸着防止として放射状に12箇所φ0.5の微小貫通孔
を形成してある。この密着型基板ホルダーを用い、基板
加熱温度を95℃とした他は実施例2と同一構成・同一
条件として、光情報記録媒体を製作した。基板ホルダー
内の温度分布は、1000枚成膜後で±2〜3℃の範囲
であり、光ディスク用基板の機械的な基板の変形もなか
った。また、真空装置内での基板搬送上の脱着トラブル
も起きなかった。反射率を測定したところ、反射率の値
は大出力レーザーを使用して初期結晶化を行なった場合
と全く同じ20%であった。さらに、光ディスクとして
の特性評価を行なったところ、ラジアル方向またはタン
ジェンシャル方向のチルトはそれぞれ±0.40°、±
0.15°の範囲であり、記録消去上の信号異常は見ら
れなかった。
【0027】(比較例1)基板加熱をする以外は、実施
例1と全て同じ構成および材料・膜厚として同板厚のガ
ラスの基板を用いて光情報記録媒体を製作した。このデ
ィスクを大出力レーザー初期化装置(日立コンピュータ
機器株式会社製 相変化光ディスク初期化装置 POP
120−3Ra)を使用して初期結晶化を行なった。初
期化条件は、CLVによる初期化モードで2.5m/S
の線速、送り量は36μm、初期化レーザパワーは85
0mWという条件である。この情報記録媒体に対し、実
施例1と同一装置および同一条件で反射率を評価した結
果、反射率は約20%であった。ただし、初期化に要し
た時間は約60秒であり、成膜タクトの8秒に比較しお
よそ7倍であり工程の設計上製造タクトのアンバランス
が生ずる。
【0028】(比較例2)基板を加熱しなかった以外
は、実施例2と同様の構成・材料・膜厚により、光情報
記録媒体を製作した。成膜終了後、同様の加熱手段を用
いて光情報媒体の記録層側をランプにより加熱した。加
熱温度は記録媒体表面で90℃まで上げたが、反射率は
レーザー初期化と同レベルまでは向上しなかった。さら
に、変形が起きない程度の温度である130℃にまで温
度を下げたが、変形も起きていないが反射率も高くなら
なかった。さらに温度を高くし、記録媒体表面で125
℃まで上げたが、プラスチック基板の過重たわみ温度
(125℃)以上であるため基板がグニャグニャに変形
し特性も測定できなかった。
【0029】(比較例3)結晶化温度が157〜180
℃の範囲の相変化記録層材料に対し、加熱をせずに実施
例2と同一構成・同一条件で光情報記録媒体を作製し
た。このときの基板温度は30℃であった。また、反射
率は5〜8%となった。レーザー初期化に対する相対的
な比率は25〜40%となる。このレベルの反射率で
は、ごく一部の相変化材料が結晶転移し一部が非結晶の
ままという状態と考えられる。このような場合は、レー
ザー初期化する際に初期化時間が基板加熱をしないのと
同じだけ必要であった。
【0030】(比較例4)実施例4で、基板ホルダーと
して図3に示すような光情報媒体情報領域の部分に基板
と直接接触しないように空隙がある従来タイプの基板ホ
ルダーを用いた他は、実施例4と同一条件にて光情報記
録媒体の作製を行なった。基板温度は上がっていないに
も拘わらず、取り出したときに金属部との接触部近傍で
基板の変形が生じていた。このとき、光ディスク用基板
の機械的な基板の変形が見られた。変形のひどいもので
は評価機にセットできない程であった。評価できたもの
でも、ラジアル方向またはタンジェンシャル方向のチル
トはそれぞれ±1.20〜2.50°以上、±0.70
〜2.50°以上の範囲となり、記録消去上の異常が認
められた。
【0031】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らか
なように、本発明の請求項1により、基板を加熱するこ
とで、レーザー照射による初期化を必要としない、ある
いはレーザー照射を軽微とすることができる光情報記録
媒体を容易に製造することができる。また、請求項2に
より、結晶転移促進層を積層することにより基板の加熱
温度を低温化できる。その結果として、通常光ディスク
製造用の基板として用いられるプラスチック基板も用い
ることが可能になる。また、請求項3により、通常光デ
ィスク製造用の基板として用いられるプラスチック基板
材料を効果的に加熱することが可能になる。また、請求
項4により少ない量でも低温で相変化記録材料を結晶化
することができるため、相変化記録材料の持つ基本特性
を大きく変化させることがない。すなわち、最も効果的
に成膜直後での高反射率を得ることができる。また、請
求項5により、35℃未満では成膜後の反射率向上効果
はほとんどなかった。また、プラスチック基板では過重
たわみ温度以上では基板が変形してしまい、光ディスク
として全面にわたって信号を読み取りまたは書き込むこ
とができなかった。成膜後の反射率向上を障害ない温度
範囲として、35℃以上過重たわみ温度未満が有効であ
る。また、請求項6により、ランプ光源による光を効率
的に該ディスク基板へ照射することができるとともに、
該ディスク以外の部分の不必要な加熱および加熱による
放出ガスの増大と該ディスクへの汚染を防止できる。反
射鏡によりディスク面内での温度分布を均一にでき、記
録層結晶化の促進及び均一結晶化を実現できる。また、
請求項7により、該ディスク以外の部分の不必要な加熱
および加熱による放出ガスの増大と該ディスクへの汚染
を防止できると共に、基板回転をすることで、さらに、
温度分布を均一にでき、記録層結晶化の促進及び均一結
晶化を実現できる。また、請求項8により、記録媒体用
透明基板からの放熱を防いで基板温度を高温に保てると
共に、ディスク面内での温度分布を均一にでき、記録層
結晶化の促進及び均一結晶化を実現できる。また、請求
項9により、請求項1〜8の効果に加えて、高密度記録
および多回数の記録が可能となる。また、請求項10に
より、結晶化転移点が高く、成膜後の反射率が高くなり
難い材料に関しても高い反射率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いた加熱装置の断面図である。
【図2】本発明におけるプラスチック基板の分光透過率
を示した図である。
【図3】従来の技術における基板ホルダーの断面図であ
る。
【図4】本発明で用いた密着型基板ホルダーの断面図で
ある。
【符号の説明】
1 加熱ランプ(円状) 2 Al反射ミラーブロック 3 プラスチック基板 4 石英ガラス 5 成膜マスク 6 真空状態 7 スパッタターゲット 8 空隙 9 低熱伝導層(基板ホルダー側) 9−1 低熱伝導層(成膜マスク側) 10 冷却水IN 11 冷却水OUT
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 裕司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 花岡 克成 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA23 FA11 FA37 FB09 FB12 FB30 GA11 4K029 AA09 BA21 BB02 BD12 CA05 DA08 DC39 JA01 5D029 JA01 JB18 NA07 NA08 NA25 5D121 AA01 AA03 EE03 EE19 EE20 EE28 GG07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光の照射により結晶状態とアモ
    ルファス状態との間で可逆的に結晶状態が変化する相変
    化型光情報記録媒体の製造方法において、記録層形成と
    同時に、かつ、同一真空槽内で基板および記録層材料が
    吸収する波長の光を照射し、基板および記録層材料を加
    熱する工程を設けることを特徴とする光情報記録媒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 記録層形成と同時に、かつ、同一真空槽
    内で基板および記録層材料が吸収する波長の光を照射し
    基板を加熱する工程に加え、記録層に接触して結晶転移
    促進効果がある層を成膜する工程を記録層成膜工程の上
    流に設けることを特徴とする請求項1に記載の光情報記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱方法が、少なくとも波長1500〜
    4000nmの中赤外域波長の光線を含むランプ照射に
    よる加熱であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の光記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 第一誘電体層成膜後記録層に接触して、
    少なくともBiを含む材料により構成される結晶転移促
    進層を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れ
    か1に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 相変化記録層成膜時の基板温度が35℃
    以上、基板材料の過重たわみ温度(ポリカーボネートで
    は125℃)未満であることを特徴とする請求項2乃至
    4の何れか1に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 光を照射する光源として、形状が円状で
    あるランプ光源とランプ光源に対し基板と対向する位置
    にある反射鏡により基板に光照射をすることを特徴とす
    る請求項1乃至5の何れか1に記載の光情報記録媒体の
    製造方法に関わる加熱装置。
  7. 【請求項7】 光照射時に基板を回転することを特徴と
    する請求項1乃至5の何れか1に記載の光情報記録媒体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板への成膜において、該ディスク基板
    を接触保持する部材の材質の熱伝導率が0.12〜1.
    2W/mKの範囲のものを用いることを特徴とする請求
    項5乃至7の何れか1に記載の光情報記録媒体の製造方
    法に用いられる製造装置。
  9. 【請求項9】 記録層として、Sb及びTeを有する相
    変化記録材料を光情報記録媒体であって、該記録層が空
    間群Fm3mに属する準安定Sb3Te相を有すること
    を特徴とする請求項1乃至7の何れか1に記載の製造方
    法、又は請求項8に記載の製造装置による光情報記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 記録層形成槽内で加熱のみをおこなっ
    た後に、記録層形成と同時に、かつ、同一真空槽内で基
    板および記録層材料が吸収する波長の光を照射し、基板
    および記録層材料を加熱する工程を設けることを特徴と
    する請求項1乃至7、9の何れか1に記載の製造方法、
    又は請求項8に記載の製造装置による光情報記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006043848A1 (fr) * 2004-10-15 2006-04-27 Yuri Konstantinovich Nizienko Procede de modification des regions d'une couche en surface d'un article et dispositif correspondant
CN103993270A (zh) * 2014-05-22 2014-08-20 无锡启晖光电科技有限公司 真空镀膜的加热装置

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