JP2002230839A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2002230839A
JP2002230839A JP2001355726A JP2001355726A JP2002230839A JP 2002230839 A JP2002230839 A JP 2002230839A JP 2001355726 A JP2001355726 A JP 2001355726A JP 2001355726 A JP2001355726 A JP 2001355726A JP 2002230839 A JP2002230839 A JP 2002230839A
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Hiroshi Tabata
浩 田畑
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録特性に影響を与えずに高感度記録が可能
な相変化型光記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板上1に少なくとも第1保護層2、記
録層4、第2保護層5、光吸収発熱層6、第3保護層
7、反射層8が順に積層してなり、前記光吸収発熱層
は、Ge、Sn、Pb、Cr、Ti、In、Si、C
d、Se、W、Mo、Zr、Nb、Zn、Hfのいずれ
か成分を1種以上含んでいる金属層又は合金層であるこ
とにより、光記録媒体における反射率及び記録層におけ
る光変調度(結晶質、非晶質の相変化状態における光変
調度)を常に高く保つことができるから、反射率、ジッ
タなどの特性劣化を伴わずして、記録層における記録感
度を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射によって
情報の記録、消去、再生を行う光記録媒体に関するもの
である。特に、本発明では高線速においても感度が高
く、良好な記録を可能とする光ディスク、光カードなど
の書き換え可能な相変化型光記録媒体である。
【0002】
【従来の技術】従来の書き換え可能な相変化型光記録媒
体の技術は以下の通りである。
【0003】これらの相変化型光記録媒体は、記録時に
レーザ光パルスを印可し、記録層を溶融させ、急冷する
ことにより、非結晶の記録マークを形成する。この記録
マークの反射率は、記録層が結晶状態である場合より低
く、光学的に記録情報として読みとられる。この記録マ
ークを消去する場合、記録より小さなレーザパワーを照
射することにより、記録層を結晶化温度以上融点以下の
温度にし、非結晶状態から結晶状態にする。
【0004】これらの記録を可能とする材料として、G
e−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金など
が速い結晶化速度の点から好まれている。これらの記録
材料を用いてなる記録層を使用した光記録媒体では、通
常記録層の両面に耐熱性と透過性を兼ね備えた誘電体層
を設けており、記録時の記録層の変形、開口を防いでい
る。
【0005】さらに、誘電体層がZnS成分を含んでい
る材料の場合では、Sの記録層への浸透を防ぐために、
記録層の片面、または両面に窒化物などの界面層を挿入
しているものもある。また、レーザ光入射方向と反対側
の誘電体層の上にAl、Agなどを主成分とした金属反
射層を積層し、高い反射率を可能とした技術が知られて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の相変化型光記録
媒体における問題点は以下のようなものである。
【0007】従来のディスク構造では、記録層と反射層
の間は誘電体層からなる保護層のみであり、この保護層
は記録を行う際に発生する熱を保持または伝導という機
能しかないために、熱の制御が難しかった。つまり、こ
の記録層と反射層の間にある保護層を厚くすることで熱
を保持する傾向とし、記録層の溶融範囲が広がり非結晶
マークを太らせ変調度を高めることができるが、その反
面、溶融範囲が広がると同時に結晶部にも熱が広がり微
小アモルファスを形成し、その結果、反射率の低下を伴
っていた。逆に、記録層と反射層の間の保護層を薄くす
ることで、反射率は高くなるが、同時に変調度の低下が
伴われる。
【0008】このように、記録層と反射層の間に保護層
の1層(反射層側の記録層に隣接する界面層を合わせる
と2層)だけでは、変調度と反射率を同時に向上させる
ことが難しかった。また、この保護層が薄い場合では、
レーザパワーを大きくすることで変調度は高くなるが、
ハード側でのレーザの寿命の点からレーザパワーは小さ
い方が好ましい。さらに高線速記録する場合、相変化の
原理より記録する際により大きなレーザパワーが必要と
なり、民生用録再機の上限パワーを超える場合がある。
【0009】このように、反射率を保つのと同時に、レ
ーザパワーを抑えながら高い変調度を得ることが課題で
あった。高い変調度を得る、すなわち記録感度を上昇さ
せる手段として、特開昭61−272190号公報に
は、半導体レーザの波長域で吸収率の高いGe、Cr、
Ti、Niの薄膜を挿入する技術があるが、この薄膜が
記録層と接しているため記録層と溶融し別組成となり記
録組成特性を低下させ、実際に記録層組成をAg−In
−Sb−Te合金などにし作製した場合、ジッタ、反射
率の低下が著しかった。
【0010】また以下の公報では、全体的な記録感度の
向上を課題とはしていないが、光吸収機能を有する層を
差し込み、非結晶部と結晶部での光吸収差をなくし、結
晶部のみの記録感度を向上させ、ジッタ特性を良くする
ことを課題としたものもある。
【0011】特開平11−66611号公報では、基板
上に、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、反射層、
第3誘電体層、保護膜を順次積層した層構成であり、光
吸収機能があるSi、Geを主成分とした元素を数十n
m積層し反射層としていたため、これらの合金材料では
AlやAgなどの合金を反射層にした場合と比べた場
合、十分に高い反射率が得られなかった。
【0012】特開2000―182277公報では、基
板上に、第1誘電体層、記録層、光吸収機能層がある吸
収量補正層、反射層を順次積層した層構成であるが、こ
れは、吸収量補正層が反射層と接しているために、光吸
収量は制御するが吸収量補正層での発熱は反射層に流れ
てしまうので、記録層に熱が伝わらず全体的に高感度記
録媒体にはならなかった。
【0013】そこで、本発明は、基板上に少なくとも第
1保護層、記録層、第2保護層、光吸収発熱層、第3保
護層、反射層が順に積層してなり、前記光吸収発熱層
は、Ge、Sn、Pb、Cr、Ti、In、Si、C
d、Se、W、Mo、Zr、Nb、Zn、Hfのいずれ
か成分を1種以上含んでいる金属層又は合金層であるこ
と。あるいは基板上に少なくとも第1保護層、記録層、
第2保護層、光吸収発熱層、第3保護層、反射層が順に
積層してなり、前記第2保護層を介して前記光吸収発熱
層から前記記録層へ熱伝導する熱伝導的間隔をd2、前
記第3保護層を介して前記光吸収発熱層から前記反射層
へ熱伝導する熱伝導的間隔をd3とし、d2≦d3<3
0×10-9(m)、d2=(t2/σ2)(m)、d3
=(t3/σ3)(m)(但し、t2は前記第2保護層
の厚み、t3は前記第3保護層の厚み、σ2は前記第2
保護層の熱伝導度、σ3は前記第3保護層の熱伝導度
で、σ2、σ3はZnS(80)−SiO2(20)の熱伝導度
σ1を1.0として相対値で現す。)の関係を有するこ
とによって、反射層における反射率及び記録層における
光変調度(結晶質、非晶質の相変化状態における光変調
度)を常に高く保つことができるから、反射率、ジッタ
などの特性劣化を伴わずして、記録層における記録感度
を高めることができ、また、小さいレーザパワーのレー
ザ光を照射しても高い光変調度が得られ、さらに、高線
速記録においても高い記録特性を保つことができる光記
録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、次の構成を有する光記録媒体を提供
する。
【0015】図1に示すように、(1)基板上1に少な
くとも第1保護層2、記録層4、第2保護層5、光吸収
発熱層6、第3保護層7、反射層8が順に積層してな
り、前記光吸収発熱層は、Ge、Sn、Pb、Cr、T
i、In、Si、Cd、Se、W、Mo、Zr、Nb、
Zn、Hfのいずれか成分を1種以上含んでいる金属層
又は合金層であることを特徴とする光記録媒体。あるい
は、(2)基板上1に少なくとも第1保護層2、記録層
4、第2保護層5、光吸収発熱層6、第3保護層7、反
射層8が順に積層してなり、前記第2保護層5を介して
前記光吸収発熱層6から前記記録層4へ熱伝導する熱伝
導的間隔をd2、前記第3保護層7を介して前記光吸収
発熱層6から前記反射層8へ熱伝導する熱伝導的間隔を
d3とし、 d2≦d3<30×10-9(m)、 d2=(t2/σ2)(m)、 d3=(t3/σ3)(m) (但し、t2は前記第2保護層の厚み、t3は前記第3
保護層の厚み、σ2は前記第2保護層の熱伝導度、σ3
は前記第3保護層の熱伝導度で、σ2、σ3はZnS
(80)−SiO2(20)の熱伝導度σ1を1.0として相対
値で現す。)の関係を有することを特徴とする光記録媒
体。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様につき
その好ましい実施例について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の光記録媒体の実施例を示す部分拡大断面
図である。
【0017】本発明の光記録媒体は、図1に示すよう
に、基板1上に第1保護層2、界面層3、記録層4、第
2保護層5、光吸収発熱層6、第3保護層7、反射層
8、保護膜9を順次積層したものを基本構成とする。ま
た、記録層4と第2保護層5間に、界面層3と同様の界
面層3を更に用いても良い。ここで記録又は再生用レー
ザ光は基板1の入射面1a側から照射される(照射方向
L)。
【0018】このような光記録媒体の基板1の材料とし
て、透明な各種の合成樹脂、透明ガラスなどが使用でき
る。埃、基板1の傷などの影響を避けるために、透明な
基板1を用い、集光したレーザ光で基板1側から記録を
することが好ましく、このような透明基板1の材料とし
て、ガラス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリ
レート、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂などが挙げられる。特に、光学的複屈折、吸湿性
が小さく、成形が容易であることからポリカーボネイト
樹脂が好ましい。
【0019】上記基板1の厚さは、特に限定するもので
はないが、デジタル多用途ディスク(以下「DVD」と
記す)との互換性を考慮すると0.6mm厚が好まし
い。実用的には0.01mm〜5mmの範囲内である。
基板1の厚さが0.01mm未満では、基板1側から収
束したレーザ光で記録する場合でも、ごみの影響を受け
易くなり、5mm以上では対物レンズの開口数を大きく
することが困難になり、照射レーザ光のスポットサイズ
が大きくなるため、記録密度をあげることが困難にな
る。
【0020】基板1はフレキシブルなものでも良いし、
リジッドなものであっても良い。フレキシブルな基板1
は、テープ状、シート状、カード状で使用する。リジッ
ドな基板1は、カード状、或いはディスク状で使用す
る。
【0021】また、これらの基板1は、記録層4、保護
層2、5、7、反射層8、界面層3、光吸収発熱層6な
どを積層した後、2枚の基板1を背中合わせにして、エ
アーサンドイッチ構造、エアーインシデント構造、密着
貼り合わせ構造としても良い。また、上記第1及び第2
及び第3の保護層2、5、7は、記録時に基板1、記録
層4などが熱によって変形して記録特性が劣化すること
を防止するなど、基板1、記録層4を熱から保護する効
果、光学的な干渉効果により、再生時の信号コントラス
トを改善する効果がある。
【0022】上記の第1保護層2、第2保護層5ならび
に第3保護層7は、記録再生のレーザ光に対して透明で
あって屈折率nが1.9≦n≦2.3の範囲にある。第
1保護層2、第2保護層5ならびに第3保護層7は、同
一の材料、組成でなくとも良く、異種の材料から構成さ
れているもかまわない。特に、ZnSとSiO2の混合
膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C
/N、消去率などの劣化が起きにくいことから好ましい
が、後述する界面層3と同じ材料であっても良い。
【0023】第1保護層2の厚さは、およそ5〜500
nmの範囲である。第1保護層2は、基板1や記録層4
から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことか
ら、40〜300nmの範囲が好ましい。
【0024】第2保護層5は、光吸収発熱層6の記録層
4への組成元素の侵入を防ぎながら、光吸収発熱層6か
らの発熱を効果的に記録層4に伝えるため、0.5〜5
0nmの範囲が好ましい。
【0025】また、第3保護層7は、C/N、消去率な
どの記録特性、安定に多数回の書き換えが可能なことか
ら、0.5〜50nmの範囲内が好ましい。第2保護層
5と第3保護層7の合計厚は5〜50nmが好ましく、
これら合計厚が薄いと、記録層4と反射層8との間隔が
狭くなり急冷構造となってマークを形成するのに大きな
記録パワーを必要とする。逆に、第2保護層5と第3保
護層7の合計が厚くなると、記録層4と反射層8との間
隔が広くなり徐冷構造となって、反射率の低下、さらに
繰り返しオーバーライト回数が減少する。
【0026】記録層4としては、Sb及びTeを含んで
いることが好ましい。すなわち、Ge−Sb−Te合
金、In−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合
金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−
Te合金、Ni−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−
Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−
V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−Sb−Te合
金、Ag−Pd−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−
Ge−Sb−Te合金、などが好ましい。特に、Ge−
Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金は、消去
時間が短く、かつ多数回の記録、消去の繰り返しが可能
であり、C/N、消去率などの記録特性に優れることか
ら好ましい。
【0027】このような記録層4の片面、もしくは両面
に接している界面層3の材質としては、硫黄物を含まな
い材料であることが重要である。硫黄物を含む材料を界
面層3として用いると、繰り返しオーバーライトにより
界面層3中の硫黄が記録層4中に拡散し、記録特性が劣
化することがあるので好ましくない。また、消去特性が
優れないという点からも好ましくない。窒化物、酸化
物、炭化物のうち少なくとも1種を含む材料が好まし
く、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒化
アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも1種
を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸素、窒
素、水素などを含有させても良い。前述の窒化物、酸化
物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒素、酸
素、炭素が過剰或いは不足していても良い。このことで
界面層3が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上する
など、膜の特性が向上する場合がある。
【0028】反射層8の材料としては、光反射性を有す
るAl、Au、Agなどの金属、およびこれらを主成分
とし、1種類以上の金属または半導体からなる添加元素
を含む合金及びAl、Au、Agなどの金属にAl、S
iなどの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物
などの金属化合物を混合したものなどが挙げられる。
【0029】Al、Au、Agなどの金属、及びこれら
を主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導度
を高くできることから好ましい。前述の合金の例とし
て、AlにSi、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、H
f、Ta、Nb、Mn、Zrなどの少なくとも1種の元
素を、合計で5原子%以下、1原子%以上加えたもの、
或いは、Au或いはAgにCr、Ag、Cu、Pd、P
t、Niなどの少なくとも1種の元素を合計で20原子
%以下1原子%以上加えたものなどがある。とりわけ、
耐腐食性が良好で且つ繰り返し性能が伸びることから、
反射層8は添加元素を合計で0.5原子%以上3原子%
未満含む、Al−Cr合金、Al−Ti合金、Al−T
a合金、Al−Zr合金、Al−Ti−Cr合金、Al
−Si−Mn合金のいずれかのAlを主成分とする合
金、或いはAg−Pd合金,Ag−Ta合金、Ag−T
i合金、Ag−Cr合金、Ag−Pd−Cu合金のいず
れかのAgを主成分とする合金で構成することが好まし
い。
【0030】この反射層8の厚さとして、50nm〜3
00nm以下であるのが好ましい。とりわけAg合金
は、青色レーザでの反射率を高くとることができるので
高密度化には好ましい。反射層8を形成する金属或いは
合金の熱伝導率の大きさによって反射層8の膜厚は変化
する。例えばAl−Cr合金の場合には、Crの含有量
が増加するに連れて熱伝導率が低下するため、反射層8
の膜厚を厚くしなければ記録ストラテジに適合しなくな
る。Cr含有量が多い場合には、記録層4は加熱されや
すく、冷却し難くなり、いわゆる徐冷構造をとることに
なる。記録ストラテジで記録マークの形成を制御するた
めには、先頭パルスを短縮したり、マルチパルスを短縮
したり、冷却パルスを延長したりの工夫が必要となる。
【0031】反射層8は50nm以上となると光学的に
は変化せず、反射率の値に影響を与えないが、冷却速度
への影響が大きくなる。300nm以上の厚さを形成す
るのは製造する上で時間を要するため、熱伝導率の高い
材質の反射層8を用いることにより層厚をなるべく制御
する。
【0032】本発明の特徴とする光吸収発熱層6の材料
は、Ge、Sn、Pb、Cr、Ti、In、Si、C
d、Se、W、Mo、Zr、Nb、Zn、Hfのいずれ
か成分を1種類以上含んでいる金属層、または合金層で
ある。特にGe、Cr、Siはターゲット材料を界面層
3と共通にできるので効率がよいという利点があり好ま
しい。これらの光吸収発熱層6は、赤外域の830nm
から紫外域の300nmの波長において吸収率が高い材
料であり、特に情報の記録、消去、再生に用いる光の波
長λにおいて、屈折率が2.0以上5.5以下、消衰係
数が1.0以上4.0以下であることが好ましい。
【0033】この光吸収発熱層6は、記録時に記録層4
を透過したレーザ光の吸収によって発熱し、この熱を記
録層4へ供給することができるので、記録に必要とする
レーザパワーを小さくできる。つまり、レーザ光を吸収
・発熱する層を記録層4と光吸収層6で二重にすること
で記録と消去とのパワーコントラストを大きくしてい
る。
【0034】ここで、第2、第3保護層5、7はZnS
(80)−SiO2(20)に限らず、なるべく熱伝導度の小さ
な材料が好ましい。なぜならば、保護層の熱伝導度が大
きい材料の場合では、光吸収発熱層6からの発熱が面方
向にも流れやすく、描きたいアモルファスマーク長に誤
差ができやすいためジッタが低下することと、結晶部に
も熱が流れ高温になるので微小アモルファスができてし
まい、その結果反射率の低下が現れるからである。
【0035】ここで、前記第2保護層を介して前記光吸
収発熱層から前記記録層へ熱伝導する熱伝導的間隔をd
2、前記第3保護層を介して前記光吸収発熱層から前記
反射層へ熱伝導する熱伝導的間隔をd3とした場合に、 d2≦d3<30×10-9(m)、 d2=(t2/σ2)(m)、 d3=(t3/σ3)(m) (但し、t2は前記第2保護層の厚み、t3は前記第3
保護層の厚み、σ2は前記第2保護層の熱伝導度、σ3
は前記第3保護層の熱伝導度で、σ2、σ3はZnS
(80)−SiO2(20)の熱伝導度σ1を1.0として相対
値で現す。)の関係を有する。
【0036】本発明における熱伝導度(σ2やσ3)と
は、一般的な熱伝導度の絶対値ではなく、一般的に保護
層の材料として用いられている、ZnS(80)−SiO
2(20)(ZnSとSiO2の組成比率が80:20)の熱
伝導度σ1を1.0とし、σ1を基準とした相対値とす
る。現技術レベルでは数十nmの厚みの薄膜の熱伝導率
の測定が困難なため、本発明独自に相対値で現す。
【0037】また熱伝導的間隔(d2やd3)とは保護
層(材料)の厚みを前記熱伝導度で除した値であり本発
明独自のものである。本発明者は、熱伝導の考え方とし
て材料の厚み(距離)と前記熱伝導度に着目した。同一
の熱伝導的間隔を有する媒体は、同一の記録パワーで記
録した場合に同一の変調度が得られる。ここで変調度が
等しいということは、記録層4から保護層5あるいは7
を通して流れる熱量が等しいということである。
【0038】熱伝導的間隔d2は、第2保護層が存在す
るために0<d2である。また、熱伝導的間隔d2,d
3が、d2≦d3ではない場合((t2/σ2)>(t
3/σ3))であると、後述する表7,表8の各比較例
4にそれぞれ示すように、光吸収発熱層6からの発熱が
記録層4よりも反射層8側に流れやすく記録層4に熱を
効率良く供給し難いため、変調度が低下してしまう(変
調度59.5%,55.0%)。これに対して、d2≦
d3を満たす表7,表8の各実施例1,実施例11〜実
施例14の変調度は61.5〜63.2%,57.5〜
59.1%である。
【0039】さらに、熱伝導的間隔d3が、d3<30
×10-9(m)でない場合(d3≧30×10
-9(m))であると、表7,表8の各比較例5にそれぞ
れ示すように、記録層4と反射層8との熱伝導的間隔が
広くなり、変調度は上昇するが(変調度74.3%,6
8.8%)、同時に反射率の低下が著しくなる(反射率
13.2%,13.1%)。これに対して、d3<30
×10-9(m)を満たす表7,表8の各実施例1,実施
例11〜実施例14の変調度は61.5〜63.2%,
57.5〜59.1%、その反射率は17.8〜18.
1%,17.8〜18.0%である。
【0040】また、記録層4と反射層8との間の保護層
中にサンドイッチ状に複数の光吸収発熱層6を挿入して
も同様の効果が得られるが、同時に反射率の低下を伴う
ので、光吸収発熱層6の厚さと数を求められる記録特性
に合わせて調整するのが好ましい。
【0041】光吸収発熱層6の膜厚は、面内の均一性か
ら0.5nm以上、反射率の低下を抑えるためには20
nm以下が好ましく、また光吸収発熱層6の光学定数に
よって、最適な光吸収発熱効果及び高い再生信号強度を
得ることができる膜厚は変化するが、0.5nm以上1
0nm以下がより好ましい。
【0042】本発明の光記録媒体の記録に用いる光源と
しては、レーザ光、ストロボ光のごとき高強度の光源で
あり、特に半導体レーザ光は光源が小型化できること、
消費電力が小さいこと、変調が容易であることから好ま
しい。記録は結晶状態の記録層4にレーザ光パルスなど
を照射して非結晶の記録マークを形成して行う。
【0043】また、反対に非結晶状態の記録層4に結晶
状態の記録マークを形成しても良い。消去はレーザ光照
射によって、非結晶の記録マークを結晶化するか、もし
くは結晶状態の記録マークを非結晶化して行うことがで
きる。記録マークを高速化でき、かつ記録層4の変形が
発生しにくいことから記録時は非結晶の記録マークを形
成し、消去時は結晶化を行う方法が好ましい。
【0044】また、記録マーク形成時は光強度を高く、
消去時はやや弱くし、1回の光ビームの照射により書き
換えを行う1ビーム・オーバーライトは、書き換えの所
要時間が短くなることから好ましい。
【0045】次に、本発明の光記録媒体の製造方法につ
いて述べる。
【0046】まず、保護層2、5、7、記録層4、界面
層3、光吸収発熱層6、反射層8などを基板1上に積層
する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法、例え
ば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオンプ
レーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパッ
タリング、反応性スパッタリング)などが挙げられる。
特に、組成、膜厚のコントロールが容易であることか
ら、スパッタリング法が好ましい。
【0047】また、真空漕内で複数の基板1を同時に成
膜するバッチ法や基板1を1枚ずつ処理する枚葉式成膜
装置を使用することが好ましい。形成する保護層2、
5、7、記録層4、界面層3、光吸収発熱層6、反射層
8などの層厚の制御は、スパッタ電源の投入パワーと時
間を制御したり、水晶振動型膜厚計などで、堆積状態を
モニタリングすることで容易に行える。
【0048】また、保護層2、5、7、記録層4、界面
層3、光吸収発熱層6、反射層8などの形成は、基板1
を固定したまま、或いは移動、回転した状態のどちらで
も良い。膜厚の面内の均一性に優れることから、基板1
を自転させることが好ましく、さらに公転を組み合わせ
ることがより好ましい。必要に応じて基板1の冷却を行
うと、基板1の反り量を減少させることができる。
【0049】また、本発明の効果を著しく損なわない範
囲において、反射層8などを形成した後、これらの膜の
変形防止などのため、ZnS、SiO2などの誘電体層
或いは紫外線硬化樹脂などの樹脂保護層などを必要に応
じて設けても良い。また、反射層8などを形成した後、
或いはさらに前述の樹脂保護層を形成した後、2枚の基
板1を対向して接着剤などで貼り合わせても良い。
【0050】記録層4は、実際に記録を行う前に、あら
かじめレーザ光、キセノンフラッシュランプなどの光を
照射し、結晶化させておくことが好ましい。
【0051】さて、以下に本発明の光記録媒体の(実施
例1)〜(実施例17)について順次説明する。ここで
は相変化型光ディスクを例にして述べる。
【0052】以下の実施例では、波長が650nmのレ
ーザダイオード、NA=0.60の光学レンズを搭載し
たパルステック社製光ディスクドライブテスタ(DDU
1000)を用いて記録(1ビーム・オーバーライト)
を行った。再生パワーPrは0.7mWで一定とした。 (条件a)記録線速度は3.5m/sで、8−16変調
ランダムパターンによる評価を行った。クロック周期T
は38.2nsで、ビット長は0.267μm/bit
である。DVD−ROMと同密度の記録を行い、容量は
4.7Gbytesに相当する。再生信号の振幅の中心
でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジッタcloc
k to data jitter を測定した。測定にはShibaS
oku社製再生専用機(LM220A)で線速7.0m
/sで行った。各層の光学定数の測定は、標準的な分光
エリプソ法によって記録、消去、再生を行う光の波長と
同じ波長において測定した。 (条件b)記録線速度は7.0m/sで、クロック周期
Tは19.1nsで、他は条件aと同様である。 (実施例1)各層は、直径が120mm、板厚が0.6
mmのポリカーボネイト樹脂製の基板1上に形成した。
基板1にはトラックピッチが0.74μmで空溝が形成
されている。この溝深さは30nmであり、グルーブ幅
とランド幅の比は、およそ40:60であった。
【0053】まず、真空容器内を1×10-5Paまで排
気した後、2×10-1PaのArガス雰囲気中でSiO
2を20mol%添加したZnSを高周波マグネトロン
スパッタ法により、基板1上に層厚60nmの第1保護
層2を形成した。
【0054】続いて、Arと窒素の混合ガス雰囲気中で
Crを20mol%添加したGeターゲットで層厚2n
mの界面層3をスパッタし、続いて、記録層4をAg、
In、Sb、Teからなる4元素単一ターゲットで層厚
18nm、第2保護層5を第1保護層2と同じ材料で5
nm、光吸収発熱層6をGe−Cr合金ターゲットで2
nm(屈折率4.1、消衰係数2.4)、第3保護層7
を第1保護層2と同じ材料、方法で15nm、反射層8
をAl−Tiターゲットで170nm、順次積層した。
【0055】この基板1を真空容器内より取り出した
後、この反射層8上にアクリル系紫外線硬化樹脂(住友
化学製XR11)をスピンコートし、紫外線照射により
硬化させて膜厚が10μmの保護膜9を形成して光ディ
スクを得た。
【0056】さらに粘着シールを用いて同様に形成した
基板1を2枚貼り合わせ、両面記録型光ディスクを作製
した。こうして作製した光ディスクにトラック方向のビ
ーム幅が半径方向より広い形をしているワイドビームの
レーザ光を照射して、記録層4を結晶化温度以上に加熱
し、初期化処理を行った。そして、基板1側から相変化
記録層4の案内溝であるグルーブ部に記録を行った。グ
ルーブはレーザ光の入射方向から見て凸状になってい
る。
【0057】記録の条件である各パルスの幅は、条件a
では先頭パルス=0.3T、マルチパルス=0.3T、
冷却パルス=1.3Tとし、条件bでは先頭パルス=
0.5T、マルチパルス=0.45T、冷却パルス=
0.6Tとした。また、記録パワーは条件a、条件bの
ジッタ、反射率、変調度測定のいずれにおいても14.
0mW、消去パワーは8.0mW、再生パワーは0.7
mWを使用した。
【0058】再生信号のクロック・トゥー・データ・ジ
ッタ、反射率と変調度を測定した。ここで変調度は、最
長マーク長である14Tの振幅I14を14Tスペース
側のRFレベルI14Hで徐した値である。条件aでの
初期ジッタは6.7%、反射率18.1%、変調度6
3.1%であり、ボトムジッタとなる最適記録パワーは
14.0mWであった。また、1000回オーバーライ
トした場合でもジッタが8.8%と良かった。条件bで
の初期ジッタは7.3%、反射率18.0%、変調度5
9.0%であり、最適記録パワーは15.0mWであっ
た。 (実施例2)記録層4としてGe−Sb−Te合金を用
いた他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施
例1と同様の測定をしたところ、条件a、条件bのいず
れにおいても表1、表2のとおり実施例1とほぼ同等の
特性が得られた。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】 (実施例3)Ge−Ti合金ターゲットをスパッタリン
グして厚さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率3.8、消
衰係数3.4)を成膜した他は実施例1と同様の光記録
媒体を作製した。 (実施例4)Si−Cr合金ターゲットをスパッタリン
グして厚さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率3.9、消
衰係数3.7)を成膜した他は実施例1と同様の光記録
媒体を作製した。 (実施例5)Si−W合金ターゲットをスパッタリング
して厚さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率4.0、消衰
係数3.0)を成膜した他は実施例1と同様の光記録媒
体を作製した。 (実施例6)Zr−Mo合金ターゲットをスパッタリン
グして厚さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率3.0、消
衰係数3.6)を成膜した他は実施例1と同様の光記録
媒体を作製した。 (実施例7)Nb−Zn合金ターゲットをスパッタリン
グして厚さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率2.8、消
衰係数3.1)を成膜した他は実施例1と同様の光記録
媒体を作製した。 (実施例17)Geターゲットをスパッタリングして厚
さ2nmの光吸収発熱層6(屈折率3.9、消衰係数
2.6)を成膜した他は実施例1と同様の光記録媒体を
作製した。
【0061】実施例3〜実施例7および実施例17を、
実施例1と同様の測定をしたところ、条件a、条件bの
いずれにおいても表3、表4のとおり実施例1とほぼ同
等の特性が得られた。
【0062】なお、本発明の光吸収発熱層6の材料は実
施例に限定されることなく、請求項に列挙された他の材
料も同等の効果を有する。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】 (実施例8)第2保護層5の厚さを4nmとし、記録層
4と第2保護層5の間に界面層11(図示せず)を設
け、その界面層11は、記録層4と第1保護層2の間に
ある界面層3と同様の材料、方法で2nmスパッタリン
グした他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。 (実施例9)記録層4と第1保護層2の間にある界面層
3を、2nmの窒化ゲルマニウムにした他は実施例1と
同様の光記録媒体を作製した。 (実施例10)第2保護層5の厚さを4nmとし、記録
層4と第2保護層5の間に界面層11を設け、その界面
層11と、記録層4と第1保護層2の間にある界面層3
は、それぞれ2nmの窒化ゲルマニウムにしした他は実
施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施例8〜実施
例10を、実施例1と同様の測定をしたところ、条件
a、条件bのいずれにおいても表5、表6のとおり、実
施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】 (実施例11)第2保護層5と第3保護層7をそれぞれ
10nmずつのZnS−SiO2にした他は実施例1と
同様の光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定を
したところ、表7、表8のとおり、条件aでの初期ジッ
タは6.9%、反射率18.1%、変調度61.5%で
あった。条件bでの初期ジッタは7.4%、反射率1
8.0%、変調度57.0%であった。ボトムジッタと
なる最適記録パワーは、実施例1と比べて約0.5mW
高かった。 (実施例12)第2保護層5を、10nmの窒化ゲルマ
ニウムにした他は実施例1と同様の光記録媒体を作製し
た。後述する測定方法により、記録パワー14mW、変
調度60%、第2保護膜層の材料がZnS−SiO2
合の膜厚を15nmとした条件で、得られた窒化ゲルマ
ニウムの膜厚は30nm、窒化ゲルマニウムの熱伝導度
はσ=2であった。
【0067】[測定方法]基板1上に第1保護層2、界
面層3、記録層4、第2保護層5、反射層8を順次積層
した光記録媒体において、第2保護層5の材料がZnS
−SiO2と窒化ゲルマニウムとの2種類の媒体を作製
した。第2保護層5の材料がZnS−SiO2と窒化ゲ
ルマニウムのそれぞれの熱伝導度をσ1とσgとし、そ
れぞれの記録を行い、同一の記録パワーで同一の変調度
が得られる、それぞれの第2保護層の膜厚をtzとtg
とする。それぞれの第1保護層2、界面層3、記録層
4、反射層8の材料と膜厚は同一とし、第2保護層5の
材料がZnS−SiO2の場合の膜厚を任意とし、第2
保護層5の材料が窒化ゲルマニウムの場合は膜厚を振っ
たいくつかの媒体を作った。ここで、変調度が等しい場
合には記録膜の到達温度が等しいので、記録膜4から第
2保護層5を通して反射層8に流れる熱量は等しい。つ
まり、上の2つの媒体の熱伝導的間隔tx/σxが等し
いので、tx/σx=一定とできる。ここで、tz(任
意)とtg(膜厚を振ったいくつかの媒体の中から第2
保護層5の材料がZnS−SiO2の場合の媒体と同一
の変調度が得られた媒体の膜厚として決定される。)と
σ1(=1)は既知であるので、窒化ゲルマニウムの熱
伝導度σgが得られる。 (実施例13)第2保護層5を、10nmの窒化ゲルマ
ニウムクロムにした他は実施例1と同様の光記録媒体を
作製した。この窒化ゲルマニウムの熱伝導度は、実施例
12と同様に計算し、熱伝導度σ=2であった。実施例
12〜実施例13を、実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、条件a、条件bのいずれにおいても表7、表8のと
おり、実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】 (実施例14)第2保護層5を、20nmの窒化ゲルマ
ニウム(熱伝導度σ=2)にした他は実施例1と同様の
光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたと
ころ、表7、表8のとおり、条件aでの初期ジッタは
7.1%、反射率17.9%、変調度62.5%であっ
た。条件bでの初期ジッタは7.5%、反射率17.8
%、変調度57.0%であった。ボトムジッタとなる最
適記録パワーは、実施例1と比べて約0.5mW高かっ
た。 (実施例15)第2保護層5を、4nmの窒化ゲルマニ
ウムクロムにした他は実施例1と同様の光記録媒体を作
製した。この窒化ゲルマニウムの熱伝導度は、実施例1
2と同様に計算し、熱伝導度σ=2であった。 (実施例16)第2保護層5を、10nmの窒化ゲルマ
ニウムクロムにし、第3保護層7の厚さを25nmにし
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。この窒
化ゲルマニウムの熱伝導度は、実施例12と同様に計算
し、熱伝導度σ=2であった。実施例15〜実施例16
を、実施例1と同様の測定をしたところ、条件a、条件
bのいずれにおいても表7、表8のとおり、実施例1と
ほぼ同等の特性が得られた。
【0070】なお、第2保護層、第3保護層の材料は、
本発明の熱伝導的間隔の関係を満足するもので有れば、
実施例に限定されるものではない。
【0071】さらに、基板、記録層、界面層、反射層、
保護膜などの材料も公知のものが使用可能であり、実施
例に限定されるではないことは言うまでもない。 (比較例1)光吸収発熱層6を省いた他は実施例1と同
様の光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をし
たところ、表3、表4のとおり、条件aでは、初期ジッ
タは7.0%、反射率は18.2%でジッタ、反射率と
もほぼ実施例1と同様であったが、変調度が59.0%
と実施例1と比べるとかなり低かった。また、ボトムジ
ッタとなる記録パワーも実施例1〜13よりも1.0m
W高い15.0mWであり、記録感度が低いことを示し
ていた。条件bでも条件aと同様であり、初期ジッタ、
反射率は実施例1とほぼ同様であったが、変調度は5
5.0%と低く、またボトムジッタとなる最適記録パワ
ーも実施例1よりも1.0mW高かった。 (比較例2)光吸収発熱層6の2nmを第3保護層7と
反射層8との間に差し換えた他は実施例1と同様の光記
録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、表9、表10のとおり、条件a、条件bのいずれに
おいて反射率、変調度は比較例1とほぼ同等の特性であ
ったが、ジッタ特性は劣化していた。
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】 また、ボトムジッタとなる記録パワーも比較例1と同等
の15.0mWと高かった。これは光吸収機能が働いて
いても、その光吸収発熱層6からの熱が熱伝導度の高い
反射層8に流れていることを示している。 (比較例3)光吸収発熱層6の2nmを記録層4と第2
保護層5の間に差し換えた他は実施例1と同様の光記録
媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたところ、
表9のとおり、条件aにおいて変調度は71.0%と高
いが、反射率が14.8%、初期ジッタ9.2%と、電
気特性にかなりの劣化が見られた。また、ボトムジッタ
となる記録パワーも比較例1と同様の15.0mWと高
かったことに加えて、最適記録ストラテジが結晶化感度
の低い方向に変化していた。これは、光吸収発熱層6と
記録層4が溶融し、記録特性の良くない別の記録層組成
になったことを示している。 (比較例4)第2保護層5は15nm、第3保護層7は
5nmにした他は実施例1と同様の光記録媒体を作製し
た。実施例1と同様の測定をしたところ、表7、表8の
とおり、条件a、条件bいずれにおいても比較例1とほ
ぼ同等の特性であった。また、最適記録パワーも比較例
1と同様であり、光吸収発熱層6の効果があまり見られ
なかった。 (比較例5)第3保護層7を30nmにした他は実施例
1と同様の光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測
定をしたところ、表7、表8のとおり、条件a、条件b
いずれにおいても変調度は上昇したが、それと同時に反
射率が低下した。また、最適記録パワーが下がり、さら
にジッタの悪化も見られた。 (比較例6)光吸収発熱層6に代えて、Agターゲット
をスパッタリングして厚さ2nmの層(屈折率3.3、
消衰係数0.2)を成膜した他は実施例1と同様の光記
録媒体を作製した。 (比較例7)第2保護層5は設けず、第3保護層7は2
0nmにした他は実施例1と同様の光記録媒体を作製し
た。実施例1と同様の測定をしたところ、表7のとお
り、条件aにおいて変調度は71.0%と高いが、反射
率が14.8%、初期ジッタ9.2%と、電気特性にか
なりの劣化が見られた。また、ボトムジッタとなる記録
パワーも比較例1と同様の15.0mWと高かったこと
に加えて、最適記録ストラテジが結晶化感度の低い方向
に変化していた。これは、光吸収発熱層6と記録層4が
溶融し、記録特性の良くない別の記録層組成になったこ
とを示している。 (比較例8)第2保護層は10nm、第3保護層7は4
0nmにした他は実施例1と同様の光記録媒体を作製し
た。実施例1と同様の測定をしたところ、表7、表8の
とおり、条件a、条件bいずれにおいても変調度は上昇
したが、それと同時に反射率が低下した。また、最適記
録パワーが下がり、さらにジッタの悪化も見られた。 (比較例9)第2保護層5は20nm、第3保護層7は
設けない他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。
実施例1と同様の測定をしたところ、表7、表8のとお
り、条件a、条件bのいずれにおいて反射率、変調度は
比較例1とほぼ同等の特性であったが、ジッタ特性は劣
化していた。また、ボトムジッタとなる記録パワーも比
較例1と同等の15.0mWと高かった。これは光吸収
機能が働いていても、その光吸収発熱層6からの熱が熱
伝導度の高い反射層8に流れていることを示している。
【0074】
【発明の効果】本発明の記録媒体によれば、前記した構
成の光吸収発熱層あるいは前記した保護層を用いること
によって、光記録媒体における反射率及び記録層におけ
る光変調度(結晶質、非晶質の相変化状態における光変
調度)を常に高く保つことができるから、反射率、ジッ
タなどの特性劣化を伴わずして、記録層における記録感
度を高めることができ、また、小さいレーザパワーのレ
ーザ光を照射しても高い光変調度が得られ、さらに、高
線速記録においても高い記録特性を保つことができる光
記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における相変化型光記録媒体の1例の構
成図である。
【符号の簡単な説明】
1 基板 2 第1保護層 4 記録層 5 第2保護層 6 光吸収発熱層 7 第3保護層 8 反射層 9 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 538 G11B 7/24 538K

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも第1保護層、記録層、
    第2保護層、光吸収発熱層、第3保護層、反射層が順に
    積層してなり、 前記光吸収発熱層は、Ge、Sn、Pb、Cr、Ti、
    In、Si、Cd、Se、W、Mo、Zr、Nb、Z
    n、Hfのいずれか成分を1種以上含んでいる金属層又
    は合金層であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に少なくとも第1保護層、記録層、
    第2保護層、光吸収発熱層、第3保護層、反射層が順に
    積層してなり、 前記第2保護層を介して前記光吸収発熱層から前記記録
    層へ熱伝導する熱伝導的間隔をd2、前記第3保護層を
    介して前記光吸収発熱層から前記反射層へ熱伝導する熱
    伝導的間隔をd3とし、 d2≦d3<30×10-9(m)、 d2=(t2/σ2)(m)、 d3=(t3/σ3)(m) (但し、t2は前記第2保護層の厚み、t3は前記第3
    保護層の厚み、σ2は前記第2保護層の熱伝導度、σ3
    は前記第3保護層の熱伝導度で、σ2、σ3はZnS
    (80)−SiO2(20)の熱伝導度σ1を1.0として相対
    値で現す。)の関係を有することを特徴とする光記録媒
    体。
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