JP2000190637A - 光学的情報記録媒体 - Google Patents

光学的情報記録媒体

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JP2000190637A
JP2000190637A JP10372485A JP37248598A JP2000190637A JP 2000190637 A JP2000190637 A JP 2000190637A JP 10372485 A JP10372485 A JP 10372485A JP 37248598 A JP37248598 A JP 37248598A JP 2000190637 A JP2000190637 A JP 2000190637A
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JP10372485A
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English (en)
Inventor
Itsuro Nakamura
逸郎 中村
Katsunori Oshima
克則 大嶋
Osamu Akutsu
収 圷
Kenji Oishi
健司 大石
Junji Kuroda
順治 黒田
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数回の記録消去を繰り返しても、記録消去
動作が安定しており、特性の劣化、欠陥の発生がほとん
どない良好な繰り返し記録特性が得られる構成の光情報
記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板1上に、第1誘電体層2、記録層
3、第2誘電体層4、反射層5を順次積層してなり、光
の照射により前記記録層3を構成する原子の配列が変化
して情報の記録及び消去が行われる光学的情報記録媒体
であって、前記記録層3は、Cu、Al、Te、Sb
と、M(MはAg,Au,Co,Ni,Ti,V,M
o,Mn,Pt,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,P
b,Ta,Hf,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,I
n,W,Zrからなる群から選択された少なくとも一つ
の元素)とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射により記
録層を構成する原子の配列が変化して情報の記録および
消去が行なわれる光学的情報記録媒体であって、特に書
き換え特性および高密度記録に優れた光学的情報記録用
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザービームの照射による情報の記
録、再生及び消去可能な光メモリー媒体の一つとして、
結晶−非晶質間、あるいは結晶1−結晶2の2つの結晶
相間の転移を利用する、いわゆる相変化型記録媒体がよ
く知られている。相変化形型記録媒体は、Te、Se等
のカルコゲンを主成分とし基板上に形成された記録層と
この記録層を両面から挟み込む2枚の透光性誘電体層と
レーザービームの入射側(基板側)とは反対に設けた反
射層と樹脂保護層から構成されている。この記録層の代
表的な材料系としては、ゲルマニウム・アンチモン・テ
ルル系(GeSbTe系)、銀・インジウム・アンチモ
ン・テルル系(AgInSbTe系)が良く知られてい
て、実用化されている。
【0003】記録原理は次の通りである。成膜直後の記
録層は非晶質(アモルファス)状態で反射率は低い。ま
ずはじめに、レーザービームを照射して記録層を加熱
し、媒体全面を反射率の高い結晶状態にする。これを初
期化という。初期化した媒体にレーザービームを局所的
に照射して記録層を溶融、急冷し、アモルファス状態に
相変化させる。相変化に伴い記録層の光学的性質(反射
率、透過率、複屈折率等)が変化して、情報を記録す
る。再生は、弱いレーザ光を照射して結晶とアモルファ
スとの反射率差、または位相差を検出して行う。書き換
えは、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワーの
上に重畳した記録ピークパワーを記録層に投入すること
により消去過程を経ることなくすでに記録された記録マ
ーク上にオーバーライトする。
【0004】さて、上述したGeSbTe系、AgIn
SbTe系材料を記録層に用いた相変化型記録媒体とし
ては、次のものが知られている。即ち、特開平1−27
7338号公報には(SbxTe1-x1-yy(ここで、
原子比xは0.4≦x<0.7、原子比yはy≦0.
2、MはAg、Al、As、Au、Bi、Cu、Ga、
Ge、In、Pb、Pt、Se、Si、Sn及びZnか
らなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)で表され
る組成の合金からなる記録層を有する光記録媒体が提案
されている。この媒体は、SbTe2元系に第3元素を
添加することにより結晶化温度を高めて非晶質状態の安
定性を向上させ、さらに消去の高速化を図っている。し
かし、この公報には4元系以上の多元系媒体の具体的な
実施例は記載されていない。また、1ビームオーバーラ
イト時の書換性能は示されておらず、書き込み消去の繰
り返し回数も1000回と書換媒体としての特性が不十
分である。
【0005】また、本発明者等は、光記録材料の欠点を
見事に解決する新材料として、AlTeSb系ならびに
これにI族のAu、Ag、Cuを加えた系の記録材料を
見いだし特開平2−150384号公報に開示してき
た。この開示技術により、極めて優れた性能を有する相
変化形光ディスクを獲得できることは、既に明らかであ
ったが、製造マージン特に膜厚管理を考えると、さらな
る改良が必要となった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】(1)繰返しオーバー
ライト記録による記録再生特性の劣化があった。即ち、
従来のGeSbTe系材料では、記録、消去あるいは書
換の繰返しにより、記録時に溶融した記録膜材料がビー
ムの移動に伴って一緒に移動し、再生出力が減少すると
いった問題があった。 (2)書換え可能なDVD−RAM相当の転送速度なら
びに高い記録密度の実現が困難であった。特に所定の記
録ストラテジに対応した1ビームオーバーライト時の書
換性能向上を赤色レーザ波長域で達成できなかった。 (3)記録感度が低いと記録、消去に要する光の照射パ
ワーが大きく、光ヘッドの半導体レーザに高出力のもの
が必要になり装置コストが高い。また、媒体の場合、光
の照射パワーが不足し高速回転では記録が困難になるな
どの問題があった。 (4)高い記録密度で良好な記録再生特性を得るには
0.6以上の変調度が必要であるが、高密度化に伴い変
調度を向上させることは困難であった。
【0007】そこで、このような課題を解決するため
に、本発明はなされたものであり、基板上に、第1誘電
体層、記録層、第2誘電体層、反射層を順次積層する
か、あるいは、基板上に、Ag合金層、第1誘電体層、
記録層、第2誘電体層、反射層を順次積層してなり、光
の照射により前記記録層を構成する原子の配列が変化し
て情報の記録及び消去が行われる光学的情報記録媒体で
あって、記録層は、Cu、Al、Te、Sbと、M(M
はAg,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,P
t,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,H
f,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrか
らなる群から選択された少なくとも一つの元素)とを含
有する合金からなることによって、多数回の記録消去を
繰り返しても、記録消去動作が安定しており、特性の劣
化、欠陥の発生がほとんどない良好な繰り返し記録特性
が得られる構成の光情報記録媒体を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、次の(1)〜(6)の構成を有する
光情報記録媒体を提供する。
【0009】(1) 基板上に、第1誘電体層、記録
層、第2誘電体層、反射層を順次積層してなり、光の照
射により前記記録層を構成する原子の配列が変化して情
報の記録及び消去が行われる光学的情報記録媒体であっ
て、前記記録層は、Cu、Al、Te、Sbと、M(M
はAg,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,P
t,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,H
f,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrか
らなる群から選択された少なくとも一つの元素)とを含
有することを特徴とする光学的情報記録媒体。 (2) 基板上に、Ag合金層、第1誘電体層、記録
層、第2誘電体層、反射層を順次積層してなり、光の照
射により前記記録層を構成する原子の配列が変化して情
報の記録及び消去が行われる光学的情報記録媒体であっ
て、前記記録層は、Cu、Al、Te、Sbと、M(M
はAg,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,P
t,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,H
f,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrか
らなる群から選択された少なくとも一つの元素)とを含
有することを特徴とする光学的情報記録媒体。前記記録
層の組成は、(CuwAlxTeySbz1-aMa 但し, 0.01≦w≦0.15 0.01≦x≦0.10 0.20≦y≦0.35 0.40≦z≦0.65 0.001≦a≦0.05 w+x+y+z=1 (a:Mの原子比、w:Cuの原子比、x:Alの原子
比、y:Teの原子比、z:Sbの原子比)の組成式を
満たすものであることを特徴とする請求項1又は請求項
2記載の光学的情報記録媒体。 (4) 前記記録層の組成は、 3/7≦(y+z)/(w+x)≦19 1.5≦z/y≦2.5 (但し、w:Cuの原子比、x:Alの原子比、y:T
eの原子比、z:Sbの原子比)の組成式を満たすもの
であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載記載
の光学的情報記録媒体。 (5) 前記Ag合金層の膜厚は、1〜20nmである
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の光学的情
報記録媒体。 (6) 前記基板は、板厚0.6mm、グルーブピッチ
0.74〜1.48μmの空溝を有する透光性基板であ
ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずかに記
載の光学的情報記録媒体。
【0010】
【発明の実施の態様】以下、本発明の光情報記録媒体
を、[実施例1]、[実施例2]の順に詳細に説明す
る。
【0011】[実施例1]本発明の光情報記録媒体は、
基板上に記録層を有し、光の照射により原子の配列が変
化して情報の記録および消去が行われる光情報記録媒体
であって、記録層が少なくとも銅Cu、アルミニウムA
l、テルルTe、アンチモンSb、およびM(MはA
g,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,Pt,
Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,Hf,C
s,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrからなる
群から選択された少なくとも一つの元素である)からな
ることを特徴とする光学的情報記録媒体である。また、
前記記録層の組成は、(CuwAlxTeySbz1-a
a。ただし、0.01≦w≦0.15、0.01≦x≦
0.10、0.20≦y≦0.35、0.40≦z≦
0.65、0.001≦a≦0.05、w+x+y+z
=1である。また、本発明の光情報記録媒体は、基板上
に少なくとも誘電体層、記録層、誘電体層、反射層をこ
の順に積層してなる光学的情報記録媒体であって、前記
記録層の組成は、組成式3/7≦(y+z)/(w+
x)≦19、1.5≦z/y≦2.5を満たすものであ
る。また、前記基板は板厚0.6mm、グルーブピッチ
0.74〜1.48μmのプリグルーブ(空溝)を有す
る透光性基板である。
【0012】本発明の記録材料は、結晶状態と非晶状態
の少なくとも2つの状態をとり得る少なくとも銅Cu、
アルミニウムAl、テルルTe、アンチモンSb、およ
びM(MはAg,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,
Mn,Pt,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,T
a,Hf,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,
Zrからなる群から選択された少なくとも一つの元素で
ある)からなる相変化型光記録材料である。消去状態で
ある結晶状態において、銅Cu、アルミニウムAl、テ
ルルTe、アンチモンSbのうちの単体の結晶相あるい
は2元素以上の組み合わせで構成される結晶相を形成す
るものである。結晶状態が単一相であるとは限らず、2
相以上の結晶相が混在していてもよい。記録状態である
非晶質状態において、X線回折パターンは示さないが局
所的には短距離秩序を有していてもよく、規則的な電子
線回折パターンを示す場合もある。
【0013】また、本発明の記録層は、記録、消去、あ
るいは、オーバーライトによる書換を繰り返しても、従
来の記録層に比べ優れた繰返耐久性と高密度記録が得ら
れる。さらに、従来の記録層に比べ高い変調度が得られ
るため、高密度記録再生時のジッタが抑制され高性能で
ある。記録材料として銅Cu、アルミニウムAl、テル
ルTe、アンチモンSbを主成分とし、添加元素として
Ag,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,P
t,Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,H
f,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrの
群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で0.
01原子%以上5原子%未満含有することもできる。
【0014】とりわけ、繰り返しオーバーライト性能に
優れていることから、記録層の膜厚方向の平均組成が下
記の組成式で表される組成であることが好ましい。 組成式(CuwAlxTeySbz1-aMa 0.01 ≦w≦0.15 0.01 ≦x≦0.10 0.20≦y≦0.35 0.40≦z≦0.65 0.001≦a≦0.05 w+x+y+z=1 ここで、Cuは銅、Alはアルミニウム、Teはテル
ル、Sbはアンチモンを表し、w,x,y,z,a及び
数字は、各元素の原子の数の比(各元素のモル比)を表
す。
【0015】さらに、高い変調度が得られ高密度記録再
生性能に優れていることから、記録層の膜厚方向の平均
組成が下記の組成式で表される組成であることが好まし
い。 3/7≦(y+z)/(w+x)≦19 1.5≦z/y≦2.5
【0016】アンチモンSbの含有量が記録層の結晶化
速度を強く支配しており、Sb量の増加とともに結晶化
速度が速くなり、転送速度を高速にすることができる。
加えて、Sbを成分に含むTe系合金であるため、耐酸
化性にも優れている。しかし、Sb量が過剰であると繰
り返しオーバーライト性能が低下し、さらにSb量が過
剰であると成膜直後から結晶状態となり、高反射率を呈
するようになる。Cu,AlならびにTeの含有量につ
いては、過剰であると記録感度が低下し、非晶質から結
晶へ変化し再び非晶質に戻るような可逆的な変化を示さ
なくなり、ついには非晶質から結晶への不可逆的な相変
化を示さなくなる。
【0017】本発明の光記録媒体の代表的な層構成は、
(ア)透明基板/第1誘電体層/記録層/第2誘電体層
の積層体あるいは、(イ)透明基板/第1誘電体層/記
録層/第2誘電体層/反射層の積層体からなる(ここで
レーサ光は基板下面側から入射する)図1参照。但し本
発明の光記録媒体の構成はこれに限定するものではな
い。反射層上に本発明の効果を損なわない範囲でSi
O、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2
In23、MgO、ZrO2等の金属酸化物、Si
34、AlN、TiN、BN、ZrN、GeNなどの窒
化物、ZnS、In23、TaS4等の硫化物、Si
C、TaC、B4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化
物などの保護層や紫外線硬化樹脂などの樹脂層、他の基
板と張り合わせるための接着剤層などを設けてもよい。
記録感度を重視する用途には、反射層を設けない(ア)
の構成が好ましく、高記録密度で記録する場合、あるい
は、記録の繰返し耐久性を重視する用途では(イ)の反
射層を設けた構成が好ましい。
【0018】図1は本発明の光記録媒体の実施例1の断
面構造を説明するための図である。本発明の光記録媒体
の具体的な実施例である光ディスクDは、図1に示すよ
うに、基板1上に、第1誘電体層2、記録層3、第2誘
電体層4、反射層5、保護層6が順次積層されてなるも
のである。
【0019】本発明の誘電体層(第1,第2誘電体層
2,4)は、記録時に基板、記録層などが熱によって変
形し記録特性が劣化することを防止するなど、基板、記
録層を熱から保護する効果、光学的な干渉効果により、
再生時の信号コントラストを改善する効果がある。さら
に、記録層の結晶化を促進して、消去率を向上する効果
もある。この誘電体層としては、ZnS,SiO2、窒
化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機薄膜がある。
特にSi,Ge,Al,Ti,Zr,Taなどの金属あ
るいは半導体の酸化物の薄膜、Si、Ge,Alなどの
金属あるいは半導体の窒化物の薄膜、Ti、Zr、H
f、Siなどの金属あるいは半導体の炭化物の薄膜、Z
nS、In23、TaS4、GeS2等の金属あるいは半
導体の硫化物の薄膜、及びこれらの化合物の2種類以上
の混合物の膜が、耐熱性が高く、化学的に安定なことか
ら好ましい。さらに、記録層への誘電体層を構成する原
子の拡散がないものが好ましい。これらの酸化物、硫化
物、窒化物、炭化物は必ずしも化学量論的組成をとる必
要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、
混合して用いることも有効である。また、これらにMg
2などのフッ化物を混合したものも、膜の残留応力が
小さいことから好ましい。特にZnSとSiO2の混合
膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C
/N、消去率などの劣化が起きにくいことから好まし
い。
【0020】前記した第1および第2誘電体層2,4の
厚さは、およそ10〜500nmである。第1誘電体層
2は、基板1や記録層3から剥離し難く、クラックなど
の欠陥が生じ難いことから、80〜300nmが好まし
い。また第2誘電体層4は、C/N、消去率などの記録
特性、安定に多数回の書換が可能なことから10〜50
nmが好ましい。第1誘電体層2と第2誘電体層4は、
同一ではなく異なる化合物から構成されてもよい。
【0021】本発明の記録層(記録層3)の厚さとして
は、特に限定するものではないが10〜100nmであ
る。特に記録、消去感度が高く、多数回の記録消去が可
能であることから10nm以上40nm以下とすること
が好ましい。
【0022】本発明の反射層(反射層4)の材質として
は、光反射性を有するAl、Au,Agなどの金属、及
びこれらを主成分とし、Tiなどの添加元素を含む合金
及びAl,Au、Agなどの金属にAl、Siなどの金
属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物などの金属
化合物を混合したものなどがあげられる。Al、Au、
Agなどの金属、及びこれらを主成分とする合金は、光
反射性が高く、かつ熱伝導率を高くできることから好ま
しい。前述の合金の例として、AlにSi、Mg、C
u,Pd、Ti、Cr,Hf,Ta,Nb、Mn,P
d,Zrなどの少なくとも1種の元素を合計で5原子%
以下、1原子%以上加えたもの、あるいは、AuにC
r,Ag、Cu,Pd、Pt、Niなどの少なくとも1
種の元素を合計で20原子%以下1原子%以上加えたも
のなどがある。とりわけ、耐腐食性が良好でかつ繰り返
し性能がのびることから、反射層を添加元素を合計で
0.5原子%以上3原子%未満含む、Al−Cr合金、
Al−Ti合金、Al−Ta合金、Al−Zr合金、A
l−Ti−Cr合金、Al−Si−Mn合金のいずれか
のAlを主成分とする合金で構成することが好ましい。
【0023】反射層の厚さとしては、おおむね10nm
以上300nm以下である。特に、記録感度が高く、高
速でシングルビーム・オーバーライトが可能であり、か
つ消去率が大きく消去特性が良好であることから、次の
ごとく、光記録媒体の主要部を構成することが好まし
い。
【0024】本発明の基板(基板1)の材料としては、
透明な各種の合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。
ほこり、基板の傷などの影響をさけるために、透明基板
を用い、集束した光ビームで基板側から記録を行なうこ
とが好ましく、この様な透明基板材料としては、ガラ
ス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリレート、
ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂な
どがあげられる。特に、光学的複屈折が小さく、吸湿性
が小さく、成形が容易であることからポリカーボネイト
樹脂が好ましい。さらに記録密度を向上するため、基板
上に積層媒体を設け極薄い板厚の透光性基板を通して、
いわゆる表読みを行ってもよく、この場合にはレーザ光
は基板を通過しないので不透明な基板を用いることが可
能となる。
【0025】基板の厚さは特に限定するものではない
が、0.01mm〜5mmが実用的である。0.01m
m未満では、基板側から集束した光ビ−ムで記録する場
合でも、ごみの影響を受け易くなり、5mm以上では、
対物レンズの開口数を大きくすることが困難になり、照
射光ビームスポットサイズが大きくなるため、記録密度
をあげることが困難になる。基板はフレキシブルなもの
であっても良いし、リジッドなものであっても良い。フ
レキシブルな基板は、テープ状、シート状、カ−ド状で
使用する。リジッドな基板は、カード状、あるいはディ
スク状で使用する。また、これらの基板は、記録層など
を形成した後、2枚の基板を用いて、エアーサンドイッ
チ構造、エアーインシデント構造、密着貼り合せ構造と
してもよい。
【0026】本発明の光記録媒体(光ディスクD)の記
録に用いる光源としては、レーザ光を用いることが好ま
しく、主に近赤外域の波長830nmから紫外域の30
0nmの範囲にある。1次光を2次高調波発生素子(S
HG素子)を用いて短波長化した光源を利用することも
できる。
【0027】本発明の光記録媒体の記録は結晶状態の記
録層にレーザ光パルスなどを照射してアモルファス(非
晶状態)の記録マークを形成して行う。また、反対に非
晶状態の記録層に結晶状態の記録マークを形成してもよ
い。消去はレーザ光照射によって、アモルファスの記録
マークを結晶化するか、もしくは、結晶状態の記録マー
クをアモルファス化して行うことができる。実用的に
は、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワーの上
に重畳した記録ピークパワーを記録層に投入することに
より消去過程を経ることなくすでに記録された記録マー
ク上にオーバーライトする。
【0028】このとき記録レーザパルスは、記録マーク
長より短い複数のパルスに分割される。分割パルスパタ
ーンの例を図3に示す。8―16変調方式の3T(T:
チャンネル周期)と6Tマークを記録する場合、分割パ
ルスパターンは例えば図3に示すような波形とすること
が好ましい。3T信号の場合には、1つのパルスにする
場合もある。レーザパワーは、記録ピークパワーP1と
消去パワーP2の少なくとも2値で変調される。さらに
分割された記録パルス間のレーザパワーP3や最終パル
ス後の冷却パワーP4を追加して4値で変調されること
もある。
【0029】レーザパワーP3は消去パワーの1/2よ
り小さく、ゼロでないレーザパワー(P3)とすると良
い。但し、フォーカスサーボやトラッキングサーボが掛
かることが必要なので、少なくともレーザパワーP3 は
再生パワーより(通常0.3〜1mW)大きいことが好
ましい。通常、レーザパワーP3 は0.2mW以上とさ
れる。
【0030】このようにすることにより溶融後の記録マ
ークの再結晶化を防ぐことができ、記録パワーマージン
も広がる。分割したパルス間のレーザパワーP3が消去
パワーP2の1/2より大きくなるとこの効果は小さく
なる。分割法は、例えば8―16変調方式の6Tマーク
を記録する場合、4〜6個のパルスに分割すると良い。
マークの先端部は温度が上がりにくいため、先頭の分割
パルスを他の分割パルスより2〜4倍長くすると良い場
合もある。
【0031】図3において、分割パルスのパルス長T1
と分割パルス間の間隔T2は、T1+T2=Tとするの
が良い。また、T1はT2より短いほうがより効果的に
記録マークの再結晶化を防ぐことが出来る。すなわち、
T1≦T2とすると良い場合がある。但し、T1は0.
1Tより大きいことが必要である。0.1T以下では先
に記録された非晶質マークの消去が出来なくなる。
【0032】次に、前述した構成の本発明の光記録媒体
の製造方法について述べる。反射層、記録層、誘電体層
などを基板上に形成する方法としては、公知の真空中で
の薄膜形成法、例えば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビ
ーム型)、イオンプレーティング法、スパッタリング法
(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタリング)
などがあげられる。特に組成、膜厚のコントロールが容
易であることから、スパッタリング法が好ましい。スパ
ッタ法では、例えば、記録材料と添加材料を各々のター
ゲットを同時にスパッタすることにより容易に混合状態
の記録層を形成することができる。成膜前の真空度は、
1×10-4Pa以下にするのが好ましい。真空槽内で複
数の基板を同時に成膜するバッチ式や基板を1枚ずつ処
理する枚葉式成膜装置を使うことが好ましい。形成する
反射層、記録層、誘電体層などの厚さの制御は、スパッ
タ電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜
厚計などで、堆積状態をモニタリングすることで、容易
に行える。
【0033】反射層、記録層、誘電体層などの形成は、
基板を固定したまま、あるいは移動、回転した状態のど
ちらでもよい。膜厚の面内の均一性に優れることから、
基板を自転させることが好ましく、さらに公転を組合わ
せることが、より好ましい。必要に応じて基板の冷却を
行うと反り量を減少することができる。
【0034】次に、実施例1のさらなる具体例につき、
[具体例1]〜[具体例3]について説明するが、本発
明はこの具体例に限定されるものではない。この具体例
では、波長635nmのレーザダイオード、NA=0.
60の光学レンズを搭載したパルステック社製光ディス
クドライブテスタ(DDU1000)を用いて記録(1
ビーム・オーバーライト)を行った。再生光パワーPr
は1.0mWで線速によらず一定とした。
【0035】[具体例1]線速度6.0m/sで8−1
6変調ランダムパターンによる評価を行なった。クロッ
ク周期Tは、34.2ナノ秒(ns)である。再生信号
の振幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ
・ジッタclock to data jitterを測定した。マークの検
出にはタイムインターバルアナライザー(横河電機社
製、TA320)を用いた。媒体は、直径120mm、
板厚0.6mmのポリカーボネイト樹脂基板上に形成し
た。基板はDVD−RAM規格に基づき物理フォーマッ
トがされている。トラックピッチが0.74μm(グル
ーブピッチ1.48μm)のランド・グルーブ方式で記
録を行った。溝深さは65nmでグルーブ幅とランド幅
の比は、およそ46:54であった。
【0036】基板1を毎分60回転で遊星回転させなが
ら、スパッタ法により、第1誘電体層2、記録層3、第
2誘電体層4、反射層5の順に真空成膜を行った。ま
ず、真空チャンバー内を6×10-5Paまで排気した
後、1.6×10-1PaのArガスを導入した。SiO
2を20mol%添加したZnSを高周波マグネトロン
スパッタ法により基板1上に膜厚100nmの第1誘電
体層2を形成した。続いて、Cu、Al、Te、Sb、
Crからなる5元素単一ターゲット(直径2インチ、厚
さ3mm)を直流電源でスパッタして記録層3を形成し
た。組成Cu0.15Al0.12Te0.12Sb0.52Cr0.003
の膜厚22nmの記録層3を形成した。組成分析は同様
の記録層3を別に100nmの厚さでシリコン基板上に
形成し、これをICP発光分析法により分析した。さら
に第1誘電体層2と同様の材質の第2誘電体層4を20
nm形成し、この上にAl,Crからなる2元素単一タ
ーゲットを直流スパッタ法にて、組成Al0.97Cr0.03
の厚さ150nmの反射層5を形成した。
【0037】この光ディスクDを真空容器より取り出し
た後、反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(住友化
学製XR11)をスピンコートし、紫外線照射により硬
化させて膜厚10μmの樹脂層である保護層6を形成
し、本発明の光記録媒体を得た。さらにスクリーン印刷
法を用いて遅効性紫外線硬化樹脂を保護膜6上に塗布
し、同様に形成した光ディスクDを貼り合わせ加圧して
両面ディスクを作製した。
【0038】こうして作製した光ディスクDにレーザ光
やフラッシュランプ等を照射して、記録層3を結晶化温
度以上に加熱し初期化処理を行う。実用的には、特開平
7−282475号公報に記載されているような初期化
装置を用いる。スピンドルに光ディスクDを装着した
後、大出力のレーザ光を照射して記録層3を加熱して高
反射率の状態に変化させる。光ディスクDに照射される
レーザ光はトラック幅よりも大きなビーム径を有し、好
ましくは半径方向に長く、光ディスクDを回転しながら
複数のトラックを同時に初期化する。具体的には初期化
レーザ光の波長は、830nm、照射ビームの形状は、
トラック方向が2μmで半径方向が20μmの幅の広い
形をしている。光ディスクDを線速度2m/sで回転さ
せ、半径22.0mmから初期化を開始した。初期化レ
ーザ光は、パワー76mWで半径外周方向に5μm/回
転の速度で移動させ、半径58.0mmで初期化を終了
した。
【0039】基板1側から相変化記録層3の案内溝であ
るグルーブ部に記録を行った。グルーブは、レーザ光の
入射方向からみて凸状になっている。記録の条件は、D
VD−RAMの規格にあるストラテジを使い、ピークパ
ワー9.0mW,消去パワー3.5mW、クーリングパ
ワー1.0mWである。再生信号のクロック・トゥー・
データ・ジッタと最長信号である14Tの再生振幅I1
4を測定した。また、変調度は最長信号である14Tの
再生信号振幅の最大値をI14Hとすると、I14/I
14Hで表される。記録層3の物質が移動して膜厚が薄
くなったり、不純物の拡散混入によりI14信号が減少
することが知られている。繰り返しダイレクト・オーバ
ー・ライトを行った時の結果を表1に示す。ジッタは、
記録マーク始端(LE)と終端(TE)の二乗平均であ
る。1000回書き換えた後は、出力も一定値を示し、
記録層3の物質移動による出力の低下は認められない。
ジッタと出力ともに20万回にわったって劣化が生じな
かった。さらに、イニシャルにおいて高い変調度が得ら
れ、繰り返しダイレクト・オーバー・ライト後も変調度
の減少は極めて少なく、高い値が持続されている。本発
明の光記録媒体が、良好な繰返記録耐久性と高い変調度
を有していることが明らかになった。
【0040】
【表1】
【0041】[具体例2]記録層3の組成をCu0.10
0.07Te0.22Sb0.61Cr0.002とし、膜厚構成を第
1誘電体層2を110nm、第2誘電体層4を20n
m、反射層5を150nmにして、記録層3の膜厚を変
化させた以外は、前記した[具体例1]と同様にしてダ
イレクト・オーバーライト性能を調べた。線速度6m/
sでは記録層3の膜厚dが24〜27の範囲でダイレク
ト・オーバーライト可能であり、変調度は0.73。線
速度3.5m/s、クロック周波数を14.6MHzに
下げたところ、記録層3の膜厚Xが15〜30nmの範
囲でダイレクト・オーバーライト可能であった。
【0042】[具体例3]記録層3の組成をCu0.05
0.05Te0.30Sb0.60Cr0.002とし、膜厚構成を第
1誘電体層2を200nm、記録層3を22nm、第2
誘電体層4を10nm、反射層5を300nmにした以
外は、前記した[具体例1]と同様にしてダイレクト・
オーバーライト性能を調べた。使用した基板1は、板厚
0.6mm、溝深さは30nm、ランド・グルーブ幅の
比は55/45、連続溝でトラックピッチは、0.74
μmである。初期化は、2段階で行った。すなわち、初
期化装置を用い、パワー76mWで半径外周方向に5μ
m/回転の速度で移動させ、第一段階の初期化を終了し
た後、評価機を使いグルーブ部分に14mWの連続光を
1回照射することによって行った。線速度3.5m/s
から6m/sの範囲でダイレクト・オーバーライト可能
であった。次に、図3に示す記録ストラテジでTf=
0.5T、T1=0.3T、T2=0.7T、Tc=
0.6Tに変更して評価を行った。線速度3.5m/s
でP1=13.5mW、P2=7mW、P3=0.5m
W、P4=0.5mWで8−16変調ランダムパターン
を記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロッ
ク・トゥー・データ・ジッタclock todata jitter及び
変調度を測定した。100回オーバーライト後のマーク
始端ジッタ(LE)は、10.7%、マーク終端ジッタ
(TE)は、10.4%であった。200回オーバーラ
イト後のマーク始端ジッタ(LE)は、11.0%、マ
ーク終端ジッタ(TE)は、10.4%、1万回オーバ
ーライト後のマーク始端ジッタ(LE)は、11.7
%、マーク終端ジッタ(TE)は、11.4%であっ
た。良好な繰り返し性能を示した。また、変調度はイニ
シャル記録から1万回オーバーライト後まで0.72〜
0.73の高い値で維持された。
【0043】上述した構成によって、本発明の光記録媒
体の実施例1は、以下の効果が得られた。(1)高感度
で変調度が高く、かつジッタが低い。(2)多数回の記
録消去を繰り返しても、動作が安定しており、特性の劣
化、欠陥の発生がほとんどない。(3)スパッタ法によ
り容易に作製できる。(4)DVD−RAM以上の高密
度記録ができる。
【0044】[実施例2]本発明の光情報記録媒体の実
施例2の構成は、上述した実施例1の構成における基板
の一方の面に膜厚が1〜20nmのAg合金層を形成し
たものに等しい光学的情報記録媒体である。このAg合
金層以外の構成は実施例1と同様であるので,同一構成
部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0045】即ち、本発明の光記録媒体の実施例2の代
表的な層構成は、(ア)透明基板/Ag合金層/第1誘
電体層/記録層/第2誘電体層の積層体あるいは、
(イ)透明基板/Ag合金層/第1誘電体層/記録層/
第2誘電体層/反射層の積層体からなる(ここでレーサ
光は基板下面側から入射する)図2参照。図2は本発明
の光記録媒体の実施例2の断面構造を説明するための図
である。本発明の光記録媒体の具体的な実施例である光
ディスクDは、図2に示すように、基板1上に、Ag合
金層7、第1誘電体層2、記録層3、第2誘電体層4、
反射層5、保護層6が順次積層されてなるものである。
【0046】このAg合金層7の具体的な組成として
は、Agを90原子%以上とし、残りの組成をCr,A
u、Cu,Pd、Pt、Niなどの少なくとも1種の元
素を合計で10原子%以下1原子%以上としたものが望
ましい。Ag合金膜は光学的な相互作用によって、記録
部分(非晶質)と未記録部分(結晶質)の反射率差を実
効的に大きくするエンハンス効果を有し、変調度の向上
に大きく寄与する。また、最適な光学設計を施せば、記
録部分(非晶質)と未記録部分(結晶質)の反射光の位
相関係を逆にすることによって、初期の反射率を高めら
れ変調度の向上に大きく寄与することが可能となる。
【0047】実施例2の反射層(反射層4)の材質とし
ては、上述した実施例1の合金の例として、AlにS
i、Mg、Cu,Pd、Ti、Cr,Hf,Ta,N
b、Mn,Pd,Zrなどの少なくとも1種の元素を合
計で5原子%以下、1原子%以上加えたもの、あるい
は、AuにCr,Ag、Cu,Pd、Pt、Niなどの
少なくとも1種の元素を合計で20原子%以下1原子%
以上加えたもの、あるいは、AgにCr,Ag、Cu,
Pd、Pt、Niなどの少なくとも1種の元素を合計で
7原子%以下1原子%以上加えたものなどがある。とり
わけ、耐腐食性が良好でかつ繰り返し性能がのびること
から、反射層を添加元素を合計で0.5原子%以上3原
子%未満含む、Al−Cr合金、Al−Ti合金、Al
−Ta合金、Al−Zr合金、Al−Ti−Cr合金、
Al−Si−Mn合金のいずれかのAlを主成分とする
合金、あるいは、添加元素を合計で3原子%以上6原子
%未満含むAg−Pd−Cu合金で構成することが好ま
しい。また、反射層の厚さとしては、おおむね10nm
以上400nm以下である。
【0048】次に、実施例2のさらなる具体例につき、
[具体例1]〜[具体例3]について説明するが、本発
明はこの具体例に限定されるものではない。この具体例
では、波長635nmのレーザダイオード、NA=0.
60の光学レンズを搭載したパルステック社製光ディス
クドライブテスタ(DDU1000)を用いて記録(1
ビーム・オーバーライト)を行った。再生光パワーPr
は1.0mWで線速によらず一定とした。
【0049】[具体例1]上述した実施例1の[具体例
1]と同様に基板1を毎分60回転で遊星回転させなが
ら、スパッタ法により、Ag合金層7、第1誘電体層
2、記録層3、第2誘電体層4、反射層5の順に真空成
膜を行った。まず、真空チャンバー内を6×10-5Pa
まで排気した後、1.6×10-1PaのArガスを導入
した。Ag0. 95(PdCu)0.05の合金ターゲット(直
径2インチ、厚さ3mm)で基板1上に膜厚10nmを
直流電源でスパッタしてAg合金層7を形成した。続い
てSiO2を20mol%添加したZnSを高周波マグ
ネトロンスパッタ法により基板1上に膜厚100nmの
第1誘電体層2を形成した。続いて、Cu、Al、T
e、Sb、Crからなる5元素単一ターゲット(直径2
インチ、厚さ3mm)を用いて直流電源でスパッタして
記録層3を形成した。組成Cu0.15Al0.12Te0. 21
0.52Cr0.003の膜厚18nmの記録層3を形成し
た。組成分析は同様の記録層3を別に100nmの厚さ
でシリコン基板上に形成し、これをICP発光分析法に
より分析した。さらに第1誘電体層2と同様の材質の第
2誘電体層4を20nm形成し、この上にAl,Crか
らなる2元素単一ターゲットを直流スパッタ法にて、組
成Al0.97Cr0.03の厚さ150nmの反射層5を形成
した。この光ディスクDを真空容器より取り出した後、
この反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(住友化学
製XR11)をスピンコートし、紫外線照射により硬化
させて膜厚10μmの樹脂層である保護層6を形成し本
発明の光記録媒体を得た。
【0050】さらに、スクリーン印刷法を用いて遅効性
紫外線硬化樹脂を保護層3上に塗布し、同様に形成した
光ディスクDを貼り合わせ加圧して両面ディスクを作製
した。こうして作製した光ディスクDにレーザ光やフラ
ッシュランプ等を照射して、記録層3を結晶化温度以上
に加熱し初期化処理を行う。実用的には、特開平7−2
82475号公報に記載されているような初期化装置を
用いる。スピンドルに光ディスクDを装着した後、大出
力のレーザ光を照射して記録層3を加熱して高反射率の
状態に変化させる。光ディスクDに照射されるレーザ光
はトラック幅よりも大きなビーム径を有し、好ましくは
半径方向に長く、光ディスクDを回転しながら複数のト
ラックを同時に初期化する。具体的には初期化レーザの
波長は、830nm、照射ビームの形状は、トラック方
向が2μmで半径方向が20μmの幅の広い形をしてい
る。光ディスクDを線速度2m/sで回転させ、半径2
2.0mmから初期化を開始した。初期化レーザ光は、
パワー76mWで半径外周方向に5μm/回転の速度で
移動させ、半径58.0mmで初期化を終了した。
【0051】基板1側から相変化記録層3の案内溝であ
るグルーブ部に記録を行った。グルーブは、レーザ光の
入射方向からみて凸状になっている。記録の条件は、D
VD−RAMの規格にあるストラテジを使い、ピークパ
ワー9.0mW,消去パワー3.5mW、クーリングパ
ワー1.0mWである。再生信号のクロック・トゥー・
データ・ジッタと最長信号である14Tの再生振幅I1
4を測定した。また、変調度は最長信号である14Tの
再生信号振幅の最大値をI14Hとすると、I14/I
14Hで表される。記録層3の物質が移動して膜厚が薄
くなったり、不純物の拡散混入によりI14信号が減少
することが知られている。繰り返しダイレクト・オーバ
ー・ライトを行った時の結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】ジッタは、記録マーク始端(LE)と終端
(TE)の二乗平均である。初期化が適切でなっかたた
め、イニシャルのジッタが測定できなかったが、100
0回書き換えた後は、出力も一定値を示し、記録層3の
物質移動による出力の低下は認められない。ジッタと出
力ともに20万回にわったって劣化がなかった。さら
に、イニシャルにおいて高い変調度が得られ、繰り返し
ダイレクト・オーバー・ライト後も変調度の減少は極め
て少なく、高い値が持続されている。本発明の光記録媒
体が、良好な繰返記録耐久性と高い変調度を有している
ことが明らかになった。
【0054】[具体例2]記録層3の組成をCu0.10
0.07Te0.22Sb0.61Cr0.002とし、膜厚構成をA
g合金層7を8nm、第1誘電体層2を110nm、第
2誘電体層4を20nm、反射層5を150nmにし
て、記録層3の膜厚を変化させた以外は、前記した[具
体例1]と同様にしてダイレクト・オーバーライト性能
を調べた。線速度6m/sでは記録層の膜厚dが24〜
27の範囲でダイレクト・オーバーライト可能であっ
た。線速度3.5m/s、クロック周波数を14.6M
Hzに下げたところ、記録層3の膜厚Xが15〜30n
mの範囲でダイレク・オーバーライト可能であった。
【0055】[具体例3]記録層3の組成をCu0.05
0.05Te0.30Sb0.60Cr0.002とし、膜厚構成をA
g合金層7を9nm、第1誘電体層2を200nm、記
録層3を22nm、第2誘電体層4を10nm、反射層
5を300nmにした以外は、前記した[具体例1]と
同様にしてダイレクト・オーバーライト性能を調べた。
使用した基板1は、板厚0.6mm、溝深さは30n
m、ランド・グルーブ幅の比は55/45、連続溝でト
ラックピッチは、0.74μmである。初期化は、2段
階で行った。すなわち、初期化装置を用い、パワー76
mWで半径外周方向に5μm/回転の速度で移動させ、
第一段階の初期化を終了した後、評価機を使いグルーブ
部分に14mWの連続光を1回照射することによって行
った。線速度3.5m/sから6m/sの範囲でダイレ
クト・オーバーライト可能であった。次に、図3に示し
た記録ストラテジでTf=0.5T、T1=0.3T、
T2=0.7T、Tc=0.6Tに変更して評価を行っ
た。線速度3.5m/sでP1=13.5mW、P2=
7mW、P3=0.5mW、P4=0.5mWで8−1
6変調ランダムパターンを記録し、再生信号の振幅の中
心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタcl
ock to data jitter及び変調度を測定した。100回オ
ーバーライト後のマーク始端ジッタ(LE)は、10.
7%、マーク終端ジッタ(TE)は、10.4%であっ
た。200回オーバーライト後のマーク始端ジッタ(L
E)は、11.0%、マーク終端ジッタ(TE)は、1
0.4%、1万回オーバーライト後のマーク始端ジッタ
(LE)は、11.7%、マーク終端ジッタ(TE)
は、11.4%であった。良好な繰り返し性能を示し
た。また、変調度はイニシャル記録から1万回オーバー
ライト後まで0.72〜0.73の高い値で維持され
た。クロスイレーズも認められなかった。
【0056】上述した構成によって、本発明の光記録媒
体の実施例2の効果は、前述した実施例1の効果に加え
て、Ag合金層を有したから、光学的な相互作用によっ
て、記録部分(非晶質)と未記録部分(結晶質)の反射
率差を実効的に大きくするエンハンス効果を有し、変調
度の向上に大きく寄与するため、再生時のジッタをさら
に大きく低減する効果があることである。
【0057】
【発明の効果】上述した構成を有する本発明の光記録媒
体は、多数回の記録消去を繰り返しても、記録消去動作
が安定しており、特性の劣化、欠陥の発生がほとんどな
い良好な繰り返し記録特性が得られる。具体的には、次
の効果を有している。(1)高感度で変調度が高く、か
つジッタが低い。とくに、Ag合金層を有する場合に
は、光学的な相互作用によって、記録部分(非晶質)と
未記録部分(結晶質)の反射率差を実効的に大きくする
エンハンス効果を有し、変調度の向上に大きく寄与する
ため、再生時のジッタをさらに大きく低減する効果があ
る。(2)多数回の記録消去を繰り返しても、動作が安
定しており、特性の劣化、欠陥の発生がほとんどない。
(3)スパッタ法により容易に作製できる。(4)DV
D−RAM以上の高密度記録ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の実施例1の断面構造を説
明するための図である。
【図2】記録レーザパルスの分割パルスパターンを説明
するための図である。
【図3】本発明の光記録媒体の実施例2の断面構造を説
明するための図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1誘電体層 3 記録層 4 第2誘電体層 5 反射層 6 保護層 7 Ag合金層 D 光ディスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大石 健司 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 黒田 順治 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA32 EA36 FA01 FA12 FA21 FA31 FB06 FB07 FB09 FB12 FB16 FB17 FB18 FB19 FB21 FB23 FB30 4G062 AA18 BB01 MM27 5D029 JA01 JB35 JC18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、第1誘電体層、記録層、第2誘
    電体層、反射層を順次積層してなり、光の照射により前
    記記録層を構成する原子の配列が変化して情報の記録及
    び消去が行われる光学的情報記録媒体であって、 前記記録層は、Cu、Al、Te、Sbと、M(MはA
    g,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,Pt,
    Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,Hf,C
    s,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrからなる
    群から選択された少なくとも一つの元素)とを含有する
    ことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に、Ag合金層、第1誘電体層、記
    録層、第2誘電体層、反射層を順次積層してなり、光の
    照射により前記記録層を構成する原子の配列が変化して
    情報の記録及び消去が行われる光学的情報記録媒体であ
    って、 前記記録層は、Cu、Al、Te、Sbと、M(MはA
    g,Au,Co,Ni,Ti,V,Mo,Mn,Pt,
    Si,Cd,Zn,Nb,Fe,Pb,Ta,Hf,C
    s,Ga,Pd,Bi,Sn,In,W,Zrからなる
    群から選択された少なくとも一つの元素)とを含有する
    ことを特徴とする光学的情報記録媒体。
  3. 【請求項3】前記記録層の組成は、(CuwAlxTey
    Sbz1-aMa 但し, 0.01≦w≦0.15 0.01≦x≦0.10 0.20≦y≦0.35 0.40≦z≦0.65 0.001≦a≦0.05 w+x+y+z=1 (a:Mの原子比、w:Cuの原子比、x:Alの原子
    比、y:Teの原子比、z:Sbの原子比)の組成式を
    満たすものであることを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載の光学的情報記録媒体。
  4. 【請求項4】前記記録層の組成は、 3/7≦(y+z)/(w+x)≦19 1.5≦z/y≦2.5 (但し、w:Cuの原子比、x:Alの原子比、y:T
    eの原子比、z:Sbの原子比)の組成式を満たすもの
    であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載記載
    の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】前記Ag合金層の膜厚は、1〜20nmで
    あることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の光学
    的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】前記基板は、板厚0.6mm、グルーブピ
    ッチ0.74〜1.48μmの空溝を有する透光性基板
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずか
    に記載の光学的情報記録媒体。
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