JP2000155980A - 相変化型光記録媒体 - Google Patents

相変化型光記録媒体

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JP2000155980A
JP2000155980A JP10343597A JP34359798A JP2000155980A JP 2000155980 A JP2000155980 A JP 2000155980A JP 10343597 A JP10343597 A JP 10343597A JP 34359798 A JP34359798 A JP 34359798A JP 2000155980 A JP2000155980 A JP 2000155980A
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JP10343597A
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English (en)
Inventor
Kenji Oishi
健司 大石
Osamu Akutsu
収 圷
Katsunori Oshima
克則 大嶋
Itsuro Nakamura
逸郎 中村
Junji Kuroda
順治 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数回の記録消去を繰り返し行なってもその
動作が安定した相変化型光記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板1上に記録層3を有し、レーザ光の
照射により原子の配列が変化して情報の記録および消去
が行われる光情報記録媒体Dにおいて、前記記録層が少
なくとも銀(Ag)、アルミニウム(Al)、テルル
(Te)、アンチモン(Sb)を含むように構成する。
これにより、多数回の記録消去を繰り返し行なってもそ
の動作が安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光の照射に
より原子の配列が変化して情報の記録および消去が行な
われる光情報記録媒体であって、特に、書き換え特性お
よび高密度記録に優れた相変化型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、レーザ光の照射による情報の記
録、再生及び消去可能な光メモリ媒体の一つとして、結
晶−非晶質間、或いは結晶1−結晶2の2つの結晶相間
の転移を利用する、いわゆる相変化型光記録媒体として
の光ディスクがよく知られている。この相変化型光記録
媒体は、Te、Se等のカルコゲンを主成分とした記録
層と、この記録層を両面から挟み込む透光性誘電体層
と、レーザ光の入射側とは反対に設けた反射層と、保護
層とから主に構成されている。代表的な材料系に、Ge
SbTe系、AgInSbTe系材料が良く知られてい
て、実用化されている。
【0003】記録原理は次の通りである。まず、成膜直
後の記録層は非晶質状態で反射率は低いので、はじめ
に、レーザ光を照射して記録層を加熱し、ディスク全面
を反射率の高い結晶状態にする。この操作を初期化とい
う。初期化した光ディスクにレーザ光を局所的に照射し
て記録膜を溶融、急冷し、アモルファス状態に相変化さ
せる。この相変化に伴い記録層の光学的性質(反射率、
透過率、複素屈折率等)が変化して、情報を記録する。
再生は、弱いレーザ光を照射して結晶とアモルファスと
の反射率差、または位相差を検出して行う。書き換え
は、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワーの上
に重畳した記録ピークパワーを記録層に投入することに
より、消去過程を経ることなくすでに記録された記録マ
ーク上にオーバーライトする。
【0004】この種の光ディスクとしては、特開平1−
277338号公報等に開示されており、これには(S
X Te1-X1-yy (ここで、xは0.4≦x<
0.7の数であり、yはy≦0.2の数であり、MはA
g、Al、As、Au、Bi、Cu、Ga、Ge、I
n、Pb、Pt、Se、Si、Sn及びZnからなる群
から選ばれる少なくとも1種の元素である)で表される
組成の合金からなる記録層を有する光記録媒体が提案さ
れている。この光記録媒体は、SbTe2元系に第3元
素を添加することにより結晶化温度を高めて非晶質状態
の安定性を向上させ、さらに消去の高速化を図ってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公
報には4元系以上の多元系光記録媒体の具体的な実施例
は記載されていない。また、1ビームオーバーライト時
の書換性能は示されておらず、書き込み消去の繰り返し
回数も1000回程度であり、書換光記録媒体としての
特性が不十分である。また、本発明者等は、光記録層の
材料の欠点を見事に解決する新材料として、AlTe系
並びにこれにI族のAu、Ag、Cuを加えた系の記録
層の材料を見い出し、特開平2−150384号公報に
開示してきた。この開示技術により、極めて優れた性能
を有する相変化型光ディスクを獲得できることは、既に
明らかであったが、転送速度の高速化や記録密度の増加
により、以下に示すような更なる改良が必要となった。
【0006】(1)繰返しオーバーライト記録による記
録再生特性が劣化する。また、従来のGeSbTe系材
料では、記録、消去あるいは書換の繰返しにより、記録
時に溶融した記録層の材料がレーザ光の移動に伴って一
緒に移動し、再生出力が減少するといった問題があっ
た。 (2)書換え可能なDVD相当の転送速度ならびに高い
記録密度の実現が困難であった。特に、所定の記録スト
ラテジに対応した1ビームオーバーライト時の書換性能
向上を赤色レーザ波長域で達成することが困難であっ
た。 (3)記録感度が低いと記録、消去に要する光の照射パ
ワーが大きくなり、光ヘッドの半導体レーザに高出力の
ものが必要になり装置コストが高くなる。また、光の照
射パワーが不足して高速回転では記録が困難になるなど
の問題があった。 本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に
解決すべく創案されたものであり、その目的は多数回の
記録消去を繰り返し行なってもその動作が安定した相変
化型光記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に規定する発明
は、基板上に記録層を有し、レーザ光の照射により原子
の配列が変化して情報の記録および消去が行われる光情
報記録媒体において、前記記録層が少なくとも銀(A
g)、アルミニウム(Al)、テルル(Te)、アンチ
モン(Sb)を含むように構成したものである。これに
より、記録層の特性が改善され、多数回の記録消去を繰
り返し行なっても、その特性の劣化を防止することが可
能となる。
【0008】この場合、請求項2に規定するように、前
記記録層の組成が下記の組成式を満たすように構成す
る。 AgwAlxTeySbz 0.05≦w ≦0.15 0.05≦x ≦0.15 0.20≦y ≦0.35 0.40≦z ≦0.65 w +x +y +z =1,但しw,x,y,z は各元素のモル比で
ある。また、請求項3に規定するように、このような光
記録媒体は、例えば前記基板上に少なくとも第1誘電体
層、前記記録層、第2誘電体層、反射層をこの順に積層
して構成されている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る相変化型光
記録媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図
1は本発明の相変化型光記録媒体を示す部分拡大断面
図、図2は記録ストラテジのパルスパターンを示す図で
ある。図1に示すように、本発明の相変化型光記録媒体
である光ディスクDの代表的な層構成は、透明基板1
と、第1誘電体層2と、記録層3と、第2誘電体層4の
積層体を主として有する第1タイプのもの、或いは、透
明基板1と、第1誘電体層2と、記録層3と、第2誘電
体層4と、反射層5への積層体を主として有する第2タ
イプのものがある。そして、更にその上面に保護層6を
積層している。但し、この構成に限定されるものではな
い。また、図1では第2タイプの光ディスクが記載され
ている。ここでレーザ光は基板1側から入射する。第1
誘電体層2を積層して記録層3の片側或いは両側に金属
の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物からなる薄膜を設け
たり、反射層5上に本発明の効果を損なわない範囲で、
SiO、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO
2、In23、MgO、ZrO2等の金属酸化物、Si3
4、AlN、TiN、BN、ZrN、GeNなどの窒
化物、ZnS、In23、TaS4等の硫化物、Si
C、TaC、B4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化
物などの保護層や紫外線硬化樹脂などの樹脂層、他の基
板と張り合わせるための接着剤層などを設けてもよい。
記録感度を重視する用途には、反射層5を設けない第1
タイプの構成が好ましく、高記録密度で記録する場合、
あるいは、記録の繰返し耐久性を重視する用途では第2
タイプの反射層5を設けた構成が好ましい。
【0010】上記光ディスクDの基板1の材料として
は、透明な各種の合成樹脂、透明ガラスなどが使用でき
る。埃、基板1の傷などの影響をさけるために、透明な
基板1を用い、集束したレーザ光で基板1側から記録を
行なうことが好ましく、この様な透明基板1の材料とし
ては、ガラス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタク
リレート、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイ
ミド樹脂などがあげられる。特に、光学的複屈折が小さ
く、吸湿性が小さく、成形が容易であることからポリカ
ーボネイト樹脂が好ましい。
【0011】上記基板1の厚さは、特に限定するもので
はないが、DVDとの互換性を考慮すると0.6mm厚
が望ましい。実用的には0.01mm〜5mmの範囲内
である。基板1の厚さが0.01mm未満では、基板1
側から集束したレーザ光で記録する場合でも、ごみの影
響を受け易くなり、5mm以上では、対物レンズの開口
数を大きくすることが困難になり、照射レーザ光のスポ
ットサイズが大きくなるため、記録密度をあげることが
困難になる。基板1はフレキシブルなものであっても良
いし、リジッドなものであっても良い。フレキシブルな
基板1は、テープ状、シート状、カ−ド状で使用する。
リジッドな基板1は、カード状、或いはディスク状で使
用する。また、これらの基板1は、記録層3、誘電体層
2、4、反射層5などを形成した後、2枚の基板を背中
合わせにして、エアーサンドイッチ構造、エアーインシ
デント構造、密着貼り合せ構造としてもよい。DVDと
しては、記録層3がなく反射層5だけが形成された基板
や積層膜が何も形成されていない基板を密着貼り合わせ
のダミーとして用いることが好ましい。
【0012】また、上記第1及び第2の誘電体層2、4
は、記録時に基板1、記録層3などが熱によって変形し
て記録特性が劣化することを防止するなど、基板1、記
録層3を熱から保護する効果、光学的な干渉効果によ
り、再生時の信号コントラストを改善する効果がある。
上記の第1誘電体層2ならびに前記第2誘電体層4は、
記録再生のレーザ光の波長に対して透明であって屈折率
nが1.9≦n≦2.3の範囲にある。第1誘電体層2
と第2誘電体層4は、同一の材料、組成でなくてもよ
く、異種の材料から構成されていてもかまわない。第1
誘電体層2の厚さは、分光反射率の極小値を示す波長を
決める。
【0013】さらに、記録層3の結晶化を促進して、消
去率を向上する効果もある。この第1及び第2誘電体層
2、4としては、ZnS,SiO2 、窒化シリコン、酸
化アルミニウムなどの無機薄膜がある。特に、Si,G
e,Al,Ti,Zr,Taなどの金属、或いは半導体
の酸化物の薄膜、Si、Ge,Alなどの金属、或いは
半導体の窒化物の薄膜、Ti、Zr、Hf、Siなどの
金属あるいは半導体の炭化物の薄膜、ZnS、In
23、TaS4、GeS2 等の金属、或いは半導体の硫
化物の薄膜、及びこれらの化合物の2種類以上の混合物
の膜が、耐熱性が高く、化学的に安定なことから好まし
い。さらに、記録層3への誘電体層2、4を構成する原
子の拡散がないものが好ましい。これらの酸化物、硫化
物、窒化物、炭化物は必ずしも化学量論的組成をとる必
要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、
混合して用いることも有効である。酸素、硫黄、窒素、
炭素含有量を変えることにより屈折率nを制御する。こ
れらの含有量が増加すると屈折率は低下する。
【0014】特に、ZnSとSiO2 の混合膜は、記
録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C/N、消
去率などの劣化が起きにくいことから好ましい。第1及
び第2誘電体層2、4の厚さは、およそ10〜500n
mの範囲内である。第1誘電体層2は、基板1や記録層
3から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いこと
から、80〜300nmの範囲内が好ましい。また、第
2誘電体層4は、C/N、消去率などの記録特性、安定
に多数回の書換が可能なことから10〜50nmの範囲
内が好ましい。第1誘電体層2と第2誘電体層4は、同
一ではなく異なる化合物から構成されてもよい。第2誘
電体層4の厚さが薄いと、反射率が増加し、記録感度が
低下する。また、反射層5との間隔が狭くなり急冷構造
となってマークを形成するのに大きな記録パワーを必要
とする。逆に、第2誘電体層4の厚さが厚くなると、反
射層5との間隔が広くなり徐冷構造となって書き換え性
能が劣化し、繰り返しオーバーライト回数が減少する。
【0015】本発明の特徴とする記録層3の材料は、結
晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少
なくとも銀(Ag)、アルミニウム(Al)、テルル
(Te)、アンチモン(Sb)からなる相変化型の光記
録材料である。消去状態である結晶状態において、銀、
アルミニウム、テルル、アンチモンのうちの単体の結晶
相、或いは2元素以上の組み合わせで構成される結晶相
を形成するものである。結晶状態が単一相であるとは限
らず、2相以上の結晶相が混在していてもよい。記録状
態である非晶質状態において、X線回折パターンは示さ
ないが局所的には短距離秩序を有していてもよく、規則
的な電子線回折パターンを示す場合もある。
【0016】また、この記録層3は、記録、消去、或い
は、オーバーライトによる書換を繰り返しても、従来の
記録層に比べ優れた繰返耐久性と高密度記録が得られ
る。この記録層3の材料として銀、アルミニウム、テル
ル、アンチモンを主成分とし、添加元素としてCu、B
a,Co,Cr,Ni,Pt,Si,Sr,Au,C
d,Li,Mo,Mn,Zn,Fe,Pb,Na,C
s,Ga,Pd,Bi,Sn,Ti、V、Ge、Se、
S、As、Tl、In、Pd、Pt、Niの群から選ば
れる少なくとも1種以上の元素を合計で0.01原子%
以上〜10原子%未満含有することもできる。とりわ
け、繰り返しオーバーライト性能に優れていることか
ら、記録層3の膜厚方向の平均組成が下記の組成式で表
される組成であることが好ましい。 組成式 AgwAlxTeySbz 0.05≦w≦0.15 0.05≦x≦0.15 0.20≦y≦0.35 0.40≦z≦0.65 w+x+y+z=1 ここでAgは銀、Alはアルミニウム、Teはテルル、
Sbはアンチモンを表し、w,x,y,z及び数字は、
各元素の原子の数の比(各元素のモル比)を表す。
【0017】アンチモンの含有量が結晶化速度を強く支
配しており、Sb量の増加とともに結晶化速度が速くな
り、転送速度を高速にすることができる。Sbのモル比
が0.40より小さいと結晶速度が低下し、線速度をCD
(コンパクトディスク)並の1.4m/s程度に下げな
ければならない。Sb量を増していっても、非晶質化が
可能であるが、Sb量が過剰になると繰り返しオーバー
ライト性能が低下し、さらにSbのモル比が0.65よりも
大きくなって過剰であると成膜直後から結晶状態とな
り、高反射率を呈するようになり、ジッタ値も増大す
る。Ag,Alのモル比は、0.05よりも小さいと結晶化
速度を低下させ、含有量が増すと結晶化温度が高くな
り、0.15よりも大きいと記録感度が低下し、ジッタ値も
増大する。
【0018】Teの含有量については、過剰であるとア
モルファス化が促進され、結晶化が生じ難くなる。非晶
質から結晶へ変化し再び非晶質に戻るような可逆的な変
化を示さなくなり、ついには非晶質から結晶への可逆的
な相変化を示さなくなる。Teのモル比が0.2よりも小
さいとアモルファス化し難くなり、0.35よりも大きいと
消去が難しくなる。この記録層3の厚さとしては、特に
限定するものではないが、10〜100nmの範囲内に
あるのがよい。特に記録、消去感度が高く、多数回の記
録消去が可能であることから10nm以上〜40nm以
下とすることが好ましい。また、記録層3の厚さが薄す
ぎると、反射率が増加し、記録感度が低下するので好ま
しくない。また、書き換え性能も劣化し、繰り返しオー
バーライト回数が減少する。逆に、記録層3の厚さが厚
くなると、記録層3を溶融するのに大きなエネルギーが
必要となるので好ましくない。
【0019】反射層5の材質としては、光反射性を有す
るAl、Au,Agなどの金属、及びこれらを主成分と
し、1種類以上の金属または半導体からなる添加元素を
含む合金及びAl,Au、Agなどの金属にAl、Si
などの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物な
どの金属化合物を混合したものなどがあげられる。A
l、Au、Agなどの金属、及びこれらを主成分とする
合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導率を高くできるこ
とから好ましい。前述の合金の例として、AlにSi、
Mg、Cu,Pd、Ti、Cr,Hf,Ta,Nb、M
n,Pd,Zrなどの少なくとも1種の元素を、合計で
5原子%以下、1原子%以上加えたもの、あるいは、A
u或いはAgにCr,Ag、Cu,Pd、Pt、Niな
どの少なくとも1種の元素を合計で20原子%以下1原
子%以上加えたものなどがある。
【0020】とりわけ、耐腐食性が良好で且つ繰り返し
性能がのびることから、反射層5を、添加元素を合計で
0.5原子%以上3原子%未満含む、Al−Cr合金、
Al−Ti合金、Al−Ta合金、Al−Zr合金、A
l−Ti−Cr合金、Al−Si−Mn合金のいずれか
のAlを主成分とする合金、或いはAg−Pd合金,A
g−Ta合金,Ag−Ti合金,Ag−Cr合金のいず
れかのAgを主成分とする合金で構成することが好まし
い。この反射層5の厚さとしては、50nm以上〜30
0nm以下であるのが好ましい。とりわけAg合金は、
青色レーザでの反射率を高くとることができるので高密
度化には好ましい。反射層5を形成する金属あるは合金
の熱伝導率の大きさによって反射層5の膜厚は変化す
る。例えばAl−Cr合金の場合には、Crの含有量が
増加するにつれて熱伝導率が低下するため、反射層5の
膜厚を厚くしなければ記録ストラテジに適合しなくな
る。Cr含有量が多い場合には、記録層3は加熱され易
く、冷却し難くなり、いわゆる徐冷構造をとることにな
る。記録ストラテジで記録マークの形成を制御するため
には、後述する先頭パルスを短縮したり、マルチパルス
を短縮したり、冷却パルスを延長したりの工夫が必要と
なる。反射層5は50nm以上となると光学的には変化
せず、反射率の値に影響を与えないが、冷却速度への影
響が大きくなる。300nm以上の厚さを形成するのは
製造する上で時間を要するため、熱伝導率の高い材質の
反射層5を用いることにより膜厚をなるべく抑制する。
【0021】以上のように構成された光記録媒体に対す
る記録再生のレーザ光の特性は、以下のように設定する
のが好ましい。本発明の光記録媒体Dの記録に用いる光
源としては、レーザ光を用いることが好ましく、主に近
赤外域の波長830nmから紫外域の300nmの範囲
にあるものを用いる。また、1次光を2次高調波発生素
子(SHG素子)を用いて短波長化した光源を利用する
こともできる。DVDのフォーマットを使用する場合に
は、記録波長は635nm、再生光波長は650nmと
するのが好ましい。また、記録は結晶状態の記録層3に
レーザ光パルスなどを照射してアモルファスの記録マー
クを形成して行う。また、反対に非晶状態の記録層3に
結晶状態の記録マークを形成してもよい。消去はレーザ
光の照射によって、アモルファスの記録マークを結晶化
するか、もしくは、結晶状態の記録マークをアモルファ
ス化して行うことができる。
【0022】実用的には、結晶化を引き起こす低エネル
ギーの消去パワーの上に重畳した記録ピークパワーを記
録層3に投入することにより消去過程を経ることなくす
でに記録された記録マーク上にオーバーライトする。こ
のとき、記録レーザパルスは、記録マーク長より短い複
数のパルスに分割される。分割パルスパターンの例を図
2に示す。図2に示すように8―16変調方式の3Tと
6Tマークを記録する場合、分割パルスパターンは例え
ば図2に示すような波形とすることが好ましい。ここで
Tは基準クロック長さを示す。記録レーザパルスは、主
に先頭パルスTf、マルチパルスT1ならびに冷却パル
スTcの3つのパルスから構成される。3T信号の場合
には、複数のパルスではなく1つのパルスにする場合も
ある。レーザパワーは、記録ピークパワーP1と消去パ
ワーP2の少なくとも2値で変調される。さらに分割さ
れた記録パルス間のレーザパワーP3や最終パルス後の
冷却パワーP4を追加して4値で変調されることもあ
る。
【0023】P1は、記録層3を溶融して非晶質マーク
を形成するパワーレベルであり、通常8〜15mW程度
に設定する。P2は、ダイレクトオーバーライトを行っ
たときに記録層3を結晶化温度以上に昇温させて非晶質
マークを消去するパワーレベルであり、通常P1の1/
2以上、例えば4〜9mW程度に設定する。P3は消去
パワーP2よりも小さく、通常、レーザパワーP3は0
〜1.0mWの範囲にある。このようにすると消去率が
向上し、溶融後の記録マークの再結晶化を防ぐこともで
き、記録パワーマージンも広がる。マークの先端部は温
度が上がりにくいため、先頭の分割パルスTfを他の分
割パルスより2〜4倍長くすると良い場合もある。通常
0.5Tから1T程度に設定する。
【0024】図2において、分割パルスのパルス長T1
と分割パルス間の間隔T2は、T1+T2=Tとするの
が良い。また、T1はT2より短いほうがより効果的に
記録マークの再結晶化を防ぐことが出来る。すなわち、
T1≦T2とすると良い場合がある。記録層3の材料の
結晶化速度が速く、且つ反射層5の厚さが薄く、投入さ
れたレーザパワーの冷却が徐冷的である場合には、T1
を0.2T〜0.3Tにするとジッタ値が低下して良好
な記録ができる。但し、T1は0.1Tより大きいこと
が必要である。T1が0.1T以下では先に記録された
非晶質マークの消去が出来なくなる。冷却パルスTc
は、後続のマークの形成に大きく影響を与え、前述した
ような徐冷的な場合には、Tcをのばすとジッタ値が低
下して信号品質が改善される。通常冷却パルスのパワー
レベルは、P3≧P4の関係であり、その長さは、0.
5T〜1Tの範囲に設定される。
【0025】次に、本発明の光記録媒体Dの製造方法に
ついて述べる。まず、反射層5、記録層3、誘電体層
2、4などを基板1上に形成する方法としては、公知の
真空中での薄膜形成法、例えば真空蒸着法(抵抗加熱型
や電子ビーム型)、イオンプレーティング法、スパッタ
リング法(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタ
リング)などがあげられる。特に組成、膜厚のコントロ
ールが容易であることから、スパッタリング法が好まし
い。スパッタ法では、例えば、記録層3の材料と添加材
料を各々のターゲットを同時にスパッタすることにより
容易に混合状態の記録層3を形成することができる。
【0026】また、真空槽内で複数の基板1を同時に成
膜するバッチ式や基板1を1枚ずつ処理する枚葉式成膜
装置を使うことが好ましい。形成する反射層5、記録層
3、誘電体層2、4などの厚さの制御は、スパッタ電源
の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜厚計な
どで、堆積状態をモニタリングすることで、容易に行え
る。また、反射層5、記録層3、誘電体層2、4などの
形成は、基板1を固定したまま、或いは移動、回転した
状態のどちらでもよい。膜厚の面内の均一性に優れるこ
とから、基板1を自転させることが好ましく、さらに公
転を組合わせることが、より好ましい。必要に応じて基
板1の冷却を行うと、この反り量を減少することができ
る。
【0027】[実施例]以下に本発明の実施例を示す
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
この実施例では、波長が635nmのレーザダイオー
ド、NA=0.60の光学レンズを搭載したパルステッ
ク社製光ディスクドライブテスタ(DDU1000)を
用いて記録(1ビーム・オーバーライト)を行った。再
生パワーPrは0.7mWで一定とした。線速度が3.
5m/sで8−16変調ランダムパターンによる評価を
行なった。クロック周期Tは、38.2ナノ秒(ns)
で、ビット長は0.267μm/bitである。DVD
−ROMと同密度の記録を行い、容量は4.7GBに相
当する。再生信号の振幅の中心でスライスし、クロック
・トゥー・データ・ジッタclock to data jitterを測定
した。マークの検出にはタイムインターバルアナライザ
ー(横河電気社製、TA320)を用いた。各層は、直
径が120mm、板厚が0.6mmのポリカーボネイト樹
脂製の基板1上に形成した。基板1にはトラックピッチ
が0.74μmで空溝が形成されている。この溝深さは
30nmであり、グルーブ幅とランド幅の比は、およそ
40:60であった。
【0028】この基板1を毎分60回転で遊星回転させ
ながら、スパッタ法により、第1誘電体層2、記録層
3、第2誘電体層4、反射層5の順に真空成膜を行っ
た。まず、真空チャンバー内を6×10-5Paまで排気
した後、1.6×10-1PaのArガスを導入した。そ
して、SiO2 を20mol%添加したZnSを高周波
マグネトロンスパッタ法により基板1上に膜厚215n
mの第1誘電体層2を形成した。続いて、Ag、Al、
Teからなる3元素単一ターゲット(直径2インチ、厚
さ3mm)にSbチップ(10mm角、厚さ1mm)を
エロージョン部分に3個のせて直流電源でスパッタし
て、Ag6Al10Te27Sb56の膜厚20nmの記録層
3を形成した。この記録層3の組成分析は同様の薄膜を
別に100nmの厚さでシリコン基板上に形成し、これ
をICP発光分析法により分析した。
【0029】更に第1誘電体層2と同様の材質の第2誘
電体層4を20nm形成し、この上にAl−Crからな
る2元素単一ターゲットを直流スパッタ法にて、組成A
97.5Cr2.5 の厚さ250nmの反射層5を形成し
た。この基板1を真空槽より取り出した後、この反射層
5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(住友化学製XR1
1)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて膜
厚が10μmの保護膜6を形成し、本発明の光記録媒体
Dを得た。さらにスクリーン印刷法を用いて遅効性紫外
線硬化樹脂を保護膜6上に塗布し、同様に形成したディ
スクを貼り合わせ加圧、硬化して両面ディスクを作製し
た。こうして作製した光ディスクにトラック方向のビー
ム幅が半径方向よりも広い形をしているワイドビームの
レーザ光を照射して、記録層3を結晶化温度以上に加熱
し、第一段階の初期化処理を行った。続いて第二段階の
初期化として、ディスクドライブテスタにこの光ディス
クDを装着し、グルーブを走査しながら連続光を照射し
て溶融初期化を行った。
【0030】そして、基板1側から相変化記録層3の案
内溝であるグルーブ部に記録を行った。グルーブは、レ
ーザ光の入射方向からみて凸状になっている。記録の条
件は、図2に示した記録ストラテジを使った。各パルス
の幅は、Tf=0.5T、T1=0.2T、T2=0.
8T、Tc=0.6Tとした。また、各パワーレベル
は、P1=13.6mW,P2=3.3mW、P3=
0.5mW、P4=0.5mWとした。再生信号のクロ
ック・トゥー・データ・ジッタ、反射率と変調度を測定
した。ここで変調度は、最長マーク信号である14Tの
振幅I14を14Tスペース側のRFレベルI14Hで除し
た値である。初期ジッタは11.2%、反射率は25.
4%、変調度は0.55であった。次いで繰り返しダイ
レクト・オーバー・ライトを行った。1000回の書き
換え後のジッタは11.1%、5000回の書き換え後
のジッタは11.6%、1万回の書き換え後のジッタは
11.8%で、良好な繰り返し記録耐久性を示した。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の相変化型
光記録媒体によれば、次のように優れた作用効果を発揮
することができる。多数回の記録消去を繰り返しても、
動作が安定しており、特性の劣化、欠陥の発生をほとん
どなくすことができる。また、記録特性は、高感度で、
且つジッタが低く、大幅に向上させることができる。ま
た、本発明の相変化型光記録媒体によればDVD相当の
高密度記録ができる。更には、この光記録媒体はスパッ
タ法により容易に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化型光記録媒体を示す部分拡大断
面図である。
【図2】記録ストラテジのパルスパターンを示す図であ
る。
【符号の説明】
1…基板、2…第1誘電体層、3…記録層、4…第2誘
電体層、5…反射層、6…保護膜、D…光ディスク(光
記録媒体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大嶋 克則 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 中村 逸郎 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 黒田 順治 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA31 EA32 EA33 EA41 FA01 FA12 FA21 FB09 FB12 FB17 FB21 FB30 5D029 JA01 JB35 JC18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に記録層を有し、レーザ光の照射
    により原子の配列が変化して情報の記録および消去が行
    われる光情報記録媒体において、 前記記録層が少なくとも銀(Ag)、アルミニウム(A
    l)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)を含むこと
    を特徴とする相変化型光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録層の組成が下記の組成式を満た
    すことを特徴とする請求項1記載の相変化型光記録媒
    体。 AgwAlx TeySbz 0.05≦w ≦0.15 0.05≦x ≦0.15 0.20≦y ≦0.35 0.40≦z ≦0.65 w +x +y +z =1, 但しw,x,y,z は各元素のモル比で
    ある。
  3. 【請求項3】 前記基板上に少なくとも第1誘電体層、
    前記記録層、第2誘電体層、反射層をこの順に積層して
    なる請求項1または2に記載の相変化型光記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103559909A (zh) * 2013-10-31 2014-02-05 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 一种光电混合存储的相变存储器结构及其制备方法

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