JP2000331379A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP2000331379A
JP2000331379A JP11138285A JP13828599A JP2000331379A JP 2000331379 A JP2000331379 A JP 2000331379A JP 11138285 A JP11138285 A JP 11138285A JP 13828599 A JP13828599 A JP 13828599A JP 2000331379 A JP2000331379 A JP 2000331379A
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optical
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JP11138285A
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Katsunori Oshima
克則 大嶋
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長400nm付近と650nm付近の光の両方で
良好な光記録、再生、書換特性が得られ、安定したトラ
ッキングを可能にする光記録媒体を得る。 【解決手段】 基板上に記録層を有し、基板ではない側
からの光の照射により情報の記録および消去が行われる
光情報記録媒体であって、基板上に少なくとも反射層、
第二保護層、記録層、第一保護層をこの順に積層してな
る光情報記録用媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射により記
録層を構成する原子の配列が変化して情報の記録および
消去が行なわれる光情報記録媒体(以下、光記録媒体と
呼ぶ)であって、特に波長400nm付近と650nm付近の光の
両方で良好な光記録、再生、書換特性がえられ、安定し
たトラッキングを可能にする光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザビームの照射による情報の記録、
再生及び消去可能な光メモリー媒体の一つとして、結晶
質−非晶質間、あるいは結晶1−結晶2の2つの結晶相
間の転移を利用する、いわゆる相変化型記録媒体がよく
知られている。相変化形型記録媒体は、Te、Se等の
カルコゲンを主成分とした記録層とこの記録層を両面か
ら挟み込む透光性誘電体層とレーザ光の入射側とは反対
に設けた反射層と保護層から構成されている。代表的な
材料系に、GeSbTe系、AgInSbTe系材料が
良く知られていて、実用化されている。
【0003】記録原理は次の通りである。成膜直後の記
録層は非晶質(アモルファス)状態で反射率は低い。従
って、まず始めにレーザ光を照射して記録層を加熱し、
ディスク全面を反射率の高い結晶状態にする、すなわ
ち、初期化を行う。初期化した光ディスクにレーザ光を
局所的に照射して記録膜を溶融、急冷し、アモルファス
状態に相変化させる。相変化に伴い記録膜の光学的性質
(反射率、透過率、複素屈折率等)が変化して、情報が
記録される。再生は、記録時より弱いレーザ光を照射し
て結晶とアモルファスとの反射率差、または位相差を検
出して行う。書き換えは、結晶化を引き起こす低エネル
ギーの消去パワーの上に重畳した記録ピークパワーを記
録層に投入することにより消去過程を経ることなくすで
に記録された記録マーク上にオーバーライトする。
【0004】このように相変化型光ディスクは、レーザ
光を集光して記録再生を行うので、記録容量を決定する
要素としてレーザ光の波長、集光レンズのNA(開口数)
が大きく作用する。現在は発振波長650nmのレーザを用
いた記録再生装置が商品化されている。更に高容量の媒
体を目指しレーザの短波長化が盛んに検討されている。
中でも400nm付近の波長を持つ半導体レーザの開発が盛
んである。一般に光ディスクは記録再生機に搭載されて
いるレーザ光波長において記録再生特性が良好になるよ
う設計されている。そのため650nm付近に対応したディ
スクを400nm付近のレーザ光で使用しても同様な特性を
得るのというのは困難である。なぜならディスクの光学
的特性が400nm付近のレーザ光線では適切でないためで
ある。光ディスクの記録再生特性を大きく左右する要因
にディスクの光学的特性がある。この光学的特性は構成
する各層の厚さ、各層材料の光学定数により大きく変化
する。
【0005】特開平11-39716号公報には、短波長域でコ
ントラストの高い媒体を得るために、第一保護層/記録
層/第二保護層/反射層と積層した媒体で記録層、反射
層、保護層等の各層の光学定数を規定した発明が記載さ
れている(ここで第一、第二保護層の定義は光入射面に
近い方から第一、第二とする)。通常、相変化型書換光
ディスクは各層このような順番で積層される。また、こ
の発明では記録層、反射層では屈折率、消衰係数の値が
規定されているが保護層を構成する誘電体層の消衰係数
が規定されていない。更に第一保護層の厚さは規定され
てはいるが、その範囲がかなり広く、その全域すべてで
波長400nm付近の光と650nm付近の光の両方で高い特性が
得られるとは考えずらかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在規格が発表された
DVD-RAMや規格化が進められているDVD+RW等の書換が可
能な光ディスクの記録機に使用されるレーザ光線は波長
が650〜680nmのものである。ディスクは記録レーザ波長
において特性が良好になるように光学的設計がなされて
いる。更に記録レーザ光エネルギーの吸収によって起こ
る熱の出入りを考慮し、適切なレーザ出力で記録、再
生、書換ができるよう各層の膜厚が決められ、グルーブ
(溝)を設けた基板上に第一保護層、記録層、第二保護
層、反射層の順に成膜されている。特に第一保護層の厚
さは、ディスク全体の光学的特性に大きく影響を及ぼす
層として機能している。これまでのディスクは保護層と
して誘電体層(高屈折率層)が用いられている系が多
く、第一保護層の膜厚は200nm前後にして光学的特性を
最適化していた。しかしながら、この構造のディスクで
は高容量化のために短波長化したレーザ光を効率よく吸
収し最適な記録、消去を行うことはできないという課題
があった。
【0007】また、高密度化のための研究開発が盛んな
光ディスクにおいて、高密度化のための方法として短波
長域の光を用いようと検討が盛んであることは既に述べ
たが、この短波長域の光源を搭載した記録再生機では現
在標準的にDVD等に用いられているポリカーボネート製
の0.6mm程度の厚さをもつ基板を通しての良好な記録再
生特性、安定したトラッキングは得られないという課題
が出現した。この原因として以下のようなことが考えら
れる。
【0008】すなわち、ポリカーボネート製の基板では
400nm付近の短波長光域で複屈折の影響が大きくなるこ
とが上げられる。また、高密度記録のためにはレーザの
短波長化と集光レンズの高NA化が必須になるが、高NAレ
ンズでは基板厚の影響が大きいことなどがある。更に、
高NA化に伴い基板をより薄くする必要が出てくるが、あ
まり薄い基板はその成形性や成膜時の熱や膜応力の影響
で反りなどが生じ易く実用化が難しいという課題もあっ
た。本発明は、このような課題を解決し、高密度記録に
不可欠な記録レーザ光の短波長化、高NA化に対応し、か
つ現在商品化されているDVD-RAM等、波長650nm付近のレ
ーザ光を搭載する記録再生機にも対応する、両波長域で
良好な特性が得られる光記録媒体を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は第1
の発明として、基板上に記録層を有し、基板ではない側
からの光の照射により原子の配列が変化して情報の記録
および消去が行われる光情報記録媒体であって、基板上
に少なくとも反射層、第二保護層、記録層、第一保護層
をこの順に積層してなる光記録用媒体を、第2の発明と
して、積層された各層の厚さのうち、30≦第一保護層≦
60nm、15≦記録層≦25nm、15≦第二保護層≦25nm、100
≦反射層≦300nmとした請求項1記載の光記録媒体を、第
3の発明として、前記第一、第二保護層に用いられる誘
電体層の屈折率(n)、消衰係数(k)が波長390〜450nm
において、1.85≦n≦2.15,0.300≧k>0の範囲にある請
求項1記載の光記録媒体を、第4の発明として、記録層
の組成がAg,In,Sb,TeもしくはこれらにBa,Co,C
r,Ni,Pt,Si,Sr,Au,Cd,Li,M
o,Mn,Zn,Fe,Pb,Na,Cs,Ga,P
d,Bi,Sn,Ti、V、Ge、Se、S、As、T
l、Pd、Pt、Niが少なくとも一種類添加されてい
る請求項1記載の光記録媒体をそれぞれ提供するもので
ある。
【0010】以下、それぞれの発明につき解説する。通
常相変化型ディスクの場合、記録層を誘電体等で挟み込
む保護層を設けその上に反射層を成膜している。光ディ
スクの光学的特性を支配しているのは、前記した如く、
主にこれら各層の厚さ、材料のもつ光学定数によるとこ
ろが大きい。本発明者等は、光記録媒体が400nm付近、
及び650nm付近両波長域で優れた記録、再生、書換特性
を実現するため、高い変調度を得るためには誘電体層の
光学定数、特に消衰係数の設定が重要であるということ
を見出した。
【0011】光記録媒体における光の吸収、反射等を決
定しているのは、特に第一保護層の物性、膜厚によると
ころが大である。また、保護層に用いられる誘電体層は
650nm付近の光と400nm付近の光とでは光学的物性が大き
く異なる。このため両方の波長の光で良好な特性を得る
ためには膜厚、光学特性の適切な設計が必要になる。そ
こで鋭意検討した結果、保護層を請求範囲に示されるよ
うな特性と構造を用いることにより良好な特性が得られ
るという結果に至った。特に光学定数の消衰係数kの値
は、光ディスクにおける波長400nm付近の光に対する光
学特性に与える影響は大きい。例えば請求範囲に示され
る関係式にある屈折率nの値をとる保護層であっても、
消衰係数kが関係式以外の値をとるとアモルファス時の
反射率が上昇したり、クリスタル時の反射率が減少して
しまい充分な変調度が得られなくなってしまう。
【0012】また、高NA化に伴う基板厚の課題の解決方
法として以下のような発明に至った。通常書換型光ディ
スクは、レーザ光の走査のための案内溝が切ってある基
板上に媒体材料を成膜する。このとき光の入射は基板側
から行われている。特開平11-39716号公報等で発明され
た光記録媒体は、このような構造であるため短波長域で
の安定したトラッキングや良好な記録再生特性に問題が
あった。そこで本発明者は、基板の厚さが問題となる短
波長域対応媒体では基板側から/反射層/第二保護層/記
録層/第一保護層/と真空成膜して作成することで解決で
きることを見出した。真空成膜では、基板に設けられて
いる案内溝はその形状をトレースして第一保護層まで保
持できる。更に、この上に紫外線硬化樹脂や接着剤等を
用いてガラス製や透明樹脂製の薄い基板を設けてもよ
い。そして、第一保護層側からレーザ光を入射するよう
にすれば高NA化に伴うチルトマージン不足等の原因によ
る基板厚の課題を一挙に解決できる。また、ポリカーボ
ネート製などの樹脂基板側からのレーザ光の入射ではな
くなるので、基板材料に由来する複屈折の影響を排除で
き安定したトラッキングを得ることができるものであ
る。
【0013】また、本発明になる光記録媒体の層構造
は、このような四層構造に限定するものではなく、反射
層上に本発明の効果を損なわない範囲でSiO、SiO
2、ZnO、SnO2、Al2O3、TiO2、In2O3、
MgO、ZrO2等の金属酸化物、Si3N4、AlN、
TiN、BN、ZrN、GeNなどの窒化物、ZnS、
In2S3、TaS4等の硫化物、SiC、TaC、B4
C、WC、TiC、ZrCなどの炭化物などの保護層や
紫外線硬化樹脂などの樹脂層、他の基板と張り合わせる
ための接着剤層などを設けてもよいものである。
【0014】本発明の保護層は、光学的特性を改善する
効果の他、記録時に基板、記録層などが熱によって変形
し記録特性が劣化することを防止するなど、基板、記録
層を熱から保護する効果がある。さらに、記録層の結晶
化を促進して、消去率を向上する効果もある。この保護
層としての誘電体層としては、ZnS,SiO2 、窒化
シリコン、酸化アルミニウムなどの無機薄膜がある。特
にSi,Ge,Al,Ti,Zr,Taなどの金属ある
いは半導体の酸化物の薄膜、Si、Ge,Alなどの金
属あるいは半導体の窒化物の薄膜、Ti、Zr、Hf、
Siなどの金属あるいは半導体の炭化物の薄膜、Zn
S、In2S3、TaS4、GeS2等の金属あるいは半
導体の硫化物の薄膜、及びこれらの化合物の2種類以上
の混合物の膜が、耐熱性が高く、化学的に安定なことか
ら好ましい。さらに、記録層への保護層を構成する原子
の拡散がないものが好ましい。
【0015】なお、この保護層のうち、第一保護層、第
二保護層を請求項に記載した厚みの範囲外で用いた場
合、例えば、その厚みを第一保護層>第二保護層という
関係で積層した場合は、反射率が上昇してしまうので、
ディスクとしての光学特性が変化してしまい良好な記録
再生特性を示さなくなる。具体的には、アモルファス状
態で400nm付近の光を良好に吸収できなくなるので、良
好なマークを形成できなくなる。すなわち、良好なジッ
タ、変調度等を示さなくなる。また、記録層の上に第二
保護層をなくして直接反射層を積層しても良好な特性が
得られなくなる。これは、第二保護層が記録層を保護す
る役割の他、ディスクの熱的な条件を調整する役割、具
体的には、記録感度を調整する役割を担い、他にもディ
スクの光学特性を微調整する役割も担っているからであ
る。
【0016】また、前記した酸化物、硫化物、窒化物、
炭化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、請
求項に示される関係式に合致するような屈折率、消衰係
数等の制御のために組成を制御したり、混合して用いる
と効果がある。また、これらにMgF2 などのフッ化物
を混合したものも、膜の残留応力が小さいことから好ま
しい。特にZnSとSiO2 の混合膜は、記録、消去の
繰り返しによっても、記録感度、C/N、消去率などの
劣化が起きにくいことから好ましい。
【0017】本発明の記録材料は、結晶状態と非晶状態
の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg,In, T
e,Sbからなる相変化型光記録材料である。消去状態で
ある結晶状態において、Ag,In,Sb,Teのうちの単体の結
晶相あるいは2元素以上の組み合わせで構成される結晶
相を形成するものである。結晶状態が単一相であるとは
限らず、2相以上の結晶相が混在していてもよい。記録
状態である非晶質状態において、X線回折パターンは示
さないが局所的には短距離秩序を有していてもよく、規
則的な電子線回折パターンを示す場合もある。
【0018】記録材料としてAg,In,Sb,Teを主成分と
し、添加元素としてBa,Co,Cr,Ni,Pt,S
i,Sr,Au,Cd,Li,Mo,Mn,Zn,F
e,Pb,Na,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,T
i、V、Ge、Se、S、As、Tl,Pd、Pt、N
iの群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で
0.01原子%以上10原子%未満含有することもでき
る。
【0019】とりわけ、繰り返しオーバーライト性能に
優れていることから、記録層の膜厚方向の平均組成が下
記の組成式で表される組成であることが好ましい。 組成式 AgwInxTeySbz 0.03≦w≦0.10 0.03≦x≦0.10 0.20≦y≦0.40 0.50≦z≦0.70 w+x+y+z=1 ここでw,x,y,z及び数字は、各元素の原子の数の
比(各元素のモル比)を表す。
【0020】この組成式で明らかな如く、アンチモンS
bの含有量が結晶化速度を強く支配しており、Sb量の
増加とともに結晶化速度が速くなり、転送速度を高速に
することができる。加えて、Sbを成分に含むTe系合
金であるため、耐酸化性にも優れている。しかし、Sb
量が過剰であると繰り返しオーバーライト性能が低下
し、さらにSb量が過剰であると成膜直後から結晶状態
となり、高反射率を呈するようになる。Ag、Inなら
びにTeの含有量については、過剰であると記録感度が
低下し、非晶質から結晶へ変化し再び非晶質に戻るよう
な可逆的な変化を示さなくなり、ついには非晶質から結
晶への不可逆的な相変化を示さなくなる。このように記
録層は光学的な物性より組成的に起因する物性により光
ディスクの記録再生特性を左右する。従って光学定数等
は組成を決定すると一義的に決まるので、ディスク全体
の光学特性は保護層で最適に設計する必要がある。
【0021】反射層の材質としては、光反射性を有する
Al、Au,Agなどの金属、及びこれらを主成分と
し、Tiなどの添加元素を含む合金及びAl,Au、A
gなどの金属にAl、Siなどの金属窒化物、金属酸化
物、金属カルコゲン化物などの金属化合物を混合したも
のなどがあげられる。Al、Au、Agなどの金属、及
びこれらを主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ
熱伝導率を高くできることから好ましい。前述の合金の
例として、AlにSi、Mg、Cu,Pd、Ti、C
r,Hf,Ta,Nb、Mn,Pd,Zrなどの少なく
とも1種の元素を合計で5原子%以下、1原子%以上加
えたもの、あるいは、AgにCr,Ag、Cu,Pd、
Pt、Niなどの少なくとも1種の元素を合計で20原
子%以下1原子%以上加えたものなどがある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を示すが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施
例では、波長635nmのレーザダイオード、NA=
0.60の光学レンズを搭載したパルステック社製光デ
ィスクドライブテスタ(DDU1000)を用いて記録
(1ビーム・オーバーライト)を行った。再生光パワー
Prは1.0mWで線速によらず一定とした。また短波
長域における評価には、波長430nmの光を発振するレー
ザを搭載し、レンズNAは0.65のものを用いた評価機を作
製して行った。
【0023】
【実施例1】請求項に含まれる一例として次のような構
造のディスクを作成した。 基板/反射層250nm/第二保護層20nm/記録層20nm/第一保
護層50nm/ この場合は、430nmの記録再生レーザ光において測定し
た結果、初期特性として、ジッタ:8.2%、変調度:53
%と特性として良好なものが得られた。(現行のシステ
ムマージンを考えた場合、ジッタ:10%以下、変調度:
50%以上が好ましい。)
【0024】
【比較例1】基板/反射層300nm/第二保護層17nm/記録層
23nm/第一保護層25nm/のディスクを作成した。この場合
は、430nmの記録再生レーザ光において測定した結果、
初期特性として、ジッタ:14.8%、変調度:37%と特性
として良好なものが得られなかった。
【0025】
【比較例2】基板/反射層300nm/第二保護層17nm/記録層
23nm/第一保護層70nm/のディスクを作成した。この場合
は、430nmの記録再生レーザ光において測定した結果、
初期特性として、ジッタ:14.2%、変調度:38%と特性
として良好なものが得られなかった。
【0026】
【比較例3】基板/反射層300nm/第二保護層17nm/記録層
30nm/第一保護層50nm/のディスクを作成した。この場合
は、430nmの記録再生レーザ光において測定した結果、
初期特性として、ジッタ:15.0%と特性として良好なも
のが得られなかった。
【0027】
【比較例4】基板/反射層300nm/第二保護層26nm/記録層
23nm/第一保護層50nm/のディスクを作成し評価した。こ
の場合は、430nmの記録再生レーザ光において測定した
結果、初期特性として、ジッタ:9.7%,変調度:50.2%
と良好であったが、繰り返し書き換え特性(DOW特
性:direct over write)で劣化が激しく200回DO
Wでジッタ:18.2%となり著しい劣化が見られた。
【0028】
【比較例5】基板/反射層70nm/第二保護層17nm/記録層2
3nm/第一保護層50nm/のディスクを作成し評価した。こ
の場合は、430nmの記録再生レーザ光において測定した
結果、初期特性として、ジッタ,変調度とも特性として
良好であったが、DOW特性で劣化が激しくDOW10
0回後の特性がジッタ:15.5%となり著しい劣化が見ら
れた。
【0029】ここで、本発明の光記録媒体の製造方法に
ついて述べる。反射層、記録層、保護層などを基板上に
形成する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法、
例えば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオ
ンプレーティング法、スパッタリング法(直流や交流ス
パッタリング、反応性スパッタリング)などがあげられ
る。特に組成、膜厚のコントロールが容易であることか
ら、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法で
は、例えば、記録材料と添加材料を各々のターゲットを
同時にスパッタリングすることにより容易に混合状態の
記録層を形成することができる。成膜前の真空度は、1
×10―4Pa以下にするのが好ましい。真空槽内で複
数の基板を同時に成膜するバッチ式や基板を1枚ずつ処
理する枚葉式成膜装置を使うことが好ましい。形成する
反射層、記録層、保護層などの厚さの制御は、スパッタ
電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜厚
計などで、堆積状態をモニタリングすることで、容易に
行える。反射層、記録層、保護層などの形成は、基板を
固定したまま、あるいは移動、回転した状態のどちらで
もよい。膜厚の面内の均一性に優れることから、基板を
自転させることが好ましく、さらに公転を組合わせるこ
とが、より好ましい。
【0030】成膜は次のような手順で行った。基板を毎
分60回転で遊星回転させながら、スパッタリング法に
より、第1保護層、記録層、第2保護層、反射層の順に
真空成膜を行った。まず、真空チャンバー内を6×10
-5Paまで排気した後、1.6×10-1PaのArガス
を導入した。Al,Crからなる2元素単一ターゲット
を直流スパッタ法にて、組成Al97、Cr3 の厚さ250n
mの反射層を基板上に形成した。次にZnS−SiO2
を高周波マグネトロンスパッタ法により基板上に膜厚20
nmの第2保護層を形成した。続いて、Ag、In、T
e,Sbからなる4元素単一ターゲット(直径2イン
チ、厚さ3mm)を直流電源でスパッタして記録層を形
成した。具体的組成として、Ag0.05 ,In0.05,Te0.3
0、Sb0.60の膜厚20nmの記録層を形成した。さらに
第2保護層と同様の材質の第1保護層を膜厚50nmとなる
よう形成した。
【0031】このディスクを真空容器より取り出した
後、この第一保護層上にアクリル系紫外線硬化樹脂をス
ピンコートし、0.2mmのガラス基板を貼り合わせ、紫外
線照射により硬化させて接着し本発明の光記録媒体を得
た。またそれとは別に紫外線硬化樹脂などを塗布せずに
そのままの保護層だけのものや、紫外線硬化樹脂の保護
膜のみの媒体も作製した。
【0032】こうして作製した光ディスクにレーザ光や
フラッシュランプ等を照射して、記録膜を結晶化温度以
上に加熱し初期化処理を行う。実用的には、特開平7−
282475号公報に記載されているような初期化装置
と評価機等を用い収束したレーザ光を用いる。以下に、
初期化から始める具体例につき説明する。
【0033】先ずは初期化装置のスピンドルに光ディス
クを装着した後、大出力のレーザ光を照射して記録層を
加熱して高反射率の状態に変化させる。光ディスクに照
射されるレーザビームはトラック幅よりも大きなビーム
径を有し、好ましくは半径方向に長く、ディスクを回転
しながら複数のトラックを同時に初期化する。
【0034】具体的には初期化レーザの波長は、830
nm、照射ビームの形状は、トラック方向が2μmで半
径方向が20μmの幅の広い形をしている。ディスクを
線速度3m/sで回転させ、半径22.0mmから初期
化を開始した。初期化レーザは、パワー400mWで半径
外周方向に30μm/回転の速度で移動させ、半径58.
0mmで初期化を終了した。
【0035】また、各層の光学定数を測定するためそれ
ぞれ保護層、記録層、反射層を個別にディスク基板に成
膜した。これらはエリプソメーター(日本分光社製 ME
L-30S)を用いて光学定数を測定した。このディスクに
用いた保護層、ZnS-SiO2の光学定数は波長650nmではn=
2.148,k=0.000であり、波長430nmにおいてはn=1.98,k=
0.087であった。
【0036】成膜したディスクの成膜直後と初期化後の
分光カーブを測定すると、650nmにおいてアモルファス
状態で7.1%、クリスタル状態21.1%、430nmにおいてアモ
ルファス状態で6.7%、クリスタル状態で19.1%と両波長
とも充分な反射率差(コントラスト)が得られている。
【0037】第一、第二保護層にZnS-SiO2の混合比を変
化させ光学定数を変えた誘電体を用い、前記段落003
0に示された実施例と同様な構造、手順でディスクを成
膜した。この誘電体層の光学定数を測定すると、波長43
0nmの光において屈折率n=2.00,消衰係数k=0.412であっ
た。このディスクは初期化前(アモルファス状態)にお
いて反射率が5.6%(at430nm)であった。初期化後、反
射率は6.8%にしかならず、反射率の上昇が小さく記録マ
ークとの充分なコントラストが得られず記録再生特性は
著しく劣るものとなった。(ジッタ:18%、変調度:30
%)
【0038】以下に、出来上がったディスクの評価につ
いて説明する。まず、波長635nmのレーザ光に対する評
価を次のようにして行った。線速度3.5m/sで8−1
6変調ランダムパターンによる評価を行なった。クロッ
ク周期Tは、38.2ナノ秒(ns)である。再生信号の振
幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジ
ッタ(clock to data jitter)を測定した。マークの検
出にはタイムインターバルアナライザー(横河電機社
製、TA320)を用いた。媒体は、直径120mm、板
厚0.6mmのポリカーボネイト樹脂基板を用いた。ト
ラックピッチが0.74μm(グルーブピッチ1.48
μm)のグルーブ方式で記録を行った。溝深さは65n
mでグルーブ幅とランド幅の比は、およそ46:54で
あった。
【0039】次に、基板側から相変化記録層の案内溝で
あるグルーブ部に記録を行った。グルーブは、レーザ光
の入射方向からみて凸状になっている。記録の条件は、
ピークパワー12mW,消去パワー6.0mW、クーリング
パワー1.0mWである。再生信号のクロック・トゥー
・データ・ジッタを測定した。繰り返しダイレクト・オ
ーバー・ライトを行った時の結果を示す。ジッタは、記
録マーク始端(LE)と終端(TE)の二乗平均であ
る。測定した特性を図1に示す。
【0040】この図1より明らかな如く、1000回書
き換えた後も記録層の物質移動による出力の低下は認め
られない。ジッタと出力ともに1万回にわったって劣化
が極僅かであった。本発明の光記録媒体が、良好な繰返
記録耐久性を有していることが明らかになった。
【0041】次に同じディスクを短波長域で評価した。
評価機は波長430nmの光源、集光レンズNA0.65が搭載さ
れている。波長650nmの評価機と同様に評価した。記録
レーザパワーはピークパワー3.7mW、消去1.4mW、クーリ
ングパワー0mWで行った。再生パワーは0.7mWである。コ
ントラストの度合いを示す変調度は53%となった。ま
た、内周から外周まで安定したトラッキングサーボが得
られた。
【0042】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、高NA化に伴
うチルトマージン不足等の原因による基板厚の課題を一
挙に解決できる。また、樹脂基板側からのレーザ光の入
射ではなくなるので、基板材料に由来する複屈折の影響
を排除でき安定したトラッキングを得ることができるも
のである。 請求項2の発明によれば、ディスクとしての所期の光
学特性が得られると共に、記録時における基板、記録層
などが熱によって変形し記録特性が劣化することを防止
することが出来る。 請求項3の発明によれば、ジッタ、変調度とも所期の
特性のものが得られる。 請求項4の発明によれば、繰り返しオーバーライト特
性に優れたディスクを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】繰り返しダイレクト・オーバー・ライトを行っ
た時の結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 533 G11B 7/24 533N 538 538F B41M 5/26 B41M 5/26 X Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA32 EA48 FA01 FA12 FA14 FA21 FB04 FB05 FB06 FB07 FB09 FB10 FB12 FB15 FB16 FB17 FB18 FB19 FB20 FB21 FB22 FB23 FB28 FB29 5D029 JA01 JB35 LB01 LB03 LB07 LC05 LC21 MA14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に記録層を有し、基板ではない側か
    らの光の照射により情報の記録および消去が行われる光
    情報記録媒体であって、 基板上に少なくとも反射層、第二保護層、記録層、第一
    保護層をこの順に積層してなる光情報記録用媒体。
  2. 【請求項2】積層された各層の厚さが以下の範囲である
    ことを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。 30≦第一保護層≦60nm 15≦記録層≦25nm 15≦第二保護層≦25nm 100≦反射層≦300nm
  3. 【請求項3】前記第一、第二保護層に用いられる誘電体
    層の屈折率(n)、消衰係数(k)が波長390〜450nmにお
    いて以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の
    光情報記録媒体。 1.85≦n≦2.15, 0.300≧k>0
  4. 【請求項4】記録層の組成がAg,In,Sb,Teもしくはこれ
    らにBa,Co,Cr,Ni,Pt,Si,Sr,A
    u,Cd,Li,Mo,Mn,Zn,Fe,Pb,N
    a,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,Ti、V、Ge、
    Se、S、As、Tl、Pd、Pt、Niが少なくとも
    一種類添加されていることを特徴とする請求項1記載の
    光情報記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002067251A1 (fr) * 2001-02-22 2002-08-29 Sony Corporation Support d'enregistrement optique et son procede de production
KR100421862B1 (ko) * 2001-04-30 2004-03-09 엘지전자 주식회사 박막 광디스크
US6899993B2 (en) 2001-04-30 2005-05-31 Lg Electronics Inc. Optical disk and method of fabricating the same

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