JP3653390B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

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JP3653390B2 JP09424998A JP9424998A JP3653390B2 JP 3653390 B2 JP3653390 B2 JP 3653390B2 JP 09424998 A JP09424998 A JP 09424998A JP 9424998 A JP9424998 A JP 9424998A JP 3653390 B2 JP3653390 B2 JP 3653390B2
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクに用いられる情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を照射して薄膜(記録膜)に情報を記録する原理は種々知られているが、そのうちで膜材料の相転移(相変化とも呼ばれる)やフォトダークニングなど、レーザ光の照射による原子配列変化を利用するものは、薄膜の変形をほとんど伴わないため、2枚のディスク部材を直接貼り合わせて両面ディスク構造の情報記録媒体が得られるという長所を持つ。また、文献1『A. Hirotsune et al. "New phase-change rewritable optical recording film having well suppressed material flow for repeated rewriting " Appl. Phys. Lett. Vol. 66, p.2312(1995)』には、CrGeSbTe系記録膜について記載されている。GeSbTe系等の記録膜、記録膜に接する保護層にはZnS−SiO2系等の材料では、情報の書き換えを行なうことができる利点がある。
【0003】
しかし、この種の保護層では、高密度化を行なうための、マークエッジ記録など行うと104回を越える多数回の書き換えにより、保護層材料中のSが記録膜中へ拡散し、再生信号の反射率レベルの変動を引き起こす。例えば、文献2『N. Yamada et al. "Phase-change optical disk for DVD-RAM having an interface layer " Joint Moris/Isom '97 p.294(1997)』『N. Yamada et al. "Phase-change optical disk for DVD-RAM having an interface layer " Joint Moris/Isom '97 p.294(1997)』には、interface layerを、文献3『宮内他4名“酸化物界面層による相変化ディスクの保護層・記録膜間相互拡散の防止”第45回応用物理学関係連合講演会講演予稿集(1998.3.東京工科大学)、第1127頁、29p-ZK-12』には酸化物層を記録膜と基板の間に設ける事により、反射率変化を抑制する方法が開示されている。また、文献4『音羽他3名“記録膜の両側に窒化物層を有する相変化ディスク”第45回応用物理学関係連合講演会講演予稿集(1998.3.東京工科大学)、第1128頁、29p-ZK-13』には、ポリカーボネート基板/ZnS-SiO2/GeN/GeSbTe/GeN/Al合金が記載されている。これらは、保護層材料中のSの拡散をinterface layerやGeNで防止している。
【0004】
なお、本明細書では、結晶−非晶質間の相変化ばかりでなく、融解(液相への変化)と再結晶化、結晶状態−結晶状態間の相変化も含むものとして「相変化」という用語を使用する。記録膜の流動は、記録時のレーザ照射により、記録膜が流動し、保護層や中間層の熱膨張による変形により、記録膜が少しずつ押されて生じる。マークエッジ記録とは、記録マークのエッジ部分を信号の“1”に、マーク間およびマーク内を信号の“0”に対応させた記録方式のことをいう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上記文献2及び3,4における窒化物層や酸化物層は、熱伝導率が高いため記録感度が下がり、製膜速度が遅いため製膜時間が長くなるという欠点がある。
そこで、この発明の目的は、記録感度や製膜性も良好かつ、書き換え、多数回の書き換えを行っても良好な記録・再生特性を保持し、従来より反射率レベルの変動が少ない情報記録用媒体を提供することに有る。さらに、アーカイバルオーバーライト時のジッターやアーカイバルリード時のジッターが低く、長寿命である特性も兼ね備えた情報記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録膜として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ保護層は記録膜より光入射側に有り、光入射側から見て記録膜の奥側に少なくとも1層の中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記中間層が,
Zn−M−L−S−N−Oからなり、かつMが
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つからなり、
かつLが
Si,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つからなることを特徴とする。
【0007】
(2) 基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録層として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ保護層は記録膜より光入射側に有り、光入射側から見て記録膜の奥側に少なくとも1層の中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記中間層が,
Zn−M−L−S−Nからなり、かつMが
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つからなり、
かつLが
Si,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つからなることを特徴とする。
【0008】
(3)1に記載の情報記録媒体において、
前記中間層が
Znxyztuv
を満たし、0.25≦x≦0.42,かつ0.01≦y≦0.18,かつ0.05≦z≦0.19,0.24≦t≦0.41,かつ0.03≦u≦0.20,かつ0.02≦v≦0.18,x+y+z+t+u+v=1を満たす範囲にあることを特徴とする。
【0009】
(4)2に記載の情報記録媒体において、
前記中間層が
Znxyztu
を満たし、0.29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26,x+y+z+t+u=1を満たす範囲にあることを特徴とする。
【0010】
(5) 基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録層として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ保護層は記録膜より光入射側に有り、光入射側から見て記録膜の奥側に少なくとも1層の中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記保護層が,
Zn−M−L−S−N−Oからなり、かつMが
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つからなり、
かつLが
Si,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Zn の少なくとも1つからなることを特徴とする。
【0011】
(6)基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録層として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ保護層は記録膜より光入射側に有り、光入射側から見て記録膜の奥側に少なくとも1層の中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記保護層が,
Zn−M−L−S−Nからなり、かつMが
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つからなり、
かつLが
Si,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Zn の少なくとも1つからなることを特徴とする。
【0012】
(7)5に記載の情報記録媒体において、
前記保護層が
ZnxSiyztuv
を満たし、0.25≦x≦0.42,かつ0.01≦y≦0.18,かつ0.05≦z≦0.19,0.24≦t≦0.41,かつ0.03≦u≦0.20,かつ0.02≦v≦0.18,x+y+z+t+u+v=1を満たす範囲にあることを特徴とする。
【0013】
(8)6に記載の情報記録媒体において、
前記保護層が
Znxyztu
を満たし、0.29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26,x+y+z+t+u=1を満たす範囲にあることを特徴とする。
【0014】
(9)情報記録媒体において、1〜4のいずれか1つに記載の中間層と5〜8のいずれか1つに記載の保護層を有すること特徴とする。
【0015】
(10)(1)〜(4)、(5)に記載の情報記録媒体の作製方法は、以下の通りであることを特徴とする。
【0016】
まず、直径12cm 、厚さ0.6mmで表面にトラッキング用の溝を有するポリカーボネイト基板1上に、(ZnS)80(SiO220膜よりなる第1保護層2を膜厚約100nm形成した。次に、 Cr23膜よりなる第2保護層3を膜厚約10nm、Ag3Ge20Sb22Te55記録膜4を膜厚約15nm 、Zn36Ag2Si1034810膜よりなる中間層5を膜厚約18nm 、Al94Cr6 膜からなる第1反射層6を膜厚約35nm 、Al99Ti1 膜からなる第2反射層7を膜厚約35nmに順次形成した。積層膜の形成はマグネトロン・スパッタリング装置により行った。こうして第1のディスク部材を得た。
【0017】
他方、全く同様の方法により、第1のディスク部材と同じ構成を持つ第2のディスク部材を得た。第2のディスク部材は、直径12cm 、厚さ0.6mmの基板1’上に順に膜厚約100nmの(ZnS)80(SiO220膜よりなる第1保護層2’、膜厚約10nmのCr23膜よりなる第2保護層3’ 、膜厚約18nmのAg3Ge20Sb22Te55膜よりなる記録膜4’、膜厚約20nmのZn36Ag2Si1034810膜よりなる中間層5’、膜厚約35nmのAl94Cr6膜よりなる第1反射層6’、膜厚約35nmのAl99Ti1 膜からなる第2反射層7’を積層した。
【0018】
スパッタリング時のターゲット組成およびガス雰囲気は、以下の通りである。
【0019】
Figure 0003653390
Zn36Ag2Si1034810膜については、上記のように膜組成のターゲットを用いて、Arガスでスパッタすると再現性良く製膜できる。それ以外にも、 Zn36Ag2Si1034510組成、、 Zn36Ag2Si1034310組成、 Zn36Ag2Si103410組成、等のように窒素量を減らしたターゲットを用いて、かつArにN2を1〜20%混合した雰囲気ガスでスパッタリングすることによって膜組成をZn36Ag2Si1034810としてもよい。例えば、 Zn36Ag2Si103410組成のターゲットを使用した場合は、スパッタパワー密度:3W/cm2、 スパッタガス混合比N2:2%(Ar:98%)でスパッタすると上記膜組成となった。膜中のN量の調整はスパッタリングのパワー密度とN2混合比を変化させて上記組成になるように制御できた。また、Zn−S−Si−OターゲットにAgチップを貼ったり、上記組成比となるようにZn−Si−S−OターゲットとAgターゲットの同時スパッタをやってもよい。
【0020】
Zn36Ag2Si1034810と組成比の異なる膜やAgの一部または全部を
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに換え、
かつSiの一部または全部をGe,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Zn,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えた場合についても同様な方法で作製できた。
【0021】
その後、前記第1および第2のディスク部材の第2反射層7,7’上にそれぞれ紫外線硬化樹脂を厚さ約10μm塗布して硬化してオーバーコート層8,8‘を設けた。それぞれのオーバーコート層8、8’同士を接着剤層9を介して貼り合わせ、図1に示すディスク状情報記録媒体を得た。
【0022】
前記中間層において、Zn,S量を増加させると結晶粒径のばらつきが大きくなりノイズが上昇し、 Zn,S量を低下させるとスパッタレートが下がり製膜に時間がかかることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すx、tの範囲は0.25≦x≦0.42、0.24≦t≦0.41、で、より良好な特性を示す範囲は0.30≦x≦0.39、0.29≦t≦0.37である。
【0023】
Si,N量を増加させるとアーカイバルオーバーライト時のジッターを小さくできる。一方で、アーカイバルリード時のジッターが悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すz、uの範囲は0.05≦z≦0.19、0.05≦u≦0.19で、より良好な特性を示す範囲は0.07≦z≦0.14、0.07≦u≦0.14である。
【0024】
O量を増加させると変調度が大きくなり、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すvの範囲は0.02≦v≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.05≦v≦0.15である。
【0025】
Ag量を増加させると反射率低下が小さくなるため、10万回書き換え後の変調度が大きいまま保つことができ、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すyの範囲は0.01≦y≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.02≦y≦0.12である。
【0026】
ただし,x+y+z+t+u+v=1である。
【0027】
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層Zn−Ag−Si−S−N−OのAgの一部または全部をMg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに変えても、
Siの一部または全部をSi,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えても同様の効果が得られた。
【0028】
これらのなかで、MがAg,Co,Siの場合はジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。また、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0029】
また、中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oが、(Zn-S)−(Ag-S)−(Zn-N)(Si−N)−( Si−O)、すなわち、((Zn-S)−(M−S)−(Zn-N)−(L−N)−( M−O)−(L−O)−(Zn−O))のように硫化物、酸化物、窒化物の混合物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0030】
前記中間層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−O)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Si−S),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0031】
次いで、(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N),,
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N)−( Si−O ),
(Zn−S)−(Hf-N)−(Si−O )、
(Zn−S)−(Ti-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(V-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(W-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Y-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Zr-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Nb-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Al-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Hf-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−( Si−O )−(Ti-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(V-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(W-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Y-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Zr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Nb-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0032】
また、L,Mの融点が高い場合は、L,Mが過剰に入っていてもよく、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
前記中間層において、中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Ag−Si−S−Nに変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、Oを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約2%良くなった。しかし、Oを含む場合はOを含まない場合に比べて感度が約1割良かった。
【0033】
この場合、 Zn−Ag−Si−S−N−O膜と同様にノイズ、製膜速度、アーカイバルオーバーライト時のジッター、アーカイバルリード時のジッター、変調度、記録感度を測定したところ、
これらが良好な特性を示すx、y,z,t、uの範囲は
29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26で、
より良好な特性を示す範囲は0.34≦x≦0.43、0.02≦y≦0.12、0.05≦z≦0.12,0.31≦t≦0.39、0.07≦u≦0.20である。
【0034】
ただし、x+y+z+t+u=1である。
【0035】
Zn−Ag−Si−S−Nが、(Zn-S)−(Zn-N)−(Si−N)―(Ag-S)のように硫化物、窒化物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0036】
前記中間層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si-N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N),
等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0037】
(Zn−S)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Al-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Hf-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ti-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(V-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(W-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Y-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Nb-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si-N)
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0038】
(Zn−S)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
【0039】
前記中間層において、中間層5、5’に用いた中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、前記Mを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが低下しにくく、寿命が約2倍長くなった。しかし、Mを含む場合はMを含まない場合に比べて約2%変調度が低下した。
【0040】
Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変わりの材料としては、
(Zn−S)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Ta-N),
(Zn−S)−(Cr-N),,
(Zn−S)−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N),
(Zn−S)−(Hf-N)、
(Zn−S)−(Ti-N),
(Zn−S)−(V-N),
(Zn−S)−(W-N),
(Zn−S)−(Y-N),
(Zn−S)−(Zr-N),
(Zn−S)−(Nb-N),
(Zn−S)−(Zn−N)等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0041】
これらの中で、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0042】
このように、中間組成がZnxztuv,で表される場合の良い特性が得られる範囲は、 Mが減った分だけL量を増加した組成範囲となった。従って、0.25≦x≦0.42,かつ0.06≦z≦0.34,0.24≦t≦0.41,かつ0.03≦u≦0.20,かつ0.02≦v≦0.18,x+z+t+u+v=1である。
【0043】
また、中間組成がZnxztu,で表される場合の良い特性が得られる範囲は、
0.29≦x≦0.44、0.03≦z≦0.35,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26,x+z+t+u=1である。
【0044】
中間層5および中間層5の代わりの材料は,各中間層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が5割以上減る等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0045】
中間層の膜厚が10nmより薄いと記録感度が10%以上、15nmの時に比べて低下する。さらに、記録膜の流動を抑えるためには、40nm以下とすることが好ましく、10万回書き換え時の後エッジのジッターを13%以下に抑制できた。30nm以下では10%以下に抑制できた。これより,中間層膜厚を10〜40nmとすると記録・再生特性が良くなり,好ましく、30nm以下だとより好ましい。
【0046】
Zn−Ag−Si−S−N−O/Zn−Si−S−O, Zn−Ag−Si−S−N/Zn−S,等のように中間層を2層にしても、同様の特性が得られた。この場合、記録膜に接する方の膜をZn−Ag−Si−S−N−O膜、またはZn−Ag−Si−S−N膜、または上記記載のこれらに変わる膜組成とすることが必要であった。それぞれの膜厚は5nm以上だと均一な膜となるため好ましく、中間層総膜厚は前記記載のように10〜40nmとすると記録・再生特性が良くなり,好ましく、30nm以下だとより好ましかった。
【0047】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、Al23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが化学的に安定で好ましいが,少しであれば、その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、酸化物および硫化物については、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。このように、金属元素が多くなる方向にずれた方が特性の劣化が少ない。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、 Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0048】
窒化物については、上記ずれは大きくても変調度低下は小さい。例えば、Zn32のような窒化物の場合、金属元素が多くなる方向には30原子%以下、窒素元素が多くなる方向には5原子%以下のずれであれば、変調度低下が5%以下に押さえられ好ましい。
【0049】
また,本発明に示した構造のディスクだけでなく,その他にの相変化ディスクにおいても,中間層材料を本実施例に記載した中間層材料に置き換えても,多数回書き換え時に生じる反射率レベルの変化を低減する効果が見られる。
【0050】
前記記録膜において、
Geを増加すると前エッジのジッターが低下する。しかし、Ge量を増加させるにつれて、後エッジジッターが増加することがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すaの範囲は0.16≦a≦0.22で、より良好な特性を示す範囲は0.18≦a≦0.21である。
【0051】
Sbを増加すると前エッジのジッターが増加する。しかし、Sb量を増加させるにつれて、後エッジジッターが低減できることがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すbの範囲は0.17≦b≦0.30で、より良好な特性を示す範囲は0.20≦b≦0.28である。
【0052】
Teを増加しても減少させても、後エッジジッターが増加することがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すcの範囲は0.52≦c≦0.59で、より良好な特性を示す範囲は0.53≦c≦0.57である。
【0053】
AgとGeを増加させると、リード光耐性が向上する。しかし、Ag,Ge量を増加させるにつれて、ジッターが増加することがわかった。従って,これらの特性が良好な特性を示すa,wの範囲は0.23≦a+2w≦0.30で、より良好な特性を示す範囲は0.25≦a+2w≦0.28である。
【0054】
Agを増加させると、前エッジジッターが悪くなる。しかし、Ag量を増加させるにつれて、書き換え可能回数が増加することがわかった。従って,これらの特性が良好な特性を示すwの範囲はw≦0.06で、より良好な特性を示す範囲はw≦0.04である。
【0055】
本実施例の記録膜以外に組成比の異なるAg−Ge−Sb−Te系記録膜においても、また、Ge−Sb−Te系記録膜においても同様の効果が得られた。その他の記録膜に対しても本中間層の反射率レベル変化の抑制は有効である。
【0056】
AgをCr,Pd,Mo,Co,Ptに換えても同様な特性が得られ、ジッターも低かった。
【0057】
この他、 Si,Sc,Ti,V,Mn,Fe,Ni,Cu,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Au,Pb,Biも次いでジッターが低かった。
【0058】
前記記録膜において、記録膜膜厚を薄くすると記録膜流動や偏析による、10回書き換え後のジッターが増加し、また厚くすると、10万回書き換え後のジッターが増加することがわかった。これより、記録膜膜厚は10nm以上、26nm以下が好ましく、12nm以上、18nm以下であればより好ましい。
【0059】
前記保護層において、第1保護層2の(ZnS)−(SiO2)におけるZnSのmol比は70mol%以上、90mol%以下が好ましい。ZnSが90mol%を超えると結晶粒径のばらつきによるノイズが発生し、10万回の書き換えを行った場合ジッターが4%以上増加するためである。また,また,ZnSはスパッタレートが大きく、ZnSが多いと製膜時間を短縮でき、第1保護層全体の70mol%以上がZnSからなるとこの層の製膜時間を1/2以下に低減することができる。
【0060】
第1保護層2の(ZnS)80(SiO220に代わる材料としては,Si−N系材料,Si−O−N系材料,SiO2,SiO,TiO2,Al23,Y23,CeO2,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,SnO,SnO2,BeO,Bi23,TeO2,WO2,WO3,Sc23,Ta25,ZrO2,Cu2O,MgO などの酸化物,TaN,AlN,BN,Si34, Ge34,Ge−N,Al−Si−N系材料(例えばAlSiN2)などの窒化物、ZnS,Sb23,CdS,In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi23などの硫化物、SnSe2,Sb2Se3,CdSe,ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeSe2,SnSe,PbSe,Bi2Se3などのセレン化物、CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,B,C,または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これらの混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0061】
第2保護層3のCr−Oに代わる材料としては, Cr23とSiO2 またはCr23とAl23、等の混合物が好ましい。SiO2 またはAl23が70mol%以上含まれていると、10万回書き換えによる反射率レベル低下が小さく5%以下に抑制できた。90mol%以上含まれている際は3%以下に抑制できた。第2保護層3に代わる材料としては,次いで、Ta25,その次にZrO2−Y23,が好ましい。反射率レベルが変化すると、再生信号レベルにオフセットが生じ、オフセット分のジッター増加が加わり、ジッターが増加する。そのため、反射率レベルの変動が小さい方がよい。また、Co23、 CoO、などのCo−O系材料,あるいはこれらに近い組成の材料、あるいはこれらの混合材料を用いると保護層と記録膜の間の接着力が強くなり好ましかった。またNi−O系材料、あるいはこれらの混合材料でもよい。
【0062】
また、この他にTa−N系材料等窒化物を用いると、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約1割低減でき、より好ましかった。Ge−N,Si−N,Al−Nは結晶化速度が大きくなり、6m/sより大きい高線速において消え残りが小さくなる効果があった。記録膜材料に窒素を添加して形成した場合も結晶化速度が大きくなった。
【0063】
第1保護層が無い場合、記録時に基板の表面温度が高くなり基板の変形による、消去不可能な信号成分の発生とノイズの上昇が起きる。
【0064】
第2保護層は記録膜中に第1保護層の材料が拡散するのを防止する効果を持っており,10万回書き換えによる反射率レベル低下を3%以下に抑制できた。一方、第2保護層が無い場合の10万回書き換えによる反射率レベル低下は25%生じた。
【0065】
このように保護層が材料の異なる2つ以上の層からなる場合、作製行程数は増えるが、ノイズ上昇を防ぎ、かつ記録膜への保護層材料拡散を防止するという両方の効果を合わせもつことができ好ましい。
【0066】
第1保護層2および第2保護層3の組み合わせとしては,(ZnS)80(SiO220およびCr23は,書き換え時の反射率レベル変化が3%以下と小さく、好ましい。(ZnS)80(SiO220およびSiO2はDC消去比が30dBと消去特性が良好である。ZnSおよびSiO2,Cr23 ,Ta25,のいずれか1つの組み合わせは変調度が53%以上とれ,大きいことから好ましい。(ZnS)80(SiO220およびTa−Nは,アーカイバルオーバーライト時のジッターが小さく、寿命が長く好ましい。
【0067】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物、窒化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、金属元素と窒素元素については,Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが好ましいが,その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0068】
第1保護層2および第1保護層の代わりの材料、第2保護層3および第2保護層の代わりの材料は,各保護層全原子数の90%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が10原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0069】
また,このような保護層の場合,第2保護層膜厚は2〜30nmが上記の効果が得られ、記録感度の低下を10%未満に抑制できるため,好ましい。3nm以上15nm以下であるとさらに好ましい。
【0070】
前記保護層において、保護層全体(第1保護層および第2保護層)の膜厚は70〜130nmが記録時の変調度を43%以上と大きくすることができかつ流動による記録膜始端終端部の劣化が20Byte以下と好ましく、90〜120nmがより好ましい。
【0071】
前記反射層において、Al−Crの代わりの第1反射層の材料としては、Al-Ti,Al-Ag,Al-Cu等Al合金を主成分とするものが書き換え時のジッターを低くできるため好ましい。
【0072】
第1反射層中の、Al合金中のAl以外の元素の含有量は5原子%以上30原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性が良好になることがわかった。また,上記以外のAl合金でも同様の特性が得られた。
【0073】
次いで,Au,Ag,Cu,Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、またはAu合金,Ag合金,Cu合金,Pd合金,Pt合金,Sb-Bi、SUS,Ni−Cr,などこれらを主成分とする合金、あるいはこれら同志の合金よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質との複合層,これらと他の金属などの他の物質との複合層などを用いてもよい。
【0074】
この中で、Cu合金、Al合金、Au合金,等のように、反射率が大きいものは、変調度が大きくなり、再生特性が良好である。Ag合金,等も同様な特性が見られる。この場合の主成分以外の元素の含有量はAl合金と同様に5原子%以上30原子%以下の範囲にすると、書き換え特性がより良好になる。
【0075】
本実施例で第2反射層7に用いたAl−Tiの代わりの第2反射層の材料としては、Al-Ag,Al-Cu,Al−Cr等Al合金を主成分とするものが好ましい。Alも使用可能である。
【0076】
第2反射層中の、Al合金中のAl以外の元素の含有量は0.5原子%以上4原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性およびビットエラーレートが良好になり、1原子%以上2原子%以下の範囲ではより良好になることがわかった。上記以外のAl合金でも同様の特性が得られた。
【0077】
次いで,Au,Ag,Cu, Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、またはAu合金,Ag合金,Cu合金,Pd合金,Pt合金,Sb-Bi、SUS,Ni−Cr,などこれらを主成分とする合金、あるいはこれら同志の合金よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質との複合層,これらと他の金属などの他の物質との複合層などを用いてもよい。
【0078】
この中で、Cu、Al、Au、Cu合金、Al合金、Au合金,等のように、熱伝導率が大きいものは、ディスクが急冷されやすく書き換え特性が良好である。Ag,Ag合金,等も同様な特性が見られる。この場合の主成分となるCu,Au,Ag等以外の元素の含有量はAl合金同様に、0.5原子%以上4原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性およびビットエラーレートが良くなり、1原子%以上2原子%以下の範囲ではより良くなった。
【0079】
また、第1反射層材料と第2反射層材料の屈折率(n)および消衰係数(k)を調べたところ、どちらかが異なる材料からなる組み合わせの場合、10回書き換え時のジッター増加を4%以下に抑制できた。さらに、第1反射層のnが第2反射層のnより大きく、第1反射層のkが第2反射層のkより小さいと10万回書き換え時のジッター増加を4%以内に抑制できた。
【0080】
第1反射層および第2反射層の材料は,各反射層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等、書き換え特性の劣化が見られた。
【0081】
前記反射層において、第1反射層または第2反射層膜厚が薄い場合、強度が弱く、熱拡散が小さく記録膜流動が起きやすいため,10万回書き換え後の前エッジまたは後エッジのジッターが12%より大きくなる。また、第1反射層または第2反射層膜厚が厚い場合、それぞれの反射層を作製する時間が長くなり、2行程以上に分ける、またはスパッタリング用の真空室を2室以上設ける等、形成時間が倍増した。
【0082】
これより、第1反射層の膜厚は30nm以上、150nm以下が好ましい。
【0083】
第2反射層の膜厚は10nm以上、100nm以下が好ましい。
【0084】
また,反射層全体の膜厚は、上記と同様に強度と形成時間の点から、30nm以上200nm以下が好ましい。反射層全体の膜厚とは、第1反射層と第2反射層の膜厚の合計である。また、どちらか一層がない場合については残っている層の膜厚をいう。
【0085】
前記反射層において、第1反射層材料、第2反射層材料については上記に述べた材料が使用できるが、これらの組み合わせを選ぶことによって、10万回書き換え時のジッター増加を4%以下に抑制でき、書き換え特性が向上することがわかった。好ましい組み合わせは、例えば第1反射層がAl94Cr6 膜 および第2反射層がAl99Ti1,第1反射層がAl90Ti10 膜 および第2反射層がAl98Ti2,第1反射層がAl75Ti25膜 および第2反射層がAl99Ti1,等第1反射層と第2反射層膜中に含有される主成分元素が同じで,主成分元素のAl以外の元素について、第2反射層の含有量が第1反射層の含有量より多い場合である。 Al-TiとAl-Tiの組み合わせ、Al−CrとAl−Crの組み合わせでも、また、Al-Ti,Al−Cr以外にも、Al-Ag,Al-Cu等Al合金を主成分とするもので同様の特性が得られた。次いで、Au合金,Ag合金,Cu合金,またはこれに近い組成で多数回書き換え時の書き換え特性の向上が見られた。
【0086】
前記基板等において、表面に直接、トラッキング用の溝を有するポリカ−ボネ−ト基板1の代わりに、ポリオレフィン、エポキシ、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂層を表面に形成した化学強化ガラスなどを用いてもよい。
【0087】
また、トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全てまたは一部に、深さが記録・再生波長をλとしたとき、λ/10n‘(n’は基板材料の屈折率)以上ある溝を持つ基板である。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割されていてもよい。また、その溝幅は場所により異なっていてもよい。溝部の存在しない、サンプルサーボフォーマットの基板、他のトラッキング方式、その他のフォーマットによる基板等でも良い。溝部とランド部の両方に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも良い。ディスクサイズも12cmに限らず,13cm,3.5‘,2.5‘等,他のサイズでも良い。ディスク厚さも0.6mmに限らず,1.2mm,0.8mm等,他の厚さでも良い。
【0088】
前記貼り合わせにおいて、 まったく同様の方法により、2つのディスク部材を作製し、接着剤層を介して、前記第1および第2のディスク部材のオーバーコート層8,8’同士を貼り合わせるのに代わり、第2のディスク部材の代わりに別の構成のディスク部材、または保護用の基板などを用いてもよい。貼り合わせに用いるディスク部材または保護用の基板の紫外線波長領域における透過率が大きい場合,紫外線硬化樹脂によって貼り合わせを行うこともできる。その他の方法で貼り合わせを行ってもよい。
【0089】
上記では、オーバーコート層を設けているが、この層なしに直接貼り合わせを行うと,エラーレートがより高くなるが、作製時間およびコストを低減できる。
【0090】
前記各層において、各層の膜厚,材料についてはそれぞれ単独の好ましい範囲をとるだけでも記録・再生特性等が向上するが,それぞれの好ましい範囲を組み合わせることにより,さらに効果が上がる。
【0091】
(11)(5)〜(9)に記載の情報記録媒体は(10)と同様に作製した。
【0092】
前記第2保護層において、
Zn,S量を増加させると結晶粒径のばらつきが大きくなりノイズが上昇し、 Zn,S量を低下させるとスパッタレートが下がり製膜に時間がかかることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すx、tの範囲は0.25≦x≦0.42、0.24≦t≦0.41、で、より良好な特性を示す範囲は0.30≦x≦0.39、0.29≦t≦0.37である。
【0093】
Si,N量を増加させるとアーカイバルオーバーライト時のジッターを小さくできる。一方で、アーカイバルリード時のジッターが悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すz、uの範囲は0.05≦z≦0.19、0.03≦u≦0.20で、より良好な特性を示す範囲は0.07≦z≦0.14、0.03≦u≦0.20である。
【0094】
O量を増加させると変調度が大きくなり、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すvの範囲は0.02≦v≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.05≦v≦0.15である。
【0095】
Ag量を増加させると反射率低下が小さくなるため、10万回書き換え後の変調度が大きいまま保て、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すyの範囲は0.01≦y≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.02≦y≦0.12である。
【0096】
ただし,x+y+z+t+u+v=1である。
【0097】
前記第2保護層において、第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−OのAgの一部または全部をMg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに変えても、Siの一部または全部をSi,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えても同様の効果が得られた。
【0098】
これらのなかで、MがAg,Co,Siの場合はジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。また、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0099】
また、第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oが、(Zn-S)−(Ag-S)−(Zn-N)(Si−N)−( Si−O)、すなわち、((Zn-S)−(M−S)−(Zn-N)−(L−N)−( M−O)−(L−O)−(Zn−O))のように硫化物、酸化物、窒化物の混合物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0100】
前記第2保護層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−O)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Si−S),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0101】
次いで、(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N),,
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0102】
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
また、本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Ag−Si−S−Nに変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、Oを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約2%良くなった。しかし、Oを含む場合はOを含まない場合に比べて感度が約1割良かった。
【0103】
この場合、 Zn−Ag−Si−S−N−O膜と同様にノイズ、製膜速度、アーカイバルオーバーライト時のジッター、アーカイバルリード時のジッター、変調度、記録感度を測定したところ、これらが良好な特性を示すx、y,z,t、uの範囲は
29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26で、
より良好な特性を示す範囲は0.34≦x≦0.43、0.02≦y≦0.12、0.05≦z≦0.12,0.31≦t≦0.39、0.07≦u≦0.20である。
【0104】
ただし、x+y+z+t+u=1である。
【0105】
Zn−Ag−Si−S−Nが、(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)のように硫化物、窒化物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0106】
前記第2保護層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si-N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0107】
次いで、
(Zn−S)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0108】
(Zn−S)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
【0109】
前記第2保護層において、第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、前記Mを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが低下しにくく、寿命が約2倍長くなった。しかし、Mを含む場合はMを含まない場合に比べて約2%変調度が低下した。
【0110】
Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変わりの材料としては、
(Zn−S)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Ta-N),
(Zn−S)−(Cr-N),,
(Zn−S)−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N),
(Zn−S)−(Hf-N)、
(Zn−S)−(Ti-N),
(Zn−S)−(V-N),
(Zn−S)−(W-N),
(Zn−S)−(Y-N),
(Zn−S)−(Zr-N),
(Zn−S)−(Nb-N),
(Zn−S)−(Zn−N)等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0111】
これらの中で、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0112】
第2保護層3および第2保護層3の代わりの材料は,各第2保護層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が5割以上減る等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0113】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが化学的に安定で好ましいが,少しであれば、その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、酸化物および硫化物については、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。このように、金属元素が多くなる方向にずれた方が特性の劣化が少ない。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、 Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0114】
窒化物については、上記ずれは大きくても変調度低下は小さい。例えば、Zn32のような窒化物の場合、金属元素が多くなる方向には30原子%以下、窒素元素が多くなる方向には5原子%以下のずれであれば、変調度低下が5%以下に押さえられ好ましい。
【0115】
また,(11)に記載した、構造のディスクだけでなく,その他にの相変化ディスクにおいても,保護層材料を本実施例に記載した第2保護層材料に置き換えても,多数回書き換え時に生じる反射率レベルの変化を低減する効果が見られる前記中間層において、中間層5、5‘を(ZnS)80(SiO220により形成している。
【0116】
中間層5の(ZnS)−(SiO2)におけるZnSのmol比は70mol%以上、90mol%以下が好ましい。ZnSが90mol%を超えると結晶粒径のばらつきによるノイズが発生し、10万回の書き換えを行った場合ジッターが4%以上増加するためである。また,また,ZnSはスパッタレートが大きく、ZnSが多いと製膜時間を短縮でき、中間層全体の70mol%以上がZnSからなるとこの層の製膜時間を1/2以下に低減することができる。
【0117】
中間層5の(ZnS)80(SiO220に代わる材料としては,Si−N系材料,Si−O−N系材料,SiO2,SiO,TiO2,Al23,Y23,CeO2,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,SnO,SnO2,BeO,B23,TeO2,WO2,WO3,Sc23,Ta25,ZrO2,Cu2O,MgO などの酸化物,TaN,AlN,BN,Si34,Ge34,Ge−N,Al−Si−N系材料(例えばAlSiN2)などの窒化物、ZnS,Sb23,CdS,In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi23などの硫化物、SnSe2,Sb2Se3,CdSe,ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeSe2,SnSe,PbSe,Bi2Se3などのセレン化物、CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,B,C,または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これらの混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0118】
この他、中間層5の材料としては, Cr23とSiO2 またはCr23とAl23との混合物 Al23、SiO2 、Al23とSiO2の混合物、が好ましい。SiO2 またはAl23が70mol%以上含まれていると、10万回書き換えによる反射率レベル低下が小さく5%以下に抑制できた。90mol%以上含まれている際は3%以下に抑制できた。次いで、Ta25,その次にZrO2−Y23,が好ましい。反射率レベルが変化すると、再生信号レベルにオフセットが生じ、オフセット分のジッター増加が加わり、ジッターが増加する。そのため、反射率レベルの変動が小さい方がよい。また、Co23、 CoO、などのCo−O系材料,あるいはこれらに近い組成の材料、あるいはこれらの混合材料を用いると保護層と記録膜の間の接着力が強くなり好ましかった。またNi−O系材料、あるいはこれらの混合材料でもよい。
【0119】
また、この他にTa−N系材料等窒化物を用いると、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約1割低減でき、より好ましかった。Ge−N,Si−N,Al−Nは結晶化速度が大きくなり、6m/sより大きい高線速において消え残りが小さくなる効果があった。記録膜材料に窒素を添加して形成した場合も結晶化速度が大きくなった。
【0120】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物、窒化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、金属元素と窒素元素については,Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが好ましいが,その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0121】
中間層5および中間層の代わりの材料は,中間層全原子数の90%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が10原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0122】
(10)に記載の中間層と(11)の第2保護層を組み合わせることにより、反射率レベル変化の抑制効果はより大きくなり、反射率レベルの変化は5%以下になった。
【0123】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例によって詳細に説明する。
【0124】
(1)実施例1
(構成、製法)
図1は、この発明の第1実施例のディスク状情報記録媒体の断面構造図を示す。この媒体は次のようにして製作された。
【0125】
まず、直径12cm 、厚さ0.6mmで表面にトラッキング用の溝を有するポリカーボネイト基板1上に、(ZnS)80(SiO220膜よりなる第1保護層2を膜厚約100nm形成した。次に、 Cr23膜よりなる第2保護層3を膜厚約10nm、Ag3Ge20Sb22Te55記録膜4を膜厚約15nm 、Zn36Ag2Si1034810膜よりなる中間層5を膜厚約18nm 、Al94Cr6 膜からなる第1反射層6を膜厚約35nm 、Al99Ti1 膜からなる第2反射層7を膜厚約35nmに順次形成した。積層膜の形成はマグネトロン・スパッタリング装置により行った。こうして第1のディスク部材を得た。
【0126】
他方、全く同様の方法により、第1のディスク部材と同じ構成を持つ第2のディスク部材を得た。第2のディスク部材は、直径12cm 、厚さ0.6mmの基板1’上に順に膜厚約100nmの(ZnS)80(SiO220膜よりなる第1保護層2’、膜厚約10nmのCr23膜よりなる第2保護層3’ 、膜厚約18nmのAg3Ge20Sb22Te55膜よりなる記録膜4’、膜厚約20nmのZn36Ag2Si1034810膜よりなる中間層5’、膜厚約35nmのAl94Cr6膜よりなる第1反射層6’、膜厚約35nmのAl99Ti1 膜からなる第2反射層7’を積層した。
【0127】
スパッタリング時のターゲット組成およびガス雰囲気は、以下の通りである。
【0128】
Figure 0003653390
Zn36Ag2Si1034810膜については、上記のように膜組成のターゲットを用いて、Arガスでスパッタすると再現性良く製膜できる。それ以外にも、 Zn36Ag2Si1034510組成、、 Zn36Ag2Si1034310組成、 Zn36Ag2Si103410組成、等のように窒素量を減らしたターゲットを用いて、かつArにN2を1〜20%混合した雰囲気ガスでスパッタリングすることによって膜組成をZn36Ag2Si1034810としてもよい。例えば、 Zn36Ag2Si103410組成のターゲットを使用した場合は、スパッタパワー密度:3W/cm2、 スパッタガス混合比N2:2%(Ar:98%)でスパッタすると上記膜組成となった。膜中のN量の調整はスパッタリングのパワー密度とN2混合比を変化させて上記組成になるように制御できた。また、Zn−S−Si−OターゲットにAgチップを貼ったり、上記組成比となるようにZn−Si−S−OターゲットとAgターゲットの同時スパッタをやってもよい。
【0129】
Zn36Ag2Si1034810と組成比の異なる膜やAgの一部または全部を
Mg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに換え、
かつSiの一部または全部をGe,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Zn,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えた場合についても同様な方法で作製できた。
【0130】
その後、前記第1および第2のディスク部材の第2反射層7,7’上にそれぞれ紫外線硬化樹脂を厚さ約10μm塗布して硬化してオーバーコート層8,8‘を設けた。それぞれのオーバーコート層8、8’同士を接着剤層9を介して貼り合わせ、図1に示すディスク状情報記録媒体を得た。
【0131】
本発明の中間層では、中間層製膜時のスパッタレートが比較例構造ディスクに比べて大きくなったので、製膜時間は約1/5となった。
【0132】
(初期結晶化)
前記のようにして製作した媒体の記録膜4、4’に次のようにして初期結晶化を行った。なお、記録膜4’についてもまったく同様であるから、以下の説明では記録膜4についてのみ述べることとする。
【0133】
媒体を記録トラック上の点の線速度が8m/sであるように回転させ、スポット形状が媒体の半径方向に長い長円形の半導体レーザ(波長約810nm)のレーザ光パワーを850mWにして基板1を通して記録膜4に照射した。スポットの移動は、媒体の半径方向のスポット長の1/4ずつずらした。こうして、初期結晶化を行った。この初期結晶化は1回でもよいが3回繰り返すと初期結晶化によるノイズ上昇を少し低減できた。この初期結晶化は高速で行える利点がある。
【0134】
(記録・消去・再生)
次に、以上のようにして初期結晶化が完了した記録膜4の記録領域にトラッキングと自動焦点合わせを行いながら、記録用レーザ光のパワーを中間パワーレベルPm(5mW)と高パワーレベルPh(11mW)との間で変化させて情報の記録を行った。記録トラックの線速度は6m/s、半導体レーザ波長は660nm、レンズの開口数(NA)は0.6である。記録用レーザ光により記録領域に形成される非晶質またはそれに近い部分が記録点となる。
【0135】
記録用レーザ光の高レベルと中間レベルとのパワ−比は1:0.3〜1:0.6の範囲が特に好ましい。また、この他に短時間ずつ他のパワーレベルにしてもよい。図3に示したように,1つの記録マークの形成中にウインドウ幅の半分(Tw/2)ずつ中間パワーレベルより低いレベルまでパワーを繰り返し下げ,かつ、記録マーク形成の最後にパワーを下げるクーリングパルスの時間幅Tcを1Twとした記録波形を生成する手段を持った装置で記録・再生を行うと,再生信号波形の特に低いジッター値およびエラーレートが得られた。この図では3Tw,4Tw,11Twの記録波形しか示していないが,5Tw〜10Twは4Twの波形のTcの前に,高いパワーレベルと低いパワーレベルにそれぞれTw/2ずつ保つ組み合わせの波形が1組ずつ追加されていく。7組追加されたものが11Twである。3Twに対応する最短記録マーク長を0.62μmとした。記録すべき部分を通り過ぎると、レーザ光パワーを再生(読み出し)用レーザ光の低パワーレベルPr(1mW)に下げるようにした。記録信号には、情報信号の始端部に55Byte 、終端部に55Byteの4Tマークと4Tスペースの繰り返しのダミーデータが含まれている。始端部の55Byteには35ByteのVFOが含まれている。
【0136】
このような記録方法では、既に情報が記録されている部分に対して消去することなく、重ね書きによって新たな情報を記録すれば、新たな情報に書き換えられる。すなわち、単一のほぼ円形の光スポットによるオーバーライトが可能である。
【0137】
しかし、書き換え時の最初のディスク1回転または複数回転で、前記のパワー変調した記録用レーザ光の中間パワーレベル(5mW)またはそれに近いパワーの連続光を照射して、記録されている情報を一たん消去し、その後、次の1回転で低パワーレベル(1mW)と高パワーレベル(11mW)の間で、または中間パワーレベル(5mW)と高パワーレベル(11mW)との間で、情報信号に従ってパワー変調したレーザ光を照射して記録するようにしてもよい。このように、情報を消去してから記録するようにすれば、前に書かれていた情報の消え残りが少ない。従って、線速度を2倍に上げた場合の書き換えも、容易になる。
【0138】
記録感度の測定方法は、以下の通りである。まず、適当な中間パワーレベル(Pf1)を
決定し、ジッターの高パワーレベル依存性を測定して前エッジと後エッジの二乗平均値が13%をよこ切る低い方のパワー値の1.2倍のパワーを求め、高パワーレベル(Pf2)とする。ジッターは、特に記載のない場合は前エッジと後エッジの二乗平均値のことをいう。次に、Pf2一定で、ジッターの中間パワーレベル依存性を求める。そして、ジッターが13%をよこ切る低い方のパワーと高い方のパワーをの平均値を求め、Pf3とする。Pf3は最適中間パワーレベルである。最後に、Pf3一定で、ジッターの高パワーレベル依存性を求め、13%をよこ切る低い方のパワーを求める。これが、最適高パワーレベルPf4である。記録感度は、Pf4で比較される。Pf4が大きいと記録に必要なレーザパワーが高いため、感度が悪く、Pf4が小さいと記録に必要なレーザパワーが低くてすむため感度がよい。
【0139】
本実施例の情報記録媒体では、Pf1=5mW,Pf2=10.5mW,Pf3=4.5mW,Pf4=10.5mWであり比較例構造の情報記録媒体に比べて2割以上感度が良かった。
【0140】
これらの方法は、この発明の媒体に用いられる記録膜ばかりでなく他の媒体の記録膜にも有効である。
【0141】
本実施例の情報記録媒体では、記録・消去を繰り返した時に、図4に示すように,書き換え10万回で、11T−High(11T信号の結晶化レベル)の反射光量低下は7%未満である。
【0142】
また、本実施例の情報記録媒体では、記録・消去を繰り返した時に、図2に示すように,初回から10万回までの書き換え時のジッター(σ/Tw)も10%以下と小さく良好な特性を示した。ジッターとは記録マークのエッジ部の位置を再生した際、再生信号がウインドウ幅(Tw)に対してどの程度ゆらいでいるかを示す指標である。ジッターの値が約15%になると、エッジ部の検出位置がウインドウ幅をほぼ占めるため、ジッター値が大きくなると記録信号を正確に再生できなくなる。装置によるジッター増加分のマージンをとるため、情報記録媒体ではジッターを12%以下に押さえることが好ましい。さらにジッターを小さく10%以下にできれば装置によるジッター増加分のジッターマージンが大きくなり、より好ましい。情報記録媒体に情報を記録する場合、一般に1つの情報記録媒体において1箇所あたりへの記録回数は約10万回程度必要と言われている。そのため、本実施例においても初回記録から10万回書き換え後までの記録・再生特性を調べた。
【0143】
ジッター測定におけるウインド幅(Tw)は34ns、最短記録信号は3Tw、最長記録信号は11Twでこれらをランダムに記録している。これらの測定には再生等化回路を使用した。また、記録膜が流動して記録始端部で膜材料が不足し、終端部で蓄積することによる再生信号波形の大きなひずみが起こる領域の幅(流動幅)を、始端部で15Byte相当以下、終端部で5Byte相当以下にすることができた。
【0144】
本実施例に記載の情報記録媒体では、記録感度はいずれも比較例構造の情報記録媒体に比べて良く、また製膜時間も短縮できているが、このなかでもより良いところを調べたところ以下のようになった。
【0145】
(中間層)
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層の組成をZn−N量と、Ag−SとZn−N比を一定にし、Zn−SとSi−O,Si−Nの比を変化させ、ノイズ上昇と製膜時のスパッタレートより製膜時間比を測定したところ次のようになった。 製膜時間比はZn36Ag2Si1034810の場合を1として示した。
【0146】
中間層組成 ノイズ上昇(dB) 製膜時間比
Zn47Ag2Si1473 5 −
Zn42Ag2Si54155 2 −
Zn39Ag2Si737510 0 1
Zn36Ag2Si1034810 0 1
Zn30Ag2Si14291114 − 1
Zn25Ag2Si18241318 − 2
Zn19Ag2Si22191622 − 3
これより、Zn,S量を増加させると結晶粒径のばらつきが大きくなりノイズが上昇し、 Zn,S量を低下させるとスパッタレートが下がり製膜に時間がかかることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すx、tの範囲は0.25≦x≦0.42、0.24≦t≦0.41、で、より良好な特性を示す範囲は0.30≦x≦0.39、0.29≦t≦0.37である。
【0147】
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層の組成をZn−N、Ag−S 量を一定にし,Si−N量を増加させ、アーカイバルオーバーライト(A−OW)時のジッターとアーカイバルリード(A−R)時のジッターを測定したところ次のようになった。本実施例におけるアーカイバルオーバーライト時のジッターとは、記録を行った後、温度80℃、湿度90%の恒温恒湿状態に100時間保ち、前回記録した場所にオーバーライトした際に測定したジッターのことをいう。アーカイバルリード時のジッターとは、記録を行った後、温度80℃、湿度90%の恒温恒湿状態に100時間保ち、前回記録した場所をリードした際に測定したジッターのことをいう。
【0148】
Figure 0003653390
これより、Si,N量を増加させるとアーカイバルオーバーライト時のジッターを小さくできる。一方で、アーカイバルリード時のジッターが悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すz、uの範囲は0.05≦z≦0.19、0.05≦u≦0.19で、より良好な特性を示す範囲は0.07≦z≦0.14、0.07≦u≦0.14である。
【0149】
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層の組成をその他の元素の比を一定にし,O量を変化させ、変調度と記録感度を測定したところ次のようになった。
【0150】
記録感度は、 Zn36Ag2Si1034810 の場合を0として、それに対しての感度の低下割合を示した。
【0151】
O量(原子%) 変調度(%) 記録感度(%)
1 40 −
2 43 −
5 47 0
48 −3
14 48 −5
18 − −10
22 − −15
これより、O量を増加させると変調度が大きくなり、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すvの範囲は0.02≦v≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.05≦v≦0.15である。
【0152】
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層の組成をその他の元素の比を一定にし,Ag量を変化させ、10万回書き換え後の変調度と記録感度を測定したところ次のようになった。記録感度は、 Zn36Ag2Si1034810 の場合を0として、それに対しての感度の低下割合を示した。
【0153】
Ag量(原子%) 変調度(%) 記録感度(%)
0 35 −
1 43 −
2 47 0
12 48 −3
18 48 −5
22 − −15
これより、Ag量を増加させると反射率低下が小さくなるため、10万回書き換え後の変調度が大きいまま保つことができ、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すyの範囲は0.01≦y≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.02≦y≦0.12である。
【0154】
ただし,x+y+z+t+u+v=1である。
【0155】
本実施例で中間層5、5’に用いた中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oの
Agの一部または全部をMg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに変えても、Siの一部または全部をSi,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えても同様の効果が得られた。
【0156】
これらのなかで、MがAg,Co,Siの場合はジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。また、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0157】
また、中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oが、(Zn-S)−(Ag-S)−(Zn-N)(Si−N)−( Si−O)、すなわち、((Zn-S)−(M−S)−(Zn-N)−(L−N)−( M−O)−(L−O)−(Zn−O))のように硫化物、酸化物、窒化物の混合物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0158】
前記中間層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−O)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Si−S),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0159】
次いで、(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N),,
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N)−( Si−O ),
(Zn−S)−(Hf-N)−(Si−O )、
(Zn−S)−(Ti-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(V-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(W-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Y-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Zr-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Nb-N)−(Si-O),
(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Al-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Hf-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−( Si−O )−(Ti-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(V-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(W-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Y-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Zr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Nb-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0160】
また、L,Mの融点が高い場合は、L,Mが過剰に入っていてもよく、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
また、本実施例で中間層5、5’に用いた中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Ag−Si−S−Nに変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、Oを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約2%良くなった。しかし、Oを含む場合はOを含まない場合に比べて感度が約1割良かった。
【0161】
この場合、 Zn−Ag−Si−S−N−O膜と同様にノイズ、製膜速度、アーカイバルオーバーライト時のジッター、アーカイバルリード時のジッター、変調度、記録感度を測定したところ、これらが良好な特性を示すx、y,z,t、uの範囲は29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26で、より良好な特性を示す範囲は0.34≦x≦0.43、0.02≦y≦0.12、0.05≦z≦0.12,0.31≦t≦0.39、0.07≦u≦0.20である。ただし、x+y+z+t+u=1である。
【0162】
Zn−Ag−Si−S−Nが、(Zn-S)−(Zn-N)−(Si−N)―(Ag-S)のように硫化物、窒化物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0163】
前記中間層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si-N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0164】
(Zn−S)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Al-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Hf-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ti-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(V-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(W-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Y-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Nb-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si-N)
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0165】
(Zn−S)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
【0166】
また、本実施例で中間層5、5’に用いた中間層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、前記Mを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが低下しにくく、寿命が約2倍長くなった。しかし、Mを含む場合はMを含まない場合に比べて約2%変調度が低下した。
【0167】
Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変わりの材料としては、
(Zn−S)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Ta-N),
(Zn−S)−(Cr-N),,
(Zn−S)−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N),
(Zn−S)−(Hf-N)、
(Zn−S)−(Ti-N),
(Zn−S)−(V-N),
(Zn−S)−(W-N),
(Zn−S)−(Y-N),
(Zn−S)−(Zr-N),
(Zn−S)−(Nb-N),
(Zn−S)−(Zn−N)等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0168】
これらの中で、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0169】
このように、中間組成がZnxztuv,で表される場合の良い特性が得られる範囲は、 Mが減った分だけL量を増加した組成範囲となった。従って、0.25≦x≦0.42,かつ0.06≦z≦0.34,0.24≦t≦0.41,かつ0.03≦u≦0.20,かつ0.02≦v≦0.18,x+z+t+u+v=1である。
【0170】
また、中間組成がZnxztu,で表される場合の良い特性が得られる範囲は、
0.29≦x≦0.44、0.03≦z≦0.35,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26,x+z+t+u=1である。
【0171】
中間層5および中間層5の代わりの材料は,各中間層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が5割以上減る等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0172】
中間層の膜厚が10nmより薄いと記録感度が10%以上、15nmの時に比べて低下する。さらに、記録膜の流動を抑えるためには、40nm以下とすることが好ましく、10万回書き換え時の後エッジのジッターを13%以下に抑制できた。30nm以下では10%以下に抑制できた。これより,中間層膜厚を10〜40nmとすると記録・再生特性が良くなり,好ましく、30nm以下だとより好ましい。
【0173】
Zn−Ag−Si−S−N−O/Zn−Si−S−O, Zn−Ag−Si−S−N/Zn−S,等のように中間層を2層にしても、同様の特性が得られた。この場合、記録膜に接する方の膜をZn−Ag−Si−S−N−O膜、またはZn−Ag−Si−S−N膜、または上記記載のこれらに変わる膜組成とすることが必要であった。それぞれの膜厚は5nm以上だと均一な膜となるため好ましく、中間層総膜厚は前記記載のように10〜40nmとすると記録・再生特性が良くなり,好ましく、30nm以下だとより好ましかった。
【0174】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、Al23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが化学的に安定で好ましいが,少しであれば、その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、酸化物および硫化物については、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。このように、金属元素が多くなる方向にずれた方が特性の劣化が少ない。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、 Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0175】
窒化物については、上記ずれは大きくても変調度低下は小さい。例えば、Zn32のような窒化物の場合、金属元素が多くなる方向には30原子%以下、窒素元素が多くなる方向には5原子%以下のずれであれば、変調度低下が5%以下に押さえられ好ましい。
【0176】
また,本発明に示した構造のディスクだけでなく,その他にの相変化ディスクにおいても,中間層材料を本実施例に記載した中間層材料に置き換えても,多数回書き換え時に生じる反射率レベルの変化を低減する効果が見られる。
【0177】
(記録膜)
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の組成をTe,Ag量を一定にし、GeとSb量を変化させ、10回書き換え後の前エッジおよび後エッジのジッター(σ/Tw)を測定したところ次のようになった。
【0178】
記録膜の組成はAgwGeaSbbTecで示した。
【0179】
Figure 0003653390
これより、Geを増加すると前エッジのジッターが低下する。しかし、Ge量を増加させるにつれて、後エッジジッターが増加することがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すaの範囲は0.16≦a≦0.22で、より良好な特性を示す範囲は0.18≦a≦0.21である。
【0180】
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の組成をAg量は一定で、Ag3Ge32Te65とAg3Ge2Sb55Te40 を結ぶ線上で変化させ、10回書き換え後の前エッジおよび後エッジのジッター(σ/Tw)を測定したところ次のようになった。
【0181】
Figure 0003653390
これより、Sbを増加すると前エッジのジッターが増加する。しかし、Sb量を増加させるにつれて、後エッジジッターが低減できることがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すbの範囲は0.17≦b≦0.30で、より良好な特性を示す範囲は0.20≦b≦0.28である。
【0182】
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の組成をGe,Ag量を一定にし、TeとSb量を変化させ、10回書き換え後の後エッジのジッター(σ/Tw)を測定したところ次のようになった。
【0183】
Figure 0003653390
これより、Teを増加しても減少させても、後エッジジッターが増加することがわかった。従って、ジッターが良好な特性を示すcの範囲は0.52≦c≦0.59で、より良好な特性を示す範囲は0.53≦c≦0.57である。
【0184】
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の組成をAg量を一定にし、SbとTe量の比を一定にし、Ge量を変化させ、1回書き換え後のジッター(σ/Tw)およびリード光耐性を測定したところ次のようになった。リード光耐性とは、1.6mWのリード光を照射した際に、ジッターが13%を超える時間を調べた。
【0185】
Figure 0003653390
これより、AgとGeを増加させると、リード光耐性が向上する。しかし、Ag,Ge量を増加させるにつれて、ジッターが増加することがわかった。従って,これらの特性が良好な特性を示すa,wの範囲は0.23≦a+2w≦0.30で、より良好な特性を示す範囲は0.25≦a+2w≦0.28である。
【0186】
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の組成をTe量を一定にし、Ag量を変化させ、5回書き換え後の前エッジジッター(σ/Tw)および書き換え回数を測定したところ次のようになった。書き換え回数とは、ジッターが13%以上になる書き換え回数の
ことをいう。
【0187】
Figure 0003653390
これより、Agを増加させると、前エッジジッターが悪くなる。しかし、Ag量を増加させるにつれて、書き換え可能回数が増加することがわかった。従って,これらの特性が良好な特性を示すwの範囲はw≦0.06で、より良好な特性を示す範囲はw≦0.04である。
【0188】
本実施例の記録膜以外に組成比の異なるAg−Ge−Sb−Te系記録膜においても、また、Ge−Sb−Te系記録膜においても同様の効果が得られた。その他の記録膜に対しても本中間層の反射率レベル変化の抑制は有効である。
【0189】
AgをCr,Pd,Mo,Co,Ptに換えても同様な特性が得られ、ジッターも低かった。
【0190】
この他、 Si,Sc,Ti,V,Mn,Fe,Ni,Cu,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Cd,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Au,Pb,Biも次いでジッターが低かった。
【0191】
本実施例で記録膜4、4’に用いた記録膜の膜厚を変化させ、10回書き換え後および10万回書き換え後のジッター(σ/Tw)を測定したところ次のようになった。記録膜膜厚(nm)に対し、10回書き換え後については前エッジまたは後エッジのジッターの悪い方の値(%)を、10万回書き換え後については前エッジのジッター値(%)を示した。
【0192】
記録膜膜厚 10回書き換え後のジッター 10万回書き換え後のジッター
8 16 −
10 12 −
12 10 10
15 9 10
18 10 10
26 − 13
40 − 20
これより、記録膜膜厚を薄くすると記録膜流動や偏析による、10回書き換え後のジッターが増加し、また厚くすると、10万回書き換え後のジッターが増加することがわかった。これより、記録膜膜厚は10nm以上、26nm以下が好ましく、12nm以上、18nm以下であればより好ましい。
【0193】
(保護層)
本実施例では、第1保護層2を(ZnS)80(SiO220および第2保護層3をCr23により形成している。
【0194】
第1保護層2の(ZnS)−(SiO2)におけるZnSのmol比は70mol%以上、90mol%以下が好ましい。ZnSが90mol%を超えると結晶粒径のばらつきによるノイズが発生し、10万回の書き換えを行った場合ジッターが4%以上増加するためである。また,また,ZnSはスパッタレートが大きく、ZnSが多いと製膜時間を短縮でき、第1保護層全体の70mol%以上がZnSからなるとこの層の製膜時間を1/2以下に低減することができる。
【0195】
第1保護層2の(ZnS)80(SiO220に代わる材料としては,Si−N系材料,Si−O−N系材料,SiO2,SiO,TiO2,Al23,Y23,CeO2,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,SnO,SnO2,BeO,Bi23,TeO2,WO2,WO3,Sc23,Ta25,ZrO2,Cu2O,MgO などの酸化物,TaN,AlN,BN,Si34, Ge34,Ge−N,Al−Si−N系材料(例えばAlSiN2)などの窒化物、ZnS,Sb23,CdS,In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi23などの硫化物、SnSe2,Sb2Se3,CdSe,ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeSe2,SnSe,PbSe,Bi2Se3などのセレン化物、CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,B,C,または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これらの混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0196】
第2保護層3のCr−Oに代わる材料としては, Cr23とSiO2 またはCr23とAl23、等の混合物が好ましい。SiO2 またはAl23が70mol%以上含まれていると、10万回書き換えによる反射率レベル低下が小さく5%以下に抑制できた。90mol%以上含まれている際は3%以下に抑制できた。第2保護層3に代わる材料としては,次いで、Ta25,その次にZrO2−Y23,が好ましい。反射率レベルが変化すると、再生信号レベルにオフセットが生じ、オフセット分のジッター増加が加わり、ジッターが増加する。そのため、反射率レベルの変動が小さい方がよい。また、Co23、 CoO、などのCo−O系材料,あるいはこれらに近い組成の材料、あるいはこれらの混合材料を用いると保護層と記録膜の間の接着力が強くなり好ましかった。またNi−O系材料、あるいはこれらの混合材料でもよい。
【0197】
また、この他にTa−N系材料等窒化物を用いると、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約1割低減でき、より好ましかった。Ge−N,Si−N,Al−Nは結晶化速度が大きくなり、6m/sより大きい高線速において消え残りが小さくなる効果があった。記録膜材料に窒素を添加して形成した場合も結晶化速度が大きくなった。
【0198】
第1保護層が無い場合、記録時に基板の表面温度が高くなり基板の変形による、消去不可能な信号成分の発生とノイズの上昇が起きる。
【0199】
第2保護層は記録膜中に第1保護層の材料が拡散するのを防止する効果を持っており,10万回書き換えによる反射率レベル低下を3%以下に抑制できた。一方、第2保護層が無い場合の10万回書き換えによる反射率レベル低下は25%生じた。
【0200】
このように保護層が材料の異なる2つ以上の層からなる場合、作製行程数は増えるが、ノイズ上昇を防ぎ、かつ記録膜への保護層材料拡散を防止するという両方の効果を合わせもつことができ好ましい。
【0201】
第1保護層2および第2保護層3の組み合わせとしては,(ZnS)80(SiO220およびCr23は,書き換え時の反射率レベル変化が3%以下と小さく、好ましい。(ZnS)80(SiO220およびSiO2はDC消去比が30dBと消去特性が良好である。ZnSおよびSiO2,Cr23 ,Ta25,のいずれか1つの組み合わせは変調度が53%以上とれ,大きいことから好ましい。(ZnS)80(SiO220およびTa−Nは,アーカイバルオーバーライト時のジッターが小さく、寿命が長く好ましい。
【0202】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物、窒化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、金属元素と窒素元素については,Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが好ましいが,その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0203】
第1保護層2および第1保護層の代わりの材料、第2保護層3および第2保護層の代わりの材料は,各保護層全原子数の90%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が10原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0204】
また,このような保護層の場合,第2保護層膜厚は2〜30nmが上記の効果が得られ、記録感度の低下を10%未満に抑制できるため,好ましい。3nm以上15nm以下であるとさらに好ましい。
【0205】
本実施例で用いた保護層全体(第1保護層および第2保護層)の膜厚を変化させ、変調度を測定したところ次のようになった。
【0206】
変調度(Mod)の計算式は以下の通りである。
【0207】
Mod(%)=100×(Ic−Ia)/Ic
Ic:11T信号記録時の結晶(消去)状態の反射率レベル(11T−High)
Ia:11T信号記録時の非晶質(記録)状態の反射率レベル(11T−Low)
また、記録膜の流動による始端部および終端部の劣化幅(流動幅)で測定し、両者の大きい方の値と保護層膜厚の関係を調べた。
【0208】
Figure 0003653390
保護層全体(第1保護層および第2保護層)の膜厚は70〜130nmが記録時の変調度を43%以上と大きくすることができかつ流動による記録膜始端終端部の劣化が20Byte以下と好ましく、90〜120nmがより好ましい。
【0209】
(反射層)
本実施例で第1反射層6に用いたAl−Crの代わりの第1反射層の材料としては、Al-Ti,Al-Ag,Al-Cu等Al合金を主成分とするものが書き換え時のジッターを低くできるため好ましい。
【0210】
第1反射層6に用いた第1反射層の組成を変化させ、10万回書き換え後のジッター(σ/Tw)を測定したところ次のようになった。
【0211】
第1反射層組成 前エッジのジッター(%) 後エッジのジッター(%)
Al99Cr1 18 −
Al97Cr3 12 −
Al95Cr5 10 −
Al94Cr6 10 10
Al85Cr15 10 10
Al70Cr30 10 10
Al60Cr40 13 13
Al50Cr50 18 19
これより、Al合金中のAl以外の元素の含有量は5原子%以上30原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性が良好になることがわかった。また,上記以外のAl合金でも同様の特性が得られた。
【0212】
次いで,Au,Ag,Cu,Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、またはAu合金,Ag合金,Cu合金,Pd合金,Pt合金,Sb-Bi、SUS,Ni−Cr,などこれらを主成分とする合金、あるいはこれら同志の合金よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質との複合層,これらと他の金属などの他の物質との複合層などを用いてもよい。
【0213】
この中で、Cu合金、Al合金、Au合金,等のように、反射率が大きいものは、変調度が大きくなり、再生特性が良好である。Ag合金,等も同様な特性が見られる。この場合の主成分以外の元素の含有量はAl合金と同様に5原子%以上30原子%以下の範囲にすると、書き換え特性がより良好になる。
【0214】
本実施例で第2反射層7に用いたAl−Tiの代わりの第2反射層の材料としては、Al-Ag,Al-Cu,Al−Cr等Al合金を主成分とするものが好ましい。Alも使用可能である。
【0215】
第2反射層7に用いた第2反射層の組成を変化させ、10万回書き換え後のジッター(σ/Tw)および加速試験による寿命を測定したところ次のようになった。10万回書き換え後のジッターは前エッジの値と後エッジの値の増加した方の値を示した。また、加速試験は各ディスクを80℃、90%RHの恒温恒湿槽内に1000時間入れた前後のビットエラーレート(BER)の変化を調べた。
【0216】
第2反射層組成 10万回書き換え後のジッター(%) BER
Al − 5倍
Al99.5Ti0.5 12 3倍
Al99Ti1 10 2倍
Al98.5Ti1.5 10 1.5倍
Al98Ti2 10 1.5倍
Al96Ti4 13 1.2倍
Al94Ti6 17 −
これより、Al合金中のAl以外の元素の含有量は0.5原子%以上4原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性およびビットエラーレートが良好になり、1原子%以上2原子%以下の範囲ではより良好になることがわかった。上記以外のAl合金でも同様の特性が得られた。
【0217】
次いで,Au,Ag,Cu, Ni,Fe,Co,Cr,Ti,Pd,Pt,W,Ta,Mo,Sb,Bi,Dy,Cd,Mn,Mg,Vの元素単体、またはAu合金,Ag合金,Cu合金,Pd合金,Pt合金,Sb-Bi、SUS,Ni−Cr,などこれらを主成分とする合金、あるいはこれら同志の合金よりなる層を用いてもよいし、それらの層よりなる多重層を用いてもよいし、これらと酸化物などの他の物質との複合層,これらと他の金属などの他の物質との複合層などを用いてもよい。
【0218】
この中で、Cu、Al、Au、Cu合金、Al合金、Au合金,等のように、熱伝導率が大きいものは、ディスクが急冷されやすく書き換え特性が良好である。Ag,Ag合金,等も同様な特性が見られる。この場合の主成分となるCu,Au,Ag等以外の元素の含有量はAl合金同様に、0.5原子%以上4原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特性およびビットエラーレートが良くなり、1原子%以上2原子%以下の範囲ではより良くなった。
【0219】
また、第1反射層材料と第2反射層材料の屈折率(n)および消衰係数(k)を調べたところ、どちらかが異なる材料からなる組み合わせの場合、10回書き換え時のジッター増加を4%以下に抑制できた。さらに、第1反射層のnが第2反射層のnより大きく、第1反射層のkが第2反射層のkより小さいと10万回書き換え時のジッター増加を4%以内に抑制できた。
【0220】
第1反射層および第2反射層の材料は,各反射層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等、書き換え特性の劣化が見られた。
【0221】
(第1反射層と第2反射層の膜厚)
第1反射層または第2反射層膜厚が薄い場合、強度が弱く、熱拡散が小さく記録膜流動が起きやすいため,10万回書き換え後の前エッジまたは後エッジのジッターが12%より大きくなる。また、第1反射層または第2反射層膜厚が厚い場合、それぞれの反射層を作製する時間が長くなり、2行程以上に分ける、またはスパッタリング用の真空室を2室以上設ける等、形成時間が倍増した。
【0222】
これより、第1反射層の膜厚は30nm以上、150nm以下が好ましい。
【0223】
第2反射層の膜厚は10nm以上、100nm以下が好ましい。
【0224】
また,反射層全体の膜厚は、上記と同様に強度と形成時間の点から、30nm以上200nm以下が好ましい。反射層全体の膜厚とは、第1反射層と第2反射層の膜厚の合計である。また、どちらか一層がない場合については残っている層の膜厚をいう。
【0225】
(第1反射層材料と第2反射層材料の組み合わせ)
第1反射層材料、第2反射層材料については本実施例に述べた材料が使用できるが、これらの組み合わせを選ぶことによって、10万回書き換え時のジッター増加を4%以下に抑制でき、
書き換え特性が向上することがわかった。好ましい組み合わせは、例えば第1反射層がAl94Cr6 膜 および第2反射層がAl99Ti1,第1反射層がAl90Ti10 膜 および第2反射層がAl98Ti2,第1反射層がAl75Ti25膜 および第2反射層がAl99Ti1,等第1反射層と第2反射層膜中に含有される主成分元素が同じで,主成分元素のAl以外の元素について、第2反射層の含有量が第1反射層の含有量より多い場合である。 Al-TiとAl-Tiの組み合わせ、Al−CrとAl−Crの組み合わせでも、また、Al-Ti,Al−Cr以外にも、Al-Ag,Al-Cu等Al合金を主成分とするもので同様の特性が得られた。次いで、Au合金,Ag合金,Cu合金,またはこれに近い組成で多数回書き換え時の書き換え特性の向上が見られた。
【0226】
(基板材料等)
本実施例では、表面に直接、トラッキング用の溝を有するポリカ−ボネ−ト基板1を用いているが、その代わりに、ポリオレフィン、エポキシ、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂層を表面に形成した化学強化ガラスなどを用いてもよい。
【0227】
また、トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全てまたは一部に、深さが記録・再生波長をλとしたとき、λ/10n‘(n’は基板材料の屈折率)以上ある溝を持つ基板である。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割されていてもよい。また、その溝幅は場所により異なっていてもよい。溝部の存在しない、サンプルサーボフォーマットの基板、他のトラッキング方式、その他のフォーマットによる基板等でも良い。溝部とランド部の両方に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも良い。ディスクサイズも12cmに限らず,13cm,3.5‘,2.5‘等,他のサイズでも良い。ディスク厚さも0.6mmに限らず,1.2mm,0.8mm等,他の厚さでも良い。
【0228】
本実施例では、まったく同様の方法により、2つのディスク部材を作製し、接着剤層を介して、前記第1および第2のディスク部材のオーバーコート層8,8’同士を貼り合わせているが、第2のディスク部材の代わりに別の構成のディスク部材、または保護用の基板などを用いてもよい。貼り合わせに用いるディスク部材または保護用の基板の紫外線波長領域における透過率が大きい場合,紫外線硬化樹脂によって貼り合わせを行うこともできる。その他の方法で貼り合わせを行ってもよい。
【0229】
本実施例では、オーバーコート層を設けているが、この層なしに直接貼り合わせを行うと,エラーレートがより高くなるが、作製時間およびコストを低減できる。
【0230】
(各層の膜厚,材料)
各層の膜厚,材料についてはそれぞれ単独の好ましい範囲をとるだけでも記録・再生特性等が向上するが,それぞれの好ましい範囲を組み合わせることにより,さらに効果が上がる。
【0231】
(2)比較例
(構成、製法)
中間層および保護層が(ZnS)80(SiO220膜とGe34膜からなる、比較例ディスク状情報記録媒体を作製した。この媒体は作製方法は実施例1と同様で、ポリカーボネイト基板1上に、(ZnS)80(SiO220膜よりなる第1保護層2を膜厚約100nm形成した。次に、Ge34膜よりなる第2保護層3を膜厚約10nm、Ge22Sb24Te54記録膜4を膜厚約15nm 、10nmのGe−N膜と8nmの(ZnS)80(SiO220膜よりなる中間層5を膜厚を積層し 、次にAl94Cr6 膜からなる第1反射層6を膜厚35nm 、Al99Ti1 膜からなる第2反射層7を膜厚約35nmに順次形成した。積層膜の形成はマグネトロン・スパッタリング装置により行った。
【0232】
スパッタリング時のターゲット組成およびガス雰囲気は、以下の通りである。
【0233】
Figure 0003653390
その後、前記第1および第2のディスク部材の第2反射層7,7’上にそれぞれ紫外線硬化樹脂を厚さ約10μm塗布して硬化してオーバーコート層8,8‘を設けた。それぞれのオーバーコート層8、8’同士を接着剤層9を介して貼り合わせ、比較例の保護層および中間層を有する情報記録媒体を得た。
【0234】
(記録・再生特性)
初期結晶化、記録・消去・再生等については、実施例1と同様の方法で行った。
【0235】
(2)に記載の比較用構造の情報記録媒体では、記録・消去を繰り返した時に、記録感度が実施例1の情報記録媒体に比べて約2割以上悪かった。また、中間層の製膜速度が遅く、実施例1の情報記録媒体の中間層に比べて約5倍以上の製膜時間が必要だった。
【0236】
(3)実施例2
(構成、製法)
実施例1の第2保護層3、において Cr23をZn36Ag2Si1034810 膜に変え、中間層5を(ZnS)80(SiO220膜に変えた以外は実施例1と同様にして、情報記録媒体を作成した。
【0237】
作製方法については、実施例1と同様である。本実施例に記載した情報記録媒体においても、第2保護層製膜時のスパッタレートが実施例2情報記録媒体に比べ、大きくなったため、製膜時間は約1/5以下に短縮された。
【0238】
(記録・再生特性)
記録・再生特性を実施例1と同様の方法で調べたところ,本実施例に記載した情報記録媒体では、比較例に記載のディスク構造に比べて記録感度を20%以上良く出来た。また、5万回書き換え後の反射率レベルの変化は7%以下になった。反射率レベル変化抑制効果は、実施例1のディスク構造の方が、本実施例のディスク構造より大きかった。その他の特性は同様である。
【0239】
本実施例に記載の情報記録媒体では、記録感度はいずれも比較例構造の情報記録媒体に比べて良く、また製膜時間も短縮できているが、このなかでもより良いところを調べたところ以下のようになった。
【0240】
(第2保護層)
本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層の組成をZn−N量と、Ag−SとZn−N比を一定にし、Zn−SとSi−O,Si−Nの比を変化させ、ノイズ上昇と製膜時のスパッタレートより製膜時間比を測定したところ次のようになった。 製膜時間比はZn36Ag2Si1034810の場合を1として示した。
【0241】
第2保護層組成 ノイズ上昇(dB) 製膜時間比
Zn47Ag2Si1473 5 −
Zn42Ag2Si54155 2 −
Zn39Ag2Si737510 0 1
Zn36Ag2Si1034810 0 1
Zn30Ag2Si14291114 − 1
Zn25Ag2Si18241318 − 2
Zn19Ag2Si22191622 − 3
これより、Zn,S量を増加させると結晶粒径のばらつきが大きくなりノイズが上昇し、 Zn,S量を低下させるとスパッタレートが下がり製膜に時間がかかることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すx、tの範囲は0.25≦x≦0.42、0.24≦t≦0.41、で、より良好な特性を示す範囲は0.30≦x≦0.39、0.29≦t≦0.37である。
【0242】
本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層の組成をZn−N、Ag−S量を一定にし,Si−N量を増加させ、アーカイバルオーバーライト(A−OW)時のジッターとアーカイバルリード(A−R)時のジッターを測定したところ次のようになった。実施施例3におけるアーカイバルオーバーライト時のジッターとは、記録を行った後、温度80℃、湿度90%の恒温恒湿状態に50時間保ち、前回記録した
ーのことをいう。
【0243】
Figure 0003653390
これより、Si,N量を増加させるとアーカイバルオーバーライト時のジッターを小さくできる。一方で、アーカイバルリード時のジッターが悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すz、uの範囲は0.05≦z≦0.19、0.03≦u≦0.20で、より良好な特性を示す範囲は0.07≦z≦0.14、0.03≦u≦0.20である。
【0244】
本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層の組成をその他の元素の比を一定にし,O量を変化させ、変調度と記録感度を測定したところ次のようになった。
【0245】
記録感度は、 Zn36Ag2Si1034810 の場合を0として、それに対しての感度の低下割合を示した。
【0246】
O量(原子%) 変調度(%) 記録感度(%)
1 40 −
2 43 −
5 47 0
48 −3
14 48 −5
18 − −10
22 − −15
これより、O量を増加させると変調度が大きくなり、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すvの範囲は0.02≦v≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.05≦v≦0.15である。
【0247】
本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層の組成をその他の元素の比を一定にし,Ag量を変化させ、10万回書き換え後の変調度と記録感度を測定したところ次のようになった。記録感度は、 Zn36Ag2Si1034810 の場合を0として、それに対しての感度の低下割合を示した。
【0248】
Ag量(原子%) 変調度(%) 記録感度(%)
0 35 −
1 43 −
2 47 0
12 48 −3
18 48 −5
22 − −15
これより、Ag量を増加させると反射率低下が小さくなるため、10万回書き換え後の変調度が大きいまま保て、一方で、記録感度が悪くなることがわかった。従って、これらが良好な特性を示すyの範囲は0.01≦y≦0.18、で、より良好な特性を示す範囲は0.02≦y≦0.12である。
【0249】
ただし,x+y+z+t+u+v=1である。
【0250】
本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−OのAgの一部または全部をMg,Al,Si,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Se,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,In,Sn,Te,Ba,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,Ra,La,Ce,Sm,Gd,Tb,Dyの少なくとも1つに変えても、Siの一部または全部をSi,Ge,Al,Ta、Hf、Mo,Ti,V,W,Y,Zr,Cr,Nb,Znの少なくとも1つに変えても同様の効果が得られた。
【0251】
これらのなかで、MがAg,Co,Siの場合はジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。また、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0252】
また、第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oが、(Zn-S)−(Ag-S)−(Zn-N)(Si−N)−( Si−O)、すなわち、((Zn-S)−(M−S)−(Zn-N)−(L−N)−( M−O)−(L−O)−(Zn−O))のように硫化物、酸化物、窒化物の混合物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0253】
前記第2保護層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Zn−O)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si−O)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−O)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Zn−N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Si-N)−(Si−S),
等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0254】
次いで、(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N),,
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−( Si−O )−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0255】
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Si−O)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
また、本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Ag−Si−S−Nに変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、Oを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約2%良くなった。しかし、Oを含む場合はOを含まない場合に比べて感度が約1割良かった。
【0256】
この場合、 Zn−Ag−Si−S−N−O膜と同様にノイズ、製膜速度、アーカイバルオーバーライト時のジッター、アーカイバルリード時のジッター、変調度、記録感度を測定したところ、これらが良好な特性を示すx、y,z,t、uの範囲は29≦x≦0.44、0.01≦y≦0.18、0.02≦z≦0.17,0.26≦t≦0.42、0.05≦u≦0.26で、より良好な特性を示す範囲は0.34≦x≦0.43、0.02≦y≦0.12、0.05≦z≦0.12,0.31≦t≦0.39、0.07≦u≦0.20である。ただし、x+y+z+t+u=1である。
【0257】
Zn−Ag−Si−S−Nが、(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)のように硫化物、窒化物からなると熱に対して安定なため、多数回書き換え時のジッターが13%以下と低くなり好ましい。これらの化合物、単体の融点が800℃以上だと多数回書き換え時のジッターが10%以下となりより好ましかった。
【0258】
前記第2保護層の代わりの材料としては、
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Zn-N)−(Ag-S)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N),
(Zn-S)−(Si-S)−(Si−N)−(Ag−N),
(Zn−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Si-N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N)−(Si−S)、
(Zn−S)−(Si-N)−(Zn−N),等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0259】
次いで、
(Zn−S)−(Co-N)−(Si-N)、
(Zn−S)−(Ge-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Ta-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Cr-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Mo-N)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Co−S)−(Si-N),
(Zn−S)−(Zn−N)−(Mo―S)−(Si-N)、等およびこれらの混合物が多数回書き換え時のジッターが低く好ましかった。
【0260】
(Zn−S)−(Zn−N)―(Ag)
(Zn−S)−(Zn−N)―(Co)、
(Zn−S)−(Zn−N)―(Mo)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Si)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ge)、
(Zn−S)−(Zn−N)−(Ti)、等はスパッタレート比が大きく製膜時間が短くでき、より好ましかった。
【0261】
また、本実施例で第2保護層3、3’に用いた第2保護層Zn−Ag−Si−S−N−Oを、 Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変えても比較例構造ディスクより記録感度および製膜時間の短縮が可能となった。このように、前記Mを含まない場合は、含む場合に比べて、アーカイバルオーバーライト時のジッターが低下しにくく、寿命が約2倍長くなった。しかし、Mを含む場合はMを含まない場合に比べて約2%変調度が低下した。
【0262】
Zn−Si−S−N−O、 Zn−Si−S−N、に変わりの材料としては、
(Zn−S)−(Co-N)、
(Zn−S)−(Ge-N),
(Zn−S)−(Ta-N),
(Zn−S)−(Cr-N),,
(Zn−S)−(Mo-N),
(Zn−S)−(Al-N),
(Zn−S)−(Hf-N)、
(Zn−S)−(Ti-N),
(Zn−S)−(V-N),
(Zn−S)−(W-N),
(Zn−S)−(Y-N),
(Zn−S)−(Zr-N),
(Zn−S)−(Nb-N),
(Zn−S)−(Zn−N)等、およびこれらの混合物が10万回以上の書き換えを行ってもジッターが13%以下に押さえられ、好ましかった。
【0263】
これらの中で、LがSiの場合は、ジッターが他に比べて小さく、より好ましかった。LがTaの場合熱安定性が良く、A−OW特性が他よりよかった。次いで、Hf,MoもA−OW特性がよかった。LがGeの場合、ジッターは他に比べて良かったが、ターゲットの作製が難しく、プロセス安定性が低かった。LがAlの場合は、ジッターは低いが、記録感度が他に比べて悪かった。
【0264】
第2保護層3および第2保護層3の代わりの材料は,各第2保護層全原子数の95%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が5原子%以上になると,書き換え回数が5割以上減る等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0265】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが化学的に安定で好ましいが,少しであれば、その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、酸化物および硫化物については、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。このように、金属元素が多くなる方向にずれた方が特性の劣化が少ない。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、 Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0266】
窒化物については、上記ずれは大きくても変調度低下は小さい。例えば、Zn32のような窒化物の場合、金属元素が多くなる方向には30原子%以下、窒素元素が多くなる方向には5原子%以下のずれであれば、変調度低下が5%以下に押さえられ好ましい。
【0267】
また,本発明に示した構造のディスクだけでなく,その他にの相変化ディスクにおいても,保護層材料を本実施例に記載した第2保護層材料に置き換えても,多数回書き換え時に生じる反射率レベルの変化を低減する効果が見られる。
【0268】
(中間層)
本実施例では、中間層5、5‘を(ZnS)80(SiO220により形成している。
【0269】
中間層5の(ZnS)−(SiO2)におけるZnSのmol比は70mol%以上、90mol%以下が好ましい。ZnSが90mol%を超えると結晶粒径のばらつきによるノイズが発生し、10万回の書き換えを行った場合ジッターが4%以上増加するためである。また,また,ZnSはスパッタレートが大きく、ZnSが多いと製膜時間を短縮でき、中間層全体の70mol%以上がZnSからなるとこの層の製膜時間を1/2以下に低減することができる。
【0270】
中間層5の(ZnS)80(SiO220に代わる材料としては,Si−N系材料,Si−O−N系材料,SiO2,SiO,TiO2,Al23,Y23,CeO2,La23,In23,GeO,GeO2,PbO,SnO,SnO2,BeO,Bi23,TeO2,WO2,WO3,Sc23,Ta25,ZrO2,Cu2O,MgO などの酸化物,TaN,AlN,BN,Si34,Ge34,Ge−N,Al−Si−N系材料(例えばAlSiN2)などの窒化物、ZnS,Sb23,CdS,In23,Ga23,GeS,SnS2,PbS,Bi23などの硫化物、SnSe2,Sb2Se3,CdSe,ZnSe,In2Se3,Ga2Se3,GeSe,GeSe2,SnSe,PbSe,Bi2Se3などのセレン化物、CeF3,MgF2,CaF2などの弗化物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,B,C,または、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。また、これらの混合材料の層やこれらの多重層でもよい。
【0271】
この他、中間層5の材料としては, Cr23とSiO2 またはCr23とAl23との混合物 Al23、SiO2 、Al23とSiO2の混合物、が好ましい。SiO2 またはAl23が70mol%以上含まれていると、10万回書き換えによる反射率レベル低下が小さく5%以下に抑制できた。90mol%以上含まれている際は3%以下に抑制できた。次いで、Ta25,その次にZrO2−Y23,が好ましい。反射率レベルが変化すると、再生信号レベルにオフセットが生じ、オフセット分のジッター増加が加わり、ジッターが増加する。そのため、反射率レベルの変動が小さい方がよい。また、Co23、 CoO、などのCo−O系材料,あるいはこれらに近い組成の材料、あるいはこれらの混合材料を用いると保護層と記録膜の間の接着力が強くなり好ましかった。またNi−O系材料、あるいはこれらの混合材料でもよい。
【0272】
また、この他にTa−N系材料等窒化物を用いると、アーカイバルオーバーライト時のジッターが約1割低減でき、より好ましかった。Ge−N,Si−N,Al−Nは結晶化速度が大きくなり、6m/sより大きい高線速において消え残りが小さくなる効果があった。記録膜材料に窒素を添加して形成した場合も結晶化速度が大きくなった。
【0273】
これら化合物における元素比は,例えば酸化物,硫化物、窒化物において金属元素と酸素元素の比,または金属元素と硫黄元素、金属元素と窒素元素については,Cr23,Y23,La23は2:3,SiO2 ,ZrO2,GeO2は1:2,Ta25は2:5,ZnSは1:1という化学量論組成比をとるかその比に近いことが好ましいが,その比から外れていても同様の効果は得られる。各化合物における化学量論組成比から外れている場合、例えばZn−SはZnとSの比率がZnSからZn量が多くなる方向には10原子%以下,S量が多くなる方向には5原子%以下が好ましい。これ以上ずれると、光学特性が変化するため、変調度が5%以上低下した。ずれが、Zn量が多くなる方向には5原子%以下,S量が多くなる方向には2原子%以下の場合、変調度低下は3%以下となり、特に好ましい。
【0274】
中間層5および中間層の代わりの材料は,中間層全原子数の90%以上であることが好ましい。上記材料以外の不純物が10原子%以上になると,書き換え回数が1/2以下になる等,書き換え特性の劣化が見られた。
【0275】
また、実施例1の中間層と本実施例の第2保護層を組み合わせることにより、反射率レベル変化の抑制効果はより大きくなり、反射率レベルの変化は5%以下になった。
【0276】
本実施例に記載していない事項は実施例1と同様である。
【0277】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の情報記録媒体によれば、良好な記録・再生・書き換え特性を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の情報記録媒体の構造断面図を示した。
【図2】本発明の実施例1の情報記録媒体の書き換え特性を示した。
【図3】本発明の情報記録媒体の記録・再生特性評価に用いた記録波形を示した。
【図4】本発明の実施例1における情報記録媒体の書き換え時の反射光量の変化を示した。
【符号の説明】
1,1’: ポリカーボネイト基板
2,2’: 第1保護層
3,3’: 第2保護層
4,4’: 記録膜
5,5’: 中間層
6,6’: 第1反射層
7,7’: 第2反射層
8,8‘:オーバーコート層
9: 接着剤層
T: ウインド幅(Tw)
Pr: 低パワーレベル
Pm: 中間パワーレベル
Ph: 高パワーレベル
Tc: 記録パルスの最後に下げる時間

Claims (3)

  1. 基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録層として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ前記保護層は前記記録層より光入射側に有り、光入射側から見て前記記録層の奥側に少なくとも1層の前記中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記中間層が、Zn−M−L−S−N−Oからなり、かつMがAg、Co、Siの少なくとも1つからなり、かつLがAlからなることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 基板上に形成された、光の照射を受けて生じる原子配列変化によって情報を記録および/または再生する情報記録用薄膜を記録層として備え、かつ少なくとも1層の保護層を備え、かつ前記保護層は前記記録層より光入射側に有り、光入射側から見て前記記録層の奥側に少なくとも1層の前記中間層を介して少なくとも1層の反射層が積層された構造を持ち、かつ前記中間層が、Zn−M−L−S−N−Oからなり、かつMがAg、Coのいずれか1つからなり、かつLがSiからなることを特徴とする情報記録媒体。
  3. 前記記録層は、AgGeSbTeを満たし、0.16≦a≦0.22、かつ0.17≦b≦0.30、かつ0.52≦c≦0.59、0.25≦a+2w≦0.28、かつw≦0.06、かつw+a+b+c=1を満たす範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
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