JP2003228881A - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP2003228881A
JP2003228881A JP2002026238A JP2002026238A JP2003228881A JP 2003228881 A JP2003228881 A JP 2003228881A JP 2002026238 A JP2002026238 A JP 2002026238A JP 2002026238 A JP2002026238 A JP 2002026238A JP 2003228881 A JP2003228881 A JP 2003228881A
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sno2
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Application number
JP2002026238A
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English (en)
Inventor
Akemi Hirotsune
朱美 廣常
Motoyasu Terao
元康 寺尾
Yoshiko Nishi
佳子 西
Keikichi Ando
圭吉 安藤
Yumiko Anzai
由美子 安齋
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度の記録・再生において積層膜−基板間
の応力によるトラッキング溝の変形が無くて良好な記録
・再生特性を保持し、プロセスマージンが大きくて、低
価格の製造装置を使用でき、材料費、量産性に優れ、応
力の小さい情報記録用媒体を提供することに有る。 【解決手段】 光の照射により原子配列が変化すること
によって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体
であって、光照射側から、0.7mm以下の厚さの基板
と、20nm以上60nm以下の膜厚の第1保護層と、
記録膜と、第2保護層と、反射層とを備え、トラックの
間隔が0.62μm以下とする。 【効果】 高密度の記録・再生において積層膜−基板間
の応力によるトラッキング溝の変形が無くて良好な記録
・再生特性を保持した媒体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクに用い
られる情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光を照射して薄膜(記録膜)に情報
を記録する原理は種々知られているが、そのうちで膜材
料の相変化(相転移、相変態とも呼ばれる)など、レー
ザ光の照射による原子配列変化を利用するものは・薄膜
の変形をほとんど伴わないため、2枚のディスク部材を
直接貼り合わせて両面ディスク構造の情報記録媒体が得
られるという長所を持つ。
【0003】通常、これら情報記録媒体は基板上に保護
層、GeSbTe系等の記録膜、保護層、反射層という構成か
らなる。
【0004】なお、本明細書では、結晶−非晶質間の相
変化ばかりでなく、融解(液相への変化)と再結晶化、結
晶状態−結晶状態間の相変化も含むものとして「相変
化」という用語を使用する。
【0005】また、マークエッジ記録とは、記録マーク
のエッジ部分を信号の“1”に、マーク間およびマーク
内を信号の“0”に対応させた記録方式のことをいう。
本明細書において光ディスクとは、光の照射によって再
生できる情報が記載された円板(ディスク)、及び/ま
たは光の照射によって情報の再生を行う装置をいう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】DVD−RAMなどの
書換え可能光ディスクでは、記録トラックはアドレスピ
ットなどを設けたプリフォーマット部とトラッキング用
の溝(グルーブ)を持ち、記録を行うユーザデータ部と
よりなり、アドレスを確認し,クロックや同期の信号を
検出してから情報の記録や読出しを行う。
【0007】しかし、第1保護層が100nm以上と厚
く、積層膜と基板との間に働く応力によって生ずる変形
が、プリフォーマット部とユーザデータ部で異なるた
め、記録トラックがプリフォーマット部に対して曲がっ
た状態になり、トラッキング用のグルーブに対してプッ
シュプルトラッキングした場合はプリフォーマット部の
アドレスデータが読めず、プリフォーマット部に対して
正常な位置になるようにトラッキングオフセットを補正
すると,記録領域でオフセットして隣接トラックのデー
タを一部消去してしまったりする問題点が生ずる。
【0008】さらに、第1保護層が厚いと製膜に時間が
かかるためスパッタリングのタクトタイムが遅く、量産
性が悪いという問題が生じる。そこで第1保護層を薄く
することが考えられるが、第1保護層が薄いと多数回書
換時に記録膜で発生する熱が基板に伝わり、基板が劣化
しやすいという問題がある。そこで、本発明の目的は、
これら問題点を解決し、積層膜と基板の間の応力が小さ
く、材料費、量産性に優れ、さらに多数回書換時に基板
が劣化しにくい情報記録媒体を提供することに有る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために本発明の情報記録用媒体では,次の解決策を用い
る。すなわち,第1保護層が薄く量産性が良い情報記録
媒体において、多数回書換時に記録膜で発生した熱が基
板に伝わり、基板が劣化することを防止するために、C
とHを含むガス、CO2,CS2,Ar,He、Ne、
Kr,Xeのいずれかを含む第1保護層を有する。上記
第1保護層は、保護層内にガスを含む又はガスが抜けた
空間を有することにより熱伝導率が低く、基板へ熱を伝
えにくく基板温度が上がらないようにする働きがある。
本発明では基板温度が上昇しないようにして応力発生を
防止する。
【0010】具体的には,(1)光の照射により原子配
列が変化することによって記録を行う、多数回書換え可
能な情報記録媒体であって、光照射側から、基板上に、
10nm以上60nm以下の膜厚の第1保護層と、記録
膜と、第2保護層と、反射層とを備え、かつ、前記第1
保護層が酸化物,窒化物、硫化物のいずれかまたはこれ
らの混合物からなり、かつ前記第1保護層中はC(炭
素)及びH(水素)を含有することを特徴とする情報記
録媒体とする。 (2)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,窒化
物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からなり、
かつ前記第1保護層中はCO2、CS2のいずれかを含
有することを特徴とする情報記録媒体とする。 (3)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,窒化
物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からなり、
かつ前記第1保護層中はAr,He,Ne,Kr,Xe
を含有することを特徴とする情報記録媒体とする。 (4)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、前記第1保護層の材料の90原子%以上が、ZnS
−SiO2、ZnS−Al2O3、ZnS−Ta2O
5、ZnS−SnO2、ZnS−In2O3、ZnS−
TiO2、ZnS−Cr2O3、ZnS−ZnO、あるい
は、ZnO、SiO2、Al2O3、Ta2O5、Sn
O2、In2O3、TiO2、SnO2−In2O3、
Cr2O3、ZnO−SiO2、ZnO−In2O3、
Al2O3−SiO2、Ta2O5−SiO2、SnO
2−SiO2、In2O3−SiO2、TiO2−Si
O2、SnO2−In2O3−SiO2、Cr2O3−
SiO2、ZnO−Al2O3、Ta2O5−Al2O
3、SnO2−Al2O3、In2O3−Al2O3、
TiO2−Al2O3、SnO2−In2O3−Al2
O3、Cr2O3−Al2O3の何れかの酸化物、上記
材料の混合物、上記材料の一部または全部を窒化物で置
き換えたものいずれかよりなることを特徴とする1〜3
のいずれに記載の情報記録媒体。とする。 (5)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、前記第2保護層の材料の90原子%以上
が、ZnS−SiO2、ZnS−Al2O3、ZnS−
Ta2O5、ZnS−SnO2、ZnS−In2O3、
ZnS−TiO2、ZnS−Cr2O3、ZnS−Zn
O、あるいは、ZnO、SiO2、Al2O3、Ta2
O5、SnO2、In2O3、TiO2、SnO2−I
n2O3、Cr2O3、ZnO−SiO2、Al2O3
−SiO2、Ta2O5−SiO2、SnO2−SiO
2、In2O3−SiO2、TiO2−SiO2、Sn
O2−In2O3−SiO2、Cr2O3−SiO2、
ZnO−Al2O3、Ta2O5−Al2O3、SnO
2−Al2O3、In2O3−Al2O3、TiO2−
Al2O3、SnO2−In2O3−Al2O3、Cr
2O3−Al2O3のいずれかの酸化物、上記材料の混
合物、上記材料の一部または全部を窒化物で置き換えた
ものいずれかよりなることを特徴とする1〜3のいずれ
に記載の情報記録媒体とする。 (6)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、前記記録膜の材料の95原子%以上がGe
-Sb-Teよりなることを特徴とする1〜3のいずれに記載
の情報記録媒体とする。 (7)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層と少なくとも1層の界面層を備え、前記界面層の少
なくとも1層の材料の95原子%以上がCr2O3, Cr−N,
Ge−N,Sn−N,Ge−O,またはこれらの材料の混合物、
SiO2, Al2O3、Ta2O5, Ta2O5とCr2O3またはCr−N, Ge−
N, Ge−Oの混合物、ZrO2, Y2O3, Cr2O3またはCr−N, Ge
−N, Ta2O5との混合物、CoO, Cr2O, NiO、AlN, BN, C
rN, Cr2N, GeN, HfN, Si3N4, Al-Si-N系材料、Si-N系
材料, Si-O-N系材料, TaN, TiN, ZrN,などの窒化物の
いずれかよりなることを特徴とする1〜3のいずれに記
載の情報記録媒体 (8)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層と、少なくとも1層の界面層を備え、前記界面層の
少なくとも1層の材料の95原子%以上がCr2O3よ
りなることを特徴とする1〜3のいずれに記載の情報記
録媒体とする。 (9)光の照射により原子配列が変化することによって
記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、前記各層を含む全積層膜の膜厚の合計が
150nm以下であることを特徴とする1〜3のいずれに
記載の情報記録媒体、とする。 (10)光の照射により原子配列が変化することによっ
て記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、組成の95原子%以上がSnO2または
Sn−O−Nからなる第2保護層と、反射層とを備えた
ことを特徴とする1〜3のいずれに記載の情報記録媒
体。 (11)光の照射により原子配列が変化することによっ
て記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを含む積層膜と、接着層を備え、前記反射層は、
80原子%以上の金属からなる2層以上の反射層であっ
て、前記基板表面から前記接着層までの距離が150n
m以下、かつ前記積層膜のそれぞれの膜厚がそれぞれ4
0nm以下であることを特徴とする1〜3のいずれに記
載の情報記録媒体。 (12)光の照射により原子配列が変化することによっ
て記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを含む積層膜を備え、前記基板表面から接着層ま
での距離が90nm以上150nm以下であることを特
徴とする1〜3のいずれに記載の情報記録媒体とする。 (13)光の照射により原子配列が変化することによっ
て記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体であっ
て、光照射側から、基板上に、10nm以上60nm以
下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層と、反
射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,窒化
物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からなり、
かつ前記第1保護層中に隙間があることを特徴とする情
報記録媒体。積層膜のトータル膜厚を150nm以下にす
ることも応力発生防止のために重要である。
【0011】第1保護層や他の層を薄くすると、光学的
に再生信号や反射率や吸収率を最適範囲に確保する対策
と、熱的に基板表面の温度上昇による膨張の悪影響を防
止し、熱拡散の変化による記録マーク周囲の再結晶化や
隣接トラック消去、読出し光による消去などを防止する
対策が必要になる。
【0012】本発明の相変化記録媒体を用いる記録装置
(光ディスクドライブ)の基本的な技術は下記のとおり
である。 (1ビームオーバーライト)相変化記録媒体は、オーバー
ライト(あらかじめ消去することなく重ね書きによって
情報の書換えを行うこと)により書換えを行うのが普通
である。図2にその原理を示した。高いレーザーパワー
で記録膜を融解させれば照射後急冷されて前の状態が結
晶でも非晶質でも非晶質状態の記録マークになり、中間
のレーザーパワーで融点以下の結晶化速度の速い温度ま
で加熱すれば、前に非晶質状態だったところは結晶状態
になる。元々結晶状態だったところはそのまま結晶状態
に留まる。DVD−RAMでは動画像を記録することが
多いと考えられるので、1度に長い情報を記録すること
になる。この場合、予め全部消去してから記録するので
は2倍時間がかかり、また、膨大なバッファーメモリー
が必要になる可能性もある。従ってオーバーライト可能
なことは必須の条件である。 (マークエッジ記録)DVD−RAMおよびDVD−RW
には高密度記録が実現できるマークエッジ記録方式が採
用されている。マークエッジ記録とは、記録膜に形成す
る記録マークの両端の位置をディジタルデータの1に対
応させるもので、これにより、最短記録マークの長さを
基準クロック1個でなく2〜3個分に対応させて高密度
化することもできる。DVD−RAMでは8-16変調方式
を採用しており、基準クロック3個分に対応させてい
る。図3に比較を示したように、円形記録マークの中心
位置をディジタルデータの1に対応させるマークポジシ
ョン記録に比べると、記録マークを極端に小さくしなく
ても高密度記録できるという長所がある。ただし、記録
マークの形状歪みが極めて小さいことが記録媒体に要求
される。 (フォーマット)図4に各セクターの始めのヘッダー部の
配置を示したように、DVD−RAMは1周を24のセ
クターに分割したフォーマットであるため、ランダムア
クセス記録が可能である。これらにより、パソコン内蔵
の記憶装置から、DVDビデオカメラ、DVDビデオレコ
ーダーまで、広い用途に用いることができる。 (ランド・グルーブ記録)DVD-RAMでは図5に示したよう
にトラッキング用の溝内と溝と溝の間の凸部の両方に記
録するランド・グルーブ記録によってクロストークを小
さくしている。ランド・グルーブ記録では、明暗(濃淡)
の記録マークに対して溝深さをλ/6n(λはレーザ波
長、nは基板の屈折率)付近にした時、ランドでもグル
ーブでも隣接トラックの記録マークが見えにくくなる現
象を利用しているので、4.7GB DVD-RAMの例ではトラッ
クピッチを0.615μmと狭くできている。記録マークとそ
れ以外の部分の位相差、すなわち再生信号の位相差成分
はクロストークが発生しやすくなる方向に働き,十分に
小さくなるように設計することが求められる。再生信号
の位相差成分はランドとグルーブの濃淡再生信号に逆位
相で足し合わされるので,ランドとグルーブの再生信号
レベルのアンバランスの原因ともなる。 (ZCLV記録方式)相変化記録媒体では、記録波形を変
えない場合、良好な記録再生特性を得るのに結晶化速度
に対応した最適線速度で記録するのが望ましい。しか
し、ディスク上の半径の異なる記録トラック間をアクセ
スする時、線速度を同じにするために回転数を変えるの
には時間がかかる。そこでDVD−RAMでは、図6に
示したように、アクセス速度が小さくならないようにデ
ィスクの半径方向を24のゾーンに分け、ゾーン内では
一定回転数とし、別のゾーンにアクセスしなければなら
ない時だけ回転数を変えるZCLV(Zoned Constant L
inear Velocity)方式を採用している。この方式では、
ゾーン内の1番内周のトラックと一番外周のトラックで
線速度が少し異なるので記録密度も少し異なるが、ディ
スク全域にわたってほぼ最大の密度で記録することがで
きる。本発明の記録媒体の技術は下記のとおりである。 (吸収率調整)4.7GB/面 媒体のような高線速度(8.2m/
s)媒体ではDVD-RAMの2.6GB/面(6m/s)のような低線速度
媒体では期待できる先行消去(光スポット照射により記
録膜が融解する領域より前方の300℃〜550℃の温度範囲
の帯状領域で記録マークが予め消去される現象)が十分
には期待できないため、記録マーク内外の吸収率比Ac/
Aaを0.8以上に保つことが必須である。吸収率調整を行
なうことにより、マークのエッジ位置を正確に記録する
ことが出来る。吸収率調整には反射層を薄くして低反射
率の記録マーク部分で記録膜の光吸収が多くならないよ
うに透過させてしまう方法が有る(山田 昇、赤平信
夫、西内健一、古川恵昭:高速オーバーライト相変化光
ディスク:電子情報通信学会 技術研究報告 MR92-7
1,CPM92-148 (1992) 37)。反射層は吸収率比調整かつ
コントラストを高く保つためにはCrやAlおよびこれ
らのいずれかを含む合金を用いる。この層は適度に光吸
収し、適度に光透過することにより、反射率の低い記録
マーク部分で記録膜を透過した光が反射層で反射されて
再び記録膜に吸収され、温度が上がり過ぎないように
し、Ac/Aaを1以上にすることができる。
【0013】高密度相変化光ディスクではトラックピッ
チが狭いことにより、隣接トラックにすでに書かれてい
る記録マークの一部が消去されるクロスイレーズと呼ば
れる現象に対する配慮が必要になるが、このクロスイレ
ーズを防止するには、上記の熱の縦方向拡散が重要であ
る。縦方向拡散により熱が隣接トラック方向に行きにく
くなることが1つの理由である。Ac/Aaが1より大
きければ隣接トラックの記録マーク部分の温度上昇が少
なくなり、クロスイレーズ防止の面でも良い方向に働
く。
【0014】クロスイレーズを防止するには再結晶化の
防止も重要である。図7に示したように、記録時の記録
膜融解後の周辺部からの再結晶化で非晶質記録マークと
して残る部分が狭まる場合は所定の大きさの記録マーク
を形成するのにより広い領域を融解させる必要が有り、
隣接トラックの温度が上昇しやすくなるからである。熱
が縦方向に拡散すれば再結晶化も防止できる。記録マー
ク形成時に中央部の熱が横方向に拡散して融解領域周辺
部の冷却が遅くなり、結晶化しやすくなるのを防げるか
らである。 (第1保護層)第1保護層とは、記録膜を保護するため
に基板と記録膜の間に設けられ、厚さが10nm以上の
積層膜である。多数回書換時における基板の劣化防止の
ためには、第1保護層にCとHを含むガス、CO2,C
S2,Ar,He、Ne、Kr,Xeのいずれかを含
み、保護層内にガスを含む又はガスが抜けた空間を有す
ることにより熱伝導率が低くし、基板へ熱を伝えにくく
基板温度が上がらないようにする必要がある。
【0015】また、量産性を良くするためにスパッタリ
ングを1チャンバで行なうためには60nm以下が好ま
しい。60nmより厚くなると、2チャンバ以上でスパ
ッタリングする必要があるため、量産スパッタリング装
置として普及している6チャンパの生産装置を使用する
ことができず、生産装置を2つ以上必要とするか、7チ
ャンバ以上の高価な生産装置が必要となり、生産コスト
が上昇するため好ましくない。第1保護層の屈折率は、
光学的にコントラストを大きくするために、屈折率nは
1.4以上1.9以下が好ましい。しかし屈折率が小さ
い材料は一般にスパッタレートが遅いため量産性の点か
らは1.6以上1.9以下が好ましい。消衰係数kは出
来るだけ0に近いことが好ましい。この層は10nm未
満だと基板と界面層の接着性が悪くなり、100回以上
の多数回書換時に膜剥がれが生じるため、これを防止す
るため10nm以上とすることが好ましい。
【0016】(界面層)4.7GB DVD-RAMでは記録膜の両
側に酸化物や窒化物の界面層を設けている(宮内 靖、
寺尾元康、広常朱美、宮本 真、徳宿伸弘:酸化物界面
層による相変化光ディスクの保護層・記録膜間相互拡散
の防止:応用物理学会講演予稿集 第3分冊、29p-ZK-1
2、(1998春) 1127)。(ZnS)80・(SiO2)20 保護層が両
側にある場合に比べて結晶核形成速度も結晶成長速度も
増大し、これにより結晶化速度が速くなる。4.7GB DVD-
RAM の例では消去パワーレベルよりパワーを下げない記
録波形を用いていることと、高密度化により前後に隣接
する記録パルスの記録トラック上での位置の差が小さく
なっていることにより、1つの記録パルスの照射後固化
しないうちに次の記録パルスが来ることから、記録膜の
物質移動(流動)が起こりやすい状況にある。この点を改
善するには記録膜を薄くして、両側の層への付着力の影
響を相対的に強めるのが有効であるが、そうすると結晶
核生成速度、結晶成長速度ともに低下して、非晶質記録マ
ークの部分的消え残りが生じるおそれがある。しかし、
例えば酸化物の両界面層を用いることにより、消え残り
発生のおそれが無くなる。窒化物も使用可能である(音
羽真由美、山田 昇、太田啓之、河原克巳:記録膜の両
側に窒化物層を有する相変化光ディスク: 応用物理学
会講演予稿集 第3分冊、29p-ZK-13(1998春)1128、お
よび N. Yamada, M. Otoba, K. Kawahara, N. Myagawa,
H. Ohta, N. Akahira and T. Matsunaga: Phase-chang
e optical disk having a nitride interface layer: J
pn. J. Appl. Phys.Part 1, 37 (1998) 2104)。
【0017】多数回書換えを実現するためには、上下の
ZnS・SiO2保護層からのZn,Sなどの記録膜中への拡散を
防止しなければならない。これにも界面層が効果があ
る。記録媒体は、最初の書換えで記録マークのエッジ位
置のゆらぎであるジッターが約1%上昇し、1000回
書き換えまで少しずつジッターが上がったり下がったり
するが、データエラーに全く問題が無い。また、加速寿
命試験の結果、記録されたデータの保存寿命は少なく見
積もっても10年以上であることがわかった。 (記録波形)記録波形と記録マーク形状との間には下記
のような関係がある。例えば4.7GB DVD−RAMで
は最短マーク長が0.42μmで線速度が8.2m/sであること
により、1つの記録マークを形成する記録パルスを複数
に分割するが、正確に記録マークを形成するために、熱
の蓄積防止よりも正確な加熱に重点を置き、図8に示し
たように、消去パワーレベルから下がる部分が少ない
か、全く無い記録波形としている。また、既に述べたよ
うに、記録マークを形成する最初のパルスと最後のパル
スの幅の適応制御も必要である(適応制御:注目するス
ペースの長さと前のマークの長さに応じて、前のマーク
を形成する最後のパルスの終わる位置と後のマークを形
成する最初のパルスの開始位置を調節する)。
【0018】高性能化技術をまとめると下記のようにな
る。 1. 狭トラックピッチ化に寄与する技術 ランド・グルーブ記録、吸収率調整、第1保護層の薄膜
化、反射層薄膜化 2. 狭ビットピッチ化に寄与する技術 マークエッジ記録、ZCLV記録方式、吸収率調整、界
面層、適応制御記録波形 3. 高速化に寄与する技術 1ビームオーバーライト、記録膜組成、吸収率調整、界
面層 上記のように1つの層が複数の役割を持ち、各層の機能
が複雑にからみあっている。第1保護層薄膜化による応
力低減もグルーブ変形を防いで狭トラックピッチ化に寄
与する。従って、積層膜の組み合わせや膜厚を最適に選
ぶことが高性能化のために極めて重要である。
【0019】
〔実施例1〕
(本発明の情報記録媒体の構成、製法)図1は、この発
明の第1実施例のディスク状情報記録媒体の断面構造図
を示す。この媒体は次のようにして製作された。
【0020】まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にト
ラックピッチが0.615ミクロンでランド・グルーブ記
録のトラッキング用の溝を有し、トラックセンターから
ずれた位置、すなわち、ほぼランドとグルーブの境界線
の延長線上にアドレス情報などを表すピット列を有する
ポリカーボネイト基板1上に、CHを含有する(Si
60(In35(SnOよりなる
第1保護層2を12nmの膜厚に形成した。次にCr
膜よりなる下部界面層3を膜厚2nmに形成、続い
てGeSbTeよりなる記録膜4を膜厚8nm,
SnOよりなる第2保護層5を32nm,Cr
90(Cr10よよりなる吸収率調整層6を3
3nm,Alよりなる反射層7を40nm、順次形成し
た。ただし、ここではCrと酸素の比が2:3から多少
ずれたもの、Siと酸素の比が1:2から多少ずれたも
のもCr2O3やSiO2と呼ぶ。多少のずれは、±2
0%以内を指し、2:3から多少ずれたものは、ここで
は2:2.4〜2:3.6の範囲を意味する。
【0021】このように本発明の情報記録媒体は6層以
下の積層膜から形成され、スパッタ装置のチャンバーが
6室以下の量産装置にて製膜を行なうことが出来る。
【0022】また、全膜厚は150nm以下と従来ディ
スクに比べて非常に量産性に優れている。
【0023】組成比はいずれも原子%(atomic
%)である。膜の形成はArガスを用いてマグネトロン
・スパッタリング装置により行った。第1保護層につい
ては、CHが10%含有されるArガスにてスパッタ
リングを行なった。こうして第1のディスク部材を得
た。
【0024】基板の反りは上記ディスクでは、上記積層
膜の製膜前後でほとんど変化しておらず,応力が発生し
ていない事を示した。
【0025】他方、全く同様の方法により、第1のディ
スク部材と同じ構成を持つ第2のディスク部材を得た。
その後,前記第1のディスク部材および第2のディスク部
材の膜表面に紫外線硬化樹脂による保護コート22を行
い,それぞれの紫外線硬化樹脂層同士を接着剤層を介し
て貼り合わせ、図1に示すディスク状情報記録媒体を得
た。第2のディスク部材の代わりに保護基板を用いても
よい。 (初期結晶化方法)前記のようにして製作したディスクの
記録膜に次のようにして初期結晶化を行った。ディスク
を記録トラック上の点の線速度が6m/sであるように回
転させ、スポット形状が媒体の半径方向に長い長円形の
半導体レーザ(波長約810nm)のレーザ光パワーを600m
Wにして基板1を通して記録膜4に照射した。スポットの
移動は、媒体の半径方向のスポット長の1/4ずつずらし
た。こうして、初期結晶化を行った。この初期結晶化は
1回でもよいが2回繰り返すと初期結晶化によるノイズ上
昇を少し低減できた。 (記録・消去・再生方法)上記記録媒体に対して情報記録
再生評価機により、情報の記録再生を行った。以下に本
情報記録再生評価機の動作を説明する。なお、記録再生
を行う際のモーター制御方法としては、記録再生を行う
ゾーン毎にディスクの回転数を変化させるZCAV(Zoned C
onstant Linear Velocity)方式を採用している。ディス
ク線速度は約8.2m/sである。
【0026】ディスクに情報を記録する際には、情報8
ビットを16ビットに変換する記録方式、いわゆる8-16変
調方式を用い記録が行われた。記録装置外部からの情報
は8ビットを1単位として、8-16変調器に伝送される。こ
の変調方式では媒体上に、8ビットの情報に対応させた3
T〜14Tの記録マーク長での情報の記録を行っている。な
お、ここでTとは情報記録時のクロックの周期を表して
おり、ここでは17.1nsとした。8-16変調器により変換さ
れた3T〜14Tのデジタル信号は記録波形発生回路に転送
される。上記記録波形発生回路内において、3T〜14Tの
信号を時系列的に交互に「0」と「1」に対応させ、
「0」の場合には中間パワーレベルのレーザパワーを照
射し、「1」の場合には高パワーパルス、またはパルス
列を照射するようにしている。高パワーパルスの幅を約
3T/2〜T/2とし、4T以上の記録マークを形成する際
は、複数の高パワーレベルのパルスより成るパルス列を
用い、パルス列のパルス間では幅が約T/2の低パワーレ
ベルのレーザー照射を行い、上記パルス列とパルス列の
間の記録マークを形成しない部分では中間パワーレベル
のレーザー照射が行われるマルチパルス記録波形が生成
される。この際、記録マークを形成するための高パワー
レベルを10mW、記録マークの消去が可能な中間パワーレ
ベルを4mW、中間パワーレベルより低い低パワーレベル
を4mWとした。このように低パワーレベルを中間パワー
レベルと同じにしても良いし、別のレベルにしてもよ
い。また、この際、光ディスク上の中間パワーレベルレ
ーザービームが照射された領域は結晶となり(スペース
部)、高パワーレベルのパルス列を照射された領域は非
晶質の記録マークに変化する。また、上記記録波形発生
回路内は、マーク部を形成するための一連の高パワーパ
ルス列を形成する際に、マーク部の前後のスペース部の
長さに応じてマルチパルス波形の先頭パルス幅と最後尾
のパルス幅を変化する方式(適応型記録波形制御)に対応
したマルチパルス波形テーブルを有しており、これによ
りマーク間に発生するマーク間熱干渉の影響を極力排除
できるマルチパルス記録波形を発生している。また、こ
の記録媒体の反射率は結晶状態の方が高く、記録され非
晶質状態になった領域の反射率が低くなっている。記録
波形発生回路により生成された記録波形は、レーザ駆動
回路に転送され、レーザ駆動回路はこの波形をもとに、
光ヘッド内の半導体レーザの出力パワーを変化させる。
本記録装置に搭載された光ヘッドには、情報記録用のエ
ネルギービームとして波長660nmのレーザビームを照
射することにより、情報の記録を行った。
【0027】以上の条件でマークエッジ記録を行った場
合、最短マークである3Tマークのマーク長は約0.42μ
m、最長マークである14Tマークのマーク長は約1.96μm
となる。記録信号には、情報信号の始端部、終端部に4T
マークと4Tスペースの繰り返しのダミーデータが含まれ
ている。始端部にはVFOも含まれている。
【0028】このような記録方法では、既に情報が記録
されている部分に対して消去することなく、重ね書きに
よって新たな情報を記録すれば、新たな情報に書き換え
られる。すなわち、単一のほぼ円形の光スポットによる
オーバーライトが可能である。
【0029】また、本記録装置はグルーブとランド(グ
ルーブ間の領域)の両方に情報を記録する方式(いわゆる
ランドグルーブ(L/G)記録方式)に対応している。本記録
装置ではL/Gサーボ回路により、ランドとグルーブに対
するトラッキングを任意に選択することができる。
【0030】記録された情報の再生も上記光ヘッドを用
いて行った。1mWのレーザービームを記録トラック上に
照射し、マークとマーク以外の部分からの反射光を検出
することにより、再生信号を得る。この再生信号の振幅
をプリアンプ回路により増大させ、8-16復調器で16ビッ
ト毎に8ビットの情報に変換する。以上の動作により、
記録された情報の再生が完了する。 (書換特性の評価)実施例1のディスクについて、3T
〜11Tがランダムに含まれる記録パターン(ランダム
パターン)を記録し、オーバーライト回数とジッターの
関係を調べたところ表1及び図9に示される結果が得ら
れた。
【0031】
【表1】 ジッターは、ランドとグルーブの平均値をクロックの周
期Tで割った値を記載した。比較例はオーバーライト3
00回でジッターが13%より増加するが、本実施例の
ディスクについてはオーバーライト1000回後もジッ
ターが13%以下であり、本実施例に記載の第1保護層
が基板劣化を防ぎ、書換可能回数向上に大きな効果があ
ることがわかる。 (記録膜の組成と膜厚)本実施例の記録膜の代わりに、
Ge2Sb2Te5,Ge7Sb4Te13,Ge4S
b2Te7,Ge5Sb2Te8,などのGeTeとS
b2Te3の混合組成、Ge20Sb24Te56などの、上
記混合組成に近い組成の記録膜、Ag2Ge21Sb21
Te56,Sn1.3Ge2.7Sb2Te7 などの、上記混合組
成に添加元素を加えた記録膜、およびそれに近い組成の
主成分がGe-Sb-Te系の記録膜を用いても同様の特性が得
られる。記録膜のいずれかの構成元素の含有量が上記の
組成から5原子%以上ズレた場合、結晶化速度が速過ぎ
て記録時の記録膜融解後の冷却中に再結晶化が起こり、
記録マーク形状が歪む、あるいは結晶化速度が遅過ぎて
消え残りが生ずるなどの問題点が起こった.従って、不
純物元素は5原子%未満であることが好ましい。より好
ましくは2原子%未満である。
【0032】膜厚が薄過ぎると消去時の結晶核形成が不
足し、また第1保護層の薄いディスクではコントラスト
が低くなり、再生信号強度も低下するので再生信号ジッ
ターが許容範囲を越えてしまう.記録膜膜厚が15nm
以上と厚過ぎると再結晶化領域が広くなりすぎるために
10回オーバーライトでジッターが12%を越えてしま
う。 (界面層の組成と膜厚)界面層のCr2O3は、ZnSの
記録膜中への拡散の防止、結晶化速度の向上という効果
がある。また、Arのみの雰囲気ガスで製膜できるこ
と、他の層との接着性が優れていること、などの長所が
有る.Cr2O3に代えて,あるいはCr2O3層との
2層にしてGe50Cr10N40などの組成の、Geまた
はSiを30原子%以上60原子%以下、Crを5原子
%以上20原子%以下含むGe−Cr−N系材料、ある
いはSi−Cr−N系材料、あるいはGe−Si−Cr
−N系材料、Ti60N40などのTi−N系材料,Ta55
N45などのTa−N系材料,Sn70N30などのSn
−N系材料などの窒化物を用いると、結晶化速度向上効
果が大きいが、書換え可能回数は10〜20%少なくなる。
線速度が10m/s以下では、SnO2などのSn酸化物
でも記録膜の結晶化速度の面で問題無い。Sn−O−N
でもよい。これらSnを含む材料の熱伝導率は比較的低
いため、界面層と保護層を兼ねさせ、単層化することも
可能であった。特にCrとGeの酸化物あるいは窒化物が60
mo1%以上含まれていると保存寿命が向上し、高温高湿の
環境に置かれても高性能を維持できる。また、GeN, GeO
などのGe含有組成は製膜時のスパッタレートが他に比べ
速いため、製造時のタクトタイムを短縮することができ
好ましい。ただし、材料費は比較的高価である。
【0033】記録膜と保護層との間に設ける界面層の材
料としては,Cr2O3, Cr−N, Ge−N,Sn−N,Ge−O,ま
たはこれらの材料の混合物、が好ましい。この中で、Cr
2O3とCr−Nは多数回書き換え時の反射率レベルの変動を
5%以下に押さえられ、ジッターを減少でき、より好まし
い。Cr2O3はさらに材料コストが安いという利点があ
る。Sn−Nは、さらに線速依存性が少ないという利点
があり、線速度8m/sから16m/sの範囲で消去比2
5dB以上が得られ、12m/s以上16m/s以下で
のオーバーライト後のジッタ上昇を4%以下にすること
が可能であるため、より好ましい。また、Sn-NなどのS
n化合物は、結晶化特性が良好でSnに対するN比が
0.1以上0.4以下がより好ましく、40原子%以下
であればO、Se,Teが混在していても結晶化特性の
劣化は見られなかった。Sが混合した場合は、結晶化特
性が劣化した。 これら元素の混在量が40原子%を越
えても70原子%以下であれば、結晶化速度はやや低下
するが、10m/s以上の高線速度の記録を行うのでな
ければ、問題は生じなかった。O,Se,Teのうちで
はOが最も好ましく、多数回書き換え時のSnの記録膜
中への拡散による反射率の変化や結晶化速度の低下を防
止する効果が有る。拡散防止効果は20原子%以上で見
られた。
【0034】次いで、SiO2, Al2O3、Ta2O5, Ta2O5とCr2
O3またはCr−N, Ge−N, Ge−Oの混合物、その次にZrO2,
Y2O3, Cr2O3またはCr−N, Ge−N, Ta2O5との混合物が
好ましい。CoO, Cr2O, NiOは初期結晶化時の結晶粒径が
均一になり、書き換え初期のジッター上昇が小さくより
好ましい。また,AlN, BN, CrN, Cr2N, GeN, HfN,Si3N
4, Al-Si-N系材料(例えばAlSiN2)、Si-N系材料, Si-
O-N系材料, TaN, TiN, ZrN,などの窒化物も接着カが大
きくなり、外部衝撃による情報記録媒体の劣化が小さ
く、より好ましい。
【0035】界面層は、膜厚1nm以上で多数回オーバ
ーライトでZnSが記録膜中へ拡散する悪影響が現れる
のを避ける効果及び接着性向上効果が有る。結晶化速度
向上効果を十分に得るには、膜厚3nm以上であるのが
望ましい.ただし、光入射側の界面層の場合、Cr2O
3では膜厚が2nmを越えると、この層の光吸収のため
に反射率が低下するなどの問題点が生じるために5nm
以下が望ましいが、上下の熱拡散のバランスをとるため
にやや厚め、例えば7nmとしてもよい。例えばGe−
Cr−Nのように吸収率がCr2O3より低い界面層で
は、もっと厚い膜厚としても問題無かった.しかしなが
ら、界面層材料はスパッタレートが遅いため、20nm
とすることが生産性の点から好ましく、10nm以下で
あるとより好ましい。
【0036】以上より、光入射側の界面層膜厚は1nm
以上8nm以下が好ましい。
【0037】また、界面層に接する保護層が酸化物また
は窒化物の場合には、保護層が結晶化速度向上効果を持
つので界面層は接着性向上の意味で用いられる。
【0038】これより、第1保護層が酸化物または酸化
・窒化物、窒化物の場合には、下部界面層膜厚は1nm
以上2nm以下が好ましい。この他、上部界面層、下部
界面層のCr203に代わる材料としては,Tiおよびその酸
化物も好ましい。
【0039】これらの中でSn−OあるいはSn−O−
N材料は、製膜速度が従来材料である(ZnS)80
(SiO2)20の約2倍と非常に早く、量産に適して
いる点でより好ましかった。また、混合材料中のSn−
OあるいはSn−O−N材料が全体の70mol%以上
であり、混合材料中のCr−O,Cr−O−N材料が全
体の70mol%以上であると、製膜速度が(ZnS)
80(SiO2)20の約1.5倍と速く、またSn−
OあるいはSn−O−N材料に比べて熱安定性が良く書
換え時の消去比の劣化が生じにくい。Cr−O,Cr−
O−N材料の代わりに、Mn−O,Mn−O−Nを使用
しても同様の効果が見られた。Sn−Gd−O、Sn−
Gd−NまたはSn−Gd−O−N材料,Sn−Bi−
O、Sn−Bi−NまたはSn−Bi−O−N材料,S
n−Zr−O、Sn−Zr−NまたはSn−Zr−O−
N材料も安定性が高いが、Sn−Cr−O、Sn−Cr
−O−N,Sn−Mo−O,Sn−Mn−O−Nに比べ
ると約1割スパッタレートが低い。また、Sn−Ge−
O、Sn−Ge−NあるいはSn−Ge−O−N材料を
用いると、記録膜との接着力が大きくなり、保存寿命が
向上した。Sn−Ge−O、Sn−Ge−N,Sn−G
e−O−N材料の代わりに、Sn−Mo−O,Sn−M
o−O−N材料を用いても同様の効果が得られた。
【0040】一方、Sn−In−O、Sn−In−Nま
たはSn−In−O−N材料,は電気抵抗が低く、DCス
パッタリングが可能という利点がある。InがSnより
多いとスパッタレートを2倍以上に上げることが可能で
あるが、500回以上書き換えると反射率変化が生じ
る。Sn−Zn−O、Sn−Zn−NまたはSn−Zn
−O−N材料もDCスパッタリングが可能であった。
【0041】Ge50Cr10N40などの組成の、Geま
たはSiを30原子%以上60原子%以下、Crを5原
子%以上20原子%以下含むGe−Cr−N系材料、あ
るいはSi−Cr−N系材料、あるいはGe−Si−C
r−N系材料、あるいはZnとOを主成分とする(合計
70原子%以上)材料では熱拡散率が低くできるので、
記録感度の低下も少ない.界面層構成元素に対する不純
物元素が5原子%以上になると、結晶化速度が低下し、
オーバーライト時のジッタ上昇が大きくなるため、不純
物元素は5原子%未満であることが好ましい。より好ま
しくは2原子%未満である。
【0042】これらの界面層材料、SnO2などのSn
−OあるいはSn−O−N材料、SnO2−SiO2,
SnO2−Si3N4,SnO2−SiO2−Si3N
4,などのSn−Si−O、Sn−Si−NあるいはS
n−Si−O−N材料,SnO2−Al2O3,SnO
2−AlN,SnO2−Al2O3−AlNなどのSn
−Al−O、Sn−Al−NまたはSn−Al−O−N
材料,SnO2−Cr2O3,SnO2−CrN,Sn
O2−Cr2O3−CrNなどのSn−Cr−O、Sn
−Cr−NまたはSn−Cr−O−N材料,SnO2−
Mn3O4,SnO2−Mn5N2,SnO2−Mn3
O4−Mn5N2などのSn−Mn−O、Sn−Mn−
NまたはSn−Mn−O−N材料,SnO2−Ta2O
5,SnO2−Ta2N,SnO2−Ta2O5−Ta
2NなどのSn−Ta−O、Sn−Ta−NまたはSn
−Ta−O−N材料,SnO2−GeO2,SnO2−
Ge3N4,SnO2−GeO2−Ge3N4,などの
Sn−Ge−O、Sn−Ge−NあるいはSn−Ge−
O−N材料,SnO2−TiO2,SnO2−Ti2
N,SnO2−TiO2−Ti2N,などのSn−Ti
−O、Sn−Ti−NあるいはSn−Ti−O−N材
料,SnO2−MoO3,SnO2−Mo2N−Mo
N,SnO2−MoO2−Mo2N−MoN,などのS
n−Mo−O、Sn−Mo−NあるいはSn−Mo−O
−N材料,SnO2−ZrO2,SnO2−ZrN,S
nO2−ZrO2−ZrN,などのSn−Zr−O、S
n−Zr−NあるいはSn−Zr−O−N材料,SnO
2−Co2O3,SnO2−Co2N,SnO2−Co
2O3−Co2NなどのSn−Co−O、Sn−Co−
NまたはSn−Co−O−N材料,SnO2−In2O
3,SnO2−In−N,SnO2−In2O3−Nな
どのSn−In−O、Sn−In−NまたはSn−In
−O−N材料,SnO2−ZnO,SnO2−Zn−
N,SnO2−ZnO−Zn−NなどのSn−Zn−
O、Sn−Zn−NまたはSn−Zn−O−N材料,S
nO2−Gd2O3,SnO2−Gd2N,SnO2−
Gd2O3−Gd2NなどのSn−Gd−O、Sn−G
d−NまたはSn−Gd−O−N材料,SnO2−Bi
2O3,SnO2−Bi2N,SnO2−Bi2O3−
Bi2NなどのSn−Bi−O、Sn−Bi−Nまたは
Sn−Bi−O−N材料,SnO2−Ni2O3,Sn
O2−Ni2N,SnO2−Ni2O3−Ni2Nなど
のSn−Ni−O、Sn−Ni−NまたはSn−Ni−
O−N材料,SnO2−Nb2O3,SnO2−Nb2
N,SnO2−Nb2O3−Nb2NなどのSn−Nb
−O、Sn−Nb−NまたはSn−Nb−O−N材料,
SnO2−Nd2O3,SnO2−Nd2N,SnO2
−Nd2O3−Nd2NなどのSn−Nd−O、Sn−
Nd−NまたはSn−Nd−O−N材料,SnO2−V
2O3,SnO2−V2N,SnO2−V2O3−V2
NなどのSn−V−O、Sn−V−NまたはSn−V−
O−N材料,あるいは、Sn−Cr−Si−O−N材料
やSn−Al−Si−O−N材料,Sn−Cr−Co−
O−N材料など上記材料を混合したもの、すなわちSn
と酸素または窒素を少なくとも含む材料はターゲットの
電気抵抗が低くてDCスパッタリング可能なので短いタ
クトタイムを実現することができ、本発明の膜構成ばか
りでなく、第1保護層厚さが60nmを越える記録媒体
における保護層や界面層、記録膜組成の異なる記録媒体
の保護層や界面層あるいは界面層兼保護層、膜構成の異
なる記録媒体の保護層や界面層あるいは界面層兼保護層
として用いても良好な相変化特性や多数回書換え特性が
得られる効果が有った。特に層数が7層以下の構成の、
および/または線速度10m/s以上で使用される記録媒
体で効果が大きかった。 (反射層の組成および膜厚)反射層は吸収率比調整かつコ
ントラストを高く保つためにはCrやAl、In,N
i,Mo,Pt,Pd,Ti,W,Ge,Sb,Biお
よびこれらのいずれかを含む合金または化合物を用い
る。合金あるいは化合物中のこれらの元素の含有量は50
原子%以上が好ましい。この層は適度に光吸収し、適度
に光透過することにより、反射率の低い記録マーク部分
で記録膜を透過した光が反射層で反射されて再び記録膜
に吸収され、温度が上がり過ぎないようにし、Ac/Aaを
1以上にすることができる。熱拡散を調節するためにA
u,Ag,Cu、Alのうちの少なくとも1元素との合
金にするのも再生信号品質向上に効果が有った。
【0043】高密度相変化光ディスクではトラックピッ
チが狭いことにより、隣接トラックにすでに書かれてい
る記録マークの一部が消去されるクロスイレーズと呼ば
れる現象に対する配慮が必要になるが、このクロスイレ
ーズを防止するには、上記の熱の縦方向拡散が重要であ
る。縦方向拡散により熱が隣接トラック方向に行きにく
くなることが1つの理由である。Ac/Aaが1より大
きければ隣接トラックの記録マーク部分の温度上昇が少
なくなり、クロスイレーズ防止の面でも良い方向に働
く。
【0044】クロスイレーズを防止するには再結晶化の
防止も重要である。図8に示したように、記録時の記録
膜融解後の周辺部からの再結晶化で非晶質記録マークと
して残る部分が狭まる場合は所定の大きさの記録マーク
を形成するのにより広い領域を融解させる必要が有り、
隣接トラックの温度が上昇しやすくなるからである。熱
が縦方向に拡散すれば再結晶化も防止できる。記録マー
ク形成時に中央部の熱が横方向に拡散して融解領域周辺
部の冷却が遅くなり、結晶化しやすくなるのを防げるか
らである。
【0045】反射層の材料としては、Cr,Cr−A
l,Cr−Ag,Cr−Au、Cr−Ge,Cr−T
i,CrまたはCr合金を主成分とするもの、ついでA
l−Ti,Al−Cr,Al−In等Al合金を主成分
とするもの、Ge−Cr,Ge−Si,Ge−Nが好ま
しい。この他、Co,Ni,Mo,Pt,W,Ge,S
b,Bi,Ag,Au,Cuを主成分とするものも使用
可能である。
【0046】Cr等以外の元素の含有量は、O.5原子%以
上20原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の
特性およびビットエラーレートが良くなり、1原子%以上
10原子%以下の範囲ではより良くなった。Cr中に20
原子%以下の酸素(O)を添加すると、膜剥がれが生じ
にくくなり好ましかった。Tiを添加しても同様の効果が
あった。
【0047】Al等以外の元素の含有量は、3原子%以上
20原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の特
性およびビットエラーレートが良くなり、5原子%以上
15原子%以下の範囲ではより良くなった。
【0048】Ge等以外の元素の含有量は、0原子%以
上80原子%以下の範囲にすると、多数回書き換え時の
特性およびビットエラーレートが良くなり、2原子%以
上50原子%以下の範囲ではより良くなった。
【0049】また、n,kが2.0以上、5.0以下、
kが−3.0以下、−5.5以上の範囲にある材料が第
2保護層膜厚が適当な膜厚でコントラスト比が大きくと
れかつ、記録膜における結晶状態の吸収率Acと非晶質
状態の吸収率Aaの吸収率比Ac/Aaを1以上に出
来、とても好ましい。また、ターゲットが安価でありか
つ熱伝導率が適度であり書き換え特性も良好である。
【0050】Ag-Pd, Ag-Cr, Ag-Ti, Ag-Pt, Ag-Cu , Ag
-Pd-Cu等Ag合金を主成分とするもの、次いでAu-Cr, Au-
Ti, Au-Ag, Au-Cu, Au-Nd等Au合金を主成分とするも
の,Cu合金を主成分とするものも、反射率が高く、再
生特性が良好であるが、Pt, Auは貴金属のため高価で
あり、Cr,Al、Co,Ni,Mo,Ag,W,G
e,Sb,Biに比ベコストが上がる場合がある。
【0051】反射層構成元素に対する不純物元素が10
原子%以上になると、熱伝導率の低下し、多数回書き換
え時のジッタ上昇が大きくなるため、不純物元素は10
原子%未満であることが好ましい。より好ましくは5原
子%未満である。
【0052】これより、反射層の膜厚は、10nm以上
60nm以下が好ましい.膜厚が薄過ぎると変調度が小
さくなるうえ、熱冷却も十分に行なわれないため多数回
書換時のジッター増加が生じる。また厚すぎると吸収率
比が小さくオーバライト時のジッタ増加が生じる上に、
基板の応力グルーブ変形の原因にもなる。 (第1保護層の組成および膜厚)第1保護層に添加物
は、CとHを含むガスが好ましい。添加方法としては、
ArガスにCH4を含む混合ガスを用いてスパッタリン
グすることによって、CH4または、CH4からH(水
素)が抜けた状態のCH3,CH2,CHなど、CとH
が添加されることにより多数回書換時の基板劣化を防止
できる。CH4の代わりに、Arガス中にC2H6、ま
たはC2H4などCとHからなるガスを含む混合ガス用
いてスパッタリングすることにより、第1保護層中にC
とHが添加されても同様な効果が得られた。第1保護層
材料に対して少なくとも0.1原子%以上添加されると
書換可能回数を向上する効果が得られた。
【0053】第1保護層には、ZnS−SiO2、Zn
S−Al2O3、ZnS−Ta2O5、ZnS−SnO
2、ZnS−In2O3、ZnS−TiO2、ZnS−
Cr2O3、ZnS−ZnO、あるいは、ZnO、SiO
2、Al2O3、Ta2O5、SnO2、In2O3、
TiO2、SnO2−In2O3、Cr2O3、ZnO
−SiO2、Al2O3−SiO2、Ta2O5−Si
O2、SnO2−SiO2、In2O3−SiO2、T
iO2−SiO2、SnO2−In2O3−SiO2、
Cr2O3−SiO2、ZnO−Al2O3、Ta2O
5−Al2O3、SnO2−Al2O3、In2O3−
Al2O3、TiO2−Al2O3、SnO2−In2
O3−Al2O3、Cr2O3−Al2O3等の酸化物
上記材料の混合物、上記材料の一部または全部を窒化物
で置き換えたものが使用可能であった。また、この層の
熱伝導率を第2保護層より高くすると、記録膜から上下
方向への熱拡散の対称性が増すのでランドとグルーブの
特性の対称性が増し、特にグルーブで起きやすいクロス
イレーズを防止する効果を有する。そのため、第1保護
層材料が酸化物、窒化物、酸窒化物含有量が50mol
%以上からなることが好ましい。
【0054】上記のうち、In2O3またはSnO2を
含む材料では、ターゲットの電気抵抗が低いためにDC
スパッタリングが可能で、短いタクトタイムを実現でき
るので特に好ましい。ZnOを含む材料でもZnOの含
有量が50mol%以下であればDCスパッタリングが
可能である。これら導電性第1保護層材料は、第1保護
層の膜厚が60nmを越える場合、たとえば100nm
とした場合に用いても従来のZnS−SiO2よりも好
ましい。
【0055】第1保護層が5nmなど極端に薄い時は、
100トラック以上の多数トラック、例えば1ゾーン全体
を多数回オーバーライトした時にアドレス信号の読出し
エラーや反射光量の低下として表れるグルーブ変形につ
いては,記録パワーレベルのレーザー光照射で温度上昇
することにより基板表面の膨張と分子間隔の広がりが起
こるためと考えられる。従って,第1保護層材料中、酸
化物を全体の50mol%以上とすると、熱伝導率が上
がり熱が基板側に行かないようになり,また硬さが増し
グルーブ変形を抑制することが出来好ましい。
【0056】また、この中ではZnOやIn2O3、S
nO2,SnO2−In2O3等、がスパッタレートを
速くすることが出来、量産性の点から好ましかった。Z
nO−SiO2、やSnO2−In2O3−SiO2、
はスパッタレートが上記に比べてやや遅いが、コントラ
ストは上記に比べて3%向上できた。ついでSiO2、
TiO2、もスパッタレートが速くでき、好ましかっ
た。In2O3−SnO2は(In2O3)83(Sn
O2)17及びこれに近い組成が、ターゲット価格が安
価でスパッタレートが大きく好ましい。
【0057】また、Ge50Cr10N40などのGe−C
r−N系材料や、Si50Cr10N40などのSi−Cr−
N系材料を用いることもできるが、スパッタレートがや
や低いために生産性はやや悪くなる。
【0058】第1保護層構成元素に対する不純物元素が
10原子%以上になると、コントラストが低下し、ジッ
タが大きくなるため、不純物元素は10原子%未満であ
ることが好ましい。より好ましくは5原子%未満であ
る。
【0059】第1保護層の好ましい膜厚は、光の干渉に
よる記録感度向上や結晶状態と非晶質状態とのコントラ
スト比を十分に得るため及び基板のグルーブ変形量を抑
えるために20nm以上60nm以下の範囲である。こ
の膜厚範囲では、500回以上の多数回書換時の基板変
形を抑制することが出来好ましい。
【0060】基板のグルーブ変形抑制のためには、第1
保護層の膜厚を制限し、製膜時に基板温度上昇が起こら
ないようにする必要がある。そこで、20nm以上、6
0nm以下の第1保護層を設ける。屈折率nは、光学的
にコントラストを大きくするために、1.6以上1.9
以下が好ましい。消衰係数kは出来るだけ0に近いこと
が好ましい。kが大きいと、コントラストが低下するた
めである。また、この層の熱伝導率が記録膜より1桁以
上高いことから、記録膜から上下方向への熱拡散の対称
性が増すのでランドとグルーブの特性の対称性が増し、
特にグルーブで起きやすいクロスイレーズを防止する効
果も有する。このような材料の例は(SiO2)70(I
n2O3)30などのSiO2−In2O3混合材料、
(SiO2)50(SnO2)50などのSiO2−SnO
2混合材料、(SiO2)50(ZnO)50などのSiO
2−ZnO混合材料、あるいは、さらにこれらの2者以
上を混合したもの、これらを部分的に窒化したものなど
である。ただし、この層の熱伝導率が高過ぎるとランド
のクロスイレーズが増大する。
【0061】記録膜を薄くすると反射率も低下するが、
反射率向上層によって救うことができる。しかしさらに
薄くすると結晶―非晶質の反射率差、従って再生信号強
度自体が小さくなるため、それ以上薄くすることはでき
ない。
【0062】この層は20nm未満だと500回以上の
多数回書換時に基板変形が生じるため、これを防止っす
るため20nm以上とすることが好ましい。 (第2保護層の組成および膜厚)第2保護層には、Sn
O2などのSn−OあるいはSn−O−N材料、SnO
2−SiO2,SnO2−Si3N4,SnO2−Si
O2−Si3N4,などのSn−Si−O、Sn−Si
−NあるいはSn−Si−O−N材料,SnO2−Al
2O3,SnO2−AlN,SnO2−Al2O3−A
lNなどのSn−Al−O、Sn−Al−NまたはSn
−Al−O−N材料,SnO2−Cr2O3,SnO2
−CrN,SnO2−Cr2O3−CrNなどのSn−
Cr−O、Sn−Cr−NまたはSn−Cr−O−N材
料、SnO2−Mn3O4,SnO2−Mn5N2,S
nO2−Mn3O4−Mn5N2などのSn−Mn−
O、Sn−Mn−NまたはSn−Mn−O−N材料,S
nO2−Ta2O5,SnO2−Ta2N,SnO2−
Ta2O5−Ta2NなどのSn−Ta−O、Sn−T
a−NまたはSn−Ta−O−N材料,SnO2−Ge
O2,SnO2−Ge3N4,SnO2−GeO2−G
e3N4,などのSn−Ge−O、Sn−Ge−Nある
いはSn−Ge−O−N材料,SnO2−TiO2,S
nO2−Ti2N,SnO2−TiO2−Ti2N,な
どのSn−Ti−O、Sn−Ti−NあるいはSn−T
i−O−N材料,SnO2−MoO3,SnO2−Mo
2N−MoN,SnO2−MoO2−Mo2N−Mo
N,などのSn−Mo−O、Sn−Mo−NあるいはS
n−Mo−O−N材料,SnO2−ZrO2,SnO2
−ZrN,SnO2−ZrO2−ZrN,などのSn−
Zr−O、Sn−Zr−NあるいはSn−Zr−O−N
材料,SnO2−Co2O3,SnO2−Co2N,S
nO2−Co2O3−Co2NなどのSn−Co−O、
Sn−Co−NまたはSn−Co−O−N材料,SnO
2−In2O3,SnO2−In−N,SnO2−In
2O3−NなどのSn−In−O、Sn−In−Nまた
はSn−In−O−N材料,SnO2−ZnO,SnO
2−Zn−N,SnO2−ZnO−Zn−NなどのSn
−Zn−O、Sn−Zn−NまたはSn−Zn−O−N
材料,SnO2−Gd2O3,SnO2−Gd2N,S
nO2−Gd2O3−Gd2NなどのSn−Gd−O、
Sn−Gd−NまたはSn−Gd−O−N材料,SnO
2−Bi2O3,SnO2−Bi―N,SnO2−Bi
2O3−Bi―NなどのSn−Bi−O、Sn−Bi−
NまたはSn−Bi−O−N材料,SnO2−Ni2O
3,SnO2−Ni―N,SnO2−Ni2O3−Ni
―NなどのSn−Ni−O、Sn−Ni−NまたはSn
−Ni−O−N材料,SnO2−Nb2O3,SnO2
−NbN,SnO2−Nb2O3−NbNなどのSn−
Nb−O、Sn−Nb−NまたはSn−Nb−O−N材
料,SnO2−Nd2O3,SnO2−NdN,SnO
2−Nd2O3−NdNなどのSn−Nd−O、Sn−
Nd−NまたはSn−Nd−O−N材料,SnO2−V
2O3,SnO2−VN,SnO2−V2O3−VNな
どのSn−V−O、Sn−V−NまたはSn−V−O−
N材料,あるいは、Sn−Cr−Si−O−N材料やS
n−Al−Si−O−N材料,Sn−Cr−Co−O−
N材料など上記材料を混合したものが、第2保護層とし
て使用可能であった。
【0063】これらの中でSn−OあるいはSn−O−
N材料は、製膜速度が従来材料である(ZnS)80
(SiO2)20の約2倍と非常に早く、量産に適して
いる点でより好ましかった。また、混合材料中のSn−
OあるいはSn−O−N材料が全体の70mol%以上
であると、製膜速度が(ZnS)80(SiO2)20
の約1.5倍と速く、混合材料中のCr−O,Cr−O
−N材料が全全体の70mol%以上であると、Sn−
OあるいはSn−O−N材料に比べて熱安定性が良く書
換え時の消去比の劣化が生じにくい。Cr−O,Cr−
O−N材料の代わりに、Mn−O,Mn−O−Nを使用
しても同様の効果が見られた。Sn−Gd−O、Sn−
Gd−NまたはSn−Gd−O−N材料,Sn−Bi−
O、Sn−Bi−NまたはSn−Bi−O−N材料,S
n−Zr−O、Sn−Zr−NまたはSn−Zr−O−
N材料も安定性が高いが、Sn−Cr−O、Sn−Cr
−O−N,Sn−Mo−O,Sn−Mn−O−Nに比べ
ると約1割スパッタレートが低い。また、Sn−Ge−
O、Sn−Ge−NあるいはSn−Ge−O−N材料を
用いると、記録膜との接着力が大きくなり、保存寿命が
向上した。Sn−Ge−O、Sn−Ge−N,Sn−G
e−O−N材料の代わりに、Sn−Mo−O,Sn−M
o−O−N材料を用いても同様の効果が得られた。
【0064】一方、Sn−In−O、Sn−In−Nま
たはSn−In−O−N材料,は電気抵抗が低く、DCス
パッタリングが可能という利点がある。InがSnより
多いとスパッタレートを2倍以上に上げることが可能で
あるが、500回以上書き換えると反射率変化が生じ
る。Sn−Zn−O、Sn−Zn−NまたはSn−Zn
−O−N材料もDCスパッタリングが可能であった。
【0065】Ge50Cr10N40などの組成の、Geま
たはSiを30原子%以上60原子%以下、Crを5原
子%以上20原子%以下含むGe−Cr−N系材料、あ
るいはSi−Cr−N系材料、あるいはGe−Si−C
r−N系材料、あるいはZnとOを主成分とする(合計
70原子%以上)材料では熱拡散率が低くできるので、
記録感度の低下も少ない.第2保護層の熱伝導率が大き
すぎると、記録時に熱が横に広がりクロスイレーズが発
生しやすくなるため、ZnS及び熱伝導率の大きい材料
(SiO2、Al2O3、Cr2O3、Ta2O5)の
混合材料の組成比はZnSが60mol%以上90mo
l以下が好ましい。SiO2より熱伝導率の小さい材料
(In2O3−SnO2、In2O3、TiO2,Zn
O,SnO2)と、ZnSを混合させた場合について
は、ZnSは50mol%以上85mol以下が好まし
かった。これらの範囲を外れ、熱伝導率が大きすぎると
クロスイレーズによるジッタ上昇が3%以上となる。ま
た、Ge50Cr10N40などのGe−Cr−N系材料
や、Si50Cr10N40などのSi−Cr−N系材料をS
iO2等熱伝導率の大きい酸化物の代わりに用いること
も出来るが、スパッタレートがやや低いために生産性は
やや悪くなる。
【0066】第2保護層構成元素に対する不純物元素が
10原子%以上になると、コントラストが低下し、ジッ
タが大きくなるため、不純物元素は10原子%未満であ
ることが好ましい。より好ましくは5原子%未満であ
る。
【0067】第2保護層膜厚とクロスイレーズによるジ
ッタ上昇及び初期化後の反射率の関係を調べたところ、
以下のようになった。
【0068】 第2保護層膜厚(nm) クロスイレーズによる 初期化後の反射率 ジッタ上昇(%) (%) 20 5 25 25 2 22 28 1.0 21 30 1.0 20 35 0.8 19 40 0.5 17 45 0.5 15 50 0.4 13 これより、オーバーライト特性が実用レベルになるには
クロスイレーズによるジッタ上昇が3%未満、かつ反射
率が15%以上必要なため、第2保護層の好ましい膜厚
は、25nm以上45nm以下の範囲、より好ましい範
囲は28nm以上40nm以下の範囲であった.光学的
には波長を屈折率で割った値の1/2の周期で、厚いと
ころでも同じ条件になるが、膜の応力による基板の変形
やクラックが発生するようになり、製膜時間も長くなる
ので不利である。なお、媒体の反射率が15%より低い
と、記録再生信号の変調度が低い、AFやトラッキング
が不安定となり、記録出来ない、再生出来ないなどの問
題が生じるため、15%以上が好ましい。こういった理
由等からDVD−RAM規格においても、反射率は15
%以上と決められている。(吸収率制御層) 前記吸収率制御層Cr90(Cr210膜中のC
rに代わる材料としては,Mo,W,Fe,Sb,M
n,Ti,Co,Ge,Pt,Ni,Nb,Pd,B
e,Taを用いると同様の結果が得られた。また、P
d,Ptは他の層との反応性が低く、書き換え可能回数
がさらに大きくなり、より好ましかった。Ni,Coを
用いると、他に比べ安価なターゲットを使用できるた
め、全体の製作費用を下げることができる。 Cr,M
oは耐食性が強く、寿命試験の結果が他に比べて良好だ
った。Tiも次いで耐食性が強く良好な特性が得られ
た。また、Tb,Gd,Sm,Cu,Au,Ag,C
a,Al,Zr,Ir,Hf等も使用可であった。
【0069】前記吸収率制御層Cr90(Cr2
10膜中のCr2に代わる材料としては,SiO2
SiO,Al23,BeO,Bi23,CoO,Ca
O,CeO2,Cu2O,CuO,CdO,Dy23,F
eO,Fe23,Fe34,GeO,GeO2,Hf
2,In23,La23,MgO,MnO,MoO2
MoO3,NbO,NbO2,NiO,PbO,PdO,
SnO,SnO2,Sc2 3,SrO,ThO2,TiO
2,Ti23,TiO,Ta25,TeO2,VO,V2
3,VO2,WO2,WO3,Y23,ZrO2,などの
酸化物,ZnS,Sb 23,CdS,In23,Ga2
3,GeS,SnS2,PbS,Bi23,SrS,M
gS,CrS,CeS,TaS4,などの硫化物、Sn
Se2,Sb2Se3,CdSe,ZnSe,In2
3,Ga2Se3,GeSe,GeSe2,SnSe,P
bSe,Bi2Se3などのセレン化物、CeF3,Mg
2,CaF2,TiF3,NiF3,FeF2,FeF3
どの弗化物、あるいはSi,Ge,TiB2,B4C,
B, CrB, HfB2, TiB2,WB,などのホウ
素化物,C,Cr32, Cr236, Cr73,Fe3
C,Mo 2C, WC,W2C, HfC, TaC,Ca
2,などの炭化物、Ta−N,AlN,BN,Cr
N,Cr2N,GeN,HfN,Si34,Al−Si
−N系材料(例えばAlSiN2)、Si−N系材料,
Si−O−N系材料,TiN,ZrN,などの窒化物ま
たは、上記の材料に近い組成のものを用いてもよい。ま
た、これらの混合材料でもよい。
【0070】これらの中では、酸化物を用いると他に比
べ安価なターゲットを使用できるため、全体の製作費用
を下げることができる。酸化物の中でも、 SiO2,T
25は反応性が低く、書き換え可能回数がさらに大き
くなり、好ましかった。Al23は熱伝導率が高いた
め、反射層および/または反射層がない構造のディスク
にした場合、他に比べて書き換え特性の劣化が少ない。
Cr23は融点が高い上、熱伝導率も高く好ましかっ
た。
【0071】また、硫化物を用いるとスパッタレートが
大きくでき、製膜時間が短縮できる。炭化物を用いる
と、吸収率制御層の硬度が増し、多数回書き換え時の記
録膜流動を抑制する働きも持つ。
【0072】金属元素および/または誘電体とも融点が
記録膜の融点(約600℃)より高いと、1万回書き換
え時のジッター上昇が小さくできる。両者の融点が60
0℃以上の場合,3%以下に抑制できよりこのましい。 (基板)本実施例では、表面に直接、トラッキング用の溝
を有するポリカーボネート基板1を用いている。また、
トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全面ま
たは一部に、記録・再生波長をλとしたとき、λ/10n`
(n'は基板材料の屈折率)以上の深さの溝を持つ基板であ
る。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割さ
れていてもよい。溝深さが約λ/6nの時、クロストーク
が小さくなり好ましいことが分かった。また、その溝幅
は場所により異なっていてもよい。内周ほど狭いと、多
数回書換えで問題が起きにくい。溝部とランド部の両方
に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、
どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも良
い。貼り合わせ前に前記第1および第2のディスク部材の
反射層上に紫外線硬化樹脂を厚さ約10μm塗布し,硬化後
に貼り合わせを行うと,エラーレートがより低くでき
る。本実施例では、2つのディスク部材を作製し、接着
剤層を介して、前記第1および第2のディスク部材の反射
層側7同士をはり合わせている。基板材料をポリカーボ
ネートからポリオレフィンが主成分の材料に変えると、
基板表面の固さが増し、熱による基板変形量が1割低減
され好ましい。しかし、材料費は2倍以上高くなった。 (生産タクト)実施例1の情報記録媒体について、積層
のタクトは、各膜のスパッタレートと積層膜厚で決定さ
れ、次のようになった。下記表では第1保護層中の添加
物については記載を省略した。 チャンバ 構成材料 膜厚(nm) 積層時間(s) 第1保護層 (SiO60(In35(SnO 12 4 界面層 Cr2O3 2 3 記録膜 Ge7Sb2Te4 10 6 第2保護層 SnO2 32 6 吸収率制御層 Cr90(Cr10 33 9 反射層 Al 40 12 これらの中で時間のかかっている層である、反射層を積
層時間12秒までに抑えるには、各層が40nm以下と
薄い必要がある。
【0073】このように本発明の情報記録媒体は各積層
膜の膜厚が40nm以下と薄いため、1層あたりの積層
タクトが短く、従来ディスクに比べて非常に量産性に優
れている。 [実施例2](比較例1) 実施例1のディスクと第1保護層のみ変えたディスク
(比較例1)を作製し、実施例1と同様の方法で多数回
書換時のジッターを測定したところ、表1に示されるよ
うにオーバーライト300回でジッターが13%以上に
増加した。
【0074】比較例1における第1保護層では、(Si
60(In35(SnOよりなる
第1保護層2を12nmの膜厚に形成した。製膜方法
は、Arガス雰囲気中でのスパッタリングを行なった。 [実施例3]実施例1のディスクと第1保護層のみ変え
たディスク(実施例3)を作製し、実施例1と同様の方
法で多数回書換時のジッターを測定したところ、実施例
1と同様に、1000回オーバーライト後のランダムパ
ターン記録時のジッターが13%以下に出来る効果が得
られた。
【0075】実施例3における第1保護層では、(Si
60(In35(SnOよりなる
第1保護層2を12nmの膜厚に形成した。製膜方法
は、Arガス中にCO2またはCS2を含む混合ガスを
用いてスパッタリングすることにより、第1保護層中に
CO2または、CS2が添加され、書換可能回数を向上
する効果が得られた。第1保護層材料に対して少なくと
も0.1原子%以上添加されると書換可能回数を向上す
る効果が得られた。CO2の添加の方が、生産に用いる
混合ガスが安価なため、全体の生産コストが押さえら
れ、より好ましかった。 [実施例4]実施例4における第1保護層では、(Si
60(In35(SnOよりなる
第1保護層2を12nmの膜厚に形成した。製膜方法
は、Arガス中にHe,Ne,Kr,Xeのいずれかを
含む混合ガスを用いる、またはArガス及び/または混
合ガスの流量を通常の2倍以上、例えば200sccm
以上にしてスパッタリングすることにより、第1保護層
中にAr,He,Ne,Kr,Xeのいずれかが添加さ
れ、書換可能回数を向上する効果が得られた。第1保護
層材料に対して少なくとも0.1原子%以上添加される
と書換可能回数を向上する効果が得られた。Arの添加
が、生産に用いるガスが安価なため、全体の生産コスト
が押さえられ、より好ましかった。 [実施例5]実施例5における第1保護層では、((S
iO60(In35(SnOよりな
る第1保護層2を12nmの膜厚に形成した。製膜方法
は、Arガス中にHe,Ne,Kr,Xeのいずれかを
含む混合ガスを用いる、またはArガス及び/または混
合ガスの流量を通常の2倍以上、例えば200sccm
以上にしてスパッタリングすることにより、第1保護層
中にAr,He,Ne,Kr,Xeのいずれかが添加さ
れた後に、加熱または減圧により添加したガスを抜き空
隙を形成した。スパッタリングに使用するガスは上記ガ
ス以外に、実施例1,3,4に記載のC,Hを含む混合
ガス、CO2またはCS2を含む混合ガス等を用いても
よい。空隙の頻度としては、10000原子中に少なく
とも数〜10原子程度の空隙が1個以上形成されれば書
換可能回数向上の効果を発生する。
【0076】ArガスにCH4を含む混合ガスを用いて
スパッタリングすることによって、CH4または、CH
4からH(水素)が抜けた状態のCH3,CH2,CH
など、CとHが添加されることにより多数回書換時の基
板劣化を防止できる。CH4の代わりに、Arガス中に
C2H6、またはC2H4などCとHからなるガスを含
む混合ガスを用いてスパッタリングすることにより、第
1保護層中にCとHが添加されても同様な効果が得られ
た。
【0077】第1保護層とは、記録膜を保護するために
基板と記録膜の間に設けられ、厚さが10nm以上の積
層膜である。多数回書換時における基板の劣化防止のた
めには、第1保護層にCとHを含むガス、CO2,CS
2,Ar,He、Ne、Kr,Xeのいずれかを含み、
保護層内にガスを含む又はガスが抜けた空間を有するこ
とにより熱伝導率が低くし、基板へ熱を伝えにくく基板
温度が上がらないようにする必要がある。
【0078】第1保護層に添加物は、CとHを含むガス
が好ましい。添加方法としては、ArガスにCH4を含
む混合ガスを用いてスパッタリングすることによって、
CH4または、CH4からH(水素)が抜けた状態のC
H3,CH2,CHなど、CとHが添加されることによ
り多数回書換時の基板劣化を防止できる。CH4の代わ
りに、Arガス中にC2H6、またはC2H4などCと
Hからなるガスを含む混合ガス用いてスパッタリングす
ることにより、第1保護層中にCとHが添加されても同
様な効果が得られた。 [実施例5](比較例2)実施例1のディスクと第1保護
層膜厚のみ変え、従来ディスクの膜厚としたディスク
(比較例2)を作製し、生産時間の比較を行なった。 (生産タクト)比較例2の情報記録媒体について、積層
のタクトは、各膜のスパッタレートと積層膜厚で決定さ
れ、次のようになった。下記表では第1保護層中の添加
物については記載を省略した。 チャンバ 構成材料 膜厚(nm) 積層時間(s) 第1保護層−1 (SiO60(In35(SnO 61 21 第1保護層−2 (SiO60(In35(SnO 61 21 界面層 Cr2O3 2 3 記録膜 Ge7Sb2Te4 10 6 第2保護層 SnO2 32 6 吸収率制御層 Cr90(Cr10 33 9 反射層 Al 40 12 積層時間が20秒を越える場合、第1保護層材料を2つ
以上のチャンバにて製膜するためチャンバ数が7つ以上
必要になり、生産設備が高くなり生産コストが急激に上
昇する。これらの中で時間のかかっている層である、第
1保護層を積層時間20秒までに抑えるには、第1保護
層が60nm以下と薄い必要がある。さらに12秒まで
に抑えるには各層が40nm以下と薄い必要がある。
【0079】このように本発明の情報記録媒体は各積層
膜の膜厚が40nm以下と薄いため、1層あたりの積層
タクトが短く、従来ディスクに比べて非常に量産性に優
れている。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると高
密度の記録・再生において良好な記録・再生特性を保持
し、プロセスマージンが大きくて、低価格の製造装置を
使用でき、材料費、量産性に優れ、応力が小さく、多数
回書換においても良好な記録・再生特性を有する情報記
録用媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による情報記録媒体の一例の断面模式
図。
【図2】オーバーライト原理説明図。
【図3】マークポジション記録とマークエッジ記録の説
明図。
【図4】基板のフォーマットのヘッダー部概略図。
【図5】基板のフォーマット概略図。
【図6】基板のフォーマットのゾーン配置概略図。
【図7】記録膜再結晶化領域概略図。
【図8】記録波形の適応制御とマーク長の関係の概略
図。
【図9】比較例による情報記録媒体の一例の断面模式
図。
【図10】本発明及び比較例のオーバーライト特性の比
較。
【符号の説明】
1, 1′…基板、2,2′…第1保護層、3,3′…
界面層、4,4′…記録膜、5,5′…第2保護層、
6,6′…吸収率調整層、7、7‘…反射層、8…接着
層、9,9′…保護基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 G11B 7/24 534N 535 535G 535H (72)発明者 西 佳子 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 安藤 圭吉 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 安齋 由美子 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5D029 LA01 LA12 LA14 LA15 LA16 LA17 LB01 LB02 LB07 LB11 MA28

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,
    窒化物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からな
    り、かつ前記第1保護層中はC(炭素)及びH(水素)
    を含有することを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,
    窒化物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からな
    り、かつ前記第1保護層中はCO2、CS2のいずれか
    を含有することを特徴とする情報記録媒体。
  3. 【請求項3】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,
    窒化物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からな
    り、かつ前記第1保護層中はAr,He,Ne,Kr,
    Xeを含有することを特徴とする情報記録媒体。
  4. 【請求項4】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、前記第1保護層の材料の90原子%以上が、Z
    nS−SiO2、ZnS−Al2O3、ZnS−Ta2
    O5、ZnS−SnO2、ZnS−In2O3、ZnS
    −TiO2、ZnS−Cr2O3、ZnS−ZnO、ある
    いは、ZnO、SiO2、Al2O3、Ta2O5、S
    nO2、In2O3、TiO2、SnO2−In2O
    3、Cr2O3、ZnO−SiO2、ZnO−In2O
    3、Al2O3−SiO2、Ta2O5−SiO2、S
    nO2−SiO2、In2O3−SiO2、TiO2−
    SiO2、SnO2−In2O3−SiO2、Cr2O
    3−SiO2、ZnO−Al2O3、Ta2O5−Al
    2O3、SnO2−Al2O3、In2O3−Al2O
    3、TiO2−Al2O3、SnO2−In2O3−A
    l2O3、Cr2O3−Al2O3の何れかの酸化物、
    上記材料の混合物、上記材料の一部または全部を窒化物
    で置き換えたものいずれかよりなることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれに記載の情報記録媒体。
  5. 【請求項5】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、前記第2保護層の材料の90原子
    %以上が、ZnS−SiO2、ZnS−Al2O3、Z
    nS−Ta2O5、ZnS−SnO2、ZnS−In2
    O3、ZnS−TiO2、ZnS−Cr2O3、ZnS
    −ZnO、あるいは、ZnO、SiO2、Al2O3、
    Ta2O5、SnO2、In2O3、TiO2、SnO
    2−In2O3、Cr2O3、ZnO−SiO2、Al
    2O3−SiO2、Ta2O5−SiO2、SnO2−
    SiO2、In2O3−SiO2、TiO2−SiO
    2、SnO2−In2O3−SiO2、Cr2O3−S
    iO2、ZnO−Al2O3、Ta2O5−Al2O
    3、SnO2−Al2O3、In2O3−Al2O3、
    TiO2−Al2O3、SnO2−In2O3−Al2
    O3、Cr2O3−Al2O3のいずれかの酸化物、上
    記材料の混合物、上記材料の一部または全部を窒化物で
    置き換えたものいずれかよりなることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれに記載の情報記録媒体。
  6. 【請求項6】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、前記記録膜の材料の95原子%以
    上がGe-Sb-Teよりなることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれに記載の情報記録媒体。
  7. 【請求項7】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層と少なくとも1層の界面層を備え、前記界面
    層の少なくとも1層の材料の95原子%以上がCr2O3, C
    r−N, Ge−N,Sn−N,Ge−O,またはこれらの材料の混
    合物、SiO2, Al2O3、Ta2O5, Ta2O5とCr2O3またはCr−
    N, Ge−N, Ge−Oの混合物、ZrO2, Y2O3, Cr2O3またはCr
    −N, Ge−N, Ta2O5との混合物、CoO, Cr2O, NiO、Al
    N, BN, CrN, Cr2N, GeN, HfN, Si3N4, Al-Si-N系材
    料、Si-N系材料, Si-O-N系材料, TaN, TiN, ZrN,など
    の窒化物のいずれかよりなることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれに記載の情報記録媒体。
  8. 【請求項8】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層と、少なくとも1層の界面層を備え、前記界
    面層の少なくとも1層の材料の95原子%以上がCr2
    O3よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれに
    記載の情報記録媒体。
  9. 【請求項9】光の照射により原子配列が変化することに
    よって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体で
    あって、光照射側から、基板上に、10nm以上60n
    m以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、前記各層を含む全積層膜の膜厚の
    合計が150nm以下であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれに記載の情報記録媒体。
  10. 【請求項10】光の照射により原子配列が変化すること
    によって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体
    であって、光照射側から、基板上に、10nm以上60
    nm以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、組成の95原子%以上がSnO2
    またはSn−O−Nからなる第2保護層と、反射層とを
    備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれに記載の
    情報記録媒体。
  11. 【請求項11】光の照射により原子配列が変化すること
    によって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体
    であって、光照射側から、基板上に、10nm以上60
    nm以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを含む積層膜と、 接着層を備え、 前記反射層は、80原子%以上の金属からなる2層以上
    の反射層であって、 前記基板表面から前記接着層までの距離が150nm以
    下、かつ前記積層膜のそれぞれの膜厚がそれぞれ40n
    m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれに
    記載の情報記録媒体。
  12. 【請求項12】光の照射により原子配列が変化すること
    によって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体
    であって、光照射側から、基板上に、10nm以上60
    nm以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを含む積層膜を備え、 前記基板表面から接着層までの距離が90nm以上15
    0nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れに記載の情報記録媒体。
  13. 【請求項13】光の照射により原子配列が変化すること
    によって記録を行う、多数回書換え可能な情報記録媒体
    であって、光照射側から、基板上に、10nm以上60
    nm以下の膜厚の第1保護層と、記録膜と、第2保護層
    と、反射層とを備え、かつ、前記第1保護層が酸化物,
    窒化物、硫化物のいずれかまたはこれらの混合物からな
    り、かつ前記第1保護層中に隙間があることを特徴とす
    る情報記録媒体。
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