JP2003335063A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2003335063A
JP2003335063A JP2002145777A JP2002145777A JP2003335063A JP 2003335063 A JP2003335063 A JP 2003335063A JP 2002145777 A JP2002145777 A JP 2002145777A JP 2002145777 A JP2002145777 A JP 2002145777A JP 2003335063 A JP2003335063 A JP 2003335063A
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Hiroshi Tabata
浩 田畑
Osamu Kobayashi
理 小林
Naoyuki Kubo
尚之 久保
Masashi Yoshikawa
正志 吉川
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低線速度から高線速度の幅広い線速域で、記
録ストラテジの影響が小さく、さらに良好な記録特性を
保つことができる光記録媒体を提供する。 【解決手段】 基板1上に少なくとも、第1保護層2、
記録層3、第2保護層4、反射層5を順次積層した構成
の光記録媒体Aであって、前記記録層3は(Sb x
yaGebIncAgdからなり、かつ前記記録層3を
構成する各原子比は、2.5≦x/y≦3.5、0.8
5≦a≦0.95、0.03≦b≦0.1、0.005
≦c≦0.05、0.001≦d≦0.03、但し、a
+b+c+d=1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射によって
情報の記録、消去、再生を行う光記録媒体に関するもの
である。特に本発明では、低線速から高線速にかけて幅
広い記録速度において、記録ストラテジの影響が小さ
く、良好な記録特性が得られ、かつ良好な高線速での多
数回オーバーライト記録特性を可能とする光ディスク、
光カードなどの書き換え可能な相変化型光記録媒体であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の書き換え可能な相変化型光記録媒
体の技術は以下の通りである。即ち、相変化型光記録媒
体は、記録または消去、再生の各パワーを有するレーザ
光が照射される面を有する基板上に、誘電体層、記録
層、誘電体層、反射層を少なくとも順次積層した構成の
光記録媒体である。この相変化型光記録媒体は、記録時
にレーザ光パルスが記録層に印加(照射)されることに
よって、記録層が溶融され、急冷されることにより、非
結晶の記録マークを形成する。この記録マークの反射率
は、記録層が結晶状態である場合より低く、この記録マ
ークを光学的に記録情報として読み取ることが可能であ
る。この記録マークを消去する場合、記録パワーより小
さなパワーのレーザ光を照射することにより、記録層を
結晶化温度以上融点以下の温度にし、非結晶状態から結
晶状態にすることによって記録マークを消去し、オーバ
ーライト可能としている。
【0003】こうした記録層の材料としては、Ge−S
b−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金などが速い
結晶化速度の点から好まれている。これらの記録材料を
用いてなる記録層を使用した光記録媒体では、通常記録
層の両面に耐熱性と透過性を兼ね備えた誘電体層をそれ
ぞれ設けており、記録時の記録層の変形、開口を防いで
いる。
【0004】さらに、誘電体層がZnS成分を含んでい
る材料の場合では、Sの記録層への浸透を防ぐために、
記録層の片面、または両面に窒化物などの界面層を挿入
しているものもある。また、レーザ光入射方向と反対側
の誘電体層の上にAl、Agなどを主成分とした金属反
射層を積層し、高い反射率を可能とした技術が知られて
いる。
【0005】ところで、近年の相変化型記録媒体は記録
密度が高いために、その記録速度の高速化が要求されて
おり、それと同時に低線速記録互換性の点から広域線速
化(マルチスピード化)も要求されている。従来の高線
速化は記録層中のSb量を多くするなどの手法によっ
て、結晶化転移速度を向上させ高線速オーバーライト可
能としていた。しかしこのように単純に結晶化速度を向
上させ高線速記録に対応した相変化型記録媒体を用いて
低線速記録を行なう場合、記録層の結晶化度が高くなっ
た為に非結晶マークが消えやすくなる。このため、非結
晶マークを形成するために照射するレーザ光を所定の態
様でパルス変調する記録ストラテジは、標準記録ストラ
テジを示す書込みパルス(図3(c))から高結晶化ス
トラテジを示す書込みパルス(図3(d))のように、
記録パルス幅の大きな変更が必要であった。具体的に
は、先頭パルス(Ttop)7のパルス幅0.5周期
(T),マルチパルス(Tmp)8のパルス幅0.4T,冷
却パルス(Tc)9のパルス幅0.6T(図3(c))から
先頭パルス7のパルス幅0.4T,マルチパルス8のパ
ルス幅0.2T,冷却パルス9のパルス幅1.3T(図
3(d)))。因みに、図3(a)は相変化型光記録媒体
の4Tマークの高結晶化ストラテジでの記録パルス系
列、図3(b)は先頭パルス7のパルス幅0.5T,マ
ルチパルス8のパルス幅0.5T,冷却パルス9のパル
ス幅0.5Tの記録ストラテジを示す書込みパルスであ
る。
【0006】実際に、高線速化させた記録媒体の低線速
記録では、高結晶化ストラテジでしか良好な記録特性が
得られず、標準記録ストラテジでは記録ができない、ま
たは記録特性が著しく低下するなどの高線速化の弊害が
現れた。このような実状から、低線速記録時に高結晶化
ストラテジを使用することにより、高線速化した媒体の
低線速記録特性を維持し広域線速化を可能とする手段も
検討された。しかし一方、繰り返し記録可能なデジタル
多用途ディスク(以下「DVD−RW」と記す)のVe
r1.0規格のように、低線速記録時に図3(c)の標
準記録ストラテジを必須とした場合には、標準記録スト
ラテジの縛りから結晶化速度を上げることができず高線
速化させるのは難しかった。ここで低線速記録時に標準
記録ストラテジで良好な記録特性が得られる記録媒体で
は、高線速記録での特性が良くなかった。このように相
変化型記録媒体の記録時における広域線速化において、
標準記録ストラテジでの低線速記録と高線速記録特性の
両立、つまり記録ストラテジ非依存型の広域線速化は難
しかった。
【0007】ここで従来の相変化型光記録媒体における
記録ストラテジ非依存型の広域線速化における問題点
は、具体的には以下のようなものである。即ち、Ge−
Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金を記録層
に用いた光記録媒体では、広域線速化(例えばDVD規
格の1〜2倍速(1倍速:3.49m/s))にした場
合、低線速記録において標準記録ストラテジで良好に記
録できない、または広域線速記録で安定した良好な記録
ができないことが課題であった。実際には、Ge−Sb
−Te合金の記録層を用いた場合では、高線速化させて
も標準記録ストラテジで特性がよくなる傾向であった
が、記録速度全域においてジッタが良くないことと高線
速記録時のオーバーライト特性に問題があった。
【0008】また、Ag−In−Sb−Te合金を記録
層に用いた場合では、ジッタや高線速記録時のオーバー
ライト特性は良かったが、記録ストラテジマージンが狭
く、標準記録ストラテジの低線速記録と高線速化の両立
が難しかった。また、Ag−In−Sb−Te合金では
Sb量を多くし高線速化組成にするほど、非結晶の記録
マークの結晶化が起こりやすくなり、再生光劣化や高温
環境下の劣化が激しいというデメリットもあった。
【0009】また以下の公報では、前述のGe−Sb−
Te合金に添加元素を加えることにより、高線速記録で
は安定した特性を得たものもあるが、記録ストラテジ非
依存型の広域線速化はできていない。即ち、特開平10
−112063号公報に記載された光学的情報記録媒体
では、記録膜層組成にGe−Sb−Te合金にAgを加
えた組成系にしており、これは消去率が十分ではなく高
線速記録でのオーバーライト特性は十分ではなかった。
また特開2000−313170号公報に記載された光
学的情報記録媒体の記録膜層組成はGe−Sb−Te合
金にInを加えた組成系にしており、これは記録ストラ
テジ非依存型の広域線速化はできていたが、実際にジッ
タ特性が十分ではなかった。
【0010】さらに特許第3150267号公報に記載
された光記録媒体では高線速化を目的としているが、記
録ストラテジ非依存型の広域線速化できることが極一部
しかないものであった。具体的には、特許第31502
67号公報に記載された光記録媒体の記録膜層組成で
は、Ag−In−Sb−Te合金に添加元素を混ぜたG
e(またはSi)−Ag−In−Sb−Te合金の5元
素系であり、基板上に相変化型の記録層を有し、この記
録層は下記式で表わされる主成分を含有する光記録媒体
である。 [(Aabc1-dd1-ee (ここで、AはAgおよび/またはAuであり、BはS
bおよび/またはBiであり、CはTeおよび/または
Seであり、DはInであるか、InならびにAlおよ
び/またはPであり、EはSi、Ge、SnおよびPb
から選択される少なくとも1種の元素である。またa、
b、c、dおよびeは原子比を表わし、0.001≦a
≦0.20、0.40≦b≦0.90、0.10≦c≦
0.50、a+b+c=1、0<d≦0.06、0.0
01≦e≦0.10 である。)
【0011】前記した記録層がM(MはTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Mn、WおよびMoから選択され
る少なくとも1種の元素である)を含み、記録層中のM
の比率が5原子%以下である光記録媒体である。ここで
は高線速記録を可能としているが、記録ストラテジ非依
存型の広域線速化できているのは極一部の範囲であり、
実施例では[(AgaSbbTec1-dInd1-eSie
(ここで、a=0.123、b=0.544、c=0.
333、d=0.05、e=0.017)であり、この
例では問題とする広域線速化できなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の相変化型記録媒体は、記録速度の広域線速化(マルチ
スピード化)において、標準記録ストラテジを用いての
低線速から高線速に亘るそれぞれの記録速度における記
録特性を常時良好とすることが出来ない、つまり記録ス
トラテジ非依存型の広域線速化の記録は難しかった。具
体的には従来の相変化型記録媒体は、低線速から高線速
に亘って満遍なく、記録ストラテジの影響が小さく、良
好な記録特性が得られ、また高線速における記録の際に
は多数回のオーバーライトを行なっても常時記録特性を
良好に維持することができないという問題があった。
【0013】そこで本発明は、前記した問題を解決する
ために創案されたものであり、基板上に少なくとも、第
1保護層、記録層、第2保護層、反射層を順次積層した
構成の光記録媒体であって、前記記録層は(Sbx
yaGebIncAgdからなり、かつ前記記録層を構
成する各原子比は、2.5≦x/y≦3.5、0.85
≦a≦0.95、0.03≦b≦0.1、0.005≦
c≦0.05、0.001≦d≦0.03、但し、a+
b+c+d=1とすることにより、記録速度の広域線速
化(マルチスピード化)において、標準記録ストラテジ
を用いての低線速から高線速に至るそれぞれの記録速度
における記録特性を常時良好とし、つまり記録ストラテ
ジ非依存型の広域線速化の記録を達成することが出来、
低線速から高線速に亘って満遍なく、記録ストラテジの
影響が小さく、良好な記録特性が得られ、また高線速に
おける記録の際には多数回のオーバーライトを行なって
も常時記録特性を良好に維持することができる光記録媒
体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、次の構成(1)〜(4)を有する光記録
媒体を提供する。 (1) 図1に示すように、基板1上に少なくとも、第1
保護層2、記録層3、第2保護層4、反射層5を順次積
層した構成の光記録媒体Aであって、前記記録層3は、
(SbxTeyaGebIncAgdからなり、かつ前記記
録層3を構成する各原子比は、 2.5≦x/y≦3.5、 0.85≦a≦0.95、 0.03≦b≦0.1、 0.005≦c≦0.05、 0.001≦d≦0.03、 但し、a+b+c+d=1 であることを特徴とする光記録媒体。 (2) 前記記録層3は、更にM(MはV、Cr、Ti、
Alから選ばれる少なくとも1種の元素である)を含
み、かつ前記記録層3中のMの比率が3原子%以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。 (3) 前記反射層5は、Agを主成分としかつPd、C
u、Ni、Ndから選ばれる少なくとも一種の添加元素
を含んでなり、かつ前記反射層に対する前記添加元素の
合計の比率が5原子%以下であることを特徴とする請求
項1または請求項2記載の光記録媒体。 (4) 前記基板1は螺旋状または同心円状の溝を有し、
かつ前記溝の深さdgが、20nm≦dg≦30nmであ
ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか
1記載の光記録媒体。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様につき
その好ましい実施例について、図1、図2を用いて説明
する。図1は本発明の光記録媒体の一実施例を示す部分
拡大縦断面図、図2は本発明の実施例1〜実施例8と比
較例1〜比較例7とを比較した比較表である。
【0016】(光記録媒体の構成)本発明の光記録媒体A
は、図1に示すように、基板1上に第1保護層2、記録
層3、第2保護層4、反射層5、保護膜6を順次積層し
たものを基本構成とする。ここで記録又は再生用レーザ
光は基板1の入射面1a側から照射される(照射方向
L)。本発明の光記録媒体Aとしては、DVD−RWな
どの相変化型光ディスク、光カードなどの繰り返し情報
をオーバーライト可能な媒体が挙げられる。なお以下の
説明においては本発明の実施例として相変化型光ディス
クについて説明するが、これ以外の光カード等の同様な
構成を有する光記録媒体についても本発明を適用可能で
あることは言うまでもない。
【0017】前記した基板1の材料としては、透明な各
種の合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。埃、基板
1の傷などの影響を避けるために、透明な基板1を用
い、集光したレーザ光で基板1側から記録をすることが
好ましく、このような透明基板1の材料として、ガラ
ス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリレート、
ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂な
どが挙げられる。特に、光学的複屈折、吸湿性が小さ
く、成形が容易であることからポリカーボネイト樹脂が
好ましい。
【0018】上記基板1の厚さは、特に限定するもので
はないが、デジタル多用途ディスク(以下「DVD」と
記す)との互換性を考慮すると0.6mm厚が好ましい
(DVDの全厚は1.2mm)。実用的には0.01mm
〜5mmの範囲内である。基板1の厚さが0.01mm
未満では、基板1側から収束したレーザ光で記録する場
合でも、ごみの影響を受け易くなり、5mm以上では対
物レンズの開口数を大きくすることが困難になり、照射
レーザ光のスポットサイズが大きくなるため、記録密度
をあげることが困難になる。
【0019】基板1はフレキシブルなものでも良いし、
リジッドなものであっても良い。フレキシブルな基板1
は、テープ状、シート状、カード状で使用する。リジッ
ドな基板1は、カード状、或いはディスク状で使用す
る。また、これらの基板1は、記録層3、第1,第2保
護層2、4、反射層5、保護膜6などを積層した後、2
枚の基板1を背中合わせにして、エアーサンドイッチ構
造、エアーインシデント構造、密着貼り合わせ構造とし
ても良い。また、上記第1,第2保護層2、4は、記録
時に基板1、記録層3などが熱によって変形して記録特
性が劣化することを防止するなど、基板1、記録層3を
熱から保護する効果、光学的な干渉効果により、再生時
の信号コントラストを改善する効果がある。
【0020】上記第1,第2保護層2、4はそれぞれ、
記録再生のレーザ光に対して透明であって屈折率nが
1.9≦n≦2.3の範囲にある。第1,第2保護層
2、4はそれぞれ、同一の材料、組成でなくとも良く、
異種の材料から構成されているもかまわない。特に、Z
nSとSiO2の混合膜は、記録、消去の繰り返しによ
っても、記録感度、C/N、消去率などの劣化が起きに
くいことから好ましい。
【0021】第1保護層2の厚さは、およそ5〜500
nmの範囲である。第1保護層2は、基板1や記録層3
から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことか
ら、40〜300nmの範囲が好ましい。第2保護層4
は、C/N、消去率などの記録特性、安定に多数回の書
き換えが可能なことから、0.5〜50nmの範囲が好
ましい。
【0022】反射層5の材料としては、光反射性を有す
るAl、Au、Agなどの金属、およびこれらを主成分
とし、1種類以上の金属または半導体からなる添加元素
を含む合金及びAl、Au、Agなどの金属にAl、S
iなどの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物
などの金属化合物を混合したものなどが挙げられる。A
l、Au、Agなどの金属、及びこれらを主成分とする
合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導度を高くできるこ
とから好ましく、それらの合金の例として、AlにS
i、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、Hf、Ta、N
b、Mn、Zrなどの少なくとも1種の元素を、或い
は、Au或いはAgにCr、Ag、Cu、Pd、Pt、
Ni、Ndなどの少なくとも1種の元素をえたものなど
が一般的である。しかし高線速記録を考慮した場合に
は、とりわけ熱伝導率の高いAgを主成分とする金属ま
たは合金が記録特性の点から好ましい。
【0023】また、反射層5に純銀を用いた場合には、
AgS化合物の生成を抑制する為、反射層5に接する層
はSを含有していない材料を用いることが好ましい。反
射層5に接する層にSを含んでいる場合には、反射層5
の材料はAgを主成分とし、Cr、Ag、Cu、Pd、
Pt、Ni、Ndなどの少なくとも1種の元素を合計で
1原子%以上20原子%以下加えるたものを使用するこ
とが好ましい。
【0024】この反射層5の厚さとして、反射層5を形
成する金属或いは合金の熱伝導率の大きさによって反射
層5の膜厚は変化するが、50nm〜300nm以下で
あるのが好ましい。反射層5は50nm以上となると光
学的には変化せず、反射率の値に影響を与えないが、冷
却速度への影響が大きくなる。また、300nm以上の
厚さを形成するのは製造する上で時間を要するため、熱
伝導率の高い材質の反射層5を用いることにより層厚を
なるべく制御する。
【0025】本発明の特徴とする記録層3の組成は、G
e−Ag−In−Sb−Te合金にVまたはTi、C
r、Alの少なくとも1種類以上含んでいる合金層であ
る。また、記録層3の膜厚は、記録時のレーザーパワー
が小さくできる範囲である、10〜25nmが好まし
い。
【0026】また記録層3の片面、もしくは両面に接し
ている界面層を設けても良い。この材質としては、硫黄
物を含まない材料であることが重要である。硫黄物を含
む材料を界面層として用いると、繰り返しオーバーライ
トにより界面層中の硫黄が記録層3中に拡散し、記録特
性が劣化することがあるので好ましくない。また、消去
特性が優れないという点からも好ましくない。窒化物、
酸化物、炭化物のうち少なくとも1種を含む材料が好ま
しく、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒
化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも
1種を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸
素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化
物、酸化物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒
素、酸素、炭素が過剰或いは不足していても良い。この
ことで界面層が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上
するなど、膜の特性が向上する場合がある。
【0027】さらに第2保護層4はZnSとSiO2
化合物であり、反射層5にAgまたはAg合金を用いる
場合には、第2保護層4と反射層5の間に拡散防止層を
挿入することが好ましい。これは第2保護層4中のSと
反射層5中のAgとの化学反応のAgS化合物による反
射率の低下を抑制するためである。この拡散防止層の材
料としては、界面層3と同様に硫黄物を含まない材料で
あるのが重要である。窒化物、酸化物、炭化物のうち少
なくとも1種を含む材料が好ましく、具体的には窒化ゲ
ルマニウム、窒化ゲルマニウムクロム、窒化シリコン、
窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも
1種を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸
素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化
物、酸化物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒
素、酸素、炭素が過剰或いは不足していても良い。
【0028】本発明の光記録媒体の記録に用いる光源と
しては、レーザ光、ストロボ光のごとき高強度の光源で
あり、特に半導体レーザ光は光源が小型化できること、
消費電力が小さいこと、変調が容易であることから好ま
しい。記録は結晶状態の記録層3にレーザ光パルスなど
を照射して非結晶の記録マークを形成して行う。また、
反対に非結晶状態の記録層3に結晶状態の記録マークを
形成しても良い。消去はレーザ光照射によって、非結晶
の記録マークを結晶化するか、もしくは結晶状態の記録
マークを非結晶化して行うことができる。記録マークを
高速化でき、かつ記録層3の変形が発生しにくいことか
ら記録時は非結晶の記録マークを形成し、消去時は結晶
化を行う方法が好ましい。
【0029】また、記録マーク形成時は光強度を高く、
消去時はやや弱くし、1回の光ビームの照射により書き
換えを行う1ビーム・オーバーライトは、書き換えの所
要時間が短くなることから好ましい。
【0030】(光記録媒体の製造方法)次に、本発明の光
記録媒体の製造方法について述べる。まず、第1,第2
保護層2、4、記録層3、反射層5などを基板1上に積
層する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法、例
えば真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオン
プレーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパ
ッタリング、反応性スパッタリング)などが挙げられ
る。特に、組成、膜厚のコントロールが容易であること
から、スパッタリング法が好ましい。
【0031】また、真空漕内で複数の基板1を同時に成
膜するバッチ法や基板1を1枚ずつ処理する枚葉式成膜
装置を使用することが好ましい。形成する第1,第2保
護層2、4、記録層3、反射層5などの層厚の制御は、
スパッタ電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振
動型膜厚計などで、堆積状態をモニタリングすることで
容易に行える。
【0032】また、第1,第2保護層2、4、記録層
3、反射層5などの形成は、基板1を固定したまま、或
いは移動、回転した状態のどちらでも良い。膜厚の面内
の均一性に優れることから、基板1を自転させることが
好ましく、さらに公転を組み合わせることがより好まし
い。必要に応じて基板1の冷却を行うと、基板1の反り
量を減少させることができる。
【0033】また、本発明の効果を著しく損なわない範
囲において、反射層5などを形成した後、これらの膜の
変形防止などのため、ZnS、SiO2などの誘電体層
或いは紫外線硬化樹脂などの樹脂保護層などを必要に応
じて設けても良い。また、反射層5などを形成した後、
或いはさらに前述の樹脂保護層を形成した後、2枚の基
板1を対向して接着剤などで貼り合わせても良い。
【0034】記録層3は、実際に記録を行う前に、あら
かじめレーザ光、キセノンフラッシュランプなどの光を
照射し、結晶化させておくことが好ましい。
【0035】(実施例)さて、以下に本発明の光記録媒
体の(実施例1)〜(実施例11)及び(比較例1)〜
(比較例13)について順次説明する(図2参照)。ここ
では相変化型光ディスクを例にして述べる。
【0036】以下の実施例では、波長が650nmのレ
ーザダイオード、NA=0.60の光学レンズを搭載し
たパルステック社製光ディスクドライブテスタ(DDU
1000)を用いて記録(1ビーム・オーバーライト)
を行った。
【0037】記録線速度は3.5m/s(DVD規格1
倍速相当)および、7.0m/s(DVD規格2倍速相
当)で、8−16変調ランダムパターンによる評価を行
った。クロック周期Tはそれぞれ38.2nsおよび、
19.1nsで、ビット長は0.267μm/bitで
ある。DVD−ROMと同密度の記録を行い、容量は
4.7Gbytesに相当する。記録は、隣接トラック
も含め10回オーバーライトした後、その再生信号の振
幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジ
ッタclock to data jitter を測定した。測定にはSh
ibaSoku社製再生専用機(LM220A)で線速
7.0m/sで行った。再生パワーPrは0.7mWで
一定とした。また、記録ストラテジとして、3.5m/
sでの記録では、DVD−RW Ver1.1規格で標
準としている、Ttop=0.50[T]、Tmp=0.
40[T]、Tcl=0.60[T](標準記録ストラテジ)
を用い、7.0m/sでの記録ではTtop=0.45
[T]、Tmp=0.48[T]、Tcl=0.51[T]の最
適記録ストラテジを用いた(図3(c),(b)参照)。ま
た、記録膜組成の定量分析には、シーメンス社製の蛍光
X線分析装置SRS303を用いた。
【0038】(実施例1)各層は、直径が120mm、
板厚が0.6mmのポリカーボネイト樹脂製の基板1上
に形成した。基板1にはトラックピッチが0.74μm
で空溝が形成されている。この溝深さは25nmであ
り、グルーブ幅とランド幅の比は、およそ40:60で
あった。
【0039】まず、真空容器内を3×10-4Paまで排
気した後、2×10-1PaのArガス雰囲気中でSiO
2を20mol%添加したZnSを高周波マグネトロン
スパッタ法により、基板1上に層厚60nmの第1保護
層2を形成した。
【0040】続いて、記録層3をGe−Sb−Teの3
元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−Teの4
元素単一合金ターゲットのコスパッタにより層厚16n
m(組成比:Ge5Ag1In2Sb69Te23)を作成
し、続いて第2保護層4を第1保護層2と同じ材料で1
6nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで80
nm、順次積層した。
【0041】この基板1を真空容器内より取り出した
後、この反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニ
ーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線
照射により硬化させて膜厚が3μmの保護膜6を形成し
て光ディスクを得た。
【0042】さらに粘着シールを用いて同様に形成した
基板1を2枚貼り合わせ、両面記録型光ディスクを作製
した。こうして作製した光ディスクにトラック方向のビ
ーム幅が半径方向より広い形をしているワイドビームの
レーザ光を照射して、記録層3を結晶化温度以上に加熱
し、初期化処理を行った。そして、基板1側から相変化
記録層3の案内溝であるグルーブ部に記録を行った。グ
ルーブはレーザ光の入射方向から見て凸状になってい
る。
【0043】記録の条件である各パルスの幅は、3.5
m/s(以下、1倍速)での記録では、DVD−RW
Ver1.1規格で標準とされている、Ttop=0.
50[T]、Tmp=0.40[T]、Tcl=0.60
[T](標準ストラテジ)を用い、7.0m/s(以下、
2倍速)での記録ではTtop=0.45[T]、Tmp
=0.48[T]、Tcl=0.51[T]の最適記録スト
ラテジを用いた(図3参照)。記録パワーと消去パワー
は最適な大きさを選択し、ボトムパワーは0.5mWを
使用し、それぞれ隣接トラックを含め10回オーバーラ
イトを行った。
【0044】次に再生信号のクロック・トゥー・データ
・ジッタを測定した。1倍速、2倍速のそれぞれのジッ
タは7.4%、7.4%と良好な特性が得られた。
【0045】(実施例2)第1保護層2と記録層3の間
にGeターゲットで層厚2nmのGeN界面層を反応性
スパッタにて挿入した他は実施例1と同様の光記録媒体
を作製した。実施例1と同様の測定をしたところ、1倍
速、2倍速記録のいずれにおいても図2のとおり実施例
1とほぼ同等の特性が得られた。
【0046】(実施例3)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge10Ag2In3Sb66Te19)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施例1と
同様の測定をしたところ、1倍速、2倍速記録のいずれ
においても図2のとおり実施例1とほぼ同等の特性が得
られた。
【0047】(実施例4)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge3Ag1In1Sb68Te27)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施例1と
同様の測定をしたところ、1倍速、2倍速記録のいずれ
においても図2のとおり実施例1とほぼ同等の特性が得
られた。
【0048】(実施例5)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge4.5Ag3In0.5Sb70Te22)作成し
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施例
1と同様の測定をしたところ、1倍速、2倍速記録のい
ずれにおいても図2のとおり実施例1とほぼ同等の特性
が得られた。
【0049】(実施例6)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge4.9Ag0.1In5Sb67Te23)作成し
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。実施例
1と同様の測定をしたところ、1倍速、2倍速記録のい
ずれにおいても図2のとおり実施例1とほぼ同等の特性
が得られた。
【0050】(実施例7)記録層3としてGe−Ag−
In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとVター
ゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1In2
Sb69Te231)作成した他は実施例1と同様の光記
録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、1倍速、2倍速記録のいずれにおいても図2のとお
り実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0051】(実施例8)記録層3としてGe−Ag−
In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとCrタ
ーゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1In
2Sb69Te23Cr1)作成した他は実施例1と同様の光
記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、1倍速、2倍速記録のいずれにおいても図2のとお
り実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0052】(実施例9)記録層3としてGe−Ag−
In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとTiタ
ーゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1In
2Sb69Te23Ti1)作成した他は実施例1と同様の光
記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、1倍速、2倍速記録のいずれにおいても図2のとお
り実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0053】(実施例10)記録層3としてGe−Ag
−In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとAl
ターゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1
2Sb69Te23Al1)作成した他は実施例1と同様の
光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたと
ころ、1倍速、2倍速記録のいずれにおいても図2のと
おり実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0054】(実施例11)反射層5としてAg−Nd
−Cuターゲットをスパッタにより作成した他は実施例
1と同様の光記録媒体を作製した。実施例1と同様の測
定をしたところ、1倍速、2倍速記録のいずれにおいて
も図2のとおり実施例1とほぼ同等の特性が得られた。
【0055】(比較例1)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge5Ag1In2Sb73Te19)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは1
0.5%、7.2%と実施例1と比べて1倍速記録特性
が著しく劣っていた。
【0056】(比較例2)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge5Ag1In2Sb63Te29)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは7.
1%、10.3%と実施例1と比べて2倍速記録特性が
著しく劣っていた。
【0057】(比較例3)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge10Ag3In5Sb64Te18)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは1
0.2%、8.2%と実施例1と比べて1倍速記録特性
が劣っていた。
【0058】(比較例4)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge0.5Ag0.5In3Sb69Te27)作成し
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しか
し、図2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタ
は7.6%、10.3%と実施例1と比べて2倍速記録
特性が著しく劣っていた。
【0059】(比較例5)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge1Ag3In3Sb66Te27)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは8.
5%、11.2%と実施例1と比べて2倍速記録特性が
著しく劣っていた。
【0060】(比較例6)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge12Ag1In1Sb67Te19)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは1
0.1%、8.8%と実施例1と比べて1倍速記録特性
が著しく劣っていた。
【0061】(比較例7)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge4.8Ag3In0.2Sb70Te22)作成し
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しか
し、図2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタ
は8.8%、10.1%と実施例1と比べて2倍速記録
特性が著しく劣っていた。
【0062】(比較例8)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge3Ag1In7Sb67Te22)作成した他
は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しかし、図
2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは1
0.3%、8.1%と実施例1と比べて1倍速記録特性
が著しく劣っていた。
【0063】(比較例9)記録層3としてGe−Sb−
Teの3元素単一合金ターゲットとAg−In−Sb−
Teの4元素単一合金ターゲットのコスパッタにより
(組成比:Ge4.5Ag5In0.5Sb69Te21)作成し
た他は実施例1と同様の光記録媒体を作製した。しか
し、図2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタ
は8.9%、11.0%と実施例1と比べて2倍速記録
特性が著しく劣っていた。
【0064】(比較例10)記録層3としてGe−Sb
−Teの3元素単一合金ターゲットとIn−Sb−Te
の3元素単一合金ターゲットのコスパッタにより(組成
比:Ge5In5Sb 67Te23)作成した他は実施例1と
同様の光記録媒体を作製した。しかし、図2のとおり、
1倍速、2倍速のそれぞれのジッタは10.0%、8.
5%と実施例1と比べて1倍速記録特性が著しく劣って
いた。
【0065】(比較例11)記録層3としてGe−Ag
−In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとVタ
ーゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1In
2Sb67Te215)作成した他は実施例1と同様の光記
録媒体を作製した。実施例1と同様の測定をしたとこ
ろ、図2のとおり、1倍速、2倍速のそれぞれのジッタ
は13.6%、9.4%と実施例1と比べて1倍速・2
倍速記録特性が著しく劣っていた。
【0066】(比較例12)記録層3としてGe−Ag
−In−Sb−Teの5元素単一合金ターゲットとCo
ターゲットのコスパッタにより(組成比:Ge4Ag1
2Sb69Te23Co1)作成した他は実施例1と同様の
光記録媒体を作製した。この光記録媒体の初期化を試み
たところ、初期化が困難で、さらに記録ができなかっ
た。
【0067】(比較例13)反射層5としてAl−Ti
を成膜し作成した他は実施例1と同様の光記録媒体を作
製した。実施例1と同様の測定をしたところ、1倍速、
2倍速のそれぞれのジッタは図2のとおり、8.3%、
8.7%と実施例1と比べて若干劣っていたが、良好に
近かった。
【0068】これより、(x/y)<2.5であると高
線速度でのオーバーライト特性が良くなく、逆に(x/
y)>3.5であると低線速度でのオーバーライト特性
が良くない。また、a<0.85であると記録媒体とし
ての記録媒体の反射率が十分でなく、a>0.95であ
ると高温高湿条件下での保存特性が劣ってしまうので、
実用的でなくなる。b<0.03であると耐光性が劣っ
てしまい、b>0.1であると反射率の低下が激しい。
cやdの量に応じて高線速度での特性が得られるが、
c、d>0.05であるとオーバーライト特性や記録媒
体の反射率が悪くなるので、c+dは最小限の量にする
ことが好ましい。また、記録層3に3原子%以下で、V
またはCr、Ti、Alを加えることで、高線速記録で
の繰り返しオーバーライト特性が向上する。3原子%よ
り多くくわえると、初期ジッタの悪化を伴い、さらに記
録媒体の反射率を低下させるので好ましくなかった。
【0069】反射層5の材料は、図2のとおりAl合
金、Ag合金どちらでも良好な特性は得られたが、熱伝
導度の高いAg合金の方が有利であった。また添加元素
は5原子%以下であると、Ag単元素の高反射特性や高
熱伝導特性を損なわないので、良好な記録特性が得られ
る。しかし、添加元素を5原子%より多く加えると、反
射特性や熱伝導特性を著しく悪化させるので記録特性に
悪影響を与える。また、レーザーの記録波長が650n
m付近の場合、基板1の溝深さは20nm〜30nmが
好ましく、20nm以下であると変調度が十分に得られ
ず、逆に30nm以上であると記録媒体の反射率が十分
に得られなかった。
【0070】
【発明の効果】前述した構成を有する本発明は、記録速
度の広域線速化(マルチスピード化)において、標準記
録ストラテジを用いての低線速から高線速に至るそれぞ
れの記録速度における記録特性を常時良好とし、つまり
記録ストラテジ非依存型の広域線速化の記録を達成する
ことが出来、低線速から高線速に亘る各線速においても
それぞれ、記録ストラテジの影響が小さく、良好な記録
特性が得られ、また高線速における記録の際には多数回
のオーバーライトを行なっても常時記録特性を良好に維
持することができる光記録媒体を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光記録媒体の一実施例を示す部分拡
大縦断面図
【図2】 本発明の実施例1〜実施例11と比較例1〜
比較例13とを比較した比較表
【図3】 記録用レーザ光をパルス変調する記録ストラ
テジの各態様をそれぞれ示す図
【符号の説明】
1 基板 1a レーザー入射面 2 第1保護層 3 記録層 4 第2保護層 5 反射層 6 保護膜 7 Ttop(先頭パルス) 8 Tmp(マルチパルス) 9 Tcl(冷却パルス) A 光記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 尚之 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 吉川 正志 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA23 EA36 FA01 FA12 FA14 FA23 FB05 FB09 FB12 FB16 FB17 FB21 FB30 5D029 JA01 JB18 MA13 WB17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも、第1保護層、記録
    層、第2保護層、反射層を順次積層した構成の光記録媒
    体であって、前記記録層は、(SbxTeyaGebIn
    cAgdからなり、かつ前記記録層を構成する各原子比
    は、 2.5≦x/y≦3.5、 0.85≦a≦0.95、 0.03≦b≦0.1、 0.005≦c≦0.05、 0.001≦d≦0.03、 但し、a+b+c+d=1 であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録層は、更にM(MはV、Cr、
    Ti、Alから選ばれる少なくとも1種の元素である)
    を含み、かつ前記記録層中のMの比率が3原子%以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記反射層は、Agを主成分としかつP
    d、Cu、Ni、Ndから選ばれる少なくとも一種の添
    加元素を含んでなり、かつ前記反射層に対する前記添加
    元素の合計の比率が5原子%以下であることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記基板は螺旋状または同心円状の溝を
    有し、かつ前記溝の深さdgが、20nm≦dg≦30n
    mであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のい
    ずれか1記載の光記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006004025A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 Pioneer Corporation 光記録媒体及びその製造方法

Cited By (1)

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WO2006004025A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 Pioneer Corporation 光記録媒体及びその製造方法

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