JP2005243218A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 記録速度を高速化しても良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバライト記録特性を良好に維持することができる相変化型光記録媒体を提供する。
【解決手段】 相変化型光記録媒体Aは基板1、11と記録層3、13とからなる。記録層3、13は、情報が一度も記録されていない未記録部の反射率をR0、そこにランダムパターンが1回記録された後の反射率をR1、更にランダムパターンが9回記録された後の反射率をR9とした場合、下記(1)、(2)式が成立する。
1.00<(R1/R0)<1.15 …(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 …(2)
【選択図】 図1
【解決手段】 相変化型光記録媒体Aは基板1、11と記録層3、13とからなる。記録層3、13は、情報が一度も記録されていない未記録部の反射率をR0、そこにランダムパターンが1回記録された後の反射率をR1、更にランダムパターンが9回記録された後の反射率をR9とした場合、下記(1)、(2)式が成立する。
1.00<(R1/R0)<1.15 …(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 …(2)
【選択図】 図1
Description
本発明は、光(例えばレーザ光)の照射によって情報の記録、消去、再生を行う光記録媒体に関するものである。特に本発明は、光ディスク、光カードなどの書き換え可能な相変化型光記録媒体に関する。
相変化型光記録媒体とは、例えば近年のCD−RW、DVD−RWやDVD−RAMであり、情報を書換えることを可能とする媒体である。なかでもDVD−RWやDVD−RAMは主に映像情報のような情報量が大きいものの記録、書換えに使用される。相変化型光記録媒体には、優れた記録特性に加えて優れたオーバライト特性も要求されている。更には、記録容量を増大させる記録方法も要求されている。
光記録媒体の記録容量を増大させる方法の一つに、記録再生装置のレーザ光源から光記録媒体の記録層に照射されるレーザ光のスポット径を小さくして、記録信号を高密度化する方法がある。この方法を実現するため例えば、使用するレーザ光の波長を青色領域まで短波長化する手段や、記録再生装置の光ピックアップにある対物レンズの開口率(NA)を大きくしてレーザ光を更に絞込む手段が検討されている。しかしこの方法では、現在用いられているデジタル多用途ディスク(DVD)記録再生装置(または再生専用装置)との再生互換性をとることが困難である。
そこで近年では再生互換性を維持しつつ記録容量を増大させる方法として、1枚の光記録媒体に複数の記録層を重ねて設ける方法、例えば、光記録媒体の2層構造が提案されている。
そこで近年では再生互換性を維持しつつ記録容量を増大させる方法として、1枚の光記録媒体に複数の記録層を重ねて設ける方法、例えば、光記録媒体の2層構造が提案されている。
2層の相変化型光記録媒体は、例えば第1の記録層を有する第1層と、第2の記録層を有する第2層とを紫外線硬化型樹脂等で貼り合わせた構造からなる。第1層は記録・再生または消去用の各パワーを有するレーザ光が照射される面を底面とする基板上に、少なくとも誘電体膜、記録層、誘電体膜、反射層を順次積層した構成、第2層は基板上に、少なくとも誘電体膜、記録層、誘電体膜、反射層を順次積層した構成である。記録層はスパッタ法などで成膜された直後は反射率の低いアモルファス状態になっている。そのため製品出荷時には、反射率の高い結晶化状態にするためにレーザ光照射等を行い初期化している。また、第1層及び第2層いずれにおいても、誘電体膜は光吸収効果を小さくして、光透過性を上げる必要がある。
従来の書換え可能な相変化型光記録媒体の記録方法は以下の通りである。上記のように構成される相変化型光記録媒体において、記録時に記録パワーのレーザ光で記録パルスを記録層に印加(照射)して記録層を溶融し、急冷することにより、非結晶の記録マークを形成する。この記録マークの反射率は結晶状態の記録層の反射率より低いので、この記録マークを光学的に記録情報として読み取ることが可能である。この記録マークを消去する場合、記録パワーより小さなパワー(消去パワー)のレーザ光を照射することにより、記録層を結晶化温度以上の温度にし、非結晶状態から結晶状態にすることによって記録マークを消去し、オーバライト可能としている。
従来の書換え可能な相変化型光記録媒体の記録方法は以下の通りである。上記のように構成される相変化型光記録媒体において、記録時に記録パワーのレーザ光で記録パルスを記録層に印加(照射)して記録層を溶融し、急冷することにより、非結晶の記録マークを形成する。この記録マークの反射率は結晶状態の記録層の反射率より低いので、この記録マークを光学的に記録情報として読み取ることが可能である。この記録マークを消去する場合、記録パワーより小さなパワー(消去パワー)のレーザ光を照射することにより、記録層を結晶化温度以上の温度にし、非結晶状態から結晶状態にすることによって記録マークを消去し、オーバライト可能としている。
特許第2962052号公報(特許文献1)で記録密度の向上と繰り返し特性の向上を目的とし、未記録部の反射率を記録部の反射率より高くするといった方法が提案されているが、高速記録媒体対応への記述が無く、またこの条件だけでは、近年の高記録密度での高速記録速度でのオーバライト特性(特にオーバライト1回目)は十分でないことが、本発明者で確認されていた。
特開2002−237089号公報(特許文献2)や特開2003−200665号公報(特許文献3)では、高速記録での優れたジッタ特性やオーバライト特性を目的に、未記録部の反射率を記録部の反射率より低くするといった光記録方法や光記録媒体が提案されている。しかしながら、提案された光記録方法や光記録媒体だけでは高線速度(例えばDVD2倍速以上)で十分なオーバライト特性(特にオーバライト1回目)が得られないことが、本発明者の検討により判明した。
特開2002−237089号公報(特許文献2)や特開2003−200665号公報(特許文献3)では、高速記録での優れたジッタ特性やオーバライト特性を目的に、未記録部の反射率を記録部の反射率より低くするといった光記録方法や光記録媒体が提案されている。しかしながら、提案された光記録方法や光記録媒体だけでは高線速度(例えばDVD2倍速以上)で十分なオーバライト特性(特にオーバライト1回目)が得られないことが、本発明者の検討により判明した。
ところで2層の光記録媒体においては、第2層の記録層に記録するために記録用レーザ光が第1層を通過する必要がある。そして第2層の記録層に十分な記録がされるためには第1層を構成する膜全体でのレーザ光の透過率が50%程度あることが必要である。そのため第1層は、反射膜を十分な冷却効果を持つ厚さで形成できず、その結果十分な記録特性及びオーバライト特性が得られないことが発明者の検討で判明した。
特開2003−242676号公報(特許文献4)では、第1層に用いる半透明反射膜は、透過率と記録層の急冷効果の両立が難しく良好な記録再生特性を得られないという問題を解決するために、第1層の記録層を構成する元素の比率(Sb/Te)を下げ、その結晶化速度を第2層の記録層の結晶化速度に比べ遅くするという方法が提案されている。この方法であれば急冷効果を出しにくい第1層においても記録層が十分に結晶化され、良好な記録再生特性が得られるというものである。しかしながらこの方法では結晶化速度を低下させているために、高線速度記録への対応は困難である。つまり、高線速度記録を視野に入れた1または複数層の光記録媒体には、特許文献1〜4に記載の方法に代わる手法が必要である。
特許第2962052号公報
特開2002−237089号公報
特開2003−200665号公報
特開2003−242676号公報
特開2003−242676号公報(特許文献4)では、第1層に用いる半透明反射膜は、透過率と記録層の急冷効果の両立が難しく良好な記録再生特性を得られないという問題を解決するために、第1層の記録層を構成する元素の比率(Sb/Te)を下げ、その結晶化速度を第2層の記録層の結晶化速度に比べ遅くするという方法が提案されている。この方法であれば急冷効果を出しにくい第1層においても記録層が十分に結晶化され、良好な記録再生特性が得られるというものである。しかしながらこの方法では結晶化速度を低下させているために、高線速度記録への対応は困難である。つまり、高線速度記録を視野に入れた1または複数層の光記録媒体には、特許文献1〜4に記載の方法に代わる手法が必要である。
前述したように従来の光記録媒体では、1または複数層の相変化型光記録媒体における1回または複数回オーバーライト(特にオーバライト1回)した際のジッタが大きく悪化するという問題があり、高線速度記録でのオーバライト特性を十分に確保することが難しかった。
そこで本発明は、前記した問題を解決するために創案されたものであり、記録速度を高速化(例えばDVD2倍速(線速度:7m/s)以上の高線速度記録)しても良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバライト記録特性(特にオーバライト1回)を良好に維持することができる相変化型光記録媒体を提供することを目的とする。また、複数層の記録層における一部の層の結晶化速度を遅くさせなくても、良好な記録及びオーバライト特性を有する相変化型光記録媒体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、次の(a)〜(c)の光記録媒体を提供するものである。
(a)相変化型光記録媒体(A)において、基板(1、11)と、消去パワー(Pe)から立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワー(Pw)と前記消去パワーより小なるボトムパワー(Pb)との間で形成される記録パルス(Ttop、Tmp)と、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルス(Tcl)とよりなる記録パルスパターンに応じて記録光を照射することにより記録情報を示す記録マークを記録する記録層(3、13)を有し、前記記録層は、前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR0、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に1回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR1、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に9回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR9とした場合、下記(1)、(2)式
1.00<(R1/R0)<1.15 …(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 …(2)
が成り立つことを特徴とする光記録媒体。
(b)前記光記録媒体は前記記録層を複数有することを特徴とする(a)記載の光記録媒体。
(c)前記記録パワーをPw、前記消去パワーをPeとし、前記記録パワーPwに対する前記消去パワーPeのパワー比ε(ε=Pe/Pw)としたとき、所定の領域に、
0.20≦ε≦0.40
とするための情報が書き込まれていることを特徴とする(a)または(b)記載の光記録媒体。
(a)相変化型光記録媒体(A)において、基板(1、11)と、消去パワー(Pe)から立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワー(Pw)と前記消去パワーより小なるボトムパワー(Pb)との間で形成される記録パルス(Ttop、Tmp)と、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルス(Tcl)とよりなる記録パルスパターンに応じて記録光を照射することにより記録情報を示す記録マークを記録する記録層(3、13)を有し、前記記録層は、前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR0、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に1回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR1、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に9回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR9とした場合、下記(1)、(2)式
1.00<(R1/R0)<1.15 …(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 …(2)
が成り立つことを特徴とする光記録媒体。
(b)前記光記録媒体は前記記録層を複数有することを特徴とする(a)記載の光記録媒体。
(c)前記記録パワーをPw、前記消去パワーをPeとし、前記記録パワーPwに対する前記消去パワーPeのパワー比ε(ε=Pe/Pw)としたとき、所定の領域に、
0.20≦ε≦0.40
とするための情報が書き込まれていることを特徴とする(a)または(b)記載の光記録媒体。
記録速度を高速化しても良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバライト記録特性を良好に維持することができる。また、複数層の記録層における一部の層の結晶化速度を変更する必要もない。
図1は相変化型光記録媒体を製造するための製造設備300または製造設備300にて行われる製造・初期化工程を示す図である。製造装置100(製造工程)において相変化型光記録媒体を製造し、初期化装置200(初期化行程)において相変化型光記録媒体を初期化する。初期化工程を経た相変化型光記録媒体は光記録媒体Aとして出荷される。
相変化型光記録媒体としては、DVD−RWなどの相変化型光ディスク、光カードなどの情報を繰り返しオーバライト可能な媒体が挙げられる。なお以下の説明においては相変化型光記録媒体の一実施形態として、相変化型光ディスク(光記録媒体A)を用いるが、これ以外の光カード等の同様な構成を有する相変化型光記録媒体についても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
相変化型光記録媒体としては、DVD−RWなどの相変化型光ディスク、光カードなどの情報を繰り返しオーバライト可能な媒体が挙げられる。なお以下の説明においては相変化型光記録媒体の一実施形態として、相変化型光ディスク(光記録媒体A)を用いるが、これ以外の光カード等の同様な構成を有する相変化型光記録媒体についても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
≪光記録媒体の構成≫
図2は、本発明の一実施形態である光記録媒体Aを示す拡大断面図である。光記録媒体Aは、その基本的な構成として、記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面1aを底面とする第1層(L0層)と、第2層(L1層)とを透明層20で貼り合わせたものである。
L0層は、記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面1aを底面とする基板1上に、第1誘電体膜2、記録層3、第2誘電体膜4、半透明反射層5(以下、反射層5)を順次積層したものである。反射層5上には保護層6が形成されている。
L1層は、基板11上に、反射層15、第3誘電体膜12、記録層13、第4誘電体膜14を順次積層したものである。
図2は、本発明の一実施形態である光記録媒体Aを示す拡大断面図である。光記録媒体Aは、その基本的な構成として、記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面1aを底面とする第1層(L0層)と、第2層(L1層)とを透明層20で貼り合わせたものである。
L0層は、記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面1aを底面とする基板1上に、第1誘電体膜2、記録層3、第2誘電体膜4、半透明反射層5(以下、反射層5)を順次積層したものである。反射層5上には保護層6が形成されている。
L1層は、基板11上に、反射層15、第3誘電体膜12、記録層13、第4誘電体膜14を順次積層したものである。
L0層とL1層を構成するそれぞれの層及び膜の材料は、以下に述べるとおりである。
基板1の材料としては、各種透明な合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。埃の付着や基板1の傷などの影響を避けるために、透明な基板1を用い、集光したレーザ光で基板1の入射面1a側から記録層3に情報を記録する。このような基板1の材料として例えば、ガラス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリレート、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。特に、光学的複屈折及び吸湿性が小さく、成形が容易であることからポリカーボネイト樹脂が好ましい。
基板11の材料には、基板1に求められるような透明性、埃の付着や傷の影響を考慮する必要は特にないが、生産性等に配慮した場合基板1と同じ材料を用いるのが好ましい。
基板1の材料としては、各種透明な合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。埃の付着や基板1の傷などの影響を避けるために、透明な基板1を用い、集光したレーザ光で基板1の入射面1a側から記録層3に情報を記録する。このような基板1の材料として例えば、ガラス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリレート、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。特に、光学的複屈折及び吸湿性が小さく、成形が容易であることからポリカーボネイト樹脂が好ましい。
基板11の材料には、基板1に求められるような透明性、埃の付着や傷の影響を考慮する必要は特にないが、生産性等に配慮した場合基板1と同じ材料を用いるのが好ましい。
基板1、基板11の厚さは、特に限定するものではないが、DVDとの互換性を考慮すると0.01mm〜0.6mmが好ましく、なかでも0.6mmが最も好ましい(DVDの全厚は1.2mm)。これは基板1の厚さが0.01mm未満であれば、基板1の入射面1a側から収束したレーザ光で記録する場合でも、ごみの影響を受け易くなるからである。また、光記録媒体の全厚に制限がないのであれば、実用的には0.01mm〜5mmの範囲内であればよい。5mm以上であれば対物レンズの開口数を大きくすることが困難になり、照射レーザ光のスポットサイズが大きくなるため、記録密度をあげることが困難になるからである。
基板1、基板11はフレキシブルなものでも良いし、リジッドなものであっても良い。フレキシブルな基板1は、テープ状、シート状、カード状の光記録媒体で使用する。リジッドな基板1は、カード状、あるいはディスク状の光記録媒体で使用する。
第1誘電体膜2及び第2誘電体膜4は、記録時に基板1、記録層3などが熱によって変形して記録特性が劣化することを防止するなど、基板1、記録層3を熱から保護する効果を奏したり、光学的な干渉効果により再生時の信号コントラストを改善する効果を奏する。第3誘電体膜12及び第4誘電体膜14も、基板11、記録層13に対して、第1誘電体膜2及び第2誘電体膜4と同様の効果を奏する。
第1誘電体膜2、第2誘電体膜4、第3誘電体膜12及び第4誘電体膜14(第1〜第4誘電体膜)はそれぞれ、記録・再生または消去用のレーザ光に対して透明であって屈折率nが1.9≦n≦2.3の範囲にあることが望ましい。さらに、第1〜第4誘電体膜の材料は熱特性の点から、SiO2、SiO、ZnO、TiO2、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、MgOなどの酸化物、ZnS、In2S3、TaS4などの硫化物、SiC、TaC、WC、TiCなどの炭化物の単体及び混合物が好ましい。なかでも、ZnSとSiO2の混合膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C/N、消去率などの劣化が起こりにくいことから特に好ましい。
また第1〜第4誘電体膜は、いずれも同一の材料、組成でなくとも良く、異種の材料から構成されていてもかまわない。
また第1〜第4誘電体膜は、いずれも同一の材料、組成でなくとも良く、異種の材料から構成されていてもかまわない。
第1誘電体膜2の厚さは、およそ5nm〜500nmの範囲である。さらには、第1誘電体膜2の厚さは、基板1や記録層3から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことから、40nm〜300nmの範囲が好ましい。40nmより薄いと、ディスクの光学特性を確保しにくく、300nmより厚いと生産性に劣る。なお、より好ましくは50nm〜80nmの範囲である。
第2誘電体膜4の厚さは、C/N、消去率などの記録特性が良く、安定に多数回の書き換えが可能なことから、5nm〜40nmの範囲が好ましい。5nmより薄いと記録層3の熱確保が難しくなるため最適記録パワーが上昇し、40nmより厚いとオーバライト特性が悪化する。より好ましくは、5nm〜20nmの範囲である。
第3誘電体膜12の厚さは、およそ5〜500nmの範囲である。
第4誘電体膜14の厚さは、C/N、消去率などの記録特性が良く、安定に多数回の書き換えが可能なことから、5nm〜40nmの範囲が好ましい。5nmより薄いと記録層13の熱確保が難しくなるため最適記録パワーが上昇し、40nmより厚いとオーバライト特性が悪化する。より好ましくは、10nm〜20nmの範囲である。
第4誘電体膜14の厚さは、C/N、消去率などの記録特性が良く、安定に多数回の書き換えが可能なことから、5nm〜40nmの範囲が好ましい。5nmより薄いと記録層13の熱確保が難しくなるため最適記録パワーが上昇し、40nmより厚いとオーバライト特性が悪化する。より好ましくは、10nm〜20nmの範囲である。
記録層3、記録層13は、Ag−In−Sb−Te合金やGe−In−Sb−Te合金、またはGe−In−Sb−Te合金にAgまたはSi、Al、Ti、Bi、Gaのいずれかを少なくとも1種類含んでいる合金層である。また記録層3の層厚は、10nm以下が好ましく、記録層13の層厚は10nm〜25nmが好ましい。
ところでL0層は、既述したようにレーザ光の透過率50%程度を満たす必要がある。L0層を構成する層及び膜のうち、透過率に影響をあたえるものは光の吸収が大きい記録層3及び反射層5であり、記録層3の厚さは、再生信号(RF信号)の変調度が少なくとも50%以上取れること、DOWジッタ特性が良好であること、かつ十分な透過率を得られることを考慮すると、10nm以下であることが好ましい。10nmを超えるとL0層の透過率50%程度を実現することが難しい。なおより好ましくは、5nm〜10nmである。
ここで透過率とは、図2の基板1側を下、基板11側を上としたとき、基板1の入射面1aから反射層5の上面(保護層6との境界面)に至るまでの範囲を構成する層の光透過率を指す。すなわち透過率Tは、入射面1aから反射層5の上面に至るまでの範囲に含まれる全ての物質(層)によって決まる光透過率である。
ところでL0層は、既述したようにレーザ光の透過率50%程度を満たす必要がある。L0層を構成する層及び膜のうち、透過率に影響をあたえるものは光の吸収が大きい記録層3及び反射層5であり、記録層3の厚さは、再生信号(RF信号)の変調度が少なくとも50%以上取れること、DOWジッタ特性が良好であること、かつ十分な透過率を得られることを考慮すると、10nm以下であることが好ましい。10nmを超えるとL0層の透過率50%程度を実現することが難しい。なおより好ましくは、5nm〜10nmである。
ここで透過率とは、図2の基板1側を下、基板11側を上としたとき、基板1の入射面1aから反射層5の上面(保護層6との境界面)に至るまでの範囲を構成する層の光透過率を指す。すなわち透過率Tは、入射面1aから反射層5の上面に至るまでの範囲に含まれる全ての物質(層)によって決まる光透過率である。
記録層3の片面、もしくは両面に接する界面層を設けても良い。界面層の材料としては、硫黄物を含まないことが重要である。硫黄物を含む材料を界面層として用いると、オーバライトの繰り返しにより界面層に含まれる硫黄が記録層3中に拡散し、記録特性が劣化することがあるので好ましくない。また、消去特性が優れないという点からも好ましくない。
界面層の材料としては、窒化物、酸化物、炭化物のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましく、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化物、酸化物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒素、酸素、炭素が過剰あるいは不足していても良い。このことで界面層が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上するなど、界面層の特性が向上する場合がある。
なお、記録層13も記録層3同様に界面層を設けても良い。
界面層の材料としては、窒化物、酸化物、炭化物のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましく、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化物、酸化物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒素、酸素、炭素が過剰あるいは不足していても良い。このことで界面層が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上するなど、界面層の特性が向上する場合がある。
なお、記録層13も記録層3同様に界面層を設けても良い。
反射層5、反射層15の材料としては、光反射性を有するAl、Au、Agなどの金属、これらの金属を主成分とし、1種類以上の金属または半導体からなる添加元素を含む合金、及びこれらの金属にAl、Siなどの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物などの金属化合物を混合したものなどが挙げられる。
なかでもAl、Au、Agなどの金属、及びこれらの金属を主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導度を高くできることから好ましい。合金の例としては、AlにSi、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、Hf、Ta、Nb、Mn、Zrなどの少なくとも1種類の元素を混合したもの、あるいは、AuまたはAgにCr、Ag、Cu、Pd、Pt、Ni、Nd、In、Caなどの少なくとも1種類の元素を混合したものなどが一般的である。しかし高線速度記録を考慮した場合には、とりわけ熱伝導率の高いAgを主成分とする金属または合金が、記録特性の点から好ましい。
また、反射率や熱伝導率等を考慮して、反射層5と反射層15とを異なる材料を用いて形成しても良い。
なかでもAl、Au、Agなどの金属、及びこれらの金属を主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導度を高くできることから好ましい。合金の例としては、AlにSi、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、Hf、Ta、Nb、Mn、Zrなどの少なくとも1種類の元素を混合したもの、あるいは、AuまたはAgにCr、Ag、Cu、Pd、Pt、Ni、Nd、In、Caなどの少なくとも1種類の元素を混合したものなどが一般的である。しかし高線速度記録を考慮した場合には、とりわけ熱伝導率の高いAgを主成分とする金属または合金が、記録特性の点から好ましい。
また、反射率や熱伝導率等を考慮して、反射層5と反射層15とを異なる材料を用いて形成しても良い。
上述したように、反射層5もL0層の透過率に影響を及ぼす。そのためL1層の記録層13への光の透過を考慮すると、(半透明)反射層5の厚さは10nm以下であることが好ましい。300nm以上の厚さを形成する場合には、製造上時間を要するため熱伝導率の高い材料を用いて、層厚を制御しながら形成することが好ましい。
反射層15の厚さは、反射層15を形成する材料の熱伝導率の大きさによって変化するが、50nm以上300nm以下であることが好ましい。反射層15の厚みが50nm以上であれば、反射層15は光学的には変化せず反射率の値に影響を与えないが、反射層15の厚みが増すと冷却速度への影響が大きくなる。また、300nmを超える厚さを形成するのは製造上時間を要する。従って熱伝導率の高い材料を用いることにより、反射層15の層厚をなるべく最適範囲に制御する。
反射層15の厚さは、反射層15を形成する材料の熱伝導率の大きさによって変化するが、50nm以上300nm以下であることが好ましい。反射層15の厚みが50nm以上であれば、反射層15は光学的には変化せず反射率の値に影響を与えないが、反射層15の厚みが増すと冷却速度への影響が大きくなる。また、300nmを超える厚さを形成するのは製造上時間を要する。従って熱伝導率の高い材料を用いることにより、反射層15の層厚をなるべく最適範囲に制御する。
透明層20には紫外線(UV)硬化型樹脂、両面粘着型シート等を用いることが好ましい。
≪光記録媒体の製造方法≫
次に、製造装置100における光記録媒体の製造方法について説明する。L0層の基板1上にL0層を構成する各層を積層する方法を述べる。なおL1層の基板11上にL1層を構成する各層を積層する方法も同じである。L0層を構成する第1誘電体膜2と第2誘電体膜4とが、L1層を構成する第3誘電体膜12、第4誘電体膜14にそれぞれ対応し、L0層を構成する記録層3がL1層を構成する記録層13に、L0層を構成する反射層5がL1層を構成する反射層15に対応する。
次に、製造装置100における光記録媒体の製造方法について説明する。L0層の基板1上にL0層を構成する各層を積層する方法を述べる。なおL1層の基板11上にL1層を構成する各層を積層する方法も同じである。L0層を構成する第1誘電体膜2と第2誘電体膜4とが、L1層を構成する第3誘電体膜12、第4誘電体膜14にそれぞれ対応し、L0層を構成する記録層3がL1層を構成する記録層13に、L0層を構成する反射層5がL1層を構成する反射層15に対応する。
第1誘電体膜2、記録層3、第2誘電体膜4、反射層5などを基板1上に積層する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法が挙げられる。例えば、真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオンプレーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタリング)であり、特に、組成、層厚のコントロールが容易であることから、スパッタリング法が好ましい。
また、真空漕内で複数の基板1を同時に成膜するバッチ法や、基板1を1枚ずつ処理する枚葉式成膜装置を使用することが好ましい。形成する第1誘電体膜2、記録層3、第2誘電体膜4、反射層5などの層厚の制御は、スパッタ電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜厚計で堆積状態をモニタリングしたりすることで容易に行える。
また、第1誘電体膜2、記録層3、第2誘電体膜4、反射層5などの形成は、基板1を固定した状態、あるいは移動、回転した状態のどちらで行っても良い。層厚の面内の均一性に優れることから、基板1を自転させることが好ましく、さらに公転を組み合わせることがより好ましい。必要に応じて基板1の冷却を行うと、基板1の反り量を減少させることができる。
また本発明の効果を著しく損なわない範囲において、反射層5などを形成した後、すでに形成した各層の変形防止等のため、ZnS、SiO2等を用いた誘電体層あるいは紫外線硬化樹脂等を用いた樹脂保護層を保護層6として必要に応じて設けても良い。
以上の方法で形成したL0層とL1層とを、保護層6と第4誘電体膜14とが基板1と基板11とに挟まれるように透明層20で貼り合わせる。すなわち基板1、11が外側を向くよう、保護層6と第4誘電体膜14とを対向させて貼り合わせる。
なお、2層の光記録媒体は次のような方法で形成してもよい。少なくとも記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面21aを底面とする基板21上に第1誘電体膜22、第1記録層23、第2誘電体膜24、第1反射膜25を順次積層し、第1反射膜25上に紫外線硬化樹脂を塗布する。記録溝を転写するための透明スタンパを押し当てた状態で紫外線を照射し、紫外線硬化膜26を形成して透明スタンパを剥離する。続けて紫外線硬化膜上に、第3誘電体膜27、第2記録層28、第4誘電体膜29,第2反射膜30を順次積層し、2層の光記録媒体を形成する。
なお、2層の光記録媒体は次のような方法で形成してもよい。少なくとも記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面21aを底面とする基板21上に第1誘電体膜22、第1記録層23、第2誘電体膜24、第1反射膜25を順次積層し、第1反射膜25上に紫外線硬化樹脂を塗布する。記録溝を転写するための透明スタンパを押し当てた状態で紫外線を照射し、紫外線硬化膜26を形成して透明スタンパを剥離する。続けて紫外線硬化膜上に、第3誘電体膜27、第2記録層28、第4誘電体膜29,第2反射膜30を順次積層し、2層の光記録媒体を形成する。
続いて光記録媒体は初期化装置200における初期化工程を経て、光記録媒体Aとされて出荷される。初期化は記録層3及び記録層13にレーザ光、キセノンフラッシュランプ等の光を照射して加熱し、記録層3及び記録層13の構成材料を結晶化させることである。再生ノイズが少ないことから、レーザ光による初期化が好ましく、初期化レーザ光は記録層3、記録層13に順次フォーカスを合わせて照射される。
図3に光記録媒体Aの平面図を示す。光記録媒体Aはセンターホール51と、その外周にクランプエリア52を有する。クランプエリア52の外周には情報エリア(リードインエリア)53が同心円上に設けられていて、さらにその外周領域は映像情報や音声情報等の実データを記録するための記録エリア54となっている。ここで、リードインエリア53は、ROM状態またはRAM状態のどちらであっても良い。その他に、トラッキング信号を得るためのレーザガイド溝に高周波ウォブルやピットを形成することにより、再生専用の記録情報として格納する方法もある。
≪光記録媒体の記録方法≫
図4に、光記録媒体Aに情報を記録するときに使用する記録パルスパターンを示す。記録パルスパターンに基づいてレーザ光を3値(記録パワーPw、消去パワーPe、ボトムパワーPb)のレーザ強度で変調して、記録信号のマーク長に対応してパルス数を増減させ、所望のマーク長の記録マークを記録層3、記録層13に形成する。レーザ強度は記録パワーPwが一番大きく、消去パワーPe、ボトムパワーPbの順に小さい。
記録パルスパターンは図4に示すように、消去パワーPeから立ち上がって最初に記録層3、記録層13にレーザ光を記録パワーPwで印加する先頭パルスTtopと、先頭パルスTtopに続くパルスであり、記録パワーPwとボトムパワーPbとを交互に印加するマルチパルスTmpと、レーザ光をボトムパワーPbから立ち上がって、消去パワーPeを印加する終端に位置する消去パルスTclからなる。先頭パルスTtopとマルチパルスTmpとは記録層3、記録層13に対して記録マークを形成するための記録パルスとなっている。なお、マルチパルスTmpがなく先頭パルスTtopのみで記録パルスが形成される場合もある。
図4に、光記録媒体Aに情報を記録するときに使用する記録パルスパターンを示す。記録パルスパターンに基づいてレーザ光を3値(記録パワーPw、消去パワーPe、ボトムパワーPb)のレーザ強度で変調して、記録信号のマーク長に対応してパルス数を増減させ、所望のマーク長の記録マークを記録層3、記録層13に形成する。レーザ強度は記録パワーPwが一番大きく、消去パワーPe、ボトムパワーPbの順に小さい。
記録パルスパターンは図4に示すように、消去パワーPeから立ち上がって最初に記録層3、記録層13にレーザ光を記録パワーPwで印加する先頭パルスTtopと、先頭パルスTtopに続くパルスであり、記録パワーPwとボトムパワーPbとを交互に印加するマルチパルスTmpと、レーザ光をボトムパワーPbから立ち上がって、消去パワーPeを印加する終端に位置する消去パルスTclからなる。先頭パルスTtopとマルチパルスTmpとは記録層3、記録層13に対して記録マークを形成するための記録パルスとなっている。なお、マルチパルスTmpがなく先頭パルスTtopのみで記録パルスが形成される場合もある。
例えばDVD−RWでは、マーク長は3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11T、14Tの10種類ある。マーク長をnTとした場合、マルチパルスTmpの数は一般的に(n−1)または(n−2)である。図4では(n−2)の場合を示した。ここで、Tとは単位クロックであり、DVD−RWでは、DVD1倍速時(記録線速度:3.5m/s)で1T=38.2ns、DVD4倍速時(記録線速度:14.0m/s)で1T=9.6nsである。
また、近年の高速化記録に伴い単位クロックTが数nsオーダーと短くなるため、レーザパルスの立ち上がり・立ち下り応答限界を考慮して、図5に示すような、2Tを基準とした記録パルスパターンを用いても良い。図5において記録パルスAは3T、記録パルスBは11T、記録パルスCは14Tのマーク長を有する記録マークを形成するための記録パルスパターンを示す。
また、近年の高速化記録に伴い単位クロックTが数nsオーダーと短くなるため、レーザパルスの立ち上がり・立ち下り応答限界を考慮して、図5に示すような、2Tを基準とした記録パルスパターンを用いても良い。図5において記録パルスAは3T、記録パルスBは11T、記録パルスCは14Tのマーク長を有する記録マークを形成するための記録パルスパターンを示す。
≪光記録装置≫
図6に、所望の記録パルスパターンをもったレーザ光を光記録媒体Aに照射するための本発明の一実施形態である光記録装置を示す。
図6に、所望の記録パルスパターンをもったレーザ光を光記録媒体Aに照射するための本発明の一実施形態である光記録装置を示す。
まず、スピンドルモータ31は光記録媒体Aを回転させる。スピンドルモータ31の回転数が目的の記録速度に対応する記録線速度となるよう回転制御部32が制御する。また光記録媒体Aの記録・再生または消去に用いる半導体レーザ(LD)33や、LD33のレーザ光を集光照射させる対物レンズ(図示せず)及び4分割受光素子(図示せず)を備えた光ヘッド34が、光記録媒体Aの半径方向に移動自在に設けられている。
なお、本実施形態の光記録装置に用いる記録用の光源としては、レーザ光、ストロボ光のように高強度の光源が好ましい。なかでも半導体レーザ光は光源が小型化できること、消費電力が小さいこと、変調が容易であることから好ましい。
なお、本実施形態の光記録装置に用いる記録用の光源としては、レーザ光、ストロボ光のように高強度の光源が好ましい。なかでも半導体レーザ光は光源が小型化できること、消費電力が小さいこと、変調が容易であることから好ましい。
ドライブコントローラ44は、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてアクチュエータ制御部35を制御する。アクチュエータ制御部35は光ヘッド34の光記録媒体Aへのフォーカス及びトラッキングを制御する。反射率検出部46は、供給された再生信号に基づいて反射率を検出し、検出結果をシステムコントローラ45に出力する。
ウォブル検出部36はプログラマブルバンドパスフィルタ(BPF)361を備え、検出したウォブル信号をアドレス復調回路37に出力する。アドレス復調回路37は検出されたウォブル信号からアドレスを復調して出力する。復調されたアドレスが入力される記録クロック生成部38はPLLシンセサイザ回路381を有し、記録チャネルクロックを生成して記録パルス生成部39及びパルス数制御部40に出力する。
記録クロック生成部38はドライブコントローラ44によって制御される。ドライブコントローラ44は回転制御部32、アクチュエータ制御部35、ウォブル検出部36、アドレス復調回路37及びシステムコントローラ45も制御する。
記録クロック生成部38はドライブコントローラ44によって制御される。ドライブコントローラ44は回転制御部32、アクチュエータ制御部35、ウォブル検出部36、アドレス復調回路37及びシステムコントローラ45も制御する。
ドライブコントローラ44はウォブル検出部36より供給されたウォブル信号を、記録クロック生成部38に出力する。また、アドレス復調回路37より供給されたアドレス情報をシステムコントローラ45に出力する。
システムコントローラ45はメモリ451を有し、EFM+エンコーダ42、マーク長カウンタ41、パルス数制御部40及びLDドライバ部43を制御する。EFM+エンコーダ42は入力された記録情報を8−16変調して変調データとし、記録パルス生成部39とマーク長カウンタ41に出力する。マーク長カウンタ41は変調データに基づいて変調データの反転間隔をカウントして、マーク長データを生成するマーク長生成部として動作し、そのカウント値を記録パルス生成部39とパルス数制御部40に出力する。パルス数制御部40は、供給されたカウント値と記録チャネルクロックに基づいて記録パルスが所定のパルスとなるように記録パルス生成部39を制御する。
システムコントローラ45はメモリ451を有し、EFM+エンコーダ42、マーク長カウンタ41、パルス数制御部40及びLDドライバ部43を制御する。EFM+エンコーダ42は入力された記録情報を8−16変調して変調データとし、記録パルス生成部39とマーク長カウンタ41に出力する。マーク長カウンタ41は変調データに基づいて変調データの反転間隔をカウントして、マーク長データを生成するマーク長生成部として動作し、そのカウント値を記録パルス生成部39とパルス数制御部40に出力する。パルス数制御部40は、供給されたカウント値と記録チャネルクロックに基づいて記録パルスが所定のパルスとなるように記録パルス生成部39を制御する。
記録パルス生成部39は先頭パルス制御信号生成部39tとマルチパルス制御信号生成部39mと消去パルス制御信号生成部39cとを備える。先頭パルス制御信号生成部39tは先頭パルス制御信号を、マルチパルス制御信号生成部39mはマルチパルス制御信号を、消去パルス制御信号生成部39cは消去パルス制御信号をそれぞれ生成する。それぞれの制御信号はLDドライバ部43に供給され、スイッチング部431は記録パワーPwの駆動電流源431w、消去パワーPeの駆動電流源431e、ボトムパワーPbの駆動電流源431bを供給された制御信号に基づいてスイッチングすることで記録パルスパターンを生成する。
Pw駆動電流源431w、Pe駆動電流源431e及びPb駆動電流源431bは、システムコントローラ45のメモリ451に記憶されている記録パワーPw、消去パワーPe及びボトムパワーPbに基づいて光ヘッド34に電流を供給する。これら3値は光記録媒体Aの記録特性を良好にするための最適な値であり、この最適な値を示す識別情報は予めメモリ451に格納されているか、アップデートにより格納されるか、あるいは反射率検出部46を利用して求めて格納することもできる。なお、メモリ451は例えばROM(Read Only Memory)または、記録可能なRAM(Random Access Memory)である。
ところで、本実施形態の光記録装置は、光記録媒体の高線速度(高倍速)化に対応して複数の記録線速度のうちから選択した記録線速度を設定できる用にしている。システムコントローラ45は記録線速度(倍速モード)を選択するための指示信号が入力されると、メモリ451に記憶されている指示された記録線速度における識別情報に基づいてPw駆動電流源431w、Pe駆動電流源431e及びPb駆動電流源431bを上記同様に制御する。メモリ451には複数の記録線速度における識別情報が上述したように格納されている。
Pw駆動電流源431w、Pe駆動電流源431e及びPb駆動電流源431bは、システムコントローラ45のメモリ451に記憶されている記録パワーPw、消去パワーPe及びボトムパワーPbに基づいて光ヘッド34に電流を供給する。これら3値は光記録媒体Aの記録特性を良好にするための最適な値であり、この最適な値を示す識別情報は予めメモリ451に格納されているか、アップデートにより格納されるか、あるいは反射率検出部46を利用して求めて格納することもできる。なお、メモリ451は例えばROM(Read Only Memory)または、記録可能なRAM(Random Access Memory)である。
ところで、本実施形態の光記録装置は、光記録媒体の高線速度(高倍速)化に対応して複数の記録線速度のうちから選択した記録線速度を設定できる用にしている。システムコントローラ45は記録線速度(倍速モード)を選択するための指示信号が入力されると、メモリ451に記憶されている指示された記録線速度における識別情報に基づいてPw駆動電流源431w、Pe駆動電流源431e及びPb駆動電流源431bを上記同様に制御する。メモリ451には複数の記録線速度における識別情報が上述したように格納されている。
生成された記録パルスパターンは光ヘッド34に入力される。光ヘッド34はLD33が所望の記録パルスパターン及びパワー比ε(Pw/Pe)のLD発光波形を出力するよう制御することにより、記録情報を光記録媒体Aに記録する。
記録パルス生成部39とLDドライバ部43と光ヘッド34とは、マーク長カウンタ41で生成されたマーク長に基づいて、消去パワーPeから立ち上がり、消去パワーPeより大なる記録パワーPwと消去パワーPeより小なるボトムパワーPbとの間で形成される記録パルスと、ボトムパワーPbから消去パワーPeへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンを生成し、記録層3に対してLD33より記録光を記録パルスパターンに応じて照射して記録情報を示す記録マークを記録する記録部400として動作している。
記録パルス生成部39とLDドライバ部43と光ヘッド34とは、マーク長カウンタ41で生成されたマーク長に基づいて、消去パワーPeから立ち上がり、消去パワーPeより大なる記録パワーPwと消去パワーPeより小なるボトムパワーPbとの間で形成される記録パルスと、ボトムパワーPbから消去パワーPeへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンを生成し、記録層3に対してLD33より記録光を記録パルスパターンに応じて照射して記録情報を示す記録マークを記録する記録部400として動作している。
≪最適な反射率比の検討≫
本発明者は光記録媒体Aの記録層3及び記録層13の、未記録部における反射率と未記録部に記録パルスパターンに応じた記録光を照射した後の反射率との関係(反射率比)が光記録媒体の記録及びオーバライト特性に影響を与えるのではないかと推定し、下記の実施例A−1〜A−6及び比較例A−7〜A−13に基づいてその推定が正しく、記録及びオーバライト特性が最良となる反射率比を有することを見出した。
本発明者は光記録媒体Aの記録層3及び記録層13の、未記録部における反射率と未記録部に記録パルスパターンに応じた記録光を照射した後の反射率との関係(反射率比)が光記録媒体の記録及びオーバライト特性に影響を与えるのではないかと推定し、下記の実施例A−1〜A−6及び比較例A−7〜A−13に基づいてその推定が正しく、記録及びオーバライト特性が最良となる反射率比を有することを見出した。
まず、初期化レーザパワー密度Diと光記録媒体Aの反射率R0との関係について説明する。図7に初期化レーザパワー密度Diに対する反射率R0の関係を示す。初期化レーザパワー密度Diとは、初期化に用いたレーザ光のレーザパワーを初期化用レーザの照射面積で除し、更に初期化用レーザの走査速度で除した値である。反射率R0とは、後述するように、光記録媒体Aの記録エリア54において一度も情報が記録されていない未記録部に、LD33からレーザパワーPrを有する再生光(0.7mW)を照射したときの未記録部の反射率である。本実施形態では記録トラック1周分の平均反射率とした。
領域Aは初期化レーザパワー密度Diが低く、スパッタ後のアモルファス部(As−depo)が残るために、DOW0のジッタ特性などが非常に悪く、好ましくない。
領域Aより初期化レーザパワー密度Diを上げると、アモルファス部がなくなり、比較的反射率変化の少ない領域Bとなる。この初期化レーザパワー密度Diの増加に伴い反射率R0がなだらかに増加する領域Bにおける前半1/2の低反射率側の領域をBL、後半1/2の高反射率側の領域をBHとする。更に初期化レーザパワー密度Diを上げると、反射率変化が大きい領域C、反射率変化が少ない領域D、そして、ディスク破壊領域へと変化していく。ディスク破壊領域では、初期化時に投入するレーザパワーが大きすぎるために、熱による物理的破壊が記録層3及び記録層13を中心とした層に起こる。
なお、L0層とL1層とではそれぞれを構成する記録層3、記録層13及び反射層5、反射層15の厚みが異なるため、それぞれの領域の境界での初期化レーザパワー密度Diの絶対値が異なる場合もある。しかしながらL0層、L1層いずれにおいても図7に示すような関係となる。また、以下で求める第1の反射率比(R1/R0)及び第2の反射率比(R9/R0)はいずれも反射率R0に依存するため、領域が同じであればL0層、L1層共に同じ値を示す。
領域Aより初期化レーザパワー密度Diを上げると、アモルファス部がなくなり、比較的反射率変化の少ない領域Bとなる。この初期化レーザパワー密度Diの増加に伴い反射率R0がなだらかに増加する領域Bにおける前半1/2の低反射率側の領域をBL、後半1/2の高反射率側の領域をBHとする。更に初期化レーザパワー密度Diを上げると、反射率変化が大きい領域C、反射率変化が少ない領域D、そして、ディスク破壊領域へと変化していく。ディスク破壊領域では、初期化時に投入するレーザパワーが大きすぎるために、熱による物理的破壊が記録層3及び記録層13を中心とした層に起こる。
なお、L0層とL1層とではそれぞれを構成する記録層3、記録層13及び反射層5、反射層15の厚みが異なるため、それぞれの領域の境界での初期化レーザパワー密度Diの絶対値が異なる場合もある。しかしながらL0層、L1層いずれにおいても図7に示すような関係となる。また、以下で求める第1の反射率比(R1/R0)及び第2の反射率比(R9/R0)はいずれも反射率R0に依存するため、領域が同じであればL0層、L1層共に同じ値を示す。
以下の実施例A−1〜A−6及び比較例A−7〜A−13では、波長が658nmのレーザダイオード、NA=0.60の光学レンズを搭載したパルステック社製光ディスクドライブテスタ(DDU1000)を用いて記録(1ビーム・オーバライト)と再生を行った。記録層3、記録層13それぞれにフォーカスを合わせ、各記録層について評価を行った。
記録線速度は7m/s(DVD規格2倍速相当)で、8−16(EFM+)変調ランダムパターンによる記録再生評価を行った。単位クロックTは19.2ns(DVD2倍速)で、ビット長は0.267μm/ビットである。このようにして光記録媒体に対してDVD−ROMと同密度の記録を行った。この場合の光記録媒体の容量は4.7Gバイトである。なお、光記録媒体に対する最適条件で隣接トラックも含め10回オーバライトした後、その再生信号の振幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジッタを測定した。なお再生光のレーザパワー(再生パワー)Prは、L0層の記録層3の再生には0.7mWを、L1層の記録層13の再生には1.2mWを用いた。
また、記録ストラテジは、図4に示すようなDVD-RW Version1.1の規定に従った分割パルス系列を用いた。
記録線速度は7m/s(DVD規格2倍速相当)で、8−16(EFM+)変調ランダムパターンによる記録再生評価を行った。単位クロックTは19.2ns(DVD2倍速)で、ビット長は0.267μm/ビットである。このようにして光記録媒体に対してDVD−ROMと同密度の記録を行った。この場合の光記録媒体の容量は4.7Gバイトである。なお、光記録媒体に対する最適条件で隣接トラックも含め10回オーバライトした後、その再生信号の振幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジッタを測定した。なお再生光のレーザパワー(再生パワー)Prは、L0層の記録層3の再生には0.7mWを、L1層の記録層13の再生には1.2mWを用いた。
また、記録ストラテジは、図4に示すようなDVD-RW Version1.1の規定に従った分割パルス系列を用いた。
(実施例A−1)
はじめに、L0層の形成について詳細に述べる。L0層は、直径が120mm、板厚が0.6mmのポリカーボネイト樹脂製の基板1上に、後述する各層を形成した。基板1にはトラックピッチが0.74μmで空溝が形成されている。この溝深さは25nmであり、グルーブ幅とランド幅の比は、およそ40:60であった。なお、グルーブは記録・再生または消去用レーザ光の入射方向から見て凸状になっている。
はじめに、L0層の形成について詳細に述べる。L0層は、直径が120mm、板厚が0.6mmのポリカーボネイト樹脂製の基板1上に、後述する各層を形成した。基板1にはトラックピッチが0.74μmで空溝が形成されている。この溝深さは25nmであり、グルーブ幅とランド幅の比は、およそ40:60であった。なお、グルーブは記録・再生または消去用レーザ光の入射方向から見て凸状になっている。
まず、真空容器内を3×10-4Paまで排気した後、2×10-1PaのArガス雰囲気中でSiO2を20mol%添加したZnSターゲットを用い高周波マグネトロンスパッタ法により、基板1上に厚さ70nmの第1誘電体膜2を形成した。
続いて、記録層3をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚6nm、続いて第2誘電体膜4を第1誘電体膜2と同じ材料で膜厚10nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで層厚10nmとして、順次積層した。
基板1を真空容器内より取り出した後、この反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて厚さが3μmの保護層6を形成した。
続いて、記録層3をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚6nm、続いて第2誘電体膜4を第1誘電体膜2と同じ材料で膜厚10nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで層厚10nmとして、順次積層した。
基板1を真空容器内より取り出した後、この反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて厚さが3μmの保護層6を形成した。
続いて、L1層を形成した。各層の形成方法は、既述のL0層を構成する対応する層及び膜と同様の方法である。基板11上に、反射層15をAg−Pd−Cuターゲットで層厚120nm、第3誘電体膜12を第1誘電体膜2と同じ材料で膜厚16nm、記録層13をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚16nm、第4誘電体膜14をZnS・SiO2で膜厚70nmとして順次積層した。記録層13のSb/Teは記録層3のSb/Teと同じとした。
未初期化の光記録媒体の記録層3及び記録層13に対して、初期化装置200として日立コンピュータ機器製POP120を使用して、ラジアル方向レーザ光幅94μm、走査方向レーザ光幅1.0μmのレーザを用いて、走査線速度2m/s、レーザパワー720mW、送りピッチ15μmの初期化条件(初期化レーザパワー密度Di=3.83[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)で初期化を行った。
L0層及びL1層の初期化をすませた後、基板1、11が外側を向くよう、保護層6と第4誘電体膜14とを対向させて透明層20で貼り合わせ、図2に示す光記録媒体Aを得た。透明層20には両面粘着型シートを用いた。なお、本実施形態においてはL0層及びL1層それぞれの層を初期化した後貼り合わせたが、貼り合わせた後に初期化を行っても構わない。
L0層及びL1層の初期化をすませた後、基板1、11が外側を向くよう、保護層6と第4誘電体膜14とを対向させて透明層20で貼り合わせ、図2に示す光記録媒体Aを得た。透明層20には両面粘着型シートを用いた。なお、本実施形態においてはL0層及びL1層それぞれの層を初期化した後貼り合わせたが、貼り合わせた後に初期化を行っても構わない。
次に、光記録媒体Aの記録エリア54において一度も情報が記録されていない未記録部に、LD33からレーザパワーPrを有する再生光(0.7mW)を照射したときの未記録部の反射率をR0、この未記録部に記録パルスパターンのレーザ光を1トラック照射した後に、LD33から再生用のレーザ光を照射したときの未記録部の反射率をR1として、R0及びR1を求めた。なおここで、本実施形態では記録パルスパターンとして、記録マークを3T〜14Tの間でランダムに形成するような記録パルスパターン(ランダムパターン)を用いた。レーザ光の3値は、ジッタが最も少なくなる最適値を用いた。反射率R1はこのランダムパターンに基づくレーザ光を1トラックに照射したときの反射率(1トラックでの平均値)である。また、未記録部にランダムパターンに応じたレーザ光を1トラックに9回照射した後に、LD33から再生用のレーザ光を照射したときの未記録部の反射率をR9として求めた。
続いて、光記録媒体Aの記録層3および記録層13のグルーブに記録を行った。
記録の条件である記録パルスパターンは、線速度7m/s(DVD2倍速)において、Ttop=0.6[T]、Tmp=0.5[T]、Tcl=0.0[T]とした。また、レーザ光のレーザ強度は記録パワーPw=17.0[mW]、消去パワーPe=4.6[mW]、ボトムパワーPb=0.5[mW]の3値を用いた(パワー比ε=Pe/Pw=0.27)。
本実施例A−1で用いた光記録媒体AのL0層の記録層3における未記録部の反射率R0は5.9%であり、記録パルスパターンに応じた記録光を1回照射後における反射率R1は6.2%、記録パルスパターンに応じた記録光を9回照射後における反射率R9=6.5%であった。なお、第1の反射率比(R1/R0)は1.051、第2の反射率比(R9/R0)は1.102である。また、同様に求めたL1層の記録層13のR0は6.1%であり、R1=6.3%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.033、R9/R0=1.082)。実施例A−1で測定した値をL0層については表1に、L1層については表2にまとめて示す。
記録の条件である記録パルスパターンは、線速度7m/s(DVD2倍速)において、Ttop=0.6[T]、Tmp=0.5[T]、Tcl=0.0[T]とした。また、レーザ光のレーザ強度は記録パワーPw=17.0[mW]、消去パワーPe=4.6[mW]、ボトムパワーPb=0.5[mW]の3値を用いた(パワー比ε=Pe/Pw=0.27)。
本実施例A−1で用いた光記録媒体AのL0層の記録層3における未記録部の反射率R0は5.9%であり、記録パルスパターンに応じた記録光を1回照射後における反射率R1は6.2%、記録パルスパターンに応じた記録光を9回照射後における反射率R9=6.5%であった。なお、第1の反射率比(R1/R0)は1.051、第2の反射率比(R9/R0)は1.102である。また、同様に求めたL1層の記録層13のR0は6.1%であり、R1=6.3%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.033、R9/R0=1.082)。実施例A−1で測定した値をL0層については表1に、L1層については表2にまとめて示す。
ところでL0層とL1層とでは、それぞれを構成している層の厚みが異なるために、初期化レーザパワー密度Diと反射率領域との関係がL0層とL1層とでは同一でない場合もある。従って、未記録部に印加する初期化レーザパワーを変更させ、初期化レーザパワー密度Diと反射率領域との関係を、L0層及びL1層それぞれについて予め求めておき、初期化レーザパワー密度DiよりL0層及びL1層の反射率領域を判断できるように検討を行った。
初期特性及びオーバライト記録特性は表1に示すとおり、L0層の初回記録(DOW0)ジッタが7.3%、オーバライト1回(DOW1)ジッタが8.8%、オーバライト9回(DOW9)ジッタが8.3%であった。さらに記載はしていないが約1万回オーバライト(DOW10000)でのジッタが9.5%と、オーバライトしても特性が常に安定して、記録特性が良好であった。また、表2に示すようにL1層のDOW0ジッタが7.1%、DOW1ジッタが8.6%、DOW10ジッタが8.2%であり、DOW10000ジッタが9.2%と、L0層同様に記録特性が良好であった。
ここで述べるオーバライトはワンビームオーバライトのことであり、1回のレーザ走査で以前に形成された記録マークを消し、新たに記録マークを形成することをいう。そしてDOW0(Direct Over Write:オーバライト)は初期化した光記録媒体Aの未記録部へ記録マークを形成する初回記録、DOW1は更にそこへ記録マークを形成するオーバライト1回目である。概ね10%以下のジッタはエラーレートに与える悪影響が少ないとされている。そこで、DOW0ジッタは10%以下、DOW1ジッタは11%以下、DOW9ジッタは9%以下の値を良好な値と定義する。
ここで述べるオーバライトはワンビームオーバライトのことであり、1回のレーザ走査で以前に形成された記録マークを消し、新たに記録マークを形成することをいう。そしてDOW0(Direct Over Write:オーバライト)は初期化した光記録媒体Aの未記録部へ記録マークを形成する初回記録、DOW1は更にそこへ記録マークを形成するオーバライト1回目である。概ね10%以下のジッタはエラーレートに与える悪影響が少ないとされている。そこで、DOW0ジッタは10%以下、DOW1ジッタは11%以下、DOW9ジッタは9%以下の値を良好な値と定義する。
(実施例A−2)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー740mW(初期化レーザパワー密度Di=3.94[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.23に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.1%、R1=6.4%、R9=6.7%であった(R1/R0=1.049、R9/R0=1.098)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=6.2%、R1=6.5%、R9=6.8%(R1/R0=1.048、R9/R0=1.097)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー740mW(初期化レーザパワー密度Di=3.94[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.23に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.1%、R1=6.4%、R9=6.7%であった(R1/R0=1.049、R9/R0=1.098)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=6.2%、R1=6.5%、R9=6.8%(R1/R0=1.048、R9/R0=1.097)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例A−3)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー700mW(初期化レーザパワー密度Di=3.72[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.7%、R1=6.3%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.105、R9/R0=1.158)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.8%、R1=6.5%、R9=6.7%(R1/R0=1.121、R9/R0=1.155)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー700mW(初期化レーザパワー密度Di=3.72[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.7%、R1=6.3%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.105、R9/R0=1.158)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.8%、R1=6.5%、R9=6.7%(R1/R0=1.121、R9/R0=1.155)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例A−4)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー780mW(初期化レーザパワー密度Di=4.15[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.21に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.3%、R1=6.33%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.005、R9/R0=1.048)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=6.4%、R1=6.45%、R9=6.8%(R1/R0=1.008、R9/R0=1.055)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー780mW(初期化レーザパワー密度Di=4.15[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.21に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.3%、R1=6.33%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.005、R9/R0=1.048)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=6.4%、R1=6.45%、R9=6.8%(R1/R0=1.008、R9/R0=1.055)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例A−5)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー610mW(初期化レーザパワー密度Di=3.24[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。このとき反射率領域は、BLに近いBHであった。パワー比εを0.38に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.4%、R1=6.2%、R9=6.4%であった(R1/R0=1.141、R9/R0=1.185)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.5%、R1=6.3%、R9=6.5%(R1/R0=1.145、R9/R0=1.182)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー610mW(初期化レーザパワー密度Di=3.24[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。このとき反射率領域は、BLに近いBHであった。パワー比εを0.38に変更し、実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.4%、R1=6.2%、R9=6.4%であった(R1/R0=1.141、R9/R0=1.185)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.5%、R1=6.3%、R9=6.5%(R1/R0=1.145、R9/R0=1.182)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例A−6)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー695mW(初期化レーザパワー密度Di=3.70[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.7%、R1=6.4%、R9=6.8%であった(R1/R0=1.123、R9/R0=1.193)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.8%、R1=6.4%、R9=6.9%(R1/R0=1.103、R9/R0=1.190)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー695mW(初期化レーザパワー密度Di=3.70[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.7%、R1=6.4%、R9=6.8%であった(R1/R0=1.123、R9/R0=1.193)。表1に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。また、L1層のR0=5.8%、R1=6.4%、R9=6.9%(R1/R0=1.103、R9/R0=1.190)であり、表2に示すように、実施例A−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(比較例A−7)
未初期化の光記録媒体をレーザパワー580mW(初期化レーザパワー密度Di=3.09[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.3%、R1=6.1%、R9=6.3%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.189)。表1に示すように、DOW1ジッタが11.9%と11%以上の値を取り、DOW9ジッタが10.6%と9%以上の値を取り、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.4%、R1=6.3%、R9=6.4%(R1/R0=1.167、R9/R0=1.185)であり、表2に示すように、L0層同様DOW1ジッタ及びDOW9ジッタが悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
未初期化の光記録媒体をレーザパワー580mW(初期化レーザパワー密度Di=3.09[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.3%、R1=6.1%、R9=6.3%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.189)。表1に示すように、DOW1ジッタが11.9%と11%以上の値を取り、DOW9ジッタが10.6%と9%以上の値を取り、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.4%、R1=6.3%、R9=6.4%(R1/R0=1.167、R9/R0=1.185)であり、表2に示すように、L0層同様DOW1ジッタ及びDOW9ジッタが悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
(比較例A−8)
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.7m/s(初期化レーザパワー密度Di=4.51[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=6.5%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.031)。表1に示すように、DOW0ジッタが11.8%と特に初回記録特性が悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.5%、R1=6.6%、R9=6.7%(R1/R0=1.015、R9/R0=1.031)であり、表2に示すように、L0層同様、DOW0ジッタが11.5%と初回記録特性が悪かった。
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.7m/s(初期化レーザパワー密度Di=4.51[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=6.5%、R9=6.6%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.031)。表1に示すように、DOW0ジッタが11.8%と特に初回記録特性が悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.5%、R1=6.6%、R9=6.7%(R1/R0=1.015、R9/R0=1.031)であり、表2に示すように、L0層同様、DOW0ジッタが11.5%と初回記録特性が悪かった。
(比較例A−9)
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.7m/s、初期化レーザパワー760mW(初期化レーザパワー密度Di=4.76[mW・s/(μm2・m)]、領域=D)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.7%、R1=6.7%、R9=6.8%であった(R1/R0=1.000、R9/R0=1.015)。表1に示すように、DOW1ジッタが14.9%であり、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.8%、R1=6.8%、R9=6.9%(R1/R0=1.000、R9/R0=1.015)であり、表2に示すように、DOW1ジッタが14.7%であり、L0層同様良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.7m/s、初期化レーザパワー760mW(初期化レーザパワー密度Di=4.76[mW・s/(μm2・m)]、領域=D)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.7%、R1=6.7%、R9=6.8%であった(R1/R0=1.000、R9/R0=1.015)。表1に示すように、DOW1ジッタが14.9%であり、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.8%、R1=6.8%、R9=6.9%(R1/R0=1.000、R9/R0=1.015)であり、表2に示すように、DOW1ジッタが14.7%であり、L0層同様良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
(比較例A−10)
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.8m/s(初期化レーザパワー密度Di=4.26[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=6.5%、R9=6.7%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.042)。表1に示すように、DOW9ジッタが10%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.5%、R1=6.6%、R9=6.8%(R1/R0=1.014、R9/R0=1.045)であり、表2に示すようにDOW9ジッタが10%となり、L0層同様良好なジッタ特性が得られなかった。
未初期化の光記録媒体を走査線速度1.8m/s(初期化レーザパワー密度Di=4.26[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=6.5%、R9=6.7%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.042)。表1に示すように、DOW9ジッタが10%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.5%、R1=6.6%、R9=6.8%(R1/R0=1.014、R9/R0=1.045)であり、表2に示すようにDOW9ジッタが10%となり、L0層同様良好なジッタ特性が得られなかった。
(比較例A−11)
未初期化の光記録媒体を走査線速度2.1m/s、初期化レーザパワー580mW(初期化レーザパワー密度Di=2.94[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.3%、R1=6.1%、R9=6.4%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.208)。表1に示すように、DOW1ジッタが12.1%、DOW9ジッタが10.8%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.4%、R1=6.1%、R9=6.5%(R1/R0=1.140、R9/R0=1.215)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが12.1%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。
未初期化の光記録媒体を走査線速度2.1m/s、初期化レーザパワー580mW(初期化レーザパワー密度Di=2.94[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例A−1と同じ初期化条件で記録層を初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=5.3%、R1=6.1%、R9=6.4%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.208)。表1に示すように、DOW1ジッタが12.1%、DOW9ジッタが10.8%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.4%、R1=6.1%、R9=6.5%(R1/R0=1.140、R9/R0=1.215)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが12.1%となり、良好なジッタ特性が得られなかった。
以上の実施例A−1〜A−6及び比較例A−7〜A−11から、第1の反射率比(R1/R0)が1.00より大きく1.15より小さい範囲では、DOW1ジッタを11.0%以下に抑え、かつ、DOW9を9.0%以下に抑えることが可能であることが判明した。さらに、このとき第2の反射率比(R9/R0)が1.05より大きく1.20より小さい範囲にあることも判明した。
また、R1/R0やR9/R0が上記した範囲外の場合には、ジッタが望ましくない値となることが判明した。
また、R1/R0やR9/R0が上記した範囲外の場合には、ジッタが望ましくない値となることが判明した。
(比較例A−12)
実施例A−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.18に変更した以外は実施例A−1と同じ記録条件で記録し、測定した。L0層のR0=6.1%、R1=6.2%、R9=6.3%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.033)。表1に示すようにDOW1ジッタが19.8%、DOW9ジッタが13.1%と良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.1%、R1=6.1%、R9=6.3%(R1/R0=1.000、R9/R0=1.033)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが19.5%、DOW9ジッタが12.9%と、L0層同様に良好なジッタ特性が得られなかった。
実施例A−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.18に変更した以外は実施例A−1と同じ記録条件で記録し、測定した。L0層のR0=6.1%、R1=6.2%、R9=6.3%であった(R1/R0=1.016、R9/R0=1.033)。表1に示すようにDOW1ジッタが19.8%、DOW9ジッタが13.1%と良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=6.1%、R1=6.1%、R9=6.3%(R1/R0=1.000、R9/R0=1.033)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが19.5%、DOW9ジッタが12.9%と、L0層同様に良好なジッタ特性が得られなかった。
(比較例A−13)
実施例A−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.50に変更した以外は実施例A−1と同じ記録条件で記録し、測定した。L0層のR0=6.0%、R1=6.2%、R9=6.5%であった(R1/R0=1.033、R9/R0=1.083)。表1に示すようにDOW1ジッタが13.6%と良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.9%、R1=6.8%、R9=6.8%(R1/R0=1.153、R9/R0=1.153)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが13.5%とL0層同様に良好なジッタ特性が得られなかった。
実施例A−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.50に変更した以外は実施例A−1と同じ記録条件で記録し、測定した。L0層のR0=6.0%、R1=6.2%、R9=6.5%であった(R1/R0=1.033、R9/R0=1.083)。表1に示すようにDOW1ジッタが13.6%と良好なジッタ特性が得られなかった。また、L1層のR0=5.9%、R1=6.8%、R9=6.8%(R1/R0=1.153、R9/R0=1.153)であり、表2に示すようにDOW1ジッタが13.5%とL0層同様に良好なジッタ特性が得られなかった。
以上から、光記録媒体Aにおける既述したように定義した反射率比R0、R1及びR9、これに基づいた第1の反射率比(R1/R0)が(1)式の関係を満たすことが好ましいことが判明した。更に、第2の反射率比(R9/R0)が、(2)式の関係を満たすことが好ましいことも判明した。(1)式、(2)式の関係を満たすよう、例えば初期化レーザパワー密度Diを設定することが挙げられる。(1)式、(2)式の関係を満たすことで1回または複数回のオーバライトを行っても、光記録媒体Aは良好な記録及びオーバライト特性を保つことができる。
1.00<(R1/R0)<1.15 ・・・(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 ・・・(2)
1.05<(R9/R0)<1.20 ・・・(2)
第1の反射率比(R1/R0)が1.15より大きいと、初期化された未記録部はアモルファス部分を多く含むこととなり、再生信号の変調度が十分に得られない等の問題がある。また、2層の光記録媒体は十分な反射率が得られず、ドライブでの認識ができなくなるなどの問題が発生する可能性もある。
また、反射率R0を低めに設定することは、オーバライトを繰り返すことで反射率が大きくなりやすいことにつながる。従って第2の反射率比(R9/R0)が(2)式の関係を満たすよう初期化条件を設定すると、オーバライトの繰り返しによる結晶状態の変化も大きくなく、DOW9ジッタをDVD−RWの規格で設定されている値とすることも可能である。
また、反射率R0を低めに設定することは、オーバライトを繰り返すことで反射率が大きくなりやすいことにつながる。従って第2の反射率比(R9/R0)が(2)式の関係を満たすよう初期化条件を設定すると、オーバライトの繰り返しによる結晶状態の変化も大きくなく、DOW9ジッタをDVD−RWの規格で設定されている値とすることも可能である。
図8は反射率領域B〜Dにおける上書き回数(オーバライト:DOW)とジッタ値との関係を示すDOWジッタ特性図である。
領域D(◆)の初期化レーザパワー密度Di、すなわち初期化用レーザのレーザパワーと走査速度に基づく初期化条件では、DOW0のジッタは良いが、DOW1ジッタが非常に悪くなるので、好ましくない。領域Dにおいて第2の反射率比(R9/R0)は1.05を下回り、(2)式を満足しない。
領域C(●)の初期化条件では、領域Dと領域BHの両方が入り混じるために初期特性が安定せず、図8に示すように特にDOW0のジッタが良くない。オーバライトを少数回繰り返すとジッタは良くなるが、DOW9(オーバライト9回目)でも良好なジッタが得られないので、好ましくない。領域Cにおいても領域Dと同様にR9/R0は1.05を下回り、(2)式を満足しない。
領域D(◆)の初期化レーザパワー密度Di、すなわち初期化用レーザのレーザパワーと走査速度に基づく初期化条件では、DOW0のジッタは良いが、DOW1ジッタが非常に悪くなるので、好ましくない。領域Dにおいて第2の反射率比(R9/R0)は1.05を下回り、(2)式を満足しない。
領域C(●)の初期化条件では、領域Dと領域BHの両方が入り混じるために初期特性が安定せず、図8に示すように特にDOW0のジッタが良くない。オーバライトを少数回繰り返すとジッタは良くなるが、DOW9(オーバライト9回目)でも良好なジッタが得られないので、好ましくない。領域Cにおいても領域Dと同様にR9/R0は1.05を下回り、(2)式を満足しない。
領域BL(□)でのDOWジッタ特性は図8に示すようにDOW0のジッタは良いが、DOW1ジッタが非常に悪くなるので、好ましくない。領域BLにおいて第1の反射率比(R1/R0)は1.15を超え、(1)式を満足しない。
一方、領域BH(△)では図8に示すような良好なDOWジッタ特性を得ることができるので、もっとも望ましい初期化条件である。更に領域BHでは上記(1)式及び(2)式の関係を満足する。
一方、領域BH(△)では図8に示すような良好なDOWジッタ特性を得ることができるので、もっとも望ましい初期化条件である。更に領域BHでは上記(1)式及び(2)式の関係を満足する。
図9に、実施例A−1〜A−6及び比較例A−7〜A−13に基づいた、光記録媒体AのL0層におけるジッタとパワー比εとの関係を示す。図9からパワー比εが0.20以上0.40以下の範囲内にあると良好なDOW1ジッタが得られることが分かる。図9には、L1層における同様の関係も示したが、L1層においてもパワー比εが0.20以上0.40以下の範囲内にあると良好なDOW1ジッタが得られることが分かる。
図10はDOW回数に対するジッタの関係を示すDOWジッタ特性図である。図10においてはパワー比εが0.3(△)と、0.2より小さい0.15(◇)と、0.4より大きい0.45(○)を示している。パワー比εが0.20より小さい場合、記録パワーPwに対して消去パワーPeが過剰に小さくなるので前に描いたマークを十分に消去することができない。そのため図10の(◇)で示すようにDOW1以降のジッタ特性が良くないので好ましくない。一方パワー比εが0.40より大きい場合には、記録パワーPwに対して消去パワーPeが過剰に大きくなるので結晶状態が安定せず、図10の(○)で示すようにDOW1のジッタ特性が良くないので好ましくない。
図10に示すパワー比εが0.30である場合(△)、ジッタがいずれのDOW回数においても10%以下の値を取ることがわかる。以上のことより、10%以下のジッタを得るために0.20≦ε≦0.40の範囲にあるパワー比εが好ましい。
図10に示すパワー比εが0.30である場合(△)、ジッタがいずれのDOW回数においても10%以下の値を取ることがわかる。以上のことより、10%以下のジッタを得るために0.20≦ε≦0.40の範囲にあるパワー比εが好ましい。
なお、パワー比εを0.20≦ε≦0.40と設定することで、消去パワーPeが記録層の融点を超えるエネルギーを与えることがなくなる。加えて、結晶化に利用できる時間が長くなる。そのため、記録層を形成する材料のSb/Teが低くても高い結晶化速度を得ることができる。このことより、L0層の記録層3とL1層の記録層13とでSb/Teを変えるという煩雑な設定をしなくても、記録層3と記録層13とが高速記録可能で、かつ良好な記録特性を得ることができる。
図11にSbTe系の材料で形成した記録層の結晶化速度とパワー比εとの関係を示す。Sb/Te比が3.2の場合を直線で、3.0の場合を破線で、2.3の場合を一点鎖線で表した。ここから、本発明のようにパワー比εが0.20≦ε≦0.40であれば、Sb/Teが3.0と低い場合でも、DVD4倍速に相当する結晶化速度が得られることがわかる。
図11にSbTe系の材料で形成した記録層の結晶化速度とパワー比εとの関係を示す。Sb/Te比が3.2の場合を直線で、3.0の場合を破線で、2.3の場合を一点鎖線で表した。ここから、本発明のようにパワー比εが0.20≦ε≦0.40であれば、Sb/Teが3.0と低い場合でも、DVD4倍速に相当する結晶化速度が得られることがわかる。
≪透過率の検討≫
続いて、本発明者はL0層を構成する記録層3の透過率を上げるために膜の厚みを小さくすることが光記録媒体の記録及びオーバライト特性に影響を与えるのではないかと推定し、下記の実施例B−1〜B−5及び比較例B−6〜B−12に基づいてその推定が正しく、記録及びオーバライト特性が最良となるL0層の構成を見出した。
従って、以下では記録層3の透過率を向上させるため、L0層の構成とL0層の初期化条件とが実施例A−1とは異なる光記録媒体Aを作成し検討した。L0層に関する他の条件は実施例A−1と同様のものとした。
また、組み合わせるL1層の記録層13については、実施例B−1〜B−5は実施例A−1〜A−5と、比較例B−6〜B−12は比較例A−7〜A−13と同一のものを用いたため、L1層に関する記載は省略する。L0層の記録層3についてのみ下記に詳述し、表3にまとめる。
続いて、本発明者はL0層を構成する記録層3の透過率を上げるために膜の厚みを小さくすることが光記録媒体の記録及びオーバライト特性に影響を与えるのではないかと推定し、下記の実施例B−1〜B−5及び比較例B−6〜B−12に基づいてその推定が正しく、記録及びオーバライト特性が最良となるL0層の構成を見出した。
従って、以下では記録層3の透過率を向上させるため、L0層の構成とL0層の初期化条件とが実施例A−1とは異なる光記録媒体Aを作成し検討した。L0層に関する他の条件は実施例A−1と同様のものとした。
また、組み合わせるL1層の記録層13については、実施例B−1〜B−5は実施例A−1〜A−5と、比較例B−6〜B−12は比較例A−7〜A−13と同一のものを用いたため、L1層に関する記載は省略する。L0層の記録層3についてのみ下記に詳述し、表3にまとめる。
(実施例B−1)
実施例A−1と同様に真空容器内で基板1上にZnSとSiO2よりなる層厚70nmの第1誘電体膜2を形成し、記録層3をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚5nm、続いて第2誘電体膜4を第1誘電体膜2と同じ材料で8nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで層厚7nmとして順次積層した。
この基板1を真空容器内より取り出した後、反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて膜厚が3μmの保護膜6を形成し、L0層を完成させた。
実施例A−1と同様に真空容器内で基板1上にZnSとSiO2よりなる層厚70nmの第1誘電体膜2を形成し、記録層3をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚5nm、続いて第2誘電体膜4を第1誘電体膜2と同じ材料で8nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで層厚7nmとして順次積層した。
この基板1を真空容器内より取り出した後、反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて膜厚が3μmの保護膜6を形成し、L0層を完成させた。
未初期化の光記録媒体の記録層3に対して、実施例A−1で用いた初期化装置200にてラジアル方向レーザ光幅94μm、走査方向レーザ光幅1.0μmのレーザを用いて、走査線速度3m/s、レーザパワー620mW、送りピッチ15μmの条件(初期化レーザパワー密度Di=2.2[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)で初期化を行った。
なお、L1層は実施例A−1と同じ構成のものを用いて、実施例A−1と同じ初期化条件で初期化をし、最後にL0層とL1層とを透明層20である両面粘着型シートで貼り合わせて光記録媒体Aを形成した。
この光記録媒体AのL0層は記録層3の厚みが薄いため、透過率は高いものの非常に徐冷的である。また記録層3の初期化条件が、L1層の記録層13と異なる。以下の実施例B−2〜B−5及び比較例B−6〜B−12においても同様の構成の光記録媒体Aを用いて検討する。
なお、L1層は実施例A−1と同じ構成のものを用いて、実施例A−1と同じ初期化条件で初期化をし、最後にL0層とL1層とを透明層20である両面粘着型シートで貼り合わせて光記録媒体Aを形成した。
この光記録媒体AのL0層は記録層3の厚みが薄いため、透過率は高いものの非常に徐冷的である。また記録層3の初期化条件が、L1層の記録層13と異なる。以下の実施例B−2〜B−5及び比較例B−6〜B−12においても同様の構成の光記録媒体Aを用いて検討する。
実施例A−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.9%、R1=7.3%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.058、R9/R0=1.101)。以上の値を表3にまとめて示す。
初期特性及びオーバライト記録特性は、表3に示すとおり、DOW0ジッタが7.4%、DOW1ジッタが9.0%、DOW9ジッタが8.3%であり、さらに表2には示していないがDOW10000ジッタが9.6%とオーバライト特性が非常に安定して、記録特性が良好であった。
初期特性及びオーバライト記録特性は、表3に示すとおり、DOW0ジッタが7.4%、DOW1ジッタが9.0%、DOW9ジッタが8.3%であり、さらに表2には示していないがDOW10000ジッタが9.6%とオーバライト特性が非常に安定して、記録特性が良好であった。
(実施例B−2)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー640mW(初期化レーザパワー密度Di=2.27[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.23に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=7.1%、R1=7.4%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.042、R9/R0=1.099)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー640mW(初期化レーザパワー密度Di=2.27[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.23に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=7.1%、R1=7.4%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.042、R9/R0=1.099)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例B−3)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー600mW(初期化レーザパワー密度Di=2.13[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.7%、R1=7.4%、R9=7.7%であった(R1/R0=1.104、R9/R0=1.149)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー600mW(初期化レーザパワー密度Di=2.13[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.7%、R1=7.4%、R9=7.7%であった(R1/R0=1.104、R9/R0=1.149)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例B−4)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー680mW(初期化レーザパワー密度Di=2.41[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.21にし、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=7.2%、R1=7.24%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.006、R9/R0=1.056)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー680mW(初期化レーザパワー密度Di=2.41[mW・s/(μm2・m)]、領域=BH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.21にし、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=7.2%、R1=7.24%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.006、R9/R0=1.056)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(実施例B−5)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー510mW(初期化レーザパワー密度Di=1.81[mW・s/(μm2・m)]、領域=BLに近いBH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=7.3%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.141、R9/R0=1.188)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー510mW(初期化レーザパワー密度Di=1.81[mW・s/(μm2・m)]、領域=BLに近いBH)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。パワー比εを0.38に変更し、実施例B−1と同様に測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=7.3%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.141、R9/R0=1.188)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、実施例B−1と同様に良好なDOWジッタ特性が得られた。
(比較例B−6)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー480mW(初期化レーザパワー密度Di=1.70[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=6.3%、R1=7.3%、R9=7.5%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.188)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW1ジッタ特性がわずかに悪かった。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー480mW(初期化レーザパワー密度Di=1.70[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=6.3%、R1=7.3%、R9=7.5%であった(R1/R0=1.151、R9/R0=1.188)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW1ジッタ特性がわずかに悪かった。
(比較例B−7)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー620mW、線速度2.5m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.64[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.4%、R1=7.5%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.014、R9/R0=1.027)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW0ジッタ及びDOW1ジッタがわずかに悪かった。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー620mW、線速度2.5m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.64[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.4%、R1=7.5%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.014、R9/R0=1.027)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW0ジッタ及びDOW1ジッタがわずかに悪かった。
(比較例B−8)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー660mW、線速度2.5m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.81[mW・s/(μm2・m)]、領域=D)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.7%、R1=7.7%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.000、R9/R0=1.013)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW1ジッタが悪かった。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー660mW、線速度2.5m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.81[mW・s/(μm2・m)]、領域=D)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.7%、R1=7.7%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.000、R9/R0=1.013)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW1ジッタが悪かった。
(比較例B−9)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー620mW、線速度2.8m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.36[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.4%、R1=7.6%、R9=7.7%であった(R1/R0=1.027、R9/R0=1.041)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW9ジッタ特性がわずかに悪かった。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー620mW、線速度2.8m/s(初期化レーザパワー密度Di=2.36[mW・s/(μm2・m)]、領域=C)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=7.4%、R1=7.6%、R9=7.7%であった(R1/R0=1.027、R9/R0=1.041)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW9ジッタ特性がわずかに悪かった。
(比較例B−10)
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー480mW、線速度3.1m/s(初期化レーザパワー密度Di=1.65[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=7.2%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.125、R9/R0=1.219)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW9ジッタ特性がわずかに悪かった。
未初期化の光記録媒体の記録層3をレーザパワー480mW、線速度3.1m/s(初期化レーザパワー密度Di=1.65[mW・s/(μm2・m)]、領域=BL)とした以外は実施例B−1と同じ初期化条件で初期化した光記録媒体Aを用意した。実施例B−1と同じ条件で測定したところ、L0層のR0=6.4%、R1=7.2%、R9=7.8%であった(R1/R0=1.125、R9/R0=1.219)。実施例B−1と同様に測定をしたところ、表3に示すように、DOW9ジッタ特性がわずかに悪かった。
(比較例B−11)
実施例B−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.18に変更した以外は実施例B−1と同じ記録条件で記録し、測定した。反射率領域はBHであり、L0層のR0=7.1%、R1=7.2%、R9=7.2%であった(R1/R0=1.014、R9/R0=1.028)。表3に示すようにDOW1ジッタが20%を超えた。
実施例B−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.18に変更した以外は実施例B−1と同じ記録条件で記録し、測定した。反射率領域はBHであり、L0層のR0=7.1%、R1=7.2%、R9=7.2%であった(R1/R0=1.014、R9/R0=1.028)。表3に示すようにDOW1ジッタが20%を超えた。
(比較例B−12)
実施例B−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.5に変更した以外は実施例B−1と同じ記録条件で記録し、測定した。反射率領域はBHであり、L0層のR0=7.0%、R1=7.2%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.029、R9/R0=1.086)。表3に示すようにDOW1ジッタが悪かった。
実施例B−1と同じ光記録媒体Aを作成し、パワー比εを0.5に変更した以外は実施例B−1と同じ記録条件で記録し、測定した。反射率領域はBHであり、L0層のR0=7.0%、R1=7.2%、R9=7.6%であった(R1/R0=1.029、R9/R0=1.086)。表3に示すようにDOW1ジッタが悪かった。
以上のように、L0層の記録層3の透過率を上げるために、記録層3、第2誘電体膜4や半透明膜5の膜厚を非常に薄くした場合において、記録層3の初期化に必要な初期化パワー密度Diが低くても、上述した(1)、(2)式が成り立つことが判明した。
なお、上述した実施例A、Bにおいて光記録媒体の実施形態として2層の相変化型のものを用いて検討したが、本発明は記録層が1層の相変化型光記録媒体及び3層以上の複数の相変化型光記録媒体、いずれにおいても成り立つ。
なお、上述した実施例A、Bにおいて光記録媒体の実施形態として2層の相変化型のものを用いて検討したが、本発明は記録層が1層の相変化型光記録媒体及び3層以上の複数の相変化型光記録媒体、いずれにおいても成り立つ。
A 光記録媒体
L0 第1層
L1 第2層
1、11 基板
2、4、12、14 誘電体膜
3、13 記録層
5、15 反射層
L0 第1層
L1 第2層
1、11 基板
2、4、12、14 誘電体膜
3、13 記録層
5、15 反射層
Claims (3)
- 相変化型光記録媒体において、
基板と、
消去パワーから立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワーと前記消去パワーより小なるボトムパワーとの間で形成される記録パルスと、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンに応じて記録光を照射することにより記録情報を示す記録マークを記録する記録層を有し、
前記記録層は、前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR0、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に1回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR1、前記記録パルスパターンに応じた前記記録光を前記未記録部に9回照射した後に前記再生光を照射したときの前記未記録部の反射率をR9とした場合、
下記(1)、(2)式
1.00<(R1/R0)<1.15 …(1)
1.05<(R9/R0)<1.20 …(2)
が成り立つことを特徴とする光記録媒体。 - 前記光記録媒体は前記記録層を複数有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記記録パワーをPw、前記消去パワーをPeとし、前記記録パワーPwに対する前記消去パワーPeのパワー比ε(ε=Pe/Pw)としたとき、所定の領域に、
0.20≦ε≦0.40
とするための情報が書き込まれていることを特徴とする請求項1または2記載の光記録媒体。
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