JP2005243217A - 光記録媒体、光記録方法及び光記録装置 - Google Patents

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Kazuo Yonehara
和男 米原
Ikuo Matsumoto
郁夫 松本
Kenichi Shimomai
賢一 下舞
Kenji Tokui
健二 徳井
Hiroshi Tabata
浩 田畑
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Abstract

【課題】 記録速度を高速化しても良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバーライトを行っても記録特性を良好に維持することができる光記録媒体を提供する。
【解決手段】 相変化型光記録媒体は、基板1と、情報を記録するための記録層3とを備える。記録層は、未記録部に所定の直流消去パワーを有する光をパワー0から順次増大させて印加した後に再生光を照射して得られる反射率が所定の曲線で変化する。所定の曲線の変曲点における反射率をR0、ピーク点における反射率をR1としたとき、下記(1)式が成り立つ。
0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
【選択図】 図2

Description

本発明は、光(例えばレーザ光)の照射によって情報の記録・再生または消去を行う光記録媒体、光記録方法及び光記録装置に関するものである。特に本発明は、光ディスク、光カードなどの書き換え可能な相変化型記録媒体において、高線速度(高倍速)で光記録する際に良好なオーバーライト特性が得られる光記録媒体、光記録方法及び光記録装置を提供するものである。
相変化型光記録媒体とは、例えば近年のCD−RW、DVD−RWやDVD−RAMであり、情報を書換えることを可能とする媒体である。なかでもDVD−RWやDVD−RAMは主に映像情報のような情報量が大きいものの記録、書換えに使用される。相変化型光記録媒体には、優れた記録特性に加えて優れたオーバライト特性も要求されている。
相変化型光記録媒体は、記録・再生または消去用の各パワーを有するレーザ光が照射される面を底面とする基板上に、少なくとも誘電体層、記録層、誘電体層、反射層を順次積層した構成である。記録層はスパッタ法などで成膜された直後は反射率の低いアモルファス状態になっている。そのため製品出荷時には、反射率の高い結晶化状態にするためにレーザ光照射等を行い初期化している。
従来の書換え可能な相変化型光記録媒体の記録方法は以下の通りである。上記のように構成される相変化型光記録媒体において、記録時に記録パワーのレーザ光で記録パルスを記録層に印加(照射)して記録層を溶融し、急冷することにより、非結晶の記録マークを形成する。この記録マークの反射率は結晶状態の記録層の反射率より低いので、この記録マークを光学的に記録情報として読み取ることが可能である。この記録マークを消去する場合、記録パワーより小さなパワー(消去パワー)のレーザ光を照射することにより、記録層を結晶化温度以上の温度にし、非結晶状態から結晶状態にすることによって記録マークを消去し、オーバライト可能としている。
特許第2962052号公報(特許文献1)では、記録密度の向上と繰り返し記録特性の向上を目的として未記録部の反射率と記録部の反射率を規定する初期化方法が提案されているが、高線速度記録の光記録媒体に対する初期化方法に関することは記載されていない。また本発明者は特許文献1に記載の条件だけでは近年の高記録密度媒体への高速記録でのオーバライト特性(特にオーバライト1回目の特性)が十分でないことを確認している。
特開2003−162821号公報(特許文献2)では、高線速度記録での優れたジッタ特性やオーバライト特性を目的に、直流レーザの最適消去パワーで得られる最大消去率と、それよりも小さい消去パワーでの消去率との差を規定した光記録媒体が提案されている。また、特開2003−228841号公報(特許文献3)ではマーク形成時に用いる消去パワーとマーク間反射率の変化の関係をもとに、最適な消去パワーを規定した記録方法及び光記録媒体の提案がなされている。しかしながら、本発明者は特許文献3で提案された条件だけでは高線速度記録、具体的にはDVD4倍速(線速度:14m/s)以上での十分なオーバーライト特性(特にオーバーライト1回目の特性)が得られないことを確認している。
特許第2962052号公報 特開2003−162821号公報 特開2003−228841号公報
前述したように従来の光記録媒体及び光記録方法では、オーバライトを1回した際のジッタが大きく悪化し、またオーバライトが数百回を超すとジッタ特性が悪化するという問題があり、高線速度記録でのオーバライト特性を十分に確保することが難しかった。
そこで本発明は、前記した問題を解決するために創案されたものであり、記録速度を高速化(例えばDVD4倍速(線速度:14m/s)以上の高線速度記録)しても良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバライト記録特性を良好に維持することができる光記録媒体、光記録方法及び光記録装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、次の(a)〜(e)の光記録媒体、光記録方法及び光記録装置を提供するものである。
(a)相変化型光記録媒体(A)において、基板(1)と、情報を記録するための記録層(3)とを備え、前記記録層は、前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点(Q1)における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点(Q2)における反射率をR1としたとき、下記(1)式
0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
が成り立つ特性を呈することを特徴とする光記録媒体。
(b)前記記録層を構成する材料は、1トラック内での反射率が略一定となるような結晶化状態で初期化されていることを特徴とする(a)記載の光記録媒体。
(c)相変化型光記録媒体(A)の記録層(3)に記録情報を記録する光記録方法において、前記光記録媒体は、前記記録層が前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点(Q1)における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点(Q2)における反射率をR1としたとき、下記(1)式
0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
が成り立つ特性を呈するものであり、前記光記録方法は、前記記録情報を変調して変調データを生成する変調ステップと、前記変調データに基づいて所望のマーク長を生成するマーク長生成ステップと、前記マーク長に基づいて、消去パワー(Pe)から立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワー(Pw)と前記消去パワーより小なるボトムパワー(Pb)との間で形成される記録パルス(Ttop、Tmp)と、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルス(Tcl)とよりなる記録パルスパターンを生成し、前記記録層に対して記録光を前記記録パルスパターンに応じて照射して前記記録情報を示す記録マークを記録する記録ステップとを含み、前記記録ステップは、前記記録パルスパターンにおける前記消去パワーをPe、前記変曲点における消去パワーをP1としたとき、下記(2)式
0.5≦Pe/P1≦1.0 …(2)
が成り立つ消去パワーPeを用いることを特徴とする光記録方法。
(d)相変化型光記録媒体(A)の記録層(3)に記録情報を記録する光記録装置において、前記光記録媒体は、前記記録層が前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点(Q1)における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点(Q2)における反射率をR1としたとき、下記(1)式
0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
が成り立つ特性を呈するものであり、前記光記録装置は、前記記録情報を変調して変調データを生成するエンコーダ(42)と、前記変調データに基づいて所望のマーク長を生成するマーク長生成部(41)と、前記マーク長に基づいて、消去パワー(Pe)から立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワー(Pw)と前記消去パワーより小なるボトムパワー(Pb)との間で形成される記録パルス(Ttop,Tmp)と、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルス(Tcl)とよりなる記録パルスパターンを生成し、前記記録層に対して記録光を前記記録パルスパターンに応じて照射して前記記録情報を示す記録マークを記録する記録部(400)とを備え、前記記録部は、前記記録パルスパターンにおける前記消去パワーをPe、前記変曲点における消去パワーをP1としたとき、下記(2)式
0.5≦Pe/P1≦1.0 …(2)
が成り立つ消去パワーPeを用いることを特徴とする光記録装置。
(e)前記消去パワーPeを示す識別情報を格納する格納部(451)を備え、前記記録部は前記格納部に格納された前記識別情報に基づいた消去パワーを用いることを特徴とする(d)記載の光記録装置。
記録線速度を高速化しても、良好な記録特性が得られ、更に1回または複数回のオーバライトを行なっても記録特性を良好に維持することができる。
図1は相変化型光記録媒体を製造するための製造設備300または製造設備300にて行われる製造・初期化工程を示す図である。製造装置100(製造工程)において相変化型光記録媒体を製造し、初期化装置200(初期化行程)において相変化型光記録媒体を初期化する。初期化工程を経た相変化型光記録媒体は光記録媒体Aとして出荷される。
相変化型光記録媒体としては、DVD−RWなどの相変化型光ディスク、光カードなどの、情報を繰り返しオーバライト可能な媒体が挙げられる。なお以下の説明においては相変化型光記録媒体の一実施形態として、相変化型光ディスク(光記録媒体A)を用いるが、これ以外の光カード等の同様な構成を有する相変化型光記録媒体についても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
≪光記録媒体の構成≫
図2は、本発明の一実施形態である光記録媒体Aを示す拡大断面図である。光記録媒体Aは、その基本的な構成として、記録・再生または消去用レーザ光が入射する入射面1aを底面とする基板1上に、第1保護層2、記録層3、第2保護層4、反射層5、第3保護層6を順次積層したものである。
基板1の材料としては、各種透明な合成樹脂、透明ガラスなどが使用できる。埃の付着や基板1の傷などの影響を避けるために、透明な基板1を用い、集光したレーザ光で基板1の入射面1a側から記録層3に情報を記録する。このような基板1の材料として例えば、ガラス、ポリカーボネイト、ポリメチル・メタクリレート、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。特に、光学的複屈折及び吸湿性が小さく、成形が容易であることからポリカーボネイト樹脂が好ましい。
基板1の厚さは、特に限定するものではないが、DVDとの互換性を考慮すると0.01mm〜0.6mmが好ましく、なかでも0.6mmが最も好ましい(DVDの全厚は1.2mm)。これは基板1の厚さが0.01mm未満であれば、基板1の入射面1a側から収束したレーザ光で記録する場合でも、ごみの影響を受け易くなるからである。また、光記録媒体の全厚に制限がないのであれば、実用的には0.01mm〜5mmの範囲内であればよい。5mm以上であれば対物レンズの開口数を大きくすることが困難になり、照射レーザ光のスポットサイズが大きくなるため、記録密度をあげることが困難になるからである。
基板1はフレキシブルなものでも良いし、リジッドなものであっても良い。フレキシブルな基板1は、テープ状、シート状、カード状の光記録媒体で使用する。リジッドな基板1は、カード状、あるいはディスク状の光記録媒体で使用する。
第1保護層2及び第2保護層4は、記録時に基板1、記録層3などが熱によって変形して記録特性が劣化することを防止するなど、基板1、記録層3を熱から保護する効果を奏したり、光学的な干渉効果により再生時の信号コントラストを改善する効果を奏する。
第1保護層2及び第2保護層4はそれぞれ、記録・再生または消去用のレーザ光に対して透明であって屈折率nが1.9≦n≦2.3の範囲にあることが望ましい。さらに、第1保護層2及び第2保護層4の材料は熱特性の点から、SiO2、SiO、ZnO、TiO2、Ta25、Nb25、ZrO2、MgOなどの酸化物、ZnS、In23、TaS4などの硫化物、SiC、TaC、WC、TiCなどの炭化物の単体及び混合物が好ましい。なかでも、ZnSとSiO2の混合膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C/N、消去率などの劣化が起こりにくいことから特に好ましい。
また第1保護層2及び第2保護層4は、同一の材料、組成でなくとも良く、異種の材料から構成されていてもかまわない。
第1保護層2の厚さは、およそ5nm〜500nmの範囲である。さらには、第1保護層2の厚さは、基板1や記録層3から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことから、20nm〜300nmの範囲が好ましい。20nmより薄いと、ディスクの光学特性を確保しにくく、300nmより厚いと生産性に劣る。なお、より好ましくは30nm〜80nmの範囲である。
第2保護層4の厚さは、C/N、消去率などの記録特性が良く、安定に多数回の書き換えが可能なことから、5nm〜40nmの範囲が好ましい。5nmより薄いと記録層3の熱確保が難しくなるため最適記録パワーが上昇し、40nmより厚いとオーバライト特性の悪化を招く。より好ましくは、8nm〜20nmの範囲である。
記録層3は、Ag−In−Sb−Te合金やGe−In−Sb−Te合金のようなSb、TeまたはSb−Te合金を主成分とし、Ag、In、Ge、Si、Al、Ti、Bi、Gaのいずれかを少なくとも1種類含んでいる合金層である。また記録層3の層厚は、10nm〜25nmが好ましい。層厚が10nmより薄いと結晶化速度が低下し高速記録特性が悪くなり、25nmより厚いと記録時に大きなレーザパワーが必要となる。
記録層3の片面、もしくは両面に接する界面層を設けても良い。界面層の材料としては、硫黄物を含まないことが重要である。硫黄物を含む材料を界面層として用いると、オーバーライトの繰り返しにより界面層に含まれる硫黄が記録層3中に拡散し、記録特性が劣化することがあるので好ましくない。また、消去特性が優れないという点からも好ましくない。
界面層の材料としては、窒化物、酸化物、炭化物のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましく、具体的には窒化ゲルマニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化クロム、炭化シリコン、炭素のうち少なくとも1種類を含む材料が好ましい。また、これらの材料に酸素、窒素、水素などを含有させても良い。前述の窒化物、酸化物、炭化物は化学量論組成でなくても良く、窒素、酸素、炭素が過剰あるいは不足していても良い。このことで界面層が剥離しにくくなり、保存耐久性等が向上するなど、界面層の特性が向上する場合がある。
反射層5の材料としては、光反射性を有するAl、Au、Agなどの金属、これらの金属を主成分とし、1種類以上の金属または半導体からなる添加元素を含む合金、及びこれらの金属にAl、Siなどの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物などの金属化合物を混合したものなどが挙げられる。
なかでもAl、Au、Agなどの金属、及びこれらの金属を主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導度を高くできることから好ましい。合金の例としては、AlにSi、Mg、Cu、Pd、Ti、Cr、Hf、Ta、Nb、Mn、Zrなどの少なくとも1種類の元素を混合したもの、あるいは、AuまたはAgにCr、Ag、Cu、Pd、Pt、Ni、Nd、In、Caなどの少なくとも1種類の元素を混合したものなどが一般的である。しかし高線速度記録を考慮した場合には、とりわけ熱伝導率の高いAgを主成分とする金属または合金が、記録特性の点から好ましい。
ただし、反射層5に純銀や銀合金を用いた場合には、AgS化合物の生成を抑制するため、反射層5に接する層はSを含有していない材料を用いることが好ましい。
反射層5の厚さは、反射層5を形成する材料の熱伝導率の大きさによって変化するが、50nm〜300nmであるのが好ましい。反射層5の厚みが50nm以上であれば、反射層5は光学的には変化せず反射率の値に影響を与えないが、反射層5の厚みが増すと冷却速度への影響が大きくなる。また、300nmを超える厚さを形成するのは製造上時間を要する。従って熱伝導率の高い材料を用いることにより、反射層5の層厚をなるべく最適範囲に制御する。
ここで、第2保護層4にZnSとSiO2の化合物を、反射層5にAgまたはAg合金を用いる場合には、第2保護層4と反射層5の間に拡散防止層(図示せず)を挿入することが好ましい。これは第2保護層4中のSと反射層5中のAgとの化学反応により生成されるAgS化合物による反射率の低下を抑制するためである。
拡散防止層の材料としては、上記した界面層と同様に硫黄物を含まない材料であるのが重要であり、具体的な材料は界面層の材料と同様である。
≪光記録媒体の製造方法≫
次に、製造装置100における光記録媒体の製造方法について述べる。
第1保護層2、記録層3、第2保護層4、反射層5などを基板1上に積層する方法としては、公知の真空中での薄膜形成法が挙げられる。例えば、真空蒸着法(抵抗加熱型や電子ビーム型)、イオンプレーティング法、スパッタリング法(直流や交流スパッタリング、反応性スパッタリング)であり、特に、組成、層厚のコントロールが容易であることから、スパッタリング法が好ましい。
また、真空漕内で複数の基板1を同時に成膜するバッチ法や、基板1を1枚ずつ処理する枚葉式成膜装置を使用することが好ましい。形成する第1保護層2、記録層3、第2保護層4、反射層5などの層厚の制御は、スパッタ電源の投入パワーと時間を制御したり、水晶振動型膜厚計で堆積状態をモニタリングしたりすることで容易に行える。
また、第1保護層2、記録層3、第2保護層4、反射層5などの形成は、基板1を固定した状態、あるいは移動、回転した状態のどちらで行っても良い。層厚の面内の均一性に優れることから、基板1を自転させることが好ましく、さらに公転を組み合わせることがより好ましい。必要に応じて基板1の冷却を行うと、基板1の反り量を減少させることができる。
また本発明の効果を著しく損なわない範囲において、反射層5などを形成した後、すでに形成した各層の変形防止等のため、ZnS、SiO2等を用いた誘電体層あるいは紫外線硬化樹脂等を用いた樹脂保護層を第3保護層6として必要に応じて設けても良い。
このあと、同様に各層を形成した基板1をもう1枚用意し、2枚の基板1を接着剤などで貼り合わせて、両面の光記録媒体としても良い。
続いて光記録媒体は初期化装置200における初期化工程を経て、光記録媒体Aとされて出荷される。初期化は記録層3にレーザ光、キセノンフラッシュランプ等の光を照射して加熱し、記録層3の構成材料を結晶化させることである。再生ノイズが少ないことから、レーザ光による初期化が好ましい。
図3に光記録媒体Aの平面図を示す。光記録媒体Aはセンターホール51と、その外周にクランプエリア52を有する。クランプエリア52の外周には情報エリア(リードインエリア)53が同心円上に設けられていて、さらにその外周領域は映像情報や音声情報等の実データを記録するための記録エリア54となっている。ここで、リードインエリア53は、ROM状態またはRAM状態のどちらであっても良い。その他に、トラッキング信号を得るためのレーザガイド溝に高周波ウォブルやピットを形成することにより、再生専用の記録情報として格納する方法もある。
≪光記録媒体の記録方法≫
図4に、光記録媒体Aに情報を記録するときに使用する記録パルスパターンを示す。記録パルスパターンに基づいてレーザ光を3値(記録パワーPw、消去パワーPe、ボトムパワーPb)のレーザ強度で変調して、記録信号のマーク長に対応してパルス数を増減させ、所望のマーク長の記録マークを記録層3に形成する。レーザ強度は記録パワーPwが一番大きく、消去パワーPe、ボトムパワーPbの順に小さい。
記録パルスパターンは図4に示すように、消去パワーPeから立ち上がって最初に記録層3にレーザ光を記録パワーPwでする先頭パルスTtopと、先頭パルスTtopに続くパルスであり、記録パワーPwとボトムパワーPbとを交互に印加するマルチパルスTmpと、レーザ光をボトムパワーPbから立ち上がって、消去パワーPeを印加する終端に位置する消去パルスTclからなる。先頭パルスTtopとマルチパルスTmpとは記録層3に対して記録マークを形成するための記録パルスとなっている。なお、マルチパルスTmpがなく先頭パルスTtopのみで記録パルスが形成される場合もある。
例えばDVD−RWでは、マーク長は3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11T、14Tの10種類ある。マーク長をnTとした場合、マルチパルスTmpの数は一般的に(n−1)または(n−2)である。図4では(n−2)の場合を示した。ここで、Tとは単位クロックであり、DVD−RWでは、DVD1倍速時(記録線速度:3.5m/s)で1T=38.2ns、DVD4倍速時(記録線速度:14.0m/s)で1T=9.6nsである。
また、近年の高速化記録に伴い単位クロックTが数nsオーダーと短くなるため、レーザパルスの立ち上がり・立ち下り応答限界を考慮して、図5に示すような、2Tを基準とした記録パルスパターンを用いても良い。図5において記録パルスAは3T、記録パルスBは11T、記録パルスCは14Tのマーク長を有する記録マークを形成するための記録パルスパターンを示す。
≪光記録装置≫
図6に、所望の記録パルスパターンをもったレーザ光を光記録媒体Aに照射するための本発明の一実施形態である光記録装置を示す。
まず、スピンドルモータ31は光記録媒体Aを回転させる。スピンドルモータ31の回転数が目的の記録速度に対応する記録線速度となるよう回転制御部32が制御する。また光記録媒体Aの記録・再生または消去に用いる半導体レーザ(LD)33や、LD33のレーザ光を集光照射させる対物レンズ(図示せず)及び4分割受光素子(図示せず)を備えた光ヘッド34が、光記録媒体Aの半径方向に移動自在に設けられている。
なお、本実施形態の光記録装置に用いる記録用の光源としては、レーザ光、ストロボ光のように高強度の光源が好ましい。なかでも半導体レーザ光は光源が小型化できること、消費電力が小さいこと、変調が容易であることから好ましい。
光ヘッド34の4分割受光素子は、光記録媒体AにLD33から照射したレーザ光の反射光を受光する。4分割受光素子は受光した光に基づいてプッシュプル信号を生成し、ウォブル検出部36に出力する。また、4分割受光素子は受光した光に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をドライブコントローラ44に出力する。更に、4分割受光素子の合成信号である再生信号は、反射率検出部46に出力される。
ドライブコントローラ44は、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてアクチュエータ制御部35を制御する。アクチュエータ制御部35は光ヘッド34の光記録媒体Aへのフォーカス及びトラッキングを制御する。反射率検出部46は、供給された再生信号に基づいて反射率を検出し、検出結果をシステムコントローラ45に出力する。
ウォブル検出部36はプログラマブルバンドパスフィルタ(BPF)361を備え、検出したウォブル信号をアドレス復調回路37に出力する。アドレス復調回路37は検出されたウォブル信号からアドレスを復調して出力する。復調されたアドレスが入力される記録クロック生成部38はPLLシンセサイザ回路381を有し、記録チャネルクロックを生成して記録パルス生成部39及びパルス数制御部40に出力する。
記録クロック生成部38はドライブコントローラ44によって制御される。ドライブコントローラ44は回転制御部32,アクチュエータ制御部35、ウォブル検出部36、アドレス復調回路37及びシステムコントローラ45も制御する。
ドライブコントローラ44はウォブル検出部36より供給されたウォブル信号を、記録クロック生成部38に出力する。また、アドレス復調回路37より供給されたアドレス情報をシステムコントローラ45に出力する。
システムコントローラ45はメモリ451を有し、EFM+エンコーダ42、マーク長カウンタ41、パルス数制御部40及びLDドライバ部43を制御する。EFM+エンコーダ42は入力された記録情報を8−16変調して変調データとし、記録パルス生成部39とマーク長カウンタ41に出力する。マーク長カウンタ41は変調データに基づいて所定のマーク長をカウントするマーク長生成部として動作し、そのカウント値を記録パルス生成部39とパルス数制御部40に出力する。パルス数制御部40は、供給されたカウント値と記録チャネルクロックに基づいて記録パルスが所定のパルスとなるように記録パルス生成部39を制御する。
記録パルス生成部39は先頭パルス制御信号生成部39tとマルチパルス制御信号生成部39mと消去パルス制御信号生成部39cとを備える。先頭パルス制御信号生成部39tは先頭パルス制御信号を、マルチパルス制御信号生成部39mはマルチパルス制御信号を、消去パルス制御信号生成部39cは消去パルス制御信号をそれぞれ生成する。それぞれの制御信号はLDドライバ部43に供給され、スイッチング部431は記録パワーPwの駆動電流源431w、消去パワーPeの駆動電流源431e、ボトムパワーPbの駆動電流源431bを供給された制御信号に基づいてスイッチングすることで記録パルスパターンを生成する。
Pw駆動電流源431w、Pe駆動電流源431e及びPb駆動電流源431bは、システムコントローラ45のメモリ451に記憶されている記録パワーPw、消去パワーPe及びボトムパワーPbに基づいて光ヘッド34に電流を供給する。これら3値は光記録媒体Aの記録特性を良好にするための最適な値であり、この最適な値を示す識別情報は予めメモリ451に格納されているか、アップデートにより格納されるか、あるいは反射率検出部46を利用して求めて格納することもできる。なお、メモリ451は例えばROM(Read Only Memory)または、記録可能なRAM(Random Access Memory)である。
生成された記録パルスパターンは光ヘッド34に入力される。光ヘッド34はLD33が所望の記録パルスパターン及びパワー比ε(Pw/Pe)のLD発光波形を出力するよう制御することにより、記録情報を光記録媒体Aに記録する。
記録パルス生成部39とLDドライバ部43と光ヘッド34とは、マーク長カウンタ41で生成されたマーク長に基づいて、消去パワーPeから立ち上がり、消去パワーPeより大なる記録パワーPwと消去パワーPeより小なるボトムパワーPbとの間で形成される記録パルスと、ボトムパワーPbから消去パワーPeへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンを生成し、記録層3に対してLD33より記録光を記録パルスパターンに応じて照射して記録情報を示す記録マークを記録する記録部400として動作している。
≪最適な消去パワーの検討≫
本発明者は消去パワーPeが光記録媒体の記録及びオーバライト特性に影響を与えるのではないかと推定し、下記の実施例1〜5及び比較例1〜5に基づいてその推定が正しく、記録及びオーバライト特性が最良となる最適消去パワーを有することを見出した。
以下の各実施例及び各比較例では、波長が658nmのレーザダイオード、NA=0.60の光学レンズを搭載したパルステック社製光ディスクドライブテスタ(DDU1000)を用いて記録(1ビーム・オーバーライト)と再生を行った。
記録線速度は14m/s(DVD−RW規格4倍速相当)で、記録信号は8−16(EFM+)変調ランダムパターンを用いて記録再生評価を行った。単位クロックTは9.6ns(DVD4倍速)で、ビット長は0.267μm/ビットである。このようにして光記録媒体Aに対してDVD−ROMと同密度の記録を行った。この場合の光記録媒体Aの容量は4.7Gバイトである。なお、光記録媒体Aに対する最適条件で隣接トラックも含め10回オーバライトした後、その再生信号の振幅の中心でスライスし、クロック・トゥー・データ・ジッタを測定した。なお再生光のレーザパワー(再生パワー)Prは0.7mWで一定とした。
また、記録ストラテジは、図4に示すようなDVD-RW Version1.1の規定に従った分割パルス系列を用いた。
(実施例1)
直径が120mm、板厚が0.6mmのポリカーボネイト樹脂製の基板1上に、後述する各層を形成した。基板1にはトラックピッチが0.74μmで空溝が形成されている。この溝深さは25nmであり、グルーブ幅とランド幅の比は、およそ40:60であった。なお、グルーブは記録・再生または消去用レーザ光の入射方向から見て凸状になっている。
まず、真空容器内を3×10-4Paまで排気した後、2×10-1PaのArガス雰囲気中でSiO2を20mol%添加したZnSターゲットを用い高周波マグネトロンスパッタ法により、基板1上に層厚70nmの第1保護層2を形成した。
続いて、記録層3をGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットで層厚16nm、続いて第2保護層4を第1保護層2と同じ材料で層厚16nm、反射層5をAg−Pd−Cuターゲットで層厚120nmとして、順次積層した。
基板1を真空容器内より取り出した後、この反射層5上にアクリル系紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル製SK5110)をスピンコートし、紫外線照射により硬化させて膜厚が3μmの第3保護層6を形成して、このようにして未初期化の光記録媒体を作成した。
未初期化の光記録媒体の記録層3に対して、初期化装置200として日立コンピュータ機器製POP120を使用して、ラジアル方向レーザ光幅250μm、走査方向レーザ光幅1.0μmのレーザを用いて、走査線速度4.5m/s、レーザパワー1600mW、送りピッチ220μmの初期化条件で初期化を行い、図2に示す光記録媒体Aを得た。この初期化条件で初期化された光記録媒体Aは、図7に示すように1トラック内での反射率変動が小さく、反射率は略一定である。
次に、光記録媒体Aの記録エリア54において一度も情報が記録されていない未記録部に、LD33から再生パワーPr(0.7mW)を有する再生光を照射したときの未記録部の反射率R0を求めた。この未記録部に消去パワーPeを有するレーザ光を消去パワーPeを変化させながら照射し、それぞれの消去パワーPeにおける未記録部の反射率RをLD33から再生用のレーザ光を照射して測定すると、図8に実線にて示す反射率曲線C1が描ける。
反射率曲線C1は、消去パワーPeが0mWにおける開始点から変曲点Q1までは傾きがほぼ0の直線で近似できる。変曲点Q1での消去パワーをP1とする。なお、開始点(パワー0)から変曲点Q1までの反射率は、未記録部の反射率R0と等しい。反射率曲線C1が変曲点Q1を過ぎ、消去パワーがP1より大きくなると反射率は消去パワーの増加に伴って順次増大し、ピーク点Q2に至る。ピーク点Q2の消去パワーはP2であり、このときの反射率を最大反射率R1とする。ピーク点Q2に到達すると、消去パワーP2より大きい消去パワーが照射されても反射率は減少する。
実施例1で用いた光記録媒体Aの未記録部の反射率R0は19.5であり、変曲点Q1の消去パワーP1は6.5mW、最大反射率R1は21.1であった。従って反射率比((R1−R0)/R0)は0.08である。
続いて、光記録媒体Aに基板1側から記録層3のグルーブに記録を行った。
光記録媒体Aに対する最適な記録の条件である記録パルスパターンは、線速度14m/s(DVD4倍速)において、Ttop=0.6[T]、Tmp=0.5[T]、Tcl=0.0[T]とした。また、レーザ光のレーザ強度は記録パワーPw=17.0[mW]、消去パワーPe=4.6[mW]、ボトムパワーPb=0.5[mW]の3値を用いた。消去パワー比(Pe/P1)は0.7である。実施例1で測定した値を表1にまとめて示す。
初期特性及びオーバライト記録特性は表1に示すとおり、初回記録(DOW0)ジッタが6.5%、オーバライト1回(DOW1)ジッタが8.4%、オーバライト9回(DOW9)ジッタが8.1%であった。さらに約千回オーバライト(DOW1000)でのジッタが8.8%と、オーバライトしても特性が常に安定して、記録特性が良好であった。
ここで述べるオーバライトはワンビームオーバライトのことであり、1回のレーザ走査で以前に形成された記録マークを消し、新たに記録マークを形成することをいう。そしてDOW0(Direct Over Write:オーバライト)は初期化した光記録媒体Aの未記録部へ記録マークを形成する初回記録、DOW1は更にそこへ記録マークを形成するオーバライト1回目である。また、ジッタはエラーレートに与える悪影響が少ないとされる10%以下の値を良好とし、DOW0からDOW1000(初回記録からオーバライト千回まで)にわたって10%以下のジッタを安定して得られることを、良好なDOWジッタ特性と定義する。
Figure 2005243217
(実施例2)
実施例1の第2保護層4の層厚を12nmに変更した光記録媒体Aを用いた。R0は21.0、変曲点Q1での消去パワーP1は7.5mW、R1は21.7であり、反射率比は0.03であった。
実施例1の記録条件のうち記録パワーPwを17.5mWに、消去パワーPeを6.0mWに変更して記録・評価した。消去パワー比は0.8である。
初期特性及びオーバライト記録特性は表1に示すとおり、DOW0ジッタが6.8%、DOW1ジッタが8.8%、DOW9ジッタが7.8%であった。さらにDOW1000でのジッタが8.0%と、オーバライトしても特性が常に安定して、記録特性が良好であった。
(実施例3)
実施例1の記録層3の層厚を12nmに変更した光記録媒体Aを用いた。R0は16.0、変曲点Q1での消去パワーP1は6.0mW、R1は18.4であり、反射率比は0.15であった。
実施例1の記録条件のうち記録パワーPwを16.0mWに、消去パワーPeを4.2mWに変更して記録・評価した。消去パワー比は0.7である。
表1に示すように、初期特性及びオーバライト記録特性は実施例1と同様に良好な特性が得られた。
(実施例4)
実施例1と同じ光記録媒体Aを用いて、実施例1の記録条件のうち消去パワーPeを3.0mWに変更して記録・評価した。変曲点Q1での消去パワーP1は実施例1と同じ6.5mWであり、消去パワー比は0.5であった。
表1に示すようにDOW1ジッタが9.2%と少し大きな値を取ったが、実施例1と同様に良好な特性が得られた。
(実施例5)
実施例1と同じ光記録媒体Aを用いて、実施例1の記録条件のうち消去パワーPeを6.5mWに変更して記録・評価した。変曲点Q1での消去パワーP1は実施例1と同じ6.5mWであり、消去パワー比は1.0であった。
表1に示すようにDOW1000ジッタが9.4%と少し大きな値を取ったが、実施例1と同様に良好な特性が得られた。
(比較例1)
実施例1の記録層3に用いたGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットにおけるSb/Te比を大きくした、光記録媒体Aを用いた。比較例1の光記録媒体Aの反射率曲線を作成したところ、変曲点Q1及びピーク点Q2が無い、図8に破線にて示す反射率変化が小さい反射率曲線C2を描いた。従って変曲点Q1での消去パワーP1は得られなかったが、未記録部の反射率R0が21.6、反射率曲線C2の最大値を最大反射率R1=22.0として、上記同様に算出した反射率比は0.02であった。
実施例1の記録条件と同じ条件で記録・評価した。
初期特性及びオーバライト記録特性は表1に示すとおり、DOW0及びDOW9ジッタは良好であったが、DOW1ジッタが悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
(比較例2)
実施例1の記録層3に用いたGe−In−Sb−Teの4元素単一合金ターゲットにおけるSb/Te比を小さくした、光記録媒体Aを用いた。反射率曲線は比較例1と同様にC2を描き、変曲点Q1での消去パワーP1は得られなかったが、未記録部の反射率R0が19.1、反射率曲線C2の最大値を最大反射率R1=19.4として、上記同様に算出した反射率比は0.02であった。
実施例1の記録条件のうち記録パワーPwを15.0mWに、消去パワーPeを4.2mWに変更して記録・評価した。
初期特性及びオーバライト記録特性は表1に示すとおり、DOW0ジッタは良好であったが、DOW1、DOW9及びDOW1000ジッタが悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
(比較例3)
実施例1と同じ構成の光記録媒体をレーザパワー2200mWで初期化した光記録媒体Aを用いた。この初期化条件で初期化した光記録媒体Aは、図9に示すように1トラック内での反射率変動が大きい。R0は17.5、変曲点Q1での消去パワーP1は5.0mW、R1は21.0であり、反射率比は0.20であった。
実施例1と同じ記録条件で記録・評価したところ、表1に示すようにDOW0、DOW1及びDOW1000ジッタが悪く、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。なお、消去パワー比は0.9であった。
(比較例4)
実施例1と同じ光記録媒体Aを用いて、実施例1の記録条件のうち消去パワーPeを2.5mWに変更して記録・評価した。変曲点Q1での消去パワーP1は実施例1と同じ6.5mWであり、消去パワー比は0.4であった。
表1に示すように、DOW0ジッタからジッタが10%以上を示し、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
(比較例5)
実施例1と同じ光記録媒体Aを用いて、実施例1の記録条件のうち消去パワーPeを7.5mWに変更して記録・評価した。変曲点Q1での消去パワーP1は実施例1と同じ6.5mWであり、消去パワー比は1.2であった。
表1に示すように、DOW0ジッタからDOW9ジッタは良好な値が得られたが、DOW1000が10%以上を示し、良好なDOWジッタ特性が得られなかった。
以上より、反射率比((R1−R0)/R0)が以下の(1)式を満たすと光記録媒体は良好なDOWジッタ特性が得られることが判明した。
0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
図10に実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3のDOWジッタ特性を示す。反射率比が0.03より小さい、すなわち消去パワーの増加に伴い反射率が増加しない場合、DOW1ジッタが10%以上となり、記録特性が悪化する。一方で反射率比が0.15より大きい場合には、1トラックのなかで反射率が大きい部分と小さい部分とが混在するような条件で初期化されているため、DOW0から良好な記録及びオーバライト特性が得られない。
図11に実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3の消去パワーPeに対するRF信号の関係を示す。
更に表1よりわかるように、消去パワー比(Pe/P1)が以下の(2)式を満たすことが好ましいことが判明した。
0.5≦Pe/P1≦1.0 …(2)
図12に実施例1、実施例4、実施例5及び比較例4、比較例5のDOWジッタ特性を示す。消去パワー比が0.5より小さいと、消去パワーPeが小さく、記録マークが充分に消去できないため、DOW0から良好な記録及びオーバライト特性が得られない。一方で消去パワー比が1.0より大きいと、DOW9以降のジッタが10%以上となり、記録特性が悪化する。
更には、光記録媒体Aの初期化条件も記録及びオーバライト特性に影響することが判明した。図9のように、1トラック内での反射率変動が大きくなる初期化条件で初期化された光記録媒体Aは、良好な記録及びオーバライト特性が得られなかった。従って光記録媒体Aは、1トラック内での反射率が実質的に変動しない最適な初期化条件で初期化されることが好ましい。
上述で述べているDVD−RWなどの相変化型光記録媒体のみならず、図13に示すような超高密度の相変化型記録媒体の構成でも同様の効果があるといえる。図13に示す光記録媒体Bは記録・再生または消去用のレーザ光の入射面17aを底面とした保護層17の上に、第1保護層12、記録層13、第2保護層14、反射層15、及び基板11を順次積層した構成となっている。
相変化型光記録媒体の製造設備300または製造設備300にて行われる製造・初期化工程を示す図である 本発明に係る光記録媒体の一実施形態を示す拡大断面図である。 本発明に係る光記録媒体の一実施形態を示す平面図である。 記録パルスパターンの第一例を示す図である。 記録パルスパターンの第二例を示す図である。 光記録装置の一実施形態を示すブロック図である。 光記録媒体Aの反射率変動の好ましい一例を示す図である。 反射率曲線の一例を模式的に示す図である。 光記録媒体Aの反射率変動の好ましくない一例を示す図である。 実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3のDOWジッタ特性を示す図である。 実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3の消去パワーPeに対するRF信号の関係を示す図である。 実施例1、実施例4、実施例5及び比較例4、比較例5のDOWジッタ特性を示す図である。 本発明に係る光記録媒体の他の実施形態を示す拡大断面図である。
符号の説明
A 光記録媒体
Pe 消去パワー
P1 変曲点Q1における消去パワー
Pw 記録パワー
Pb ボトムパワー
1 基板
3 記録層
34 光ヘッド34(読出部、記録部)
39 記録パルス生成部(記録部)
41 EFM+エンコーダ(エンコーダ)
42 マーク長カウンタ(マーク長生成部)
43 LDドライバ部(記録部)
400 記録部(記録パルス生成部39、LDドライバ部43、光ヘッド34)
451 メモリ(格納部)

Claims (5)

  1. 相変化型光記録媒体において、
    基板と、
    情報を記録するための記録層とを備え、
    前記記録層は、前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、
    前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、
    前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点における反射率をR1としたとき、下記(1)式
    0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
    が成り立つ特性を呈することを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記記録層を構成する材料は、1トラック内での反射率が略一定となるような結晶化状態で初期化されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 相変化型光記録媒体の記録層に記録情報を記録する光記録方法において、
    前記光記録媒体は、
    前記記録層が前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、
    前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、
    前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点における反射率をR1としたとき、下記(1)式
    0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
    が成り立つ特性を呈するものであり、
    前記光記録方法は、
    前記記録情報を変調して変調データを生成する変調ステップと、
    前記変調データに基づいて所望のマーク長を生成するマーク長生成ステップと、
    前記マーク長に基づいて、消去パワーから立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワーと前記消去パワーより小なるボトムパワーとの間で形成される記録パルスと、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンを生成し、前記記録層に対して記録光を前記記録パルスパターンに応じて照射して前記記録情報を示す記録マークを記録する記録ステップとを含み、
    前記記録ステップは、前記記録パルスパターンにおける前記消去パワーをPe、前記変曲点における消去パワーをP1としたとき、下記(2)式
    0.5≦Pe/P1≦1.0 …(2)
    が成り立つ消去パワーPeを用いることを特徴とする光記録方法。
  4. 相変化型光記録媒体の記録層に記録情報を記録する光記録装置において、
    前記光記録媒体は、
    前記記録層が前記記録層における情報が一度も記録されていない未記録部に所定の直流消去パワーを有する光を印加した後に再生光を照射して得られる前記未記録部の反射率が、前記所定の直流消去パワーとしてパワー0から順次増大させたときに所定の曲線で変化する特性を呈し、
    前記所定の曲線は、反射率が略一定の直線部とこの直線部に続く反射率が増大する第1の曲線部と反射率が減少する第2の曲線部とを有し、
    前記直線部と第1の曲線部との境界である変曲点における反射率をR0、前記第1の曲線部と第2の曲線部との境界であるピーク点における反射率をR1としたとき、下記(1)式
    0.03≦(R1−R0)/R0≦0.15 …(1)
    が成り立つ特性を呈するものであり、
    前記光記録装置は、
    前記記録情報を変調して変調データを生成するエンコーダと、
    前記変調データに基づいて所望のマーク長を生成するマーク長生成部と、
    前記マーク長に基づいて、消去パワーから立ち上がり前記消去パワーより大なる記録パワーと前記消去パワーより小なるボトムパワーとの間で形成される記録パルスと、前記ボトムパワーから前記消去パワーへと立ち上がる消去パルスとよりなる記録パルスパターンを生成し、前記記録層に対して記録光を前記記録パルスパターンに応じて照射して前記記録情報を示す記録マークを記録する記録部とを備え、
    前記記録部は、前記記録パルスパターンにおける前記消去パワーをPe、前記変曲点における消去パワーをP1としたとき、下記(2)式
    0.5≦Pe/P1≦1.0 …(2)
    が成り立つ消去パワーPeを用いることを特徴とする光記録装置。
  5. 前記消去パワーPeを示す識別情報を格納する格納部を備え、
    前記記録部は前記格納部に格納された前記識別情報に基づいた消去パワーを用いることを特徴とする請求項4記載の光記録装置。

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