JP2002225436A - 光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体及びその製造方法

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JP2002225436A
JP2002225436A JP2001029811A JP2001029811A JP2002225436A JP 2002225436 A JP2002225436 A JP 2002225436A JP 2001029811 A JP2001029811 A JP 2001029811A JP 2001029811 A JP2001029811 A JP 2001029811A JP 2002225436 A JP2002225436 A JP 2002225436A
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JP2001029811A
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Yuji Miura
裕司 三浦
Nobuaki Onaki
伸晃 小名木
Katsunari Hanaoka
克成 花岡
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Sb及びTeを有する相変化記録材料を記録
層とする光情報記録媒体であって、該記録層が空間群F
m3mに属する準安定Sb3 Te相を有する光情報記録
媒体において、記録層組成の再設計を行うことなく、初
期化プロセスを不要とする光情報記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 該記録層の少なくとも一部分に接して、
高融点のBi化合物からなる結晶化促進層を設けること
を主要な構成とする。その他8項ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体に
関し、更に詳しくは、CD−RW、DVD−RAM、−
RW、+RWなどのメディアとして使用される、書き換
え可能な相変化型光情報記録媒体であって、空間群Fm
3mに属する準安定Sb3 Te相を有する記録層を有す
る光情報記録媒体及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】レーザビーム照射により情報の記録、再
生及び消去が可能な光情報記録媒体として、結晶状態と
非晶質(アモルファス)状態の可逆的相変化を利用した
相変化CD−RW、DVD−RAM、−RW、+RWな
どのメディアとしての商品化が期待されている。
【0003】上記相変化型光情報記録媒体のうち、記録
層が空間群Fm3mに属する準安定Sb3 Te相を有す
る記録層で構成されたものについて研究、開発が進めら
れている(特願平10−217069号等)。この準安
定相はSb−Te共晶構造の記録層とは異なっており、
SbとSb2 Te3 とに分離せず、結晶粒界に起因する
記録マークの乱れも生じない。そのため、空間群Fm3
mに属する準安定Sb 3 Te相を有する記録層を用いた
ものは、高密度記録が可能となる長所をもっている。さ
らに、この準安定Sb3 Te相を有する記録層は繰り返
し記録時の熱衝撃に強いため、優れた繰り返し記録特性
を有している。
【0004】ところで、上記の準安定Sb3 Te相を有
する記録層を用いた相変化型光情報記録媒体では、記録
層はスパッタリングや蒸着などの真空製膜法で製膜さ
れ、製膜直後の膜は、通常、非晶質状態となっている。
一方、製品化された光情報記録媒体の記録層は結晶状態
でなければならない。なぜなら、 相転移を利用する書き
換え型の光情報記録担体では、一般に記録膜が記録状態
では非晶質状態に、消去(初期化)状態では結晶状態に
設定されるからである。このため、記録層の製膜直後
に、レーザビーム照射などの熱処理を施して記録層を結
晶化させる初期化プロセスが必要であった。
【0005】しかしながら、上記初期化プロセスには3
0秒以上の時間が必要であるため、スループットがダウ
ンし、量産を行う場合には初期化プロセスのための装置
が多数台必要となり、設備費が高価になるのみでなく製
品コストの上昇を招く。
【0006】こうしたことから、記録層の少なくとも一
部分に接してBi又はその化合物からなる結晶化促進層
を設けることにより記録層が製膜後に結晶化するように
し、それにより、初期化工程を不要とすることが提案さ
れた(特願平11−266970号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、結晶化
促進層は、記録、再生時には記録層と共に溶融混合する
ため、記録層の組成ずれが起こり、ディスク特性に変動
が生じる。こうした問題を解決するためには、記録層と
結晶化促進層の混合組成を考慮した材料設計を行う必要
があるが、再設計には相当の開発コストを要するため、
製品コストの上昇につながる。
【0008】本発明は、上述の問題点を解決し、記録層
組成の再設計を行うことなく、初期化プロセスを不要と
する、コストアップを招かない相変化型光情報記録媒体
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記の手段により達成される。本発明によれば、第一に、
請求項1では、Sb及びTeを有する相変化記録材料を
記録層とする光情報記録媒体であって、該記録層が空間
群Fm3mに属する準安定Sb3 Te相を有する光情報
記録媒体において、該記録層の少なくとも一部分に接し
て、高融点のBi化合物からなる結晶化促進層を設けた
ことを主要な特徴とする。
【0010】第二に、請求項2では上記請求項1記載の
光情報記録媒体において、Bi化合物の融点が700℃
以上であることを特徴とする。
【0011】第三に、請求項3では、上記請求項1また
は2記載の光情報記録媒体において、結晶化促進層が、
記録、消去、再生時のいずれにおいても、溶融しないこ
とを特徴とする。
【0012】第四に、請求項4では、上記請求項1、2
または3記載の光情報記録媒体において、結晶化促進層
がBiとCeとの化合物からなることを特徴とする。
【0013】第五に、請求項5では、上記請求項1、2
または3記載の光情報記録媒体において、結晶化促進層
がBiとZrとの化合物からなることを特徴とする。
【0014】第六に、請求項6では、上記請求項1、
2、3、4または5記載の光情報記録媒体において、結
晶化促進層の膜厚が0.2〜5.0nmであることを特
徴とする。
【0015】第七に、請求項7では、上記請求項1、
2、3、4、5または6記載の光情報記録媒体におい
て、該記録層にIb族元素、II族元素、III 族元素、IV
族元素、V族元素、VI族元素、希土類元素及び遷移金属
元素より選択される元素の少なくとも1つが添加されて
なることを特徴とする。
【0016】第八に、請求項8では、上記請求項7記載
の光情報記録媒体において、該IV族元素がGeであるこ
とを特徴とする。
【0017】第九に、請求項9では、上記請求項1乃至
8のいずれか1項記載の光情報記録媒体における結晶化
促進層を基板上に第1の誘電体層、結晶化促進層、記録
層の順に製膜する光情報記録媒体の製造方法を特徴とす
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に上記各膜を真空製
膜法により順次製膜して作製されるが、記録層の少なく
とも一部分に接して高融点のBi化合物からなる結晶化
促進層を設けたことにより、上記の準安定Sb3 Te相
を有する記録層は、製膜プロセス後には結晶化してい
る。さらに、本発明では、結晶化促進層の融点が高いた
め、記録、再生、消去いずれにおいても結晶化促進層は
溶融しない。そのため、結晶化促進層と記録層とが混合
することがなく、混合によるディスク特性の変動が起き
ない。このように、本発明ではBiの絶大な結晶化促進
効果を利用できる上に、結晶化促進層が記録層と溶融混
合することによる不具合をも回避することができる。従
って、記録層と結晶化促進層の混合組成を考慮した記録
層材料の再設計が不要となり、より低コストで媒体を提
供することができる。
【0019】本発明において、記録、再生、消去時に結
晶化促進層を溶融しないようにするため、結晶化促進層
の融点は700℃以上が望ましい。融点は高ければ高い
ほど溶融しにくいが、融点が高くなり過ぎるとターゲッ
トの作製が困難となり好ましくない。よって、好ましく
は800℃以上1700℃以下、より好ましくは、10
00℃以上1500℃以下である。
【0020】高融点のBi化合物としては、Bi2 Ca
3 (融点1200℃)、BiCe3(1525℃)、B
3 Ce4 (1630℃)、BiCe(1400℃)、
Bi 2 Ce(883℃)、BiIr(1420℃)、B
iIr2 (1440℃)、BiLi3 (1145℃)、
Bi2 Mg3 (823℃)、BiMn(1095℃)、
BiRh(997℃)、Bi2 Rh(774℃)、Bi
U、Bi2 Zr(714℃)、BiZr(1302
℃)、Bi2 Zr3 (1497℃)、BiZr2 (13
42℃)、BiZr3 (1292℃)などが挙げられ
る。
【0021】中でもZrとの化合物やCeとの化合物が
好ましい。この2つは、他の化合物に比べて高融点化合
物の種類が多く、ターゲット作製時やスパッタリング時
に万が一、組成ずれが起きたとしても、低融点のBi
(271℃)が遊離しにくい。たとえば、Bi2 Zr3
の場合、ターゲット作製時にBiが少ない方に組成ずれ
が起きた場合、BiZr、BiZr2 の混合物、包晶と
なることはあるが、低融点のBiが遊離することはな
い。こうした長所に加えて、Zrとの化合物は、Zrが
貴金属などと比較して安価であり、また化合物が比較的
安定でターゲット作製が容易であることなどから、材料
コストを低くおさえることができる。
【0022】また、Ceとの化合物は結晶化促進効果が
特に大きく、ごく薄い膜厚でも結晶化促進効果を発揮す
る。結晶化促進効果が大きいことから、結晶化しにくい
記録層に対しても有効に使用できるため、より広い組成
範囲の記録層に対して、促進層としての効果を得ること
ができる。Ceとの化合物の結晶化促進効果が大きい理
由は定かでないが、BiCeの結晶構造がNaCl型で
あって、記録層と同一のFm3mに属しているためだと
考えられる。
【0023】本発明において結晶化促進層は記録層の全
面に接して設けてもよいし、一部分に接して設けてもよ
い。また、結晶化促進層は第1の誘電体層と記録層との
間に設けてよいし、記録層と第2の誘電体層との間に設
けてもよいし、その両方に設けてもよいが、結晶化促進
作用の効果的な発揮及びスループットの向上の観点か
ら、第1の誘電体層と記録層との間に設けることが望ま
しい。また、結晶化促進層は連続膜であってもよいし、
島状の不連続膜であってもよく、ともに所望の結晶化促
進効果が得られる。結晶化促進層は、スパッタリング、
蒸着などの真空製膜法で形成される。結晶化促進層の膜
厚は0.2〜20nm、より好ましくは0.2〜5.0
nm、さらに好ましくは0.5〜2.0nmである。ま
た、結晶化促進層の膜厚は記録層膜厚の1/100〜1
/2であることが望ましく、1/50〜1/10である
ことがさらに望ましい。結晶化促進層の膜厚が上記の範
囲内であると、所望の結晶化促進効果が得られると共
に、結晶化促進層の光学的な影響を無視することがで
き、品質の安定した媒体の提供が可能となる。
【0024】本発明の光情報記録媒体の記録層には、空
間群Fm3mに属する準安定Sb3Te相を有する記録
層が使用される。そして、保存信頼性の向上、記録特性
の向上など、必要に応じて、該記録層にIb族元素、II
族元素、III 族元素、IV族元素、V族元素、VI族元素、
希土類元素及び遷移金属元素より選択される元素の少な
くとも1つが添加される。添加元素は、空間群Fm3m
に属する準安定Sb3Te相の出現を妨げない範囲で、
かつ記録層の結晶化温度が、200℃を越えない範囲で
添加することができる。記録層の結晶化のしやすさは、
いずれの元素を添加した場合においても記録層の結晶化
温度に依存し、結晶化温度が低いほど結晶化しやすい。
記録層の結晶化温度は、熱分析により求めることができ
るが、昇温速度10℃/分での測定値で考えた場合、結
晶化温度が200℃を越えると、製膜プロセスを経ただ
けでは結晶化しなくなるので好ましくない。結晶化温度
は、好ましくは120℃〜200℃、より好ましくは1
40〜185℃であり、この範囲において、上記元素を
添加することができる。
【0025】上記元素の中では、Geが中でも有効な添
加元素である。Geは保存信頼性、記録特性を向上させ
る効果が特に顕著である。Geは、Geだけを単独で添
加しても良いし、他の元素と共に添加しても良い。こう
した記録層としては、例えば、Sb、Teを主成分とし
て、Geだけを添加したGeSbTe、Ag、Inと共
に添加したGeAgInSbTe、Inと共に添加した
GeInSbTe、Agと共に添加したGeAgSbT
eなどがある。なお、ここでいうGeSbTeは、従来
から知られている化合物系材料のGe2 Sb2 Te5
とは異なったものである。従来から知られているGe2
Sb2 Te5 系がGeTe−Sb2 Te 3 系であるのに
対し、本発明では、あくまでもSb3 Te準安定相とア
モルファス相との間の相転移において光学的性質が変化
することを利用したものである。また、組成範囲も大き
く異なっている。
【0026】記録層の膜厚は10〜100nm、より好
ましくは15〜35nm、さらに好ましくは17〜25
nmである。10nmより薄いと、光吸収能が低下し記
録層としての機能を失う。一方、100nmより厚い
と、透過光が少なくなるため干渉効果を期待できなくな
る。
【0027】本発明による光情報記録媒体の構成例を図
1に示す。1が基板、2が第1の誘電体層、3が結晶化
促進層、4が記録層、5が第2の誘電体層、6が反射放
熱層であり、7は必要に応じて6の上に設けられる有機
環境保護層(UV硬化樹脂層)である。上記において結
晶化促進層3と記録層4の説明をしたので、以下にその
他の層の構成について説明する。
【0028】本発明において、第1及び第2の誘電体層
(保護層)2及び5としては、SiOx、ZnO、Sn
2 、Al2 3 、TiO2 、In2 3 、MgO、Z
rO 2 、Ta2 5 等の金属酸化物、Si3 4 、Al
N、TiN、BN、ZrN等の窒化物、ZnS、TaS
4 、等の硫化物、SiC、TaC、B4 C、WC、Ti
C、ZrC等の炭化物が挙げられる。これらの材料は、
単体で保護層として用いることができるし、また混合物
として用いることもできる。例えば混合物としては、Z
nSとSiOx,Ta2 5 とSiOxが挙げられる。
これら材料物性は、熱伝導率、比熱、熱膨張係数、屈折
率及び基板材料あるいは記録層材料との密着性等があ
り、融点が高く、熱膨張係数が小さく、密着性が良いと
いったことが要求される。特に第2の誘電体層は、繰り
返しオーバーライト特性を左右する。
【0029】第1の誘電体層2の膜厚は50〜250n
mの範囲として、75nm〜200nmが好ましい。5
0nmより薄くなると、耐環境性保護機能の低下、耐熱
性低下、畜熱効果の低下となり好ましくない。一方、2
50nmより厚くなると、スパッタ法等による製膜過程
において、膜温度の上昇により膜剥離やクラックが発生
したり、記録時の感度の低下をもたらすので好ましくな
い。
【0030】第2の誘導体層5の膜厚は10nm〜10
0nmの範囲とし、15nm〜50nmが好ましい。第
2の誘電体層の場合、10nmより薄いと、基本的に耐
熱性が低下し好ましくない。100nmを越えると、記
録感度の低下、温度上昇による膜剥離、変形、放熱性の
低下により繰り返しオーバーライト特性が悪くなる。
【0031】反射放熱層6としては、Al、Au、C
u、Ag、Cr、Sn、Zn、In、Pd、Zr、F
e、Co、Ni、Si、Ge、Sb、Ta、W、Ti、
Pb等の金属を中心とした材料の単体、あるいは合金、
混合物を用いることができる。必要に応じて、異なる金
属、合金又は混合物を複数積層しても良い。この層は、
熱を効率的に逃がすことが重要であり、膜厚は30nm
〜250nmとする。好ましくは50nm〜150nm
が良い。膜厚が厚すぎると、放熱効率が良すぎて感度が
悪くなり、薄すぎると、感度は良いが繰り返しオーバー
ライト特性が悪くなる。特性としては、熱伝導率が高
く、高融点で保護層材料との密着性が良いこと等が要求
される。
【0032】上記で述べた材料、構成による光情報記録
媒体は、例えば、波長が635nmの半導体レーザーで
NA0.6か、あるいは650nmの半導体レーザーで
NA0.6のピックアップを用い記録再生することがで
きる。記録方法としては、例えばPulse Widt
h Modulationで変調コードがEFMあるい
はEFM+[8/16RLL(2,10)]方式を用い
ることができる。この場合、パルスは、先頭パルスとそ
の後のマルチパルス部に分かれる。マルチパルス部は、
加熱、冷却を繰り返し行うためのものである。
【0033】また、上記の場合、各パワーの関係は、加
熱(記録)パワー>消去パワー>冷却パワーとなってい
て、冷却パワーは読み出しパワー程度まで下げる。読み
出しパワーは1mW以下で行う。
【0034】(実施例)以下、本発明を実施例に基づき
説明する。本実施例では5チャンバーを有する枚葉型ス
パッタ装置にて成膜を行った。ただし、チャンバー数は
5個にこだわる必要はなく、5個以上であれば生産上可
能である。各成膜の内訳を以下に示す。 成膜室1(以下PC1と略記):ZnS・SiO2 (第
1の誘電体層) 成膜室2(以下PC2と略記):結晶化促進層 成膜室3(以下PC3と略記):記録層 成膜室4(以下PC4と略記):ZnS・SiO2 (第
2の誘電体層) 成膜室5(以下PC5と略記):Al(反射放熱層)
【0035】実施例1〜6、比較例1〜6 射出成形により直径120mm、厚さ0.6mmのポリ
カーボネート基板(以下PC基板と略記)を作製した。
PC1で、このPC基板上に、以下の条件によりZnS
・SiO2 膜をスパッタリング法で形成した。 ターゲット材:SiO2 (20.5mol%)、ZnS
( 79.5mol%) 投入電力:RF4kW/8インチターゲット ガス圧力:2mTorr ガス種:Ar 膜厚:190nm
【0036】次に、PC2で、以下の条件により結晶化
促進層(表1)を形成した。 ターゲット材:表1 投入電力:DC0.4kW/8インチターゲット ガス圧力:2mTorr ガス種:Ar 膜厚:0.5nm、2.0nm、5.0nm 次に、PC3で、以下の条件により、表1に挙げた組成
を有する空間群Fm3mに属する準安定Sb3 Te相を
有する記録層(記録層)を形成した。 ターゲット材:合金ターゲット( 組成は表1) 投入電力:DC0.4kW/8インチターゲット ガス圧力:2mTorr ガス種:Ar 膜厚:15nm 次に、PC4で、以下の条件によりZnS・SiO2
(第2の誘電体層)をスパッタリング法で形成した。 ターゲット材:SiO2 (20.5mol%)、ZnS
( 79.5mol%) 投入電力:RF4kW/8インチターゲット ガス圧力:2mTorr ガス種:Ar 膜厚:20nm 次に、PC5で、以下の条件によりAl膜(反射放熱
層)を形成した。 ターゲット材:Al 投入電力:DC5kW/8インチターゲット ガス圧力:2mTorr ガス種:Ar 膜厚:140nm さらに、上記Al膜の上にUV硬化樹脂を3μm厚に塗
布した後、UV光を照射して有機環境保護層を形成し、
本発明による相変化型光ディスクを作製した。
【0037】実施例1〜6について反射率を測定したと
ころ、いずれも18%以上であり、初期化工程なしで記
録層が結晶化していた。また、X線回折装置により記録
層の結晶構造を調べたところ、いずれも空間群Fm3m
に属するものであった。次に、初期化プロセスを行わず
に情報の記録再生を行ったところ、問題なく記録再生を
行うことができた。繰り返し記録特性、保存性信頼性も
良好であった。結晶化促進層を設けずに通常のレーザー
初期化を行った場合と初期化ジッタを比較したところ、
ほとんど変動が見られなかった。(結晶化促進層を設け
た時のジッタσ/ T[%]をx、設けなかった時のジッ
タσ/T[%]をyとし、 Δ=x−y [%] を求めたものを表1に示した。)
【0038】一方、比較例1〜6について、反射率を測
定したところ、いずれも18%以上であり、初期化工程
なしで記録層が結晶化していたが、情報の記録再生を行
ったところ、結晶化促進層を設けずに通常のレーザー初
期化を行った場合と比較して、ジッタ特性が悪化してい
た。記録層と結晶化促進層の混合組成を考慮して記録層
材料の再設計が必要であることがわかる。
【0039】以上の結果より、結晶化促進層を融点70
0℃以上の高融点Bi化合物とすることで、本発明では
記録層の再設計を行うことなく、初期化工程を不要にで
きることがわかる。
【0040】なお、実施例1〜4については、別ロット
のターゲットを使用した場合、成膜を繰り返し行いター
ゲットエロージョンが進行した場合、いずれの場合にお
いても、Δに変化はなく促進層を設けたことによるジッ
タ特性の低下は見られなかった。一方、実施例5につい
ては、別ロットのターゲットを用いた時にΔが増大し、
結晶化促進層を設けたことでジッタ特性が低下する場合
があった。また、実施例6については、エロージョンの
進行したターゲットを用いた場合には、Δが増大し、結
晶化促進層を設けたことでジッタ特性が低下する場合が
あった。これらの原因はいずれも組成ずれによるBiの
遊離が原因と考えられる。以上より、Zrとの化合物
か、Ceとの化合物を用いることで確実にジッタ特性の
低下を防止できることがわかる。
【0041】実施例7 結晶化促進層をBiCeとした。記録層は、結晶化温度
が120℃〜180℃の範囲にあるものとし、実施例1
〜6と同様にして、ディスクを作製した。ディスクの反
射率を測定したところ、いずれも18%以上であり、初
期化工程なしで記録層が結晶化していた。初期化プロセ
スなしで問題なく記録再生を行うことができた。結晶化
促進層を設けずに通常のレーザー初期化を行った場合と
初期化ジッタを比較したところ、ほとんど変動が見られ
なかった。
【0042】比較例7 結晶化促進層をBiIrとした以外は、実施例6と同様
にメディアを作製した。ディスクの反射率を測定したと
ころ、記録層の結晶化温度が160℃まではいずれも1
8%以上であり、初期化工程なしで記録層が結晶化して
いたが、それ以上では反射率は18%以下となり、初期
化工程が必要であった。以上より、Ceとの化合物を用
いることで、結晶化温度の高い記録層でも初期化工程が
不要とできる。すなわち、適用できる記録層組成の範囲
が広がることがわかる。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】以上のように、請求項1の光情報記録媒
体によれば、空間群Fm3mに属する準安定Sb3 Te
相を有する相変化記録層の少なくとも一部分に接して高
融点のBi化合物からなる結晶化促進層を設けたことか
ら、記録層が製膜直後に結晶化し、従来必要とされてい
た熱処理による初期化プロセスが不要となるだけでな
く、結晶化促進層の融点が高いため、記録、消去、再生
時のいずれにおいても、結晶化促進層が記録層と溶融混
合しない。そのため、記録層の組成ずれによるディスク
特性の変動が起きない。その結果、記録層材料の再設計
を行うことなく、初期化工程を不要とすることができ
る。
【0045】請求項2の光情報記録媒体によれば、上記
Bi化合物の融点が700℃以上としたことから、記
録、再生、消去のいずれにおいても結晶化促進層が溶融
せず、結晶化促進層と記録層の溶融混合を回避すること
ができる。
【0046】請求項3の光情報記録媒体によれば、結晶
化促進層が記録、消去、再生時のいずれにおいても溶融
しないことから、結晶化促進層が記録層と溶融混合する
ことによる不具合を確実に回避することができる。
【0047】請求項4の光情報記録媒体によれば、結晶
化促進層がBiとCeとの化合物であることから、他の
化合物に比べて高融点化合物の種類が多く、ターゲット
作製時やスパッタリング時に万が一、組成ずれが起きた
としても、低融点のBi(271℃)が遊離しにくい。
またCeとの化合物は結晶化促進効果が特に大きく、ご
く薄い膜厚でも結晶化促進効果を発揮する。さらに結晶
化促進効果が大きいことから、結晶化しにくい記録層に
対しても有効に使用できるため、より広い組成範囲の記
録層に対して、促進層としての効果を得ることができ
る。
【0048】請求項5の光情報記録媒体によれば、結晶
化促進層がBiとZrとの化合物であることから、Bi
2 Zr3 の場合、ターゲット作製時にBiが少ない方に
組成ずれが起きた場合、BiZr、BiZr2 の混合
物、包晶となることはあるが、低融点のBiが遊離する
ことはない。このような長所に加えて、Zrとの化合物
は、Zrが貴金属などと比較して安価であり、また化合
物が比較的安定でターゲット作製が容易であることなど
から、材料コストを低くおさえることができる。
【0049】請求項6の光情報記録媒体によれば、結晶
化促進層の膜厚が0.2〜5.0nmであることから、
所望の結晶化促進効果が得られると共に、結晶化促進層
の光学的な影響を無視することができ、品質の安定した
記録媒体を提供することができる。
【0050】請求項7の光情報記録媒体によれば、記録
層にIb族元素、II族元素、III 族元素、IV族元素、V
族元素、VI族元素、希土類元素及び遷移金属元素より選
択される元素の少なくとも1つが添加されることから、
空間群Fm3mに属する準安定Sb3 Te相の出現を妨
げず、かつ記録層の結晶化温度が200℃を越えない範
囲で、保存信頼性の向上や記録特性の向上などを図るこ
とができる。
【0051】請求項8の光情報記録媒体によれば、上記
IV族元素がGeであることから、保存信頼性や記録特性
を向上させる効果が特に顕著である。
【0052】請求項9の光情報記録媒体の製造方法によ
れば、上記結晶化促進層を第1の誘電体層と記録層との
間に作製されることから、結晶化促進作用をより効果的
に発揮し、かつスループットを向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光情報記録媒体の構成例を模式的
に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の誘電体層 3 結晶化促進層 4 記録層 5 第2の誘電体層 6 反射放熱層 7 有機環境保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/30 B41M 5/26 X Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 FA01 FA11 FA21 FA24 FB05 FB09 FB12 5D029 JA01 JB03 JB35 MA38 5D090 AA01 BB05 BB12 CC11 CC14 DD03 5D121 AA01 EE03 EE09 EE19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sb及びTeを有する相変化記録材料を
    記録層とする光情報記録媒体であって、該記録層が空間
    群Fm3mに属する準安定Sb3 Te相を有する光情報
    記録媒体において、該記録層の少なくとも一部分に接し
    て、高融点のBi化合物からなる結晶化促進層を設けた
    ことを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光情報記録媒体におい
    て、Bi化合物の融点が700℃以上であることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光情報記録媒体
    において、結晶化促進層が記録、消去、再生時のいずれ
    においても、溶融しないことを特徴とする光情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の光情報記録
    媒体において、結晶化促進層がBiとCeとの化合物か
    らなることを特徴とする光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1、2または3記載の光情報記録
    媒体において、結晶化促進層がBiとZrとの化合物か
    らなることを特徴とする光情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5記載の光
    情報記録媒体において、結晶化促進層の膜厚が0.2〜
    5.0nmであることを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6記載
    の光情報記録媒体において、該記録層にIb族元素、II
    族元素、III 族元素、IV族元素、V族元素、VI族元素、
    希土類元素及び遷移金属元素より選択される元素の少な
    くとも1つが添加されてなることを特徴とする光情報記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の光情報記録媒体におい
    て、該IV族元素がGeであることを特徴とする光情報記
    録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項記載の光
    情報記録媒体における結晶化促進層を基板上に第1の誘
    電体層、結晶化促進層、記録層の順に製膜することを特
    徴とする光情報記録媒体の製造方法。
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