JP2006212880A - 相変化型光記録媒体 - Google Patents

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洋義 関口
Kazunori Ito
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栄子 日比野
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浩子 大倉
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将紀 加藤
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Abstract

【課題】 高密度記録が可能で、最高記録線速度が20m/s以上であり、かつ広い記録線速度範囲で再生エラー特性とジッタ特性が両立する相変化型光記録媒体の提供。
【解決手段】 (1)0.5μm以下の長さの最小マークを記録することができ、最高記録線速度が20m/s以上である光記録媒体において、相変化記録層がGa、Sb、Sn、Geの4元素合金から成り、それぞれの元素の組成比(原子%)をα、β、γ、δとして、各組成比が、3≦α≦11、55≦β≦74、15≦γ≦25、3≦δ≦15、α+β+γ+δ=100を満たしている相変化型光記録媒体。
(2)相変化記録層が、In、Ag、Zn及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を、前記合金に対して1〜5原子%含む(1)記載の相変化型光記録媒体。
(3)相変化記録層が、Teを、前記合金に対して1〜5原子%含む(1)又は(2)記載の相変化型光記録媒体。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光ビームを照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせて情報の記録再生を行ない、広い記録線速において書き換え記録が可能な相変化型光記録媒体に関するものである。
近年、相変化材料を記録層とした光記録媒体、特に相変化光ディスクの開発が盛んに行われている。
一般に相変化光ディスクは透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。基板上に成膜する薄膜は多層膜で、基板から順番に下部保護層、記録層、上部保護層、反射層の構成が基本的なものである。下部及び上部保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiOを混合したZnS−SiOがよく用いられる。記録層にはSbTeを主成分とする相変化材料がよく用いられる。具体的には、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられるが、これらの他にもGe−Te、In−Sb、Ga−Sb、Ge−Sbなどが用いられる。反射層には金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。
これらの多層膜の成膜には抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、CVD法など様々な方法を用いる事ができるが、中でも量産性に優れている点からスパッタ法がよく用いられる。これらの多層膜を形成後、薄膜を保護する為に樹脂層をスピンコートにより被覆する。
このようにして作製された相変化光ディスクは、記録層に用いられている相変化材料がアモルファス状態であるため、これを結晶化状態にする、所謂初期化工程を施す事が一般的である。相変化光ディスクの初期化は、ディスクを回転させながら幅数μm、長さ数十〜数百μmの半導体レーザからレーザ光を照射し、半径方向にレーザ光を移動させる事で行う。レーザ光の照射にはフォーカシング機能を設けてより効率の良いレーザ照射を行う場合が多い。
初期化された相変化光ディスクは任意に決められたレーザ発光パターン(以下、記録ストラテジ)を照射することで任意のアモルファスマークを形成する事ができる。更に、相変化光ディスクでは消去と記録を同時に行う、所謂ダイレクトオーバーライト(以下、DOWという)記録が可能である。ちなみに消去とはアモルファス状態のマークを結晶化させる事で、記録とは結晶状態からアモルファス状態のマークを形成する事である。
よく用いられる記録ストラテジとしては記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)の3値制御(Pw>Pe>Pb)がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて特定の長さのマークを記録する。データ記録・再生の変調方式としてCDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などはマークエッジ記録方式であるからマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価としてはジッタ特性が一般的に用いられる。
このような相変化光ディスクは、CD−RW、DVD+RW、DVD−RWなどに応用され、オーディオビジュアル用途及びコンピュータの情報記録用途として広く普及しているが、最近では更なるデジタル容量の大容量化により、これらの光ディスクへの記録速度の向上が期待されている。相変化技術を用いた光ディスクへの高速記録には、より速い記録線速度での書換え性能とより広い記録線速度範囲での書換え性能の双方が要求される。前者は最高記録線速度であり、後者は記録可能な線速度範囲に相当する。この点について以下に説明する。
記録方式として、記録回転数一定で記録を行うCAV記録と線速度一定で行うCLV記録の2種類を考えた時、CLV記録の場合は半径値により回転数が変わり、内周側になるほど高い回転数が要求される。この為、最高線速度は光ディスク用記録再生装置が有する光ディスクの回転能力の限界で決まってしまい、それ以上の線速度での記録が可能な場合は回転能力限界の回転数一定のCAV記録を用いる必要性が出てくる。
例えば、光ディスク用記録再生装置の回転数の限界を10000rpmとすると、その場合半径24mmでは約25m/sの線速度であり、これをDVDの基準線速度3.5m/sで規格化すると約7倍速にあたり、これ以上の高速記録を行おうとするとディスクの特定の半径範囲或いは全面でCAV記録を行う必要がある。或いは、ディスク半径値に対応した、複数の記録線速度を利用するZCLV記録を行う必要がある。
以上のように、記録線速度の向上とは最高線速度の向上だけでなく、ある一定の記録線速度範囲での書換え性能も同時に求められる。
CDやDVDでCAV記録を行った場合、ディスクサイズが直径120mmである事から、(最外周での記録線速度)/(最内周での記録線速度)の比率を求めると、記録線速度範囲は約2.4倍である。具体的には、DVD+RWの4倍速ディスクでは、CAV記録に必要な記録線速度範囲は、5.8〜14.0m/sとなる。なお、ここでいう「4倍速」とはDVDの基準線速度である3.5m/sの4倍の線速度のことである。
一方、最高記録線速度が速くなると、必然的に記録線速度範囲も広くなる。即ち、上述したように、4倍速ディスクでは5.8〜14.0m/s(記録線速度範囲8.2m/s)であるが、これが8倍速ディスクになると11.5〜28.0m/s(記録線速度範囲16.5m/s)と記録線速度範囲が広がることが分かる。以上の事から、CAV或いはZCLV記録において記録線速度を向上させるためには、最高記録線速度を速くすると同時に記録線速度範囲を更に広げる事が必要である事が分かる。
本発明に関連する公知文献としては、次の特許文献1〜3が挙げられる。
まず特許文献1には、相変化記録層にSbSnGeTeM1(M1はIn,Ga,Pt,Pd,Agほか)を用いた、初期結晶化が容易で、信号振幅が大きく、繰り返しオーバーライト特性に優れ、保存安定性に優れ、更には高転送レートでの記録で優れたジッタ特性を有する高速記録消去が可能な情報記録媒体に関する発明が開示されている。
また、特許文献2には、GaSb系において広い線速領域で記録が可能な相変化型光記録媒体及びその製造方法と記録方法に関する発明が開示されている。
また、特許文献3には、SnSbGaGe系において、記録線速が10倍以上の高線速記録においても記録感度が良好であり、幅広い記録線速領域で繰り返し記録が可能であると共に、保存信頼性にも優れた相変化型情報記録媒体及びその製造のためのスパッタリングターゲットに関する発明が開示されている。
しかし、上記何れの文献にも、後述する本発明者らが見出した再生エラーに関する新たな課題については記載も示唆もされておらず、当然ながら、その解決手段に関する記載もない。
特開2004−203011号公報 特開2004−224040号公報 特開2003−029119号公報
前記背景技術の項で、CAV記録或いはZCLV記録の必要性が光ディスク用記録再生装置の有する光ディスクの回転能力の限界から来ていると説明したが、特にCAV記録は回転数が一定である事から、記録する半径値によって回転数を調整する必要が無い為、ランダムアクセス記録の高速化に必須の技術でもある。ランダムアクセス記録の高速化はデータ転送の高速化でもあり、結果的に記録速度の向上にも繋がる。
このように高速記録に求められる、最高記録線速度と広い記録線速度範囲の実現を開発中に、本発明者らは従来知られていない新たな課題を見出した。
即ち、ディスク特性としてジッタ特性が実用レベルにある記録線速度範囲内に再生エラーが多くなるという現象を見出した。ちなみに、ここでいう再生エラーとは、実際に記録された信号をデジタルデータに変換する際の確かさを表したもので、その値が低い程良好である。
従来はジッタ特性が良好であれば再生エラーも低く、それぞれが相反するという現象は確認されていない。唯一、相反する場合としては、ディスクに欠陥が多い場合にジッタ特性と再生エラー特性が相反する場合が稀にあるが、本発明者らが見出した現象はその程度が全く異なる範囲であった。以下に、その現象についての詳細を述べる。
今回見出した現象の一例として、図1にDVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクにおける記録線速度とDOW10回記録時のジッタ特性とPIエラー特性の関係を示す。なお、PIエラーは先述した再生エラーに当たる。図をみると、3倍速から8倍速までジッタ特性はほぼ9%以下と実用上問題のないレベルであるのに対し、PIエラーが4〜7倍速の範囲で急激に大きくなっている事が分かる。PIエラーが280以上になると実用上問題があると考えられているが、この結果では、それを遥かに上回る値を示しており、ジッタ特性とエラー特性が大きく相反している事が分かる。このような現象は従来は見出されておらず、本発明者らが新たに見出した現象である。なお、ここではDOW10記録の結果を示しているが、多少の程度の違いはあるものの、DOW回数には依存せず同様な現象が確認できている。
次に、この現象の詳細を調べる為に、図1で用いたディスクに、図2に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の記録マーク形状の模式図を図3(a)に示す。なお、マーク形状は透過電子顕微鏡で観察した結果であり、マークAとマークCは正常な記録マークであるが、マークBはマーク中に微結晶が発生している事が分った。このような微結晶がある場合の再生信号は、図3(b)に示す通り、正常な場合(点線)に比べてひずんでしまう。その結果、2値化後の信号は図3(c)のようになり、結晶のあるマークBのみが3Tよりも短く再生されてしまう。
アモルファスマークに対して結晶状態が影響する例としては、
(1)余熱による再結晶化(例えば、特開2004−164850号公報)
(2)高速記録時に十分な結晶化が行えずに消し残りが発生する(例えば、特開2004
−164849号公報)
(3)多数回のDOW記録を行う事でアモルファスマーク周辺に結晶が析出する
などが知られているが、本発明で見出した現象は、DOW記録の回数に依らない点、アモルファスマークの全てでなく一部に微結晶が発生している点、ジッタ特性が良好であるにも関わらず再生エラーが非常に大きくなっている点などから、従来から知られている現象とは異なる事が分かる。
更に、記録密度がDVD程度に高くなると、このような微結晶が最短マークに存在する事が再生エラーの増加に繋がると考えられる。
以上の事から、本発明は、高密度記録が可能で、最高記録線速度が20m/s以上で、かつ広い記録線速度範囲で再生エラー特性とジッタ特性が両立する相変化型光記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜7)の発明(以下、本発明1〜7という)によって解決される。
1) 0.5μm以下の長さの最小マークを記録することができ、最高記録線速度が20m/s以上である光記録媒体において、相変化記録層がGa、Sb、Sn、Geの4元素合金から成り、それぞれの元素の組成比(原子%)をα、β、γ、δとして、各組成比が次の範囲を満たしていることを特徴とする相変化型光記録媒体。
3≦α≦11
55≦β≦74
15≦γ≦25
3≦δ≦15
α+β+γ+δ=100
2) 組成比が次の範囲を満たしていることを特徴とする1)記載の相変化型光記録媒体。
3≦α≦11
55≦β≦70
15≦γ≦25
5≦δ≦15
α+β+γ+δ=100
3) 相変化記録層が、In、Ag、Zn及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を、前記合金に対して1〜5原子%含むことを特徴とする1)又は2)記載の相変化型光記録媒体。
4) 相変化記録層が、Teを、前記合金に対して1〜5原子%含むことを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
5) 透明基板上に少なくとも第一保護層、相変化記録層、第二保護層、反射層がこの順番に積層され、各層の膜厚が、照射するレーザ光の波長をλ[nm]として、次の関係を満たすことを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
第一保護層膜厚 t1: 0.07λ≦t1≦0.5λ
相変化記録層膜厚t2:0.015λ≦t2≦0.05λ
第二保護層膜厚 t3:0.005λ≦t3≦0.055λ
反射層膜厚 t4: 0.1λ≦t4≦0.45λ
6) 第一保護層と相変化記録層の間に、SiO(二酸化ケイ素)からなる界面層を有することを特徴とする5)記載の相変化型光記録媒体。
7) 界面層の膜厚が2〜6nmであることを特徴とする6)記載の相変化型光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
0.5μm以下の長さの最小マークを記録することができ、最高記録線速度が20m/s以上で、かつ広い記録線速度範囲で再生エラー特性とジッタ特性が両立する相変化型光記録媒体を得るには、記録層に本発明1で規定する4元素合金を用いる必要がある。但し、該4元素合金の特性を阻害しない限り、不純物などを含んでいても構わない。
最小マークの長さは、高密度記録を可能とするため0.5μm以下とする必要がある。最小マークの長さは短いほど好ましいが、記録レーザ波長などの記録条件によっても変化するので数値により限定することは難しい。しかし、現在の技術水準では0.3μm程度が限界である。
また広い記録線速度範囲とは最高記録線速度の約0.4〜0.9倍程度の範囲を指す。前述した図1をみると、8倍速記録ではジッタ特性とPIエラー特性を両立させることができるが、中間の線速度で記録を行なうと両立が難かしいことが分る。しかし、本発明1、2で規定する元素組成の記録材料を用いれば、8倍速の約0.4〜0.9倍に当る中間の記録線速度でもジッタ特性及びPIエラー特性を両立させることができる。
Ga、Sb、Sn、Geの4元素の組成が上記範囲を満たさなければならない理由は次のとおりである。
Sbは相変化材料として情報の記録消去を行なうことにおいては安定した元素であり、この元素を母体とした構成とするのが良い。Sbは材料の結晶化速度を速める効果があり、高速記録を行なうためには、その組成比は大きい方が良い。特に、最高記録線速度が20m/s以上である光記録媒体を実現するためには、Sb組成比を55原子%以上とする必要がある。Sbが55原子%よりも少ないと情報の記録及び消去が安定せず、高速記録を行なうことが困難となり適さない。また、Sbがある程度以上多くなると、最短のアモルファスマークの内側にある確率で微結晶が発生してしまうため、ジッタ特性が良好であるにもかかわらず再生エラーが高くなってしまう。したがってSb組成比は75原子%未満とするのが良い。
Ge、Gaは結晶化速度を遅くする効果がある。そのため、何れの場合もアモルファス化を促進し、元素の種類や添加量に応じて所望の記録線速度に適した結晶化速度に調整することが可能になる。また、同時に元素の種類や添加量に応じて結晶化温度を高くすることができ、アモルファス相の保存安定性が向上する。
このうちGeは、アモルファスマーク内部にある確率で発生してしまう微結晶の発生確率を低下させる効果があるため、できるだけ多く添加した方が良いが、あまり入れ過ぎると、結晶化速度を低下させ過ぎてしまい高速記録が行なえなくなる不具合が生じるため、Geの組成比は15原子%以下であることが好ましい。また、Geの添加量が少な過ぎると、アモルファスマーク内部にある確率で発生してしまう微結晶の発生確率が高くなり始めてしまい、かつアモルファスマークの保存安定性が低下するため、3原子%以上添加することが好ましい。
Gaは、Geほど微結晶の発生確率を低下させる効果は見られない。しかし、繰り返し記録特性を向上させる効果があるので添加量は多い方がよいが、あまり多すぎると記録材料の結晶化速度を低下させてしまい、高速記録が行なえなくなる不具合が生じる。そのため、組成比としては10原子%以下に抑えることが好ましい。また、少な過ぎると繰り返し記録特性や保存安定性が低下してしまうため、3原子%以上添加することが好ましい。
Snはアモルファス化促進作用はないが、所望の特性を得るためにGe、Gaを添加した結果、結晶化速度が遅くなってしまった場合に、Sbの一部をSnに置換すると、結晶化速度を速くすることができる。また、GeやGaを用いたことにより初期化が困難になってしまった場合にも、Sbの一部をSnに置換すると初期化が容易になる作用も持つ。Sbの一部をSnに置換することにより結晶化速度を速くしたり、初期化を容易にしたりする効果を得るためには、Snの組成比を15原子%以上とすることが好ましい。しかし、多すぎると、Sbと同様に最短のアモルファスマークの内側に微結晶がある確率で発生してしまうため、ジッタ特性が良好であるにも拘わらず再生エラー特性が悪くなってしまう。更に繰り返し記録の耐久性を損ねたり、結晶の安定性を劣化させ、保存前後の記録特性や記録条件のずれを大きくしてしまったりするため、Snの組成比は25原子%以下にすることが好ましい。
本発明2で規定する記録層材料を用いると、アモルファスマーク内部にある確率で発生してしまう微結晶の発生確率を更に低減させ、再生エラー特性を実用上問題のない値まで抑えることができる。
本発明3のように、記録層にIn、Ag、Zn及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を添加すると、保存安定性を更に良好にすることができる。これらの元素の合計添加量は、GaSbSnGe系合金に対して、1原子%未満では効果がなく、5原子%を超えると結晶化温度が高くなり過ぎて初期結晶化が困難となる。
本発明4のように、記録層にTeを添加すると、初期結晶化が容易になり、均一な結晶状態を得やすくなる。Teが1%未満の場合は効果が現れない。Teが5%を超えると、結晶化速度が低下してしまい、記録層材料に高速の記録速度に応じた結晶化速度を持たせることができなくなり、記録特性が悪くなる。
本発明5は、本発明の相変化型光記録媒体の好ましい層構成を規定したものである。
透明基板としては、例えば表面にトラッキング用の案内溝を有し、直径12cm、厚さ0.6mmのディスク状で、加工性、光学特性に優れたポリカーボネート基板が好ましい。屈折率は1.5〜1.6が良い。
第一保護層には、透明基板及び相変化記録層との密着性が良いこと、耐熱性が良いことなどが要求される。また、相変化記録層の効率的な光吸収を可能にする光干渉層としての役割も担うことから、高線速での繰り返し記録に適した光学特性を有することが望ましい。好ましい材料としては、ZnS−SiO(モル比80:20)が挙げられる。
第一保護層の膜厚t1[nm]は、レーザ光の波長(本発明の相変化型光記録媒体に用いられる波長範囲は、400〜700nm程度である)をλ[nm]として、0.07λ≦t1≦0.5λの範囲が適しており、この範囲より薄いと耐熱保護層としての機能が失われ、この範囲より厚いと界面剥離が生じ易くなる。
相変化記録層の膜厚t2[nm]は、レーザ光の波長をλ[nm]として、0.015λ≦t2≦0.05λの範囲が適しており、この範囲より薄いと光吸収が低下し記録層としての機能が失われ、この範囲より厚いと記録感度が悪化してしまう。
第二保護層には、相変化記録層及び反射層との密着性が良いこと、耐熱性が高いことなどが要求される。また、相変化記録層の効果的な光吸収を可能にする光干渉層としての役割も担うことから、高線速での繰り返し記録に適した光学特性を有することが望ましい。好ましい材料としては、ZnS−SiO(モル比80:20)が挙げられる。
第二保護層の膜厚t3[nm]は、レーザ光の波長をλ[nm]として、0.005λ≦t3≦0.055λの範囲が適している。この範囲より薄いと記録感度が悪くなり、この範囲より厚いと熱が篭りすぎてしまって良好な記録特性が得られなくなる。
反射層には、熱伝導率が高いAg又はAg−Cu、Ag−Pd、Ag−Tiなどの合金が適している。反射層の膜厚t4[nm]は、レーザ光の波長をλ[nm]として、0.1λ≦t4≦0.45λの範囲が適している。この範囲より薄いと充分な放熱効果が得られずアモルファスマークを形成しづらくなるし、この範囲より厚くしても放熱効果が向上せず、ただ単に意味のない膜厚を成膜することになる。
また、第二保護層と反射層との間に第三保護層(硫化防止層)を設けても良い。この層は、第二保護層材料がS(硫黄)を含む場合に、このSと反射層に含まれているAgとの反応によるAgSの生成を防ぐ機能を備えている。好ましい材料としては、SiC、TiC、TiO、TiC−TiO、NbC、NbO、NbC−NbO、SiO、Ta、Al、ITOなどが挙げられる。
本発明6のように、第一保護層と相変化記録層との間にSiOからなる界面層を設けると、繰り返し記録による記録層の熱ダメージが緩和され、比較的高い記録パワーでも記録特性が良好となる。
更に、本発明7のように、SiO界面層の膜厚を2〜6nmとすることによって、高パワー記録での繰り返し記録特性が良好となり、記録パワーマージンを広くすることができる。2nm未満では均一なSiO膜を形成することが困難であり、6nmを越えるとSiOの低い熱伝導率が影響し始め、記録パワーによる熱が篭りジッタが悪くなってしまう。また、膜剥離が生じ易くなる。
本発明によれば、高密度記録が可能で、最高記録線速度が20m/s以上であり、かつ広い記録線速度範囲で再生エラー特性とジッタ特性が両立する相変化型光記録媒体を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例をふまえて述べる。
らせん状の連続グルーブを転写したDVD+RW用のポリカーボネート基板上に、少なくとも第一保護層、相変化記録層、第二保護層、反射層をこの順番に積層して相変化光ディスク)を作製し、初期化装置で初期化してDVD+RWディスクとした。初期化は集光ビーム径が75μmとなる光ヘッドを用い、パワー1600mW(ここでは、LDの消費電力であり、照射パワーとは異なる)、走査速度19m/s、送り50μm/回転、の条件で結晶化することで行なった。相変化記録層への情報の記録は、アモルファス状態を形成させて記録マークを作るためのピークパワーPp、急冷効果を与えてアモルファスマークを作り易くするためのボトムパワーPb、結晶質を形成させて情報を消去するためのイレースパワーPeの3レベル(Pp>Pe>Pb)で強度変調された2T周期記録ストラテジを用いて行なった。ストラテジのパルス発生装置は日本テクトロニクス社製MSG2であり、記録線速v[m/s]で記録する際の設定クロック周期は、7.5×v[MHz]である。使用した評価装置は、パルステック社製のDDU−1000であり、対物レンズのNA=0.65、記録再生に用いられるレーザ波長λ=660nmである。記録パワーのスペックはPpで最大40mW、Peで最大18mWである。またPbは、急冷効果を与えるにはできるだけ小さなパワーが良いため、0.1mWに固定して記録を行なった。再生光パワーは常に0.7mWである。記録したマークのうち、最小マークは約0.4μmであった。
[実施例1〜15、比較例1〜9]
ポリカーボネート基板上にZnS−SiOからなる第一保護層を厚さ60nm、表1に示す組成の相変化材料からなる実施例1〜15及び比較例1〜9の相変化記録層を厚さ16nm、ZnS−SiOからなる第二保護層を厚さ7nm、TiC−TiOからなる第三保護層を厚さ4nm、Agからなる反射層を厚さ200nm、この順番に積層したのち初期化した。
これらのディスクの最高記録線速はDVD8倍速(27.9m/s)である。
記録線速範囲が11.5m/s以上24.4m/s以下において、ディスクの再生エラー特性とジッタ特性を調べたところ表1のようになった。エラー及びジッタは、約400トラックにDOW10記録を行ない、その記録部を1倍速で再生することにより測定した。エラーの評価基準は、100未満の場合を◎(実用的な範囲)、100以上280未満の場合を○(実用可能な範囲)、280以上350以下の場合を△(良好な範囲)、350を超える場合を×(改善が必要な範囲)として判断した。ジッタの評価基準は、9%未満の場合を◎、9%以上10%以下の場合を○、10%を超える場合を×として判断した。
Figure 2006212880
[実施例16〜21、比較例10]
ポリカーボネート基板上にZnS−SiOからなる第一保護層を厚さ60nm、表2の実施例16〜21、比較例10に示す組成の相変化材料からなる記録層を厚さ16nm、ZnS−SiOからなる第二保護層を厚さ7nm、TiC−TiOからなる第三保護層を厚さ4nm、Agからなる反射層を厚さ200nm、この順番に積層したのち初期化した。
これらのディスクの最高記録線速はDVD6倍速(20.9m/s)である。
記録線速範囲が8.7m/s以上17.5m/s以下において、ディスクの再生エラー特性とジッタ特性を調べたところ表2のようになった。エラー及びジッタは、約400トラックにDOW10記録を行ない、その記録部を1倍速で再生することにより測定した。エラー及びジッタの評価基準は表1の場合と同じである。
Figure 2006212880
[実施例22〜29]
表3に示す組成の相変化材料(In、Ag、Zn及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素をGaSbSnGe4元系合金に添加したもの)を記録層に用いた点以外は、実施例1と同様にして相変化光ディスクを作製したのち初期化した。
これらのディスクについて、その保存安定性を調べた。即ち、光記録媒体に記録マークを書き込んでそのジッタ値を読んでおき、温度80℃、湿度85%の高温槽に100時間保持した後のジッタの値を測定した。
結果を表3に示すが、保存試験後のジッタの上昇はあまり見られず良好な特性が得られている。
Figure 2006212880
[実施例30、31]
第一保護層の厚さを58nm(実施例30)、54nm(実施例31)に変え、その上に、SiOからなる界面層を厚さ2nm(実施例30)、6nm(実施例31)設けた点以外は、実施例2と同様にして光ディスクを作製したのち初期化した。
これらのディスク及び実施例2のディスクについて、DOW1000回記録を行なった結果を図4に示す。
界面層のある実施例30及び31は、界面層のない実施例2と比較すると、1000回の繰り返し記録特性が大きく向上している。しかし、SiOの膜厚には上限があり、膜厚が6nmを超えると特性が悪くなり始め、記録パワーマージンがなくなってくるという不具合が生じる。
DVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクにおける記録線速とDOW10回記録時のジッタ特性とPIエラー特性の関係を示す図。 記録ストラテジを示す図。 図1で用いた光ディスクに、図2に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の結果を示す図。(a)記録マーク形状の模式図。(b)再生信号。(c)2値化後の信号。 実施例2、29、30のディスクについて、DOW1000回記録の繰り返し記録特性を示す図。
符号の説明
Pw 記録パワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー
T 基本クロック周期
t 時間

Claims (7)

  1. 0.5μm以下の長さの最小マークを記録することができ、最高記録線速度が20m/s以上である光記録媒体において、相変化記録層がGa、Sb、Sn、Geの4元素合金から成り、それぞれの元素の組成比(原子%)をα、β、γ、δとして、各組成比が次の範囲を満たしていることを特徴とする相変化型光記録媒体。
    3≦α≦11
    55≦β≦74
    15≦γ≦25
    3≦δ≦15
    α+β+γ+δ=100
  2. 組成比が次の範囲を満たしていることを特徴とする請求項1記載の相変化型光記録媒体。
    3≦α≦11
    55≦β≦70
    15≦γ≦25
    5≦δ≦15
    α+β+γ+δ=100
  3. 相変化記録層が、In、Ag、Zn及びCuからなる群から選択された少なくとも1つの元素を、前記合金に対して1〜5原子%含むことを特徴とする請求項1又は2記載の相変化型光記録媒体。
  4. 相変化記録層が、Teを、前記合金に対して1〜5原子%含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
  5. 透明基板上に少なくとも第一保護層、相変化記録層、第二保護層、反射層がこの順番に積層され、各層の膜厚が、照射するレーザ光の波長をλ[nm]として、次の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
    第一保護層膜厚 t1: 0.07λ≦t1≦0.5λ
    相変化記録層膜厚t2:0.015λ≦t2≦0.05λ
    第二保護層膜厚 t3:0.005λ≦t3≦0.055λ
    反射層膜厚 t4: 0.1λ≦t4≦0.45λ
  6. 第一保護層と相変化記録層の間に、SiO(二酸化ケイ素)からなる界面層を有することを特徴とする請求項5記載の相変化型光記録媒体。
  7. 界面層の膜厚が2〜6nmであることを特徴とする請求項6記載の相変化型光記録媒体。
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