JP2007098933A - 光記録媒体 - Google Patents

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和典 伊藤
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裕司 三浦
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美樹子 安部
Hiroko Okura
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Abstract

【課題】DVD8倍速相当以上、又はブルーレイディスクの4倍速相当以上の高線速化に対応できると共に、繰り返し記録特性に優れ、非晶質及び結晶が安定で初期化が容易な相変化記録層を有する高密度記録用の光記録媒体の提供。
【解決手段】案内溝を有する基板上に少なくとも相変化記録層を有してなり、前記光記録媒体の回転線速を変数とし、該光記録媒体に、ピックアップヘッドを用い連続光を照射して計測される反射率の低下開始点に相応する転移線速が、5〜35m/sであり、前記相変化記録層が、下記式(1)で表される相変化材料を含有する光記録媒体である。
(Sb100−xIn100−yZn
ただし、前記組成式(1)中、x及びyは、各元素の原子%を表し、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光を照射することにより相変化記録層に光学的な変化を生じさせて、情報の記録、再生、消去、及び書換えの少なくともいずれかを行うことができ、特にDVDやブルーレイディスク等の高速かつ大容量の高密度記録に対応できる繰り返し記録特性に優れた光記録媒体(以下、「相変化型光記録媒体」、「光情報記録媒体」、「光ディスク」と称することもある)に関する。
近年、電子情報の大容量化が顕著であるが、大容量のデータを扱う記憶装置では、容量が多ければ多いほど記録に時間がかかるため、より高速で記録が可能な光記録媒体が求められている。特にディスク状の光記録媒体の場合、回転速度を高くすることで記録及び再生速度を上げることが可能なため、高速化が進んでいる。光ディスクの中でも記録時に照射する光の強度変調のみで記録が可能であるものは、その記録機構の単純さから、光記録媒体と記録装置の低価格化が可能であり、また、グルーブのみに記録する方式の光記録媒体は、再生専用装置との高い互換性が確保できるため普及が進んでいる。
このようなグルーブのみに記録する方式の光ディスクのうち、書換えが可能である相変化材料を用いたものは、これまで、CD−RW、DVD+RW、DVD−RWなどが実用化されており、それぞれより高速で記録可能な光記録媒体が開発されている。また、最近は、より大容量な記録が可能であるブルーレイディスク(Blu−ray disk)を始めとする、青色のLDにより記録が可能な光ディスクシステムも実用化され、これも今後高速化が進むものと予想される。現在のところ、DVD+RWは8倍速(約28m/s)、DVD−RWは6倍速(約21m/s)、ブルーレイディスクは2倍速(9.84m/s)までが規格化されており、更に高速の記録媒体の開発が待たれている状況である。
相変化記録材料を用いた光ディスクへの情報の記録は、通常は未記録状態を高反射率の結晶相とし、これに低反射率の非晶質相からなるマークと高反射率の結晶相からなるスペースを照射するレーザー光ビームの強度変調により形成することにより行う。
図1に記録時のレーザーの照射パターンの一例を示した。非晶質からなるマークはピークパワー(Pp=Pw)光とバイアスパワー(Pb)光との交互繰返しによるパルス照射によって形成され、結晶からなるスペースはこれらの中間レベルのイレースパワー(Pe)光を連続的に照射することにより形成される。ピークパワー光とバイアスパワー光とからなるパルス列が照射されると、記録層は溶融と急冷を繰返し、非晶質マークが形成される。消去パワー光が照射されると記録層は溶融後徐冷、あるいは固相状態のままアニールされて結晶化し、スペースが形成される。
図1の例は、非晶質マークを形成するパルスの周期を1T(ただし、Tは基本クロック周期を表す)とした1T周期ストラテジの例であるが、より高速で記録する場合には、パルスの周期を2Tとする2T周期ストラテジが使用されている。
非晶質マークを形成するためには、上述したように、記録層を一旦溶融させる必要がある。高速記録時には、ピークパワー光が照射される時間が短くなるため、より高いパワーが必要となる。しかし、LD(レーザダイオード)にも出力パワーの限界があるためパワー不足となり、良好なマークが形成できない場合がある。そこで、高速で記録するための記録層材料には、より融点が低いことが望まれる。
このような相変化記録材料はこれまで種々提案されているが、ジッターが低く、記録特性に優れている材料として知られ、CD−RW、DVD+RW等に広く使用されているものに、Ag−In−Sb−Te系の材料がある。
Ag−In−Sb−Te系の材料は、Sbを63〜83原子%含有するSb−Te二元系の固溶体であるSb−Teδ相にAg、Inを添加したものである。Sb−Teδ相に種々の元素を添加した系では、一般的にSbの組成比を多くすることにより結晶化速度を速くすることが可能であり、高速記録に対応させることができる。
このようなSb−Teδ相の欠点としては、結晶化温度が120〜130℃程度と低いことが挙げられ、そのため、Ag、In、Ge等を添加して結晶化温度を160〜180℃まで高くし、非晶質マークの安定性を向上させることが必須となる。これにより、DVD4倍速相当程度までの高速記録に適した記録層を形成することができる。
更に高速化を目指し、例えば、DVD8倍速相当以上の高速記録に適応させるためには、Sbの割合を多くして結晶化速度を向上させる必要がある。しかし、Sbの割合を多くすると初期化が困難になる傾向があり、初期化後に反射率むらを生じてしまい、ノイズ量が増大するため、低ジッターでの良好な記録ができなくなってしまう。また、Sbを増やすと結晶化温度が更に低下するため、添加物の量を増やさざるを得ないが、単純に添加物の量を多くするとやはり初期化が困難になり、初期化後のノイズ量の増大等を招き、低ジッターでの良好な記録ができなくなってしまう。即ち、Sb−Teδ相を基本とした系ではDVD8倍速相当以上の高速記録に適した結晶化速度、初期化の容易性、非晶質マークの保存安定性を満たす記録層を得ることは困難である。
そこで、結晶化速度が速く、非晶質マークの安定性にも優れるSb−Teδ相系に代る材料系として、Sbを主成分とし、非晶質化を促進するような元素を添加したGa−Sb系、Ge−Sb系等も提案されている。Ga−Sb及びGe−Sbは共に、Sbが80原子%を超えるようなSbリッチな組成で共晶点を持ち、各々の共晶点近傍の組成を中心に高速記録材料として用いることができ、Sb−Teδ相系同様、Sbの割合を高くすると結晶化速度を速くすることができる。結晶化温度は180℃程度と高いため、他の元素を添加しなくとも非晶質マークの安定性には優れている。
しかし、これらの共晶点は590℃前後であり、Sb−Teδ相系の約550℃より高く、記録時のパワーが不足してしまう恐れがある。また、本発明者らの検討によれば、高い融点を示す材料は初期化後に反射率のむらが生じ易い傾向があり、やはり初期化後のノイズ量の増大等を招き、低ジッターでの良好な記録ができなくなってしまう。その理由は明確ではないが、単に初期化のパワーを高くするだけではむらは解消されない。このことからも融点は低い方が有利である。
そこで、本発明者らは、Sbが68原子%の組成で約490℃という低い共晶点を持つIn−Sb系に注目して検討した結果、このIn−Sb系は結晶化速度も速く、初期化による反射率むらも生じ難く、非晶質マークの安定性にも優れている材料であることが分った。しかし、更に詳細に検討を重ねたところ、このIn−Sb系は非晶質の安定性には優れるものの、結晶の安定性が悪いという欠点を有することが分った。
例えば、図2A及び図2Bに示すオシログラフは、共晶組成に近い組成のIn−Sb系合金の保存試験前(図2A)、及びを80℃、100時間で保存試験後(図2B)における未記録部(結晶部)の反射率低下の様子を示したものである。このように、保存試験を行った場合には反射率が10%以上も低下しており、規格を満たさなくなる恐れがあると共に、反射率が低下してしまった状態で記録を行うと、ジッターが著しく悪く、良好な記録が行えないという問題がある。
一方、In−Sb系に関しては、例えば、記録層として、(In100−xSb100−y(ただし、x及びyは原子%を表し、xは40〜80原子%、0原子%<y≦30原子%である)で表される組成の合金を用いることが提案されている。この合金のMで表される元素としては、Zn、Cd、Tl、Pb、Po、Li、Hgなどが挙げられている(特許文献1参照)。
また、記憶薄膜としてIn20〜60原子%と、Sb40〜80原子%とからなる微結晶体を用いることが提案されている。更に該記憶薄膜に添加する元素として、Al、Si、P、S、Zn、Ga、Ge、As、Se、Ag、Cd、Sn、Te、Ti、Pb、Biなどが挙げられている(特許文献2参照)。
また、記録層として、In50−xSb50−x2x(ただし、0原子%<x≦5原子%)で表される組成の合金を用いることが提案されている(特許文献3参照)。この合金のMで示される元素として、Bi、Cd、P、Sn、Zn、Seなどが挙げられており、InとSbの組成比は1:1に限定されている。
また、記録層として、(M100−xSb100−yIn(ただし、x及びyは原子%を表し、xは20〜80原子%、yは2〜50原子%である)で表される組成の合金を用いることが提案されている(特許文献4参照)。この合金のMで表される元素としては、Zn、Cd、Hg、Tl、Pb、P、As、B、C、Sなどが挙げられており、Mの量が多く、Mの量が最も少ない10原子%となる条件(x=20原子%、y=50原子%)では、Sbは40原子%、Inは50原子%である。
また、記録膜として、(In100−xSb100−y(ただし、x及びyは原子%を表し、50原子%≦x≦70原子%、0原子%≦y≦20原子%である)の合金の結晶膜を用いることが提案されている(特許文献5参照)。この合金のMで示される元素としては、Al、Si、P、Zn、Ga、Ge、As、Se、Ag、Cd、Sn、Te、Tl、Bi、Pb、Mo、Ti、W、Au、P、Ptなどが挙げられており、上記組成式において、Inの割合は24〜70原子%である。
しかしながら、上記特許文献1から特許文献5は、その出願時(1984年〜1987年)である1980年代の技術水準からみて、いずれも現在のDVDのように最短マーク長が0.4μm以下の極めて微小なマークを超高速で形成できるような層構成を有する光記録媒体を対象とするものではなく、当然ながらDVDやブルーレイディスクの高速記録への対応については考慮されておらず、その具体的な内容については開示も示唆もされていない。
特開昭63−79242号公報 特公平4−1933号公報 特開昭63−206922号公報 特開昭63−66742号公報 特開昭63−155440号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、DVD8倍速相当以上、又はブルーレイディスクの4倍速相当以上の高線速化に対応できると共に、繰り返し記録特性に優れ、非晶質及び結晶が安定で初期化が容易な相変化記録層を有する高密度記録用の光記録媒体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 案内溝を有する基板と、該基板上に、少なくとも相変化記録層を有する光記録媒体であって、
前記光記録媒体の回転線速を変数とし、該光記録媒体に、ピックアップヘッドを用い連続光を照射して計測される反射率の低下開始点に相応する転移線速が、5〜35m/sであり、
前記相変化記録層が、下記組成式(1)で表される相変化材料を含有することを特徴とする光記録媒体である。
<組成式(1)>
(Sb100−xIn100−yZn
ただし、前記組成式(1)中、x及びyは、各元素の原子%を表し、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
<2> 案内溝を有する基板と、該基板上に、少なくとも相変化記録層を有する光記録媒体であって、
前記光記録媒体の回転線速を変数とし、該光記録媒体に、ピックアップヘッドを用い連続光を照射して計測される反射率の低下開始点に相応する転移線速が、5〜35m/sであり、
前記相変化記録層が、下記組成式(2)で表される相変化材料を含有することを特徴とする光記録媒体である。
<組成式(2)>
〔(Sb100−zSn100−xIn100−yZn
ただし、前記組成式(2)中、x、y、及びzは、各元素の原子%を表し、0原子%<z≦25原子%、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
<3> 光の入射方向から、案内溝を有する基板、第一保護層、相変化記録層、第二保護層、及び反射層をこの順に少なくとも有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<4> 相変化記録層の厚みが、6〜22nmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<5> 相変化記録層と第一保護層との間、及び相変化記録層と第二保護層との間のいずれかに界面層を有し、かつ該界面層が少なくともGe及びSiのいずれかを含む酸化物を含有する前記<3>から<4>のいずれかに記載の光記録媒体である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、DVDやブルーレイディスク等において、DVD8倍速相当以上、又はブルーレイディスクの4倍速相当以上の高線速化に対応できると共に、繰り返し記録特性に優れ、非晶質及び結晶が安定で初期化が容易な相変化記録層を有する高密度記録用の光記録媒体を提供することができる。
本発明の光記録媒体は、案内溝を有する基板と、該基板上に、少なくとも相変化記録層を有してなり、第一保護層、第二保護層、反射層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<相変化記録層>
In−Sb系は、非晶質の安定性に優れ、低融点で結晶化速度も速いため、高速記録材料として適しているが、結晶の安定性が悪く、高温保存試験により大きな反射率低下を招いてしまうという問題がある。しかし、図3の(Sb/(In+Sb)と反射率低下(Δ%)との関係を示すグラフのように、Inの割合を少なくすると(Sbの割合を多くすると)結晶が安定化し、反射率低下量を低く抑えられる。このように、In−Sb系の結晶を安定化するためにSbの割合を多くすると、Sb−Teδ相系と同様に結晶化速度は速くなるが、単に結晶化速度が速ければよいというわけではなく、記録線速に対応した適切な結晶化速度に調整された記録層とすることが記録を容易とし、良好な記録特性が得られる点から重要である。
この場合、例えば、InとSbの割合を変えることにより結晶化速度は調整可能であるが、Inの割合が多くなると上述したように、大きな反射率低下を起こしてしまう。そこで、本発明においては、Sbの割合が高いIn−Sb系に第3元素としてZnを添加すると、その添加量に応じて結晶化速度が調整可能であり、かつジッターの低い繰り返し記録が可能となる。
なお、GeやTe等の他の元素を第3元素として添加した場合にも、同様に添加量に応じて結晶化速度が調整可能であるが、これらの中でも、Znは高速繰り返し記録時のジッターが低く、繰り返し記録耐久性にも優れている。また、本発明においては、単にIn、Sb、及びZnを適切に組み合せた特定の組成の相変化材料からなる記録層を用いるだけではなく、後述する転移線速の値が適切な範囲内にあるような層構成を有することが必要である。
したがって前記相変化記録層は、第1形態では、下記組成式(1)で表される相変化材料を含有する。
<組成式(1)>
(Sb100−xIn100−yZn
ただし、前記組成式(1)中、x及びyは、各元素の原子%を表し、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
相変化記録層材料であるIn−Sbは、上述したように、Inの添加割合が多いと、高温保存により10%以上もの大きな反射率低下を招く。そこで、SbとInの総量に対するInの添加割合xは27原子%以下であり、22原子%以下が好ましい。
図3から、このような割合にすることにより、高温保存による反射率低下量は7%、又は5%以下とすることができることが分る。
高温保存による反射率低下量は少ない程良好であるが、種々の検討結果から本発明者らは、反射率低下量が概ね7%以下であれば、記録ストラテジやパワーを再調整すれば、良好な記録が可能と判断している。また、Inの割合は、少なすぎると初期化むらが大きくなること、非晶質の安定性が悪くなること、記録した場合の変調度が小さいこと等の不具合を生じるため、Inの添加割合xは、10原子%以上であり、15原子%以上が好ましい。
また、Znを添加することにより、アモルファス化を促進するため、その添加割合により記録線速に応じた適切な結晶化速度に調整することができる。また、理由は明らかではないが、Znを添加することにより、繰り返し記録時のジッターを低下させる作用がある。通常、繰り返し記録を行うことによりジッターは次第に上昇してしまうが、Znを添加した場合には、他の元素を添加した場合に比べてジッターの上昇が小さい。それ以外にも、結晶化温度を高くして非晶質の安定性を向上させる作用もある。そこで、Znの添加割合yは、前記組成式において1原子%以上であり、2原子%以上が好ましい。
しかし、Znの添加割合が多すぎると、結晶化速度が遅くなり高速の繰り返し記録が困難となったり、初期化した際に、一部に低反射な部分が生じてしまうなどの弊害を招くため、前記組成式(1)においてZnの添加割合yは10原子%以下であり、8原子%以下が好ましい。
これら、In、Sb、及びZnを上記組成式(1)の範囲で適切に組み合せることにより、繰り返し記録特性、非晶質及び結晶の安定性、初期化の容易性に優れた相変化記録層を設計することができる。
また、前記相変化記録層は、第2形態では、下記組成式(2)で表される相変化材料を含有する。
<組成式(2)>
〔(Sb100−zSn100−xIn100−yZn
ただし、前記組成式(2)中、x、y、及びzは、各元素の原子%を表し、0原子%<z≦25原子%、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
前記組成式(2)で表される相変化材料は、上記記組成式(1)で表される相変化材料におけるSbの一部をSnで置換したものである。即ち、相変化記録層の主成分として、前記Sbの一部(1〜25原子%)をSnに置き換えた組成式の相変化材料である。Sbの一部をSnで置き換えると、結晶化速度が速くなることや、初期化むらがより改善されるなどの作用があり、結果として良好な繰り返し記録特性を得ることができる。ただし、Sbの添加割合zは、Sbに対して0原子%を超え、25原子%以下であり、2原子%以上、20原子%以下が好ましい。Sbの添加割合zが25原子%よりも多いと、変調度が小さくなってしまい、ジッターも低くならないことがある。
このような記録層と転移線速を規定することにより本発明の光記録媒体は、高感度で、初期化を容易とし、非晶質及び結晶が安定で変調度も大きく、ジッターを低く維持しつつ優れた繰り返し記録耐久性を発揮することができる。
なお、前記組成式(2)におけるx及びyは、前記組成式(1)と同じ意味を表す。
−転移線速−
前記転移線速とは、記録線速に応じて適切な記録特性を示す光記録媒体を設計する目安として用いている値である。前記転移線速の値は、通常の光ディスクの記録及び再生特性の評価機、例えば、パルステック工業株式会社製のDDU−1000,ODU−1000等を用い、光記録媒体を一定線速で回転させて、記録層が溶融し得る程度のレーザー光を1周に渡って照射した後の、反射率を測定することにより得られる。具体的には、照射する連続光のパワーを一定とし、回転線速を変えて同じ測定をすると、線速が遅い場合には反射率が高いが、ある線速以上になると反射率が低下し始める。この反射率が低下し始める時の線速を転移線速と称する。この様子を図4に示した。この図4では、線速に対して反射率がほぼ一定の部分と、線速に対して反射率が低下していく部分に直線を引き、これらの交点を転移線速と決めた。転移線速より遅い線速では、相変化記録層は溶融後全て再結晶化した状態であり、転移線速より速くなると溶融後全てが再結晶化できず、一部非晶質として残っていることを示している。前記転移線速は、相変化記録層の結晶化速度の他、照射する連続光のパワーと光記録媒体を形成する各層の厚み、即ち、光学的な条件と熱的な条件によって決まる。
前記転移線速を測定するための連続光のパワーは、狙いの転移線速付近で光記録媒体を回転させ、連続光を照射したときに、相変化記録層が一旦溶融する必要がある。記録層が溶融したかどうかは、その線速で連続光を照射したときに光記録媒体の反射率が変化したかどうかで判断することができる。反射率が変化しない場合には、パワーが不十分なため溶融しなかったものとみなすことができるため、更にパワーを上げて照射する。目安としては記録パワーの1/2〜2/3程度となる。転移線速が速くなるにつれて、必要なパワーは高くなる。
このようにして測定した転移線速が5m/s以上であれば、DVD(基準線速約3.5m/s)、ブルーレイディスク(基準線速4.92m/s)、HD DVD(基準線速6.61m/s)といった、主な光ディスクシステムの少なくとも基準線速での繰り返し記録が可能である。これより転移線速が遅いと、上書きをした場合に非晶質マークの消し残りを生じてしまい、基準線速でも繰り返し記録ができない。記録線速を基準線速の2倍速、3倍速・・・というように速くしたい場合には、転移線速もより速くなるように光記録媒体の記録層組成や層構成を決めた方が繰り返し記録が容易にできる。ドライブのモータの回転速度の上限が毎分1万回転であると仮定すると、上記の主な光ディスクシステムの媒体は直径12cmであるので、最外周で最高速度は約60m/sとなる。したがって、各光ディスクシステムにおいて、それぞれ高速化が進められているが、DVDの場合16倍速、ブルーレイディスクの場合12倍速、HD DVDの場合9倍速が上限と想定できる。しかし、約60m/sで記録を行うことを想定しても、転移線速の上限は35m/s程度が適当である。これは転移線速が速くなるにつれて、記録中に再結晶化が進行しやすくなるため、充分な大きさの非晶質マークを形成することができなくなるためである。従って、5〜35m/sの範囲内で、所定の記録線速に適した転移線速となるように、記録層組成や層構成を選べば、各光ディスクシステムの基準線速から、約60m/sまでの範囲内のいずれかの記録線速の範囲内で記録可能な光記録媒体が得られる。
また、CAV記録のように、ディスクの内周と外周とでは記録線速が異なる場合、例えば、回転速度が一定で、内周がDVD5倍速、外周がDVD12倍速で記録され、その間は順次記録線速が上がっていく場合、光記録媒体の全面に亘って同一組成の記録層、及び同一の層構成で1枚の光記録媒体を形成し、記録ストラテジや記録パワーを最適化することによって5〜12倍速で記録してもよいが、ストラテジや記録パワーの設定上の制限から困難であることも多い。そこで、ディスクの内周と外周とでは、転移線速が異なるようなディスクとし、各半径位置に応じた線速で容易に記録できるようにしてもよい。
このときは、低速で記録される内周部側の転移線速は遅く、高速で記録される外周部側の転移線速は速い構成とする。内周から外周に亘ってDVD5倍速から12倍速に記録線速が変化すると想定される光記録媒体の場合には、内周部の転移線速は12〜26m/sが好ましく、外周部では転移線速は20〜35m/sが好ましい。
前記転移線速を変える方法としては、記録層組成を変えるか、又は層構成を変えるなどの方法がある。記録層組成は、Znの割合が増えると結晶化速度が遅くなり転移線速が遅くなるので、例えば、内周側ではZnの割合を多く、外周側ではZnの割合を少なくする。また、Sbの一部をSnに置換した組成のものを用いる場合には、Snの割合が増えると結晶化速度は速くなり転移線速は速くなるので、内周側ではSnの割合を少なく、外周側ではSnの割合を多くする。内周と外周とで組成の異なる膜は、スパッタのターゲットを内周側と外周側で変えたものを使用することにより形成することができる。
また、層構成によっても転移線速は変ってくるので、層構成により調整してもよい。様々な方法があるが、記録層の厚みによる調整が比較的容易である。記録層の組成が同じ場合でも厚みが薄いと転移線速は遅くなる傾向があるため、ディスクの内周側では厚みを薄く、外周側で厚くする。内周側の厚みを薄くするためには、スパッタする際に、内周部にマスクやシャッター等を設ければ形成することができる。
前記相変化記録層の厚みは、6〜22nmが好ましく、8〜16nmがより好ましい。前記厚みが6nm未満であると、変調度が小さくなり、結晶化速度が急激に遅くなって繰り返し記録が困難となる。また、再生光安定性も低下してしまう等の種々の悪影響が出ることがあり、22nmを超えると、繰返し記録によるジッターの上昇が大きくなってしまうことがある。
ここで、本発明の光記録媒体の構成例の一例を図5及び図6に示す。図5はDVD+RW、DVD−RW、HD DVD RWの例である。図6はブルーレイディスクの例である。
図5は、案内溝を有する透明基板1上に、光の入射側からみて、少なくとも第1保護層2、相変化記録層3、第2保護層4、及び反射層5がこの順に積層形成されている。DVD、及びHD DVDの場合は、反射層5上に有機保護膜6をスピンコートにより形成し、更に、図示していないが、基板と同じ大きさで通常は同じ材質の板を接着する。
図6は、光の入射側からみて、透明カバー層7、第1保護層2、相変化記録層3、第2保護層4、反射層5、及び案内溝を有する透明基板1がこの順に積層形成されている。
なお、図5及び図6に示した光記録媒体は、記録層が1層のタイプの例であるが、透明中間層を介して記録層を二層有する光記録媒体も用いることができる。この場合、光の入射側からみて手前の層は、奥側の層の記録再生を行うために、半透明である必要がある。
−基板−
基板の材料は、ガラス、セラミックス、樹脂などが挙げられ、これらの中でも、樹脂が成形性、コストの点から好適である。
前記樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が特に好ましい。
前記基板は準拠する規格に適した大きさ、厚み、溝形状を有するように成形したものを用いる。
ピックアップのサーボ機構により、レーザー光が溝の中心部に照射されるように制御して記録再生を行うが、この制御のためには、案内溝によりビーム走査方向に対して垂直方向に生ずる回折光をモニターし、走査方向の左右の信号レベルをキャンセルするようにして溝の中心に位置決めを行う。この制御に用いられる回折光の信号強度は、ビーム径と溝幅、溝深さの関係により決まり、一般にはプッシュプル信号と呼ばれる信号強度に変換される。この信号強度は溝幅が大きくなるにつれて大きくなるが、記録マーク間のトラックピッチが決まっているため限界がある。
例えば0.74μmのトラックピッチであるDVDの記録システムにおいては、未記録状態でおよそ0.2〜0.6の間がよいとされており、DVD+RW、DVD+R、DVD−RW、DVD−Rなど、それぞれの規格標準書において同様の値が定義されている。この値に対応する溝幅は、本発明に関連するDVD+RWやDVD−RWの書き換え型記録媒体においては、溝の底辺の幅で0.17〜0.30μmが好ましいことが特開2002−237096号公報に記載されているが、高速の光記録媒体に用いる場合には0.20〜0.30μmが好ましい。
青色LDを用いる記録再生システムにおいても、ビーム径との関係で同様の比例関係で溝幅が決められており、何れの場合も、トラックピッチの約半分程度か、それよりも僅かに小さい溝幅が設定される。
この案内溝は、通常は、記録装置が記録の際に周波数をサンプリングするために蛇行溝(ウォブル)となっており、ウォブルの位相を反転したり、周波数をある決められた領域で変更したりして、アドレスや、記録に必要な情報などを入力できるようにしてある。
−第一保護層−
前記第一保護層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばSi、Zn、Sn、In、Mg、Al、Ti、Zr等の各酸化物;Si、Ge、Al、Ti、B、Zr等の各窒化物;Zn、Ta等の各硫化物;Si、Ta、B、W、Ti、Zr等の各炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、モル比が7:3〜8:2近傍のZnSとSiOの混合物が好ましく、特に熱膨張変化、高温乃至室温変化の熱ダメージを伴う記録層と基板の間に位置する第一保護層としては、光学定数、熱膨張係数、弾性率が最適化されている(ZnS)80(SiO20(モル%)が好ましい。また、異なる材料を積層して用いてもよい。
前記第一保護層の厚みは、反射率、変調度や記録感度に大きく影響するので、下部保護層の厚みに対して、ディスク反射率が極小値となる厚みとすると記録感度が増大するので、好ましい。DVDの記録再生波長において良好な信号特性を得るためには、第一保護層に(ZnS)80(SiO20(モル%)を用いた場合には40〜80nmが好ましく、Blu−ray Discでは、20〜50nm、HD DVDでは、30〜60nmが好ましい。前記第一保護層の厚みがこれらの範囲より薄いと、基板への熱ダメージが大きくなり、溝形状の変化が起こることがあり、厚いと、ディスク反射率が高くなり、感度が低下することがある。
−第二保護層−
前記第二保護層の材料としては、前記第一保護層と同様のものを目的に応じて使用することができ、例えばSi、Zn、Sn、In、Mg、Al、Ti、Zr等の各酸化物;Si、Ge、Al、Ti、B、Zr等の各窒化物;Zn、Ta等の各硫化物;Si、Ta、B、W、Ti、Zr等の各炭化物;ダイヤモンド状カーボン;或いはこれらの混合物が挙げられる。前記第二保護層も反射率、変調度に影響するが、記録感度への影響が最も大きく、適切な熱伝導率を有するものを用いることが重要である。モル比が7:3〜8:2近傍のZnSとSiOの混合物は、熱伝導率が小さく、反射層への放熱速度を小さくするため、記録感度がよい。高速記録の場合には、熱伝導率の大きい材料を選ぶ場合もある。このような熱伝導率の大きい材料としては、透明導電膜として知られるIn、ZnO、SnOを主成分としたものやそれらの混合物、あるいは、TiO、Al、ZrOを主成分としたものやそれらの混合物などを用いることができる。更に、異なる材料を積層して用いてもよい。
前記第二保護層の厚みは、4〜50nmが好ましく、6〜20nmがより好ましい。前記厚みが4nm未満であると、記録層の光吸収率が低下し、記録層で発生した熱が反射層へ拡散されやすくなるため、記録感度が大幅に低下してしまうことがあり、50nmより厚くなると、クラックが発生しやすくなることがある。
−界面層−
前記相変化記録層と前記第一保護層、又は前記相変化記録層と前記第二保護層との間に、前記第一保護層、あるいは第二保護層として用いる材料とは別の種類の酸化物、窒化物、又は炭化物等を含む界面層を設けてもよい。これにより、光学特性及び熱特性は主として第一保護層、又は第二保護層で調整し、界面層で主として、結晶化速度の調整の機能を持たせることができる。
前記界面層としては、少なくともGe又はSiを含む酸化物を含有することが好ましく、このGe、又はSiを含む酸化物を含む層は相変化記録層3に接していると良好な繰り返し記録が可能な記録線速の範囲を広げることができる。
前記Ge、又はSiを含む酸化物はその酸化の度合いによっても機能は異なり、GeO、SiOのように酸素が飽和している状態ではより高速での繰り返し記録が良好となり、GeO、SiO、更に酸化していないGe、Siを含むような酸素が飽和していない状態では、より低速での繰り返し記録特性が良好となる。従って目的に応じて酸化の度合いの異なる酸化物を使用する。何故このような機能の違いが現れるかは明らかではないが、酸素が飽和している酸化物の場合は相変化記録層3の核形成を促進する作用があり、酸素が飽和していない酸化物の場合は逆に記録層の核形成を抑制する作用があるのではないかと推測している。
このように酸化の度合いの異なる界面層は、スパッタのターゲットをGeO又はSiOと、Ge又はSiとの混合物で形成し、その混合比を調整して所望の組成が得られるように作製したターゲットを通常のArガス雰囲気中でスパッタしたり、また、Ge又はSiのターゲットを用いてArガスにOガスを混合した雰囲気中でスパッタし、ガスの流量比を変えることにより得られる。
前記Ge、又はSiを含む酸化物は核形成を制御していると考えられるので、相変化記録層3に接することによってその作用を発揮する。レーザー照射により昇温した相変化記録層3は反射層5を有する第二保護層4側から冷却するので、核の発生も主として第二保護層4側に生じるため、前記界面層は第二保護層4側に設ける方がより有効である。
前記界面層の厚みは、少なくとも1nmないと均一な膜が形成されないため、機能が安定しないので、2nm以上が好ましく、厚みの上限は、光学特性や熱特性のバランスをみながら決めるが、通常、10nm以下が好ましい。
−反射層−
前記反射層の材料としては、例えばAl、Au、Ag、Cu等の金属、又はそれらを主成分とする合金が好ましい。合金化する際の添加元素としては、例えばBi、In、Cr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが挙げられる。
前記反射層は、記録再生時の光を反射して、光の利用効率を高めると共に、記録時に発生した熱を逃がす放熱層の役割も担う。前記反射層の厚みは、光の利用効率と冷却速度の確保の観点から、70nm以上の厚みとすることが好ましい。しかし、光の利用効率、及び冷却速度はある程度の厚み以上は飽和してしまい、また、厚すぎると膜応力により基板の反りを生じたり、膜剥がれを起こす場合もあるので、300nm以下とすることが好ましい。
−硫化防止層−
前記反射層としてAg又はAg合金を用い、第二保護層としてZnSとSiOの混合物のようにSを含む膜を用いる場合には、保存中の反射層の硫化による欠陥の発生を防止するため、第二保護層と反射層の間に硫化防止層を設けることが好ましい。
前記硫化防止層の材料としては、例えばSi、SiC、TiC、TiO、TiCとTiOの混合物等が挙げられる。前記硫化防止層の厚みは、1nm以上としないと均一な膜が形成されないため、硫化防止の機能が損なわれてしまう。前記硫化防止層の厚みは、2nm以上が好ましい。該硫化防止層の厚みの上限は光記録媒体の光学特性や熱特性のバランスをみながら決められるが、通常、10nm以下とした方がそのバランスがよく、良好な繰り返し記録特性を得られることが多い。
−カバー層−
前記カバー層は、ブルーレイディスクの場合には、光が入射し、透過する層であり、厚み100μm程度の透明樹脂層から形成される。
以上説明したような各層を基板上に順次スパッタにより形成し、有機保護膜の形成や貼り合せ、或いは、カバー層の形成を行った後、初期化工程を経て光記録媒体として使用される。
前記初期化は1×(数10〜数100)μm程度に成形された1〜2W程度のレーザー光を走査しながら照射して、成膜直後は非晶質状態である記録層を結晶化する工程である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
図5の概略断面図に示した本発明における相変化型光記録媒体に準じた層構成の光記録媒体を作製した。
即ち、直径12cm、厚み0.6mm、トラックピッチ0.74μmの案内溝付きポリカーボネートディスク基板(透明基板1)上に、順次スパッタ法により第一保護層2、相変化記録層3、第二保護層4、硫化防止層(不図示)、反射層5を形成し、有機保護膜6でオーバーコートを施した後、ポリカーボネートディスク基板を貼り合せて、実施例1〜6及び比較例1〜5の各光記録媒体を作製した。
具体的には、ポリカーボネートディスク基板上に、モル比が8:2のZnSとSiOからなる第一保護層2を厚み60nmで形成し、次に、それぞれ下記表1に示す組成のIn−Sb−Znからなる相変化記録層3を厚み14nmで形成した。次いで、モル比が8:2のZnSとSiOからなる第二保護層4を厚み6nmで形成し、その上に質量比が7:3のTiCとTiOからなる硫化防止層を厚み4nmで形成し、更にAgからなる反射層を厚み200nmで形成した後、有機保護膜でオーバーコートし、厚み0.6mmのポリカーボネートディスクを接着により貼り合せた。これらを大口径LDにより初期結晶化してそれぞれの光記録媒体とし、下記の評価に用いた。
なお、比較例1〜4は、相変化記録層のIn−Sb−Zn組成が本発明の範囲外である相変化材料を用いた場合の光記録媒体である。下記表1に相変化記録層の組成を示す。
<評価>
作製したそれぞれの光記録媒体に対して、波長660nm、NA=0.65のピックアップヘッドを有するDVD評価装置(パルステック工業株式会社製、DDU−1000)を用い、転移線速及びジッター(σ/Tw)を測定した。なお、転移線速を測定する際のパワーは15mWとした。また、ジッター(σ/Tw)は、DVD6倍速及び12倍速でEFM+変調方式によるランダムパターンを繰り返し10回記録したときの値である。
記録は1トラックにのみ行っており、いずれも、記録ストラテジは非晶質マークを形成するパルスの周期を2Tとする、2T周期ストラテジを用い、記録パワー、パルス幅は各々最適化して行った。結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜6は、いずれも6倍速あるいは12倍速のどちらかではジッター(σ/Tw)が9%以下となるような非常に良好な記録が可能であった。なお、実施例1〜6について、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったが、いずれも記録済みのマークのジッター(σ/Tw)上昇は1%以下、未記録部の反射率低下は6%以下と、良好であった。
これに対し、比較例1は、Sb/(In+Sb)の比率が本発明の範囲より小さい場合であり、この場合のジッター(σ/Tw)は6倍速、12倍速とも10%前後とそれ程悪いわけではないが、保存後の反射率低下は約10%と、結晶の安定性に問題があった。
比較例2は、Sb/(In+Sb)の比率が本発明の範囲より多い場合であり、ストラテジやパワーを最適化しても変調度が40%前後の記録しかできず、ジッター(σ/Tw)も大きかった。
比較例3は、記録層組成にZnを全く入れない場合であり、初回記録は良好であったが、繰り返し記録後のジッターは11%以下とすることはできなかった。
比較例4は、記録層組成のZn量が多すぎたため、初期化ムラが顕著になり、ジッター上昇が大きくなってしまった。
(実施例7〜8及び比較例5〜6)
実施例1において、各構成層の厚みを下記表2に示したように変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜8及び比較例5〜6の各光記録媒体を作製し、実施例1と同じ条件で、転移線速及びDVD6倍速と12倍速の記録特性を評価した。結果を表2に示す。
なお、比較例5及び6は各層の厚みを変えた結果、転移線速が本発明の範囲外となる場合である。
表2の結果から、実施例7及び8の場合には、いずれも12倍速でジッターが9%以下となるような記録が可能であった。
また、実施例7及び8について、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったが、いずれも記録済みのマークのジッター上昇は1%以下、未記録部の反射率低下は6%以下となり、良好であった。
これに対し、比較例5及び6の場合には、6倍速と12倍速のいずれでもジッター(σ/Tw)が大きな値を示した。比較例6の場合に1倍速でも記録を試みたが、10回繰り返し記録後のジッターは13%と大きかった。
(実施例9〜11及び比較例7)
実施例1において、相変化記録層の組成であるSbの一部をSnに置換し、下記表3に示した組成とした以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜11及び比較例7の各光記録媒体を作製し、実施例1と同じ条件で、転移線速及びDVD6倍速と12倍速の記録特性を評価した。結果を表3に示す。
なお、比較例7は、Snの含有組成が本発明の範囲外となる場合である。
表3の結果から、実施例9〜11は、いずれも6倍速あるいは12倍速のどちらかでジッターが9%以下もしくは9%近傍となるような良好な記録が可能であった。
なお、実施例9〜11について、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行った
が、いずれも記録済みのマークのジッター上昇は1%以下、未記録部の反射率低下は6%以下となり、良好であった。
これに対し、比較例7は、Snの含有組成が本発明の範囲外となるため、6倍速と12倍速のいずれでもジッター(σ/Tw)が大きな値を示した。
(実施例12)
実施例1において、第二保護層を以下に示すように界面層及び第二保護層に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12の光記録媒体を作製した。
−第二保護層及び界面層の形成−
記録層3の上に、GeOとGeをモル比で1:1の割合で混合したターゲットを用いて厚み2nmのGe−Oからなる界面層をスパッタ法により形成し、該界面層上に更にモル比が8:2のZnSとSiOからなる第二保護層を厚みが4nmとなるようにスパッタ法により形成した。
次に、作製した光記録媒体を用いて実施例1と同じ条件で、転移線速及び6倍速と12倍速の記録特性を評価した。
その結果、転移線速は28m/sであり、6倍速で繰り返し記録10回後のジッター(σ/Tw)は8.9%、12倍速で繰り返し記録10回後のジッター(σ/Tw)は9.2%とそれぞれ良好な値が得られた。
また、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったが、記録済みのマークのジッター上昇は1%以下、未記録部の反射率低下は3%と、良好であった。
(実施例13)
実施例5において、第二保護層4を以下に示すように界面層及び第二保護層に変えた以外は、実施例5と同様にして、実施例13の光記録媒体を作製した。
−第二保護層及び界面層の形成−
記録層3の上に、SiOのターゲットを用いて厚み2nmのSiOからなる界面層をスパッタ法により形成し、該界面層上に更にモル比が8:2のZnSとSiOからなる第二保護層を厚み4nmとなるようにスパッタ法により形成した。
次に、作製した光記録媒体を用いて実施例5と同じ条件で、転移線速及び6倍速と12倍速の記録特性を評価した。
その結果、転移線速は24m/s、6倍速で繰り返し記録10回後のジッター(σ/Tw)は8.5%、12倍速で繰り返し記録10回後のジッター(σ/Tw)は9.6%であった。
また、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったが、記録済みのマークのジッター上昇は1%以下であり、未記録部の反射率低下は3%と、良好であった。
(実施例14)
第一保護層としてモル比が8:2のZnSとSiOの混合物を厚みが60nm、相変化記録層として実施例3と同じ材料を厚みが14nm、第二保護層としてZnO−2質量%Alを厚みが11nm、反射層としてAgを厚みが200nmとなるように作製した光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体について、図7に示したような、マークの形成過程で冷却パルスを設けないような記録ストラテジを用いて16倍速で繰り返し記録を実施した。繰り返し記録10回後のジッターは10.9%であった。また、転移線速は35m/sであった。
また、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったところが、記録済みのマークのジッター上昇は1%以下、未記録部の反射率低下は4%と、良好であった。
(実施例15〜18)
図6の概略断面図に示した本発明の光記録媒体に準じた層構成の光記録媒体を作製した。直径12cm、厚み1.1mm、トラックピッチ0.32μmの案内溝付きポリカーボネート基板上1に、順次スパッタにより反射層5、第二保護層4、相変化記録層3、第一保護層2を形成し、厚み0.1mmのカバー層7を形成した。
具体的には、ポリカーボネートディスク基板1上に、Ag−0.5質量%Biからなる反射層5を厚み140μm、ZnO−2質量%Alからなる第二保護層4を厚み8nm、表4の実施例15〜18に示した組成の相変化記録層2を厚み11nm、モル比が8:2のZnSとSiOの混合物からなる第一保護層2を厚み33nmに形成した後、紫外線硬化樹脂からなる接着剤をスピンコート法により厚みが25μmとなるように塗布し、その上に厚み75μmのポリカーボネートフィルムを貼り合せてカバー層7を形成した。これらを大口径LDにより初期結晶化してそれぞれの光記録媒体とし、下記の評価に用いた。
<評価>
作製したそれぞれの光記録媒体に対して、波長405nm、NA0.85のピックアップヘッドを有するブルーレイディスク評価装置(パルステック工業株式会社製、ODU−1000)を用い、転移線速、及びジッター(σ/Tw)を評価した。なお、転移線速を測定する際のパワーは5mWとした。また、ジッター(σ/Tw)は、1倍速(4.92m/s)で再生し、リミットエコライザを使用した値であり、ブルーレイディスクの2倍速及び4倍速で17PP変調方式による最短マーク長0.149μmのランダムパターンを繰り返し10回記録したときの値である。
記録は1トラックにのみ行っており、いずれも、記録ストラテジは非晶質マークを形成するパルスの周期を2Tとする、2T周期ストラテジを用い、記録パワー、パルス幅は各々最適化して行った。結果を表4に示す。
また、実施例15〜18について、80℃、85%RHで100時間の保存試験を行ったが、いずれも記録済みのマークのジッター上昇は0.5%以下、未記録部の反射率低下は5%以下と、良好であった。
表4の結果から、実施例15〜18は、いずれも2倍速ではジッター(σ/Tw)が6%以下であり、4倍速でも実施例15以外はジッター(σ/Tw)が7%以下と良好な記録特性を示した。
(比較例7)
実施例17と同じ記録層組成(In17Sb66Sn10Zn)で、相変化記録層の厚みを5nmとした以外は、実施例17と同様にして、比較例7の光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体について、実施例15〜18と同様にして評価したところ、転移線速は4m/sであり、2倍速及び4倍速ともジッター(σ/Tw)は15%以上であった。また、1倍速で記録した場合でもジッター(σ/Tw)は10%以上であった。
(比較例8)
記録層の組成がIn14Sb83Znである以外は、実施例15〜18と同様にして、比較例8の光記録媒体を作製した。
得られた光記録媒体について、実施例15〜18と同様にして評価したところ、転移線速は37m/sであり、2倍速及び4倍速とも変調度が小さく、ジッター(σ/Tw)は15%以上であった。また、6倍速で記録した場合にも、変調度が小さく、ジッター(σ/Tw)は15%以上であった。
本発明の光記録媒体は、例えば、DVD+RW、DVD−RW、BD−RE、HD DVD RW等の相変化記録層を有する高密度記録可能な光記録媒体などに好適に用いられる。
図1は、非晶質マークを形成するパルスの周期を1T(ただし、Tは基本クロック周期を表す)とした1T周期ストラテジを示す図である。 図2Aは、共晶組成に近い組成のIn−Sb系合金の保存試験前のオシログラフである。 図2Bは、共晶組成に近い組成のIn−Sb系合金の80℃100時間で保存試験後のオシログラフである。 図3は、Sb/(In+Sb)と、反射率低下(Δ%)との関係を示すグラフである。 図4は、転移線速を説明する図である。 図5は、本発明の光記録媒体の一例を示し、DVD+RW、DVD−RW、HD DVD RWの例を示す概略図である。 図6は、本発明の光記録媒体の一例を示し、ブルーレイディスクの例を示す概略図である。 図7は、実施例14で用いたマークの形成過程で冷却パルスを設けない記録ストラテジを示す図である。
符号の説明
1 基板
2 第1保護層
3 相変化記録層
4 第2保護層
5 反射層
6 有機保護膜
7 カバー層
T 基本クロック周期
Pp ピークパワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー

Claims (5)

  1. 案内溝を有する基板と、該基板上に、少なくとも相変化記録層を有する光記録媒体であって、
    前記光記録媒体の回転線速を変数とし、該光記録媒体に、ピックアップヘッドを用い連続光を照射して計測される反射率の低下開始点に相応する転移線速が、5〜35m/sであり、
    前記相変化記録層が、下記組成式(1)で表される相変化材料を含有することを特徴とする光記録媒体。
    <組成式(1)>
    (Sb100−xIn100−yZn
    ただし、前記組成式(1)中、x及びyは、各元素の原子%を表し、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
  2. 案内溝を有する基板と、該基板上に、少なくとも相変化記録層を有する光記録媒体であって、
    前記光記録媒体の回転線速を変数とし、該光記録媒体に、ピックアップヘッドを用い連続光を照射して計測される反射率の低下開始点に相応する転移線速が、5〜35m/sであり、
    前記相変化記録層が、下記組成式(2)で表される相変化材料を含有することを特徴とする光記録媒体。
    <組成式(2)>
    〔(Sb100−zSn100−xIn100−yZn
    ただし、前記組成式(2)中、x、y、及びzは、各元素の原子%を表し、0原子%<z≦25原子%、10原子%≦x≦27原子%、1原子%≦y≦10原子%である。
  3. 光の入射方向から、案内溝を有する基板、第一保護層、相変化記録層、第二保護層、及び反射層をこの順に少なくとも有する請求項1から2のいずれかに記載の光記録媒体。
  4. 相変化記録層の厚みが、6〜22nmである請求項1から3のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 相変化記録層と第一保護層との間、及び相変化記録層と第二保護層との間のいずれかに界面層を有し、かつ該界面層が少なくともGe及びSiのいずれかを含む酸化物を含有する請求項3から4のいずれかに記載の光記録媒体。
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