JP3882532B2 - 光学的情報記録用媒体及び記録消去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的情報記録用媒体及び記録消去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、CD−RWなどの書き換え可能でコンパクトディスク互換の媒体が既に普及し、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどの書き換え可能でDVD互換の媒体が上市されつつある。これら相変化型光ディスクは可搬性、耐候性、耐衝撃性等に優れた安価な大容量記録媒体として実用化が進んでいる。更には、青色レーザ使用や対物レンズの高NA化による高密度化、記録パルス波形の改良による高速記録化などの開発が行われている。
【0003】
このような相変化型光記録媒体は、結晶状態の可逆的変化に伴う反射率変化を利用して記録消去が行われる。一般には、結晶状態を未記録・消去状態とし、ここに非晶質(アモルファス)のマークを形成し記録する。通常、記録層を加熱し結晶化温度付近に一定時間保つことで結晶化し、記録層を融点より高い温度まで加熱し急冷して非晶質化する。加熱温度が異なることからも分かるように、一般的には結晶相のほうがより安定である。
【0004】
記録層の材料としてはカルコゲン系合金が多く用いられる。例えばGeSbTe系、InSbTe系、GeSnTe系、AgInSbTe系合金が挙げられる。これら合金はオーバーライト可能な材料でもある。
オーバーライトとは、一旦記録済みの媒体に再度記録をする際に、記録前に消去を行うことなくそのまま重ね書きする手法、いわば消去しながら記録する手法である。相変化型媒体では記録は通常オーバーライトによって行われるので、消去しながら記録すること、つまりオーバーライトを、単に記録と称することもある。
【0005】
特に、{(Sb2Te3)1-a(GeTe)a}1-bSbb(0.2<a<0.9、0≦b<0.1)を主成分とする合金、またはSb70Te30共晶組成近傍である(SbcTe1-c)1-dMd(ただし、0.6<c<0.9、0<d<0.2、MはIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、N、S、Se、Ta、Nb、V、Bi、Zr、Ti、Mn、Mo、Rh、希土類元素から選ばれる1種以上の元素)を主成分とする合金は、結晶・非晶質(アモルファス)いずれの状態も安定で、かつ、両状態間の比較的高速の相転移が可能な記録材料である。
【0006】
MとしてはGe、Ag、In等が特に好ましい。また後者の記録材料は、記録されたアモルファスマークを安定化させるためにGeの添加が特に有効であることが知られている(EP834、874号公報)。
両者とも繰返しオーバーライトをおこなった時に偏析が生じにくいといった長所もあり、相変化型光ディスクの記録層として実用化されている。
【0007】
特に(SbcTe1-c)1-dMd系合金は、マークを高密度に記録しても再生信号特性が落ちないという特性があり、また結晶化速度を速くできるので高速記録消去が行いやすく転送レートも高くできる。すなわち高密度、高速、高転送レートの記録消去が行えるという優れた特性を持つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
さて、書換え型CDで8〜10倍速、書換え型DVDでも数倍速での記録が行われつつあるように、相変化型媒体に対して更なる高速記録、高転送レート化が要求されている。従来は専ら低速(書換え型CDであれば1〜2倍速)での記録特性を損なわない限りにおいて高速記録も可能とするような開発がされてきたが、それでは高速化の限界があった。
【0009】
そこで、非常に高速での記録消去が可能な超高速記録専用の媒体を開発したいとの要請がある。
しかしながら前述の記録材料では困難であった。
(SbcTe1-c)1-dMd系合金は高速、高転送レートの記録消去が行えるとされている。原理上、相変化媒体は記録に比べて消去(結晶化)に時間がかかるので、高転送レートを達成するには記録層の結晶化速度が速く、消去が十分に速くなければならない。この点、本合金はSb量とTe量の比によって結晶化速度をコントロールできる。Sb量を多くTe量を少なくすると結晶化速度が速くなるのである。従ってSb量を増やすことでアモルファスマークが高速消去でき、高転送レート化できる。
【0010】
ところがSb量を大幅に多くするとジッタが悪化してしまう傾向があった。Sb量の多い記録層にオーバーライトしてマーク部、マーク間部を形成したのち再生すると、再生信号のジッタが高いのである。この問題は、常温でのアモルファスマークの安全性が良くなる組成で顕著になる傾向にある。
ジッタが悪化する原因は必ずしも明らかではないが次のように推察する。このような媒体の再生信号波形をオシロスコープで観察すると、結晶状態の反射率レベルが一定ではなく幅を持って太くなって見えることから、Sb量が多い状態では本来の結晶相Pに加えて、反射率が少し異なる別の結晶相P’が現れ、両相が混在している可能性がある。そして両相P、P’がビームサイズに比して十分に均一でない状態で混在しているため、ビーム位置によって反射率が変動してしまいノイズやジッタが悪化する原因となると考えられる。
【0011】
このように(SbcTe1-c)1-dMd系合金は高結晶化速度と低ジッタとが両立しにくいという課題があり、書換え型CD(波長780nm、EFM変調方式)であれば10倍速程度が限界であった。
このため非常に高速での記録に適した、超高速記録専用の光学的情報記録用媒体を得たいという要請があった。非常に高速とは例えば基準クロック周期が15ns(ナノ秒)以下で記録消去するような媒体である。基準クロック周期は、記録線速度、記録レーザ波長、変調方式等によって総合的に決まる値である。書換え型CD(波長780nm、EFM変調方式)を例にとると、約16倍速以上(線速約19m/s以上)もの高速かつ高密度の記録消去に相当する。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、高い結晶化速度と優れたジッタ特性を有する超高速記録専用の光学的情報記録用媒体とそれに適した記録消去方法を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、基準クロック周期15ns以下で情報信号の記録消去が可能な光学的情報記録用媒体であって、基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてなることを特徴とする光学的情報記録用媒体に存する。
【0014】
本発明の別の要旨は、基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてな
る光学的情報記録用媒体に対し、基準クロック周期15ns以下で情報信号の記録消去を行うことを特徴とする記録消去方法に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光学的情報記録用媒体は、基準クロック周期15ns以下の高速・高密度記録専用媒体(高転送レート記録専用媒体)で、基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてなる。
【0016】
ここで記録とは、消去しながら記録するオーバーライトを含む総称である。また基準クロック周期や転送レートは、記録線速度、記録レーザ波長、変調方式等によって総合的に決まる値である。一般に記録線速度が速く、記録レーザ波長が短いほど高速・高密度記録ができ、基準クロック周期は短く、転送レートは高くなる。
【0017】
本発明によれば、上記Sb−Ge−In系の特定組成の記録層を備えた媒体を高転送レート記録専用に用いることで、従来達成されなかった、高い結晶化速度と優れたジッタ特性、優れたエラーレートの全てを兼ね備えた媒体となる。
さらには、高速記録時に低パワーでの記録が可能となる。
【0018】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
まず記録層について説明する。本発明の媒体は(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を有することを大きな特徴とする。x、yはいずれも原子数比である。
【0019】
即ちSbとGeの合計量におけるGe量が0.01〜0.15である。Geは結晶化速度を遅くし、アモルファス相を形成しやすくし、またアモルファス相の保存安定性を高める作用がある。このためGe含有量が少なくなると、結晶化速度が速くなりすぎアモルファス相の形成が困難となる。
ただしIn含有量も結晶化速度に関係する。In量が多いと結晶化速度は遅くなるので、Ge量を少なくしてもIn量を多くすることで結晶化速度を或る程度コントロールできる。しかしIn量が多いとアモルファス相の安定性が悪化する傾向がある。更に、In量が多くなりすぎると、記録に使用する結晶相とは別に非常に低反射率のIn−Sb系の安定結晶相(低反射率結晶相)が常に形成される状態となることがあり、この場合は相変化が全く起こらず記録ができなくなってしまう。従ってGeが所定量以上含まれる必要があり、0.01≦xとする。好ましくは0.03≦xである。
【0020】
一方、Ge含有量が多すぎると結晶化速度が遅くなりすぎアモルファスマークの消去(結晶化)ができなくなる。従ってx≦0.15とする。
次に、Inを含有することで超高速記録におけるジッタが改善される効果がある。
【0021】
但し、前述のようにIn量が多すぎると常に安定結晶相が形成され相変化しなくなり記録不能になるため、y≦0.40とし、好ましくはy≦0.35とする。
ところで、記録消去は一般に、媒体を高速で回転させながら光照射部から出射した光ビーム(レーザビーム)スポットを記録層に照射し、光照射部と媒体とを高速で相対移動させながら行われる。相対移動速度が大きい場合を記録線速度(記録速度)が大きいと称し、相対移動速度が小さい場合を記録線速度(記録速度)が小さいと称する。
【0022】
記録線速度が大きい状態では、記録層は一旦光ビームスポットにより加熱された後、急速に冷却される。すなわち記録層の温度履歴は急冷的になり、同じ組成の記録層では、記録線速度が大きいほどアモルファス相が形成されやすく結晶相が形成されにくくなる。
このため、目的とする記録線速度がより大きい媒体ではGeまたはIn量をより少なくして結晶化速度を速くし、目的とする記録線速度が小さい媒体ではGeまたはIn量をより多くして結晶化速度を遅くするなど、前述の含有量の範囲内で記録線速度に応じてGe、In量を調整するのが望ましい。
【0023】
更にIn含有量を所定量以上に増やすと、記録感度を高くし最適記録パワーを小さくすることができる。以下に詳しく説明する。
一般に記録速度が速いほど最適記録パワーは大きくなる。本願のように超高速記録を行う際には、感度が悪いと最適記録パワーが相当に大きくなってしまうため、記録感度は特に重要である。
【0024】
光記録装置に搭載されるレーザの出力可能パワーには限界がある。例えば波長780nmの半導体レーザなら、現状の技術レベルで安価に量産できるのは出力可能パワーが17mW程度なので、最適記録パワーを17mW以下に抑えるのが好ましい。
前述したように、基準クロック周期を短くするためには記録速度の高速化とともに記録レーザ波長の短波長化が有効である。しかしながら短波長レーザほど出力可能なパワーが小さいので、この点でも媒体の感度を高くし、最適記録パワーをより低くすることが望ましい。従って0.20≦yとする。
【0025】
種々の特性改善のために、必要に応じてこの記録層に、Au、Ag、Al、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Pd、Pt、Rh、Pb、Cr、Co、O、N、S、Se、Te、V、Nb、Ta、Ti、Bi等を添加してもよい。特性改善の効果を得るために、添加量は合金の全体組成の0.1at.%(原子%)以上が好ましい。ただし、本発明組成の好ましい特性を損なわないため10at.%以下にとどめるのが好ましい。
【0026】
次に、記録条件について説明する。本発明においては基準クロック周期15ns以下で記録消去を行う。これは高転送レートの記録を行うための条件でもあるが、本発明においては、このように高転送レートの記録を行うことで初めて本発明の記録層に適切な記録が行えるという特徴がある。
従って、本発明の媒体は基準クロック周期15ns以下でのみ記録消去する必要がある。
【0027】
本発明のSb−Ge−In系記録層には未記録・消去状態である結晶相(高反射率結晶相)と記録消去に使用しない安定結晶相(低反射率結晶相)とが存在し、In含有量が多いと安定結晶相になりやすいといった課題があった。
しかし、検討の結果、超高速記録を行うことで安定結晶相への相変化が抑えられることが分かったのである。
【0028】
低転送レート条件で記録した場合にSb−Ge−In系記録層がIn−Sb系低反射率結晶相への相変化が問題となること、そのため使用できるIn含有量の上限がかなり低いことは、特開2001−39031号公報に記載されている。当該公報では、(SbeGe1-e)1-fInf(ただし0.65≦e≦0.95、0<f≦0.2)合金が基準クロック周期が28.9ns以上の比較的低い転送レート条件において、ジッタ特性に関して優れていることが記載されている。これによれば、In含有量の上限は低反射率結晶相への相変化しやすさにより決められている。また、In含有量が少ない場合ですら、低反射率相への相変化が多少起こっていることが実験的に示されている。
【0029】
オーバーライトにおいて、結晶相を形成すべき部分には記録層の温度を融点付近まで上昇させる消去レーザパワーを照射する。このとき、本発明のSb−Ge−In系記録層は記録状態や消去状態として使用しない、より安定なIn−Sb系安定結晶相に相変化しやすい傾向を持っている。
安定結晶相への相変化は、速度が比較的遅いため消去レーザパワーを1回照射しただけでは殆ど起こらず問題とはならない。しかし、オーバーライトを複数回おこなうと、消去レーザパワーが連続して複数回照射される部分が生じる。この部分では徐々に安定結晶相への相変化が進んでいき、オーバーライトを重ねるごとに徐々に低反射率になる。
【0030】
したがって、高反射率の消去部(マーク間部)の中に、ごくたまに非常に低反射率の部分が現れるのである。これが所定値以下の低反射率になるとエラーとして検出されてしまい、問題となる。
具体的に説明すると、通常、情報が記録されたトラックではマーク部の占める面積とマーク間部の占める面積は同程度である。とすると、1回オーバーライトをおこなう場合は、消去パワーが照射される部分の面積は全体の面積の約1/2である。n回オーバーライトをおこなう場合には、n回連続して消去パワーが照射される部分の面積は全体の面積の1/2n程度と思われる。
【0031】
したがって、例えば10回連続して消去パワーを照射すると、エラーとして検出される明らかな反射率低下が起こるとすれば、10回オーバーライト後には、10-3程度以上もの高い頻度でエラーが生じる虞がある。
ところが検討の結果、基準クロック周期が15ns以下の高転送レート記録時は、安定結晶相への相変化による反射率低下が抑えられることが明らかとなった。
【0032】
この理由は、高転送レート記録時は低転送レート記録時と比較して温度が上昇している時間が短いためであると思われる。高転送レートを達成する方法には、記録線速度を大きくする、使用レーザ波長を短くする等があるが、どちらも記録層の温度が上昇している時間を短くすると推測される。安定結晶相への相変化は時間がかかるので、記録層の昇温時間が短く急冷的であると、これが抑えられると考えられる。
【0033】
すなわち、本願発明においては基準クロック周期15ns以下でのみ記録消去を行うことを大きな特徴とする。好ましくは、基準クロック周期12ns以下でのみ記録消去を行う。
これによれば、低反射率結晶相(安定結晶相)への相変化が抑えられ、複数回オーバーライト後のエラー率などが改善されるとともに、安定結晶相へ相変化しやすいために従来使用が難しかった高In含有量の組成も使用でき、使用可能な組成範囲が広がるという効果がある。
【0034】
ところで、特開昭60−177446号公報には、(In1-gSbg)1-hMh(ただし55重量%≦g≦80重量%、0重量%≦h≦20重量%、MはAu、Ag、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Ge、Ga、Sn、Te、Se、Biより選ばれる元素)なる記録層について記載がある。
そして記録層の異なる2種の結晶相どうしの相変化を用いて記録消去を行っていることが明記されている。つまり片方の結晶相を記録状態とし、他方の結晶相を消去状態とするのであるが、この消去状態の記録相は、まさに本願で安定結晶相(低反射率結晶相)と称する相である。
【0035】
すなわち、当該公報では安定結晶相を記録に積極的に利用しているのに対し、本願発明では記録消去に使用せず、逆に安定結晶相への相変化を極力起こさないようにすることが重要であり、そのために高転送レートでの記録消去を特徴とするのである。
また、安定結晶相への相変化速度は遅いため、通常の書換え型光ディスク使用条件において安定結晶相を記録状態または消去状態として使用することは困難である。高速記録消去のために、好ましくは相変化型記録層の結晶相とアモルファス相とを用いて記録消去を行う。
【0036】
なお、一般的にはA相からB相への相変化がB相からA相への相変化より低温で起こり得る場合、A相よりB相の方が安定であると判断できる。
以上述べたように、基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてなる光学的情報記録用媒体は、相変化速度が速くかつ再生信号のジッタ特性に優れる。かつ、本媒体に基準クロック周期15ns(ナノ秒)以下の高転送レートで記録することで、低反射率結晶相(安定結晶相)への相変化が抑えられ、エラー率などの特性を改善することができる。
【0037】
従って本発明によれば、高い結晶化速度、優れた記録信号ジッタ特性、及び優れたエラーレートを有する超高速記録専用の光学的情報記録用媒体及びその記録消去方法を提供することができる。
次に、本発明の光学的情報記録用媒体の好ましい構造について説明する。一般には基板上に保護層、相変化型記録層、保護層、反射層をこの順に、或いは逆の順に有する場合が多い。
【0038】
基板としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラス等を用いることができる。基板側から記録再生光を入射する場合は、基板は記録再生光に対して透明とする必要がある。
記録層の膜厚は、十分な光学的コントラストを得、また結晶化速度を速くし短時間での記録消去を達成するためには5nm以上あるのが好ましい。また反射率を十分に高くするために、より好ましくは10nm以上とする。
【0039】
一方、クラックを生じにくく、かつ十分な光学的コントラストを得るためには、記録層膜厚は100nm以下とするのが好ましい。
より好ましくは50nm以下とする。熱容量を小さくし記録感度を上げるためである。また、相変化に伴う体積変化を小さくし、記録層自身や上下の保護層に対して、繰り返しオーバーライトによる繰り返し体積変化の影響を小さくすることもできる。ひいては、不可逆な微視的変形の蓄積が抑えられノイズが低減され、繰り返しオーバーライト耐久性が向上する。
【0040】
書き換え可能型DVDのような高密度記録用媒体では、ノイズに対する要求が一層厳しいため、より好ましくは記録層膜厚を30nm以下とする。
記録層は、その上下を保護層で被覆されている場合が多い。保護層の材料としては誘電体が多く用いられるが、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa、Mg、Li等のフッ化物が用いられる。
【0041】
これらの酸化物、硫化物、窒化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。より具体的にはZnSや希土類硫化物と酸化物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。たとえばZnSとSiO2の混合物は相変化型光ディスクの保護層に用いられる場合が多い。これらの保護層の膜密度はバルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から望ましい。
【0042】
保護層の膜厚は、記録層の変形防止効果を十分なものとし保護層として機能するために、5nm以上が好ましい。一方、保護層を構成する誘電体自体の内部応力や接している膜との弾性特性の差を小さくし、クラックが発生しにくくするためには、膜厚を500nm以下とするのが好ましい。
一般に、保護層を構成する材料は成膜レートが小さく成膜時間が長い。成膜時間を短くし製造時間を短縮しコストを削減するためには、保護層膜厚を200nm以下に抑えるのが好ましい。より好ましくは150nm以下である。
【0043】
記録層と反射層の間に設ける保護層の膜厚は、記録層の変形を防ぐためには5nm以上が好ましい。一般に、繰り返しオーバーライトによって保護層内部には微視的な塑性変形が蓄積され、ひいては再生光を散乱させノイズを増加させる。これを抑制するためには保護層膜厚を60nm以下とするのが好ましい。
一方、記録層と基板の間に設ける保護層の膜厚は、基板を保護するために20nm以上が好ましい。
【0044】
なお、記録層及び保護層の厚みは、上記機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率が良く、記録信号の振幅すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれる。
反射層は、反射率、熱伝導度が大きい材料からなるのが好ましい。反射率、熱伝導度が大きい反射層材料としてはAg、Au、Al、Cu等を主成分とする金属が挙げられる。中でもAgはAu、Al、Cu等に比べて反射率、熱伝導度が最も大きい。
【0045】
短波長ではAgと比較してAu、Cu、Alは光を吸収しやすくなる。このため、記録再生に650nm以下の短波長レーザーを使用する場合には、反射層としてAgを主成分とする金属を用いることが特に好ましい。さらにAgはスパッタリングターゲットとしての値段が比較的安く、放電が安定で成膜速度が速く、空気中で安定であるため好ましい。
【0046】
Ag、Al、Au、Cu等は他の元素を含んでいてもよい。これら金属は不純物が混ざると熱伝導度や反射率が低下してしまうが、反面、安定性や膜表面平坦性が改善される場合があるので、5at.%以下程度の他元素を含んでもよい。含有元素としては、Cr、Mo、Mg、Zr、V、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Al、Pd、Pt、Pb、Ta、Ni、Co、O、Se、V、Nb、Ti、O、Nからなる群から選ばれる1以上の元素が好ましい。
【0047】
反射層の膜厚は、十分な反射率と放熱効果を得るためには50nm以上が好ましい。一方、膜応力を低減するためには200nm以下が好ましい。また、成膜時間を短くし製造時間を短縮しコストを削減するためにも、膜厚200nm以下が好ましい。
記録層、保護層、反射層等はスパッタリング法などによって形成される。各スパッタリングターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
【0048】
これらの層のうえに、紫外線硬化樹脂などからなる保護コート層を設けて保護しても良い。また、記録容量を大容量化するために、基板上に記録層を2層以上設けてもよいし、或いは基板上に上記各層を形成したのち、接着剤で貼り合わせても良い。
次に、本発明の光学的情報記録用媒体の好ましい記録方法について説明する。
【0049】
本記録方法は、以上述べた光学的情報記録用媒体に対して、基準クロック周期を15ns以下として記録及び/又は消去を行う。
通常、ディスク状の媒体には螺旋状又は同心円状に記録トラックが形成され、これに沿って情報の記録が行われる。媒体を高速で回転させながら光照射部から出射した光ビーム(レーザ)スポットを記録層に照射し、光照射部と媒体とを高速で相対移動させながら記録・再生・消去を行う。
【0050】
光源から出射した光は、通常各種光学系を経て対物レンズを通って媒体に照射される。光照射部を媒体に対して相対移動させるとは、例えば対物レンズをほぼ固定した状態でディスク状の媒体を回転させながら、該レンズから媒体の記録トラックに光を照射する。記録トラックが媒体に螺旋状に形成されている場合は、媒体を回転させながら対物レンズをディスク半径方向に少しずつ変移させる。
【0051】
まず、アモルファス相を形成する際には高パワーのレーザパルスと低パワーのレーザパルスを交互に照射するのが好ましい。以下、高パワーのレーザパルスを記録パルスと称し、このとき印加されるパワーを記録パワーPwとする。また低パワーのレーザパルスをオフパルスと称し、このとき印加されるパワーをバイアスパワーPbとする。
【0052】
これによれば、記録パルスにより加熱された領域をオフパルスの間に相対的に急冷することができ、アモルファス相が形成されやすい。パルスの立上がり/立下がりを速くしたり、記録に用いるレーザ光源を安価なものとするためには、小さい記録パワーPwで記録できるのが好ましいが、小さいパワーで記録可能であるということは再生光で劣化しやすいことにつながる。このため、媒体は記録パワーPwが8〜25mWになるように設計するのが好ましい。より好ましくは8〜20mWであり、特に好ましくは8〜17mWである。
【0053】
なお、バイアスパワーPbは記録パワーPwの0.5倍以下(Pb/Pw≦0.5)が好ましく、より好ましくは0.3倍以下(Pb/Pw≦0.3)である。ここで、トラッキング性能等を考慮すると、バイアスパワーPbは、再生時に照射する再生光のパワーPrの値に近い値が好ましい。再生パワーPrは通常0.5〜1.0mWである。
【0054】
冷却速度を速めたい場合には、バイアスパワーPbを小さくするのがよく、0としてもよい。即ち光を照射しなくてもよい。
結晶相形成時には、記録層に消去パワーPeのレーザ光を照射するのが好ましい。消去パワーPeは、オーバーライトの際に結晶相を消去できるよう記録層を加熱できる大きさであれば特に制限はないが、通常、バイアスパワーPbより大きく記録パワーPwより小さい。例えば0.2≦Pe/Pw<1.0とする。消去パワーPeの大きさは、記録パワーPwの照射により溶融した部分の再結晶化領域にも関係する。
【0055】
消去パワーPeが連続照射されると、記録層は結晶化温度付近まで加熱されるとともに、加熱された領域を相対的に徐冷することができ、結晶相を形成できる。
以上を組み合わせることで、アモルファス相と結晶相を形成し分けることができ、オーバーライト記録を行うことができる。
【0056】
アモルファス相を形成する際に記録パルスとオフパルスを交互に照射する具体例を以下に示す。長さnT(Tは基準クロック周期、nは自然数)のマーク(アモルファス相)を形成する際には、時間nTを下記式(1)のように分割する。
【0057】
【数1】
α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、αm-1T、βm-1T、αmT、βmT・・・(1)
(但し、α1+β1+α2+β2+・・・αm-1+βm-1+αm+βm=n−j、jは0以上の実数、mは1以上の整数であり、j、mは媒体及び記録条件の組合せにより決められる値である。)
上記式において、αiT(1≦i≦m)なる時間に記録パルスを照射し、βiT(1≦i≦m)なる時間にはオフパルスを照射して記録する。そしてマークとマークの間の領域(結晶相)においては、消去パワーPeを有する光を照射する。これによってオーバーライト記録が行える。
【0058】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、その要旨の範囲を越えない限り本発明は実施例に限定されるものではない。
溝幅0.5μm、溝深さ40nm、溝ピッチ1.6μmの案内溝を有する直径120mm、1.2mm厚のディスク状ポリカ−ボネ−ト基板上に、(ZnS)80(SiO2)20層(100nm)、Sb−Ge−In記録層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20層(40nm)、Al99.5Ta0.5合金反射層(200nm)をスパッタリング法により成膜し、更に紫外線硬化樹脂による保護コート層を形成して相変化型光ディスクを作製した。
【0059】
Sb−Ge−In記録層の組成は表−1に示す5種類とした(実施例1〜3、参考例1、2)。これらの組成を(Sb1-xGex)1-yInyで表記した場合のx、yの値も併せて表−1に記載した。これらの組成は後述の評価条件に適した結晶化速度にほぼ合わせ込んだものである。
また、記録層をGe−Sb−Te記録層としたこと以外は同様に作製した相変化型光ディスクも作製した。Ge−Sb−Te記録層組成は表−1に示す3種類とした(比較例1〜3)。
【0060】
各ディスクの初期結晶化をおこなった後、反射率を測定した結果を表−1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
これらディスクについて、レーザ波長780nm、NA0.5のピックアップを有するディスク評価装置を用い、以下の手順で案内溝内に記録・消去をおこないディスク特性を評価した。
[ボトムジッタの測定]
まず、線速度24m/s(CD線速の約20倍速)、基準クロック周期T=11.6ns、Pw=14mW、Pe=7mW、Pb=0.8mWとして、EFMランダム信号を図2に示すレーザ波形を用いて10回、オーバーライト記録した。
【0063】
図2において横軸は時間、縦軸はレーザパワーであり、記録パワーPw、消去パワーPe、バイアスパワーPbの3種類のパワーを使用している。図2(a)は長さ3Tのマークを記録する場合のレーザ波形を表し、図2(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)はそれぞれ長さ4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11Tのマークを記録する場合のレーザ波形を表す。
【0064】
すなわち、長さnT(Tは基準クロック周期で、nは3〜11の自然数)のマーク(アモルファス相)を形成する際には、時間nTの期間を上記式(1)のように分割し、記録パワーPwを持つ記録パルス、バイアスパワーPbを持つオフパルスを交互に照射し、一部消去パワーPeを照射した。マーク間部を形成する期間は消去パワーPeを持つ消去光を照射した。
【0065】
詳しくは、各マーク形成時はPwとPbのパルス列を次のように照射した(Tは基準クロック周期)。
3Tマーク:1.5TのPw、1.2TのPb
4Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、0.6TのPb
5Tマーク:1TのPw、1.35TのPb、1.5TのPw、0.6TのPb
6Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、0.6TのPb
7Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1.35TのPb、1.5TのPw、0.6TのPb
8Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、0.6TのPb
9Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1.35TのPb、1.5TのPw、0.6TのPb
10Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、0.6TのPb
11Tマーク:1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1TのPb、1TのPw、1.35TのPb、1.5TのPw、0.6TのPb
以上のようEFMランダム信号を記録した後、線速度2.4m/sで再生し、3Tスペースジッタ(3Tマーク間部ジッタ)を測定した。なお、マーク間部(スペース)は未記録部・消去部に対応し、マーク部は記録部に対応する。3Tスペースとは長さ3Tのマーク間部を指し、3Tスペースジッタとは記録されたEFMランダム信号を再生したときの長さ3Tのマーク間部のジッタである。
【0066】
次いで、Pe/Pw=0.5としてPwを15〜24mWの間で変化させた以外は同条件で、10回オーバーライト記録と3Tスペースジッタの測定を繰り返した。
結果をグラフにしたものを図1に示す。図1において横軸は記録パワーPw(mW)、縦軸は3Tスペースジッタ(ns)である。また、ボトムジッタとボトムジッタを示す記録パワーを表−1に示す。
【0067】
比較例1〜3のディスクは記録層が従来のGe−Sb−Te系であるが、最も低いジッタを示したものは比較例2のディスクであり、ボトムジッタ(記録パワーを変化させた中でのジッタの最低値)は20.8nsであった。
3種類の中では、比較例1は最もSb量が少なくTe量が多く、比較例3は最もSb量が多くTe量が少なく、比較例2は中間である。Sb量が多くTe量が少ないほど結晶化速度は速くなるため、比較例2のディスクの結晶化速度は比較例1のディスクと比較例3のディスクの間である。
【0068】
結晶化速度が比較的遅い比較例1のディスクはボトムジッタが25.7nsであった。結晶化速度がより速い比較例2のディスクはボトムジッタが20.8nsと改善されたが、結晶化速度が最も速い比較例3のディスクはボトムジッタが22.7nsと、却って悪化してしまった。これはSbとTeの含有量を変えることによって結晶化速度を変化させるだけでは、これ以上良いジッタを得ることは困難であることを示している。
【0069】
比較例1〜3のディスクでは、Sb量が多くTe量が少なくなるにつれて、オシロスコープで観察したときの結晶反射率レベルが、幅を持って太くなる現象が顕著になった。即ち比較例3が最も反射率レベルを示す線が太かった。おそらく、比較例1では結晶化速度が遅すぎてジッタが悪く、比較例3では結晶化速度は速くなったもののジッタに悪影響を及ぼす新たな結晶相の影響が強くなりジッタが悪化したと思われる。
【0070】
一方、実施例及び参考例のディスクでは、比較例1〜3のディスクに比べて良好なジッタが得られた。
実施例1〜3及び参考例1、2のボトムジッタはそれぞれ15.4ns、14.8ns、13.7ns、13.7ns、13.7nsであった。すなわち実施例1〜3及び参考例1、2ではCD−RWの規格(オレンジブックパート3)で定められた17.5ns以下(線速2.4m/sにおいて)のジッタが得られた。
【0071】
In含有量が多くなるほどボトムジッタを示す記録パワーが小さくなり、In量が20%以上となると当該パワーが17mWを切り、好ましい範囲内に入っていることが分かる。
なお、表−1に示すとおり各ディスクでの反射率の差は大きくなく、ディスク構成も同じなので、記録層の組成による熱特性の違いから記録感度差が生じていると思われる。また、再生波形のオシロスコープでの観察で結晶反射率レベルが幅を持って太く見える現象は観察されなかった。
【0072】
さらに、実施例1〜3及び参考例1、2のディスクを105℃の環境に3時間保った後、記録しておいたEFMランダム信号を線速度2.4m/sで再生し3Tスペースジッタ(3Tマーク間部ジッタ)を測定した結果、すべてのディスクで3Tスペースジッタの悪化は3ns以下と小さかった。
[結晶化速度とジッタの関係]
次に、記録層組成をGe22In15Sb63としたこと以外は実施例1と同様に作製した相変化型光ディスクを作製した。このディスクの評価を試みたところ、結晶化速度が遅すぎるため2.4m/s以上の線速度では結晶状態が形成できず、オーバーライト記録ができなかった。
【0073】
また、実施例1〜3及び参考例1、2で示したように、Ge含有量を少なくIn含有量を多くすることにより同程度の結晶化速度にすることが、或る程度可能である。そこでGe含有量を0at.%としたIn−Sb合金を記録層として、実施例1の記録条件に適したディスクが得られるかを試みた。
しかし、In39Sb62、In34Sb66、In31Sb69では、3Tスペースジッタはいずれも20ns以上と高かった。
【0074】
よりIn含有量の多いIn41Sb59では、初期化操作をおこなっても光ディスク評価装置によるレーザ照射をおこなっても反射率は上昇せず、常に低反射率の安定結晶相が形成されていると思われた。
更に、In含有量を0at.%としたGe−Sb合金を記録層として、実施例1の記録条件に適したディスクが得られるかを試みた。しかし、Ge7Sb93、Ge12Sb88、Ge16Sb84、Ge25Sb75、Ge34Sb66等について試したが、3Tスペースジッタはいずれも20ns以上と高かった。
【0075】
[DC光繰返し照射後の反射率測定]
次に、実施例1〜3及び参考例1、2のディスクに線速度24m/s(CD線速の約20倍速)と2.4m/s(CD線速の約2倍速)で次に示すDC光照射試験による反射率の低下を測定し低反射率結晶相(安定結晶相)への相変化しやすさを調べた。
線速度24m/sでは上記の評価でボトムジッタを示したときの消去パワー(7.5〜9.5mW)のDC光を未記録部に10回照射し反射率低下を測定した。2.4m/sでは6mWのDC光を未記録部に10回照射し反射率低下を測定した。本ディスクは高線速用に組成を合わせており、2.4m/sでは結晶化速度が速すぎるため各ディスクでの最適パワーを測定できなかったため6mWで統一した。
【0076】
結果を表−1に示す。線速度が24m/sと速い場合にはIn含有量によらず反射率低下は全く見られず、安定相への相変化が起こりにくいことがわかる。
これに対して線速2.4m/sではIn含有量が多くなると反射率低下が大きくなり、安定相への相変化が起こりやすいことが分かる。In量が14%と最も少ない参考例2でさえ10回照射で1.0%の反射率低下が見られ、数百〜数千回のオーバーライト後には相当の反射率低下が見られ、エラーレートの悪化が懸念される。
【0077】
なお、線速2.4m/sのDC光照射試験で反射率が低下した領域に様々なパワーのレーザ光を照射してみたところ、6mW以下では反射率は元に戻らなかったが、記録層が溶融すると思われる10mWのDC光の1回照射により反射率が元の値に戻った。
つまり、未記録部の相をA相、DC光照射試験により生じた相をB相とすると、A相からB相へは6mWで相変化し、B相からA相へは6mWでは相変化せず10mWで相変化している。したがって、A相からB相への相変化がB相からA相への相変化より低温で起こり得るのでB相の方が安定な相である。
【0078】
また、24m/sにおいて記録マークとして形成された相をC相とすると、記録パワーのレーザー照射によりA相からC相に相変化し、記録パワーの半分程度の消去パワーレーザー照射によりC相からA相に相変化することからもわかるように、C相からA相への相変化がA相からC相への相変化により低温で起こり得るのでC相よりA相の方が安定な相である。
Sb−Ge−In系には安定結晶相、準安定結晶相、アモルファス相の存在が知られていることを考えると、DC光照射試験により生じた相が安定相、未記録部が準安定結晶相、記録マーク部がアモルファス相と推定される。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、高い結晶化速度と優れたジッタ特性、及び優れた繰返しオーバーライト特性を有する超高速記録専用の光学的情報記録用媒体とそれに適した記録消去方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例における記録パワーと3Tスペースジッタの関係を示すグラフ
【図2】本実施例におけるパルス分割方法の概略図
Claims (3)
- 基準クロック周期15ns以下で情報信号の記録消去が可能な光学的情報記録用媒体であって、基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてなることを特徴とする光学的情報記録用媒体。
- 相変化型記録層の結晶相とアモルファス相とを用いて記録消去を行う請求項1に記載の光学的情報記録用媒体。
- 基板上に(Sb1-xGex)1-yIny(ただし0.01≦x≦0.15、0.20≦y≦0.40)を主成分とする合金からなる相変化型記録層を設けてなる光学的情報記録用媒体に対し、基準クロック周期15ns以下で情報信号の記録消去を行うことを特徴とする記録消去方法。
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