JP2005119242A - 光記録媒体とその初期化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高速記録において問題となるDOW特性、特にDOW1でのジッター上昇を防ぎ、かつ保存信頼性に優れた光記録媒体、更には、下位互換性を確保した広い線速範囲での記録が可能であり、従来のDVD+RWで採用されているCAV方式とそれよりも速いCAV方式の両方で記録可能な光記録媒体、及びその初期化方法の提供。
【解決手段】 透光性を有する基板上に、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を設けた光記録媒体において、該記録層が下記の組成式で示される相変化材料(式中、a、b、x、y、cは原子比、a+b+x+y+c=1である。)から成る光記録媒体。
AgaInbSbxTeyGec(0≦a≦0.015、0.010≦b≦0.100、0.600≦x≦0.800、0.100≦y≦0.300、0.010≦c≦0.100、0.050<a+b+c<0.090)、a/(a+b+c)≦0.10
【選択図】 図2
【解決手段】 透光性を有する基板上に、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を設けた光記録媒体において、該記録層が下記の組成式で示される相変化材料(式中、a、b、x、y、cは原子比、a+b+x+y+c=1である。)から成る光記録媒体。
AgaInbSbxTeyGec(0≦a≦0.015、0.010≦b≦0.100、0.600≦x≦0.800、0.100≦y≦0.300、0.010≦c≦0.100、0.050<a+b+c<0.090)、a/(a+b+c)≦0.10
【選択図】 図2
Description
本発明は、広い線速範囲で記録再生可能な相変化材料を用いた光記録媒体及びその初期化方法に関するものである。
近年、相変化材料を記録層とした光記録媒体、特に相変化光ディスクの開発が盛んに行われている。
一般的に相変化光ディスクは透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。基板上に成膜する薄膜は多層膜で、基板から順番に下部保護層、記録層、上部保護層、反射層の構成が基本的なものである。下部及び上部保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiO2を混合したZnS・SiO2がよく用いられる。記録層にはSbTeを主成分とした相変化材料がよく用いられる。具体的には、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられる。反射層には金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。
これらの多層膜の成膜方法としては、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、CVD法など様々な方法を用いる事ができるが、中でも量産性に優れている点からスパッタ法がよく用いられる。これらの多層膜を形成後、薄膜を保護する為に樹脂層をスピンコートにより被覆する。
一般的に相変化光ディスクは透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。基板上に成膜する薄膜は多層膜で、基板から順番に下部保護層、記録層、上部保護層、反射層の構成が基本的なものである。下部及び上部保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiO2を混合したZnS・SiO2がよく用いられる。記録層にはSbTeを主成分とした相変化材料がよく用いられる。具体的には、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられる。反射層には金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。
これらの多層膜の成膜方法としては、抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、CVD法など様々な方法を用いる事ができるが、中でも量産性に優れている点からスパッタ法がよく用いられる。これらの多層膜を形成後、薄膜を保護する為に樹脂層をスピンコートにより被覆する。
次に、相変化光ディスクは、記録層に用いられている相変化材料が成膜直後にアモルファス状態であるから、これを結晶化状態にするため所謂初期化工程を通す必要がある。一般的な初期化工程としては、ディスクを回転させながら幅数μm、長さ数十〜数百μmの半導体レーザからレーザ光を照射し、半径方向にレーザ光を移動させる事により行う。レーザ光の照射にはフォーカシング機能を設けて、より効率の良いレーザ照射を行う場合が多い。
このようにして作製された相変化光ディスクは、任意に決められたレーザ発光パターン(以下、ストラテジという)を照射する事で任意のアモルファスマークを形成する事ができる。更に、相変化ディスクでは消去と記録を同時に行う、所謂ダイレクトオーバーライト(以下、DOWという)記録が可能である。
ちなみに消去とはアモルファス状態のマークを結晶化させる事で、記録とは結晶状態からアモルファス状態のマークを形成する事である。
よく用いられるストラテジとしてはピークパワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)の3値制御(Pw>Pe>Pb)がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて任意の長さを有するマークを記録する。
データの記録・再生の変調方式としてCDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などはマークエッジ記録方式であるからマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価としてはジッター特性が一般的に用いられる。
このようにして作製された相変化光ディスクは、任意に決められたレーザ発光パターン(以下、ストラテジという)を照射する事で任意のアモルファスマークを形成する事ができる。更に、相変化ディスクでは消去と記録を同時に行う、所謂ダイレクトオーバーライト(以下、DOWという)記録が可能である。
ちなみに消去とはアモルファス状態のマークを結晶化させる事で、記録とは結晶状態からアモルファス状態のマークを形成する事である。
よく用いられるストラテジとしてはピークパワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)の3値制御(Pw>Pe>Pb)がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて任意の長さを有するマークを記録する。
データの記録・再生の変調方式としてCDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などはマークエッジ記録方式であるからマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価としてはジッター特性が一般的に用いられる。
このようにして作製される相変化ディスクは現在DVDの書き換え型媒体として広く使用されている。DVDの書き換え型媒体としてはDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWの3種類がある。これらの記録容量は何れも4.7GBであるが記録線速度が異なる。中でもDVD+RWはCAV方式に対応しており、線速3.49〜8.44m/sの範囲で記録が可能である。これはCLV方式として8.44m/s記録が可能という事であり、この線速は他の方式よりも高速である。一般に記録線速度はデータ記録速度に比例する為、DVD+RW媒体はデータ記録時間が他の方式よりも短いという事になる。しかし、最近になって、更なるデータ記録時間の短縮を目的として、より速い線速での記録が可能な媒体の開発が各方式で活発に行われている。
高線速記録(高速記録)を実現する方法としては、記録層に用いられる相変化材料の検討が重要である。中でも相変化材料の再結晶化限界速度の向上が不可欠である。
高線速記録(高速記録)を実現する方法としては、記録層に用いられる相変化材料の検討が重要である。中でも相変化材料の再結晶化限界速度の向上が不可欠である。
ここで再結晶化限界速度についての定義について説明する。
作製した相変化光ディスクの回転線速を任意に変化させ、トラッキング動作を行った状態で一定レーザーパワーのDC光を照射し、その際の反射率変化を評価する。この際、レーザーパワーは相変化材料が溶融するのに十分なパワーとする。一例としてその結果を図1に示す。この例では回転線速5m/s付近で反射率が急激に減少している事が分る。相変化光ディスクは結晶状態の反射率がアモルファス状態よりも高くなるように設計されている為、5m/s以上の回転線速では結晶状態にならない、即ち再結晶化しないと考えられる。この境界の回転線速を再結晶化限界速度と定義する。
再結晶化限界速度が記録線速より遅いとオーバーライト時の結晶化が十分できず満足な消去が行えない。特にオーバーライト1回目(以下、DOW1という)ではジッターの増大が顕著である事が本発明者等の実験で確認されている。
作製した相変化光ディスクの回転線速を任意に変化させ、トラッキング動作を行った状態で一定レーザーパワーのDC光を照射し、その際の反射率変化を評価する。この際、レーザーパワーは相変化材料が溶融するのに十分なパワーとする。一例としてその結果を図1に示す。この例では回転線速5m/s付近で反射率が急激に減少している事が分る。相変化光ディスクは結晶状態の反射率がアモルファス状態よりも高くなるように設計されている為、5m/s以上の回転線速では結晶状態にならない、即ち再結晶化しないと考えられる。この境界の回転線速を再結晶化限界速度と定義する。
再結晶化限界速度が記録線速より遅いとオーバーライト時の結晶化が十分できず満足な消去が行えない。特にオーバーライト1回目(以下、DOW1という)ではジッターの増大が顕著である事が本発明者等の実験で確認されている。
一方、再結晶化限界速度を速くすると保存性や信頼性が著しく悪化する事が知られている。これを回避する従来技術として特許文献1、2にあるようにGeやNを含有させる方法がある。しかし、本発明者等の実験結果ではこれらの元素を添加する事で再結晶化限界速度は遅くなる傾向にあり、その程度は添加量に比例する事が確認されている。そのため設定する再結晶化限界速度によっては保存性や信頼性の改善を得る為に必要な添加量を十分添加できない場合がある。
また、既に発売されている光ディスクドライブ装置との互換性、所謂下位互換性を有するディスクを考えると、低線速領域での記録もできる事が望まれる。高線速で使用可能なディスクを低線速で使用する場合、レーザー照射により発生した熱が蓄積し易い事、再結晶化限界速度が速い事の2つの原因から再結晶化が顕著になりアモルファス化が難しくなる。これを防ぐには、ディスクの層構成を放熱効果が大きい、所謂急冷構造にディスク構成を設計する必要がある。更に、レーザーのストラテジとして最低パワーのPbのパルス幅を長くし、Pwのパルス幅を短くする必要がある。このような方法を用いる事により発生した熱を素早く冷却する事ができ、アモルファス化が可能となる。しかし、これらの方法は相変化に必要な温度まで上昇させるのに必要な記録パワーが増大する事となり、パワー不足から下位互換性が取れなくなる事が考えられる。
また、既に発売されている光ディスクドライブ装置との互換性、所謂下位互換性を有するディスクを考えると、低線速領域での記録もできる事が望まれる。高線速で使用可能なディスクを低線速で使用する場合、レーザー照射により発生した熱が蓄積し易い事、再結晶化限界速度が速い事の2つの原因から再結晶化が顕著になりアモルファス化が難しくなる。これを防ぐには、ディスクの層構成を放熱効果が大きい、所謂急冷構造にディスク構成を設計する必要がある。更に、レーザーのストラテジとして最低パワーのPbのパルス幅を長くし、Pwのパルス幅を短くする必要がある。このような方法を用いる事により発生した熱を素早く冷却する事ができ、アモルファス化が可能となる。しかし、これらの方法は相変化に必要な温度まで上昇させるのに必要な記録パワーが増大する事となり、パワー不足から下位互換性が取れなくなる事が考えられる。
上記の他に、特許文献3には、AgInSbTeGeの組成を規定した高線速で信頼性の高いディスクが、特許文献4には、AgInSbTeGeの組成を規定した350nm以下の微小マークの形状と寸法の安定した状態で記録でき、熱的安定性も確保できる光記録媒体が、特許文献5には、AgInSbTeGeの組成を規定した幅広い線速に対応した記録再生を行える光記録媒体が、特許文献6には、AgInSbTeGeの組成を規定したオーバーライトの優れたディスクが、特許文献7には、AgInSbTeGeの組成を規定した再生光劣化や保存信頼性や感度の良好なディスクが、特許文献8には、AgInSbTeGeの組成を規定した高速記録でのオーバーライト特性及び再生光劣化や保存信頼性が良好なディスクが、特許文献9には、AgInSbTeGeの組成を規定した幅広い線速に対応した記録再生を行える光記録媒体が、それぞれ記載されている。
しかしながら、何れもオーバーライト特性、特にDOW1の改善、記録線速や記録感度の向上に関する効果については不明である上に、特許文献3や特許文献9の場合には記録密度が本発明に比べて小さく、特許文献6、特許文献8の場合には適応線速の幅が本発明に比べて狭い。
しかしながら、何れもオーバーライト特性、特にDOW1の改善、記録線速や記録感度の向上に関する効果については不明である上に、特許文献3や特許文献9の場合には記録密度が本発明に比べて小さく、特許文献6、特許文献8の場合には適応線速の幅が本発明に比べて狭い。
また、特許文献10には、界面反射制御層なるものを記録層の前後に設ける事でディスクの光学特性を調整し、高密度化を図る発明が開示されているが、界面反射制御層の具体的な材料については本発明と異なり、かつ目的も異なる。
特許文献11には、吸収補正層と境界層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献12、13には、屈折率が1.5以上の酸化物と硫化亜鉛を主成分とする透明誘電体層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献14には、吸収補正層と境界層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献15には、第1誘電体層と記録層との間に酸化物よりなる層を設ける事でディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、具体的な材料や膜厚などは本発明とは異なる。
特許文献11には、吸収補正層と境界層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献12、13には、屈折率が1.5以上の酸化物と硫化亜鉛を主成分とする透明誘電体層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献14には、吸収補正層と境界層を用いてディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、これらの層の具体的な材料、構成は本発明と異なる。
特許文献15には、第1誘電体層と記録層との間に酸化物よりなる層を設ける事でディスク特性の改善を図る発明が開示されているが、具体的な材料や膜厚などは本発明とは異なる。
本発明は、高速記録において問題となるDOW特性、特にDOW1でのジッター上昇を防ぎ、かつ保存信頼性に優れた光記録媒体、更には、下位互換性を確保した広い線速範囲での記録が可能であり、従来のDVD+RWで採用されているCAV方式とそれよりも速いCAV方式の両方で記録可能な光記録媒体、及びその初期化方法の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜17)の発明(以下、本発明1〜17という)によって解決される。
1) 透光性を有する基板上に、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を設けた光記録媒体において、該記録層が下記の組成式で示される相変化材料(式中、a、b、x、y、cは原子比、a+b+x+y+c=1である。)から成る事を特徴とする光記録媒体。
AgaInbSbxTeyGec
0≦a≦0.015
0.010≦b<0.080
0.600≦x≦0.800
0.100≦y≦0.300
0.010≦c<0.080
0.050<a+b+c<0.090
a/(a+b+c)≦0.10
2) 0.001≦a≦0.015、0.060≦a+b+c≦0.080である事を特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 0.065≦a+b+c≦0.075である事を特徴とする2)記載の光記録媒体。
4) 0.75≦x/(x+y)≦0.85である事を特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 記録可能最高線速をRmaxv(m/s)として、記録層の再結晶化限界速度RCv(m/s)が下記の式を満足するような組成の相変化材料を用いた事を特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
3.5(m/s)<Rmaxv−RCv<5(m/s)
6) 記録層と上部保護層の間及び/又は記録層と下部保護層の間に酸化物材料からなる誘電体層を設けた事を特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 酸化物材料の主成分が、酸化ジルコニウムと酸化チタンから成る事を特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 酸化物材料として、更に希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物を含む事を特徴とする7)記載の光記録媒体。
9) 希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物の含有量が酸化ジルコニウムに対して1〜10モル%の範囲にある事を特徴とする8)記載の光記録媒体。
10) 酸化チタンの含有量が酸化物材料全体の10〜50モル%である事を特徴とする7)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 誘電体層の膜厚が2〜5nmである事を特徴とする6)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 下部保護層の膜厚が40〜80nm、記録層の膜厚が5〜20nm、上部保護層の膜厚が5〜20nm、反射層の膜厚が100〜200nmの範囲にある事を特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
13) 基板が、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有する事を特徴とする1)〜12)の何れかに記載の光記録媒体。
14) 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化された事を特徴とする1)〜13)の何れかに記載の光記録媒体。
15) 再結晶化限界速度が9.0〜10.2m/sの範囲にあり、3.5〜14m/sの範囲の記録再生線速で記録再生可能である事を特徴とする1)〜14)の何れかに記載の光記録媒体。
16) 最内周記録時の線速が3〜4m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が8〜9m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードと、最内周記録時の線速が5〜6m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が13〜14m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードの2種類の角速度一定記録方式により記録が可能である事を特徴とする1)〜15)の何れかに記載の光記録媒体。
17) 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化を行う事を特徴とする1)〜16)の何れかに記載の光記録媒体の初期化方法。
1) 透光性を有する基板上に、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を設けた光記録媒体において、該記録層が下記の組成式で示される相変化材料(式中、a、b、x、y、cは原子比、a+b+x+y+c=1である。)から成る事を特徴とする光記録媒体。
AgaInbSbxTeyGec
0≦a≦0.015
0.010≦b<0.080
0.600≦x≦0.800
0.100≦y≦0.300
0.010≦c<0.080
0.050<a+b+c<0.090
a/(a+b+c)≦0.10
2) 0.001≦a≦0.015、0.060≦a+b+c≦0.080である事を特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 0.065≦a+b+c≦0.075である事を特徴とする2)記載の光記録媒体。
4) 0.75≦x/(x+y)≦0.85である事を特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 記録可能最高線速をRmaxv(m/s)として、記録層の再結晶化限界速度RCv(m/s)が下記の式を満足するような組成の相変化材料を用いた事を特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
3.5(m/s)<Rmaxv−RCv<5(m/s)
6) 記録層と上部保護層の間及び/又は記録層と下部保護層の間に酸化物材料からなる誘電体層を設けた事を特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 酸化物材料の主成分が、酸化ジルコニウムと酸化チタンから成る事を特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 酸化物材料として、更に希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物を含む事を特徴とする7)記載の光記録媒体。
9) 希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物の含有量が酸化ジルコニウムに対して1〜10モル%の範囲にある事を特徴とする8)記載の光記録媒体。
10) 酸化チタンの含有量が酸化物材料全体の10〜50モル%である事を特徴とする7)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 誘電体層の膜厚が2〜5nmである事を特徴とする6)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 下部保護層の膜厚が40〜80nm、記録層の膜厚が5〜20nm、上部保護層の膜厚が5〜20nm、反射層の膜厚が100〜200nmの範囲にある事を特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
13) 基板が、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有する事を特徴とする1)〜12)の何れかに記載の光記録媒体。
14) 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化された事を特徴とする1)〜13)の何れかに記載の光記録媒体。
15) 再結晶化限界速度が9.0〜10.2m/sの範囲にあり、3.5〜14m/sの範囲の記録再生線速で記録再生可能である事を特徴とする1)〜14)の何れかに記載の光記録媒体。
16) 最内周記録時の線速が3〜4m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が8〜9m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードと、最内周記録時の線速が5〜6m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が13〜14m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードの2種類の角速度一定記録方式により記録が可能である事を特徴とする1)〜15)の何れかに記載の光記録媒体。
17) 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化を行う事を特徴とする1)〜16)の何れかに記載の光記録媒体の初期化方法。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者等は、本発明1〜5で規定する相変化材料を用いる事によりオーバーライト特性及び保存信頼性に優れた広い線速範囲での記録が可能な光記録媒体が実現できることを見出した。Ag−In−Sb−Teは特許文献2にあるように優れた相変化材料として知られているが、高温環境下での保存信頼性に問題があった。この問題の解決手段としてGeを添加する方法が考案されたが、Geは再結晶化限界速度を遅くしてしまう為、その添加量に限界がある。そこで検討した結果、Geの原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある事を見出した。望ましい範囲は0.030〜0.050である。
本発明者等は、本発明1〜5で規定する相変化材料を用いる事によりオーバーライト特性及び保存信頼性に優れた広い線速範囲での記録が可能な光記録媒体が実現できることを見出した。Ag−In−Sb−Teは特許文献2にあるように優れた相変化材料として知られているが、高温環境下での保存信頼性に問題があった。この問題の解決手段としてGeを添加する方法が考案されたが、Geは再結晶化限界速度を遅くしてしまう為、その添加量に限界がある。そこで検討した結果、Geの原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある事を見出した。望ましい範囲は0.030〜0.050である。
再結晶化限界速度を遅くする元素としては他にAgとTeがある。Teに関しては、母体材料であるSbTeの構成元素である事から、単純に組成量を再結晶化限界速度の調整のみに用いる事はできない。この事からTeの原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある。望ましくは0.200〜0.250である。一方、Agは記録感度の低減効果やスパッタ法の中でも最も量産性に優れたDCスパッタの放電状態を安定にする効果などを有するので、適当量添加することが望ましいが、必ずしも添加しなくてもよい。この事を考慮して、その原子比を本発明1で規定する範囲とする。望ましい範囲は0.001〜0.015であり、更に望ましくは0.002〜0.005である。
InとSbは再結晶化限界速度を速くする元素であるが、Inは添加量が多いと再生光劣化や初期ジッターの劣化などを引き起こすため、その原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある。望ましい範囲は0.020〜0.040である。また、SbはTeと同様な理由で、単純に組成量を再結晶化限界速度の調整のみに用いる事はできない。この事からSbの原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある。望ましい範囲は0.650〜0.750である。
InとSbは再結晶化限界速度を速くする元素であるが、Inは添加量が多いと再生光劣化や初期ジッターの劣化などを引き起こすため、その原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある。望ましい範囲は0.020〜0.040である。また、SbはTeと同様な理由で、単純に組成量を再結晶化限界速度の調整のみに用いる事はできない。この事からSbの原子比は本発明1で規定する範囲とする必要がある。望ましい範囲は0.650〜0.750である。
本発明1で用いる相変化材料は、Sb−Teが主成分、即ち母体材料であり、その他のAg、In、Geは添加元素とみなす事ができる。本発明者等は、この添加元素Ag、In、Geの総量(以下、添加総量という)に着目してディスク特性との関係を調べ、本発明1で規定する範囲とする必要がある事を見出した。望ましい添加総量は0.060〜0.080であり、更に望ましくは0.065〜0.075である。添加総量が0.090以上では初期のディスク特性、特にジッターが悪く、0.050以下では保存信頼性が悪くなる。これは添加総量が多いと母体材料であるSb−Teへの影響が大きくなって相変化現象に悪影響を及ぼし、少ないとSb−Te自体の性質が顕著になり、Sb−Teの問題点である保存信頼性の劣化が顕著になる為と思われる。
また、Agと添加総量の関係を本発明1で規定する範囲とする事により高線速での記録特性が改善される。望ましくは、a/(a+b+c)≦0.08である。この理由の詳細は不明であるが、Agが多くなる事で相変化材料自体の熱伝導率が大きくなり、高速記録時での結晶化に影響を与える為と考えられる。
次に、SbとTeの割合、即ちx/(x+y)は、本発明4で規定する範囲が望ましい。更に望ましくは0.76〜0.78である。これはSbが多い系では保存信頼性が低く、Sbが少ない系では再結晶化限界速度を速くする事が困難な為である。
また、Agと添加総量の関係を本発明1で規定する範囲とする事により高線速での記録特性が改善される。望ましくは、a/(a+b+c)≦0.08である。この理由の詳細は不明であるが、Agが多くなる事で相変化材料自体の熱伝導率が大きくなり、高速記録時での結晶化に影響を与える為と考えられる。
次に、SbとTeの割合、即ちx/(x+y)は、本発明4で規定する範囲が望ましい。更に望ましくは0.76〜0.78である。これはSbが多い系では保存信頼性が低く、Sbが少ない系では再結晶化限界速度を速くする事が困難な為である。
ところで、従来、記録線速は再結晶化限界速度よりも遅い方が望ましく、アモルファス化に対してはレーザーのストラテジや層構成の調整による急冷効果を利用する方法が用いられてきた。しかし、この考え方では少なくともAg−In−Sb−Te−Ge系、言い換えればSb−Te系では従来以上の高速記録、即ち8.44m/s以上の高速記録を考えた時、再結晶化限界速度を上げる為にSbを多くする必要があり、その結果、保存信頼性の確保は非常に困難になる。また、高速記録になる程、レーザーのストラテジのパルス幅が狭くなり、十分な冷却時間を得る事ができなくなるためアモルファス化に対する効果が得られなくなる。記録密度が大きくなる場合にもこれと同様な事が発生し、最悪の場合、レーザーの立下り時間以下のパルス幅になる事もある。こうなると冷却時間が無くなるばかりか、レーザーパワーを最低パワーであるPbまで十分低くする事ができなくなる。この問題点の解決手段として、パルス数を減らし、その分パルス幅を広くする方法も考えられるが、この方法ではマーク長の制御が難しくなり記録特性の安定性に問題がある。更に下位互換性を考慮した場合、低線速での記録感度は非常に高くなり、下位互換は実現できない。
本発明者等はこれらの問題に対し、少なくとも記録線速が3.5〜14m/sの光記録媒体については、本発明5の構成とすれば、従来以上の高速記録が可能で、保存信頼性も確保され、下位互換性も実現できる光記録媒体を提供できる事を見出した。即ち、再結晶化限界速度RCvが一定の範囲で媒体の記録可能最高線速Rmaxvよりも遅くなるような組成の相変化材料を用いれば、保存信頼性を確保でき、かつ低線速での記録感度の上昇を抑える事ができる事を見出した。但し、再結晶化限界速度を遅くし過ぎると高速記録が完全にできなくなるので本発明5で規定する範囲が望ましい。更に望ましくは4.0〜4.5m/sの範囲である。
また高速記録の場合、レーザーパワーについても調整する必要がある。即ち、消去パワー(Pe)が大き過ぎると、その照射により消去、即ち結晶化させる事ができず記録部がアモルファスのまま残る為、正常な記録が行えない。この事は特にオーバーライトを行う時に問題となる。その為、消去パワー(Pe)についてはピークパワー(Pw)との関係を0.25<Pw/Pe<0.35の範囲にする事が望ましい。更に望ましくは0.3〜0.35である。
また高速記録の場合、レーザーパワーについても調整する必要がある。即ち、消去パワー(Pe)が大き過ぎると、その照射により消去、即ち結晶化させる事ができず記録部がアモルファスのまま残る為、正常な記録が行えない。この事は特にオーバーライトを行う時に問題となる。その為、消去パワー(Pe)についてはピークパワー(Pw)との関係を0.25<Pw/Pe<0.35の範囲にする事が望ましい。更に望ましくは0.3〜0.35である。
本発明の光記録媒体は、本発明1で規定するように、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を有する必要があり、本発明6〜12で規定するような層構成を有するものが望ましい。
下部保護層と上部保護層の材料については従来技術と同様に酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnS・SiO2が望ましい。
下部保護層はその膜厚により光記録媒体の反射率を調整する働きがあり、望ましい膜厚の範囲は40〜80nmである。40nmより薄いと膜厚に対する反射率変動が大きく、80nmより厚いと成膜時間が長くなり光記録媒体の生産性が落ちる。また、DVD媒体のような薄い基板では基板変形が問題になる。特に望ましい膜厚は、反射率が最低になる膜厚である。下部保護層の膜厚は反射率に大きく影響する事が知られており、膜厚の変化に対して反射率が正弦波的な変化を示す。ここで反射率が最低になるような膜厚を選べば、記録層へ最も効率よく光が入射される事となり、記録感度の改善や良好なマーク形成に繋がる。但し、反射率が低過ぎるとデータ信号の読み取りが困難になる為、その最低になる反射率の絶対値には下限がある。
上部保護層の膜厚は5〜20nmの範囲が望ましい。更に望ましくは10〜15nmの範囲である。5nmより薄いと相変化を起こすのに十分な熱を記録層に蓄積する事ができず、20nmより厚いと逆に放熱効果が無くなりアモルファス化が困難になる。
記録層の膜厚は5〜20nmの範囲が望ましい。更に望ましくは10〜15nmの範囲である。5〜20nmの範囲を外れると十分な記録特性を得る事ができない。
下部保護層と上部保護層の材料については従来技術と同様に酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnS・SiO2が望ましい。
下部保護層はその膜厚により光記録媒体の反射率を調整する働きがあり、望ましい膜厚の範囲は40〜80nmである。40nmより薄いと膜厚に対する反射率変動が大きく、80nmより厚いと成膜時間が長くなり光記録媒体の生産性が落ちる。また、DVD媒体のような薄い基板では基板変形が問題になる。特に望ましい膜厚は、反射率が最低になる膜厚である。下部保護層の膜厚は反射率に大きく影響する事が知られており、膜厚の変化に対して反射率が正弦波的な変化を示す。ここで反射率が最低になるような膜厚を選べば、記録層へ最も効率よく光が入射される事となり、記録感度の改善や良好なマーク形成に繋がる。但し、反射率が低過ぎるとデータ信号の読み取りが困難になる為、その最低になる反射率の絶対値には下限がある。
上部保護層の膜厚は5〜20nmの範囲が望ましい。更に望ましくは10〜15nmの範囲である。5nmより薄いと相変化を起こすのに十分な熱を記録層に蓄積する事ができず、20nmより厚いと逆に放熱効果が無くなりアモルファス化が困難になる。
記録層の膜厚は5〜20nmの範囲が望ましい。更に望ましくは10〜15nmの範囲である。5〜20nmの範囲を外れると十分な記録特性を得る事ができない。
反射層には、光学特性や熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料を用いる事ができる。特に本発明では急冷構造が望ましい事から、熱伝導率が最も高いAg又はAg合金が適している。Agを用い、上部保護層にZnS・SiO2を用いた場合、硫黄成分によるAgの硫化が問題になる為、上部保護層と反射層の間に硫化防止層を設ける必要がある。硫化防止層には硫化に対して強い材料を用いる必要があるが、具体的にはSi、Alなどの金属、SiN、AlNなどの窒化物、SiC、TiCなどの炭化物などが用いられる。硫化防止層の膜厚は2〜5nm程度が望ましい。更に望ましくは3〜5nmである。2nmより薄いと硫化防止の効果が無くなる可能性が高く、5nmより厚いと放熱効果や光学的な影響が大きくなる可能性がある。
反射層の膜厚は100〜200nmの範囲が望ましい。更に望ましくは120〜150nmの範囲である。100nmより薄いと放熱効果が得られなくなる可能性がある。また、200nmより厚くしても放熱効果は変わらず、単に必要のない膜厚を成膜する事になる。
反射層の膜厚は100〜200nmの範囲が望ましい。更に望ましくは120〜150nmの範囲である。100nmより薄いと放熱効果が得られなくなる可能性がある。また、200nmより厚くしても放熱効果は変わらず、単に必要のない膜厚を成膜する事になる。
更に、記録層に接するように酸化物からなる誘電体層を設ける事で高線速時の記録特性、特に高パワー側でのDOW特性を改善する効果があることを見出した。この効果は、記録層の直下、即ち下部保護層との間に設けても、記録層の直上、即ち上部保護層との間に設けても、或いはその両方に設けても効果がある事が確認できた。
この理由の詳細は不明であるが、一つは酸化物材料による相変化材料への結晶促進効果が考えられる。特に高速記録の場合、再結晶化限界速度より速い領域で記録する為、結晶化促進効果を有する酸化物材料を挿入する事は特性改善に効果があると考えられる。
望ましい酸化物材料としては、BeとRaを除くIIa族、TcとReを除くIIIb〜VIIb族、Fe、Co、Ni、Auを除くIb族、Hgを除くIIb族、BとTlを除くIIIa族、Cを除くIVa族、Sb、Biの酸化物等が挙げられる。特に望ましいのは、Zr、Ti、Al、Zn、In、Sn、Cr、W、Mo、Ni、Ta、及びYなどの希土類元素の酸化物である。
この理由の詳細は不明であるが、一つは酸化物材料による相変化材料への結晶促進効果が考えられる。特に高速記録の場合、再結晶化限界速度より速い領域で記録する為、結晶化促進効果を有する酸化物材料を挿入する事は特性改善に効果があると考えられる。
望ましい酸化物材料としては、BeとRaを除くIIa族、TcとReを除くIIIb〜VIIb族、Fe、Co、Ni、Auを除くIb族、Hgを除くIIb族、BとTlを除くIIIa族、Cを除くIVa族、Sb、Biの酸化物等が挙げられる。特に望ましいのは、Zr、Ti、Al、Zn、In、Sn、Cr、W、Mo、Ni、Ta、及びYなどの希土類元素の酸化物である。
これらの中でも、本発明7のように、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化チタン(TiO2)を主成分とする酸化物材料を用いる事で更なる特性の改善が図れる。ここで主成分とは酸化物材料全体の80モル%以上を占めることを意味する。また、本発明8のように、酸化ジルコニウムと酸化チタンに加えて、希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物を用いる事により更に特性の改善が図れる。希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除いたIIa族の酸化物の働きとしては、これらを添加する事により酸化ジルコニウムの温度に対する体積変化を小さくできる事が考えられる。これにより初期化や記録時の温度変化に対しての安定性が期待できる。また、ターゲット作製時の割れを少なくし、高密度化を比較的容易にできると考えられる。これらの効果を得る為には本発明9で規定する添加量とすることが望ましい。
一方、酸化チタンの働きとしては光学特性の調整や結晶化促進効果の調整などが考えられる。これらの働きを効果的に得るためには本発明10で規定する含有量とすることが望ましい。
これらの酸化物から成る誘電体層の膜厚は、2〜5nmの範囲が望ましい。更に望ましくは2〜4nmの範囲である。2nmより薄いと、結晶化促進効果や膜厚の再現性が得られないなどの問題がある。また、5nmより厚いと結晶化促進効果が大き過ぎて高温下での保存特性が悪化したり、成膜時間が長過ぎるなどの問題がある。なお、ここで言う誘電体層の膜厚とは、酸化物から成る誘電体層全体の膜厚の事であり、記録層の両側に成膜した場合はその合計膜厚を言う。
一方、酸化チタンの働きとしては光学特性の調整や結晶化促進効果の調整などが考えられる。これらの働きを効果的に得るためには本発明10で規定する含有量とすることが望ましい。
これらの酸化物から成る誘電体層の膜厚は、2〜5nmの範囲が望ましい。更に望ましくは2〜4nmの範囲である。2nmより薄いと、結晶化促進効果や膜厚の再現性が得られないなどの問題がある。また、5nmより厚いと結晶化促進効果が大き過ぎて高温下での保存特性が悪化したり、成膜時間が長過ぎるなどの問題がある。なお、ここで言う誘電体層の膜厚とは、酸化物から成る誘電体層全体の膜厚の事であり、記録層の両側に成膜した場合はその合計膜厚を言う。
また、本発明13で規定する基板を用いることにより、現状のDVD+RW媒体の規格に準拠し(下位互換性の確保)、14m/sの高速CAV記録が可能なDVD+RW媒体を提供する事ができる。溝ピッチが規定範囲を外れると、DVD+RWの特徴の一つであるDVD−ROM或いはDVD−Movieプレーヤーとの互換性が悪くなるので好ましくない。また、溝深さや溝幅については互換性だけでなく記録特性の面からも前記規定範囲が望ましい。
下位互換性については8.4m/sでの記録感度が問題になるが、本発明1〜12の構成とする事で解決できる。
溝を蛇行させる目的は、未記録の特定トラックにアクセスさせる事や基板を一定線速度で回転させる事などである。蛇行の周期はデータの基準クロック周波数T(sec)の20〜35倍が望ましい。20倍より小さいと、記録信号成分がノイズとして検知され、35倍より大きいとアクセス範囲の最小範囲が大きくなり詳細なアクセス制御が難しくなる。一方、その振幅は15〜40nm、好ましくは20〜40nmの範囲とする。20nmより小さいと十分な信号強度が得られず、40nmより大きいと記録特性を劣化させる。
下位互換性については8.4m/sでの記録感度が問題になるが、本発明1〜12の構成とする事で解決できる。
溝を蛇行させる目的は、未記録の特定トラックにアクセスさせる事や基板を一定線速度で回転させる事などである。蛇行の周期はデータの基準クロック周波数T(sec)の20〜35倍が望ましい。20倍より小さいと、記録信号成分がノイズとして検知され、35倍より大きいとアクセス範囲の最小範囲が大きくなり詳細なアクセス制御が難しくなる。一方、その振幅は15〜40nm、好ましくは20〜40nmの範囲とする。20nmより小さいと十分な信号強度が得られず、40nmより大きいと記録特性を劣化させる。
このようにして作製した光記録媒体の初期化は、本発明14で規定する初期化線速の範囲で行う事が望ましい。更に望ましくは0〜+1m/sの範囲である。これにより高線速時のDOW1特性の改善が実現できる。
従来、初期化条件としては、相変化材料を十分結晶化させる条件が最適条件と考えられてきた。しかし、本発明では高線速記録時の記録線速が再結晶化限界速度よりも速い事から、アモルファスになり易い状態でのオーバーライトの為、消去パワーPeを大きくする事ができない。その為、オーバーライトによる消去状態、即ち結晶化状態が従来の初期化条件での結晶化状態と異なっていると考えられ、この違いがジッター特性の悪化を引き起こしていると考えられる。
この問題を解決する方法としては、初期化時の結晶状態とオーバーライト時の結晶状態を同じにする事が考えられる。その為には初期化線速を本発明14で規定する範囲とすることが望ましい。再結晶化限界速度RCvに対し、初期化線速が「RCv−2m/s」よりも遅い場合、上述したように記録時の結晶化状態と初期化による結晶化状態が大きく異なることになりDOW1特性が悪くなる傾向にある。また、初期化線速が「RCv+1.0m/s」よりも速い場合、アモルファス化が支配的となり初期化不良となり易い。
以上の事から、本発明14で規定する初期化線速範囲で初期化を行えば、不用意なアモルファス化を引き起こすこと無く、比較的高線速時のオーバーライトによる結晶状態に近い結晶状態とする事ができ、DOW1特性を改善した光ディスクを確実に作製する事ができる。
従来、初期化条件としては、相変化材料を十分結晶化させる条件が最適条件と考えられてきた。しかし、本発明では高線速記録時の記録線速が再結晶化限界速度よりも速い事から、アモルファスになり易い状態でのオーバーライトの為、消去パワーPeを大きくする事ができない。その為、オーバーライトによる消去状態、即ち結晶化状態が従来の初期化条件での結晶化状態と異なっていると考えられ、この違いがジッター特性の悪化を引き起こしていると考えられる。
この問題を解決する方法としては、初期化時の結晶状態とオーバーライト時の結晶状態を同じにする事が考えられる。その為には初期化線速を本発明14で規定する範囲とすることが望ましい。再結晶化限界速度RCvに対し、初期化線速が「RCv−2m/s」よりも遅い場合、上述したように記録時の結晶化状態と初期化による結晶化状態が大きく異なることになりDOW1特性が悪くなる傾向にある。また、初期化線速が「RCv+1.0m/s」よりも速い場合、アモルファス化が支配的となり初期化不良となり易い。
以上の事から、本発明14で規定する初期化線速範囲で初期化を行えば、不用意なアモルファス化を引き起こすこと無く、比較的高線速時のオーバーライトによる結晶状態に近い結晶状態とする事ができ、DOW1特性を改善した光ディスクを確実に作製する事ができる。
一方、初期化パワーやレーザーの送り速度については任意であるが、可能な限り低パワーで速い送り速度が望ましいと考えられる。これは初期化線速が高速記録線速よりも遅い事から、前述したようにオーバーライト時の結晶状態に近づける為にその分印加するエネルギーを小さくする事が望ましい為である。但し、初期化不良が起きない程度の条件にする必要はある。
また、初期化に用いるレーザーの光源サイズは可能な限り小さい方がよいが、あまり小さいと初期化にかかる時間が長くなり過ぎて生産性が落ちる。従って、光源サイズは40〜200μm2、望ましくは40〜100μm2とする。初期化に用いるレーザ光源の形状の多くは、基板の半径方向に対して長く周内方向に短い長方形である事から、例えば光源の幅を1μmとすれば、上記の範囲とする為、長さ40〜200μm、望ましくは40〜100μmの光源が用いられる。
以上説明したような媒体構成と初期化操作により、本発明15のような、広い記録線速マージンを有し、高速記録が可能で保存信頼性に優れた光記録媒体を提供する事が可能となる。そして、光記録媒体への記録に際し、本発明16で規定するような2種類のCAV方式を設定する事ができ、現状のDVD+RWのCAV記録の回転数に加えて、更に高速なCAV記録ができる新たなDVD+RWを実現する事ができる。
また、初期化に用いるレーザーの光源サイズは可能な限り小さい方がよいが、あまり小さいと初期化にかかる時間が長くなり過ぎて生産性が落ちる。従って、光源サイズは40〜200μm2、望ましくは40〜100μm2とする。初期化に用いるレーザ光源の形状の多くは、基板の半径方向に対して長く周内方向に短い長方形である事から、例えば光源の幅を1μmとすれば、上記の範囲とする為、長さ40〜200μm、望ましくは40〜100μmの光源が用いられる。
以上説明したような媒体構成と初期化操作により、本発明15のような、広い記録線速マージンを有し、高速記録が可能で保存信頼性に優れた光記録媒体を提供する事が可能となる。そして、光記録媒体への記録に際し、本発明16で規定するような2種類のCAV方式を設定する事ができ、現状のDVD+RWのCAV記録の回転数に加えて、更に高速なCAV記録ができる新たなDVD+RWを実現する事ができる。
本発明によれば、高速記録において問題となるDOW特性、特にDOW1でのジッター上昇を防ぎ、かつ保存信頼性に優れた光記録媒体、更には、下位互換性を確保した広い線速範囲での記録が可能であり、従来のDVD+RWで採用されているCAV方式とそれよりも速いCAV方式の両方で記録可能な光記録媒体、及び該光記録媒体の初期化方法を提供する事ができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例における記録層の組成、構成元素、保護層材料、反射層材料、層構成、作製方法、作製装置、評価装置などにより何ら限定されるものではない。
<実施例1〜9及び比較例1〜7>
図2に示す構造の光記録媒体(光ディスク)を以下のようにして作製した。
基板にはトラックピッチ0.74μm、グルーブ(凹部)幅0.3μm、深さ約30nmの溝を有する直径120mmφ、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を用いた。
下部保護層には、ZnS・SiO2を成膜レート9nm/sで厚さ55nm、記録層には、表1に示す相変化材料を成膜レート7nm/sで厚さ11nm、上部保護層には、ZnS・SiO2を成膜レート3nm/sで厚さ11nm、硫化防止層には、SiCを成膜レート1nm/sで厚さ4nm、反射層にはAgを成膜レート35nm/sで厚さ140nm成膜した。
硫化防止層を設けたのは、反射層であるAgと上部保護層であるZnS・SiO2の反応を防ぐ為である。また、ZnS・SiO2の成膜にはRFマグネトロンスパッタ法を用い、記録層、SiC、Agの成膜にはDCマグネトロンスパッタ法を用いた。
次に、反射層の上に有機保護層としてUV硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製SD−318)を塗布した。
最後に有機保護層の上に上記基板と同じ基板を貼り合わせて、厚さが約1.2mmの光ディスクを得た(貼り合わせた基板は図示せず)。
次に、この光ディスクを、出力波長830nm、幅約1μm、長さ約75μm、最大出力約2Wのレーザー光にフォーカシング機能を付加したレーザーヘッドを有する初期化装置(日立CP社製POP120−7AH)を用いて初期化した。初期化線速は、表1に示す再結晶化限界速度より0.5m/s速い線速を目安に設定し、実際に用いた初期化線速は表1に示すように0.5m/s刻みとした。ヘッドの送り速度は37μmで一定とした。レーザーパワーについては、光ディスクのグルーブ面での反射率と初期化パワーとの関係を評価し、トラック周内分布が均一になる最小のパワーとした。具体的なパワーの値は表1に示す通りである。反射率の評価には波長650nm、NA0.65のピックアップを有する光ディスク評価装置(パルステック社製DDU−1000)を用いた。
図2に示す構造の光記録媒体(光ディスク)を以下のようにして作製した。
基板にはトラックピッチ0.74μm、グルーブ(凹部)幅0.3μm、深さ約30nmの溝を有する直径120mmφ、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を用いた。
下部保護層には、ZnS・SiO2を成膜レート9nm/sで厚さ55nm、記録層には、表1に示す相変化材料を成膜レート7nm/sで厚さ11nm、上部保護層には、ZnS・SiO2を成膜レート3nm/sで厚さ11nm、硫化防止層には、SiCを成膜レート1nm/sで厚さ4nm、反射層にはAgを成膜レート35nm/sで厚さ140nm成膜した。
硫化防止層を設けたのは、反射層であるAgと上部保護層であるZnS・SiO2の反応を防ぐ為である。また、ZnS・SiO2の成膜にはRFマグネトロンスパッタ法を用い、記録層、SiC、Agの成膜にはDCマグネトロンスパッタ法を用いた。
次に、反射層の上に有機保護層としてUV硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製SD−318)を塗布した。
最後に有機保護層の上に上記基板と同じ基板を貼り合わせて、厚さが約1.2mmの光ディスクを得た(貼り合わせた基板は図示せず)。
次に、この光ディスクを、出力波長830nm、幅約1μm、長さ約75μm、最大出力約2Wのレーザー光にフォーカシング機能を付加したレーザーヘッドを有する初期化装置(日立CP社製POP120−7AH)を用いて初期化した。初期化線速は、表1に示す再結晶化限界速度より0.5m/s速い線速を目安に設定し、実際に用いた初期化線速は表1に示すように0.5m/s刻みとした。ヘッドの送り速度は37μmで一定とした。レーザーパワーについては、光ディスクのグルーブ面での反射率と初期化パワーとの関係を評価し、トラック周内分布が均一になる最小のパワーとした。具体的なパワーの値は表1に示す通りである。反射率の評価には波長650nm、NA0.65のピックアップを有する光ディスク評価装置(パルステック社製DDU−1000)を用いた。
このようにして作製した光ディスクについて繰り返し記録特性(DOW特性)を評価した。記録には前記の光ディスク評価装置を用い、ディスク回転線速14m/sで一定として隣接する5つのトラックに記録し、その真中のトラックの記録情報を再生した。記録方式はパルス変調法を用い、EFM+〔8/16(2,10)RLL〕変調方式で行った。記録線密度は0.267μm/bitとし、グルーブに記録した。ピークパワー(Pw)は最適な条件を用いた。消去パワー(Pe)はPw/Pe=0.31の関係になるように設定した。バイアスパワー(Pb)はPb=0.1mWで一定とした。
このようにして記録された信号のData to Clock(データ・ツー・クロック)ジッターを測定し、ジッターσ/Tw(Tw:ウィンドウ幅)を評価項目とした。そして1回記録、2回記録、10回記録、100回記録でのジッターの変化を各光ディスクについて評価した。なお、媒体の良否は、DVD+RW媒体の規格を採用し、ジッター9%以下かどうかで判断した。
その結果を図3に示す。図から分るように、比較例1の光ディスクはジッターが9%を超え、規格外となった。また、実施例4の光ディスクの記録パワーPwは、実施例1〜3の光ディスクに比べて1.5mW高い。
次に、同様な評価を、現在のDVD+RW媒体で採用されている最速記録線速8.4m/sで行った。その結果を図4に示す。この結果、比較例2のディスクはジッターが9%を超えており、規格外となった。
また、実施例1〜3の記録線速8.4m/sでの記録パワーの感度を比べたところ、実施例1と実施例2が13mW以上からジッター9%以下を示すのに対して、実施例3では14mW以上から、実施例4では15mW以上からジッター9%以下を示した。この結果から、実施例1と実施例2の媒体の方がより記録感度が良く、下位互換性に優れている事が分る。
以上の事から、本発明の構成とすれば下位互換性を確保し、かつ、高速記録が可能な光ディスクを作製できる事が分った。
このようにして記録された信号のData to Clock(データ・ツー・クロック)ジッターを測定し、ジッターσ/Tw(Tw:ウィンドウ幅)を評価項目とした。そして1回記録、2回記録、10回記録、100回記録でのジッターの変化を各光ディスクについて評価した。なお、媒体の良否は、DVD+RW媒体の規格を採用し、ジッター9%以下かどうかで判断した。
その結果を図3に示す。図から分るように、比較例1の光ディスクはジッターが9%を超え、規格外となった。また、実施例4の光ディスクの記録パワーPwは、実施例1〜3の光ディスクに比べて1.5mW高い。
次に、同様な評価を、現在のDVD+RW媒体で採用されている最速記録線速8.4m/sで行った。その結果を図4に示す。この結果、比較例2のディスクはジッターが9%を超えており、規格外となった。
また、実施例1〜3の記録線速8.4m/sでの記録パワーの感度を比べたところ、実施例1と実施例2が13mW以上からジッター9%以下を示すのに対して、実施例3では14mW以上から、実施例4では15mW以上からジッター9%以下を示した。この結果から、実施例1と実施例2の媒体の方がより記録感度が良く、下位互換性に優れている事が分る。
以上の事から、本発明の構成とすれば下位互換性を確保し、かつ、高速記録が可能な光ディスクを作製できる事が分った。
次に、以下のような方法でCAV記録方式の対応の可否を調べた。
記録範囲を24〜58mmとした場合、最内周をDVD媒体の基準線速である3.5m/sで回転させるとすると回転数は約1400rpmであり、その場合最外周の線速は約8.4m/sとなる。この回転数を用いたCAV記録方式をCAV1Xとする。次に、同様な記録範囲で最外周を14m/sの線速で回転させた場合、その回転数は約2300rpmであり、その場合の最内周の線速は約5.8m/sとなる。この回転数を用いたCAV記録方式をCAV1Xに対して1.6倍である事からCAV1.6Xとする。
これら、CAV1XとCAV1.6Xの記録を可能にする為には、少なくとも3.5、5.8、8.4、14m/sでの記録が可能である必要がある。ここでは、上記の<実施例1〜3>で行った線速以外の3.5、5.8m/sでの評価を上記の評価装置を用いて行った。ここでは8.4m/sの場合と同様に、記録感度を考慮してピークパワー(Pp)については上限を16mWとした。消去パワー(Pe)については何れもPp/Pe=0.5の関係になるように設定した。
それぞれの評価結果を図5、図6に示す。図からも分かるように、本実施例のディスクは3.5、5.8m/sでも良好な結果を示しており、CAV1XとCAV1.6Xの記録が可能である事が分かる。
記録範囲を24〜58mmとした場合、最内周をDVD媒体の基準線速である3.5m/sで回転させるとすると回転数は約1400rpmであり、その場合最外周の線速は約8.4m/sとなる。この回転数を用いたCAV記録方式をCAV1Xとする。次に、同様な記録範囲で最外周を14m/sの線速で回転させた場合、その回転数は約2300rpmであり、その場合の最内周の線速は約5.8m/sとなる。この回転数を用いたCAV記録方式をCAV1Xに対して1.6倍である事からCAV1.6Xとする。
これら、CAV1XとCAV1.6Xの記録を可能にする為には、少なくとも3.5、5.8、8.4、14m/sでの記録が可能である必要がある。ここでは、上記の<実施例1〜3>で行った線速以外の3.5、5.8m/sでの評価を上記の評価装置を用いて行った。ここでは8.4m/sの場合と同様に、記録感度を考慮してピークパワー(Pp)については上限を16mWとした。消去パワー(Pe)については何れもPp/Pe=0.5の関係になるように設定した。
それぞれの評価結果を図5、図6に示す。図からも分かるように、本実施例のディスクは3.5、5.8m/sでも良好な結果を示しており、CAV1XとCAV1.6Xの記録が可能である事が分かる。
次に、実施例3で用いた相変化材料と同じ再結晶化限界速度を有し、Ag+In+Geの総量が異なる相変化材料を用いた場合の比較を行った。用いた材料を表2に示す。
これらの相変化材料を用いた光ディスクを実施例1と同様にして作製し、ディスク回転線速14m/sでのディスク評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図7に示す。図から分るようにAg+In+Ge量が0.09未満の材料で良好な結果が得られた。
次に、同様な記録方法で1回記録した光ディスクを80℃85%RHの環境に置き、100時間後のジッターの変化を比較した。その結果を図8に示す。図から分るように、Ag+In+Ge量が少なくなるにつれてジッターの上昇幅が大きくなる。この事から、信頼性を考えるとAg+In+Ge量は0.05よりも多くする必要がある。
以上の事から、本発明の構成とすれば保存特性の優れた光ディスクを作製できる事が分った。
次に、同様な記録方法で1回記録した光ディスクを80℃85%RHの環境に置き、100時間後のジッターの変化を比較した。その結果を図8に示す。図から分るように、Ag+In+Ge量が少なくなるにつれてジッターの上昇幅が大きくなる。この事から、信頼性を考えるとAg+In+Ge量は0.05よりも多くする必要がある。
以上の事から、本発明の構成とすれば保存特性の優れた光ディスクを作製できる事が分った。
次に、実施例3で用いた相変化材料と同じ再結晶化限界速度を有し、Ag/(Ag+In+Ge)の値が異なる相変化材料を用いた場合の比較を行った。用いた材料を表3に示す。
これらの相変化材料を用いた光ディスクを実施例1と同様にして作製し、ディスク回転線速14m/sでのディスク評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図9に示す。図から、Ag/(Ag+In+Ge)が0.10以下の材料で良好な結果が得られる事が分る。
以上の事から、本発明の構成とすれば、高線速での記録特性が改善された光ディスクを作製できる事が分った。
以上の事から、本発明の構成とすれば、高線速での記録特性が改善された光ディスクを作製できる事が分った。
<実施例10〜12>
実施例3で作製した光ディスクの層構成に対し、更に表4の実施例10〜12に示すような部分に酸化物層を加えた光ディスクを、酸化物層の成膜以外は実施例3と同様にして作製した。酸化物層の材料には〔(ZrO2)0.97(Y2O3)0.03〕0.8(TiO2)0.2を用い、RFスパッタにより成膜レート1nm/sで厚さ2nm成膜した。
このようにして作製した光ディスクの回転線速14m/sでの評価を実施例1と同様にして行い、1000回記録時の記録パワーとジッターの関係をそれぞれ比較した。その結果を図10に示す。図から酸化物層を設ける事で1000回記録時の高パワー側のジッターが改善される事が分る。特に両側に酸化物層を設けた場合の効果は顕著である。
実施例3で作製した光ディスクの層構成に対し、更に表4の実施例10〜12に示すような部分に酸化物層を加えた光ディスクを、酸化物層の成膜以外は実施例3と同様にして作製した。酸化物層の材料には〔(ZrO2)0.97(Y2O3)0.03〕0.8(TiO2)0.2を用い、RFスパッタにより成膜レート1nm/sで厚さ2nm成膜した。
<実施例13>
実施例3の層構成の光ディスクに対して更に酸化物層を加えた場合の酸化物層の膜厚と記録特性の関係を調べた。膜厚は、0nm(実施例3)、1nm、2nm、4nm、5nm、6nm、8nmとし、記録パワー19mWでの1000回記録時のジッターを比較した。その結果を図11に示す。
図から分るように、酸化物層の膜厚の増加に伴いジッターが改善され、2nm以上では明瞭な改善効果が見られる。なお、図11では実施例3の光ディスクのジッターが10.6となっているが、このデータは19mWという高い記録パワー条件下での1000回記録に関するものであり、通常の条件では、前述した図3〜図4に示すようにジッター9%以下を満たす。
次に、これらの光ディスクを実施例1と同様な記録方法を用いて最適パワーで1回記録した後80℃85%RHの環境に置き、100時間後のジッターの変化を比較した。その結果を図12に示す。
図から分るように酸化物層の膜厚が6nm以上では保存特性が悪化している。なお、酸化物層の膜厚の影響は挿入する場所には依存せず、膜厚を2nmとした実施例10と実施例12でも、上記膜厚を2nmとした光ディスクと同程度の効果が確認できた。
実施例3の層構成の光ディスクに対して更に酸化物層を加えた場合の酸化物層の膜厚と記録特性の関係を調べた。膜厚は、0nm(実施例3)、1nm、2nm、4nm、5nm、6nm、8nmとし、記録パワー19mWでの1000回記録時のジッターを比較した。その結果を図11に示す。
図から分るように、酸化物層の膜厚の増加に伴いジッターが改善され、2nm以上では明瞭な改善効果が見られる。なお、図11では実施例3の光ディスクのジッターが10.6となっているが、このデータは19mWという高い記録パワー条件下での1000回記録に関するものであり、通常の条件では、前述した図3〜図4に示すようにジッター9%以下を満たす。
次に、これらの光ディスクを実施例1と同様な記録方法を用いて最適パワーで1回記録した後80℃85%RHの環境に置き、100時間後のジッターの変化を比較した。その結果を図12に示す。
図から分るように酸化物層の膜厚が6nm以上では保存特性が悪化している。なお、酸化物層の膜厚の影響は挿入する場所には依存せず、膜厚を2nmとした実施例10と実施例12でも、上記膜厚を2nmとした光ディスクと同程度の効果が確認できた。
<実施例14>
実施例13の酸化物層の膜厚が2nmの光ディスクにおける酸化物層の材料中のTiO2量と記録特性の関係を調べた。TiO2量が0モル%、10モル%、20モル%、40モル%、50モル%、60モル%である酸化物層を設けた光ディスクを作製し、記録パワー19mWでの1000回記録時のジッターを比較した。その結果を図13に示す。
図から分るようにTiO2量が10モル%未満又は50モル%より多い場合はジッター特性の改善効果が得られない。なお、TiO2量の影響は挿入する場所には依存せず、実施例10と実施例12でも同程度の効果が確認できた。
以上の事から、本発明の構成とすれば、高線速時の記録特性、特に高パワー側でのDOW特性を改善できる事が分かった。
実施例13の酸化物層の膜厚が2nmの光ディスクにおける酸化物層の材料中のTiO2量と記録特性の関係を調べた。TiO2量が0モル%、10モル%、20モル%、40モル%、50モル%、60モル%である酸化物層を設けた光ディスクを作製し、記録パワー19mWでの1000回記録時のジッターを比較した。その結果を図13に示す。
図から分るようにTiO2量が10モル%未満又は50モル%より多い場合はジッター特性の改善効果が得られない。なお、TiO2量の影響は挿入する場所には依存せず、実施例10と実施例12でも同程度の効果が確認できた。
以上の事から、本発明の構成とすれば、高線速時の記録特性、特に高パワー側でのDOW特性を改善できる事が分かった。
<実施例15>
実施例3と同様にして作製した光ディスクを表5に示す初期化線速で初期化した。ヘッドの送り速度は実施例1と同じで、レーザーパワーについては、媒体のグルーブ面での反射率のパワー依存性を評価し、トラック周内分布が均一になる最小のパワーとした。具体的なパワーは表5に示す通りである。但し、初期化線速12.0m/sの場合はレーザーパワーを調整してもトラック周内分布を均一にする事ができず記録特性を評価できなかった。
この光ディスクの回転線速14m/sでの評価を実施例1と同様にして行い、2回記録時のジッターとの関係をそれぞれ比較した。なお、ピークパワーPwは最適な条件を用いた。その結果を図14に示す。図から分るように、本発明の構成とすれば高線速時の2回記録時のジッター特性を改善する事ができる。
次に、初期化線速11.0m/sの場合と同じ初期化線速、ヘッドの送り速度を用い、初期化パワーを、1000mW、1100mW、1250mW、1300mW、1350mW、1400mW、1450mWと変化させて光ディスクを作製し、実施例1と同様にして記録を行い、2回記録時のジッターとの関係をそれぞれ比較した。その結果を図15に示す。図から、初期化パワー依存性は小さくマージンが広い事が分る。
実施例3と同様にして作製した光ディスクを表5に示す初期化線速で初期化した。ヘッドの送り速度は実施例1と同じで、レーザーパワーについては、媒体のグルーブ面での反射率のパワー依存性を評価し、トラック周内分布が均一になる最小のパワーとした。具体的なパワーは表5に示す通りである。但し、初期化線速12.0m/sの場合はレーザーパワーを調整してもトラック周内分布を均一にする事ができず記録特性を評価できなかった。
この光ディスクの回転線速14m/sでの評価を実施例1と同様にして行い、2回記録時のジッターとの関係をそれぞれ比較した。なお、ピークパワーPwは最適な条件を用いた。その結果を図14に示す。図から分るように、本発明の構成とすれば高線速時の2回記録時のジッター特性を改善する事ができる。
1 基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 硫化防止層
6 反射層
7 保護層
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 硫化防止層
6 反射層
7 保護層
Claims (17)
- 透光性を有する基板上に、少なくとも下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を設けた光記録媒体において、該記録層が下記の組成式で示される相変化材料(式中、a、b、x、y、cは原子比、a+b+x+y+c=1である。)から成る事を特徴とする光記録媒体。
AgaInbSbxTeyGec
0≦a≦0.015
0.010≦b<0.080
0.600≦x≦0.800
0.100≦y≦0.300
0.010≦c<0.080
0.050<a+b+c<0.090
a/(a+b+c)≦0.10 - 0.001≦a≦0.015、0.060≦a+b+c≦0.080である事を特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 0.065≦a+b+c≦0.075である事を特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
- 0.75≦x/(x+y)≦0.85である事を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
- 記録可能最高線速をRmaxv(m/s)として、記録層の再結晶化限界速度RCv(m/s)が下記の式を満足するような組成の相変化材料を用いた事を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
3.5(m/s)<Rmaxv−RCv<5(m/s) - 記録層と上部保護層の間及び/又は記録層と下部保護層の間に酸化物材料からなる誘電体層を設けた事を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体。
- 酸化物材料の主成分が、酸化ジルコニウムと酸化チタンから成る事を特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
- 酸化物材料として、更に希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物を含む事を特徴とする請求項7記載の光記録媒体。
- 希土類酸化物又はベリリウムとラジウムを除くIIa族の酸化物の含有量が酸化ジルコニウムに対して1〜10モル%の範囲にある事を特徴とする請求項8記載の光記録媒体。
- 酸化チタンの含有量が酸化物材料全体の10〜50モル%である事を特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の光記録媒体。
- 誘電体層の膜厚が2〜5nmである事を特徴とする請求項6〜10の何れかに記載の光記録媒体。
- 下部保護層の膜厚が40〜80nm、記録層の膜厚が5〜20nm、上部保護層の膜厚が5〜20nm、反射層の膜厚が100〜200nmの範囲にある事を特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
- 基板が、溝ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの蛇行溝を有する事を特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の光記録媒体。
- 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化された事を特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の光記録媒体。
- 再結晶化限界速度が9.0〜10.2m/sの範囲にあり、3.5〜14m/sの範囲の記録再生線速で記録再生可能である事を特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の光記録媒体。
- 最内周記録時の線速が3〜4m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が8〜9m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードと、最内周記録時の線速が5〜6m/sの範囲であり、最外周記録時の線速が13〜14m/sの範囲となるように角速度一定で光記録媒体を回転させるモードの2種類の角速度一定記録方式により記録が可能である事を特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の光記録媒体。
- 再結晶化限界速度に対して、−2〜+1.0m/sの範囲内の初期化線速で初期化を行う事を特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の光記録媒体の初期化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003359655A JP2005119242A (ja) | 2003-10-20 | 2003-10-20 | 光記録媒体とその初期化方法 |
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- 2003-10-20 JP JP2003359655A patent/JP2005119242A/ja active Pending
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