JP2004206866A - 光記録方法 - Google Patents

光記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004206866A
JP2004206866A JP2003413893A JP2003413893A JP2004206866A JP 2004206866 A JP2004206866 A JP 2004206866A JP 2003413893 A JP2003413893 A JP 2003413893A JP 2003413893 A JP2003413893 A JP 2003413893A JP 2004206866 A JP2004206866 A JP 2004206866A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
pulse
mark
rewritable
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003413893A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4303575B2 (ja
Inventor
Masaaki Mizuno
正明 水野
Hiroyuki Hoshino
博幸 星野
Takashi Ono
孝志 大野
Michikazu Horie
通和 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003413893A priority Critical patent/JP4303575B2/ja
Publication of JP2004206866A publication Critical patent/JP2004206866A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4303575B2 publication Critical patent/JP4303575B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/004Recording, reproducing or erasing methods; Read, write or erase circuits therefor
    • G11B7/006Overwriting
    • G11B7/0062Overwriting strategies, e.g. recording pulse sequences with erasing level used for phase-change media

Landscapes

  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
  • Optical Head (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 例えばDVD−RWのような大容量の書換型光記録媒体において、高速記録を実現できるようにする。
【解決手段】 書換型光記録媒体の相変化型記録層を結晶状態にして情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、記録速度が書換型光記録媒体の書換可能な記録線速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスを一つのブロックパルスとし、記録速度が書換型光記録媒体の書換可能な記録線速度の範囲内である場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスを複数の短パルスからなるパルス列とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばDVD−RWのような大容量の書換型光記録媒体に用いられる、光記録方法及びこの光記録方法を用いる記録再生装置に関する。
現在実用化されている光記録媒体は、再生専用型、追記型、書換型に大別される。このうち、記録可能な媒体としては、1回のみ記録可能な追記型と、繰り返し記録消去可能(書換可能)な書換型(書換可能型)とがある。
追記型光記録媒体の代表例としては、近年広く普及している有機色素を記録層としたCD−Rを挙げることができる。一方、書換型光記録媒体としては、光磁気効果を利用した光磁気記録媒体(光磁気ディスク)や可逆的な結晶状態・非晶質状態の変化に伴う反射率差を利用した相変化型光記録媒体(相変化記録ディスク)が実用化されている。
このうち、書換型光記録媒体の一つであるCD−RWは約1000回の書換が可能であり、反射率を除きCDと互換性がとれることから、近年広く普及している。記録媒体としては書換型の媒体(例えばCD−RW)の方が、逐次、情報を書き換えることができるので、追記型専用の媒体(例えばCD−R)と比較して、文書ファイル等を作成するユーザにとっては使い勝手が非常によい。
また、例えば映画などの動画データを記録するにはCD−RやCD−RWのような光記録媒体では容量が不十分であったため、光記録媒体においては大容量化が望まれていたが、近年、650MB程度の容量を持つCD−RやCD−RWに対して約7倍の4.7GBの大容量を持つDVD−RやDVD−RWなどが実用化されるに至っている(例えば非特許文献1参照)。この結果、大容量のDVD−RやDVD−RWを用いることで、1枚の媒体に例えば映画をまるごと記録できるようになってきている。なお、DVD−Rは色素を記録層とした追記型光記録媒体であり、DVD−RWは書換型相変化光記録媒体である。
このような書換型光記録媒体の一つであるCD−RWやDVD−RWは、1回のみ記録可能な追記型光記録媒体の一つであるCD−RやDVD−Rと用途に応じて使い分けられている。つまり、例えば書き換える必要がある場合には、書換型光記録媒体であるCD−RWやDVD−RWを使用し、書き換える必要がない場合には追記型光記録媒体であるCD−RやDVD−Rを使用するというように、用途に応じて棲み分けが図られている。このため、例えば書換型の媒体(例えばCD−RW)を敢えて追記型(例えばCD−R)として用いるのは、書換型の媒体のポテンシャルを十分に利用しないばかりか、敢えて書換可能な媒体を用いる必要もないため、通常、そのような使われ方はされていない。
"DVD(ディーブィーディー)、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW"、[online]、2001/2/25、2001/9/10、FPCUグループ、[平成14年12月11日検索]、インターネット<URL:wysiwyg://17/http://www.nifty.ne.jp/forum/fpcu/words/dvd.htm>
ところで、上述のように、大容量のDVD−R(以下本明細書では、レコーダブルDVDという。)やDVD−RW(以下本明細書では、リライタブルDVDという。)が実用化されるにつれて、今度はいかに高速記録を行なえるようにするかが重要になってきた。つまり、容量が大きくなると、記録させる情報量(データ量)も増え、それだけ記録に要する時間が長くなるため、比較的容量の小さい例えばCD−RやCD−RWなどのCDと比べ、大容量のレコーダブルDVDやリライタブルDVDなどのDVDでは高速記録を実現することが重要な課題となってきた。
このような要請に応えるべく、初代レコーダブルDVDの記録線速度は3.49m/sであったが、その4倍速のレコーダブルDVDが実用化されつつある。しかし、これでも不十分であるとされ、ユーザからは8倍速度以上の高速記録を望む声が強い。
しかしながら、レコーダブルDVDでは、高速記録を行なおうとすると記録マーク間で熱干渉が生じる傾向にあり、より高いレベルでの高速記録の実現は困難であるとされている。つまり、有機色素を用いたレコーダブルDVDでは、波長660nm近傍の半導体レーザ光を照射してマークを記録する。このようなレコーダブルDVDでは、記録速度が上がるにつれて(即ち、記録周波数が高くなるにしたがって)、記録に要するレーザパワーがリライタブルDVDに比べて増大する上に、記録マークを形成するために照射したレーザ光によって発生した熱を十分に逃す時間を確保することが困難となる。このため、レコーダブルDVDにおいては、マーク記録で発生した熱が前後のマーク形成に及ぼす影響がより大きくなる傾向にあり、記録マークを正確に形成することが困難となる傾向にある。かかる熱干渉により、有機色素を用いたレコーダブルDVDでは、より高いレベルの記録線速度において記録パワーのマージンが狭くなる傾向がある。このため、レコーダブルDVDでは、8倍速以上での高速記録を実現するのは難しいと考えられている。
一方、リライタブルDVDでは、記録マーク間の熱干渉は軽微であり実質的に問題とならないものの、情報を記録する(書き込む)際に消去を行なう必要があるため、現在のところ、書換可能な記録線速度は2.4倍速程度に留まっている。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、大容量の光記録媒体において、高速記録を実現できるようにした、光記録方法及びこの光記録方法を用いる記録再生装置を提供することを目的とする。
このため、本発明の光記録方法は、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数)を有する非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、
(M−1)記録速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度の範囲内である場合は、
時間的長さnTを、
η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
(mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射して、
nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
複数の記録マーク間には、消去パワーPe(Peは1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射し、
(M−2)記録速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速い場合は、
nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成することを特徴としている(請求項1)。
好ましくは、バイアスパワーPbi及びPbHが、消去パワーPeよりも小さくなるようにする(請求項2)。
また、記録速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速い場合において、
nT(nはk0以上の自然数、k0は2又は3)の記録マークを、k0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する記録マーク(k1は整数)と、(k0+k1)T以上の時間的長さを有する記録マークとに分け、
γ(γは0以上2以下の値)をnによって異なり得るものとし、
0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する記録マークを形成する場合には、記録マークの始点からTdkT(Tdkは−1から1の間の値)の時間だけ遅れた時点から記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成し、
(k0+k1)T以上の時間的長さを有する記録マークを形成する場合には、記録マークの始点から記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成するように構成するのが好ましい(請求項3)。
さらに、記録速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度の範囲内である場合は、
nTの時間的長さを有する記録マークを形成する際に、
n=2m(mはパルス分割数、1以上の自然数)なる記録マークについては、時間的長さ(n−j)T(jは−2〜2なる実数)を、
α1T、β1T、α2T、β2T、・・・・、αmT、βm
からなるm個のαiTとβiTとからなる区間(ただしΣi(αi+βi)=n−j)
に分割し、
n=2m+1なる記録マークについては、時間的長さ(n−k)T(kは−2〜2なる実数)を、
α1’T、β1’T、α2’T、β2’T、・・・・、αm’T、βm’T
からなるm個のαi’Tとβi’Tからなる区間(ただし、Σi(αi’+βi’)=
n−k)に分割し、
m≧4では、βi-1+αi=βi-1’+αi’=2±0.2(i=3〜m−1)として、
αiT及びαi’Tの時間内には、記録パワーPwi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射し、
βiT及びβi’Tの時間内には、バイアスパワーPbi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射するように構成するのが好ましい(請求項4)。
また、記録パワーPwiが、1≦i≦mにおいて一定値PwLであり、
バイアスパワーPbiが、1≦i≦mにおいて一定値PbLであるのが好ましい(請求項5)。
さらに、α1≠α1’、β1≠β1’、α2≠α2’、βm-1≠βm-1’、αm≠αm’及びβm≠βm’のうちの少なくとも一つを満たすようにするのが好ましい(請求項6)。
また、βm-1≠βm-1’及びαm≠αm’を満たすようにするのが好ましい(請求項7)。
本発明の書換型光記録媒体は、上記の光記録方法によって情報を記録される書換型光記録媒体であって、相変化型記録層がSbを主成分とする組成であることを特徴としている(請求項8)。
本発明の記録再生装置は、相変化型記録層を有し、相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、この未記録・消去状態に様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数)の非晶質状態の記録マークを形成することによって、情報を記録する円盤状の書換型光記録媒体を装着し、書換型光記録媒体を回転させた状態で書換型光記録媒体に記録光を照射することによって情報の記録を行う記録再生装置であって、
書換記録モード、ライトワンス記録モード、及びDC消去モードの3つの記録光照射モードを有し、
(A−1)書換記録モードにおいては、
情報の記録を行なう書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、書換型光記録媒体の書換可能な記録速度の範囲内となるように書換型光記録媒体を回転させた状態で、
時間的長さnTを、
η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
(mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射し、
nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
複数の記録マーク間には、消去パワーPe(Peは1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射することによって、書換型光記録媒体に記録を行い、
(A−2)ライトワンス記録モードにおいては、
情報の記録を行う書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速くなるように書換型光記録媒体を回転させた状態で、
nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成することによって、書換型光記録媒体に記録を行い、
(A−3)DC消去モードにおいては、
情報の消去を行う書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、書換型光記録媒体の書換可能な記録速度の範囲内となるように書換型光記録媒体を回転させた状態で、消去パワーPDCの記録光を照射することによって、書換型光記録媒体に記録されている情報の消去を行い、
(A−4)書換記録モードを実行した後にライトワンス記録モードを実行する場合、又は、ライトワンス記録モードを実行した後に再度ライトワンス記録モードを実行する場合には、DC消去モードを行って書換型光記録媒体に記録されている情報を消去するように構成されることを特徴としている(請求項9)。
好ましくは、バイアスパワーPbi及びPbHが、消去パワーPeよりも小さくなるように構成する(請求項10)。
また、記録パワーPwiが、1≦i≦mにおいて一定値PwLであり、バイアスパワーPbiが、1≦i≦mにおいて一定値PbLであるのが好ましい(請求項11)。
さらに、DC消去モードにおける消去パワーPDCが、書換記録モードにおける消去パワーPeと等しくなるようにするのが好ましい(請求項12)。
本発明の光記録方法は、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、記録マークの長さが所定長さ以上のときは、ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにし、記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、ブロックパルスの開始時期がデータ信号パルスの開始時期よりも第2所定時間だけ遅れるようにするとともに、ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにするとともに、記録速度が書換可能な記録速度以下の場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして複数の記録パルスからなるパルス列を用いることを特徴としている(請求項13)。特に、第1所定時間及び第2所定時間を、記録マークの長さに応じて変化させるようにするのが好ましい。
好ましくは、パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが偶数であるときは、後続パルス列における一対の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものが略2になるようにする(請求項14)。
また、パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが奇数のときは、後続パルス列を構成する冷却パルスと記録パルスとの対のうち、最先の冷却パルスと記録パルスとの対及び最後の冷却パルスと記録パルスとの対以外の、一対の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものが略2になるようにするのが好ましい(請求項15)。
さらに、パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、後続パルス列を構成する記録パルスの数を、nが奇数であるか偶数であるかに関わらず同数にし、nが奇数の場合は、後続パルス列を構成する、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、及び最後の記録パルスのパルス幅から選ばれる少なくとも1つを、nが偶数の場合の、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、最後の記録パルスのパルス幅のそれぞれに対して変化させるように構成するのが好ましい(請求項16)。
本発明の光記録方法は、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、記録マークの長さが所定長さ以上のときよりも、ブロックパルスの開始時期が所定時間だけ遅れるようにすることを特徴としている(請求項17)。
本発明の記録再生装置は、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いられる記録再生装置であって、記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、記録マークの長さが所定長さ以上のときは、ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにし、記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、ブロックパルスの開始時期がデータ信号パルスの開始時期よりも第2所定時間だけ遅れるようにするとともに、ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにするとともに、記録速度が書換可能な記録速度以下の場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして複数の記録パルスからなるパルス列を用いるように構成されることを特徴としている(請求項18)。
以上詳述したように、本発明の光記録方法及び記録再生装置によれば、例えばリライタブルDVDのような大容量の書換型光記録媒体を追記型光記録媒体(ライトワンスメディア)として用い、記録速度に応じた記録パルスとすることで、大容量の光記録媒体における高速記録を実現できるという利点がある。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[1]書換可能な相変化型記録層を有する光記録媒体(書換型光記録媒体)を追記型光記録媒体(ライトワンスメディア)として用いる意義
書換可能な相変化型記録層を有する光記録媒体(単に相変化型光記録媒体又は書換型光記録媒体という場合もある;例えばリライタブルDVDなど)においては、相変化型記録層(単に記録層という場合もある)に光(例えばレーザ光)を照射して、相変化型記録層の結晶状態を未記録状態又は消去状態とし、非晶質状態(アモルファス状態)を記録状態とすることによって、情報の記録を行なっている。
具体的には、相変化型記録層に、異なる長さを有する複数の非晶質状態の記録マーク(本明細書では、非晶質状態の記録マークを単に記録マーク又はマークという場合がある。)を形成して情報を記録するようになっている。例えば、音楽データ,画像データ,文書データ等の各種情報は、結晶状態の相変化型記録層中に異なる長さを有する複数の記録マーク(非晶質状態)を形成することで情報を記録することになる。そして、非晶質状態の部分(記録マーク;記録部)と結晶状態の部分(記録マーク間;未記録部)とを組み合わせることによって情報が記録されることになる。
ここで、非晶質状態の記録マーク(単に非晶質マークという場合もある)は、光照射により記録層を融点より高い温度まで加熱した後に、急冷することにより形成される。急冷を行う際に十分な冷却速度が得られないと、非晶質マークは再結晶化(即ち消去)してしまうので注意が必要である。
一方、非晶質マークの消去(結晶化)は、光照射により記録層を加熱して、結晶化温度から融点直上又は融点より低い温度範囲における温度で数十から数百ナノ秒間保持することにより行われる。
通常、オーバーライト時(書換時)の線速度(書換線速度)が速いほど、ビーム走査方向(非晶質マークの長さ方向)及びビーム走査方向に直交する方向(垂直方向,非晶質マークの幅方向)におけるそれぞれの温度分布が急峻になる。このため、オーバーライト時の線速度が速くなると、特に非晶質マークの幅全体を上記の温度範囲内の温度で十分な時間保持して結晶化(非晶質マークの消去)するのが困難になる。そして、結晶化(消去)が不十分な場合、非晶質マークの周辺部に消去残りが生じることとなる。したがって、相変化型光記録媒体を書換型光記録媒体として用いる場合には、オーバーライト可能な線速度の上限は、上記消去残りが生じるか否かで決まることになる。
例えば大容量の書換型光記録媒体であるリライタブルDVDでは、情報を記録する(書き込む)際に消去を行なう必要があるため、書換可能な記録線速度は2.4倍速程度に留まっているのが現状である。
一方、相変化型光記録媒体を例えばレコーダブルDVDのような追記型光記録媒体として用いる場合(即ち、初期化状態或いは結晶状態とされた相変化型記録層に一回だけ記録を行なう媒体として用いる場合)には、記録されている情報を消去しなくても良いため、記録を行なう線速度(書込線速度)をオーバーライト可能な線速度よりも速くする(高速にする)ことができる。
例えば、相変化型光記録媒体の製造後は、相変化型記録層の全面が初期化されており、結晶状態(消去状態)とされているため、初回の記録はオーバーライト可能な線速度よりも高速の線速度で記録を行なうことが可能となる。また、例えば、相変化型光記録媒体に既に情報(データ)が記録されている場合であっても、DC光を照射して情報を消去してから(相変化型記録層を結晶状態に戻してから)、記録を行なうようにすれば、オーバーライト可能な線速度よりも高速の線速度で記録を行なうことが可能となる。
また、有機色素を記録層に用いる大容量のレコーダブルDVDでは、記録マーク間の熱干渉の影響が大きくなる傾向があるため、線速度を例えば8倍速以上とすることは難しいとされている。これに対し、相変化型記録層を用いる大容量のリライタブルDVDでは、有機色素を記録層に用いるレコーダブルDVDとは記録層の材料や層構成等が異なる。このため、相変化型記録層を用いる大容量のリライタブルDVDでは、有機色素を記録層に用いるレコーダブルDVDほどは熱干渉の影響が大きくなる傾向がなく、より高速の線速度での記録を容易に行なうことが可能となる。
さらに、有機色素を記録層に用いるレコーダブルDVDの記録可能回数は一回限りである。その特性に適した用途としては、記録データの改竄が出来ないことから公文書等の記録に用いることが挙げられる。しかし、一般的な用途においては、書き換えが可能である方が望ましい場合が多い。更に、書換可能すなわち繰り返し記録が出来るということは、資源と環境への負担を低減することができるという点からも重要である。
従って、相変化型記録層を有するリライタブルDVDのような書換型光記録媒体を、敢えて積極的にレコーダブルDVDのような追記型光記録媒体(ライトワンスメディア)として用いるようにすれば、情報を記録する際に消去を行なう必要がなくなるため、DVDという大容量の光記録媒体において、有機色素を記録層に用いるレコーダブルDVDでは実現が難しいとされる、より高速の記録線速度(記録速度)での記録(高速記録)が可能となる。このため、DVDという大容量の光記録媒体において、例えば大容量データなどを高速でダビングできるようになる。また、相変化型記録層を有するリライタブルDVDのような書換型光記録媒体を、敢えて積極的にレコーダブルDVDのような追記型光記録媒体(ライトワンスメディア)として用いるようにすれば、資源と環境への負担も軽減することができる。
そこで、本実施形態では、例えば4GB以上の大容量のリライタブルDVD(書換型光記録媒体)に情報の記録(書き込み)を行なう際には、相変化型記録層を予め結晶状態(消去状態)としておき、記録時に消去を行なわなくても書き込みを行なえるようにする。このような実施形態を採用することによって、より高速な記録線速度での書き込み(高速記録)を行なえるようにしている。なお、このような書込モードをライトワンス記録モードという。
これにより、記録可能な(書込可能な)線速度の上限を上げることができ、この結果、記録可能な線速度の範囲を広範なものとすることができる。
なお、例えばリライタブルDVDのような書換型光記録媒体の相変化型記録層は、例えば出荷時や販売時などには初期状態として結晶状態(消去状態)となっているため、この状態でライトワンスメディアとして用いることができる。但し、既に相変化型記録層に情報が書き込まれている場合(相変化型記録層に非晶質の記録マークが形成されている状態)であっても、ライトワンス記録モードでの書き込みを行なう前にDC光を照射することで相変化型記録層を結晶状態(消去状態)にすれば、ライトワンスメディアとして用いることができる。
ところで、最高記録線速度が高くても、記録可能な線速度の範囲が狭いと限定的な使用方法にとどまることがある。
リライタブルDVDにおける記録は、通常、回転速度一定のCAV(Constant Angular Velocity)記録、PCAV(Partial Constant Angular Velocity)記録、又は線速度一定のCLV(Constant Linear Velocity)記録、ZCLV(Zoned Constant Linear Velocity)記録で行われる。
CLV記録では、頻繁に回転速度を変更するため、モータの加速・減速のために多大な電力を消費するが、CAV記録ではその必要が無く、ドライブの消費電力を大幅に改善できる利点がある。特にノート型パーソナルコンピュータ(PC)に内蔵されるような薄型のドライブでは消費電力を抑える必要があり、薄型ドライブで高速CAV記録するという使用方法を採ることが望まれる。
しかし、リライタブルDVDにおいて記録時間短縮等のために、回転速度を一定とするCAV記録を実施すると、最外周での記録線速度は最内周での記録線速度の約2.5倍に達することとなる。例えば、最内周での記録線速度が2.4倍速である場合、最外周での記録線速度は6倍速となる。従って、CAV又はPCAV記録を良好に行うためには、広範囲な記録線速度で光記録媒体に記録を行う必要がある。
ここで、広範な記録線速度に対応するために、記録マーク形成時のレーザのオン・オフを制御する記録ストラテジーを、記録線速度に応じて変化させる記録方法を採用することが考えられる。
しかしながらここで留意しなければならないのは、記録線速度に応じて記録ストラテジーを複雑に変化させると、記録装置(ドライブ、記録再生装置)への負担が重くなってしまうことである。従って、記録線速度に応じて記録ストラテジーを変化させなければならない場合も、その変化は単純且つ規則性が高くすることが望まれる。
そこで、本発明者らが、広範囲な記録線速度で良好な記録を行なえるようにするとともに、広範囲な記録線速度における記録ストラテジーの制御を容易にすべく鋭意検討した結果、書換型光記録媒体(例えば大容量のリライタブルDVDなど)の相変化型記録層を予め結晶状態(消去状態)としておき、記録時(書き込み時)に消去を伴わずに書き込みを行なう場合(ライトワンス記録モード時)に、記録線速度が所定記録線速度以上であるか否か(例えば記録線速度が書換可能な最大記録線速度以上であるか否か、即ち、記録線速度が所定記録線速度よりも速いか否か;例えば記録線速度が書換可能な最大記録線速度よりも速いか否か)によって、後述するように記録方法を変えることが望ましいことを見出した。
なお、ライトワンス記録モードで書き込みを行なって情報(データ)を記録させた場合であっても、書換可能な線速度の範囲内で書き換え(オーバーライト)を行なうことは可能である。
[2]光記録方法
上述のように、相変化型記録層を有するリライタブルDVDのような書換可能型光記録媒体を、敢えて積極的に追記型光記録媒体として用いる場合、広範な線速度での記録が可能となるように記録方法(光記録方法)を工夫する必要がある。
このため、本実施形態にかかる光記録方法では、相変化型記録層(特にアンチモンSbを主成分とする組成のもの)を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する。そして、この光記録方法において、記録速度が所定記録速度以上である場合(例えば記録線速度が書換可能な最大記録線速度以上である場合、即ち、記録速度が所定記録速度よりも速い場合;例えば、書換型光記録媒体の書換可能な最大記録線速度よりも速い場合)は、一つの記録マークを形成するためにの記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、記録速度が所定記録速度よりも低い場合(例えば記録線速度が書換可能な記録線速度よりも低い場合、即ち、記録速度が所定記録速度以下の場合;例えば、書換型光記録媒体の書換可能な最大記録線速度以下の場合)は、一つの記録マークを形成するために複数の記録パルスからなるパルス列を用いるようにしている。
つまり、本実施形態では、例えばリライタブルDVDのような書換型光記録媒体を敢えてライトワンスディスクとして用いるため、記録マークの形成を行なう際には相変化型記録層は結晶状態(消去状態)になっている。
まず、例えば情報を記録する際に、ユーザが記録速度(書込速度;例えばX倍速)を指定すると、ドライブ(記録再生装置)側に指定された記録速度が入力され(これを入力記録速度という)、これに応じてドライブ(記録再生装置)側で記録線速度が設定される(これを入力記録線速度という)。
次に、ドライブは、入力記録速度(入力記録線速度)が、ドライブに挿入された書換型光記録媒体における所定記録速度(所定記録線速度;例えば書換可能な線速度)であるか否かを判定する。
例えば、書換型光記録媒体(光ディスク)を一定の線速度で回転させる場合(CLV方式)、入力記録線速度が所定記録線速度(例えば、挿入された書換型光記録媒体における書換可能な線速度)以上であるか(即ち、所定記録線速度よりも速いか)否かを判定する。
一方、例えば書換型光記録媒体を一定の回転速度で回転させる場合(CAV方式)、線速度は内周側よりも外周側の方が速くなるように所定の範囲を有するものとして設定されることになる。このため、例えば、上記所定範囲の入力記録線速度の全てが所定記録線速度以上であるか否か(例えば書換可能な線速度以上であるか否か、即ち、所定記録線速度よりも速いか否か;例えば、挿入された書換型光記録媒体における書換可能な線速度よりも速いか否か)を判定する。また、例えば最内周の線速度(最も遅い線速度)が所定記録線速度以上であるか否か(例えば書換可能な線速度以上であるか否か、即ち、所定記録線速度よりも速いか否か;例えば、挿入された書換型光記録媒体における書換可能な線速度よりも速いか否か)を判定するようにしても良い。
そして、記録速度が所定記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスを一つのブロックパルスとする。一方、記録速度が所定記録速度以下の場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスを複数の短パルスからなるパルス列とする。この場合の記録方法の詳細は後述する。
以下、本実施形態にかかる光記録方法について、相変化型光記録媒体としてリライタブルDVDを例にとって、より具体的に説明する。
[2A]所定記録速度(所定記録線速度;例えば書換可能な線速度)よりも速い記録速度(線速度)での記録方法
[2A−1]記録線速度範囲と記録方法
現状の光ディスクドライブ(光記録媒体の記録再生装置)では、光記録媒体(以下、光ディスク又はディスクという場合もある)を回転させるスピンドルモータの回転数は、10000rpm程度が上限となる。これは、光ディスクの基板として通常用いられる分子量12000〜20000のポリカーボネート樹脂が、これ以上の回転数では遠心力により破壊してしまうおそれがあるためである。
リライタブルDVDは、通常、直径12cmの円盤形状をしており、少なくとも半径23mm〜58mm(好ましくは22〜58mm)の範囲にわたって記録領域を有する。一方、リライタブルDVDにおける基準線速度は3.49m/sである。従って、約10000rpmでディスクを回転(CAV回転)させると、記録領域の最内周(半径22mm位置)における線速度は、基準線速度の約7倍速となり、記録領域の最外周(半径58mm位置)における線速度は、基準線速度の約17倍速となる。従って、基準線速度の約17倍速程度が、現時点におけるリライタブルDVDにおける記録速度(書込速度)の物理的な限界となる。
現在、リライタブルDVDは、基準線速度の1倍速〜2.4倍速で書換可能なものが実用化されている。この場合、書換可能な線速度の範囲(消去しながら書き込みを行なうことができる線速度範囲)は基準線速度の1倍速〜2.4倍速の範囲となる。従って、現在実用化されているリライタブルDVDにおいては、2.4倍速よりも大きく、約17倍速以下が書換可能な記録線速度よりも速い記録線速度範囲となる。尚、リライタブルDVDにおける書換可能な記録線速度の上限は、いずれ4倍速から5倍速程度となるであろう。従って、書換可能な記録線速度よりも速い記録線速度範囲は、いずれ4倍速から5倍速程度よりも大きく、約17倍速以下となるであろう。
そこで、本発明者らは、大容量のリライタブルDVDにおいて、書換可能な線速度よりも速い線速度(書換可能な記録速度よりも速い記録速度)において、未記録又は消去状態(結晶状態)の相変化記録層への非晶質マークの良好な記録を行なえるようにするための記録方法を鋭意検討した。
本発明者らが記録方法を検討する際に留意した点は、以下の2つである。
(1)まず、書換可能な線速度よりも速い記録線速度のように高速で記録を行なう場合、低速での記録の場合と比較して、相変化型記録層を溶融するのに、より大きいレーザパワーが必要となる。しかしながら、レーザパワーは、半導体レーザの最大出力パワーよりも大きくすることができない。このため、レーザパワー不足となる場合は、後述するように、レーザのオンオフを上手く制御することが(非晶質の記録マークを形成するためのレーザのオンオフを、記録ストラテジーという。)重要である。
(2)また、上記記録ストラテジーを単純化することが重要である。ここで、CAV記録では、記録領域の最内周と最外周とで2.5倍程度の線速度差がある。従って、リライタブルDVDの記録領域の内周から外周に向かって記録を行なう場合には、記録線速度が逐次変化することになるが、この記録線速度の変化に伴って記録ストラテジーを変化させることが必要となる。レーザ駆動回路(分割パルスの発生制御回路)の設計上、この記録ストラテジーの変化は、極力単純で制御しやすいものとすることが要求される。
一般に、相変化型光記録媒体においては、一つの記録マークを複数の短いパルス(分割パルス)で記録する記録ストラテジーが採用されている。しかしながら、この記録ストラテジーは、書換可能な最大記録線速度よりも速い記録線速度では用いることができないことが分かった。これは、書換可能な最大記録線速度よりも速い記録線速度の範囲では、複数の短パルスで記録ストラテジーを形成すると、記録マークの形成に用いる全体のレーザパワーが不足してしまうためである。また、高周波でレーザをパワー変調(レーザのオンオフ)しなければならないため、レーザ駆動回路(分割パルスの発生制御回路)の設計も難しい。
例えば、リライタブルDVDの基準線速度(3.49m/s)におけるクロック周期:T(本明細書においては、クロック周期をTで表す場合がある。)は約38.2nsecである。各線速度における線速度:Vとクロック周期:Tとの積:VTが一定であるため、8倍速ではクロック周期:Tは約4.8nsec、すなわち1周期の時間長(1T)は5nsec以下となる。レーザパルスは、立ち上がり立ち下がりに通常少なくとも1nsec程度を要する。従って、複数の短パルスで記録ストラテジーを形成した場合に記録層を融点以上に加熱することは、基準線速度の8倍速以上においては極めて困難となる。むしろ、従来、分割パルスストラテジーが使用されていたのは、一つのパルス(ブロックパルス)で記録した場合にマーク形状が歪んだり、十分な冷却速度が得られずに非晶質マークが再結晶化してしまうことを防ぐため(非晶質状態の記録マークを形成する際の冷却速度を確保するため)であった。
上述のような点に留意して本発明者らが検討した結果、結晶状態の相変化型記録層に情報を記録する場合であって、所定記録線速度よりも速い記録線速度(例えば、書換可能な最大記録線速度よりも速い記録線速度)で記録(書き込み)を行なう場合には、複数の短パルスで記録ストラテジーを形成する必要はなく、単純に一つのパルス(ブロックパルス)で記録しても非晶質マークを形成できる程度の十分な冷却速度が得られることがわかった。さらに検討を加えた結果、ブロックパルスによる記録ストラテジーによって記録可能な(書込可能な)線速度の下限は、書換可能な線速度範囲の上限程度であることを見出した。
つまり、結晶状態の相変化型記録層に非晶質マークを記録する場合であって、所定記録線速度よりも速い(書換可能な最大記録線速度よりも速い)線速度(書換可能な線速度の上限からディスク回転数の物理的限界で決まる速度までの線速度)で記録(書き込み)を行なう場合には、1つのパルスによる記録ストラテジーを使用するのが好ましいことがわかった。
このような、1つのパルスによる記録ストラテジーとして、本発明においては以下の記録方法を用いる。
すなわち、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数)を有する非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、記録線速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度よりも速い場合においては、nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成するのである。
なお、本発明においては、「基準クロック周期」を単に「クロック周期」と言う場合がある。また、本発明において「ブロックパルス」とは、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とからなる1つのパルスによる記録ストラテジーのことをいう。例えば、図1のような記録ストラテジーをブロックパルスという。
逆に、結晶状態の相変化型記録層に情報を記録する場合に、記録線速度を所定記録線速度以下の線速度(所定記録速度以下の記録速度;例えば書換可能な最大記録線速度以下の線速度、書換可能な記録線速度範囲の線速度)にすると、1つのパルス(ブロックパルス)で記録するには冷却速度が不十分となり非晶質マークの形成が困難になることが判明した。従って、結晶状態の相変化型記録層に情報を記録する場合に、記録線速度を所定記録線速度以下の線速度(所定記録速度以下の記録速度;例えば書換可能な最大記録線速度以下の線速度)にするときは、分割記録パルスを用いた記録ストラテジーを採用するのが好ましいことがわかった。この点については下記[2B]で詳細に説明する。
[2A−2]具体例
以下、所定記録線速度よりも速い(例えば書換可能な最大記録線速度よりも速い)線速度(記録速度)で用いる1つのパルス(ブロックパルス)による記録ストラテジーの具体例について説明する。
本発明においてブロックパルスによる記録ストラテジーとして好ましいのは、以下の記録ストラテジーである。
すなわち、記録線速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度よりも速い場合において、
nT(nはk0以上の自然数で、k0は2又は3)の記録マークを、k0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する記録マーク(ここで、k1は整数である。)と、(k0+k1)T以上の時間的長さを有する記録マークとに分け、
γ(γは0以上2以下の値)をnによって異なり得るものとし、
0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する記録マークを形成する場合には、記録マークの始点からTdkT(Tdkは−1から1の間の値)の時間だけ遅れた時点から記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成し、
(k0+k1)T以上の時間的長さを有する記録マークを形成する場合には、記録マークの始点から記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成するものである。
以下、上記記録ストラテジーにおいてk0=3、k1=3の場合を例にとって、図1(a)〜(c)を参照しながら説明する。
ここで、図1(a)〜(c)は、所定記録線速度よりも速い(書換可能な最大記録線速度よりも速い)線速度で用いる1つのパルスによる記録ストラテジーの一例を示したものであり、(a)は、nT(n=3〜14、Tはクロック周期)の時間的長さを有する非晶質状態の記録マークを形成する場合の記録データ信号(nT信号)、(b)はnが6以上におけるnTマークを形成する場合の記録ストラテジーの記録パワー波形、(c)はnが3,4,5の場合における記録ストラテジーの記録パワー波形をそれぞれ示している。
まず、nが6以上の場合、即ち時間的長さが比較的長い記録マーク(非晶質マーク)を形成する場合、図1(b)に示すように、nTのパルス長からγTのパルス長を減じたパルス長だけ記録パワーPwHのレーザを照射する記録パルスストラテジーを用いるのが好ましい。これは、例えば、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが6以上のとき(記録マークの長さが所定長さ以上の場合)は、ブロックパルスの終了時期が、nTのパルス幅を有するデータ信号パルス(nT信号)の終了時期よりもγT(第1所定時間)だけ早くなるようにすることを意味する。
ここで、γTは再生時に正確にnTマークが読み出されるように記録時のマーク長を補正するための補正時間である。γTは、記録マークの先端側,後端側のいずれに付与してもよいが、後端側に付与するのが好ましい。後端側に付与することにより記録マークの後端形状が安定して再生時のジッター特性が良好となる。なお、γは、通常0以上2以下の値とする。
なお、より正確にマーク長を制御するためには、γがnの関数として設定されるようにする(即ち、nに応じて独立に設定されるようにする)のが望ましい。つまり、γTがnに応じて変化するように設定するのが好ましい。但し、nによらずγを一定とすれば、レーザ駆動回路(分割パルスの発生制御回路)の設計が簡便となる利点はある。
次に、nが3,4,5の場合、即ち、時間的長さが比較的短い記録マーク(非晶質マーク)を形成する場合、上記γTを後端側に付与することに加え、記録パルス波形の開始時期を調整した記録ストラテジーを採用するのが好ましい。このように、マーク先端部を形成する記録パワーPwHの記録光の照射開始時期を調整することにより、時間的長さの長い長マーク(例えばnが6以上のマーク;6Tマーク〜11T,14T)の長さと、時間的長さの短い短マーク(例えばnが6よりも小さいマーク;3T,4T,5T)の長さのバランスを良好に補正することができるようになる。つまり、長マークよりも短マークの方が、記録光を照射して形成される非晶質マークの前端が目標位置よりもずれる傾向が著しいため、このように、短マークの場合にだけ、記録光の照射開始時期を調整することで、記録光を照射して形成される長マークの長さと短マークの長さとのバランスを良好なものとすることができ、よりジッターの値が良くなり、良好な記録特性が得られることになる。
具体的には、図1(c)に示すように、3T,4T,5Tマークを形成する記録パルスの開始時期は、6T以上の時間的長さの記録マークを形成する記録パルスの開始時間よりも、TdkT(所定時間)だけ遅らせる。つまり、n=6以上の記録マークの場合と比較してTdkTだけ遅れた時点から、nTからγTだけ減じた時点までレーザパワーを記録パワーPwHとする記録パルスストラテジーを採用する。
これは、例えば、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが3〜5のとき(記録マークの長さが所定長さよりも短い場合)は、ブロックパルスの開始時期(記録パワーPwHの記録光の照射開始時期)が、データ信号パルス(nT信号)の開始時期よりもTdkT(第2所定時間)だけ遅れるようにするとともに、ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルス(nT信号)の終了時期よりもγT(第1所定時間)だけ早くなるようにすることを意味する。
ここで、TdkTは、n=3,4,5の場合でそれぞれ独立に−1T〜+1Tの範囲で調節することが好ましい。つまり、Tdkをnの関数として設定されるようにする(即ち、nに応じて独立に設定されるようにする)のが望ましい。言い換えると、TdkTがnに応じて変化するように設定するのが好ましい。但し、nが3〜5のいずれであってもTdkTを一定とすれば、レーザ駆動回路(分割パルスの発生制御回路)の設計が簡便となる利点がある。
ここで、TdkTは、nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。従って、例えば、TdkT=−Tとした場合は、nTの記録マークの先頭位置よりも1T分だけ速い時期で記録パワーPwHの記録光(レーザ光)の照射を開始することになる。通常、Tdkは、−1以上、1以下の値とする。
なお、ここでは、nが6(k0=3,k1=3,n=k0+k1)以上の場合を記録マークの長さが所定長さ以上の場合とし、nが3(k0=3,n=k0),4[k0=3,k1=3,n=k0+(k1−2)],5[k0=3,k1=3,n=k0+(k1−1)]の場合を記録マークの長さが所定長さよりも短い場合としているが、これに限られるものではなく、記録マークの長さが所定長さ以上であるかを判定するのに用いられるnの値は任意に設定することができる。nは、通常は、4、5、6のいずれかの値をとる。これは、時間的長さが短いマークほど、形成される非晶質マークの前端が所定の位置よりずれる傾向が著しいためである。
上記1つのパルスによる記録ストラテジーは、レーザパワーを記録パワーPwHで維持する時間を原則としてクロック周期Tに比例させる。このため、CAV記録のように記録半径位置によって記録線速度が変化した場合においても、上記比例関係が維持される(比例係数が固定されている)ため、容易に記録パルスを形成することが可能であり、広範囲な線速度での記録が可能となる。
なお、図1(b),(c)に於けるPwHは記録パワーレベルであり、記録層を融点以上に昇温し、非晶質マークを形成するに足るパワーである。一方、PbHは非晶質マーク間に照射するバイアスパワーレベルである。
PwHとPbHとの関係は以下のように設定することが好ましい。まず、0<PbH<Pe<PwHとすることが好ましい。つまり、PbHをPeよりも小さくすることが好ましい。ここで、Peは消去パワーである。消去パワーPeについての説明は後述する。また、通常、PbH/PwH≦0.5とする。また、PbHとPeとの関係は、PbH/Pe≦0.8とすることが好ましく、PbH/Pe≦0.75とすることがより好ましく、PbH/Pe≦0.7とすることが特に好ましい。
なお、上述のように、相変化型記録層を結晶状態(未記録又は消去状態)として記録(書き込み)を行なうようにすれば、所定記録線速度(例えば書換可能な最大記録線速度)よりも速い線速度(高速の線速度)での記録(例えばライトワンス)が可能であるが、このようにして記録した非晶質マークは、書換可能(消去可能)な線速度(低速の線速度)で記録(書き換え)を行なうことで、オーバーライトが可能である。また、書き換え可能な線速度において、消去パワーレベルPDCのDC光を照射することにより消去することもできる。
[2B]所定記録線速度(所定記録速度)以下の線速度(書換可能な線速度範囲;記録速度)での記録方法(パルス分割法)
[2B−1]記録線速度範囲と記録方法
上記[2A−1]で説明したように、上記ブロックパルスを用いる記録ストラテジーは、所定記録線速度(所定記録速度;例えば書換可能な最大記録線速度)以下の記録線速度では、冷却速度が不十分となり、非晶質マークの形成が困難になる。このため、所定記録線速度以下の線速度(例えば書換可能な最大記録線速度以下の記録線速度領域)においては、記録層を融点以上に昇温する記録パワーを有する記録光(レーザ光)と、溶融した記録層を冷却する所定のバイアス(冷却)パワーを有する記録光(レーザ光)とを繰り返し照射する(分割記録パルスを用いる)ことにより、溶融領域の冷却を確保して非晶質の記録マークを形成する記録ストラテジーを採用するのが好ましい。
分割記録パルスを用いた記録ストラテジーとは、具体的には、一つの記録マークを形成するために複数(例えばパルス分割数m個)の記録パルスからなるパルス列を用い、これらの複数の記録パルスにおいては、記録層を溶融するに足る一定の記録パワーPwi(iは1≦i≦mを満たす。)のレーザ光を記録層に照射し、記録パルス間(本明細書においては、記録パルス間を冷却パルスという場合がある。)においては、バイアス(冷却)パワーPbi(iは1≦i≦mであり、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)のレーザ光を記録層に照射する記録ストラテジーをいう。
このような記録ストラテジーとしては、複数の記録パルスからなるパルス列を、概ねクロック周期の1倍(1T)の周期で繰り返し発生させる方法が従来から用いられている。これは、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さが、クロック周期の略1倍(1T)となるように構成する方法である。
ここで、リライタブルDVDの基準線速度におけるクロック周期は38.3nsecであるため、2倍速におけるクロック周期は19.1nsecとなる。つまり、リライタブルDVDの記録においては、2倍速記録の時点でクロック周期が25nsecを下回ることになる。クロック周期が25nsec以下となると、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さが概ね1Tとなる上記従来の記録方法では、記録層の溶融時間(記録パルスの時間的長さ)及び冷却時間(冷却パルスの時間的長さ)を十分に確保できなくなる。従って、基準クロック周期Tが25nsec以下となるような記録線速度における記録においては、本発明のn/m(詳細は後述する)を1.25以上とする記録方法を用いる意義が特に高い。
以上の理由から、本発明においては、上記一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さを、クロック周期の略1.25倍(1.25T)以上となるように構成する記録方法を用いる。
つまり、上記従来からの方法に対して、より記録線速度の速い記録にも対応するために、複数の記録パルスからなるパルス列の発生間隔を1Tよりも大きくする記録ストラテジーを用いる。この記録ストラテジーは、具体的には、複数の記録パルスからなるパルス列の発生間隔を概ねクロック周期の1.25倍(1.25T)以上とするものである。これは、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さを、クロック周期の略1.25倍(1.25T)以上(具体的には、1.5T、2T、2.5T、3T・・)となるように構成する方法である。
なお、本発明においては、例えば、記録パルスが概ねクロック周期(1T)で繰り返すようにする記録ストラテジーを1T分割パルス(1T分割パルス記録ストラテジー)という。同様に、例えば、記録パルスが概ねクロック周期の2倍(2T)で繰り返すようにする記録ストラテジーを2T分割パルス(2T分割パルス記録ストラテジー)という。
以下の説明では、複数の記録パルスからなるパルス列を概ねクロック周期の1.25倍以上とする記録ストラテジーについて説明する。そして、このような記録ストラテジーのより具体的な方法の一つとして2T分割パルス記録ストラテジーについて説明する。なお、以下では、特にクロック周期の1.25倍以上とする場合について説明するが、本発明は、1T分割パルス記録ストラテジーに適用できるのは言うまでもない。
但し、本発明においては2T分割パルス記録ストラテジーに限られるものではなく、例えばクロック周期の1.5倍(1.5T)、2.5倍(2.5T)、3倍(3T)等で繰り返すような記録ストラテジーとしても良い。この場合にも、後述する本実施形態における特徴的な点を適用することができる。
[2B−2]一般説明
従来から用いられている1Tパルス分割は、パルス分割数mをn−k個(kは1又は2)とするものである。例えば、11Tマーク(n=11)を形成する場合にパルス分割数mを10とすると、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものは1.1T(m=10、k=1)となる。つまり、記録パルスが1.1Tの間隔で繰り返し発生されることとなる。
これに対して、本発明で用いる光記録方法は、パルス分割方式による分割数mを少なくして記録パルスの発生間隔を長くする方法である。この方法を採用することにより、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さを長くすることができる。このため、各記録パルスが発生される時間的長さを長くすることができるようになり、書換型光記録媒体の光照射部分の加熱時間を記録パルス(レーザパルス)の応答速度(記録パルスのオン・オフ時の応答速度)に対して十分長くとることが可能となる。加えて、冷却パルスが発生される時間的長さを長くすることができるようになり、非晶質の記録マーク形成時の冷却時間を十分長くとることができるようになる。その結果、25nsec以下という短いクロック周期においても良好なマーク長記録が行なえる。本発明で用いる光記録方法は、リライタブルDVDにおいて記録線速度を2倍速以上とした場合に特に有効となる。
本発明において採用する分割記録パルスストラテジーは以下の通りである。
すなわち、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期で、nは2以上の整数である。)を有する非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、
記録線速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度の範囲内である場合は、
時間的長さnTを、
η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
(mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射し、
nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
複数の記録マーク間には、消去パワーPe(Peは1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射する。
なお、2つ以上の異なる時間的長さnTを有する記録マークを同一の分割数mで形成する記録方法を用いる場合、上記2つ以上の異なる時間的長さnTを有する記録マークのぞれぞれにおけるαi及び/又はβiを異なる値とすることが好ましい。つまり、同一の分割数mにおける、2つ以上の異なる時間的長さnTを有する記録マークにおいて、1≦i≦mのいずれかのiにおけるαiT、βiTの時間幅をそれぞれ調整して、上記2つ以上の異なる時間的長さnTを有する記録マークを形成しわけるのである。
従来の1Tパルス分割によればパルス分割数mをn−k個(kは1または2)としたが、本発明ではmを別の観点から規定する。
本発明においては、少なくとも一つの記録マークの時間的長さについては上記パルス分割数mを2以上とする。つまり、必ずしも全てのnTの記録マークについて、mを2以上とするパルス分割を行う必要はない。特に2T、3Tや4Tなどの短いマークにおいては熱の蓄積の問題が比較的小さく、パルスの応答速度が追いつかない場合があるため、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を1パルス照射するだけ、或いは記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を1パルスとバイアスパワーPbi(1≦i≦m)の記録光を1パルス照射する方が好ましい。
上記記録方法の特徴は、全ての記録マークの時間的長さについてn/m≧1.25とすることである。
仮にη1、η2を共に0とすると、Σi(αi+βi)/m=n/mであるから、n/mは(αi+βi)の平均的な長さに対応する値であり、(n/m)Tは、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足して得られる平均周期(分割パルスの平均的周期)に対応する値となる。
従来の1Tパルス分割では、m=n−kであってkは1または2に固定されているから、n/m=n/(n−1)又はn/m=n/(n−2)である。この値は、nが大きいほど小さいから、最長のマーク時間長をnmaxTとするとnmaxにおいてn/mは最小となる。即ち、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足して得られる平均周期(分割パルスの平均的周期)は最短マークで最も長く最長マークで最も短いから、αiT、βiTは最長マークで最も短い。
例えば、CDで採用されているEFM変調方式では、n=3〜11、k=2であるから、(nmax/m)は、11/(11−2)=1.22となる。また、DVDで採用されているEFM+変調方式では、n=3〜14、k=2であるから、(nmax/m)は、14/(14−2)=1.16となる。同様に、(1,7)−RLL−NRZI変調方式では、n=2〜8、k=1であるから、(nmax/m)は、8/(8−1)=1.14となる。
上記から明らかなように、従来の1Tパルス分割では、一の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足して得られる平均周期(分割パルスの平均的周期)を示すn/mの最小値は、1.22、1.16、1.14程度となっており、全ての記録マークの時間的長さについて、n/m≧1.25とならない。ここで、1Tパルス分割では、基準クロック周期Tがおよそ25ナノ秒より短くなると、上記最長の時間的長さを有する記録マークにおいて分割パルスの平均的周期が25ナノ秒程度となるといえる。これは、記録パルス区間αiTの平均値又はオフパルス区間βiTの平均値が12.5ナノ秒程度となることを意味する。これは、少なくとも一つのiに対して、αiTもしくはβiTのいずれかが12.5ナノ秒程度になることを示す。さらに、基準クロック周期Tが約20ナノ秒以下となると、αiTもしくはβiTのいずれかがさらに小さくなる。
なお、上記の説明において、どれか特定のαiもしくはβiが平均値より長くなったとしても、それは他方別のαiもしくはβiがさらに短くなることを意味しているから、やはりαiTもしくはβiTのいずれかが小さくなることに変わりはない。
また正確には、1Tパルス分割ではΣ(αi+βi)は必らずしもnと等しくなく、n−η(η=0〜2)となっていてもよいが、この場合はαiやβiの平均値はさらに短くなるので、むしろ問題は一層深刻となる。
上記問題に対して、本発明で用いる光記録方法においては、全ての記録マークの時間的長さについて(全てのnについて)、n/m≧1.25を満たすようにmを設定する。その結果、αiTとβiTの長さを十分なものとすることができる。1Tパルス分割においては、記録パルス区間αiT及びオフパルス区間βiTが概ね0.5T程度となるが、n/m≧1.25とすることにより、記録パルス区間αiT及びオフパルス区間βiTを概ね0.5Tより長めに取ることができ、記録層の加熱を十分に行う一方、後続パルスによる熱の供給を抑えて十分な冷却効果を得ることができる。
特にマークが長い場合には熱蓄積によるマーク形状が歪みやすいため、好ましくは時間的長さ7T以上のマークに対してはn/mは1.5以上とする。勿論、6T以下の短マークについてもn/mは1.5以上とするのが好ましい。より好ましくは、n/mを1.8以上とすることである。
ただし、n/mの値が大きすぎると熱蓄積が大きくなるため、n/mは通常4以下とし、好ましくは3.5以下とし、より好ましくは3以下とする。
本発明で用いる上記光記録方法は、基準クロック周期Tが短いほど効果が大きい。このためクロック周期Tは、好ましくは25nsec以下、より好ましくは20nsec以下、さらに好ましくは15nsec以下とする。ただし、あまりに短いクロック周期は実用上得にくいので通常0.1nsec以上、好ましくは1nsec以上、さらに好ましくは3nsec以上とする。クロック周期Tが小さいほど、n/mの最小値を大きくするのが好ましい。
本発明において、αi、βi、η1、η2、Pwi、Pbi等の分割パルスに関するパラメータは、マーク長やiに応じて適宜変化させることができる。
また、本発明においては、m個の記録パルス区間αiT(1≦i≦m)の平均値及び(m−1)個のオフパルス区間βiT(1≦i≦m−1)の平均値を、ともに通常3ナノ秒以上、好ましくは5ナノ秒以上、さらに好ましくは10ナノ秒以上とする。この範囲とすれば、照射する光の追従性を確保することができるようになる。一方、個々のαiT(1≦i≦m)および個々のβiT(1≦i≦m−1)を、好ましくは3ナノ秒以上、より好ましくは5ナノ秒以上、さらに好ましくは10ナノ秒以上とする。なお、記録の際に通常使用するレーザー光のパワーの立ち上がり時間や立ち下がり時間は、最小のαiT(1≦i≦m)の時間的長さ、及び最小のβiT(1≦i≦m)の時間的長さにおける50%以下の時間的長さ以内に抑えることが好ましい。
本発明においては、βmを0として最後のオフパルス区間であるβmTに光を照射しなくてもよいが、マーク後端部の熱蓄積の問題が大きい場合はβmTを設けるのが好ましい。その場合はβmTも通常3ナノ秒以上、好ましくは5ナノ秒以上とし、より好ましくは10ナノ秒以上とする。
記録パルス区間αiT(1≦i≦m)が3ナノ秒以上、特に5ナノ秒以上あれば、記録光の立ち上がり/立ち下がりの問題はあるものの、記録パワーPwiを上げることで記録に必要な照射エネルギーを確保できる。
一方、オフパルス区間βiT(1≦i≦m−1)も、3ナノ秒以上、特に5ナノ秒以上あれば、バイアスパワーPbを再生光パワーPrと同程度、あるいはトラッキングサーボなど他に支障の無い限り0まで下げることで冷却効果が確保できる。
さらに大きな冷却効果を得るためには、全ての記録マークの時間的長さについて、Σi(αi)を、通常0.6nよりも小さくする、好ましくは0.5nよりも小さくする、より好ましくは0.4n以下とする。すなわち、記録パルス区間の総和Σi(αiT)とオフパルス区間の総和Σi(βiT)とを同等、又は、記録パルス区間の総和Σi(αiT)をオフパルス区間の総和Σi(βiT)よりも短くして、各マーク内でオフパルス区間が長くなるようにする。特に好ましくは、i=2〜m−1の全てのiに対してαiT≦βiTとし、少なくとも2番目以降の記録パルス列においてβiTのほうを長くする。
本発明の記録方法において、αi(1≦i≦m)及びβi(1≦i≦m−1)の値は、記録パルス区間αiT(1≦i≦m)やオフパルス区間βiT(1≦i≦m−1)等の値によって適宜設定される。通常、αi(1≦i≦m)は0より大きい実数とする。βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数とする。また、βmは0以上の実数とする。具体的には、αi(1≦i≦m)及びβi(1≦i≦m−1)は、それぞれ通常0.01以上、好ましくは0.05以上であり、一方、通常5以下、好ましくは3以下である。
特に、βi(1≦i≦m−1)については、あまりに小さいと冷却効果が不十分になることがあるので、より好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上とする。一方、βi(1≦i≦m−1)があまりに大きいと冷却されすぎて記録マークが光学的に分離されてしまうことがあるので、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2以下とする。βi(1≦i≦m−1)を上記範囲とする効果は、マーク先端の形状に大きな影響を与える最初のオフパルス区間β1Tにおいて特に大きい。
マーク後端の形状に大きな影響を与える最後のオフパルス区間βmTについても、上記同様のことがいえる。このため、βmは、通常0以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上とし、最も好ましくは0.7以上とする。一方、好ましくは2.5以下、特に好ましくは2以下とする。
分割パルスの発生制御回路の設計を簡略化するために、先頭パルス区間α1Tと最後尾パルス区間αmTとの間の中間パルス区間(群)αiT(2≦i≦m−1)の切り替え周期を一定値とすることが好ましい。具体的には、(αi+βi)T(ただし2≦i≦m−1)または(βi-1+αi)T(ただし2≦i≦m−1)は、1.5T、2T又は2.5Tとするのが好ましい。
本発明においては、オフパルス区間βiT(1≦i≦m−1)に照射する記録光のパワーPbiは、記録パルス区間αiT及びαi+1Tに照射する記録光のパワーPwi及びPwi+1よりも小さくする。大きな冷却効果を得るためには、全ての記録マークの時間的長さについてPbi<Pwiとするのが好ましい。より好ましくは1≦i≦mにおいてPbi/Pwi≦0.5とすること、さらに好ましくは1≦i≦mにおいてPbi/Pwi≦0.2とすることである。また、バイアスパワーPbiは再生時に照射する光のパワーPrと等しくすることができる。その結果、パルス分割に必要な分割パルスの発生制御回路の設定を簡便にできるようになる。
一つの記録マークの時間的長さに対して、iに応じてPbi及び/又はPwiを変化させてもよい。具体的には、一つの記録マークの時間的長さに対して、iに応じてPbi及び/又はPwiを異なる2以上の値としてもよい。特に、先頭の記録パルス区間α1Tにおける記録パワーPw1と、最後尾の記録パルス区間αmTにおける記録パワーPwmとを、中間の記録パルス区間αiT(2≦i≦m−1)における記録パワーPwi(2≦i≦m−1)とは異なる値とすることで、マークの始端部・終端部のマーク形状を正確に制御することができる。ここで、分割パルスの発生制御回路の設定が簡便とする点から、中間の記録パルス区間αiT(2≦i≦m−1)における、m−2個の記録パワーPwi(2≦i≦m−1)を、できるだけ全て同じパワー値にすることが好ましい。
オフパルス区間βiT(1≦i≦m−1)におけるバイアスパワーPbiについても同様に、特に理由がない限りできるだけ全て同じパワー値にするのが好ましい。また、異なるnを有する少なくとも2つの記録マークの間で、同じiに対して異なるPwi及び/又はPbiの値としてもよい。
本発明においては、記録マークを形成しないマーク間にどのようなパワーの光を照射するか限定されないが、好ましくはPbi≦Pe<Pwi(1≦i≦m)なるパワーPeの光を照射する。Peは記録済みマークを消去するための消去パワーとなる。
より好ましくは、Pbi<Peとする。特に低線速でオーバーライトする場合は、光記録媒体の記録層における溶融後の再結晶化が著しくなる(非晶質マークの形成が困難となる)ため、Pbiをできる限り小さくすることが望ましい。
η1T、η2T区間には、バイアスパワーPbi以上、消去パワーPe以下の光を照射するのが好ましい。但し、分割パルスの発生制御回路の設定を簡便にするために、η1T、η2T区間に照射する記録光のパワーは、バイアスパワーPbiと同等にする、又は消去パワーPeと同等にすることが好ましい。
なお、η1Tなる区間においてバイアスパワーPbiの光を照射する場合、先頭の記録パルス区間α1Tに先行してバイアスパワーPbiの光を照射することとなるので、先行する記録マークからの余熱の影響を小さくすることができる。
記録パワーPwi及びバイアスパワーPbi、または消去パワーPeについては、使用される光記録媒体のタイプによって、それぞれの物理的機能は異なってくる。
相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の場合、非晶質化よる記録を行う場合には、Pwiは、少なくとも記録層をその融点より高い温度まで昇温することができるパワーである。非晶質化記録、結晶化消去によってオーバーライトを行う場合には、Peは記録層を少なくとも結晶化温度以上に昇温せしめるパワーである。
使用する書換型光記録媒体の種類によって、記録パワーPwi及びバイアスパワーPbiの値は異なるが、例えば、相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の場合、通常記録パワーPwiは1〜100mW程度、バイアスパワーPbiは0.01〜10mW程度である。
いずれの媒体を使用した場合でも、記録パワーPwiは記録層になんらかの光学的変化を誘起するに必要な温度まで記録層を昇温し、場合によってはその温度を保持するに必要なレーザー光パワーである。一方、バイアスパワーPbiは少なくとも記録パワーPwiより低いパワーである。通常は、バイアスパワーPbiは、記録パワーPwi及び消去パワーPeよりも低く、記録層になんら物理的変化を誘発しないような低いパワーである。
本発明で用いる記録方法においては、時間的長さnTにおいてnの異なる少なくとも2つの記録マークに対して、同一のパルス分割数mを用いてよい。通常は、3Tマークと4Tマークなど隣合う時間的長さをもつnTマークに対してmを同一にする。mを同一にしたうえで、αi(1≦i≦m)、βi(1≦i≦m)、η1、η2、Pwi(1≦i≦m)及びPbi(1≦i≦m)の少なくとも1つを相互に異ならせることによって同じ分割数であっても異なるマーク時間長のマークを形成し分けることができる。
分割数mはnの値の大小とは無関係に並んでいても良いが、好ましくは長いマークほど、つまりnが大きいほどmを単調に大きく(等しい場合も含む)する。
η1、η2は、通常、−2以上2以下とする。この範囲とすれば、時間的長さnTの記録マーク長が正確に得られるようになる。
以下に、本発明のパルス分割方式の具体例を示す。この具体例は、n/mを概ね2とする2T分割パルスストラテジーの一例である。
[2B−3]2T分割パルスストラテジーの具体例
2T分割パルスストラテジーの具体例としては以下の記録方法を挙げることができる。すなわち、記録線速度が、書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度の範囲内である場合においては、
nTの時間的長さを有する記録マークを形成する際に、
n=2m(mはパルス分割数であり、1以上の自然数)なる記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−j)T(jは−2〜2なる実数)を、
α1T、β1T、α2T、β2T、・・・・、αmT、βmT、
からなるm個のαiTとβiTからなる区間(ただしΣi(αi+βi)=n−j)に
分割し、
n=2m+1なる記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−k)T(kは−2〜2なる実数)を、
α1’T、β1’T、α2’T、β2’T、・・・・、αm’T、βm’T、
からなるm個のαi’Tとβi’Tからなる区間(ただし、Σi(αi’+βi’)=
n−k)に分割し、
m≧4では、βi-1+αi=βi-1’+αi’=2±0.2(i=3〜m−1)として、
αiTおよびαi’Tの時間内には、記録パワーPwi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射し、
βiTおよびβi’Tの時間内には、バイアスパワーPbi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射するようにする。
本実施形態においては、パルス分割の発生制御回路をより簡略化するために、記録パワーPwiを1≦i≦mにおいて一定値PwLとし、バイアスパワーPbiを1≦i≦mにおいて一定値PbLとすることが好ましい。
本実施形態のより好ましい実施形態を図2(a)〜(c)を用いて説明する。
図2(a)〜(c)に示すように、記録線速度(書込線速度;記録速度)が所定記録線速度(所定記録速度)以下の低い線速度(例えば書換可能な最大記録線速度以下の線速度)の場合、nTマークの記録時に、m個の記録パワーPwLの記録パルスを分割パルスとして照射するようにする。
そして、nが偶数のときには(n=2m)、記録パルスのパルス幅の期間と冷却パルスのパルス幅の期間とを足したものが略2Tになるようにする。
一方、nが奇数のときには(n=2m+1)、2番目の記録パルスのパルス幅の期間α2’Tと、その直前のバイアス(冷却)パワーPbLのビームを照射する冷却パルスのパルス幅の期間β1’Tとを足した期間を(2+Δ1)Tとし、最後の記録パルスのパルス幅の期間αm’Tとその直前のバイアス(冷却)パワーPbLのビームを照射する冷却パルスのパルス幅の期間βm-1’Tとを足した期間を(2+Δmm)Tとし、その他の記録パルスの期間とその直前のバイアス(冷却)パワーPbLのビームを照射する冷却パルスのパルス幅の期間とを足した期間を略2Tとしている。
つまり、本実施形態では、図2(a)〜(c)に示すように、記録速度が所定記録速度(書換可能な最大記録線速度)以下の場合は、一つの記録マークを形成するために複数の記録パルスからなるパルス列を用い、このパルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、バイアス(冷却)パワーレベルの冷却パルス及び記録パワーレベルの記録パルスの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるようにする。
そして、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが偶数であるときは(n=2m)、上記後続パルス列における、一対の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものが略2になるようにする。
一方、nが奇数のときは(n=2m+1)、上記後続パルス列を構成する冷却パルス及び記録パルスのうち、最先の冷却パルス(β1’T)とその冷却パルスに続く記録パルス(α2’T)の対、及び最後の記録パルス(αm’T)とその前の冷却パルス(βm-1’T)との対を除いた、冷却パルスと記録パルスの対において冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足した時間的長さを略2になるようにする。
以上をまとめて、本実施形態におけるnが偶数・奇数の場合において共通する事項を説明すると以下の通りとなる。すなわち、略2とする記録パルスの期間とその直前の冷却パルスとのパルスの期間とを足した期間は、分割数mが4以上となる場合において、iが3〜m−1であるβi-1+αi及びβi-1’+αi’となる。
また、本実施形態では、nが奇数のとき(n=2m+1)及びnが偶数のとき(n=2m)のそれぞれの記録パルスと冷却パルスの対の数をmで同数とする。
これは、パルス列のうちの後続パルス列を構成する記録パルスの数を、nが奇数であるか偶数であるかに関わらず同数にすることを意味する。そして、nが奇数の場合は、前記後続パルス列を構成する、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、及び最後の記録パルスのパルス幅から選ばれる少なくとも1つを、nが偶数の場合の、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、最後の記録パルスのパルス幅のそれぞれに対して変化させる。
つまり、本実施形態では、nが奇数のとき(n=2m+1)のパルス分割数m及びnが偶数のとき(n=2m)のパルス分割数mを同数とすることを特徴の一つとする。
そして、nが奇数の場合は、先頭パルスα1’、上記後続パルス列を構成する最先の冷却パルスにおけるβ1’、この冷却パルスに続く記録パルスにおけるα2’、最後の記録パルスにおけるαm’、その前の冷却パルスにおけるβm-1’、及び最後尾の冷却パルスにおけるβm’のうちの少なくとも1つを、同一のパルス分割数mにおけるnが偶数の場合の、α1、β1、α2、βm-1、αm及びβmのそれぞれに対して適宜調整するようにしている。すなわち、α1≠α1’、β1≠β1’、α2≠α2’、βm-1≠βm-1’、αm≠αm’及びβm≠βm’のうちの少なくとも一つが満たされるようにすることが好ましい。
尚、後続パルス列の最後の記録パルスの後に続くバイアス(冷却)パワーPbLのビームを照射する期間、つまり、最後の期間βmT、βm’Tの終了時期は、nT又は(n+1)Tの記録マークを形成するためのデータ信号パルスの終了時期とは必ずしも同期しない。
上記2Tパルス分割ストラテジーをリライタブルDVDに用いるより好ましい記録方法として、以下の記録方法を挙げることができる。
すなわち、記録線速度が所定記録線速度(書換可能な最大記録線速度)以下の線速度の場合に、
nT(n:3以上の自然数)の時間的長さを有する記録マークを形成する際に、
n=2m(m:2以上の自然数)なる記録マーク(偶数長マーク)を形成するときは、その時間的長さ(n−j)T(jは−2〜2なる実数)を、
α1T,β1T,α2T,β2T,・・・・,αmT,βm
からなるm個のαiTとβiTからなる区間(ただしΣi(αi+βi)=n−j)に分割し、
n=2m+1(m:1以上の自然数)なる記録マーク(奇数長マーク)を形成するときは、その時間的長さ(n−k)T(kは−2〜2なる実数)を、
α1’T,β1’T,α2’T,β2’T,・・・・,αm’T,βm’T
からなるm個のαi’Tとβi’Tからなる区間(ただし、Σi(αi’+βi’)=n−k)に分割し、
αiTおよびαi’Tの記録パルスの時間(iは1からmまでの整数)内には、記録パワーPwLのレーザ光を照射し、
βiTおよびβi’Tの冷却パルス間の時間(iは1からmまでの整数)内には、バイアス(冷却)パワーPbLのレーザ光を照射することによって、時間的長さnTの記録マークを形成する書換型光記録媒体への記録方法であって、
i=2〜mにおいて、βi-1+αi及びβi-1’+αi’を概ね2(但し、i=2及び/又はi=mにおいてはこの限りでない)とする。
ここで、βi-1+αi及びβi-1’+αi’(i=2〜m)は概ね2とするが、これは、レーザ駆動回路(分割パルスの発生制御回路)の設計上不可避的に生じるゆらぎ程度の誤差は含みうるものであり、具体的には0.1T程度(好ましくは0.2T程度)の差は、実質的に等しいとみなされる。すなわち、βi-1+αi=βi-1’+αi’=2±0.1(好ましくは2±0.2)(i=2〜m)とする。
また、偶数長マークにおけるi=2及び/又はi=m、すなわちβ1+α2及び/又はβm-1+αmに関しては、積極的に±0.3程度の範囲で2からのずれを許容したほうが、より正確なマーク長及びマーク端のジッター制御が可能となる場合もある。この場合は、β1+α2及びβm-1+αmの間に存在するβi-1+αiを概ね2とすればよい。
さらに、奇数長マークにおけるi=2及び/又はi=m、すなわちβ1’+α2’及び/又はβm-1’+αm’も少なくとも0.5〜2程度2からのずれを許容したほうが、より正確なマーク長及びマーク端のジッター制御が可能となる。従って、この場合は、β1’+α2’及びβm-1’+αm’の間に存在するβi-1’+αi’を概ね2とすればよい。
以下、上記2Tパルス分割ストラテジーについて、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)を参照しながら、より具体的に説明する。
図2(a)〜(c)は、n=2m又は2m+1のnT記録マークを形成するための2Tパルス分割ストラテジーによる記録ストラテジーにおける各記録パルスの関係の一例を示した図である。なお、図2(b)におけるマーク長2mTを形成するための記録パルス及び冷却パルスの時間幅は、本来は、α1T,β1T,αcT,…,αmT,βmTと表されるが、図を見やすくする観点から、図2(b)においては、単にα1,β1,αc,…,αm,βmと記載し、クロック周期Tの表示を省略してある。これは図2(c)においても同様である。
図2(a)〜(c)に示すように、上記2Tパルス分割ストラテジーにおいては、nTマークのnのとり得る値が奇数であるか偶数であるかに分けて考える。分割数mが同じ偶数長マークと奇数長マークのマーク長差1Tの補正を、先頭の記録パルスに続くオフパルス区間β1T及び最後尾から2番目の記録パルス周期(βm-1+αm)Tに分散して割り当てる。つまり、β1≠β1’、βm-1≠βm-1’、及びαm≠αm’として、マーク長1Tの補正をオフパルス長β1T及びβm-1T、さらには最後尾の記録パルス区間パルスαmTの調整にて行なう。
図2(a)〜(c)において、300は周期Tの基準クロックをあらわす。
図2(a)は、長さnT=2mT、もしくはnT=(2m+1)Tの記録マークに対応したパルス波形であり、符号301が長さ2mTの記録マークの長さに、符号302が長さ(2m+1)Tの記録マークの長さに対応する。図2(a)においては、m=5の場合が示してある。
図2(b)の303は、n=2m(=10)の場合の分割記録パルスの波形であり、図2(c)の307は、n=2m+1(=11)の場合の分割記録パルスの波形である。
d1にTをかけた値は、α1T及びα1’TのnTマークの前端T0に対する遅延時間であり、通常はnによらず一定とする。遅延時間は、nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。
通常は、記録パルス発生回路(分割パルスの発生制御回路)の同期の取り易さから、(Td1+α1)T=(Td1+α1’)T=2Tとする。但し、(Td1+α1)T、(Td1+α1’)Tは、それぞれ±0.5T程度の微調整をしてもよい。特に、3T,4T,5Tマークにおいては、Td1Tの微調整を行なうことが好ましい。記録パルス区間αiT(i=1〜m)における記録パワーレベルはPwLで一定であり、オフパルス区間βiT(i=1〜m)におけるバイアス(冷却)パワーレベルはPbLで一定であり、記録マークと記録マークの間、すなわちαiT(i=1〜m)及びβiT(i=1〜m)以外の記録マーク間の区間における光照射のパワーは消去パワーPeで一定とする。
nが偶数の場合は、先頭の記録パルスと最後尾のオフパルスを除く区間304(つまり図2の305、306を除く区間)では、(βi-1+αi)T=2T(i=2〜m)で一定とする。ここで、「2Tで一定」とはいっても、前述の通り、±0.2T程度の誤差は許容するものとする。ただし、(β1+α2)T、及び(βm-1+αm)Tについてのみ、±0.3Tの範囲で微調整可能とする。
一方、nが奇数の場合は、図2の区間308で表される区間、すなわち(βi-1’+αi’)T=2T(i=3〜m−1)で一定とする。
そして、同一分割数でn=2m及び2m+1の2種類のマーク長を記録するために、n=2mの記録マークにおける区間(β1+α2)T、及び区間(βm-1+αm)Tをそれぞれ約0.5Tずつ増減して長さを調整して、n=2m+1の記録マークを形成する。なお、熱干渉等の影響で、この値は正確に0.5Tとなるとは限らないが、概ね0.3T〜0.6Tの範囲にある。
図2において、偶数長マークnT=10Tと奇数長マークnT=11Tのマーク長の差1T分の記録は、以下の操作1、2によって行われる。
操作1:図2の区間309のように、区間(β1’+α2’)Tのβ1’のみにΔ1を付加し、β1’=β1+Δ1,α2’=αcとする。
操作2:図2の区間310のように、区間(βm-1’+αm’)TにΔmmTを付加する。
ここで、Δmm=Δm-1+Δmとして、ΔmmをΔm-1とΔmとに分けて、βm-1にはΔm-1を付加し、αmにはΔmを付加してもよい。尚、Δm-1又はΔmの片方がゼロであってもよい。
好ましいのはΔmを0よりも大きくすること、つまり、αm≠αm’とすることである。Δmを0よりも大きくすることにより、同一分割数mのうちのnが奇数である記録マーク後端部の形状が安定してジッター特性が飛躍的に改善される。さらに好ましいのは、Δm-1とΔmとをほぼ等しい値とすることである。Δm-1とΔmとをほぼ等しくすれば、ジッター特性を良好に保ちつつも、パルス光の発生を制御する電子回路(集積回路、分割パルスの発生制御回路)の設計を簡便にすることができるようになる。
以上の操作は3以上のmにおいて行われ、Δ1,Δmmは、通常0.3〜0.6の値をとるものとする。Δm-1及びΔmは、Δmmをどのように配分するかによって、それぞれ0〜0.6の値をとり得る。Δ1,Δm-1,ΔmそしてΔmmは、前述のように必ずしも0.5とはならない。Δ1,Δm-1,Δmは、0.5より小さめの値が好ましい。
また、特に、mが3以上では、α1’=α1,βm’=βmとし、αi及びαi’は、i=2〜m−1に対しては、αcでiによらず一定とすることが好ましい。また、αm及びαm’もmによらず一定値とすることが好ましい。さらにα1(α1’)は、0.7〜1.4、αcは0.7〜1.2、αmは0.7〜1.2とすることが好ましい。
さらに、mが3以上の場合には、α1(=α1’),αc,βm(=βm’),β1,Δ1,βm-1,Δm-1,Δmはmによらず一定とすることが好ましい。
ここでαcの設定の一例を説明する。まず、αc=αi(i=2〜m−1)は、1として、その後±0.2の範囲で微調整を行なう。そして、α1及びαmは、まずαcと同じ値を採用し、そしてαcより最大0.3程度大きい範囲で微調整を行なうものとする。
このようにして、偶数長マークに対して、図2(b)の点線で示される記録パルス列303が得られ、奇数長マークに対して、図2(c)の点線で示される記録パルス列307が得られる。
なお、m=1(n=3)の場合には、一対の記録パワー照射区間α1’Tとバイアスパワー照射区間β1’Tからなる記録光の照射を行なう。この場合、α1’は、2以上のmにおけるα1’より0.1から1.5程度大きくし、β1’は2以上のmにおけるβ1’より小さく、かつ、βm,βm’と同じか、それらより大きくするのが好ましい。
図3(a)〜(c)は、本発明に用いる2T分割パルスによる記録ストラテジーにおける各記録パルス関係の好ましい他の例である。図3(a)〜(c)には、n=2m又は2m+1のnT記録マークを形成する場合のパルス分割方法が示されている。なお、図3(b)におけるマーク長2mTを形成するための記録パルス及び冷却パルスの時間幅は、本来は、α1T,β1T,αcT,…,αmT,βmTと表されるが、図を見やすくする観点から、図3(b)においては、単にα1,β1,αc,…,αm,βmと記載し、クロック周期Tの表示を省略してある。これは図3(c)においても同様である。
図3に示すように、nTマークのnのとり得る値が奇数であるか偶数であるかに分けて考える。分割数mが同じ偶数長マークと奇数長マークのマーク長差1Tの補正を、最後尾から2番目の記録パルス周期(βm-1+αm)T及び最後尾のオフパルスβmTに分散して割り当てる。つまり、マーク長1Tの補正をオフパルス長βm-1T及びβmT、さらには最後尾の記録パルス区間パルスαmTの調整にて行なう。
図3において、400は周期Tの基準クロックをあらわす。
図3(a)は、長さnT=2mT、もしくはnT=(2m+1)Tの記録マークに対応したパルス波形であり、符号401が長さ2mTの記録マークの長さに、符号402が長さ(2m+1)Tの記録マークの長さに対応する。図3(a)においては、m=5の場合が示してある。
図3(b)の403は、n=2m(=10)における分割記録パルスの波形であり、図3(c)の406は、n=2m+1(=11)における分割記録パルスの波形である。
d1にTをかけた値は、α1T及びα1’TのnTマークの前端T0に対する遅延時間であり、通常はnによらず一定とする。遅延時間は、nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。
通常は、記録パルス発生回路(分割パルスの発生制御回路)の同期の取り易さから、(Td1+α1)T=(Td1+α1’)T=2Tとする。但し、(Td1+α1)T、(Td1+α1’)Tは、それぞれ±0.5T程度の微調整は許容する。特に、3T,4T,5Tマークにおいては、Td1Tの微調整を行なうことが好ましい。記録パルス区間αiT(i=1〜m)における記録パワーレベルはPwLで一定であり、オフパルス区間βiT(i=1〜m)におけるバイアスパワーレベルはPbLで一定であり、記録マークと記録マークの間、すなわちαiT(i=1〜m)及びβiT(i=1〜m)以外の区間における光照射のパワーは消去パワーPeで一定とする。
nが偶数である場合には、区間404では、(βi-1+αi)T=2T(i=2〜m)で一定とする。ここで、「2Tで一定」とはいっても、前述の通り、±0.2T程度の誤差は許容するものとする。ただし、(β1+α2)T、及び(βm-1+αm)Tについてのみ、±0.3Tの範囲で微調整可能とする。
一方、nが奇数の場合は、図3の区間407では、(βi-1’+αi’)T=2T(i=2〜m−1)で一定とする。ただし、(β1’+α2’)Tは(β1+α2)Tと等しくする。ここで、「2Tで一定」とはいっても、前述の通り、±0.2T程度の誤差は許容するものとする。
そして、同一分割数でn=2m及び2m+1の2種類のマーク長を記録するために、区間(βm-1+αm)Tを約1T増減して長さを調整する。なお、熱干渉等の影響で、この値は正確に1Tとなるとは限らないが、概ね0.5T〜1.2Tの範囲とする。つまり、上記パルス分割ストラテジーにおいて、まずは、βm-1≠βm-1’及びαm≠αm’が満たされるようにするとすることが好ましい。
βmはβm’と0〜2の範囲でほぼ同じ値としていもよいが、マーク後端ジッターへの影響を補正するために、βm,βm’も個別に微調整してもよい。
図3において、偶数長マークnT=10Tと奇数長マークnT=11Tとのマーク長の差1T分の記録は、以下の操作3によって行われる。
操作3:図3の区間408のように、区間(βm-1+αm)TにΔmmTを付加して、(βm-1’+αm’)Tとする。ここで、Δmm=Δm-1+Δmとして、ΔmmをΔm-1とΔmとに分けて、βm-1にはΔm-1を付加し、αmにはΔmを付加する。また、マーク後端のジッターへの影響を補正するため、βmにΔm’を付加してβm’とする。
以上の操作は3以上のmにおいて行われ、Δmmは、通常、0.5〜1.2の値をとるものとする。Δm-1及びΔmは、Δmmをどのように配分するかによって、それぞれ0〜0.9の値をとり得る。
Δm-1又はΔmの片方がゼロであってもよいが、好ましいのはΔmを0よりも大きくすること、つまり、αm≠αm’とすることである。Δmを0よりも大きくすることにより、同一分割数mのうちのnが奇数である記録マーク後端部の形状が安定してジッター特性が飛躍的に改善される。Δmは、通常0.1以上、一方、通常0.9以下、好ましくは0.5以下とする。Δmの値は、記録線速度に応じて適宜設定する。記録線速度が高くなるほど溶融時間を確保することが重要になるため、高線速度になるにつれてΔmを大きくすることが好ましい。
Δm-1は、通常0.1以上、好ましくは0.3以上、一方、通常0.9以下、好ましくは0.8以下とする。Δm-1の値は、記録線速度に応じて適宜設定する。記録線速度が低くなるほど冷却速度を確保することが重要になるため、低線速度になるにつれてΔm-1を大きくすることが好ましい。
さらに好ましいのは、Δm-1とΔmとをほぼ等しい値とすることである。Δm-1とΔmとをほぼ等しくすれば、ジッター特性を良好に保ちつつも、パルス分割の発生制御回路(集積回路)の設計を簡便にすることができるようになる。Δm’は、通常0〜1の値をとり、より好ましくは0〜0.6の値をとる。特に低線速度ではΔm’は大きくするのが好ましい。一方、高線速度では、Δm’=0とするのが好ましい。但し、全ての線速度においてΔm’=0とすれば、パルス発生制御回路の設計を簡便にすることができる。
また、特に、mが3以上では、α1’=α1、β1’=β1とし、αi及びαi’は、i=2〜m−1に対しては、αcでiによらず一定とすることが好ましい。また、α1(=α1’)は、通常、0.3〜1.7の範囲の値をとり、好ましくは、0.3〜1.0の範囲の値をとる。β1,αc,βm-1及びαmは、通常、0.3〜1.7の範囲の値とすることが好ましい。より好ましくは、α1(=α1’),β1,αc及びαmは0.3〜1.6の範囲とする。一方、βm-1の値は、より好ましくは、0.7以上、さらに好ましくは1以上、一方、より好ましくは1.6以下とする。
さらに、mが3以上の場合には、α1(=α1’),β1,αc,βm-1,Δm-1,αm,Δm,βm,Δm’はmによらず一定とすることが好ましい。
ここで、αcの設定について説明する。まず、αc=αi(i=2〜m)は1として、その後さらに±0.2の範囲で微調整を行なうのが好ましい。そして、α1及びαmは、まずαcと同じ値を採用し、そしてαcより最大0.3程度大きい範囲で微調整を行なう。
Δm,Δm-1は約0.4を初期値とし、所定のマーク長が得られるように微調整を行なう。
また、区間410のβm’はまず、区間405のβmと等しくし、その後、微調整を行なう。
このようにして、偶数長マークに対して、図3(b)の点線で示される記録パルス列403が得られ、奇数長マークに対して、図3(c)の点線で示される記録パルス列406が得られる。
なお、m=1(n=3)の場合には、一対の記録パワー照射区間α1’Tとバイアスパワー照射区間β1’Tからなる記録光の照射を行なう。この場合、α1’は、2以上のmにおけるα1’より0.1から1.5程度大きくするのが好ましい。
[2C]全ての記録線速度において共通して用いることが好ましい事項
上記[2A]の「所定記録速度(所定記録線速度;例えば書換可能な最大記録線速度)より速い記録速度(線速度)での記録方法」、及び、上記[2B]の「所定記録線速度(所定記録速度)以下の線速度(書換可能な線速度範囲;記録速度)での記録方法(パルス分割法)」、に共通して用いることが好ましい事項について説明する。
分割パルスの発生制御回路を簡便化するために、分割記録パルスを用いて記録を行う際の記録パワーPwLと、ブロックパルスを用いて記録を行う際の記録パワーPwHとを等しくすることが好ましい。
また、分割記録パルスにおける冷却パルス期間に照射するバイアスパワーPbLと、ブロックパルスを用いて記録を行う際に用いるバイアスパワーPbHとを等しくすることが好ましい。
[2D]本発明に用いる記録再生装置
本発明においては、上記記録方法を行うべく分割パルスの発生制御回路の設計を行い、この分割パルスの発生制御回路を公知の記録再生装置(ドライブ)に組み込むことによって、記録再生装置を得ることができる。そして、この記録再生装置(ドライブ)に円盤状の書換型光記録媒体(例えばDVDは直径約12cmの円盤形状となる)を装着して、スピンドルモータ等を駆動して書換型光記録媒体を回転させる。さらに、書換型光記録媒体に対して記録を行う所望の半径位置において、下記「書換記録モード」、「ライトワンス記録モード」、「DC消去モード」に従って記録光を照射することによって、相変化記録層に様々な時間的長さを有する非晶質状態の記録マークを形成して、情報の記録・消去を行う。
なお、本発明に用いる記録方法を実行する記録再生装置には、市販のパーソナルコンピュータやDVD記録再生装置に搭載されているドライブのように、記録のみならず再生機能を付加してもよいことはいうまでもない。
本発明に用いる記録再生装置の詳細は、以下の通りである。
すなわち、相変化型記録層を有し、前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、この未記録・消去状態に様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数である。)の非晶質状態の記録マークを形成することによって、情報を記録する円盤状の書換型光記録媒体を装着し、前記書換型光記録媒体を回転させた状態で前記書換型光記録媒体に記録光を照射することによって前記情報の記録を行う記録再生装置であって、
前記記録再生装置が、書換記録モード、ライトワンス記録モード、及びDC消去モードの3つの記録光照射モードを有し、
(A−1)書換記録モードにおいては、
情報の記録を行う書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体の書換可能な記録線速度の範囲内となるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、
時間的長さnTを、
η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
(mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射し、
nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
複数の記録マーク間は、消去パワーPe(Peは、1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射することによって、前記書換型光記録媒体に記録を行い、
(A−2)ライトワンス記録モードにおいては、
情報の記録を行う書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度よりも速くなるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、
nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成することによって、前記書換型光記録媒体に記録を行い、
(A−3)DC消去モードにおいては、
情報の消去を行う書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体の書換可能な記録線速度の範囲内となるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、消去パワーPDCの記録光を照射することによって、前記書換型光記録媒体の情報の消去を行い、
(A−4)前記書換記録モードを実行した後に前記ライトワンス記録モードを実行する場合、又は、前記ライトワンス記録モードを実行した後に再度前記ライトワンス記録モードを実行する場合には、前記DC消去モードを行って前記書換型光記録媒体に記録されている情報を消去する、
ことを特徴とする。
本発明の記録再生装置は、書換記録モード、ライトワンス記録モード、及びDC消去モードの3つの記録モードを有する。ライトワンス記録モードにおいては、上記[2A]で説明したブロックパルスを用いる記録方法によって書換型光記録媒体に情報の記録を行う。また、書換記録モードにおいては、上記[2B]で説明した分割パルスを用いる記録方法によって書換型光記録媒体に情報の記録を行う。
ここで、前記バイアスパワーPbi及びPbHが、前記消去パワーPeよりも小さいことが好ましいことは、上記[2A]、[2B]で説明した通りである。
また、書換記録モードにおいて、記録パワーPwiを1≦i≦mにおいて一定値PwLとし、前記バイアスパワーPbiを1≦i≦mにおいて一定値PbLとすることが好ましいことは、上記[2B]で説明した通りである。
さらに、書換記録モードの記録パワーPwLを、ライトワンス記録モードの記録パワーPwHと等しくすることが好ましいことは、上記[2C]で説明した通りである。
同様に、書換記録モードのバイアスパワーPbLを、ライトワンス記録モードのバイアスパワーPbHと等しくすることが好ましいことも、上記[2C]で説明した通りである。
さらに、書換記録モードのバイアスパワーPbL、ライトワンス記録モードのバイアスパワーPbHが、ともに消去パワーPeよりも小さいことが好ましいことも上記[2B]、[2C]で説明した通りである。
上述したように、リライタブルDVDのような書換型光記録媒体の相変化型記録層は、例えば出荷時や販売時などには初期状態として結晶状態(消去状態)となっているため、この状態でライトワンスメディアとして用いることができる。このため、このような初期状態の書換型光記録媒体に対しては、本発明の記録再生装置にこの書換型光記録媒体を挿入後、ライトワンス記録モードで記録を実行することによって、書換可能な最大記録線速度より速い記録線速度での記録が可能となる。
一方、上記ライトワンス記録モードの実行又は書換記録モードの実行によって、既に書換型光記録層に情報が書き込まれている場合(相変化型記録層に非晶質の記録マークが形成されている状態)に、再度ライトワンス記録モードを実行する場合には以下の操作を行う。すなわち、ライトワンス記録モードでの書き込みを行なう前にDC光を照射することで相変化型記録層を結晶状態(消去状態)に戻すのである(DC消去モードを行う)。DC消去モードは、具体的には、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録線速度において消去パワーPDCの記録光を照射することによって行う。
ここで、分割パルスの発生制御回路を簡便化する点から好ましいのは、DC消去モードにおける消去パワーPDCを、消去パワーPeと等しくすることである。
本発明の記録再生装置に用いる、レーザ露光装置や書換型光記録媒体の駆動装置等は、従来公知のものを用いることができる。
[3]本発明に用いる好適な相変化型記録層を有する光記録媒体
以下、本発明に用いる光記録媒体の具体的な態様について、リライタブルDVDを例にいくつか説明する。
本発明の記録方法は、結晶状態と非晶質状態とで情報の記録を行い、情報の書き換えが可能な相変化型記録層を有する光記録媒体に適用する。
相変化型記録層を有する光記録媒体の具体例としては、基板上に、第一保護層(下部保護層)、記録層(相変化型記録層)、第二保護層(上部保護層)、反射層、及び保護コート層をこの順に有する層構成をとり、基板を通してレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行う光記録媒体(基板面入射型の光記録媒体)を挙げることができる。
また、相変化型記録層を有する光記録媒体の他の具体例としては、基板上に、反射層、第一保護層(下部保護層)、記録層(相変化型記録層)、第二保護層(上部保護層)、及び保護コート層をこの順に有する層構成をとり、上部保護層を通じてレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行う光記録媒体(膜面入射型の光記録媒体)を挙げることができる。この膜面入射型の光記録媒体では、基板を通さずに上部保護層側からレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行うため、記録層と光ヘッドの距離を数百ミクロン以下に接近させることが可能となり、開口数が0.7以上の対物レンズを使用することで媒体の記録密度を向上させることが出来る。
尚、上記基板面入射型の光記録媒体及び膜面入射型の光記録媒体それぞれの層構成は例示である。例えば、基板面入射型の光記録媒体及び膜面入射型の光記録媒体のいずれにおいても、保護層と反射層との間に界面層を設けることができるし、膜面入射型の光記録媒体において、基板と反射層との間に下地層を設けてもよい。
本発明において好ましいのは、高データ転送レートが可能な書き換え型相変化型の光記録媒体である。このような光記録媒体は、通常、結晶化速度の速い記録材料を記録層に用いることによって実現できる。
以下、記録層、基板、保護層、反射層、保護コート層の各層について説明する。
[3A]記録層
記録層としては、例えば、GeSbTe、InSbTe、AgSbTe、及びAgInSbTeといった系列の化合物が繰り返し記録可能な材料として選ばれる。これらの中で、Sb2Te3とGeTeの疑似2元合金を主成分とする組成、より具体的には、{(Sb2Te31-α(GeTe)α}1-βSbβ組成(ただし、0.2≦α≦0.9、0≦β≦0.1)、あるいは、Sbを50原子%以上含むSbを主成分とする組成のいずれかであることが多い。
本実施の形態が適用される光記録媒体においては、結晶化速度を高めるために、前記記録層にSbを主成分とする組成を用いることがより好ましい。なお、本発明において、「Sbを主成分とする」とは、記録層全体のうち、Sbの含有量が50原子%以上であることを意味する。Sbを主成分とする理由は、Sbの非晶質は、非常に高速で結晶化できるため、非晶質マークを短時間で結晶化することが可能となる。このため、非晶質状態の記録マークの消去が容易となる。この点から、Sbの含有量は60原子%以上であることが好ましく、70原子%以上であることがより好ましい。しかし、一方で、Sb単独で用いるよりも、非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高めるための添加元素をSbと共に併用することが好ましい。記録層の非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高めるためには、上記添加元素の含有量を、通常1原子%以上、好ましくは5原子%以上、より好ましくは10原子%以上とし、一方、通常30原子%以下とする。
非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高める上記添加元素は、結晶化温度を高める効果もある。このような添加元素としては、Ge、Te、In、Ga、Sn、Pb、Si、Ag、Cu、Au、希土類元素、Ta、Nb、V、Hf、Zr、W、Mo 、Cu、Cr、Co、窒素、酸素、及びSe等を用いることができる。これら添加元素のうち、非晶質形成の促進、非晶質状態の経時安定性の向上、及び結晶化温度を高める観点から、好ましいのはGe、Te、In、Ga、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1つとすることであり、特に好ましいのは、Ge及び/又はTeを用いるか、In、Ga、及びSnの少なくとも1つを用いることである。
上述の通り、本実施の形態が適用される光記録媒体においては、記録層の材料として、SbとGe及び/又はTeとを併用することが特に好ましい。Ge及び/又はTeをSbに添加する際に、記録層中におけるGe又はTeそれぞれの含有量を、1原子%以上30原子%以下とすることが好ましい。つまり、Ge及びTeは、それぞれ単独で1原子%以上30原子%以下ずつ含有されていることが好ましい。但し、記録層の主成分をSbとした場合にSbの含有量は50原子%以上となるため、Sbと共にGe及びTeを記録層に含有させる場合、Ge及びTeの合計量は50原子%よりは少なくなる。
記録層中におけるGe又はTeのそれぞれの含有量は、より好ましくは3原子%以上、さらに好ましくは5原子%以上とする。この範囲とすれば、非晶質マークを安定化する効果が十分に発揮されるようになる。一方、記録層中におけるGe又はTeのそれぞれの含有量は、より好ましくは20原子%以下、さらに好ましくは15原子%以下とする。この範囲とすれば、非晶質が安定になりすぎて逆に結晶化が遅くなるという傾向を良好に抑制することができるようになり、結晶粒界での光散乱によるノイズを抑制することができるようになる。
上記Sbを主成分とする組成は、記録層中に含有されるTeの量によって、2種類に分類することができる。一つは、Teを10原子%以上含有する組成であり、もう一つはTeを10原子%未満含有する組成(Teを含有しない場合を含む)である。
そのひとつは、記録層材料を、Teを概ね10原子%以上含みつつ、Sb70Te30共晶組成よりも過剰のSbを含有する合金が主成分である組成範囲とすることである。この記録層材料を、以下において、SbTe共晶系と呼ぶ。ここで、Sb/Teは3以上とすることが好ましく、4以上とすることがより好ましい。
記録層中に含有されるTeの量によって分類することができる、上記Sbを主成分とするもう一つの組成としては以下のものをあげることができる。すなわち、記録層の組成を、Sbを主成分としつつ、Teを10原子%未満とし、さらにGeを必須成分として含有するようにするのである。上記記録層の組成の具体例としては、Sb90Ge10近傍組成の共晶合金を主成分とし、Teを10原子%未満含有する合金(本明細書においては、この合金をSbGe共晶系と呼ぶ。)を好ましく挙げることができる。
Te添加量が10原子%未満の組成は、SbTe共晶系ではなく、SbGe共晶系としての性質を有するようになる。このSbGe共晶系の合金は、Ge含有量が10原子%程度と高くても、初期結晶化後の多結晶状態の結晶粒径は比較的微細なために結晶状態が単一相となりやすく、ノイズが低い。SbGe共晶系の合金においては、Teは、付加的に添加されるにすぎず必須元素とはならない。
SbGe共晶系合金では、Sb/Ge比を相対的に高くすることで、結晶化速度を速めることができ、再結晶化による非晶質マークの再結晶化が可能である。
記録層にSbを主成分とする組成を用い、結晶状態を未記録・消去状態とし、非晶質マークを形成して記録を行う場合、冷却効率を良くすることが非常に重要となる。これは以下の理由による。
すなわち、上記SbTe共晶系又はSbGe共晶系等のSbを主成分とする記録層は、高速記録に対応するために、Sb70Te30共晶点あるいはSb90Ge10共晶点近傍よりもさらにSbを過剰に添加して、結晶核生成速度ではなく結晶成長速度を高めることにより結晶化速度を高めている。このため、これら記録層においては、記録層の冷却速度を速くして、再結晶化による非晶質マークの変化(非晶質マークが所望のサイズよりも小さくなること)を抑制することが好ましい。従って、記録層を溶融した後に非晶質マークを確実に形成するために記録層を急冷することが重要となり、記録層の冷却効率を良くすることが非常に重要となるのである。そのため、上記記録層組成においては、反射層に放熱性の高いAg又はAg合金を用いることが特に好ましい。そして、このような記録時の冷却効率を上げる必要がある記録層を有する光記録媒体に対して、本発明の光記録方法を用いる意義が大きい。
本実施の形態が適用される光記録媒体では、上記、SbTe共晶系又はSbGe共晶系等のSbを主成分とする組成を用いる記録層において、さらに、In、Ga、及びSnの少なくとも1つを含有し、前記記録層中におけるIn、Ga、及びSnのそれぞれの含有量が1原子%以上30原子%以下であることが特に好ましい。
以下、Sbを主成分とする組成の具体例についてさらに説明する。
Sbを主成分とする組成としては、まず、(SbxTe1-x1-yy(ただし、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、MはGe、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、S、Se、V、Nb、及びTaより選ばれる少なくとも1種)合金を主成分とするSbTe共晶系の組成を好ましく挙げることができる。なお、上記組成式は、原子数比で組成を表している。従って、例えばx=0.6は、60原子%を意味する。
上記(SbxTe1-x1-yy組成においては、Mとしては、Ge、Ga、Ag又はInを単独又は併用して用いることが、オーバーライト特性等の記録特性の観点から特に好ましい。
上記(SbxTe1-x1-yy組成においては、xは、通常0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上であり、一方、通常0.9以下とする。また、yは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、一方、通常0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。x、yを上記範囲とすれば、高速記録に対応可能な記録層を得ることができるようになる。
上記(SbxTe1-x1-yy組成においてMとしてGeを用いる組成について更に説明する。この組成としては、Sb70Te30共晶点組成を基本として大幅に過剰のSbを含むSb70Te30合金を母体とし、さらにGeを含む、Gey(SbxTe1-x1-y(ただし、0.01≦y≦0.06、0.82≦x≦0.9)であらわされる組成を用いることが好ましい。Ge量は、Gey(SbxTe1-x1-yにおけるyの値として0.01以上、特に、0.02以上であることが好ましい。一方、このようにSb含有量が多いSbTe共晶組成では、Ge量が多すぎると、GeTeやGeSbTe系の金属間化合物が析出するとともに、SbGe合金も析出しうるために、記録層中に光学定数の異なる結晶粒が混在すると推定される。そして、この結晶粒の混在により、記録層のノイズが上昇しジッタが増加することがある。また、Geをあまりに多く添加しても非晶質マークの経時安定性の効果が飽和する。このため、通常Ge量は、Gey(SbxTe1-x1-yにおけるyの値として、0.06以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下である。
上記GeSbTe共晶系の組成においては、さらにIn、Ga、Snを含有させることが特に好ましい。すなわち、M1zGey(SbxTe1-x1-y-z(0.01≦ z≦0.4、0.01≦y≦0.06、0.82≦x≦0.9であり、M1は、In、Ga及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表す。)で表される組成を用いることが特に好ましい。上記M1をIn、Ga及びSnで示される一群の元素のうち少なくとも1種を添加することによりさらに特性が改善される。In、Ga、Snの元素は、結晶状態と非晶質状態の光学的コントラストを大きくでき、ジッタを低減する効果もある。M1の含有量を示すzは、通常0.01以上、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、一方、通常0.4以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下とする。この範囲とすれば、上記特性改善の効果が良好に発揮されるようになる。
上記GeSbTe共晶系の組成においてIn、Ga、Sn以外に含みうる元素としては、窒素、酸素及び硫黄を挙げることができる。これら元素は、繰返しオーバーライトにおける偏析の防止や光学特性の微調整ができるという効果がある。窒素、酸素及び硫黄の含有量は、Sb、Te及びGeの合計量に対して5原子%以下であることがより好ましい。
また、Sn、Cu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Coを上記GeSbTe共晶系の組成に含有させることもできる。これらの元素は、ごく微量の添加により、結晶成長速度を低下させることなく、結晶化温度を上昇させ、さらなる経時安定性の改善に効果がある。ただし、これら元素の量が多すぎると特定の物質の経時的偏析や繰返しオーバーライトによる偏析が起こりやすくなるため、添加量は5原子%以下、特に3原子%以下とするのが好ましい。偏析が生じると、記録層が初期に有する非晶質の安定性や再結晶化速度等が変化して、オーバーライト特性が悪化することがある。
一方、Sbを主成分とする組成であるSbGe共晶系組成としては、SbGe共晶系にTeを添加するTeGeSb系を主成分とする組成、SbGe共晶系にIn、Ga又はSnを添加した、InGeSb系、GaGeSb系、又はSnGeSb系3元合金を主成分とする組成を挙げることができる。SbGe共晶系の合金に、Te、In、Ga、又はSnを添加することにより、結晶状態と非晶質状態の光学的特性差を大きくする効果を顕著とすることができるが、特にSnを添加することが好ましい。
このようなSbGe共晶系合金の好ましい組成としては、TeγM2δ(GeεSb1-ε)1-δーγ(ただし、0.01≦ε≦0.3、0≦δ≦0.3、0≦γ<0.1、2≦δ/γ、0<δ+γ≦0.4であり、M2はIn、Ga、及びSnからなる群から選ばれる一つである。)を挙げることができる。SbGe共晶系合金に、In、Ga、又はSnを添加することにより、結晶状態と非晶質状態との光学的特性差を大きくできる効果を顕著とすることができる。
元素M2としてIn、Gaを用いることで、超高速記録におけるジッタが改善され、光学的なコントラストも大きくすることができるようになる。このため、In及び/又はGaの含有量を示すδは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とする。ただし、In又はGaが過度に多いと、消去状態として使用する結晶相とは別に、非常に低反射率のIn−Sb系、又はGa−Sb系の他の結晶相が形成される場合がある。従って、δは、通常0.3以下、好ましくは、0.2以下とする。尚、InとGaとを比較すると、Inの方がより低ジッタを実現できるため、上記M2はInとすることが好ましい。
一方、元素M2としてSnを用いることで、超高速記録におけるジッタが改善され、光学的なコントラスト(結晶状態と非晶質状態の反射率差)が大きくとれるようになる。このため、Snの含有量を示すδは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とする。ただし、Snが過度に多いと、記録直後の非晶質相が、低反射率の他の非晶質相に変化する場合がある。特に、長時間保存した場合に、この安定化非晶質相が析出して消去性能が低下する傾向がある。従って、δは、通常0.3以下、好ましくは0.2以下とする。
元素M2として、In、Ga、及びSnのうち複数の元素を用いることもできるが、特に、In及びSnを含有させることが好ましい。In及びSnを含有させる場合、これら元素の合計含有量は、通常1原子%以上、好ましくは5原子%以上とし、通常40原子%以下、好ましくは30原子%以下、より好ましくは25原子%以下とする。
上記TeM2GeSb系の組成においては、Teを含有することで超高速記録における消去比の経時的変化を改善することができるようになる。このため、Teの含有量を示すγは、通常0以上とするが、好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.05以上とする。ただし、Teが過度に多いと、ノイズが高くなる場合があるため、γは、通常0.1より小とする。
尚、上記TeM2GeSb系の組成において、Teと元素M2とを含有させる場合は、これらの合計含有量を制御することが有効である。従って、Te及び元素M2の含有量を示すδ+γは、通常0より大きくするが、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とすることである。δ+γを上記範囲とすることで、Te及び元素M2を同時に含有させる効果が良好に発揮されるようになる。一方、GeSb系共晶合金を主成分とする効果を良好に発揮されるために、δ+γは、通常0.4以下、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.3以下とする。一方、元素M2とTeとの原子数比を表すδ/γは2以上とするのが好ましい。Teを含有させることによって光学的コントラストが低下する傾向にあるため、Teを含有させた場合には、元素M2の含有量を若干多くする(δを若干大きくする)ことが好ましい。
上記TeM2GeSb系の組成に添加しうる元素としては、Au、Ag、Pd、Pt、Si、Pb、Bi、Ta、Nb、V、Mo、希土類元素、N、O等があり、光学特性や結晶化速度の微調整等に使われるが、その添加量は、最大で10原子%程度である。
以上において最も好ましい組成の一つは、InpSnqTerGesSbt(0≦p≦0.3、0≦q≦0.3、0<p+q≦0.3、0≦r<0.1、0<s≦0.2、0.5≦t≦0.9、p+q+r+s+t=1)なる合金系を主成分とする組成である。TeとIn及び/又はSnとを併用する場合は、(p+q)/r≧2とするのが好ましい。
記録層の膜厚は、十分な光学的コントラストを得、また結晶化速度を速くし短時間での記録消去を達成するためには5nm以上あるのが好ましい。また反射率を十分に高くするために、より好ましくは10nm以上とする。
一方、クラックを生じにくく、かつ十分な光学的コントラストを得るためには、記録層膜厚は100nm以下とするのが好ましいが、より好ましくは50nm以下とする。これは、熱容量を小さくし記録感度を上げるためである。また、上記範囲とすれば相変化に伴う体積変化を小さくできるため、上下の保護層に対する、繰り返しオーバーライトによる繰り返し体積変化の影響を小さくすることもできる。ひいては、不可逆な微視的変形の蓄積が抑えられノイズが低減され、繰り返しオーバーライト耐久性が向上する。
書き換え可能型DVDのような高密度記録用媒体では、ノイズに対する要求が一層厳しいため、より好ましくは記録層膜厚を30nm以下とする。
上記記録層は、通常、所定の合金ターゲットを不活性ガス、特にArガス中でDCまたはRFスパッタリングして得ることができる。
また、記録層の密度は、バルク密度の通常80%以上、好ましくは90%以上とする。ここでいうバルク密度ρとは、通常下記(1)式による近似値を用いるが、記録層を構成する合金組成の塊を作成して実測することもできる。
ρ=Σmiρi・・・(1)
(ここで、miは各元素iのモル濃度であり、miρiは元素iの原子量である。)
スパッタ成膜法においては、成膜時のスパッタガス(通常、Ar等の希ガス。以下、Arの場合を例に説明する。)の圧力を低くしたり、ターゲット正面に近接して基板を配置するなどして、記録層に照射される高エネルギーAr量を多くすることによって、記録層の密度を上げることができる。高エネルギーArは、通常スパッタのためにターゲットに照射されるArイオンが一部跳ね返されて基板側に到達するものか、プラズマ中のArイオンが基板全面のシース電圧で加速されて基板に達するものかのいずれかである。
このような高エネルギーの希ガスの照射効果をAtomic peening効果というが、一般的に使用されるArガスでのスパッタではAtomic peening効果により、Arがスパッタ膜に混入される。膜中のAr量により、Atomic peening効果を見積もることができる。すなわち、Ar量が少なければ、高エネルギーAr照射効果が少ないことを意味し、密度の疎な膜が形成されやすい。
一方、Ar量が多ければ、高エネルギーArの照射が激しくなり、膜の密度は高くなるものの、膜中に取り込まれたArが繰り返しオーバーライト時にvoidとなって析出し、繰り返しの耐久性を劣化させやすい。従って、適度な圧力、通常は10-2〜10-1Paのオーダーの範囲で放電を行う。
[3B]基板
基板には、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラスを用いることができる。なかでもポリカーボネート樹脂はCD−ROM等において最も広く用いられている実績もあり安価でもあるので最も好ましい。基板の厚さは、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは15mm以下である。一般的には0.6mm〜1.2mm程度とされる。基板面入射型の光記録媒体においては、基板はレーザ光を透過する必要があるため、レーザ光に対して透明である必要がある。一方、膜面入射型の光記録媒体においては、基板は必ずしも透明である必要はない。
[3C]保護層
記録層の相変化に伴う蒸発・変形を防止し、その際の熱拡散を制御するため、通常記録層の上下一方または両方、好ましくは両方に保護層が形成される。保護層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物やCa、Mg、Li等のフッ化物等の誘電体を用いることができる。
この場合、これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体の混合物が好ましい。より具体的には、ZnSや希土類硫化物等のカルコゲン化合物と酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。例えば、ZnSを主成分とする耐熱化合物の混合物や、希土類の硫酸化物、特にY22Sを主成分とする耐熱化合物の混合物は好ましい保護層組成の一例である。
保護層の材料としては、通常、誘電体材料を挙げることができる。誘電体材料としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Cr、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びTe等の酸化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びPb等の窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、及びSi等の炭化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。また、誘電体材料としては、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の硫化物、セレン化物もしくはテルル化物、Mg、Ca、Li等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
さらに誘電体材料の具体例としては、ZnS−SiO2、SiN、SiO2、TiO2、CrN、TaS2、Y22S等を挙げることができる。これら材料の中でも、ZnS−SiO2は、成膜速度の速さ、膜応力の小ささ、温度変化による体積変化率の小ささ、及び優れた耐候性から広く利用される。ZnS−SiO2を用いる場合、ZnSとSiO2との組成比ZnS:SiO2は、通常0:1〜1:0、好ましくは0.5:0.5〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1とする。最も好ましいのはZnS:SiO2を0.8:0.2とすることである。
より具体的には、La,Ce,Nd,Y等の希土類の硫化物、硫酸化物を50mol%以上90mol%以下含む複合誘電体や、ZnS,TaS2を70mol%以上90mol%以下含有する複合誘電体が望ましい。
繰り返し記録特性を考慮すると、保護層の膜密度はバルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から望ましい。誘電体の混合物を用いる場合には、バルク密度として上述の一般式(1)の理論密度を用いる。
保護層の厚さは、一般的に通常1nm以上500nm以下である。1nm以上とすることで、基板や記録層の変形防止効果を十分確保することができ、保護層としての役目を十分果たすことができる。また、500nm以下とすれば、保護層としての役目を十分果たしつつ、保護層自体の内部応力や基板との弾性特性の差等が顕著になって、クラックが発生するということを防止することができる。
特に、基板と記録層の間に保護層(下部保護層と称することがある)を設ける場合、下部保護層は、熱による基板変形を抑制する必要があるため、その厚さは通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、特に好ましくは40nm以上である。このようにすれば、繰り返し記録中の微視的な基板変形の蓄積が抑制され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなるということがなくなる。
一方、下部保護層の厚みは、成膜に要する時間の関係から、通常400nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは100nm以下である。このようにすれば、記録層平面で見た基板の溝形状が変わるということがなくなる。すなわち、溝の深さや幅が、基板表面で意図した形状より小さくなったりする現象が起こりにくくなる。
一方、記録層の基板とは反対側に保護層(上部保護層と称することがある)を設ける場合、上部保護層は、記録層の変形抑制のために、通常その厚さは1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上である。また、繰り返し記録に伴って発生する上部保護層内部の微視的な塑性変形の蓄積を防止し、再生光の散乱によるノイズ上昇を抑制するため、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下、最も好ましくは30nm以下である。
なお、記録層及び保護層の厚みは、機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率がよく、記録信号の振幅が大きく、すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれる。
保護層は通常スパッタ法で形成されるが、ターゲットそのものの不純物量や、成膜時に混入する水分や酸素量も含めて全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために保護層をスパッタリングによって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10-3Pa未満とすることが望ましい。
[3D]反射層
光記録媒体においては、さらに反射層を設けることができる。反射層の設けられる位置は、通常再生光の入射方向に依存し、入射側に対して記録層の反対側に設けられる。すなわち、基板側から再生光を入射する場合は、基板に対して記録層の反対側に反射層を設けるのが通常であり、記録層側から再生光を入射する場合は記録層と基板との間に反射層を設けるのが通常である。
反射層に使用する材料は、反射率の大きい物質が好ましく、特に放熱効果も期待できるAu、AgまたはAl等の金属が好ましい。その放熱性は膜厚と熱伝導率で決まるが、熱伝導率は、これら金属ではほぼ体積抵抗率に比例するため、放熱性能を面積抵抗率で表すことができる。面積抵抗率は、通常0.05Ω/□以上、好ましくは0.1Ω/□以上、一方、通常0.6Ω/□以下、好ましくは0.5Ω/□以下とする。
これは、特に放熱性が高いことを保証するものであり、光記録媒体に用いる記録層のように、非晶質マーク形成において、非晶質化と再結晶化の競合が顕著である場合に、再結晶化をある程度抑制するために必要なことである。反射層自体の熱伝導度制御や、耐腐蝕性の改善のため上記の金属にTa、Ti、Cr、Mo、Mg、V、Nb、Zr、Si等を少量加えてもよい。添加量は通常0.01原子%以上20原子%以下である。
本発明に適した反射層の材料をより具体的に述べると、AlにTa,Ti,Co,Cr,Si,Sc,Hf,Pd,Pt,Mg,Zr,Mo及びMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAl合金を挙げることができる。これらの合金は、耐ヒロック性が改善されることが知られているので、耐久性,体積抵抗率,成膜速度等を考慮して用いることができる。上記元素の含有量は、通常0.1原子%以上、好ましくは0.2原子%以上、一方、通常2原子%以下、好ましくは1原子%以下である。Al合金に関しては、添加不純物量が少なすぎると、成膜条件にもよるが、耐ヒロック性は不十分であることが多い。また、多すぎると十分な放熱効果が得られにくい。
アルミニウム合金の具体例としては、Ta及びTiの少なくとも一方を15原子%以下含有するアルミニウム合金、特に、Alα Ta1-α(0≦α≦0.15)なる合金は、耐腐蝕性に優れており、光記録媒体の信頼性を向上させる上で特に好ましい反射層材料である。
反射層材料の好ましい例としては、純AgまたはAgにTi,V,Ta,Nb,W,Co,Cr,Si,Ge,Sn,Sc,Hf,Pd,Rh,Au,Pt,Mg,Zr,Mo、Cu、Zn、Mn、及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAg合金を挙げることができる。経時安定性をより重視する場合には添加成分としてはTi,Mg又はPdが好ましい。上記元素の含有量は、通常0.01原子%以上、好ましくは0.2原子%以上、一方、通常10原子%以下、好ましくは5原子%以下である。
特に、AgにMg、Ti、Au、Cu、Pd、Pt、Zn、Cr、Si、Ge、希土類元素のいずれか一種を0.01原子%以上10原子%以下含むAg合金は、反射率、熱伝導率が高く、耐熱性も優れていて好ましい。
なお、上部保護層の膜厚を40nm以上50nm以下とする場合には特に、反射層を高熱伝導率にするため、含まれる添加元素を2原子%以下とするのが好ましい。
反射層の材料として特に好ましいのは、Agを主成分とすることであり、最も好ましいのは純Agとすることである。Agを主成分とすることが好ましい理由は以下のとおりである。すなわち、長期保存した記録マークを再度記録すると、保存直後の第一回目の記録だけ、相変化記録層の再結晶化速度が速くなる現象が発生する場合がある。このような現象が発生する理由は不明であるが、この保存直後における記録層の再結晶化速度の増加により、保存直後の第一回目の記録で形成した非晶質マークの大きさが所望するマークの大きさよりも小さくなるのではないかと推測される。したがって、このような現象が発生する場合には、反射層に放熱性が非常に高いAgを用いて記録層の冷却速度を上げることにより、保存直後における第一回目の記録時の記録層の再結晶化を抑制して非晶質マークの大きさを所望の大きさに保つことができるようになる。
反射層の膜厚としては、透過光がなく完全に入射光を反射させるために通常10nm以上とするが、20nm以上とすることが好ましく、40nm以上とすることがより好ましく、50nm以上とすることがさらに好ましい。また、あまりに厚すぎても、放熱効果に変化はなくいたずらに生産性を悪くし、また、クラックが発生しやすくなるので、通常は500nm以下とするが、400nm以下とすることが好ましく、300nm以下とすることがより好ましく、200nm以下とすることがさらに好ましい。
なお、反射層は通常スパッタ法や真空蒸着法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不純物量や、成膜時に混入する水分や酸素量も含めて全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために反射層をスパッタリングによって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10-3Pa未満とすることが望ましい。
また、10-4Paより悪い到達真空度で成膜するなら、成膜レートを1nm/秒以上、好ましくは10nm/秒以上として不純物が取り込まれるのを防ぐことが望ましい。あるいは、意図的な添加元素を1原子%より多く含む場合は、成膜レートを10nm/秒以上として付加的な不純物混入を極力防ぐことが望ましい。
さらなる高熱伝導と高信頼性を得るために反射層を多層化することも有効である。この場合、少なくとも1層は全反射層膜厚の50%以上の膜厚を有する上記の材料とするのが好ましい。この層は実質的に放熱効果を司り、他の層が耐食性や保護層との密着性、耐ヒロック性の改善に寄与するように構成される。特に、純AgまたはAgを主成分とする反射層を、硫黄を含むZnS等を含む保護層と接して設ける場合には、Agの硫黄との反応による腐食を防ぐために、通常、硫黄を含まない界面層を設けるが、界面層が、反射層として機能するような金属であることが好ましい。界面層の材料としては、Ta、Nbを挙げることができる。この場合、基板上に、第一保護層、相変化型記録層、第二保護層、界面層、反射層(ここで、界面層と反射層とが多層の反射層を構成していると考えることもできる。)をこの順に有する層構成をとることになる。
記録層用ターゲット、保護層用ターゲット、必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
[3E]保護コート層
光記録媒体の最表面側には、空気との直接接触を防いだり、異物との接触による傷を防ぐため、紫外線硬化樹脂や熱硬化型樹脂からなる保護コート層を設けるのが好ましい。保護コート層は通常1μmから数百μmの厚さである。また、硬度の高い誘電体保護層をさらに設けたり、その上にさらに樹脂層を設けることもできる。
[3F]その他
なお、ここでは、リライタブルDVDとして1層構造のものを例に説明したが、これに限られるものではなく、他の構造のもの(例えば2層構造のものやそれ以上の多層構造のもの、2層構造で片面入射型のものや両面入射型のものなど)にも本発明を適用することができる。
したがって、本実施形態にかかる光記録方法によれば、例えばリライタブルDVDのような大容量の書換型光記録媒体を追記型光記録媒体(ライトワンスメディア)として用い、記録速度に応じた記録パルスとすることで、大容量の光記録媒体における高速記録を実現できるという利点がある。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
基板のトラックピッチが0.74μm、溝幅0.32μm、溝深さ32nm、厚み0.6mmのポリカーボネート基板上に、Arガスを用いたスパッタリング法により、(ZnS)80(SiO220保護層を80nm、In3Ge3Sb70Te20記録層を14nm、(ZnS)80(SiO220保護層を22nm、Ta拡散防止層を2nm、Ag反射膜を100nm、この順に形成した。
各層の成膜は到達真空度4×10-4Pa以下になってから実施した。
第1保護層は、Arガスを導入し成膜圧力を2.6×10-1Paとし、成膜パワー2kWのRFスパッタリングで形成した。
記録層は、成膜圧力2.1×10-1Paとし、成膜パワー300WのRFスパッタリングで形成した。
第2保護層は成膜圧力3.9×10-1Paとし、成膜パワー1.2kWのRFスパッタリングで形成した。
拡散防止層は、成膜圧力1.7×10-1Paとし、成膜パワー500WのDCスパッタリングで形成した。
反射層は、成膜圧力6.4×10-1Paとし、成膜パワー750WのDCスパッタリングで形成した。
その上に紫外線硬化樹脂からなる保護コートをしたのち、0.6mm厚ポリカーボネート基板と貼り合わせて1.2mm厚のディスク(光記録媒体)とした。
このディスクを線速度5m/sにおいて高出力半導体レーザを用いて初期化を行った。ここで、初期化レーザパワーは1400Wとした。
記録及び記録信号の特性評価には、波長650nm,NA=0.65のパルステック社製光ディスクテスタDDU1000を用いた。
基準線速度をDVDの基準線速度である3.49m/sとし、基準クロック周波数を26.2MHz(クロック周期Ts=38.2ns)とし、EFM+変調信号を各線速度で記録した後、基準線速度に於いてクロックジッターを測定した。
ここで、クロックジッターとは、再生信号をイコライザとLPFを通過させた後に、スライサにより2値化信号とし、該2値化信号のリーディングエッジとトレーリングエッジのPLLクロックに対する時間のずれの標準偏差(ジッター)をクロック周期:Tで規格化したものである。詳細な測定方法は、DVD−ROM規格書やリライタブルDVD規格書に規定されている。
下記表1は、記録線速度を基準線速度の1倍,2.4倍,4倍とする場合に実際に使用した記録ストラテジー(1Tパルス分割ストラテジー)を示している。表1にあるストラテジーは、各線速度においてαi(i=2〜mの自然数)は一定値をとり、βk(k=2〜m−1の自然数)も一定値をとっており、上述の実施形態において説明した分割パルス1Tストラテジーのより規則性を上げたものとしている。また、βi-1+αiは1(i=3〜m−1)となっている。
Figure 2004206866
下記表2は、このような分割パルス1Tストラテジーを用いる場合のレーザパワー及びそのレーザパワーで記録した信号のクロックジッターを示している。
Figure 2004206866
いずれの線速度においてもクロックジッターが9%以下であり良好であることがわかる。
次に、記録線速度を基準線速度の1倍,2.4倍,4倍とする場合に実際に使用した記録ストラテジー(2Tパルス分割ストラテジー)をそれぞれ表3,表4,表5に示す。尚、表3,4,5において奇数マーク(nTマークにおいてnが奇数の場合)のストラテジーを規定する記録パルス長の係数αi’と冷却パルス長の係数βi’は、表を見やすくするためにそれぞれαiとβiの欄に記載した。
Figure 2004206866
Figure 2004206866
Figure 2004206866
さらに、下記表6に各線速度でのレーザパワーと該記録条件で記録された信号のクロックジッターとを示す。
Figure 2004206866
いずれの線速度においてもクロックジッターが9%以下であり良好であることがわかる。
さて、書換記録可能範囲を確認するために、上記表1に示されるような記録ストラテジーを用いて10回オーバーライトした記録信号のクロックジッターを測定した。その結果を下記表7に示す。4倍速まではクロックジッターが9%以下であり良好な結果が得られている。
Figure 2004206866
そこで、更に、表8のような記録ストラテジー(1Tパルス分割ストラテジー)を用い、レーザパワーとして、記録パワーPwL:21mW、消去パワーPe:4mW、バイアスパワーPbL:0.5mWを印加して5倍速で10回オーバーライトを試みた。その結果は表7に示されているようにクロックジッターが11.0%であった。
Figure 2004206866
一般に、DVDではクロックジッターが10%以下であればリードエラーが起こることがないとされている。従って、本実施例においては、上記表7に示された10回オーバーライト後のクロックジッターの測定結果より4倍速を書換可能範囲の上限と定めるのが妥当である。
そこで、書換可能範囲を超える5倍速以上の線速度では、上述の実施形態で説明した1つのパルス(ブロックパルス)で記録するストラテジー(ブロックパルスストラテジー)を用いて追記型記録を実施した。実際に使用した、ストラテジーを下記表9に示す。
Figure 2004206866
本実施例で使用したストラテジーはγがnによらず0.5と一定値であり、上述の実施形態で説明したブロックパルスストラテジーを更に限定したものである。即ち、CAV記録のように光ディスクの記録半径位置によって線速度が変化する場合であってもクロック周期:Tの係数は固定であることから、記録再生装置にとっては記録パルス制御がより簡易であるとすることができる。
上記表9に示したストラテジーで基準線速度の5倍速から16倍速で追記型記録をしたときのクロックジッターと記録に要したレーザパワーPwHとPbHを下記表10に示す。
Figure 2004206866
これによると、5倍速から16倍速までジッターが9%以下であり良好な記録特性になっていることが分かる。
次に、8倍速で追記型記録をした信号の上に、DC消去をすることなく直接2.4倍速で信号を一回上書きする実験を行った。ストラテジーは上記表1にある通り(1Tパルス分割ストラテジー)とした。重ね書きした信号のクロックジッターは7.2%であった。更にその上に2.4倍速でもう一度重ね書きを行ったところクロックジッターは7.1%であった。すなわち、これは追記型記録をしてもユーザが書換型記録モードを選択すればDC消去を経ることなく直接上書きができるということを示している。
次に、8倍速で追記型記録をした信号を、1倍速で13mWのDC光を1回照射して消去し、その上に8倍速で追記型記録を実施した。ストラテジーは上記表9にある通りとした。その信号のクロックジッターを測定したところ7%であることが確認できた。これは、追記型で記録した信号もユーザが選択すれば、DC消去を行った後に、再度高速度で追記型記録が可能であることを示すものである。
(a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる光記録方法において所定記録線速度以上の線速度で書き込みを行なう場合の記録パルスを説明するための図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる光記録方法において所定記録線速度よりも低い線速度で書き込みを行なう場合の2T分割パルスストラテジーを説明するための図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態にかかる光記録方法において所定記録線速度よりも低い線速度で書き込みを行なう場合の2T分割パルスストラテジーの他の例を説明するための図である。
符号の説明
300,400 クロック
301,401 2mTの記録マークの長さ
302,402 (2m+1)Tの記録マークの長さ
303,403 n=2m(=10)の場合の分割記録パルスの記録パルス列
307,406 n=2m+1(=11)の場合の分割記録パルスの記録パルス列
304〜306,308〜310,404,405,407,408,410 区間

Claims (18)

  1. 相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数)を有する非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、
    (M−1)記録速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度の範囲内である場合は、
    時間的長さnTを、
    η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
    αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
    (mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、前記パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
    αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
    βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射して、
    nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
    前記複数の記録マーク間には、消去パワーPe(Peは1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射し、
    (M−2)前記記録速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速い場合は、
    nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成する
    ことを特徴とする、光記録方法。
  2. 前記バイアスパワーPbi及びPbHが、前記消去パワーPeよりも小さいことを特徴とする、請求項1記載の光記録方法。
  3. 前記記録速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速い場合において、
    前記nT(nはk0以上の自然数、k0は2又は3)の記録マークを、k0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する記録マーク(k1は整数)と、(k0+k1)T以上の時間的長さを有する記録マークとに分け、
    γ(γは0以上2以下の値)をnによって異なり得るものとし、
    0T、・・、(k0+(k1−1))Tの時間的長さを有する前記記録マークを形成する場合には、前記記録マークの始点からTdkT(Tdkは−1から1の間の値)の時間だけ遅れた時点から前記記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、前記記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において前記記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成し、
    (k0+k1)T以上の時間的長さを有する前記記録マークを形成する場合には、前記記録マークの始点から前記記録パワーPwHの記録光の照射を開始し、前記記録マークの終点からγTの時間だけ早い時点において前記記録パワーPwHの記録光の照射を終了することによって記録マークを形成することを特徴とする、請求項1又は2記載の光記録方法。
  4. 前記記録速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度の範囲内である場合は、
    nTの時間的長さを有する記録マークを形成する際に、
    n=2m(mはパルス分割数、1以上の自然数)なる記録マークについては、時間的長さ(n−j)T(jは−2〜2なる実数)を、
    α1T、β1T、α2T、β2T、・・・・、αmT、βm
    からなるm個のαiTとβiTとからなる区間(ただしΣi(αi+βi)=n−j)
    に分割し、
    n=2m+1なる記録マークについては、時間的長さ(n−k)T(kは−2〜2なる実数)を、
    α1’T、β1’T、α2’T、β2’T、・・・・、αm’T、βm’T
    からなるm個のαi’Tとβi’Tからなる区間(ただし、Σi(αi’+βi’)=
    n−k)に分割し、
    m≧4では、βi-1+αi=βi-1’+αi’=2±0.2(i=3〜m−1)として、
    前記αiT及び前記αi’Tの時間内には、前記記録パワーPwi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射し、
    前記βiT及び前記βi’Tの時間内には、前記バイアスパワーPbi(iは1以上m以下の整数)の記録光を照射することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光記録方法。
  5. 前記記録パワーPwiが、1≦i≦mにおいて一定値PwLであり、
    前記バイアスパワーPbiが、1≦i≦mにおいて一定値PbLであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光記録方法。
  6. α1≠α1’、β1≠β1’、α2≠α2’、βm-1≠βm-1’、αm≠αm’及びβm≠βm’のうちの少なくとも一つを満たすようにすることを特徴とする、請求項4又は5記載の光記録方法。
  7. βm-1≠βm-1’及びαm≠αm’を満たすようにすることを特徴とする、請求項4又は5記載の光記録方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録方法によって情報を記録されうる書換型光記録媒体であって、前記相変化型記録層がSbを主成分とする組成であることを特徴とする、書換型光記録媒体。
  9. 相変化型記録層を有し、前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、この未記録・消去状態に様々な時間的長さnT(Tは基準クロック周期、nは2以上の整数)の非晶質状態の記録マークを形成することによって、情報を記録する円盤状の書換型光記録媒体を装着し、前記書換型光記録媒体を回転させた状態で前記書換型光記録媒体に記録光を照射することによって前記情報の記録を行う記録再生装置であって、
    書換記録モード、ライトワンス記録モード、及びDC消去モードの3つの記録光照射モードを有し、
    (A−1)書換記録モードにおいては、
    情報の記録を行なう前記書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体の書換可能な記録速度の範囲内となるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、
    時間的長さnTを、
    η1T、α1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
    αiT、βiT、・・・、αmT、βmT、η2
    (mはパルス分割数であり、iは1以上m以下の整数である。Σi(αi+βi)+η1+η2=nである。αi(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、βi(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βmは0以上の実数であり、η1及びη2はそれぞれ−2以上2以下の実数である。)の順に分割し、少なくとも一つの記録マークの時間的長さは、前記パルス分割数mを2以上とし、かつ、全ての記録マークの時間的長さは、n/m≧1.25を満たすようにして、
    αiTの時間内には、記録パワーPwi(1≦i≦m)の記録光を照射し、
    βiTの時間内には、バイアスパワーPbi(1≦i≦m、Pbi<Pwi、Pbi<Pwi+1)の記録光を照射し、
    nTの時間的長さを有する複数の記録マークを形成し、
    前記複数の記録マーク間には、消去パワーPe(Peは1≦i≦mにおけるm個のPbiそれぞれの値以上であり、1≦i≦mにおけるm個のPwiそれぞれの値よりも小さい値である。)の記録光を照射することによって、前記書換型光記録媒体に記録を行い、
    (A−2)ライトワンス記録モードにおいては、
    情報の記録を行う前記書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体に記録された情報が書換可能な記録速度よりも速くなるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、
    nTの時間的長さを有する記録マークを、記録パワーPwHの記録光とバイアスパワーPbHの記録光とを照射しうる一つのブロックパルスを用いて形成することによって、前記書換型光記録媒体に記録を行い、
    (A−3)DC消去モードにおいては、
    情報の消去を行う前記書換型光記録媒体の半径位置における線速度が、前記書換型光記録媒体の書換可能な記録速度の範囲内となるように前記書換型光記録媒体を回転させた状態で、消去パワーPDCの記録光を照射することによって、前記書換型光記録媒体に記録されている情報の消去を行い、
    (A−4)前記書換記録モードを実行した後に前記ライトワンス記録モードを実行する場合、又は、前記ライトワンス記録モードを実行した後に再度前記ライトワンス記録モードを実行する場合には、前記DC消去モードを行って前記書換型光記録媒体に記録されている情報を消去するように構成されることを特徴とする、記録再生装置。
  10. 前記バイアスパワーPbi及びPbHが、前記消去パワーPeよりも小さくなるように構成されることを特徴とする、請求項9に記載の記録再生装置。
  11. 前記記録パワーPwiが、1≦i≦mにおいて一定値PwLであり、
    前記バイアスパワーPbiが、1≦i≦mにおいて一定値PbLであることを特徴とする、請求項9又は10記載の記録再生装置。
  12. 前記DC消去モードにおける消去パワーPDCが、前記書換記録モードにおける消去パワーPeと等しいことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の記録再生装置。
  13. 相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、
    記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、前記記録マークの長さが所定長さ以上のときは、前記ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにし、前記記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、前記ブロックパルスの開始時期がデータ信号パルスの開始時期よりも第2所定時間だけ遅れるようにするとともに、前記ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにするとともに、
    記録速度が書換可能な記録速度以下の場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして複数の記録パルスからなるパルス列を用いることを特徴とする、光記録方法。
  14. 前記パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが偶数であるときは、前記後続パルス列における一対の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものが略2になるようにすることを特徴とする、請求項13記載の光記録方法。
  15. 前記パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、nが奇数のときは、前記後続パルス列を構成する冷却パルスと記録パルスとの対のうち、最先の冷却パルスと記録パルスとの対及び最後の冷却パルスと記録パルスとの対以外の、一対の冷却パルスのパルス幅と記録パルスのパルス幅とを足したものが略2になるようにすることを特徴とする、請求項13又は14記載の光記録方法。
  16. 前記パルス列が、記録パワーレベルの先頭パルスと、冷却パワーレベルの冷却パルスと記録パワーレベルの記録パルスとの対が繰り返される後続パルス列と、最後尾の冷却パルスとからなるものとし、nT(n:3以上の自然数,T:クロック周期)の長さを有する記録マークを形成する場合であって、
    前記後続パルス列を構成する記録パルスの数を、nが奇数であるか偶数であるかに関わらず同数にし、
    nが奇数の場合は、前記後続パルス列を構成する、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、及び最後の記録パルスのパルス幅から選ばれる少なくとも1つを、
    nが偶数の場合の、最先の冷却パルスのパルス幅、最先の記録パルスのパルス幅、最後の冷却パルスのパルス幅、最後の記録パルスのパルス幅のそれぞれに対して変化させることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の光記録方法。
  17. 相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いる光記録方法であって、
    記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、前記記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、前記記録マークの長さが所定長さ以上のときよりも、前記ブロックパルスの開始時期が所定時間だけ遅れるようにすることを特徴とする、光記録方法。
  18. 相変化型記録層を有する書換型光記録媒体の前記相変化型記録層の結晶状態を未記録・消去状態とし、これに様々な長さの非晶質状態の記録マークを形成することにより情報を記録する場合に用いられる記録再生装置であって、
    記録速度が書換可能な記録速度よりも速い場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして一つのブロックパルスを用い、前記記録マークの長さが所定長さ以上のときは、前記ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにし、前記記録マークの長さが所定長さよりも短いときは、前記ブロックパルスの開始時期がデータ信号パルスの開始時期よりも第2所定時間だけ遅れるようにするとともに、前記ブロックパルスの終了時期がデータ信号パルスの終了時期よりも第1所定時間だけ早くなるようにするとともに、
    記録速度が書換可能な記録速度以下の場合は、一つの記録マークを形成するための記録パルスとして複数の記録パルスからなるパルス列を用いるように構成されることを特徴とする、記録再生装置。
JP2003413893A 2002-12-13 2003-12-11 光記録方法及び記録再生装置 Expired - Fee Related JP4303575B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003413893A JP4303575B2 (ja) 2002-12-13 2003-12-11 光記録方法及び記録再生装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002363145 2002-12-13
JP2003413893A JP4303575B2 (ja) 2002-12-13 2003-12-11 光記録方法及び記録再生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004206866A true JP2004206866A (ja) 2004-07-22
JP4303575B2 JP4303575B2 (ja) 2009-07-29

Family

ID=32828665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003413893A Expired - Fee Related JP4303575B2 (ja) 2002-12-13 2003-12-11 光記録方法及び記録再生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4303575B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100618350B1 (ko) 2004-10-08 2006-08-31 삼성전자주식회사 저배속 광디스크에 데이터를 고배속으로 기록할 수 있는광디스크 기록장치 및 방법
JP2008159269A (ja) * 2006-04-28 2008-07-10 Sharp Corp 記録再生装置の記録マーク形成方法
JP2009536422A (ja) * 2006-05-09 2009-10-08 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ ディスクをアクセスするための方法及び装置

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100618350B1 (ko) 2004-10-08 2006-08-31 삼성전자주식회사 저배속 광디스크에 데이터를 고배속으로 기록할 수 있는광디스크 기록장치 및 방법
JP2008251168A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録マーク形成方法、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008159268A (ja) * 2006-04-28 2008-07-10 Sharp Corp 記録再生装置の記録マーク形成方法
JP2008251172A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録マーク形成方法、情報記録媒体及び再生装置
JP2008186582A (ja) * 2006-04-28 2008-08-14 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置、ならびに記録パラメータ設定方法。
JP2008186583A (ja) * 2006-04-28 2008-08-14 Sharp Corp 記録パラメータ設定方法
JP2008251174A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録マーク形成方法、情報記録媒体及び再生装置
JP2008251171A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録パラメータ設定方法、情報記録媒体及び再生装置
JP2008251173A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録再生装置、情報記録媒体及び再生装置
JP2008251166A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録パラメータ設定方法、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008251169A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録再生装置、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008251167A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録再生装置、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008251170A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録マーク形成方法、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008251175A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置、情報記録媒体、ならびに再生装置
JP2008159269A (ja) * 2006-04-28 2008-07-10 Sharp Corp 記録再生装置の記録マーク形成方法
JP4680284B2 (ja) * 2006-04-28 2011-05-11 シャープ株式会社 記録パラメータ設定装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、情報記録媒体
JP2008159267A (ja) * 2006-04-28 2008-07-10 Sharp Corp 記録パラメータ設定方法
JP2008282535A (ja) * 2006-04-28 2008-11-20 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置、情報記録媒体、及び再生装置
JP2008282533A (ja) * 2006-04-28 2008-11-20 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置、そのプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、情報記録媒体
JP2008282534A (ja) * 2006-04-28 2008-11-20 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置及び情報記録媒体
JP2008282536A (ja) * 2006-04-28 2008-11-20 Sharp Corp 記録再生装置、情報記録媒体及び再生装置
JP2008293644A (ja) * 2006-04-28 2008-12-04 Sharp Corp 記録パラメータ設定装置、情報記録媒体及び再生装置
JP2008251176A (ja) * 2006-04-28 2008-10-16 Sharp Corp 記録パラメータ設定方法、情報記録媒体、ならびに再生装置
JP4503666B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録再生装置
JP4503667B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録マーク形成方法
JP4503665B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録マーク形成方法
JP4503664B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録再生装置、情報記録媒体
JP4503662B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録パラメータ設定装置、情報記録媒体
JP4503663B2 (ja) * 2006-04-28 2010-07-14 シャープ株式会社 記録パラメータ設定方法
JP4680285B2 (ja) * 2006-04-28 2011-05-11 シャープ株式会社 記録パラメータ設定装置及び情報記録媒体
JP2009536422A (ja) * 2006-05-09 2009-10-08 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ ディスクをアクセスするための方法及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4303575B2 (ja) 2009-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4397751B2 (ja) 光記録方法及び光記録装置
JP2003305955A (ja) 光記録媒体及び記録方法
JP2006044215A (ja) 光記録媒体及びその製造方法、スパッタリングターゲット、並びに光記録媒体の使用方法及び光記録装置
JP4078237B2 (ja) 光記録媒体、光記録方法及び光記録装置
TWI246078B (en) Information recording medium
US7443776B2 (en) Optical recording method
JP4073581B2 (ja) 光学的情報記録用媒体及び光記録方法
JP2004220699A (ja) 光記録媒体
JPH10326436A (ja) 光学的情報記録用媒体
JP2002074741A (ja) 光学的情報記録用媒体
JP3485040B2 (ja) 光学的情報記録用媒体及び光記録方法
JP4303575B2 (ja) 光記録方法及び記録再生装置
JP2006168182A (ja) 相変化型光記録媒体
JP3870702B2 (ja) 光学的情報記録用媒体及びその記録消去方法
JP2005302263A (ja) 光ディスク及びその記録再生装置並びにアドレス情報管理方法
JP4248327B2 (ja) 相変化型光情報記録媒体
JP4410081B2 (ja) 光記録方法
JP4393806B2 (ja) 光記録媒体
JP3885051B2 (ja) 相変化型光記録媒体
JP4322927B2 (ja) 光記録方法、光記録媒体、及び多層型光記録媒体の光記録装置
JP2003242683A (ja) 情報記録媒体
JP2007098933A (ja) 光記録媒体
JP2006212880A (ja) 相変化型光記録媒体
JP3620597B1 (ja) 光情報記録媒体
JP4452646B2 (ja) 光学的情報記録用媒体の製造方法及び初期化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060421

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061102

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090407

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090424

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4303575

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140501

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees