JP2005302263A - 光ディスク及びその記録再生装置並びにアドレス情報管理方法 - Google Patents

光ディスク及びその記録再生装置並びにアドレス情報管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 より大容量で信頼性が高く且つデータ情報の繰り返し記録に対する耐久性に優れた光ディスクを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該溝には該溝のアドレス情報が記録されているヘッダー部が設けられ、該ヘッダー部が該溝を径方向に偏向させることにより形成されており、各溝の該ヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスクであって、所定の溝のアドレス情報が再生できなくても、隣接する溝のアドレス情報から所定の溝のアドレス情報を特定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エネルギービームの照射により情報の記録が行われる光ディスク及びその記録再生装置並びにアドレス情報管理方法に関し、特に、溝を径方向に偏向させることによりアドレス情報が記録されている光ディスク及びその記録再生装置並びにアドレス情報管理方法に関する。
近年、DVD−ROM、DVD−Video等の再生専用型光ディスク市場が拡大している。それに続いて、DVD−RAMやDVD−RW、DVD+RW等の書換え可能なDVDの市場も拡大し、このような書換え可能なDVDは、コンピュータ用バックアップ媒体及びVTRに代わる映像記録媒体として急速に普及している。このようなDVD市場の拡大に伴い、より高精細画像や長時間録画に対する要望、及び、繰返し使用に対するデータの信頼性に対する要望が日々増している。それゆえ、光ディスクの高密度化とデータの繰返し記録に対する耐久性の向上が重要な技術的課題となっている。
従来、光ディスクにおいて情報の高密度記録化を図るための種々の技術が提案されている。例えば、より波長の短い青色レーザ(λ=405nm)を用いることにより記録マークの微小化を図る方法や、ランドとグルーブの両方に記録することによってトラック密度を高密度化する方法などが提案されている。さらに、フォーマットの観点から、データ記録部のみならず、アドレス情報などを格納するヘッダー部の構造を工夫した光ディスクも各種提案されている。例えば、iD−photoでは、案内溝をトラックの半径方向に偏向させて、記録トラックの片側だけにヘッダー部の情報を記録することによって、フォーマット効率を上げ、記録トラックを長く寸断することなく構成することを可能にしている。
情報の書換えが可能な光ディスクの技術に関しては、DVD−RAM、DVD−RW等で採用されている相変化記録方式が一般的である。相変化記録方式の光ディスクでは記録層に相変化材料を用い、基本的に「0」と「1」の情報をそれぞれ相変化材料の結晶状態(未記録状態)とアモルファス状態(記録状態)に対応させて記録している。また、記録層内に形成された結晶状態とアモルファス状態の領域では屈折率が異なるため、結晶状態に変化させた部分とアモルファス状態に変化させた部分との反射率の差が最大になるように、光ディスクを構成する各層の屈折率、膜厚等が設計される。相変化記録方式の光ディスクでは、この結晶化した部分及びアモルファス化した部分に光ビームを照射し、光ディスクの各部分からの反射光量の違いを検出し、記録層内に記録された「0」と「1」を検出する。
相変化記録方式の光ディスクにおける記録層の所定位置をアモルファス化する(通常、この動作を「記録」と呼ぶ)ためには、比較的高パワーの光ビームを照射して、記録層の照射部分の温度を記録層材料の融点以上に加熱する。一方、記録層の所定位置を結晶化する(通常、この動作を「消去」と呼ぶ)ためには、比較的低パワーの光ビームを照射して、記録層の照射部分の温度が記録層材料の融点以下で且つ結晶化温度付近になるように加熱する。このように、相変化記録方式の光ディスクでは、記録層に照射する光ビームの照射パワーを調節することにより、記録層内の所定部分をアモルファス状態と結晶状態との間で可逆的に変化させることができる。
上記の相変化記録方式の原理に従えば、記録層に用いられる相変化記録材料としては、アモルファス状態と結晶状態との屈折率の差が大きく、また、消去動作時にはアモルファスの部分が極めて短時間で結晶化する材料が好ましい。さらに、記録と消去を繰り返すことによる劣化が小さい材料が好ましい。このような観点から、これまで種々の相変化材料が検討されてきた。例えば、特許1780615号にはGe−Sb−Te系記録材料に関する技術が開示されている。特開2001−322357には、記録材料としてGe−Sn−Sb−Te系材料に、Ag、Al、Cr、Mn等の金属を添加した材料を使用することにより、高密度記録が可能で、繰返し書換え性能に優れ、結晶化感度の経時劣化が少ない情報記録媒体が得られることが開示されている。また、特開平2−147289にも、Ge-Sb-Sn-Te系の記録層材料が開示されている。その他の従来例としては、特開昭62−73439、特開平1−220236にBi−Ge−Se−Te系相変化記録材料が開示され、特開平1−287836にはBi−Ge−Sb−Te系相変化記録材料の実用的な範囲が開示されている。
また、従来、相変化記録材料としてBi−Ge−Te系相変化記録材料を用いた例が特開昭62−209741に開示されており、その実用的な組成範囲が規定されている。また、繰返し特性を向上させるためのBi−Ge−Te系相変化記録材料も提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特許第2574325号公報(第3−5頁) 特許第2592800号公報(第2−4頁)
本発明者らは、大容量で信頼性が高く且つデータ情報の繰返し記録に対する耐久性の高い光ディスクを開発するために、記録層の形成材料に上述した従来の相変化記録材料を用い、且つ、光ディスクのヘッダー情報(アドレス情報)を案内溝を径方向に偏向(ウォブル)させて記録することにより、狭トラックピッチの光ディスクを作製した。すなわち、上述の従来技術を組み合わせて光ディスクを作製した。ただし、様々な設計条件で種々の光ディスクを作製した。このような光ディスクの記録再生特性を評価したところ、大容量で信頼性が高く且つデータ情報の繰返し記録に対する耐久性の高い光ディスクを実現することが困難であることが分かった。以下に、この評価で発生した問題点について説明する。
高記録密度の光ディスクを実現するためには、そのトラックピッチを狭くする必要がある。しかしながら、トラックピッチを狭くしすぎると、アドレス情報を記録するための案内溝の偏向量(ウォブル量)を十分にとることができないという問題が生じた。具体的には、トラックピッチが狭いときに溝の偏向量を大きくすると、トラックピッチが広いときに比べて、溝の偏向による信号がデータ信号(再生信号)のノイズ成分として漏れ込み易くなり、データ信号の品質が劣化してしまうという問題が生じた。逆に、データ信号品質が十分確保できるほどのウォブル量に設定したところ、ウォブル量が小さくなるので、アドレス情報を含むヘッダー信号の品質が劣化し、アドレス情報を信頼性よく再生することが困難となった。
また、上述した従来の相変化記録材料を用いて光ディスクを作製し、繰返しデータ情報の書換えを行ったところ、書換えによるデータ信号品質の劣化によりヘッダー信号の信頼性が大きく低下するというに問題が生じた。これは、次のような理由によるものと考えられる。上述したようにトラックピッチを狭くするとともに、ウォブル量も小さくする必要があり、その結果、ヘッダー信号が品質が劣化するだけでなく、ヘッダー信号のS/N(信号対雑音比)のマージンも小さくなる。それゆえ、多数回書換えによるデータ信号の劣化が従来の光ディスクでは問題にならないほどの小さいレベルであっても、データ信号の劣化がヘッダー信号の品質に及ぼす影響が大きくなり、ヘッダー信号の信頼性が大きく低下するためである。
さらに、従来の相変化記録材料で記録層を形成した場合、記録層のアモルファス状態にある記録マークの周辺は、記録マークを形成するために相変化材料を溶融した後、再結晶化する。それゆえ、記録マークの周辺には比較的大きな結晶粒からなる領域(再結晶化領域ともいう)が形成され、書換えを繰り返すことにより記録マーク幅のすぐ外側の位置に再結晶化領域の「帯」が形成される。この「帯」が形成されている領域は結晶粒径が大きく、且つ、そのサイズにばらつきがある。そのため、記録層の反射率が再結晶化領域の粒径のサイズのばらつきに応じて変動し、この反射率変動がヘッダー信号に悪影響を与える。
トラックピッチが広い場合には、上述のように、多数回書換えによるデータ信号の劣化が生じたり、再結晶化の「帯」が形成されたりしても、それらがヘッダー信号品質へ及ぼす影響が小さかったが、トラックピッチを狭くするとこれらの影響が顕著に特性に現れた。多数回書換え時のヘッダー信号の品質劣化の問題は、記録レーザ光として青色レーザ光(λ=405nm)を用いた場合、特に顕著に現れた。これは、DVDで用いられている赤色レーザ光(λ=650nm)に比べて青色レーザ光の方がビーム径が絞り込まれているため、ビーム中心のエネルギー密度が高く、繰返し書換えによるダメージが大きくなったためであると考えられる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、より大容量で信頼性が高く且つデータ情報の繰返し記録に対する耐久性に優れた光ディスクを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、光ディスクであって、
複数の溝が形成された基板と、
該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、
該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第2の態様に従えば、光ディスクであって、
複数の溝が形成された基板と、
該基板上に設けられ、Biを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成された記録層とを備え、
該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第1及び第2の態様に従う光ディスクの一例を図2に示す。本発明の光ディスクでは、図2に示すように、ヘッダー部(図2ではアドレス領域)のアドレス情報が溝を径方向に偏向させることによって記録されており、各溝のアドレス領域が光ディスクの径方向に並んで配置されている。なお、図2の光ディスクでは、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとし、同じトラック番号で付した。すなわち、図2の光ディスクでは、グルーブに形成されたアドレス情報がそのグルーブを含むトラックのアドレス情報となる。
本発明の第1及び第2の態様に従う光ディスクでは、所定のトラックのアドレス情報が再生ができなかった場合、隣接するトラックに光ビームを移動させて隣接する溝のアドレス情報を再生し、その隣接するトラックのアドレス情報から所定のトラックのアドレス情報を特定する。それゆえ、アドレス情報の信頼性が増し、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもアドレス情報の信頼性が低下しない。
また、本発明の第1及び第2の態様に従う光ディスクでは、図2に示すように、所定のトラックに隣接するトラックのアドレス情報が所定のトラックのアドレス情報と径方向で同じ位置に配置されているので、光ビームを隣接するトラックに移動させるだけで隣接する溝のアドレス情報を容易に得ることができる。それゆえ、隣接するトラックのアドレス情報に基づいて所定のトラックのアドレス情報を迅速に再生することができる。
また、本発明の第1の態様に従う光ディスクでは、記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成している。記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成した場合、後述するように、アドレス情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量をある程度大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を抑制することが可能になる。それゆえ、本発明の第1の態様に従う光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が向上するだけでなく、データ情報の繰返し書換え特性も向上させることができる。
また、本発明の第2の態様に従う光ディスクでは、記録層をBiを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成している。記録層を上記の相変化材料で形成した場合、後述するように、アドレス情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量をある程度大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を抑制することが可能になる。それゆえ、本発明の第2の態様に従う光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が向上するだけでなく、データ情報の繰返し書換え特性も向上させることができる。記録層の相変化材料としては、Teを含み得、特にGe及びTeを含み得る。また、記録層の相変化材料が立方晶及び正方晶の少なくとも一方の晶系の化合物を含み得る。
本発明の第1及び第2の態様に従う光ディスクでは、上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置され得る。
また、これらの光ディスクでは、上記溝及びランドに設けられた各ヘッダー部には、上記溝及びランドと隣接する溝及びランドのアドレス情報に関する情報が記録され得る。また、上記アドレス情報が、上記アドレス情報の記録位置に関する情報を含み得る。
これらの光ディスクの一例を図7に示した。図7の光ディスクでは、溝(グルーブ)及びランドにデータ(記録マーク)が記録されており(不図示)、各溝(グルーブ)及びランドのアドレス情報は、図7に示すように、それぞれ、溝及びランドを径方向にウォブルさせることより形成されている。また、各溝(グルーブ)及びランドのヘッダー部は、図7に示すように、第1アドレス領域から第4アドレス領域で形成され、各溝及びランドのヘッダー部は光ディスクの径方向に並んで配置されている。なお、図7の光ディスクでは、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとして同じトラック番号で付した。
また、図7の光ディスクでは、所定のグルーブ及びランドのヘッダー部には、所定のグルーブ及びランドと隣接するグルーブ及びランドのアドレス情報が記録されており、それらのアドレス情報は所定のグルーブ及びランドのアドレス情報が記録されているアドレス領域とは異なる領域に記録されている。例えば、図7中の2k番目のグルーブには、第1アドレス領域に2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)を記録し、第2、第3及び第4アドレス領域にはそれぞれ2k番目のランドのアドレス情報L(2k)、2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)及び2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)が記録されている。また、図7中の2k番目のランドには、第2アドレス領域に2k番目のランドのアドレス情報L(2k)を記録し、第3アドレス領域には2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)が記録されている。なお、図7の光ディスクの例では、例えば、図7中の2k番目のランド上の第1アドレス領域は、図7に示すように、2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)と2k+2番目のグルーブのアドレス情報G(2k+2)との境界部分となるので、アドレス情報はなしとなる。同様に、図7中の2k番目のランド上の第4アドレス領域もまた、図7に示すように、2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)と2k+1番目のランドのアドレス情報L(2k+1)との境界部分となるので、アドレス情報はなしとなる。
図7に示すような光ディスクでは、例えば、2k番目のグルーブ上を図7中の破線の矢印の方向に光ビームで走査してアドレス情報を再生すると、2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)、2k番目のランドのアドレス情報L(2k)、2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)及び2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)の順でアドレス情報が検出される。それゆえ、2k番目のグルーブ上を図7中の破線の矢印の方向に光ビームで走査した際に、2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)(第1アドレス領域の情報)を再生することができなくても、その他のアドレス領域に記録された2k番目のグルーブに隣接するランド及びグルーブのアドレス情報とその検出順序等の情報とから2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)を特定することができる。さらに、各アドレス情報にアドレス情報が記録されているアドレス領域の位置情報が記録されていれば、所定のグルーブ又はランドのアドレス情報の特定が一層容易になる。
上述のように、図7に示すような光ディスクでは、所定のグルーブ又はランドのアドレス情報が再生できなくても、光ビームを隣接するランドまたはグルーブに移動させることなく、所定のグルーブ又はランドのアドレス情報を一層容易に且つ信頼性高く再生することができる。それゆえ、本発明の第1及び第2の態様に従う光ディスクでは、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもアドレス情報の信頼性を向上させることができる。
本発明の第3の態様に従えば、光ディスクであって、
複数の溝が形成された基板と、
該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、
該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずれて配置されていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第4の態様に従えば、光ディスクであって、
複数の溝が形成された基板と、
該基板上に設けられ、Biを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成された記録層とを備え、
該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずれて配置されていることを特徴とする光ディスクが提供される。
本発明の第3及び第4の態様に従う光ディスクの一例を図6に示した。図6の光ディスクでは、ランドにデータ情報(記録マーク)が記録されており、各トラックのアドレス情報は溝(グルーブ)を径方向にウォブルさせることより形成されている。また、図6に示すように、各トラックに形成されたアドレス領域(ヘッダー部)が互いに周方向にずらして形成されている。具体的には、図6に示すように、図6中のk番目のトラックのアドレス情報A(k)は第1アドレス領域に記録されており、k番目のトラックに隣接するk−1番目及びk+1番目のトラックのアドレス情報A(k−1)及びA(k+1)は第2アドレス領域に形成されている。なお、図6の光ディスクでは、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとし、同じトラック番号で付した。すなわち、図6の光ディスクでは、グルーブに形成されたアドレス情報がそのグルーブを含むトラックのアドレス情報となる。
図6に示すような光ディスクでは、例えば、k番目のランド上を図6(a)中の破線の矢印の方向に光ビームで走査してアドレス情報を再生すると、まず光ビームの進行方向に対して左側からk番目のトラックのアドレス情報A(k)が検出され、次いで、光ビームの進行方向に対して右側からk+1番目のトラックのアドレス情報A(k+1)が検出される(図6(b)参照)。それゆえ、k番目のランド上を光ビームで走査した際、k番目のトラックのアドレス情報A(k)を再生することができなくても、光ビームの進行方向に対して右側からk+1番目のトラックのアドレス情報A(k+1)が得られれば、光ビームが走査しているランド上のアドレス情報がA(k)であることが分かる。また、図6に示すような光ディスクでは、所定のトラックのアドレス情報が再生できなくても、光ビームを隣接するトラックに移動させることなく、所定のランドのアドレス情報が再生することができるので、アドレス情報を一層容易に再生することができる。それゆえ、本発明の第3及び第4の態様に従う光ディスクでは、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもアドレス情報の信頼性を向上させることができる。
また、本発明の第3の態様に従う光ディスクでは、第1の態様の光ディスクと同様に記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成しているので、アドレス情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量をある程度大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を小さく抑えることが可能になる。それゆえ、本発明の第3の態様に従う光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が向上するだけでなく、データ情報の繰返し書換え特性も向上させることができる。
また、本発明の第4の態様に従う光ディスクでは、第2の態様の光ディスクと同様に、記録層をBiを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成しているので、アドレス情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量をある程度大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を小さく抑えることが可能になる。それゆえ、本発明の第4の態様に従う光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が向上するだけでなく、データ情報の繰返し書換え特性も向上させることができる。記録層の相変化材料としては、Teを含み得、特にGe及びTeを含み得る。また、記録層の相変化材料が立方晶及び正方晶の少なくとも一方の晶系の化合物を含み得る。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記溝及び溝間(ランド)の少なくとも一方にデータ情報が記録され得る。
また、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記光ディスクのトラックピッチTPと、記録再生用の光ビームの波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
の関係が成立し、波長λが390nm〜420nmであり得る。
ここで、用語「トラックピッチ」は、互いに隣接するトラック間の距離を意味する。情報がグルーブに記録されているグルーブ記録型光ディスクにおいて、トラックピッチとはグルーブ(溝)の中心とそのグルーブに隣接するグルーブの中心との間の距離をいう。情報がランドに記録されているランド記録型光ディスクにおいて、トラックピッチとはランドの中心とそのランドに隣接するランドの中心との間の距離をいう。情報がグルーブ及びランドに記録されているランド・グルーブ記録型光ディスクにおいて、トラックピッチとはグルーブの中心とそのグルーブに隣接するグルーブの中心との間の距離の1/2をいう。本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記データ情報が上記グルーブ及びグルーブ間(溝間、すなわち、ランド)の両方に記録され得る。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記記録層に含まれるBi、Ge及びTeの組成比が((GeTe)(BiTe1−x1−yGeで表わされ、x及びyがそれぞれ0.3≦x<1及び0<y≦0.4であり得る。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、波長が390nm〜420nmのレーザ光を用いることが好ましい。これらのレーザ光は従来DVDで用いられている波長650nmのレーザ光に比べて短波長なので、より大容量化が実現できる。しかしながら、大容量化のためにビーム径をより絞り込むと、レーザ光スポットの中心部のエネルギー密度が従来より大きくなり、データ情報の繰返し書換えによる光ディスクへのダメージが大きくなるという弊害があった。しかしながら、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、記録層のBi、Ge及びTeの組成比を、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)とすることにより、この問題を解決した。記録層としてこのような組成範囲のBi−Ge−Te系相変化材料を用いることにより、データ情報の繰返し書換えによる信号品質劣化が抑えられ、短波長レーザ光の使用が可能となることが分かった。
また、溝(グルーブ)及び溝間(ランド)の両方を記録トラックとして用いると、より高密度記録が実現できる。しかしながら、この場合には記録マーク幅がランド幅あるいはグルーブ幅よりもやや狭い幅になるため、上述のデータ情報の多数回書換えによって生じる再結晶化の「帯」がランドとグルーブの境界付近に生じ、ヘッダー信号品質を劣化させるという問題点が生じる。特に、トラックピッチが狭くなるとこの問題が顕著に表われる。しかしながら、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、記録層のBi、Ge及びTeの組成比を、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)とすることにより、データ情報の多数回書換えによって生じる再結晶化の「帯」の影響を小さし、且つ、ランド・グルーブ記録を採用してもヘッダー信号品質の劣化を抑制することができる。以下に、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクの記録層に用いる相変化材料についてさらに説明する。
本発明の第1及び第3の態様に従う光ディスクでは、記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成した。
また、本発明の第2及び第4の態様に従う光ディスクでは、Biを含み且つ立方晶及び/または正方晶の晶系の化合物を含む相変化材料で形成し得る。本発明者らは、Biを含む立方晶もしくは正方晶の化合物を種々検討した結果、これらの化合物が結晶核生成速度の促進をもたらすことを見出した。結晶核生成速度が促進されると、結晶化過程において核生成の数が増え、結果として結晶粒径大きくなりにくくなる。すなわち、記録マークのすぐ外側に形成される再結晶化領域の結晶粒径が小さくなり、粒径の違いによる反射率変動を小さくし、ヘッダー信号への悪影響を低減させることができる。さらにBiを含み且つ立方晶または正方晶の化合物としてはBiTe系化合物が好ましく、そのなかでもっとも好ましいのはBiTeである。BiTeを、比較的結晶成長速度の遅い相変化材料に添加すると、結晶核生成速度が大きく結晶成長速度が小さい相変化材料を得ることができる。このような材料を用いると、記録マーク周辺の再結晶化領域の幅をより小さくすることができる。このことは以下のように説明することができる。再結晶化領域は、溶融領域の周辺部が融点から冷却される際に、融点直下の結晶成長が支配的な温度領域において生じるため、結晶成長速度が小さいほど、再結晶化領域を小さくすることができる。結晶成長速度が小さい場合、データを消去するために記録マーク全体を結晶化する際高速に行なえないのではないかとの懸念が残るが、結晶核生成速度が大きく核が数多く形成されれば高速結晶化は可能となる。本発明者らは、相変化材料について種々検討した結果GeTe系材料が最適であることを見出した。
Bi−Ge−Te系相変化材料で形成された記録層では、従来例(例えば、特開昭62−209741)に開示されているように、実用的な組成範囲はBi、Ge及びTeを頂点とする三角組成図のGeTeとBiTeを結ぶ領域に存在する。しかしながら、本発明者らは、検証実験により、GeTeとBiTeを結ぶ線上よりもGeが過剰に添加された領域の相変化材料で記録層を形成することにより、信号品質が良好で、且つ、データ情報の繰返し書換えに対する一層優れた耐久性を有する光ディスクが得られることを見出した。この原因は以下の理由によるものと考えられる。
Bi−Ge−Te系材料には、現在明らかになっている範囲では、GeTe、BiTe、BiGeTe、BiGeTe、BiGeTeの化合物が存在する。Bi−Ge−Te系材料の組成により異なるが、記録層に光ビームを照射して溶融した直後に再結晶化が起こる際、Bi、Ge、Te及び上記化合物のうち融点が高いものから順に溶融領域外縁部から再結晶化するものと考えられる。以下に、これらの物質を融点が高い順に並べると以下のようになる。
Ge:約937℃
GeTe:約725℃
BiGeTe:約650℃
BiTe:約590℃
BiGeTe:約584℃
BiGeTe:約564℃
Te:約450℃
Bi:約271℃
すなわち、Geの融点が最も高いので、Bi、Ge、Teを頂点とする三角組成図のGeTeとBiTeを結ぶ線上よりも、Geを過剰に添加したBi−Ge−Te系相変化材料で形成された記録層では、記録層の溶融領域(記録マーク)の外縁部にGeが偏析し易くなるものと考えられる。そして、溶融領域の外縁部にGeが過剰に存在することにより、溶融領域の外縁部の結晶化速度が遅くなり、結果的に外縁部からの再結晶化が抑制され、その結果、データ情報の多数回書換えによって生じる再結晶化の「帯」の発生を抑制することができるものと考えられる。また、上記現象と同時に、トラック(記録マーク)中心付近では、融点のより低い材料が偏析し易くなるので結晶化速度が高速となり、高速記録時においても良好な消去性能を得ることができる。しかしながら、Geを過剰に添加しすぎると結晶化速度が低下してしまうので適度な量のGeを添加することが重要である。
また、記録層の形成材料としては、アモルファス状態の記録マークの保存寿命の観点から、アモルファス状態の相が複数存在せず、且つ、記録層材料の結晶化温度が高く、さらにアモルファス部分が結晶化する際の活性化エネルギーが大きいことが重要である。本発明者らは、Bi、Ge及びTeを頂点とする三角組成図のGe50Te50付近の組成で上記条件を満足することを見出した。これは、従来例にも開示されているように、GeTeの結晶化温度が200℃程度と高く、組成がBiTeに近づくに従って、結晶化温度が低下することが原因の一つであると考えられる。
また、本発明者らは、検証実験により、Ge50Te50付近では長期保存後においても、アモルファス状態が変化し難く、良好な消去特性が得られることを見出した。しかしながら、GeTe量が多すぎると結晶化速度が低下して高速記録は不可能となり、BiTe量が多すぎると結晶化温度が低下するため保存寿命が悪化することを見出した。それゆえ、記録層材料として最適な組成は、Ge50Te50に適当な量のBiTeを添加され、且つ、過剰なGeが存在する領域のBi−Ge−Te系材料を用いることが良いことが分かった。具体的には、本発明者らは、記録層を、Bi、Ge、Teの組成比が、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)を満足する組成の相変化材料を用いて形成すればよいことを見出した。また、記録層に隣接してBiTe、SnTe、PbTe等を含有した核生成層を設けることにより、再結晶化を抑制する効果をさらに向上させることができる。なお、本発明の光ディスクでは、記録層材料が上記組成範囲の関係を維持していれば、たとえ、不純物が混入していたとしても、不純物の原子%が1%以内であれば、本発明の効果は失われない。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記記録層中に形成された上記データ情報の記録部分の反射率が、未記録部分の反射率より低いことが好ましく、上記未記録部分の反射率が、10%以上であることが好ましい。これにより、溝又はランド(溝間)を光ディスクの径方向に偏向させることによって記録されているアドレス情報の信号レベルをより高くすることができる。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記光ディスクが、さらに、保護層、中間層及び熱拡散層を備え、記録再生用の光ビームが入射される側から、保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で設けられ、該保護層の膜厚が40nm〜80nmであり、該記録層の膜厚が5nm〜25nmであり、該中間層の膜厚が30nm〜60nmであり、且つ、該熱拡散層の膜厚が30nm〜300nmであり得る。
また、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記中間層の膜厚が、上記溝の深さの0.8倍の値より大きくあり得る。
上述のような膜構成で光ディスクを作製することによって、所定のトラックにデータ情報を記録したときに、所定のトラックに隣接するトラックのデータ情報の一部が消えてしまうというクロスイレーズを抑えることができる。これはトラックピッチが狭くなったときに有効であるとともに、溝(グルーブ)及びランド(溝間)の両方を記録トラックとして用いた場合に特に有効である。
クロスイレーズは、所定のトラックに情報を記録するときの熱がディスク径方向に広がることによって、隣接トラックにすでに記録されているアモルファス状態の記録マークが熱せられ、その一部が結晶化してしまうという現象で、大容量化を実現するためにトラックピッチを狭くするとこの現象が顕著に表われる。特に、溝(グルーブ)およびランド(溝間)の両方を記録トラックとして用いた場合、グルーブのクロスイレーズ(ランドに記録を行ったときに、隣接するグルーブに記録したアモルファスマークの一部が結晶化する現象)が大きくなる。
クロスイレーズが生じる原因については、次のような2つの原因が考えられる。
(1)アモルファス状態の記録マークを形成する際に生じるマーク周辺の再結晶化領域が大きい場合、所定の幅の記録マークを形成するためには、より広い幅の領域を溶融させなければならない。その結果、隣接トラックへの熱の広がりが大きくなり、クロスイレーズが生じる。
(2)光入射側から少なくとも保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で各層を設けられ且つランド・グルーブ記録の光ディスクの場合、溝の段差によってランド上の記録層と隣接するグルーブ上の熱拡散層がほぼ同じ高さになるので、ランド上の熱がランド上の記録層から隣接するグルーブ上の熱拡散層に向かって広がりやすくなる。その結果、ランドからグルーブへの漏れ込む熱が大きくなり、グルーブのクロスイレーズが大きくなる。
上記(1)の原因によるクロスイレーズは、上述の組成式を満足するようなBi、Ge、及びTeを含む相変化材料で記録層を形成して記録層の再結晶化を抑制することにより解決することができる。
上記(2)の原因によるクロスイレーズは、ランド上の記録層と隣接するグルーブ上の熱拡散層が同じ高さで存在しないように構成すればよい。これを実現する光ディスクの膜構成としては、記録再生用レーザ光が入射する側から順に、少なくとも保護層、記録層、中間層及び熱拡散層を設け、中間層の膜厚が溝深さの0.8倍よりも大きくなるように形成し得る。
また、ランド・グルーブ記録の光ディスクでは、所定トラックのデータ情報を再生した際に、隣接トラックのデータ情報が漏れ込む現象、すなわちクロストークを抑制する必要がある。このためには、レーザ光波長λ、光入射側に存在する基材の屈折率nとしたときに、溝深さをλ/5n〜λ/7n程度にすればよいことが知られている(例えば、特許第2697555号、Miyagawa et. al.;Land and Groove Recording for High Track Density on Phase-Change Optical Disks: Jpn. J. Appl. Phys. Vol.32 (1993) pp.5324-5328を参照)。それゆえ、波長405nmのレーザ光を用い、基材としてn=1.6程度のプラスチック材料を用いた場合には、クロストークキャンセルとなる溝深さは36〜51nm程度となる。この溝深さに対して中間層の膜厚を溝深さの0.8倍にするためには、中間層の膜厚を最低でも29〜41nm程度必要となる。中間層の膜厚がこの値より厚い場合にクロスイレーズを低減することが可能になる。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、上記中間層の形成材料が、記録再生用の光ビームの波長λにおける屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下である材料を25%以上含み得る。特に、上記中間層の形成材料が、SiO及びAlのうち少なくとも一方を含み得る。
本発明の光ディスクの中間層として要求される性能は、記録再生用のレーザ光波長に対して透明であり且つ記録層が溶融するような高温においても安定であることである。このような材料はこれまで種々知られており、酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、セレン化物など、あるいはこれらの混合物などがこれまで検討されている。また、中間層の膜厚は、クロスイレーズを抑制するために上述したように、溝深さの0.8倍より大きな値の膜厚が必要であるが、同時に、十分な反射率が確保でき、記録層内の結晶状態とアモルファス状態とのコントラストが大きく取れるよう光学的に最適化する必要がある。また、ランド・グルーブ記録の光ディスクでは、ランドとグルーブの信号品質が同等であることも必要である。
本発明者らは、上記の材料を種々検討した結果、中間層として、屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下であるような材料を25%以上含む材料を用いることにより、クロスイレーズ低減のために中間層の膜厚を溝深さの0.8倍より大きくした場合でも、反射率やコントラストが損なわれることがなく、且つ、ランドとグルーブの信号品質の差を小さく抑えることができることを見出した。
なお、屈折率が1.7より大きい材料が75%以上含まれるような、屈折率の大きな材料で中間層を形成すると、クロスイレーズ低減のためにある程度膜厚を厚くした際に、反射率低下、コントラスト低下、ランド・グルーブ信号の特性差の発生のいずれか、あるいは全部の現象が現れた。逆に、中間層の膜厚を薄くして、反射率低下及びコントラスト低下の現象を抑制し、且つ、ランド・グルーブ信号の特性差を小さくしようとすると、クロスイレーズを低減させることができなかった。
また、中間層の形成材料に含まれる材料として、SiO、Alは熱的に安定であるという点で好ましい。このうち、SiOは、屈折率が約1.4と小さいため、中間層の膜厚をより厚くすることができ、クロスイレーズがより小さくなるという点でより好ましい。Alを用いると、媒体のノイズが小さくなり、記録信号のノイズが小さくなるという点でより好ましい。
本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、エネルギービームの照射により熱が発生し、この熱により原子配列の変化が起こり、これにより情報の記録が行われる情報記録媒体であれば適用可能であるので、特に情報記録媒体の形状に関係無く、光カード等の円盤状情報記録媒体以外の情報記録媒体にも適用できる。
また、本発明の第1〜4の態様に従う光ディスクでは、記録層の光入射側に基板が配置されるような媒体構成を前提としているが、本発明はこれに限定されず、記録層の光入射側とは反対側に基板を配置し、光入射側には、基板よりも薄い保護シート等の保護材を配置するような構成にしても良い。
本発明の第5の態様に従えば、複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されている光ディスクの記録再生装置であって、
該光ディスクを回転させる回転制御部と、
該光ディスクに光ビームを照射する光ヘッドと、
該光ヘッドで検出された再生信号に基づいて情報再生を行う再生信号処理回路と、
該再生信号処理回路で再生された該アドレス情報を管理するアドレス情報管理部とを備え、
該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報が再生できなかった場合に、該アドレス情報管理部が、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とする記録再生装置が提供される。
本発明の第5の態様に従う記録再生装置は、図2に示したようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクに対して情報の記録及び再生するための記録再生装置である。本発明の第5の態様に従う記録再生装置の一例を図5に示す。本発明の第5の態様に従う記録再生装置では、所定のトラックのヘッダー部からアドレス情報が得られない場合でも、隣接するトラックのアドレス情報に基づいて所定のトラックのアドレス情報を特定するためのアドレス情報管理部(図5中の1点鎖線で囲まれた領域25)を備えるので、高密度記録によってヘッダー信号品質が十分確保できない場合や、データ情報の多数回書換えによってヘッダー信号品質が劣化してしまった場合でも、アドレス情報を信頼性良く再生することが可能となる。
本発明の第5の態様に従う記録再生装置では、上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置され得る。
この記録再生装置は、図7に示したようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクに情報を記録及び再生するための記録再生装置である。この記録再生装置の一例を図5に示す。この記録再生装置では、例えば図7に示すような光ディスクの所定の溝(グルーブ)またはランド上を光ビームで照射した際に得られる複数のアドレス情報と、検出されたアドレス情報の検出順等の情報(または検出領域の情報)とから所定グルーブまたはランドのアドレス情報を特定するためのアドレス情報管理部(図5中の1点鎖線で囲まれた領域25)を備える。それゆえ、所定のグルーブまたはランド上を光ビームで照射した際に、所定のグルーブまたはランドのアドレス情報が検出できなかった場合でも、検出された残りのアドレス情報と、その検出順等の情報とから所定のグルーブまたはランドのアドレス情報を特定することができる。それゆえ、高密度記録によってウォブル量が小さくなりヘッダー信号品質が十分確保できない場合や、データ情報の多数回書換えによってヘッダー信号品質が劣化してしまった場合でも、アドレス情報を信頼性良く再生することが可能となる。
本発明の第6の態様に従えば、複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずらして配置されている光ディスクの記録再生装置であって、
該光ディスクを回転させる回転制御部と、
該光ディスクに光ビームを照射する光ヘッドと、
該光ヘッドで検出された再生信号に基づいて情報再生を行う再生信号処理回路と、
該再生信号処理回路で再生された該アドレス情報を管理するアドレス情報管理部とを備え、
該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報が再生できなかった場合に、該アドレス情報管理部が、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とする記録再生装置が提供される。
本発明の第6の態様に従う記録再生装置は、図6に示したようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクに対して情報の記録及び再生するための記録再生装置である。本発明の第6の態様に従う記録再生装置の一例を図5に示す。本発明の第6の態様に従う記録再生装置では、例えば図6に示すような光ディスクの所定の溝間(ランド)上を光ビームで照射した際に得られる2つのアドレス情報(所定トラックのアドレス情報と隣接トラックのアドレス情報)と、光ビームの走査方向に対するアドレス情報の検出側(右側または左側)の情報とから所定トラックのアドレス情報を特定するためのアドレス情報管理部(図5中の1点鎖線で囲まれた領域25)を備える。それゆえ、所定の溝間(ランド)上を光ビームで照射した際に、1つのアドレス情報しか検出できなかった場合でも、検出されたアドレス情報と、その検出側の情報とから所定トラックのアドレス情報を特定することができるので、高密度記録によってウォブル量が小さくなりヘッダー信号品質が十分確保できない場合や、データ情報の多数回書換えによってヘッダー信号品質が劣化してしまった場合でも、アドレス情報を信頼性良く再生することが可能となる。
本発明の第7の態様に従えば、複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されている光ディスクのアドレス情報管理方法であって、
該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報を再生できなかった場合に、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とするアドレス情報管理方法が提供される。
本発明の第7の態様に従うアドレス情報管理方法では、上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置され得る。
本発明の第8の態様に従えば、複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずらして配置されている光ディスクのアドレス情報管理方法であって、
該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報を再生できなかった場合に、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とするアドレス情報管理方法が提供される。
本発明の第5〜8の態様に従う記録再生装置及びアドレス情報管理方法では、光ディスク上に照射するエネルギービームとして、電子ビーム等のエネルギービームを使用しても良い。なお、本明細書ではエネルギービームをレーザ光あるいは光ビームと表現することもある。
本発明の光ディスク、記録再生装置及びアドレス情報管理方法によれば、上述したように、所定のトラックのアドレス情報が再生できなくても、隣接するトラックのアドレス情報から一層容易に且つ信頼性高く所定のトラックのアドレス情報を特定することができる。それゆえ、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもアドレス情報の信頼性が向上する。また、アドレス情報が記録されている領域にもデータ情報を記録することができるので、フォーマット効率を上げることができる。
また、本発明の光ディスクによれば、記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料あるいはBiを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成しているので、アドレス情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量をある程度大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を抑制することが可能になる。それゆえ、本発明の光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が向上するだけでなく、データ情報の繰返し書換え特性も向上させることができる。
以下、本発明の光ディスク及び記録再生装置の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
[光ディスク]
実施例1では相変化記録方式の光ディスクを作製した。この例で作製した、情報がグルーブ及びランドに記録されたランドグルーブ記録型光ディスクの概略断面図を図1に示した。この例で作製した光ディスク10は、図1に示すように、基板1上に保護層2、第1熱安定化層3、記録層4、第2熱安定化層5、中間層6、熱拡散層7、UV樹脂層8及び透明基板9が順次積層された構造を有する。次に、この例の光ディスクの作製方法を説明する。
まず、スタンパを用いて射出成型により、ポリカーボネート製の直径120mm、厚さ0.6mmの基板1を作製した。この際、基板1には、光ディスクの半径23.8mmから58.6mmの記録領域に、深さ45nmの溝(グルーブ)を形成した。なお、トラックピッチは0.34μmであった。グルーブには93チャネルビットの周期でウォブルを施した。なお、ここでは、トラックピッチに対するウォブル量(Peak to Peak値)が1.5%〜10%である種々の基板1(10種類)を用意した。
次に、基板1上に、保護層2として(ZnS)80(SiO20を、スパッタリングにより58nmの膜厚で形成した。次いで、保護層2上に、第1熱安定化層3としてGeCr−N(相対比表示)を、スパッタリングにより1nmの膜厚で形成した。
次に、第1熱安定化層3上に、記録層4をスパッタリングにより13nmの膜厚で形成した。この際、記録層4の組成が、Bi、Ge及びTeを頂点とする三角組成図のGe50Te50とBiTeとを結ぶ線上の組成よりもGeが過剰な組成、具体的には、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)となるように、GeリッチのGe50Te50ターゲットとBiTeターゲットとを同時スパッタリングして記録層4を形成した。なお、2種類ターゲットに印加するスパッタリングパワーを、各々調整して所望の組成の記録層4を形成した。
また、この例では、記録層4としてBi、Ge及びTeを頂点とする三角組成図のGe51Te49−BiTeライン上の組成膜と、BiGe43Te53−Geライン上の組成膜を数種類作製した。
具体的には、Ge51Te49−BiTeライン上の組成膜としては、BiGe49Te49、BiGe45Te50、Bi10Ge38Te52、Bi15Ge32Te53、Bi20Ge26Te54及びBi25Ge20Te55の6種類作製した。また、比較のため、Ge51Te49−BiTeライン上の組成膜であり且つ上記組成範囲外の組成膜Ge51Te49及びBi28Ge16Te56も作製した。
BiGe43Te53−Geライン上の組成膜としては、BiGe46Te50、BiGe50Te47及びBiGe59Te38の3種類を作製した。また、比較のため、BiGe43Te53−Geライン上の組成膜であり且つ上記組成範囲外の組成膜BiGe43Te53及びBiGe70Te28も作製した。
上記方法で形成された記録層4上に、第2熱安定化層5としてGeCr−N(相対比)をスパッタリングにより1nmの膜厚で形成した。次いで、第2熱安定化層5上に、中間層6として(ZnS)50(SiO50をスパッタリングにより48nmの膜厚で形成した。さらに、中間層6上に、熱拡散層7としてAl99Tiをスパッタリングにより150nmの膜厚で形成した。
次に、熱拡散層7上に、UV樹脂層8として紫外線硬化樹脂を塗布し、その上に、さらに厚さ0.6mmのポリカーボネート製の透明基板9を載置して、透明基板9越しにUV照射を行い、紫外線硬化樹脂を硬化させることにより透明基板9をUV樹脂層8上に張り合わせた。以上の製造方法により、図1に示した光ディスク10を得た。
なお、この例でスパッタリングに用いた装置は、複数のスパッタ室を持ち、1つのスパッタ室に直径120mmの基板を8面同時に投入することができるものを用いた。
[ヘッダー部の構成]
この例で作製した光ディスクのヘッダー部付近のグルーブ及びランドの構造を図2に示した。この例で作製した光ディスクの半径23.8mmから58.6mmの記録領域に形成されたグルーブには、図2に示すように、93チャネルビットの周期でウォブルを施した。なお、ここでは、上述したように、トラックピッチに対するウォブル量(Peak to Peak値)は1.5%〜10%である。
この例の光ディスクでは、図2に示すように、トラックのアドレス情報は、グルーブの径方向へのウォブルパターンを変えることにより形成した。また、ヘッダー部(図2中のアドレス領域)が光ディスクの径方向に並ぶように配置した。また、この例で作製した光ディスクでは、図2に示すように、アドレス領域及びそれ以外の領域のグルーブ及びランド上にデータ情報を記録マークとして記録(ランド・グルーブ記録)した。なお、この例の光ディスクでは、図2に示すように、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとし、同じトラック番号を付した。すなわち、図2の光ディスクでは、グルーブに形成されたアドレス情報がそのグルーブを含むトラックのアドレス情報となる。
アドレス情報とグルーブのウォブルパターンとの関係の一例を図3に示した。図3(a)及び(b)のグルーブのウォブルパターンは、4ウォブルで1ビットの情報を形成した例であり、図3(c)のグルーブのウォブルパターンは、5ウォブルで1ビットの情報を形成した例である。この例で作製した光ディスクでは、図3(a)に示すように、図面の左側からグルーブが光ディスクの径方向に外周側、内周側、外周側、内周側及び外周側に偏向しているパターンを情報「0」とし、図3(a)のウォブルパターンとは逆位相となる図3(b)のグルーブのウォブルパターンを情報「1」とした。
この例で作製した光ディスクでは、1ビットを2ウォブルで形成し、各トラックのアドレス情報は、図2に示すように、3ビット(6ウォブル)で形成した。このアドレス領域は84ウォブル毎に設け、アドレス領域が、図2に示すように、光ディスクの径方向に並ぶように配置した。アドレス領域以外のほとんどの領域には、情報「0」に対応するウォブルパターンでウォブルを形成した。ただし、アドレス情報が始まる直前の1ビット分の領域(図2中のアドレス領域の左側の領域)には情報「1」に対応するウォブルパターンのウォブルを形成した。
図2に示すようなフォーマットでヘッダー部が構成された光ディスクでは、所定のグルーブ(トラック)のアドレス情報の再生に失敗した場合、光ビームを隣接するグルーブに移動させて隣接するグルーブのアドレス情報を検出する。そして、隣接するグルーブのアドレス情報から所定のグルーブのアドレス情報を特定する。その際、この例で作製した光ディスクでは、図2に示すように、グルーブのアドレス領域が径方向の同じ位置に配置されているので、光ビームを隣接するグルーブに移動させるだけで隣接するグルーブのアドレス情報が得られる。それゆえ、所定のグルーブのアドレス情報の再生に失敗しても、隣接するグルーブのアドレス情報から所定のグルーブのアドレス情報を迅速且つ容易に特定することできる。
[情報記録再生装置]
この例で作製した光ディスクの情報記録及び再生を行うための情報記録再生装置の概略構成図を図4に示した。この例で用いた情報記録再生装置100は、図4に示すように、主に、この例で作製した光ディスク10を回転させるためのモーター11と、光ディスク10にレーザ光を照射する光ヘッド12と、トラッキング制御のためのL/Gサーボ回路13と、再生信号処理系14と、記録信号処理系17とから構成される。再生信号処理系14は、図4に示すように、再生信号のゲインを調整するプリアンプ回路15と、再生信号に基づいて情報再生を行う1−7復調器16とから構成される。記録信号処理系17は、図4に示すように、入力信号を所定の変調方式で変調する1−7変調器20と、記録信号波形を生成する記録波形発生回路19と、レーザ光の発光を制御するレーザ駆動回路18とから構成される。
この例で用いた光ヘッド12は、波長405nmの半導体レーザと、開口数NAが0.65の対物レンズを備えている。一般的に、レーザ波長λのレーザ光を開口数NAの対物レンズにより集光した場合、レーザ光のスポット径はおよそ0.9×λ/NAとなるので、この例の場合、レーザ光のスポット径は約0.6μmとなる。ただし、この例では、レーザ光の偏光を円偏光とした。また、この例では、トラックピッチTPを0.34μmとしたので、トラックピッチTPと、波長λと、開口数NAとの間には、
TP=0.55×(λ/NA)
の関係が成立する。
また、この例で作製した光ディスクはランド・グルーブ記録方式の光ディスクであるので、図4に示した情報記録再生装置100もランド・グルーブ記録方式に対応している。この例の情報記録再生装置100では、図4中のL/Gサーボ回路13により、ランドとグルーブに対するトラッキングを任意に選択することができる。
以下に、図4を用いて情報記録再生装置100の動作について説明する。なお、記録再生を行う際のモーター制御方法としては、記録再生を行うゾーン毎にディスクの回転数を変化させるZCLV方式を採用した。また、この例では、情報記録の際に、マークエッジ方式を用い、1−7変調方式で光ディスク10上に情報を記録した。この変調方式では、情報は2T〜8Tのマーク長で記録される。なお、この例では、最短2Tのマーク長が約0.17μm、最長8Tのマーク長が約0.7μmとなるように記録した。ここで、Tとは情報記録時のクロックの周期を表しており、この例ではT=15.4nsとした。
まず、情報記録に必要な信号が記録装置外部から1−7変調器20に入力される。次いで、1−7変調器20に入力された信号は1−7変調方式で変調され、2T〜8Tのデジタル信号が出力される。次いで、1−7変調器20から出力された2T〜8Tのデジタル信号は記録波形発生回路19に入力される。
記録波形発生回路19では、2T〜8Tのデジタル信号に基づいて、情報記録時のレーザ照射に必要なマルチパルス記録波形が生成される。この例では、マルチパルス記録波形の高パワーレベル領域を、幅を約T/2の高パワーパルスと、高パワーパルス間に形成された幅が約T/2の低パワーパルスとで構成された一連のパルス列で形成した。また、マルチパルス記録波形の上記一連のパルス列の間の領域は中間パワーレベルのパルスで構成した。この際、記録層に記録マークを形成(アモルファス化)するための高パワーレベルのパルス強度と、記録マークを結晶化させるための中間パワーレベルのパルス強度を、記録再生を行う光ディスク毎に最適な値に調整した。
また、記録波形発生回路19内では、2T〜8Tのデジタル信号波形を時系列的に交互に「0」と「1」に対応させ、「0」の場合には、中間パワーレベルのレーザパルスを照射し、「1」の場合には、上述の高パワーパルスと低パワーパルスで構成された一連のパルス列を照射するようにした。この際、中間パワーレベルのレーザパルスが照射された光ディスク10上の部位は結晶となり、上述の高パワーパルスと低パワーパルスで構成された一連のパルス列が照射された部位はアモルファス(マーク部)に変化する。さらに、記録波形発生回路19は、上述の高パワーパルスと低パワーパルスで構成された一連のパルス列を形成する際に、マーク部の前後のスペース長に応じて、マルチパルス波形の先頭パルス幅と最後尾のパルス幅を変化させる方式(適応型記録波形制御)に対応したマルチパルス波形テーブルを有しており、これによりマーク間に発生するマーク間熱干渉の影響を極力排除できるようなマルチパルス記録波形を発生している。
次に、記録波形発生回路19で生成されたマルチパルス記録波形は、レーザ駆動回路18に転送され、レーザ駆動回路18は、入力されたマルチパルス記録波形に基づいて、光ヘッド12内の半導体レーザの発光を制御する。そして、半導体レーザから出射さらたレーザ光を光ヘッド12内の対物レンズにより光ディスク10の記録層上に絞り込み、マルチパルス記録波形に対応したタイミングでレーザ光を照射して情報の記録を行った。
次に、上述のように記録された情報の再生動作を説明する。まず、光ヘッド12からレーザ光を光ディスク10の記録マーク上に照射し、記録マークと記録マーク以外の部分(未記録部分)からの反射光を光ヘッド12で検出して再生信号を得る。この再生信号の振幅をプリアンプ回路15により所定のゲインで増幅し、1−7復調器16に転送する。1−7復調器16では、入力された再生信号に基づいて情報を復調し再生データを出力する。以上の動作により、記録されたマークの再生が完了する。
[エラーレートの評価]
上記製造方法で作製した種々の光ディスク、すなわち、グルーブのウォブル量及び記録層の組成を変えた種々の光ディスクを図4に示した情報記録再生装置にそれぞれ装着して、アドレス情報とデータ情報のエラーレート(以下では、エラー率ともいう)を測定し、アドレス信号品質及びデータ信号品質を評価した。ここでは、未記録状態(初期状態)におけるアドレス情報のエラー率、初回記録時のアドレス情報及びデータ情報のエラー率及び1000回書換え時のアドレス情報及びデータ情報のエラー率を測定した。なお、データ情報のエラー率の測定では、記録マーク長が2T〜8Tのランダムパターンをデータ情報として記録し再生した。その結果を表1〜13に示した。ただし、本実施例の評価結果を、表1〜13に示すように、◎、○、×で表記するが、その判定基準は以下の通りである。
◎:エラーレートが5×10−5以下
○:エラーレートが1×10−4以下
×:エラーレートが1×10−4より大きい
まず、記録層がGe51Te49−BiTeライン上の組成である光ディスクの各種エラー率の測定結果を表1〜8に示す。なお、表1及び表8は、Ge51Te49−BiTeライン上の組成膜であり、且つ、記録層の組成範囲が((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)外の組成膜(Ge51Te49及びBi28Ge16Te56)の評価結果である。
Figure 2005302263
記録層の組成がGe51Te49である場合、表1から明らかなように、この例で作製したウォブル量の範囲内では全ての評価項目で○評価以上となる光ディスクは得られなかった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe49Te49である場合、表2から明らかなように、ウォブル量が3%〜7%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表2から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無く×評価となった。一方、ウォブル量が10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe45Te50である場合、表3から明らかなように、ウォブル量が3%〜5%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表3から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が7%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。また、ウォブル量が10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBi10Ge38Te52である場合、表4から明らかなように、ウォブル量が3%〜5%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表4から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が7%〜10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBi15Ge32Te53である場合、表5から明らかなように、ウォブル量が3%〜4%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表5から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が5%〜10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBi20Ge26Te54である場合、表6から明らかなように、ウォブル量が3%〜3.5%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表6から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が4%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。また、ウォブル量が5%〜10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBi25Ge20Te55である場合、表7から明らかなように、ウォブル量が3%の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表7から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が3.5%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。また、ウォブル量が4%〜10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBi28Ge16Te56である場合、表8から明らかなように、この例で作製したウォブル量の範囲内では全ての評価項目で○評価以上となる光ディスクは得られなかった。
次に、記録層がBiGe43Te53−Geライン上の組成である光ディスクの各種エラー率の測定結果を表9〜13に示す。なお、表9及び表13は、BiGe43Te53−Geライン上の組成膜であり、且つ、記録層の組成範囲が((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)外の組成膜(BiGe43Te53及びBiGe70Te28)の評価結果である。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe43Te53である場合、表9から明らかなように、この例で作製したウォブル量の範囲内では全ての評価項目で○評価以上となる光ディスクは得られなかった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe46Te50である場合、表10から明らかなように、ウォブル量が3%〜7%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表10から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無く×評価となった。一方、ウォブル量が10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe50Te47である場合、表11から明らかなように、ウォブル量が3%〜4%の範囲の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表11から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が5%〜7%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。また、ウォブル量が10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe59Te38である場合、表12から明らかなように、ウォブル量が3%の光ディスクで全ての評価項目が○評価以上となり良好なエラーレート特性が得られることが分かった。また、表12から明らかなように、ウォブル量が1.5%〜2.5%の光ディスクでは、ウォブル量が小さいのでアドレス情報のエラーレート増大し、データ情報の記録回数に関係なく×評価となった。一方、ウォブル量が3.5%、4%及び7%の光ディスクでは、ウォブル量が大きいことと、1000回書換えによる記録層の劣化とにより、データ情報のエラーレートが増大し1000回書換え時のエラーレートが×評価となった。また、ウォブル量が5%及び10%の光ディスクでは、ウォブル量が大きすぎてエラーレートが増大し、データ情報の記録回数に関係無くデータ情報のエラーレートが×評価となった。
Figure 2005302263
記録層の組成がBiGe70Te28である場合、表8から明らかなように、この例で作製したウォブル量の範囲内では全ての評価項目で○評価以上となる光ディスクは得られなかった。
上記表1〜13から明らかなように、記録層の組成が、Bi、Ge及びTeを頂点とする三角組成図のGe50Te50とBiTeとを結ぶ線上の組成よりもGeが過剰な組成、具体的には、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)である光ディスク(表2〜8及び表10〜12の光ディスク)では、記録層の組成に応じてウォブル量を適宜調整することにより、良好なエラーレート特性が得られること分かった。特に、ウォブル量を3%の光ディスクでは、記録層が((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)の組成範囲内では、組成に関係無く良好なエラーレート特性が得られること分かった。
実施例2では、エラーレートの測定に用いた情報記録再生装置を変えたこと以外は、実施例1と同様にして種々の光ディスクを作製してアドレス信号及びデータ信号の品質評価を行った。
[情報記録再生装置]
この例で作製した光ディスクの情報記録及び再生を行うための情報記録再生装置の概略構成図を図5に示した。この例で用いた情報記録再生装置200は、図5に示すように、主に、この例で作製した光ディスク21を回転させるためのモーター11と、光ディスク10にレーザ光を照射する光ヘッド12と、トラッキング制御のためのL/Gサーボ回路13と、再生信号処理系24と、記録信号処理系17とから構成される。図5から明らかなように、図5に示した情報記録再生装置200は、再生信号処理系24の構成以外の部分は、図4に示した情報記録再生装置100の構成と同じであるので、ここでは、再生信号処理系24の構成についてのみ説明する。
再生信号処理系24は、図5に示すように、再生信号のゲインを調整するプリアンプ回路15と、再生信号に基づいて情報再生を行う1−7復調器16と、アドレス情報を管理するアドレス情報管理部25とから構成される。アドレス情報管理部25は、図5に示すように、再生アドレス情報を復調するためのアドレス復調器26と、所望のアドレス情報が再生されているかどうかを判定するアドレス情報正誤判定器27と、隣接トラックのアドレス情報から所望のアドレス情報を再生するためのアドレス情報再構築器28とから構成される。なお、図5中のプリアンプ回路15及び1−7復調器16は、図4に示した情報記録再生装置のプリアンプ回路及び1−7復調器と同じ装置である。
次に、この例で用いた情報記録再生装置におけるアドレス情報の再生動作を説明する。データ情報は実施例1と同様にして再生した。
まず、図2に示したアドレス領域を有する光ディスクを、図5に示した情報記録再生装置200に装着して、所望のトラック(図2の光ディスクではグルーブ)に光ビームを照射する。次いで、光ヘッド12で得られたアドレス情報に関する再生信号がプリアンプ回路15でゲイン調整されてアドレス復調器26に入力される。次いで、その再生信号からアドレス情報がアドレス復調器26で再生され、その信号がアドレス情報正誤判定器27に転送され、所望のトラックのアドレス情報が再生されているかどうか、アドレス情報正誤判定器27で判定される。所望のトラックのアドレス情報が再生されている場合には、再生されたアドレス情報が再生信号処理系(不図示)に出力される。
所望のトラックのアドレス情報が再生されていない場合には、アドレス情報正誤判定器27から、その旨の判定がL/Gサーボ回路13に送られ、光ビームを隣接するトラック(図2の光ディスクではグルーブ)に移動させる。次いで、再度、所望トラックに隣接するトラックに光ビームを照射し、隣接するトラックのアドレス情報を再生する。光ヘッド12で検出した隣接するトラックのアドレス情報の再生信号はプリアンプ回路15及びアドレス復調器26を介してアドレス再構築器27に送られる。そして、アドレス再構築器28において、隣接するトラックのアドレス情報から所望トラックのアドレス情報を特定し出力する。
上述のアドレス情報の再生方法を用いて、実施例1と同様にアドレス情報のエラーレートを測定したところ、データ情報の記録回数に関係無く、エラー率を低減することができた。具体的には、表1〜13でアドレスエラー率の評価が○であった光ディスクに対して、◎評価とすることができた。ただし、実施例1でアドレスエラー率の評価が×であった光ディスクについては、隣接トラックのアドレス情報のエラー率も高くなるので、アドレス情報の再構築を行うことができなかった。
実施例3では、光ディスクのアドレス情報及びデータ情報の記録フォーマットを変えたこと以外は、実施例1と同様にして種々の光ディスクを作製し、実施例2と同様に図5に示した情報記録再生装置を用いてエラーレートを測定し、アドレス信号及びデータ信号の品質評価を行った。
[光ディスク]
この例で作製した光ディスクのアドレス情報及びデータ情報の記録フォーマットの概略図を図6に示した。図6の光ディスクでは、ランド上にデータ情報(記録マーク)が記録されており、トラックのアドレス情報は溝を径方向にウォブルさせることより形成されている。なお、図6の光ディスクでは、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとし、そのグルーブとランドには同じトラック番号を付した。すなわち、図6の光ディスクでは、グルーブに形成されたアドレス情報がそのグルーブを含むトラックのアドレス情報となる。なお、この例で作製した光ディスクでは、トラックピッチを0.4μmとし、ウォブル周期は93チャネルビットとした。
この例で作製した光ディスクでは、図6に示すように、隣接するトラックに記録されたアドレス情報が互いに径方向に並ばないようにずらして配置されている。具体的には、図6中のk番目のトラックのアドレス情報A(k)は第1アドレス領域に記録されており、k番目のトラックに隣接するk−1番目及びk+1番目のトラックのアドレス情報A(k−1)及びA(k+1)は、第2アドレス領域に形成されている。
[再生原理]
図6に示した光ディスクにおけるアドレス情報の再生動作は次の通りである。例えば、k番目のランド上を図6中の破線の矢印の方向に光ビームで走査すると、まず、光ビームの進行方向に対して左側からk番目のトラックのアドレス情報A(k)が検出され、次いで、光ビームの進行方向に対して右側からk+1番目のトラックのアドレス情報A(k+1)が検出される(図6(b)参照)。それゆえ、一方のアドレス情報が再生できなくても、再生された他方のアドレス情報と再生された側(右側か左側)の情報とから、所望のトラックのアドレス情報を特定することができる。例えば、k番目のランドを光ビームで走査した際、光ビームの進行方向に対して左側からアドレス情報A(k)を再生することができなくても、光ビームの進行方向に対して右側からk+1番目のトラックのアドレス情報A(k+1)が得られれば、光ビームが走査しているランドのアドレス情報がA(k)であることが分かる。なお、光ビームの進行方向に対して左側及び右側から得られる信号(図6(b)参照)からアドレス情報を再生する工程は図5中のアドレス情報正誤判定器27で行った。
上述のように、図6に示すようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクでは、所望のランドのアドレス情報が再生できなくても、光ビームを隣接するランドまたはグルーブに移動させることなく、所望のランドのアドレス情報が再生することができるので、アドレス情報を一層容易に再生することができる。それゆえ、図6に示すようなフォーマットでアドレス情報及びデータ情報の記録されている光ディスクでは、アドレス情報の信頼性が増し、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもアドレス情報の信頼性が低下しない。
この例で作製した光ディスクを、図5に示す情報記録再生装置に装着して、実施例2と同様に、アドレス情報のエラーレートを測定した。その結果、データ情報の記録回数に関係無く、アドレスエラー率を低減することができた。具体的には、表1〜13でアドレスエラー率の評価が○であった光ディスクに対して、◎評価とすることができた。ただし、実施例1でアドレスエラー率の評価が×であった光ディスクについては、隣接トラックのアドレス情報のエラー率も高くなるので、アドレス情報の再構築を行うことができなかった。
実施例4では、光ディスクのアドレス情報及びデータ情報の記録フォーマットを変えたこと以外は、実施例1と同様にして種々の光ディスクを作製し、実施例2と同様に図5に示した情報記録再生装置を用いてエラーレートを測定し、アドレス信号及びデータ信号の品質評価を行った。
[光ディスク]
この例で作製した光ディスクのヘッダー部の概略構成図を図7に示した。ただし、本発明の光ディスクのアドレス情報のフォーマットは図7に示した例に限定されず、光ディスクの仕様等に応じて適宜設計し得る。図7の光ディスクでは、グルーブ及びランドにアドレス情報が記録されており、各グルーブ及びランドのアドレス情報は、図7に示すように、それぞれのグルーブ及びランドを径方向にウォブルさせることにより形成されている。なお、この例で作製した光ディスクでは、トラックピッチを0.34μmとし、ウォブル周期は93チャネルビットとした。この例では、グルーブ及びランド上にデータを記録(ランド・グルーブ記録)した(不図示)。
また、各グルーブ及びランドのヘッダー部は、図7に示すように、第1アドレス領域から第4アドレス領域の4つの領域で構成されており、各グルーブ及びランドのヘッダー部は、光ディスクの径方向に並んで配置されている。また、図7に示すように、隣接するグルーブとランドとの間では、アドレス情報が互いに径方向に並ばないようにずらして形成されている。具体的には、図7に示すように、図7中の第1アドレス領域には2k番目及び2k−2番目のグルーブのアドレス情報が記録され、第2アドレス領域には2k番目及び2k−2番目のランドのアドレス情報が記録され、第3アドレス領域には、2k+1番目及び2k−1番目のグルーブのアドレス情報が記録され、そして、第4アドレス領域には、2k+1番目及び2k−1番目のグルーブのアドレス情報が記録されている。なお、図7の光ディスクでは、実施例1及び3で作製した光ディスクと同様に、隣接するグルーブとランドの1セットで1トラックとし、それらのグルーブ及びランドでは同一のトラック番号を付した。ただし、この例で作製した光ディスクでは、図7に示すように、各グルーブ及びランドにそれぞれ個別にアドレス情報が記録されている。
また、この例で作製した光ディスクでは、図7に示すように、所定のグルーブ及びランドのヘッダー部には、所定のグルーブ及びランドと隣接するグルーブ及びランドのアドレス情報が記録されており、所定のグルーブ及びランドのアドレス情報が記録されているアドレス領域とは異なる領域に記録されている。例えば、図7中の2k番目のグルーブには、第1アドレス領域に2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)を記録し、第2、第3及び第4アドレス領域にはそれぞれ2k番目のランドのアドレス情報L(2k)、2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)及び2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)が記録されている。また、図7中の2k番目のランドには、第2アドレス領域に2k番目のランドのアドレス情報L(2k)を記録し、第3アドレス領域には2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)が記録されている。なお、図7の光ディスクの例では、例えば、図7中の2k番目のランド上の第1アドレス領域は、図7に示すように、2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)と2k+2番目のグルーブのアドレス情報G(2k+2)との境界部分となるので、アドレス情報はなしとなる。同様に、図7中の2k番目のランド上の第4アドレス領域もまた、図7に示すように、2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)と2k+1番目のランドのアドレス情報L(2k+1)との境界部分となるので、アドレス情報はなしとなる。
[再生原理]
図7に示すようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクにおけるアドレス情報の再生動作は次の通りである。ただし、本発明のアドレス情報の再生方法は、以下の方法に限定されず、アドレス情報の記録フォーマットに応じて適宜変更し得る。
例えば、図9中の2k番目のグルーブ上を図9中の破線の矢印の方向に光ビームで走査すると、2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)、2k番目のランドのアドレス情報L(2k)、2k+1番目のグルーブのアドレス情報G(2k+1)及び2k−1番目のランドのアドレス情報L(2k−1)の順でアドレス情報が検出される。それゆえ、2k番目のグルーブ上を光ビームで走査した際に第1アドレス領域に記録されている2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)を再生することができなくても、その他のアドレス領域に記録された2k番目のグルーブに隣接するランド及びグルーブのアドレス情報が検出できれば、その検出されたアドレス情報とその検出順序等の情報とから2k番目のグルーブのアドレス情報G(2k)を特定することができる。特に各アドレス情報が記録されている領域に関する情報(位置情報)がアドレス情報に含まれていれば、所望のグルーブ又はランドのアドレス情報の特定がさらに容易になる。
以下に、図7に示した光ディスクにおいて、所望のグルーブ又はランド上に光ビームを照射してアドレス情報を再生した場合に、検出されるアドレス情報から所望のグルーブ又はランドのアドレス情報を特定する方法について具体的に説明する。
所望のランド上に光ビームを照射してアドレス情報を再生した場合、2つのアドレス情報が再生することができれば、図7(b)から明らかなように、所望のランドのアドレス情報そのものが検出されており、検出された2つのアドレス情報のうちランドに関するアドレス情報が所望のランドのアドレス情報となる。
所望のランド上に光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、1つのアドレス情報しか再生できなかった場合には、その再生されたアドレス情報がランドのアドレス情報であれば、その情報が所望のランドのアドレス情報になる。再生されたアドレス情報がグルーブのアドレス情報であれば、そのアドレス情報は所望のランドに隣接するトラック(図7の例では、所望のランドのトラック番号より1だけ小さいトラック番号のトラック)のグルーブのアドレス情報であるので、全体のアドレス配置を予め決めておけば、所望のランドに隣接するトラックのグルーブのアドレス情報から、所望のランドのアドレス情報を特定することができる。
所望のグルーブ上に光ビームを照射してアドレス情報を再生した場合、4つのアドレス情報が再生できれば、それらのアドレス情報の中に所望のグルーブをアドレス情報が含まれている。この場合には、検出されたアドレス情報及びその検出順序等の情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定する。
所望のグルーブに光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、連続した3つのアドレス情報が再生できた場合、そのアドレス情報の検出パターンから所望のグルーブのアドレス情報を特定するためには以下の3つの方法が考えられる。
第1の検出パターンとしては、1番目に再生できたアドレス情報がランドのアドレス情報であり、光ビームを走査したグルーブのトラック番号が偶数である場合である。この場合には、検出された3つのアドレス情報の中には所望のグルーブのアドレス情報は含まれていない。すなわち、所望のグルーブのアドレス情報の再生に失敗している。それゆえ、この場合には、連続して再生された3つのアドレス情報は、所望のグルーブに隣接するランド及びグルーブのアドレス情報となるので、これらの3つのアドレス情報及びその検出順序等の情報からの所望のグルーブのアドレス情報を特定する。
第2の検出パターンとしては、1番目に再生できたアドレス情報がランドのアドレス情報であり、光ビームを走査したグルーブのトラック番号が奇数である場合である。この場合には、所望のグルーブのアドレス情報は再生された3つのアドレス情報に含まれており、2番目に検出されたアドレス情報が所定のグルーブのアドレス情報となる。
第3の検出パターンとしては、1番目に再生できたアドレス情報がグルーブのアドレス情報である場合である。この場合には、光ビームを走査したグルーブのトラック番号が偶数であれば、1番目に検出したアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報であり、光ビームを走査したグルーブのトラック番号が奇数であれば、3番目に検出したアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報である。
次に、所望のグルーブに光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、不連続の3つのアドレス情報が再生できた場合、光ビームで走査したグルーブのトラック番号が偶数であれば、1番目に検出したアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報である。光ビームで走査したグルーブのトラック番号が奇数であり、再生できたアドレス情報に2つのグルーブのアドレス情報が含まれている場合には、2番目に検出されたグルーブのアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報になる。光ビームを走査したグルーブのトラック番号が奇数であり、再生されたアドレス情報にグルーブのアドレス情報が1つしか含まれていない場合には、所望のグルーブのアドレス情報の再生に失敗している。この場合は、再生された3つのアドレス情報及びその検出順序等の情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定する。なお、全体のアドレス情報の配置が予め決められていればこの特定は可能である。
さらに、所望のグルーブに光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、連続した2つのアドレス情報が検出できた場合、そのアドレス情報の検出パターンから所望のグルーブのアドレス情報を特定するには以下の3つの方法が考えられる。
第1の検出パターンとして、再生できたアドレス情報がグルーブ、ランドの順であり、両者のトラック情報(トラック番号)が同じである場合には、再生されたグルーブのアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報となる。
第2の検出パターンとして、再生できたアドレス情報がグルーブ、ランドの順であり、両者のトラック情報(トラック番号)が異なっている場合には、所望のグルーブのアドレス情報の再生に失敗している。この場合、再生されたグルーブのアドレス情報は所望のグルーブと同じトラック番号のランドを隔てた1本隣のグルーブのアドレス情報である。それゆえ、この隣のグルーブのアドレス情報に基づいて所望のグルーブのアドレス情報を特定することができる。また、再生されたランドのアドレス情報は、所望のグルーブの両隣に隣接するランドのうち、トラック情報(トラック番号)の異なる側のランドのアドレス情報であるので、この隣接するランドのアドレス情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定しても良い。
第3の検出パターンとして、再生されたアドレス情報がランド、グルーブの順であった場合には、所望のグルーブのアドレス情報の再生に成功したか失敗したかを判定することはできない。この場合には、トラック番号が増える方向に隣接したランド(図7の例では同じトラック番号のランド)に光ビームを移動させて、隣接するランドのアドレス情報を再生して判定する。この際、最初に所望のグルーブに光ビームを照射して連続して検出された2つのアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報が存在すれば、最初に所望のグルーブに光ビームを照射して連続して検出された2つのアドレス情報には所望のグルーブのアドレス情報は含まれていない。この場合には、最初に所望のグルーブに光ビームを照射して連続して検出された2つのアドレス情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定する。一方、隣接するランドに光ビームを移動させて、隣接するランドのアドレス情報を再生した際に、最初に所望のグルーブに光ビームを照射して連続して検出された2つのアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報が存在しなければ、所望のグルーブのアドレス情報は、連続して検出された2つのアドレス情報に含まれており、そのうち2番目に検出されたアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報となる。
また、所望のグルーブに光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、不連続の2つのアドレス情報が検出できた場合、そのアドレス情報からの所望のグルーブのアドレス情報を特定するには以下の3つの方法が考えられる。
第1の検出パターンとしては、ランド、ランドの順でアドレス情報が検出された場合である。この場合には、所望のグルーブのアドレス情報の再生に失敗している。しかしながら、1番目に検出したランドのアドレス情報のトラック番号が、2番目に検出されたランドのアドレス情報のトラック番号よりも大きい場合には、所望のグルーブのトラック番号は1番目に検出されたランドのトラック番号と同じになる。逆に、1番目に検出たランドのアドレス情報のトラック番号が、2番目に検出されたランドのアドレス情報のトラック番号よりも小さい場合には、所定のグルーブのトラック番号は2番目に検出されたランドのトラック番号と同じになる。それゆえ、検出されたアドレス情報がランド、ランドの順であった場合には、1番目に検出されたランドのアドレス情報のトラック番号と、2番目に検出されたランドのアドレス情報のトラック番号との大小関係から、所望のグルーブのアドレス情報を特定することができる。
第2の検出パターンとしては、グルーブ、グルーブの順でアドレス情報が検出された場合である。この場合には、これらの情報だけでは所望のグルーブの情報の再生に成功したか失敗したかの判定はできない。この場合には、光ビームを所望のグルーブからトラック番号が増加する方向に隣接したランド(図7の例では同じトラック番号のランド)に移動させて、その隣接するランドのアドレス情報を再生することにより判定する。隣接するランドのアドレス情報を再生して、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち2番目に検出されたアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報があれば、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち1番目のアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報になる。逆に、隣接するランドのアドレス情報を再生して、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち1番目のアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報が存在すれば、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち2番目のアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報になる。
第3の検出パターンとしては、グルーブ、ランドの順でアドレス情報が検出された場合である。この場合もまた、これらのアドレス情報だけでは、所望のグルーブのアドレス情報の再生に成功したか失敗したかの判定はできない。この場合には、光ビームを所望のグルーブからトラック番号が増加する方向に隣接したランドに移動させて、その隣接するランドのアドレス情報を再生することにより判定する。隣接するランドのアドレス情報を再生して、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報が存在しなければ、所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち1番目のアドレス情報が所望のグルーブのアドレス情報になる。逆に、隣接するランドのアドレス情報を再生して、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報と同じアドレス領域にアドレス情報が存在すれば、最初に所望のグルーブから検出された2つのアドレス情報のうち1番目のアドレス情報のアドレス番号が所望のグルーブのトラック番号より1つ小さいトラック番号であることが分かるので、この情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定する。
また、所望のグルーブに光ビームを照射してアドレス情報を再生した際に、1つのアドレス情報しか再生できなかった場合、そのアドレス情報だけでは、所望のグルーブのアドレス情報の再生に成功したか失敗したかの判定は困難であるので、隣接するランドのアドレス情報を再生し、隣接するランドから得られたアドレス情報と所望のグルーブで検出された1つのアドレス情報とから、所望のグルーブのアドレス情報を特定する。なお、アドレス情報にアドレス格納位置(図7中の第1〜第4アドレス領域)に関する情報を含ませておけば、検出されたアドレス情報とその格納位置の情報とから、所望のグルーブのアドレス情報の再生に成功したか失敗したかの判定、及び、所望のグルーブのアドレス情報の特定が可能になる。
上述した所望のグルーブ及びランドのアドレス情報の再生に成功したか失敗したかの判定及び所望のグルーブ及びランドのアドレス情報の特定は、図5に示した情報記録再生装置中のアドレス情報正誤判定器27で行う。ただし、所望のグルーブのアドレス情報を特定する際に、隣接するランドに光ビームを照射し、隣接するランドから得られたアドレス情報から所望のグルーブのアドレス情報を特定する場合には、所望のグルーブのアドレス情報の特定はアドレス再構築器28で行う。
上述のように、図7に示すようなフォーマットでアドレス情報が記録されている光ディスクでは、所望のグルーブ又はランドのアドレス情報が再生できなくても、隣接するランド及びグルーブのアドレス情報から所望のグルーブ又はランドのアドレス情報を特定することができるので、所望のグルーブ又はランドのアドレス情報を一層信頼性高く再生することができる。また、図7に示すように、所望のグルーブのヘッダー部には、所望のグルーブに隣接するグルーブ及びランドのアドレス情報が記録されているので、所望のグルーブに光ビームを照射して検出されたアドレス情報の検出パターンによっては、光ビームを隣接するランドに移動させることなく所望のグルーブのアドレス情報を特定することができる。それゆえ、一層容易に且つ迅速にアドレス情報を得ることができる。
この例で作製した光ディスクを、図5に示す情報記録再生装置に装着して、実施例2と同様に、アドレス情報のエラーレートを測定した。その結果、データ情報の記録回数に関係無く、アドレスエラー率を低減することができた。具体的には、表1〜13でアドレスエラー率の評価が○であった光ディスクに対して、◎評価とすることができた。ただし、実施例1でアドレスエラー率の評価が×であった光ディスクについては、隣接トラックのアドレス情報のエラー率も高くなるので、アドレス情報の再構築を行うことができなかった。
[トラックピッチの好適な範囲]
上述の実施例1、3及び4ではトラックピッチ0.34μmあるいは0.4μmの溝を形成した基板を用いたが、本発明はこれに限定されない。トラックピッチを0.218μm〜0.436μmの範囲で変えた種々の光ディスクを作製し、実施例1、3及び4と同様にエラーレート特性の測定を行ったところ、実施例1、3及び4と同様の結果が得られた。ただし、トラックピッチを0.436μmより大きくした光ディスクでは、本実施例で示した好適な記録層の組成範囲以外の組成膜を用いても良好な特性が得られた。すなわち、トラックピッチが広く記録密度が比較的小さい場合には、従来技術の組成範囲の記録層でも良好な特性を得ることができるが、トラックピッチを狭くして記録密度を大きくした場合には、本発明の組成範囲の記録層が非常に効果があることを示している。なお、トラックピッチが0.218μmより小さい場合には、トラッキングが不安定になるだけでなく、クロストーク及びクロスイレーズが顕著に表われるなどの問題点が生じた。
[各構成層の好適な膜厚範囲]
上述の実施例1、3及び4の光ディスクを構成する各層の膜厚を様々に変化させた種々の光ディスクを作製し、実施例1、3及び4と同様にアドレス情報及びデータ情報のエラー率の測定を行った。
実施例1、3及び4の光ディスクにおいて、保護層を40nm〜80nmの範囲で変化させた場合、実施例1、3及び4と同様の良好なエラーレート特性が得られた。保護層の膜厚が40nmより小さい場合、あるいは、80nmより大きい場合、反射率の低下及び信号変調度の低下のいずれかの問題が発生し、データ情報のエラー率が増大した。
また、上記保護層の膜厚範囲(40nm〜80nm)にN・λ/(2n)の膜厚だけ厚くした場合(ここで、nは保護層の屈折率であり、λは記録再生に用いる光ビームの波長であり、Nは自然数である)にも同様の良好なエラーレート特性が得られた。例えば、n=2.3、λ=405nm、N=1の場合には追加の膜厚は90nmとなり保護層全体の膜厚範囲は130nm〜170nmとなる。しかしながら、この場合には保護層の膜厚が厚くなるので、生産性に問題が生じる。
次に、実施例1、3及び4の光ディスクにおいて、記録層の膜厚を5nm〜25nmの範囲で変化させて上述と同様にエラー率の測定を行った。その結果、上記と同様の良好なエラーレート特性が得られた。記録層の膜厚が5nmより薄くなると反射率低下及び信号変調度低下が起こり、データ情報のエラー率が増大した。また、記録層の膜厚が25nmより厚くなると、1000回以下のデータ情報の書換えにおいてもデータ情報のエラー率が増大した。さらに、記録層の膜厚が25nmより厚くなると、記録マーク周辺の再結晶化幅が大きくなり、アドレス信号の品質も劣化した。
また、実施例1、3及び4の光ディスクにおいて、中間層の膜厚を30nm〜60nmの範囲で変化させて上述と同様にエラー率の測定を行った。その結果、上記と同様の良好なエラーレート特性が得られた。中間層の膜厚が30nmより小さくなると熱拡散層と記録層との距離が短くなるため、情報記録時、記録層に照射された光ビームによる熱が熱拡散層を介して面内方向に広がり隣接トラックの情報を消してしまう、いわゆるクロスイレーズが発生し易くなり、データ情報のエラー率が増大した。また、中間層が60nmより大きくなると反射率が低くなりエラーレートが増大した。中間層の膜厚はクロスイレーズを低減するためには、ある程度の膜厚が必要である。特に、中間層の膜厚を、基板の溝深さ45nmの0.8倍である36nmより厚くした場合、クロスイレーズの低減効果が一層大きくなった。
実施例1、3及び4の光ディスクにおいて、熱拡散層の膜厚を30nm〜300nmの範囲で変化させて上述と同様にエラー率の測定を行った。その結果、上記と同様の良好なエラーレート特性が得られた。熱拡散層が30nmよりも薄いと記録マーク形成時に記録層の急冷が困難となり、再結晶化領域が大きくなる。これにより、データ情報のエラーレートが増大するだけでなく、ウォブル信号品質へ与える再結晶化領域の影響も大きくなりアドレス情報のエラー率も増大した。熱拡散層の膜厚を300nmより厚くすると記録感度が悪くなった。
[最適な膜構成]
以下に、本発明の光ディスクを構成する各層の最適組成及び最適膜厚についてまとめて説明する。
(保護層)
保護層の光入射側に存在する物質はポリカーボネート等のプラスチック基板、あるいは、紫外線硬化樹脂等の有機物である。また、これらの屈折率は1.4〜1.65程度である。上記有機物と保護層の間で反射を効果的に起こすためには、保護層の屈折率は2.0以上であることが望ましい。保護層の屈折率は光学的には光入射側に存在する物質(本実施例では基板に相当する)の屈折率以上の値であり、光の吸収が発生しない範囲で保護層の屈折率がより大きいほうが良い。具体的には、保護層の屈折率nとしては2.0〜3.0の間の値が好適であり、保護層が光を吸収しない材料で形成され、特に金属の酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、セレン化物等を含有することが望ましい。
また、保護層の熱伝導率は少なくとも2W/mk以下であることが望ましい。特に、ZnS−SiO系の化合物は熱伝導率が低いので、保護層として最適である。さらに、SnO、あるいはSnOにZnS,CdS、SnS、GeS、PbS等の硫化物を添加した材料、あるいはSnOにCr、Mo等の遷移金属酸化物を添加した材料は、熱伝導率が低いだけでなく、ZnS−SiO系材料より熱的に安定であるので、保護層と記録層との間に設けられた第1熱安定化層の膜厚が2nm以下となった場合にも、記録層への溶け込みが発生しないため、特に保護層として優れた特性を示す。
また、基板と記録層との間の光学干渉を有効に利用するためには、レーザ光の波長が405nm程度の場合、保護層の最適膜厚は40nm〜80nmである。
(第1熱安定化層)
本発明の光ディスクの記録層に用いる相変化材料の融点は650℃以上と高温であるため、保護層と記録層の間に熱的に極めて安定な第1熱安定化層を設けることが望ましい。具体的な第1熱安定化層の形成材料としては、Cr、Ge、SiC等の高融点酸化物、高融点窒化物、高融点炭化物が望ましく、これらの材料は熱的に安定であり、長期間保存後も膜はがれによる劣化が発生しない。これらの材料にSnOなどの他の酸化物やZnSなどの硫化物を添加しても良い。これらを添加することによって光学定数を調整することが可能となる。特に消衰係数の大きい材料に添加すると第1熱安定化層の消衰係数を小さくすることが出来好ましい。特に酸化物ではSnOが好ましい。
また、第1熱安定化層にBi、Sn、Pb等の記録層の結晶化を促進する材料が含有されていると、記録層の再結晶化を抑制する効果が得られるのでさらに望ましい。特に、Bi、Sn、PbのTe化物、酸化物、あるいは、Bi、Sn、PbのTe化物、酸化物と窒化ゲルマニウムとの混合物、あるいは、Bi、Sn、PbのTe化物、酸化物と遷移金属酸化物、遷移金属窒化物との混合物が望ましい。遷移金属は価数を容易に変化させるため、たとえBi、Sn、Pb、Te等の元素が遊離しても、上記遷移金属が価数を変え、遷移金属とBi、Sn、Pb、Te等の間で結合が起こり、熱的に安定な化合物を生成するからである。特に、Cr、Mo及びWは融点が高く且つ価数を変えやすく、Bi、Sn、Pb、Te等の元素との間で、熱的に安定な化合物を生成しやすいため優れた材料である。
第1熱安定化層中の上記Bi、Sn、PbのTe化物、酸化物の含有量は、記録層の結晶化を促進するためには可能な限り多いほうが望ましい。しかしながら、第1熱安定化層は第2熱安定化層と比較して、レーザ光照射により、高温になりやすく記録膜に熱安定化層材料が溶け込む等の問題が発生するために、少なくともBi、Sn、PbのTe化物、酸化物の含有量を70%以下に抑える必要がある。
第1熱安定化層の膜厚は0.5nm以上であればその効果を発揮する。しかしながら、第1熱安定化層の膜厚が2nmより薄い場合、保護層の形成材料が第1熱安定化層通過して記録層に溶け込み、多数回書換え後の再生信号品質を劣化させる場合がある。それゆえ、第1熱安定化層の膜厚は2nm以上であることが望ましい。また、第1熱安定化層の膜厚が10nmより厚くなると、光学的に悪影響を与えるため、反射率低下、信号振幅低下等の弊害がある。従って、第1熱安定化層の膜厚は2nm〜10nmが望ましい。
(記録層)
上述したように、記録層に用いるBi−Ge−Te系相変化材料の組成は、((GeTe)(BiTe1−x1−yGe(ただし0.3≦x<1、0<y≦0.4)を満足することが好ましい。その組成範囲を図8の三角組成図に示す。図8中の太線と破線とで囲まれた領域の組成範囲が、本発明の光ディスクにおける記録層の最適な組成範囲である。ただし、破線上の組成は含まない。この組成条件を満足する場合、Geの代わりに適当な量のSi、Sn、Pb等を添加することにより、対応可能な線速度範囲を容易に調整することができる。例えば、SiによりGeの一部を置換した場合、GeやGeTeよりも融点が高く結晶化速度が小さいSiTeが生成されるため、溶融部外縁部にSiTeが偏析して溶融部外縁部の再結晶化が抑制される。また、SnTeやPbTeによりGeTeを置換した場合、核生成速度が向上するため、高速記録時の消去不足を補うことができる。
すなわち、記録層に好適な相変化材料は以下に示す通りである。
4元系記録層材料:Bi−Ge−Si−Te、Bi−Ge−Sn−Te、Bi−Ge−Pb−Te
5元系記録層材料:Bi−Ge−Si−Sn−Te、Bi−Ge−Si−Pb−Te、Bi−Ge−Sn−Pb−Te
6元系記録層材料:Bi−Ge−Si−Sn−Pb−Te
以上のような多元系材料を用いることにより、記録層材料の性能をよりきめ細かに制御することができる。
さらに、本発明の光ディスクに使用される記録層材料にBを添加すると、再結晶化がより一層抑制されるので、優れた性能を示す光ディスクが得られる。これは、BがGeと同様に再結晶化を抑制する効果があるからであり、さらに、B原子は非常に小さいため、速やかに偏析するからであると考えられる。
なお、本発明の光ディスクに使用される記録層材料が上記組成式であらわされる範囲の関係を維持していれば、たとえ、不純物が混入していたとしても、不純物の原子%が1%以内であれば、本発明の効果は失われない。
また、本発明の媒体構造では記録層の膜厚は、5nm〜25nmが光学的に好ましく、特に、5nm〜15nmが光学的に最適である。
(第2熱安定化層)
本発明の記録層に用いる相変化材料の融点は650℃以上と高温であるため、第1熱安定化層と同様に、中間層と記録層の間に熱的に極めて安定な第2熱安定化層を設けることが望ましい。具体的には、Cr、Ge、SiC等の高融点酸化物、高融点窒化物、高融点炭化物が好ましい。これらの材料は熱的に安定であり、長期保存時においても膜はがれによる劣化を引き起こさないので、第2熱安定化層の材料として適している。
また、第2熱安定化層にBi、Sn、Pb等の記録層の結晶化を促進する材料が含有されていると、記録層の再結晶化を抑制する効果が得られるためさらに望ましい。特に、Bi、Sn、PbのTe化物若しくは酸化物、または、Bi、Sn、PbのTe化物若しくは酸化物と窒化ゲルマニウムとの混合物、または、Bi、Sn、PbのTe化物若しくは酸化物と遷移金属酸化物若しくは遷移金属窒化物との混合物が望ましい。遷移金属はその価数を容易に変化させるため、Bi、Sn、Pb、Te等の元素が遊離しても、上記遷移金属が価数を変えて、遷移金属とBi、Sn、Pb、Te等の元素との間で結合が起こり、熱的に安定な化合物を生成するからである。特に、Cr、Mo及びWは融点が高く且つ容易に価数が変化するので、Bi、Sn、Pb、Te等の元素との間で、熱的に安定な化合物を生成しやすいため優れた材料である。
第2熱安定化層中の上記Bi、Sn、PbのTe化物、酸化物の含有量は、記録層の結晶化を促進するためには可能な限り多いほうが望ましい。しかしながら、光学的な条件を最適化するためには、少なくともBi、Sn、PbのTe化物、酸化物の含有量を70%以下に抑える必要がある。
第2熱安定化層の膜厚は0.5nm以上であればその効果を発揮する。しかしながら、その膜厚が1nmより薄くなると、中間層の材料が第2熱安定化層を通過して記録層に溶け込み、多数回書換え後の再生信号品質を劣化させる場合がある。それゆえ、第2熱安定化層の膜厚は1nm以上であることが望ましい。また、第2熱安定化層の膜厚が5nmより厚い場合、光学的に悪影響を与えるため、反射率低下、信号振幅低下等の弊害が生じる。それゆえ、第2熱安定化層の膜厚は1nm〜5nmであることが好ましい。
(中間層)
本発明の光ディスクに用いる中間層としては、光を吸収しない材料であり、特に金属の酸化物、炭化物、窒化物、硫化物あるいはセレン化物を含有することが望ましい。また、熱伝導率が少なくとも2W/mk以下であることが望ましい。特にZnS−SiO系の化合物は熱伝導率が低いので、中間層の形成材料として最適である。さらに、SnO、または、SnOにZnS、CdS、SnS、GeS、PbS等の硫化物を添加した材料、または、SnOにCr、Mo等の遷移金属酸化物を添加した材料が好ましい。これらの材料は、熱伝導率が低く、ZnS−SiO系材料よりも、熱的に安定であるので、第2熱安定化層の膜厚が1nm未満あるいは第2熱安定化層を設けない場合であっても、中間層の材料が記録層への溶け込むことがないので、中間層の形成材料として特に優れた特性を示す。
また、記録層と後述する吸収率制御層との間の光学干渉を有効に利用するためには、レーザ光の波長が405nm程度の場合、中間層の最適膜厚は25nm〜60nmである。しかしながら、トラックピッチが狭い場合、特にトラックピッチTPと、レーザ光波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
なる関係が成立する場合には、隣接トラックからのクロスイレーズを防止するため、中間層の膜厚を30nm以上にするのが好ましい。さらに、中間層の膜厚を溝深さの0.8倍以上にすることが好ましい。この際、中間層を形成する材料に屈折率が1.7以下の材料、例えばSiO、Alなどの材料を少なくとも25%以上含ませることによって、中間層の膜厚を溝深さの0.8倍より大きな値にしても十分な反射率が確保でき、結晶とアモルファスのコントラストが大きく取れるよう光学的に最適化することができた。
(吸収率制御層)
本発明の光ディスクでは、中間層と熱拡散層との間に吸収率制御層を設けても良い。吸収率制御層を付加した場合の光ディスクの概略断面図を図9に示す。吸収率制御層の複素屈折率n及びkは、それぞれ1.4<n<4.5及び−3.5<k<−0.5の範囲であることが好ましく、特に、2<n<4及び−3.0<k<−0.5の範囲である材料が望ましい。吸収率制御層では光を吸収するため、熱的に安定な材料が好ましく、望ましくは融点が1000℃以上であることが要求される。
また、保護層に硫化物を添加した場合、特に大きなクロスイレーズ低減効果があったが、吸収率制御層の場合、ZnS等の硫化物の含有量が少なくとも保護層に添加される上記硫化物の含有量よりも少ないことが望ましい。吸収率制御層中の硫化物の含有量が保護層に添加される上記硫化物の含有量よりも多い場合、融点低下、熱伝導率低下、吸収率低下等の悪影響が現れる場合があるからである。
上記吸収率制御層の材料としては、金属と金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物との混合物であることが望ましく、CrとCrの混合物が特に良好なオーバーライト特性向上効果を示した。特に、Crが60〜95原子%の場合、本発明に適した熱伝導率、光学定数の材料を得ることができる。具体的には上記金属としてはAl、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、Co、Ti、Cr、Ni、Mg、Si、V、Ca、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Sn、Sb、Te、Ta、W、Ir、Pb混合物等が望ましく、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物としてはSiO、SiO、TiO,Al、Y、CeO、La、In、GeO、GeO、PbO、SnO、SnO、Bi、TeO、MO、WO、WO、Sc、Ta、ZrO等が好ましい。この他に、Si−O−N系材料、Si−Al−O−N系材料、CrなどのCr−O系材料、Co,CoOなどのCo−O系材料等の酸化物、TaN,AlN,SiなどのSi−N系材料、Al-Si−N系材料(例えばAlSiN)、Ge−N系材料等の窒化物、ZnS,Sb,CdS,In,Ga,GeS,SnS,PbS,Bi等の硫化物、SnSe,SbSe,CdSe,ZnSe,InSe,GaSe,GeSe,GeSe,SnSe,PbSe,BiSe等のセレン化物、あるいは、CeF,MgF,CaF等の弗化物、または、上記の材料に近い組成の材料を吸収率制御層として用いても良い。
また、吸収率制御層の膜厚としては10nm〜100nmが望ましく、特に20nm〜50nmの膜厚範囲では、一層良好なオーバーライト特性向上効果が現れる。また、保護層、吸収率制御層の膜厚の和が溝深さ以上である場合、クロスイレーズの低減効果が顕著に現れる。
上述したように吸収率制御層は光を吸収する性質を有する。このため、記録層が光を吸収して発熱するのと同様に吸収率制御層も光を吸収して発熱する。また、吸収率制御層における光の吸収率は、記録層が結晶状態である場合よりも、記録層がアモルファス状態である場合の方が大きくなるようにすることが重要である。このように吸収率制御層を光学設計することにより、記録層がアモルファス状態である場合の記録層における吸収率Aaを、記録層が結晶状態である場合の記録層における吸収率Acよりも小さくする効果が生じる。この効果によりオーバーライト特性を大幅に向上することができる。この効果を得るためには吸収率制御層での吸収率を30〜40%程度に高める必要がある。
また、吸収率制御層における発熱量は、記録層の状態が結晶状態であるか、アモルファス状態であるかにより異なる。それゆえ、記録層から熱拡散層への熱の流れが記録層の状態により変化することになるので、この現象によりオーバーライトによるジッター上昇を抑制することができる。この効果は、吸収率制御層の温度が上昇することにより、記録層から熱拡散層への熱の流れを遮断する効果により生ずる。この効果を有効に生かすためには、保護層と吸収率制御層の膜厚の和がランドとグルーブ間の段差、すなわち、基板上の溝深さ(レーザ光波長の1/7〜1/5程度)以上であることが好ましい。保護層と吸収率制御層の膜厚の和がランドとグルーブ間の段差より小さい場合は、記録層に記録した際に発生する熱が熱拡散層を介して伝熱し、隣接トラックに記録されている記録マークが消去され易くなる。
(熱拡散層)
本発明の光ディスクに用いる熱拡散層としては、高反射率及び高熱伝導率の金属あるいは合金が好ましく、Al、Cu、Ag、Au、Pt、Pd等の総含有量が90原子%以上であることが望ましい。また、Cr、Mo、W等の高融点で硬度が大きい材料及びこれらの材料の合金もまた、多数回書換え時の記録層材料の流動による劣化を防止することができるので好ましい。特に、Alを95原子%以上含有する材料で熱拡散層を形成した場合、廉価であり、高CNR及び高記録感度が得られ、多数回書換え耐性に優れ、さらにクロスイレーズの低減効果が極めて大きい光ディスクを得ることができる。特に、熱拡散層をAlを95原子%以上含有する材料で形成した場合、廉価でしかも耐食性に優れた光ディスクを実現することができる。Alに対する添加元素としてはCo、Ti、Cr、Ni、Mg、Si、V、Ca、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Sn、Sb、Te、Ta、W、Ir、Pb、B、C等が耐食性の点において優れている。しかしながら、添加元素がCo、Cr、Ti、Ni及びFeの場合、特に、耐食性向上に大きな効果がある。
また、熱拡散層に含まれる金属元素が、吸収率制御層に含まれる金属元素と同じ場合、生産上は大きな利点がある。同一ターゲットを用いて吸収率制御層と熱拡散層の2層を形成することができるからである。具体的には、吸収率制御層形成時にはAr−O混合ガス、Ar−N混合ガス等の混合ガスによりスパッタリングして、スパッタリング中に金属元素と酸素あるいは窒素を反応させることにより適当な屈折率の吸収率制御層を形成し、その後、熱拡散層の形成時にはArガスによりスパッタリングし熱伝導率が高い金属の熱拡散層を形成することができる。
また、熱拡散層の膜厚は、30nm〜300nmであることが好ましい。特に、熱拡散層の膜厚が30nm〜150nmにすることにより、耐食性、生産性が一層向上し、さらに望ましい。熱拡散層の膜厚が30nmより薄い場合、記録層において発生した熱が拡散し難くなるので、特に10万回程度書換えた際に、記録層が劣化し易くなるだけでなくクロスイレーズが発生し易くなる場合がある。また、熱拡散層の膜厚が30nmより薄い場合、光を透過してしまうので熱拡散層として使用することが困難となり再生信号振幅が低下する場合がある。熱拡散層の膜厚は300nm以上と厚くなると、生産性が悪くなるだけでなく、熱拡散層の内部応力により基板のそり等が発生し、情報の記録再生を正確に行うことができなくなる場合がある。
本発明の光ディスク、記録再生装置及びアドレス情報管理方法では、上述したように、所望のトラックのアドレス情報が再生できなくても、隣接するトラックのアドレス情報から一層容易に且つ信頼性高く所望のトラックのアドレス情報を特定することができる。それゆえ、ヘッダー情報の信頼性が増し、大容量化のためトラックピッチを小さくしてもヘッダー情報の信頼性が低下しない。また、ヘッダー情報が記録されている領域にもデータを記録することができるので、フォーマット効率を上げることができる。
また、本発明の光ディスクによれば、記録層をBi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成しているので、ヘッダー情報を形成するヘッダー部のウォブルの偏向量を多少大きくしても十分なデータ信号品質が得られ、且つ、データ情報を繰返し書換えても信号品質劣化を小さく抑えることが可能になる。それゆえ、本発明の光ディスクは、大容量で信頼性が高く且つデータの繰り返し記録に対する耐久性に優れた光ディスクとして好適である。
図1は、実施例1で作製した光ディスクの概略断面図である。 図2は、実施例1で作製した光ディスクのアドレス領域の概略構成図である。 図3は、ウォブルパターンと記録される情報との関係を表した図であり、図3(a)は情報「0」に対応するウォブルパターンであり、図3(b)は情報「1」に対応するウォブルパターンであり、図3(c)は5ウォブルで1ビットの情報を表わした際のウォブルパターンである。 図4は、実施例1で作製した種々の光ディスクへの情報記録及び再生を行うために用いた情報記録再生装置の概略構成図である。 図5は、実施例2で用いた情報記録再生装置の概略構成図である。 図6は、実施例3で作製した光ディスクのアドレス領域の概略構成図であり、図6(a)は概略平面図であり、図6(b)は、アドレス領域から検出される信号と、その検出位置と、トラック番号との関係を示した図である。 図7は、実施例4で作製した光ディスクのアドレス領域の概略構成図であり、図7(a)は概略平面図であり、図7(b)は、アドレス領域から検出される信号と、その検出位置と、トラック番号との関係を示した図である。 図8は、本発明の光ディスクの記録層に用いるBi−Ge−Te系相変化材料の好適な組成範囲を示した図である。 図9は、本発明の光ディスクの別の態様例であり、吸収率制御層を含む場合の概略断面図である。
符号の説明
1 基板
2 保護層
3 第1熱安定化層
4 記録層
5 第2熱安定化層
6 中間層
7 熱拡散層
8 UV樹脂層
9 透明基板
10,21 光ディスク
11 モーター
12 光ヘッド
14,24 再生信号処理系
25 アドレス情報管理部
100,200 情報記録再生装置

Claims (35)

  1. 光ディスクであって、
    複数の溝が形成された基板と、
    該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、
    該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスク。
  2. 上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
  3. 上記光ディスクのトラックピッチTPと、記録再生用の光ビームの波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
    0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
    の関係が成立し、波長λが390nm〜420nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク。
  4. 上記記録層に含まれるBi、Ge及びTeの組成比が((GeTe)(BiTe1−x1−yGeで表わされ、x及びyがそれぞれ0.3≦x<1及び0<y≦0.4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ディスク。
  5. 上記光ディスクが、さらに、保護層、中間層及び熱拡散層を備え、記録再生用の光ビームが入射される側から、保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で設けられ、該保護層の膜厚が40nm〜80nmであり、該記録層の膜厚が5nm〜25nmであり、該中間層の膜厚が30nm〜60nmであり、且つ、該熱拡散層の膜厚が30nm〜300nmであることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク。
  6. 上記中間層の形成材料が、記録再生用の光ビームの波長λにおける屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下である材料を25%以上含むことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク。
  7. 光ディスクであって、
    複数の溝が形成された基板と、
    該基板上に設けられ、Biを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成された記録層とを備え、
    該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスク。
  8. 上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項7に記載の光ディスク。
  9. 上記相変化材料がTeを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の光ディスク。
  10. 上記相変化材料がGe及びTeを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の光ディスク。
  11. 上記相変化材料が立方晶及び正方晶の少なくとも一方の晶系の化合物を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の光ディスク。
  12. 上記光ディスクのトラックピッチTPと、記録再生用の光ビームの波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
    0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
    の関係が成立し、波長λが390nm〜420nmであることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の光ディスク。
  13. 上記記録層に含まれるBi、Ge及びTeの組成比が((GeTe)(BiTe1−x1−yGeで表わされ、x及びyがそれぞれ0.3≦x<1及び0<y≦0.4であることを特徴とする請求項10に記載の光ディスク。
  14. 上記光ディスクが、さらに、保護層、中間層及び熱拡散層を備え、記録再生用の光ビームが入射される側から、保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で設けられ、該保護層の膜厚が40nm〜80nmであり、該記録層の膜厚が5nm〜25nmであり、該中間層の膜厚が30nm〜60nmであり、且つ、該熱拡散層の膜厚が30nm〜300nmであることを特徴とする請求項13に記載の光ディスク。
  15. 上記中間層の形成材料が、記録再生用の光ビームの波長λにおける屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下である材料を25%以上含むことを特徴とする請求項14に記載の光ディスク。
  16. 光ディスクであって、
    複数の溝が形成された基板と、
    該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、
    該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずれて配置されていることを特徴とする光ディスク。
  17. 上記光ディスクのトラックピッチTPと、記録再生用の光ビームの波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
    0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
    の関係が成立し、波長λが390nm〜420nmであることを特徴とする請求項16に記載の光ディスク。
  18. 上記記録層に含まれるBi、Ge及びTeの組成比が((GeTe)(BiTe1−x1−yGeで表わされ、x及びyがそれぞれ0.3≦x<1及び0<y≦0.4であることを特徴とする請求項16または17に記載の光ディスク。
  19. 上記光ディスクが、さらに、保護層、中間層及び熱拡散層を備え、記録再生用の光ビームが入射される側から、保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で設けられ、該保護層の膜厚が40nm〜80nmであり、該記録層の膜厚が5nm〜25nmであり、該中間層の膜厚が30nm〜60nmであり、且つ、該熱拡散層の膜厚が30nm〜300nmであることを特徴とする請求項18に記載の光ディスク。
  20. 上記中間層の形成材料が、記録再生用の光ビームの波長λにおける屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下である材料を25%以上含むことを特徴とする請求項19に記載の光ディスク。
  21. 光ディスクであって、
    複数の溝が形成された基板と、
    該基板上に設けられ、Biを含み且つBi含有量が28原子%以下である相変化材料で形成された記録層とを備え、
    該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずれて配置されていることを特徴とする光ディスク。
  22. 上記相変化材料がTeを含むことを特徴とする請求項21に記載の光ディスク。
  23. 上記相変化材料がGe及びTeを含むことを特徴とする請求項21に記載の光ディスク。
  24. 上記相変化材料が立方晶及び正方晶の少なくとも一方の晶系の化合物を含むことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の光ディスク。
  25. 上記光ディスクのトラックピッチTPと、記録再生用の光ビームの波長λと、集光レンズ開口数NAとの間に、
    0.35×(λ/NA)≦TP≦0.7×(λ/NA)
    の関係が成立し、波長λが390nm〜420nmであることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の光ディスク。
  26. 上記記録層に含まれるBi、Ge及びTeの組成比が((GeTe)(BiTe1−x1−yGeで表わされ、x及びyがそれぞれ0.3≦x<1及び0<y≦0.4であることを特徴とする請求項23に記載の光ディスク。
  27. 上記光ディスクが、さらに、保護層、中間層及び熱拡散層を備え、記録再生用の光ビームが入射される側から、保護層、記録層、中間層及び熱拡散層の順で設けられ、該保護層の膜厚が40nm〜80nmであり、該記録層の膜厚が5nm〜25nmであり、該中間層の膜厚が30nm〜60nmであり、且つ、該熱拡散層の膜厚が30nm〜300nmであることを特徴とする請求項26に記載の光ディスク。
  28. 上記中間層の形成材料が、記録再生用の光ビームの波長λにおける屈折率が1.7以下であり且つ消衰係数が0.1以下である材料を25%以上含むことを特徴とする請求項27に記載の光ディスク。
  29. 情報が上記溝及び該溝間に画成されるランドに記録されていることを特徴とする請求項21〜28のいずれか一項に記載の光ディスク。
  30. 複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されている光ディスクの記録再生装置であって、
    該光ディスクを回転させる回転制御部と、
    該光ディスクに光ビームを照射する光ヘッドと、
    該光ヘッドで検出された再生信号に基づいて情報再生を行う再生信号処理回路と、
    該再生信号処理回路で再生された該アドレス情報を管理するアドレス情報管理部とを備え、
    該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報が再生できなかった場合に、該アドレス情報管理部が、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とする記録再生装置。
  31. 上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項30に記載の記録再生装置。
  32. 複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずらして配置されている光ディスクの記録再生装置であって、
    該光ディスクを回転させる回転制御部と、
    該光ディスクに光ビームを照射する光ヘッドと、
    該光ヘッドで検出された再生信号に基づいて情報再生を行う再生信号処理回路と、
    該再生信号処理回路で再生された該アドレス情報を管理するアドレス情報管理部とを備え、
    該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報が再生できなかった場合に、該アドレス情報管理部が、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とする記録再生装置。
  33. 複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該複数の溝のヘッダー部が径方向に並んで配置されている光ディスクのアドレス情報管理方法であって、
    該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報を再生できなかった場合に、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とするアドレス情報管理方法。
  34. 上記複数の溝間に複数のランドが画成されており、該複数のランドにはそれぞれヘッダー部が設けられ、各ランドのヘッダー部には該ランドのアドレス情報が該ランドを径方向に偏向させることにより記録されており、該複数のランドのヘッダー部が径方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項33に記載のアドレス情報管理方法。
  35. 複数の溝が形成された基板と、該基板上に設けられ、Bi、Ge及びTeを含む相変化材料で形成された記録層とを備え、該複数の溝にはそれぞれヘッダー部が設けられ、各溝のヘッダー部には該溝のアドレス情報が該溝を径方向に偏向させることにより記録されており、該溝のヘッダー部と該溝に隣接する溝のヘッダー部とが互いに周方向にずらして配置されている光ディスクのアドレス情報管理方法であって、
    該光ディスクの所定の溝に記録されているアドレス情報を再生できなかった場合に、該所定の溝に隣接する溝のアドレス情報に基づいて、該所定の溝のアドレス情報を再生することを特徴とするアドレス情報管理方法。
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