JP2003242683A - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP2003242683A
JP2003242683A JP2002036125A JP2002036125A JP2003242683A JP 2003242683 A JP2003242683 A JP 2003242683A JP 2002036125 A JP2002036125 A JP 2002036125A JP 2002036125 A JP2002036125 A JP 2002036125A JP 2003242683 A JP2003242683 A JP 2003242683A
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Japan
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linear velocity
recording
recording medium
information recording
recording film
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Application number
JP2002036125A
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English (en)
Inventor
Junko Ushiyama
純子 牛山
Hiroyuki Minemura
浩行 峯邑
Motoyasu Terao
元康 寺尾
Keikichi Ando
圭吉 安藤
Yumiko Anzai
由美子 安齋
Makoto Miyamoto
真 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 線速度可変でも良好なジッターを保持して記
録できる媒体を提供する。 【解決手段】相変化記録膜を有する線速度可変記録用情
報記録媒体において、記録膜に接している少なくとも1
つの界面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向また
は下方向、または左斜め下方向に一区画離れた元素より
なる群と、記録膜構成元素自身、または周期律表で記録膜
構成元素の上方3区画までの元素からなる群より選ばれ
た少なくとも1元素との組み合わせより成る材料を主成
分とする。 【効果】 線速度可変でも良好なジッターを得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を用いて光ディ
スクに情報を記録する情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ZCLV(Zone Constant Linear Veloc
ity)フォーマットの光ディスクは、半径方向に複数の
ゾーンに分割されており、各ゾーン内ではCAV(Cons
tant Angular Velocity)方式で記録・再生する。記録
再生信号の周波数は一定であり、外周でも内周と同じく
情報を密に記録できる特長がある。DVD−RAMでは
この方式を採用しており、第1世代で2.6GB、第2世
代で4.7GBの高密度化を実現している。この方式で
は、線速度を内外周でほぼ一定にするために、光ヘッド
位置が内周ゾーンにあるときはディスク回転数を高く、
逆に外周ゾーンにあるときはディスク回転数を低くす
る。従って、シークする場合、光ヘッドの移動のみでな
くディスク回転数を変えなければならない。例えば直径
120mmの光ディスクの場合、半径25mmから半径
50mmにシークしたときのディスク回転数は1/2とな
り、このような半径方向の大きな移動ではスピンドルモ
ータの制御に時間がかかり、回転数制御時間がシークタ
イムを決めることになる。また、スピンドルモータの回
転数制御のために消費電力が増大するという問題も生じ
る。特開平11-29685号公報には、シーク直後等の目標回
転数に対して実回転数が追従しきれず線速度が目標速度
からずれている場合でも、実の線速度に合わせて記録パ
ワーを調整する方法が提案されている。
【0003】回転数をディスク内外周でほぼ一定にすれ
ば、シーク時の回転数制御時間が短縮でき、また、スピ
ンドルモータの回転数制御に必要となる消費電力も低減
することができる。そこで、再生時における高転送レー
ト実現のために、線速度が低くなる内周ではクロック周
波数を低く、線速度が高くなる外周ではクロック周波数
を高くすることで、回転数一定あるいは少ない幅の変化
でもCLVフォーマットのディスクの再生を行う方式が
提案されている(特開平6-89506号公報、特開平6-12785
号公報など)。また、記録時は特開平8-212691号公報の
ように、ディスク回転数を一定にし、記録信号のクロッ
ク周波数を線速度に応じて変化させて高速記録を可能に
する方法が提案されている。この記録方法では、線速度
がディスク半径によって変化するために、線速度にあわ
せて記録条件を最適化する必要が生じる。特開平8-2126
91号公報、特開平10-106025号公報などでは、記録条件
は記録媒体の特性を内外周で変えて記録条件が大きく変
化しないようにしている。しかしながら、この記録媒体
はディスク回転数一定(あるいはほぼ一定)の回転数制
御をする光ディスク専用媒体となり、用途が限定されて
しまい、またディスクが作りにくいのでコスト上昇の原
因となるという問題があった。これらの問題を解決する
手段として、特開平10-106008号公報には、記録媒体で
記録条件を最適化するのではなく、線速度に応じて記録
時のパワーやパルス幅を変化させることにより最適な形
状の記録マークを形成する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、線
速度を変えたときの記録方法及び媒体構造に関しては、
さまざまな工夫がなされてきた。しかし、DVD−RA
Mのような重ね書きによる書換え(オーバーライト)の
できる相変化記録媒体の場合、記録特性だけでなく消去
特性もディスク性能を左右する重要な要因となる。従来
媒体の場合、消去時の線速度が速くなると消去性能が低
下してしまうという問題があった。
【0005】DVD−RAMのような相変化記録媒体の
場合、消去性能を決める主な要因は結晶化性能である。
通常、線速度を速くするとディスク上の記録マーク上に
おける光スポットの通過時間が短くなるため、結晶化す
る温度領域に保持できる時間(結晶化保持時間)が短く
なる。これにより、従来媒体では、消去時の線速度を速
くすると消え残りが生じた。そのため、従来媒体を用い
てCAV記録をすると、消去性能劣化に伴うオーバーラ
イト性能劣化が生じ、エラーが発生する、という問題が
あった。
【0006】そこで、我々は結晶化速度を速くしたディ
スクを作製し、その記録再生特性を調べた。その結果、
今度は用いる線速度領域のうち、低線速度側で良好な記
録マークを形成できないことがわかった。相変化記録で
は、記録層を融点以上まで昇温し、その後急冷すること
によってアモルファスの記録マークを形成する。その記
録マーク周辺には、一度融点まで温度上昇したのち、冷
却過程で周囲にある結晶核から結晶成長して結晶相とな
る、いわゆる再結晶化領域が形成される。この再結晶化
領域幅は結晶化速度、とくに結晶成長速度に依存し、結
晶成長速度が速いほどその幅は広くなり、所望のマーク
幅を得ることができないことが検討の末明らかになっ
た。結晶化速度には結晶核生成速度と結晶成長速度の2
つのモードが存在する。
【0007】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解決し、線速度可変な光ディスクにおいて、用い
る線速度領域全域において良好な消去性能と記録性能を
併せ持つ情報記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、以下の情報
記録媒体の採用によって上記目的を達成する。 (1)相変化記録膜を有する線速度可変記録用情報記録
媒体において、記録膜に接している少なくとも1つの界
面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向または下方
向、または左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる群
と、記録膜構成元素自身、または周期律表で記録膜構成元
素の上方3区画までの元素からなる群より選ばれた少な
くとも1元素との組み合わせより成る材料を主成分とす
ることを特徴とする情報記録媒体。 (2)(1)記載の情報記録媒体において、界面層が、
記録膜構成元素と周期律表で左方向または下方向、また
は左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる群と、周期
律表で記録膜構成元素の上方3区画までの元素からなる
群より選ばれた少なくとも1元素との組み合わせより成
る材料を主成分とすることを特徴とする情報記録媒体。 (3)(2)記載の情報記録媒体において、界面層が、
記録膜構成元素と周期律表で左方向または下方向、また
は左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる群と、周期
律表で記録膜構成元素の上方1区画目の元素からなる群
と、上方2区画目または3区画目の元素からなる群の、
合計3つの群のそれぞれより選ばれた少なくとも1元素
の組み合わせより成る材料を主成分とすることを特徴と
する情報記録媒体。
【0009】このような3元素以上の材料の例はSn30
Se30N40 である。このような組み合わせとすること
によって、金属的な元素である例えばSnやBiが少量
遊離して記録膜の結晶核形成を促進するが、界面層全体
が記録膜中に溶け込むことによる悪影響は、窒素や酸素
がSnと比較的強く結合することによって防止する。 (4)相変化記録膜を有する線速度可変記録用情報記録
媒体において、横軸:DC消去パワー(Pe)、縦軸:
消去比(ER)としたときに表される曲線のER=10
dBでの接線の傾きをαとした場合(ER=Pes×α
+α' α、α'は定数)、用いる最低線速度である第
1の線速度v1でのα(v1)と、v1より速い第2の
線速度v2でのα(v2)との関係が、α(v2)/α
(v1)≧0.5であり、かつ、横軸:記録時の線速度
(v)、縦軸:単一周波数の記録マークのキャリアレベ
ル(Cレベル;C)としたときに表されるグラフにおけ
る低線速度側でのCレベル低下開始線速度が用いる最低
線速度v1以下であることを特徴とする情報記録媒体。 (5)相変化記録膜を有する線速度可変記録用情報記録
媒体において、横軸:DC消去パワー(Pe)、縦軸:
消去比(ER)としたときに表される曲線のER=10
dBでの接線の傾きをαとした場合(ER=Pes×α
+α' α、α'は定数)、用いる最低線速度である第
1の線速度v1でのα(v1)と、v1より速い第2の
線速度v2でのα(v2)との関係が、α(v2)/α
(v1)≧0.5であり、かつ、横軸:記録時の線速度
(v)、縦軸:単一周波数の記録マークのキャリアレベ
ル(Cレベル;C)としたときに表されるグラフにおけ
る低線速度側でのCレベル低下開始線速度が用いる最低
線速度×0.8以下の線速度であることを特徴とする情
報記録媒体。 (6)(4)〜(5)のいずれかに記載の情報記録媒体
において、記録膜の全原子数の90%以上がGeSbT
eから成り、さらに全原子数の50%以上がTeである
ことを特徴とする情報記録媒体。 (7)(1)記載の情報記録媒体において、界面層がG
aTe、BiTe、PbTeのいずれか1つか、あるい
はその混合物からなることを特徴とする情報記録媒体。 (8)(1)記載の情報記録媒体において、界面層がG
aTe、BiTe、PbTeのいずれか1つか、あるい
はそれらの混合組成と酸化物材料あるいは窒化物材料の
混合材料からなることを特徴とする情報記録媒体。 (9)(4)〜(6)のいずれかに記載の情報記録媒体
において、記録膜と接する2つの界面層のうち、少なく
とも1つの界面層の全原子数の90%以上がBiOある
いはBiNであることを特徴とした情報記録媒体。 (10)(4)〜(6)のいずれかに記載の情報記録媒
体において、記録膜と接する2つの界面層のうち、少な
くとも1つの界面層の全原子数の90%以上がSnOあ
るいはSnNであることを特徴とした情報記録媒体。
【0010】なお、本発明において主成分とするとは、
全体の原子数の50%を越える部分が指定の材料である
こと、より好ましくは、全体の原子数の70%以上が指定
の材料であること、特に好ましくは、全原子数の90%以
上が指定の材料であることを示す。
【0011】線速度可変に対応した書換可能相変化記録
媒体は良好な記録マークを形成することができ、さら
に、重ね書きした場合に信号品質が劣化しないようにオ
ーバーライト性能つまり消去性能が良好であることが必
要である。
【0012】第1に、良好な記録マークを形成するに
は、適度な結晶成長速度を持つことが重要である。しか
しながら前述したように、結晶成長速度を定量的に調べ
るのは難しい。そこで我々は、媒体の結晶成長速度を記
録マークの信号強度で定性的ではあるが簡便に調べる手
法を考えた。以下に結晶成長速度と再結晶化の関係につ
いて述べる。線速度を変化させて記録すると記録膜の冷
却時間が変化する。冷却時間が長いと結晶成長しやす
く、逆に冷却時間が短いと結晶成長しにくくなる。再結
晶化現象において結晶成長が激しいということは、再結
晶化領域が広い、すなわち記録マークが小さくなること
を意味する。従って、線速度を変えながら記録したマー
クの信号強度(キャリアレベル)を測定すれば、定性的
な結晶成長速度を調べることができることが検討の末明
らかになった。低線速度側で記録した場合、再結晶化が
激しいとマークの信号強度が低下して信号品質が劣化す
る。従って、横軸:記録時の線速度(v)、縦軸:単一
周波数の記録マークのキャリアレベル(Cレベル;C)
としたときに表されるグラフにおいて、再結晶化が激し
くなるために生じる低線速度側でのCレベル低下開始線
速度が、用いる最低線速度v1以下であることが望まし
い。保存寿命を考慮した場合、再生の信頼性を高くする
ためには、Cレベル低下開始線速度が用いる最低線速度
×0.8以下の線速度となる結晶成長速度を有すること
が好ましい。
【0013】第2に、用いる線速度領域で良好な消去性
能を持たせるには、冷却速度が速い高線速度下でも消去
できるように、結晶化速度を速くすることが必要であ
る。鋭意検討の結果、良好な消去特性と前述した記録特
性を両立させるためには、結晶化速度のうち結晶核生成
速度を促進すればよいことがわかった。結晶核生成速度
が速い相変化記録媒体では、横軸:DC消去パワー(P
e)、縦軸:消去比(ER)としたときに表される曲線
のER=10dBでの接線の傾きをαとした場合(ER
=Pes×α+α' α、α'は定数)、用いる最低線
速度である第1の線速度v1でのα(v1)と、v1よ
り速い第2の線速度v2でのα(v2)との関係が、α
(v2)/α(v1)≧0.5で表される。上記不等式
の係数が0.6であれば、媒体の長期保存寿命、特に長
期保存時のオーバーライト特性が良好であるため好まし
い。このような線速度可変対応の相変化記録膜には、全
原子数の90%以上がGeSbTeから成り、さらに全
原子数の50%以上がTeであるような、いわゆる化合
物系記録膜が適していることが明らかになった。さら
に、記録膜に接している界面層材料に適した材料を用い
ることが重要である。Te化物界面層はTe−rich
記録膜との相性が良く好ましい。特に、SnTe系の材
料を含んだ界面層材料は線速度可変相変化媒体として好
適である。しかしながら、界面層材料をSnTeとする
と、書換時に記録膜と界面層の間で剥離を生じることが
ある。SnTe材料に酸化物材料あるいは窒化物材料を
混合した材料を用いると、多数回書換時の剥離を抑制す
ることができ、好ましい。具体的には、酸化物材料とし
てCr2O3、SiO2、GeO、GaO、InO、S
nO,PbO,BiO、窒化物材料としてCrN、Si
N、GeN、GaN、InN、SnN,PbN,BiN
などが挙げられる。特に、Cr2O3は接着力が強く、
剥離抑制効果が大きい。これら酸化物材料あるいは窒化
物材料とSnTeの混合比(モル比)を、酸化物材料あ
るいは窒化物材料をより多くすることで、剥離抑制効果
が顕著になる。Cr2O3のほか、酸化物あるいは窒化
物材料としてGeO、InO、CrN、SiN、Ge
N、InNのいずれか1つあるいはその混合物を用いた
場合、下部界面層及び上部界面層の両方に本材料を用い
ると、剥離抑制効果を持ちながら消去性能の優れた媒体
を得ることができ、好ましい。
【0014】界面層材料として、全原子数の80%以上
をGa化合物、Bi化合物、Pb化合物のいずれか1つ
かあるいはその混合物にしても、良好な消去性能及び記
録特性の両立が容易にでき、好ましい。具体的には、G
aTe,BiTe、PbTe,GaO,GaN,Bi
O,BiN、PbO,PbNなどが挙げられる。GaT
e,BiTe、PbTeは、線速度可変対応媒体として
欲する消去性能を表す不等式α(v2)/α(v1)≧
0.5)において、さらに望ましい不等式α(v2)/
α(v1)≧0.6を満たしているため、好ましい。こ
れらの材料のいずれか1つか、あるいはそれらの混合組
成と酸化物材料あるいは窒化物材料の混合材料を界面層
として用いると、書換時に生じる場合があった結晶化速
度低下を抑制することができるので望ましい。GaO,
GaN,BiO,BiN、PbO,PbNは所望の消去
性能を満たしつつ、剥離抑制効果を併せ持つため、好ま
しい。特にBiO、BiNは保存寿命時の再生安定性が
良好であったため好ましく、また、SnO,SnNは製
膜時のスパッタレートが速く量産に適しており好まし
い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 〔実施例1〕図1は、この発明における第1実施例のデ
ィスク状情報記録媒体の断面構造図を示す。この媒体は
次のようにして製作された。
【0016】まず、直径12cm 、厚さ0.6mmで
表面にトラッキング用の溝を有するポリカーボネイト基
板11上に、 ZnS−SiO2膜よりなる保護層12を
膜厚100nm形成した。次に、Sn30Se30N40膜よ
りなる下部界面層13を膜厚2nm、Ge33.3Sb13.3
Te53.4(at%)記録層14を膜厚6nm 、Cr
膜よりなる上部界面層15を膜厚約5nm 、 Zn
S−SiO2膜よりなる熱拡散制御層16を膜厚40n
m、Mo0.8(SiO20.2膜からなる吸収率制
御層17を膜厚25nm 、Al0.98Ti0.02
膜からなる反射層18を膜厚60nmに順次形成した。
積層膜の形成はマグネトロン・スパッタリング装置によ
り行った。こうして第1のディスク部材を得た。
【0017】他方、全く同様の方法により、第1のディ
スク部材と同じ構成を持つ第2のディスク部材を得た。
第2のディスク部材は、直径12cm 、厚さ0.6m
mの基板11’上に順にZnS−SiO2膜よりなる保
護層12’を膜厚100nm形成した。次に、Sn30S
e30N40膜よりなる下部界面層13’を膜厚2nm、G
33.3Sb13.3Te53.4(at%)記録層14’を膜厚
6nm 、Cr膜よりなる上部界面層15’を膜
厚5nm 、 ZnS−SiO2膜よりなる熱拡散制御層
16’を膜厚40nm 、Mo0.8(SiO20.2
膜からなる吸収率制御層17’を膜厚25nm 、Al
0.98Ti0.02 膜からなる反射層18’を膜厚
60nmに順次形成した。
【0018】その後,前記第1のディスク部材および第
2のディスク部材をそれぞれの反射層18、18’同士
を接着剤層19を介して貼り合わせ、図1に示すディス
ク状情報記録媒体を得た。 (初期結晶化)前記のようにして製作した情報記録媒体
の記録層14、14’に次のようにして初期結晶化を行
った。なお、記録層14’についてもまったく同様であ
るから、以下の説明では記録層14についてのみ述べる
こととする。
【0019】上記情報記録媒体を記録トラック上の点の
線速度が5m/sであるように回転させ、スポット形状
が媒体の半径方向に長い長円形の半導体レーザ(波長約
810nm)のレーザ光パワーを900mWにして基板
1を通して記録層4に照射した。スポットの移動は、媒
体の半径方向のスポット長の1/2ずつずらした。こう
して、初期結晶化を行った。この初期結晶化は1回でも
よいが2回繰り返すと初期結晶化によるノイズ上昇を少
し低減できた。 (記録・消去・再生)上記情報記録媒体すなわち光ディ
スク(図2中では便宜的に21と呼ぶ)に対して、図2
に示した光ディスク装置を用いて情報の記録再生を行っ
た。以下に本光ディスク装置の動作を説明する。
【0020】記録再生時のモーター制御方法としては、
記録再生を行うゾーン毎にディスクの線速度およびクロ
ック周波数Tとクロック周波数の逆数で定義されるウイ
ンドウ幅Twを変化させるZCAV方式とした。
【0021】この光ディスク装置は、モータ22を回転
させる回転数制御部24と、光ディスク21の記録面に
半導体レーザからのレーザ光を照射する光ヘッド23
と、信号を再生するための再生処理部27を備えてい
る。また、装置全体の制御をすると共に、最適記録パワ
ー、記録パルス幅などを求める処理等を行うマイコン2
8と、マイコン28の指示に従って光ヘッド23の半導
体レーザの照射を制御するLD制御部26と、マイコン
28にて指示した記録波形が実際にどのように発光して
いるか検出するためのレーザ波形検出器25を備えてい
る。マイコン28は、光源を駆動するための信号波形を
発生する記録波形発生手段も兼ねている。
【0022】光ヘッド23は、情報記録用のエネルギー
ビームとして波長659nmのレーザ光を発生する半導
体レーザを備える。このレーザ光をレンズNA0.6の
対物レンズにより光ディスク21の記録層上に絞り込み
情報の記録を行った。光ヘッド23は、マイコン28の
制御下にある光ヘッド駆動手段(図示せず)によって駆
動され、光ディスク21の半径方向に移動することがで
きる。また、光ヘッド23は光検出器を備え、光ディス
ク21からの反射光を検出した光検出器の出力は再生処
理部27に入力され、半導体レーザからの照射光の一部
を検出した光検出器の出力はレーザ波形検出器25に入
力される。
【0023】本実施例では8−16変調を用い、媒体上
に8ビットの情報に対応させた3T〜14Tのマーク長
の情報の記録を行った。ここでTとは情報記録時のクロ
ックの周期を表しており、ここではクロック周波数及び
クロック周波数の逆数にあたる周期Tは線速度に対応し
て変化させた。最短マークである3Tマークのマーク長
は約0.42μm、最長マークである14Tマークのマ
ーク長は約1.96μmとなる。記録信号には、情報信
号の始端部 、終端部に4Tマークと4Tスペースの繰
り返しのダミーデータが含まれている。始端部にはVF
Oも含まれている。また、この媒体の反射率は結晶状態
の方が高く、記録され非晶質状態になった領域の反射率
が低くなっている。
【0024】線速度に対応してウインドウ幅Twが変化
したとき、それに伴いパルスの発光時間が短くなるた
め、レーザの立ちあがり時間が影響して所望のレーザ波
形が得られない場合がある。本装置にて出力波形をチェ
ックした結果、線速度23m/sまで所望のレーザ発光
波形を得ることができることを確認した。所望の発光波
形が得られていない場合は記録波形の補正が必要とな
る。
【0025】本実施例では、図3に示すように、低(消
去)パワーと高(記録)パワーの2つのレベルを有する
記録波形を用いた。低パワーレベルは記録マークの消去
(結晶化)が可能であり、高パワーレベルは記録マーク
(非晶質)を形成することが可能である。1つのマーク
を形成するための記録波形は、先頭パルス、マルチパル
ス、最後尾パルスから成り立っている(最短マークは、
先頭パルスと最後尾パルスは一体化している)。マイコ
ン28内には、マーク部の前後のスペース部の長さに応
じて先頭パルス幅と最後尾パルス幅を変化する方式(適
応型記録波形制御)に対応した波形テーブルを有してお
り、これによりマーク間に発生するマーク間熱干渉の影
響を極力排除できる記録波形を発生することができる。
【0026】また、本記録装置はグルーブとランド(グ
ルーブ間の領域)の両方に情報を記録する方式(いわゆ
るランドグルーブ(L/G)記録方式)に対応してお
り、ランドとグルーブに対するトラッキングを任意に選
択することができる。
【0027】上記光ディスク(以下ディスクAとする)
の初回記録及び10回書き換え後のジッター(σ/T
w)を測定した。記録時のレーザパワーは、各線速度
(半径)にて最適な記録パワーとした。ここでいう最適
記録パワーとはクロスイレーズが起こらない記録パワー
であり、かつ、ZCAVで用いる最低線速度8.2m/
sで記録したときと同じ信号振幅を得られる記録パワー
である。また、ジッターとは記録マークのエッジ部の位
置を再生した際、再生信号がウインドウ幅(Tw)に対
してどの程度ゆらいでいるかを示す指標である。ジッタ
ー値が大きくなるとエッジ部の検出位置がウインドウ幅
をほぼ占めるため、記録信号を正確に再生できなくな
る。そこでジッターは小さい方が好ましい。本実施例で
は初回記録及び10回書き換え後の前エッジおよび後エ
ッジのジッター値の2乗平均の値(%)を示す。ZCA
V記録の場合、半径が変わるとそれに伴い線速度も変化
する。本実施例における最低線速度v1は最内周での線
速度8.2m/s、最大線速度は最外周での21m/s
である。測定半径は23mm、33.7mm、44.9
mm、53.3mmと変えてジッターを測定した。これ
らの半径での線速度はそれぞれ8.2m/s、12m/
sおよび16m/s、19m/s、クロック周波数はそ
れぞれ17.1ns、11.69ns、8.76ns、
7.38nsである。初回記録及び10回書き換え後の
ジッター(σ/Tw)は次のようになった。
【0028】 初回記録時 10回書き換え後 半径位置(mm) 線速度(m/s) ジッター(%) ジッター(%) 23 8.2 8.2 8.9 33.7 12 8.1 9.0 44.9 16 8.2 8.8 53.3 19 8.3 9.0 以上のように、測定半径位置(線速度)を変えても初回
記録時および10回書換後のジッター値は半径に関わら
ずほぼ同じ良好な値が得られた。初回記録時にジッター
が良好であることは、測定した半径(線速度領域)に
て、記録時の再結晶化により記録マーク形状が悪化しな
いことを意味している。また、10回書換時においてジ
ッターが良好であることは前に書かれていたマークが消
え残ることなく重ね書きできていることを表しているの
で、測定した半径(線速度)で消去特性が良好であるこ
とを示している。
【0029】このような線速度可変に対応した媒体の結
晶成長速度および結晶核生成速度を、前述した手法、す
なわち、単一(ここでは11T)マークのCレベルの記
録時線速度依存性、及び用いる線速度領域における消去
比の消去パワー依存性を測定することで簡便に調べた。
その結果を以下に示す。図4は11TマークのCレベル
の線速度依存性を示しており、本実施例での最低線速度
v1=8.2m/sより低線速度側でCレベルが低下し
ている。これは、用いる線速度領域では激しい再結晶化
(結晶成長)によるマークのシュリンクが起こらない一
方、8.2m/sより低い線速度領域では再結晶化が激
しいことを意味している。また、各線速度における消去
比の消去パワー依存性を図5に示す。消去特性は各線速
度において記録した11Tマークを消去パワーを変えな
がら消去したときの消去比を測定することにより調べ
た。用いる線速度領域において最大消去比はほぼ同じ良
好な値(30〜35dB)を有している。さらに、図5
中、各線速度の依存性においてER=10dBでの接線
の傾きをαとしたとき(ER=Pes×α+α'α、α'
は定数)、各線速度におけるαは次のようになった。
【0030】 α(8.2m/s)=29 α(12m/s)=23 α(16m/s)=20 α(19m/s)=18.4 α(21m/s)=1 本実施例では、最低線速度v1は8.2m/sであるこ
とからα(v1)=29となる。従って、v1と、v1
より速い第2の線速度v2でのα(v2)の関係は次の
ようになった。 α(12m/s)/α(8.2m/s)=23/29=
0.79 α(16m/s)/α(8.2m/s)=20/29=
0.69 α(19m/s)/α(8.2m/s)=18.4/2
9=0.63 α(21m/s)/α(8.2m/s)=15/29=
0.51 本実施例における媒体は、用いる線速度領域においてα
(v2)/α(v1)≧0.5を満たしている。このよ
うに、ジッターの良好な線速度可変対応媒体を得るため
には、上記のような特性を満足する結晶化速度を持たせ
ることが重要である。本実施例の界面層を構成するSn
30Se30N40 のSnの代わりに、記録膜構成元素と周
期律表で左方向または下方向、または左斜め下方向に一
区画離れた元素よりなる群より選ばれた少なくとも1元
素を用い、Seの代わりに周期律表で記録膜構成元素の
上方1区画目の元素からなる群より選ばれた少なくとも
1元素を用い、Nの代わりに周期律表で記録膜構成元素
の上方2区画目または3区画目の元素からなる群より選
ばれた少なくとも1元素を用いても、ほぼ同様の結果が
得られる。ただし、Asは毒性が強いので、使用を避け
た方が良い。例えばNの一部または全部を酸素で置き換
えると、ディスク製作初期の結晶化速度は大きくなる
が、長期間置くと結晶化速度が低下する傾向がある。N
の一部またはすべてをSe,または上記Seと同じ群の
元素に置き換えると、書換え可能回数が低下するが、用途
によっては使用できる。逆に、Seの群の元素の一部ま
たは全部をNの群の元素で置き換えると、結晶化速度向
上効果が低下する。また、SeとNの一部または全部を
Teで置き換えると、さらに書換え可能回数が低下する
が、特殊な用途では使用できる。
【0031】周期律表で記録膜構成元素の斜め下方の元
素、例えばPbよりは、同列、または下方の元素、例え
ばSnやBiの方が、結晶化速度を大きくする効果がや
や大きい。ただし、Poは産出量が少なく、放射性元素
であるので、使用しない方が良い。
【0032】元素の好ましい組み合わせは、Sn−Se
−Nの他、Sn−Se−O,Sn−S−N,Sn−S−
O,Bi−Se−N,Bi−S−N,Bi−Se−O,
Bi−S−Oなどである。
【0033】元素の含有量の好ましい範囲は、Snの群
の元素は20原子%以上80原子%以下である。この範
囲以上では書換えによる特性変化が大きすぎ、この範囲
以下では結晶化速度向上効果が小さすぎる。Seの群の
元素の好ましい範囲は20原子%以上60原子%以下で
ある。この範囲以上では書換えによる特性変化が大き過
ぎ、この範囲以下では結晶化速度向上効果または書換え
可能回数が小さすぎる。どちらの欠点が現れるかはNの
含有量によって異なる。Nの群の元素は、10原子%以
上70原子%以下である。この範囲以上では安定な材料
とならず、この範囲以下では書換え可能回数が低下す
る。
【0034】この他、GaTe、PbTe、BiTe
を界面層に用いると、実施例2に示すように、線速度
可変対応媒体として欲する消去性能を表す不等式α(v
2)/α(v1)≧0.5)において、さらに望ましい
不等式α(v2)/α(v1)≧0.6を満たしている
ため、好ましい。界面層材料にTe化物を用いるとTe
含有量の多い記録膜との相性がよく好ましい。また、ス
パッタ装置によっては、SnTeを界面層に用いた場
合、書き換え時に記録膜と界面層との間で剥離を生じる
ことがあった。本実施例で用いたSn30Se30N40界面
層は書き換え時の剥離を抑制する効果がある。Cr
は接着力が強いため添加すると剥離抑制効果が大き
く、好ましかった。Crの混合比を多くすると、
接着力が強化された。ただし、添加量は、膜中の上記界
面層材料の構成原子数に対して、Cr2O3の構成原子
数が50%未満にしないと、結晶化高速化効果が小さく
なる。十分な結晶化速度向上効果を得るには、より好ま
しくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。
混合する材料としては、Crのほか、酸化物ある
いは窒化物材料として、GeO、InO、CrN、Si
N、GeN、InNのいずれか1つあるいはその混合物
を用いた場合、下部界面層及び上部界面層の両方に本材
料を用いると、剥離抑制効果を持ちながら消去性能の優
れた媒体を得ることができ、好ましい。GaO,Ga
N,BiO,BiN、PbO,PbNは、その材料自体
に同様の効果があり、所望の記録消去性能を満たしつ
つ、さらに剥離抑制効果を併せ持つため好ましい。その
ほか、混合する材料にSiO2、GaO,SnO,Pb
O,BiO、GaN,SnN,PbN,BiNを用いて
も本発明の効果は変わらなかった。特に、SnO,Sn
Nは単体で界面層材料として用いても良好な記録・消去
特性を得ることができ、さらに製膜時のスパッタレート
が速く量産に適しており好ましい。
【0035】また、ここでは波長659nmの赤色レー
ザを用いたが、その他の波長のレーザ、例えば波長40
0nm付近の青色レーザを用いても本発明の効果は変わ
らない。 〔実施例2〕実施例1で用いた下部界面層Sn30Se30
N40膜をBiTe膜に変えてディスクBを作製し、
実施例1と同様の実験を行った。用いた装置は実施例1
と同じである。
【0036】 初回記録時 10回書き換え後 半径位置(mm) 線速度(m/s) ジッター(%) ジッター(%) 23 8.2 8.2 8.7 33.7 12 8.1 8.6 44.9 16 8.0 8.8 53.3 19 8.4 9.0 このように、測定半径位置(線速度)を変えても、実施
例1と同様、初回記録時および10回書換後のジッター
値は半径に関わらずほぼ同じ良好な値が得られた。この
ディスクBにおける11TマークのCレベルの記録時線
速度依存性は実施例1のディスクAとほぼ同じであり、
8.2m/sより低い線速度領域で再結晶化によるCレ
ベルの低下が起こっていた。さらに、このディスクBを
用いて各線速度における消去比の消去パワー依存性を調
べ、実施例1で定義したαを求めたところ以下のように
なった。
【0037】 α(8.2m/s)=30 α(12m/s)=27 α(16m/s)=25 α(19m/s)=24 α(21m/s)=19 本実施例での最低線速度v1は8.2m/sであること
からα(v1)=27となる。従って、v1と、v1よ
り速い第2の線速度v2でのα(v2)の関係は次のよ
うになった。 α(12m/s)/α(8.2m/s)=27/30=
0.9 α(16m/s)/α(8.2m/s)=25/30=
0.83 α(19m/s)/α(8.2m/s)=24/30=
0.8 α(21m/s)/α(8.2m/s)=19/30=
0.63 本実施例における媒体は、実施例1と同様、用いる線速
度領域においてα(v2)/α(v1)≧0.5を満た
している。さらに、ディスクBと、実施例1で用いたデ
ィスクAを、恒温恒湿槽を用いて90℃、湿度80%の
環境下に置き保存寿命の検討を行った。その結果、ディ
スクAが保存時間200時間のとき、外周(線速度21
m/s)でのアーカイバルオーバーライトジッターが1
0.5%と、通常のオーバーライトジッターの9.0%
と比べて上昇したのに対し、ディスクBは保存時間20
0時間ではアーカイバルオーバーライトジッターは9.
0%で通常のオーバーライト時と同じ値を示した。さら
に保存時間500時間まで調べたが、アーカイバルオー
バーライトによるジッター上昇はなかった。検討の結
果、ディスクが高温高湿の環境下に置かれた場合、記録
膜の結晶核生成が何らかの原因により阻害されて結晶化
速度が遅くなり、以前書かれたマークが消え残ってアー
カイバルオーバーライトジッターが上昇することがわか
った。アーカイバルオーバーライトジッターは記録時の
線速度が速いほど上昇しやすい。本実施例で示したディ
スクBのアーカイバルオーバーライトジッターが良好で
あるのは、高温高湿環境下に置かれ結晶核生成がある程
度阻害されていても結晶核生成速度が十分速いために、
オーバーライトジッターに影響しないためである。この
ような保存寿命の優れたディスクは、用いる線速度領域
においてα(v2)/α(v1)≧0.6を満たしてい
た。従って、上記不等式を満たすディスクは、媒体の長
期保存寿命、特に長期保存時のオーバーライト特性が良
好であるため好ましい。上記不等式の係数が1に近けれ
ば近いほど、高線速度での結晶核生成のしやすさが、低
線速度での結晶核生成のしやすさに近いことを表してお
り、CAV対応記録媒体として好ましい。本実施例では
下部界面層としてBiTeを用いたが、GaTe,
PbTeを用いても不等式α(v2)/α(v1)≧
0.6を満たしており、本発明の効果は変わらなかっ
た。
【0038】これらの界面層材料と酸化物材料あるいは
窒化物材料の混合材料を界面層として用いると、書換時
に生じる場合があった結晶化速度低下を抑制することが
できた。BiTe,GaTe,PbTeのいずれか
1つか、あるいはそれらの混合組成と酸化物材料あるい
は窒化物材料の混合材料を界面層として用いると、書換
時に生じる場合があった結晶化速度低下を抑制すること
ができるので望ましい。 〔比較例1〕実施例1で示した記録膜の組成をGe33.3
Sb13.3Te53.4(at%)からGe36Sb11Te
53(at%)に変更して結晶成長を速くしたディスクC
を作製し、実施例1と同様の実験を行った。用いた装置
は実施例1と同じである。
【0039】 初回記録時 10回書き換え後 半径位置(mm) 線速度(m/s) ジッター(%) ジッター(%) 23 8.2 9.2 10.5 33.7 12 8.2 8.7 44.9 16 8.1 8.6 53.3 19 8.3 8.7 このように測定半径位置(線速度)を変えた場合、半径
33.7mm以上では良好なジッターを得ることができ
たが、半径23mmでは初回記録時及び10回書き換え
時のジッターともに上昇した。ディスクCにおける11
TマークのCレベルの線速度依存性を調べた結果、線速
度10m/sから低線速度側でCレベルが低下してい
た。線速度8.2m/sおよび12m/sで記録したマ
ークの形状を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し
たところ、線速度8.2m/sでの記録マークの周辺の
結晶リングは、線速度12m/sの記録マークのそれと
比較して幅広く、アモルファスマークが小さいことがわ
かった。この結晶のリングは記録時に生じた再結晶化に
より形成されたものである。記録マークのCレベルの線
速度依存性及び記録マークのTEM観察結果から、Cレ
ベルの線速度依存性においてCレベルが低下している低
い線速度では、再結晶化による記録マークのシュリンク
が激しく、結果として良好なジッターが得られないこと
が確かめられた。従って、CAV記録に対応したディス
クは、用いる線速度より低い線速度領域でCレベルの低
下が始まるものが良い。 〔実施例3〕実施例1で示した下部界面層材料をSn30
Se30N40からBiOに変更して結晶成長を遅くしたデ
ィスクDを作製し、実施例1と同様の実験を行った。用
いた装置は実施例1と同じである。
【0040】 初回記録時 10回書き換え後 半径位置(mm) 線速度(m/s) ジッター(%) ジッター(%) 23 8.2 8.0 8.5 33.7 12 7.9 8.5 44.9 16 8.2 8.7 53.3 19 8.3 8.8 測定半径位置(線速度)を変えても、実施例1と同様、
初回記録時および10回書換後のジッター値は半径に関
わらずほぼ同じ良好な値が得られた。ディスクDにおけ
る11TマークのCレベルの記録時線速度依存性を調べ
たところ、線速度6m/sから低線速度側でCレベルが
低下していた。
【0041】本実施例で作製したディスクDと実施例1
で用いたディスクAを用いて、恒温恒湿槽を用いて90
℃、湿度80%の環境下に置き、再生保存寿命を調べ
た。その結果保存時間200時間のとき、10回書き換
え後のマークを再生した場合、実施例1のディスクAが
内周(線速度8.2m/s)でのアーカイバル再生ジッ
ターが9.3%と、通常のジッターの8.9%と比べて
0.4%上昇したのに対し、本実施例で用いたディスク
Dは保存時間200時間ではアーカイバル再生ジッター
は8.5%で通常の再生時と同じ値を示した。さらに保
存時間500時間まで調べたがジッター上昇は見られな
かった。検討の結果、アーカイバル再生劣化は、記録時
にアモルファスマーク中に生じた結晶核あるいは種結晶
が長い時間加熱され結晶成長をするために、アモルファ
スマークが結晶化してしまうことが原因であることがわ
かった。従って、結晶成長しやすいディスクほどアーカ
イバル再生ジッターが劣化しやすい。本実施例で示した
ディスクDのアーカイバル再生ジッターが良好であるの
は、高温高湿環境下に置かれた状態でも種結晶が結晶成
長しにくいためである。このような再生保存寿命の優れ
たディスクは、単一周波数の記録マークのCレベル低下
開始線速度が、用いる線速度範囲の最低線速度×0.8
以下の速度である、という条件を満たしていた。従っ
て、上記条件を満たすディスクは、媒体の長期保存寿
命、特に長期保存時の再生特性が良好であるため好まし
い。本実施例では下部界面層をBiOとしたが、そのほ
かBiNを用いても本発明の効果は変わらなかった。 〔比較例2〕(記録膜組成) 上記ディスクの記録膜組成を実施例1で用いた化合物系
記録膜組成であるGe33 .3Sb13.3Te53.4(at%)
から共晶系記録膜組成であるGe10Sb72Te18(at
%)、Ge10Sb67Te23(at%)、Ge10Sb60
30(at%)に変更して各ディスクを作製し、線速度
に対する記録及び消去特性を調べた。その結果を図6及
び図7に示す。Ge10Sb72Te18組成のディスクをデ
ィスクE、Ge10Sb67Te23(at%)組成のディス
クをディスクF、Ge10Sb60Te 30(at%)組成の
ディスクをディスクGとした。図6は、11Tマークの
Cレベルの線速度依存性を示しており、前述したよう
に、記録時の再結晶化のしやすさを定性的に評価するこ
とができる。Cレベルは、ディスクEで線速度12m/
s、ディスクFで線速度8.2m/s、ディスクGで線
速度5m/sより低い線速度で低下していた。また、図
7には消去性能の線速度依存性を示した。ディスクEは
用いる線速度範囲で良好な消去性能を示しているが、デ
ィスクF,及びディスクGは高線速度側で消去性能が低
下していることがわかる。以上より、Te含有量が50
%未満の共晶系記録膜では、記録時の再結晶化によるC
レベル低下を起こさず、かつ良好な消去性能を得ること
のできるディスクを得ることは難しい。これは、共晶系
記録膜が、結晶成長モードが主な(結晶核生成がほとん
どない)結晶化メカニズムをもっているためである。線
速度可変の相変化記録媒体には、Te量が50%以上の
GeSbTe化合物系組成が好ましいことがわかった。
【0042】
【発明の効果】本発明によると、線速度可変な光ディス
クにおいて、用いる線速度領域において良好な消去性能
と記録性能を併せ持つ情報記録媒体を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による情報記録媒体の構造を示す模式
図。
【図2】本発明による光ディスク装置の概略構成を示す
模式図。
【図3】光ディスクの記録・再生特性評価に用いた記録
波形を示す模式図。
【図4】記録マークのキャリアレベルの線速度依存性を
示す一例図。
【図5】各線速度における消去比の消去パワー依存性を
示す一例図。
【図6】記録マークのキャリアレベルの線速度依存性を
示す一例図。
【図7】消去性能の線速度依存性を示す一例図。
【符号の説明】
11、11' ポリカーボネート基板 12、12' 保護層 13、13' 下部界面層 14、14' 記録層 15,15' 上部界面層 16,16' 熱拡散制御層 17,17' 吸収率制御層 18,18' 反射層 19 接着剤層 21 光ディスク 22 モーター 23 光ヘッド 24 回転数制御部 25 レーザ波形検出器 26 LD制御部 27 再生処理部 28 マイコン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 G11B 7/24 534M (72)発明者 寺尾 元康 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 安藤 圭吉 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 安齋 由美子 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 宮本 真 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5D029 JA01 JB18 LA12 LA13 LA14 LA16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相変化記録膜を有する線速度可変記録用情
    報記録媒体において、記録膜に接している少なくとも1
    つの界面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向また
    は下方向、または左斜め下方向に一区画離れた元素より
    なる群と、記録膜構成元素自身、または周期律表で記録膜
    構成元素の上方3区画までの元素からなる群より選ばれ
    た少なくとも1元素との組み合わせより成る材料を主成
    分とすることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の情報記録媒体において、界
    面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向または下方
    向、または左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる群
    と、周期律表で記録膜構成元素の上方3区画までの元素
    からなる群より選ばれた少なくとも1元素との組み合わ
    せより成る材料を主成分とすることを特徴とする情報記
    録媒体。
  3. 【請求項3】請求項2項記載の情報記録媒体において、
    界面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向または下
    方向、または左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる
    群と、周期律表で記録膜構成元素の上方1区画目の元素
    からなる群と、上方2区画目または3区画目の元素から
    なる群の、合計3つの群のそれぞれより選ばれた少なく
    とも1元素の組み合わせより成る材料を主成分とするこ
    とを特徴とする情報記録媒体。
  4. 【請求項4】相変化記録膜を有する線速度可変記録用情
    報記録媒体において、横軸:DC消去パワー(Pe)、
    縦軸:消去比(ER)としたときに表される曲線のER
    =10dBでの接線の傾きをαとした場合(ER=Pe
    s×α+α' α、α'は定数)、用いる最低線速度で
    ある第1の線速度v1でのα(v1)と、v1より速い
    第2の線速度v2でのα(v2)との関係が、α(v
    2)/α(v1)≧0.5であり、かつ、横軸:記録時
    の線速度(v)、縦軸:単一周波数の記録マークのキャ
    リアレベル(Cレベル;C)としたときに表されるグラ
    フにおける低線速度側でのCレベル低下開始線速度が用
    いる最低線速度v1以下であることを特徴とする情報記
    録媒体。
  5. 【請求項5】相変化記録膜を有する線速度可変記録用情
    報記録媒体において、横軸:DC消去パワー(Pe)、
    縦軸:消去比(ER)としたときに表される曲線のER
    =10dBでの接線の傾きをαとした場合(ER=Pe
    s×α+α' α、α'は定数)、用いる最低線速度で
    ある第1の線速度v1でのα(v1)と、v1より速い
    第2の線速度v2でのα(v2)との関係が、α(v
    2)/α(v1)≧0.5であり、かつ、横軸:記録時
    の線速度(v)、縦軸:単一周波数の記録マークのキャ
    リアレベル(Cレベル;C)としたときに表されるグラ
    フにおける低線速度側でのCレベル低下開始線速度が用
    いる最低線速度×0.8以下の線速度であることを特徴
    とする情報記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の情報記録媒体にお
    いて、記録膜の全原子数の90%以上がGeSbTeか
    ら成り、さらに全原子数の50%以上がTeであること
    を特徴とする情報記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1記載の情報記録媒体において、界
    面層がGaTe、BiTe、PbTeのいずれか1つ
    か、あるいはその混合物からなることを特徴とする情報
    記録媒体。
  8. 【請求項8】請求項1記載の情報記録媒体において、界
    面層がGaTe、BiTe、PbTeのいずれか1つ
    か、あるいはそれらの混合組成と酸化物材料あるいは窒
    化物材料の混合材料からなることを特徴とする情報記録
    媒体。
  9. 【請求項9】請求項4〜6のいずれかに記載の情報記録
    媒体において、記録膜と接する2つの界面層のうち、少
    なくとも1つの界面層の全原子数の90%以上がBiO
    あるいはBiNであることを特徴とした情報記録媒体。
  10. 【請求項10】請求項4〜6のいずれかに記載の情報記
    録媒体において、記録膜と接する2つの界面層のうち、
    少なくとも1つの界面層の全原子数の90%以上がSn
    OあるいはSnNであることを特徴とした情報記録媒
    体。
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