JP2006228274A - 相変化型光記録媒体 - Google Patents

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浩子 大倉
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美樹子 安部
Hiroyoshi Sekiguchi
洋義 関口
Eiko Hibino
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Abstract

【課題】 DVD6倍速以上の高速記録が可能で、かつ広い線速度範囲でジッター特性と再生エラー特性が両立する相変化型光記録媒体の提供。
【解決手段】 (1)基板上に少なくとも、Sbを主成分としGeとSn及び/又はInを含有する相変化記録層、並びに該記録層と接し、窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を有する相変化型光記録媒体。
(2)窒化物がAlN及び/又はGeN、炭化物がTiC及び/又はSiCである(1)記載の相変化型光記録媒体。
(3)基板上に少なくとも、下部保護層、相変化記録層、上部保護層、反射層を有し、下部保護層と相変化記録層の間、及び/又は相変化記録層と上部保護層の間に、前記界面層を有する(1)又は(2)記載の相変化型光記録媒体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、書換え可能な相変化型光記録層を有する高密度記録用の光記録媒体、例えば、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)、DVD+RW、DVD−RAM等に関する。
近年、相変化材料を記録層とした光記録媒体、特に相変化光ディスクの開発が盛んに行われている。
一般に相変化光ディスクは透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。基板上に成膜する薄膜は多層膜で、基板から順番に下部保護層、記録層、上部保護層、反射層の構成が基本的なものである。下部及び上部保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiOを混合したZnS−SiOがよく用いられる。記録層にはSbTeを主成分とする相変化材料がよく用いられる。具体的には、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられるが、これらの他にもGe−Te、In−Sb、Ga−Sb、Ge−Sbなどが用いられる。反射層には金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。
これらの多層膜の成膜には抵抗線加熱法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、CVD法など様々な方法を用いる事ができるが、中でも量産性に優れている点からスパッタ法がよく用いられる。これらの多層膜を形成後、薄膜を保護する為に樹脂層をスピンコートにより被覆する。
このようにして作製された相変化光ディスクは、記録層に用いられている相変化材料がアモルファス状態であるため、これを結晶化状態にする、所謂初期化工程を施す事が一般的である。相変化光ディスクの初期化は、ディスクを回転させながら幅数μm、長さ数十〜数百μmの半導体レーザからレーザ光を照射し、半径方向にレーザ光を移動させる事で行う。レーザ光の照射にはフォーカシング機能を設けてより効率の良いレーザ照射を行う場合が多い。
初期化された相変化光ディスクは任意に決められたレーザ発光パターン(以下、記録ストラテジ)を照射することで任意のアモルファスマークを形成する事ができる。更に、相変化光ディスクでは消去と記録を同時に行う、所謂ダイレクトオーバーライト(以下、DOWという)記録が可能である。ちなみに消去とはアモルファス状態のマークを結晶化させる事で、記録とは結晶状態からアモルファス状態のマークを形成する事である。
よく用いられる記録ストラテジとしては記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)の3値制御(Pw>Pe>Pb)がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて特定の長さのマークを記録する。データ記録・再生の変調方式としてCDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などはマークエッジ記録方式であるからマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価としてはジッター特性が一般的に用いられる。
このような相変化光ディスクは、CD−RW、DVD+RW、DVD−RWなどに応用され、オーディオビジュアル用途及びコンピュータの情報記録用途として広く普及しているが、最近では更なるデジタル容量の大容量化により、これらの光ディスクへの記録速度の向上が期待されている。相変化技術を用いた光ディスクへの高速記録には、より速い記録線速度での書換え性能とより広い記録線速度範囲での書換え性能の双方が要求される。前者は最高記録線速度であり、後者は記録可能な線速度範囲に相当する。この点について以下に説明する。
記録方式として、記録回転数一定で記録を行うCAV記録と線速度一定で行うCLV記録の2種類を考えた時、CLV記録の場合は半径値により回転数が変わり、内周側になるほど高い回転数が要求される。この為、最高線速度は光ディスク用記録再生装置が有する光ディスクの回転能力の限界で決まってしまい、それ以上の線速度での記録が可能な場合は回転能力限界の回転数一定のCAV記録を用いる必要性が出てくる。
例えば、光ディスク用記録再生装置の回転数の限界を10000rpmとすると、その場合半径24mmでは約25m/sの線速度であり、これをDVDの基準線速度3.5m/sで規格化すると約7倍速にあたり、これ以上の高速記録を行おうとするとディスクの特定の半径範囲或いは全面でCAV記録を行う必要がある。或いは、ディスク半径値に対応した、複数の記録線速度を利用するZCLV記録を行う必要がある。
以上のように、記録線速度の向上とは最高線速度の向上だけでなく、ある一定の記録線速度範囲での書換え性能も同時に求められる。
CDやDVDでCAV記録を行った場合、ディスクサイズが直径120mmである事から、(最外周での記録線速度)/(最内周での記録線速度)の比率を求めると、記録線速度範囲は約2.4倍である。具体的には、DVD+RWの4倍速ディスクでは、CAV記録に必要な記録線速度範囲は、5.8〜14.0m/sとなる。なお、ここでいう「4倍速」とはDVDの基準線速度である3.5m/sの4倍の線速度のことである。
一方、最高記録線速度が速くなると、必然的に記録線速度範囲も広くなる。即ち、上述したように、4倍速ディスクでは5.8〜14.0m/s(記録線速度範囲8.2m/s)であるが、これが8倍速ディスクになると11.5〜28.0m/s(記録線速度範囲16.5m/s)と記録線速度範囲が広がることが分かる。以上の事から、CAV或いはZCLV記録において記録線速度を向上させるためには、最高記録線速度を速くすると同時に記録線速度範囲を更に広げる事が必要である事が分かる。
本発明に関連する公知文献としては、以下に述べる特許文献1〜6が挙げられるが、どの文献にも、後述する本発明者らが見出した再生エラーに関する新たな課題については記載も示唆もされておらず、当然ながら、その解決手段に関する記載もない。
特許文献1には、相変化記録膜を有する線速度可変記録用情報記録媒体において、記録膜に接している少なくとも1つの界面層が、記録膜構成元素と周期律表で左方向又は下方向、又は左斜め下方向に一区画離れた元素よりなる群と、記録膜構成元素自身、又は周期律表で記録膜構成元素の上方3区画までの元素からなる群より選ばれた少なくとも1元素との組み合わせより成る材料を主成分とする情報記録媒体が開示されている。そして低線速度では記録マークの周辺の再結晶領域幅が広くなることにより所望のマーク幅を得ることができないという課題を解決し、線速度可変で、用いる線速度領域全域において良好な消去性能と記録性能を併せ持つ情報記録媒体の提供を目的としているが、Teを50%以上含むGeSbTe化合物を記録層に用いており、Sbを主成分とする記録層を用いる本発明とは構成も効果も異なる。
特許文献2には、一般式[(Ge,Sn)SbTe3+A100−B(但し、MはAg、Al、Cr、Mn及びNから選ばれる少なくとも1つの元素)で表され、前記一般式のA及びBは、0<A≦10、0<B≦20の範囲内にある記録層を有し、界面層が窒化物、窒化酸化物及び炭化物から選ばれる少なくとも一つを主成分とする光記録媒体が開示されている。そして高密度な記録が可能で、繰り返し書き換え性能に優れ、結晶化感度の経時劣化が少ない光記録媒体の提供を目的としているが、記録層の主成分はTeであり、Sbを主成分とする記録層を用いる本発明とは構成も効果も異なる。
特許文献3には、記録層にSbを主成分とするAgInSbTeを用い、記録層と上部保護層の間に緩衝層を有し、該緩衝層が、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Nbから選ばれる2種以上の元素を含む窒化物、及び/又は、In、Al、Si、Ta、Ti、Sn、Mg、Zn、Zr、Ni、Yから選ばれる2種以上の元素を含む酸化物からなる光記録媒体が開示されている。そして高密度かつ高速記録において、初回記録時の媒体特性を保ち、繰り返し記録した後も十分な特性を確保することができる優れた相変化型記録媒体の提供を目的としているが、本発明とは記録層の構成や効果が異なる。
特許文献4には、相変化記録層にSbSnGeTeM1(M1はIn,Ga,Pt,Pd,Agほか)を用いた光記録媒体が開示されている。しかし、界面層に関する記載は見当たらない。
特許文献5には、Sbの比率が38〜54原子%の範囲にあるGa−In−Sb合金を相変化記録層に用い、記録層に接するように炭化物層を設けた、高速記録に適した光記録媒体が開示されている。しかし、Sbの含有比率が少なくDVD6倍速以上の高速記録には対応できない構成である上に、炭化物層は記録層の結晶化速度の向上を目的として設けられるものであって、本発明の界面層とは機能が異なる。
特許文献6には、相変化記録層にAgInSbTe系合金を用い、上部保護層に結晶化を促進させるSiC系を設けることにより、10m/sレベルの高速記録においても繰り返し記録特性が良好で、かつ保存信頼性が十分確保できる光記録媒体が開示されている。しかし、本発明でいう界面層は設けておらず、本発明とは構成も効果も異なる。
特開2003−242683号公報 特開2004−216909号公報 特開2002−133718号公報 特開2004−203011号公報 特開2004−519365号公報 特開2002−269824号公報
前記背景技術の項で、CAV記録或いはZCLV記録の必要性が光ディスク用記録再生装置の有する光ディスクの回転能力の限界から来ていると説明したが、特にCAV記録は回転数が一定である事から、記録する半径値によって回転数を調整する必要が無い為、ランダムアクセス記録の高速化に必須の技術でもある。ランダムアクセス記録の高速化はデータ転送の高速化でもあり、結果的に記録速度の向上にも繋がる。
このように高速記録に求められる、最高記録線速度と広い記録線速度範囲の実現を開発中に、本発明者らは従来知られていない新たな課題を見出した。
即ち、ディスク特性としてジッター特性が実用レベルにある記録線速度範囲でも再生エラーが多くなるという現象を見出した。ちなみに、ここでいう再生エラーとは、実際に記録された信号をデジタルデータに変換する際の確かさを表したもので、その値が低い程良好である。
従来はジッター特性が良好であれば再生エラーも低く、それぞれが相反するという現象は確認されていない。唯一、相反する場合としては、ディスクに欠陥が多い場合にジッター特性と再生エラー特性が相反する場合が稀にあるが、本発明者らが見出した現象は全く異なるものであった。
この現象の詳細を調べる為に、DVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクに、図1に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の記録マーク形状の模式図を図2(a)に示す。なお、マーク形状は透過電子顕微鏡で観察した結果であり、マークAとマークCは正常な記録マークであるが、マークBはマーク中に結晶が発生している事が分った。このような結晶がある場合の再生信号は、図2(b)に示す通り、正常な場合(点線)に比べてひずんでしまう。その結果、2値化後の信号は図2(c)のようになり、微結晶のあるマークBのみが3Tよりも短く再生されてしまう。
アモルファスマークに対して結晶状態が影響する例としては、
(1)余熱による再結晶化(例えば、特開2004−164850号公報)
(2)高速記録時に十分な結晶化が行えずに消し残りが発生する(例えば、特開2004
−164849号公報)
(3)多数回のDOW記録を行う事でアモルファスマーク周辺に結晶が析出する
などが知られているが、本発明で見出した現象は、DOW記録の回数に依らない点、アモルファスマークの全てでなく一部に結晶が発生している点、ジッター特性が良好であるにも関わらず再生エラーが非常に大きくなっている点などから、従来から知られている現象とは異なる事が分かる。
更に、記録密度がDVD程度に高くなると、このような結晶が最短マークに存在する事が再生エラーの増加に繋がると考えられる。
以上の事から、本発明は、DVD6倍速以上の高速記録が可能で、かつ広い線速度範囲でジッター特性と再生エラー特性が両立する相変化型光記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜6)の発明(以下、本発明1〜6という)によって解決される。
1) 基板上に少なくとも、Sbを主成分としGeとSn及び/又はInを含有する相変化記録層、並びに該記録層と接し、窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を有することを特徴とする相変化型光記録媒体。
2) 相変化記録層がGaを含有することを特徴とする1)記載の相変化型光記録媒体。
3) 窒化物がAlN及び/又はGeNであることを特徴とする1)又は2)記載の相変化型光記録媒体。
4) 炭化物がTiC及び/又はSiCであることを特徴とする1)又は2)記載の相変化型光記録媒体。
5) 基板上に少なくとも、下部保護層、相変化記録層、上部保護層、反射層を有し、下部保護層と相変化記録層の間、及び/又は相変化記録層と上部保護層の間に、前記界面層を有することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
6) 反射層がAg又はAg合金を主成分とする材料からなることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
現在市販されている書き換え可能な相変化光ディスクは、主に、DVD−RAMのようにGeSbTe化合物を発展させた材料系を記録層に用いたものと、CD−RW、DVD+RW、DVD−RWのようにAgInSbTe系を発展させた材料系を記録層に用いたものの2種類に分類される。
ある液体から結晶が析出するとき核生成と結晶成長の2つのプロセスが含まれる。GeSbTe化合物系は核生成頻度が高く、アモルファス又は液相の全ての場所でランダムに核生成が起こり、ランダムに発生した核から結晶成長が起こる。アモルファスマークに消去パルスが照射された場合、アモルファスマーク中の全ての場所で結晶核が生成され、ランダムに発生したそれぞれの結晶核から結晶成長が進み、ほぼ同じ大きさの結晶が多数成長する。このようなメカニズムで記録・消去が繰り返されると、アモルファスマーク周辺にのみ平均より大きい結晶が析出し、消去率が悪くなることがある。また、特許文献1に示されているように、高転送レート実現のためには結晶化速度が速い光ディスクが必要であるが、結晶化速度が速い光ディスクに広い線速度範囲で記録するときに問題が生じる。
即ち、記録マーク周辺には、一度融点まで温度上昇したのち冷却過程で周囲にある結晶核から結晶成長して結晶相となる再結晶領域が形成されるが、低線速度側で記録した場合、記録マーク周辺の再結晶領域の幅が広くなってしまい、所望のマーク幅を得ることができない。この再結晶領域は結晶成長速度に依存し、結晶成長速度が速いほどその幅が広くなるためである。この現象が起こるときは、記録した全てのマークに起こるため、マークの信号強度が低下して信号品質が劣化する不具合は生じるが、ジッタ特性が良いのに再生エラーが大きくなることはない。
一方、AgInSbTe系は核生成頻度が小さいため、アモルファス又は液相の表面、他の層と接している界面、アモルファス又は液相中に存在する不純物や異種物質との界面などで起こる不均一核生成から結晶化が進む。アモルファスマークに消去パルスが照射された場合、AgInSbTe系は記録の過程でアモルファスマーク中に起こる核生成頻度が低いため、アモルファスマーク又は液相と結晶との界面から中心部に向かって結晶成長が起こる。繰り返し記録・消去を行っても、GeSbTe化合物系のようにアモルファスマーク周囲に大きい結晶が析出することがなく消去率が良い。また、結晶成長が不均一核生成による場合、マークが小さくなるほどアモルファスマークを結晶化させるのにかかる時間が短くてすむため、均一核生成による材料系よりも、高密度記録、高速記録に有利である。また、AgInSbTe系は、組成比を変えることにより、結晶化速度を調整することができる。具体的には、DVD+RWの4倍速媒体は、最高記録線速度が14m/sであるが、Sb量を65%以上と多くし、Teを25%以下と少なくすることにより、AgInSbTe系で実現することができる。GeSbTe化合物系がTeを主成分とする材料であるのに対し、AgInSbTe系はSbを主成分とする材料であるとも言える。
しかし、更なる高速媒体にAgInSbTe系を用いようとすると、Sb量を更に多くする必要がある。Sb量を多くすることにより、速い結晶化速度の光ディスクを得ることはできるが、結晶化温度が低くなるため、長期保存後のアモルファスマークの安定性が悪くなってしまう。この問題を解決するため、本発明者らは先願発明(特願2004−29923)において、Sbを主成分とし、結晶化速度を遅くするTeを10%以下と少なくし、結晶化速度を速くするSn、保存安定性に効果があるGe、アモルファスマークを形成し易くする効果があるGaからなる材料系を開発した。このSnSbGaGe系は、Sbが主成分であり、不均一核生成により結晶化が起こるため、AgInSbTe系の発展系であるといえる。前述した特許文献2の記録層材料は、Teが多いGeSbTe化合物系の発展系であり、結晶化モードも均一核生成であることから、SnSbGaGe系とは大きく異なる。また、上記先願では界面層としてSiOを用いているが、本発明とは界面層を設ける目的が異なり、かつ窒化物や炭化物を用いる記載もない。
前述したように、本発明者らは、最高記録線速度の向上と広い記録線速度範囲の実現に向けて開発中に、従来知られていない新たな課題、即ち、ディスク特性としてジッター特性が実用レベルにある記録線速度範囲内に再生エラーが多くなるという現象を見出した。この現象は、Sbを主成分とするような不均一核生成により結晶化が起こる材料系、その中でも結晶化速度が速い場合に起こる。均一核生成により結晶化が起こる材料系では、レーザー照射により記録層が同じ温度まで上昇し同じ速度で冷却されると、核生成が起こり、同じように多数の結晶が成長するため、レーザー照射に問題が起きない限り、全てのマークの周辺に結晶が大きく成長することがあっても、あるマークにのみ結晶が成長することは起こり得ない。また、不均一核生成により結晶化が起こる材料系でも、結晶化速度が遅い場合は、記録の過程でアモルファスマーク中に結晶が形成してしまうことはなかった。しかし結晶化速度が速い場合は、記録の過程において、頻度は低いものの、アモルファス中に核生成が生じてしまうと、結晶成長速度が速いため、生成された核が大きな結晶へと成長すると考えられる。
これらのことから、再生エラーが多くなる現象は、核生成が大きく関わっていることが分かったため、本発明者らは、核生成が生じ易い記録層界面及び記録層組成に着目した。記録層に接する界面層として様々な酸化物、窒化物、炭化物について調べた結果、相変化光ディスクで一般的に保護層として用いられるZnSとSiOを混合したZnS−SiOと比較すると、ほとんどの酸化物は核生成頻度が高くなるのに対し、窒化物や炭化物を用いた場合は核生成頻度が抑制されることを見出した。最も核生成頻度が高くなるのはZrOなどの結晶性酸化物である。これらの酸化物は、記録層との界面で積極的に核生成を促進させ、特開2004−111016号公報などのように結晶化速度を速くしたい場合に用いることができる。しかし、今回見出された新たな課題に対しては、このような結晶核生成を促進する酸化物は更に再生エラーを悪化させるので、核生成頻度が抑制される窒化物や炭化物を界面層に用いるのが良い。Sbを主成分とする記録層の場合、酸化物界面層は、接触角が小さく、不均一核生成のための臨界エネルギーが小さくなるので、核生成を促進する。一方、窒化物や炭化物界面層は、接触角が大きく、不均一核生成のための臨界エネルギーが大きくなるので、核生成を抑制すると考えられる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
本発明の好ましい実施形態では、図3に示すように、基板上に少なくとも下部保護層、相変化記録層、上部保護層、反射層が形成され、下部保護層と相変化記録層の間及び/又は相変化記録層と上部保護層の間に、記録層に接するように窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を設ける(以下、前者を下部界面層、後者を上部界面層という)。これにより繰り返し記録後もジッター特性や再生エラー特性が優れた相変化型光記録媒体を提供できる。更に反射層上にスピンコートにより紫外線(UV)硬化樹脂からなる有機保護層を形成してもよく、必要に応じて有機保護層上に、光記録媒体の更なる補強又は保護のため別の基板を貼り合わせてもよい。
記録層には、Sbを主成分としGeとSn及び/又はInを含有する相変化材料を用いる。ここで主成分とは、Sbを55原子%以上、好ましくは60原子%以上含むことを意味する。Sbが55原子%未満ではDVD6倍速以上の高速記録に対応できない。
Sbを主成分とする相変化材料は、どのような組み合わせの元素を添加しても核生成頻度が低く、アモルファスマークを消去する際は、アモルファス又は液相と結晶との界面から中心部に向かって結晶成長が起こる。Sbを多くするほど結晶化速度は速くなるため、DVD6倍速以上の高速記録を行う場合は、Sbを60原子%以上とするのが好ましいが、多くしすぎるとアモルファスマーク中に結晶が発生する頻度が高くなり再生エラーが悪くなるので、Sbを75原子%以下とするのが好ましい。
Sn及び/又はInを添加すると、初期結晶化が容易になり均一な結晶が得られ、結晶化速度も速くなる。顕著な効果を得るためには、Sn及び/又はInを5原子%以上添加するのが好ましい。しかし、多くなりすぎると再生エラーが悪くなるので、Sb,Sn,Inの合計を90原子%以下とするのが好ましい。
Geを添加すると、アモルファス及び結晶の安定性が向上するうえ、マーク中に結晶が発生する頻度が低くなり再生エラーが良くなる。特に、高速記録になるほど僅かな結晶の変化にも敏感になり記録条件が変わってしまうので、結晶を安定させる効果があるGeを添加するのが好ましい。Gaと同様に多すぎると結晶化速度が遅くなるので、DVD6倍速以上で記録したい場合は15原子%以下とするのが良い。
Gaを添加すると、アモルファス化を促進し、再現性よくアモルファスマークを記録できるので、ジッター特性が良くなる。また、Gaを添加するとマーク中に結晶が発生する頻度が低くなり再生エラーが良くなるが、多すぎると結晶化速度が遅くなるので、DVD6倍速以上で記録したい場合は15原子%以下とするのが良い。
この他、目的に応じて更に他の元素を添加してもよい。例えば、Zn,Cuは結晶化温度を上げるのでアモルファスマークの安定性を更に向上させる効果がある。Agは初期結晶化を更に容易にする、Biは結晶化速度を更に速くする、Se及びTeはアモルファスが形成し易くなるなどの効果がある。何れの場合も、多く添加しすぎると再生エラーが悪くなるので、10原子%以下とするのが良い。
記録層の膜厚は10〜18nmの範囲が適しており、10nmより薄いと光吸収能が低下し記録層としての機能を失うことがある。また、18nmより厚いと記録感度が悪くなる。
記録層の形成は、スパッタリング法により行なうのが好ましい。スパッタリングターゲット作製方法の一例を挙げると、あらかじめ仕込み量を秤量し、ガラスアンプル中で加熱溶融したのち取り出して粉砕機により粉砕し、得られた粉末を加熱焼結することによって円盤状のターゲットを得ることができる。
このように、記録層はSbと添加元素の組み合わせや量によっても、結晶化速度、再生エラー特性、保存安定性を改善することは可能である。しかし、記録層の組成のみで調整を進めると、DVD6倍速以上では、結晶化速度、再生エラー特性、保存安定性の何れかの課題が実用レベルに至らなくなってしまう。
そこで本発明では、更に特性を改善するため、記録層に接するように窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を設ける。ここで主成分とは、少なくとも窒化物又は炭化物を60モル%以上含むことを意味する。これまで、Teが多い記録層材料に接するように窒化物又は炭化物層を設けると、核生成頻度が高くなり結晶化速度が上がることが知られていたが、本発明に用いたSbを主成分とする記録層に接するように窒化物又は炭化物層を設けると、記録層と窒化物又は炭化物層の界面での核生成頻度が低くなり、再生エラーが低くなることを見出した。
Sbを主成分とする記録層の場合、窒化物又は炭化物界面層は、接触角が小さく不均一核生成のための臨界エネルギーが大きくなるので、核生成を抑制すると考えられる。界面層は、下部保護層と記録層の間でも、上部保護層と記録層の間でも、同様の効果が見られる。最も効果があるのは両側に設けた場合であるが、上部保護層と記録層の間に界面層を設ける場合は、熱特性にも大きく影響が現れるため注意が必要である。
界面層の膜厚は、均一な膜を得るために2nm以上、熱特性に大きな影響を与えないために8nm以下とするのが好ましい。
窒化物の具体例としては、AlN、GeN、ZrN、TiN、TaN、Si、BNなどが、炭化物の具体例としては、TiC、SiC、ZrC、WC、TaCなどが挙げられるが、中でもAlN、GeN、TiC、SiCが効果が大きかった。また再生エラーの観点からはこれらの窒化物又は炭化物が良いが、記録層との密着性などを考慮し、酸化物を混合させても良い。具体的には、AlN・SiO、GeN・SiOなどが挙げられる。しかし酸化物が多すぎると再生エラーが悪くなるので、酸化物は40モル%以下とするのが良い。
上記本発明者らが見出した現象は記録層及び界面での核生成、結晶成長速度によるので、窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を設ける手段は、レーザーの波長が変わっても同様の効果がある。また、生成された結晶が小さい場合、マーク長が長いCD−RWでは問題にならなかったのが、DVD+RW、更にはBlue−ray discとマーク長が短くなればなるほど影響が大きくなる。
記録層の初期結晶化は、相変化型光記録媒体を10〜25m/s範囲内の一定線速度で回転させ、パワー密度が15〜40mW/μmで行なうのが好ましい。初期結晶化の条件により繰返し記録初期特性が決まるが、高速結晶化の材料ほど、初期結晶化も高速で行なうのが良い。10m/s未満の線速度で初期結晶化を行なうと、大きな結晶粒が成長してしまうため、アモルファスマークエッジが不均一になり易く、ジッタ特性が悪化する。また、初期結晶化の線速度が25m/sを超えると、ディスクの追従性が悪化するため、反射率に分布が生じ易い。
また、パワー密度15mW/μm未満では、パワー不足により均一な結晶が得られず、40mW/μmを超えるとパワーが強すぎて繰返し記録特性が悪化する。
基板は、表面にトラッキング用の案内溝を有し、直径12cm、厚さ0.6mmのディスク状で、低吸水性、光学特性、加工性、コストなどの点から、ポリカーボネート基板が好適である。例えば、本発明をDVDに適用する場合、トラッキング用の案内溝は、ピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.4μmの範囲内の蛇行溝であることが好ましい。特に溝を深くすることにより、光ディスクの反射率が下がり、変調度を大きくすることができる。
下部保護層には、耐熱性が高く、内部応力が小さく、且つ吸収率の小さいZnSとSiOの混合物を用いるのが良い。ZnSは熱伝導率が小さく記録時の熱拡散を抑制できるので、記録感度を上げることができるが、初期化や記録時に結晶に変化してしまい記録層の安定性に悪影響を及ぼすので、ZnSの結晶化を阻害するSiOを混合したものを用いる。入射光を効率良く利用するため、ZnS:SiO=60〜90:40〜10(モル%)とすることが好ましい。
下部保護層の膜厚は、50〜250nm、好ましくは50〜100nmとする。厚すぎると製膜時に基板への熱ダメージが大きくなり、膜剥離が生じ易くなる。また、薄すぎると記録時の基板への熱ダメージが大きく、繰り返し記録特性が悪くなる。特に高速記録になるほど、安定なアモルファスマークを形成するには急冷しなければならないため、高いパワーで記録することになるので、基板は大きな熱ダメージを受け易い。
上部保護層は、光吸収により発生した熱の拡散を一時的に抑え、記録層の温度をある程度まで上昇させた後、反射層に放熱させる役目を有する。高速記録になるほど僅かな温度の違いでも大きく影響を受け易いので、特に上部保護層による熱の制御は重要となる。
上部保護層には、下部保護層と同様にZnSとSiOの混合物を用いても良い。この場合、上部保護層の膜厚は5〜20nm、好ましくは5〜15nmとする。膜厚は薄い方が急冷構造となり高速記録でも変調度が大きくなるので好ましく、再生エラーを少なくするという観点からも薄い方が良い。しかし、5nmより薄いと記録感度が悪くなってしまう。また、違う材料を2層以上に組み合わせても良く、例えば、記録層側にZnSとSiOの混合物、反射層側にZrOを用いると急冷構造となり、比較的結晶化速度が遅い記録層材料を用いた場合でも、記録特性が良好になる。
反射層は、熱伝導率が高いAg又はAg−In、Ag−Pd、Ag−Pd−Cu、Ag−Cu等のAg合金が適している。結晶化速度が速いと、アモルファスマーク周辺からの再結晶化が起こり易くなり、マークが細くなり、変調度が小さくなり易い。この再結晶化領域をなるべく小さくするには、再結晶化が起こる温度に保持される時間をなるべく短くした方が良いので、反射層に熱伝導率が高いAg又はAg合金を用いた急冷構造とするのが好ましい。
高速記録では、反射層の膜厚が厚いほど変調度が大きくなるので好ましいが、厚すぎると膜剥離が生じ易くなるので、140〜300nmが好ましい。また、再生エラーを少なくするという観点からも、膜厚を厚くしてなるべく熱を逃がし易くするのが良い。
反射層にAg又はAg合金を用い、上部保護層にSが含まれた材料を用いる場合には、反射層と上部保護層の間に硫化防止層を設けるとよい。この層は上部保護層に含まれているSと反射層に含まれているAgの反応によるAgSの生成を防ぐ機能を備えている。好ましい材料としては、TiC、TiO、TiCとTiOの混合物、SiC、Si、SiO、Ta、Al等が挙げられる。
本発明1〜6によれば、DVD6倍速以上の高速記録が可能で、かつ広い線速度範囲でジッター特性と再生エラー特性が両立する相変化型光記録媒体を提供できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜2
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、下部保護層、下部界面層、相変化記録層、上部保護層、硫化防止層、反射層を順に製膜した。製膜装置には、Unaxis社製枚葉式スパッタリング装置Big Sprinterを使用した。
下部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を56nmとした。
下部界面層は、AlN(実施例1)、SiC(実施例2)をターゲットに用い、膜厚を4nmとした。
相変化記録層は、GaSb69Sn18Ge(原子%)をターゲットに用い、膜厚を14nmとした。
上部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を8nmとした。
硫化防止層は、(TiC)70重量%(TiO)30重量%をターゲットに用い、膜厚を4nmとした。
反射層は、Agをターゲットに用い、膜厚を200nmとした。
更に反射層上にスピナーによってアクリル系紫外線硬化樹脂を厚さ約8μm塗布した後、紫外線を照射して硬化させ有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を接着剤を用いて貼り合せて実施例1〜2の相変化型光記録媒体を得た。
次いで、波長810nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行ない、オシロスコープで初期結晶化後のRF信号を観察したところ、何れの媒体も周内での反射率分布は小さく、初期結晶化は均一であった。
次に、初期結晶化した実施例1〜2の相変化型光記録媒体についてDVD用評価装置であるパルステック工業製DDU1000を用いて記録再生を行った。
マーク中に結晶が成長し再生エラーが悪くなることが最も多いのは、最短マークの3Tマークであることが分かっているため、マーク中に結晶が成長しているマークが存在する頻度を簡易的に調べるため、次のような評価を行った。
即ち、Yokogawa製のタイムインターバルアナライザ(TIA)を用いて2値化後のマーク長を検出した。その結果の一例を図4に示すが、正常な3Tマークの分布以外の2.5Tよりも短いマークが、マーク中に結晶が成長している短マークである。
記録線速度11.5m/s(DVD−ROM3.3倍速=3.3X)、21m/s(DVD−ROM6倍速=6.0X)及び27.9m/s(DVD−ROM8倍速=8.0X)で、3Tマーク・3Tスペースの繰返しの単一パターンを図5に示すストラテジで記録し、記録はオンパルス(T3on)のみ固定し、オフパルス(T3off)を可変とした。
3.3X記録はT3on=0.3125Tw(Tw:検出窓幅)、6.0X記録はT3on=0.5Tw、8.0X記録はT3on=0.625Twである。
3T window error=正常なマークの個数に対する短マークの個数の比率の測定結果を図6(実施例1)、図7(実施例2)に示すが、オフパルスを変えていくと短マークの比率が変化し最大になる条件が存在する。また、記録線速度が遅いほど短マークの比率が大きい。この結果から、短マークは、記録層が溶融し、ある温度以下に冷却され、更に再加熱された場合に発生し易く、低速記録のように再加熱の時間が長い条件ほど発生し易いことが分った。ある温度以下に冷却されたときに結晶核が発生し、それが再加熱されると、結晶核が大きな結晶に成長すると考えられる。
次に、実施例1〜2の各媒体について、最も3T window errorが悪かった記録線速度3.3Xで、T3off=1(Tw)のストラテジ条件でマークを記録し、この試料を日本電子製透過電子顕微鏡JEM−2010(以下、TEMという)により、1万倍又は4万倍の倍率でマーク観察を行なった。約1500個のマークを観察したが、全てのマークの長さはほぼ同じであり、マーク中に結晶が成長している短マークは観察されなかった。
更に、上記TEM観察を行なったサンプルと同様の条件で記録したサンプルについて、Yokogawa製の測定装置「Optical Disk Inter−symbol Interference Analysis Software」を用いて、連続する8ECCブロック毎のPIエラーの平均値を測定したところ、実施例1は150、実施例2は120と何れも規格値内であった(規格値は280以下)。
比較例1
下部界面層を設けなかった点以外は実施例1と同様にして相変化型光記録媒体を作製し初期化したのち評価を行った結果を図8に示す。
下部界面層を設けない場合、記録線速度3.3Xでは、3T window errorは3.5E−02と実施例1よりも悪かった。また、最も3T window errorが悪かったT3off=1(Tw)のストラテジ条件でマークを記録し、この試料についてTEMにより、1万倍又は4万倍の倍率でマーク観察を行なった。約800個のマークを観察したところ、そのうち1個のマーク終端部に大きな結晶が成長し、アモルファス部分が通常のマークよりも小さくなっているマークが観察された。図9に正常な3Tマーク形状、図10にマーク終端部に大きな結晶が成長した3Tマークの模式図を示す。
次に、上記初期化した相変化型光記録媒体に、記録線速度3.3Xでランダムパタンを記録し、同様にしてTEM観察を行った。約1400個のマークを観察したところ、その中の1個のマーク先端部に大きな結晶が成長した4Tマークが観察された。図11、マーク先端部に大きな結晶が成長した4Tマークの模式図を示す。
図10及び図11のように一部分に結晶が成長したマークは、正常なマーク長よりも極端に短いため、再生時にエラーとなる可能性が高い。
更に、上記記録線速度3.3Xでランダムパタンを記録した媒体について、実施例1と同じYokogawa製の装置を用いて、連続する8ECCブロック毎のPIエラーの平均値を測定したところ620と規格値を大きく超えていた(規格値は280以下)。
実施例3〜9
記録層組成を表1のものに変えた点以外は、実施例1と同様にして実施例3〜5の相変化型光記録媒体を作製し初期化した。また、記録層組成を表1のものに変えた点以外は、実施例2と同様にして実施例6〜9の相変化型光記録媒体を作製し初期化した。
これらの媒体について、実施例1と同様にして最も短いマークが発生し易い記録線速度3.3Xでの3T window errorを評価し、その最大値を表1に示したが、実施例3〜9の何れも、比較例1よりも3T window errorは小さくなっていた。
また、3.3X記録でランダムパタンを記録し、実施例1と同じYokogawa製の装置を用いて、連続する8ECCブロック毎のPIエラーの平均値を測定した結果を表2に示すが、全て規格値の280以下であった。
また、Ge量が多くなるほど3T window error及びPIエラーが小さくなる傾向があった。
次に、実施例1、2も含めた実施例1〜9の記録媒体について、波長660nm、NA0.65のピックアップヘッドを用い、記録線速度3.3X,8.0X、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパタンを繰返し記録10回行った場合のジッター及び変調度を評価した。その結果、全て規格値(ジッター9%以下、変調度60%以上)内であったが、特にGaが多い実施例1は、8.0X記録でのジッターが8.1%と低く、変調度も65%と大きかった。
Figure 2006228274
Figure 2006228274
実施例10〜11
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、下部保護層、相変化記録層、上部界面層、上部保護層、硫化防止層、反射層を順に製膜した。製膜装置には、Unaxis社製枚葉式スパッタリング装置Big Sprinterを使用した。
下部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を60nmとした。
相変化記録層は、GaSb69Sn18Ge(原子%)をターゲットに用い、膜厚を14nmとした。
上部界面層は、AlN(実施例10)、SiC(実施例11)をターゲットに用い、膜厚を2nmとした。
上部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を8nmとした。
硫化防止層は、(TiC)70重量%(TiO)30重量%をターゲットに用い、膜厚を4nmとした。
反射層は、Agをターゲットに用い、膜厚を200nmとした。
更に反射層上にスピナーによってアクリル系紫外線硬化樹脂を厚さ約8μm塗布した後、紫外線を照射して硬化させ有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を接着剤を用いて貼り合せて実施例10〜11の相変化型光記録媒体を得た。
次いで、波長810nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行ない、オシロスコープで初期結晶化後のRF信号を観察したところ、何れの媒体も周内での反射率分布は小さく、初期結晶化は均一であった。
次に、初期結晶化した実施例10〜11の相変化型光記録媒体について、実施例1と同様にして記録線速度3.3Xでの3T window errorを評価したところ、その最大値は、実施例10が2.3E−03、実施例11が5.8E−04であった。
また、実施例1と同じYokogawa製の装置を用いて、連続する8ECCブロック毎のPIエラーの平均値を測定したところ実施例10が120、実施例11が90と何れも規格値内であった。
実施例12〜13
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、下部保護層、下部界面層、相変化記録層、上部界面層、上部保護層、硫化防止層、反射層を順に製膜した。製膜装置には、Unaxis社製枚葉式スパッタリング装置Big Sprinterを使用した。
下部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を56nmとした。
下部界面層は、AlN(実施例12)、SiC(実施例13)をターゲットに用い、膜厚を4nmとした。
相変化記録層は、GaSb69Sn18Ge(原子%)をターゲットに用い、膜厚を14nmとした。
上部界面層は、AlN(実施例12)、SiC(実施例13)をターゲットに用い、膜厚を2nmとした。
上部保護層は、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%をターゲットに用い、膜厚を8nmとした。
硫化防止層は、(TiC)70重量%(TiO)30重量%をターゲットに用い、膜厚を4nmとした。
反射層は、Agをターゲットに用い、膜厚を200nmとした。
更に反射層上にスピナーによってアクリル系紫外線硬化樹脂を厚さ約8μm塗布した後、紫外線を照射して硬化させ有機保護膜を形成した。
更にその上に、直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を接着剤を用いて貼り合せて実施例12〜13の相変化型光記録媒体を得た。
次いで、波長810nmの半導体レーザを用いて初期結晶化を行ない、オシロスコープで初期結晶化後のRF信号を観察したところ、何れの媒体も周内での反射率分布は小さく、初期結晶化は均一であった。
次に、初期結晶化した実施例12〜13の相変化型光記録媒体について、実施例1と同様にして記録線速度3.3Xでの3T window errorを評価したところ、その最大値は、実施例12が8.7E−04、実施例13が3.1E−04であった。
また、実施例1と同じYokogawa製の装置を用いて、連続する8ECCブロック毎のPIエラーの平均値を測定したところ実施例12が85、実施例13が65と何れも規格値内であった。
実施例14〜20、比較例2
表3に示す材料をターゲットに用いて下部界面層を成膜した点以外は、実施例1と同様にして実施例14〜20及び比較例2の相変化型光記録媒体を作製し初期結晶化した。
次に、初期結晶化した各相変化型光記録媒体について、実施例1と同様にして記録線速度3.3Xでの3T window error及びPIエラーを評価した。その結果を表3に示す。なお、前述した比較例1の結果も一緒に示した。
表3から、どの実施例も、下部界面層を設けない比較例1やZrOを用いた比較例2に比べて3T window error及びPIエラーが改善されていることが分る。
更に、実施例1〜13の結果も併せると、特にAlN、GeN、TiC、SiCの効果が大きいことが分る。
Figure 2006228274
記録ストラテジを示す図。 図1で用いたディスクに、図2に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の結果を示す図。(a)記録マーク形状の模式図。(b)再生信号。(c)2値化後の信号。 本発明の好ましい実施形態の層構成を示す図。 タイムインターバルアナライザを用いて2値化後のマーク長を検出した結果を示す図。 実施例1で採用した記録ストラテジを示す図。 実施例1の3T window errorの測定結果を示す図。 実施例2の3T window errorの測定結果を示す図。 比較例1の3T window errorの測定結果を示す図。 正常な3Tマーク形状を示す図。 マーク終端部に大きな結晶粒が成長している3Tマーク形状を示す図。 マークに大きな結晶粒が成長している4Tマーク形状を示す図。
符号の説明
Pw 記録パワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー
T 基本クロック周期
t 時間
T3on オンパルス時間
T3off オフパルス時間

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも、Sbを主成分としGeとSn及び/又はInを含有する相変化記録層、並びに該記録層と接し、窒化物又は炭化物を主成分とする界面層を有することを特徴とする相変化型光記録媒体。
  2. 相変化記録層がGaを含有することを特徴とする請求項1記載の相変化型光記録媒体。
  3. 窒化物がAlN及び/又はGeNであることを特徴とする請求項1又は2記載の相変化型光記録媒体。
  4. 炭化物がTiC及び/又はSiCであることを特徴とする請求項1又は2記載の相変化型光記録媒体。
  5. 基板上に少なくとも、下部保護層、相変化記録層、上部保護層、反射層を有し、下部保護層と相変化記録層の間、及び/又は相変化記録層と上部保護層の間に、前記界面層を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
  6. 反射層がAg又はAg合金を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
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