JP4546851B2 - 情報記録方法と光記録媒体 - Google Patents

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本発明は、光ビームを照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせて情報の記録、再生を行ない、かつ書き換えが可能でDVD−ROMの8倍速の高線速記録にも対応し得る相変化型光記録媒体に情報を記録するための方法に関するものである。
近年、相変化材料を記録層とした光記録媒体、特に相変化光ディスクの開発が盛んに行なわれている。一般に相変化光ディスクは透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。基板上に成膜する薄膜は多層膜で、基板から順番に下部保護層、記録層、上部保護層、反射層の構成が基本的なものである。下部及び上部保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiOを混合したZnS−SiOがよく用いられる。記録層にはSbTeを主成分とした相変化材料がよく用いられる。具体的には、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられ、これら以外にもGe−Te、In−Sb、Ga−Sb、Ge−Sbなどが用いられる。反射層には金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。
これらの多層膜の成膜方法としては、抵抗線加熱法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法など様々な方法を用いる事ができるが、中でも量産性に優れている点からスパッタリング法がよく用いられる。スパッタリング法は一般にアルゴンなどの不活性ガスを流しながら成膜を行なうが、その際、酸素、窒素などを混入させながら反応スパッタリングさせても良い。これらの多層膜を形成した後、薄膜を保護する為に樹脂層をスピンコートにより被覆する。
このようにして作製された相変化光ディスクは、記録層に用いられている相変化材料がアモルファス状態であり、これを結晶化状態にする、所謂初期化工程を施す事が一般的である。相変化光ディスクの初期化はディスクを回転させながら幅数μm、長さ数十〜数百μmの半導体レーザからレーザ光を照射し、半径方向にレーザ光を移動させる事で行なう。レーザ光の照射にはフォーカシング機能を設けてより効率の良いレーザ照射を行なう場合が多い。
このようにして作製した相変化光ディスクは任意に決められた発光パターン(以下、記録ストラテジという)のレーザ光を照射することで任意のアモルファスマークを形成する事ができる。更に、相変化ディスクでは消去と記録を同時に行なう、所謂ダイレクトオーバーライト(DOW)記録が可能である。因みに消去とはアモルファス状態のマークを結晶化させる事で、記録とは結晶状態からアモルファス状態のマークを形成する事である。
よく用いられる記録ストラテジとしては記録パワーPp、消去パワーPe、バイアスパワーPb(Pp>Pe>Pb)の3値制御がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて特定の長さのマークを記録する。データ記録・再生の変調方式としてはCDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などはマークエッジ記録方式である事からマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価としてはジッタ特性が一般的に用いられる。ここでジッタとは、1倍速で再生したときの基本クロック周期Tw(対応するマーク長は約0.1333μm)と、それを単位とした9種類のマーク(3Tw〜11Tw及び14Twマーク)の、端部のずれを数値化したものであり、小さい値ほど特性が良いことになる。
このような相変化光ディスクはCD−RW、DVD+RW、DVD−RWなどに応用され、オーディオビジュアル用途及びコンピュータの情報記録用途として広く普及している。
最近では更なるデジタル容量の大容量化により、これらの光ディスクへの記録速度の向上が期待されている。相変化技術を用いた光ディスクへの高速記録には、より速い記録線速度での書換え性能とより広い記録線速度範囲での書換え性能の双方が要求される。前者は最高記録速度であり、後者は記録可能な速度範囲に相当する。この点について以下に説明する。
記録方式として、記録回転数一定で記録を行なうCAV記録と線速度一定で行なうCLV記録の2種類を考えた時、CLV記録の場合は半径値により回転数が変わり、内周側になるほど高い回転数が要求される。この為、最高線速は光ディスク用記録再生装置が有する光ディスクの回転能力の限界で決まってしまい、それ以上の線速での記録が可能な場合は回転能力限界の回転数一定のCAV記録を用いる必要性が出てくる。
例えば、光ディスク用記録再生装置の回転数の限界を10000rpmとすると、半径24mmでは約25m/sの線速であり、これをDVDの基準線速3.5m/sで規格化すると約7倍速にあたり、これ以上の高速記録を行なおうとするとディスクの特定の半径範囲或いは全面でCAV記録を行なう必要がある。或いは、ディスク半径値に対応した、複数の記録線速を利用するZCLV記録を行なう必要がある。
以上のように、記録線速度の向上とは最高線速の向上だけでなく、ある一定の記録線速度範囲での書換え性能も同時に求められる。
CDやDVDでCAV記録を行なった場合、ディスクサイズが直径120mmである事から、(最外周での記録線速度)/(最内周での記録線速度)の比を求めると、約2.4倍である。具体的には、DVD+RWの4倍速ディスクでは、CAV記録に必要な記録線速範囲は、5.8m/s〜14.0m/sとなる。なお、ここでいう「4倍速」とはDVDの基準線速である3.5m/sの4倍の線速を示す。
一方、最高記録線速度が速くなると、必然的に記録線速範囲も広くなる。即ち、上述したように、4倍速ディスクでは5.8m/s〜14.0m/s(記録線速幅8.2m/s)であるが、これが8倍速ディスクになると11.5m/s〜28.0m/s(記録線速幅16.5m/s)と記録線速範囲が広がることが分かる。以上の事から、CAV或いはZCLV記録において記録線速度の向上を行なう事は、最高記録線速を早くすると同時に記録線速範囲を更に広げる事が必要である事が分かる。
ここまでCAV記録或いはZCLV記録の必要性が光ディスク用記録再生装置の有する光ディスクの回転能力の限界から来ていると説明してきたが、特にCAV記録は回転数が一定である事から、記録する半径値によって回転数を調整する必要が無く、その為ランダムアクセス記録の高速化に必須の技術でもある。ランダムアクセス記録の高速化はデータ転送の高速化でもあり、結果的に記録速度の向上にも繋がる。
特開2004−164850号公報 特開2004−164849号公報 特開平4−286683号公報 特開平6−103609号公報 特許第3474714号公報
本発明者等は、前述したような高速記録に求められる最高記録線速と広い記録線速範囲の実現について検討中に、従来知られていない新たな課題を見出した。
即ち、ディスク特性としてジッタ特性が実用レベルにある記録線速範囲内に再生エラーが多くなるという現象を見出した。因みに、ここでいう再生エラーとは、実際に記録された信号をデジタルデータに変換する際の確かさを表したもので、その値が低い程良好である。
従来はジッタ特性が良好であれば再生エラーも低く、それぞれが相反するという現象は確認されていない。唯一、相反する場合として、ディスクに欠陥が多い場合にジッタ特性と再生エラー特性が相反することが稀にあるが、本発明者等が見出した現象はその程度が全く異なる範囲であった。以下に、その現象についての詳細を述べる。
今回見出した現象の一例として、図1にDVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクにおける記録線速度とDOW10回記録時のジッタ特性とPIエラー特性の関係を示す。図1の対象となった光記録媒体の構成は、溝を有する透明基板上にZnS−SiOからなる保護層を厚さ58nm、SiOからなる界面層を厚さ2nm、GaSb70Sn17Geからなる相変化記録層を厚さ16nm、ZnS−SiOからなる保護層を厚さ7nm、TiC−TiOからなる硫化防止層を厚さ6nm、Agからなる反射放熱層を厚さ200nm、この順番に積層したものである。なお、PIエラーは先述した再生エラーに当たる。図をみると、3倍速から8倍速までジッタ特性はほぼ9%以下と実用上問題のないレベルであるのに対し、PIエラーが4〜7倍速の範囲で急激に大きくなっている事が分かる。PIエラーが280以上になると実用上問題があると考えられているが、この結果では、それを遥かに上回る値を示しており、ジッタ特性とエラー特性が大きく相反している事が分かる。このような現象は従来は見出されておらず、本発明者らが新たに見出した現象である。なお、ここではDOW10記録の結果を示しているが、多少の程度の違いはあるものの、DOW回数には依存せず同様な現象が確認できている。
次に、この現象の詳細を調べる為に、図1で用いたディスクに、図2に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の記録マーク形状の模式図を図3(a)に示す。なお、マーク形状は透過電子顕微鏡で観察した結果であり、マークAとマークCは正常な記録マークを表しており、今回、マークBのように、マーク中に結晶が発生している事が分かった。このような微結晶がある場合の再生信号は、図3(b)に示す通り、正常な場合(点線)に比べてひずんでしまう。その結果、2値化後の信号は図3(c)のようになり、結晶のあるマークBのみが3Tよりも短く再生されてしまう。
上記再生信号をTIA(タイムインターバルアナライザ)により測定した結果を模式的に示すと、図4のようになる。これは3Tを中心とした正規分布をとる成分(図中の「正常マークの分布曲線」)と3Tより短い領域に分布する成分(図中の「異常マークの分布曲線」)とに分けることができる。この3Tより短い領域に分布する成分が記録マーク中に結晶が存在する異常マークの個数に当り、これがPIエラーの原因となる。図では異常マークの分布曲線として表現してあるが、このように連続的に存在する場合の他に、1Tマーク及び2Tマークとして認識された成分が不連続に点在する場合も非常によく起こる。
アモルファスマークに対して結晶状態が影響する例としては、
(1)余熱による再結晶化(例えば、特許文献1)
(2)高速記録時に十分な結晶化が行えずに消し残りが発生する(例えば、特許文献2)
(3)多数回のDOW記録を行う事でアモルファスマーク周辺に結晶が析出する(例えば、特許文献3〜5など)
等が知られているが、本発明で見出した現象は、DOW記録の回数に依らない点、アモルファスマークの全てでなく一部に微結晶が発生している点、ジッタ特性が良好であるにも関わらず再生エラーが非常に大きくなっている点などから、従来から知られている現象とは異なる事が分かる。
更に、記録密度がDVD程度に高くなると、このような微結晶が最短マークに存在する事が再生エラーの増加に繋がると考えられる。
DVD8倍速以上での高速記録では、最短マークを記録するための照射パルス発光波形は図2のようなパターンが一般的である。ここで、T3はパワーPpの加熱パルスの照射時間(加熱パルス幅)、Tc3はパワーPbの冷却パルスの照射時間(冷却パルス幅)である。本発明者らはジッタ特性が良好であるにも関わらず再生エラーが非常に大きくなる問題を解決するための手法を、最短マークの記録方法の観点から見出した。つまり、アモルファスマークを形成するための加熱パルスパワーPpの照射時間と、冷却させるための冷却パルスパワーPbの照射時間を規定することによって最短マーク中に発生してしまう結晶の生成を抑えることができた。ところが、この結晶の生成を抑える記録方法を用いたランダム記録を高速記録で行なうと、DOW1000回記録後において、最短マークとその他のマークの長さのバランスが崩れ、ジッタ特性が悪くなり易いという問題が生じてしまう。一例として、図9に示すように、3Tマークの記録方法についての比率をT3/(T3+Tc3)と決めた場合、T3を太くしていくと再生エラー特性(PIエラー最大値)は改善されるが、DOW1000回記録後のジッタ値がマーク長のずれにより悪化する。つまり、高速記録では、最短マークを記録する際の加熱パルスパワーPpの照射時間T3と、冷却させるための冷却パルスパワーPbの照射時間Tc3の関係によって、再生エラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性がトレードオフの関係にあることが分かる。
以上の事実を踏まえ、本発明は再生エラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性が両立する情報記録方法、及び該記録方法の実施に適した相変化型光記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜8)の発明(以下、本発明1〜8という)によって解決される。
1) 実用上記録可能な線速の最高値がV0(V0=DVD8倍速)である相変化型光記録媒体に対し、線速V=V(0.5V0<V≦V0)で走査して、時間的長さnTw(n;3以上の自然数、Tw;基本クロック周期)の記録マークを形成する場合に、線速Vとクロック周期Twが、V×Tw=一定なる関係を満足し、パワーPpの加熱パルスと、パワーPbの冷却パルスと、パワーPeの消去連続光の3つのパワーレベル(Pp>Pe>Pb)でレーザ光を強度変調し、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルスとをm回(m;1以上の自然数)交互に照射することによりアモルファスマークを形成する情報記録方法において、最短マーク(n=3、m=1)の記録におけるパワーPpの加熱パルス照射時間をT3[nsec]、パワーPbの冷却パルス照射時間をTc3[nsec]としたとき、比率T3/(T3+Tc3)を0.70〜1とすることを特徴とする情報記録方法。
2) パワーPpの加熱パルス照射時間T3を記録する速度でのクロック周期Tw[nsec]で規格化した値T3/Twが、1.18〜1.57に設定されていることを特徴とする1)記載の情報記録方法。
3) 実用上記録可能な線速の最高値がV0(V0=DVD8倍速)である相変化型光記録媒体に対し、線速V=V(0<V≦0.5V0)で走査して、時間的長さnTw(n;3以上の自然数、Tw;基本クロック周期)の記録マークを形成する場合に、線速Vとクロック周期Twが、V×Tw=一定なる関係を満足し、パワーPpの加熱パルスと、パワーPbの冷却パルスと、パワーPeの消去連続光の3つのパワーレベル(Pp>Pe>Pb)でレーザ光を強度変調し、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルスとをm回(m;1以上の自然数)交互に照射することによりアモルファスマークを形成する情報記録方法において、最短マーク(n=3、m=1)の記録におけるパワーPpの加熱パルス照射時間をT3、パワーPbの冷却パルス照射時間をTc3としたとき、比率T3/(T3+Tc3)を0.07〜0.11とするとともに、パワーPpの加熱パルス照射時間T3を記録する速度でのクロック周期Twで規格化した値T3/Twが、0.25〜0.35に設定されていることを特徴とする情報記録方法。
4) V=Vにおけるn≧4の長さのマークの記録に関して、パルスパワーPpのm(m;n/2を超えない最大の整数)個の加熱パルス幅をTmpとするとき、0.4×T3≦Tmp≦0.7×T3に設定されていることを特徴とする1)又は2記載の情報記録方法。
5) V=Vにおけるn≧4の長さのマークの記録に関して、パルスパワーPpのm(m;n/2を超えない最大の整数)個の加熱パルス幅をTmpとするとき、0.95×T3≦Tmp≦1.05×T3に設定されていることを特徴とする3記載の情報記録方法。
6) 1)〜5)の何れかに記載の情報記録方法を用いて記録を行なうための記録条件がプリフォーマットされており、相変化材料から成る記録層が、少なくともGa、Sb、Sn、Geの4元素を含有することを特徴とする相変化型光記録媒体。
7) プリフォーマットされた記録条件が、基板の案内溝を蛇行させて位相変調させることにより記載されていることを特徴とする6)記載の相変化型光記録媒体。
8) 透明基板上に少なくとも下部保護層30nm〜100nm、相変化材料から成る記録層10nm〜20nm、上部保護層3nm〜15nm、反射放熱層100nm〜300nmがこの順番に積層されていることを特徴とする6)又は7)記載の相変化型光記録媒体。
9) 基板が、トラックピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.3μmの蛇行溝を有することを特徴とする6)〜8)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
実用上記録可能な線速の最高値をV0(V0=DVD8倍速)として、線速V=V(0.5V0<V≦V0)で走査する本発明1において、比率T3/(T3+Tc3)を下限値0.70よりも明らかに低い値に設定すると、DOW1000回記録後のジッタ特性は良好であるが、最短マーク中に結晶が発生する確率が高くなり、再生エラー特性が悪くなってしまう。例えば、後述する実施例で用いた相変化型光記録媒体について、比率T3/(T3+Tc3)を0.423に設定した場合、図5に示すように、DOW10回記録後のジッタ値は8.22%と良好であり、更に記録回数を多く重ねてDOW1000回記録を施してみると、マークの長さのずれが少ないのでDOW1000回記録後のジッタ値は7.75%と良好である。しかし、最短マークよりも短い成分(最短マーク中に結晶があることで発生する成分)が発生してしまう。これが再生エラー特性に影響を及ぼすことが研究の結果明らかとなっており、再生エラーを測定すると約210であった。したがって、最短マーク中に0.1%程度の確率で結晶が発生する現象が、再生エラーを高くしてしまう要因であり、比率T3/(T3+Tc3)を変えることによりその確率を低く抑える必要がある。なお、図5及び後述する図6は、タイムインターバルアナライザ(YOKOGAWA製のTA720装置)を用いて得た図であり、3T〜14Tまでのマーク長を波形干渉ソフトにより測定したものである。
また、比率T3/(T3+Tc3)を下限値0.70よりも小さいが下限値に近い値に設定すると、再生エラー特性は良好であるが、DOW1000回記録時のジッタ特性が悪くなってしまう。例えば後述する実施例で用いた相変化型光記録媒体について、比率T3/(T3+Tc3)を0.6に設定した場合、図6に示すように、DOW10記録後のジッタは7.74%と良好な値が得られており、更に最短マークよりも短い成分は見られず、再生エラー特性を約50と大幅に減少させることができた。しかし、その後、記録回数を多く重ねてDOW1000回記録を施してみると、最短マークよりも短い成分は見られないものの、最短マークとその他のマークの長さのバランスが崩れ、ジッタ特性が11.25%と大幅に悪くなってしまう。したがって、加熱パルス幅T3を長くすると、再生エラーの原因となる結晶の発生を抑えることができるが、マーク長及びスペース長のずれや熱の与えすぎでDOW1000回記録後のジッタ特性が悪くなると考えられてきたため、これまでの記録方法では比率T3/(T3+Tc3)をこれ以上高くすることは行なわれていなかった。
これに対し、本発明のように、比率T3/(T3+Tc3)を0.70〜1に設定すれば、最短マーク中の結晶の発生を抑え、最短マークよりも短い成分を無くして再生エラー特性を良好とし、かつDOW1000回記録後のジッタ特性も良好にすることができる。比率T3/(T3+Tc3)を0.70〜1に設定すると、最短マークの長さを保持し、更に最短マークの両側のスペース長がずれてしまうのを防ぐ効果がある。
後述する実施例で用いた相変化型光記録媒体について、Ppを35mW、33mWにして、比率T3/(T3+Tc3)を変化させた場合の結果を図7及び図8に示すが、何れの場合も、比率が0.7以上では、0.6の場合に比べてDOW1000回記録後のジッタ値を1〜2割程度改善することができ、再生エラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性を両立できることが分る。
なお、図7、図8及び後述する表1の実施例1、6、11に示したように、比率T3/(T3+Tc3)が1の場合、すなわちTc3=0の場合も本発明に含まれる。
また、本発明1において、本発明2で規定するようにT3/Twを1.18〜1.57に設定すると、ジッタ特性を良好にすることができる。T3/Twが1.18よりも小さくなると、DOW1000回記録後に3Tマークの両側に位置するスペース長に不具合が生じることがある。特に3Tマークの直後にある3T〜14Tのスペース長が全て長くなってしまうため、DOW1000回記録後のジッタ値が悪くなる。T3/Twが1.57よりも大きくなると、理想的な3Tマークの長さよりも長いマークができてしまうことがある。
一方、実用上記録可能な線速の最高値をV0として、線速V=V(0<V≦0.5V0)で走査する本発明3において、比率T3/(T3+Tc3)を0.07〜0.11に設定すると、再生エラー特性を低減させることができ、更にはDOW1000回記録後のジッタ特性をも良好とすることができる。V=Vで記録を行なう場合は、本発明1のようなV=Vのときとは挙動が異なり、比率T3/(T3+Tc3)を0.1程度と低い値に設定しなければならない。この場合、DOW1000回記録後の3Tマークの長さは短くなりにくく、4T〜14Tマークとのバランスが良い。
またT3/Twを0.25〜0.35に設定すると、ジッタ特性を良好にすることができる。
また、本発明によれば、再生エラー特性及びジッタ特性を良好にすることができる。比率T3/(T3+Tc3)を高く設定するとは、加熱パルスパワーPpの照射時間T3を長くすることに対応する。T3を長くすると、その分、余熱の効果が働くためにアモルファスマークの再結晶化が起こる確率が高くなる。そのため、ジッタを良好とするためには消去連続光パワーPeは低く設定されるものと考えられる。つまり、消去連続光のパワーPeと加熱パルスパワーPpとの比ε(=Pe/Pp)は低くなる。また、比率T3/(T3+Tc3)を低く設定するとは、加熱パルスパワーPpの照射時間T3を短くすることに対応する。T3を短くした場合は、余熱の効果が下がるためアモルファスマークの再結晶化が起こる確率が低くなる。そのため、ジッタを良好とするためには消去連続光パワーPeは高く設定されるものと考えられる。つまり、比ε(=Pe/Pp)は高くなる。
また、本発明4は、本発明1又は2において、0.4×T3≦Tmp≦0.7×T3とすることを特徴とし、本発明5は、本発明3において、0.95×T3≦Tmp≦1.05×T3とすることを特徴とする。これらの条件設定により、ジッタ特性のみならず、変調度特性やアシンメトリ特性など実用的な範囲で必要な特性を得ることができる。因みに、DVD8倍速に対応する高速記録を行なう場合、nTwのマークにおいて、n≧4のマークを記録する際には、時間幅Tmpを持つパルスの個数mがn/2を超えない最大の整数となるような記録方法を用いる。このうち、良く用いられている慣用的な記録方法は、2T周期記録ストラテジと呼ばれている(図11参照)。2T周期ストラテジを採用する理由として、記録線速が大幅に速くなったことが挙げられる。従来のDVD1〜4倍速対応の相変化型光記録媒体に記録を行なうための記録方法は、媒体の走査線速が遅かったため、加熱照射パルスと冷却照射パルスの1セットを1クロック周期ごとに繰り返す方法であった(1T周期ストラテジ)。この記録方法では、長さnTw(n:3以上の自然数)の非晶質マークを記録する際には、(n−1)個の加熱照射パルスと冷却照射パルスを交互に照射するものである。
ところが記録線速の向上に伴い、クロック周期が短くなるため、加熱照射パルスと冷却パルス1セットを従来どおり1T周期で行なった場合、充分な冷却時間が得られなくなる。つまり、ある加熱パルスと冷却パルスの照射が行なわれて非晶質マークができても、次の1T周期後の加熱パルスから生じる余熱により一度形成された非晶質マークが再結晶化してしまい、特に長いマークが細くなり変調度が取りづらくなるという問題が生じる。このような問題を解消するには、できるだけ長い冷却パルスの照射時間をとることが必須である。したがって、4倍速を超える高速記録においては、加熱照射パルスと冷却照射パルスの1セットを2クロック周期ごとに繰り返す記録方法を採用することによって太くて均一な非晶質マークの形成を行なうことができ、高い変調度を確保することができる。この記録方法では、長さnTwの非晶質マークを記録する際に、加熱照射パルス数をm(m;1以上の自然数)とすると、nが奇数の場合はn=2m+1であり、nが偶数のときn=2mである(n;3以上の自然数)。言い換えると、パルスの個数mは、n/2を超えない最大の整数である。
変調度とは、14Tスペースに相当する結晶質反射率I14Hと14Tマークに相当するアモルファス反射率I14Lの反射率差が、結晶質の反射率に対してどれくらいの割合を占めているかを表すものであり、(I14H−I14L)/I14Hで表現される(図10参照)。反射率差が大きい方が2値化し易いため変調度は大きい方が良い。
また、アシンメトリとは、14Tスペースに相当する結晶質反射率I14Hと14Tマークに相当するアモルファス反射率I14Lの平均値と、3Tスペースに相当する結晶質反射率I3Hと3Tマークに相当するアモルファス反射率I3Lの平均値とがどの程度ずれているかを表す特性値である。式としては、(I14H+I14L)−(I3H+I3L)/2(I14H−I14L)で表現される(図10参照)。反射率信号はスライスレベルにより2値化されるため、アシンメトリは0に近いほど良い。アシンメトリが崩れていると、マークとスペースの境界が正しく認識されない可能性が出てきてしまう。
本発明で規定するTmpの範囲において、下限を下回ると照射時間が短くなりすぎて記録時に充分な熱をかける事ができなくなり記録感度が悪くなる。また、上限を上回ると熱をかけすぎることになり、その余熱の影響で記録マークが再結晶化を起こし、変調度がとれなくなる。また本発明では、Tmpの値はT3の値と同程度とした方がジッタ特性やアシンメトリが良い。
本発明1〜5の何れかの記録方法を用いて再生エラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性を両立できる光記録媒体の好ましい層構成について説明する。
透明基板は、一般的にプラスチック製のものが主に用いられる。プラスチック製基板は透明性を有し、かつ平面精度に優れているものであれば良く、特に制限はない。従来から光記録媒体において透明基板として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。透明基板の代表例としては、ガラス板やポリカーボネート板などが挙げられる。光学定数に関しては、屈折率1.5〜1.6であることが好ましい。
下部保護層は、透明で光を良く通し、かつ融点が1000℃以上の材料からなるものが好ましい。酸化物、窒化物、硫化物などが主に用いられるが、中でもZnSとSiOを混合したZnS−SiOがよく用いられる。特にその混合比としてはZnS:SiO=80:20(モル%)が最も好ましい。屈折率nが高く消衰係数kがほぼゼロであるために、記録層の光の吸収効率を上げ、かつ、熱伝導率が小さく光吸収により発生した熱の拡散を適度に抑えることができるため、記録層を溶融可能な温度まで昇温することができる。また、下部保護層の膜厚は30〜100nmの範囲にあることが望ましい。この範囲から外れると、程好い変調度を確実に確保することが困難になる。また、30nmより薄い場合は膜厚に対する反射率変動が大きいことから安定に作成することが難しく、100nmより厚い場合は成膜時間が長くなり、光記録媒体の生産性が落ちる。
本発明は、本発明1〜5の何れかの情報記録方法を用いて記録を行なうための記録条件がプリフォーマットされた相変化型光記録媒体に係るものである。
光記録媒体には、少なくとも情報を記録する前にその記録可能領域にセクタが予め形成されており、各々のセクタにはアドレスが割り振られている。そのアドレスは対応するセクタを特定し得るものである。このようなアドレスに関する情報の記録は、光記録媒体の案内溝のウォブルに位相変調信号として記載しておくことが好ましい。例えば、CD−R光記録媒体やCD−RW光記録媒体の場合におけるATIP(アブソリュート・タイム・イン・プレグルーヴ)や、DVD+RW光記録媒体の場合におけるADIPが(アドレス・イン・プレグルーヴ)が挙げられる。
DVD+RW光記録媒体の内周部には、リードインゾーンと呼ばれる領域が存在する。この領域では記録装置が記録動作時(実際の記録に先立つ処理動作時)にのみアクセスする領域である。リードインゾーンには、光記録媒体の最適な記録パワーを決定するための試し書き領域PCA(パワー・キャリブレーション・エリア)や、光記録媒体の製造者、追記型か書き換え型か、更には時間方向の記録条件(記録ストラテジ)や、試し書きを行なう際のパワー条件などの膨大な物理フォーマット情報がADIPとして予め記載されている。このような物理フォーマット情報を記録装置側が読み取り、記録ストラテジを把握し、試し書きを行なったり、実際の記録を行なったりする。
本発明では、予めADIPとして記載されている記録ストラテジとして、主に上記の時間方向のパラメータであるT3、Tc3、Tmp、および消去連続光パワーPeと加熱パルスパワーPpのパワー比εなどが記載されていることが好ましい。
相変化記録層は、少なくともGa、Sb、Sn、Geの4元素を含有することにより、DVD−ROMの8倍速以上の走査速度において繰り返し記録が可能な相変化型光記録媒体を提供することができる。相変化型光記録媒体の記録層は一般的にSbが主体となっている。従来の1〜4倍速DVD+RWに用いられているAgInSbTe系の相変化型記録層材料では、材料独自の持つ結晶化速度が遅く、高速記録には向いていないため、8倍速以上の記録走査速度ではアモルファスマークを的確に記録することができない。したがって、8倍速以上の記録走査速度でも記録が可能となる新規の相変化型記録層材料の発見が求められている。これまでの現状として、1〜4倍速記録に用いられてきた記録層よりも結晶化速度を向上させ、かつ結晶化温度を保持することのできる添加元素としてSnが用いられている。Snの使用により8倍速記録を実現できるようになった。またGaを入れることにより記録のし易さが向上し、Geを入れることで保存安定性が良くなった。
したがって、記録層の構成として、Ga、Sb、Sn、Geの4元素から成るものが発見されてきている。これらの元素のそれぞれの組成比を変化させることによって、高速記録に対応できるほどの結晶化速度を持たせることができる。また、それぞれの元素を数パーセントの範囲で突き詰めていくことで、8倍速以上の記録に対応できる実用的な記録層材料組成を導き出すことが可能となった。
記録層の膜厚は、10〜20nmの範囲にあることが好ましい。10nmより薄いと繰り返し記録による劣化の不具合が生じる。20nmより厚い場合はジッタ特性が悪くなる。
上部保護層は、前記下部保護層と同じ特性を持った材料が好ましい。その膜厚は3〜15nmの範囲にあることが望ましい。3nmより薄いと記録感度が悪くなったり変調度が低下したりする不具合が生じる。また、15nmより厚いと熱がうまく放熱されずに篭ってしまうため、ジッタ特性が悪くなる。
反射放熱層は、金属材料が用いられるが、光学特性及び熱伝導率などからAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料がよく用いられる。その膜厚は100〜300nmの範囲にあることが望ましい。100nmよりも薄い場合は放熱効果が得られなくなる可能性がある。また、300nmよりも厚くしてもそれ以上放熱効果は変わらず、単に必要の無い膜厚を成膜することになる。
更に、種々のディスク特性の課題を解決するために、下部保護層と記録層の間に界面層を挿入したり、上部保護層と反射層の間に硫化防止層を挿入したりして、4層構成以外の層構成を適用しても良い。
界面層の役割としては、記録層へ熱を加えることによって生じる基板や下部保護層の劣化(熱ダメージ)を防いだりすることである。界面層に用いられる材料としては酸化物や窒化物などが挙げられるが、酸化物がより好ましく、具体的にはSiOが好ましい。
硫化防止層の役割としては、例えば上部保護層がZnS−SiOから構成され、更に反射層がAgから構成されている場合、ZnS−SiOに含まれているSがAgと反応してAgSを形成してしまうのを防ぐことである。AgSが形成されると、本来Agが持つ熱伝導率が下がるため、放熱層としての機能を果たせなくなる。また、ディスク面に斑点状のものができてしまい、見た目が良くない。硫化防止層に用いられる材料としては酸化物や炭化物などが挙げられるが、具体的にはTiC−TiO、SiCなどが好ましい。
更に、本発明8に記載した条件を満たせば、DVD8倍速での記録特性と信号特性が良好なDVD+RW光記録媒体を提供することができる。
0.74±0.03μmのトラックピッチを持つDVD系の光記録媒体では、トラッキングエラーを検知するのに使われる信号としてプッシュプル信号が主に抽出されている。プッシュプル信号は、DVDで用いられているレーザ波長660nmにおいて、該光記録媒体の透明基板を用いると溝の深さが約55nmである時に最も大きな信号強度を得ることができる。反射率を低く調整し、なおかつエラー信号の振幅を大きくするための溝深さとしては深い方が良いが、記録特性も考慮した場合では、22〜40nmの範囲にあることが好ましい。また、溝幅は記録特性や信号特性を考慮すると0.2〜0.3μmの範囲にあるのが望ましいことが分かった。
本発明によれば、再生エラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性が両立する情報記録方法、及び該記録方法の実施に適した相変化型光記録媒体を提供できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
らせん状の連続グルーブを転写したDVD+RW用のポリカーボネート基板上に、ZnS−SiOからなる厚さ60nmの下部保護層、GaSbSnGeからなる厚さ16nmの相変化記録層、ZnS−SiOからなる厚さ7nmの上部第一保護層、TiC−TiOからなる厚さ4nmの上部第二保護層、Agからなる厚さ140nmの反射層をこの順番に積層した。ここで硫化防止層としてTiC−TiOを用いたのは、反射層であるAgと、ZnS−SiOからなる上部第一保護層に含まれる硫黄との反応を防ぐ為である。以上のような層構成を持つ相変化型光記録媒体(光ディスク)は、DVD8倍速(27.9m/s)を、実用上記録可能な線速の最高値として設計されている。
完成した光ディスクは相変化光ディスク用初期化装置で初期化し、DVD+RWディスクとした。初期化は集光ビーム径が75μmとなる光ヘッドを用い、パワー1800mW(ここではLDの消費電力であり、パルスパワーとは異なる)、走査速度19m/s、送り45μm/回転、の条件で結晶化することで行なった。
相変化記録層への情報の記録は、アモルファス状態を形成させて記録マークを作るための記録パワーPp、急冷効果を与えてアモルファスマークを作り易くするためのバイアスパワーPb、結晶質を形成させて情報を消去するための消去パワーPeの3レベル(Pp>Pe>Pb)で強度変調された2T周期記録ストラテジを用いて行なった。ストラテジのパルス発生装置はパルステック社製MSG2Bである。使用した評価装置は、パルステック社製のDDU−1000であり、対物レンズのNA=0.65、記録再生に用いられるレーザ波長λ=660nmである。パルスパワーのスペックはPpで最大40mW、Peで最大18mWである。またPbは、急冷効果を与えるには出来るだけ小さなパワーが良いため、0.1mWに固定して記録を行なった。記録ストラテジは、DOW10ジッタ値を最も良好にできるもので最適化した。再生エラー特性は、約400トラックにDOW10記録を行ない、そのバンドを再生することにより測定した。ジッタは、5トラックにDOW10又はDOW1000回記録を行ない、そのうちの真ん中のトラックを再生することにより測定した。3Tマークの記録ストラテジは図2のようになっている。加熱パルスパワーPpの照射時間をT3、冷却パルスパワーPbの照射時間をTc3とし、比率T3/(T3+Tc3)を変化させた。その他のマーク(4T〜14T)は3Tマークの書き方に合わせてその都度最適化した。そのほか、ε=Pe/Pp、ディスクチルト、アンプ、エコライザ、スライスレベル、フェイズロックトループも含め、全てDOW10ジッタボトムで最適化した。
〔V=V(0.5V0<V≦V0)に関する実施例〕
実施例1〜15、比較例1〜21
表1に、DVD8倍速記録において、最短マークの比率T3/(T3+Tc3)を変える度に記録ストラテジをDOW10回で最適化し、DOW10回、DOW1000回記録を行なった結果を示す。判定は、PIエラー最大値(再生エラー特性)が50以下であり、かつ同じ記録パワーで比率T3/(T3+Tc3)を変化させたときの最も高いDOW1000回記録後のジッタ値を1として規格化したとき、1割以上DOW1000回記録後のジッタ値が低くなる場合を○とした。どちらか一方でも条件を満たさない場合は×とした。なお、ランダム記録において、3Tマーク以外の4T〜14Tマークを記録する際、記録ストラテジのm個のパルスのうち、初めのパルスの時間幅については3.6nsecとし、残りのパルスの時間幅については3nsecとした。
表1から、比率T3/(T3+Tc3)が0.70〜1の実施例1〜15は○であるが、0.70未満の比較例1〜21は×であることが分る。
実施例16〜19、比較例22〜25
表2に、DVD6倍速記録において、最短マークの比率T3/(T3+Tc3)を変える度に記録ストラテジをDOW10で最適化し、DOW10回、DOW1000回記録を行なった結果を示す。判定は、PIエラー最大値(再生エラー特性)が100以下であり、かつ同じ記録パワーで比率T3/(T3+Tc3)を変化させたときの最も高いDOW1000回記録後のジッタ値を1として規格化としたとき、1割以上DOW1000回記録後のジッタ値が低くなる場合を○とした。どちらか一方でも条件を満たさない場合は×とした。なお、ランダム記録において、3Tマーク以外の4T〜14Tマークを記録する際、記録ストラテジのm個のパルス時間幅については3.6nsecとした。
表2から、比率T3/(T3+Tc3)が0.70〜1の実施例16〜19は○であるが、0.70未満の比較例22〜25は×であることが分る。
〔V=V(0<V≦0.5V0)に関する実施例〕
実施例20〜24、比較例26〜27
表3に、DVD3.3倍速記録において、最短マークの比率T3/(T3+Tc3)を変える度に記録ストラテジをDOW10回で最適化し、DOW10回、DOW1000回記録を行なった結果を示す。判定は、PIエラー最大値(再生エラー特性)が100以下になる場合を○とした。V=Vでは比率T3/(T3+Tc3)を0.1程度と低く設定する方が好ましいため、同時にDOW1000回記録後のジッタ特性を良好とすることができる。なお、ランダム記録において、3Tマーク以外の4T〜14Tマークを記録する際、記録ストラテジのm個のパルス時間幅は、実施例20については3.6nsecとし、実施例21〜24については2.9nsecとした。
表3から、比率T3/(T3+Tc3)が0.07〜0.11の実施例20〜24は○であるが、この範囲を外れる比較例26〜27は×であることが分る。
DVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクにおける記録線速とDOW10回記録後のジッタ特性とPIエラー(再生エラー特性)の関係を示す図。 DVD+RWの高速記録で用いられる記録ストラテジで最短マーク(3Tマーク)を記録する場合のレーザ発光パターンを示す図。 図1で用いた光ディスクに、図2に示す記録ストラテジを用いて3Tマークと3Tスペースが交互に配列する単一パターンを記録した場合の結果を示す図。(a)記録マーク形状の模式図。(b)再生信号。(c)2値化後の信号。 図3に示した再生信号をTIAにより測定した結果を模式的に示す図。 比率T3/(T3+Tc3)=0.423でランダム記録したときの、DOW10回及びDOW1000回記録後のマーク長を示した図。 比率T3/(T3+Tc3)=0.6でランダム記録したときの、DOW10回及びDOW1000回記録後のマーク長を示した図。 Pp=35mWで、DVD8倍速記録したときの、PIエラーと、DOW10回、DOW500回、DOW1000回記録後のジッタ値の比率T3/(T3+Tc3)依存性を表した図。 Pp=33mWで、DVD8倍速記録したときの、PIエラーと、DOW10回、DOW500回、DOW1000回記録後のジッタ値の比率T3/(T3+Tc3)依存性を表した図。 比率T3/(T3+Tc3)≦0.6の範囲において、PIエラー特性とDOW1000回記録後のジッタ特性がトレードオフの関係にあることを表した図。 EFM+変調方式により、ランダム記録したトラックを再生したときの反射率の信号パターンを表した図。 3T及び4T以上の記録マークを形成する際のレーザ波形発光パターン(2T周期記録ストラテジ)を表した図。
符号の説明
Pp 記録パワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー
T 基本クロック周期
t 時間
T3 パワーPpの加熱パルス照射時間
Tc3 パワーPbの冷却パルス照射時間
Tw 基本クロック周期
Tmp マルチパルス部の記録パワーパルスの幅

Claims (9)

  1. 実用上記録可能な線速の最高値がV0(V0=DVD8倍速)である相変化型光記録媒体に対し、線速V=V(0.5V0<V≦V0)で走査して、時間的長さnTw(n;3以上の自然数、Tw;基本クロック周期)の記録マークを形成する場合に、線速Vとクロック周期Twが、V×Tw=一定なる関係を満足し、パワーPpの加熱パルスと、パワーPbの冷却パルスと、パワーPeの消去連続光の3つのパワーレベル(Pp>Pe>Pb)でレーザ光を強度変調し、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルスとをm回(m;1以上の自然数)交互に照射することによりアモルファスマークを形成する情報記録方法において、最短マーク(n=3、m=1)の記録におけるパワーPpの加熱パルス照射時間をT3[nsec]、パワーPbの冷却パルス照射時間をTc3[nsec]としたとき、比率T3/(T3+Tc3)を0.70〜1とすることを特徴とする情報記録方法。
  2. パワーPpの加熱パルス照射時間T3を記録する速度でのクロック周期Tw[nsec]で規格化した値T3/Twが、1.18〜1.57に設定されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録方法。
  3. 実用上記録可能な線速の最高値がV0(V0=DVD8倍速)である相変化型光記録媒体に対し、線速V=V(0<V≦0.5V0)で走査して、時間的長さnTw(n;3以上の自然数、Tw;基本クロック周期)の記録マークを形成する場合に、線速Vとクロック周期Twが、V×Tw=一定なる関係を満足し、パワーPpの加熱パルスと、パワーPbの冷却パルスと、パワーPeの消去連続光の3つのパワーレベル(Pp>Pe>Pb)でレーザ光を強度変調し、パワーPpの加熱パルスとパワーPbの冷却パルスとをm回(m;1以上の自然数)交互に照射することによりアモルファスマークを形成する情報記録方法において、最短マーク(n=3、m=1)の記録におけるパワーPpの加熱パルス照射時間をT3、パワーPbの冷却パルス照射時間をTc3としたとき、比率T3/(T3+Tc3)を0.07〜0.11とするとともに、パワーPpの加熱パルス照射時間T3を記録する速度でのクロック周期Twで規格化した値T3/Twが、0.25〜0.35に設定されていることを特徴とする情報記録方法。
  4. V=Vにおけるn≧4の長さのマークの記録に関して、パルスパワーPpのm個(m;n/2を超えない最大の整数)の加熱パルス幅をTmpとするとき、0.4×T3≦Tmp≦0.7×T3に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録方法。
  5. V=Vにおけるn≧4の長さのマークの記録に関して、パルスパワーPpのm個(m;n/2を超えない最大の整数)の加熱パルス幅をTmpとするとき、0.95×T3≦Tmp≦1.05×T3に設定されていることを特徴とする請求項3記載の情報記録方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の情報記録方法を用いて記録を行なうための記録条件がプリフォーマットされており、相変化材料から成る記録層が、少なくともGa、Sb、Sn、Geの4元素を含有することを特徴とする相変化型光記録媒体。
  7. プリフォーマットされた記録条件が、基板の案内溝を蛇行させて位相変調させることにより記載されていることを特徴とする請求項6記載の相変化型光記録媒体。
  8. 透明基板上に少なくとも下部保護層30nm〜100nm、相変化材料から成る記録層10nm〜20nm、上部保護層3nm〜15nm、反射放熱層100nm〜300nmがこの順番に積層されていることを特徴とする請求項6又は7記載の相変化型光記録媒体。
  9. 基板が、トラックピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.3μmの蛇行溝を有することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
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