JP4550041B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
一般に相変化光ディスクは、透明なプラスチック基板上に特定の溝を形成し、その上に薄膜を形成する。基板に用いられるプラスチック材料は主にポリカーボネートで、溝の形成には射出成形法がよく用いられる。
基板上に成膜する薄膜は多層膜であり、基板側から順に第1保護層、記録層、第2保護層、反射層の構成が基本的なものである。
第1及び第2保護層には酸化物、窒化物、硫化物などが用いられるが、中でもZnSとSiO2の混合物がよく用いられる。
記録層にはSbTeを主成分とした相変化材料がよく用いられる。例えば、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−In−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Teなどが挙げられるが、これら以外にGe−Te、In−Sb、Ga−Sb、Ge−Sbなども用いられる。
反射層には金属材料が用いられるが、光学特性、熱伝導率などの観点からAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料、及びそれらの合金材料がよく用いられる。
また、種々の光ディスク特性の改良を目的として、上述した各層の間に、挿入層或いは界面層を設けてもよく、各層を複数層からなる構成としてもよい。
更に、上記多層膜を形成した後、保護層として樹脂をスピンコートにより被覆する。
このようにして作製された相変化光ディスクは、記録層に用いられている相変化材料がアモルファス状態であるため、通常、これを結晶化状態にするための初期化が行われる。
初期化方法としては、一般に、光ディスクを回転させながら幅数μm、長さ数十〜数百μmの半導体レーザからレーザ光を照射し、半径方向にレーザ光を移動させる手法が採用される。また、レーザ光の照射に際し、フォーカシング機能を設けて、より効率の良いレーザ照射を行う場合が多い。
更に、相変化光ディスクにおいては、消去と記録を同時に行う、所謂ダイレクトオーバーライト(DOW)記録が可能である。ここで「消去」とは、アモルファス状態のマークを結晶化させることを意味し、「記録」とは結晶状態からアモルファス状態にしてマークを形成することを意味している。
よく用いられる記録ストラテジとしては、記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)、バイアスパワー(Pb)の3値制御(Pw>Pe>Pb)がある。これらと種々のパルス幅を組み合わせて特定のマーク長のマークを記録する。
データ記録・再生の変調方式としては、CDで使われているEFM変調やDVDで使われているEFM+変調などがあり、これらはマークエッジ記録方式であることからマーク長の制御が非常に重要である。このマーク長の制御の評価には一般的にジッタ特性が用いられる。
最近では、デジタル容量の大容量化に伴い、更に大容量なHD−DVD、Blue−Ray Discへの応用も始まっている。このような記録容量の増加に伴い、更なる高線速記録も同時に期待されている。ここで言う高線速記録とは、主に回転数を速くすることにより実現したものを意味し、DVDの基準線速の8倍速以上、線速では28m/s以上のことを意味する。更に、実用的検地から、既に発売されている光ディスクドライブ装置との互換性、所謂下位互換性を有することが望ましく、高線速記録だけでなく同時に低線速記録も可能とする必要がある。
前述したようにGaSbをベースにした相変化材料は公知であり、高線速記録についても開示されている(特許文献1、2など)。しかし、何れの文献にも記録可能な線速範囲に関する具体的な記載はなく、これらの従来技術では、広い線速範囲での記録を可能にするという本発明の目的を達成することはできない。
このような状況の中、本発明者等は、高線速記録に適した相変化材料において、ある記録線速範囲内で再生エラーが多くなるという現象を見出したが、このような現象については非特許文献1でも報告されている。
図1に、DVD+RWの8倍速記録用に開発した光ディスクにおける記録線速とDOW10回記録時のジッター特性及びPIエラー特性の関係を示す。なお、PIエラーは前述した再生エラーに相当する。また、記録条件はジッタ−特性が最適になるものを用いている。
図から分かるように、3倍速から8倍速までジッター特性はほぼ9%以下と良好であるのに対し、PIエラーが中間線速である4倍速から7倍速の範囲で急激に大きくなっている。PIエラーが280以上、特に350以上になると実用上問題があると考えられているが、この結果ではそれを遥かに上回る値を示しており、ジッター特性とエラー特性が大きく相反していることが分かる。なお、ここではDOW10記録の結果を示しているが、多少の程度の違いはあるものの、DOW回数には依存せず同様な現象が確認されている。このことから、この現象が熱ダメージなどに起因する現象ではないことが分かる。
マークAとマークCは正常な記録マークであるが、マークBはマーク中に結晶が発生している異常なマークである。このような結晶がある場合の再生信号は、図3(b)に示すように、正常な場合(点線)に対して歪んでしまう。
その結果、2値化後の信号は図3(c)のようになり、結晶のあるマークBだけが、正常な3Tマークよりも短く再生されてしまう。なお、ここでは3T単一パターン記録のデータのみを示したが、他の単一パターンでも同様の結果となることが確認されている。
上述したような信号を、TIA(タイムインターバルアナライザ)で測定した結果を模式的に示すと図4のようになる。図から分かるように、3Tを中心とした正規分布をとる成分と3Tより短い領域に分布する成分とに分けることができる。この3Tより短い領域に分布する成分が、記録マーク中に結晶が存在する異常マークの個数に当り、これがPIエラーの原因となる。
(イ)余熱によるマークの一部再結晶化(クロスイレーズと言われることもある。例えば特許文献3ど参照)
(ロ)高線速DOW記録時に十分な結晶化が行えず発生する消し残り(例えば、特許文献4など参照)
(ハ)多数回のDOW記録を行うことでアモルファスマーク周辺に析出する結晶(例えば特許文献5〜7など参照)
しかし、今回の現象は、DOW記録の回数に依らない点、全てのアモルファスマークに結晶が発生しているわけではない点、ジッター特性が良好であるにも拘わらず再生エラーが非常に大きくなっている点、マーク周辺でなくマーク内に結晶が存在する点などから、従来から知られている現象とは異なるものである。
そして、記録密度がDVD程度まで高くなると、上述したような結晶が記録マーク中に発生するため再生エラーが増加すると考えられ、更なる高密度記録である青色レーザを使用した相変化光ディスクでは非常に大きな問題となることが予想される。
図5からも分かるように、特定の結晶化速度を境にして、速い方の領域で異常マークが増大している。このことから、異常マークを抑制するためには結晶化速度を限定する必要があることが分かる。
しかし、一方で、高線速記録を実現するためには結晶化速度を速くする必要がある。これは、結晶化速度が記録線速より遅いとオーバーライト時の結晶化が十分に行われず、良好な消去状態が得られないためである。
DVD+RWの8倍速記録用の光ディスクにおいては、記録方法、記録材料、層構成の最適化により、3.3倍速までの低線速記録が可能となっているが、更なる高線速記録と下位互換性を両立させるため幅広い記録線速での記録が可能な光ディスクが待望されている。
1) 記録再生の為の光を入射する側からみて順に、少なくとも、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層を有し、相変化記録層が、下記組成式(1)で示される相変化材料からなり、第2保護層が下記組成式(2)を満足する材料からなることを特徴とする光記録媒体。
Gaα1Sbβ1Snγ1Geδ1Xε1・・・(1)
(XはTe、Zn、Mn、Inの何れか又はそれらの混合物、α1、β1、γ1、δ1、ε1は原子比)
0.04≦α1≦0.09
0.56≦β1≦0.79
0.05≦γ1≦0.30
0.03≦δ1≦0.19
0≦ε1≦0.09
α1+β1+γ1+δ1+ε1=1
ZnO・Al・Y〔(100−α2−β2):α2:β2〕 ・・・(2)
(式中、Yは、Mn、Ge、Tiの何れか又はそれらの混合物、α2、β2は重量%)
0.5≦α2≦10.0
0≦β2≦25.0
2) 記録再生の為の光を入射する側からみて順に、少なくとも、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層を有し、相変化記録層が、下記組成式(1)で示される相変化材料からなり、第2保護層が下記組成式(3)を満足する材料からなることを特徴とする光記録媒体。
Gaα1Sbβ1Snγ1Geδ1Xε1・・・(1)
(XはTe、Zn、Mn、Inの何れか又はそれらの混合物、α1、β1、γ1、δ1、ε1は原子比)
0.04≦α1≦0.09
0.56≦β1≦0.79
0.05≦γ1≦0.30
0.03≦δ1≦0.19
0≦ε1≦0.09
α1+β1+γ1+δ1+ε1=1
ZnO・Al2O3・Z〔(100−α3−β3):α3:β3〕 ・・・(3)
(式中、Zは、Mn酸化物、Ge酸化物、Ti酸化物の何れか又はそれらの混合物、α3、β3は重量%)
0.5≦α3≦10.0
0≦β3≦30.0
3) 第2保護層の電気抵抗率が、1.0×10−4〜1.0×101Ω・cmであることを特徴とする1)又は2)に記載の光記録媒体。
4) 記録可能な最高記録線速が30〜56m/sであり、最低記録線速が10〜14m/sであることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 最短マーク長が、0.5μm以下であることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
本発明1では、DVDの基準線速の8倍速以上の高線速記録が可能でかつDVDの基準線速の3.3倍速程度の下位互換性に優れた広い記録線速範囲を確保するために、相変化記録層を前記組成式(1)で示す相変化材料に限定して結晶化速度を可能な限り遅くした。
但し、このままでは高線速記録での消去を行うことができないが、第2保護層の材料として酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫の何れか又はそれらの混合物を用いることにより消去が可能となる。その理由は、これらの材料はGaSb系相変化材料に対して結晶化促進効果があり、この効果により高線速記録時での消去を可能にしていると考えられる。
一方、低線速記録では、結晶化促進効果があるため、アモルファス化、即ちマーク形成が困難になるが、上記の材料は透明導電膜用誘電体材料であり、熱伝導率が通常の誘電体に比べて非常に大きいことが知られている。そのため、急冷効果が大きく、低線速記録においても、記録ストラテジを調整することにより容易にアモルファスマークを形成することが可能となる。この急冷効果を十分に得るためには、上記の特定の材料を第2保護層に用いることが重要である。
更に、Teを添加すると保存信頼性が向上し、Zn、Mn、Inを添加すると記録感度や変調度などが改善されるが、これらの元素は何れも結晶化速度を遅くする作用があるため、その添加量は、0≦ε1≦0.09とする。
Sbについては、0.56未満では高速記録に対応できず、0.79よりも多いとアモルファスマークの形成が困難になり記録ができなくなるので、0.56≦β1≦0.79とする。
Alは電気抵抗率の低下に必須な元素であり、添加量は、0.5≦α2≦10.0が望ましい。より望ましくは2.0〜5.0重量%の範囲である。
また、元素Yを添加することにより保存信頼性が更に改善される。中でもZnO−Al−Mnは保存信頼性に関して顕著な効果が得られることが分った。保存信頼性の改善についての理由は不明であるが、以下のように考えられる。
結晶化促進効果は、高線速記録での消去を可能にする一方で、記録されたアモルファスマークに対しても結晶化を促進するため、記録したデータの保存、所謂アーカイバル特性を劣化させる。これを改善するためMn、Ge、Tiを添加すると、結晶化促進効果を微調整することができ、高線速記録での消去とアーカイバル特性との両立が可能になると考えられる。
元素Yの添加量は、0≦β2≦25.0が望ましい。25.0重量%よりも多いと結晶化促進効果を損ない、高線速記録での消去が出来なくなる。更に望ましいのは10〜20重量%の範囲である。
Al2O3の添加量は、0.5≦α3≦10.0が望ましい。より望ましくは2.0〜5.0重量%の範囲である。Zについては添加元素Yに比べて結晶化促進効果が若干弱くなるため、添加量の上限をやや大きくし、0≦β3≦30.0とする。更に望ましくは15〜25重量%の範囲である。
本発明の光記録媒体の最も効果的な記録線速範囲は、最高記録線速が30〜56m/s、最低記録線速が10〜14m/sの範囲である。この範囲内であれば異常マークの発生もない良好な記録特性とDVDの基準線速の8倍速以上の高線速記録の両立が可能となる。
誘電体材料の熱伝導率を正確に評価することは困難であるが、透明導電膜用誘電体材料の場合は電気抵抗率で代用することができ、電気抵抗率が小さいほど熱伝導率は高いと考えられる。透明導電膜用誘電体材料の電気抵抗率は凡そ1.0×10−4Ω・cmが下限である。また、1.0×101Ω・cmを超えると十分な急冷効果を得ることができないため好ましくない。
従って、本発明の光記録媒体が大きな効果を発揮するのは、最短マーク長が0.5μm以下の記録を行う場合である。
また、第1保護層は、光記録媒体の反射率を調整する働きがあり、望ましい膜厚の範囲は50〜80nmである。50nmより薄いと、膜厚に対する反射率変動が大きく、80nmより厚いと、成膜時間が長くなり光記録媒体の生産性が落ちる。
また、DVDのように薄い基板を用いる場合には基板変形が問題になる。このような点を考慮すると、特に望ましいのは、反射率が最低になる膜厚である。
第1保護層の膜厚は反射率に大きく影響することが知られており、膜厚の変化に対して反射率が正弦波的な変化を示す。ここで反射率が最低になるような膜厚を選ぶことは記録層への光の入射が最も効率が良いこととなり、記録感度の改善や良好なマーク形成に繋がる。但し、反射率が低過ぎるとデータ信号の読み取りが困難になるため、その最低になる反射率の絶対値には下限がある。
反射層は、光学特性及び熱伝導率などの点からAl、Ag、Au、Cuなどの金属材料及びそれらの合金材料を用いる。特に本発明では、急冷構造が望ましいため、熱伝導率が最も高いAg又はその合金が適している。
反射層の膜厚は100〜300nmの範囲が望ましい。更に望ましくは120〜200nmの範囲である。100nmより薄いと放熱効果が得られなくなる可能性がある。また、300nmより厚くしても放熱効果は変わらず、単に必要のない厚さの膜を成膜することになる。
また本発明は、Blue−Ray Discのような層構成、即ち、基板上に反射層、第2保護層、記録層、第1保護層、及びカバー層を設け、カバー層側から光を入射して記録再生を行う層構成の光記録媒体にも応用することができる。ここでいうカバー層とは、通常、厚さ0.1mm程度のものであり、シート状のものを貼り合わせたり、硬化性樹脂をスピンコートすることにより設ける。
図6に、本実施例及び比較例で作製した光記録媒体の概略断面図を示す。
基板1には、トラックピッチ0.74μm、溝幅0.3μm、溝深さ約30nmの案内溝を有する120mmφ、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を用いた。
第1保護層2は、膜厚60nmのZnS・SiO2(80:20モル%)、相変化記録層3は、膜厚14nmの表1、表2に示す組成の相変化材料、第2保護層4は、膜厚11nmのZnO・Al・Mn(78:2:20重量%)、反射層5は、膜厚200nmのAgとした。第1保護層2の成膜にはRFマグネトロンスパッタ法を、相変化記録層3、第2保護層4及び反射層5の成膜にはDCマグネトロンスパッタ法を用いた。
次いで、反射層5の上に耐環境保護層6としてUV硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製、SD318)を塗布して硬化させた後、基板1と同様な基板(図示せず)を貼り合わせて、厚さが約1.2mmの各光記録媒体(光ディスク)を得た。
続いて、出力波長830nm、幅約1μm、長さ約75μm、最大出力約2Wのレーザー光にフォーカシング機能を付加したレーザーヘッドを有する初期化装置(日立CP社製POP120−7AH)を用いて初期化した。
記録ストラテジには2T周期ストラテジを用い、パルス幅、記録パワー、消去パワーなどは最適条件を選択した。記録は、EFM+変調方式によるランダムパターンを、DVDの3.3倍速(11.5m/s)、6倍速(21m/s)、8倍速(28m/s)、12倍速(42m/s)、16倍速(56m/s)の各線速で同一トラックに繰り返し10回記録し、それを5トラック行なって真中のトラックを評価した。
評価結果を表1、表2に示す。評価基準は、ジッター(σ/Tw)が10%以下の場合を「○」、10%を超える場合を「×」とした。
また、再生エラーであるPIエラーは、上記と同様な各線速において約400トラックに10回繰り返し記録(DOW10)を行い、その記録部を1倍速で再生して測定した。
再生装置には、波長650nm、NA0.6のピックアップを有する光ディスク評価装置(パルステック社製DDU−1000)を用い、再生光パワー0.7mWで評価した。
評価結果を表1、表2に示す。評価基準は、PIエラーが100以下の場合を「◎」、100を超えて200以下の場合を「○」、200を超えて300以下の場合を「△」、300を超える場合を「×」とした。
表1、表2の結果から、実施例1〜26では、高線速記録が可能で且つ広い線速範囲においてPIエラーとジッター特性を両立できることが分かる。
第2保護層4の膜厚を7nm、材料を従来技術でよく用いられるZnS・SiO2(80:20モル%)に変え、反射層であるAgが、第2保護層4中の硫黄成分に侵されないように、両層の間に界面層として、重量比が7:3のTiCとTiO2からなる膜厚4nmの硫化防止層を設けた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。なお、第2保護層4及び硫化防止層の成膜にはRFマグネトロンスパッタ法を用いた。
この光記録媒体について、実施例1と同様にして評価した結果、3.3倍速から8倍速までのジッターは「○」であったが、12倍速、16倍速では「×」となり、PIエラーについては、3.3倍速と8倍速では「◎」であったが、6倍速と12倍速と16倍速では「×」であった。
表5に示す材料を第2保護層4に用いた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。なお、各化合物の欄の数値は組成(重量%)を示す。
これらの光記録媒体について、実施例1と同様にして評価した。
結果を表5に示すが、第2保護層4の材料を、下記組成のものとすることにより、高線速記録が可能で且つ広い線速範囲においてPIエラーとジッター特性が両立できることが分った。
ZnO・Al・Y〔(100−α2−β2):α2:β2〕
(式中、Yは、Mn、Ge、Tiの何れか又はそれらの混合物、α2、β2は重量%、0.5≦α2≦10.0、0≦β2≦25.0)
表6に示す材料を第2保護層4に用いた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。なお、各化合物の欄の数値は組成(重量%)を示す。
これらの光記録媒体について、実施例1と同様にして評価した。
結果を表6に示すが、第2保護層4の材料を、下記組成のものとすることにより、高線速記録が可能で且つ広い線速範囲においてPIエラーとジッター特性が両立できることが分った。
ZnO・Al2O3・Z〔(100−α3−β3):α3:β3〕
(式中、Zは、Mn酸化物、Ge酸化物、Ti酸化物の何れか又はそれらの混合物、α3、β3は重量%、0.5≦α3≦10.0、0≦β3≦30.0)
実施例40、実施例45、実施例48、実施例50、実施例51、実施例54、実施例59、実施例63、実施例65、実施例66の各光記録媒体について、実施例1と同様にして記録を行った後、80℃85%RHの環境下で100時間保存した。各光記録媒体を実施例67〜76とし、実施例1と同様にしてジッターの変化を評価した。
結果を表7に示すが、ZnO・AlにMn、Ge、Tiの何れか又はそれらの混合物を添加した場合、及びZnO・Al2O3にMnO2、GeO2、TiO2の何れか又はそれらの混合物を添加した場合には、添加しない場合に比べてジッターの上昇が小さく、アーカイバル特性に優れていることが分かる。
ピッチ0.32μmで、グルーブ(凹部)幅0.2μm、深さ22nmの溝が形成された、120mmφ、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板上に、Ag99.5Bi0.5(原子%)からなる膜厚140nmの反射層、ZnO−Al−Mn(78:2:20重量%)からなる膜厚11nmの第2保護層、実施例1と同じ材料からなる膜厚11nmの相変化材料からなる記録層、ZnS−SiO2(80:20モル%)からなる膜厚33nmの第1保護層を順次、実施例1と同様の製膜方法で形成した。
最後に、厚さ75μmの粘着シートを、厚さ25μmの紫外線硬化樹脂を介して貼り付けて、厚さ0.1mmの光透過層を形成し、光記録媒体を作成した。
次いで、実施例1と同様にして初期化を行った。
上記光記録媒体について、Blue−Ray Disc用評価装置(パルステック社製ODU−1000)を用いて記録特性の評価を行った。
波長405nm、NA0.85のピックアップヘッドを用い、最短マーク長0.149μmで、変調方式(1−7)RLLを用いて記録した。
記録線速は、4.9m/s、9.8m/s、19.6m/sとし、それぞれ最適な記録パワーを選択して記録を行った。
また、Blue−Ray Discの記録特性評価に用いられる信号処理技術である、Limit EQを用いたジッター測定のため、同一トラックに繰り返し10回記録し、それを5トラック行い、真中のトラックを評価した。
更に、再生エラーであるRandom SERは、同様の各線速において約400トラックに10回繰返し記録(DOW10)を行い、その記録部を、再生パワー0.30mW、線速4.9m/sで再生して測定した。測定結果は、次のとおりである。
線速 ジッター Random SER
4.9m/s 5.5% 3.5×10−5
9.8m/s 4.3% 9.5×10−6
19.6m/s 4.9% 1.8×10−5
上記の数値は何れもBlue−Ray Discとして実用上充分に良好な値であり、本発明の効果は本実施例の構成においても得られることが確かめられた。
2 第1保護層
3 相変化記録層
4 第2保護層
5 反射層
6 耐環境保護層
Pw 記録パワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー
TLPS 記録パルス
TCPS 冷却パルス
A 正常な記録マーク
B マーク中に結晶が発生している異常なマーク
C 正常な記録マーク
T 基本クロック周期
t 時間
Claims (5)
- 記録再生の為の光を入射する側からみて順に、少なくとも、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層を有し、相変化記録層が、下記組成式(1)で示される相変化材料からなり、第2保護層が下記組成式(2)を満足する材料からなることを特徴とする光記録媒体。
Gaα1Sbβ1Snγ1Geδ1Xε1・・・(1)
(XはTe、Zn、Mn、Inの何れか又はそれらの混合物、α1、β1、γ1、δ1、ε1は原子比)
0.04≦α1≦0.09
0.56≦β1≦0.79
0.05≦γ1≦0.30
0.03≦δ1≦0.19
0≦ε1≦0.09
α1+β1+γ1+δ1+ε1=1
ZnO・Al・Y〔(100−α2−β2):α2:β2〕 ・・・(2)
(式中、Yは、Mn、Ge、Tiの何れか又はそれらの混合物、α2、β2は重量%)
0.5≦α2≦10.0
0≦β2≦25.0 - 記録再生の為の光を入射する側からみて順に、少なくとも、第1保護層、相変化記録層、第2保護層、反射層を有し、相変化記録層が、下記組成式(1)で示される相変化材料からなり、第2保護層が下記組成式(3)を満足する材料からなることを特徴とする光記録媒体。
Gaα1Sbβ1Snγ1Geδ1Xε1・・・(1)
(XはTe、Zn、Mn、Inの何れか又はそれらの混合物、α1、β1、γ1、δ1、ε1は原子比)
0.04≦α1≦0.09
0.56≦β1≦0.79
0.05≦γ1≦0.30
0.03≦δ1≦0.19
0≦ε1≦0.09
α1+β1+γ1+δ1+ε1=1
ZnO・Al2O3・Z〔(100−α3−β3):α3:β3〕 ・・・(3)
(式中、Zは、Mn酸化物、Ge酸化物、Ti酸化物の何れか又はそれらの混合物、α3、β3は重量%)
0.5≦α3≦10.0
0≦β3≦30.0 - 第2保護層の電気抵抗率が、1.0×10−4〜1.0×101Ω・cmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
- 記録可能な最高記録線速が30〜56m/sであり、最低記録線速が10〜14m/sであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
- 最短マーク長が、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
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